2003年に新国立劇場のために井上ひさしが書き下ろした「東京裁判三部作」の第二作目『夢の泪』(第一作『夢の裂け目』、第三作『夢の痂』)が、初演から20年以上を経た2024年にこまつ座で初上演される。この作品は、戦争と東京裁判を当時の市井の人々の生活を通して見つめ、その真実を問い直すという意欲作である。昭和21年4月から6月にかけての新橋駅近くの法律事務所を舞台に、弁護士・伊藤菊治の波瀾万丈な生活を描く。菊治は、7回も司法試験に落ちたものの腕利きの女性弁護士秋子と結婚し、亡父の開設した法律事務所で働きながらも女性に弱い性格が原因で離婚寸前になる。そんな中、秋子が東京裁判においてA級戦犯・松岡洋右の補佐弁護人になる依頼を受ける。菊治も宣伝のため、また秋子との関係修復のために松岡の補佐弁護人になることを決意する。だが、東京裁判に関しては、裁判そのものの意味や弁護料の問題など難問が山積みで――。演出を手がける栗山民也は、「人間である以上何度も躓き後悔を繰り返しますが、それでもこの正体のわからぬ世界や人間の在り方について、いつも考えなくてはならない」と述べている。そして、現在地球で起こるさまざまな不条理に対し、「確かなまなざしを持つことが必要なのです」と力説。この劇が現在を映し出す作品となることを期待している。笑いと音楽をふんだんに盛り込み、数々の名曲を生んだこのシリーズ作品の一作でもある本作。菊治役・ラサール石井、秋子役・秋山菜津子のほか、瀬戸さおり、久保酎吉、粕谷吉洋、板垣桃子、藤谷理子、前田旺志郎、土屋佑壱、朴勝哲(ピアノ)が出演。上演は4月6日(土)から29日(月・祝)まで。5月に全国公演を予定している。昨年40周年を迎えたこまつ座では、「昭和庶民伝三部作」から『きらめく星座』、『闇に咲く花』を上演し、21年ぶりの再演となる『連鎖街のひとびと』も上演した。2024年は井上ひさし生誕90年にあたり、本作のほか、『母と暮せば』(8月)、『芭蕉通夜舟』(10・11月)、『太鼓たたいて笛ふいて』(11・12月)の上演を予定。井上ひさしの劇世界を通じて、多くの人々にメッセージを伝えることを目指す。<公演情報>こまつ座 第149回公演『夢の泪』作:井上ひさし演出:栗山民也出演:ラサール石井秋山菜津子瀬戸さおり久保酎吉粕谷吉洋板垣桃子藤谷理子前田旺志郎土屋佑壱朴勝哲(ピアノ)2024年4月6日(土)~4月29日(月・祝)会場:東京・紀伊國屋サザンシアター TAKASHIMAYAその後、5月に全国公演を予定チケット情報:()公式サイト:
2024年01月27日小芝風花が主演を務め、川村壱馬、黒羽麻璃央、西田尚美、池内博之、渡辺裕之ら若手からベテランまで個性的な実力派俳優が集結する『貞子DX』。木村ひさし監督こだわりの演出法に迫る。本作は、「見た者が必ず一定期間ののち死に至る」という“呪いのビデオ”の恐怖を描き、呪いがビデオを介して拡散されるという衝撃的な設定が世界中を震撼させた最恐ホラーの最新作。現代社会に適応しSNSで<拡散>される貞子の呪いと、<呪いの方程式>を解明しようとする主人公たちの対決を描いた超体感型・謎解きタイムサスペンスホラーとなっている。本作でメガホンをとったのは、放送開始から20年以上経ったいまも根強いファンを持つ大人気ドラマ「TRICK」シリーズや、「99.9-刑事専門弁護士-」シリーズ、『屍人荘の殺人』、『仮面病棟』などで演出や監督を務める木村ひさし監督。貞子シリーズには初参加となった木村監督だが、現場で製作陣を驚かせたのが、次々と生み出されるアイディアと、迅速かつ適切な判断力だったという。役者の動きに合わせて、監督がちょっとした一言二言のセリフを加えることで登場人物と物語に深みが与えられていったそう。その様子を現場で見ていた、長年貞子シリーズへ携わっているプロデューサーは「キャラクターたちの生きたやりとりが、演者の特性に合わせて生み出され、日々の撮影の中で登場人物が生き生きと存在していくのが驚きでした」と、木村監督ならではのセンスが光る演出を称賛する。また、1作目である『リング』公開時は呪いによって死に至るまでの時間が<7日間>だったのに対し、本作ではなんとタイムリミットが<24時間>に。24時間という僅かな時間の中で複数の登場人物が同時に呪われていくということや、死までの時間が迫りゆくその切迫感を視覚的に見せたいという意図から、カウントダウンと同一画面上で複数の画面を見せる木村監督こだわりのスプリット・スクリーンを導入。先日行われた完成披露試写会では、現場でも愛用していた私物のメガホンを持参しキャスト陣や観客の笑いを誘った木村監督。『貞子DX』のエンドロールの後には、とあるラストシーンが挿入されているが、そのアイディアは木村監督が編集作業中に思い付き追加撮影が行われたものだという。木村監督が「自分の隠れた引き出しを表現できた良い作品に仕上がった」と自信を覗かせる現代版貞子が、観客の不安感を煽る斜めの画面分割に注目だ。『貞子DX』は10月28日(金)より全国にて公開。(text:cinemacafe.net)■関連作品:貞子DX 2022年10月28日より全国にて公開©2022『貞子DX』製作委員会
2022年10月22日「いろいろ床に落ちている」そんなコメントとともに、Twitterに写真を投稿したのは、だるやまだるこ(@IngDardar)さんです。だるやまだるこさんは、自宅の床の光景を撮影し、Twitterに投稿しただけで、5万件以上の『いいね』を集めました。多くの人をクスッとさせた、実際の写真をご覧ください。色々床に落ちている pic.twitter.com/bWK624krFy — だるやまだるこ (@IngDardar) March 15, 2022 確かに、落ちている…犬が!!床には、タオルや犬用のおもちゃに紛れて、だるやまだるこさんの愛犬である、ダルちゃんが『落ちて』いました!タイルカーペットが心地よかったのでしょうか。目を閉じている様子からは、眠っているように見えます。ピンと伸びた前脚やぬいぐるみのようなコロンとしたフォルムに、癒されますね…。投稿には「うちの子と似ている」「我が家の犬もよく落ちています」といった共感の声や、「かわいすぎて笑った」「置物みたい」といった感想が寄せられました。ちなみに、ダルちゃんはその後、日当たりがよい場所に移動したのだとか。ダルちゃんはこれからも、たくさん遊んでたっぷり寝て、元気に過ごしていくのでしょうね![文・構成/grape編集部]
2022年03月17日井上ひさしの同名小説を原作とした、朗読音楽劇『ブンとフン』が、A.B.C-Z橋本良亮主演で「NHKラジオドラマ よみステージ」として、8月25日(水)〜9月2日(木)に東京・よみうり大手町ホールで、9月11日(土)、12日(日)に大阪・サンケイホールブリーゼにて上演されることが決定した。「NHKラジオドラマ よみステージ」は、NHKで1925年から放送し続けているラジオドラマを基にした朗読音楽劇。『ブンとフン』は、その第1弾となる。『ブンとフン』は、もともと井上がNHKラジオのために書き下ろし、ラジオドラマの枠をぶち壊す破格だと話題を呼び、書籍化された作品。令和版ではさらに、オリジナル楽曲による歌唱が予定されるとともに、脚本、演出を担当したG2により、NHKラジオドラマ版と小説版を合わせたものとなるという。主演の橋本が演じるのは、売れない小説家のフン。橋本は本作の出演にあたり、「1969年に産声を上げた『ブンとフン』を、半世紀を超え私自身が表現出来ると聞いたときは高揚感を覚えました。井上ひさしさんが作り上げたものに黒柳徹子さんが魂を込めて表現された作品。井上さんのユニークな作品を数々世に出されたルーツをG2さんの演出で早く皆様にお届けしたい気持ちでいっぱいです。ぜひ、この世界観を味わっていただけたら嬉しいです」と意気込みを語った。当時、黒柳徹子が演じたブン役には、ドラマや映画の出演が続く浅川梨奈に決定。そのほか、大高洋夫、松永玲子、林田一高、鹿野真央、升毅らが脇を固めた。浅川は、「朗読と音楽とが合わさった、初めての挑戦にとてもワクワクしています。本を読ませて頂きましたがとても面白い作品だと感じたので、見てくださる皆様の心に届く音楽劇をお届けできたらと思います」とコメントしている。脚本・演出のG2は、「まさかこんな形で井上ひさし作品と関わるとは夢にも。今回はラジオドラマ版をベースに小説版や戯曲を取り入れ、新鮮な息吹を吹き込んで令和の時代に甦らせます。声と音だけの制約を逆に利用して、皆さまを爆笑の渦と不思議な“愛”の世界に誘います 」と語った。『NHKラジオドラマ よみステージ 音楽劇「ブンとフン」』8月25日(水)〜9月2日(日)東京・よみうり大手町ホール9月11日(土)・12日(日)大阪・サンケイホールブリーゼ【出演】 橋本良亮(A.B.C-Z)浅川梨奈大高洋夫松永玲子林田一高鹿野真央升 毅【原作】 井上ひさし【脚本・演出】 G2【音楽・演奏】 かみむら周平【チケット料金】 全席指定 8,500円(税込)【チケット発売日】8月1日(日)10:00〜一般発売開始予定
2021年06月28日日本で親しまれ続けてきた名作をおくる新国立劇場のシリーズ「人を思うちから」。その第三弾となる井上ひさし作『キネマの天地』が6月10日(木)より開幕した。本作は山田洋次監督の映画『キネマの天地』(1986年)に作者のひとりとして参加していた井上が、その続編として書き下ろした戯曲。映画とは内容が異なり、4人の女優たちが巻き込まれる殺人事件をめぐる物語が、笑いをたっぷり散りばめて描かれる。物語の舞台は昭和10年、築地東京劇場。松竹キネマ蒲田撮影所の助監督・島田健二郎の前に、娘役で人気沸騰の準幹部女優・田中小春、ヴァンプ役で人気の幹部女優・滝沢菊江、お母さん物で有名な大幹部待遇の徳川駒子、大幹部女優のトップスター立花かず子がやってくる。超大作映画『諏訪峠』の打合せに呼ばれて来た4人は、自らを誇示し、鞘当てし合いながら、上演中に突然死した女優・松井チエ子のことを思い出す。そこへ、松井の夫でもある映画監督・小倉虎吉郎が現れ、松井の一周忌記念興行として『豚草物語』の再演を持ち出してくる。松井殺しの犯人探しが目的の監督は、万年下積み役者の尾上竹之助を刑事役として雇い、稽古中の4人を見張らせる。果たして、この4人の中に犯人はいるのか……。人を思うちから 其の参『キネマの天地』より、右から鈴木杏、那須佐代子、高橋惠子、趣里撮影:細野晋司今回、初めて井上作品を演出する小川絵梨子は、自身が中学生の時に演劇部で上演した同作で小春役を貰った思い出があり、「『キネマの天地』は私がどうしてもやりたかった作品のひとつ」だったと言う。さらに「あれから30年近くがたち、演出家という立場で、大好きな作品を大好きな俳優の方々とご一緒できる幸せを噛み締めています。この作品を、このキャストの皆さんとご一緒できることが楽しみでなりません。“演劇、ありがとう”と、演劇への感謝を込めて、作品作りに向かいたいと思います」とその心境を語っていたが、本公演開幕にあたり「今回の出演者の皆さんは、自ら喜んで未知の領域へと飛び込み、存分にお力を貸してくださる方々ばかり。振り返れば、芝居づくりに集中し、純粋にそのことが楽しめる稽古場でした。」とコメントを寄せた。4人の女優には、立花かず子役に高橋惠子、滝沢菊江に鈴木杏、田中小春に趣里、徳川駒子に那須佐代子と魅力的な顔ぶれが揃った。さらに、下積み役者の尾上竹之助役に佐藤誓、助監督の島田健二郎を章平、映画監督の小倉虎吉郎を千葉哲也が演じる。7人の実力派俳優たちがユーモアたっぷりに展開する井上流推理喜劇を堪能してほしい。上演は6月27日(日)まで、東京・新国立劇場 小劇場にて。文:伊藤由紀子【演出・小川絵梨子コメント全文】井上ひさしさんは新国立劇場の財産というべき戯曲をいくつも残してくださった、劇場にとって大切な作家のおひとり。演出家としてはまだまだ未熟な私ですが、今回は満を持しての挑戦になります。井上戯曲初演出作品として選んだ、この『キネマの天地』は、井上さんの自由で軽妙、かつちょっとシニカルな視点が生きた戯曲だと思っています。中学時代に所属していた演劇部で上演したということもあり、特別に愛着を感じている作品で、井上さん流の「演劇賛歌」が込められた戯曲だと思い続けてきました。今回の出演者の皆さんは、自ら喜んで未知の領域へと飛び込み、存分にお力を貸してくださる方々ばかり。振り返れば、芝居づくりに集中し、純粋にそのことが楽しめる稽古場でした。最後まで楽しんでいただけましたら幸いです。人を思うちから 其の参『キネマの天地』作:井上ひさし演出:小川絵梨子出演:高橋惠子鈴木 杏趣里那須佐代子佐藤 誓章平千葉哲也2021年6月5日(土)~2021年6月27日(日)会場:東京・新国立劇場 小劇場
2021年06月11日新型コロナウイルス感染症は、イベント業界や音楽業界など、各方面にわたって甚大な影響を及ぼしています。そんな中でもヴィジュアル系エアバンド『ゴールデンボンバー』の鬼龍院翔さんは、自身にできることを模索。新曲や、人々の心を癒す動画の作成などに取り組んできました。さらに、苦境に立たされたカラオケ業界の応援もしようと、1日限りのイベントの実施を発表しています。カラオケ店舗で観られる無料ライブ・ビューイング鬼龍院さんは、2021年3月28日の15時から、イベント『ヒトカラフェス with 鬼龍院翔(ゴールデンボンバー)』を開催!事前に申し込むと、対象機種『JOYSOUND MAX GO』を導入しているカラオケルームで、無料(別途室料)でライブ・ビューイングを楽しむことができます。鬼龍院さんは、カラオケで歌ってほしい曲のリクエストを事前に受け付けるほか、リアルタイムで相談したいことを募集するといいます。カラオケルームでマイクを持って一緒に歌えば、鬼龍院さんとデュエットしている気分になれますよ。当日のMCはラジオDJのやまだひさしさんが務めるほか、ゲストとしてヴィジュアル系バンド『NoGoD』のボーカル・団長と、元ヴィジュアル系バンド『ViViD』のボーカルで、現在バンドの『SEESAW』として活動するSHINさんも登場します。カラオケルームの大音量、大画面でイベントを楽しめば、特別な体験になること間違いなし!興味のある人は、参加してみてはいかがでしょうか。【ヒトカラフェス with 鬼龍院翔(ゴールデンボンバー)】出演:『ゴールデンボンバー』の鬼龍院翔、MC/やまだひさし、ゲスト/『NoGoD』の団長・『SEESAW』のSHIN対象店舗:対象機種『JOYSOUND MAX GO』を導入の全国のカラオケ店舗日時:2021年3月28日(日)15時(17時頃に終了予定)※開演時間30分前からの3時間以上の予約推奨申込期間:2021年3月12日(金)12時 ~ 同月28日(日)17時※本ライブ・ビューイングの視聴には、店舗の予約と無料視聴チケットの申し込みが必要。料金:無料(別途室料)grapeでは、コロナ禍における企業や人々の奮闘を紹介する記事を、特集という形でまとめています。よろしければご覧ください。grape『日本がんばれ応援団』特集[文・構成/grape編集部]
2021年03月12日PARCO劇場オープニング・シリーズ『藪原検校(やぶはらけんぎょう)』が2021年2月10日(水)に開幕する。主演の市川猿之助に話を聞いた。井上ひさしの戯曲である本作は、『西武劇場(PARCO劇場のオープニング当時の名称)オープニング記念・井上ひさしシリーズ』として1973年に初演され、これまで木村光一、蜷川幸雄、栗山民也といった演劇界の巨匠たちが演出してきた傑作舞台。今回は演出・杉原邦生、主演・市川猿之助というタッグで上演されることになるが、スーパー歌舞伎Ⅱ『新版 オグリ』でも杉原とタッグを組んだ猿之助は「『新版 オグリ』は一緒に演出を手掛けたので、僕の色になりましたが、今回は杉原の色を出してほしいし、料理されてみようと思います」と語る。井上ひさし作品は『雨』(’11)に出演経験がある猿之助。「井上ひさしさんの作品は日本人の心を打ち、日本人でなければできない精神が描かれているように思います。日本のいい面も悪い面も見ておられて、それをお書きになって、さらに言葉の持つ怖さ、大事さ、重要さを大切にされている」と印象を語り、今作では稀代の悪党‘杉の市’を演じるが、「井上作品に出てくるほどの悪党はなかなかいませんから。だからこそ演じるのが面白いなと思います」と楽しみにしているそう。猿之助に加え、三宅健や松雪泰子、川平慈英ら豪華キャストが出演する本作。猿之助は「画面の向こうにいる人たちですからね。皆さんと、例えば食事はできるかもしれないけど、お芝居はなかなかできないわけで。でも、役者って“芝居での会話”ってあるんですよ。それができるのが嬉しいです」。三宅とは顔も合わせたそうだが「三宅さんは歌舞伎をお好きだと聞きましたし、何度か劇場でもお見かけしたことがあります。その時も熱心に観ていらっしゃった。そして第一線で活躍し続けるスターですからね。そういう方とのお芝居は、歌舞伎ではできないことですから。こういう機会をいただいたことは感謝です」。今作でこだわりたいことを問うと「上演時間」というこれまでにない答え。「お客様の安全が第一だし、僕らの安全も第一だから。この状況の中で公演を無事に続けるために考えたい。お客様も演者も安心して過ごせるように上演時間にはこだわりたいです」。公演は2021年2月10日(水)から3月7日(日)まで東京・PARCO劇場にて上演後、名古屋、石川、京都を巡演。文:中川實穗
2020年12月23日井上ひさしが、戦後日本のラジオ番組を題材に紡いだ『私はだれでしょう』が、本日10月9日(金)から上演される。2017年の上演時に好評を博した、キャストとスタッフが集結しての公演だ。2010年4月に井上ひさしが逝ってから、ちょうど10年。コロナ禍においても、彼の作品を丁寧に観客に届け続けるこまつ座が、次回公演に選んだ作品は『私はだれでしょう』だ。舞台は敗戦直後の昭和21年7月、日本放送協会の一室。15分間のラジオ番組「尋ね人」を制作する人々の物語だ。番組制作にひたむきに取り組むのは、脚本班分室長である元アナウンサー川北京子をはじめとする3人の女性分室員。事前検閲を執り行うCIE(民間情報教育局)からは、ラジオ担当官としてフランク馬場が着任した。そんなある日、「山田太郎」を名乗る男が「ラジオで私を探してほしい」との要望を持って現れる——。川北京子を演じるのは、前回公演で、向かい来る現実に敢然と立ち向かう姿が好評を得た朝海ひかる。フランク馬場役には、二兎社やミュージカル『ローマの休日』(初演~2017年公演まで出演)など、舞台でも活躍の幅を広げる吉田栄作があたる。他にも、好評を博した2017年上演版のスタッフ・キャストが集結。次々と襲いくる騒動に翻弄されるラジオ局の一室を、きめ細やかに描き出す。演出にあたるのは、栗山民也。こまつ座作品に多く登板するほか、地に足のついた活躍ぶりを見せる百戦錬磨の演出家だ。栗山は「今のこの自粛生活の、のっぺりとした時間のなかで、再びこの熱く必死な力を持つ台本を前に、パンデミックとやらの後にやって来るものとは何かを考えます。そして、空気のように当たり前に素通りしていた“普通の生活”が、どんなに大事であったかを強く噛み締めています」とコメント。「世界の新しい価値観と出会うため、“必死だった人間たちの声”を何度も聴くことから、始めていこうと思います」との言葉に、この作品に対峙する者の決意が浮かび上がる。「真実」にひたむきに向き合い、向き合うことから逃げなかった、誇り高き人々の物語だ。公演は10月22日(木)まで、紀伊國屋サザンシアターTAKASHIMAYAにて。こまつ座第134回公演『私はだれでしょう』作:井上ひさし演出:栗山民也会場:東京・紀伊國屋サザンシアターTAKASHIMAYA【スペシャルトークショー開催】・10月11日(日)13:00公演終了後登壇:朝海ひかる、枝元萌、大鷹明良、吉田栄作・10月20日(火)13:00公演終了後登壇:朝海ひかる、尾上寛之、平埜生成、八幡みゆき、吉田栄作※登壇者は都合により変更の可能性あり文:小川志津子
2020年10月09日1983年に作家・劇作家の井上ひさしが立ち上げ、以降、井上作品を専門に上演し続けている制作集団・こまつ座が、井上が戦争前後の庶民の営みを描いた“昭和庶民伝三部作”の第1作となった音楽劇『きらめく星座』を、3月10日(火)から15日(日)まで東京・紀伊國屋サザンシアターTAKASHIMAYAで上演する。物語の舞台は昭和15年の東京・浅草。小さなレコード店・オデオン堂では、家族4人とふたりの間借り人が仲良く暮らしている。ある日、陸軍に入隊していた長男の正一が脱走し、すぐさま憲兵伍長“蝮の権藤”が乗り込んでくる。さらに、長女みさをが“ハガキの束から選んだ”という夫・源次郎が家族に加わるが、堅物の愛国主義者で傷痍軍人の源次郎は、音楽好きでジャズを流す家族たちが許しがたい。こうしてオデオン堂には大嵐が吹き荒れることになり……。本作は1985年に初演され、井上自身が演出した数少ない作品のひとつ。太平洋戦争前夜の昭和16年12月7日までの1年間を描く物語で、その時代は決して明るくはなく、戦争の愚かさを痛切に浮かび上がらせる。一方で、ピアノの生演奏にのせて『青空』や『一杯のコーヒーから』などの昭和初期の流行歌の軽快なメロディと数々の名セリフが劇空間を弾ませる。生前、井上はこの物語を「涙と笑いに満ちた懐かしい香りのするもの」とし、私戯曲的と位置付けている。これまで多彩な顔ぶれにより上演され、既に延べ500回の公演回数に達している舞台。演出は井上が絶大な信頼を寄せ、本作を手がけるのは4度目となる栗山民也。そしてキャストには久保酎吉、松岡依都美、高橋光臣、粟野史浩、瀬戸さおり、後藤浩明、高倉直人、村岡哲至、木村靖司、大鷹明良が揃い、上質なアンサンブルを紡ぐ。文:伊藤由紀子
2020年03月04日シェイクスピアの全作(!)を横糸に、江戸末期の人気講談『天保水滸伝』を縦糸にして織り込んだ、井上ひさし作の壮大にして遊び心あふれる戯曲『天保十二年のシェイクスピア』。1974年に初演され、2002年にはいのうえひでのり演出、2005年には蜷川幸雄演出によって再演された伝説的な音楽劇が、蜷川の演出助手を長く務めた藤田俊太郎の演出でよみがえる。舞台は江戸末期の下総国清滝村。旅籠を取り仕切る鰤の十兵衛(辻萬長)は、跡継ぎを決めるにあたり、3人の娘に父への孝養を問う。父に取り入ろうと、美辞麗句を並び立てる長女・お文(樹里咲穂)と次女・お里(土井ケイト)。一方、三女・お光(唯月ふうか)だけは父を心から愛していたためおべっかの言葉が出ず、父の不興を買って家を追い出されてしまう。月日は流れ、天保12年。跡を継いだお文とお里が支配する清滝村に、醜い容姿と歪んだ心を持つ佐渡の三世次(高橋一生)が現れる。さらにはお文の息子・きじるしの王次(浦井健治)が父の訃報を聞き、無念を晴らすため村に帰ってきて……?ほかに木場勝己や梅沢昌代ら、豪華キャストが集結。ミュージカルを中心に活動する俳優が多く揃っていること、そして宮川彬良が音楽を手がけることから、過去の上演以上に音楽劇的要素が強まりそうな気配もあるが、果たして……。注目の舞台は、2月8日(土)から29日(土)まで東京・日生劇場で、3月5日(木)から10日(火)まで大阪・梅田芸術劇場メインホールにて上演される。文:町田麻子
2020年02月08日戦後日本を代表する劇作家・小説家の井上ひさしが、『蟹工船』の作者・小林多喜二を描いた『組曲虐殺』。2010年にこの世を去った井上ひさしの最後の戯曲であり、存命中だった2009年の初演時に数々の演劇賞に輝いた本作が、2012年の再演を経て3度目の上演を迎えている。井上ひさしをよく知る栗山民也の演出と、初演時に役者として大きく脱皮した井上芳雄の主演、さらに著名なジャズピアニスト小曽根真の音楽担当は変わらず。そこへ上白石萌音や土屋佑壱が初参加、新たな装いで井上ひさしの“遺伝子”を伝える。9月上旬に訪れた稽古場の様子から、本作の魅力をお届けしよう。【チケット情報はこちら】物語は昭和初期、29歳で生涯を終えた多喜二の、最後の2年9か月を描く。子供の頃から貧しい人々を見てきた多喜二(井上)は、言葉の力で社会を変えようと、プロレタリア文学を書くようになる。『蟹工船』が検閲を受けるなど特高警察に目をつけられ、治安維持法違反の名目で逮捕・監視されるようになる多喜二。それでも以前と変わらぬ穏やかさをもって活動を続ける多喜二を心配し、姉のチマ(高畑)や恋人の瀧子(上白石)は、しばしば彼のもとを訪れる。多喜二の同志・ふじ子(神野)に瀧子がやきもきし、刑事の古橋(山本)と山本(土屋)も多喜二の人柄に魅せられていくなか、ついに“その日”がやってきて……。稽古場に入ると、そこには無造作な髪にカーキ色のシャツ、サンダルばきの井上の姿が。その表情と佇まいは見慣れたミュージカルスターではなく、多喜二に魅入られ没頭する、いち役者のそれだ。この日はまだ“本読み”だったが、その段階から小曽根がピアノで生演奏をつけていくのが本作のスタイル。“本読み”が始まると、小曽根は劇伴だけでなく、演者の声の強弱や音楽とのタイミングにも指摘を入れていく。栗山の演出も受け、井上はすぐに別の歌い方をやってみせる。隣で聞いていた上白石が、必死に井上に食らいついていく。井上の成熟と上白石のポテンシャル。すかさず高畑と神野らが陰影豊かな表情とセリフ回しで呼応すれば、小曽根のピアノもますます色を帯びてゆく。それはまさに、クリエイトの現場だけがもつ熱気だった。井上ひさしの作品らしく、軽妙な笑いと心が温まるシーンは本作でも健在。だが物語を貫いているのは、紛れもなく、不条理な力に対する抵抗だ。経済格差が進むなか、2008年に何度めかの『蟹工船』ブームがあったことは知られているが、井上芳雄は今回特に「今の時代のことを書いているのかと思えるくらい、内容がリンクしていて怖い」と感じたという。“本読み”の合間の会話では、栗山から「ワーキングプア率が上がるばかりの日本。この物語と今は変わらないんだよ」という言葉も聞かれた。そんな時代だからこそ「人間の大きさや、娯楽小説も読んだりするところが好き」と演じる井上が言う温かな多喜二の姿が、じわりと心にしみる。2019年の今、改めて味わいたい舞台だ。取材・文:佐藤さくら
2019年10月09日井上ひさしの没後10年を記念した「井上ひさしメモリアル10」シリーズの掉尾を飾る『組曲虐殺』が、本日10月6日に東京・天王洲 銀河劇場で開幕する。亡くなる前年の2009年に初演された、“井上ひさし最後の戯曲”。数々の演劇賞に輝いた初演と再演(2012年)に続き、井上芳雄が「演じることに使命を感じる」と語る小林多喜二役に7年ぶりに挑む。貧しい人々が苦しむ姿を見て育ち、言葉の力で社会を変えようと発起、プロレタリア文学の旗手となった小林多喜二。特高警察に目をつけられた彼は、言論統制の激化に伴い次第に追い詰められていくが、その信念は決して揺るがない。潜伏先を変えながら執筆を続ける多喜二と、彼を心配しながらも明るく力強く生きる姉のチマ(高畑淳子)、恋人の瀧子(上白石萌音)、同志のふじ子(神野三鈴)。多喜二の人柄に共感しながらも、職務を全うしようと手を尽くす刑事の古橋(山本龍二)と山本(土屋佑壱)。そしてついに、その日は訪れる……。一人の内気な青年が、なぜ29歳4か月で死に至らなければならなかったのか。栗山民也演出のもと、実力派のキャスト陣と小曽根真の音楽が、重いテーマを明るく描き出す。もしかしたら初演や再演時以上にこの作品が求められているのかもしれない2019年、小林多喜二と井上ひさしの言葉と思いは、きっと観客の胸に深く響くことだろう。文:町田麻子
2019年10月06日井上ひさしが初めて文学座と女優・杉村春子に『日の浦姫物語』を書き下ろしたのは、1978年のこと。杉村は70代を迎えていたが、宿命に翻弄される日の浦姫の15歳から53歳までを見事に演じきり話題となった。そんな井上の初期戯曲を、本日9月6日から東京・紀伊國屋サザンシアター TAKASHIMAYAで、こまつ座が上演する。日の浦姫を演じるのは、2年前のこまつ座公演『私はだれでしょう』での好演も記憶に新しい朝海ひかる。演出は、文学座の所属で、井上作品も多く手がけ、その手腕が高い評価を得ている鵜山仁が担当する。舞台は平安時代の奥州米田庄。母の命と引き換えに生まれた双子、日の浦姫(朝海)と稲若(平埜生成)は、父・藤原成親が亡くなった日に禁忌を犯してしまう。稲若の子を身ごもった日の浦姫は、稲若と引き離され、生まれた子も“罪の子”として小舟に乗せ海に流される。18年後。小舟が流れ着いた漁村で青年となった魚名(平埜の2役)は、両親を探す旅の途中で米田庄に立ち寄る。そこで横暴な男・金勢資永を制した魚名と、助けられた日の浦姫は、互いを親子とは知らず惹かれ合い……。本作の発想は、井上が中学3年から高校卒業まで入っていた仙台の孤児院で聞いた、聖人伝だという。中でも、教皇グレゴリウス1世(グレゴリウス聖歌の由来になった)の人生が、井上の興味をひいた。魚名と同じ “罪の子”であり、17年間の懺悔の生活を送った末、神に見いだされて教皇になった彼の生涯は、「兄妹や母を持たない“孤児たち”に激しい衝撃を与えた」と井上は語っている。そこに『今昔物語』『今昔説話抄』など、日本の近親相姦の系譜を重ねて描いたのが本作。極私的な体験に普遍的な視点を加え、鮮やかな物語を紡ぎ出す井上流の作劇は、ここでも健在だ。日の浦姫役に挑む朝海は、元宝塚トップスターという経歴を持ちながら、近年は脇の役どころも堅調に演じ、今春上演されたチェーホフ『かもめ』ではアルカージナ役をオーディションで勝ちとるなど、芝居そのものへの“覚悟”が見てとれる。稲若と魚名を2役で演じる平埜は、映画やテレビドラマのほか、先述の舞台『私はだれでしょう』では、読売演劇大賞男優賞候補に名前が挙がるなど、いま注目の若手俳優。“井上組”ともいえる辻萬長や、たかお鷹のほか、独特な存在感を放つ毬谷友子、さらに文学座の座員たちと、盤石の布陣で贈る本作。この座組みなら、戯曲が放つ繊細なきらめきを、存分に味わえそうだ。文:佐藤さくら
2019年09月06日井上ひさしの中期の名作『シャンハイムーン』が、栗山民也演出、野村萬斎主演で上演される。本作にかける思いを萬斎に聞いた。「シャンハイムーン」チケット情報1991年に発表された本作は、『阿Q正伝』『狂人日記』などで知られる中国の文学者・魯迅の物語。1934年の上海を舞台に、蒋介石率いる国民党政府より逮捕令が出された魯迅と、彼を匿う日本人たちのある1か月を描いたせりふ劇だ。「2012年と2015年に栗山さんと一緒に井上さんの『藪原検校』を上演して、いい手応えがあった。前回が若い血流みなぎる人物を描いていたのに対して、今回はコンパクトで充実感のある、しっとりとした大人の作品をやろうということと、オリンピックを前に、日本国というものを考えるいい機会になるのではと、この作品をやることになりました」。日本を憎みながらも、日本人を愛した魯迅。国単位では火花を散らしながらも、人間同士は分かち合える。現代にも通じるテーマを、井上作品ならではの笑いを交えて描いている。「非常に現代的な問題を映し出しているとはいえ、国家のことやアイデンティティの問題ばかりではなく、抱腹絶倒なところもある。歯医者の奥田が使った笑気ガスによって失語症にかかり、全部濁音になっちゃうとか(笑)。いろんな仕掛けがあって、そこから段々と本心があぶり出されてしまう。重味と軽味のバランスが非常によくとれているお芝居だと思います」。登場人物は6人。5年ぶりの舞台出演となる広末涼子が魯迅の妻・広平を演じるほか、友人の内山夫妻を鷲尾真知子と辻萬長が、医者の須藤五百三を山崎一が、歯医者の奥田愛三を土屋佑壱が演じる。「ほとんど本屋の一室を舞台に繰り広げるワンシチュエーションの話。魯迅は医学部出身なのに医者嫌いで、心肺機能も悪いし虫歯だらけなのに診察を受けようとしない。そんな彼に周りが翻弄される姿が可笑しく映るんじゃないかなと思います。また、それぞれのキャラクターにも裏話や生き様が見えてくる、非常に緻密にできた作品です」。激動の時代だからこそ、鮮明に浮かび上がる国を越えた人と人とのつながり。そこに「愛情の原点がある」と萬斎は語る。「恩と感謝みたいなものが、全体的に貫かれている気がします。愛ゆえに何かしてあげたいと思い、それに対して非常なる感謝を思う。その愛情は、国の思想や何かを超越するんだと思います。愛情が愛として巡りめぐって返ってくる感動もある。そんなことも描かれた気持ちのいい話だと思います」。公演は、2018年2月18日(日)から3月11日(日)まで東京・世田谷パブリックシアター、3月14日(水)・15日(木)兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホール、3月18日(日)新潟市民芸術文化会館 劇場、3月23日(金)・24日(土)愛知・穂の国とよはし芸術劇場PLAT 主ホールにて上演。東京・兵庫公演はチケット先行受付中、順次一般発売開始。
2017年11月17日天然化粧水のような温泉水を化粧品に2016年12月1日、株式会社FILTOMは自社が展開する「別府 やまだ泉」シリーズの新商品を発売した。別府は日本有数の温泉地。源泉数と湧出量が日本国内で最も多いこの温泉地には多くの温泉客が訪れる。そんな別府温泉の中でも別府 山田別荘の源泉は美肌の湯の条件をすべて備えていることで有名だ。天然化粧水と言っても過言ではないこの温泉水を同社のフィルター除菌技術を使って完全成分無調整で取り出して化粧品に仕上げたのが「別府 やまだ泉」シリーズ。使いやすいゲルタイプが登場今回発売されるのは「別府 やまだ泉ゲル」。温泉水をゲル状にすることで肌に浸透しやすくなっている。少量でもよく伸び、肌なじみが良いため外出先で肌の乾燥を感じた時などにぴったりだ。ゲルを指ですくう必要がないポンプ式になっているため、最後まで清潔に使い切ることが可能。この温泉水にはアルカリ成分が豊富に含まれており、蚊の唾液を中和する作用があると言われている。蚊に刺された時にもこのゲルがあれば心強い。成分の98%が温泉水のため赤ちゃんからお年寄りまで安心して使うことができる。赤ちゃんは蚊に刺されやすいのだが、虫刺され用の薬を塗るのを躊躇する人もあるだろう。そんな時に最適なのがこのゲル。ほぼ温泉水のこのゲルなら安心だ。(画像はプレスリリースより)【参考】※株式会社FILTOMプレスリリース(@Press)
2016年12月04日温泉水を成分無調整でビン詰め2015年8月20日、株式会社FILTOMは自社が販売する天然化粧水「別府 やまだ泉」を紹介している。「別府 やまだ泉」は同社が別府市の老舗旅館「くつろぎの温泉宿 山田別荘」の協力を得て開発した究極の天然化粧水。なんと、源泉から湧き出る温泉水を成分無調整でビン詰めして出荷している。独自の技術で採取別府温泉は湧出量、泉質共に日本一といわれている。山田別荘の源泉も肌に良い療養泉質の3つの条件「弱アルカリ性」「炭酸塩泉」「源泉で55度以上」をクリア。しかも源泉の温度は低温殺菌状態の65度だ。通常では、温泉水を化粧品に使う場合は煮沸や防腐剤の添加などによって成分調整をしなければ衛生上の問題が発生するケースが多い。しかし、同社が開発した独自の技術を使えば温泉水を外気に触れさせることなく無菌状態で採取可能であり、成分無調整での商品化が実現。別府 やまだ泉別府温泉から遠く離れていても「別府 やまだ泉」があれば美肌の湯に浸かった後の肌を体感することができる。100mlで1500円というお手頃価格も嬉しい。源泉はpH8.4のナトリウム-炭酸水素塩泉。成分無調整でビン詰めされているため、アルカリ炭酸泉ならではのヌルヌル感もそのまま味わえる。しかも、カリウムを高濃度に含む源泉であることから、セラミドやコラーゲンといったタンパク質の合成をスムーズにし、健やかな肌を保つ効果も期待できる。(画像はプレスリリースより)【参考】・株式会社FILTOMプレスリリース(@Press)・くつろぎの温泉宿 山田別荘
2015年08月23日動画サービス「niconico」の「ニコニコチャンネル」にて「ブロマガ」を配信しているチャンネルの有料登録者数が、合計30万人を突破したことが明らかになった。「ニコニコチャンネル」は、企業・団体が動画や生放送の配信ができるプラットフォームとして2008年にサービスを開始し、現在までに6,800チャンネルが開設(うち月額有料チャンネル数は758)。2012年8月に記事コンテンツ「ブロマガ」の配信機能を実装したほか、2013年12月には企業や団体だけでなく一般ユーザーが開設できる「ユーザーチャンネル」をオープンし、一般ユーザーもブロマガや動画・生放送投稿によって課金できる仕組みを提供している。2014年8月に20万人を突破して以降、劇団四季やゲーム実況者によるチャンネルなど約200チャンネルが新たに開設されたことで、幅広いジャンルのファンを集めることに成功し、30万人突破となった。また、一般ユーザーが開設している「ユーザーチャンネル」の登録者数も、プロによるチャンネルと同様に登録者数を伸ばしているという。今回の発表によると、有料登録による平均収益受取額(年間)は、会員数が10位以上のチャンネルで4,458万1,797円、30位以上で2,610万1,696円、50位以上で1,929万5,582円、100位以上は1,222万9,607円。そのうち、ユーザーチャンネル上位5チャンネルの平均収益受取額は3,380万458円、上位3チャンネルは4,909万6,152円となり、それぞれ20万人突破時と比較すると、1チャンネルごとの収益性も増加している(年間平均受取額は現在の月額会員数から割り出した予測)。2015年4月15日時点のブロマガ有料登録者数上位チャンネルには、「アイドルマスター ミリオンラジオ!」「M.S.S Projectチャンネル」「OH!! MY!! GACKT!! 」「岡田斗司夫ブロマガチャンネル」「週刊文春デジタル」「西川貴教のウラノミ!! 」「ファミ通ゲーマーズDXチャンネル」「堀江貴文 ブログでは言えないチャンネル」「マックスむらい部 」など。上位30チャンネル(五十音順)は以下のとおり。・animeloLIVE!(月額1,100円)・アールの部屋 (月額1,100円)・アイドルマスター ミリオンラジオ! (月額540円)・アイドルマスターステーション (月額540円)・いい大人達が本気でチャンネルを開設してみた(月額540円)・M.S.S Projectチャンネル (月額540円)・OH!! MY!! GACKT!! (月額864円)・岡田斗司夫ブロマガチャンネル(月額540円)・キャストサイズチャンネル (月額648円)・キヨの人生あまちゃんネル (月額540円)・ゲーム実況ブロマガ「ゲキマガ」 (月額108円)・CINDERELLA PARTY! (月額540円)・週刊文春デジタル (月額864円)・孫崎享チャンネル (月額108円)・竹田恒泰チャンネル (月額864円)・トリプル・ゾーン (月額540円)・鳥海浩輔・安元洋貴の禁断生ラジオ(月額540円)・ニコナナ (月額540円)・ニコニコゲーム実況チャンネル (月額540円)・ニコプロ -ニコニコプロレスチャンネル(月額540円)・ニコレトチャンネル (月額540円)・西川貴教のウラノミ!! (月額648円)・パチンコ/パチスロ ジャンバリ.TV (月額540円)・ファミ通ゲーマーズDXチャンネル (月額540円)・堀江貴文 ブログでは言えないチャンネル (月額864円)・マックスむらい部 (月額540円)・めいこいファンクラブ (月額540円)・やまだひさしの やまちゃんねる (月額540円)・『ライフログ』生主ブロマガ (月額108円)・Lady Go!!ホワイトちゃんねる (月額540円)
2015年04月17日ドワンゴは17日、「ニコニコ超会議2015」の続報および新企画である「闘会議2015」の開催を発表した。「闘会議2015」は2015年1月31日~2月1日の2日間にわたって、千葉県・幕張メッセで開催されるゲーム実況とゲーム大会の祭典。同イベントを特別協賛する任天堂の岩田聡社長がビデオメッセージでコメントを寄せ、実況動画をはじめとするニコニコ動画内の二次創作を公認することも合わせて発表している。発表会が開催された東京・六本木のニコファーレには報道陣のほか、多くのニコニコユーザーが集まった。事前情報としてわかっていたのは、「ニコニコ超会議2015」の続報と、何か新企画の情報が発表されるということのみ。発表会の模様はニコニコ生放送で中継された。登壇したのは、ドワンゴ取締役・夏野氏とニワンゴ代表取締役社長の杉本氏、そして運営の"メガネ"こと奥井氏だ。まずは来年の4月25日、26日に開催されるニコニコ超会議2015についての続報が発表となった。といっても、この日発表された追加情報はホールの追加のみ。これまでは幕張メッセの1~8を借りて行っていた超会議だが、参加人数の増加により混雑したため、次回からは9~11ホールも追加で使用することにしたという。これにより、開催面積は57,000平米から75,000平米に増加。VTRでコメントを寄せたドワンゴ会長・川上氏曰く、「次回の超会議は(面積の増加により)ガラガラですよ(笑)」とのことだ。続いては、11月9日に開催されたイベント「ニコニコ書店会議」の結果報告へ。開催場所となった鳥取県米子市の「本の学校今井ブックセンター」には当日、通常営業の5倍の人数が来店したという。すでに次回以降の開催も決定しており、第二弾は11月23日に北海道留萌市「留萌ブックセンター」、第三弾は12月7日に山形県天童市「TENDO八文字屋」、第四弾は12月21日に石川金沢市「金沢ビーンズ」にて開催となる。当日はゲーム実況やお一人様カラオケなどのほか、18歳以上のニコニコ動画ユーザーを対象にプレミアム会員権も数量限定で配布する。また、12月5日から7日までシンガポールで開催する「ニコニコ国会議」については、出演者とブース情報が発表となった。MCにやまだひさし、百花繚乱のほか、ニコ動で活躍する「歌ってみた」や「踊ってみた」のパフォーマーが数多く出演。ブースにはニコニコ超会議3で好評だった「進撃の巨人 立体機動装置」を始め、「ソードアート・オンライン」「お一人様カラオケ・ゲーム」「Vocanico」「MMDプラネタリウム」などのコンテンツを出展する。この日の発表会で新たに発表されたのが、新企画となる「闘会議2015」だ。ユーザーが主体になるゲーム実況とゲーム大会の祭典で、2015年1月31日と2月1日の2日間にわたり、幕張メッセにて開催される。会場ではゲームに関するさまざまな企画やブースが出展され、ゲーム実況やゲーム大会、ゲームミュージックのライブステージなどが開催。また、レトロゲームやスポーツゲーム、アナログゲームなど、多彩なゲームで遊ぶことができるという。「闘会議2015」のスポンサードとして、任天堂が特別協賛。また、ガンホー、コロプラ、mixi、LINE、スクウェア・エニックス、セガ、PlayStation、バンダイナムコゲームスが協賛する。入場券は現在、イープラス・ファミリーマートで先行発売中で、詳細は下記の通り。■一般入場券1日券:前売り1,000円、当日1,500日2日通し券:1,500円■優先入場券1日指定券:1,200円2日通し券:1,700円ちなみに「闘会議2015」の名前は川上氏が考案したもので、イベント名には「ニコニコ」が付いていない。これは「(ニコニコに限定せず)幅広くやっていきたい」という意思があるとのことだ。初開催ということもあり、目標来場者数は設定していない。発表会では、闘会議2015に特別協賛する任天堂の岩田社長がVTRでコメント。その中で岩田社長は、ドワンゴが展開する「クリエイター奨励プログラム」に対応することを発表し、正式に二次創作動画を公認した。対象となるのは、「ピクミン3」「マリオカート8」「トモダチコレクション新生活」「ゼルダの伝説時のオカリナ3D」といった最近のタイトルから、スーパーファミコンソフト「スターフォックス」やファミコンソフト「スーパーマリオブラザーズ」「ゼルダの伝説」「メトロイド」など、新旧合わせて約250タイトル以上となる。タイトルリストは後日、発表されるとのこと。ニコニコ動画には以前より多くのゲーム関連動画が投稿されており、中でもゲームをプレイしている様子をプレーヤーが"実況"する実況動画は、ニコニコ動画ユーザーに絶大な人気を誇る一大ジャンルに成長している。一方で動画のほとんどが無許可で投稿されており、権利上の問題が指摘されていた。岩田社長はVTRの中で任天堂の歴史を振り返り、「ゲームを通じたコミュニケーションにはさまざまな形態があります。任天堂は多人数対戦、通信ゲーム対戦や交換、この10年はすれ違い通信など色々な形に取り組んできました。ゲーム文化の裾野を広げるため、実況動画に限らず、"演奏してみた"や"描いてみた"など二次創作の環境整備に取り組んでいきます」と、二次創作を公認した理由をコメントした。なお、「クリエイター奨励プログラム」は、クリエイターの創作活動支援や二次創作文化を推進する取り組みとして、投稿作品の人気度に応じて奨励金をドワンゴが支払う制度。2011年12月にスタートしてから、現在までに総額11億8,375万9,684円が支払われているという。クリエイター奨励プログラムへの対応は12月1日から開始となるが、事前の確認が難しいという理由から、ニコニコ生放送とニコニコ静画には現時点で対応しない。今回の発表会では「闘会議2015」開催発表と「任天堂の二次創作公認」が大きな話題となったが、特に任天堂の決定がゲーム業界に与える影響は小さくなさそうだ。
2014年11月18日劇作家・井上ひさしの最後の作品『組曲虐殺』が今冬再演される。2009年に栗山民也演出で初演されたこの作品は、音楽を全編、小曽根真の書き下ろし楽曲でつづる“音楽評伝劇”だ。今回、初演と同じスタッフ・キャストで、井上作品を連続上演してきた“井上ひさし生誕77フェスティバル2012”の掉尾を飾る。主演の井上芳雄に本作への思いを訊いた。プロレタリア作家の小林多喜二が、29歳の若さで特高警察に虐殺されるまでの2年9か月を描いた本作。多喜二を演じる井上は、「自分にとって『組曲虐殺』は、井上ひさし先生の思い出と共に、忘れられない宝物。絶対に再演したいと願っていました。初演メンバーが揃ったのも、作品の力に拠るところが大きいのでは」と話す。壮絶な最期で知られる多喜二だけに「演じる前は漠然と、激しさや痛みのようなものをイメージしていた」という井上。「でも井上先生の台本には、朗らかで、芸術に造詣が深く、人々に愛される人物が描かれていて、新鮮でした」。劇中では、恋人の瀧子や姉チマ、 多喜二の活動を支援するふじ子はもちろん、多喜二をマークしている特高刑事ですら、気がつけば彼に温かい眼差しを向けてしまう。「実際、魅力的な人だったんでしょうね。周囲からたくさんの愛情を受けていたからこそ、自分もそれを、虐げられた人々に返すことができたんじゃないでしょうか。社会のシステムを憎んでも、人間そのものは決して憎まない人だった気がします」。『組曲虐殺』は、井上にとって、表現面でもひとつの転機となった作品だ。「栗山さんからは『生死の瀬戸際に身を置くプロレアタリア作家の覚悟に迫れ!』と叱咤激励され続けて。演じる上で感情をどこまでどう出すのか、新しい挑戦でした。小曽根さんには『これまでと違う歌い方を試してみようよ』と、即興的な歌唱を教えていただきましたね。その後、別の作品を演じても、『今の、多喜二だったよね』と言われてしまうほど(笑)。俳優として大きな体験でした」。今は、井上ひさしの遺した言葉を伝えることが、自身の使命だと感じているという。「先生が書いてくださった言葉は、自分のちょっとした工夫など歯が立たないほど、すごい力をもっている。再演でも、まっすぐに体ごと、ぶつかろうと思っています。『後に続く者を信じて走れ』という多喜二の歌詞があるのですが、僕も、若い世代を含め多くの人に、彼の思いや生き様を伝えるつもりで演じたいです」。公演は12月7日(金)から30日(日)まで東京・天王洲銀河劇場にて上演。チケットは9月29日(土)より一般発売開始。なお、チケットぴあでは9月13日(木)11時までインターネット先行抽選・プレリザーブを受付中。東京公演の後、来年1月に各地を巡演。取材・文:高橋彩子
2012年09月12日2010年に永眠した劇作家、井上ひさし。存命ならば77歳の誕生日を祝うはずだった今年、『井上ひさし生誕77フェスティバル2012』と銘打ち、1月から12月まで8本の作品を上演している。このフェスティバルの特別企画として、8月16日(木)より東京・紀伊國屋画廊にて『井上ひさし「せりふ」展』(入場無料)が開催される。井上ひさし関連のチケット情報井上ひさしが綴りつづけた70作にもおよぶ戯曲。今回展示されるのは、戯曲の中から切り取られた77個の“せりふ”。額装された“せりふ”を目で見るだけではなく、スピーカーから聴こえる“せりふ”を「音」として耳で楽しむこともできるそうだ。『井上ひさし「せりふ」展』は8月16日(木)から28日(火)まで紀伊國屋画廊にて開催。なお、『井上ひさし生誕77フェスティバル2012』の今後のラインナップは、8月まで上演中の『しみじみ日本・乃木大将 』、8月末から9月に『芭蕉通夜舟』、11月から12月に『日の浦姫物語』が上演される。チケットは一部を除き発売中。
2012年07月25日井上ひさし作、蜷川幸雄演出による舞台『しみじみ日本・乃木大将』の開幕が、7月12日(木)に迫った。『井上ひさし生誕77フェスティバル2012』と銘打って今年8本上演される井上戯曲のうち、本作はその第5弾にあたる。稽古の様子を取材した。「うるさいチームだよ、まったく」と笑い混じりに蜷川がこぼすのは、キャスト陣のことだ。風間杜夫、根岸季衣、六平直政、山崎一、大石継太、朝海ひかる、香寿たつき、吉田鋼太郎。いずれも舞台が原点といっていい生粋の演劇人が揃う。特に目立ったのは、六平。演技を始める直前までギャグを飛ばし、出演者同士で段取りを確認した後には「みんな、わかったよな?」と仕切ってみせる。さらに、それに応える面々の切り返しもまた笑いを生み、稽古場の一体感が高まっていく。芝居が始まり、各人が役に扮しても、この空気は変わらない。むしろ、歌がふんだんに使われている分だけ、にぎやかさは増している。時は明治天皇大葬の日、殉死することを決意した陸軍大将・乃木希典の物語。設定だけ聞けば、重くシリアスな作風を想像しそうだが、実際には、驚くほどばかばかしい。“何を描くか”と“いかに描くか”。テーマとテイストの間に飛躍があるからこそ、ドラマがいっそう輝きを放つ。まさに井上作品の真骨頂がそこにはあった。日露戦争の英雄と称えられる一方で、愚将の烙印を押されることも少なくない乃木。彼は明治天皇にどんな思いを抱いて命を絶ったのか。周辺の人物によるコメントを通して主人公の人物像を浮き彫りにする物語は少なくないが、本作が珍しいのは、5頭の馬がその役割を務めるところ。しかもそれぞれ、前足と後足が別の意志を持つ。知的に考える前足たちと、生理にまかせて行動する後足たちと。10の人格ならぬ“馬格”による乃木の立場をめぐっての議論が、天皇制に対する賛否両論と重なって興味深い。また、「もしも○○が乃木大将の立場だったら、こんな態度に出るかも」と馬たちが何パターンも演じ分ける場面は、バラエティ番組さながらのおかしさだった。1979年に芸能座が初演した作品で、今回は、1991年のこまつ座公演以来21年ぶりの上演となる。蜷川は「俳優が演技を競い合うような戯曲。ト書きに細かく書かれているので、演出家はほとんどすることがない」と言いながら、「軽演劇風にみせたい」と明快に方向を示す。7月12日(木)から29日(日)まで彩の国さいたま芸術劇場 大ホールで上演。その後、大阪、新潟で公演を行う。
2012年07月06日劇作家・井上ひさしの没後3年目。生きていれば喜寿を迎えるはずであった今年、こまつ座は『井上ひさし生誕77フェスティバル2012』と題し8作品の公演を行なっている。8月に上演される『芭蕉通夜舟』は松尾芭蕉の一生を描いたひとり芝居。およそ30年前に一度上演されたきり、幻となっていたこの戯曲で井上作品初出演となる坂東三津五郎に話を聞いた。こまつ座『芭蕉通夜舟』公演情報「もともと井上作品は好きでよく拝見していました。井上先生が亡くなった直後に新国立劇場で上演されていた『夢の泪』を観に行った時、アンケート用紙に思わず書いたんです。“これまで先生の作品を楽しませていただきました。できればぜひ一度ご生前に先生の作品に出演したかったです”と。だから今回はまさに念願の出演です」『芭蕉通夜舟』は、もともと小沢昭一にあて書きした作品。「脚本を読んでいると、小沢さん独特のペーソスや味わいが織り込まれている。そこを僕が演じることでどうなるか、演出の鵜山仁さんが、僕から何をどう引き出してくれるのかが楽しみですね。それよりもまずはセリフを覚えなくちゃ。何しろ僕ひとりなわけだから(笑)」。芭蕉という人物に対しては特別な思いを持っているという三津五郎。「歌舞伎役者は、必ず俳名を持っています。2001年に三津五郎を襲名したとき、僕はどうせ俳名をつけるならば形だけでなく、実際に俳句を始めようと決めていたんです。そうしたら、襲名披露前日に新聞で対談をしたお相手が偶然にも俳人の黛まどかさんだった。その縁で黛さんと定期的に句会を開くようになりました。だから芭蕉もたいへん身近な存在だし、この役をいただいたことは運命だと思っています」。翻訳物を演じたり、小劇場の作品に出てみたりと、三津五郎は時折、観客を驚かせるような役を演じることがある。「初舞台から歌舞伎は50年。本業に使う細胞はかなり磨かれているはずですが、その反面、一役者として、ほとんど使われていない細胞もあるはずなんです。それを刺激するような作品に巡り合いたい。“え、これを僕が?”と自分でも驚くような役のほうが、収穫は大きいと思います」。ひとり芝居への初チャレンジとなる『芭蕉通夜舟』も、彼の新たなドアを開ける舞台となりそうな予感に満ちている。「平易な言葉で深い世界を語る井上作品の魅力は、そのまま俳句の魅力にもつながる気がする」と早くもこの作品の芯をとらえつつある三津五郎は、いったいどんな芭蕉を我々に見せてくれるのだろう。東京公演は、8月17日(金)から9月2日(日)まで紀伊國屋サザンシアターにて。6月9日(土)の一般発売開始に先がけ、チケットぴあでは、5月29日(火)11時まで最速抽選「いち早プレリザーブ」にて先行予約を受付中。なお9月15日(土)にサンケイホールブリーザで行われる大阪公演のチケットは、6月17日(日)に一般発売開始。取材・文:釣木文恵
2012年05月21日存命ならば昨年末に喜寿を迎えるはずだった劇作家・井上ひさしの8作品を、今年1年に渡り連続上演する『井上ひさし生誕77フェスティバル2012』。その第2弾となるのが、こまつ座公演『雪やこんこん』だ。開幕直前となり仕上げ段階に入った、本作の都内稽古場を見学した。『雪やこんこん』公演情報時代は昭和20年代の終わり、女座長(高畑淳子)率いる〈中村梅子一座〉がたどり着く、北関東の温泉旅館に併設された芝居小屋の楽屋が舞台。あらかたの小道具も備わった状態の稽古場は、その時代の空気で充満している。役者たちは着物、浴衣、袢纏(はんてん)、羽織などを身につけ、“中村梅子”の名が一面に染め抜きされた目立つ袢纏を羽織った高畑も、女座長役らしいキリリとした表情でスタンバイ。まず特徴的だったのは、セリフへのこだわりだ。井上ひさしの戯曲は、“一字一句変えない”が原則。ゆえに、他の現場よりも圧倒的にセリフに対する指示が多い。プロンプターはついているが、演出の鵜山仁自ら「細かいんだけど、ここ『だ』がないんです」など、台本と照らし合わせて細かいチェックをする。役者たちはやや苦戦しているが、“てにをは”すらおろそかにしないことによって、だんだんと作品の持つ心地よいリズムに導かれていくのがわかる。また、気になる箇所があるとすぐにその役者のところまで近づいていき具体的に動いてみせる鵜山は、運動量の多い演出家という印象。その動きに至る理由を筋道立てて言葉によってもわかりやすく伝えながら、「律儀に全部やってくれというんじゃないが、意味合いとしてはこんな感じ。それを踏まえて"いい加減"に」など、役者に対して適度な余白を残す。続いて、中村梅子と、芝居小屋がある旅館の女将で梅子の生き別れの娘であるらしい和子(キムラ緑子)とのシーン。高畑、キムラという演劇界を代表する女優同士の顔合わせは、期待どおりに見応え十分。本作には井上ひさしが集めた古今東西の大衆演劇の名ゼリフが散りばめられているが、そのセリフまわしが舞台人ならではの粋なリズムで語られるのが心地よく、何よりふたりのチャーミングで情に厚いキャラクターが人情芝居にぴったりだ。井上が旅芝居の狂言の筋書きを分析して書き上げた本作には、自己犠牲、報恩、助け合い、正義は勝つ……といった要素が詰まっている。現代ではあたかもほこりをかぶったかに見える“庶民の夢と理想”が、名優たちの演技で色鮮やかによみがえる。2月19日(日)から3月11日(日)まで東京・紀伊國屋サザンシアター、3月16日(金)・17日(土)には大阪・森ノ宮ピロティホール、3月19日(月)・20日(火)には山形・川西町フレンドリープラザにて公演を行う。取材・文:武田吏都
2012年02月16日今年で10周年を迎えたORANGE RANGEが本日緊急会見を行い、10周年記念ソング『Anniversary Song~10th~』を2月22日(水)10時より無料配信をすることを発表した。ORANGE RANGEの情報を見る今回の会見では、メンバー全員が登場し、2002年2月22日にアルバム『オレンジボール』を初のCD作品として発表してからちょうど10周年にあたる2012月2月22日(水)に配信する旨を語った。その緊急記者会見の映像は、現在オフィシャルホームページ等で確認できる。また同曲は、本日2月10日(金)25:00~29:00にTOKYO FM他全国38局ネットで生放送される「やまだひさしのラジアンリミテッドF」で先行オンエアも決定。そんな今年のORANGE RANGEは、4月にニュー・アルバムをリリース、そして同作を携えた全国ツアーも予定しており、10周年と言う大きな節目にふさわしい、スペシャルな活動を展開してくれそうだ。今後の彼らの動向は「毎月10日はレンジの日?」と銘打ってオフィシャルホームページにて随時発表とのこと。次回は3月10日(土)。何が発表されるのか注目だ。
2012年02月10日井上ひさしが存命ならば、喜寿を迎えるはずだった2012年。『井上ひさし生誕77フェスティバル2012』と銘打ち、1年を通じて8本の井上作品が上演される。その第1弾が、1月開幕の長塚圭史演出『十一ぴきのネコ』だ。井上ひさし×長塚圭史という初のカップリング、長塚初のミュージカル、ネコのみで繰り広げる物語……などなど、未知数の要素でいっぱいの本作。“百聞は一見にしかず”の思いと抑えがたい好奇心を抱えながら、11匹の“オス猫”たちが奮闘中の稽古場を見学した。『十一ぴきのネコ』公演情報北村有起哉、山内圭哉をはじめとし、演劇ファン垂涎の通好みな男優たちが一堂に会している。その彼らが何をしているかというと、一列に行進したり、組体操のピラミッドのようなものを作ったり。まるで体育の授業風景のような、微笑ましく健全な空気が漂う。さすが個性派俳優たちというべきか(?)、統一の動きをする場合も単純に揃うのではなく、個々の違いが際立って表れるのが面白い。立ち位置や役割を早急につかんでいる者もいれば、無意識下にわが道を突き進んでしまっている者もいる。そこがまたこの11人だからこその味になっているのだが、ひとつの流れを皆が体得するまでの時間は当然長くなる。放任主義の姿勢をとりつつ演出席で苦笑いする長塚に、山内が「40オーバー集めたらこんなんなるの、わかってたはずやろ!」と返し、稽古場全体が爆笑に包まれる。ネコたちは自由にのびのびと作品創りに励んでいる様子だ。演出家を中心に、キャストが全員で話し合う回数が非常に多いのも印象的だった。少しでも気になる点が生じれば、すぐに輪になり、忌憚なく意見を交わす。皆の意見をすりあわせるうちにどんどん辻褄が合っていき、あるベストな地点へと着地する。見学していた小一時間で、そんな光景を何度も目にした。全員がフラットな立場で、ある意味全員が演出家のようでもある。この風通しの良い空間に芝居作りの原点を感じたのと同時に、人心をつかむ長塚演出術の一部を垣間見た気がした。本作は、エサを求めるネコの集団を描きながらも、近代化した人間社会への冷ややかな警鐘が、井上ひさしの肉声のごとく聞こえてくる手強い戯曲だ。“子どもとその付添いのためのミュージカル”と銘打たれているが、シニカルなその声は“付添い”たる大人たちにこそ突き刺さるだろう。作者の思いを、若い長塚と井上作品においては新鮮味あるキャストがどう咀嚼して最終的に作品化するか、見どころである。『十一ぴきのネコ』は、1月10日(火)から31日(火)まで東京・紀伊國屋サザンシアター、2月5日(日)に山形・川西町フレンドリープラザ、2月11日(土)・12日(日)に大阪・梅田芸術劇場 シアター・ドラマシティにて上演される。取材・文:武田吏都
2011年12月27日2010年4月9日に永眠した井上ひさしの70近い戯曲の中から8作品を、蜷川幸雄、栗山民也、鵜山仁、長塚圭史の4人が演出し、『井上ひさし生誕77フェスティバル2012』として開催されることが決定した。なお、長塚は井上戯曲初挑戦となる。『十一ぴきのネコ』チケット情報このフェスティバルは、2011年11月16日に井上ひさしが77歳の誕生日を迎えることを祝い、2012年に喜寿のフェスティバルとして開催を予定していたが、趣向を変えて“生誕77年のフェスティバル”として開催することとなった。生前、井上ひさし自身もこのフェスティバルについて「それは、大変おもしろいね」と楽しみにしていたそうで、今回、井上戯曲とつながりの深い演出家や、生前に親交のあった関係者らが協力する形での実現となる。なお、フェスティバル参加作品は以下のとおり。公演は1年を通じて上演される。・長塚圭史…『十一ぴきのネコ』紀伊國屋サザンシアター1月・鵜山 仁…『雪やこんこん』紀伊國屋サザンシアター2月、『芭蕉通夜舟』紀伊國屋サザンシアター8月・栗山民也…『闇に咲く花』紀伊國屋サザンシアター4月、『藪原検校』世田谷パブリックシアター6月、『組曲虐殺』天王洲・銀河劇場12月・蜷川幸雄…『しみじみ日本・乃木大将』彩の国さいたま芸術劇場7月、『日の浦姫物語』Bunkamuraシアターコクーン11月チケットは東京・紀伊國屋サザンシアターの『十一ぴきのネコ』が10月29日(土)より発売。上演スケジュールは2012年1月10日(火)から31日(火)まで。その他の公演は詳細が決定してからの発売。
2011年10月11日深夜ラジオは孤独な夜を過ごすのに最高のパートナー。受験勉強中や眠れぬ夜に聞いていたという方も多いのではないでしょうか。COBS ONLINEの読者に「大好きな深夜ラジオ番組」についてアンケートしました。調査期間:2011/8/1~2011/8/4アンケート対象:COBS ONLINE会員有効回答数:781件(ウェブログイン式)■怪物的人気の深夜ラジオ「ナインティナインのオールナイトニッポン」・ハガキ職人のネタとナイナイのトークが最高(28歳/女性)・テレビでは聞けない素のトークや、彼らの周りにいる芸能人の裏話などが聞けるので貴重です!(31歳/女性)オールナイトニッポン史上最長の17年にわたって放送を続けているナイナイのオールナイトニッポン。本人たちも素顔の自分を出すことができているようで、のびのびとトークをしている印象があります。「伊集院光深夜のバカ力」・テレビでは見られない伊集院光のブラックトークが魅力(29歳/女性)・リスナーの投稿が面白すぎる(27歳/男性)今年で16年目の同番組。「深夜ラジオの帝王」とも言われる伊集院のブラックトークを楽しみにしているリスナーも多いはずです。■あの芸能人のエッチな一面「桑田圭祐の優しい夜遊び」・桑田さんのエッチな面が全開で面白いです(24歳/女性)「福山雅治のオールナイトニッポン」・福山さんがこんなに下ネタ好きの人だとは知らなかったので、番組を聴いて親しみを覚えました(26歳/男性)エロ系パーソナリティの二大巨頭としても知られる桑田圭祐と福山雅治。想像力が刺激されるような、ちょっとエッチなトークが聞けるのも深夜ラジオの醍醐味(だいごみ)ですね。■落ち着いた深夜のひと時「ジェットストリーム」・城達也さんの声と音楽がとても気持ちよくて好きでした(35歳/女性)※現在のパーソナリティは大沢たかおさんです「ラジオ深夜便」・聞いていると眠くなってくるので、眠れない夜にちょうどいいんですよね(27歳/男性)どちらも深夜ラジオの代名詞として知られる有名番組。落ち着いた語り口と安らかな音楽で癒やされたという方は多いのではないでしょうか。このほか、ラジオ好きのCOBS ONLINEの読者からは、「やまだひさしのラジアンリミテッド」、「誠のサイキック青年団」、「林原めぐみのTokyo Boogie Night」など、さまざまな番組にアツい推薦の声をいただきました。番組ごとに独特の魅力がある深夜のラジオ番組。普段はあまりラジオを聞かないという方も、この機会に自分のフィーリングにピッタリの番組を探してみてはいかがでしょうか。きっとすてきな夜が過ごせるはずです。(萩原雄太/かもめマシーン+プレスラボ)【関連リンク】【コラム】災害時に実力を発揮する「コミュニティ放送局」とは?【コラム】あなたの地元で人気のローカルタレントを教えて!【コラム】ニュース、バラエティ、ドラマ……あなたのテレビ出演経験は?
2011年09月13日故・井上ひさしが共同脚本に名を連ねた山田洋次監督の映画でその名を知られる『キネマの天地』(1986年公開)。映画公開と舞台初演から25年を経てこまつ座で初上演される本作の公開舞台稽古が、9月4日、東京・紀伊國屋サザンシアターで行われた。チケット情報舞台版『キネマの天地』は映画の続編として企画され、映画公開と同年の1986年に井上ひさしの作・演出により日生劇場で上演。ゆえに、新進女優・田中小春ら数人は映画版と同じキャラクターが登場するが、ストーリーは映画版とまるで異なるサスペンス・コメディだ。映画全盛期の昭和10年。“K.T”のイニシャルを持つ4人のスター女優が、ある映画監督に呼び出されて築地東京劇場に集められる。そこで舞台『豚草物語』への出演をオファーされ、早速稽古を始めることになった4人。実はこの監督の妻は彼女たちとも面識があり、「K.Tに殺される」と日記に書き残して謎の死を遂げた女優だった。監督はある万年下積役者を刑事に仕立て、妻殺しの真犯人を暴こうと画策しており……。麻実れい、三田和代、秋山菜津子、大和田美帆の各世代を代表する実力派女優たちがスター女優に扮し、豪華競演。彼女たちを迎え撃つ男性陣も、監督役に浅野和之、助監督役に古河耕史、そして下積俳優役に木場勝己と、いずれ劣らぬ実力者揃いだ。演出は、本作初演で演出助手として演出家・井上ひさしをサポートした経験を持つ栗山民也が務める。「時代や社会批判が重いテーマとして作品に潜んでいるのが井上作品の特長ですが、これは演劇論・俳優論に徹した珍しい作品」と三田和代が語るように、井上作品の系譜においては性質を異にする印象。ドンデン返し連発の娯楽作として肩肘張らずに楽しめ、約2時間半(休憩含)の上演中も笑いが絶えなかった。一幕は、スター女優たちの美しくもオソロしい自己顕示のバトル。いがみ合いながらも、愛すべき4人が絶妙なコンビネーションを見せる。彼女たちの化けの皮が次々とはがされてゆく二幕では、笑いの中に、“演じること”にとりつかれた者の悲哀が色濃く加わる。このコントラストが見事だ。役者の凄まじいまでの執念が結実したラストは、名優・木場勝己渾身の名演もあいまって、切なく、深く心に刻まれた。また同時に、作者・井上ひさしが役者に対して抱いていたであろう親愛とリスペクトが胸に迫る。そんな思いを役を通じて体現できることは、役者にとって無上の喜びであるだろう。客席を関係者が占める舞台稽古には珍しくもある熱のこもった拍手が、“演じることにとりつかれた”舞台上の役者たちを暖かく包み込んでいた。10月1日(土)まで紀伊國屋サザンシアターにて上演。その後、10月4日(火)・5日(水)に大阪・梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ、10月8日(土)に岩手・盛岡劇場、10月10日(月)に山形・川西町フレンドリープラザでも上演する。東京、大阪のチケットはぴあにて発売中。取材・文:武田吏都
2011年09月05日