生後6ヶ月で現れたおじぎのような動作。医師に告げられた病名は……「てんかん」!?穏やかで優しい性格の17歳(高校2年生)の娘は、3歳で知的障害(知的発達症)と診断されています。右手に麻痺がありますが、幸いにも左手でひと通りのことはできています。娘は、生後1ヶ月で起こった脳出血(左脳)の後遺症で長く難治性てんかんを患っていました。入院や2度の手術を行ったわが家のてんかんとの長い闘いが少しでも皆さまの参考になれば幸いです。娘は生後1ヶ月の時、左脳に脳出血が起こり、開頭手術を行いました。術後に「言語をつかさどる部分、空間把握能力をつかさどる部分で出血を起こしたため、無発語、字が読めないなどの障害が出る可能性が高い」と言われました。私はこのことで頭がいっぱいになってしまい、その時てんかんの可能性を示唆されたのかもしれませんが、正直まったく覚えていません。初めて「あれ?」と思ったのは、6ヶ月に入る少し前です。ときおりカクンと軽いおじぎのように頭を下げるしぐさが出てきたのですが、意識消失やボーッとする様子もなかったので、てんかんというよりチックみたいなものかなと、夫とも軽く考えていました。その様子を録画し6ヶ月になってすぐに予定されていた術後の定期健診で見てもらったところ、「これは明らかに点頭てんかんだ」と診断されました。発見が早めだったので「副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)で集中的に治療すれば、予後が軽くなる可能性が高い」と言われ即入院、治療を開始しました。Upload By ユーザー体験談入院期間は約1ヶ月でした。抱っこしていれば機嫌がいい子だったので、あまり「大変すぎる!」といった記憶はありません。入院した病院は完全看護のため、夜は保護者の付き添いはできませんでした。最初は心配でたまらなかったし、おっぱいが張って直接あげられない悔しさで泣きながら搾乳していましたが、夜は帰宅し自分のベッドで眠れたからこそ、体力的に乗り切れたのだと思います。退院後は抗てんかん薬で様子見を続けました。2歳で再発。2回目の副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)治療へその後、2歳で点頭てんかんが再発しました。再び「カクン」と頭が垂れた時はショックでした。「難治性に移行して、もっと酷くなるのかな……」と、最初の時より頭が真っ白になりました。本人は訳も分からずニコニコしていたのが、また切なかったです。今度は3ヶ月入院をすることになり、これが大変でした。6ヶ月の時とは違い、暴れて泣いて点滴を抜こうとするので、大好きなビデオとDVDを院内のプレイルームでずーっと一緒に観ていました。娘が寝ている短い時間だけが自由時間で、食事をかき込みながらベッドサイドや待合室で1人泣いたことも。ここで難治性部分てんかんと診断され、抗てんかん薬を増量しました。転倒を伴う大きな発作が出始め、手術を決意!そして6歳あたりから、転倒を伴う大きな発作が出始めました。どうにか、なんとか治せないかと、私はてんかんについての講演会などに行っては専門医の先生方の話をいろいろと聞き、手術の検討をし始めました。Upload By ユーザー体験談手術当日、本人は手術についてあまり分かっておらず、「お着がえするよ~」と手術着に着替えてもらい、そのまま麻酔で眠って手術をするという流れでしたのでスムーズでした。ですが、術後「なるべく動いてはいけない、傷部分を触ってはいけない」を守ることにはかなり苦労しました。DVDや絵本などでなんとかしのぎましたが、どうしても触ってしまう時があり、やむを得ず拘束器具を付けたこともありました。この手術でてんかんは軽くはなったのですが、残念ながら完治には至りませんでした。てんかん薬を服用しながら再び様子見することになりました。24時間の脳波測定で有効な手術の可能性を告げられ……やがて担当医師が地方へ異動になってしまったため、再び別の病院へ転院することになりました。その病院で24時間の脳波測定をしたところ、有効な手術の可能性を告げられました。ただリスクとして、現在ある右麻痺が少し強くなるかもしれないとのことで……。不安はありましたが家族で話し合い、「何よりてんかんを消失させ、ゆくゆくは薬を止めることが最優先。麻痺はリハビリで少しずつ取り戻していこう」という結論に至り、11歳でまた手術を受けることになりました。娘は、7歳の時に受けた手術のことを覚えていて、「術後は痛い」という記憶があったようで、入院時から泣いたり「いやだ!」と大声を出したりすることがありました。ただ、先生や看護師さんの声かけのおかげで、手術当日は割とスムーズに手術室に入っていきました。大変だったのは術後で、右麻痺の様子を見るための連日のリハビリにねを上げ、「起きたくない!」「やりたくない!」と大騒ぎしていました。痛みを訴えたり傷口を触ったりすることは幸いなかったですが、約2ヶ月の入院は完全付き添いだったので、ストレスから親子で何度も泣いていました。Upload By ユーザー体験談ついにてんかんが寛解!もう二度と発作に悩まされないように手術後も数年は服薬を続けましたが、徐々に量を減らし5年後には服薬も必要なくなりました。本当に本当によかったです。娘は発作に対してあまり自覚がなかったようで、あまり変化を感じていないようなのですが、親としては、生活における制限がなくなる、発作におびえなくて済むという大きな解放感があります。出先でもし発作が起きたらという懸念がなくなり、遠出ができるようにもなりました。Upload By ユーザー体験談私たち家族にとって、娘のてんかんとは長く、大変な闘いでした。薬が増えた、減ったで一喜一憂した時もありますが、服薬が完全なくなった時に「あーやっと終わった……」と全身の力が抜けた感じがしました。娘は服薬がなくなったことで頭の中もすっきりしたようで、現在は会話ができるまでになり、一人通学など、できることも急激に増えました。とはいえ、完全に独り立ちすることは難しいので、上手に人に頼りながら、親なきあとも楽しく過ごしてほしいと思っています。そしてもう二度と発作に悩まされないよう、健やかに成長してくれることを願っています。イラスト/マミヤエピソード参考/みったん(監修:藤井先生より)生後1ヶ月の脳出血により、てんかんで繰り返し入院加療をされ、今は寛解されているとのことで良かったです。てんかんの治療には内服だけでなく、ACTH療法、ケトン食療法、外科手術もあります。てんかんの種類によって、治療の適応は違ってきますので、専門医に相談することをおすすめしています。脳出血後遺症や、脳の中に異常な部分があると頭部MRIなどで分かった場合には、その部分の切除術や、脳梁(左右の脳を連絡する神経繊維の束)離断することで、発作が軽減されることがあります。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。
2024年05月06日てんかんと診断されたらどんな治療をする?発作の種類や症状、処方される薬は?部分発作治療薬「トピナ(トピラマート)」も紹介てんかんは「てんかん発作」を繰り返し起こす大脳の病気です。日本ではてんかんの患者は100人に1人程度で、乳幼児から高齢者まで誰もがかかる可能性がある身近な病気といえます。てんかん発作にはさまざまな種類がありますが、患者一人に現れる発作症状はほぼ一定していて、ほとんど変わることはありません。薬を飲まなくても自然になおるものから、数年以上薬を飲み続けなくてはならないもの、外科手術が必要になるものまでさまざまですが、約7~8割は治療薬により発作を抑えることが可能です。抗てんかん薬の種類は多く、発作の種類に合わせて、小児用の抗けいれん剤ダイアップ、大人にも子どもにも使うことができるベンゾジアゼピン系抗てんかん薬リボトリール等をはじめとした薬の調整を行い、長期にわたって服薬します。後述するトピナ(一般名:トピラマート)といった、ほかの抗てんかん薬と併用するタイプの新しい抗てんかん薬も登場しています。このコラムでは、てんかんの分類や原因、治療法、治療薬の解説に加え、部分発作の新しい治療薬であるトピナについて詳しく説明します。てんかんの部類は以下のようになっています。Upload By 発達障害のキホンまずは、発作がてんかん発作なのか、それとも違う疾患の発作かを見極めることから始まります。てんかんは、長く服薬して治療にあたることが多いため、初期の診断でどのような種類のてんかんかを判断することが非常に重要です。問診では本人の自覚症状だけでなく発作を目撃した人からの情報も大切です。発作を目の前にすると慌ててしまうと思いますが、発作が起こる前の症状、どれくらいの時間起こったか、またどのような発作だったか発作中の行動を冷静に記録できるといいでしょう。動画での撮影は正確に発作症状を伝えられるためおすすめです。そのほか、脳波、MRI検査などを行って、発作型の診断、原因の究明、病型診断を行います。てんかんの治療法には服薬による治療と、外科治療があります。てんかんの約8割は薬で発作の抑制が可能であり、治療では症状によって抗てんかん薬の調整を行います。長く服薬することが多いので、自分の薬をよく知っておくこと、正しい服薬をすることがとても大切です。服薬治療によって患者さんのQOLを保つことが治療の目標となります。外科治療は、服薬で発作のコントロールができず、かつ脳の原因部位が明らかなものに対して行われます。てんかんの薬治療の原則は?てんかん専門医に聞いてみました。A:てんかん治療は 「単剤療法」が原則だと言われています。単剤療法とは1種類の薬剤のみを用いて行う薬物療法のことです。Upload By 発達障害のキホンてんかん薬の単剤療法の利点として・抗てんかん薬の有害な相互作用がない・複数の薬を使うことによる相互作用(薬がほかの薬の濃度を変動させること)がない・一般的に副作用が少ない・服薬が規則的になりやすい・発作のコントロールが多剤併用療法より良い場合があるなどがあげられます。A:約5〜7割程度の患者さんが単剤治療でてんかんを抑えています。1番目の抗てんかん薬で約50%、2番目の抗てんかん薬の単剤または併用で約12%の方が発作が抑制されたとの報告があります。Upload By 発達障害のキホン参考:Patterns of treatment response in newly diagnosed epilepsy副作用を考慮しつつ1種の薬を最大許容量まで投与しますが、それでも発作が収まらない場合にはほかの抗てんかん薬に置換して効果を見ます。A:発作症状の確認と、脳波検査などを行い、適切な抗てんかん薬を十分量用いているにもかかわらず、単剤による治療が不十分な場合には副作用に注意し、2種類の抗てんかん薬を併用することもあります。Upload By 発達障害のキホン参考:てんかんの薬物治療|てんかん情報センターてんかんの薬・トピナの効能、効果、用法、用量は?抗てんかん薬はすでにさまざまな種類の薬がありますが、トピナ(一般名:トピラマート)は2007年7月に承認された、比較的新しい薬です。トピナは、ほかの抗てんかん薬で十分な効果が認められないてんかん患者の「部分てんかん」を対象とした新しいタイプの治療薬で、単剤で処方されることはなく、必ずほかの抗てんかん薬と併用されます。トピナは幅広い作用機序をもっています。一般的なてんかん薬の作用機序の「脳神経の興奮を鎮める」のほかに「てんかん発作のきっかけとなる受容体の機能抑制作用」など、ほかの抗てんかん薬と異なる作用機序をもつため働きかけが異なる別の抗てんかん薬と併用することによって、治療効果を高めるとされています。部分てんかんの第一選択のカルバマゼピン、レベチラセタム、ラモトリギンなどを用いて発作を抑えられなかった場合に、ゾニサミド、トピラマートを用いることが多いです。しかし、副作用として汗がかきにくくなることがあるので、体温調整が難しいお子さんには控えることもあります。※処方内容については症状や体質、年齢によりそれぞれ違います。興奮性シグナルであるNa+、Ca2+の通り道になるナトリウムチャネルやカルシウムチャネルを抑制する作用、抑制性シグナルであるClーの神経細胞内への流入促進の作用、炭酸脱水酵素阻害作用などにより抗てんかん作用をあらわす薬です。Upload By 発達障害のキホン海外ではトピナが片頭痛の治療薬として用いられる場合もありますが、日本では適応症として認められてはいません。トピナには以下のような錠剤、顆粒があります。・トピナ錠25mg・トピナ錠50mg・トピナ錠100mg・トピナ細粒10%嚥下能力が低下した患者には細粒を処方されることがあります。ただし、どのような剤形や容量が処方されるかは、患者によって違います。医師の指示なく勝手に服薬量を増やしたり減らしたり、飲むのをやめてはいけません。また、自分の判断で認められていない症状の改善のために服用することのやめてください。医師の判断に基づかないで服薬を減らしたりやめたりすることで発作がおこってしまったり、回復が遅れる、あるいは重篤な副作用が発生することがあります。トピナは、少量から服薬を開始し、効果や副作用をチェックしながら、徐々に増量していきます。通常、成人にはトピラマートとして1回量50mgを1日1回、または1日2回の経口摂取することからスタートします。その後、1週間以上の間隔をあけて増やしていき、適切な量として1日200~400mgを2回に分けて服薬します。症状により増減されますが、1日最高投与量は600mgまでです。小児は2歳以上から投与可能です。小児には1日2回に分割して経口摂取します。トピラマートとして1日量1mg/kgからスタートし、その後は2週間以上の間隔をあけて1日量2mg/kgに増やしていきます。さらに、また2週間以上の間隔をあけて1日量として2mg/kg以下ずつ増やしていき、適切な量として1日量6mg/kgを服薬します。症状により増減されますが、1日の最高投与量は9mg/kg、または600mgのいずれか少ない方の投与量までです。トピナの一般名はトピラマートといいます。先発医薬品ではトピナが、後発医薬品(ジェネリック医薬品)としてはアメルがあります。トピナにはどんな副作用があるの?目の充血、目のかすみ、視力の低下など、続発性閉塞隅角緑内障を伴う急性近視があらわれることがあるので、症状がでたら投与を中止し適切な処置が必要です。この副作用は、投与1ヶ月以内にあらわれることが多いとされています。そのほか、腎臓や尿路に結石ができることがあります。以前結石ができたことのある人は、水分を十分に取るなどの対策が必要です。また、アシドーシス(頭痛、眠くなる、意識の低下、深く大きい呼吸)、汗の量が少なくなって体温が上昇するといった副作用があり、特に小児が使用する場合は、腎臓や尿路の結石、アシドーシス、発汗の減少による体温上昇といった症状あらわれやすくなります。患者に変化がみられたら医師に相談してください。体重が減少することもあるので、体重が減少し始めたら医師に相談しましょう。炭酸脱水酵素阻害剤との併用は、腎・尿路結石を形成する恐れがありので、併用注意です。また、セイヨウオトギリソウ(セント・ジョーンズ・ワート)はトピナの作用を弱めるおそれがあるので、セイヨウオトギリソウ(セント・ジョーンズ・ワート)を含む健康食品の摂取は控えましょう。また、さまざまな薬と相互作用を起こしやすいため、使用中の薬は必ず医師に報告してください。まとめてんかんのほとんどは服薬で治療することができます。てんかんによる就学、就労への影響をおさえ、QOLを上げるためにも、正しい服薬を継続しましょう。
2023年03月23日てんかんと診断されたらどんな治療をする?てんかん発作の種類や治療薬、全般てんかんに処方される薬「バルプロ酸ナトリウム」って?てんかんとは、脳の一部または全体がなにかのきっかけで過剰に興奮してしまう病気です。この興奮は「発作」とよばれ、意識を失ってしまうものや痙攣のほかさまざまな症状があり、発作は一度ではなく繰り返し起こります。100人に1人の割合で起こるという身近な病気で、3歳以下での発症が特に多く18歳までに80%が発症するといわれています。しかし、近年では高齢者の脳血管障害によるてんかん発作も増えています。てんかんの原因の多くは特定されていませんが、現在ではてんかんの約80%が薬による治療で発作のコントロールが可能といわれています。このコラムでは、てんかんの発作の種類や、それぞれの発作のに対して処方される薬について解説します。また、全般てんかんに処方される「バルプロ酸ナトリウム」について、詳しくお伝えします。てんかんは、診断されると長く服薬が必要になることが多いため、最初に本当にてんかんなのか、またどのようなてんかんなのかを見極め、長期的な治療の見通しを立てることが重要になります。脳波、MRI検査はもちろんですが、本人や発作を目撃した人からの情報も大切です。発作を目撃すると動揺してしまうと思いますが、冷静に発作の様子を動画で撮影するなどすると問診の際症状を伝えやすくなります。てんかんの治療方法には服薬と外科治療があります。外科治療は、抗てんかん薬では発作を抑えることができない「難治性てんかん」に行うことがあり、完治が期待できる場合もありますので、早期の診断が大切です。一方、薬で発作のコントロールができる場合は、正しい服薬によって就学・就労といった社会生活への影響を最小限にすることが治療の主な目標となります。てんかんには大きく「全般てんかん」「部分てんかん」の2つがあります。全般てんかんは大脳の広い範囲(全般発作)が、部分てんかんは脳の一部(部分発作)が、興奮状態になり発作が起こるものです。全般てんかんの発作は、意識がない場合がほとんどですが、部分てんかんの発作は意識があるもの、ないものがあります。またそれぞれ「特発性」「症候性」にさらに分類でき、「特発性」とは脳に損傷がなく年齢に関係して発症するてんかん、「症候性」とは脳の損傷(異常)により発症するてんかんになります。Upload By 発達障害のキホン全般発作に対してはバルプロ酸ナトリウム、部分発作に対してはカルバマゼピンが第一選択薬として広く使用されています。Upload By 発達障害のキホン【全般性強直間代発作】第一選択薬・バルプロ酸ナトリウム第二選択薬・ゾニサミド・フェノバルビタール・プリミドン・フェニトイン・ラモトリギン・イーケプラ・トピラマートなど【欠神発作】第一選択薬・バルプロ酸ナトリウム・エトスクシミドなど第二選択薬・クロナゼパム・ラモトリギンなど【強直発作、脱力発作】第一選択薬・バルプロ酸ナトリウム第二選択薬・ラモトリギン・レベチラセタム・トピラマートなど【ミオクロニー発作】第一選択薬・バルプロ酸ナトリウム・クロナゼパム第二選択薬・レベチラセタム・トピラマート・ピラセタム・フェノバルビタール・クロバザムなど単純部分発作、複雑部分発作、二次性全般化強直間代発作と概ね3種類ありますが、薬に大きな違いはありません。Upload By 発達障害のキホン第一選択薬・カルバマゼピン第二選択薬・ラモトリギン・レベチラセタム・トピラマート・ゾニサミド・フェノバルビタール・プリミドン・ガバペンチン・フェニトインなど参考:てんかんの薬物治療|てんかん情報センター参考:日本神経学会てんかんの薬・バルプロ酸ナトリウムは、どういうてんかん発作に処方される?効能、効果、用法、用量は?バルプロ酸ナトリウムは、全般発作に有効な抗てんかん薬です。全般発作とは脳の広い範囲、または全体が興奮して起こる発作になります。発作の始まりに意識を失うことも多いです。全般発作には以下のような種類があります。Upload By 発達障害のキホン強直間代発作突然発症して強直発作と間代発作を起こします。発作後に30~1時間位の眠りにつくことも多く、その後は普段通りに戻ることが多いです。意識のもうろう状態による事故などに注意が必要です。・症状強直発作:突然意識を失い、口を食いしばる、手足を伸ばした状態で全身が硬くなり呼吸が止まった状態は数秒~数十秒間続く間代(かんたい)発作:膝などを折り曲げ、手足を曲げたり伸ばしたり、一定のリズムでけいれんが起きる。数十秒で終わることが多いが、1分以上続く場合もある欠神(けっしん)発作数十秒間意識がなくなる発作です。けいれんを起こしたり倒れたりはしないが、会話などの途中で突然意識がなくなる場合も。周りの人が気づきにくく、集中力や注意力がないなどと思われることがあります。・症状突然意識がなくなりぼんやりした目つきになる呼びかけに反応しないまぶたがピクピクする脱力発作崩れるように倒れてしまうことがありますが、発作の持続時間は数秒と短く、発作と気づかれにくいです。・症状全身の筋肉の緊張の低下、消失ミオクロニー発作一部分の筋肉が一瞬ピクっと収縮する瞬間的症状のため、自覚することも少ない発作です。ですが、連続して起こることもあり、転倒したり持っているものを投げ飛ばしてしまう強い症状が出ることもあります。寝起きや寝入りに多く起こる傾向があります。・症状全身、あるいは手足の一部分の筋肉が一瞬収縮するどの全般発作も第一選択薬としてバルプロ酸ナトリウムが選ばれることが多いです。先発医薬品ではデパケン、デパケンR、セレニカR、バレリンなどが、後発医薬品(ジェネリック医薬品)としてはバルプロ酸ナトリウム(商品名)があります。主な作用機序としては、神経の興奮を抑える作用を持つγ-β酪酸(GABA)を分解する酵素(GABAトランスアミナーゼ)の働きを抑制して、脳内のGABA濃度を維持・増加させ、発作を抑えると考えられています。Upload By 発達障害のキホン前述したように、バルプロ酸ナトリウムは全般てんかんの第一選択薬として広く使われています。全般てんかんには子どもに多い欠神発作、ミオクロニー発作、脱力発作、強直発作などがあり、こうした発作に対して用いられます。また、てんかんの症状には、脳の異常な興奮が原因となって怒りやすくなったり、すぐ機嫌が悪くなったりするような症状もあります。こうした症状は双極性障害の躁状態でも起こりうることですが、バルプロ酸ナトリウムはこうした性格行動障害に対しても効果を示します。さらに、こめかみや目のあたりが発作的にズキズキと拍動性の痛みを感じる片頭痛などにも用いられています。ただし成人とは異なり、12歳~17歳の小児片頭痛患者を対象とした臨床試験では有効性を示す十分な科学的根拠は得られていません。バルプロ酸ナトリウムは以下のような錠剤、顆粒、シロップ、徐放性製剤とさまざまな剤形があり、患者の状態や治療の目的に合わせたさまざまな選択がなされます。・バルプロ酸ナトリウム錠100mg・バルプロ酸ナトリウム錠200mg・バルプロ酸ナトリウムシロップ5%・バルプロ酸ナトリウム細粒20%・バルプロ酸ナトリウム細粒40%例えばシロップ剤は、主に小児に投与することを目的としており、バルプロ酸ナトリウムの特異な臭いとわずかな苦味があるために服用しやすくなるよう甘味がつけられています。また、徐放性製剤の場合は服用してから長時間かけて薬剤が放出されるよう設計されているために、血中濃度を一定に保ち、服用回数をコントロールすることができます。用量ですが、通常1日量8〜24mL(バルプロ酸ナトリウムとして400〜1,200mg)を1日2〜3回に分けて経口投与します。ただし、どのような剤形が選択されるか、またそれの服薬量は、患者の状態に応じた医師の治療方針に基づくものであり、勝手な薬剤の増減や停止をおこなってはいけません。医師の判断に基づかないで服薬を減らしたりやめたりすることで発作が起こってしまったり、回復が遅れるなどの不利益が生じることがありますので、必ず医師の指示に従いましょう。バルプロ酸ナトリウムの副作用は眠気、ふらつき、吐き気、食欲不振、けん怠感などがあります。副作用は飲み始めに多く、やがて軽減することが多いのですが、症状が強い場合は医師に相談してください。重い副作用として、まれに肝臓への悪影響(劇症肝炎などの重篤な肝障害、黄疸、脂肪肝など)があります。肝機能障害などがある場合は肝障害が強くあらわれる場合があるので、必ず医師に伝えましょう。また、食欲亢進し体重が増えることがあります。カルバペネム系抗生物質などは併用禁忌、そのほかさまざまな薬と相互作用を起こしやすいです。飲み合わせによって、バルプロ酸ナトリウムの作用が強まったり弱まったりするので、服薬中の薬は必ず医師に報告しましょう。バルプロ酸ナトリウムは胎児の形成に影響を与えたり、産まれてきた子どもの発達に影響を及ぼすことがあるので妊娠可能な年齢の女性、妊娠中の女性に処方する場合には注意が必要です。妊婦または妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ処方されます。処方される場合は、できるかぎり単剤で、かつ必要最小限の容量となり、妊娠前の女性には血中濃度の安定をはかるため徐放錠で600mg/日以下が望ましいとされています。そして、妊娠期間中は、血中濃度の変化を注意深く観察する必要があります。まとめてんかんの約80%は服薬でコントロールができます。てんかんかもしれないと思ったら、すぐに医師の診察を受けましょう。抗てんかん薬にはさまざまな薬がありますが、バルプロ酸ナトリウムは代表的な抗てんかん薬です。医師の指示に従って、正しく服用しましょう。
2023年03月22日てんかんとはどのような病気?てんかんとは、突然意識を失い反応がなくなるなどの「てんかん発作」を繰り返す病気です。乳幼児から高齢者まで誰でも発症する可能性がある病気の一つで、患者も100人に1人と決して珍しいものではありません。原因は人それぞれで、脳腫瘍や頭部外傷後遺症など明らかな原因がある場合は「症候性てんかん」、原因不明の場合は「特発性てんかん」と呼ばれます。また新生児から思春期までに出るてんかんを「小児てんかん」と呼び、1歳までの発病が最も多く、そのほとんどが症候性てんかんです。また幼児期から学童期にかけては、話していたり何かをしていたりするときに突然意識がなくなる欠伸てんかんや良性小児てんかんなど、成人までに治ることが多い特発性てんかんが多いという特徴もあります。なお、欠伸てんかんは意識がなくなるのが数十秒と短いことも多く、痙攣などの症状も起こらないので周囲から気づかれない場合も。集中力に欠ける、授業中にぼんやりしているなど誤った認識を周囲からもたれてしまうこともあります。小児のてんかんは、発作のコントロールなどはもちろんですが、本人と保護者、そして医師や医療機関が連携し、本人にとってより良い環境をつくること、日常生活や学校生活が問題なく送れるようにすることなども大切です。リボトリール(クロナゼパム)の効能・効果リボトリール(一般名:クロナゼパム)は大人にも子どもにも使うことができるベンゾジアゼピン系抗てんかん薬です。同様のベンゾジアゼピン系抗てんかん薬としては、「ランドセン」などがあります。ベンゾジアゼピン系の薬は、脳の興奮を抑えてリラックスをさせる働きがあります。そのため、脳が興奮することで引き起こるてんかんなどの症状を和らげることができるのです。通常、手や顔の一部がピクピクと動く「小型(運動)発作」、さまざまな意識混濁に口をモグモグさせたり、衣類をまさぐるなどの症状の「精神運動発作」、吐き気、急に動悸がするなどの症状がでる「自律神経発作」の治療に用いられます。もう少し詳しく解説すると、脳内のベンゾジアゼピン(BZD)受容体が活性化されると、抑制性の神経伝達物質であるGABA(r-アミノ酪酸)の作用が高まります。リボトリールは、ベンゾジアゼピン(BZD)受容体に作動薬として結合し、GABAによる抑制性神経伝達を高める作用があります。てんかん治療のほかに、片頭痛発作発症の抑制や自律神経発作にも使われる薬剤です。開発されてから30年以上がたち、効果が優れていて安全に使用できる薬剤として、リボトリールは広く使用されています。リボトリール(クロナゼパム)の用法・用量リボトリールには、0.5(1/2)mg、1mg、2mgの錠剤と0.1%、0.5%の細粒があります。通常、初回量主成分として1日0.5〜1mgを1〜3回に分けて服用します。その後は、症状に対して効果があらわれるまで、徐々に量を増やして様子を見るのが一般的です。通常、維持量は1日2〜6mgを1〜3回に分けて服用します。乳幼児の場合は、初回量主成分として、体重1kgあたり、1日0.025mgを1〜3回にわたって服用。それ以降は効果があらわれるまで徐々に量を増やしていくことになります。通常、維持量は体重1kgあたり、1日0.1mgを1〜3回に分けて服用します。飲み忘れた場合は、気がついたときに1回分を服用するのが一般的ですが、次の服薬時間が近い場合は1回飛ばして次の時間に1回分を飲みます。2回分を1度に飲むのは禁止です。薬の増減や停止は医師の判断に委ねてください。保護者の判断だけで服用の中止をしてはいけません。急に薬の量を減らしたり、飲むのをやめたりすることで、てんかん発作に繋がったり、なかなか症状が回復しないという状態があらわれることがあるので、注意してください。リボトリール(クロナゼパム)の副作用リボトリールには、眠気、ふらつき、呼吸をするときにゼーゼー、ヒューヒューと音がする喘鳴、唾液増加などの副作用が認められています。このような症状が認められ、深刻な場合には医師に相談するようにしてください。また、薬を使い続けることによって、薬物依存が生じる可能性があります。急激な薬の量の減少や投与の中止で、痙攣発作、せん妄、不眠、不安、幻覚症状などの離脱症状があらわれることがあります。医師の判断で薬を服用していれば基本的に離脱症状が出ることはないはずですが、万が一服用中に上記のような症状が出た場合には必ず医師に相談し、指示をあおいでください。繰り返しになりますが、薬の増減、または中止は医師の判断に基づいて行うことが必須です。保護者の判断で服薬を止めるようなことはやめましょう。まとめ今回の記事では抗てんかん剤リボトリール(クロナゼパム)について解説しました。副作用や離脱症状などについても紹介しましたが、医師の指示に従い、決まった用量や用法を守って服用すれば、安全な薬です。小児から思春期は子どもにとって、とても大切な期間。てんかん発作を恐れるあまりに、やりたいことができない、行きたいところにいけない…とならないように、うまく薬を利用して、発作をコントロールできるようにすることが重要です。症状についてはもちろんですが、服薬についても不安なことがある場合には事前に医師と話し合い、本人はもちろん、保護者の方も納得したうえで進められるようにしてください。
2022年11月25日てんかんとは?「てんかん」とは、てんかん発作を繰り返し起こす状態のことで、脳が発生する過程で生じた構造の異常、代謝異常症、遺伝子の異常など生まれつきのものから、頭部外傷、中枢神経感染症、自己免疫性脳症、脳卒中、認知症などさまざまな脳の疾患が原因となります。てんかん発作は、脳にある神経細胞の異常な電気活動により引き起こされるもので、突発的に運動神経、感覚神経、自律神経、意識、高次脳機能などの神経系が異常に活動することで症状を出します。そのため発作では、それぞれの神経系に対してさまざまな症状が出るのです。運動神経に対応して体の一部が固くなる、感覚神経に対応して手足にしびれが出たり耳鳴りがする、自律神経に対応して動悸や吐き気が生じる、高次脳機能に対応して意識を失ったり、言葉が出にくくなる、などさまざまな影響が生じます。症状は脳のどの範囲で異常発射が起こるかによりさまざまです。たとえば脳の一部で起こった場合は本人が「光がチカチカする」「手がぴくぴく動く」などと感じます。神経細胞の異常な電気発射がさらに広がると意識がなくなり、脳全体に広がると全身の痙攣(けいれん)発作となります。てんかんは子どもから大人まで誰でも発症する可能性がありますが、その中でも18歳くらいまでの患者のことを「小児てんかん」と呼んでいます。てんかん発作を抑制するだけではなく、本人と保護者、そして医師が連携関係を築き、日常生活や学校生活を健やかに送るためのサポートが大切になります。ダイアップ(ジアゼパム)の効能・効果ダイアップは熱性痙攣の体質のある子どもや痙攣発作のある子どもに対して、痙攣を予防するために発熱時に使用する坐剤です。一般的には坐薬(座薬)とも言い、肛門から直腸内に挿入する薬です。てんかんは脳内神経の異常な興奮によって起こるとされていて、ダイアップは脳内のベンゾジアゼピン(BZD)受容体に作用して神経の興奮を抑制させ、痙攣などの症状を抑えます。ダイアップは、ベンゾジアゼピン(BZD)受容体に作動薬として結合し、GABAによる抑制性神経伝達を亢進する作用があります。ダイアップを使用すると、使用しなかった場合に比べて痙攣の発生率を70%以上減らすとされており、うまく使えば熱性痙攣をコントロールすることができるでしょう。ただ、100%予防できるわけではないので、場合によっては薬を使用しても痙攣が起こることがあるので、注意が必要です。また、薬の効果は坐剤を入れてから15分以上かかるため、すでに起きている痙攣に対しては効果が期待できません。ダイアップの処方は以下の場合に限られています。ただ初めて熱性痙攣を起こした場合には、予防目的に当日分のみ処方されることがあります。・過去に2回以上熱性痙攣を起こしたことがある・過去に15分以上長引く熱性痙攣を起こしたことがある・そのほかの理由(ほかの病気があり再度起こす可能性が高い場合など)ダイアップ(ジアゼパム)の用法・用量ダイアップの成分はジアゼパムという睡眠薬の一種です。同じ成分の粉薬を服用することもありますが、保管や使用の面を考え坐薬として用いることが一般的です。子どもには通常1日に1〜2回、直腸内に挿入します。坐薬の大きさは4mg、6mg、10mgの3種類があり、使用量は体重によって変わるため、体重が変わったときには坐薬の大きさを変える必要があります。また症状によっては薬の量を増減することも。ただ1日1mg/1kgを超えないようにします。子どもの年齢と体重、1回の量の目安は以下の通りです。・2歳ごろまで/体重8〜12kgのケース→1回4mg・2〜5歳ごろまで/体重12〜20kgのケース→1回6〜8mg・5歳以上/体重20kg以上のケース→1回10mg使用方法としては、37.5℃を超える発熱に気付いた時点で1回目を使用します。熱性痙攣は発熱直後から24時間以内に起こることが多いので、痙攣を予防するためには早めにダイアッを使用することが大切です。そのためにも風邪症状があるときや、いつもと様子が違うときはこまめに体温を計りましょう。2回目は1回目の8時間後に使用します。そのときにすでに解熱していたとしても、忘れずに使用しましょう。また、3回目以降は仮に熱が続いていたとしてもダイアップは使用せずに、医師に指示を仰ぐようにしてください。ほかの坐薬を一緒に処方されている場合は、ダイアップの30分後に使用しましょう。坐薬を使い慣れないという方のために、以下の通り簡単な使い方を解説します。1.坐薬を包装から取り出し、指先またはティッシュペーパーなどでつまむ2.子どもを仰向けに寝かせて両足を持ち上げる3.坐薬の尖った方から肛門に入れ、5秒ほど抑えておく※薬が入りにくい場合は少量の水で薬の先端を濡らすか、薬が溶け始めるまで肛門に押し当てる4.30分間は漏れがないかを確認し、明らかに漏れている場合は再度挿入するようにしてください。ダイアップの保管については30℃以上の高温になる場所は避ける必要がありますが常温でも冷蔵庫でもどちらでも保存できます。1年ほどは使用することができますが、保管が切れる前に処方を受けるのを忘れないようにしましょう。ダイアップ(ジアゼパム)の副作用ダイアップは安全性の高い薬剤ですが、一時的に副作用が出ることもあります。副作用が認められたのは総症例のうち、およそ9%。懸念される副作用は、ふらつき、眠気、集中力・反射運動能力の低下などで、まれに興奮が見られることもあります。子どもにダイアップを使用した際には、保護者がこのような副作用があることをしっかりと理解し、念のために子どもの状態を注視するようにしましょう。基本的には、重い副作用ではなく、どの副作用も時間が経過すると改善します。なお、心障害、肝障害、腎臓障害がある場合や、脳に器質的障害がある場合などは使用にあたって注意が必要なことがあるので、事前に医師に相談することが大切です。まとめ今回の記事は子どものてんかんに使われる「ダイアップ」について解説しました。てんかん発作のひとつである痙攣をしっかりとコントロールできるダイアップ。小さな副作用の可能性はあるものの、てんかんの子どもに安心して使用できる薬剤の一つではないでしょうか。発熱したときなどはダイアップをうまく利用して、事前に痙攣を抑えられるようにしましょう。ダイアップの使用期間は最後の痙攣から2年間、もしくは4〜5歳までの使用が一般的です。ですが、過去の痙攣の回数などを考慮して、医師の判断の元、その後も処方されることも多いです。どんなケースでも、不安がある場合などは医師や医療機関と密接に連携して、子どもをケアすることが大切です。
2022年11月24日てんかんの診断方法、治療方法は?Upload By マンガで分かる発達障害のキホンUpload By マンガで分かる発達障害のキホンUpload By マンガで分かる発達障害のキホンUpload By マンガで分かる発達障害のキホンてんかんの診断方法は主に問診と検査の結果によって診断されます。てんかんの診断の上で、もっとも重要なのは問診です。発作がどのようなものだったのかによって、てんかんの分類が決まってきます。てんかんの治療を行うためには、発作型と原因が何なのかを把握し、それぞれの発作症状に見合った治療を行います。発作が起こった際には冷静になって、発作症状の全体が映るように動画を撮影するなど、よく観察することが重要です。発作時の動画は、医療機関受診の際に症状を説明しやすいため、撮影されることをおすすめしている医師も多いです。問診では次のようなことを中心に本人または保護者へ聞き取りを行います。【問診の主な内容】・小児の場合:出生時の様子や、出生後の発達の経過・発作時の詳細な様子:いつ、どこで、どのような、どれくらいあったか・随伴する症状:よだれが垂れていた、失禁があった、記憶がなくなっていたなど・てんかんの家族がいるか・頭に大きなケガをしたことはあるか・熱性けいれんを起こしたことはあるか・脳梗塞など、脳の病気をはじめ、治療中の病気はあるかなど、そのほかにもさまざまなことを問診によって聞き取ります。主に脳波測定や脳画像検査の結果も、診断の根拠となります。外来で行う短い脳波検査を行うこともありますが、より詳細に発作時の脳波を検査する「長時間ビデオ脳波モニタリング検査」を行うこともあります。脳波の計測を1日~数日間をかけて継続して測定し続け、同時にそのときの様子をビデオに録画しておきます。脳波と映像を解析して発作症状と発作の原因部位を見極めていきます。なお、てんかんの診断は次のような手順で行われています。Upload By マンガで分かる発達障害のキホンてんかんかも…?と思ったらてんかんの大発作が初めて起こった際に、驚いて救急車を呼ぶ方は多いと思います。一方で小さな部分発作や、会話の途中にぼんやりとしてしまうなどの症状がある場合「もしかして、てんかん?」と思うことがあっても、数分でもとに戻ることから日常生活にさほど支障を感じないことがあります。しかしてんかん発作を放置してしまうと、大きな事故につながりかねません。できるだけ早期からそういったリスクを避けるため、医療機関を受診するようにしましょう。◆乳幼児から中学生・小児科または小児神経科◆中学校卒業後・神経内科・脳神経外科・精神科を受診してください。なお、次のリンクにてんかんについての相談窓口が掲載されておりますので、受診する際の参考にしてみてください。参考:てんかん対策 4.てんかんについての相談窓口|厚生労働省てんかんのさまざまな治療方法てんかんの治療は主に薬物療法によって行われています。そのほかにもホルモン療法や手術などの治療法がありますが発作の種類によって使用する薬の種類や治療法も異なりますので、医師の指示に従って治療を進めてください。医師による診断・指導のもとに、抗てんかん薬を用いた薬物療法を行います。発作型に合わせた抗てんかん薬の服薬を続け、抗てんかん薬の使用量の調整を行います。抗てんかん薬治療は原則薬を飲み続けなくてはいけません。ただし、3年〜5年程度、発作症状を抑えられ、再発のリスクが少ない場合には、減薬を試みていきます。ウエスト症候群への代表的な治療法の一つで、ACTH療法(副腎皮質刺激ホルモン)といわれています。ACTHとは、脳下垂体から生理的に分泌されるホルモンで、副腎に作用して副腎皮質ステロイドホルモンの分泌を促す動きがあります。ウエスト症候群の治療では、40~80%の発作が抑制されると報告されています。外科療法が可能なてんかんであれば手術によって治すことができます。てんかんの原因がはっきりしている脳の病変部を切除することによって、てんかん発作を改善することができます。薬をつかっても発作が抑えられないときや、副作用が強いときがあります。その場合に食事療法としてケトン食療法を用いることがあります。ケトン食療法とは体内にケトン体を増やすために、脂肪が多く、炭水化物が少ない食事を摂る治療法です。日本ではあまり普及していませんが、アメリカや韓国では治療が難しいてんかんがある患者さんに対しての治療法として利用されています。まとめてんかんは年齢や性別に限らず発症し、多種多様な発作を起こします。場合によってはてんかんと気づかれにくい発作もあります。医師の指示に従った治療を行っても発作が良くならないなど、困ったことがあれば、原因について再検査 検査をしてみたり、セカンドオピニオンを求めたりすることも一つの手段です。ぼんやりしてしまう意識障害が伴うてんかんの場合は、本人に発作が起こったことに気がつかないこともあります。そのようなときは周りの人が本人や保護者に教えてあげましょう。てんかんは発作によっては周囲の協力や助けが必要になる場面が、多々あります。そのときに助けを求めたり、サポートをしたりといった相互の協力が大切になってきます。
2022年09月18日てんかんとは?Upload By マンガで分かる発達障害のキホンUpload By マンガで分かる発達障害のキホンUpload By マンガで分かる発達障害のキホンUpload By マンガで分かる発達障害のキホンUpload By マンガで分かる発達障害のキホンてんかんとは慢性的な脳の疾患(障害)で、大脳の神経細胞が過剰に興奮することで発作症状を引き起こす疾患です。年齢・性別・環境に関わらず発作は発症します。日本では約100万人のてんかん患者がいて、およそ100人に1人の割合でてんかんにかかっているという身近な疾患です。てんかん発作は突然倒れて意識を失い、四肢をピクピクまたは、硬直させる発作だけでなく、体の一部が勝手に動いたり、会話の途中にぼんやりしたと思ったら意識を失っていたりといったタイプの発作などもあります。てんかんの“発作を起こしやすい体質”は遺伝する可能性があります。しかし、たとえてんかん発作を起こしやすい遺伝子を受け継いだとしても、全ての方に発作が発症するとは限りません。またこのようなてんかんの多くは良性のため、治療しやすいといわれています。てんかん発作は、場所や時間を選ばずに発症するため、たとえば子どもがプールで遊んでいるときや、入浴中、車の運転中などに発作が起こり、大きな事故につながる可能性もあります。早期治療やできる限りの注意が必要です。参考:てんかんとは|公益社団法人 日本てんかん協会てんかんの原因って?てんかんは大脳の神経細胞が過剰に興奮することで発作が引き起こされるものです。そもそも大脳皮質とは脳の表面を覆い、複雑な思考などに深く関わっている部分になります。脳内で情報を伝達しあうために働いているのが神経細胞(ニューロン)です。神経細胞は微弱な電流を流れることによって、必要な機能にかかわる神経細胞にスイッチが入ります。多数の神経細胞が繋がり合うことで脳の必要な部位が連携し、適切な行動を再現しています。ところが、何らかの原因で大脳の神経細胞が過剰に興奮し、不要な神経細胞にスイッチが入ることがあります。それによって神経細胞が異常に興奮した結果、けいれんなどの発作が引き起こされます。てんかんの主な症状の「発作」とは?てんかんの主な症状は「発作」です。発作にはいくつかのパターンや種類があります。ここでは、てんかん発作の種類を紹介していきます。目を開いたまま瞳が上転し、歯を食いしばり、呼吸が一時的に止まったり、けいれんをしたりします。体全身をこわばらせ突っ張る発作のことを強直発作、全身特に四肢がガクンガクンと大きく動く発作を間代発作、こわばりからけいれんが起こる強直間代発作などがあります。起きているときに、両手足が一瞬ピクッと動くミオクロニー発作や、頭部、目時に体幹が不自然な動き、姿勢をとる運動発作があります。また、力が抜けて立っていられず倒れてしまう脱力発作などもあります。会話の途中などで突然意識を失い、体のすべての動きが止まってしまう複雑部分発作や欠神発作があり、ぼんやりしたままウロウロ動き回ることもあります。おおむね、すぐに回復しますが、意識を失っていた間のことは覚えていません。また脈絡のない言葉を発したり、はっきり喋ることができなくなる失語発作などもあります。体の一部がしびれたり、感覚がなくなる体性感覚発作や気分が悪くなる自律神経発作、視覚や嗅覚、聴覚などに異常が起こる感覚発作がも挙げられます。また不安や恐怖感をあおるような精神発作もあります。症状を一見すると精神疾患と思われますが、脳波などの検査をして、脳の神経細胞の過剰興奮によって引き起こされているものだとわかればてんかん発作と診断されます。てんかんの分類は?どのようなタイプがあるの?てんかんは4つのタイプに診断され、それぞれのタイプに合わせた治療が適用されます。ここでは、てんかん症候群分類として現在広く知られている、国際抗てんかん連盟(ILAE)が1989年に発表した「てんかん、てんかん症候群および関連発作性疾患の分類」の分類をご紹介します。※2017年3月にILAEではてんかん発作とてんかん分類について新しい提言を発表しました。そのため今後は徐々に2017年分類が国際基準となっていくことが予想されます。まず、てんかん発作は脳の一部から始まる「部分発作」と右脳と左脳が同時に興奮状態に巻き込まれる「全般発作」の大きく2つに分類されます。部分発作は、脳の一部の神経細胞が異常興奮を起こし発作が始まるタイプのものです。発作時に意識障害がない場合は「単純部分発作」といい、意識障害を伴っている場合は「複雑部分発作」といいます。Upload By マンガで分かる発達障害のキホン全般発作は脳全体の神経細胞が異常興奮を起こすことで発作が起きるタイプのものです。またミオクロニー発作以外では意識消失を伴います。意識を短時間失うような発作から、体の筋肉がけいれんしたり、こわばったりするものまでさまざまな発作症状があります。部分発作だけで治まることもあれば、部分発作から始まり、全般発作に変化する二次性全般化発作もあります。Upload By マンガで分かる発達障害のキホンこれら発作型の「部分発作」と「全般発作」に加え、てんかんの原因である「特発性(病変がなく発作を起こしやすい体質がある)」と「症候性(病変などにより脳の異常興奮が起こる)」によって4つのタイプに分類すると、次の図のように分類されます。Upload By マンガで分かる発達障害のキホン脳にはっきりとした病変はありませんが、体質により脳の一部で体質により過敏になり、神経細胞の異常興奮がおこるため、部分発作が起こります。幼児期から学童期に多く発症しますが、成長とともに自然に治るものが大半です。体質による過敏性が、成長とともにやわらいでいくこともあると考えられています。【主なてんかん症候群】・中心、側頭部に棘波(きょくは)をもつ良性小児てんかん・後頭部に突発波をもつ小児てんかんなど上記と同様に脳にはっきりとした病変はありませんが、脳全体が過敏になり異常興奮がおこることで全般発作が起こります。多くは小児期から思春期にかけて発症し、25歳以上の発症はまれです。薬物療法が効果的で適切な治療を続けているかぎり、発作は起こりにくくなります。ただし薬を辞めると途端に再発する場合があるので注意が必要です。【主なてんかん症候群】・小児欠神てんかん・若年欠神てんかん・若年ミオクロニーてんかん・覚醒時大発作てんかんなど発作の引き金となる病変があると考えられ、部分発作を起こすてんかんです。原因がさまざまゆえ、年齢を問わず発症する可能性があります。薬物療法が効きにくいといわれていて、発作の抑制が難しい場合もあります。病変を切除することで発作が起こらなくなることもあります。【主なてんかん症候群】・側頭葉てんかん・前頭葉てんかん・頭頂葉てんかん・後頭葉てんかん上記と同様に発作の引き金となる病変があると考えられ、全般発作を起こすてんかんです。多くは幼児期~思春期に発症します。また発作が頻繁で、部分発作も全般発作もみられる場合が多いといわれています。てんかんを繰り返すことで知的発達面にも遅れが出やすくなります。【主なてんかん症候群】・ウエスト症候群・レノックス-ガストー症候群・ドラベ症候群・進行性ミオクローヌスてんかんなどまとめてんかんの主な症状は「発作」です。発作にはいくつかのパターンや種類があり、発作が起きている様子を見ると動揺してしまう場合もありますが、冷静になって動画を撮影するなどの行動で、その後の医療機関受診の際の問診でより医師に症状を伝えやすくなります。また、気になる症状があったらかかりつけの医師に相談することも重要です。
2022年09月17日幼い子どもの夜泣きがひどくて困った経験をもつママは多いのではないでしょうか。今回は、普通の夜泣きとは明らかに違う、「夜驚症(やきょうしょう)」について考えていきましょう。「夜驚症」は聞きなれない病名ですが、3歳から6歳ごろの子どもにみられる、睡眠障害の一つです。【監修】赤坂ファミリークリニック院長 伊藤明子 先生小児科医師、公衆衛生専門医、同時通訳者。東京外国語大学イタリア語学科卒業。帝京大学医学部卒業、東京大学医学部附属病院小児科入局。東京大学大学院医学系研究科公共健康医学専攻修了。同大学院医学系研究科公衆衛生学/健康医療政策学教室客員研究員。2017年より赤坂ファミリークリニック院長、NPO法人Healthy Children, Healthy Lives代表理事。著書・共著に『小児科医がすすめる最高の子育て食』など。テレビ番組「林修の今でしょ!講座」などに出演中。二児の母。■夜驚症って何?▼夜驚症とは夜驚症とは、眠りに入ってから1~3時間の間に多く起こる子どもの睡眠障害です。夜中に急に起きたかと思うとパニック状態になり、室内を暴れまわったり、意味不明なことを言い始めたりします。本人も戸惑ったように泣くことから「睡眠時驚愕症」とも呼ばれ、英語だと「Night terror」「Sleep terrors」といいます。レム睡眠・ノンレム睡眠・覚醒、いずれの睡眠ステージでも起きえます。泣き叫んだり、起き上がって動き回ったりしても、本人は覚えていないことが多く、ママがそばにいてもほとんど気づきません。▼夜泣きとの違い赤ちゃんは夜泣きをよくします。ひどい夜泣きだと思ったら夜驚症だった、というケースもなかにはあるかもしれません。ただ、夜泣きと夜驚症は異なります。夜泣きは生後3カ月ごろからはじまり、2歳から3歳くらいまでで落ち着きます。夜驚症は3歳以降から多くみられます。また、夜泣きは覚醒ステージで起きることが多く、一方、夜驚症はレム・ノンレム・覚醒、と睡眠のどのステージでも起きえます。▼悪夢障害との違い悪夢障害と夜驚症は、どちらも睡眠障害ですが症状は異なります。悪夢障害は、眠りの浅いレム睡眠中に怖い夢を見て、その内容も覚えており、目覚めがはっきりしていることが多いです。一方、夜驚症の場合、本人は覚えていません。悪夢障害の発症年齢は3歳から6歳ころで、大人になっても続くことがあります。夜驚症は同じく3歳から6歳がピークなのですが、10代前半くらいで落ち着く傾向にあります。また、悪夢障害は目覚めがハッキリしており、眠りの浅いレム睡眠中に夢をみるため、内容も覚えているのが特徴です。対して夜驚症は、眠りのノンレム睡眠のときに泣き叫ぶため、起きても本人は覚えていないのです。▼夢中遊行症との違い夢中遊行症は別名で「睡眠時遊行症」または「夢遊病」ともいい、眠っていたのに突然起き上がったり、歩き回ったりします。うつろな表情で異常行動を数分から30分ほど行い、目が覚めても本人には記憶がありません。夢中遊行症の原因としては、遺伝性(家族歴)、睡眠不足や疲労、睡眠時無呼吸など睡眠の妨げになること、体調不良や発熱、一部の薬物、ストレスや不安、膀胱が満杯、騒音など、いつもとは異なる睡眠環境などが含まれます。夜驚症の原因とかぶる部分も多く、最近は、夜驚症と夢中遊行症は同じ疾患分類と考えられてきています。発症年齢として、夜驚症は3歳から6歳がピークですが、夢中遊行症は小児期後期から青年期まで続きます。▼大人にも夜驚症はある?大人も夜驚症になることはありますが、まれです。大人の場合は、アルコール依存症など何かの病気に関連していることがあります。参考サイト:東邦大学医療センター佐倉病院小児科 「夜驚症・夢中遊行症」 National Center for Biotechnology Information 「Night Terrors」 Cleveland Clinic 「Sleepwalking」 ■夜驚症の原因▼パニックが起こる原因夜驚症のようにパニックが起こる原因は、まだはっきり解明されていません。体調不良や発熱、過剰な活動、睡眠不足や疲労、ストレスなどが考えられています。大人にとっては日常の活動でも、子どもにとっては恐怖や強い不安、ストレスを抱える出来事となることもあるでしょう。例えば、何かの発表会など緊張するイベントが近日中にあったり、ホラーもののテレビや映画を見たり、など。また遊園地や旅行など楽しいことも強い興奮に繋がれば、夜驚症を発症することがあります。どうして子どもの夜驚症が多いのか、原因はハッキリとは分かっていません。しかし、脳の睡眠機能の発達が中途段階なので起こると考えられています。機能が成熟する思春期には夜驚症の症状がみられなくなる場合が多いのも、そのように考えられている理由のひとつです。▼睡眠メカニズムとの関係睡眠はノンレム睡眠とレム睡眠とがあります。ノンレム睡眠は深く眠っている状態で体も脳も休んでいます。レム睡眠は浅めの眠りで、体は休んでいますが、脳は活動しています。夜驚症の症状が出やすい3歳から6歳くらいまでは、この睡眠機能が形成されている最中です。この睡眠と目覚めの切り替えの調節がまだまだ未発達だといえます。そのため、睡眠のどのステージであっても、ストレスや不安などにより興奮状態となるようです。通常目覚める場合は、浅い眠りのレム睡眠を通ってから起きますが、子どもの場合はその機能が完成されていないので、脳が深い眠りの状態から一気に目覚めに向かって覚醒することも。すると、寝ているときに一部の脳だけが起きてしまい、興奮やパニックを引き起こすのです。寝ているときなので、本人は記憶にありません。参考サイト:Cleveland Clinic 「Sleep Basics」 ■夜驚症は発達障害なの?▼夜驚症と発達障害発達障害に、夜驚症や夢中遊行症などの症状がみられることがあります。夜驚症など睡眠障害が発達障害を引き起こすわけではありません。「発達障害のある子は、そうではない子に比べ夜に覚醒することが多い」という観察はされています。■夜驚症とてんかん夜驚症とてんかんは全く関連性がなく、別の症状・疾患となります。また、日中のパニック障害と夜驚症も直接関連づけることはありません。■夜驚症の対処法と治療法▼夜驚症の対処法1:けがをしないように見守るママやパパがやっておきたいのは、子どもがけがをしないように配慮することです。子どもがパニックになっても無理に抑え込んではいけません。危険がないように配慮し、けがに繋がるような物をどかし、様子をみていきましょう。▼夜驚症の対処法2:原因を取り除けないか考えてみるママやパパが夜驚症を理解し、落ち着いて子どもに接することが大切です。子どもにストレスや不安感がありそうならば、その気持ちを軽減できないか考えてあげます。また、寝室環境を整えて、快適に寝られるようにしてあげましょう。▼病院へ行くタイミング夜驚症は子どもが成長し、脳が発達すれば治まっていくものです。ほとんどが治療などは必要なく、経過観察をしていくことになります。しかし、症状があまりに激しく、家族の睡眠などに支障をきたしてしまう場合は、小児科や睡眠外来のある精神科などを受診するのもいいでしょう。相談してみることで、よい治療法や方策が見つかるかもしれません。▼夜驚症治療法夜驚症の症状が頻繁に出ると、ママは心配になって治療を検討するかもしれません。しかし、多くの場合は成長していくと改善するものなので、医師には「様子をみましょう」と言われるケースが多いそうです。・子どもの場合10代半ばを過ぎ、夜驚症がそろそろ落ち着く年齢になっても睡眠障害が続く場合は医師に相談してみましょう。受診すると漢方や睡眠導入剤、抗不安薬が処方されることもあります。ただし投薬が必要とは限らないので、医師とよく相談されるといいでしょう。・大人の場合大人になっても夜驚症が続くのはごくごくまれです。その場合、「桂枝加竜骨牡蠣湯エキス」などの漢方薬が治療に使われることもあります。泣き叫ぶような発作が、一晩で1回10分以上かつ複数回ある場合は病院で相談をしてみるのがいいでしょう。■まとめ夜驚症は3歳から6歳の子どもに起こりやすい睡眠障害です。寝た後に突然暴れたり、泣き叫んだりと、最初はママやパパのほうが参ってしまうかもしれません。しかし、年齢が上がるにつれ、脳も発達し、自然と落ち着いてくる場合が多いようです。ママとパパの役目は、けがのないように見守ってあげること。寝室を整え、周囲にある危ない物はどかし、大らかな気持ちでみてあげましょう。ストレスや不安がないかどうかも観察し、子どもの心にいつも寄り添ってあげることが大切です。参考資料:・ 東邦大学医療センター佐倉病院小児科 ・ National Center for Biotechnology Information ・ Cleveland Clinic ・ 厚生労働省 みんなのメンタルヘルス ・ 日本睡眠学会
2019年10月26日ウエスト症候群とは出典 : ウエスト症候群は「点頭てんかん」とも呼ばれ、多くは1歳未満(生後3ヶ月~8ヶ月がピーク)に発症する、全般てんかんのことです。"てんかん発作"のタイプは右脳と左脳が同時に興奮状態に巻き込まれる全般発作に分類されます。脳波が全体として「バラバラで混とんとした」波形になるのも全般てんかんであるウエスト症候群の大きな特徴の一つで、精神運動発達の退行(発達とともに習得した精神的・運動的技能ができなくなってしまうこと)をきたす、特異かつ稀少な難治性のてんかん症候群で、難病指定もされています。発症率は、出生数 1,000人に対して 0.16~0.42人と言われています。参考:ウエスト症候群の診断・治療ガイドライン|日本てんかん学会ガイドライン作成委員会ウエスト症候群は「点頭てんかん」とも呼ばれていますが、「点頭」と言う言葉は「うなずく」と言う意味があり、首の屈曲がうなずくような動きに見えるためです。原因はあるの?出典 : ウエスト症候群の原因は、検査を行っても原因の特定が難しい潜因性のものと、何かしらの疾患などの原因が考えられる症候性のものがあります。原因と考えられる基礎疾患としては、脳形成異常、低酸素性虚血性脳症、外傷後脳損傷、脳腫瘍、代謝異常、染色体異常、先天奇形症候群、遺伝子異常などが挙げられます。しかし、潜因性のてんかんと症候性のてんかんに共通するはっきりとした病態は、まだ見出されていないのが現実です。さて、潜因性と症候性とはなんでしょうか。潜因性は、非症候性ともいわれ、基礎疾患やその他の神経学的な兆候および症状がみられません。それに対して症候性は、生まれる前あるいは出生直後に起こった脳障害の合併症が原因となって起こるものです。治療効果や予後も、潜因性か症候性かで大きく変わってきますが、症候性のほうが予後が悪く、レノックス・ガストー症候群というてんかんに移行していく場合もあります。ウエスト症候群の症状は?出典 : ウエスト症候群の様子や、どんなときに起こりやすいかなどを知っておけば、「この動きはもしかしたら?」と見逃すことなく、早期発見につながるかもしれません。前述したように、ウエスト症候群かもしれないと思ったら、なるべく早く小児科を受診しましょう。頭をカクンと前屈させ、上下肢をビクンと振り上げる動作など、両側対称性の四肢・体幹のけいれん発作を、数秒間隔で繰り返します。繰り返し起こることを「シリーズ形成」とよびます。このウエスト症候群のシリーズ発作は0.2~2秒程度の短い発作が数秒間隔で、20~40回ほど繰り返されるのが特徴です。多い時には、100回以上繰り返されることもあります。シリーズ発作は1日に10回以上起こることもあります。子どもによって違いはありますが、寝起きや寝入りに起こりやすいといわれています。発達とともに取得した精神的および運動的技能ができなくなる「退行」も、ウエスト症候群の特徴のひとつです。たとえば、お座りができていたのにできなくなった、単語を言えていたのに言わなくなった、など。「あれ?最近〇〇ができなくなったな」と思ったら、赤ちゃんの様子をしっかり観察してあげましょう。ウエスト症候群の動きかも?と思ったら親がすること出典 : 「子どもが頭をカクンとさせるんだけど、なんだろう?」、「この動きはもしかしたらウエスト症候群?」生後数ヶ月の赤ちゃんの小さな動き、気になってもそれがなんなのか、迷いますよね。こんなふうに迷ったとき、保護者はいったいどうすればいいのでしょうか。「たぶんこの動きはなんでもないな」などと判断したり、放っておいたりしないで、まずはかかりつけの小児科に行きましょう。そして、動きのほかにも「首がすわっていたのに、最近すわりにくくなってきた気がする」、「お座りができていたのに、できなくなった」など、少しでも気になることはすべて伝えることが大切です。保護者が伝えたことすべてが、ウエスト症候群かそうではないかの、大切な判断材料にもなるのです。親が見たことや気になったことを伝えることももちろん大切ですが、どうしても偏ったものになったりあいまいなものになってしまう場合も多いので、客観的に見ることができる「動画」を撮って持っていくことをおすすめします。その場合、「寝入るときに撮った」、「寝起きに撮った」など、そのときの状況を伝えることも忘れないようにしましょう。「この動作はウエスト症候群かな?」と思ったら、抱きしめたり大声で名前を呼んだりせず、まず落ち着いて様子を見ましょう。てんかんかな?と思ったら動揺したり焦ってしまいがちですが、全身のけいれんが長く続くことがなければ、救急車を呼んですぐ病院へ搬送!という必要はありません。もちろん早期発見が大切なてんかんですが、一度起きたからすぐに命にかかわる、脳へ甚大な影響があるというものではありません。とにかく、しっかりと様子を観察しましょう。モロー反射とは、赤ちゃんの原始反射のひとつで、大きな音を聞いたときなどにビックリして起こる動作です。指を広げて腕を伸ばし、何かに抱きつくような動きが特徴です。一見すると、ウエスト症候群とモロー反射の動きはとても似ているので、判断するのは難しいのです。モロー反射の特徴としては、音などのきっかけによりビクッとなったり、寝ている時にビクッとなったりします。それに対して、ウエスト症候群の発作は、寝起きや寝入り前の目が覚めている時に起こることが多く、発作時も無表情でビクッとするだけでなく、頭をカクンと前に倒すという特徴があります。ウエスト症候群を診断するための検査出典 : 「ウエスト症候群の可能性がある」と言われ、診断されるまでには、いったいどんな検査をするのでしょうか。まだ生後間もない小さな赤ちゃんを検査するとなると、不安になってしまうかもしれませんが、検査内容や具体的な方法を知ることで不安も軽減されると思います。ウエスト症候群は脳波に高振幅の徐波と棘波・鋭波(点頭てんかん特有の異常脳波でヒプサリズミアという)が不規則に出現し、全体的にバラバラと混とんとした状態になるのが特徴で、脳波は最も大きな判断材料と言えます。「こんなに小さいのに、脳波なんてとれるの?」と心配になるかもしれませんが、人体への影響が少ない「トリクロリールシロップ」などの睡眠導入剤を使って、眠らせた状態でとることができます。ウエスト症候群が、脳形成異常や脳室周囲白質軟化症(側脳室周囲白質に局所的な虚血性壊死による多発性軟化病巣ができる疾患、早産児や低体重児に多くみられる)が原因となっている場合もあるため、頭部CTやMRIの検査を行い、基礎疾患がないかをくわしく調べます。原因がはっきりすれば、有効なアプローチ方法を見つけられる可能性が高くなるのです。ウエスト症候群の治療法は出典 : ウエスト症候群は難治性のてんかんです。ウエスト症候群だと診断されると、不安が先に立ちますが、有効な治療法はいくつかあります。決して心配しすぎず、赤ちゃんのためにも早期治療に取り組んでほしいと思います。治療法にはどんなものがあるのか、どんな効果があるのかなど詳しく解説していきます。ウエスト症候群の治療法として、まずはビタミンB6やバルプロ酸などの抗てんかん薬を1~2週間程度投与して様子をみることもあります。それでも効果がみられない場合は、すぐにACTH療法に移行します。ウエスト症候群の最も有効な治療法として、ACTH(副腎皮質刺激ホルモン)投与があげられます。日本では、作用時間の長い人工合成ACTH製剤であるコートロシンZが使われて、太もも(左右交互)に注射投与します。一般的には、最初の2週間程度は毎日投与(この過程で発作が消失または激減する効果が表れ始める)し、効果があれば徐々に投与回数を減らしていき、効果がなければ3~4週間程度まで毎日投与を延長し、その後に投与回数を減らしていきます。基本的には入院が必要な治療です。副作用として、ムーンフェイス、高血圧、電解質異常、易感染性などがありますが、それも含めて量や投与方法などをコントロールしながら治療を進めます。日本てんかん学会では、ACTHについて下記のようなガイドラインを作成しています。1.West症候群の治療に最も有効なのは、ACTHである。2.ACTHの最適投与量、投与方法、期間については十分なエビデンスがないが、副作用を軽減するために、可能な限り少量、短期間の投与が推奨される。3.ACTHは、West 症候群発症後出来るだけ早く使用すべきである。非症候性 West症候群については、1か月以内が望ましい。4.ACTH治療中は、副作用をモニターし治療する。重篤な副作用が出現した場合は、ACTHを中止する。5.他の療法をACTH治療前に行う場合は、2 週間以内に効果判定を行い、無効であればACTH療法を行うのが望ましい。療法が有効でなかった場合、第二選択としてビガバトリンを使用します。1989年に英国で抗てんかん薬として最初に承認され、英国ではウエスト症候群の第一選択薬のひとつに位置づけられていますが、日本では視野狭窄の副作用があるため、遅れること2016年3月に承認されました。ACTHより効果が弱いとされていますが、ACTHに反応しない、あるいはACTHでいったん発作が消失したものの再発してしまったという場合でも有効な可能性があります。また、結節性硬化症をともなうウエスト症候群にも高い効果を発揮します。上記の投薬・服薬の治療法のほかにも、ケトン食という食事療法があります。脂肪が多く、炭水化物(糖質)が少ない食事で、脂肪、たんぱく質、糖質・炭水化物の比率を一定になるように毎食計算します。まだ乳幼児のため、特殊専用ミルクも併用しながら医師と栄養師の管理のもとで実施します。1921年から使われていますが1995年以降にはアメリカで急速に普及し、ケトン食療法に関する研究報告は飛躍的に増加しています。ウエスト症候群をはじめ、さまざまなタイプのてんかんに有効である可能性があり、発作頻度が半分以下になるという報告も多くあります。ウエスト症候群の予後は出典 : 難治性のてんかんと言われて、親が一番気になるのはその後の発達や再発の可能性についてではないでしょうか。治療後の予後はどうなのか、再発の可能性はどのくらいあるのかなどを詳しく見ていきます。ACTH療法はほかの療法よりもその後の知的な発達が良好であり、また、発症1か月以内にACTH療法を開始したほうが、知的発達が良いともいわれています。また、さまざまな症例から、症候性よりも潜因性のほうが知的および発作予後が良く、早期治療の方が発作予後が良かったと報告もあります。症候性か潜因性かでも変わってきますが、発症後すぐ治療を始めた場合、5~8割くらいは症状が軽くなる(発作の消失、あるいは今後の発達に影響がない程度の激減)と言われています。しかし、時間が経ってから治療した場合、約半数は発作が残ったり、すぐに再発する可能性が高いといわれています。ウエスト症候群という病気と長期間向き合い、赤ちゃんの様子をみながら支えていくと言う姿勢と覚悟が大切になります。再発した場合は、ACTHの再投与や他の抗てんかん薬による治療もありますが、それらの治療も有効でない場合、レノックス・ガストー症候群という難治性てんかんに発展する可能性も高くなります。レノックス・ガストー症候群とは、発症時期が1~8歳(ピークは3~5歳)であり、新生児期・乳児期に発症したウエスト症候群が移行することもあります。強直発作、非定型欠神発作、脱力発作など多彩な発作がみられ、精神発達遅滞をともないます。まとめ出典 : ウエスト症候群は、難病・小児慢性特定疾患に指定されているため、医療費の助成や療育相談・自立に向けた育成相談など、さまざまな支援を受けることができます。ウエスト症候群と診断されても、その後の治療やリハビリ、そして受けられる支援をうまく活用することで、子どもの成長は大きく変わっていきます。一番大切なのは、早期の発見と治療です。まだ未熟な乳幼児の動きを観察して判断するのは非常に困難であり、つい見逃してしまうことがあります。ウエスト症候群を理解することで、小さな「気になる」動きがあったら、小児科へ行くなどすぐに行動してほしいと思います。参考文献:『病気がみえる vol.7 脳・神経』p.470(医療情報科学研究所/メディックメディア)/2011年参考:ウエスト症候群(指定難病145)|難病情報センターHP参考:ウエスト症候群の診断・治療ガイドライン|日本てんかん学会ガイドライン作成委員会HP参考文献:『小児科学レクチャー』3巻6号p.1419-1430(総合医学社)2013年11月参考文献:『小児内科41巻第3号』(東京医学社) 2009年3月1日参考:ケトン食療法と実際について|岡山大学病院|参考文献:『専門外の医師のための小児てんかん入門』p.50(白石秀明/中外医学社)2015年参考:小児慢性特定疾患センターHP
2018年05月29日てんかんとは?出典 : てんかんとは慢性的な脳の疾患(障害)で、大脳の神経細胞が過剰に興奮することで発作症状を引き起こす疾患です。年齢・性別・環境に関わらず発作は発症します。日本では約100万人のてんかん患者がいて、およそ100人に1人の割合でてんかんにかかっているという身近な疾患です。てんかん発作は突然倒れて意識を失い、けいれんを起こすといったいわゆる大発作だけでなく、体の一部が勝手に動いたり、会話の途中にぼんやりしたと思ったら意識を失っていたりといったタイプの発作などもあります。てんかんの“発作を起こしやすい体質”は遺伝する可能性があります。ですが、たとえてんかん発作を起こしやすい遺伝子を受け継いだとしても発作が発症するとは限りません。またこのようなてんかんの多くは良性のため、治療しやすいといわれています。てんかん発作は場所や時間を選ばずに発症するため、たとえば子どもがプールで遊んでいるときや車の運転中などに発作が起こり、大きな事故につながる可能性もあります。早期治療やできる限りの注意が必要です。参考:てんかんとは|公益社団法人 日本てんかん協会てんかんは大脳皮質の神経細胞が過剰に興奮することで発作が引き起こされるものです。そもそも大脳皮質とは脳の表面を覆い、複雑な思考などに深く関わっている部分になります。脳内で情報を伝達しあうために働いているのが神経細胞(ニューロン)です。神経細胞は微弱な電流を流すことによって、必要な機能にかかわる神経細胞にスイッチを入れていきます。多数の神経細胞が繋がり合うことで脳の必要な部位が連携し、適切な行動を再現しています。ところが、何らかの原因で大脳皮質の神経細胞が過剰に興奮し、不要な神経細胞にスイッチが入ることがあります。それによって神経細胞が異常に興奮した結果、けいれんなどの発作が引き起こされます。国際抗てんかん連盟(ILAE)が発表している「てんかん発作型分類」によれば脳の病変が原因となる「症候性てんかん」と、発作を起こしやすい体質が原因となる「特発性てんかん」の2種類に分類されています。ですが、今のところ発作を引き起こしやすい原因そのものはまだ分かっていません。参考:久保田 英幹,日本てんかん協会/『てんかん、こうしてなおそう』(クリエイツかもがわ,2009)てんかんの主な症状の「発作」とは?出典 : てんかんの主な症状は「発作」です。発作にはいくつかのパターンや種類があります。ここでは、てんかん発作の種類を紹介していきます。■意識を失い、倒れてしまう大発作目を開いたまま瞳が上転し、歯を食いしばり、呼吸が一時的に止まったり、けいれんをしたりします。体全身がこわばる発作のことを強直発作、全身でけいれんが起こる発作を間代発作、こわばりからけいれんが起こる強直間代発作などがあります。■体の一部が勝手に動く発作起きているときに、両手足が一瞬ピクッと動くミオクロニー発作や、首や目が勝手に動いてしまったりする運動発作があります。また力が抜けて立っていられず倒れてしまう脱力発作などもあります。■話の途中などに急にぼんやりしてしまう発作会話の途中などで突然意識を失い、体のすべての動きが止まってしまう複雑部分発作や欠神発作があり、ぼんやりしたままウロウロ動き回ることもあります。おおむね、すぐに回復しますが、意識を失っていた間のことは覚えていません。また脈絡のない言葉を発したり、はっきり喋ることができなくなる失語発作などもあります。■見た目では分からない自覚症状のみの発作体の一部がしびれたり、感覚がなくなる体性感覚発作や気分が悪くなる自律神経発作、視覚や嗅覚、聴覚などに異常が起こる感覚発作がも挙げられます。また不安や恐怖感をあおるような精神発作もあります。症状を一見すると精神疾患と思われますが、脳波などの検査をして、脳の神経細胞の過剰興奮によって引き起こされているものだとわかればてんかん発作と診断されます。参考書籍:中里 信和/『「てんかん」のことがよくわかる本』 (講談社,2015)参考:てんかんの種類|東京都医学研脳神経病理データベースHPてんかんの分類は?どのようなタイプがあるの?出典 : てんかんは4つのタイプに診断され、それぞれのタイプに合わせた治療が適用されます。ここでは、てんかん症候群分類として現在広く知られている、国際抗てんかん連盟(ILAE)が1989年に発表した「てんかん、てんかん症候群および関連発作性疾患の分類」の分類をご紹介します。※2017年3月にILAEではてんかん発作とてんかん分類について新しい提言を発表しました。そのため今後は徐々に2017年分類が国際基準となっていくことが予想されます。まず、"てんかん発作"は脳の一部から始まる「部分発作」と右脳と左脳が同時に興奮状態に巻き込まれる「全般発作」の大きく2つに分類されます。■部分発作部分発作は、脳の一部の神経細胞が異常興奮を起こし発作が始まるタイプのものです。発作時に意識障害がない場合は「単純部分発作」といい、意識障害を伴っている場合は「複雑部分発作」といいます。Upload By 発達障害のキホン■全般発作全般発作は脳全体の神経細胞が異常興奮を起こすことで発作が起きるタイプのものです。またミオクロニー発作以外では意識消失を伴います。意識を短時間失うような発作から、体の筋肉がけいれんしたり、こわばったりするものまでさまざまな発作症状があります。部分発作だけで治まることもあれば、部分発作から始まり、全般発作に変化する二次性全般化発作もあります。Upload By 発達障害のキホンこれら発作型の「部分発作」と「全般発作」に加え、てんかんの原因である「特発性(病変がなく発作を起こしやすい体質がある)」と「症候性(病変などにより脳の異常興奮が起こる)」によって4つのタイプに分類すると、次の図のように分類されます。参考:てんかんとは|公益社団法人日本てんかん協会HP参考書籍:久保田 英幹,日本てんかん協会/『てんかん、こうしてなおそう』(クリエイツかもがわ,2009)Upload By 発達障害のキホン■特発性部分てんかん脳にはっきりとした病変はありませんが、体質により脳の一部で体質により過敏になり、神経細胞の異常興奮がおこるため、部分発作が起こります。幼児期から学童期に多く発症しますが、成長とともに自然に治るものが大半です。体質による過敏性が、成長とともにやわらいでいくこともあると考えられています。■特発性全般てんかん上記と同様に脳にはっきりとした病変はありませんが、脳全体が過敏になり異常興奮がおこることで全般発作が起こります。多くは小児期から思春期にかけて発症し、25歳以上の発症はまれです。薬物療法が効果的で適切な治療を続けているかぎり、発作は起こりにくくなります。ただし薬を辞めると途端に再発する場合があるので注意が必要です。■症候性部分てんかん発作の引き金となる病変があると考えられ、部分発作を起こすてんかんです。原因がさまざまゆえ、年齢を問わず発症する可能性があります。薬物療法が効きにくいといわれていて、発作の抑制が難しい場合もあります。病変を切除することで発作が起こらなくなることもあります。■症候性全般てんかん上記と同様に発作の引き金となる病変があると考えられ、全般発作を起こすてんかんです。多くは幼児期~思春期に発症します。また発作が頻繁で、部分発作も全般発作もみられる場合が多いといわれています。てんかんを繰り返すことで知的発達面にも遅れが出やすくなります。参考:ウエスト症候群|難病情報センター参考書籍:大槻 泰介/『てんかんが怖くなくなる本』 (法研,2016)参考書籍:中里 信和/『「てんかん」のことがよくわかる本』 (講談社,2015)参考:てんかんの種類|東京都医学研脳神経病理データベースHPてんかんの診断方法は?てんかんの診断方法は主に問診と検査の結果によって診断されます。検査も大事ですが、もっとも重視するのは問診です。発作がどのようなものだったのかによって、てんかんの分類が決まってきます。てんかんの治療を行うためには、てんかんの原因とどの発作型なのかを把握し、それぞれの発作症状に見合った治療を行います。発作が起こった際には不謹慎だとは思わずに冷静になって動画を撮影するなど、よく観察することが重要です。■問診による診断問診では次のようなことを中心に本人または保護者へ聞き取りを行います。【問診の主な内容】・発作時の詳細な様子・発達面の問題はあるか・てんかんの家族がいるか・頭に大きなケガをしたことはあるか・熱性けいれんを起こしたことはあるか・脳梗塞など、脳の病気をはじめ、治療中の病気はあるかなどその他にも様々なことを問診によって聞き取ります。■検査主に脳波測定や脳画像検査の結果が診断の根拠となります。てんかんに特化した「長時間ビデオ脳波モニタリング検査」があります。脳波の計測に1日~数日間をかけて測定し続け、同時にそのときの様子をビデオに録画しておきます。脳波と映像を解析して症状と原因を見極めていきます。なお、てんかんの診断は次のような手順で行われています。Upload By 発達障害のキホン参考:脳波検査|独立行政法人国立病院ん機構 静岡てんかん・神経医療センター参考:てんかん診療ガイドライン2010|日本神経学会参考書籍:中里 信和/『「てんかん」のことがよくわかる本』 (講談社,2015)てんかんの大発作が初めて起こった際に、驚いて救急車を呼ぶ方は多いと思います。一方で小さな部分発作や、会話の途中にぼんやりとしてしまうなどの症状がある場合「もしかして、てんかん?」と思うことがあっても、数分でもとに戻ることから日常生活にさほど支障を感じないことがあります。しかしてんかん発作を放置してしまうと、冒頭で述べたような大きな事故に繋がりかねません。できるだけ早期からそういったリスクを避けるため、医療機関を受診するようにしましょう。◆乳幼児から中学生・小児科◆中学校卒業後・神経内科・脳神経外科・精神科を受診してください。なお、次のリンクはてんかん専門の受診機関を示したリストになりますので、受診する際の参考にしてみてください。参考:各地のてんかんセンター|全国てんかんセンター協議会HP参考:てんかん診療ネットワーク||全国てんかんセンター協議会HPてんかんのさまざまな治療方法出典 : てんかんの治療は主に薬物療法によって行われています。そのほかにもホルモン療法や手術などの治療法がありますが発作の種類によって使用する薬の種類や治療法も異なりますので、医師の指示に従って治療を進めてください。医師による診断・指導のもとに、抗てんかん薬を用いた薬物療法を行います。服薬を続ける中で、抗てんかん薬の使用量の調整を行い、その人にとって適性な薬の量にしていきます。抗てんかん薬治療は原則薬を飲み続けなくてはいけません。ただし症状の改善などがみられた場合には治療をやめることができます。参考:社団法人日本てんかん協会 |よくわかるてんかんのくすりウエスト症候群への代表的な治療法の一つで、ACTH療法(副腎皮質刺激ホルモン)といわれています。ACTHとは、脳下垂体から生理的に分泌されるホルモンで、副腎に作用して副腎皮質ステロイドホルモンの分泌を促す動きがあります。ウエスト症候群の治療では、40~80%の発作が抑制されると報告されています。参考:久保田 英幹,日本てんかん協会/『てんかん、こうしてなおそう』(クリエイツかもがわ,2012)外科療法が可能なてんかんであれば手術によって治すことができます。てんかんの原因がはっきりしている脳の病変部を切除することによって、てんかん発作を改善することができます。薬をつかっても発作が抑えられないときや、副作用が強いときがあります。その場合は食事療法としてケトン食療法を用いることがあります。ケトン食療法とは体内にケトン体を増やすために、脂肪が多く、炭水化物が少ない食事を摂る治療法です。日本ではあまり普及していませんが、アメリカや韓国では治療が難しいてんかんがある患者さんに対しての治療法として利用されています。参考:てんかんと食事療法|日本小児神経学会参考書籍:社団法人日本てんかん協会/『よくわかるてんかんのくすり』(クリエイツかもがわ,2012)参考書籍:久保田 英幹,日本てんかん協会/『てんかん、こうしてなおそう』(クリエイツかもがわ,2012)てんかんと間違われやすい疾患って?てんかんの原因って?てんかんと症状が似ている疾患がいくつか存在します。ここではてんかんと間違われやすいと言われているいくつかの疾患を紹介します。■てんかんと熱性けいれん熱性けいれんとは38℃以上の発熱に伴って、意識を失い全身がけいれんすることを指します。小児期にみられる一般的な発作性疾患のひとつです。生後6ヶ月~5歳の乳幼児期に発症し、発熱から24時間以内にだいたい1~3分間のけいれんが起こります。けいれんは一過性のものであることが多いですが、乳幼児期には発熱の度にけいれんを起こす場合もあります。一方で、てんかんの中には発熱によって発作が引き起こされるものもありますが、概ねてんかんは発熱時以外にも発作が起こります。一般的なてんかん発症率の0.5~1%に対して、熱性けいれんが発症した後のてんかんの発症率は2~7.5%程度といわれています。この数字をもとに熱性けいれんとてんかんに何らかの関連があるのでないかという仮説に基づいて現在も研究が行われています。しかし熱性けいれんを発症したことがある子どもが、てんかんを発症するというはっきりした因果関係の立証は明らかになっていません。■てんかんと急性脳症急性脳症は主にウイルス感染症に感染したのをきっかけに、急激に脳に浮腫(むくみ)が生じ、意識レベルが低下する疾患のことをいいます。ウイルスに対して過剰な免疫反応が全身の血管に炎症をおこすことにより、意識障害、けいれん、嘔吐、血圧・呼吸の変化などが起こります。けいれんや意識障害など、てんかん発作と似た症状を発症しますが、ほとんどのてんかんの原因疾患が分かっていないのに対して、急性脳症はウイルスは身近なインフルエンザウイルスや、突発性発疹などを引き起こすヒトヘルペスウイルス、急性胃腸炎を引き起こすロタウイルスなどが主な病原となっています。てんかんと急性脳症の発症要因は異なるため、治療や予防方法が異なります。■てんかんと髄膜炎髄膜は脳や脊椎を覆っている膜です。髄膜が炎症することによって高熱、激しい頭痛、悪寒、嘔吐など風邪に似た症状が発症し、けいれんや意識障害を引き起こす場合も珍しくありません。髄膜炎もてんかんと似た症状を引き起こしますが、髄膜炎は髄膜の炎症によって症状が発症するのに対し、てんかんはほとんど原因疾患が明らかになっていません。急性脳症などと同様に発症要因は異なるため、治療や予防方法が異なります。参考:細菌性髄膜炎とは|国立感染症研究所 NIIDてんかんと発達障害の合併出典 : てんかんに合併する症状に自閉症スペクトラム障害やADHD(注意欠陥・多動性障害)などの発達障害があります。発達障害は脳機能に先天性の障害があるために、幼児期から発達に何らかの遅れや困難が生じる障害です。発達障害とてんかんの一部には共通の遺伝子変異があり、脳内の情報伝達を行う神経回路形成に異常が示唆されています。またてんかんを発症していない発達障害者でも発作性の脳波異常が認められることがあります。脳内の情報伝達は大きく興奮性と抑制性のシグナルによって行われます。てんかんは神経細胞の興奮・抑制バランスが興奮性に傾き、結果として適切な情報伝達が行われず脳波に発作性の異常がみられます。発達障害の場合も同様の偏りが認められています。てんかんでみられる神経細胞の興奮・抑制バランスの崩れが、どのようにして発達障害を引き起こすのかについて、現時点では因果関係は明らかになっていません。参考:自閉スペクトラム症とてんかん|(日薬理誌,2016)参考:小児の発達障害とてんかんへの脳波の応用|(臨床脳波,2008)てんかんで障害者手帳を取得するには出典 : てんかんがある方は障害者手帳を取得することができます。合併症がなく、てんかんのみが疾患としてある方は「精神障害者保健福祉手帳」を取得できます。合併症がある場合は、それぞれ身体障害者手帳や療育手帳などと合わせて取得すれば支援の幅が広がります。精神障害者保健福祉手帳の概要や取得方法はコチラを参考にしてみてください。療育手帳の概要や取得方法はコチラを参考にしてみてください。障害者手帳の取得に抵抗を感じる方もいると思います。次のリンクはてんかんによる障害者手帳取得に悩んでいた家族のエピソードです。“障害者だから”手帳を持つのではなく、家族を助けてくれる“お守りとして”手帳を持つことにしてから、さまざまな社会的サポートが受けられたという家族の体験談です。てんかんの治療を続けるとなると、経済的に家計への影響は小さくありません。自立支援医療制度や高額療養費制度などを利用することで負担を少しでも減らすこともできます。所得制限などもあるので自治体にお問い合わせください。◆自立支援医療(精神通院医療)制度自立支援医療(精神通院医療)は、通院医療費の自己負担を軽減を目的としたてんかんを含む精神障害のある方へ向けた公費負担医療制度です。自立支援医療(精神通院医療)について|厚生労働省HP◆高額療養費制度この制度は、負担の上限金額を超えた高額な医療費を支払った際に、その超過分の払い戻しを受けることのできる健康保険制度です。下記の厚生労働省のハンドブックの12-15ページをご参照ください。精神障がい者と家族に役立つ社会資源ハンドブック|厚生労働省HP◆都道府県の心身障害者医療費助成制度重度の心身の障害がある方が、保険証を使って病院に受診した場合、自己負担金が助成される制度です。各自治体ごとに、対象となる障害やその度合い、支援内容がかなり異なります。また、この助成を受けるにあたり注意点が2つあります。1点目は65歳以上で平成27年8月1日以降に新たに障害者の診断を受けた場合には、助成の対象とならないことです。2点目は、所得制限が定められているため、生計を同じくしている人の所得が一定額以上の場合には助成の対象外となることです。詳しくはお近くの市役所などにご相談ください。◆小児慢性特定疾患治療研究事業小児慢性特定疾病の医療費助成制度とは、小児慢性特定疾病に関する治療を受けた場合にかかる医療費を、一定金額の自己負担金額以外は国が助成してくれる制度です。◆乳幼児医療費助成制度など乳幼児医療費助成制度とは乳幼児が医療機関の診察や治療を受けた際の、自己負担費用の一部または全額を自治体が助成してくれる制度です。目の前でてんかん発作が起こったら?いざと言うときの周りの対処法出典 : てんかんの発作は実にさまざまな発作がありますが、なかでも意識を失うような大発作が起こったときはどう対処すればよいのでしょうか?ここではどのような発作にも広く対処できるように、基本的な対処の心得をまとめました。・まずはあわてず、落ち着いて行動するもし「これはてんかんかも?」と思った場合はまずは落ち着き、次の行動を心がけてください。・周りの危険物を遠ざけて、安全を確保する家具を動かすなどし、手足が動いてしまったときにぶつけて怪我をしないように空間を広げてください。また、倒れたときは頭の下にクッションや枕、上着など柔らかいもので頭を支えるようにしてください。・けいれんを押さえつけたり、意識がはっきりしないうちに薬を飲ませたりしないけいれんを押さえつけたり、意識がはっきりしないうちに薬を飲ませたりはしないでください。押さえつけてもけいれんは止まりません。また薬を無理やり飲ませると、むせてしまう危険があります。・発作時の症状を記録する不謹慎と思わず、発作の症状を撮影・観察してください。「発作かな?」と思われる症状が出始めたら、その様子を観察したり、スマートフォンなどで動画を撮影しておきましょう。医師に発作の症状を伝えるときに非常に役立ちます。・全身けいれんが5分以上発作が治まらないときは病院へ行くか、119番通報をする発作がはじまって、5分以上続いたり、何度も繰り返したりするようなら救急車を呼んでください。他にも呼吸の状態がおかしいとき、いつもの発作と様子が違う場合などは、迷わず医療機関を受診するか、119番通報で救急車を呼ぶようにしましょう。てんかん発作の予防策出典 : 現在分かっている段階のてんかん発作の誘発因子および予防策を紹介していきます。発作が起こりやすい状態を避けてできるだけ発作を起こさない配慮を心がけましょう。・睡眠不足をできるだけ避けるてんかん発作の誘因に過労やストレスなどが挙げられますが、もっとも影響が大きいと考えられるのが睡眠不足です。忙しさや緊張が続いているときは何ともなく、それらが和らいだときに発作が起きやすくなるという方もいます。・特発性てんかんの方は飲酒は控える脳の過敏性が高い特発性てんかんの方は、飲酒によって発作が助長されるため、お酒は飲まないほうがよいでしょう。症候性てんかんの場合は、発作の起こりやすさと飲酒は特に関係がないと考えられています。・感覚刺激で発作は誘発される刺激が原因で起こるてんかんのことを「反射てんかん」といいます。発作の引き金になる刺激は人によって異なりますが、強い光や特定の音、計算や読書などがあります。発作の誘因が明らかなら、それを避ければ発作を減らすことができます。まとめ出典 : てんかんは年齢や性別に限らず発症し、多種多様な発作を起こします。場合によってはてんかんと気付かれにくい発作もあります。医師の指示に従った治療を行っても発作が良くならないなど、困ったことがあればもう一度検査をしてみたり、セカンドオピニオンを求めたりすることも一つの手段です。ぼんやりしてしまう意識障害が伴うてんかんの場合は、本人に発作が起こったことに気がつかないこともあります。そのようなときは周りの人が本人や保護者に教えてあげましょう。てんかんは発作によっては周囲の協力や助けが必要になる場面が、多々あります。その時に助けを求めたり、サポートをしたりといった相互の協力が大切になってきます。
2018年04月24日世界中で広まる、てんかんの啓発活動出典 : 月26日は、世界的なてんかん啓発の日である「パープルデー」です。てんかんという病気について、正しい情報を多くの人に知ってもらえるように、さまざまなイベントが企画されています。ここでは、2018年のパープルデーに関するイベントについてご紹介します。てんかんって、どんな病気?てんかんの発作には、突然倒れて意識を失いけいれんを起こすといったいわゆる大発作と、体の一部が勝手に動いたり、会話の途中にぼんやりしたと思ったら意識を失っていたりといった小発作などがあります。子どもからお年寄りまでどの年齢にもみられる脳疾患です。治療によって発作をコントロールできる人も多くいますが、約2割の人は発作をコントロールできずにいます。周りに受け入れてもらえず、てんかんを打ち明けられないまま悩みを抱える人も少なくありません。パープルデーとは?出典 : パープルデーは、7歳でてんかんと診断されたカナダのキャシディー・メーガンさんが、9歳を迎えた2008年に周囲にてんかんを打ち明けた時の葛藤がきっかけで生まれました。てんかんによって差別や孤独を感じている人たちに「あなたは一人ではない」と伝えるために始まった活動です。今では、世界中で賛同が広がり、さまざまな活動が展開されています。参考:PURPLE DAY | The Anita Kaufmann Foundation日本では、全国てんかんリハビリテーション研究会の医師を中心としたパープルデー企画実行委員会や関係団体が、啓発活動に取り組んでいます。パープルデーにちなんだライトアップも各地で同時に行われ、その規模は年々拡大しています。世界に広がる「てんかん」啓発キャンペーンPURPLE DAYてんかんをもっと知ろう!パープルデーに合わせて開催される講演会&イベント2018年のパープルデーイベントとしては、まず「皇居RUN&WALK」が3月4日に行われました。このイベントでは、参加した人たちが紫の物を身につけて、皇居外周をそれぞれのペースで走ったり歩いたりして汗を流しました。出典 : 月26日に向けて、パープルデーの関連イベントはこれから数多く開催される予定です。みなさんも紫の物を身につけてパープルデーのイベントに参加してみませんか。出典 : 「チャレンジ」をテーマに開催。専門医によるてんかん講座や、地元アイドル・アーティストのパフォーマンスステージがあります。プロレスの特設リングでは「何事にもあきらめない気持ち」を伝えるために伝説のマスクマン「パープルマン」が戦うなどユニークな企画が盛りだくさんです。【日時】3月25日(日)11:00~16:00【場所】久屋大通公園名古屋テレビ塔下パープルデーNagoya2018出典 : パープルデー仕様の大型フラワーウエルカムボードが設置され、風船が配布されます。小児、成人のてんかん、教育関係者向けの公開講座や親子で参加できる紫の花を仕様したフラワークラフト教室、てんかんクイズラリーも計画されています。また、インスタグラムに「#パープルデイ大阪」「#パープルデー大阪」のハッシュタグをつけて投稿すると、公式ホームページに写真がアップされます。紫を取り入れた写真を投稿しパープルデーを応援する仲間とつながりましょう!【日時】3月24日(土)11:00〜16:00【場所】花博記念公園鶴見緑地・咲くやこの花館パープルデー大阪2018 鶴見緑地・咲くやこの花館 in 3/24東北大学病院てんかんセンター長の中里信和教授による啓発セミナーや東北ゴールデンエンジェルスによるパフォーマンスも予定されています。【日時】3月26日(月)18:00〜19:00【場所】楽天生命パーク宮城内イーグルスドームてんかん啓発活動「PURPLE DAY in イーグルスドーム」パープルデーについての展示、てんかんに関する相談会などを実施。来場者には紫色のグッズが配布配布され、数量限定で「パープル」にちなんでラベンダーの苗のプレゼントがあります。【日時】3月24日(土)25日(日)各日10:00〜16:00【場所】葵スクエアSBSラジオパーク会場てんかん啓発キャンペーン パープル・デー 静岡「もっと知ろう!てんかんのこと」と題し、市民公開講座や専門医の個別相談を行います。スペシャルサポーターにサッカーJ1のV・ファーレン長崎を迎えた特別企画もあります。【日時】3月25日(日)13:00〜16:30【場所】長崎県庁エントラスホール・大会議室パープルデーながさきシンボルカラーの紫にライトアップイベントの開催地や全国各地の名所でライトアップも行われます。パープルデーのシンボルカラーである紫色に照らされ、普段とは違った雰囲気になった街を散策しながら、てんかんについて考えてみませんか。出典 : 月26日鳥取駅前市道太平線バード・ハット鳥取市3月26日(月)バード・ハットで『パープルデー』ライトアップ演出を行ないます3月23日〜26日【場所】江ノ島シーキャンドル(24日〜26日)、川崎マリエン(24日〜26日)、横浜象の鼻パーク(23日〜26日)、横浜開港記念会館(25日〜26日)、大船観音(26日)てんかんパープルデーライトアッププロジェクト in Kanagawa3月15日〜28日静岡市役所ライトアップ・セレモニー ~市庁舎を紫に~パープルデー応援サイトFrom Shizuoka2018年3月26日長崎市稲佐山山頂電波塔パープルデーながさきまとめ出典 : 「てんかん」という言葉を聞いたことはあっても、正しい理解はまだ十分ではありません。パープルデーのほかにも、毎年2月の第2月曜日に国際てんかん協会と国際抗てんかん連盟が定める「世界てんかんの日」があります。今年は2月12日に日本てんかん学会、日本てんかん協会主催のイベントが開催されました。プログラムでは昨年秋の練習中に倒れ、てんかんによる発作だったことを公表し、注目されたサッカーJ1のコンサドーレ札幌FWのジェイ選手から寄せられたビデオメッセージも上映されました。クラブでは、薬の保管をしてジェイ選手をサポートするとしており、こうしたケースがモデルとなって社会に広がっていくことが望まれます。大発作が起こった際に、驚いて救急車を呼ぶ方は多いと思います。一方で小さな部分発作や、会話の途中にぼんやりとしてしまうなどの症状がある場合、数分でもとに戻ることから、てんかんではないかと疑うのは難しい場合もあるかもしれません。てんかん発作は場所や時間を選ばずに発症します。水辺にいるときや、入浴中、車の運転をしているときなど、日常生活を送る中で発作が起こる可能性もあります。本人がてんかんを打ち明けやすい環境をつくり、周囲の人がサポートすることで安心して生活を送れるようになります。そのためには、多くの人がてんかんについて正しい知識を身につけることが必要です。どんな人も生活しやすい社会になることを願って、3月26日のパープルデーには、イベントに足を運んだり、紫の物を身につけて応援の意思を示したりしてみませんか?取材協力:全国てんかんリハビリテーション研究会パープルデー企画実行委員会
2018年03月21日俳優のハリソン・フォードが、娘ジョージアがてんかん発作を患っていることを明かした。ニューヨーク大学ランゴーニ医療センター主催の「てんかんと脳卒中の治療を見つける(FACES)」イベントに出席していたハリソンは、ニューヨーク・デイリー・ニュース紙に対し「僕は彼女の忍耐強さや才能、強さをとても尊敬しているんだ。彼女は僕のヒーローだよ。とても愛しているよ」と娘への思いを告白。「愛する人がこの病気を抱えていると、計り知れないつらさにもなり得るよ。この病気が彼らの生活や将来、機会にどんな影響を及ぼすのかが分かっているから、病気の軽減の方法を何としてでも見つけたいと思うんだよ」と打ち明けた。また、ハリソンは同イベントのスピーチの中で、初めて娘にてんかんの発作に襲われた時、急性偏頭痛であると診断されたことも明かした。さらに、「その数年後、彼女はまた大きな発作に直面しました。マリブのビーチにいた時で運よくハリウッドの監督が彼女のその状況に気づいてくれたのです。僕は自分自身にここはロサンゼルス、世界で最も素晴らしい医師団がいる街だ。彼らなら間違いなくどこが悪いのかわかるはずだと思ったんです。しかしこの時にもてんかんの症状であるとは診断されませんでした」と続けた。そして、ジョージアがロンドンに留学しているときに再びこの症状に見舞われ、ニューヨーク大学に助けを求めた際、ジョージアがてんかんを患っていることがわかったという。「親愛なる友人のオリン・デヴィンスキー医師が、ジョージアがてんかんであることを発見した方です。彼は彼女のために正しい治療とセラピーを施してくださいました。それから8年、ジョージアは一度も発作が起きていないのです」と医師に対する感謝の気持ちを伝えた。(C)BANG Media International
2016年03月10日ハリソン・フォードが元妻メリッサ・マシソンとの間に設けた長女ジョージアがてんかんと闘ってることを明かした。ハリソンはニューヨーク大学のランゴン・メディカルセンターで行われた「FACES」 のイベントに参加。「FACES」はてんかんや発作の治療法を見つけることを目的とした団体である。「NY Daily News」の取材にハリソンは「私は娘の忍耐力、才能、強さを尊敬しているんだ。私にとってのヒーローだね。本当に愛している」と語った。また、世話になっている医師やFACESに感謝の気持ちも述べた。イベントでジョージアがてんかんと診断されたきっかけをスピーチしたハリソンによると、初めての発作を起こしたのは幼少の頃、お泊り会のとき。誰もてんかんの発作だとは思わず、ジョージアは「急性片頭痛」用の薬を飲まされてしまった。2回目の発作はその数年後、マリブのビーチで起きたが、ハリウッドの監督がジョージアを見つけてくれたおかげで事なきを得た。世界屈指の医師がいるロサンゼルスに住んでいても、ジョージアがてんかんであることを誰も診断できなかったという。そしてロンドンに留学中、再び発作が起きてしまった。ニューヨーク大学を頼ったところ、医師オーリン・デヴィンスキーによってやっと「てんかん」の診断が下され、ジョージアは適切な薬を飲み始めることに。そのおかげで現在26歳のジョージアは、「この8年間一度も発作を起こしたことがない」とハリソンは涙ながらに語った。(Hiromi Kaku)
2016年03月09日熊本大学は3月4日、脳波ではなく心電図をもとに算出した「心拍変動」という指標からてんかんの発作を高精度で予測することに成功したと発表した。同成果は、熊本大学大学院 先導機構・大学院自然科学研究科 山川俊貴 テニュアトラック助教、京都大学大学院 情報学研究科 藤原幸一 助教、東京医科歯科大学大学院 医歯学総合研究科 宮島美穂 助教らの研究グループによるもので、2015年12月24日付けの米科学誌「IEEE Transactions on Biomedical Engineering」オンライン版に掲載された。てんかんは脳の慢性的な疾患で、脳の神経細胞(ニューロン)に突然発生する激しい電気的な興奮により、発作を繰り返すという特徴がある。患者の約7割は抗てんかん薬の服用などで発作を抑制し、問題なく日常生活を営むことができるが、なかには薬の効きにくい難治性てんかんもあり、発作を予知する仕組みの開発が求められている。てんかん発作の予知の方法として心拍数を用いたものがあるが、従来の変動解析手法による分析方法では、平常時と発作前の差がわかりにくく、また個人差も大きいため、偽陽性が多く、実用化は困難と考えられていた。今回、同研究グループは、多変量統計的プロセス管理(MSPC:Multivariate Statistical Process Control)という工学的手法を用い、てんかん検査のために入院した患者14名の心電図データを解析した。この結果、91%という高い精度で発作を予知することができ、発作が起こる約8分前に予知することが可能であることがわかった。同研究グループは、今回の成果によってウェアラブル発作予知デバイスが開発されれば、発作が起こる前に、患者自身で安全を確保する対策がとれるようになると説明しており、現在、実際にウェアラブルてんかん発作予知装置の開発を進めている。すでに、東京医科歯科大学医学部附属病院や国立精神・神経医療研究センター病院などの複数の医療機関において臨床研究を進めているという。
2016年03月04日九州大学は11月20日、抗てんかん薬の1つである「バルプロ酸(VPA)」を妊娠マウスに投与すると、出生・成長した子供の脳で神経細胞(ニューロン)産生能が低下してしまい、学習・記憶に悪影響があることを確認したほか、この学習・記憶能の低下は、自発的運動によって改善されることも確認したと発表した。同成果は、九州大学大学院医学研究院の中島欽一教授、Berry Juliandi学術研究員らと、東北大学、星薬科大学、国立医薬品食品衛生研究所らで構成される研究グループによるもの。詳細は、国際学術雑誌「Stem Cell Reports」オンライン版に掲載された。これまでの研究から、てんかんを合併した妊婦の約2割がVPAによる治療を受けており、その妊婦から出生した子供は、他の抗てんかん薬による治療を受けた妊婦から出生した子供と比較して、認知機能が低下することが報告されているが、その原因などについてはよくわかっていなかった。今回、研究グループでは、VPA曝露によって出生した子供の認知機能が低下する原因として、海馬のニューロン新生の異常に着目して研究を行ったという。具体的には、妊娠マウスに対し、ヒトにおける妊娠4週から6週に相当する期間にVPAを投与。投与しなかった場合と比べて、その後の胎仔の脳において通常より多くのニューロンが神経幹細胞から産生されるとともに、神経幹細胞自体の増殖が抑制されることを発見したという。また、胎仔期VPA曝露マウスでは成体期における神経幹細胞の数が少なく、それに伴って新生されるニューロンの数が減少すること、ならびに新生ニューロンの形態的・機能的な異常があることも発見。こうしたマウスでは学習・記憶機能に異常があることも確認したとする。されに研究グループでは、この障害はどのように改善することができるのかについての調査も実施。これまでの研究から自発的な運動が、海馬におけるニューロン新生を亢進させる作用があることが分かっていることから、胎生期VPA曝露マウスの飼育箱に回し車を設置し自発的な運動を行わせた結果、成体海馬で神経幹細胞の増殖やニューロンへの分化が促進するのみならず、新生ニューロンの形態的、機能的な異常も改善できることが分かったほか、マウスの行動解析より学習・記憶機能が改善することも確認されたという。今回の成果を受けて研究グループでは、胎生期VPA曝露による成体期認知機能障害のメカニズムが明らかとなったことに加え、自発的運動といった薬物治療に頼らない方法で、その晩発性影響を改善できることが示されたとしつつも、この知見をヒトに応用する場合、運動療法をどの程度の強度、期間で行うかなど、検討すべき点が多くあるため、今後は神経幹細胞への晩発性影響がどのような機序で引き起こされているのかをより詳細に明らかにしていくことで、自発的運動による改善法に加えて他の改善方法の開発を行い、それらを併用していく必要があるとコメントしている
2015年11月20日米Appleは10月15日(現地時間)、「ResearchKit」を用いたプログラムを通じて、自閉症、てんかん、メラノーマの研究が始まったことを発表した。ResearchKitは、医学・医療研究用のiPhoneアプリを開発するためのオープンソース・ソフトウエアフレームワークである。医学・医療研究の進歩は研究データの量が多いほど加速する。Appleは人々が身近なiPhoneを使って、プライバシーを保護しながら安全にデータを提供できる環境を整えることで、より多くの人たちから頻繁に健康状態や症状、活動状況などのデータを収集できるようにした。すでにパーキンソン病、ぜんそく、乳がん、心臓血管疾患、糖尿病などの研究にResearchKitが活用されており、Appleによると100,000人以上がプログラムに参加してデータを提供している。自閉症研究は、デューク大学のDuke Medicineが「Autism & Beyond」というアプリを開発した。子供たちにiPhoneでビデオを見せて、その反応を前面カメラで記録し、独自のアルゴリズムで発達障害の可能性を検出する。てんかんには、ジョンズホプキンス大学が「EpiWatch」という医療アプリを開発した。これはApple Watchアプリを用いる。発作の兆候を感じた時に、コンプリケーションからワンタッチでEpiWatchを起動し、加速度センサーと心拍センサーでデータを記録、近親者にアラートを送信する。発作が治まるまでアプリはデータの記録を続ける。アプリはまた、薬の使用のトラッキングや副作用のスクリーニングといった管理もサポートする。メラノーマについては、オレゴン健康科学大学がiPhoneで撮影したデジタルイメージから痣の大きさの変化とメラノーマのリスクの関係を調査し、早期の対処に役立てる。 研究参加者は痣の変化のデータを自身の医師とも直接共有して、治療に役立てることが可能。
2015年10月16日岡山大学は、1920年代に開発され、未だに既存の治療薬が効かないてんかん患者に効果を発揮する難治性てんかん治療薬である「ケトン食療法」の仕組みを解明することに成功し、ケトン食療法に基づく新たなてんかん治療薬が開発可能であることを示すことに成功したと発表した。同成果は、同大大学院医歯薬学総合研究科(薬)の井上剛准教授、佐田渚大学院生らの研究グループによるもの。詳細は2015年3月20日付で米国科学振興協会(AAAS)発行の科学誌「Science」に掲載された。てんかんは、脳が発する電気活動の過剰興奮を特徴とし、全人口の約1%が罹患していると言われているが、そのうちの約3割の患者は、既存のてんかん治療薬でコントロールできない難治性てんかん患者で、そうした患者には1920年代に開発されたケトン食療法が効果的であることが知られていた。今回、研究グループはケトン食が引き起こす代謝変化が、どのように脳の電気活動を変化させるのか調査。その結果、脳内のグリア細胞から神経細胞へ乳酸を運ぶ代謝経路が、電気活動に重要であることを発見したほか、この乳酸経路上に位置する乳酸脱水素酵素を阻害することで、電気活動が抑制され、てんかんマウスの発作が抑えられることを確認したという。さらに研究グループは、乳酸脱水素酵素を阻害する化合物の探索も実施。その結果、小児の難治性てんかんの治療薬として近年承認されたスチリペントールが、乳酸脱水素酵素の阻害剤であることを見出したほか、スチリペントールの化学構造を変化させることで、より強力な抗てんかん作用を示す乳酸脱水素酵素阻害剤となることを見出したとする。今回の結果について研究グループでは、乳酸脱水素酵素とスチリペントール類似体を用いることで、新たなてんかん治療薬開発の具体的な道筋を示すことができたとしており、今後、今回の知見を生かし、代謝を制御する分子(代謝酵素)を標的とする新たなコンセプトのてんかん治療薬の開発が期待できるようになるとコメントしている。
2015年03月24日生理学研究所(生理研)などの研究グループは12月9日、遺伝性てんかんのひとつである常染色体優性外側側頭葉てんかん(ADLTE)の原因がタンパク質の構造異常に基づくことを見出し、薬剤で異常タンパク質を修復することによりてんかんが軽減することを明らかにしたと発表した。同成果は同研究所の深田正紀 教授、同 深田優子 准教授、同 横井紀彦 特任教授、北海道大学医学部の渡辺雅彦 教授、蘭Erasmus大学のDies Meijer 教授、東京大学先端科学技術研究センターの浜窪隆雄 教授らの共同研究によるもの。12月9日付け(現地時間)の米科学誌「Nature Medicine」に掲載される。同研究グループは、遺伝性側頭葉てんかんの原因遺伝子LGI1に注目し、ヒトの側頭葉てんかん患者で見られる22種類のLGI1変異を体系的に解析し、「分泌型」と「分泌不全型」の2種類に分類した。その後、「分泌型変異」あるいは「分泌不全型変異」を有する変異マウスを作成し、LGI1の変異がどのようにしててんかんを引き起こすのかを調べた。その結果、分泌型変異マウスでは、LGI1は細胞外に分泌されるが、受容体との結合が阻害されることを見出した。一方、分泌不全型変異マウスでは、LGI1がタンパク質の構造異常のため細胞内で分解されてしまい、脳の中で正常に働くLGI1が減少してしまっていることがわかった。これらの結果により、いずれの場合も、LGI1が本来の作用点である受容体と結合することができないことが、同てんかんの分子病態であると考えられるという。さらに、同研究グループは、たんぱく質の構造を修復しうる低分子化合物が分泌不全型LGI1の構造異常を改善し、分泌を促進することを突き止め、てんかん感受性が改善することを発見した。今回の成果は、タンパク質の構造異常に基づくてんかん治療に広く応用されることが期待される。
2014年12月09日子宮頸がん・ヒブワクチン接種費の半額負担に山口県長門市は、子宮頸(けい)がん予防ワクチンと乳幼児の細菌性髄膜炎を防ぐヒブワクチンの接種費用を助成するため、「すこやかながとワクチン基金」を設立、来年度から接種費用の半額を助成するとのこと。これは、朝日新聞が報じたもの。基金の設立を働きかけた市内の医療法人社団成蹊会岡田病院の岡田和好院長らが4日、市役所を訪れ、南野京右市長に原資として病院が500万円、成蹊会職員一同(290人)が30万円を寄付したという。病院開設50周年を記念して寄付をしたという岡田院長は、「地域医療に役立ててほしい」と話しているという。国内で承認されている両ワクチン、若年接種が効果的子宮頸がんは20~30代の女性に多く、国内で年間約1万5千人が発病、約3500人が死亡している。また細菌性髄膜炎は、5歳以下の子どもが罹り易く、国内で年間約600人が発症し約5%が死亡、20~30%に難聴やてんかん、発育障害などの後遺症が残るとされる病気だ。いずれのワクチンも国内で承認され、子宮頸がん予防ワクチンは小学生から中学生の間に、ヒブワクチンは乳幼児の頃に接種すれば効果的といわれている。一般の医療機関で接種できるものの、現時点では保険の適用がなく、任意接種となっており、費用は子宮頸がんワクチンが計3回接種で約4~6万円、ヒブワクチンは計4回接種で約3万2千円という。現在、全国的に接種費用の公的負担の動きが出てはいるが、長門市では来年度、市の持ち出しも含め、中学3年生の女子約170人と乳幼児約1400人を助成対象にするといい、子宮頸がん予防ワクチンへの助成は県内初、ヒブワクチンへの助成は宇部市に次いで2例目とのことだ。
2010年10月07日