「子どもの足のにおいが酷い」というのは、スポーツをする子どもの親の困りごとですよね。サカイクのSNSでも約40%の方が悩んでいることがわかり、自宅でどんな対応をしているかアンケートを行ったところ、さまざまな対処法が寄せられました。前回はその対処法について医学的に効果があるのかを医師の桑満おさむ先生にお答えいただきました。そして今回は、それらの根拠となる「足のにおいの原因と対策」について、根本からお話しいただきます。記事の最後に、医師がおすすめする足のにおい対策をご紹介します。今すぐできるのでぜひ実践してみてください。(取材・文:小林博子)意志がおすすめする「足のにおいの原因と対策」について<<前編:これって正しいの?サカイク読者が実践している足のにおい対策について医師に聞いたサカイク公式LINEアカウントで子どもを伸ばす親の心得をお届け!■足のにおいの原因は?医学的な根拠を解説お子さんの足のにおい対策に日々奮闘されている親御さんが多いとのこと。すでに成人していますが、私も2人の子どもを持つ父親なので、そのお気持ちはとてもよくわかります。今回は私が前回の記事でお答えした足のにおい対策の効果の根拠を医学的なエビデンスをもとに解説します。サカイク読者も約40%が悩んでいるサッカー少年少女の足のにおい■足のにおいの原因は「イソ吉草酸いきなり難しい言葉を出してしまいましたが、ずばり、足の臭さを作り出す成分の名前は「イソ吉草酸(いそきちそうさん)」です。名前は覚えなくても大丈夫!この成分の濃度が悪臭の強さに比例するという論文が発表されています。つまり、イソ吉草酸が濃くなると、足が臭くなるというわけ。濃くなる原因は、ばい菌の繁殖です。足のばい菌が増える理由は汗や古い角質、水虫など。水虫になっている場合は医療の力で治療するとして、ご家庭でできる対処法は汗と古い角質ということがわかります。サッカーする子どもを伸ばす親の心得「サカイク10か条」とは■足は菌が繁殖しやすいではなぜ、サッカーキッズは足がキョーレツに臭うのでしょうか。その理由の1つはトレーニングシューズやスパイクにあり、蒸れやすく熱がこもりやすいから。シューズの中はばい菌が大好きな環境なのです。とはいえ汗をかかなくするのは無理なので、汗をかいてもばい菌が繁殖しにくい環境にしておくこと=古い角質や汚れを極力なくすことが対処法といえます。前回の記事で「爪を短く切る」「ゴシゴシ洗うのはNG」「ブラシでこすらなくてもOK」などとお伝えしたのはそんな理由からです。トレーニングシューズやスパイクは群れやすく熱がこもりやすいので、ばい菌が繁殖しやすい■「腰から下」はばい菌の生息地ちなみに、医療の世界では床に近づくほど「菌」が多いというのが常識で、腰から下はばい菌が多いとされています。ドラマや映画で観る手術前のシーンでは、医師が手を消毒後に両腕を上げて歩いていますよね。腰より下に手を下げないようにしているからです。それゆえ、シューズの中は蒸れやすいのはもちろん、そもそも床に隣接する足はばい菌が多いのです。臭くなりやすい原因はそれもあります。■足のにおいの発信源は、ずばり「足先」足が臭うといっても、足の中でも特に臭いやすい=「ばい菌が繁殖しやすい」ところがあり、それは足先。足の裏全体と思われがちですが、実はかかとや土踏まずあたりより、足指のにおいが強いんです。理由は汗が一番多く出るのが足の指だから。ヒトの足の汗は圧がかかることで出ます。これはもともと、足の指でも何かを掴むことがあったことに由来しているそう。適度な水分=汗ですべりにくくするためです。走ったり蹴ったり止まったりというサッカーの一連の動作で酷使される足の指は、常にプッシュされていますよね。だから、足指から汗の量が多くなりがちです。さらに、ソックスの中で足の指と指が密着していることで、他の部位より蒸れます。ばい菌が繁殖する条件が整ってしまいますよね。前回の記事で「指の間を丁寧に洗う」「厚手のソックスや5本指ソックス」を推奨したのはこれが理由です。■医療に頼る方法もありますなお、あまりにも足の汗が多く日常生活がままならないほどの人は「原発製足蹠多汗症」である場合も。最近、手汗が多い人のための薬のテレビCMが流れていますが、その足バージョンもあります。その場合は医師の診断のもと、塗り薬を処方してもらうことも可能ではあります。■家庭にある「消毒用アルコール」が足臭対策にそもそも菌が繁殖しないために、足にある菌を減らしておくことが有効です。ばい菌が繁殖しないようにするには、除菌や殺菌をして元となる菌の母数を減らすことが効果的なのです。前回の記事で洗った後のシューズや靴下は「高温で乾かす」などは除菌・殺菌のためですが、もっとおすすめなのは、コロナ禍を経て一家に1つは必ず常備しているであろう消毒用アルコールジェルを足に使うことです。これにより繁殖のもととなる菌自体が除菌されるからです。スプレーや液体よりジェル状のものが足にも塗りやすく、またシート状のものよりもコスパよく毎日使えるでしょう。足にしっかりと塗り込んでください。なお、これから購入する場合はアルコール濃度が70%以上のものを選んでください。■医師がおすすめ!今日からできる足のにおい対策まとめると、みなさんに実践してもらいたい足のにおい対策は以下になります。どれも特別なものは使わず、ちょっとの手間で実践できることばかり。ぜひ今日からやってみてください。①朝、ソックスやシューズを履く前・消毒用アルコールジェルを足指まわりを中心に塗る・爪はよく着れる爪切りで肌に傷がつかないよう切っておく(ラウンドカット推奨)※前日夜の入浴後にアルコール除菌ができていれば、朝はマストではありません②練習や試合後、帰宅前・履いていたソックスを脱ぎ、足を濡れタオルやウエットティッシュで拭く・汗をよく吸うソックスに履き替える※友達の洗濯物を間違えて持ち帰ってしまわないように注意してください。各家庭にいる「菌」はそれぞれなので、他の家庭の菌を家に入れてしまうと、菌の種類が増え、繁殖する母体が多くなることに繋がります。③帰宅後【お風呂で】・殺菌成分を配合した薬用の石鹸やボディソープを使う・足の指まわりを中心に、きめ細かな泡を使ってやさしくしっかり洗う・できれば爪の間も泡が行き届くように洗う※固いスポンジを使うより、手の指で洗うほうがベター。泡ででてくるポンプ式のボディソープなら、理想的な泡上になっているので子どもには特におすすめ。【お風呂あがり】・消毒用アルコールジェルを足指まわりを中心に塗る・床の上を裸足で歩かない④洗濯とシューズの管理編【洗濯】・帰宅後すぐ、子どもに予洗いをしてもらう・ソックスは裏返して洗う・高温で乾かせる乾燥機で乾かす・カビが気になる場合は酸素系漂白剤を使う【シューズの管理】・同じシューズを毎日履かない■食べ物まで制限する必要はなしちなみに、におい対策として汗や尿を臭くする食材(ニンニクやアスパラガス、タマネギなど)を控えた方がいい?と思う親御さんもいらっしゃるかもしれませんがそこまでしなくても大丈夫。成長期のお子さんは特に、好きなものをバランスよく食べさせてあげてください。■母親が息子のにおいを「臭い」と感じるのは本能最後にトリビア的なお話をしますが、母親が息子のにおいを臭いと感じるのは、実は生物学的にも説明がつく現象です。女性は近親相姦を避けるため、異性の血縁者のにおいに敏感になるのだとか。娘が父親のにおいを嫌がりがちなのも同じ理由です。もしかしたら我が子の匂いは家族以外にはそこまでではないのかもしれないと思うと、少しだけ心が軽くなりませんか?お母さんたちが「息子の足が臭い!」と話すとき、深刻な臭さに悩みつつも、笑い話として盛り上がりますよね。その表情は、実は困っているというよりは幸せそうにお見受けします。そんな幸せなお悩みだからこそ、ご紹介した対策で上手に付き合っていきましょう。桑満おさむ 五本木クリニック 院長泌尿器科専門医。1997年に東京都目黒区に一般医療と美容医療の総合クリニックである五本木クリニックを開院。著書に『"意識高い系"がハマる「ニセ医学」が危ない! 』(扶桑社)があるほか、自信のYouTube「桑満おさむちゃんネル」やTwitterなどで、日々情報発信を続けている。サッカーする子どもを伸ばす親の心得「サカイク10か条」とは
2023年10月17日気温がぐっと低くなり冷え込んでくると、風邪や季節性の病気が流行しやすくなります。そこで、予防として大切になってくるのが「手洗い」と「うがい」の徹底です。手洗いはできても、うがいがなかなか上手にできないという小さな子どもを“うがい上手”にする方法を、2歳の次男の実体験をまじえて紹介します。「ブクブクうがい」と「ガラガラうがい」の違いブクブクうがいは口の中の洗浄、ガラガラうがいは喉の洗浄のために行うもの。ウイルス対策には、ガラガラうがいの方がベストですが、ブクブクうがいでも多少の効果はあるので、やってみることがおすすめです。個人差はありますが、うがいは2~3歳でできるようになり、ブクブクうがいから先にできる子どもが多いと言われています。まずは、歯みがきのあとにするブクブクうがいをマスターしてから、ガラガラうがいの練習をするとスムーズです。うがいを練習する前に準備しておくことわが家では、うがいの実践に入る前に、まずは「うがい」ってなに?ということを理解してもらい、子どもの意欲を刺激することから始めてみました。・絵本や歌からのアプローチうがいに特化した絵本は少ないものの、歯みがきの絵本なら多くあります。絵本の中の歯みがきシーンでは必ずと言っていいほど、磨いたあとのブクブクうがいが登場するため、絵本の読み聞かせの中で、うがいの習慣を身近にしておきました。また、絵本以外には教育テレビで扱っている『はみがきじょうずかな』や『カエルのうがい』の歌がおすすめです。・好きなキャラクターのコップを選んでもらううがいを練習する年齢の子どもは、なんでも自分でやりたい期です。うがい用のコップは、好きなキャラクターや色のものを“自分で”選んでもらうと練習する意欲を楽しみながらもってもらえると思います。保育士さんがやっている方法を聞いてみました現役の保育士さんに、子ども達にうがいを教えるときはどのようにしているのかを聞いてみたところ、歯みがきからの流れで前述の『カエルのうがい』を歌うことや、ガラガラという音だけでなく、声の高さや大きさを変えながら抑揚をつけて楽しさを取り入れる方法で行っているとのこと。やはり、子どもに何かを教えるときには楽しみながらということがポイントのようです。お兄ちゃんをお手本に、いざ実践!のんびりマイペースなわが家の次男は2歳4か月。風邪やインフルエンザが流行する季節を迎える前にうがい上手になってもらうべく、練習開始です。すでにうがいマスターの5歳の長男にお手伝いをしてもらい、チャレンジしました。1.コップに水を入れずに、うがいのマネをするブクブクうがいは、口の動きをよく見せ(長男は「お水をむしゃむしゃするんだよ」という表現で教えていました)、ガラガラうがいは顔を上に向けて声を使ってマネをして見せます。2.ブクブクうがい→ガラガラうがいの順にお手本を見せる3.コップに水を入れて、口に含んで吐き出すことを一緒にやる4.(ブクブクうがいができるようになったら)ガラガラうがいは色々な声や音で変化をつけて、飽きずに繰り返し練習できるようにする※慣れるまではお風呂に入るときにやると濡れてしまうストレスから回避できます大人がやってみせるよりも、年齢が近い5歳のお兄ちゃんにお手本になってもらう方が効果的でした。練習を始めるまでは口に含んだ水を飲んでしまっていた次男でしたが、意外なことに1日目の数回の練習でブクブクうがいをマスターし、ガラガラうがいは3日目でできるように!予想以上に早く身についたことに驚きました。うがいが上手にできるようになると、病気にかかるリスクが少しでも軽減されると思います。親子で楽しみながら練習をしてみてくださいね!
2018年11月06日食育のためにも、子どもに料理のお手伝いをさせたいけど、具体的に何をどうさせたらいいかわからない、というお母さんは多いのではないでしょうか? 私も3歳の息子にときどきお手伝いをしてもらいますが、ついつい口や手を出してしまうことが多く、悩んでいる一人です。そこで、2歳の子どもから通える料理教室「Little Chef Cooking」を主宰する武田昌美さんに、子どもが自分で料理を作れるようになるために、お母さんが気をつけるポイントと、一緒に楽しみながら作れるレシピを伺いました。武田昌美さん子供料理研究家。フランスで料理の修行をしていた父の影響を受け、幼少の頃から料理に興味を持つ。航空会社にて客室乗務員をしながら、各地の料理や文化に触れ、知識を深める。2人の子どもの親となり、多くの子どもたちに料理の楽しさ、食の大切さを伝えていきたいと強く願い、2歳児から始められる料理教室を主催する。保有資格は、フードコーディネーター、スパイスマイスター、食品衛生責任者。HP: instagram: @littlechefcooking , @masamis__kitchen ブログ: ■「入れる順番を間違えても、ケーキはできる」4歳と1歳、2人のお子さんを持つ武田さん。子どもの頃からフランス料理の修行していたお父さまに、やさしく教えてもらったことが料理好きの原点なのだとか。「両親は怒らない人だったので、楽しんで料理をすることができたんだと思います。私も子どもと一緒に楽しめることを、と考えて子どもが通える料理教室をはじめました。そこで、『野菜洗いと葉物ちぎりをさせてみたものの、危ない気がしてその先には進めない…』と、悩みを抱えているお母さんが多いことを知りました。しかし、それではお子さんは料理らしいことをできず、不完全燃焼となってしまいます」料理教室で一番伝えたいのは、「失敗しても大丈夫」ということだと言います。「『なんでもできるよ、失敗しても大丈夫だよ』と伝えて、子どもたちには自信を養ってほしいです。料理は失敗しても、いくらでもリカバーできるのがいいところ。入れる順番を間違えてもケーキはちゃんとできるし、卵を割り損ねちゃっても、まだたくさんあるし、割ってしまった卵でもう一品何かできるよねって。プラスの発想ができるように、いつも考えています。失敗してしまっても、それが生かせるということを、実体験を通して感じてほしいと思っています。もし卵を床に落としてしまったら、もちろん捨てるしかないですが、『大丈夫。今回はテーブルと離れていたから落としちゃったんだね。じゃあ今度はもっと近づいてやってみようか』と声をかけて、失敗とはみなさないようにしています。『なんで割っちゃったの?』と言ってしまうとそこで終わり。“成功へ一歩、また近づいたね”というスタンスでいてあげることが一番大事です。教室はいつもと違う環境なので、お母さんもそう言ってあげようと思ってくださったら嬉しいです」■料理を始める前に、最初に伝えたい3つのことそんな武田さんの料理教室では、最初に3つのことを必ず伝えるのだと言います。「料理で怖いのは、怪我をしてしまうこと。真剣にやらないで、ふざけてしまったために起こる事故が一番危険です。包丁を振り回したり、大やけどをしてしまったり、手洗いを徹底せずにバイキンの温床を作ってしまったり…。料理を始める前に、まずお母さんが、火・刃物・ばい菌の3つのことを説明して、危険なものを理解させることが大切です」●火について「最初に、火の近くでちょっと手をかざして“熱い”を体感してもらったり、必要に応じて火事の画像を見せて、“火は怖いもの”だから、火を扱うときは真剣に取り組むこと、大人がいないときは絶対に火はつかってはいけないことを伝えます。その代わり、火を使うといろいろなことができて便利だから、実際に使うときは「思い切ってやってみよう」と、危険性を伝えた後に信頼させる。『危ないからダメ』と遠ざけず、多少の怪我は覚悟で、小さいうちからどんどん慣れていってもらいます。『怖いから嫌』という子は、もしかしたらまだ時期ではないのかもしれないので、やりたくなるまでその子の時期を待ってあげてください」●刃物について人気の「包丁レッスン」では、手作りの包丁を使って、しっかり教えるのだそう。「まずこのダンボールで作った包丁で、“簡単に人を傷つけてしまう危険なもの”、“慎重に扱わなければいけない”ことを伝えます。『こんなに危ないんだよ』『こうしたら手を切っちゃうよね」『人に向けちゃダメだよ』『置き方はこうだよ』とルールを説明するんです。包丁は鉛筆やお箸と一緒で、持ち方が大切。まずは、切りやすい“押し切り”(包丁を前に押し出すように切る)の練習をします。練習のときからひとりでやってみて、もし間違っていたら『それもいいけど、こっちにしてみようか』と否定はせずに、やりやすいやり方を教えます。子どもも考えてそうやっているので、小さな大人だと思って接することがポイントです」火と刃物は、小さな怪我をしたとしても、そこから学んで大きな怪我を防ぐ、というおおらかな気持ちが大切なのだそう。「いくら『触ったらダメ』だと言っても、触りたいものは触りたいんですよね。触ってみて、痛かったら『痛いね』って感じてもらう。大きな怪我になる前に危ないことに気づくためにも、自分で体験することが大切ですね」●ばい菌について調理は食材を直接手で扱うので、手を洗うこと「子どもはばい菌という概念もよくわからないと思うのですが、『汚い手で作った料理を出されたら嫌だよね』と伝えて、作り手として成長してほしいなと思います。小麦粉をばい菌に例えて、手につけて物を触ってもらい、どのように移っていくのかを実際に体験してもらうと、一目瞭然で子どもにもわかりやすいですよ」「しっかり説明をすると、料理をするときだけは『お母さんの言うことを聞かなきゃいけない』という、子どもなりの緊張感が生まれます。きっとすぐ忘れてしまうので、その都度、100回でも200回でも言えばいいと思います。何度も言うのはイライラしてしまうと思うのですが、子どもに『この間言ったでしょ?』は通用しないので、大事なことだから何度でも言う。そのうちに身についていきますよ」と武田さん。説明が終わったらいよいよ料理スタート! 次回は子どもにきちんと役割を作った、大人も子どもも大満足のレシピをご紹介します。【子どもに料理を教えたい!】
2018年05月02日