「だるまちゃん」シリーズ、『からすのパンやさん』や『どろぼうがっこう』などの絵本で知られるかこさとし(加古里子)。その生涯と作品世界から、絵本作家としてだけでなく、「かこさとし」というひとりの人間が、絵本を通して未来に残し、伝えたかった想いを紐解く『かこさとし展 子どもたちに伝えたかったこと』が7月16日(土)よりBunkamura ザ・ミュージアムにて開催される。2018年に92歳でこの世を去るまで、600冊以上もの絵本を世に生み出してきたかこ。東京大学工学部を卒業後、昭和電工に長年勤めたという経歴をもち、「だるまちゃん」シリーズなどのユーモアあふれる作品から、『海』『地球』『宇宙』などの科学絵本まで、様々な分野の絵本を制作。読んで楽しいのはもちろん、子どもたち自身の頭でよく考え、個々の可能性を切り開くよう、表現に工夫が凝らされた絵本たちは、今なお世代を超え読み継がれている。同展では、初期から晩年までの代表作はもちろん、かこが若き日に描いた油彩画や、セツルメント活動(ボランティア運動の一種)で子どもたちのために制作した紙芝居の原画や幻灯、これまで世に出ることがなかった絵本の原画など、初公開を含む貴重な作品や資料を公開する。さらに、最晩年に描き残された《宇宙進化地球生命変遷放散総合図譜(通称:生命図譜)》 (複製)が初公開される。生きとし生けるものへの愛情と理解を最後の最後まで探求し描き表わそうとした、科学絵本の集大成ともいえるこの作品は、幅5mにもおよぶ未完の大作。古く繊細な紙に細かに描かれた原画は移動や展示に耐えられないため、精緻に再現された複製が展示される。深い思い入れをもって描かれた生命の図譜と対面し、かこの思いを想像してみたい。《自画像》1947年(c)1947 Kako Research Institute Ltd.『地下鉄のできるまで』 1987年(c)1987 Kako Research Institute Ltd.『人間』 1995年(福音館書店)(c)1995 Kako Research Institute Ltd.《宇宙進化地球生命変遷放散総合図譜(通称:生命図譜)》(未完成)(c)2018 Kako Research Institute Ltd.富士山を望む自宅の庭にて。2016年10月撮影【開催概要】『かこさとし展 子どもたちに伝えたかったこと』会期:2022年7月16日(土)~9月4日(日) ※休館日:7月26日(火)会場:Bunkamura ザ・ミュージアム時間:10:00-18:00、金土は21:00まで (入館は閉館30分前まで)料金:一般1,400円、大学800円、高中500円※会期中の土日祝および8月29日(月)~9月4日(日)は一部オンラインによる入場日時予約が必要公式サイト:
2022年06月21日2018年に92歳でこの世を去った絵本作家かこさとしの創作の軌跡をたどる展覧会『かこさとしの世界展だるまちゃんもからすのパンやさんも大集合!』。2020年に開催され、会期途中で中止となった展覧会が、12月3日(金)より八王子市夢美術館にて再び開催される。青春時代に戦争を経験し、自らの生きる意味を失ったというかこは、その後、児童演劇へ関わるようになったことで、子供たちに自らの未来を切り開く力を持ってほしいと願うようになった。そして、ボランティア福祉活動(セツルメント活動)として子供会に参加し、紙芝居や幻灯などの創作を始めたことが、絵本制作へとつながっていった。32歳の時に最初の絵本『だむのおじさんたち』を発売して以来、「だるまちゃん」シリーズ、「からすのパンやさん」シリーズといった物語絵本や、『かわ』、『地球』、『海』といった科学絵本など、生涯600冊を超える著書を出版。現在も大人から子供まで多くの人に親しまれている。同展では、かこの代表作「だるまちゃん」シリーズ、「からすのパンやさん」シリーズをはじめ、少年時代に描いたスケッチや絵日記、子供会での紙芝居、これまで発表されることのなかった絵本の原画や下絵なども公開。八王子ゆかりの医師・肥沼信次を描いた『ドイツ人に敬愛された医師・肥沼信次』(2003年/瑞雲舎)も交え、貴重な作品や資料を紹介する。かこがどんな想いで子供たちと向き合い、絵を描き、絵本を作ってきたのかを紐解いていく。『だむのおじさんたち』1959年 福音館書店だるまちゃんとからすのパンやさん 水彩画(c)Satoshi KAKO(c)Kako Research Institute Ltd. 2019『ならの大仏さま』下絵 1985年 福音館書店(c)Satoshi KAKO (c)Kako Research Institute Ltd. 2019【開催概要】『かこさとしの世界展 だるまちゃんもからすのパンやさんも大集合!』会場:八王子市夢美術館会期:2021年12月3日(金)~2022年1月23日(日)時間:10:00~19:00(入場は18:30まで)休館日:月曜(祝日、振替休日の場合は開館し翌平日休館)、12月29日(水)〜1月3日(火)料金:一般600円、大高・65歳以上300円●公式サイト:
2021年12月01日「かこさとしの世界展」が、大丸京都店6階の大丸ミュージアム<京都>にて開催される。期間は2019年10月30日(水)から11月18日(月)まで。“かこさとし”とはかこさとし(加古里子)は、1926年福井県に生まれた日本を代表する絵本作家。1959年、32歳の時に最初の絵本『だむのおじさんたち』を出版し、2018年、92歳で亡くなるまで、600冊を超える名作を世に送り出してきた。『だるまちゃんとてんぐちゃん』『からすのパンやさん』といった物語絵本や、『かわ』『地球』『海』といった科学絵本など、かこさとしが生み出す広く深い創作の世界は、多くの人々に親しまれている。幼少期の絵から生涯最後の絵本までが集結「かこさとしの世界展」では、かこさとしが少年の頃に描いた絵から、最後の絵本となった『みずとはなんじゃ?』までが一堂に集結。これまでほとんど公開される機会がなかった貴重な自画像などの絵画作品や、人気絵本の原画、資料も展示される。その他、初公開となるデパートを舞台にした『とこちゃんはどこ』の下絵や、京都特別展示となる「京都三大祭」を描いた絵本原画にも注目だ。会場限定グッズも販売「かこさとしの世界展」では、会場限定のオリジナルグッズも販売。『だるまちゃんとてんぐちゃん』や『からすのパンやさん』などに登場するキャラクターをあしらったトートバッグ、缶バッジといったグッズが展開される。【詳細】「かこさとしの世界展」会期:2019年10月30日(水)~11月18日(月)※入場は10:00~19:30(20:00閉場)最終日は16:30まで(17:00)会場:大丸ミュージアム<京都>(京都市下京区四条通高倉西入立売西町79番地 大丸京都店6階)入場料(税込):一般1,000円(800円)、大高生800円(600円)、小中学生400円(300円)※()内は、前売券および10名様以上の団体。大丸・松坂屋のクレジットカード、大丸松坂屋の友の会カード、ブライダルサークル会員証を持参者の優待料金。※前売券は、大丸京都店7階商品券売場およびセブンチケットにて販売。■会場限定「かこさとしの世界展」オリジナルグッズ・トートバッグ Lサイズ 2,200円(税込)/Sサイズ 1,650円(税込)・缶バッジ 大 385円(税込)/小 330円(税込)
2019年10月24日『からすのパンやさん』、「だるまちゃん」シリーズで知られる絵本作家のかこさとしさん。思い出の一ページはどこ?かこワールドを巡る一日。1959年のデビュー以来、親から子、そのまた子へと愛読されてきた。5月に92歳で逝去され、はからずも回顧展となる本展は200点以上の原画(※超高精彩の複製中心)が登場、過去最大規模の展覧会に。開催地の川崎市は作家としての原点ともいえる場所。大学卒業後、民間の研究所に勤務しながら市内でセツルメント活動(地域住民の生活向上のため、医療、教育などの助力をする社会事業)に従事。子ども向けの紙芝居、幻灯の制作に携わった。『どろぼうがっこう』は当初、紙芝居として披露されたのだとか。会場では子どもたちとの出会いに始まり、科学・歴史絵本など幅広いジャンルで活躍した軌跡をたどる。8月18日(17時~)は学芸員によるギャラリートーク、翌19日(14時~、先着270名)にはセツルメント時代の幻灯の上映会も開催。絵本以前のかこワールドを体験してみて。ありとあらゆる形のパンが描き分けられているのが楽しさの理由。『からすのパンやさん』偕成社刊©1973,Satoshi KAKOからだの本シリーズ。食べ物が排泄されるまでを旅になぞらえて。『たべもののたび』童心社刊泥棒も学校に?意外性に子どもは大受け。『どろぼう学校』偕成社刊©1973,Satoshi KAKOかこ・さとしセツルメント活動を経て、絵本作家の道へ。児童文化研究者としても活躍。著書600点以上。(2015年撮影)かこさとしのひみつ展―だるまちゃんとさがしにいこう―川崎市市民ミュージアム神奈川県川崎市中原区等々力1-2(等々力緑地内)7月7日(土)~9月9日(日)9:30~17:00(7/21・28、8/4・11・18は~19:00。いずれも最終入場は閉館30分前まで)月曜休(7/16 は開館。翌17日休)一般600円ほかTEL:044‐754‐4500※『anan』2018年7月11日号より。文・松本あかね(by anan編集部)
2018年07月09日川崎市市民ミュージアムでは、先日逝去した絵本作家・かこさとしの展覧会「かこさとしのひみつ展-だるまちゃんとさがしにいこう-」を、7月7日から9月9日まで開催する。『だるまちゃんとかみなりちゃん』福音館書店刊Illustrations ©Kako Research Institute Ltd.『だるまちゃんとてんぐちゃん』や『からすのパンやさん』などで知られる絵本作家かこさとしは、1959年に『だむのおじさんたち』でデビューして以来、半世紀以上にわたって物語絵本や科学絵本など多岐にわたる作品を発表し続けてきた。その創作の原点は、1950年代の川崎市幸区古市場での、地域住民の生活向上を目的とした福祉活動「セツルメント活動」にあった。かこさとしはセツルメント活動において、川崎の子どもたちに創作指導する他、自ら紙芝居や幻灯を制作して子どもたちに読み聞かせ、このときの体験がその後の作家活動の大きな糧となった。『からすのパンやさん』偕成社刊©1973,Satoshi KAKOスケッチ・下絵・複製原画を中心に200点以上を展示する本展は、かこさとし展として過去最大規模の展覧会。かこさとしの長きにわたる創作活動を概観し、その創作の秘密に迫る。代表作「だるまちゃん」シリーズや、『からすのパンやさん』の一場面を始め、『どろぼうがっこう』、『かわ』や『たべもののたび』などの科学絵本を全場面展示する他、作品に通底するキーワードとして「見る」「知る」「学ぶ」「食べる」場面を中心に展示する。原点となった川崎におけるセツルメント活動も紹介。福井・武生、東京・板橋での幼少時代から帝大時代、創作の原点ともいえる川崎市幸区古市場での東大セツルメントの活動について写真パネルなどで紹介し、川崎の子どもたちの絵や、子どもたちと一緒に描いたスケッチ、アンデパンダン展出品作品なども展示。かつて川崎の子どもたちとの出会いから花開いたかこさとしの作品世界を、未来の子どもたちに向けて新たに発信する。『どろぼうがっこう』偕成社刊©1973,Satoshi KAKO関連イベントも多数実施。7月28日には、かこさとしと科学者の藤嶋昭が中心になって制作した絵本『太陽と光しょくばいものがたり』に出てくる光しょくばいの実験を行う「光しょくばいワークショップ」、8月5日には、かこさとしが作った「だるまちゃん音頭」を愉快な動きで一緒に楽しく踊る「だるまちゃん音頭をおどろう!」、8月11日には、絵本『からすのやおやさん』を使って親子で経営について学ぶ「『からすのやおやさん』で経営のおはなし」、8月25日には、絵本のお話を遊ぶ、ストーリー・オリエンテーリング「『からすのパンやさん』おつかい大作戦!」を開催する。この他、学芸員による展示解説付きの鑑賞ツアーで、ベビーカーでも安心して鑑賞出来るようボランティアスタッフがサポートする「ベビーカーツアー」や、展示作品についてガイドと参加者がおしゃべりしながら、じっくり鑑賞する「対話型鑑賞ツアー」、夜間開館日にあわせて、大人向けの展示解説を行う「ナイト・ミュージアム!担当学芸員によるギャラリートーク」などのギャラリーツアーを開催。8月19日の「かこさとし幻灯上映会」では、かこさとしが1950年代に川崎セツルメントの活動で制作した幻灯を上映。絵本化していない作品も鑑賞することが出来る貴重な機会となっている。なお、事前申し込みが必要なイベントもあり。詳細情報や申し込みについては、同館ホームページ()にて。かこさとし 2015年撮影さらに会期中、本年5月2日に92歳で逝去したかこさとしをしのび、感謝を伝えるコーナー「いつまでも いつまでも かこさとしさん」を設置。入館無料のスペースで、開館時間内であれば誰でも自由に訪問可能。かこさとしへのメッセージを書くことが出来る他、2017年に撮影された、かこさとしの記録映像を見ることも出来る。図らずも回顧展の形となり、哀悼の意を込めて開催される本展。数々の作品を通して、かこさとしの想いに改めて触れてみては。【展覧会情報】企画展「かこさとしのひみつ展 -だるまちゃんとさがしにいこう-」会期:7月7日~9月9日会場:川崎市市民ミュージアム 企画展示室1住所:神奈川県川崎市中原区等々力1-2(等々力緑地内)時間:9:30~17:00 ※夏休み期間の土曜日 (7月21・28 日、8月4・11・18日)は19:00まで ※最終入館は閉館30分前まで休館日:月曜日(7月16日は開館)、7月17日料金:一般600円(480円) 65歳以上・大学生・高校生450円(360円) 中学生以下無料※( )内は20名以上の団体料金※障害者手帳をお持ちの方およびその介護者は無料かこさんに感謝を伝えるコーナー「いつまでも いつまでも かこさとしさん」会期:7月7日~9月9日会場:川崎市市民ミュージアム館内時間:9:30~17:00(夏休み期間の土曜日7月21・28 日、8月4・11・18日は19:00まで) 入館無料
2018年05月29日日本の繊細な季節変化が告げる“愛を叶える方位”と、その時どうすれば良いかをお伝えする、和の風水占いです。“愛を叶える方位”は3種類あります。それは、恋に効く「恋縁(こいえん)」方位の西、良縁を招く「愛縁(あいえん)」方位の東南、そして二人が深く結ばれる「情縁(じょうえん)」方位の北。あなたの自宅から見て、西や東南や北の方位へ出かけると、ラブ運に恵まれるでしょう。ただし、これらの方位も、使える日と使えない日があります。デートや愛の告白や彼とのお泊まりに、ツキがある日はいつ?それを、季節の小さな変化が告げてくれるのです!■*今回は、夏枯草(かこそう)(6/20~25)期*夏に開花する薬草の「ウツボグサ」が、この時期に黒ずんで枯れたように見えるため、「夏枯草(かこそう)」または「夏枯れ草(なつかれくさ)」と呼ばれ、季語にも使われます。ちなみに英語名は「heal-all」(万能薬:全てを癒す)です。あなたの愛がウツボグサのように彼を癒すなら、あなたは彼にとって、かけがえのない女性となるでしょう!■*恋縁の西*6/21(火)は水辺が吉、23(木)は山が吉、24(金)と25(土)は街が吉6/21に西方位の海や湖、川などの水辺へ出かけると、素敵な出会いに恵まれたり、恋が進展したりするでしょう。デートはドライブが最高。自分や彼の車でも、レンタカーでもいいのですが、とにかくガソリンを満タンにして出かけましょう!6/23は、恋縁の西にある高原や丘など、高台や山地へ出かけるとラブ運がアップします。フリーのあなたや、彼とラブララブになりたいあなたは、西方位の山にある神社で縁結び祈願をしましょう。また、この日デートに出かけるなら、西方位の山や高台にある見晴らしのいいカフェやレストランで食事やお茶を。6/24と25は、繁華街や高層ビル街など、街の中心地でのデートがラッキー。フリーのあなたは、この日に西方位で行われる街コンや合コンに出かけるとGOOD。■*愛縁の東南*6/21(火)の愛縁は微妙、24(金)は良縁に恵まれやすい6/21に東南方面から舞いこんだ縁談や、あなたの家から見て東南に住む男性との縁談は、ちょっと微妙です。たとえば、経歴や収入は良いけれど派手好きな浪費家だとか、好印象でも実は調子のいい浮気者だったりと、お相手の男性には裏の顔がある可能性が高いようです。とりわけ、彼がオシャレなイケメンだった場合は、よく確かめた方がいいでしょう。6/24に、愛縁の東南へ出かけると、良縁に恵まれやすくなります。彼に結婚を決意させたいあなたは、彼と二人で東南方位の公園や庭園へ出かけましょう。フリーのあなたは、この日に東南方位にある結婚相談所に登録したり、東南方位の神社で良縁祈願すると吉。■*情縁の北*6/21(火)と22(水)は北でラブラブに、24(金)はすぐ深い仲に!6/21と22は、北方位でレジャーやショッピングを楽しむと、ラブラブなムードになりやすいでしょう。特に、21日に彼とカラオケで一緒に歌ったり、22に彼とふたりきりの旅行計画を立てながら旅行用品のショッピングに出かけると、大いに盛り上がるはず。ゴキゲンな彼と夜をすごせば、お互いに大満足できるでしょう。6/24に、情縁の北で出会った男性とは、すぐに深い仲になる暗示あり。行きずりの恋だけにスリリングですし、ふたりだけの秘密を共有していると思えば、おのずと快感も高まるでしょう。■おわりに片思いの恋を叶えたいあなたも、彼との仲を深めたいあなたも、この風水アドバイスを参考にしてくださいね。(隆速治沙/ライター)(ハウコレ編集部)
2016年06月21日6月16日~20日は七十二候「梅子黄ばむ(うめのみきばむ)」、21日~25日は「乃東枯る(なつかれくさかるる)」の時期です。「梅子」という言葉、可愛らしいひびきがありますね。熟す前の青い梅は、その名も「青梅(あおうめ)」。この時期、青い梅の実も熟して黄色に染まります。中国では、長雨が降る頃ということで「梅雨(つゆ)」という言葉が生まれたとか。今日は美容にもよい「梅干し」について!食べるだけで福が訪れるさわやかな朝の習慣や、難を逃れるおまじないをご紹介します。七十二候とは?時間に追われて生きることに疲れたら、ひと休みしませんか?流れゆく季節の「気配」や「きざし」を感じて、自然とつながりましょう。自然はすべての人に贈られた「宝物」。季節を感じる暮らしは、あなたの心を癒し、元気にしてくれるでしょう。季節は「春夏秋冬」の4つだけではありません。日本には旧暦で72もの豊かな季節があります。およそ15日ごとに「立夏(りっか)」「小満(しょうまん)」と、季節の名前がつけられた「二十四節気」。それをさらに5日ごとに区切ったのが「七十二候」です。「蛙始めて鳴く(かえるはじめてなく)」「蚯蚓出ずる(みみずいずる)」……七十二候の呼び名は、まるでひと言で書かれた日記のよう。そこに込められた思いに耳を澄ませてみると、聴こえてくるさまざまな声がありますよ。朝、梅干しを食べると、1日の災難を逃れられる。朝、出かける前に梅干しを食べると、その日一日の災難を逃れられるという話を聞いたことはありませんか?昔、旅人がその土地土地の風土病にかからないよう、梅干しを薬として持ち歩いていたことが由来とされています。梅はその日の難のがれ。温泉宿に宿泊すると、必ずと言っていいほど、朝食に梅干しが出されますね。それは今もこの説が生きているから。朝の梅干しは、昔と変わらぬ旅人へのおもてなしの心、なのですね。朝茶(あさちゃ)で福を授かろう!梅干し同様、朝に飲む一杯のお茶には災難を逃れ、福を授ける力があると言われています。皆さんは今日、どんな朝をお過ごしでしたか?昨日の疲れもとれないままに目覚まし時計にたたき起こされ、バタバタと準備をして会社へ、という方もいらっしゃることでしょう。一日のはじまりに、一杯の熱いお茶と梅干しはいかがですか?ぼーっとした頭もすっきり。熱いお茶と梅干しの酸味が体にしみわたり、心も体も脳も、さわやかに目覚めていく。その感覚がたまりません。たとえばこんなふうに!「あんず」でいかが?最近の私のお気に入りは、モダンな有田焼KIHARAのカップにそそいだ熱いお茶と、青森の八助のしそ漬け。余計な添加物を一切使用していない伝統の製法でつくられた梅干し、ならぬ「あんず干し」です。梅とあんずは同じバラ科なんだそうです。酸味が強く、種が実からはずれにくいのが「梅」。簡単にはずれるのが「あんず」。今から約260年前に神社の境内の桑の実と南部梅を交配させたところ誕生したのが、こちらのあんず。「梅」とよばれるあんずは、口に入れた瞬間、昔ながらのすっぱさが広がりますよ。二人でシェアしていただくのにも、おすすめの大きさです。まるでルビーのように艶めく「梅干し」Photo by 植田彰弘徳島県神山町でつくられている「神山ルビィ」も絶品!その昔、青梅の取引価格が高値だった当時、青梅のことを宝石にたとえて「ダイヤ」と呼んでいたとか。それにちなんで、完熟、無添加、ぴかぴかと宝石のように艶やかに輝く真っ赤な梅干しを「ルビィ」と名づけたそうです。口に入れた瞬間、故郷に帰ってきたような懐かしさを感じるルビィ。おいしい梅干しがつくられている町は、どこまでものどかです。Photo by 植田彰弘神山は、食の神さまであるオオゲツヒメをお祀りしている、自然豊かな地。日本の原風景が広がる神山の魅力に魅せられ、移住する若者も多いそうです。梅干しがつくられた町々に思いをはせて、感謝の気持ちでいただきましょう。梅干しは、食の神さまからの贈り物。明日から、朝茶と梅干しで災難とさようならしましょう!6月21日~25日「乃東枯る(なつかれくさかるる)」梅が黄色に熟すと、寒い冬至の頃に芽を出した「乃東(だいとう)」が枯れたような姿に。乃東は「夏枯草(かこそう)」「うつぼぐさ」とも言われています。ちょっぴりラベンダーに似ている紫色の花。花が終わると、黒っぽくなった花穂が残るので、この名で呼ばれるようになったとか。おそらくこの花の名を、はじめて耳にした方もいらっしゃるでしょう。昔から利尿薬など、生薬として用いられてきたそうです。口内炎にもいいと言われています。昔の人は、けっして華やかとは言えない花々も見つめていたのですね。なんともやさしいまなざしで。6月は、食で季節を味わってみていかがでしたか?梅干しはもちろん、この時期、茗荷もおいしいですね。大さじ3の酢、小さじ1程度の砂糖に茗荷をつけて、茗荷寿司はいかがでしょう。日本酒にぴったりです。また茗荷のお漬物を蓮の花のように並べれば、ちょっとした夏のパーティーメニューになりますよ。季節を「食」で楽しむ!食いしん坊の女性にはたまりません。【参考】『くらしを楽しむ七十二候』広田千悦子/泰文堂
2016年06月15日