東京スカパラダイスオーケストラ(以下:スカパラ)が、ベストアルバム『TOKYO SKA TREASURES 〜ベスト・オブ・東京スカパラダイスオーケストラ〜』を2020年3月18日(水)にリリース。aikoをゲストボーカルとして迎えた新曲も発表する。ミスチル桜井やエレカシ宮本とのコラボ曲も収録した豪華ベスト盤スカパラの『TOKYO SKA TREASURES 〜ベスト・オブ・東京スカパラダイスオーケストラ〜』は、デビュー30周年を記念して制作されたベスト盤アルバム。アルバムには、Mr.Childrenの桜井和寿、エレファントカシマシの宮本浩次、Chara、Crystal Kay、奥田民生ら錚々たるミュージシャンとのコラボレーション曲も収録されている。aikoをゲストボーカルに迎えた新曲も発表新曲としてaikoをゲストボーカルとして迎えた「Good Morning~ブルー・デイジー feat. aiko」も収録。今回のコラボレーションは、発表直後から、谷中敦(Baritone sax)が「aiko!aiko!!」とaikoの名前を絶叫するCMがネットで公開され、音楽ファンの期待を高めてきた。同曲は、「岡村隆史のオールナイトニッポン」にて初披露されたことでも話題を呼んだ。Blu-ray&DVDには、Official髭男dismやコムアイらとのコラボ映像収録展開されるのは4形態。そのうち『CD+Blu-ray盤』、『CD+DVD盤』、『ファンクラブ限定盤』すべて共通で、現在開催中の全国ツアー『30th Anniversary Hall Tour 2019-20「TOKYO SKA 30 ~ズレたままハジキ飛ばしていこう~」』の厚木市文化会館公演で披露された「30周年メドレー」などを含む30分ほどのライブ映像を収録している。さらに、『CD+Blu-ray盤』、『CD+DVD盤』には、スカパラとスペースシャワーTVがお互い30周年というメモリアルイヤーに、強力なタッグを組んで展開してきたコンテンツのなかから、豪華アーティストとのコラボレーション映像が収録される。■参加アーティスト・GEN(04 Limited Sazabys)・MAH(SiM)・Official髭男dism・Gotch(ASIAN KUNG-FU GENERATION)・TAKUMA(10-FEET)・宮本浩次・コムアイ(水曜日のカンパネラ)・渋谷龍太(SUPER BEAVER)・高橋優、・マサキセイヤ(キュウソネコカミ)・チバユウスケ『AKIRA』の大友克洋がジャケットを書き下ろしジャケットのイラストは、『AKIRA』や『スチームボーイ』など、これまで数々の作品を世に送り出してきた大友克洋が手掛けた。「永遠の少年たちに、トレジャーズををテーマとし、彼の作品のキーワードともいえる「少年」をモチーフに、大友克洋らしい世界観とタッチで“宝物”が表現されている。【詳細】『TOKYO SKA TREASURES 〜ベスト・オブ・東京スカパラダイスオーケストラ〜』発売日:2020年3月18日(水)■価格・CD+Blu-ray盤CD3枚組+Blu-ray2枚組 8,000円+税・CD+DVD盤CD3枚組+DVD 5,000円+税・CD ONLY盤CD3枚組 3,500円+税<CD収録内容> ※CD DISC1〜3 全形態共通<< VOCAL MASTERPIECES 2001-2020>>■CD DISC 101. Good Morning~ブルー・デイジー feat. aiko02. リボン feat. 桜井和寿 [2020 Remaster]03. めくれたオレンジ feat. 田島貴男 [2020 Remaster]04. 銀河と迷路 [2020 Remaster]05. 道なき道、反骨の。 feat. Ken Yokoyama [2020 Remix & Remaster]06. 流星とバラード feat. 奥田民生 [2020 Remaster]07. 流れゆく世界の中で feat. MONGOL800 [2020 Remaster]08. 白と黒のモントゥーノ feat. 斎藤宏介 [2020 Remaster]09. 嘘をつく唇 feat. 片平里菜 [2020 Remaster]10. Pride Of Lions feat. 伊藤ふみお [2020 Remaster]11. 縦書きの雨 feat. 中納良恵 [2020 Remaster]12. 爆音ラヴソング feat. 尾崎世界観 [2020 Remaster]13. ちえのわ feat. 峯田和伸 [2020 Remaster]14. All Good Ska Is One feat. Angelo Moore [2020 Remaster]15. Glorious [2020 Remaster]■CD DISC 201. 明日以外すべて燃やせ feat. 宮本浩次 [2020 Remaster]02. 星降る夜に feat. 甲本ヒロト [2020 Remaster]03. カナリヤ鳴く空 feat. チバユウスケ [2020 Remaster]04. メモリー・バンド [2020 Remaster]05. サファイアの星 feat. Chara [2020 Remaster]06. 野望なき野郎どもへ feat. TOSHI-LOW [2020 Remaster]07. ずっと feat. Crystal Kay [2020 Remaster]08. Wake Up! feat. ASIAN KUNG-FU GENERATION [2020 Remaster]09. 追憶のライラック feat. ハナレグミ [2020 Remaster]10. Diamond In Your Heart feat. 細美武士 [2020 Remix & Remaster]11. 美しく燃える森 feat. 奥田民生 [2020 Remaster]12. 風のプロフィール feat. 習志野高校吹奏楽部 [2020 Remaster]13. 君と僕 2010 feat. 斉藤和義 [2020 Remaster]14. 閃光 feat. 10-FEET [2020 Remaster]15. DOWN BEAT STOMP [2020 Remaster]<< TOKYO SKA KILLER INSTRUMENTALS 1998-2017>>■CD DISC 301. Paradise Has No Border feat.さかなクン [2020 Remaster](music by NARGO)02. Break into the Light〜約束の帽子〜 [2020 Remaster](music by 沖祐市)03. 火の玉ジャイヴ [2020 Remaster](music by 冷牟田竜之)04. 太陽にお願い 〜Wish Upon The Sun〜 [2020 Remaster](music by 茂木欣一)05. CALL FROM RIO [2020 Remaster](music by 川上つよし)06. そばにいて黙るとき -Silent By Your Side- [2020 Remaster](lyrics by 谷中敦 / music by 沖祐市)07. Perfect Future [2020 Remaster](music by 北原雅彦)08. 5 days of TEQUILA [2020 Remaster](music by 加藤隆志)09. Horizon [2020 Remaster](music by 川上つよし)10. Natty Parade “Shaken Mix” [2020 Remaster](music by 北原雅彦)11. STROKE OF FATE [2020 Remaster](music by 川上つよし)12. 暗夜行路 [2020 Remaster](music by 沖祐市)13. THE Movin’ DUB [On The Whole Red Satellites] [2020 Remaster](music by GAMO)14. White Light [2020 Remaster](music by 加藤隆志)15. One Night [2020 Remaster](music by 大森はじめ)16. 水琴窟-SUIKINKUTSU- feat. 上原ひろみ [2020 Remaster](music by NARGO)17. TONGUES OF FIRE [2020 Remaster](music by 川上つよし)<Blu-ray収録内容>■Blu-ray DISC 1Music Video01. 火の玉ジャイヴ02. めくれたオレンジ feat. 田島貴男03. カナリヤ鳴く空 feat. チバユウスケ04. 美しく燃える森 feat. 奥田民生05. DOWN BEAT STOMP06. 銀河と迷路07. STROKE OF FATE08. TONGUES OF FIRE09. 追憶のライラック feat. ハナレグミ10. サファイアの星 feat. Chara11. 星降る夜に feat. 甲本ヒロト12. Pride Of Lions feat. 伊藤ふみお13. 流星とバラード feat. 奥田民生14. Break into the Light〜約束の帽子〜15. All Good Ska Is One feat. Angelo Moore16. 縦書きの雨 feat. 中納良恵17. 黄昏を遊ぶ猫 feat. 中納良恵18. 太陽と心臓 feat. ハナレグミ19. Diamond In Your Heart feat. 細美武士20. 閃光 feat. 10-FEET21. 流れゆく世界の中で feat. MONGOL80022. Wake Up! feat. ASIAN KUNG-FU GENERATION23. 爆音ラヴソング feat. 尾崎世界観24. めくったオレンジ feat. 尾崎世界観25. 嘘をつく唇 feat. 片平里菜26. 道なき道、反骨の。 feat. Ken Yokoyama27. Paradise Has No Border feat. さかなクン28. 月のウインク29. さよならホテル feat. Ken Yokoyama30. 白と黒のモントゥーノ feat. 斎藤宏介31. ちえのわ feat. 峯田和伸32. Glorious33. 野望なき野郎どもへ feat. TOSHI-LOW34. Te Quiero con Bugalú (テ・キエロ・コン・ブガルー) feat. iLe35. メモリー・バンド36. 明日以外すべて燃やせ feat. 宮本浩次37. リボン feat. 桜井和寿38. 風のプロフィール feat. 習志野高校吹奏楽部39. Good Morning~ブルー・デイジー feat. aiko※「黄昏を遊ぶ猫 feat. 中納良恵」「太陽と心臓 feat. ハナレグミ」「めくったオレンジfeat. 尾崎世界観」「月のウインク」「さよならホテル feat. Ken Yokoyama」「Te Quiero con Bugalú (テ・キエロ・コン・ブガルー) feat. iLe」の6曲はBlu-rayにMusic Videoのみ収録される。■Blu-ray DISC 2 (DVD収録内容も同一)TOKYO SKA 30th Anniversary 2019-2020 Special Movie1. 30th Anniversary Hall Tour 2019-20「TOKYO SKA 30 ~ズレたままハジキ飛ばしていこう~」at 厚木市文化会館(2020.01.19)・30周年メドレー(MONSTER ROCK / ホール イン ワン / パンドラタイムス 2019 / YOU DON’T KNOW(WHAT SKA IS) / 火の玉ジャイヴ / めくれたオレンジ / White Light)・Glorious・¡Dale Dale! 〜ダレ・ダレ!〜・風のプロフィール2. TOKYO SKA × SPACE SHOWER TV 〜 30th Anniversary Special Movie・TOKYO SKA JAM "8"GUEST:GEN(04 Limited Sazabys) / MAH(SiM)・SWEET LOVE SHOWER 2019 (2019.09.01)GUEST:Official髭男dism / Gotch(ASIAN KUNG-FU GENERATION) / TAKUMA(10-FEET) / 宮本浩次・LIVE with YOU -TOKYO SKA JAM “8”- (2019.12.01)GUEST:コムアイ(水曜日のカンパネラ) / 渋谷龍太(SUPER BEAVER) / 高橋優 / ヤマサキセイヤ(キュウソネコカミ) / チバユウスケ・TOKYO SKA JAM "8" GUEST TALK DIGEST※その他ファンクラブ限定盤あり。各グッズ特典などに関しては公式HP参照。
2020年02月28日仲道郁代が、2027年の演奏活動40周年とベートーヴェン没後200年に向けて、2018年から10年間にわたり行っている「Road to 2027」。春にはベートーヴェンのピアノソナタを軸としたリサイタルシリーズを継続しており、来たる5月の公演では「ワルトシュタイン」中心に組み立てたプログラムを届ける。【チケット情報はこちら】テーマは「音楽における十字架」。聴くことで何を受け取ることになるのか、考えずにはいられない題目だ。「ワルトシュタインの1楽章では、同音連打による横線と、上下する音階の縦線が重要な役割を果たし、この二つの線を重ねると十字架が浮かび上がります。粛々と同じ営みを続けるような同音連打と、それを貫く剣のような上下動で、運命的な出来事とそれに抗う様が表されているとも受け取れます。ベートーヴェンは作品を通じ、芸術家として背負わねばならぬものについて考えたのではないでしょうか」併せて演奏するのは、ショパンとシューマン。「ショパンの、祖国に戻れず、それでも生きていかねばならない運命への忸怩たる想い。シューマンが、のちに妻となるクララとの結婚を反対される中抱いた、溢れる想いと苦しみ。各作曲家が背負った人生を、どう音楽に昇華させたのか。苦しみ抜いたのか、または時に夢を見たのか。心模様に思いを馳せてお聴きいただけたらと思います」すでに幾度もベートーヴェンのソナタ全曲演奏に取り組む仲道だが、「共感だけでは弾けない。構造的なものを踏まえないと説得力のある演奏ができない」作曲家だけに、昔は苦手意識があった。「でも、一度全曲演奏会をした後、音楽評論家の故・諸井誠先生とのレクチャー付きの全曲演奏会を行ったことで、ピアニストとして私は大きく変わりました。ある音をなぜそう弾くのか考える基礎を、徹底的に刷り込んでいただいたのです」ベートーヴェンは32曲のソナタの中で、生きることとは何かを追求した。「彼が背負った十字架が何だったのか、正しい答えはありません。聴く人それぞれが経験に応じて別のことを作品から共感できるのが、クラシック音楽のすばらしさです」そして最後となる2027年の公演には、ベートーヴェン「ハンマークラヴィーア」とショパン「葬送ソナタ」が置かれている。「実は葬送ソナタは、亡き母の出棺の時に弾いた曲。以来、私は舞台で弾けませんでした。でも、音楽家としてこれを乗り越えなくてはならないとプログラムに入れました。シリーズを終え、その先に見える景色がどんなものなのか、まだわかりません。皆様には、同時代を生きる演奏家がどう変容していくのか、また音楽から何を思うのか、共に感じていただけたら幸せです」取材・文:高坂はる香
2020年02月28日早いもので、今年で開館23年目のシーズンを迎える横浜みなとみらいホールだが、耐震やバリアフリー化のための修繕工事のため、2021年1月から2022年10月まで、1年10か月間にわたって休館する。2月に開かれたプレス懇談会では、休館前最後となる2020年シーズンの主催公演ラインナップ発表と併せて、3月末をもって退く池辺晋一郎館長の退任挨拶、および4月から就任する新井鴎子新館長の紹介が行なわれた。【チケット情報はこちら】まず挨拶に立ったのは現館長の池辺晋一郎。2007年4月の就任以来13年間の在任期間を振り返り、「悲喜こもごもを語ると1時間18分かかる」と笑いを取りつつ、「やりきったという気持ちはないが、やりきってないところで終わるのが物を作るということ」と述べたのは、つねに「次の作品」を見据える現役の作曲家としての率直な心情だろう。「これからもひとりの音楽家としてお目にかかりましょう」と結んだ。つづいて新館長・新井鴎子の紹介。「誇りを持って、公共ホールとしての使命を果たしていきたい」と挨拶した新井は、東京芸術大学楽理科および作曲科の出身。音楽構成作家として、数々のコンサートやテレビの音楽番組などの台本を手がける一方で、東京芸術大学特任教授として障害者支援プログラムの研究開発に携わるなど、さまざまな分野で音楽文化の新たな受容を模索する活動を繰り広げている。休館のため、2022年度の事業が新館長としての初シーズンとなるが、休館中にも、最新のVR技術を駆使する「移動型みなとみらい」で病院などを巡り、ふだんホールに来場することができない人々にホールを体感してもらいたいというプランを明かした。まだ計画段階だが、音楽ホールの新しいあり方を探る姿勢をさっそく示した格好。一方で、たとえば現代音楽の新作を委嘱する「Just Composed」など、池辺が手がけた意義ある企画はしっかり継承していきたいと約束してくれた。つづいて発表された2020年度の公演ラインナップでは、やはり2020年ならではの企画が特徴的だ。「Tokyo 2020」開催期間を含む7~9月を「MMMusic for 2020」と名付け、音楽ジャンルや伝達メディアを超えて体感するアート・プログラム「きこえる色、みえる音」や、子供たちのための参加型イベント「みなとみらい遊音地」などを開催する。そして生誕250年のベートーヴェンの「第九」をメインに据えたのが10~11月の秋シーズン。リスト編曲のピアノ版と、ピリオド楽器オーケストラ「オルケストル・アヴァン=ギャルド」による2つの「第九」が演奏される。年末の「第九」も併せると、主催公演に3つの「第九」。ベートーヴェン・イヤーならではの選択だ。そして大晦日恒例のジルヴェスターコンサートが休館前最後の公演。建物も陣容も一新された横浜みなとみらいホールが帰ってくるまで、しばしのお別れだ。取材・文:宮本明
2020年02月26日フランス生まれの「ラ・フォル・ジュルネTOKYO」(LFJ)が今年も5月のGWにやってくる。東京・有楽町の東京国際フォーラムを中心に行なわれる有料無料合わせて300超のコンサートに43万人の来場が見込まれる大音楽祭。プロデューサーのルネ・マルタンが来日して、概要発表会見が開かれた(2月18日・東京国際フォーラム)。【チケット情報はこちら】今年のテーマは生誕250周年の「ベートーヴェン」。これはLFJが初上陸した2005年と同じ。交響曲やピアノ・ソナタの全曲演奏でベートーヴェンの生涯を通観できるのはもちろんのこと、レア作品を含む協奏曲全曲やピアノ三重奏曲全曲などの百科全書的な企画のほか、室内楽曲や歌曲・合唱曲、珍しいところでは劇音楽《エグモント》全曲の朗読付きと、全編がベートーヴェンずくめ。全公演が、ベートーヴェン・プロか、あるいはベートーヴェンに密接にリンクしたプログラムという、徹底したベートーヴェン祭りになる。会見でマルタンが力を込めたのが、「トランスクリプション(編曲)」という、独自の面白い切り口。ベートーヴェン自身による自作編曲もあるが、同時代から21世紀に至る作曲家たちが試みたさまざまなアプローチもたくさん。ベートーヴェンが時代を超えて影響を与えてきた証を示す。清く正しいロマン派音楽から抱腹絶倒のラテン版まで、ベートーヴェンの百面相。大きな注目が《第九》。この人類の宝にもさまざまな方向から光が当てられる。通常どおりの演奏以外に、リストやワーグナー、そしてベートーヴェンの同時代人カルクブレンナーの三人がピアノと合唱用に編曲した《第九》第4楽章を並べて一気に聴き比べるのは前代未聞。さらに、「第九大国」の日本ならではの企画が、5,000席のホールAの会場全員で合唱に参加してしまおうという「みんなの第九」。鼻歌でメロディを口ずさむレベルではなく、座席の多くはパート別に販売される合唱専用席だから、隣の人に負けじと熱唱可能。公式のリハーサルもあるが本番のみの参加OK。今年のGWは《第九》で締めよう。出演者は例年どおり多士済々、豪華絢爛。チケット代が原則として最高3,000円と安価に収められているのもうれしい限り。なお会見には、「LFJアンバサダー」に就任したタレントのふかわりょうさんも出席。昨年の流行語にかけて「にわかジュルネも大歓迎」とスローガンを掲げるも、報道陣の反応は今ひとつで、「ペンが動いていませんねえ…」と消沈。ふかわさん、書きましたよ!開幕が待ち遠しいLFJは5月2日(土)~4日(月祝)+前夜祭。チケット販売も始まった。ベートーヴェン漬けの3日間を体験すれば、クラシック初心者も筋金入りのベテランも、必ずやベートーヴェン度が急上昇する。間違いなくメモリアル・イヤーの目玉のひとつだ。しかしこの身はひとつ。全部は聴けないから、どの公演を選ぶか、ああ、例年にも増して悩ましい。取材・文:宮本明
2020年02月19日国内最高峰の音楽コンクールの覇者たちが集う「第88回日本音楽コンクール受賞者発表演奏会」が、2月26日、今年も東京オペラシティ・コンサートホールで開催される。今年度のピアノ部門を制したのは、年齢規定下限の17歳で参加した亀井聖矢だ。【チケット情報はこちら】──優勝おめでとうございます。予選を勝ち進むにつれて、手ごたえは感じていましたか?第三予選に進んだ頃から、ここまで来たらやっぱり1位を獲りたいなという気持ちにはなりました。でも本選も好きな曲でしたし、余計なことは考えないと決めたら、辛い苦しいというよりは、わりと楽な気持ちで楽しく臨めました。いま思えば、ですけど(笑)。──その本選の協奏曲は、サン=サーンスのピアノ協奏曲第5番《エジプト風》。レアな曲を選びましたね。3つの楽章のどれも魅力的で、最後に魅せることができる曲です。「えっ、サン=サーンス?」と思った人にも、いい曲だと感じてもらえるような演奏ができたらなと思いました。──音楽雑誌の記事に、演奏後の会場が、フィギュアスケートの羽生弓弦の演技後のような雰囲気になったと書かれていました。あはは(笑)。その時は興奮していてよくわかりませんでしたが、いい演奏ができたのかなと思います。──一転して、今度のコンサートでは、王道中の王道、チャイコフスキーのピアノ協奏曲 第1番(第1楽章)です。幼い頃から弾きたいと思っていた曲です。オーケストラも重厚で、派手で華やかなイメージがあると思うんですけど、実際勉強してみるとすごく繊細で、心の中でうごめくような感情、微妙な感情の変化を表現できたらなと思います。誰もが知っている曲なので、より難しくなるとは思うんですけれども。──聴いて影響を受けたピアニストの演奏はありますか?あまり誰の演奏という意識では聴かなくて……。いろいろ聴いてもレッスンを受けても、それぞれの解釈があるので、それらをうまく取り入れながら、自分の音楽にしていかないとならないので。──優勝から3か月あまり。周囲の環境がずいぶん変わったのではないですか?少しずつ本番が増えてきたり、忙しくなって、半分慣れないままですけれども、常に何かあったほうが自分のモチベーションになるので、今のところ楽しくやっています。その中で、本番に引っ張られるのではなくて、本番をうまく次に繋げていくためのステップにできるようにと考えています。若い勢いのある演奏だけでは、今後どこかで通用しなくなると思うので、誰もが弾くような曲でも、ひと味もふた味も違う、“あ、上手いな”と思わせる演奏ができるように、内面的な部分をもっと磨いていきたいと思います。昨年12月に18歳の誕生日を迎えた。通常なら高校3年生の年齢だが、飛び級入学で現在桐朋学園大学の1年生。コンクール優勝は「ゴールではなくスタート」ときっぱり。若武者の眼差しはしっかりと前だけを見据えている。取材・文:宮本明
2020年02月18日多くのファンに愛される「炎のコバケン」。指揮者の小林研一郎が4月に満80歳(傘寿)を迎える。これを祝う記念プロジェクト「マエストロ小林研一郎80th祝祭演奏会」についての会見が開かれ、マエストロ自ら意気込みや抱負を語った(1月28日・東京文化会館内)。【チケット情報はこちら】小林は会見冒頭、今年の大相撲初場所で33歳にして初優勝を果たした徳勝龍の「もう33歳ではなく、まだ33歳」という発言を引き、「私も同じ気持ち。80歳を迎え、そこからまたもうひとつ輝く世界、80歳の階段を登りつめたときに見える景色に期待しながら、そしてオーケストラという、とてつもない才能の集団の方々に、何か新しい光のようなものを(示す)、そのために作曲家の行間のうちを相当勉強しなければならないと思っています」と、変わらぬ真摯さで音楽に向き合う姿勢を語った。プロジェクトは3つのコンサート企画から構成され、すでに昨年9月、「VOL.1 ハンガリー放送交響楽団 日本公演」でスタートしている。そしていよいよ80歳イヤーの今年開催されるのが、4月のサントリーホールでの「VOL.2 チャイコフスキー交響曲 全曲チクルス」(管弦楽:日本フィル)と、11月の東京芸術劇場での「VOL.3 ハンガリー国立フィルハーモニー管弦楽団 日本ツアー」。チャイコフスキーは小林が得意とする作曲家のひとり。最近では2013~2015年にロンドン・フィルとスタジオ録音した交響曲全集が大きな話題となった。小林が「命綱」と形容する強い絆で結ばれた日本フィルとともに演奏する今回は、5日間にわたって、もちろん《マンフレッド交響曲》も含めて全曲を網羅する完全版。公演2日目の4月9日が80歳のバースデー当日だ。チャイコフスキーは今年生誕180年なので「80年」つながりでもある。「チャイコフスキーの持っているペシミスティックな、あるいは救いようのない苦しみの世界。その苦しみの大叙事詩をお見せできたら、今までとまったく違うチャイコフスキー観が生まれるかもしれない」と小林。ハンガリー国立フィルとの共演歴も長い。1974年、小林が世界へ羽ばたくきっかけとなったブダペスト国際指揮者コンクールのホスト・オーケストラだったから(当時「ハンガリー国立交響楽団」)、すでに45年以上の付き合いだ。「彼らと新しいことをやる時には、なぜかいつもこの曲」というマーラーの交響曲第2番《復活》(ソプラノ:市原愛、アルト:山下牧子、合唱:東京音楽大学)や、ベートーヴェンの交響曲第7番などを演奏する。「炎のコバケン」という呼び名には恥じらいを感じるという小林。燃え上がるのではなく、自身は冷静に、むしろ炎に水をかけているのだと、独特の言い方で表現したが、いずれにしても「老いては益々壮(さか)んなるべし」。そのベースの炎の勢いは、80歳を迎えてなお、まったく衰えることはなさそうだ。取材・文:宮本明
2020年01月30日毎年、海外の著名な指揮者やオーケストラの豪華共演を実現する『東芝グランドコンサート』。39回目となる2020年は、次世代を牽引する34歳の若きマエストロ、サントゥ=マティアス・ロウヴァリが、スウェーデンの名門エーテボリ交響楽団と至高の音楽を紡ぐ。ロウヴァリ指揮での演奏は日本初演となり、さらに、ソリストには世界的ヴァイオリニスト、三浦文彰の出演が決定した。公演に先駆け、楽団の本拠地エーテボリを訪ね、今回披露するショスタコーヴィチ「ヴァイオリン協奏曲第1番」を早々に手合わせしてきたという三浦。会見で楽団の印象と公演への意気込みを語った。「東芝グランドコンサート2020」チケット情報「現地で僕が一番驚いたのは、コンビの相性がすごくいいこと。オーケストラは指揮者のロウヴァリさんが大好きで、彼も楽団のみんなが大好き。ロウヴァリさんとは初対面でしたが、僕の楽屋を“ヤッホー!”と訪ねてくれて、とても明るい感じの方だなと(笑)。才能溢れる音楽作りが刺激的で、彼とは今後他のオーケストラでも一緒にやっていくんじゃないかな。一緒に演奏していてとても楽しかったです」と振り返る。このショスタコーヴィチの協奏曲は、三浦が小学生の頃、登下校中に愛聴していた一枚。初演を担った巨匠ダヴィッド・オイストラフのレコーディング盤を聴き込み、17歳で初めて演奏して以来レパートリーとなった。「ショスタコーヴィチはプロコフィエフと並ぶすばらしい作曲家。表現が制限された旧ソ連という難しい時代を生きた人で、実はいろんな作品を残している。ソナタ、室内楽などいろいろ演奏してきましたが音楽が深いですね。ロシアの本当の美しさや皮肉っぽさ、いろんな背景を感じて考えさせられる」。とりわけヴァイオリン協奏曲第1番は、4楽章制で40分以上の大作。変化に富んだ構成が聴きどころと語る。「例えば、第3楽章はすごく暗いところをドシドシ重苦しい気持ちで歩くところから始まって、続くカデンツァは急にひとりで演奏するソリストの見せ場。そこからフィナーレまではお祭りっぽく活発な感じになっていく。それぞれの楽章に全部違うキャラクターが詰まっているのが魅力です。今回はいま大注目のサントゥ=マティアス・ロウヴァリ指揮とエーテボリ交響楽団の演奏を聴ける貴重な機会。彼らも気合い十分に来ると思うので、僕自身ソリストとして演奏できることをうれしく思います。ぜひ多くの方に聴きに来ていただきたいなと思います」。公演は2月29日(土)に兵庫県立芸術文化センターにて<プログラムA>、3月8日(日)に東京・サントリーホールにて<プログラムB>を上演。その他、全8都市でツアー開催。チケット発売中。取材・文:石橋法子
2020年01月27日今年創立50周年を迎える神奈川フィルハーモニー管弦楽団。5月から始まる記念事業の発表会見を開き、常任指揮者の川瀬賢太郎や楽団顧問でもある黒岩祐治・神奈川県知事らが出席した(1月17日・神奈川県庁)。【チケット情報はこちら】従来の定期公演と並行して行なう記念事業は大きくふたつ。ひとつはマーラーの交響曲第8番《千人の交響曲》を演奏する祝賀演奏会(11月21日・横浜みなとみらいホール)。そしてもうひとつは県内10都市での巡回主催公演。どちらも、次の未来を見据える意味で、「フューチャー・コンサート」と名付けられている。マーラーの交響曲第8番について川瀬は、「(この曲を指揮するのが)長年の夢だった」と語る。今回が初挑戦となる。「僕がまだ幼稚園児の頃、最初に夢中になったクラシック音楽が、モーツァルトでもベートーヴェンでもなく、この曲」。そんな彼のマーラー愛はどうやら父親譲りで、父はマーラー協会に所属していたほどのマーラー・ファン。当時のマーラー協会会長は指揮者の故山田一雄で、1984年に川瀬が生まれたとき、お祝いに指揮棒をプレゼントしてくれたのだそう。山田は1949年に交響曲第8番を日本初演した指揮者だから(演奏の一部がニュース映像として残っている)、川瀬がこの作品を指揮することは、もしかしたらこの世に生まれた瞬間から宿命づけられていたのかもしれない。巨大なエネルギーの奔流のような作品だが、それだけではない、川瀬らしい、切れ味鋭い、そして丁寧なアプローチを見せてくれるはず。必ず聴きたいコンサートだ。ソリスト等の詳細は後日発表。県内巡回公演は、各地ゆかりの出演者や作品を交えて、多くの人に親しまれている名曲でプログラムを構成する。海老名、横須賀、茅ヶ崎、秦野、川崎、藤沢、小田原、相模原、鎌倉、大和の各市を巡る。「神奈川の地元オーケストラ」としての顔も神奈川フィルの大事な側面だが、県内で一定期間に集中してこれだけの都市で主催公演を開くのは初めてとのこと。会見では、楽団が財政的に苦境に立たされた時期のあったことや、それを官民一体となった支援で乗り越えてきたことも語られた。神奈川フィルは独立した公益財団法人だが、こうした自治体や県民の支援があったからこその50周年。楽員もそれをよく知っている。2014年の公益財団法人化に向けて5億円の資金を集めなければならなかった際、自ら「応援団長」としてホールのエントランスに立って募金を呼びかけたという黒岩知事は、楽員たちが次第に自主的に募金活動に参加するようになったことを語り、その意識の変化が演奏のクォリティ向上にもつながっていると力を込めた。創立50周年。もしかしたら、華々しく海外公演という考え方もあったかもしれないが、「外に目を向けるのではなく、県内各地で」と川瀬。会見中に何度も繰り返された「感謝」という言葉がふさわしい、足元を見つめた記念事業になりそうだ。取材・文:宮本明
2020年01月21日フランソワ=グザヴィエ・ロト(1972~)、テオドール・クルレンツィス(1972~)という40代後半を迎えたふたりの指揮者が、今後30年、指揮の世界でフロントランナーとして業界を牽引していくことは、もはや世界中の評論家や熱心なファンの間で約束されているようなものだ。「フランソワ=グザヴィエ・ロト」出演公演のチケット情報40代後半なんて、まだそうした判断をするには早すぎると思われるだろうか? しかし、かつてニコラウス・アーノンクールがコンセルトヘボウ管弦楽団にデビューを果たし、モダン・オーケストラにも古楽の流れを持ち込み始めたのが46歳の年、あるいはサイモン・ラトルがベルリン・フィルハーモニー管弦楽団の首席指揮者・芸術監督に就任したのが47歳だった。それまで“鬼才”や“異端児”として評価されてきた存在がメインストリームに受け入れられることで、後続のフォロワーが次々と登場。時代に変革を起こしたのが40代後半だったのだ。好き嫌いこそあれ、現代のオーケストラ芸術を語る上でアーノンクールやラトルの存在を無視できないように、今後のオーケストラの発展を考える上ではロトとクルレンツィスというふたりがそうした指揮者として認知されていくはずであろう。そのロトが2月2日と3日に都響の指揮台に登場する。2016年振り2度目のことだ。2018年に手兵である古楽オーケストラのレ・シエクルと《春の祭典》をメインプログラムに据えた来日公演が大成功を収めたことで、口コミやSNSでもその驚異的なパフォーマンスが話題になった。この時の演奏の何が凄まじかったかといえば、もう充分に知ったつもりでいたピリオド・アプローチに、まだまだ未知の可能性が拓かれていることを提示してくれた点にあった。そもそもロトは、単に作品が書かれた頃の楽器を使うのではなく、初演当時の楽器を復元しようと徹底したこだわりをみせるところが、それまでの古楽系指揮者と違っていた。また、複雑な楽曲ほど音程やリズムが甘くなったりすることも珍しくなかった古楽器でも、現代のモダン楽器と同等の正確さで演奏が可能なことを示してくれた。そして何より、その結果うまれてきたパフォーマンスが純粋に音楽として素晴らしく、ここまで語ってきたような小難しいことなしに、心震える音楽として我々聴衆の胸に突き刺さったのだ。私個人としてもあの日の興奮は、生涯決して忘れ得ぬ体験のひとつとなっている。現在、ベルリン・フィルやコンセルトヘボウ管をはじめとする世界トップクラスのモダン・オーケストラからも引く手あまたのロト。そんな多忙なスケジュールをぬって、都響のために何とか時間を確保してくれたのである。いまから楽しみでならない。好き嫌いを問わず、オーケストラ芸術の将来を知るためにも絶対に足を運んでほしい公演なのだ。文:音楽ライター 小室敬幸
2020年01月17日2月12日、オーチャードホール(渋谷)にて、東京交響楽団がオーケストラ・コンサート「サエグサシゲアキ1980s」を開催する。演奏曲目は「機動戦士ガンダム 逆襲のシャア」(以下,逆シャア)と「交響曲『動乱』」。1980年代に作曲家・三枝成彰氏が手掛けた2曲にフィーチャーした演奏会だ。【チケット情報はこちら】「(逆シャアの)サントラを高校生くらいのころ,通学中にウォークマンでずっと聴いていました。なので楽譜を見ると思わず顔がにやけてしまうくらいです」と語るのは、東京交響楽団・首席トランペット奏者の澤田真人氏。「スーパーロボット大戦」シリーズをはじめ,今なおさまざまな形でゲーム化され続け,根強い人気を持つ「機動戦士ガンダム 逆襲のシャア」(1988年)からは14曲が演奏される。「(映画「動乱」を)DVDで観ました。当時の超大作だったようで,スケール感がすごかったですね。とあるドキュメンタリー番組では,“吉永小百合の人生を変えた一作”と紹介されていました。楽曲はチェロのソロが印象的でした」と、首席トロンボーン奏者・鳥塚心輔氏。「機動戦士Zガンダム」のBGMへとつながるメロディーが散りばめられた劇伴が三楽章にまとめられ、オーケストラ用のパート譜を新たに作成して演奏される「交響曲『動乱』」の生演奏は貴重だ。録音された音源はすでに廃盤となっているため、実演は過去にほとんどない。両者とも、金管が大活躍する本コンサートには大変な意気込みだ。「これまでの演奏会で一番気合が入っています。ずっと演奏したかったんですけど,まさかやれるとは思っていませんでしたから。(中略)、「やったー!」という気持ち。」(鳥塚氏)「公演までに逆シャアを見返しておきたいですね。当日は演奏しながらも逆シャアの世界に浸りたいので、学生時代の気持ちに戻って、もう一度頭に叩き込んでおきます!」(澤田氏)。これは、聴き逃せない!取材・文:馬波レイ撮影:増田雄介 (4Gamer編集部)
2020年01月16日英国の名門フィルハーモニア管弦楽団。1月23日(木)からの来日公演にさきがけて、最新デジタル技術による「VR(ヴァーチャル・リアリティ)サウンド・ステージTokyo」を実施している。360度の3D映像とサラウンド音響で、リアルなオーケストラ演奏を間近に体感できるというもの。「フィルハーモニア管弦楽団」来日公演のチケット情報演目は2017年にロンドンのロイヤル・フェステイヴァル・ホールでライヴ収録したマーラーの交響曲第3番。1983年にサロネンが代役で急遽フィルハーモニア管を指揮し、その後の首席指揮者就任のきっかけとなった作品だ。会場内には15脚の回転椅子。VRゴーグルとヘッドフォンをつけると映像が始まる。冒頭に上述の出会いのエピソードを語るサロネンの肉声が流れ、すぐに演奏へ。いきなり目の前にサロネンが現れた。譜面台を挟んでサロネンと向かい合う位置に座った格好。このプログラムの売りが、視界360度の3D映像だ。そのための回転椅子。ぐるぐる回って周囲を見渡すと、自分がオーケストラに囲まれているのがわかる。演奏は第6楽章の最後の6分ほど。映像同様、音声もサラウンドなので、たとえばフルートの聴こえる方向を振り返れば、そこにフルート奏者がいる。弾いているパート、休んでいるパート、旋律の受け渡しなどが、文字どおり目に見えるようで、スコアを見ながら聴いているような感覚。あまりにリアルなので、奏者や客席最前列のお客さんがこちらを見ているような気がして、なんだか照れくさい。壮大なコーダで曲を閉じると、盛大な拍手に応えてオーケストラ全員が立ち上がる。自分だけ座ったままではまずい!と本気で焦った。「VRサウンド・ステージTokyo」は東京芸術劇場地下1階アトリエウエストで1月29日(水)まで(1月20日(月)・21日(火)は休館日)。1日14回上映されるが、各回限定15名。当日整理券またはWEB予約が必要。詳細はホールHPへ。さらに、東京芸術劇場前の池袋西口公園に誕生した野外劇場「グローバルリング」では、関連イベント「TOKYO MUSIC EVENING “YuBE”(ユーベ)」が開催中(1月31日(金)まで)。VRと同じマーラー交響曲第3番の通常の2D映像を大型スクリーンとサラウンド・スピーカーで上映するもので、こちらは第6楽章まるまる(約30分間)が流れる。VRと同じコンサートの映像で、さっきたしかに座っていた感覚のある場所に自分がいないのが、なんだか不思議。特殊なサラウンド音響効果を作り込んだりはしていないようだったが、マルチ・スピーカーのおかげで、リング内のどこで聴いても良好な音響で楽しめる。上映は期間中の毎晩、午後7時と午後8時30分の2回(予約不要・入場無料)。野外なので防寒対策はお忘れなく!そして1月23日(木)からは、いよいよ公演が始まる。サロネンとフィルハーモニア管弦楽団の集大成を、今度は生身で!取材・文:宮本明
2020年01月15日三浦文彰、26歳。難関のハノーファー国際ヴァイオリン・コンクールに史上最年少の16歳で優勝し、注目を集めて10年。3年前の大河ドラマ『真田丸』のテーマ音楽演奏ではお茶の間の人気もがっちりと掴んだ。2020年2~3月の東芝グランドコンサートで、サントゥ=マティアス・ロウヴァリ指揮エーテボリ交響楽団と、ショスタコーヴィチのヴァイオリン協奏曲第1番を弾く。【チケット情報はこちら】「どの協奏曲を弾きたいか聞かれたら毎回必ずこの曲を挙げているのですが、なかなか採用されません。今回はそれが通って、ツアーで5回も弾くことができるのはすごくうれしいですね。演奏するたびに毎回見え方が違って、曲の深さがわかってくる。僕にとってはとても大事な曲です」1955年に初演された作品。三浦が師事したパヴェル・ヴェルニコフは、初演時のヴァイオリニスト、ダヴィッド・オイストラフの門下なので、いわば直伝で多くのことを学んだ。「一番は音のイメージです。強いだけじゃない、強くて重たいんだ、とか。それを言葉だけではなく、弾いて教えてくれました。あとは、ロシア文学を読めと。とくにこの曲の場合、ただ無意識に弾いていると運動会っぽくなっちゃうところがあるので。勘違いされやすいところかなと思うんですけど、ショスタコーヴィチは、人の声、叫びというか、金属的なカンカンした音ではない、木質の響きが必要です」すでに2019年10月に、来日公演と同じ顔合わせで、オーケストラの本拠エーテボリで共演してきた。「とてもいいオーケストラ。みんな本当によく聴いていて、ちゃんとアンサンブルができる。それに、彼らの感じているショスタコーヴィチというのがはっきりとあって、楽章ごとのキャラクターが際立っています。僕が何か仕掛けても、はっきりリアクションがあるので、やりがいがありました。(旧ソ連出身の)ネーメ・ヤルヴィが20年以上首席指揮者だったので、ロシア音楽の伝統も持っているのでしょうね。指揮者のサントゥも、その彼らがのびのび弾けるように振っている。すごく自然な音楽づくりだし、一緒にやっていて面白かったです。気が合うなと思いました。イージー・ゴーイングな性格で、打ち合わせでペちゃくちゃしゃべるのではなく、まずオケとやってみようよという感じ。僕もそのほうが好きなので」首席指揮者ロウヴァリは34歳。世代も近く、酒席もともにしてすっかり意気投合した様子。「日本でもどこか連れて行けと言われているので、考えなきゃ(笑)。メインのシベリウスの交響曲第2番もきっとすごくいいと思います。彼はフィンランド出身で、もちろんシベリウスを愛している男ですし、彼らはちょうどシベリウスの全曲録音を始めたところですから。プログラム全体が、大編成だし、聴きごたえ十分のコンサートだと思います」取材・文宮本明
2020年01月14日映画『007 スカイフォール』のシネマオーケストラ『007「スカイフォール」in コンサート』が、東京国際フォーラムで開催。なお、開催日は未定。007シリーズのヒット作「スカイフォール」『007 スカイフォール』は、映画007シリーズで最大のヒットを記録した人気作品。「007/カジノ・ロワイヤル」からつづき、ダニエル・クレイグが主人公ボンドを演じ、ジュディ・デンチが不動の“M”役をつとめ、賢いクォーターマスター“Q”役にベン・ウィショー、チャーミングで機知に富んだイヴ・マネーペニー役としてナオミ・ハリスが登場した。大スクリーン×フルオーケストラ生演奏映画007の最新作『ノー・タイム・トゥ・ダイ』の公開を2020年4月に控え、007シリーズの盛り上がりを見せるなか、シリーズ人気作「スカイフォール」がシネマオーケストラで再びスクリーンに蘇る。フルオーケストラの生演奏の中、大スクリーンで映画全編をライブ感をもって鑑賞することができそうだ。なお、指揮を務めるのはニコラス・バック。東京フィルハーモニー交響楽団が、ブリティッシュ・アカデミー・フィルム・アワードを受賞したトーマス・ニューマンの楽曲を演奏する。【詳細】007「スカイフォール」in コンサート開催日時:未定※2020年4月28日(火)18:00開場/19:00開演で開催予定だったが、延期となった。※英語上映・日本語字幕あり会場:東京国際フォーラムホールA住所:東京都千代田区丸の内3-5-1チケット代:S席9,900円、A席7,900円、B席3,900円※すべて税込み※プレイガイド先行販売中。(先着・座席選択あり)チケット一般発売日:2020年2月14日(金)10:00〜取り扱い:キョードー東京、チケットぴあ、ローソンチケット、イープラス、LINE チケット、楽天チケット※振替公演の詳細、払い戻しの案内は調整が整い次第告知。【問い合わせ先】キョードー東京TEL:0570-550-799(平日11:00〜18:00/土日祝10:00〜18:00)
2020年01月09日2020年の東京オリンピックに向け、「オリンピックコンサート2020 プレミアムサウンドシリーズ」が年明け1月11日(土)の東京芸術劇場 コンサートホールを皮切りに、全国6都市7公演上演される。本公演は選りすぐりのオリンピック公式映像とフルオーケストラの生演奏が相まって、オリンピックの感動を伝えるもの。1997年より毎年上演され、自国開催となる2020年には、日本のスポーツ界を牽引する元オリンピック選手をゲストに招く。今回は2012年よりナビゲーターを務める俳優の藤本隆宏と、1月11日(土)と4月4日(土)の東京公演でゲスト出演する小谷実可子の元オリンピック選手2名に話を聞いた。【チケット情報はこちら】コンサートは2部構成。1部は「1964 to 2016輝き続けた夏の夢」と冠し、『オリンピック東京大会ファンファーレ』など5曲を背に、1964年の東京大会から前回リオ大会までの夏のオリンピックの変遷を映像でたどる。2部は「2020へ、その先の未来へ、輝く夢に向かって!」。注目は、ここでしか聞けない元オリンピック選手の裏話だ。ソウル、バルセロナの2大会で、それぞれシンクロナイズドスイミング、競泳の選手として参加した小谷と藤本。距離を縮めたのは引退後で、小谷は毎年プライベートでもこのコンサートを楽しんでいる。様々なアスリートの映像で涙する中、これまで小谷は上村愛子の映像で1番泣いたのだそう。「彼女は4回オリンピックに出て、8位入賞からひとつずつ順位を上げながらも、最後にメダルが取れなかった。そのクロニクルを取り上げた映像とエピソードが、ぴったりとリンクして号泣しましたね。オリンピアンといえども、ひとりの娘であるところが垣間見られたりして」。そこに藤本が話を付け加える。「映像は選手が勝負に勝った瞬間だけではありません。オリンピックまでの過程も流れるんですね。映像が盛り上がると生のオーケストラ演奏も高揚して、感動が何倍にもなって伝わってくる。私はナビゲーターをしながら、いつも感動して涙しては舞台袖で拭いています」。藤本が当日、小谷に聞きたいのは招致活動の裏側。それについて小谷は「2020年の招致は、総理、経済界・スポーツ界のトップも皆、肩書をかなぐり捨てて、1つの目標に向かっていました。これだけ勢いのあるチームで勝てなかったら、一生東京にオリンピックは来ないんじゃないかと思うくらい」と答える。気になる続きは、ぜひ会場で耳を傾けてほしい。「オリンピックコンサート2020 プレミアムサウンドシリーズ」は、1月11日(土)の東京公演より6都市7公演を開催。チケットは発売中。取材・文:横山由希路
2019年12月20日映画「バック・トゥ・ザ・フューチャー」の公開35周年記念し「バック・トゥ・ザ・フューチャー」inコンサートが、4月29日(水・祝)に東京国際フォーラム・ホールA、5月1日(金) に大阪国際会議場(グランキューブ大阪)にて、開催することが決定した。【チケット情報はこちら】「バック・トゥ・ザ・フューチャー」inコンサートは、1985年製作の「バック・トゥ・ザ・フューチャー」の1作目をノーカットで舞台上の大スクリーンで上映。そして全編のサウンドトラック部分を映画に合わせてオーケストラが生演奏するシネマ・オーケストラ・コンサート(シネオケ(R)※注釈)となる。2015年5月の世界初演後、米・ハリウッドボール、ロンドン・アルバートホールをはじめ世界中で上演され、日本では2015年に東京と大阪、今年4月に東京で、総勢21,000人を動員した大ヒット公演。このコンサートのために、「バック・トゥ・ザ・フューチャー」の音楽を担当したアラン・シルヴェストリが元々のオーケストラスコアに加えて、新たに約15分のスコアを作曲した。映画の始まりからワクワクする音楽的演出が施されており、80名のフルオーケストラが迫力の生演奏で、観客をタイムトラベルへ誘う。さらに、映画公開35周年をお祝いして、コンサート当日、会場に映画に登場した『デロリアン』のレプリカ展示も決定。1950年代(70年前!) or 1980年代(40年前!)のファッションでコンサートに参加して、「バック・トゥ・ザ・フューチャー」の世界を思う存分楽しんで。チケットぴあでは2020年1月21日(火)11:00より先着先行を受付開始する。<公開35周年記念「バック・トゥ・ザ・フューチャー」 in コンサート>◇東京公演会場:東京国際フォーラム・ホールA日時:4月29日(水・祝)14:00開演(13:00開場)◇大阪公演会場:大阪国際会議場(グランキューブ大阪)メインホール日時:5月1日(金)19:00開演(18:00開場)※英語上映・日本語字幕あり※上演時間:約2時間30分予定(休憩1回含む)【出演】指揮:ニコラス・バック管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団(東京公演)/大阪交響楽団(大阪公演)
2019年12月09日日本を代表するチェリスト・長谷川陽子が2020年、精力的に新たな試みにチャレンジする。2月21日(金)に東京オペラシティコンサートホールにて、バンドネオン奏者の三浦一馬、ギタリストの大萩康司とのトリオによる「情熱と哀愁のリベルタンゴ」を開催。それに先立つ1月10日(金)には、同会場のホワイエにて0歳児を育児中の保護者を対象にしたコンサート「0歳児とおでかけ応援プロジェクト」を実施する。【チケット情報はこちら】「情熱と哀愁のリベルタンゴ」は、ピアソラの「リベルタンゴ」、ハチャトゥリアンの「剣の舞」をはじめ「踊りや歌に関する曲を選んだ」と“情熱”を前面に出した曲目になっており「私自身の気質としてもラテンの血わき肉おどるようなノリがあるので(笑)、熱いコンサートになります!」と力強く語る長谷川。三浦、大萩それぞれとの共演経験はあるが、3人が揃うのは初めて。「バンドネオンの特徴は、情感に訴える哀愁を帯びた音色。タンゴのイメージが強いけど、実はオルガンの要素が強いんです。この分厚く奥行きのある音に対し、チェロがどう舞い踊れるのか? 非常にスリリングです」と三浦のバンドネオンとの共演への期待を膨らませる。一方、ギターについては「数年前に福田進一さんとデュオCDを作って以来、ギターに魅了されました。ギターは弓で弾くチェロと違って、弾いた瞬間から音が消えていく儚さと美しさがある」とその魅力を熱く語り「それぞれの楽器によって私もチェロの弾き方、音の立ち上がりを変えていきます。信頼する2人との共演ですが、私にとっても挑戦になると思います!」と未知なるチャレンジへの意気込みを口にする。「0歳児と――」は、授乳やオムツ交換、ベビーカーでの移動などの苦労を懸念し、外出を躊躇してしまいがちな育児中の保護者に本格クラシックを楽しんでもらえるよう、2000円のチケット1枚で“0歳児”と保護者の大人2名が入場できる。託児室に預けるのではなく赤ちゃんと同じ空間でコンサートを楽しめる企画だ。自身も子育て経験があり「子どもが0歳の時はテーブルにマットを敷いて寝かせて練習していた」という長谷川。家族や周囲のサポートを受けながら演奏会も行なっていたと明かし、恩返しの思いも込めて参加を快諾したという。曲目はバッハの無伴奏チェロ組曲、武満徹の「翼」などで、あくまでも大人向けのクラシック演奏会となっており「赤ちゃんを育てていても、時に自分の時間を楽しんでいいし、明日への糧になれば。子育てを“希望”にしたい」と意気込みを口にした。チケットは両公演とも発売中。取材・文・撮影:黒豆直樹
2019年12月06日師走のクラシック音楽の風物詩といえばまずは「第九」が思い浮かぶ。でもクリスマスは《メサイア》のシーズンでもある。東京でも、東京芸術大学や立教大学、東京女子大学など、60年から70年近い歴史を持つ《メサイア》演奏会が少なくない。そんななか、2001年に始まったのが、サントリーホールのバッハ・コレギウム・ジャパン(BCJ)の《メサイア》。今年で19年目。すでに新たな伝統だ。【チケット情報はこちら】「うれしいことですね。僕らが普段バッハを演奏していることは知らずに、毎年これだけを聴きに来るというお客様もいらっしゃいます(笑)」(BCJ音楽監督・鈴木雅明)バッハと同年生まれのヘンデルのオラトリオの代表作。その魅力は「わかりやすさ」だと語る。「非常にまとまりがあって、音楽的にも楽しめる。バッハみたいに複雑な対位法などはありませんから。バッハと同じぐらいの作曲技術はあったと思いますけど、難解なことは避けている。とても巧みで上手いんですね。けっして浅薄ではないですが娯楽的でわかりやすい。その意味では、すでにかなり(次の古典主義の時代の)啓蒙主義的な傾向にあるんですよ」「メサイア」は救世主のこと。イエスの生誕から受難、復活までを描く。「歌詞は聖書の言葉だけを使っているので、キリスト教の音楽であることは間違いありません。しかしバッハのカンタータや受難曲とはちがって、教会の典礼のための音楽ではなく、あくまで劇場用、演奏会のための作品なんですね。オペラにも似たストーリー性があるのもわかりやすさにつながっていると思います」一部をカットして演奏することも多いが、BCJは常に全曲演奏で、2時間40分ほど。「音楽も歌詞もつながりがあってできているので、カットすべきところがないんです。ヘンデルの他のオラトリオは平気で4時間を超えますから、それに比べたら非常にコンパクトだと言えます(笑)」ヘンデルが演奏のたび、おもに歌手の都合に合わせてさまざまな編曲を施したために多くの異版が存在する。BCJも19年の間にさまざまな版で演奏してきたが、あまりそこにこだわる必要はないと説く。「毎年議論はするのですが、ヘンデルが実際にどのように演奏したかがわからないので、どうやっても正統的な演奏にはならないんです。海外で、全部の版を演奏するというプロジェクトもあるらしいですが、そこにこだわり過ぎてはいけないと思います」つまり、妙に「通」を気取ることなく、ヘンデルの音楽の美しさを素直にじっくり味わうのが正しい楽しみ方のようだ。「実際《メサイア》は、〈ハレルヤ〉などのブリリアントな面だけでなく、じつは非常にしっとりとした部分が多いんですよ。クリスマスはパーティも楽しいですが、そんな美しい旋律、しかもシンプルでわかりやすい音楽を一緒に味わうのも、クリスマスのよい経験になると思います」取材・文:宮本明
2019年12月06日スクウェア・エニックスの人気ロールプレイングゲーム『キングダム ハーツ』シリーズのオーケストラコンサート『KINGDOM HEARTS Orchestra -World of Tres-』が、11月30日、大阪国際会議場メインホール(グランキューブ大阪)で開かれた。【チケット情報はこちら】この日のコンサートでは、大スクリーンに『キングダム ハーツ』のこれまでの物語や名場面が展開され、同作品の楽曲が大阪交響楽団の演奏で楽しめた。今年は東京を皮切りに、世界11か国を巡り、大阪公演も完売という人気ぶり。ゲームの人気キャラクターたちがオーケストラの迫力ある演奏に乗って万華鏡のように次々と大画面に映し出され、観客はその世界観に酔いしれた。公演終了後、『キングダム ハーツ』シリーズの作曲家・下村陽子氏、石元丈晴氏、関戸剛氏が会見に登場。下村氏は「久しぶりに私の出身地の大阪に戻って来てホッとしました。日本のお客さんは静かなので、最初は不安になりましたが、皆、ニコニコしたり、うなずいたりしていて楽しんでもらえたようでうれしいです。こちらも癒やされました」と語る。石元氏は「コンサートでは僕たち3人も登壇し、制作についてなどお話ししましたが、ガチガチに緊張して、マイクが手汗で濡れました(笑)」という。関戸は「大阪交響楽団の演奏が素晴らしかった。演奏家の皆さん全員が凄腕の持ち主で、すごく感動しました」と感激していた。下村氏は発売されて17年になる『キングダム ハーツ』の魅力について、「物語はスケールが大きく、少し複雑なところもある分、音楽はシンプルでストレートに伝わるように作っています。作品の根底には愛や友情、人々とのつながりが流れているので、誰の心にも響くのでは」と話す。ツアーは12月26日(木)・27日(金)、パシフィコ横浜国立大ホールで開催される公演でファイナルを迎える。公演に向けて、「ゲームやYouTubeで音楽を聴くのとオケの生演奏では、迫力が違う」と石元氏が言えば、関戸氏も「ゲームプレイのイマジネーションがもっと広がるはず」と応える。下村氏は「ゲームを知らない人からも楽しめたと言ってもらえる。お客さんと一緒に大いに盛り上がり、年末の締めくくりにしたい。多くの方に来ていただきたいです」と笑顔を見せた。取材・文:米満 ゆうこ(C)DisneyPresentation made under license from Disney Concerts, a division of ABC Inc. cDisney All rights reserved.
2019年12月05日11月、ズービン・メータとやってきて、相変わらずのスーパー・サウンドで日本のファンを圧倒していったベルリン・フィル。かねてより、2020年6月にも日本公演を行なうことが告知されていたが、今回の訪日中に、その「ベルリン・フィル in Tokyo 2020」の概要の発表会見が開かれた。(11月22日・東京文化会館)。「ベルリン・フィル in Tokyo 2020」は、毎春の「東京・春・音楽祭」の特別公演。東京2020オリンピック・パラリンピックに向けた文化の祭典「東京2020 NIPPONフェスティバル」の共催プログラムとして実施される。東京のみ4公演の開催で、指揮はすべてグスターボ・ドゥダメル。開催趣旨を反映して、プログラムは「日独の友好と民族の多様性の象徴」というコンセプトで選ばれた。まず、6月24日(水)~26日(金)の東京文化会館での3公演。6月24日(水)は「東京2020大会のためのスペシャル・コンサート」と題して、ベートーヴェン、ラヴェル、ストラヴィンスキーから、ジョン・ウィリアムズ、メキシコのアルトゥロ・マルケス、日本の早坂文雄と、まさに多様・多国籍。そして25日(木)はマーラーの交響曲第2番《復活》、26日(金)はベートーヴェンの《第九》と、「東京・春・音楽祭」でも主役の一翼を担う東京オペラシンガーズが活躍する合唱付きプログラムだ。大きく注目されるのが、6月27日(土)に新宿御苑で行なわれる無料の「1万人の野外コンサート」だ。曲目は《第九》。ベートーヴェンの生誕250年に、緑豊かな広々とした庭園の特設ステージで、ドゥダメルとベルリン・フィルの《第九》が無料で聴けるスペクタクル!(ただし新宿御苑の入園料が別途必要)出演合唱団は、世界各国から集まる約300人の「2020 One World Choir」。300人のうち100人はホール公演と同じ東京オペラシンガーズががっしりと固め、残りの200人を、ドイツ、スペイン、南アフリカ、オーストラリア、中国、そして日本など世界中のアマチュアによってあらかじめ組織される(公募ではない)特別編成合唱団だ。心配なのは梅雨の東京の天候。荒天の場合は翌日に順延されるが、多少の雨なら、開催されるというから、それも一興かも。いずれにしても悪天候による中止の可能性はかなり抑えられそうだ。応募方法は2020年3月上旬に特設サイトで発表される予定。定員は1万人だが、それはイス席の用意されたエリアの収容人数。周辺スペースでの「立ち聴き」はとくに制限しないというのはうれしい太っ腹。ちなみに初夏のベルリン・フィル恒例のヴァルトビューネの野外コンサートは、この来日直前の6月20日(土)。あの興奮が東京でも!取材・文:宮本明
2019年11月25日2020年の夏、子供たちを対象とした新たなクラシック音楽祭「こども音楽フェスティバル」が、サントリーホールを中心に行なわれる。次世代を担う未来の聴衆を育てるフェスティバル。11月12日、東京・赤坂のサントリーホール ブルーローズにて概要の発表会見が行なわれた。「こども音楽フェスティバル」は、関東の公立小中学校の夏休みが始まる時期にあたる7月17日(金)~21日(火)の5日間開催。サントリーホールの大小ふたつのホールを中心に、周辺施設にも輪を広げて、同時多発的に行なわれる数々のコンサートで構成される。主催者は、5日間で5万人の動員を目標に掲げており、子供のための音楽祭として「世界最大級」と意気込む。企画は、若年層向けのプロジェクトに長年にわたって取り組んできたソニー音楽財団とサントリー芸術財団が初めて手を携えて実現するもの。会見には、両財団のトップである、加藤優・ソニー音楽財団理事長と堤剛・サントリー音楽財団代表理事兼サントリーホール館長が揃って登壇した。「若い世代に感動体験を持ってもらえる機会を多く提供したい。子育てでコンサートから足が遠のいている親の世代も含めて、子供と家族をターゲットにした、世界的にも珍しいクラシック・フェスティバルになる」(加藤)「幼い頃から本物を聴くことは、創造性をふくらませ、豊かで幅広い人生を歩めると確信している。何かを池に投げて水の輪が広がるように、先べんとなるものを作って社会に貢献したい」(堤)ともにグローバル・カンパニーを母体とする両財団。名バリトン歌手から実業家に転身し、レコード会社CBSソニーの初代社長も務めた元ソニー会長の大賀典雄、サントリーホールを作ったサントリー2代目社長の佐治敬三という、日本のクラシック音楽文化発展にも大きく寄与した先人たちの夢と情熱を受け継ぐ。フェスティバルは、両財団がこれまでに実践してきた種々の企画を統合した盛りだくさんな内容になる模様。まだお母さんのお腹のなかにいる赤ちゃんから、0歳児・乳幼児はもちろん、高校生に至るまでの広い年齢層の「子供」をターゲットに、オーケストラやオルガン、参加型のオペラ企画、さらにはサントリー美術館とのコラボによる芸術体験プログラムなど、さまざまな企画が用意される。入場料は1,000~2,000円程度の安価に設定される予定だ。会見時点で参加アーティストとして発表されたのは、小林研一郎(指揮)、小山実稚恵(ピアノ)、堤剛(チェロ)、原田慶太楼(指揮)、宮田大(チェロ)の5人。そうそうたる顔ぶれだが、さらに世界中から一流アーティストが集って、子供たちに華やかでゴージャスな音楽体験を提供してくれるはず。出演者や演目などコンサートの詳細は、公式サイトで随時発表予定。対象となるお子さんのいるご家族はとくに、こまめにチェックしたい。取材・文:宮本明
2019年11月19日2020年1月9日(木)に神奈川・横浜みなとみらいホール大ホールにて開催される神奈川フィルハーモニー管弦楽団第14回フレッシュ・コンサート。同公演にブザンソン指揮者コンクール2019の覇者 沖澤のどかが出演する。【チケット情報はこちら】神奈川フィルハーモニー管弦楽団創立50周年となる2020年の門出を飾る華やかなニューイヤー・コンサート。若手指揮者の登竜門として世界的にも名高い「ブザンソン国際指揮者コンクール2019」で、今年9月に見事優勝を飾った沖澤のどかが指揮。昨年春の神奈川県民ホールとの協働「ヘンゼルとグレーテル」で神奈川フィルを指揮して、堅実かつ確実な音楽性にお客様ばかりか団員も魅了された。続いて受けた秋の東京国際音楽コンクールの指揮部門で女性としては初めて1位を獲得。丁寧な指揮と楽譜を読み込む緻密な音楽づくりが高く評価され、受賞にいたった。ブザンソン国際指揮者コンクールは、長い伝統と国際的なコンクール一つとして知られており、小澤征爾、沼尻竜典、下野竜也、女性では松尾葉子などが優勝している。そして、11月に神奈川文化賞未来賞を受賞し、既に目覚ましい活躍をしている箏奏者のLEO(今野玲央)は、宮城道雄の「春の海」を披露。作曲から90年目の寿ぎには欠かせない名曲ではあるが、オリジナルの尺八との二重奏ではなく、管弦楽編曲版での演奏機会はほとんどない佳曲なのでぜひこの機会に聴きたい1曲だ。2016年に第9回エンスヘーデ若い音楽家のための国際ピアノコンクールで優勝し、将来が期待される鎌倉出身のピアニスト和田華音は、ショパンのピアノ協奏曲第1番(抜粋)を。和田は、かながわ音楽コンクールでも第3位に入賞し、後半にはベテラン歌手【悦田比呂子(ソプラノ)小田切一恵(ソプラノ)武田直之(バリトン)】の歌声でオペレッタ・ガラとしてJ.シュトラウス2世の「こうもり」などを抜粋でお届けする。沖澤の指揮による「序曲」に続き、名曲の数々が並ぶ。若々しいフレッシュアーチストとニューイヤーのお祝い、そして神奈川フィル周年記念の年の開幕に相応しい華々しい内容となっている第14回フレッシュ・コンサート。2020年の幕開けにぜひ足を運んでみたいコンサートだ。チケットは発売中。文章:多賀
2019年11月15日来る2020年2月7日(金)から19日(水)、ロシアの巨匠ラザレフ率いる日本フィルハーモニー交響楽団が九州各地を訪れる。県庁所在地7か所全てに加え、小倉、大牟田、唐津の総計10会場で演奏。海外公演にも匹敵する大規模ツアーだ。【チケット情報はこちら】1975年以来、45年目を数える毎年恒例のこの長期遠征は、開催地のホールが主催する公共事業ではない。日本フィルを聴きたい地元の音楽好きが実行委員を組織して、ホールを借り、手弁当で開くコンサートなのだ。指揮者ラザレフと二人三脚で現在の日本フィル復興を成し遂げた平井俊邦理事長いわく、「本当に苦しかったとき、九州の方々が日本フィルを呼んでなんとか助けようと始まりました。訪れる各地に実行委員会があり、1年前から準備を始め、企画、チラシ、チケット販売まで、地元ボランティアと日本フィルが一緒になって作っています」無論、どんなに社会的な意義があろうが、音楽がダメならそれまで。ラザレフと来るならこれ、という地元のリクエストに日本フィルが自信を持って応えたプログラムには、重厚なドイツ音楽の大作と、ボリショイ劇場音楽監督も務めた指揮者が十八番とするロシア音楽とが並ぶ。生誕250年を祝うベートーヴェンの巨大なヴァイオリン協奏曲を独奏する堀米ゆず子は、「譜面は簡単に見えますけど、ひとつの音を間違えても全然ダメになる落とし穴があり、弾きごたえがあります」と意欲満々。これまた超ヘビー級のブラームスのピアノ協奏曲第2番に挑む河村尚子も、「ラザレフさんとの初共演がブラームス第1番で、音楽の大きさ、雄大さ、流れなど、たくさん教えていただきました。ほとんど交響曲のこの曲をラザレフさんと共演でき、とても嬉しいです」聴き逃せないのは、プロコフィエフのバレエ組曲《ロミオとジュリエット》だ。ボリショイ劇場音楽監督を務めバレエ現場を知り尽くしたマエストロは、敢えて劇的な純粋管弦楽曲として再構築する。「プロコフィエフはバレエ音楽から3つの組曲を作り、第2組曲が最も人気があります。私たちは、第2組曲を《ジュリエットの墓の前のロミオ》で静かに終え、間を繋ぎ、最後は《ティボルトの死》で盛り上げます。筋からすると逆ですが(笑)、音楽だけを考えると悪くない」(ラザレフ)その音楽の熱さと精密さが世界でも高く評価され、今や日本発のブランドとなりつつある「ラザレフ指揮日本フィル」、九州各地でも本拠地東京と同じ真剣勝負が繰り広げられる。取材・文章:渡辺和
2019年11月08日ロシアのオペラの殿堂マリインスキー歌劇場が11月に来日するのを記念し、チャイコフスキー作曲「スペードの女王」を楽しむための記念講演会が11月4日に開催された。登壇者は、ロシア文学者の鳥山祐介東京大学 大学院准教授、同劇場の劇場芸術総監督ワレリー・ゲルギエフとも親交が深い、元NHKモスクワ支局長の小林和男。【チケット情報はこちら】同オペラは1890年12月にサンクトペテルブルクで初演されたオペラだが、ロシアの最も偉大な文学者で詩人のプーシキンによる小説が原作。ナポレオン戦争(1912)、デカブリストの乱(1825)を時代背景に、カード賭博にとり憑かれていく士官・ゲルマンの姿を描く。鳥山氏が主に語ったのは原作小説とオペラの共通点や相違点について。さらに主人公の運命を左右するのがトランプ賭博であるという点にも着目。特にこの賭博の勝敗が運に大きく左右される性質のものであることに触れ「当時の閉塞的な社会にあって、このトランプ賭博は運命への挑戦という意味合いを強く持っている」と解説。「チャイコフスキーが自身の解釈により原作に独自の意味を付け加えた作品。チャイコフスキーの数々の作品でも、運命は重要なモチーフとなっている。(原作が描く)賭博の持つ運命という性質を意識的に引き継いでいる」と解説した。一方、小林氏はゲルギエフの人物像について紹介。小林氏がゲルギエフに初めて会ったのはソ連が崩壊した翌年、1992年の10月。当時、30代でマリインスキー劇場の芸術監督だったゲルギエフは初対面で小林氏に「お前を知っている」と声を掛けたのだとか。小林氏は、ソ連時代からロシア語を操り、ゴルバチョフに直球の質問をぶつけて取材をしており、ゲルギエフはそれを見て「面白い質問をするジャーナリストがいる」と認識していたそう。すぐに打ち解けたゲルギエフに小林氏は、国家の混乱の中で文化が崩壊する懸念を伝えると、彼は「政治や経済がダメになって、一緒にダメになるようなものは文化とは言わない。本物の文化によってロシアを再生させてみせる」と言い放ったという。またゲルギエフの“育成家”としての側面も紹介。以前から小林氏に対し「あの子に注目しておけ」と無名の若き才能についてたびたび言及していたとのことだが、そんな彼が日本人ピアニスト藤田真央の名を注目の存在として挙げたという。「若い力を育てるのが自分の仕事だというのが彼の信念であり、真央くんを育てるべき才能のトップに据えている」と明かした。聴講者から、ゲルギエフとプーチン大統領の関係について質問された小林氏は「2人は仲がいい」と明かし「プーチンは文化に根差した強い国、国民が信頼する国を作ろうとしている。それは私の考えと同じ」というゲルギエフの言葉を紹介した。歌劇「スペードの女王」は11月30日(土)、12月1日(日)、東京文化会館にて上演。取材・文:黒豆直樹
2019年11月06日日本とポーランドの国交樹立100周年を記念する「ポーランド芸術祭2019 in Japan」の一環として、“現代最高のショパン弾き”と称されるラファウ・ブレハッチとワルシャワ国立フィルハーモニー管弦楽団が来日。これに先立ち10月30日、駐日ポーランド共和国大使館にて記者会見が行われ、ブレハッチ、ワルシャワ・フィルの音楽監督であり指揮者のアンドレイ・ボレイコらが出席した。【チケット情報はこちら】つい先日、同オーケストラの音楽監督に就任したばかりのボレイコにとって、この日本公演が初めての海外公演となるが、以前からたびたび来日しており「日本を愛しております。ワルシャワ・フィルを率いて来日できたことで気持ちが高まっています」とニッコリ。ショパンのピアノ協奏曲第2番、第1番が演奏される予定だが「日本ほどショパンの音楽を幅広い人々が愛してくださっている国はないと思います。そのショパンの曲を、現在望みうる最高のショパン弾きであり、親友でもあるラファウと一緒に演奏できる喜びでいっぱいです。音楽という共通言語で民族の差を乗り越え、素晴らしい音楽を日本のみなさんにお届けしたい」と意気込みを語った。「いま感じている思いを表す言葉は2つ。『喜び』と『期待』です」と語るブレハッチ。「2005年にショパン国際コンクールで優勝したときと同じオーケストラと演奏ができる喜び」に加えて「ボレイコ氏は、音楽の細かいニュアンスを大切にする厳しい指導を行なっており、それはピアノパートに留まらない、オーケストラとしてのショパン音楽の醸成につながっていると感じています」と期待を口にし「日本の皆さまとお会いできるのを楽しみにしています」と日本のファンの前での演奏を心待ちにしていた。来年2020年は5年に1度のショパン国際コンクールの開催年であり、ワルシャワ・フィルがコンクール参加者と演奏することになるが、ボレイコは「ショパンのピアノ協奏曲は、実はオーケストラが響かせるパートはそれほど多くはありません。だからこそ難しいものと言えます。料理にたとえるなら、いろんな食材を使い料理するのは比較的簡単ですが、(ショパン・コンクールは)和食のように、食材がひとつかふたつに限られている状況です」と同コンクールならではの難しさを説く。ブレハッチは日本のピアニストの印象を問われ「世代を問わずどのピアニストからもショパンへの愛を強く感じます」と語り、ボレイコも「日本では、ショパン音楽を単なる理論としてではなく、リアルな芸術として体現する世代が十分に育っていると思います」とうなずいていた。会見最後、ブレハッチがショパンの「マズルカ作品24」を生で演奏。その魅惑的な音色に出席者たちは酔いしれていた。ワルシャワ国立フィルハーモニー管弦楽団の日本公演は福岡、富士、東京、堺、横浜で開催。ブレハッチは大阪、豊田、福岡、水戸、横須賀にてリサイタルを行う。取材・文・撮影:黒豆直樹
2019年11月01日QUEEN珠玉の名曲をフル・オーケストラ&シンガーで完全再現する公演「QUEEN SYMPHONIC -A ROCK & ORCHESTRA EXPERIENCE- 2020」が来年2月に東京・大阪・愛知で開催されることが決定した。同公演は今年5月に初来日を果たし、大盛況の内に幕を閉じた「クイーン・シンフォニック」の再来日公演。耳の肥えた日本のクイーン・ファンのみならず映画「ボヘミアン・ラプソディ」からの新規クイーン・ファンをも魅了した。クイーン・シンフォニックはクイーンのミュージカル「WE WILL ROCK YOU」に出演したシンガーとバンド、フル・オーケストラが共演するエンターテイメント・ショウ。ロックでありながらオーケストラとの親和性も高く普遍的で美しいメロディをもつクイーンの音楽を、ブライアン・メイ選出・圧倒的歌唱力をもつシンガー4人と熟練のメンバーで構成されるバンド、そしてフル・オーケストラの共演でおくる豪華プログラム。5月の公演では、クラシックの上品な音楽の演奏を想像していた大方の予想を、いい意味で裏切り、ダイナミックなロック&オーケストラ・エクスペリエンスで会場のオーディエンスを圧倒。「ボヘミアン・ラプソディ」「ウィ・ウィル・ロック・ユー」や「伝説のチャンピオン」といったヒット曲はもちろん、日本語曲の「手をとりあって」や「ボーン・トゥ・ラヴ・ユー」までも演奏し、観客全員がシンガロングする感動のコンサートとなった。チケットの一般発売に先駆けて、チケットぴあでは最速先行販売【先着】を実施中。受付は11月7日(木)23:59まで。■QUEEN SYMPHONIC -A ROCK & ORCHESTRA EXPERIENCE- 20202月1日(土)東京国際フォーラムホールA(東京都)2月2日(日)東京国際フォーラムホールA(東京都)2月4日(火)名古屋国際会議場センチュリーホール(愛知県)2月5日(水)フェスティバルホール(大阪府)
2019年10月30日アニメ「PSYCHO-PASS サイコパス」シリーズ初のオーケストラコンサートが、2020年に東京および大阪にて開催。東京は2020年1月27日(月)・28日(火)・29日(水)に渋谷公会堂で、大阪は2020年1月31日(金)・2月1日(土)に梅田芸術劇場メインホールで公演が行われる。「サイコパス」初のオーケストラコンサート2012年にスタートしたTVアニメシリーズのほか、複数の劇場版アニメ、舞台、コミカライズ、ノベライズと、多彩なメディアミックス展開で人気を博している「PSYCHO-PASS サイコパス」シリーズ。今回開催されるオーケストラコンサートは、2019年10月よりTVアニメ第3期もスタートするなど、新たな局面を迎えている同シリーズにとって初の試みとなる。本公演では、「PSYCHO-PASS サイコパス」全シリーズで音楽を担当する菅野祐悟が音楽を、同じく全シリーズで音響監督を務める岩浪美和がプロデュースを担当する。さらに“声の出演”として、常守朱(CV 花澤香菜)、狡噛慎也(CV関智一)、槙島聖護(CV 櫻井孝宏)、宜野座伸元(CV野島健児)、縢秀星(CV 石田彰)、ドミネーター(CV 日髙のり子)が登場。さらに、征陸智己(CV 有本欽隆)の出演も決定した。テレビアニメ第1期メンバーが揃う豪華出演で、「PSYCHO-PASS サイコパス」の世界により浸れる公演となる。開催概要「PSYCHO-PASS サイコパス IN CONCERT」■東京開催日時:2020年1月27日(月)・28日(火)・29日(水)時間:開場17:45 / 開演18:30(終演予定 20:30)会場:LINE CUBE SHIBUYA(渋谷公会堂)住所:東京都渋谷区宇田川町1-1■大阪開催日時:・2020年1月31日(金) 開場 17:45 / 開演 18:30(終演予定 20:30)・2020年2月1日(土) 開場 12:45 / 開演 13:30(終演予定 15:30)会場:梅田芸術劇場メインホール住所:大阪府大阪市北区茶屋町19-1<チケット>二次先行受付期間:2019年11月16日(土)12:00〜12月15日(日)23:59取扱:イープラス価格:S席(特典有) 10,000円、S席(特典なし) 8,500円、A席 7,500円※いずれも税込【問い合わせ先】■チケットについてイープラスTEL:0570-06-9919(10:00〜18:00 ※年末年始休業日除く)■公演について東京(東京音協)TEL:03-5774-3030(平日11:00〜17:00)大阪(キョードーインフォメーション)TEL:0570-200-888(全日10:00〜18:00)
2019年10月28日2020年のバイロイト音楽祭で《ニーベルングの指環》新演出上演の指揮者に抜擢されるというセンセーショナルな知らせが飛び込んできた指揮者ピエタリ・インキネン。その2020年はベートーヴェンの生誕250年のメモリアル・イヤーでもある。首席指揮者を務める日本フィルとともに、2シーズンをかけて交響曲全曲演奏を軸とする「ベートーヴェン・ツィクルス」をスタートさせた、いま最もホットな指揮者に、ツィクルスの展望を聞いた。【チケット情報はこちら】「私自身のテイストで作り上げていくツィクルスにしたい。それにオーケストラがどう対応するのか、私のテイストとオーケストラがどういう相性なのかを聴いていただけるのはじつに面白いことです」ベートーヴェンの交響曲は、創作初期の29歳から晩年の53歳まで、生涯を通じて作曲されているため、全曲を見渡すことは、ベートーヴェンの作風の変遷を俯瞰することにもなる。「初期の第1~3番を見ても、かなり異なる様式で書かれています。そして第3番から第9番に向けて、オーケストラがどんどんロマン派的に変わっていく。その変化を表現したいのです。初期の作品に関しては弦の数を減らしますし、バロックのティンパニを使います。でも私たちはモダン楽器を使っていますし、ピリオド・アプローチを試みるわけではありません。健康的な現代オーケストラのパフォーマンスが持つ力強さを感じていただきたい。最終的にその大きなパワーの可能性が手元にあるのは、とてもドキドキすることです」たとえばベートーヴェンの時代には用いていなかった弦楽器のヴィブラートに関しても、ありかなしかの二者択一ではなく、音色を引き出すパレットの一つとして、オーケストラと一緒に時間をかけながら、そのポテンシャルを最大限に引き出すことが大切だという。「イマジネーションが必要ですが、ツールのひとつなので、まったく使わないというのは自分にとってはあり得ません」こういう交響曲全曲演奏のようなプロジェクトが、コアなクラシック・ファンのための、マニアックな視点だけで捉えられがちなことには注意をうながす。「とくに第5番(運命)。有名な作品ですが、初めて生演奏で聴く人もつねにいます。その方たちに、ベートーヴェンの当時の聴衆が、初めて聴いて椅子から転げ落ちるほどびっくりしたのと同じインパクトを感じてもらわなければいけません。もちろん、そのためにはオーケストラもフレッシュでエキサイティングな感覚で演奏しなければならないのですが、それは簡単ではありません。今までの経験を忘れることはできませんから。でも、もしかしてこれが自分の最後の演奏になるかもしれないという気持ちで演奏すれば、なにか特別な演奏になるのではないかなと思っています」私たち聴き手にもまったく同じことが言えるだろう。インキネンと巡るベートーヴェンの旅を、フレッシュにエキサイティングに体験したい。取材・文:宮本明
2019年10月25日11月9日(土) に東京・東京建物ブリリアホールにて開催される「サンダーバード・ウインドオーケストラコンサート」。同公演の会場にて人気キャラクターや模型の展示が行われることが決定した。【チケット情報はこちら】会場ではメインビジュアルに掲載されている、5人兄弟、ペネロープ、パーカー、ブレインズのキャラクターが勢ぞろい。巨大1号と2号がエントランスで来場者をお出迎えするほか、ファンにはたまらない精巧な各種模型の展示、さらに庵野秀明(映画監督)、柿沼秀樹(小説家)が所有する貴重なアイテムも披露される予定。これらは撮影可能となっている。また、コンサートの演奏曲目も決定した。作曲家バリー・グレイの名曲の数々を日本屈指の吹奏楽団・東京佼成ウインドオケの生演奏でお届け。コンサート最後では、客席みんなで大合唱できる日本語版の「サンダーバード」メインテーマが披露される予定。<演奏予定曲目>「サンダーバード」メインテーマファイヤーフラッシュ・ランディングトレーシー・ラウンジ・ピアノゼロエックスのテーマ組曲第一楽章「サンダーバード」メインテーマ(コーラスあり)ほかにも多数の楽曲が演奏される予定。チケットはぴあで発売中。
2019年10月23日日本オリンピック委員会(JOC)が、オリンピック・ムーブメントの推進を目的に1997年より毎年開催しているオリンピックコンサート。スポーツと文化の融合をかたちにした、オリンピック映像とフルオーケストラが競演するという唯一無二のコンサートだ。毎年、東京などで開催し好評を博してきたが、2020年は1月~4月にかけ「プレミアムサウンドシリーズ」として、東京、名古屋、広島、大阪、仙台、札幌の全国6都市、その各地を代表する計7つのコンサートホールでの開催が決定した。【チケット情報はこちら】いよいよ開催まで1年を切った東京2020大会。オリンピックはいつの時代も、アスリートはもちろん、世界中の人々の心を揺さぶり続けてきた。今回のコンサートは“輝く夢に向かって”をテーマに、オリンピックをめぐる数々のドラマを、映像とフルオーケストラの響きでお届けする。コンサートのナビゲーターは、自身も競泳選手として、過去2回のオリンピックへ出場したオリンピアンであり、現在は俳優として活躍する藤本隆宏。2012年から9年連続で、今回のシリーズでもナビゲーターをつとめる。公演にはオリンピックという夢に挑み続けたオリンピアンも参加予定。また、公演各地の合唱団が、このコンサートでは恒例となった「オリンピック讃歌」にこめられたオリンピック精神を高らかに歌い上げる。<公演プログラム>第一部・オリンピック東京大会ファンファーレ(今井光也)・オリンピック・マーチ(古関裕而)・歌劇「運命の力」序曲(ヴェルディ)・映画「E.T.」から”地上の冒険”(ジョン・ウィリアムズ)・歌劇「ルスランとリュドミラ」序曲(グリンカ)第二部・喜歌劇「天国と地獄」序曲(オッフェンバック)※札幌以外の6公演・交響曲第2番第3楽章(ラフマニノフ)※札幌公演のみ・オリンピアン等によるトークコーナー~輝く夢に向かって※参加者は後日発表。・幻想序曲「ロメオとジュリエット」から(チャイコフスキー)・映画「ミッション」からメインテーマ(エンニオ・モリコーネ)・オリンピック讃歌(スピロ・サマラ)ほか公演は2020年1月11日(土)~4月4日(土)にかけて札幌、仙台、東京、名古屋、大阪、広島の6都市・7会場で上演される。
2019年10月11日株式会社日本取引所グループ(JPX)によるクラシックコンサート「JPXコンサート2020」が2020年3月25日(水)に東京・オーチャードホールで開催される。【チケット情報はこちら】JPXは東京証券取引所、大阪取引所等を運営しており、このイベントは、取引所利用者への日頃の感謝の気持ちを示すとともに、取引所をより多くの人達にもっと身近に感じてもらいたいという思いから毎年開催。今回は初めてチャリティー形式として実施し、チケットの売上金は、社会貢献活動の支援として寄付される。演目は、第一部がブラームス作曲のヴァイオリン協奏曲 ニ長調 作品77。第二部がドヴォルザーク作曲の交響曲第9番 ホ短調「新世界より」作品95。誰もが1度は耳にしたことのある作品で、クラシックに馴染みがなくとも楽しめる選曲となっている。指揮は、2011年から2019 年3月まで名古屋フィル正指揮者をつとめていた円光寺雅彦。東京フィル指揮者、仙台フィル常任指揮者、札幌交響楽団正指揮者を歴任し、国内のほとんどのオーケストラに客演している。海外での実績も多く、プラハ響定期演奏会、BBCウェールズ響、ベルゲン・フィル、フランス・ブルターニュ管弦楽団に客演。深い音楽性と的確な指揮で、多くの聴衆を魅了してきた。ソリストに迎えるのは、ヴァイオリニストの千住真理子。2歳半よりヴァイオリンをはじめ、12歳のときにNHK交響楽団との共演でデビュー。コンサートが開催される2020年は、デビュー45周年となる。2017年にはブラームス没後120年記念「ドラマティック・ブラームス」をリリースし、スーク室内オーケストラと全国ツアーを行って好評を博した。管弦楽を担当するのは、新日本フィルハーモニー交響楽団。『千と千尋の神隠し』『ハウルの動く城』『崖の上のポニョ』などのスタジオジブリ作品でも管弦楽を担当した団体で、今回も壮大かつ繊細なサウンドを奏でる。春の夜、一流の演奏者によるすばらしい音楽に心ゆくまで酔いしれたい。取材・文:MUTA HARUKA
2019年10月10日