つかこうへいの代表作『熱海殺人事件』が今年も東京・紀伊國屋ホールで開幕した。それに先がけ囲み取材と公開ゲネプロが行われ、取材には木村伝兵衛部長刑事役の味方良介、水野朋子婦人警官役の今泉佑唯、犯人・大山金太郎役のダンスボーカルユニット「lol-エルオーエル-」佐藤友祐、富山から来た田舎の刑事・熊田留吉役のお笑いコンビ「NON STYLE」石田明、演出の岡村俊一が登壇した。【チケット情報はこちら】1973年に書き下ろされ46年目となる今作は“LAST GENERATION 46”と銘打ち上演。大阪公演を終えて、演出の岡村は「長い歴史のある『熱海殺人事件』の中でも出色の出来栄えだと思っています。現時点で、この世代で考え得る最高のキャストです。皆さんビックリすると思います。私も大阪でビックリしましたから。傑作だと思いますのでぜひご期待ください」と絶賛。味方も「僕は『熱海殺人事件』が3度目になるのですが、この座組だったら、自分が3度目をやる意味、平成最後にこの作品をやる意味というものをちゃんと皆さんにお伝えできるんじゃないかなと思います」と意気込んだ。昨年欅坂46を卒業し、これが本格的な女優デビューとなる今泉は大阪公演を振り返り「稽古とお客様の前でお芝居するのは全く違って。あの稽古はなんだっただろう…」とポツリ。不安だったことを明かすと、佐藤にも「稽古中に“私、はずされるかもしれない”と言っていて」と暴露され大笑いとなったが、岡村が「今泉は人に観られると力が出る」と太鼓判。「皆さんと本番を迎えられてホッとしています」と語った。また、佐藤が「台本をもらったときは、自分にできるか不安で眠れない日が続きました。今でも不安はありますが、キャストの皆さん、スタッフの皆さんに常に支えられて、常に救われています。だからこそ絶対に全力でやる。それをこの作品で学びました」、石田が「毎公演違う物語になるくらい、誰が主役になるかわからないような仕上がりになってきました。そこを楽しんでもらえたらと思います」と話したことを受け岡村は「この作品は登場人物4人それぞれの人生のようなものを別々に描いていながら、ちゃんとその4人が支え合って2時間過ごすようにつくられている。だから誰かが力尽きそうになると誰かが支えるような不思議な構造を持っているんです。それで4人それぞれが力を持っていると、こんなにも競い合っておもしろくなるんだというのはぜひ観ていただきたい」と話した。その後の公開ゲネプロでは会見で語られた通り熱い公演をみせた、つかこうへい復活祭2019 VOL.1「熱海殺人事件 LAST GENERATION 46」。東京公演は4月21日(日)まで東京・紀伊國屋ホールにて上演中。取材・文:中川實穗
2019年04月09日舞台『春です!!つかです!!熱海です!!つかこうへい復活祭 2019 VOL.1 熱海殺人事件 LAST GENERATION 46』の公開ゲネプロが4日、同所で行われ、味方良介、今泉佑唯、佐藤友祐、石田明が報道陣の取材に応じた。同舞台はつかこうへい氏の代表作でもある『熱海殺人事件』の再演。46回目の再演となる今回は"LAST GENERATION 46"と銘打ち、木村伝兵衛部長刑事は味方良介、捨て身の潜入捜査を行う水野朋子婦人警官は元欅坂46の今泉佑唯が演じる。すでに大阪公演が終わり、翌日に東京公演の初日を迎えるこの日は、報道陣向けの公開稽古を実施。主演の味方は「大阪で5公演やってきました。稽古で得ることができない熱や緊張感を大阪公演でたくさん吸収してきて、一回りも二回りも大きくなってきました。平成最後にこの作品をやる意味を皆さんにお伝えして、最後まで突っ走っていきたいと思います」と気合十分。欅坂46卒業後、同舞台が本格的な女優デビューとなる今泉は「大阪公演を終えて本当に色んなことを吸収させていただきました。東京公演は17公演ありますが、もっともっと皆さんと力を合わせて上を目指していきたいです」と意欲を見せた。その今泉について石田は「情緒不安定ですね(笑)。急に元気になって『何だお前は?』という感じ(笑)。でも面白いですよ。変化があってすごい面白くて普通に笑っちゃいます。可愛いやつですよ」と好印象の様子。佐藤も「最初の稽古をふたりでやったんですが、不安がって『私外される』とか言って本当に良くわからないです」と今泉の天然ぶりを暴露しつつ、「本番が始まった時に誰よりも楽しんでいます。スターだなと改めて思いました。今は頼り切っています」と期待を寄せた。今泉は「稽古の段階や今もそうかもしれませんが、何も出来てなかったので、これは外されるとずっと思いながら(大阪公演初日の)前日までヒヤヒヤしていました」と偽らざる本音も。その不安は大阪公演で払拭できたようで「無事こうやって皆さんと迎えられてホッとしています」と放していた。同舞台は、4月5~21日(9・15・19日は休演)に東京・新宿の紀伊国屋ホールで公演される。
2019年04月05日25歳のつかこうへいが当時最年少で岸田國士戯曲賞に輝いた、代表作『熱海殺人事件』。1973年の初演以降、幾度となく上演が繰り返される不朽の名作が平成最後の節目に『熱海殺人事件 LAST GENERATION 46』と銘打ち上演される。演出はつかこうへいの懐刀、岡村俊一。大阪城公園内に誕生した新劇場COOL JAPAN PARK OSAKATTホールで行われた最終舞台稽古の模様をレポートする。「熱海殺人事件 LAST GENERATION 46」チケット情報タキシードを着た東京の部長刑事が自分の美学を貫き、三流の殺人犯を“一流の犯人”に仕立てる破天荒な物語。大音量のチャイコフスキー「白鳥の湖」を合図に、のっけから部長刑事が電話口でがなりたてる。足元にはスモークがたかれ、真っ赤な背景にピンスポットを浴びた部長刑事のただならぬ存在感。そこへ、富山では名の知れた田舎刑事が赴任してくると、手渡す書類を寸前で床へ落とし「拾ってください」と上から目線。すかさず「テーマは愛!」と高らかに宣言するや、納得いく殺人の“シナリオ”を完成させるよう田舎刑事に迫るのだった。かくして賄賂に偽造、でっち上げもお手のもの。「我こそルール!」と無法地帯と化した警察所内で、真剣勝負のシナリオ合戦が始まる。愛人婦人警官、張本人の犯人も加わり、丁々発止のやり取りから浮かび上がるのは、各々の過去。どうしようもない生い立ちや貧乏、差別が彼らの人生に暗く影を落としているのが分かる。そこに愛が絡むと、人間はつい衝動的な言動に駆り立てられるのかもしれない。とはいえ、実人生がそうであるように、しみったれた感傷も長くは続かない。劇中には小ボケからコント仕立ての笑いまでが次々に差し込まれる。心を射抜く爆音のBGMにきらめく閃光、宙に舞う大量の花びら。愛も憎も盛り込んだ文字通り目まぐるしい展開、このトゥーマッチ感こそつか戯曲の真骨頂だ。木村伝兵衛部長刑事には、歴代最年少の24歳で同役に抜擢されて以降、3年連続で主演を務める味方良介。美しいビジュアルに堂々とした佇まい、何より膨大な台詞量にもスピード感を損なうことなく明瞭に言葉を届ける。荒唐無稽な戯曲を成立させる台詞回しが圧巻だ。愛人の水野朋子婦人警官には、元欅坂46の今泉佑唯。1st写真集が10万部超えのヒットも伊達じゃない初々しい存在感で本格女優デビューを飾っている。犯人の大山金太郎には新鋭ダンスボーカルユニット「lolエルオーエル」の佐藤友祐。殺しの再現で魅せる真に迫った演技は見もの。そして、田舎刑事・熊田留吉には、お笑いコンビNON STYLEの石田明。2016年『新・幕末純情伝』で坂本龍馬役を演じ、昨年は『熱海殺人事件』『火花』などに出演。味方にも劣らぬ台詞量で物語を牽引し、笑いのセンスも遺憾なく発揮している。公演は3月28日(木)から31日(日)までCOOL JAPAN PARK OSAKATTホール、4月5日(金)から21日(日)東京・紀伊國屋ホールにて上演。チケット発売中。取材・文:石橋法子
2019年03月29日2017年に解散したアイドルグループ・℃-uteでリーダーを務め、現在は歌手や女優として活躍している矢島舞美。矢島が、4月に上演されるつかこうへい原作の舞台『銀幕の果てに』で主演することになった。矢島と、演出を担当する岡村俊一に舞台への意気込みなどを語ってもらった。【チケット情報はこちら】原作は1994年に発表されたつかこうへいによる長編小説。山中にある映画撮影所を舞台に、映画界の裏側を描く告発サスペンスだ。どこからどこまでが撮影している映画なのか、どれが現実でどれが物語なのかが錯綜する展開。1989年に発表された戯曲『今日子』をベースに着想されたが、より設定が複雑化している。矢島が演じるのは、伝説の女優「玲子」で、17歳から60歳までを演じる。役について、矢島は「コンプレックスを持ちながら、女優としての一線を歩んでいる人。堂々としているけれど、裏では自分に自信がない部分がある人だと思っているので、そういう部分をしっかりと演じられたら」と話す。つか作品の出演に関しては「つかさんの作品は初めて。女性が格好良く、力強く描かれるイメージがあるので、私も頑張らなくては」演出の岡村とは『LADY OUT LAW!』(2018年)以来2度目のタッグ。矢島は「前回は自分の中で葛藤があった。芝居に正解はないと思うが、やればやるほど分からなくなってしまった部分があり、正直、悔しさが残った。今回は葛藤を繰り返しながら、でも自分なりに納得していけるように、悩み抜いた先に何か見つけられるようにやりたい」と話す。そんな矢島について、演出の岡村は「迫力があって豪快だなと感じる部分がありながら、些細なところにこだわるという繊細さも兼ね備えている。日常感がない人なので、今回の作品のように、“女優”を戯画化した役はぴったりだと思っている」とコメントしている。アイドルを卒業して早くも1年半がすぎた。矢島は「アイドルはアイドルとして精一杯活動をしてきて、もう悔いはないと思ったから解散を決めた。これからは本当に甘えなしでやっていきたい」と覚悟を決めている様子。これからの意気込みを尋ねると、矢島は「大人な芝居を磨いていきたい。そして、いろんな年齢層の方に芝居をみてほしい」と語った。東京公演は4月24日(水)から29日(月・祝)まで紀伊國屋ホールにて。大阪公演は5月8日(水)、9日(木)、COOL JAPAN PARK TTホールにて。出演は矢島のほか、味方良介、木崎ゆりあ、石田明、佐久本宝、久保田創/岡田帆乃佳(劇団4ドル50セント)、黒川恭佑、磨世/松本利夫。取材・文:五月女菜穂
2019年03月04日2月28日(木)今夜放送の「VS嵐」は、舞台「偽義経冥界歌」から生田斗真、りょう、中山優馬、藤原さくら、粟根まこと、早乙女友貴が参戦。人気のコンビ「チョコレートプラネット」をプラスワンゲストに加えた「嵐」チームと熱戦を繰り広げる。今回舞台「偽義経冥界歌」チームとして参戦するのは『彼らが本気で編むときは、』や『先生!、、、好きになってもいいですか?』など多彩な作品で演技力を発揮、放送中の大河ドラマ「いだてん」も好評の生田さん。「コード・ブルー」シリーズや朝ドラ「まれ」などのドラマから『GOEMON』や『さや侍』といった映画まで幅広く出演するりょうさん。「Endless SHOCK」や「DREAM BOYS」などの舞台を中心に活躍、「ぴんとこな」や『曇天に笑う』など映像作品でも知られる中山さん。2015年にメジャーデビュー、アーティストとしての活動とともに、月9「ラヴソング」での演技で女優としても注目された藤原さん。「劇団☆新感線」出身、「髑髏城の七人」などの舞台だけでなく『シン・ゴジラ』などの映画にも出演する粟根さん。兄・早乙女太一の舞台で経験を積み劇団EXILEの「刀舞鬼 -KABUKI-」やつかこうへい作の「新・幕末純情伝」などで知られる早乙女さんといった面々。この舞台「偽義経冥界歌」チームがいま話題の「チョコレートプラネット」の2人が加勢した「嵐」チームと今夜対戦。今回は対戦チームにちなんで流れてくる的をアーチェリーで射抜く特別対決「矢の嵐」を実施する。豪華なセットを前に「こんなセットまで作っていただいて結果を残さないわけにはいかない」と意気込む生田さんだが、「嵐」チームの二宮和也が驚異のプレーを披露する展開に…果たして結果はいかに!?今回ゲストで登場する生田さんらが出演する舞台「偽義経冥界歌」は、源義経の新たな伝説を描く「劇団☆新感線」3年ぶりの完全新作。源義経(みなもとのよしつね)を生田さんが演じるほか、黄泉津(よもつ)の方にりょうさん、奥華次郎泰衡(おうがのじろうやすひら)に中山さん、静歌(しずか)に藤原さん、源頼朝(みなもとのよりとも)に粟根さん、遮那王牛若(しゃなおううしわか)に早乙女さん、さらに山内圭哉、三宅弘城、橋本さとしらも共演する。舞台「偽義経冥界歌」は3月8日(金)から大坂・フェスティバルホールで開演、その後金沢、長野、東京、福岡を1年以上かけて巡る。「VS嵐」は2月28日(木)今夜19時~フジテレビ系で放送。(笠緒)
2019年02月28日3月28日(木)に開幕する『熱海殺人事件』LAST GENERATION 46の制作発表会が行われ、出演者の味方良介、今泉佑唯、佐藤友祐、石田明、演出の岡村俊一が登壇し、MCを久保田創が務めた。【チケット情報はこちら】『熱海殺人事件』は、1973年に文学座に書き下ろされ、再演を重ねられてきたつかこうへいの代表作。46年目そして平成最後の年の上演となる今回は“LAST GENERATION 46”と銘打ち、3年連続で主演を務める味方、昨年欅坂46を卒業し本作で本格的な女優デビューを果たす今泉、ダンス&ヴォーカルユニット「lol-エルオーエル-」の佐藤、昨年に続いて出演するお笑いコンビ「NON STYLE」の石田が出演する。キャスト登場シーンの披露から始まった会見。岡村は今年の『熱海殺人事件』は特に若いキャストが揃ったことに触れ「この作品はつかさんが22、23歳のときに着想したものなんです。つまり大学生の発想なんですね。そういう若い人の考えた寂しさとか幸せとかは、本当に若い人がやるのが1番いいんじゃないかと常に思っています。リアルな若さから出てくるもの、若者にしか出せないエネルギーがあると思うので楽しみにしています」と話した。さらに今回の演出について「今泉が歌えるということで、ミュージカルシーンをふんだんに盛り込んで歌い踊る『熱海殺人事件』にしていければ」と明かした。木村伝兵衛部長刑事役の味方は「今年は、(去年に続き)石田さんがいるのでその安心感があります。2年目ならではの石田さんとの戦いをみせていけたらと思います。そして今年は新しい若い力が入ってくるので、その力を最大限に引き出せるようバックアップしたいです」と3度目ならではのコメント。水野婦人警官役の今泉は初舞台ということで「今、イチからお芝居を学んでいます。本当にやるしかないので、この期間でひと回りもふた回りも成長した姿を皆さんにお届けできたら」と笑顔をみせた。犯人・大山金太郎役の佐藤は「演出の岡村さんに僕の身を捧げて、どれだけこの役を演じられるかというところが勝負になってくるかなと思います」と意気込み、2年連続で熊田留吉刑事役を演じる石田は「イチから見直して、さらに上の熊田留吉を演じていきたい」と語りつつ「途中で脱線部分のコメディがあるのですが、そこは完全に僕作になります。そちらも楽しみにしていただけたら!」と新たな演出に意気込んだ。公演は3月28日(木)から31日(日)まで大阪・COOL JAPAN PARK OSAKA TTホール、4月5日(金)から21日(日)まで東京・紀伊國屋ホールにて上演。東京公演は追加公演も決定した。取材・文:中川實穗
2019年02月15日草なぎ剛(44)が、舞台「家族のはなし PART I」で主演を務めると2月14日に発表された。つかこうへいさん(享年62)演出による舞台「蒲田行進曲」以来19年ぶりに、小西真奈美(40)との共演を果たすという。5月4日から6月1日まで京都劇場で上演される同作のテーマは、“誰もが「笑って泣ける」、優しいコメディー”。各メディアによると2話制の同作で草なぎは、ある夫婦の飼い犬と広告会社プランナーの夫役という異色の2役を熱演。草なぎは「どのようなものになるか自分自身でもワクワクしています!小西さんと久々に一緒に舞台に立てることもとても楽しみ」と明かしているという。また小西も同日、自身のブログを更新。同作の上演を発表し「1999年初演、そして2000年再演の『蒲田行進曲』という、私の人生で2本目の舞台以来、なんと19年ぶりに、草なぎ剛さんとご一緒させていただく事になりました」と草なぎとの共演も報告。さらに当時の草なぎとの思い出を回想し、こう綴った。「あの頃、右も左もわからない私に対し、いつも笑顔で、“一緒にがんばろう。”と言ってくださった草なぎさん。また同じ舞台に立たせていただく日が来るなんて、嬉しさと緊張でいっぱいですが、本当に、心して、真摯に臨みたいと思っています」Twitterでは2人の共演を喜ぶ声が上がっている。《つよポン舞台 しかも小西真奈美さんと!蒲田行進曲以来19年ぶりって!嬉しすぎる》《「蒲田行進曲」でのつよぽんのヤス、小西さんの小夏ほど心臓を掴まれ、大号泣した舞台はありませんでした。ずっと「蒲田行進曲」を超えるものには巡り会えないと漠然と思ってた所の、まさかの共演に震えました!》《小西真奈美さんと蒲田行進曲以来19年ぶりにご一緒というのもとても感慨深いね。つかさん、よろこんでくださってるかなぁ》「蒲田行進曲」の演出を務めたつかさんは生前、草なぎについて“真実の天才”と絶賛していた。「つかさんは、草なぎさんのサポートのお陰で小西さんが女優として成長したとも語っていました。実際、当時ほとんど演技経験のなかった小西さんがこれ以降は数々の映画賞を受賞。近年は音楽劇にも挑戦するなど、演技の幅を広げています。そのきっかけとなった恩人が、草なぎさんだったということです。今回もどんな化学反応が生まれるか、期待の声が上がっています」(舞台関係者)
2019年02月14日昨年11月に人気アイドルグループ・欅坂46を卒業した今泉佑唯が、劇作家つかこうへいの代表作と言える舞台『熱海殺人事件』に出演することが分かった。今泉は本作で、女優として本格的な一歩を踏み出す。どんな思いなのか。今泉と、演出を手掛ける岡村俊一に話を聞いた。【チケット情報はこちら】『熱海殺人事件』は1973年に初演され、映画やドラマにもなった。つかが2010年に亡くなってからも、つか作品を数多く手掛ける岡村の演出で上演され続けている。今年で46年目となり、春の風物詩とも言える舞台だ。2019年版では、昨年に引き続き、木村伝兵衛部長刑事を味方良介、富山から来た刑事熊田留吉をNON STYLEの石田明が演じ、今泉は過去に内田有紀や黒木メイサらが演じてきたヒロインの婦人警官・水野朋子役に挑む。今泉は「アイドルを卒業したら、絶対に演技をやりたいと思っていたので、やっとはじめの一歩を踏み出せます。長年愛されてきた作品で、平成最後となる上演に出演させていただけることがとても嬉しいです」と出演を喜ぶ。「タイトルに『殺人事件』とあるので怖い舞台なのかなと想像してしまっていたのですが……実際の過去の舞台映像を見たら、踊りのシーンがあったり面白いシーンがあったりしました。稽古が今から楽しみです」と期待に胸を膨らませた。そんな今泉を、演出の岡村は「堂々としているし、気が強そうだから大丈夫でしょう」と評価する。毎年脚本を書き変えているという岡村は、舞台の構想について「時代に即した『熱海殺人事件』にしたい。そのために、現代のヒロイン・今泉が必要。彼女のファン必見の作品にしたいですね」と答えた。「ひとつのことに縛られずにどんな役でも演じられる女優さんになりたいです」と夢を語る今泉。「きっと私のことを知らない方がたくさん見に来てくださると思うので、この作品をきっかけに私自身のことを知っていただきたいです。今まで応援してくださっていたファンの方にもぜひ見ていただけたら嬉しいなぁと思います」と話した。「『熱海殺人事件』LAST GENERATION46」は3月28日(木)から31日(日)まで大阪・COOL JAPAN PARK OSAKA TTホール、4月5日(金)から18日(木)まで東京・紀伊國屋ホールにて。ぴあでは、2月6日(水)19:00より先着先行受付開始。文:五月女菜穂
2019年02月06日●経歴の似ている2人が、念願の共演1920年代に実際に起こった、凶悪な伝説的犯罪を土台とし全世界で上演、日本でも再演を重ねるミュージカル『スリル・ミー』。登場人物は「私」と「彼」の2人きり、ピアノ1台で繰り広げられるのは、明晰な頭脳を持った2人の青年が、完全犯罪が可能であることを証明するために幼い子供を誘拐して殺害したという陰惨な物語だ。2018年は、”私”成河&”彼”福士誠治、”私”松下洸平&”彼”柿澤勇人という2組がこの物語に挑む。ニーチェに心酔し、自分を「超人」だと思っている”彼”と、そんな"彼"を愛しく思い、犯罪に加担してしまう”私”。今回は、成河&福士ペアにインタビューし、作品の魅力に迫る。○骨太な印象を持っていた――今回お二人の組み合わせが発表された時は、すごく意外だったのですが、作品の話を受けた時にはどのような印象でしたか?福士:逆に、どんなコンビ、という印象でしたか? 「歌えるの?」「土くさいけど、大丈夫?」みたいな?(笑)――なんというか「すごそう」「演技力の殴り合い」といった印象が……。福士:いつも素でやってるんだけどなあ(笑)。成河:ちょっと、恥ずかしい印象で(笑)。まあでも、そう思っていただけるのは、光栄なことですね。福士:もう今回僕らは、歌わないですからね。トークライブって書いていなかったですか?成河:トークライブ(笑)。夫婦漫才スリル・ミーです。福士:冗談はさておき(笑)。挑戦的な作品だと思いました。ピアノ1台の2人芝居で、不安でもあったんですが、ここ最近は、自分の中で想像のつかない作品をやってみたい願望があったんです。30歳を超えて、また改めて恥をかきたいな、という気持ち。以前から、できないものに挑戦してきたので、今「できない」と思っていることをぶち壊さないと、と思って。だから、この未知な作品に「チャレンジします」とお返事しました。成河:役者にとって、やりがいのある作品だと思います。嘘がつけないというか、自分を試されるというのは、ありがたい機会です。――お互い、もともとはどのような印象を持たれていたんですか?成河:僕は舞台『俺節』の時の印象が、忘れられないんです。作品としてもすごく好きだったし、どんな人なのかな? と思いながら観ていました。福士:昭和の、土くさい話で。――福士さん、ギターを弾いてらっしゃいましたよね。成河:だから、今回もギターでオファーが来ているんですけど(笑)。福士:今までの『スリル・ミー』を全部覆します(笑)。成河:みんなね、チラシを信じすぎなの! どうなるかわからないから!福士:たまにはいいかも(笑)。でも、『俺節』はすごく苦労したから、褒めてもらえるのは嬉しいですね。僕は、『100万回生きたねこ』を観させてもらった時が最初だったのかな? 動けるし、セリフの届き方や表現力も別格で、骨太な人だなと思っていました。観劇した後に、そのままみんなで飲みにも行ったんですよね。『髑髏城の七人』でも、同じシーズンではなかったけど、ニアミスだったので、「いつか作品で一緒になれたら」と思っていました。良い意味で怖いと思った男ですし、僕もそうなんですが、演劇畑を渡り歩いてきた感がありますよね。成河:それ、すごく感じた。福士:だから「2人でやります」ということが、嬉しかったです。僕、あんまり嫉妬はない。「怖いな」とは思うけど、「マジかよ」「俺が目立たないじゃん」とか、全くない。成河:超わかる!福士:舞台上で同じ役をやっているわけじゃないし、互いに全うして、「いい役だね」と言い合えたら最高ですね。●2人の演技論、そして「関西弁バージョン」の誕生?○"器"は関係性の中にしかない成河:やっぱ、二人芝居って関係性だから。この後、役柄についてお聞きになる予定かもしれないですけど!(笑)福士:嘘だ、聞かないよ! 僕らのこと、好きな食べ物から聞くと思うよ!(笑) ……で、役柄についてですかね?(笑)成河:当然くるだろ!――じゃあ役柄について……(笑) 登場人物は“私”と”彼”の2人しかいませんが、今の役を取っ払って、どちらをやってみたい、といった希望などはありますか?福士:”私”も楽しそうですよね。歌も大変、表現も難しいけれど、どちらの役でも役者冥利につきる。「面白い役だから楽しかった」という感想は絶対出るはず。僕はエキストラからやっていますから、物語を担う役をいただけて嬉しいし、どちらも面白いなと思います。成河:公演中に勝手に役を替えるから! 俺ら、バレないから!(笑)。福士:千秋楽の次の日あたりに勝手に小屋を押さえておこう(笑)。怖いけど、面白いね。成河:僕は、とにかく関係性だと思うんですよね。だから、どの役でもどんな関係性を作るのかが、大切だと思っているんです。でも、今日1日いて、福士くんと僕の間にあるものが、ひとかけら、わかったような気もします。言葉にはならないけど、そういうパーツがたくさん集まると楽しいと思います。福士:こうやって1日中取材を受けると、引き出しができたような気がする。まだ空っぽだけど、私と彼の間なのか、僕と成河くんの間なのか、「何かができた」というのはすごく感じられました。――少し、イメージできたということですか?成河:あ、そういう言い方したらダメですよ。今、福士くんが良い言い方したから。この2人の間に、入れるべき箱ができた、ということなんです。イメージは、まだ一個もない。福士:器、くらいだね。成河:前提にも達してないけど、そういう過程が、やっぱり役者の醍醐味なんです。福士:器ができて、1ピース埋まったから、千秋楽までに全部できる! ということでもない。成河:これは良い話ですよ、演技論の! 役者ってどうしても、自分の頭の中に器を作ってしまいがちだし、台本と接するようになってしまう。でも、本当はその器は2人の間にしかなくて、相手がいなければ成り立たないんです。2人の間の器の輪郭を考えて、「こんな形とこんな色をしているなら、だったらこれを入れようかな?」という作業があるんです。2人の間に器が見つかるのが、面白い。……すごいね、僕もたとえが大好きなんだけど、福士くんもバンバンたとえてくれる。栗山(民也)さんの前でたとえ合戦ですよ(笑)。福士:2人で一つの器がないといけないし、栗山さんとの器もなきゃいけないし、3人での器も、スリル・ミーというでかい器もあったり。そのエッセンスは、稽古という重要な期間で探っていきます。――成河さんは、『エリザベート』でも小池修一郎先生を質問攻めに……というお話でしたが、今回もどんどん聞いていく、という感じでしょうか。成河:僕は劇団出身で、延々と話し合いながらやっていた方なので、稽古場で演出家に何もきかないという習慣は、馴染みがないんです。今回も翻訳劇ですし、いろいろ聞かないと。だいたい翻訳劇は、翻訳した時点である種の解釈が入ってくるわけですし。福士:「そのニュアンスってありですか?」ということですよね。成河:語尾一つとっても「ないんですよ」「ないんだよ」「ないんだよね〜」……これでも英語では全部一緒で、日本語にした時点でニュアンスが生まれるから、そこを一行一行、やっていきたいです。自分にとって、なじみの良い言葉がありますし、そうやって2チームの雰囲気も変わっていくと思います。福士:これは、決まりましたね。我々は『スリル・ミー』大阪バージョンで。――関西弁ですか!?福士:「誘拐だ!」と言ったら、「おま、あかんでそれはほんま!」。成河:他言語ミュージカルだ(笑)。僕は韓国語も入れようかな。福士:「ナイフって、おま、なんでやねん!」テンポ感が変わっちゃう(笑)。成河:「はいどうも〜」って(笑)。まあでも、稽古場でも恥をかきながらやっていきたいよね。40歳になっても50歳になっても「生意気なこと言いやがって」と思われるような立場でいたい。福士:疑問を残しておくとあまり良くないことになるし。まあ、疑問のままにしておきたいところもありますけどね。「わからないで演じられるの?」と言われても、けっきょく人間だってわからないで生きてるから。成河:最近、そういう時にどういう風に返したらいいのかわかったよ! 「わかりたいから、やっているんです」。福士:じゃあ、「早くわかれよ」ってなるかもしれないけどね(笑)●『スリル・ミー』が人を惹きつける理由は?○緊張と緩和の構成――『スリル・ミー』は世界中で上演され、日本でも何度も再演されていますが、何がそこまで人を惹きつけるのだと思いますか?成河:逆に、気になるよね。「わかりたいから、やっているんです」(笑)福士:僕は音源を聴いて、すごく張り詰めた糸があると思いました。緊張感が途切れた瞬間に、初めて拍手ができる100分間。脳内を押さえつけて押さえつけて、最後に「アドレナリン出していいですよ」という構成に、「もう1回味わいたい」と思うのではないでしょうか。下世話なたとえだけど、ギャンブルみたいな感じ。成河:性的興奮みたいな。福士:でも確かに、言い方はいやらしいかもしれないけど、興奮や快感に近いものがある(笑)。ただ楽しかった、じゃなく、我慢と緩和があるからこそ、中毒性のある作品だと思います。だから内容も然りですけど、構成も優れているのだと思う。成河:考えてみるとそうだね、それがスリルなんだもんね。でも同時に、本当になんで人間はこんな陰惨なものを見たいんだろう? 「残酷で美しい」と言えば、簡単に額縁に入れられるんだけど、本来舞台というのは額縁に入れるものではないですし。この、ぶん殴られるような残酷さ。でも、この衝動が自分の中に潜んでいるかもしれない、ということが問われるのか。福士:問われますね。成河:どうすればその残酷さと向き合えるのか、を解決する方法論の一つが、昂揚して感情に訴える、ミュージカルなのかも。最終的には、自分と向き合う鏡でありたい、と思いますよね。福士:いや、怖い。アンチ・コンプライアンスですね。でも、こういう作品はこういう作品でないと。「子供から大人まで」という作品ではないと思ってやらないと、逆に失礼にあたると思います。成河:いろいろ、考える材料にもなると思いますから。福士:1年間ロングランをやったら、自分が病むと思う。もしかしたら公演中、口調や性格が少し変わってしまうかもしれないですね。○ミュージカル『スリル・ミー』キャスト:成河 福士誠治 / 松下洸平 柿澤勇人東京公演:2018年12月14日〜2019年1月14日(東京芸術劇場 シアターウエスト)大阪公演:2019年1月19日〜20日(サンケイホールブリーゼ)名古屋公演:2019年1月25日(名古屋市芸術創造センター)※東京公演(12/24、1/4、7、11)、大阪公演(1/19、20)ともに追加公演決定。抽選先行受付中。■成河(そんは)1981年3月26日生まれ、東京都出身。大学時代より演劇を始める。北区つかこうへい劇団等を経て、舞台『エンジェルス・イン・アメリカ』(04)、『ショーシャンクの空に』(13)、『100万回生きたねこ』(15)、『エリザベート』(16)、劇団☆新感線『髑髏城の七人』 Season花(17)、『人間風車』(17) 、一人芝居『フリーコミティッド』(18)等に出演する。ドラマ『マッサン』『下町ロケット』『絶対零度〜未然犯罪潜入捜査〜 』など映像作品参加も多数。2017年には『美女と野獣』吹き替え版ルミエール役も話題となった。■福士誠治1983年6月3日生まれ、神奈川県出身。近年の主な出演作品にドラマNHK木曜時代劇『まんまこと~麻之助裁定帳~』主演(15)、『社長室の冬‐巨大新聞社を獲る男‐』(17)、『平成細雪』『アンナチュラル』(18)、映画『シマウマ』(16)等。舞台には『スーパー歌舞伎II ワンピース』(15)、『修羅天魔~髑髏城の七人 Season極~』(18)等幅広く活躍する。現在、声優として2018年はテレビ東京アニメ『フォーカード』(主演声)が放送中、主演ドラマ『極道めし』、NHK土曜時代ドラマ『ぬけまいる~女三人伊勢参り』(10月27日~)放送、映画『いとしのアイリーン』(公開中)などに出演。また映画監督デビューも果たした。
2018年10月27日10月12日に公開された吉岡里帆(25)の主演映画『音量上げろタコ!なに歌ってんのか全然わかんねぇんだよ!!』の興行成績が振るわない。週末の興行収入ランキングでは1週目からまさかのトップ10圏外。公開前から阿部サダヲ(48)とともに各局のバラエティ番組に出演し、プロモーションは万全だった。それなのに”大コケ”となった原因は何なのか。映画を観たテレビ局関係者が言う。「吉岡さんが演じたのは、声が小さすぎるシンガー・ふうか。正直、またこの手のキャラか……と思いました。吉岡さんは最近のドラマでも“おかしな人に振り回される気弱キャラ”ばかり演じています。これでは飽きられても仕方ありません」吉岡は評価の高かった『カルテット』(TBS系)出演後、3作のドラマでヒロイン・主演を務めた。しかし、ドSな元カレから離れなれない挙動不審のOL・キョドコを演じた『きみが心に棲みついた』(日本テレビ系)など、どの作品も気弱すぎる役ばかり。視聴率も低迷した。そんな吉岡の現状を「あまりにもったいない」と語るのは、吉岡のアマチュア時代を知る京都の演劇関係者。「吉岡さんは水着グラビアと朝ドラで一気にブレイクする前、京都の小劇場で活動していたんです。吉岡さんは高校3年生のときに、同志社大学の学生劇団が上演したつかこうへい氏脚本の公演に感動して女優を志したと話していました」大学生になった吉岡は、何度か学生劇団の舞台に出演した。「演技はほかの学生の方が上手かったのですが、吉岡さんは圧倒的に“華”がありました。何より楽しそうに演じる様子がすごく輝いていたのを覚えています。プロデビュー後の吉岡さんが、ほとんど演劇に出演していないのが不思議でなりません」(前出・演劇関係者)前出のテレビ局関係者は「アングラ演劇で出直しをして、“気弱キャラ”から脱皮すべき」と力説する。「期待されるのは、吉岡さんが敬愛するつかこうへい氏の『幕末純情伝』への出演です。肉体を酷使し、圧倒的な熱量が要求されるつか作品。胸を揉みしだかれたり、舌を絡めたキスがあったりと過激なシーンも注目され、広末涼子さん(38)もこの作品で“清純派”のイメージを一変させました。最近でも松井玲奈さん(27)や北原里英さん(27)など、新境地を目指す若手女優の登竜門となっています」おとなしく見られがちな吉岡だが、つか作品への出演は長年の悲願のはず。主演映画の“大コケ”を機に、その夢が実現するか――。
2018年10月19日年齢の重ね方が上手で、その積み重ねてきた自分を大切にする姿が周囲にも愛される女優たちは、10月生まれが多い。“こんな大人になりたい!”と思わせてくれる、イマ旬の女性たちに注目した。石田ゆり子、“奇跡のアラフィフ”は最新映画でも健在!先日、フジテレビ系のトーク番組「ボクらの時代」に、女優・石田ゆり子と、元NHKアナウンサーで「あさイチ」のMCとしても知られ、現在はフリーとなった有働由美子、「八日目の蝉」「対岸の彼女」などで知られる直木賞作家・角田光代が出演、仕事と人生についてや更年期症状の心配などを赤裸々に語る“同世代”対談は視聴者の共感を呼んだ。同番組で「華麗に加齢したい」と語っていた、“奇跡のアラフィフ”と呼ばれる石田さんは、1969年生まれ、10月3日に49歳となる。現在、重要なキャラクターを演じている『コーヒーが冷めないうちに』が公開中だ。有村架純が主演を務める今作は、過去に戻れるとうわさの不思議な喫茶店「フニクリフニクラ」を舞台に、それぞれの事情を抱えた登場人物たちの人間模様をオムニバスで綴るハートフル・ファンタジー。監督は「アンナチュラル」「Nのために」など数々の人気ドラマを手掛け、今回初めて映画のメガホンをとった塚原あゆ子。石田さんは塚原監督とは「夜行観覧車」以来2度目のタッグとなり、喫茶店の過去に戻れる席にいつも座っている“謎の女”を演じている。ストーリーに関わるため詳しくは語れないが、純喫茶でひたすら読書をしながらコーヒーを飲んでいるだけで絵になる女優は、石田さんくらいだろう。加えて、そこはかとなく醸し出される温かみと包容力。石田さんに「あなたは大丈夫」と声を掛けられたなら、百人力で勇気がわいてきそう。1988年に俳優デビューし、「101回目のプロポーズ」などのドラマから、『北の零年』『サヨナライツカ』『悼む人』などの映画ほか、『平成狸合戦ぽんぽこ』や、2役の声を務めた『もののけ姫』、『コクリコ坂から』とスタジオジブリ作品では声優としても活躍。2016年にはドラマ「逃げるは恥だが役に立つ」で主人公(新垣結衣)の叔母であるキャリアウーマンを好演し、さらに人気を集めることとなった。「資生堂表情プロジェクト」や「Panasonicリフォーム」など、癒やしの微笑みを振りまくCMでもお馴染みだ。何かと反響を呼ぶインスタグラムは、2016年の誕生日からスタートさせた。先日は「SNSとどのような距離感で付き合って行くか、はこの時代に生きるほとんど全ての人たちの課題なのではないか」と投稿、その後も逝去した大先輩・樹木希林さんへの思いや、新しい子猫も加わった生活などについて、マイペースに投稿を続けている。その迎え入れた子猫たちとは、耳が折れ曲がっていないことから売り物にならない、と動物病院で保護されていた2匹のスコティッシュフォールド。こうした動物愛護への意識もまた、人気の秘密。2019年は、三谷幸喜監督と映画では初タッグとなる『記憶にございません』、そして、芥川賞作家・平野啓一郎の恋愛小説の映画化『マチネの終わりに』などが待機する。松嶋菜々子、“理想の芸能人ママ”がママさん弁護士に10月7日(日)に放送されるドラマスペシャル「誘拐法廷~セブンデイズ~」に主演する松嶋菜々子は、1973年生まれ、10月13日に45歳の誕生日を迎える。今年7月に発表された「イマドキのパパ・ママのくらしと子育てに関する調査2018」(メディケア生命調べ)では「理想の芸能人ママ」部門の1位に選ばれており、現在は2児の母。そんな松嶋さんが今回演じるのは、一人娘の親権をめぐって別居中の夫(杉本哲太)と対立している敏腕弁護士・天吹芽依子。ある日、最愛の娘を誘拐されてしまい、犯人から「殺人罪で起訴された被告人・国光瑛二(柄本時生)の無罪を勝ち取ること」という要求を出される。タイムリミットはわずか7日間。娘を奪還するため、弁護士としての“倫理”と母親としての“感情”の狭間に立たされる弁護士を熱演する。代役を立てることなく、炎に巻かれたり、水浸しになったり、さらには体を拘束される…といった壮絶シーンに真っ向から挑んだそうで、初共演の「関ジャニ∞」丸山隆平も舌を巻いたほど。松嶋さんは「日頃から体を動かしておいてよかったなって思いました。今回のように、全力でダッシュするシーンがある時のためにも日々ジムに通い、トレーニングをしている部分もあるので」と、コメントもさすが。被告人・国光のどこか怪しげな国選弁護人・宇津井としてバディとなる丸山さんが、「いろんな見方ができる“母の愛の物語”」と語っていたように、凜とした母の姿を見せてくれそうだ。1996年のNHK連続テレビ小説「ひまわり」や、98年の大ヒットドラマ「GTO」などで人気を得た彼女は、「やまとなでしこ」「魔女の条件」ほか、「救命病棟24時」ではシリーズの顔としても活躍。『リング』『らせん』といったジャパニーズホラーの名作にも出演した。2011年、驚異の高視聴率ドラマ「家政婦のミタ」でもその実力を見せつけた。「花より男子2(リターンズ)」の道明寺司(松本潤)の姉役でも知られ、夫の反町隆史が「花のち晴れ~花男 Next Season~」に出演していたことも記憶に新しい。近年では、スタジオジブリ『思い出のマーニー』の声優や、山崎豊子ドラマスペシャル「女の勲章」、不気味な“隣人”を演じた「砂の塔~知りすぎた隣人~」、「新参者」シリーズ完結編『祈りの幕が下りる時』など、仕事は年に1~2本程度と作品を絞り込んでいるものの、次々と新境地に挑んでいる。そして連続テレビ小説の記念すべき100作目、2019年4月スタートの「なつぞら」では、ヒロイン・なつ(広瀬すず)の養母・富士子役で“朝ドラ”に帰ってくる。永作博美、主演映画を機にカフェをプロデュースまた、おいしいコーヒーが飲みたくなる映画として名高い『さいはてにて~やさしい香りと待ちながら~』の永作博美は、1970年10月14日生まれ。年齢不詳の美肌っぷり、童顔&小顔美人として同性からの圧倒的支持を集める永作さんも、48歳になる。1989年、アイドルグループ「ribbon」のメンバーとしてデビュー。キュートなルックスで90年代前半に高い人気を誇ったが、「劇団☆新感線」の舞台に参加したことから女優業にシフトしていき、94年にドラマデビュー。黒沢清監督『ドッペルゲンガー』で映画デビューすると、NHK大河ドラマ「功名が辻」、『腑抜けども、悲しみの愛を見せろ』や『人のセックスを笑うな』などで演技派としての評価を得た。角田光代原作の『八日目の蝉』ではキネマ旬報ベスト・テン主演女優賞、毎日映画コンクール女優助演賞、日本アカデミー賞最優秀助演女優賞など映画賞を席巻。アニメ『ペット』で猫の声を務めたかと思えば、「世にも奇妙な物語」にも馴染みが深く、外見からは想像もつかない猟奇的な役柄や“魔性の女”がハマってしまうギャップが魅力。『さいはてにて』ですっかりコーヒーに魅了された永作さんは、2015年に、劇中に登場する焙煎珈琲店・ヨダカ珈琲をモチーフにしたカフェ「ヨダか」を自らプロデュースしてオープン。海辺の舟小屋とはまた趣が異なれど、喧噪から離れたカフェはメニューや内装・食器など細部へのこだわりに、永作さんの温かみを感じさせている。小西真奈美、40代“こにたん”はミュージシャンに!先月末に最終回を迎えた連続テレビ小説「半分、青い。」で、ヒロイン役の永野芽郁に「(同作)史上最強のビジュアルインパクト」といわれた“全部、緑。”の加藤恵子役を演じていた小西真奈美。“憧れの小顔美人”は、1978年生まれ、10月27日に40歳を迎える。40代で、こうした不思議系キャラができる女優は貴重かもしれない。90年代に「エリートモデルルック」日本代表となり、モデルとして活動していたが、「北区つかこうへい劇団」に入団し、98年に同氏演出の舞台「寝盗られ宗介」で女優デビュー。2001年、NHK連続テレビ小説「ちゅらさん」でヒロイン(国仲涼子)の恋敵となる女医を演じ、また、バラエティ番組「ココリコミラクルタイプ」へのレギュラー出演で全国的に知名度を上げる。初出演映画『阿弥陀堂だより』(02)で日本アカデミー賞やブルーリボン賞など新人賞を受賞。『のんちゃんのり弁』は毎日映画コンクールやヨコハマ映画祭、高崎映画祭で女優賞を獲得し、高く評価された。鉄拳のパラパラ漫画を映画化した『振り子』では第6回沖縄国際映画祭主演女優賞を受賞するなど、映画、テレビ、舞台と活躍。いまや、「ファブリーズ」CMのお母さんだ。さらに今年は、音楽活動を本格化させる様子。かつて、『Sweet Rain 死神の精度』の主題歌を役名・藤木一恵の名義でリリースしたことはあるが、昨年のインデューズEPに続き、10月24日(水)にメジャー1stアルバム「Here We Go」を発売。自身で全曲の作詞作曲を手掛け、サウンドプロデューサーにKREVAを迎えている。究極の癒やしヴォイスから繰り出される等身大のラップは、唯一無二の世界観。ミュージシャンとしての活動はもちろんのこと、2019年1月公開の山田孝之プロデュース、阿部進之介主演の『デイアンドナイト』にも期待が高まる。そのほか、佐々木蔵之介主演の大人のラブストーリー「黄昏流星群」で運命の女性を演じる元タカラジェンヌの黒木瞳(10月5日)や、伝説的月9ドラマ「ロングバケーション」のブルーレイ化やマライア・キャリーの主題歌で大ヒットした「29歳のクリスマス」の地上波放送(チバテレ)がスタートするなど、現在もコンスタントに話題を提供する山口智子(10月20日)らも10月生まれ。それぞれに確固とした立ち位置をつかんできた女性たちの生き様、そして仕事ぶりに、これからも注目していて。(text:Reiko Uehara)■関連作品:コーヒーが冷めないうちに 2018年9月21日より全国東宝系にて公開©2018 映画「コーヒーが冷めないうちに」製作委員会
2018年10月03日元「モーニング娘。」の小川麻琴(30)が8日、自身のツイッターを更新。自動車運転処罰法違反(過失傷害)と道交法違反(ひき逃げ、酒気帯び運転)の疑いで逮捕された同じモー娘。OGの吉澤ひとみ(33)容疑者について言及した。小川は2001年8月にモー娘。に加入し、自身が卒業する06年8月まで吉澤とともに活動。卒業時のグループのリーダーは吉澤だった。小川は吉澤について「本当にショックで、苦しくて、つらくて、悲しくて怒りの気持ちも込み上げる」と心境を吐露。そして「まずは何よりも事故にあわれた方が、大事に至らなくて本当に良かった…」と被害者を気遣った。「リーダーとして慕っていたこともあり、ショックや怒りが大きかったのでしょう。本来コメントがはばかられるところだが、モー娘。OGの中でいち早くコメントを出した。かつてのモー娘。は吉澤や加入時に金髪だった後藤真希らいわゆる“やんちゃ系”が多かったのですが、小川は優等生タイプでほかのメンバーにも気を遣うことができた」(音楽業界関係者)小川はグループを卒業後、「北区つかこうへい劇団」の門をたたき舞台出演をこなし演技力を磨いていた。今回のコメントの背景には、ストイックな性格もあったようだ。「舞台で動きのキレを出すために食事制限で体を絞っていました。自分にも厳しく、他人にも厳しい性格です。吉澤の件を受け、『自分が相談に乗ってあげれば……』と責めた部分もあったのかもしれません」(芸能記者)ほかのモー娘。OGは、吉澤についてどんな思いを抱いているのだろうか。
2018年09月08日松井玲奈(27)が8月4日、「劇場版 仮面ライダービルド Be The One」の初日舞台あいさつに出席。各スポーツ紙によると、元アイドルらしからぬ悪役を演じている松井は「悪役も楽しいと思ったので、悪女もできる女になりたいと思いました」と発言したという。15年8月にSKE48を卒業して以降、地道に女優として活躍し続ける松井。その甲斐もあり今年は月9ドラマ「海月姫」(フジテレビ系)だけでなく、秋には朝の連続テレビ小説「まんぷく」(NHK総合)にも出演が決定。その活躍ぶりに「元SKE48と知らなかった」といった声も上がるほどだ。16年12月、本誌は松井にインタビュー。そのなかで松井はアイドル時代を回想し、女優という夢を叶えるまでの葛藤を明かしている。「17歳くらいから第一線で活躍している女優さんもいますよね。私はすでにその時期を過ぎていたので、そろそろ外に向かっていかないとダメだなと。正直、焦りもありましたね」アイドルとしての活動が長かった分、年齢的な焦りがあったという松井。いっぽうで元アイドルという肩書きを活かせる場所があるとも気づいたようだ。それは舞台だ。「松井さんはアイドル時代に何度も経験しているからこそ、舞台に立つことに緊張しないんです。それこそが自分の強みと明かしていますね。事実、劇作家・鴻上尚史(60)さんも松井さんの堂々とした演技を高く評価。たびたび作品に起用しています。他にも海外の古典戯曲や、つかこうへいさん(享年62)の特別公演に出演。難役ばかりですが、見事に演じ切っています」(舞台関係者)その強みを生かして、今年はさらに飛躍しそうだ。
2018年08月06日脚本・池田純矢×演出・岡村俊一のオリジナル舞台「LADY OUT LAW!」が9月より上演される。主演の矢島舞美、味方良介、小野健斗に話を聞いた。【チケット情報はこちら】脚本は俳優でありながら作・演出としても活躍する池田の書き下ろし、演出はつかこうへい作品や舞台『あずみ』、少年隊ミュージカル『PLAYZONE』などを手掛けた岡村という、新たなタッグで生まれる本作。平和な宇宙ステーションに突如現れた半身が機械仕掛けの少女が、なぜ世界を破滅に導こうとするのかが描かれる。本作で主演を務める矢島は「すごく嬉しいです」と笑顔をみせ、「苦しくなるようなシーンもありますが、すごくいろんなことを考えさせられる作品で。もし自分が観たら“いろんなものを得られた”と嬉しさを感じるだろうなと思いました。皆さんにもそれをお届けしたいです」と意気込む。円形舞台を宇宙船に見立て、最新映像技術を駆使し、その中でハードなアクションを繰り広げる“映像宇宙アクション”。それについて味方は「未知ですよね。新しいものがつくれる予感がしているので楽しみです」と期待を寄せ、これまで3度タッグを組んでいる演出の岡村は「わからないところを逃さずに教えてくれる方です。それによって言葉(台詞)に嘘がなくなる。それは演劇をやるうえで大切なことだと思います」と印象を語る。小野が「味方と(鈴木)勝吾が出演して、純矢が脚本というのを聞いて、嬉しかったです」と言うように、小野・味方・鈴木・池田は以前ミュージカル『薄桜鬼』シリーズで共演したメンバー。そんな池田が手掛けた脚本に「池田純矢すげーな!と思いました。頭の中どうなってるんだ、と。面白かったです。普段の彼とかけ離れているので、池田純矢という人に興味が湧きましたね」と嬉しそうに語る。味方と小野は当時のお互いの印象について「(味方は)元気だな!と思ったんですけど(笑)、作品に対して想い、表現したいことに対してストイックなんですよ。それ、すごい尊敬しています」、「(小野は)器用さがすごいんですよ。なんでもすぐに覚えるし、芯も捉えているし。久しぶりの共演なので、僕も経験してきたものをぶつけたいです」アクションシーンも見どころだが、矢島は5年ぶりのアクション。「もともと身体を動かすのは好きなのですが、アクションは難しかった記憶がありますし、今回もしっかり体力をつけて挑みたいです。私が演じる役はカッコいい女性ですし、がんばります!」「観るたびに気付くことがある作品だと思うので、何度でも観ていただきたいです」(矢島)という本作は、9月14日(金)から24日(月・祝)まで東京・品川プリンスホテル クラブeXにて上演。チケットぴあでは7月29日(日)午後11時59分までプリセール先着先行を実施中。取材・文:中川實穗
2018年07月23日7月7~30日(9・17・23日は休演)に東京・新宿の紀伊國屋ホールで上演されるつかこうへい生誕70年特別公演『「新・幕末純情伝」FAKE NEWS』の制作発表と稽古場公開が10日、都内で行われ、主演の北原里英が、味方良介、小松準弥らとともに登場した。つかこうへい生誕70年年特別公演『「新・幕末純情伝」FAKE NEWS』の制作発表と稽古場公開に出席した北原里英同舞台は、戦後の演劇界で一時代を築いた劇作家・つかこうへいの代表作でもある『幕末純情伝』のリバイバル公演。つかこうへい生誕70年にあたる今年、命日でもある7月10日を挟み、つかこうへいの本拠地でもある紀伊國屋ホールで上演され、10代目の主人公・沖田総司役にAKB48グループを卒業したばかりのNGT48元キャプテン・北原里英が務める。稽古4日目となったこの日は、劇中の1シーンを報道陣の前で披露してから記者会見。本格的な舞台初めてとなる北原は「稽古自体初めてで何からやるのか分からないまま稽古場に入りましたが、皆さん優しいので甘えさせてもらっているし楽しいです」と共演者や演出の河毛俊作に感謝。殺陣も初めてとなるが、「一人で秘密の特訓を2日間やって皆さんと合流しました」と稽古4日目とは思えない殺陣を披露すると、相手役の味方良介から「素晴らしいですね。中々女性ではやらない体勢をされて、それが出来た時の格好良さがすごいですよ。これができるということは、この先が楽しみです」と絶賛される場面も。それに気を良くした北原は「そこを大きく書いてください(笑)」と報道陣におねだりしながら「河毛さんがハードエロティックな部分を出していきたいと仰っていたので、今までの『幕末純情伝』よりも一番抱きたいと思われる沖田総司になれるように頑張っていきたいです」と意欲を見せていた。北原がキャプテンを務めていたNGT48の荻野由佳が、6月16日に名古屋のナゴヤドームで開催されるイベント「AKB48 53rdシングル 世界選抜総選挙」の速報で1位に。「2年連続で速報1位は実力だと思います。去年はまぐれだとか言われましたが、今年は実力だと思うので、このまま1位を獲ってくれたらうれしいです」とかつての後輩に期待。続けて「個人的にはずっと一緒にやってきた宮崎美穂ちゃんや大家志津香ちゃんも久しぶりのランクインを見たいので、これから投票したいと思います」と語っていた。
2018年06月11日ニッポン放送の「オールナイトニッポン」50周年と、日本映画専門チャンネル開局20周年を記念した特別企画として、劇作家・つかこうへいさんの名作「ストリッパー物語」が、ラジオドラマとして新たに制作、放送されることが分かった。主演は、筧利夫と広末涼子が務める。■構想に5年! つかこうへいさんの名作をラジオドラマ化堕ちるところまで堕ちると決めたヒモとストリッパーの、一途な愛の物語を描く本作。つかさんに師事した羽原大介が脚色、そして「北の国から」の演出家にして日本映画放送代表取締役社長・杉田成道が演出を担当する。そして、ストリッパー・明美を演じるのは、女医役で出演した『ラブ×ドック』が公開中の広末涼子。明美のヒモ男・シゲには、主演作『第二警備隊』がもうすぐ公開を迎える筧利夫。そしてシゲの娘・美智子役には、話題作への出演が続き、現在、謎の女役で出演した『ラプラスの魔女』が公開中、杉田組へは今回初参加となる広瀬すず。また、笑福亭鶴光、馬場徹、菅田俊、津川雅彦が脇を固め、気鋭の講談師・神田松之丞は語りでドラマを盛り上げる。物語の舞台は昭和の末年。盛りを過ぎたストリッパー・明美(広末さん)と、その「ヒモ」に徹する男・シゲ(筧さん)は、全国のストリップ小屋を巡業する日々。その2人の前にある日、一人の女子高生・美智子(広瀬さん)が現れるが、それはシゲの実の娘だった…というあらすじ。広末さんのこれまでにない喘ぎ声や罵声、タップダンサーと息を合わせ収録した、広末さんと広瀬さんが演じたリアルなタップシーン。さらに、セリフを覚えて台本を持たずに、舞台さながらの緊張感で収録に臨んだという、筧さんと広末さんのクライマックスシーンなど、完成までに構想5年、本読み3日、収録5日!ラジオドラマでは考えられないスケールで制作された本作は聞きどころ満載だ。■筧&広末も「映像とは違うドキドキワクワク伝わる」と自信たっぷり!本作について「ラジオドラマとしては異例の制作期間(収録5日)を費やし、テレビドラマのように実際に芝居をしながら録る世界初の試み」と切り出した筧さん。「一人ひとり違う想像ができる作品」だと力説し、「是非みなさんに感想を聞いてみたいですね」と力強くコメントした。また同じく主演の広末さんは、「声の力はすごいです。映像とは違う、声だからこそのドキドキやワクワクがきっと伝わると思います。明美という女性の苦しくて切ない生涯に魂を込めて演じました」と演じきった様子。今回、初めてラジオドラマを演出した杉田氏も「聴く人が引き込まれる感情、熱量、芝居の息を伝えられたらと思っています。つかさんの底辺の純愛、一途な愛を表現したおもしろい作品になりました」と自信を見せている。■併せて見たい! 「ストリップ劇場物語」「つかこうへい映画祭」日本映画専門チャンネルでは、このラジオドラマのオンエアにあわせて、オリジナル特別番組「ストリップ劇場物語」を制作。筧さんと広末さん、杉田氏が出演し、日本最古で最大のストリップ劇場「浅草ロック座」の公演に情熱をかける人々を追った10日間の物語を、ドキュメンタリー形式で放送する。さらに、つかさんが今年、生誕70周年を迎えたことを記念して「つかこうへい映画祭(まつり)」と題して、7月、8月に代表作『蒲田行進曲』『二代目はクリスチャン』『幕末純情伝』『熱海殺人事件』など、つかさん原作の映画計7作品を特集放送する。ニッポン放送「オールナイトニッポン」50周年・日本映画専門チャンネル開局20周年特別企画 ラジオドラマ「ストリッパー物語」は6月11日(月)20時~ニッポン放送にてオンエア。オリジナル特別番組「ストリップ劇場物語」は6月1日(金)23時~日本映画専門チャンネルにて、10日(日)深夜1時~BSフジにて放送。(cinemacafe.net)
2018年05月25日女優の広末涼子と俳優の筧利夫が、6月11日放送のラジオドラマ『ストリッパー物語』(ニッポン放送/20:00~21:50)に出演する。本作はニッポン放送オールナイトニッポン50周年、日本映画専門チャンネル開局20周年を記念したものであり、故・つかこうへいさんの名作を『北の国から』シリーズの杉田成道氏が演出を手掛ける。筧と広末の他、広瀬すず、津川雅彦、笑福亭鶴光など豪華キャストが出演する。放送に先がけてこのほど、ニッポン放送・イマジンスタジオにて筧・広末・杉田氏が囲み取材に応じた。杉田氏が「『ストリッパー物語』は映像にするにはかなり際どい。広末さんはけっこう際どいシーンが(笑)」と話すと、広末も「10代ではできなかった」と笑顔を見せた。その言葉通り、ストリッパー明美役を体当たりで演じる。広末は「つかさんの稽古を思い出しました。20代前半の稽古では、本当に口にしたくない言葉をたくさん言わなければいけなくて、会社に何度できませんと言おうと思ったか、思い出しました(笑)。今回も、なかなかのセリフを電波を通じて言っているので、挑んでるなと思ってお芝居してます」とも明かした。収録では広末・筧・津川による3人のベッドシーンもあったとのことで、筧は「くんずほぐれつで喘ぎ声をあげ続けたました」と撮影を振り返る。ストリップが題材となっていることもあり、筧・広末・杉田氏は浅草ロック座を訪れたとのこと。筧が「最近のストリップはモダンで芸術っぽい感じで驚きましたね。だからいやらしくないですね。もう見なくていいんじゃないか、別にという気になりましたね(笑)」と感想を漏らすと、広末も「エンターテインメントになっていました。人生初のものを見させていただいたので、良い経験になりましたね」と話していた。また『ストリッパー物語』は、ラジオドラマとしては異例となる5日間、収録が行われた。そしてラジオドラマではあるが、マイクの目の前でただセリフを言うだけでなく、役者は普段の芝居の通りに体を動かし、ガンマイクで声を拾うという杉田氏ならではの演出に、筧は「たぶんこれは世界初のやり方なのでは。聞いたときの感触がだいぶ違うと思います」と期待をのぞかせる。筧は今作について、「こんな豪華なラジオドラマがあっていいものかと。この録音期間、リハーサル期間、キャストの豪華さはとてもすばらしいので、これを出発点にしてしまうと、次にやる人のハードルが高くなってしまいますね」と語り、広末も「みなさんが想像するラジオドラマのテンポ感や熱量とはまったく違うお芝居になっていると思います」と見どころを語った。
2018年05月25日7月に舞台「新・幕末純情伝」FAKE NEWSが上演される。「新・幕末純情伝」は“新撰組の沖田総司が実は女だった”という、つかこうへいのユニークな着想のもと、1989年の初演以来上演され続ける人気作。今回は、つかの生誕70年を記念し、縁の深い紀伊國屋ホールにて上演。命日である7月10日(火)には特別公演も行われる。演出は河毛俊作。広末涼子や石原さとみ、昨年と一昨年には松井玲奈と、錚々たる顔ぶれが演じてきた主人公・沖田総司役に抜擢された北原里英に話を聞いた。4月18日に卒業公演を行ったばかりの元NGT48キャプテン・北原。初の本格舞台出演、そして舞台初主演への挑戦は「今まではAKB48グループが好きな方の前に立つことが多かったので、この舞台で私のことを全く知らない方、舞台が好きな方の目に触れると思うと、やはり緊張はあります」と明かしつつ、「もともとお芝居がしたくてこの世界に入ってきたので、こうやって舞台に挑戦できることが嬉しいです。もちろん不安もありますが、やはり嬉しさのほうが大きい」と笑顔。その作品が「新・幕末純情伝」であることは「最近では(同じAKB48グループ卒業生の)松井玲奈ちゃんが出演していましたし、たくさんの女優さんが出演してこられた作品なので、こういうインタビューでも“負けたくないですか?”とか聞かれるのかなと思っているのですが(笑)、それより自分にしかできない『新・幕末純情伝』ができればいいなと思っています。もちろん今まで続いてきたものも大切にしつつですが、作品ファンの方にも“また違うよさがある”と思ってもらえるように挑戦していきたいです」。ビジュアル撮影では「儚く、強く」をイメージしたといい、「どこか儚さ、切なさもある物語だと感じているので、自分もその世界に入り込んでいけたら」と北原。男として育てられた女性・沖田総司を演じることについては「今までは女性として、特にかわいく生きなければいけない仕事だったので、まず、男として育てられた沖田総司を舞台上で生きられることがすごく楽しみです。難しい感情の多い役なので、本番が始まってからお客さんに気付かされる部分も多いだろうなとも思っています」。共通点は「全然ない」と笑い、「まず何かを背負って生きてきてない。明るく幸せに生きてきたので(笑)。そこは全然違いますよね。ただ、お芝居で別人の人生を歩むのはすごく楽しいです」。北原の初挑戦、どのような姿が観られるのか期待したい。公演は7月7日(土)から30日(月)まで東京・紀伊国屋ホールにて。取材・文:中川實穗
2018年05月09日安藤サクラ(32)がヒロインをつとめる、10月1日スタートのNHK連続テレビ小説「まんぷく」。その主要キャストが発表された。 高度成長期の大阪を舞台に、日清食品創業者でインスタントラーメンなどを開発した安藤百福(長谷川博己)・仁子(安藤)夫妻がモデルの同作。 新たに発表されたのは福子の姉・克子を松下奈緒(33)、克子の姉で三姉妹の長女・咲を内田有紀(42)が演じるというものだ。 今回、内田は朝ドラ初出演。近年は出演作「ドクターX」シリーズ(テレビ朝日系)や「偽装の夫婦」(日本テレビ系)、「ナオミとカナコ」(日本テレビ系)などでことごとくその演技が高く評価されている。 だが脇役での活躍が目立つようになったのは、ここ最近のことだった。 「92年にデビュー後、そのボーイッシュな美貌で男性のみならず女性にも人気になりました。当時それほど売れているアイドルがいたわけではなかったので、歌手活動もしていた内田さんはアイドル顔負けの人気者に。続々と主演・ヒロインのドラマのオファーが舞い込む売れっ子になりました。しかし現状に満足せずに“修業”で自身を追い込み、演技をとことん追及。今や女優陣では貴重なバイプレイヤーに成長したのです」(テレビ局関係者) 内田が“修業”に選んだのは、すでに天国に旅だったあの大物演出家の劇団だった。 「00年の年明けに『演技の勉強をやり直したい』とつかこうへいさんが主宰する『北区つかこうへい劇団』の門をたたき、歌手業を休業。活動の場をテレビドラマ・映画から舞台へと移しました。そこでつかさんに演技を鍛えられたことで、女優として大きく成長。つかさんから学んだものを“武器”に、息の長い女優になりそうです」(芸能記者) つかさんは10年7月に永眠したが、天国で内田の活躍ぶりを喜んでいることだろう。
2018年03月26日『熱海殺人事件 CROSS OVER 45』が、2月17日に東京・紀伊國屋ホールで開幕。それに先駆け、公開ゲネプロと囲み取材が行われ、味方良介、木﨑ゆりあ、α-X’sの敦貴と匠海、NON STYLEの石田明が登壇した。【チケット情報はこちら】つかこうへいが1973年に文学座に書き下ろした代表作「熱海殺人事件」。その45周年上演となる本作は、演出を岡村俊一が手掛け、昨年はじめて木村伝兵衛部長刑事を演じた味方が引き続き同役を務めるほか、水野朋子婦人警官を木崎ゆりあ、犯人・大山金太郎をWキャストで敦貴と匠海(公開ゲネプロには匠海が出演)、富山から来た田舎の刑事・熊田留吉を石田という布陣で上演される。囲み取材で、味方は「45周年ということでかなり気合いが入っているとともに、稽古を通して、このメンツなら絶対に勝てるという確信があります。ぜひたくさんの人に観てもらい、『「熱海殺人事件」ってすげーな』『演劇っていいな』と思ってもらえるように精一杯やっていきます」と熱くコメント。木崎は「この作品に出会えてよかったと心から思っています。観に来てくださる方にもそう思ってもらえるように、しっかり届けられたら」と笑顔。Wキャストで出演する敦貴は「歴史ある作品に貢献できるよう全力でがんばります!」、匠海は「僕にしかできない大山金太郎をやろうと思っています!」と共に緊張を漂わせる。石田は「この中で私はダントツ年上で踏んできた場数も違うので、羽生(結弦)くんばりのノーミスで届けたいです。そのくらいの気持ちでみんなを引っ張っていけたら!」とキャスト達を笑わせる。稽古を振り返り、木崎が長台詞への苦労を明かすと、味方は「稽古開始当初は正直、『これ完成するのかな』と思ってましたけど、長台詞をきちんと使いこなして、意味を捉えながら発するパワーを感じて。稽古って裏切らないんだなと学びました」と語り、石田も「ここ1か月は(稽古後も)ずっと舞台の話をしていた。それがちゃんとカタチになってる」と自信をのぞかせた。公開ゲネプロでは、取材でも「これだけまっすぐな目をして台詞を言えるこの力は、なかなか見られない」(味方)、「『熱海殺人事件』の一番きれいなところを表現してるんじゃないか」(石田)と語られたように、若い木崎と匠海が全身全霊の体当たりで熱演。味方と石田の深く熱い芝居と絡み合い、このメンバーだからこそ浮かび上がる戯曲の魅力を見せつけた。「50年、100年とこの作品が続いていくように、僕らがつかさん、岡村さんの想いを背負って、最後の最後までたくさんの人に愛を届けられたら」(味方)という本作は、3月5日(月)まで東京・紀伊國屋ホールにて上演中。取材・文:中川實穗
2018年02月19日舞台『熱海殺人事件 CROSS OVER 45』の公開ゲネプロが、東京・紀伊国屋ホールで行われ、味方良介、木﨑ゆりあ、敦貴(α-X’s)、匠海(α-X’s)、石田明が取材に応じた。同作は故・つかこうへいさんにより1973年に発表された戯曲で、2018年で45周年となる。3人の刑事が、熱海で起こった女工殺しの犯人を前に、理想の事件に仕立てるよう迫る。昨年、歴代最年少で主演を務めた味方は「この面子なら絶対に勝てるという確信があります。『熱海殺人事件』ってすごいな、演劇っていいなと思ってもらえるように頑張ります」と意気込みを語った。AKB48卒業後、初舞台となった木﨑は「すごい緊張してるんですけど、この作品に出会えてよかったなと心から思っているので、観に来てくれる方にも作品に出会えてよかったと思ってもらえるように、しっかり演技を届けたい」と語る。Wキャストでゲネプロには出演しない敦貴も「(出演しないのに)すごく緊張してます。本番もこの歴史のある作品に貢献できるように」と心境を吐露し、匠海は「とても緊張しておるんですけど、大山金太郎という役が19歳という年齢で、僕にしかできない大山金太郎をやろうと思っているので、ぜひ頑張ります」と意気込んだ。石田は「羽生くんばりのノーミスで届けたいと思います」と、平昌オリンピックで活躍する羽生結弦選手の名前を出し、「全員が羽生くんになったつもりで。羽生まみれでお届けしたいと思います」と周囲を笑わせた。また木﨑は注目選手を聞かれると「たか、たか……高梨(沙羅)さん。すごくメイクがお上手ですよね。髪の毛の色も変わって」と意外なポイントに注目。「飛ぶのもすごい勢いで飛ぶので、かっこいいです」と答え、石田から「オリンピックの話聞かれて、メイクで返すって!」とつっこまれていた。石田は若いメンバーについて「本当にバカなんですよ。最初、『熱海がどこにあるかわかるか?』と聞いたら、こいつら全員『長崎』って言いました」と苦笑。木﨑は「漢字が読めないのが大変でした。いろんな方に教えてもらいながら。人との関係性って大事だなって」と苦労を明かした。
2018年02月16日KAAT神奈川芸術劇場と世田谷パブリックシアターの共同制作作品となる舞台『バリーターク』の製作発表記者会見が7日、KAAT神奈川芸術劇場で行われ、主演の草なぎ剛、松尾 諭、小林勝也をはじめ、KAAT芸術監督・演出の白井晃が出席。実に3年ぶりに板を踏むことになる草なぎは「舞台に立つことはいつも怖い」と身を引きしめ同記者会見に参加した。草なぎ剛『バリーターク』は、映画『ONCE ダブリンの街角で』などで知られるアイルランド出身の作家・戯曲家エンダ・ウォルシュによるストレートプレイで、日本では初演。ある部屋で日常生活を繰り返し、バリータークという村の話を語り続けるふたりの男たちと、その奇妙なふたりの生活に影響を与える第3の男たちのドラマを、草なぎ、松尾、小林の布陣で描く。ジャニーズ事務所から独立後、初舞台で初主演となる草なぎは「僕自身、久しぶりの舞台となります。今回、新しい自分を表現して発見する、自分の成長につながるかもしれません。未知なる自分を追い求めて、今回の舞台に立ちたいと思います」と意気込みを静かに熱く語った。物語については「脚本は難しかったけれど、普遍的な生や死が描かれていると思いました。自分がやったことないようなタイプの芝居、感覚にとらわれたので、とても興味が尽きない内容だなと思いました」と説明した。そして、松尾とふたりで遠くを見つめて座っている本作の印象的なポスターの撮影を振り返り、「その時すでに白井さんが目の前にいて、そこから演出が始まっていると思いました。遠い目線で、もしかしたらこの世にいないところで座っているかもしれないなど、いろいろと試行錯誤しました。やっている僕自身はさっぱりでしたが、もしかしたら役作りが始まったいたのかもしれない。いろいろな意味があり、そこが面白いところ。あの衣装を選んだ時から舞台稽古は始まっていたと思います」と述懐した。また、白井演出の舞台では『No.9―不滅の旋律―』で稲垣吾郎が天才音楽家として主演を2年前に務めており、「稲垣君の舞台も素晴らしかったので、あとでアドバイスをもらおうと思っています」と告白。日頃、ふたりで舞台の話をすることも多いそうで、「昔、つかこうへいさんの舞台に出させていただいた時にいろいろとほめていただいて、皆さんが注目していただけるきっかけになりました。稲垣君もつかさんのお芝居を経験していて、だから僕らは舞台の話をすることが多いんです。稲垣君はすごくほめてくれるので、それを励みに頑張りたいです」とお互いの関係を説明。ところが、「稲垣君は、たぶん僕がこの舞台に出ることをまだ知らないので、後でツイートするのでそれで知ると思います」と笑いを誘っていた。『バリーターク』は、KAAT芸術監督・演出を務める白井にとっては2018年最初の演出作品でもあり、白井は「今回最初に頭の中にイメージした、理想のキャストが実現しました。我々はなぜ生きているのか、生まれた生はどこにいくのか。滑稽でもあり、詩情あふれる作品になると思っています」と初演に向けての熱い想いを吐露。なお、登壇の予定だった世田谷パブリックシアター芸術監督の野村萬斎は、体調不良で同会見を欠席した。
2018年02月07日舞台『熱海殺人事件 CROSS OVER 45』が2月17日(土)、東京・紀伊國屋ホールで開幕する。舞台「熱海殺人事件」CROSS OVER 45」チケット情報つかこうへいの代表作『熱海殺人事件』の45周年を記念した本作は、演出を岡村俊一が手掛け、木村伝兵衛部長刑事を味方良介、水野朋子婦人警官を木崎ゆりあ、犯人・大山金太郎をWキャストでα-X’sの敦貴と匠海、富山から来た新任の刑事・熊田留吉を石田明(NON STYLE)という布陣で上演される。昨年に引き続き、木村伝兵衛を演じる味方に話を聞いた。「今年はより木村伝兵衛という役の重さを感じています」と語る味方。「去年はどこかがむしゃらな部分もあって、『俺が木村伝兵衛をやるんだ』という気持ちが前に出ていたし、『若さで勝負するんだ』という気持ちがあったけど、今年はそれが取り払われて。もっとこの役と向き合っていかなければ、もっと本質で向き合っていかなければ、『熱海殺人事件』という本を僕が理解して、全部を回していかなければって。そう考えると、これほど大変なことはないなと感じますね」と、昨年初めて木村伝兵衛を演じ、その中でただひとり、続投で出演する意味や役割を全身全霊で受け止める。石田や木崎、敦貴、匠海との共演には「異種格闘技戦」的な魅力を感じているという。「まず自分の部下役に石田さんがいるって、これほど怖いことはないです。圧倒的な芝居スキル、心を持ってる人なので。稽古してても泣かされそうになるんですよ。伝兵衛なのに、やばいやばい負ける負ける、みたいな。強力な仲間だけど一番のライバルです。ゆりあちゃんやα-X’sのふたりには、稽古場で『あ、新しい空気が入ってきた』と感じています。初舞台だったりもするので、純粋な部分がやっぱりあって。役者ってどうしても計算でやる部分があるんだけど、そうじゃない生のもの、わからずにやってるからこそ出てくるものがあるんですよね。それに心が動かされる瞬間があります。このカンパニーの新たな『熱海殺人事件』ができると思います」この作品には表面上の物語とその奥にある想いという構造があるが、観るうえで準備は必要か聞いてみると「もちろん本質を知って欲しいという気持ちもあるけども、でも『なんかすげーもん観たな』と思って欲しいんですよね。『すげーことやってんな』『自分たちにはできないな』と思ってもらえればもらえるほど、僕は嬉しい。だから前情報なしでいいと思います。その中で気になったらもう1回足を運んでもらって、誰かひとりだけを観てみたり、人間模様を観察してもらうとまた楽しめると思う。無理に話を理解しよう理解しようと思って観ると、置いてかれちゃいますから!」。公演は2月17日(土)から3月5日(月)まで東京・紀伊國屋ホールにて。取材・文:中川實穗
2018年02月05日つかこうへいの代表作として上演され続けてきた「熱海殺人事件」の45周年公演『熱海殺人事件 CROSS OVER 45』が2月17日(土)に開幕する。その公開稽古と囲み取材が行われた。舞台『熱海殺人事件 CROSS OVER 45』チケット情報つかこうへいが1973年に文学座に書き下ろし、以降、東京・紀伊國屋ホールを拠点に“春の風物詩”と呼ばれるほど再演を重ねられてきた「熱海殺人事件」。2010年につかが亡くなった後も“つかこうへい復活祭”として紀伊國屋ホールで上演され続ける作品だ。今年はその45周年を記念し“CROSS OVER 45”と銘打ち、演出を岡村俊一、木村伝兵衛部長刑事を味方良介、水野朋子婦人警官を木崎ゆりあ、犯人・大山金太郎をWキャストでα-X’sの敦貴と匠海、富山から来た刑事・熊田留吉を石田明(NON STYLE)というメンバーでつくりあげる。公開稽古では、稽古が白熱しすぎてボロボロ(!)という服装で登場したキャスト陣が冒頭から15分ほどのシーンを披露。木崎は大人の恋心を秘めた婦人警官を体当たりで演じ、石田は未熟な若手刑事を笑いも織り交ぜながら繊細につくりあげ、Wキャストで(公開稽古では途中交代で出演)恋人殺しの犯人を演じた敦貴と匠海は圧倒的な透明感で新たな大山像をみせた。そして昨年、馬場徹と並び史上最年少の24歳で木村伝兵衛を演じた味方は、より圧倒的な存在として場の空気を動かし、“CROSS OVER 45”ならではの『熱海殺人事件』をみせつけた。稽古後の囲み取材では、味方が「新たなメンバーと、45年間の想いを背負いながら僕らの『熱海殺人事件』をつくれたら」、石田は「ひとり、お笑いですけど、この歴史のある作品の名を汚さないようにがんばりたいです」、木﨑は「AKB48を卒業して初の仕事がこの舞台でよかったなとすごく思っています。心強い先輩方もいらっしゃいますし、自分もがんばらなきゃと思うような後輩たち(敦貴・匠海)もいるので。やりがいがあって楽しいです」と笑顔。敦貴は「同じグループのメンバーとWキャストで演じることができて幸せですし、ライバル心を強く持って取り組みたい」、匠海は「僕にとって初舞台ですが、敦貴には負けたくないので精一杯がんばります!」と意気込む。石田が「この舞台は変な人しか無理ですから。ひと癖もふた癖もないと台本に食われちゃう!」と話す本作。コメディタッチな演出に質問が及ぶと味方が「実はその裏に何があるのか、僕らの台詞の裏に何があるのか、ということに気づくと、メッセージがすごく詰まっていて。表だけで探っていくと見つからない部分、この人はなんでこんなこと言うんだろう、こんなことやっているんだろうっていう部分がある」と解説する場面も見られた。公演は2月17日(土)から3月5日(月)まで東京・紀伊國屋ホールにて。撮影・取材・文:中川實穗
2018年02月01日2018年も『熱海殺人事件』が東京・紀伊國屋ホールで上演される。婦人警官・水野朋子を演じる木崎ゆりあと、演出を手掛ける岡村俊一に話を聞いた。舞台「熱海殺人事件」CROSS OVER 45チケット情報“春の風物詩”と呼ばれるほど紀伊國屋ホールで上演されてきた『熱海殺人事件』。1973年に初演、映画化、ドラマ化もされたつかこうへいの代表作で、2010年につかが亡くなってからも、つか作品を数多く手がける岡村俊一の演出で同劇場で上演され続けている。その2018年版は、木村伝兵衛部長刑事を昨年に引き続き味方良介、水野朋子婦人警官を木崎ゆりあ、犯人・大山金太郎をWキャストでα-X’sの敦貴と匠海、富山から来た刑事・熊田留吉に石田明(NON STYLE)で上演する。木崎はこの9月にSKE48・AKB48を卒業したばかり。女優としてやっていきたいという木崎の、卒業後初の演技仕事となる。「今はビックリというのが一番簡単で分かりやすい気持ちです。『熱海殺人事件』は有名な作品ですし、4人芝居のうちのひとりとして演じるというのも驚きました。早口大丈夫かなとか(笑)、不安なことはいっぱいありますが、その何倍も楽しみ。これ以上ないくらいありがたいです」。そんな木崎を岡村は「AKB48時代からパンチ力がある役柄をやってのけることができる勢いや思い切りの良さがある。今回は傷だらけのゆりあを(笑)、演じてもらおうと思っています」。木崎が演じるのは水野朋子婦人警官役。これまでもさまざまな女優に演じられてきた役柄だが、岡村は「水野朋子はすごいパワハラとセクハラにあう役なので、それに生の反応で返せばいい演技になっていく。俳優というのは『こういうことが起きたときにあなたはどうしますか』と問われ続ける職業だと思うので。だから頭で考えて『こんな役にしようと思ってる』では通用しない。特につかこうへい流の作品は。追い込まれている姿を見せるというような、そういう芝居になると思います」。その中でも木崎は「攻撃陣3人を受け止めて返す側。そのときどきできちんと二塁打を打ったりバントをしなきゃいけない」(岡村)と4人芝居ならではの苦労もありそうだが、木崎自身は「舞台経験がほぼないに等しいので、それでこの極限まで持ってかれる舞台に参加するのが楽しみです!」と頼もしい。岡村の演出作品には、『あずみ』の川栄李奈、『新・幕末純情伝』の松井玲奈と元メンバーが出演しているが「川栄にも松井玲奈ちゃんにも負けたくない気持ちがあります。稽古で『川栄はもっとできたぞ』『松井はもっと動けたぞ』と言われたら悔しいし。超えていきたいですね」公演は2018年2月17日(土)から3月5日(月)まで東京・紀伊國屋ホールにて。取材・文:中川實穗
2017年12月27日芳根京子が主演を務める冬の月9ドラマ「海月姫(くらげひめ)」。このたび、自らを“尼~ず”と名乗るオタク女子たちに木南晴夏、松井玲奈、内田理央、富山えり子が決定!4人が演じる、ギャップが激しすぎる“尼~ず”の劇中姿も初公開された。累計発行部数440万部超えを誇る、大ヒット同名コミックが原作のシンデレラ・コメディー”となる本作。クラゲを愛しすぎてしまった筋金入りの“クラゲオタク女子”(芳根京子)が、ある日、女装美男子(瀬戸康史)と童貞エリート(工藤阿須加)の凸凹兄弟に出会い、なんとも複雑でややこしい三角関係に突入、やがて自分には一生縁がないと思っていた恋を知り、新しい自分を見つけていくという物語。そんな本作で、芳根さん演じる月海と共に男子禁制アパート「天水館」で暮らすのが、自らを“尼~ず”と呼ぶオタク女子4人グループ。そのオタクっぷりは、一見ギャップが激しすぎるが、実は世の女子たちがクスッとしながら共感できる部分を数多く持っている。枯れ専“ジジ様” …木南晴夏「ほぼ存在感を消すことに徹底」枯れたオジサマ好き、いわゆる枯れ専の“ジジ様”役には、フジテレビ系連続ドラマには「昼顔~平日午後3時の恋人たち~」「貴族探偵」など話題作で熱演を見せ、帯ドラマ第3弾「越路吹雪物語」(テレビ朝日系)にも出演する実力派女優の木南晴夏。「漫画の大ファンだったので、このドラマに参加できることがとても嬉しい」と木南さん。「とにかく影が薄い役なので、ほぼ存在感を消すことに徹底しています。あとは立ち姿だったり、見た目を少しでも原作に忠実に再現したいと思っています」と意気込み十分。鉄道オタク “ばんばさん”…松井玲奈「鉄道好きは、素の自分との共通点」鉄道オタク “ばんばさん”を演じるのは、月9ドラマ初出演となる元「SKE48」の松井玲奈。15年に同グループ卒業後は、舞台『つかこうへい七回忌特別公演「新・幕末純情伝」』で主演を務め、鴻上尚史、串田和美といった演出家の作品に出演するほか、映画『笑う招き猫』など精力的に女優活動を見せている。松井さんも、もともと原作ファンだそうで「尼~ずとして参加できること、そしてばんばさんという出会ったことのないタイプの役をいただけてガッツポーズが出ました!」と語る。「原作のばんばさんは小さいのですが、背の高い“まやや”と一緒にいることが多いので、2人の身長差を感じてもらえるように、できるだけ丸まっているよう意識しています。鉄道好きという部分では、素の自分との共通点がありますが、それだけではない、ばんばさんの心の世界を寡黙なお芝居の中で出せるようにしたいと思います」と役作りに言及する。三国志オタク“まやや”…内田理央、母&親友から「ぴったりじゃん!」上下ジャージ姿で顔半分が隠れるほどの前髪がトレードマークの三国志オタク“まやや”には、同じく月9ドラマ初出演となるモデルで女優の内田理央。「びっくりしました!まややは尼~ずの中でも切れ長の目で背が高く、とにかくキャラクターが激しいイメージなので、なぜ自分に…と。でも母と親友に話したら『ぴったりじゃん!いつもそんな感じだよ』と言われました、笑」と激白。大のアニメ・漫画好きとしても知られており、「私も学生時代、このような上下ジャージ姿で一歩も外に出ず、家で漫画を読んでいたオタクの時期があったので、気持ちが分かります。その時代を思い出してがんばります!」と明かしている。和物オタク“千絵子”…富山えり子「普段から目に力を入れる練習を」!?さらに、常にメガネで和装姿の和物オタク・“千絵子”には、こちらも月9ドラマ初出演で、舞台経験豊富な女優の富山えり子。「ごめんね青春!」のオーディションに合格し初のTVドラマレギュラー出演を果足して以降、大河ドラマ「真田丸」、「スーパーサラリーマン佐江内氏」など活躍の場を広げている。富山さんは、「率直に非常に嬉しかったです。前から漫画を読んでいて“髪をまとめたら、ちょっと似ているかもしれない”と感じていたので…“この容姿で良かった!”と思いました」とコメント。「千絵子は目力があるし、特徴ある目で感情を表すことが多いので、いかに近づくか…普段から目に力を入れる練習をしています、笑」とも語る。この4人が繰り広げる、なんとも不思議なオタクの「絆」は、月海(芳根さん)が新しい自分を見つける上で、時にすてきな道しるべになっていく。フジテレビ編成部の渡辺恒也氏も、「原作の再現度とキャラクターのインパクト、そしてドラマならではの現実味、という3つの要素が絶妙に組み合わさった最高のキャスティングができたと自負しています!」と自信たっぷり。原作ファンもびっくりすること間違いなし!?の彼女たちの“尼~ず”なりきり度に注目していて。「海月姫」は2018年1月、毎週月曜21時よりフジテレビ系にて放送。(text:cinemacafe.net)
2017年12月18日2018年4月に上演されるミュージカル『リトル・ナイト・ミュージック』の製作発表会見が、東京・スウェーデン大使館で行われ、主演の大竹しのぶ、風間杜夫、蓮佛美沙子、ウエンツ瑛士が登壇した。ミュージカル『リトル・ナイト・ミュージック』チケット情報愛を求める男女が滑稽にすれ違い、愛し合う一夜が描かれるミュージカル・ラブ・コメディ。作詞・作曲はスティーブン・ソンドハイム、脚本はヒュー・ホイラーが手がけ、初演以来トニー賞7部門、グラミー賞2部門を受賞した。日本では19年ぶりの上演となり、演出はマリア・フリードマンが初来日して手掛ける。作品の魅力を伝えるため(!?)に、大竹&風間・蓮佛&ウエンツの2組でベッドに入り開かれた会見。とはいえ関係性は、風間演じるフレデリックと蓮佛演じるアンが年の差新婚夫婦、ウエンツ演じるヘンリックはフレデリックの息子ながら義母のアンに恋する青年、そして大竹演じる主人公・デジレはフレデリックのかつての恋人という複雑なもの。大竹は「なんだか奇妙なシチュエーション」と笑いつつ、「歌はもともと好きだったのですが、本格的なミュージカルはこの作品と同じソンドハイム(作詞・作曲)の『スウィーニー・トッド』で。一つひとつの音が重なりあって、台詞があって、歌があって、ミュージカルってなんて素晴らしいんだと思った作品です。それに今回、マリア・フリードマンさんという素晴らしい演出家の方が日本で初めて演出をしてくださる。歌と芝居が分かれるのではない、『これぞミュージカルだ』と思うものができたらいいなと思っています」と語った。初めてミュージカルに挑戦する風間は「恩師のつかこうへいに『日本で一番踊ってはいけない役者』だと言われ続けてきたので。今回、ミュージカルだけど踊るシーンはないということでお引き受けしました」と笑いを誘いつつ、「しのぶちゃんとは古い間柄なんですけど、舞台で共演するのは初めてで嬉しい」と笑顔を見せた。これが舞台初挑戦となる蓮佛は、今回の挑戦を「大竹しのぶさんといつかご一緒できたらと思っていました。お芝居をつくっていく過程を含めそばで見させていただける…それだけで『やりたい』と言いました」と明かした。ウエンツは自身の役柄について「おない年といえど義理の母親に恋をする役柄で。恋敵が自分の父親というところで苦悩する部分だったりとか、いろんなものを失うかもしれなくても手に入れたい愛が、どれだけ素晴らしいものかを表現できたら」と語った。大竹が「一生のうちで“忘れられない一夜”というのがあると思うんですけど、それを舞台の上で毎日できるのがすごく嬉しい」という公演は、2018年4月8日(日)から30日(月・祝)まで東京・日生劇場にて。チケット一般発売は12月9日(土)午前10時より。取材・文:中川實穗
2017年11月22日「出会う瞬間は突然。でも終わってみると必然だったんだなって毎回、思います」――。これは吉岡里帆が役柄との出会いについて語った言葉なのだが、ネコと暮らす多くの人が、「そうそう、ネコとの出会いもそういう感じ!」とうなずくのではないだろうか?以前から大のネコ好きを公言しており、いまでも実家に5匹のネコがいる、いまをときめく人気女優。これだけで彼女が映画『劇場版 岩合光昭の世界ネコ歩き コトラ家族と世界のいいコたち』のナレーションを務める理由として十分過ぎるのだが、それだけじゃない。冒頭の言葉を聞いて、改めて彼女にこのお役目が舞い降りてきたのは、必然なのだと納得する。動物写真家・岩合光昭が世界中の街角で、ネコ目線で撮影したネコたちを紹介するNHKの人気ドキュメンタリー番組「世界ネコ歩き」の劇場版。特に人気の高かった青森県津軽を舞台にした「津軽の四季」篇の“主人公”コトラと家族たちのその後を追いかける。ネコ好きというだけでなく、以前から岩合さんの作品のファンで「世界ネコ歩き」も見ていたという吉岡さん。今回のナレーションのオファーについて「特にあの番組はネコ目線で撮影されていて、野性的で臨場感がすごい!そういう映像を撮っている方とお仕事させてもらえるのが嬉しかったし、ネコ好きとしてはたまらないお話でした!」と満面の笑みを浮かべる。今回の劇場版では、「津軽の四季」篇で愛らしい姿を見せていた子ネコのコトラが新米ママとして子育てに奮闘する姿を中心に、その子どもたちの成長をも追いかける。吉岡さんはナレーションを入れながらその姿に心を鷲掴みにされたよう。「ナレーションを入れながら、これまで過ごしてきた時間をふり返っていたので、コトラの血を受け継いでいるリッキーが出てくると、コトラの小さい頃を思い出して、懐かしい気持ちになるんですよね。あぁ、コトラもこんな感じだった!って感情移入し過ぎちゃって(笑)。(妹の)ハナちゃんと仲睦まじい姿を見て、グッときましたね。コトラが遊んでいた樹の後ろでリッキーたちが遊んでいる様子が、同じ構図で描かれていて…」。吉岡さん自身、幼い頃から当たり前のようにネコに囲まれて生活してきた。いまでも京都の実家には5匹のネコがいるという。「4匹は、私が生まれる前からいたコの孫なんです。1匹は、処分されそうなコを引き取りました。5匹もいると、ケンカになったらすごいことになりますよ」と笑う。ネコの生態をよくわかっているからこそ、岩合さんが撮る映像のすごさがよくわかる。「岩合さんの撮るネコたちは人間に完全に飼われている毛並みのキレイなネコじゃなく、野生の動物写真家さんが撮るネコなんですよね。それが一番の魅力だと思います。ネコ本来の本能的なしぐさだったり、自分のナワバリを子どもたちに譲ったりという、飼いネコとの生活では見られない生態系まで映し出す。それは本当にすごいことだと思います」。映画では、番組で世界中を巡ってきた岩合さんのお気に入りの6か国のネコたちの姿が再編集され、未公開映像と共に愛くるしい姿がよみがえる。あくまで個人的な感想だが、インターネットやSNSで世界中の人々と繋がることが可能になった現代だが、岩合さんと各国のネコたちの巡りあいの多くは、まさに一期一会!カメラを手に世界を回る岩合さんがうらやましくなるが、個性豊かなネコたちとの出会いと別れの繰り返しを想像すると、切なさも胸をよぎる。女優もまた、出会いと別れを繰り返す仕事である。それは共演者やスタッフだけでなく、役柄もそう。朝ドラや大河ドラマ、愛され続けるシリーズが、この映画の「津軽の四季」篇のようなものだとすると、1クールもしくは1作ずつの映画などは、世界各国のネコたちのようなものだろうか。そんな話の中で、吉岡さんの口から出てきたのが、冒頭の「出会いは突然、終わってみると必然」という印象的な言葉だった。「撮影が終わった後に感じることや自分自身の成長、学んだことを踏まえて、次の作品に入るので『あの役があったから、この役が来たんだな』とか『あの作品であの役を生きたからこそ、いま、この役の痛みがわかるんだ』とか感じて、繋がってるなと思うんです。でも、それはいつも終わってからの話で、出会う瞬間は予期しなくて『こんな役を私に任せてくれるんだ!』という驚きがありますね」。役柄に対しては、どんな性格の役であれ必ず「一番の理解者」でいることを心がける。「『ゆとりですがなにか』でご一緒させていただいた水田伸生監督から『どんな悪女でも、どんなに性格の悪い子でも、あなただけはその役のことを好きでいなさい』と言われたんです。ちょっとエキセントリックな役をすることも多いんですけど(笑)、なぜその子がそうなるのか?肯定してあげられるその理由を大事に演じています。はたから見て、変わっていたり、弱さがあったりしても、その子にはそうなるバックボーンがある。それをきちんと自分が内に持つことで、そういうおかしなセリフや行いも、自然に理由をつけて演じられるんです」。話を聞いていると、緻密にロジカルに役柄を組み立てていくタイプにも思える。天然、ゆるふわ、魔性の女…そんな“本能的”な役柄を任されることも多いが…。いわゆる役作りは?「そこは結構、難しいところで、役柄や作品によりますね。きちんと理論を組み立ててあげなきゃ成立しない子もいるし、本能的に、感情をいっぱいいっぱいに乗せないと生きてこない子もいるんですよね」。間違いなく、いま、“ブレイク”と言われる、特別な喧騒の中にいる。「ブレイクされていかがですか?」と質問されることも多い。そんな状況にも浮つくことなく、冷静に足元を見つめているように見えるが、それはもともとの性格的なものなのか?それとも意識的にそうあろうとしているのか?「それも両方ありますが、やはり意識的にそうあろうとしている部分が大きいと思います。もちろん、お仕事が以前よりも増えたのは嬉しいですが、その反面、お仕事があるってことは、責任とリスク、お客さんに喜んでもらうためにしないといけない努力が、前よりも増えたってことでもある。とにかく日々、自分を前の日よりも成長させないといけない。いまの私と10年後の私で、作品への向き合い方は絶対に成長してないといけないって思いは、使命のように持っています。もちろん束の間でも、喜びに浸りたい気持ちはありますよ。でも、その一瞬で足元がぐらついたりしてはいけないし、お客さんに対して、ゆるみや淀みがあるべきではないと思ってます。だから自分で自分を律して、次の仕事が舞い込んでくる自分であるべきだなと思ってます」。そのストイックさにただ驚かされるが、以前は彼女も「褒められたらそのまま何も考えずに喜び、けなされれば全てを受け止めて悲しんでいた」という。それは違うと気づいたのは、2年ほど前のこと。「少しずつ仕事が増えだした頃、自分のやっていることは何ひとつ変わってないのに、相手から返ってくる言葉や態度が変わっていくのを感じたんです。自分が同じでも、周りが変わっていく、そういう状況に気づいたとき、そこに影響されちゃいけないって思ったんです。良い意見も耳の痛い言葉も同じように静かに受け止める。同じことを続けて、それが評価されることもあれば、否定されることもあるし、それは時代で変わるもの。その都度、一喜一憂するのではなく自分を保ち続け『いま、私はこんな感じですけどどうですかね?』と見せていけばいいのかなって」。女優を志したきっかけは、学生たちが小劇場で上演していた、つかこうへいの作品を見たこと。「同い年の子たちが魂を削って、お金も時間も全て費やして、つかさんの昔の戯曲を『やらねば!』と思ってやってることに感動したんです。『この子たちと友達になりたい。こういうことしたいと思ってる人たちと会いたい』と思った」という。夢に熱く胸を焦がし、女優としての道を進み始めたその当時、現在のような成功を掴む自信はあった?いまに続く道は見えていた?「これも分かれるんですけど…。明日が来るのが怖くてビクビクしながら『あぁ、自分はいまから一世一代の賭けをするんだな』と思ってました。親は親で地元で就職、結婚してほしいって思ってたんです。新しく見つけた夢に走り出すのは怖かったですよ。でも『女優になりたい』と思ったときの感動が、ほかの何にも代えがたい大きな衝動だったから、この感動を忘れることはないし、執着するはずだっていう確信がどこかにあったんです。だから、どんなに心が折れてもやり続ける、『やめない』という自信はありましたね」。いま、置かれている状況に対して恐怖を感じることはないのか?と尋ねると「あります」という答えが返ってきた。「でも…」と言葉を続ける。「どういう恐怖かというと『こんな成功は一瞬のことなんじゃないか』という恐怖ではなく、自分はいったい、どこまで自分に厳しくあり続けることができるのか?という恐怖ですね。仕事がない頃は、自分を高めるための時間がいくらでもありました。でもいま、こうして多くの仕事をいただいている状況で、自分に厳しくあり続け、自分を磨いていけるのか?新しいものを生み出せなくなったらどうしよう?そんな恐怖は感じています」。精神的にも肉体的にも張りつめた、忙しい日々が続くが、そんな中で、癒しや安らぎを与えてくれるのもまた、仕事だという。「仲間ができて、信頼してる人と出会い、良いシーンが撮れたり、いい写真ができると『あぁ、この仕事やっててよかった』って癒されます」。もちろん、たまに帰る実家で変わらず迎えてくれるネコたちも癒しであることは言うまでもない。「たまに帰ったら、真っ先に駆け寄って、ギュッと抱きしめてずーっと触ってます(笑)。え?うちのコのかわいいエピソードですか?そうですね…水飲むとき、手で温度を確認して、かき回してから飲むんです。メチャメチャかわいいですよ!」。(text:Naoki Kurozu/photo:Nahoko Suzuki)
2017年10月18日2年前のSKE48卒業後からは女優として活躍中の松井玲奈が、2015年に初演された鴻上尚史作・演出の舞台『ベター・ハーフ』に出演する。主演映画が次々公開されるなど映像で引っ張りだこの松井だが、つかこうへい原作の主演舞台『新・幕末純情伝』(2016・17年)では演出の岡村俊一に「この作品はもう松井玲奈以外ではやりたくない」と言わしめ、女優としての幅広い才能を発揮している。その『新・幕末~』は松井が紅一点で他は全員男優、かつ大所帯の座組みだったが、今回の『ベター・ハーフ』はコンパクトな四人芝居。また他の3人(風間俊介、中村中、片桐仁)は初演から続投で、この再演には松井だけが新キャストとして加わる。舞台『ベター・ハーフ』チケット情報「台詞の量ももちろん多いですし、どうなるんだろうという緊張感があります。『新・幕末~』のときは周りが持ち上げてくれるみたいな感覚があったんですけど、この作品はみんなで支え合っていく“人間パズル”みたいなお芝居なんだろうなと。初演からさらにブラッシュアップして上がっていく皆さんに、私がどれだけ追いついて同じラインに立てるかがすごく大事なんだろうなと思っています」松井が演じるのは、デリバリーヘルスで働きながらアイドルとしてデビューすることを夢見る・平澤遥香。遥香はトランスジェンダーの友人・小早川(中村)に頼まれ、小早川が出会い系サイトで知り合った男性と会う。だがそこにいた諏訪(風間)も、正体を偽って小早川とやり取りしていた沖村(片桐)の代わりで……。「自分の夢に向かって突き進む芯のある女の子だから、ブレのない真っ直ぐな人にやってほしいという鴻上さんのご意向で、今回声を掛けていただけたみたいです。境遇などで遥香に共感するところはありつつ、『どうしてそう思うんだろう?』って疑問に思うところも今はたくさんあるので、自分とは違うところも突き詰めていって、どういうキャラクターが出来上がるのかが楽しみです」そもそも芝居に興味を持ったのは、宝塚好きの母の影響で観た、天海祐希出演の舞台『オケピ!』がきっかけなのだとか。「鴻上さんに初めてお会いしたときに、舞台が好きだとお伝えしたら、『良かった。嫌いだったらどうしようと思った』と安心していただけました(笑)。その日にしかないライブ感が楽しくてよく観に行きます。舞台を観ることは特に、覗き見をしているような感覚があって面白いですね」大好きな舞台に立ち、本格女優への扉をまたひとつ叩く。公演は6月25日(日)から7月17日(月・祝)まで東京・本多劇場にて。その後、全国を巡演。取材・文:武田吏都
2017年05月11日「熱海殺人事件NEW GENERATION」が2月18日に開幕。その前日に公開ゲネプロと囲み取材が行われ、出演者の味方良介、文音、多和田秀弥、黒羽麻璃央、演出を手掛ける岡村俊一が登壇した。舞台「熱海殺人事件NEW GENERATION」チケット情報つかこうへいの代表作であり、“東京の春の風物詩”と呼ばれるほど紀伊國屋ホールで上演され続けた『熱海殺人事件』。2010年につかが亡くなってからも、紀伊國屋ホールで「つかこうへい復活祭」と銘打ち上演し続ける作品だ。そんな本作が今回、“NEW GENERATION”と銘打ち、木村伝兵衛部長刑事を味方、犯人・大山金太郎を黒羽、水野朋子婦人警官を文音、富山から来た田舎の刑事・熊田留吉に多和田という、20代のまったく新しいキャストで上演する。ゲネプロ前の囲み取材では、つかの懐刀としてつかこうへい作品の演出を数多く手がける岡村が「(つかが)お亡くなりになって7年間、紀伊國屋ホールの公演をやらせていただいていますが、今年は初めてつかさんの本も読んだことのないような、そんな人たちが集まって挑戦します。新しい世代が『なんだ、ちゃんとやってるな』という形を残せるようにがんばってみましたので、ぜひご期待ください」と挨拶。味方はNEW GENERATIONとして「口の悪い言い方ですが、僕らが若いからといって舐められたくないなというのはあります。若いからこれくらいできてたらいいよね、とか、これくらいできてすごいねっていうとこで止まりたくない。若さに甘えたくないし、甘く観てほしくない。僕らも役者としてのプライドと魂をかけてこの作品を作っている。それぐらいの覚悟で、“紀伊國屋ホールで『熱海殺人事件』をやる”ということを背負っています」と熱く語った。そんな味方の言葉通り、新たな『熱海殺人事件』は圧倒的な熱を放っていた。岡村が「(初代・木村伝兵衛役の)三浦洋一さんが最初におやりになった頃って21歳くらいで。そういう肉体が一生懸命やるのに一番よくできてるというか、そういう肉体を持った人間がトライする演劇として楽しいから40数年語り継がれているようなものだと思う。彼らの世代でどこまで咀嚼して、“再現”という言葉はちょっと違ってまして、楽しめるか。戯曲というものは役者が楽しむもんだと思っている」と話した通り、キャスト4人が本当に楽しそうに、生き生きと、キッパリとした覚悟も感じさせながら演じる姿は印象的。戯曲の持つ魅力が鮮やかに浮かび上がり、『熱海殺人事件』ファンも今回初めて観る人も楽しめるはずだ。「つかこうへいさんの遺志を継ぐのは簡単なことではないけれど、誠心誠意、魂をこめて一つひとつを大事にやっていく」(味方)という本作。公演は3月6日(月)まで東京・新宿 紀伊國屋ホールにて。取材・文:中川實穗
2017年02月20日