蜷川幸雄さんから「彩の国シェイクスピア・シリーズ」のバトンを引き継いだ吉田鋼太郎による新シリーズ「彩の国シェイクスピア・シリーズ2nd」の第1作目『ハムレット』が5月より上演される(5月7~26日 埼玉・彩の国さいたま芸術劇場 大ホール、6月1~2日 宮城・仙台銀行ホール イズミティ21 大ホール、6月8日~9日 愛知・愛知県芸術劇場 大ホール、6月15~16日 福岡・J:COM北九州芸術劇場 大ホール、6月20日~23日 大阪・梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ。チケット発売中)。吉田は台本・演出とクローディアス役を務め、主演のハムレット役は柿澤勇人に決定。北香那、白洲迅、渡部豪太、高橋ひとみら豪華キャストの中で初舞台を踏むのが、俳優の豊田裕大だ。2019年、第34回メンズノンノ専属モデルオーディションをきっかけにデビューを果たし、昨今は『推しが武道館いってくれたら死ぬ』、『それってパクリじゃないですか?』、『東京リベンジャーズ2 血のハロウィン編 -決戦-』、『夫婦の秘密』などドラマや映画に次々と出演している。そんな豊田に、初舞台への意気込み、演じるフォーティンブラス役について話を聞いた。○舞台は「怖いけど飛び込んでみたい世界」――豊田さんにとって初舞台ということで、この取材時はまだ稽古前なのですが、今の心境を教えてください。緊張しています。怖いな、と。オーディションに送った動画の一言アピールでも「怖いけど、飛び込んでみたい世界です」とありのままの気持ちを伝えたのですが、今も変わらず、どうなるんだろうとドキドキしています。――出演はオーディションで決まったんですか。お芝居の動画を送って、書類審査のような形でオーディションに参加させていただきました。マネージャーさんに相手役をやっていただいて、2時間くらいかけて撮影したので、これで落ちたらマネージャーさんに申し訳ないなと。マネージャーさんの台詞間違いで撮り直すこともあったのですが(笑)。――マネージャーさんも緊張しますよね(笑)。でもその分、合格したときは一緒に喜べたのでは。そうですね。「受かったよ!」って、いつも以上にテンションの高いLINEが来て、僕もテンションが上がって、「ああ、よかった」って。○野村萬斎・藤原竜也の『ハムレット』を見て勉強――台本を読んだ感想を教えてください。舞台の台本を読むこと自体が初めてだったので、ドラマや映画とは量がまったく違って驚きました。現代の言葉じゃない表現もたくさんあって、一度では理解できないような。でも、現代の言葉じゃないからこそ、かっこいい言い回しもたくさんあって。昔の人が書いたものなのに、今に通ずることがあるなと思いながら面白く読めたので、これが昔も今も愛されている作品のすごさなのかと実感しました。――鋼太郎さんの「彩の国シェイクスピア・シリーズ」には、「より多くの方に気軽に楽しんでもらうことを目指す」「より理解しやすいシェイクスピア演劇を届ける」というコンセプトがありますが、理解のしやすさは台本からも感じましたか。感じました。先に本で『ハムレット』を読んだときよりも、台本で読んだときのほうがすっと頭に入ってきて、伝えたいところが強調されているのかなと思いました。――フォーティンブラスを演じることの楽しみや不安は。要所に出てくる役で、ずっと舞台に出ずっぱりではないからこそ、登場したときのインパクトをどう残せるかが勝負だなと。絶対爪痕を残してやるぞと気合いは入っているのですが、不安もあり、楽しみもあり、という気持ちです。――フォーティンブラスにはどんな印象を抱きましたか。僕が最初に持った印象は、気高い革命児。全員が亡くなった後にいきなり入ってきて、今まで主役だったハムレットの亡き骸を埋葬して、「今はもういないから」と指揮を執り始めるって、相当な胆力と自信がないとできないですよね。それを周りが許してくれる存在だというところに、かっこよさを感じました。――役について、すごく考えているんですね。いえ、まだまだ足りないのですが、舞台のDVDをいただいて、野村萬斎さんの『ハムレット』と藤原竜也さんの『ハムレット』を見たんです。そしたら、フォーティンブラスが全然違っていて。藤原竜也さんの『ハムレット』のフォーティンブラスは、僕が想像していたフォーティンブラスではなく、静かでうつろげで、こんな見せ方もあるんだと。僕がフォーティンブラス役に決まったとき、いろんな人に「どういう役になるんだろうね」と言われた意味が、そのときなんとなく理解できたというか。ある意味、僕のフォーティンブラスで舞台が締めくくられるから、しっかりやらなきゃいけないなという責任も感じますし。――皆さんがどんな『ハムレット』を見てきたかによって、フォーティンブラスに抱いているイメージも違うというか。だからできるだけいろいろなフォーティンブラスを見たいと思って、WOWOWに入ったら岡田将生さんの『ハムレット』に出演された、村上虹郎さんのフォーティンブラスが見られると思って頑張って加入したのですが……タイミングが悪かったのか、見られなかったです(笑)。――(笑)。これまで何人もの方が演じてきた役に挑戦するというのも、ドラマや映画ではなかなかない経験だと思うのですが、役作りもこれまでとは違ってきますか。そうですね。映画やドラマは、現場に自分で作っていって、それを監督が見て調整していくことが多いですが、舞台は本番までたくさんの時間をかけて、ゼロから皆で一緒に考えながら役を作っていけるので、楽しみです。今回僕は最年少で、出演されるのは、年上の経験豊富な俳優さんばかりなので、皆さんのお芝居を見られることがすごく勉強になるんだろうなと。この機会をとにかく無駄にしたくないので、一生懸命食らいついていきたいです。○事務所の先輩・中村倫也に稽古場への持ち物聞く――初めての稽古に臨む心境を教えてください。皆さんの台詞量を見ていると、初日からどれくらい入ってるものなんだろうとかいろんな想像が膨らみます。1カ月丸々稽古に費やすということ自体が初めてで、稽古場に何を持ってけばいいんだというところから分からないんですよね(笑)。先日、事務所の先輩の中村倫也さんにお会いしたのですが、たくさん舞台を経験されているので、聞いてみたんです。そしたら「台本と着替え? 着替えもいらねえな、台本だけ」って言われて。本当にそれで大丈夫かな!? って(笑)。――今、豊田さんのお話しの仕方が似ていて、中村さんの声まで想像できました(笑)。上演台本・演出とクローディアス役を務める吉田鋼太郎さんには、どんな印象を持っていますか。役をどんなふうに作られるのかすごく楽しみですし、ずっとテレビで見ている方なので、もう一般人としての目線で見ると、バラエティの印象から親しみやすい方なのかなと思っていますが、舞台の演出では“蜷川幸雄さんイズム”を受け継いでいると聞いているので、怖いのかなと緊張しています。でも、食らいついていきたいです!――舞台は埼玉で始まり、その後、宮城・愛知・福岡・大阪と全国を巡りますが、楽しみなことは。僕ご飯を食べることがすごく好きなので、大阪だったらたこ焼きとか、その土地でおいしいものを食べられたらいいなと思っています。――舞台だと、カンパニーの皆さんで一緒にお食事に行ったり、先輩が連れていってくれたりする機会もあるかもしれません。最年少ということですが、甘えるのは得意なほうですか。どうなんですかね。自分では分からないのですが、兄弟の中では末っ子なので勝手に身についてるところもあるのかなと。皆さんと、たくさんお話しできればうれしいです。■豊田裕大1999年4月10日生まれ、神奈川県出身。2019年、第34回メンズノンノ専属モデルオーディションで「ラボ シリーズ賞」を受賞し、専属モデルとしてデビューを果たす。2021年、ドラマ『じゃない方の彼女』(テレビ東京)で俳優業もスタートさせ、昨今はドラマ・映画『推しが武道館いってくれたら死ぬ』、ドラマ『沼る。港区女子高生』、『それってパクリじゃないですか?』、『夫婦の秘密』、『高額当選しちゃいました』、映画『銀河鉄道の父』、『東京リベンジャーズ2 血のハロウィン編 -決戦-』、『法廷遊戯』に出演。2024年5月から上演される「彩の国さいたま芸術劇場開館30周年記念 彩の国シェイクスピア・シリーズ2nd Vol.1『ハムレット』」で舞台デビューを果たす。
2024年04月19日彩の国シェイクスピア・シリーズ2ndが2024年5月に始動する。その第1作目『ハムレット』が、2024年5月7日(火) から彩の国さいたま芸術劇場大ホールにて上演される。蜷川幸雄のもとでシェイクスピア全37戯曲を完全上演することを目指し、1998年のスタート以来、国内外に次々と話題作を発表してきた彩の国シェイクスピア・シリーズ。シリーズ完結間際でこの世を去った蜷川から芸術監督のバトンを引き継いだ吉田鋼太郎は、2017年から残された5作品を上演し、23年2月に『ジョン王』をもってシリーズを完結させた。しかしその後も、シェイクスピア作品を長年愛し続けてきた吉田ならではの解釈とエンターテインメント性を意識した演出で高い評価を得た吉田のもとには、新たなシリーズを望む声が多く寄せられた。その声に押された吉田はこの度「彩の国シェイクスピア・シリーズ2nd」を立ち上げ、その記念すべき1作目として『ハムレット』を上演する。2月22日(水)、3月1日(金) のリニューアルオープンを控えた同劇場で製作発表会見があり、演出・上演台本・出演の吉田のほか、ハムレット役の柿澤勇人、オフィーリア役の北香那が登壇した。吉田鋼太郎司会者から新シリーズが目指すものや思いを問われた吉田は「もし蜷川さんが生きていらっしゃったら、もう30年近くにわたって彩の国のシェイクスピアシリーズをやってきたわけですね。毎回毎回お客様が満員で、シェイクスピアを演じ続けてこれたということがほぼ奇跡のようなもの」と振り返りつつ、「蜷川さんはシェイクスピアは大衆演劇だと仰っていた。僕たちは西洋人でも1600年代の人間でもないので、この現代の21世紀のお客様たちになるべく分かりやすく観てもらうために架け橋を作らないといけない」と演出の心得を話す。観客と話し込む吉田鋼太郎(前列右)吉田は、製作発表を観にきた一般オーディエンスと『ハムレット』のストーリーを語り合う場面も含めて約17分間の熱弁を繰り広げ、「『ハムレット』が1番好きな芝居で、どうしても『ハムレット』だけは自分でも納得がいくようにしたいと思う部分が強くて。今回は素晴らしい理想のメンバーが集まった。これは観ないと損だと思います」と締め括った。柿澤勇人ハムレット役の柿澤は、吉田との二人芝居『スルース〜探偵〜』(2021) の大千穐楽後に、本作の話をされたといい「先輩で、演出家でもある鋼太郎さんに『やろうぜ』と言ってもらえたのがすごく嬉しくて。念願かなって今に至ります」。そして「おそらく僕の役者人生の中で後にも先にも一番のセリフ量だと思いますし、自分の持っているものを全部曝け出しても追いつかないのではという不安もあるのですが、鋼太郎さんを信じて、なんとかいい舞台を開けたいと思います」と話した。北香那オフィーリア役の北香那は「オフィーリアを演じるということがまだずっと新鮮なまま嬉しくて、少し夢見心地なところがあるんですが、これからお稽古が始まっていくにつれて、だんだんとはっきりと実感が湧いてくると思います」と思いを語りつつ、「この作品をやっていく中で、きっと『こんなお芝居をする自分がいたんだ!』と初めての出会いがあるような気がしていて。それが私は今すごくワクワクしているし、 楽しみです」。彩の国シェイクスピア・シリーズ 2nd Vol.1『ハムレット』PV ロングバージョン埼玉公演は5月26日(日)まで。その後、宮城、愛知、福岡、大阪公演を予定している。取材・文・撮影=五月女菜穂<公演情報>彩の国さいたま芸術劇場開館30周年記念彩の国シェイクスピア・シリーズ2nd Vol.1『ハムレット』彩の国シェイクスピア・シリーズ2nd Vol.1『ハムレット』ビジュアル作:W.シェイクスピア翻訳:小田島雄志演出・上演台本:吉田鋼太郎(彩の国シェイクスピア・シリーズ芸術監督)■出演柿澤勇人北香那白洲迅渡部豪太豊田裕大櫻井章喜原慎一郎山本直寛松尾竜兵いいむろなおき松本こうせい斉藤莉生正名僕蔵高橋ひとみ吉田鋼太郎【埼玉公演】5月7日(火)~5月26日(日)会場:彩の国さいたま芸術劇場 大ホール【宮城公演】6月1日(土)・2日(日)会場:仙台銀行ホール イズミティ21 大ホール【愛知公演】6月8日(土)・9日(日)会場: 愛知県芸術劇場 大ホール【福岡公演】6月15日(土)・16日(日)会場:J:COM北九州芸術劇場 大ホール【大阪公演】6月20日(木)~6月23日(日)会場:梅田芸術劇場シアター・ドラマシティチケット情報:()公式サイト:
2024年02月23日吉田羊主演舞台「PARCO PRODUCE 2024『ハムレット Q1』」の全キャストが決定し、メインビジュアルが公開された。シェイクスピアの四大悲劇のひとつに数えられる『ハムレット』。本公演はその『ハムレット』戯曲の原型とも言われるQ1版を、シェイクスピア劇全37作品の翻訳を達成した松岡和子の新訳で上演。演出は、2019年に現行の『ハムレット』『ジュリアス・シーザー』など、数多くのシェイクスピア劇を手掛けてきた森新太郎が務め、正義や復讐のためにまっすぐに生き抜いた男と、陰謀渦巻くデンマーク王家の物語を描く。主人公のハムレットを演じるのは、映像での活躍も華々しく、森新太郎演出の『ジュリアス・シーザー』(2021) で第56回紀伊國屋演劇賞個人賞を受賞した吉田羊。そしてモデルとしても活躍し多くの映像作品に出演する飯豊まりえ、2.5次元の舞台から本格的な舞台まで多彩に活躍する牧島輝、個性的な演技で映像・舞台問わず数々の作品で強い印象を残す大鶴佐助、舞台のみならず数多くの映像作品で存在感を放つ広岡由里子、昨年俳優デビュー35周年を迎えた吉田栄作と豪華キャストが集結する。そのほか、第51回紀伊國屋演劇賞、第25回読売演劇大賞優秀賞を受賞した佐藤誓、舞台での活動と並行して自主映画出演もする駒木根隆介、劇団「柿喰う客」の永島敬三といった実力者たちが顔を揃えた。公開されたメインビジュアルは、赤い糸が絡まる様で陰謀や復讐に掻き乱される登場人物たちの運命を表現。不穏な雰囲気を感じさせるアートワークとなっている。<公演情報>PARCO PRODUCE 2024『ハムレット Q1』『ハムレット Q1』メインビジュアル作:ウィリアム・シェイクスピア訳:松岡和子演出:森新太郎出演:吉田羊飯豊まりえ牧島輝大鶴佐助広岡由里子佐藤誓駒木根隆介永島敬三/青山達三佐川和正鈴木崇乃高間智子友部柚里西岡未央西本竜樹/吉田栄作<東京公演>5月11日(土)~6月2日(日) PARCO劇場【チケット料金】(全席指定・税込)マチネ:11,000円ソワレ:10,000円■ペアチケットマチネ:21,000円ソワレ:19,000円おとな・こどもペアチケット:11,000円(おとな1名とこども1名(観劇時15歳以下対象)のペア対象)U-35チケット:5,500円(観劇時35歳以下対象)※ペアチケット:枚数限定、一般発売日より先着販売、当日券取扱いなし※おとな・こどもペアチケット、U-35 チケット:要身分証明書(コピー・画像不可、原本のみ有効)/ 当日指定席券引換※未就学児入場不可チケットはこちら:()【大阪公演】6月8日(土) 13:00 / 18:306月9日(日) 13:00会場:森ノ宮ピロティホールチケット料金:11,000円(全席指定・税込)※未就学児入場不可【愛知公演】6月15日(土) 13:006月16日(日) 13:00会場:東海市芸術劇場 大ホールチケット料金:11,000円(全席指定・税込)※未就学児入場不可【福岡公演】6月22日(土) 13:00 / 18:306月23日(日) 12:00会場:久留米シティプラザ ザ・グランドホールチケット料金:S席 11,000円 / A席 8,800円 / B席 6,600円 / C席 4,400円 / 学生券 2,200円(当日座席指定・要学生証/全席指定・税込)※未就学児入場不可公式サイト:
2024年02月19日PARCO PRODUCE 2024『ハムレットQ1』が、5月から6月にかけて東京・大阪・愛知・福岡で上演されることが決定した。シェイクスピアの四大悲劇のひとつに数えられる『ハムレット』には3種類の原本があり、ふたつの四折版(Quatro)がQ1とQ2、もうひとつの二折本(Folio)がF1と呼ばれている。今回上演されるQ1は長さが現行のF1版の約半分で、物語が凝縮された作品。翻訳はシェイクスピア劇全37作品の翻訳を達成した松岡和子、演出は2021年上演の『ジュリアス・シーザー』で高い評価を得た森新太郎が務める。主人公のハムレットを演じるのは、森演出の『ジュリアス・シーザー』で第56回紀伊國屋演劇賞個人賞を受賞した吉田羊。森との再タッグで、ハムレットの複雑な心理をより繊細に、そして鮮明に浮かび上がらせる。またハムレットの恋人オフィーリア役で飯豊まりえ、ハムレットの親友ホレイショー役で牧島輝、オフィーリアの兄レアティーズ役で大鶴佐助、ハムレットの母親ガートルード役で広岡由里子、ハムレットの叔父で策略によって王位を手にするクローディアス役で吉田栄作が出演する。■訳:松岡和子 コメント『ハムレットQ1』の特徴をひと言で言えば、「コンパクト」でしょうか。簡にして要。『ハムレット』が書かれ上演されたのは1600年から1601年ごろと言われています。当時から大変な人気作だったらしく、すぐに本になりました。最初のQ1が出たのは1603年、その翌年にはQ2(キュー・ツー)が。1623年に出版された戯曲全集F1(エフ・ワン)にも収録されています。QとかFは判型のことです。全紙を半分に折ったサイズをフォリオ(二つ折本)、それをさらに半分に折ったサイズをクオート(四つ折本)と言い、頭文字を取ってFとかQと呼ぶ。ですからQ1は第一・四つ折本、Q2は第二・四つ折本、F1は第一・二つ折本。大方のモダンテクストがこれらの折衷版です。三つの古本は長さが違います。一番短いQ1は上演台本として魅力があります。なにしろ短いから、劇としての展開が早い。上演時間も短い。主人公があまり物思いに耽らない。ハムレットと言えば独白が有名ですが、そもそもQ1の独白の回数はQ2やF1より少なく、各独白が短い。でもこの人物の特徴である言葉遊びはQ1でも楽しめます。また、母ガートルードとの関係も、Q1をご覧になると、あっと驚くのでは?Q1によって、いままで知らなかったハムレットの顔が見えてくるはずです。■演出:森新太郎 コメント逃れようのない人間の宿命を体現する新たなハムレット像を求めて初めて『ハムレット』を演出したのは2019年。その時、故 蜷川幸雄氏はじめ演出家の大先輩たちが何故、回を重ねてこの戯曲を演出したのか、その片鱗に触れた気がした。『ハムレット』は演出家の意図とはまた別に、〝誰がハムレットを演じるか〟によって、大きく変化する戯曲なのだ。また『ハムレット』には、美しい修辞の長大な台詞に彩られた上演すれば4時間越えは確実な「F1」と「Q2」、その約半分の行数からなる「Q1」という異なる3つの印刷原本が存在している。今回は畳みかけるように展開する、疾走感のあるドラマが魅力の「Q1」で、自分の中のハムレット像に別の側面から光を当ててみたいと考えている。さて、誰にハムレットを演じてもらうか、だ。2021年、ここPARCO劇場で同じシェイクスピアの『ジュリアス・シーザー』を女性だけの配役で上演させていただいた。政治と闘争の果ての悲劇。血に塗れ、苦悩しながらも清廉さを失わない孤高の人ブルータスを体現した吉田羊氏の佇まいが、私の中でいつしかハムレットの孤独と重なり、気づけば今回の上演のためのピースにぴたりとはまっていた。今、考えているハムレットは思いがけず死に直面し、恐れ、懊悩しながらもついにはそれを受け入れる、人間の逃れようのない宿命に対峙する青年だ。その儚くも壮絶な内的葛藤を、俳優・吉田羊は舞台上で生きてくれるに違いない。流星のように駆け抜ける人の生の煌めきを、共に目撃していただける舞台を夢想している。■吉田羊 コメント森新太郎さんと再びのシェイクスピア。前作『ジュリアス・シーザー』が終わった瞬間から願っていた舞台が叶い、夢のようです。血がたぎり、髪の毛一本にまで神経が通るようなパッションに満ちたあの稽古の日々がもう一度訪れるのかと思うと既にワクワクが止まりません。前回のオールフィメールという趣向とは打って変わり、今回はまさしく男性役、そして戯曲は「Q1」。想像するだに新しく、挑戦的な舞台になりそうです。共演の皆さまは、華やかさと力強さ、そして色気を放つ方々ばかり。知恵を出し合い、切磋琢磨しながら、皆一丸となって『ハムレットQ1』を作り上げたいと思います。シェイクスピアの言葉の美しさ、読み解く面白さを、みなさまと共有できれば幸いです。どうぞ、応援よろしくお願いいたします。■飯豊まりえ コメント舞台経験の少ない、まだ右も左もわからない、演劇赤子の私がシェイクスピアで、オフィーリアです。嬉しいやら畏れ多いやらを行ったり来たりしています。じっくりと映像では体験出来ないほど長くお芝居を作っていくお稽古というものも、舞台経験が少ない私にとっては新鮮です。劇場で客席に座られている皆さんとお会い出来る頃には、自分がどんな気持ちになっているのか想像もつきませんが、実はそれが楽しみでもあります。スタッフ、キャストの皆さんの背中をみて学ばせて頂きながら、お芝居を作っていきたいと思っています。■牧島輝 コメント森新太郎さんの演出で吉田羊さん主演のハムレット。それもQ1での上演ということで、本当に挑戦的な企画で、また新しいハムレットになるのだなと感じております。そんな作品に出演できることをとても嬉しく思います。僕はシェイクスピア作品に出るのは初めてです。ハムレットQ1のホレイショーを演じるということは僕の中ではかなりの挑戦です。今回の本を読んでいてもまだ分からないことも多いですが、役が決まった時のやってやるぞという気持ちを胸に、やってやりたいと思います。劇場に来てくださるお客様にこの作品を大いに楽しんでいただけるよう頑張りたいと思います。『ハムレットQ1』よろしくお願いいたします■大鶴佐助 コメントレアティーズを演じます大鶴佐助です。ハムレットは幼少の頃から何度も見ていたので今回出演する事になり嬉しく思っております。脈々と紡がれる作品を森新太郎さんが稽古場や劇場でどのように立ち上がって行くのか楽しみですし、ハムレットを吉田羊さんが演じる事によりどのような化学反応がおき、松岡和子さんがQ1を新しく翻訳しどんな匂いが立ち込めるのか今から楽しみです。■広岡由里子 コメント20年いや25年……30年くらい前になりますか?記憶が定かではありませんが、シェイクスピアの作品を見た事がなかった私。見てみたくシェイクスピア劇場へ足を運びそこで見たのが『ハムレット』でした。今回読み返すまで内容も役柄もこれまた定かには記憶していませんでしたが、おもしろかった!という印象だけが色濃く定かに残っていました。『ハムレット』の世界に浸ってみたい。演じてみたい。と思ったのを覚えています。そして演るとしたら、えっ?女性って二人しか出て来ない……。オフィーリアは清純、純真しかも年齢的にももうむりかな?となるとガートルード……。いつかガートルードで『ハムレット』の世界に浸る!!と思ったのを思い出しました(笑)。この度オファーを頂き食い気味に「やらせて頂きます!」と答えました。初めましての方、お久しぶりですの方、素敵なキャストの皆さんと『ハムレット』の世界にどっぷり浸かれるのが楽しみです!皆さまも一緒に『ハムレット』の世界に浸かってみませんか?お待ちしております!!■吉田栄作 コメント戯曲『ハムレット』にQ1というショートバージョンがあることを初めてしりました。また、この度PARCO劇場さんには初めて出演させていただきます。そして吉田羊さんはじめ共演者の皆さんも「はじめまして」の方ばかり。ワクワクとドキドキが重なります……。演出の森新太郎さんとは『メアリ・スチュアート』以来4年ぶり2回目のお仕事をさせていただきます。僕が演じさせていただくデンマーク国王クローディアスは、ハムレットにとっては親の仇。森さんの演出によって今作がどんな世界観に創り上げられるのか、今から稽古が楽しみです。<公演情報>PARCO PRODUCE 2024『ハムレットQ1』作:ウィリアム・シェイクスピア訳:松岡和子演出:森新太郎出演:吉田羊飯豊まりえ牧島輝大鶴佐助広岡由里子吉田栄作ほか東京公演:2024年5月11日(土)~6月2日(日) PARCO劇場大阪公演:2024年6月8日(土)・9日(日) 森ノ宮ピロティホール愛知公演:2024年6月15日(土)・16日(日) 東海市芸術劇場大ホール福岡公演:2024年6月22日(土)・23日(日) 久留米シティプラザ ザ・グランドホール公式サイト:
2024年02月01日ナショナル・シアター・ライブ(NTLive)の10周年記念アンコール上映のひとつ、ベネディクト・カンバーバッチが主演した「ハムレット」の追加上映が決定した。イギリスのナショナル・シアターが厳選した、いま観るべき話題の舞台をこだわりのカメラワークで撮影し、世界各国の映画館で上映する企画となっている「NTLive」。12月29日(金)から、TOHOシネマズ 日本橋/大阪ステーションシティシネマ/福岡・中洲大洋映画劇場にて、10周年を記念したアンコール上映が実施予定となっている。12月27日0時より、初日にTOHOシネマズ 日本橋で上映される「ハムレット」の座席の販売が開始となったが、明け方までに完売。そこで急遽、TOHOシネマズ 日本橋での同作上映を2回、1月2日(19:20~)&3日(19:50~)に追加することが決定。本作は、オンラインチケットが発売されるやいなや10万枚のチケットが即日完売した大人気舞台。オリヴィエ賞最優秀演出賞ノミネート歴をもつ精鋭の女性演出家リンゼイ・ターナーによる、舞台の奥行を活かしたダイナミックな演出は、劇場の空間でありながら大作映画に匹敵する躍動感が溢れる。タイトルロールを演じたベネディクトは、彼特有の個性を評価されながら、同時に歴代の「ハムレット」俳優に匹敵する名演が賞賛された。NTLive10周年記念アンコール上映は12月29日(金)~2024年1月11日(木)TOHOシネマズ 日本橋/大阪ステーションシティシネマ/福岡・中洲大洋映画劇場にて開催。(シネマカフェ編集部)
2023年12月28日彩の国シェイクスピアシリーズ2nd『ハムレット』の全出演者が決定した。本作は、彩の国さいたま芸術劇場が開館30周年を迎える2024年に吉田鋼太郎が新しく立ち上げる【彩の国シェイクスピア・シリーズ2nd】の記念すべき第一作。演出と上演台本を吉田が担い、主演のハムレット役は吉田がこのタイトルロールを演じてほしいと熱望した柿澤勇人が務めることが発表され、大きな反響を呼んだ。今回発表されたのは、ハムレットの恋人・オフィーリア役に北香那、ハムレットの親友・ホレーシオ役に白洲迅、オフィーリアの兄・レアティーズ役に渡部豪太、ノルウェー王子・フォーティンブラス役に豊田裕大、オフィーリアとレアティーズの父でありデンマーク王の顧問官・ポローニアス役に正名僕蔵、ハムレットの母・ガートルード役に高橋ひとみ。新シリーズの開幕に相応しい清新な顔合わせが実現した。併せて、埼玉公演の詳細が決定。埼玉公演チケットは1月26日(金) より抽選先行がスタート。<キャスト コメント>■吉田鋼太郎(演出/クローディアス役)ハムレットがあらゆる戯曲の最高峰、最高傑作と呼ばれる事が稀ではないようです。彩の国シェイクスピアシリーズの評価と人気を不動のものにした故蜷川幸雄氏も生涯でこの芝居を全9回に渡って演出しており、まさに人生を賭けて取り組み続けた戯曲でもあるようです。それだけ演出家たち、俳優たちを魅了して止まない高く美しい山のような存在であるのかも知れません。 今回いよいよその最高峰を目指す事になりました。 さて、どのルートからアプローチするのか?アプローチの仕方によっては遭難する危険も孕んでいるでしょう。かと言って、今更初心者向けのルートを選ぶ事はしたくない。 幸い、今回は上級者用のルートを選ぶに相応しい心強いバディが集結しました。 だとすれば、迷う事なく最難関のルートを選択して、彼等と共に今まで見た事のない景色を見渡すことの出来る特別な頂きを目指そうと思っています。この戯曲のテーマや構造、更には面白さ、完成度の高さについては沢山の人々、その無数の著述によって知る事が出来ます。ただ、今回ひとつだけ僕がしっかりと心に留めておきたい事があります。それは、この戯曲はシェイクスピアが彼の夭折した息子に捧げたものだったのではないかという事です。息子の名前はハムネットでした。この想像は僕だけのものではないかも知れませんが、僕には想像ではなく、確信に思えて仕方ないのです。 シェイクスピアが、亡くなった息子の名前に酷似した名前をタイトルロールにした芝居。大切に大切に、そして繊細にダイナミックに創って行きたいと思っています。■柿澤勇人(ハムレット役 )『ハムレット』という役は僕にとってプレッシャーでしかなく、僕が持っているものや今まで経験してきたこと全てを出しても敵わない大変な役だと思っています。生半可な気持ちで出来るものではありません。全身全霊で挑みたいと思います。劇場にてお待ちしております。■北香那(オフィーリア役)舞台の上でオフィーリアとして演じることが出来ると思うと、今から本当にワクワクして仕方がないです。本公演を観てくださる皆様の心をどのくらい動かすことができるか、ということが自分の中で目標になっています。吉田鋼太郎さんはじめ、素敵なキャストの皆様と一緒に一歩一歩前に進めるよう、自分を奮い立たせて頑張っていきたいと思っています。■白洲迅(ホレーシオ役)またひとつ大きな挑戦をさせていただけることを本当にありがたく思います。僕にとって初めてのシェイクスピア作品であり、それが『ハムレット』であるということ、とても身の引き締まる思いです。鋼太郎さんとは何年もドラマでご一緒させていただいていますが、そんな鋼太郎さんに演出をしていただけることが本当に楽しみです。稽古に励みながら、ハムレットの世界に没入していけたらなと思っております。皆さんもぜひ楽しみにしていただけたら嬉しいです。■渡部豪太(レアティーズ役)『ハムレット』という大作に、レアティーズという大役でこの度出演することになりました。役者としてシェイクスピア作品に携わることが出来てとても嬉しいです。険しい道のりだとは思いますが、カンパニーの皆様と、楽しく前を向いて今の私にできることを精一杯出し切りたいと思います。■豊田裕大(フォーティンブラス役)初めての舞台で、初めてのシェイクスピア作品で、わからないことだらけです。一方で、映画やドラマの現場との違いも興味深いです。不安や緊張だけでなくワクワク、たくさんの気持ちがすでに溢れています。その気持ち全部をこれから演じるフォーティンブラス役にぶつけて、一生懸命作り上げていけたらと思っております。■正名僕蔵(ポローニアス役)2年前に『終わりよければすべてよし』で初めて吉田鋼太郎さんの演出を受け、舞台の楽しさを改めて教えていただきました。そんな鋼太郎さんの演出で、しかもなんと『ハムレット』に参加できることが非常に嬉しいです。と同時に私は役を全うできるのか、という不安と恐怖が裏側にあり、武者震いが止まりません。恐らく観客の皆さまも並々ならぬ期待を持って劇場にいらっしゃると思われますので、我々もさらに並々ならぬ熱量を持ってお迎えしたいと思います。どうぞご期待ください。■高橋ひとみ(ガートルード役)長くお仕事をさせていただいておりますが、シェイクスピア作品は初めてです。自分が出演できるなんて、本当に夢のようです。今までたくさん観させていただいてきた分、どうしようどうしよう、ワクワク、ドキドキ、楽しみ、大きなことが待ってる、と、色々な感情が溢れておりますが……やっぱり喜びですね。この年齢になっても、初めてのことがまだまだあるんだなと思うのと同時に、鋼太郎さんの上演台本、演出、そして、初めて共演させていただける方々ばかりなので、本当に楽しみにしております。<公演情報>彩の国シェイクスピア・シリーズ2nd Vol.1『ハムレット』作:W・シェイクスピア翻訳:小田島雄志演出・上演台本:吉田鋼太郎(彩の国シェイクスピア・シリーズ芸術監督)【キャスト】柿澤勇人北香那白洲迅渡部豪太豊田裕大櫻井章喜原慎一郎山本直寛松尾竜兵いいむろなおき松本こうせい斉藤莉生正名僕蔵高橋ひとみ吉田鋼太郎【埼玉公演】期間:2024年5月7日(火)~26日(日)会場:彩の国さいたま芸術劇場 大ホール【チケット料金】S席:10,000円A席:8,000円B席:6,000円U-25:2,000円※劇場でのみ取扱い■一般発売2月17日(土) 10:00~【ツアー公演】■宮城公演期間:2024年6月会場:仙台銀行ホール イズミティ21 大ホール■愛知公演期間:2024年6月会場: 愛知県芸術劇場 大ホール■福岡公演期間:2024年6月会場:J:COM北九州芸術劇場 大ホール■大阪公演期間:2024年6月会場:梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ公式HP:
2023年12月19日吉田鋼太郎による新たなシェイクスピア・シリーズの第1作目「ハムレット」に、柿澤勇人が主演することが分かった。蜷川幸雄のもとでシェイクスピアの全37戯曲を完全上演することを目指し、1998年のスタート以来、国内外に次々と話題作を発表してきた彩の国シェイクスピア・シリーズ。蜷川さんから芸術監督のバトンを引き継いだ吉田さんは、2017年から残された5作品を見事に上演し、2023年2月に「ジョン王」の上演をもって、彩の国シェイクスピア・シリーズが完結した。そして、観客の期待に応えるように来年5月、吉田さんによる新シリーズ<彩の国シェイクスピア・シリーズ2nd>がスタートする。その記念すべき1作目は「ハムレット」。タイトルロールを担うのは、吉田さんからの信頼も厚い柿澤さん。「デスノート THE MUSICAL」「アテネのタイモン」「スルース~探偵~」に続いて4本目の共演となり、演出と主演のタッグとしては、「ブラッド・ブラザーズ」以来、2年ぶりだ。なお、全37戯曲の中でも、その奥深さをもう一度伝えたい作品を吉田さんが選び、年に1本を目安に上演。25年には「マクベス」、26年には「リア王」の上演が予定されている。コメント<吉田鋼太郎(演出/クローディアス役)>僕がずっとハムレットをやって欲しいと思っていた柿澤くんを迎えての『ハムレット』ということで、今からワクワクドキドキ、素晴らしいものができるのではないかという予感に満ち溢れています。ハムレットという役は、誰にでも出来る役という訳ではないと思っています。イギリスには“ハムレット役者”という言葉があるくらいなので、ぜひ選ばれた役者、柿澤勇人のハムレット、見届けていただけたらと思います。<柿澤勇人(ハムレット役)>「ハムレット」という役は僕にとってプレッシャーでしかなく、僕が持っているものや今まで経験してきたこと全てを出しても敵わない大変な役だと思っています。生半可な気持ちで出来るものではありません。全身全霊で挑みたいと思います。劇場にてお待ちしております。ストーリーデンマーク王国では、2か月前に王が亡くなり、先代の王の弟クローディアス(吉田鋼太郎)が王に即位。そして、先代の王妃ガートルードはクローディアスと再婚する。父の死の悲しみも冷めぬ間に母が叔父と再婚したことに、王子ハムレット(柿澤勇人)は憤りを感じていた。ある日、従臣から亡き王の亡霊が夜な夜なエルシノアの城壁に現れるという話を聞き、ハムレット自身も確かめに行く。父の亡霊に会ったハムレットは、父の死はクローディアスによる毒殺であったと告げられ、復讐を決意する。やがて、叔父クローディアスが父である王を暗殺した確かな証拠を掴んだハムレットは、王妃ガートルードとの会話を盗み聞きしていた侍従長ポローニアスを、クローディアスと誤って刺殺してしまう。ポローニアスの娘で、ハムレットの恋人であったオフィーリアは、悲しみのあまりに正気を失い、川で溺死してしまう。ポローニアスの息子であったレアティーズは、父と妹の仇をとろうと怒りを募らす。クローディアスはハムレットの存在を恐れ、復讐心を持ったレアティーズと結託してハムレットを剣術試合に招き、毒剣と毒入りの酒を使って殺そうと画策する――。彩の国シェイクスピア・シリーズ2ndVol.1「ハムレット」は2024年5月、彩の国さいたま芸術劇場 大ホールにて上演予定。※ほかツアー公演あり(シネマカフェ編集部)
2023年10月31日PARCO劇場開場50周年記念シリーズ『新ハムレット~太宰治、シェイクスピアを乗っとる!?~』が、6月6日(火) から25日(日) にPARCO劇場で上演される。それに先駆け初日前会見と公開ゲネプロが実施された。『新ハムレット』は、太宰治が戯曲形式の小説として書き下ろした作品で、シェイクスピアの四大悲劇の一つに数えられる『ハムレット』のパロディ。設定は同じながらも太宰治のレンズを通すことで、ハムレットや彼を取り巻く人物たちが拗らせる悩みや関係性が身近に感じられる内容となっている。主人公・ハムレット役は木村達成、ハムレットを慕うオフヰリヤ役は島崎遥香がそれぞれ務めるほか、ハムレットの学友ホレーショー役で加藤諒、侍従長ポローニヤスの息子レヤチーズ役で駒井健介、侍従長ポローニヤス役で池田成志、ハムレットの母でデンマーク王妃ガーツルード役で松下由樹、現王にしてハムレットの叔父にあたるクローヂヤス役で平田満が出演する。演出は、『コーヒーと恋愛』『貴婦人の来訪』『毛皮のヴィーナス』で第30回読売演劇大賞の最優秀演出家賞を受賞した五戸真理枝が手がける。撮影:宮川舞子撮影:宮川舞子木村は本作について「僕はほぼ出ているので客観的には見られていませんが、すごくいろんなところに日本人にも共感できるポイントがあり、それこそハムレットにも共感できるポイントが詰まっています。この舞台が何で成り立っているのかと言えば“愛”です。誰かを思いやる気持ちで成り立っています」とコメント。また「太宰治の書いた原作を読んだ方、シェイクスピアの『ハムレット』を読んだ方、どちらも読んでいる方、それぞれの想いがあると思いますし、長いセリフにさえも魅力を感じていただけると思います。ぜひ、劇場に観に来ていただきたいです」と呼びかけた。撮影:宮川舞子『新ハムレット~太宰治、シェイクスピアを乗っとる!?~』は東京公演を上演後、7月6日(木) に福岡・久留米シティプラザ ザ・グランドホール、7月9日(日) に大阪・森ノ宮ピロティホールで上演される。■木村達成 コメント『新ハムレット~太宰治、シェイクスピアを乗っとる!?~』は明日から始まります。僕はほぼ出ているので客観的には見られていませんが、すごくいろんなところに日本人にも共感できるポイントがあり、それこそハムレットにも共感できるポイントが詰まっています。この舞台が何で成り立っているのかと言えば「愛」です。誰かを思いやる気持ちで成り立っています。太宰治の書いた原作を読んだ方、シェイクスピアの『ハムレット』を読んだ方、どちらも読んでいる方、それぞれの想いがあると思いますし、長いセリフにさえも魅力を感じていただけると思います。ぜひ、劇場に観に来ていただきたいです。■島崎遥香 コメント今日まで先輩方にたくさんアドバイスを頂いて、皆さんのお力を無駄にしないように精いっぱい千秋楽まで突っ走っていきたいと思います。自分のセリフではありませんが、原作を読んだ時から父・ポローニヤスの心得がとても好きで、こんな父の娘を演じられるのは嬉しいなと思います。あとは(加藤)諒くんのセリフで、ホレーショーのお母さん像が感じられるセリフがあってそれがすごくいいなと思います。自分が演じるオフヰリヤには「(これから)私は思ったことをポンポン言おうと思うの」というセリフがあるのですが、私自身は思っていなくてもポンポン言ってしまいますね(笑)。■加藤諒 コメントハムレットに「あぁ、ホレーショーに会いたい」というセリフがあって、そのセリフのシーンになると、僕はいつも舞台袖でキュン!となっています(笑)。演じるホレーショーに共感できるところは、僕も噂話とか好きだったりして友達に伝達することもあるのですが、その中でこじれた経験もあるので、そこはホレーショーと似ていると思います(笑)。稽古中に、本当に不安で押しつぶされそうだったのですが、(池田)成志さんにたくさんアドバイスしていただいて、救っていただいたので、完走できるように頑張ります。■駒井健介 コメント回りくどいセリフがたくさんあるので、僕自身、そして皆さんも苦労していますが、何とか形にしたいと思っています。僕の目標としては気張らずに硬くなりすぎず、頑張れたらと思います。好きなセリフがいろいろありますが、僕は「愛は言葉だ」というセリフが一番好きで、いちいち回りくどく言うのは愛があるからではないかと思っています。■池田成志 コメント一言で言うととても“問題作”だと思います。不条理劇のようにおとなしい芝居だと思いきや、ぶっとんでみたり、また急におとなしくなったりと、詩劇に訴え朗々と言葉が羅列されていくけど人情劇であったり、観ている方が「人間ってこんなにしゃべるんだ」と呆れて眠くなってしまわないように我々頑張ってまいりたいと思います。観た方には「非常に問題作だった」と言っていただければ宣伝になると思います。宜しくお願いします。■松下由樹 コメントシェイクスピアの『ハムレット』をもとに太宰治が書いたものなので、今まで感じたことのない作品になっていると思います。ちょっと遠くに感じるシェイクスピアの作品も、この「新ハムレット」はぐっと身近に感じながら心にも届くような作品になっていますので、丁寧に演じて明日の初日を迎え、最後まで走り抜けたいと思います。「あなたもハムレットにそっくりね」というセリフがあるのですが、ハムレット像がシェイクスピアのハムレットとはまるで違うイメージで、ただの“復讐劇”ではないというのがよくわかるセリフだと思います。■平田満 コメント今回は、衣裳を見ても、童話のような、昔話のような仕立てもありつつ、中には現代的なやり取りもあり、なにか一つでも伝わればといいなという芝居にしたいと思っております。これからお客様が入って完成するものですので、不安とともに楽しみでもあります。クローヂヤスはとても小心者だし、小さい人間なので、「強くなれ、クローヂヤス」というセリフを私の銘にしたいと思っています。■五戸真理枝 コメント今回の台本は137ページ中、133ページはすべて太宰の言葉のままで構成しており、俳優のしゃべりづらさは考慮せずに作ってしまいました(笑)。皆様には大変なご苦労をおかけしてしまっていますが、太宰治という作家が一文一文に込めた読者を楽しませたいという精神がとても強く感じられるなと思っています。読み合わせの時から感じていましたが、全てのセリフに愛があります。それをいかに舞台上で立体化するかを皆さんと試行錯誤してきました。お客様にいびつな愛を受け取っていただけたらと思います。<公演情報>PARCO劇場開場50周年記念シリーズ『新ハムレット~太宰治、シェイクスピアを乗っとる!?~』作:太宰治上演台本・演出:五戸真理枝出演:木村達成島崎遥香加藤諒駒井健介/池田成志松下由樹平田満東京公演:6月6日(火)~25日(日) PARCO劇場福岡公演:7月6日(木) 久留米シティプラザ ザ・グランドホール大阪公演:7月9日(日) 森ノ宮ピロティホールチケット情報はこちら:公式サイト:
2023年06月06日太宰治の初めての長編小説は、あのシェイクスピアの『ハムレット』の翻案だった。戯曲形式で書かれたその作品に以前から惹かれていたのが、第30回読売演劇大賞最優秀演出家賞を受賞したばかりの五戸真理枝である。その思いが叶い、自身の上演台本と演出で『新ハムレット~太宰治、シェイクスピアを乗っとる!?~』が上演される。ハムレットを演じるのは、ミュージカルからストレートプレイまで自在に活躍する木村達成。演出家と俳優が、“太宰版ハムレット”の魅力を語る。太宰の小説「新ハムレット」を読んだとき、「太宰治といえば暗くて内向的なイメージがありましたが、シェイクスピアの『ハムレット』という有名な戯曲を自分で語り直そうと闘う強さを感じた」と五戸は言う。その闘いの結果できたものに、「笑えるところもいっぱいある、パロディとしての強烈さ」も感じ取った。「その従来のイメージとは違う太宰治の息遣いが、実際に立ち上げることで聞こえてくるのではないかという興味があって」、いつか上演したいと、長すぎるセリフを削るなどした上演台本を自身で作っていたそうだ。その台本を読んで、ハムレットを演じる木村はまず、「太宰治さんは僕に当て書きしたんじゃないかと思うくらい(笑)、ハムレットのセリフが僕が普段口にしていることと同じでびっくりした」のだそう。この大役のオファーについても、「僕は、作品が決まった瞬間が喜びのピークで、その後それがどんどん苦しみに変わっていくタイプなので、そこも悩み苦しむハムレットに似ている」と語る。まさしくハムレットに適任だ。そんな木村を、「ハムレットにも太宰にも似ている」と評し、「木村さんの、繊細で正直でストレートで、弱みも出せるところは、太宰版ハムレットを演じていただくうえで一番重要かもしれません」という五戸。木村が演じるハムレットに期待が募る。それと同時に、現代の日本で生きる俳優がそれほどシンクロするという太宰版ハムレットへの興味も尽きない。五戸は、「今回の上演は、シェイクスピアというビッグネームの、なかでもビッグネームな『ハムレット』を、いかに日本人感覚、お茶の間感覚に引きずり下ろせるかが最大のテーマ」と話す。ハムレットや彼を取り巻く登場人物たちが、今の私たちと変わらず悩んでいる。それも目の前で。劇場にはきっと、演劇ならではの共感が広がっていくだろう。取材・文:大内弓子
2023年05月29日第30回読売演劇大賞最優秀演出家賞を受賞した五戸真理枝が上演台本と演出を手がける『新ハムレット~太宰治、シェイクスピアを乗っとる!?~』。あのシェイクスピアの『ハムレット』を、あの太宰治が翻案した、いわば“太宰版ハムレット”である。太宰の手によって、日本人の感覚にフィットするものに語り直されたこの作品で、主人公ハムレットを慕うオフヰリヤを演じるのは島崎遥香。ハムレットの学友ホレーショ―を加藤諒が演じる。新たな『ハムレット』にふさわしい華と個性のあるふたりは、この注目作にどう臨むのか。太宰版の『新ハムレット』について、まず島崎は、「シェイクスピアの『ハムレット』には復讐劇という恐ろしいイメージがあったんですけど、『新ハムレット』はユーモアにあふれていて。王子のハムレットと王のクローヂヤスの対立も、親子喧嘩に思えてしまうくらいポップに描かれているので、観やすいものになるんじゃないかなと思いました」と話す。高校生のときに『ハムレット』がテキストのワークショップに参加していたという加藤も、「シェイクスピアは詩的なセリフを理解する難しさがあったんですけど、太宰版はこのセリフはどういう気持ちで言っているんだろうと考えさせられるところがあって、そこが逆に、人間味があって面白いなと感じました」と、本家と比較しながらその魅力を語る。島崎が演じるオフヰリヤも人間味にあふれ、ただハムレットに翻弄される女性にはならないようだ。「本当の感情を話しているのか、嘘を言っているのか、本音が見えづらいんですけど、要所要所では思っていることをズバッと言って人の心を刺していくので(笑)。そのポイントをつかめたらいいなと思っています」。一方、加藤が演じるホレーショ―はハムレットの親友で、「唯一ハムレットにストレートにものが言える存在。ハムレットを演じるたっちゃん(木村達成)とはもう8年くらいの仲なので、僕たちの人間関係も作品に投影していけたら」と意欲を見せる。ふたりはハムレットを巡る恋と友情を演じることになるが、島崎は言う。「愛とは何だろうといった答えが出ない悩みはいつの時代にもあって、人間は悩み苦しみ続けていくんだなと思ったら、逆に、明るく生きていこうと勇気づけられます」。そして、「噂話に翻弄されたりするのも今と変わらない。今に通じるところをきちんと表現できたら」と加藤。すでに様々なものを感じ取っているふたりが、それをどう深め広げていくか。楽しみである。取材・文:大内弓子
2023年05月29日PARCO劇場開場50周年記念シリーズ『新ハムレット~太宰治、シェイクスピアを乗っとる!?~』が6月6日(火) から25日(日) にPARCO劇場で上演される。このたび木村達成が歌う劇中歌「ハムレットRap」の詳細が発表された。『新ハムレット』は、太宰治が戯曲形式の小説として書き下ろした作品で、シェイクスピアの四大悲劇の一つに数えられる『ハムレット』のパロディ。演出は、第30回読売演劇大賞 最優秀演出家賞に輝いた五戸真理枝が担当する。劇中歌の作詞作曲を手がけたのは、ヒップホップMCのMummy-D(RHYMESTER)。演出の五戸、そして劇中音楽を担当する斎藤ネコとのやりとりを経て、最先端の音を導入した楽曲となっている。エッジでキャッチーなトラックとともに、Mummy-Dが編み直した太宰治の言葉がエンタテインメントへと昇華。木村がリリックをビートに乗せて歌う姿が見どころとなりそうだ。『新ハムレット~太宰治、シェイクスピアを乗っとる!?~』は東京公演を上演後、7月6日(木) に福岡・久留米シティプラザ ザ・グランドホール、7月9日(日) に大阪・森ノ宮ピロティホールで上演される。■五戸真理枝 コメント一つの曲でこんなに心を動かされるんだと感動しました。太宰の内省的なつぶやきを180度転換してエンタテインメントにしてくださっています。あまり知られていない、太宰のエンターテイナーとしての一面が音楽になって姿を現した感じです。木村さんはもともとリズム感の優れた方ですが、Mummy-Dさんの歌唱指導でより深みのある歌になりました。素晴らしいラップに負けないように、ほかの場面も丁寧に作っていかなければと思っています。■Mummy-D コメント斎藤ネコさんから「演劇でラップをやりたいんだけど、誰かいい人いませんか?」と連絡をいただいて。ずっと一緒にやりたかったので「俺、やりますよ」とお返事しました。五戸さんとの話や衣裳や舞台のデザインに触発され、「これは最新の音でいかないとダメなやつだ」と思ってオケを作りました。難易度の高いラップですが、木村くんがすぐ歌いこなしてくれて本当にセンスがあるし、また俺の指導がいいんだなと思っています(笑)。<公演情報>PARCO劇場開場50周年記念シリーズ『新ハムレット~太宰治、シェイクスピアを乗っとる!?~』作:太宰治上演台本・演出:五戸真理枝出演:木村達成島崎遥香加藤諒駒井健介/池田成志松下由樹平田満東京公演:6月6日(火)~25日(日) PARCO劇場福岡公演:7月6日(木) 久留米シティプラザ ザ・グランドホール大阪公演:7月9日(日) 森ノ宮ピロティホールチケット情報はこちら:公式サイト:
2023年05月26日PARCO劇場開場50周年記念シリーズ『新ハムレット~太宰治、シェイクスピアを乗っとる!?~』が、6月6日(火) から25日(日) にPARCO劇場で上演されることが決定した。『新ハムレット』は、太宰治が戯曲形式の小説として書き下ろした作品で、シェイクスピアの四大悲劇の一つに数えられる『ハムレット』のパロディ。設定は同じながらも太宰治のレンズを通すことで、ハムレットや彼を取り巻く人物たちが拗らせる悩みや関係性が身近に感じられる内容となっている。本作の主人公・ハムレット役は木村達成、ハムレットを慕うオフヰリヤ役は島崎遥香がそれぞれ務める。またハムレットの学友ホレーショー役で加藤諒、侍従長ポローニヤスの息子レヤチーズ役で駒井健介、侍従長ポローニヤス役で池田成志、ハムレットの母でデンマーク王妃ガーツルード役で松下由樹、現王にしてハムレットの叔父にあたるクローヂヤス役で平田満が名を連ねた。演出を手がけるのは、『コーヒーと恋愛』『貴婦人の来訪』『毛皮のヴィーナス』で第30回読売演劇大賞の最優秀演出家賞を受賞した五戸真理枝。古典作品を現代的かつ親しみやすく描く手腕に定評のある五戸が、この戯曲形式の小説を上演用台本にブラッシュアップし、“新しい”ハムレットを立ち上げる。また本作は地方公演も予定されており、詳細は後日アナウンスされる。■上演台本・演出:五戸真理枝 コメント太宰治が筆を執ったこの翻案戯曲は、日本の現代演劇の隠れた至宝なのではないかと、強く惹かれています。『新ハムレット』が書かれた昭和16年は、太宰に初めての子供が生まれ、12月には太平洋戦争が開戦するという年でした。どの登場人物もシェイクスピアの傑作でお馴染みの人物ですが、ひとりひとりの、人生に対する期待と不安が、よりはっきりと描かれています。本家『ハムレット』のように、何度も再演され、語り継がれる物語として存在してほしいです。戯曲の魅力をお客さまにご堪能いただけますように、キャスト、スタッフの皆さまと力を合わせてがんばります。■ハムレット役:木村達成 コメントとんでもない苦悩にぶち当たる、そんな初夏を迎えることになりそうです。冒頭の「からかわないでください、僕は地獄へ行くんです」というセリフがイヤな親近感をわかせます。不思議と読み進めていくうちにフラストレーションより共感することが勝っていました。理解とまではまだいきませんが、その気持ちわかるよハムレットと、背中をさすってやりたい。ぜひお楽しみに、よろしくお願いします。■オフヰリヤ役:島崎遥香 コメントPARCO劇場50周年という記念すべき年に出演させて頂けるなんて光栄です!自分自身、新たな挑戦とも思えるこの作品でまだ出会ったことのない自分に出会えたら嬉しいです。『ハムレット』はイメージとして復讐悲劇のイメージがありますが、『新ハムレット』はユーモアに溢れ、ひとつの家庭のちょっとした喧嘩のようにさえ感じてしまう面白さがあると思いました。そしてどの時代も『愛とは?』という正解があるようでないテーマに悩み苦しむ姿は、現代を生きる私も考えさせられるものがありました。是非観に来て下さい!■ホレーショー役:加藤諒 コメント演出の五戸真理枝さんをはじめ、素敵な座組の一員として、2020年に新しくなったPARCO劇場へ立たせて頂けること、大変嬉しく思います。今は台本をいただいて読んだ所なのですが、未知の洞窟に入っていくような不安と、遠足前夜のようなわくわくが混ざった気持ちを抱いています。力みすぎずに、不安を拭いながら挑めたら良いなと思ってます。僕は出演者なので観る事は出来ませんが、『新ハムレット』早く観たいです。■レヤチーズ役:駒井健介 コメントPARCO劇場開場50周年おめでとうございます。このようなお祭りに、出演者として参加することが出来てとても嬉しいです。登場人物はみんな、ゴツゴツしていて、とても人間くさいです。そこがなんだか愛おしいし、たくさん共感出来る部分でもあります。あ、自分もこういう所あるなって。太宰治の描く新ハムレット。太宰は言います。「作者の勝手な、創造の遊戯にすぎない」と。そんな作者の言葉に勇気をもらいながら、自分も精一杯、創造して遊べたらなと思います。■ポローニヤス役:池田成志 コメントなんじゃこれは!最初に脚本を読んだ感想です。確かに『ハムレット』の体裁なのだけども……確かに普通のお芝居ではないですね。太宰治の小説の中の人間が、いますね、皮肉で、夢想家で、理屈っぽいのに、寂しがり。そして誰もが饒舌なのです、饒舌多弁なのに、肝の事はなかなか言わないんです。普通ではないです。気が滅入りそうです。やるのは難しそうです。でも、少し楽しみです。■ガーツルード役:松下由樹 コメント太宰治のハムレットに今から緊張と期待でいっぱいです。私自身新たな挑戦をする心持ちです。演出家の五戸真理枝さんとキャストの皆さんと面白い舞台になるように頑張ります。新ハムレット、キャストの面々に面白い舞台になる予感しかないです!是非観に来てください。■クローヂヤス役:平田満 コメントシェイクスピアの舞台に出るなんてまったく想像もしなかったのですが、読んでみたらどこをとっても太宰印で、これなら案外恥ずかしくないかも、とその気になってしまいました。みんなが悩んでいるのも小人物ぶりも太宰治らしくて、グローバルスタンダードではない『新ハムレット』は、バズりはしなくても意外といけるかもしれないなと思いました。そんな、器量の小さい、失敗の多い、それでいて真面目な太宰のハムレットが、僕は嫌いではないです。<公演情報>PARCO劇場開場50周年記念シリーズ『新ハムレット~太宰治、シェイクスピアを乗っとる!?~』6月6日(火)~6月25日(日) PARCO劇場※地方公演ありPARCO劇場開場50周年記念シリーズ『新ハムレット~太宰治、シェイクスピアを乗っとる!?~』ビジュアル作・太宰治上演台本・演出:五戸真理枝出演:木村達成島崎遥香加藤諒駒井健介/池田成志松下由樹平田満【チケット料金】(全席指定・税込)一般:11,000円U-25チケット:6,000円(観劇時25歳以下対象、要身分証明書(コピー・画像不可、原本のみ有効)、当日指定席券引換/「パルステ!」、チケットぴあにて前売販売のみの取扱い、指定席との連席購入不可(連席ご希望の場合は指定席をご購入ください))一般発売日:4月8日(土)公式サイト:
2023年03月10日『ハムレット』が、3月6日(月) のプレビュー公演を終え、本日3月8日(水) に東京・世田谷パブリックシアターで初日を迎えた。本公演は、2002年から2022年まで世田谷パブリックシアターの芸術監督を務めた野村萬斎が演出と出演を担う作品。ハムレット役は息子の野村裕基が務めるほか、ハムレットを導く亡き父王の亡霊と、その父を暗殺しハムレットの母を娶る叔父王クローディアスの2役を野村萬斎が演じる。また、ハムレットと対峙するオフィーリアの兄・レアーティーズと、廷臣ローゼンクランツの二役で岡本圭人、ハムレットを慕うオフィーリア役で藤間爽子、ハムレットの友人にして腹心ホレイシオ役で釆澤靖起が出演。さらに野村萬斎演出『子午線の祀り』(2017年・2021年)に出演した若村麻由美、村田雄浩、河原崎國太郎も名を連ねている。野村萬斎は初日を迎えるにあたり「プレビュー公演のお客様は集中力が高く、静かに、でも場面によっては笑いをもって見守ってくださいました。この、”オールジャパン『ハムレット』カンパニー”にとって良いスタートを切ることができ、更なる躍進を遂げられると確信しています」とコメント。また「私にとっては、20年間芸術監督を務めた世田谷パブリックシアターでの集大成ともいえる公演。やがては世界へ打って出る作品にしたいと思います。その為にも世田谷、江戸川、枚方で皆様の洗練を受けて、大いに磨き上げたいと思います」と意気込みを語った。『ハムレット』は世田谷パブリックシアターで上演後、3月25日(土) に東京・江戸川区総合文化センター・大ホール、3月29日(水) に大阪・枚方市総合文化芸術センター・関西医大 大ホールで上演される。■構成・演出&亡き父王の亡霊/クローディアス:野村萬斎 コメント全文野村裕基、岡本圭人さん、藤間爽子さん、釆澤靖起さんらフレッシュな面々と、若村麻由美さん、村田雄浩さん、河原崎國太郎さんをはじめとする『子午線の祀り』メンバー。若手からベテランまで、思う存分それぞれの魅力を結集させた総合力のある座組みで稽古を重ねてきました。プレビュー公演のお客様は集中力が高く、静かに、でも場面によっては笑いをもって見守ってくださいました。この、“オールジャパン『ハムレット』カンパニー”にとって良いスタートを切ることができ、更なる躍進を遂げられると確信しています。私にとっては、20年間芸術監督を務めた世田谷パブリックシアターでの集大成ともいえる公演。やがては世界へ打って出る作品にしたいと思います。その為にも世田谷、江戸川、枚方で皆様の洗練を受けて、大いに磨き上げたいと思います。どうぞご期待ください。私が演じたかったやり方のハムレット、裕基が羨ましいなぁ~。■ハムレット:野村裕基 コメント全文稽古場でも様々に稽古を積み重ねてきましたが、実際にお客様の前で公演できる喜びを感じると共に、お客様の視線や熱量を浴びながら演じることで発見したこともある、ありがたみを感じたプレビュー公演でした。この物語は、ハムレットという人物の追体験をお客様にしていただく作品。ハムレットが葛藤し、もがきながらも、一つの答えを見出し、死を迎えるまでの過程を、お客様には、ハムレットの友人ホレイシオと同じ立場でご覧いただき、証人になっていただけたら。ハムレットがどのような人物で、どのような答えを導き出して死んでいったかを探していただけたらと思います。誰しも人生において、”To be, or not to be”、二つの分岐点に立つことがあると思います。この『ハムレット』という作品が、ご自身の”To be, or not to be”を考えるきっかけとなれば幸いです。劇場でお待ちしております。■レアーティーズ/ローゼンクランツ:岡本圭人 コメント全文あこがれ続けてきたシェイクスピアの言葉を綴ることができ、光栄です。プレビュー公演で、お客様が見守ってくださることで、この『ハムレット』というドラマの最後のピースがはまったと感じました。お客様と一緒に『ハムレット』を作り上げたという感動があります。戯曲を読み込んでも、稽古を重ねても理解しきれずにいたところもあったのですが、実際に舞台に立つことで、『ハムレット』が400年以上の時を超えて愛され続けてきた理由が少しわかったような気がします。世田谷パブリックシアターを皮切りに、江戸川、枚方へも参ります。難解なイメージもあるかもしれませんが、萬斎さんの素晴らしい演出で、どなたでも気兼ねなく楽しんでいただける『ハムレット』になっていると思います。僕自身がずっと魅了されてきたシェイクスピアの世界をもっと多くの皆さんにお伝えできたら……。ぜひ劇場で体感してください。■オフィーリア:藤間爽子 コメント全文今日までの約一か月半という稽古期間があっという間に通り過ぎ、初日にたどり着きました。衣裳を身に着け、舞台に立ち、共演者の皆さんから発せられる台詞を受けると、シェイクスピアの言葉が稽古場よりも更に素直に心に届き、私自身腑に落ちた状態で、オフィーリアとして生きることができたように感じます。無事千秋楽までカンパニー全員で駆け抜けたいと思います。初演から400年以上を経て上演される、この萬斎さん版『ハムレット』が、令和を生きる皆様にどう感じていただけるか……劇場でお待ちしています。■ホレイシオ:釆澤靖起 コメント全文僕の役ホレイシオは野村裕基さん演じるハムレットのご学友、腹心の友です。因みに私はこの3月で40になります。一方、裕基さんは現在23歳。え、ご学友?むしろ先生じゃねーの?そう思った貴方。ご安心を。年齢差は芝居でカバーします。私達は楽屋が同じ。互いの心的距離は日々縮まり、プレビュー公演でも昨日までなかった芝居が多数自然発生。良い傾向です。昨日までなかったシミが自然発生。これはいけませんので僕の方はスキンケアも怠りません。益々絆を強めていくであろうハムホレコンビにどうぞご注目下さい。■ポローニアス/墓掘り:村田雄浩 コメント全文初めてのシェイクスピア作品。言葉の使い方や羅列がとても難しく、解釈も様々にできる。これまで多くの俳優陣が挑戦したいと願ってきた意味がよく分かりました。日々ブラッシュアップを重ねたいという気持ちと、ご覧いただく限りは楽しんでいただきたいという欲とで、より緊張しています。シェイクスピアというと台詞が長くて難解というイメージがあるかもしれませんが、さすがは萬斎さん演出だけあり、視覚的にも聴覚的にも、これまでに見たことのない『ハムレット』になっていると思います。ぜひ温かい目で見守っていただけると嬉しいです。■座長/廷臣オズリックほか:河原崎國太郎 コメント全文約一か月半、稽古を重ねてきました。初めてのシェイクスピア戯曲への挑戦は、その言葉の巧みさ、面白さ、そして難しさを感じる毎日となりました。難しさを感じる一方で、立役、女役と、私自身が努力してきた芸を生かすことができる演出にしてくださったことに感謝しております。西洋の戯曲と、和風の衣裳や美術が、アンバランスなようで不思議な調和を奏でているのを感じていただけたら。和と洋とがコラボレーションした新しい『ハムレット』、存分にお楽しみいただけますと幸いです。■ガートルード:若村麻由美 コメント全文幕を開けることができて嬉しいです!約3時間半、笑ったり手を叩いてくださるお客様の息づかいのお蔭で芝居が出来上がりました。そして、この悲劇の源は、ハムレットの母の無自覚な罪でもあったと感じました。「女」としてこの世の春を迎えた王妃が、「母」として、最期を迎えるまでの過程を台詞を変えることなく演出していただいたお蔭で、今までにないガートルードとして誕生しました。ご覧くださる方は、あらすじを知っていると、よりお楽しみいただけると思います。ガートルードにとっての「To be, or not to be」をお見逃しなく!劇場でお待ちしています。撮影:細野晋司<公演情報>『ハムレット』『ハムレット』ビジュアル作:W.シェイクスピア翻訳:河合祥一郎構成・演出:野村萬斎【出演】野村裕基/岡本圭人/藤間爽子/釆澤靖起/松浦海之介/森永友基/月崎晴夫/神保良介/浦野真介/遠山悠介/村田雄浩/河原崎國太郎/若村麻由美/野村萬斎【スケジュール】3月6日(月)~19日(日)会場:東京・世田谷パブリックシアター【終演後ポストトーク】■3月14日(火)登壇予定者:野村萬斎(演出・出演)、野村裕基、岡本圭人、藤間爽子、若村麻由美■3月16日(木)登壇予定者:野村萬斎(演出・出演)、 白井晃(世田谷パブリックシアター 芸術監督)※開催回のチケットをお持ちの方がご参加いただけます【チケット料金】■一般S席:9,500円A席:5,500円【チケット取扱い】世田谷パブリックシアターチケットセンターTEL:03-5432-1515(10:00~19:00)※託児サービスあり ※車椅子スペース取扱あり【ツアー公演】■江戸川公演3月25日(土)会場:東京・江戸川区総合文化センター・大ホール■枚方公演3月29日(水)会場:大阪・枚方市総合文化芸術センター・関西医大 大ホール
2023年03月08日舞台『ハムレット』が2023年3月6日(月)から3月19日(日)まで東京・世田谷パブリックシアターで上演され、その後、東京・江戸川公演、大阪・枚方公演が実施される。野村萬斎が演出・出演する。野村萬斎演出・出演『ハムレット』ウィリアム・シェイクスピアの四大悲劇の1つ『ハムレット』。デンマークの王子・ハムレットが、父王を暗殺し、母親と王座を奪った叔父・クローディアスへの復讐を誓う様を描いた作品だ。今回上演される『ハムレット』は、2022年2月の「戯曲リーディング『ハムレット』より」に引き続き、野村萬斎が演出を手掛けると共に、ハムレットを導く亡き父王の亡霊と、その父を暗殺しハムレットの母を奪う叔父王クローディアスを演じる。タイトルロールに野村裕基またタイトルロールのハムレット役は、野村萬斎の長男であり芸の弟子でもある狂言師・野村裕基が担当。さらに、岡本圭人、藤間爽子、釆澤靖起といったフレッシュなキャストに加え、若村麻由美、村田雄浩、河原崎國太郎らベテランキャスト陣が集結する。登場人物■ハムレット(野村裕基)…デンマークの王子。父である先王の亡霊から死の経緯を知らされる。叔父クローディアスへの復讐を誓い、狂気を装うことに。■父王の亡霊(野村萬斎)…死の経緯を息子に明かし、ハムレットを導く。■クローディアス(野村萬斎)…先王を暗殺し、ハムレットの母を娶る叔父。■オフィーリア(藤間爽子)…ハムレットの恋人。■レアーティーズ(岡本圭人)…オフィーリアの兄。ハムレットと対峙する。■ローゼンクランツ(岡本圭人)…廷臣。ハムレットの友人。■ホレイシオ(釆澤靖起)…ハムレットの友人であり腹心。■ガートルード(若村麻由美)…王妃。ハムレットの母親。■ポローニアス(村田雄浩)…レアーティーズとオフィーリアの父親。■旅芸人一座の座長(河原崎國太郎)【詳細】舞台『ハムレット』作:W.シェイクスピア翻訳:河合祥一郎構成・ 演出:野村萬斎出演:野村裕基、岡本圭人、藤間爽子、釆澤靖起、松浦海之介、森永友基、月崎晴夫、神保良介、浦野真介、遠山悠介、村田雄浩、河原崎國太郎、若村麻由美、野村萬斎■東京公演日程:2023年3月6日(月)~3月19日(日)会場:世田谷パブリックシアター住所:東京都世田谷区太子堂4-1-1チケット料金:・一般:S席 9,500円、A席 5,500円・プレビュー一般:S席 8,500円、A席 4,500円※ほか高校生以下、U24など各種割引ありチケット取り扱い:世田谷パブリックシアターチケットセンター TEL 03-5432-1515(10:00~19:00)、世田谷パブリックシアターオンラインチケット※託児サービスあり※車椅子スペース取扱ありチケット一般発売:2023年1月22日(日)■ツアー公演・江戸川公演日程:2023年3月25日(土)17:00場所:江戸川区総合文化センター・大ホール住所:東京都江戸川区中央4-14-1・枚方公演日程:2023年3月29日(水)18:00場所:枚方市総合文化芸術センター・関西医大 大ホール住所:大阪府枚方市新町2-1-60
2023年01月16日2023年3月6日から19日にかけて東京・世田谷パブリックシアターで上演される『ハムレット』のビジュアルが公開された。本作の構成・演出を務めるのは、自身も翻訳劇デビューをハムレット役で果たした野村萬斎。タイトルロール・ハムレット役は、萬斎の長男であり弟子である狂言師・野村裕基。萬斎は、ハムレットを復讐へと導く亡き父王の亡霊と、その父王を暗殺するハムレットの敵である叔父王クローディアスの2役を演じる。また、恋人オフィーリアの兄・レアーティーズと廷臣ローゼンクランツには岡本圭人、オフィーリアは藤間爽子、ハムレットの腹心ホレイシオには釆澤靖起とフレッシュな面々が顔を揃え、萬斎とともに『子午線の祀り』(2017年 / 21年) を作り上げた若村麻由美、村田雄浩、河原崎國太郎と実力派俳優陣の出演が決定している。現代社会を「白か黒かの二進法的世界では割切れぬ灰色の現実の苦悶。まさにハムレットな状況がある」と語る萬斎。チケットは、1月22日(日) より一般発売が開始される。<公演情報>『ハムレット』『ハムレット』ビジュアル作:W.シェイクスピア翻訳:河合祥一郎構成・演出:野村萬斎【出演】野村裕基/岡本圭人/藤間爽子/釆澤靖起/松浦海之介/森永友基/月崎晴夫/神保良介/浦野真介/遠山悠介/村田雄浩/河原崎國太郎/若村麻由美/野村萬斎【スケジュール】2023年3月6日(月)~19日(日)会場:東京・世田谷パブリックシアター※3月14日(火) 昼公演終演後にポストトークあり※登壇予定者:野村萬斎(演出・出演)、野村裕基、岡本圭人、藤間爽子、若村麻由美※開催回のチケットをお持ちの方がご参加いただけます【チケット料金】■一般S席:9,500円A席:5,500円■プレビュー一般S席:8,500円A席:4,500円※ほか高校生以下、U24など各種割引あり一般発売:2023年1月22日(日)【チケット取扱い】世田谷パブリックシアターチケットセンターTEL:03-5432-1515(10:00~19:00)※託児サービスあり ※車椅子スペース取扱あり【ツアー公演】■江戸川公演2023年3月25日(土)会場:東京・江戸川区総合文化センター・大ホール■枚方公演2023年3月29日(水)会場:大阪・枚方市総合文化芸術センター・関西医大 大ホール
2023年01月13日2023年3月6日から19日に東京・世田谷パブリックシアターで上演される『ハムレット』の全キャストが発表された。本公演は、2002年から2022年まで世田谷パブリックシアターの芸術監督を務めた野村萬斎が演出と出演を担う作品。ハムレット役は息子の野村裕基が務めるほか、ハムレットを導く亡き父王の亡霊と、その父を暗殺しハムレットの母を娶る叔父王クローディアスの2役を野村萬斎が演じる。また、ハムレットと対峙するオフィーリアの兄・レアーティーズと、廷臣ローゼンクランツの二役で岡本圭人、ハムレットを慕うオフィーリア役で藤間爽子、ハムレットの友人にして腹心ホレイシオ役で釆澤靖起が出演。さらに野村萬斎演出『子午線の祀り』(2017年・2021年)に出演した若村麻由美、村田雄浩、河原崎國太郎も名を連ねている。『ハムレット』は世田谷パブリックシアターで上演後、3月25日に東京・江戸川区総合文化センター・大ホール、3月29日に大阪・枚方市総合文化芸術センター・関西医大 大ホールで上演される。併せてキャスト陣からコメントが到着した。■野村萬斎 コメントハムレットのタイトルロールを2回経験しての3度目の挑戦である。とは言え、この度は演出と、ハムレットを導き惑わす父王の幽霊、そして敵対する叔父王の役である。ハムレット経験者である私がこの二役を演じること、そして師弟関係にもあり常に共演者(ライバル)である息子・野村裕基と組むことに、演出の大きなキモがある。この戯曲では血縁が複雑に絡み、しかし家庭劇には収まらぬ国家存亡の危機が横たわる。私達親子にとっては日本の伝統的文化存亡の危機が重なって見える。一方現実社会では、隣国同士が戦争を始め、元首相が暗殺され、女王の死を目の当たりにした。そしてデジタル化が進む白か黒かの二進法的世界では割切れぬ灰色の現実の苦悶。まさにハムレットな状況がある。『子午線の祀り』以来の素晴らしい共演者、共同創作者に恵まれた。新たに参加してくれるメンバーも実にチャーミング。乞うご期待!■野村裕基 コメントハムレット役をさせていただきます、野村裕基です。今年2月にリーディング公演でハムレットをさせていただきましたが、この度いよいよ本格的なストレートプレイとして初めて舞台に上がる機会をいただきました。師匠でもある父の、ハムレット像を上手く自分に落とし込んで演じることを目標にしたいと思います。普段の古典芸能とは少し違う自分にも、是非ご期待頂きたいと思います。■岡本圭人 コメント子供の頃からシェイクスピア作品に触れ合ってきた自分にとって、シェイクスピアの言葉を紡ぐことは憧れでした。野村萬斎さん演出のもと、かつて自分が魅了されたハムレットの物語をお客様に感じていただけるように、そして舞台の上で役として生きられるように一生懸命稽古に励んでいきたいと思います。■藤間爽子 コメント私にとって初めてのシェイクスピア作品です。ハムレットという作品が放つ圧倒的な存在感に正直怖気付いておりますが、野村萬斎さんの織りなす世界観に思いっきり飛び込んでみたいと思っています。約400 年前に作られたこの作品を、現代の人々の心にどう届けるのか。幕が開くまで沢山悩み、真摯に向き合っていきたいです。また同じ古典芸能の世界で生きる野村裕基さんと共演できますことも、とても楽しみです。他にはないハムレットが誕生するような気がしています。■釆澤靖起 コメント「『ハムレット』を各自、用意しておくように」 そう言われ、「え、何その加工肉」と思ったのは演劇学校に入りたての頃であった。サラリーマンか役者か。まだ人生に悩んでいた僕は浮世を嘆くハムレットにシンパシーを覚えた。彼の美しき嘆息に不思議と心が救われたのである。(いつか、この作品と真正面から対峙したい。)あれから15年。今こうして改めて『ハムレット』に出会い直す機会に恵まれた事を心から光栄に思います。■河原崎國太郎 コメント南北さんや黙阿弥さんとは長いお付き合いをさせて頂いておりますが、ウィリアムさんとのお付き合いは今回が初めて。人生の節目となる年を迎えて新たな出会いと挑戦の出来る事は大変にありがたいことです。歌舞伎でのこれまでの経験がシェイクスピアの『ハムレット』にいかに活かすことができるのか、ワクワクとドキドキでいっぱいです。新たな可能性を求めながらシェイクスピアの世界を存分に楽しんで勤めたいと思います。■村田雄浩 コメント実は…40年以上役者やってて、シェイクスピアに関わるのは初めてなんです…避けていた訳ではないのですが、何故か縁がありませんでした、戯曲は読ませていただいていたので、倉庫から引っ張り出して読み返して見たら、とても新鮮!還暦過ぎて新たな挑戦が出来るというのは、幸せなことですね~それに萬斎さんが演出ですから、きっと見たことがないハムレットになるんだと思うので楽しみです…とは言え初めてのシェイクスピアですから、共演者のみなさんの胸を借りて初心にかえって勉強させていただきます。■若村麻由美 コメントデンマークの王権は王妃にある!と河合先生は仰った。先王亡き後、その弟と結婚した母ガートルードに対して"Frailty,thy name is woman."(脆き者汝の名は女)と息子が言うのはもっとも。母はなぜ息子に跡を継がせず結婚したのか?演出家萬斎さんとの闘いが始まる!『子午線の祀り』でご一緒させていただいたメンバーとの再会♡素直で新鮮なパワー溢れる裕基さん、圭人さん、爽子さん、釆澤さん、面白いに決まってる!<公演情報>ハムレット2023年3月6日(月)~19日(日) 東京・世田谷パブリックシアター作:W.シェイクスピア翻訳:河合祥一郎構成・演出:野村萬斎【出演】野村裕基/岡本圭人/藤間爽子/釆澤靖起 松浦海之介 森永友基 月崎晴夫神保良介 浦野真介 遠山悠介村田雄浩/河原崎國太郎/若村麻由美/野村萬斎【お問い合わせ】世田谷パブリックシアターチケットセンターTEL:03-5432-1515【ツアー公演】2023年3月25日(土) 東京・江戸川区総合文化センター・大ホール年3月29日(水) 大阪・枚方市総合文化芸術センター・関西医大 大ホール
2022年10月20日今年、『The Long Goodbye』でアカデミー短編映画賞を受賞したリズ・アーメッドとアニール・カリアが、現代版「ハムレット」で再びタッグを組むという。「Deadline」が報じた。『The Long Goodbye』では、2人は脚本を執筆し、リズは主演、カリアは監督も務めた。今回2人が挑むのは、シェークスピアの悲劇「ハムレット」。舞台は現代のロンドンで、リズはハムレットを演じる。監督はカリア、脚本はマイケル・レスリー(『マクベス』)。ほかのキャストには、オフィーリア役にモーフィッド・クラーク(『セイント・モード/狂信』)、レアティーズ役にジョー・アルウィン(『女王陛下のお気に入り』)が決定しているとのこと。リズとカリアは「私たちのハムレットは、裕福なイギリス系インド人の家庭のアウトサイダー」と語っており、「人種、メンタルヘルス、不平等を描く『ハムレット』で、物事を正すことは古い秩序に火を放つことなのかと問いかける」という。「多様なキャスト、現代のロンドンという舞台、それに私たちが長年取り組んできたジャンルのラップのエネルギーを古典に注ぎ込むことによって、より多くの人のためにこの不朽の物語を切り開いていきたい」と意気込んでいる。(Hiromi Kaku)
2022年05月12日G.Garage///『Oshiire Hamlet 押入ハムレット』が2022年5月18日 (水)に彩の国さいたま芸術劇場小ホール(埼玉県さいたま市)にて上演されます。チケットはカンフェティ(運営:ロングランプランニング株式会社、東京都新宿区、代表取締役:榑松 大剛)にて発売中です。カンフェティにてチケット発売中 公式Twitter 俳優×ピアニスト×能楽師上質な即興狂読シェイクスピア!俳優・河内大和(シェイクスピア楽師)がシェイクスピアの一作品の全役を狂い読み、"今"を更新し続ける革命のピアニスト・スガダイロー(音楽師)による全音楽の即興演奏、というスペシャル企画第四弾。今回の演目は、400年経ってもなお世界中で愛され続けているハムレット。翻訳は、今やほとんど上演されていない坪内逍遥訳でお届けいたします。今回はさらに、重要無形文化財能楽総合認定保持者である能楽師・津村禮次郎氏が特別出演!この三楽師の狂宴、いかなエクスプロージョンが巻き起こるのか乞うご期待!G.Garage///【ジーガレージスリースラッシュ】2013年、俳優の河内大和が主宰となって立ち上げたシェイクスピアユニット。その名前には、「身一つで宇宙を作り出し、重力さえも変容させようと意気込む表現者たちの重力倉庫」そんな大層な思いが込められています。英国の古典であるシェイクスピアを、その世界観をより深めて、日本人が日本語で上演することは、果たして可能なのか?シェイクスピアの詩のような言葉の海を、人間の言葉として普通に喋りながら悠々と泳ぎ渡るには、どうすればいいのか?シェイクスピアは超絶面白い、それを強烈に共有したい、そのためには一体どうすれば?全てはそこから始まりました。今を生きる私たち日本人の感覚で、発するときは慎しみを忘れずに、日本語によるシェイクスピアの世界を余白の美しさとともに立ち上げる。"斬新さというものは、王道の中にこそ存在する"それを信じて、劇場という特別な空間で、今日もはちきれんばかりの命の光を発しながら、私たちのシェイクスピアに挑みます。公演概要『Oshiire Hamlet 押入ハムレット』公演日時:2022年5月18日 (水)18:30開場/19:00開演(※上演時間:約90分)会場:彩の国さいたま芸術劇場小ホール(埼玉県さいたま市中央区上峰3-15-1)原作:ウィリアム・シェイクスピア翻訳:坪内逍遥■出演者出演:河内大和音楽・演奏:スガダイロー(piano)特別出演:津村禮次郎(能楽師)■スタッフ演出・出演:河内大和照明:鷲崎淳一郎(ライティングユニオン)音響:岡田悠(One−Space)美術:河内大和舞台監督:株式会社ステージワークURAK宣伝美術:魚住和伸宣伝写真:BUN能面協力:観世流緑泉会制作:吉田千尋(LUCKUP)企画・製作:G.Garage///後援:カンフェティ■チケット料金一般:4,000円U-25(25歳以下):2,500円高校生以下:1,000円(全席指定・税込)※U-25・高校生以下はLUCKUPのみの受付・枚数限定・入場時身分証提示※未就学児童の入場はご遠慮いただいております。 詳細はこちら プレスリリース提供元:NEWSCAST
2022年05月12日五十田安希ひとり芝居『語りかけるハムレット』が2022年2月22日 (火) ~2022年2月23日 (水・祝)に東京芸術劇場 シアターウエスト(東京都豊島区)にて上演されます。チケットはカンフェティ(運営:ロングランプランニング株式会社、東京都新宿区、代表取締役:榑松 大剛)にて発売中です。カンフェティにてチケット発売中 公式ホームページ 2022年2月の五十田安希ひとり芝居は『語りかけるハムレット』『華のロザリンド』の中断から『語りかけるハムレット』への経緯2021 年 1 月に予定していた『華のロザリンド』公演は新型コロナ感染拡大により、実施わずか 1 カ月前に中断しました。半年前に台本が上がり、演出プラン・大道具・照明・音楽・衣裳・かつら・印刷物が完成しチケット販売・通し稽古にまで進んだものをあきらめるのは断腸の思いでしたが、振り返ってみれば適切な判断であったと考えています。その節は大変ご迷惑ご心配をおかけしました。丸 1 年間の空白は辛いものでした。五十田安希の年齢を考えると残された上演機会は限られます。「次のひとり芝居は今のかたちで上演できる最後になるかもしれない」そう思った時、第一番目に『語りかけるハムレット』の再演を果たしたいと考えました。五十田安希と三島由紀夫著「ハムレット」との再会イングランド中部に位置するバーミンガムは産業革命時代はロンドンを凌ぐ英国一の豊かな都市でした。その富を結集し設立されたバーミンガム市立図書館(Birmingham City Library)に世界一の蔵書コレクションを誇るシェイクスピア図書館があります。30年以上前にこの図書館から五十田安希にレターが届きました。その前年に五十田安希が行った英国公演の上演写真を収蔵したいとの要請でした。舞台写真を送ったところ「展示を見に来ないか」とお招きを戴きました。渡英して図書館を訪ねると五十田の写真はロイヤルシェイクスピアシアターの舞台写真と隣り合わせの展示で嬉しく拝見しました。しかしそれ以上に感激したのが通常は見られない貴重なシェイクスピア関係蔵書の何百年分もの書庫を見学させて頂けたことでした。初版本や大型本、装丁も挿絵も素晴らしいものばかりでした。その書架にカタカナで「ハムレット」の活字が目にとまりました。手に取って見ると「三島由紀夫著」とあり驚きました。以来ずっと気にかかっていた三島由紀夫の「ハムレット」でしたが、ある時三島由紀夫文学館からご連絡を戴いた際に問い合わせたところ所蔵していることが解り再会が叶いました。『語りかけるハムレット』の舞台三島由紀夫の「ハムレット」はシェイクスピアの原作に登場人物の心の動きや場面の情景が加えられ補われています。五十田安希の『語りかけるハムレット』はこれらの心理や情景を落ち着いた語りによって進行し、他方でハムレットやオフィーリアの登場人物をダイナミックなひとり芝居の演技で表現する。加えてスクリーンに英国の城郭で撮影した画像を映し、オリジナル作曲の音楽を駆使して悲劇の舞台としての「ハムレット世界」を現出します。聞いて心地よく見て楽しくそしてわかりやすい『語りかけるハムレット』でシェイクスピアのロマンを感じて戴きたいと願っています。ひとり芝居として演じ、語る。五十田安希の舞台にご後援・ご協賛をお願いいたします。五十田安希プロフィールシェイクスピア作品から独自の発案によるひとり芝居『マクベス夫人』を生み出し1971年に上演を開始した、わが国ひとり芝居の先駆者。ひとり芝居上演を続ける一方、五十田安希朗読研究所を主宰して個性を生かす朗読表現の指導を行っている。著書:「朗読誕生」~美しく歌うように~【経歴一部抜粋】1991年ロンドンのシェイクスピアグローブトラストからシェイクスピア・イン・ジャパンアワード受賞1996年7月ロンドンのグローブ座復元舞台開きで『マクベス夫人』『オフィーリア幻想』を上演2010年7月女優として初の外務大臣表彰を受賞2016年7月シェイクスピア没後400年記念事業でグローブ座にオープンした室内劇場Sam Wanamaker Playhouseで『オフィーリア幻想』を上演2020年1月ひとり芝居50年を迎えて第1回の上演作品であった『マクベス夫人の幻想と現実との交叉』を東京芸術劇場で上演した。公式ホームページプロフィール: 公演概要五十田安希ひとり芝居『語りかけるハムレット』公演期間:2022年2月22日 (火) ~2022年2月23日 (水・祝)会場:東京芸術劇場 シアターウエスト(東京都豊島区西池袋1丁目8番1号)■出演者五十田安希■スタッフ原作 :W.シェイクスピア翻案・脚本 :三島由紀夫(あかね書房刊「ハムレット」による)台本・演出 :吾妻 正美術 :中嶋 正留装置 :明治座舞台㈱照明 :桜井 真澄(東京舞台照明)音楽 :川上 慎一効果 :山北 史郎 山口 ゆり(T.E.S.)衣裳 :本宮 悦子 野沢由里子 坪木 哲子かつら :細野 一郎(細野かつら店)舞台監督 :樋口 友治制作 :五十田安希事務所協力 :三島由紀夫文学館■公演スケジュール02月22日(火) 14:00 / 19:0002月23日(水・祝) 13:30■チケット料金全席指定:5,500円→ カンフェティ席3, 300円!(税込) 詳細はこちら プレスリリース提供元:NEWSCAST
2022年01月13日アイドルグループ・A.B.C-Zの戸塚祥太が、舞台『フォーティンブラス』の主演を務めることが20日、明らかになった。内博貴が共演する。横内謙介が1990年に書き下ろした同作は、劇団善人会議(現:扉座)で初演された後、多くの俳優たちによって幾度となく演じ継がれてきた。「フォーティンブラス」とはシェークスピアの代表作『ハムレット』の中に登場するノルウェーの王子の名前で、長いハムレットの物語の中で2回だけ登場するこの「脇役」にスポットライトを当てた物語となる。『ハムレット』の物語の中では、フォーティンブラスの父親がハムレットの国デンマークに戦争で負けて、その復讐のために攻め行ってみたところ、既にハムレットの王家は滅んでしまっており復讐する相手は死んでいた、という結末。戸塚演じる売れない役者・羽沢武年は、フォーティンブラス役を演じている劇場で、自らを「フォーティンブラスの父」だと名乗る亡霊に出会うこととなる。人は生きていく上で、時には主役になることはあっても、ほとんどの場面は脇役を演じ続けざるを得ない。ましてや俳優は、ほとんど主役になれることなどは無く、ただ主役を夢見ながら生き続けているしかない。その悲哀を、フォーティンブラスを演じる脇役俳優の楽屋や劇場で生活する人々の感情を通して描いた作品となる。今回、同作を『半神』『サクラパパオー』『露出狂』『奇子』『黒子のバスケ』『文豪ストレイドッグス』シリーズなど話題作の演出を数々手掛けてきた中屋敷法仁が演出。主人公・フォーティンブラスを戸塚、そして対立するハムレットを内が演じる。公演はシアターコクーンにて8月19日~29日。○中屋敷法仁 コメント以前より、戸塚祥太さんの俳優力、そして人間力に強い興味をひかれていました。彼の舞台人としての本性を暴き出す作品として『フォーティンブラス』は最も相応しいと感じました。夢と現実、希望と絶望の狭間で揺れ動く人間の姿をのびのびと、生々しく演じて欲しいです。さらに今作では、戸塚さんと深い繋がりのある内博貴さんが好敵手として登場します。お二人の熱い共演は 緊張感あふれるものとなるでしょう。戸塚さん、内さんの肉体から作りあげる『フォーティンブラス』の劇世界。衝撃的な観劇体験をお約束します。○戸塚祥太 コメント旧知の仲である内博貴とタッグが組める事は、心くすぐられる楽しみの中に、成功させたいというプレッシャーも感じておりますが、そこも含めて新鮮な気持ちで表現していきたいと思います。このような時期に新たな舞台に立てる事、新しい世界に飛び込めるチャンスを頂けた事に感謝をしています。また、安心安全に稽古を重ね、皆様にも安心して楽しんで頂けるように自分自身の役を全うしていきたいです。ぜひ、楽しみにしていて下さい。○内博貴 コメント今回、この舞台のお話をいただいて先ず、戸塚と同じ作品に出演できる事を嬉しく思いました。彼とは同い年であり昔からお互いを知っている仲間でもあります。ジャニーズ舞台では同じステージに立った事がありますが、外部の舞台では初めてなのでとても 楽しみにしています。きっとお互いのファンの方にも喜んでもらえると信じています。まだまだコロナ禍の最中ですが、その中でも皆さんに楽しんで頂けたらなと思っています。我々も 感染対策をしっかり行い挑めるよう努めます。劇場でお会いしましょう。
2021年06月20日岡宮来夢さんのミュージカルデビューは、一昨年のミュージカル『刀剣乱舞』~葵咲本紀~。舞台2作目でありながら、観客の視線を一身に集めパフォーマンスする時の堂々たる姿と目を惹きつける華、そして低音でまっすぐクリアに伸びる歌声に驚かされた。伸びやかな歌声と存在感で、この夏ついに帝国劇場に進出。「もともと上京前から、歌は歌うのも聴くのも、ライブ映像を観るのも好きでした。ただ、そこを武器にしていきたいと思うようになったのは、ミュージカル『刀剣乱舞』(以下、刀ミュ)に出演し始めてから。いろんな方から歌を褒めていただくことが多くて、ミュージカルはお芝居だけでなく歌も歌えていいなと思うようになりました」『葵咲本紀』の初日、カーテンコールで目の前の観客から拍手や歓声を受けて、「全身がビリビリするのを感じた」というほどの大きな感動を得た。「僕が参加した時はすでに刀ミュが人気シリーズだったこともあって、稽古から熱のこもった厳しい指導をいただいていました。そのなかで周りは先輩がたばかりで、僕としては初日でお客さんからどんな反応をもらえるか、自分が認めてもらえるかが不安でドキドキでした。でも、公演が終わった時の拍手で、ここまでやってきたことが無駄じゃなかったんだって」昨年にはシェイクスピアの『ハムレット』をミュージカル化し、5人の男性キャストのみで全役を演じる『5 Guys Shakespeare Act1:[HAMLET]』に主演。颯爽とした舞台姿と安定した歌声、復讐に狂っていくハムレットの、疾走していく一途な熱情を見事に表現した。「歌の数がすごく多いうえ、叫ぶし怒鳴るし、喉が大変で、正直、精神的にも体力的にも苦しかったです。あの作品はシェイクスピアのセリフを歌にしているので、普通に歌ってしまうと役が抜けてしまう。音楽にのせながら、どう感情を出していくかめちゃくちゃ考えたのを覚えています」そう言ってから、「いまやったら、もっと違う表現ができるのかなと思うんですけれど」と続けた。というのは、今年出演したミュージカル『きみはいい人、チャーリー・ブラウン』で、歌での表現を追求してきた先輩たちと共演したことと無縁ではないよう。「歌で何かを伝えるって、すごく繊細で難しくて、本当に奥が深いんだって、中川晃教さんや花村想太くんとご一緒して、あらためて実感したんですよね。これは想太くんが教えてくれたんですが、優しいフレーズを歌う時には、あったかい息を吐くために、息を吸うスピードを変えるといいって。そんなこと考えたことがなかったけれど、それで生まれる表現があると知って、すごいなと。アッキー(中川)さんの歌を舞台袖で聴いていると、歌っているんだけれど、まるでしゃべっているようで、ミュージカルって突然歌いだすわけじゃなくて、感情が昂って言葉がメロディにのるんだということが自然に感じられる。歌の世界で生きている方から直接教われる機会があって、本当に僕は恵まれているなと思います」世界的に有名な漫画『PEANUTS』をミュージカル化したこの作品で、岡宮さんが演じたのは、秀才だけど毛布が手放せないライナス。「稚拙な面と哲学的な面の両方があって、そのアンバランスさが面白いキャラクターですよね。有名なキャラクターだけに、ファンの方からしたらライナスはそうじゃないと言われるかもしれないけれど、それでも僕のライナスはこうですって提示できるのは楽しいし、やりがいを感じます。何より、23 歳の僕が6歳とかの子供を演じられるんだから、舞台って面白いなと。ただ、最近役作りで内股でペタペタ歩いていたら、私生活でもそれが出てきちゃって恥ずかしいんですけど(笑)」この先に控えるのは、ミュージカル『王家の紋章』。この作品で日本ミュージカルの殿堂・帝国劇場に初進出。オファーがあった時、「わぁ~マジかぁ~って思いました」と茶目っ気たっぷりに素直な想いを語ってくれた。「いつか立ちたいとは思っていたし、ファンの方がたの前でも口にしてきた目標でしたが、こんなに早く実現するとはです。ルカは、前山剛久さんとWキャストになりますが、演じる人によって同じ役でも個体差が出るのが演劇の面白さでもありますよね。ハムレットを演じた時、あるべき形というものはなくて、いろんな形があっていいんだって感じて…。だから自分なりのルカをお見せできたらと思っています」この世界に足を踏み入れた時に願っていたのは、「僕を観て幸せになってくれる人がいたらいいな」という想い。その根本はいまも変わらない。「地元にいた時は、ミュージカルって観たことがなかったし、あまり身近に感じたことはなかったんです。でも観ると、経験したことのないような非日常が広がっていて、人に優しくしようとか、こんなふうに生きようとか、自分の中に何かしら残るものがあるんですよね。歌もお芝居も上手な方がたが素敵な世界を届けてくれるので、ぜひそれを体験してほしいですね」おかみや・くるむ1998年4月23日生まれ、長野県出身。ミュージカル『刀剣乱舞』の鶴丸国永役で注目を集める。6月に開幕予定の舞台『「BANANA FISH」The Stage -前編-』に出演。ヒッタイト王国のスパイ・ルカを演じるミュージカル『王家の紋章』は8月5日より帝国劇場で上演予定。公式YouTube・岡宮来夢も好評。Tシャツ¥27,500ベスト¥53,900(共にSISE TEL:03・6277・2147)シャツ¥44,000(ANEI TEL:03・6908・0620)パンツ¥30,800(CULLNI/Sian PR TEL:03・6662・5525)シューズ¥42,900(NEEDLES/ネペンテス TEL:03・3400・7227)※『anan』2021年6月2日号より。写真・来家祐介(aosora)スタイリスト・ホカリキュウヘア&メイク・瀬戸口清香(S-SIZE)取材、文・望月リサ(by anan編集部)
2021年05月31日岡田将生と「銀杏BOYZ」峯田和伸が共演する舞台「物語なき、この世界。」の全キャストが決定、ビジュアル写真とコメントが到着した。『娼年』『何者』『愛の渦』など映画監督としてのキャリアも積み上げてきた三浦大輔による3年ぶりの書き下ろし作で、Bunkamuraシアターコクーンにて上演するCOCOON PRODUCTION 2021の作品となる本作。売れない俳優・菅原裕一役に、舞台「ハムレット」でのタイトルロールの熱演が記憶に新しく、TVドラマ「大豆田とわ子と三人の元夫」にも出演中の岡田将生。売れないミュージシャン・今井伸二役に、NHK大河ドラマ「いだてん~東京オリムピック噺~」ほか、三浦さんとの親交も深い峯田和伸がシアターコクーンに初登場。今井の後輩役に悲運のヒロインをコミカルに演じた舞台「泣くロミオと怒るジュリエット」や、TVドラマ「バイプレイヤーズ~名脇役の森の100日間~」など演技に定評のある柄本時生。菅原の恋人役に、舞台「星の数ほど星に願いを」やTVドラマ「来世ではちゃんとします2」で主演を務める内田理央。菅原と今井に降り掛かる“事件”のキーパーソンとなる橋本浩二役には、映画『宮本から君へ』、NHK連続テレビ小説「おちょやん」にも出演した星田英利が決定。そして物語の核を担う歌舞伎町のスナックのママ・橋本智子役を、三浦作品には舞台「禁断の裸体」や映画『裏切りの街』にも出演してきた寺島しのぶ。さらに、舞台のみならずドラマ・映画と様々な映像作品に出演、近年では、映画『凪待ち』での哀切な演技が印象深く、自身でイベントの企画・演出のほか、執筆業などマルチに活躍する個性派俳優宮崎吐夢。三浦さん主宰の「劇団ポツドール」に参加以降、看板俳優として劇団の全作品に出演し、三浦さんからの信頼も厚く、行定勲による映画『いっちょんすかん』では主演を務めた米村亮太朗と個性豊かな俳優陣が集結した。到着したビジュアルでは、歌舞伎町の一夜で邂逅する、8人の空虚な眼差しが印象的なものとなっている。キャストコメント岡田将生僕が今回演じる「売れない役者・菅原裕一」は、中身が空洞のような、虚無感を感じさせる男です。この物語、この世界に自分は果たして存在しているのか、自分はなぜここにいて、一体何をしているのか……お客様もそういったことを、一緒に深く考えてしまうような芝居になる気がしています。不安なことも多い世の中ですが、舞台に立てる幸せをしっかり噛み締め、皆様が舞台の世界にどっぷり浸かっていただけるような作品に仕上げたいと思っています。峯田和伸三浦さんとはこれまで3本の作品でご一緒しています。ずいぶん前から「また舞台に出てよ」と言われてましたし、またその機会が来るんだろう、という覚悟はしてました。『裏切りの街』と「母に欲す」の現場では、一つの舞台が段々と立ち上がっていくさまがとにかく新鮮でした。あの体験にすごく刺激を受けましたし、特別な感動があったんです。自分の中には、「この人の作るものは絶対に面白い」という確信めいたものがあるクリエイターです。柄本時生三浦さんとは、映画『愛の渦』以来。現場では三浦さん自身が、自分の皮をどんどんめくるように演出されていた印象があります。そうして身を削るように出来上がる三浦作品は、実はすごく優しいような気がしています。今回の戯曲を最初に読んだ感想は「本当に『物語なき、この世界。』だな、偽りないな~!」(笑)。役者としては、余計なことをしたら意味がない、何もしなくても意味がない……と、難易度の高いことが求められる予感がしています。内田理央『愛の渦』は映画館で拝見し、人間の内面をえぐるような、ぐさっと刺さるような印象が残っています。最初にお話をいただいたときは、嬉しい気持ち半分、怖い気持ち半分というのが正直なところでした。稽古開始前からすでに「セリフが出てこない」みたいな悪夢も見てますが(笑)、「この山を登るぞ!」と覚悟を決めました。去年、デビュー10周年を迎え、今年は30歳という節目、成長するという強い思いで精いっぱい演じたいと思っております。宮崎吐夢一番初めに三浦さんの作品に出演したのは2002年、下北沢・駅前劇場での「男の夢」でした。次がその3年後、「S高原から」(作:平田オリザ)を三浦さんが演出した時ですから、一緒にお仕事するのは16年ぶり。クリエイションを重ねるごとに角度を変えて挑戦する逞しさは螺旋階段を上がるようで、ますますスケールアップしています。作品に参加する役者として、そして一人の観客としても、三浦演劇の最新形を楽しみにしています。米村亮太朗三浦さんの舞台には初期作品から参加していますが、最大の魅力の一つは着眼点のオリジナリティにあると思います。今回の舞台の主役は、人間が欲望をむき出しにできる歌舞伎町という街そのものじゃないかな?と感じました。誰も見たことのないようなアングルから、あの街を捉えてくれるんじゃないかと期待しています。厳しい状況が続いていますが、こんな時だからこそ突き刺さるような作品になる予感がしてなりません。星田英利三浦さんとご一緒するのは初めてです。この本には「人生って輝かしいものだ」なんてウソくさいことが一切、書かれていないと思います。舞台は刹那なもので、その瞬間、瞬間で毎回変化しますし、「もう一回」がない。人生と一緒でやり直しがきかないところが好きです。そして、お客様が舞台の為に時間を作って来て下さっているわけで、ウソのつけない真剣勝負です。お客様と演者のせめぎ合いの連続。楽しみにしています。寺島しのぶ三浦さんとお仕事させていただくのはこれで3回目になります。彼の世界観、思考、音のセンス……私が好きなところをグッと突いてくるクリエイターであり、求めることは過酷でも不思議と演じていて爽快感があって、台本も「うん、これ言いたい。わかる」という台詞がたくさん散りばめられているんです。三浦さんの世界を炸裂できるような素敵な顔ぶれが集まりましたし、「これなら心中できる」という覚悟ができる座組みだと思っています。COCOON PRODUCTION 2021「物語なき、この世界。」は【東京公演】7月11日(日)~8月3日(火)Bunkamura シアターコクーンにて、【京都公演】8月7日(土)~8月11日(水)京都劇場にて上演。(text:cinemacafe.net)
2021年05月25日吉田秋生によるコミック『BANANA FISH』が舞台化され、水江建太と岡宮来夢がW主演を務めることが19日、明らかになった。同作は『海街 diary』『YASHA―夜叉―』(小学館)など、数々の名作で知られる漫画家・吉田秋生の最高傑作の1つで、2018年には初のアニメ化が大きな話題となった。1985年の連載開始から30年以上を経た現在も多くのファンに愛され続け、累計発行部数は1,200万を超える。1980年代のニューヨーク・ダウンタウンを舞台に謎のキーワード「バナナフィッシュ」を巡り、複雑に交錯する様々な欲望、その中に生まれる人間ドラマをハードに描いた。類稀な容姿と抜群の運動神経、並外れて優れた頭脳を持ち、圧倒的なカリスマでストリートキッズたちのボスに君臨する本作の主人公、アッシュ・リンクスを演じるのは、MANKAI STAGE『A3!』シリーズ 摂津万里役や、『ヒプノシスマイク-Division Rap Battle-』Rule the Stage 入間銃兎役などで注目を浴び、華やかさの中に繊細な表現を見せる演技が高い評価を受けている、水江建太。カメラマン助手として取材に訪れたダウンタウンでアッシュと出逢い、後にアッシュの「弱点」とも言われるほどに、お互いを唯一無二の代えがたい存在として信頼し合うことになる日本人大学生、奥村英二を演じるのは、ミュージカル『刀剣乱舞』シリーズ 鶴丸国永役、5 Guys Shakespeare Act1 :[HAMLET] ハムレット役などが好評を博し、愛らしく無垢な表情と骨太で大胆な演技とのコントラストが魅力的な、岡宮来夢。演出はMANKAI STAGE『A3!』シリーズ、舞台「魍魎の匣」、舞台「クジラの子らは砂上に歌う」など、人間の内面に渦巻く感情を細やかに描く演出で絶大な人気を誇る松崎史也が務め、脚本は軽快なコメディから凄惨な悲劇まで、幅広いジャンルの作品で脚本を担当し、舞台「鉄コン筋クリート」、舞台「魍魎の匣」など、有名原作の舞台化脚本でも圧倒的な支持を得る畑雅文が手掛ける。水江と岡宮のW主演により前後編2部作の壮大なスケールで描き、前編は6月に上演される。27日発売の『月刊 flowers』5月号では、チケット最速先行の情報が掲載されるほか、水江と岡宮のスペシャルグラビアと対談インタビューも掲載される。(C)吉田秋生・小学館/「BANANA FISH」The Stage 製作委員会
2021年03月19日イーサン・ホークが知られざる孤高の天才ニコラ・テスラを演じる『テスラ エジソンが恐れた天才』が、3月26日(金)より公開。この度、100年前の人物ながら“PCで検索する”シーンや、イーサンの怪演ぶりをとらえた場面写真が解禁された。■100年以上前なのに、PCで検索する演出!?劇中では、物語の解説として、テスラに好意とシンパシーを抱くJ・P・モルガンの娘アン(イヴ・ヒューソン)がPCで時代背景を検索して紹介するシーンが出てくる。これは、テスラの考えの中ではすでにPCや携帯電話が予見されていたと想像し、劇中に登場させたもの。また書き割りを多用することによって、才能がありながらも浮世離れしたテスラの浮遊するような心象風景を演出。偉人の半生を追うだけではなく、かつて観たことがない作品に仕上がっている。■イーサン・ホークの狂演、監督と3度目のタッグ!イーサン演じるニコラ・テスラは、人とのコミュニケーションがあまり得意ではなく、才能はあるが上手く世渡りができず、破滅していく。そんな彼の焦燥感溢れる場面写真が解禁。イーサンの卓越した演技が、『ハムレット』『アナーキー』に続く3度目のタッグで全幅の信頼をおくマイケル・アルメレイダ監督により最大限に引き出されている。■海外の不思議なマーケティングにも注目!海外のマーケティングもユニークなものだった本作。デザイナー、ダナ・キャランのN.Y.の自宅でプレミアスクリーニングを開催し、出演のカイル・マクラクランほか、ヒュー・ジャックマン夫妻も参加し話題になった。また、海外のポスターでは、コンセントのアイコンをもじったユニークなポスターを制作し、「IndieWire」が選ぶ2020年ベスト25の作品の1つにも選ばれている。■知られざる、ニコラ・テスラの半生にコメント続々茂木健一郎(脳科学者)世紀の天才の人生を、きらめく独創的で描く孤高のドラマ。テスラが映画を撮ったら、こんな作品になったろう。荒俣宏(作家)アメリカン・ユーモア風にいえば、電子時代に生きる現代人じゃないと理解してやれない「100年早すぎた天才」の葛藤ドラマだ。ラジオがまだ生まれたての時に、すでにインターネットを構想していたようなトンデモない男を描くなら、同時代にはありえなかった20世紀音楽や超常的な脚本が必要だったに決まっている。これでテスラの肉声が聞こえたよ!『テスラ エジソンが恐れた天才』は3月26日(金)よりヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国にて順次公開。(text:cinemacafe.net)■関連作品:テスラ エジソンが恐れた天才 2021年3月26日よりヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国にて公開© Nikola Productions, Inc. 2020
2021年03月18日主演・岡田将生、峯田和伸ら共演で、『娼年』『何者』『愛の渦』などの映画監督や劇作家・演出家として知られる三浦大輔が3年ぶりに書き下ろした舞台「物語なき、この世界。」が、Bunkamuraシアターコクーンにて上演されることになった。作・演出を手掛けるのは、スキャンダラスな題材と、リアルな感情を追求した演出で、観る者の感情を揺さぶる三浦大輔。シアターコクーンには2015年ブラジル演劇の巨匠ネルソン・ロドリゲス「禁断の裸体」の演出で初登場。2018年のオリジナル戯曲「そして僕は途方に暮れる」では、現実に向き合わないダメ人間の逃亡劇を描いた。エロスや暴力シーンを封印し、精緻な台詞と構成で微妙な人間関係を巧みに演出、新境地を切り開いた。本作では“新宿歌舞伎町”を舞台に、映画監督としてのキャリアも積み上げた三浦さんによる、3年ぶりの書き下ろし作を満を持して上演する。出演は、30歳を過ぎても売れない俳優で、同棲している彼女の稼ぎでヒモ生活をおくる菅原裕一役に、2019年Bunkamuraシアターコクーンで上演された「ハムレット」でタイトルロールを熱演し好評を博し、三浦監督の映画『何者』にも出演した岡田将生。売れないミュージシャンで、菅原の高校の同級生、今井伸二役には、大河ドラマ「いだてん~東京オリムピック噺~」ほか、三浦監督の映画『ボーイズ・オン・ザ・ラン』に出演し、テレビ、映画と俳優として活躍の場を広げているロックバンド「銀杏BOYZ」の峯田和伸。今井のバイト先の後輩でフリーターの田村修役には、舞台「泣くロミオと怒るジュリエット」で、コミカルながらも哀切なジュリエットを見事に演じた実力派俳優柄本時生。菅原の彼女でOLの鈴木里美役には舞台「星の数ほど星に願いを」やドラマでも主演を務め、女優・モデル・バラエティなどジャンルにとらわれず多方面で活躍する内田理央。歌舞伎町のスナックのママ、橋本智子役には舞台「禁断の裸体」、映画『裏切りの街』と多くのタッグを組み、三浦さんが絶大な信頼を寄せる寺島しのぶ。第60回ベルリン国際映画祭では銀熊賞を獲得し、国際的な評価も高い寺島さんが、劇世界に奥行きを与える。作・演出三浦大輔「キレイごとやメッセージなしで、この世界の矛盾を暴く」新宿・歌舞伎町のゴジラロードを通り過ぎ、映画館に向かう人波。“物語なんてない”猥雑な街並みと、“物語を求める人間”が一緒くたになった歪な風景を見たとき、ここを舞台にしようと決めた。自分自身、舞台や映画をつくりながら「なぜ、こんな都合がいい出来事ばかりを並べているんだ?」と違和感を感じることがある。歌、小説、絵画といった芸術、あるいはニュース番組……「人生は物語だ」という言葉も都合のいい理屈、所詮は自分の人生をドラマチックに彩りたがる人間のエゴで、むしろドキュメンタリー番組だったら使われない部分、人生の残りカスが本質かもしれない。「人間、所詮そんなものだ」という諦念を描くのではなく、『世の中』というもの自体の“あら”や“だらしなさ”のみを抽出し、そこに執着し、キレイごとやメッセージなしで、この世界の矛盾を暴く――そんなことを試みたい。主演 岡田将生「尊敬してやまない峯田さんとお芝居できる」皆様の前に立てる事、喜びを感じております。舞台は何度かやらせてもらってますが、毎回いろいろな発見があります。今回はどんな発見があり、どうこの作品に向き合っていくか、すごく楽しみです。三浦さんは以前、『何者』という映画でご一緒させて頂き、そして中学の時から尊敬してやまない峯田さんとお芝居できる事、飛び跳ねました。こんな日がくるとは…いつもより数段テンションが高いです。そして今までと違う自分を見せられる気がします。こんな待ち遠しい仕事はありません。エンタメは不可欠だと思います。この作品を沢山の方に観て頂きたいです。峯田和伸「三浦さん作品に出るには裸になるしか」三浦さんの舞台に出演するのは今回で二度目になります。あれ(「母に欲す」)が僕の人生初舞台でした。あの濃密だった二ヶ月間の暗闇から、もう七年がたちます。ですがまだ僕は追いかけられています。三浦さん作品に出るには裸になるしかありません。顔にモザイクをかけるしかないようです。共演者、スタッフの皆さんと一緒にすごい舞台にしたいです。今はこの一心です。柄本時生「まだ想像が付きません」色々と難しい環境の中、コクーンの舞台にまた立たせて頂けるという・・・本当にありがたいと思ってます。どんな作品になるかはまだ想像が付きません。笑楽しんでいただけるよう一生懸命頑張ります。内田理央「三浦さんの舞台のオーディションを受けたことが」実は私がお芝居に出会う前に、一度三浦さんの舞台のオーディションを受けたことがあります。ご縁はありませんでしたが、その時オーディションでありながらお芝居ってこんなに心がドキドキするものなんだ!と衝撃を受けたことを今でも覚えています。今回は皆さんと一緒にコクーンの舞台に立たせて頂くことがとても嬉しいです。精一杯頑張ります。寺島しのぶ「三浦さんの代弁者でもある役」「禁断の裸体」「裏切りの街」に続いて、また三浦さんとお仕事できることを大変嬉しく思います。三浦さんの代弁者でもある役だと思うので、しっかりと舞台に存在したいと思います。人生をドラマチックに生きたいと思ってる方、必見です。COCOON PRODUCTION 2021「物語なき、この世界。」は東京公演 7月11日(日)~8月3日(火)Bunkamura シアターコクーン、京都公演 8月、京都劇場にて上演。(text:cinemacafe.net)
2021年03月08日ドラマや映画で素敵なカップルを演じた2人が現実でもカップルに……。ファンにはたまらない出来事が続いているけど、2人の未来はどうなるの?過去に学ぼうーー!「作品内で恋愛関係にある役柄を演じた“劇中カップル”が実際に交際に至ったという報道が、昨年相次ぎました。3度目の共演となる映画『糸』(’20年)の撮影中に交際がスタートしたといわれる、菅田将暉さん(27)と小松菜奈さん(24)、日本でも大人気となった韓流ドラマ『愛の不時着』(’19年)のヒョンビンさん(38)とソン・イェジンさん(39)です」“劇中カップル”の熱愛報道に注目するのは、All About 恋愛ガイドの石田陽子さんだ。たしかに恋愛感情を抱く役柄を演じた俳優同士が引かれ合い、結婚に至ったケースは多い。「撮影中はもちろん、PRの場でも顔を合わせ機会が増えます。一緒にいる時間が長くなるほど、異性として意識する確率が高くなることを心理学用語で『単純接触効果』といいます」相性のよさが周囲にも伝わり、「付き合っているの?」と聞かれたりすることで、お互いが意識し始めることも多いという。「『愛の不時着』カップルも、’18年の映画『ザ・ネゴシエーション』で初共演し、その後すぐに熱愛説が浮上しました。海外のスーパーマーケットで買い物をしている2人の写真が投稿されたり、メイキング映像などを見たファンのあいだでは“現実でも恋人関係であるに違いない”と噂になっていました。そうしたファンの盛り上がりに、後押しされたのかもしれません」一方、“劇中カップル”になったことをきっかけに結婚したものの、うまくいかなかったケースも。【こんなにいた!主な“劇中カップル”婚】※劇中で恋人や夫婦などの恋愛関係を演じたのち、実際に結婚に至った2000年以降の主な芸能人カップル■松嶋菜々子(47)×反町隆史(47)/’01年結婚交際のきっかけになった作品:ドラマ『GTO』(’98年・フジテレビ系)超人気マンガのドラマ化。2人は同僚の教師。連ドラ版の最終回で結ばれたような描写があったが、後日放送されたスペシャル版ではっきりと交際に至っていた。■内田有紀(45)×吉岡秀隆(50)/’02年結婚、’05年離婚交際のきっかけになった作品:ドラマ『北の国から 2002遺言』(’02年・フジテレビ系)吉岡演じる純と恋におちる人妻を内田が演じた。劇中では夫との離婚が成立し、無事結婚に至り、シリーズは大団円を迎えた。だが現実の結婚生活は3年で終わった。■篠原涼子(47)×市村正親(72)/’05年結婚交際のきっかけになった作品:舞台『ハムレット』(’01年)シェイクスピアの悲劇を故・蜷川幸雄さんが監督。市川がハムレットを、篠原がオフィーリアを演じた。劇中では死に別れる2人だが、共演後の’03年に市村が前妻と離婚し、結婚に至った。■矢田亜希子(42)×押尾学(42)/’06年結婚、’09年離婚交際のきっかけになった作品:ドラマ『夢で逢いましょう』(’05年・TBS系)矢田が演じる歯科衛生士の女性を主人公にしたラブコメディ。3人の男性の間で心が揺れ動くが、最終的に結ばれたのは押尾が演じる自分が勤務する歯科医院の院長だった。■藤原紀香(49)×陣内智則(46)/’07年結婚、’09年離婚交際のきっかけになった作品:ドラマ『59番目のプロポーズ』(’06年・日本テレビ系)Mixi上のブログ記事を元にしたラブストーリー。2時間ドラマとして放送。紀香演じるキャリアウーマンが“59番目”に付き合った男と結ばれるという話だった。■香椎由宇(33)×オダギリジョー(44)/’08年結婚交際のきっかけになった作品:映画『パビリオン山椒魚』(’06年)150歳になるというオオサンショウウオが本物かどうかの鑑定の依頼を受けるレントゲン技師をオダギリが演じた。香椎はサンショウウオを代々管理してきた家の娘役。■檀れい(49)×及川光博(51)/’11年結婚、’18年離婚交際のきっかけになった作品:ドラマ『相棒 Season8 元旦スペシャル』(’10年・テレビ朝日系)及川演じる神戸尊の元恋人役で、事件にかかわってくる女性を壇が演じた。劇中では互いに未練があるような描写があったが、復縁には至らなかった。■菅野美穂(43)×堺雅人(47)/’13年結婚交際のきっかけになった作品:映画『大奥〜永遠〜[右衛門佐・綱吉篇]』(’12年)男女の立場が入れ替わった架空の江戸を舞台にしたSF恋愛劇。菅野が徳川綱吉を演じ、綱吉と心を通わせる大奥総取締を堺が演じた。■国仲涼子(41)×向井理(39)/’14年結婚交際のきっかけになった作品:ドラマ『ハングリー!』(’12年・フジテレビ系)レストランを舞台にしたドラマ。音楽の夢を諦め実家のフレンチレストランに戻った主人公を向井が、その恋人の銀行員を国仲が演じた。■杏(34)×東出昌大(33)/’15年結婚、’20年離婚交際のきっかけになった作品:ドラマ『ごちそうさん』(’13年・NHK)大正・昭和期を舞台にした食べることが大好きな主人公を杏が、東出はその夫を演じた。太平洋戦争、息子の戦死を乗り越えて平穏な生活を取り戻した2人。国民が応援した夫婦だったが……。■堀北真希(32)×山本耕史(44)/’15年結婚交際のきっかけになった作品:舞台『嵐が丘』(’15年)世界的に有名な英国の悲劇。堀北演じるキャサリンに捨てられた、山本演じるヒースクリフが、執念深く復讐を果たす。本作での共演後、山本は40通ものラブレターを執念深く送り、恋を実らせた。■榮倉奈々(32)×賀来賢人(31)/’16年結婚交際のきっかけになった作品:ドラマ『Nのために』(’14年・TBS系)湊かなえの名作推理小説のドラマ化。榮倉演じる主人公の大学の先輩を賀来が演じたが、互いに引かれつつも、最終的に結ばれることはなかった。■山本美月(29)×瀬戸康史(32)/’20年結婚交際のきっかけになった作品:ドラマ『パーフェクトワールド』(’19年・フジテレビ系)人気少女マンガのドラマ化。山本演じるヒロインを一途に思い続ける幼馴染を瀬戸が演じた。劇中では婚約にこぎつけるものの、最終的にヒロインが選んだのは松坂桃李演じる車いすの主人公だった。現実でリベンジ。■戸田恵梨香(32)×松坂桃李(32)/’20年結婚交際のきっかけになった作品:映画『エイプリルフールズ』(’15年)4月1日エイプリルフールに巻き起こる群像劇。松坂演じるのは“天才外科医”。そんな彼と一夜限りの関係を持ち妊娠した対人恐怖症の清掃員を戸田が演じた。『59番目のプロポーズ』で共演した藤原紀香と陣内智則は、大物女優とお笑い芸人の“格差婚”として話題になった。芸能レポーターの菊池真由子さんは次のように話す。「“格差”があっても、劇中での心の距離の近さから、恋愛感情を抱くようになったのかもしれませんね」2人は共演翌年の’07年にスピード結婚したものの、’09年に離婚。陣内の浮気が原因とされている。「共演がきっかけで熱愛に発展するということは、結婚後に出演した作品で、ふたたび共演者と恋愛関係になってしまう可能性が高いといえます」(前出・石田さん)朝ドラ『ごちそうさん』で共演した杏と東出昌大は’15年に結婚。3児に恵まれたが、東出が共演者と浮気していたことが発覚し、’20年に離婚した。「杏さんと東出さんは共通の趣味が読書だったり、そろってジビエ料理にハマり、狩猟の免許まで取得していました。ドラマのファンは大いに応援していたのですが……」(菊池さん)“嘘から出たまこと”の命運は、人間性次第ということだ。「女性自身」2021年2月23日号 掲載
2021年02月12日「作品内で恋愛関係にある役柄を演じた“劇中カップル”が実際に交際に至ったという報道が、昨年相次ぎました。3度目の共演となる映画『糸』(’20年)の撮影中に交際がスタートしたといわれる、菅田将暉さん(27)と小松菜奈さん(24)、日本でも大人気となった韓流ドラマ『愛の不時着』(’19年)のヒョンビンさん(38)とソン・イェジンさん(39)です」“劇中カップル”の熱愛報道に注目するのは、All About 恋愛ガイドの石田陽子さんだ。たしかに恋愛感情を抱く役柄を演じた俳優同士が引かれ合い、結婚に至ったケースは多い。「撮影中はもちろん、PRの場でも顔を合わせる機会が増えます。一緒にいる時間が長くなるほど、異性として意識する確率が高くなることを心理学用語で『単純接触効果』といいます」相性のよさが周囲にも伝わり、「付き合っているの?」と聞かれたりすることで、お互いが意識し始めることも多いという。「『愛の不時着』カップルも、’18年の映画『ザ・ネゴシエーション』で初共演し、その後すぐに熱愛説が浮上しました。海外のスーパーマーケットで買い物をしている2人の写真が投稿されたり、メイキング映像などを見たファンのあいだでは“現実でも恋人関係であるに違いない”と噂になっていました。そうしたファンの盛り上がりに、後押しされたのかもしれません」恋人同士を演じたカップルがどのように結婚に至ったのか?石田さん、芸能レポーターの菊池真由子さんにその恋愛模様を聞いた。まず、記憶に新しいビッグカップルといえば、山本美月(29)と瀬戸康史(32)だ。「『HOPE〜期待ゼロの新入社員〜』(’16年)で初共演。モデルとしては’14年のファッション誌で、恋人同士という設定で共演しています」(石田さん)“友人関係”の長かった2人だが、’19年の『パーフェクトワールド』での共演をきっかけに交際に発展、翌年に結婚した。「2人とも絵が好きという共通点があって、以前、カフェデートを撮られたときも、ボックス席に対面で座って、2時間ほど、タブレットでお互いお絵かきに没頭していましたね」(菊池さん)芸能マスコミにもまったく気づかれなかったカップルが、戸田恵梨香(32)と松坂桃李(32)だ。「“ノーマーク婚”といわれていました。戸田さんは恋愛に関して堂々としており、数々の浮名が報じられてきましたが、なぜか松坂さんとの交際は、まったく情報が漏れなかったんですね。2人の共通点は、お互い20分や30分無言でいても、平気なことだそうです」(菊池さん)『Nのために』(’14年)で共演し、交際わずか1年で結婚したのは、榮倉奈々(32)と賀来賢人(31)。「共演者・スタッフ同士仲がよく、飲み会をすることも多かったようで、それがきっかけとなって交際がスタート。緊急のときに居場所を伝え合うアプリの登録が、家族でないとできなかったため、賀来さんがプロポーズしたそうです。イクメンパパで、夫婦のラブラブぶりも話題です」(菊池さん)『GTO』(’98年)で共演した松嶋菜々子(47)と反町隆史(47)、『ハングリー!』(’12年)で共演した国仲涼子(41)と向井理(39)も順調な結婚生活が伝えられている。「松嶋さん夫婦は、反町さんがドラマに出ているときは、松嶋さんが仕事をセーブするなど、子育てを上手に分担。向井さんはオフになると全ての家事をやるそう。国仲さんは『バタバタする毎日だけど、幸せいっぱい』と夫婦生活を語っています。連続ドラマの撮影現場では、共演者の待ち時間の態度、カメラが回っていないところでのスタッフとの接し方、台本を読み込んでいたりする仕事の姿勢など、人間性が垣間見えるそうです」(菊池さん)たしかに映画『大奥』(’12年)で共演した菅野美穂(43)と堺雅人(47)のケースでも。「菅野さんは結婚後、堺さんに対して『彼は真面目で、仕事に対する姿勢は素敵。そんな彼が私を選んでくれたことに幸せを感じる』と発言をされています」(菊池さん)演者としての尊敬が、恋愛感情に変わるということか。それは舞台でも例外ではない。「1週間の公演であっても、稽古も含めれば2〜3カ月もの間、顔を合わすため、恋に落ちる確率が高い現場といえます」(菊池さん)そんなカップルの代表格といっていいのが、『ハムレット』(’01年)で共演した篠原涼子(47)と市村正親(72)、『嵐が丘』(’15年)で共演した堀北真希(32)と山本耕史(44)だろう。「堀北さんファンだった山本さんは6年もかけて、アプローチしていました。そして3度目の共演の『嵐が丘』のとき、山本さんから40通の手紙を送られ、ついに堀北さんの気持ちが動いたそうです。毎日、キスシーンのある役を舞台で演じたことで、山本さんと恋愛関係になること、その先にある夫婦になることを想像しやすかったのかもしれません」(石田さん)「女性自身」2021年2月23日号 掲載
2021年02月12日なにわ男子/関西ジャニーズJr.の道枝駿佑が舞台単独初主演を務める『ロミオとジュリエット』のオールキャストと公演日程が26日、発表された。同作は世界中で愛され、上演されてきたシェイクスピアの名作で、中世イタリアの都・ヴェローナを舞台に長年にわたっていがみ合いを続けているモンタギュー家の息子・ロミオとキャピュレット家の娘・ジュリエットが出会って恋をしたことから、悲劇が起こる。女優・茅島みずきがジュリエット役を務め、演出は、19年に菊池風磨主演で上演した舞台『ハムレット』以来、同劇場でのシェイクスピア作品演出が2作目となる森新太郎氏が担当することが先日発表されていた。今回明らかになったキャストは、あらゆる役柄を演じてきた宮崎秋人、ナイロン100℃所属・森田甘路、昨年『飛竜伝2020』での熱演も光った小柳心、『モンスターと時計』以来の森演出作品となる坂本慶介、NHK大河ドラマ『真田丸』での好演が光った栗原英雄、19年の舞台『Le Pere 父』『WILD』での演技が高い評価を得た太田緑ロランス、文学座を支えるベテラン俳優・高橋克明、森演出の『The Silver Tassie 銀杯』にも出演した扉座所属の鈴木崇乃。そしてR&B歌手としても活躍する冨永竜、青年座所属の久留飛雄己、劇団四季出身で先の『〜銀杯』にも出演した天野勝仁、演劇集団円所属で若手注目株の和田慶史朗。さらに、サモ・アリナンズの中核メンバー平田敦子、劇団東京ヴォードヴィルショー結成メンバーであり、退団までの20年間劇団を引っ張り続けた花王おさむ。そして『踊る大捜査線』でのスリーアミーゴスの1人としても大ブレイクを果たし、約5年ぶりの舞台に立つ斉藤暁、と様々な世代の実力派キャストが集結。シェイクスピアの原作に近いフレッシュな10代の2人を、錚々たる豪華俳優陣たちが支える。公演は、東京グローブ座で3月29日から4月18日まで、大阪・梅田芸術劇場 シアター・ドラマシティで4月21日から25日まで開催されることが決定した。チケットは3月14日発売。
2021年01月26日20世紀初頭のアメリカで実際に起こった冤罪事件を題材に、夫婦愛を主軸にさまざまな人々の思いが交錯する様を描いたブロードウェイ発のミュージカル『パレード』。2017年、石丸幹二主演、森新太郎演出で開幕した日本版初演は、多くの観客の心に深い余韻と問いを刻み込んで話題となった。その究極の人間ドラマが、2021年の幕開けに再登場する。実在した人物レオ・フランク役に再び挑む石丸に、作品への思いを聞いた。日本では馴染みのなかった社会派ミュージカル――3年前の初演では、終演後の客席がとてもミュージカルを観た後とは思えない、深い衝撃に包まれていたことを思い出します。そうですね。森さんの演出があったからこそ、ああいう衝撃が起きたのだと思います。照明が落ちて真っ暗になった時に、お客さんがシーンとしていて……。これはいったい何だと最初は思いましたが、何かがお客さんの心に刺さったんでしょうね、どう反応していいのかわからないほどに。あの時は、私自身が社会派ミュージカルに挑戦したいと思い始めた頃でした。ミュージカルといっても歌って踊って、華やかなものや、文芸作品の舞台化ばかりじゃない。実話をもとにしたシリアスなものも作られているのに、日本にはあまり入って来ていなかった。だからこの作品は、挑戦しがいがあるなと思ったんです。結果、ああいった衝撃を生み出せたことは成功だと思いますし、だからこそ再演も強く望みました。今回もまた、その波動をより多くの方にお届けしたいと思っています。――“レオ・フランク事件”と名を残す、実在したレオという人物を演じるには非常に精神的な重圧があったのではと推察します。まあ、これまでもミュージカルの中で劇的な人生は歩んで来ていますので、ハムレットも然りで(笑)。確かに重いですよね。でも重いだけに、その役を演じる意義はすごく大きいなと思いました。自分の信念を揺るがさずに貫くというのはとても辛いことなんだと学びましたね。レオを演じるにあたって、歴史を色々と調べ、考えました。彼の生い立ちから、なぜこういう事件に巻き込まれたのか……とか。今回の稽古が始まってから気づいたこともあります。やはりなるべくして彼はこうなったのだな……という結論にたどり着きもしたんですけどね。当時のアメリカの、白人の非白人に対する差別意識、とくにその意識が根強い地域だからこそ起こった悲劇なのだなと。そうした問題が描かれている映画や本、ミュージカルに至るまで、片っ端から探して、観たりしていましたね。――そのような探究から、レオをどういう人物として立ち上げようと?すごく人間臭くて、頑固で、揺るがない信念を持っている、そんな人物として演じようとしました。頑なな部分も含めて、武士のような志を持った人という感じでしょうか。ただ、けっして人格者ではないと思うんです。その時代において、自分の置かれている環境を他と比較して、自分の人生を責めたりもしていますからね。とくに劇の冒頭、出社時に雑踏の中を歩きながらつぶやく言葉なんて、「お前、だから皆に睨まれるんだよ!」と思うようなことを言うわけですよ(笑)。でもあれは、彼が本当に心に思っていることなんです。レオはちょっと面倒な人間 「僕に気持ちをのせないでくれ」と思いながら演じた――冤罪事件を題材にしていると知りながらも、観客は、そんなレオの姿を見て惑わされますよね。本当のこと、事件の真実とは何なのだろうか……と。観客は普通、登場人物の誰かに感情移入して舞台を観るじゃないですか。僕に気持ちを乗せないでくれ、乗せるならレオの妻、ルシール(堀内敬子)にと思ってました。それくらい嫌な、ちょっと面倒くさいヤツだなと感じさせる人間でいようとしました。共感を得ないような人として。そうしながらも最終的には皆がレオに思いを寄せて、「彼は間違っていなかったんだ」と思ってもらい、最後の最後にドンと落とす(笑)。おそらく作家のアルフレッド・ウーリーが、そのように考えて書かれたのだと思います。斬新な森演出、“エンドレス稽古”が有名だが・・・――今回の再演について、演出の森新太郎さんはどのようにおっしゃっていますか?森さんって本当にいろんなパターンを試して、どんどん変えていく方なんですけど、やはりこのコロナ禍での稽古、公演なので「今回は時間がないから変えないかも」なんておっしゃっていました。つまり、森さんの稽古場の特徴である“エンドレス稽古”が出来ないと(笑)。だから限られた、短い時間の中で森さんから何を吸収できるか。時間を大事にしたいなと思いましたね。でも実際、本稽古が始まると、制約の中でありながら、どんどん変えていらっしゃってます!――おっしゃったように、森さんの時間をかけた、しぶとい稽古は有名です(笑)。初演の時は驚かれたのでは?面食らいました(笑)。噂には聞いていたんですけどね。森さんは誰よりも早く稽古場にいらして、稽古が終わるまでず〜っと、休みも取らずに……。僕らはご飯を食べたりしていますよ。でも森さんは、夜10時くらいの僕らが帰る時になって、やっとお弁当箱を開けて食べている……、そういう人なんです。エネルギーがあふれている演出家ですね。そこから出てくる指示は本当に的確で、研ぎ澄まされていて。この初演が森さんにとって初めてのミュージカル演出だったんですが、苦手なんて意識は乗り越えてやる! というすごいパワーが彼から感じられたので、僕らも彼のミュージカル初演出に対して、何ら不安はありませんでした。ミュージカルだからこそ世に出た作品――ミュージカルといっても本当に奥深いドラマが描かれているので、ストレートプレイを観るような感覚でもありました。そうですね。でも僕は思ったんですけど、もしこれを音楽抜きでやったら相当に重い作品になる。リンチの描写もありますからね。音楽というオブラートにくるんだことによってここまで表現できた、それもあの短い時間の中でね。ミュージカルだからこそ、世に出た舞台作品なんじゃないかな。確か、この事件が冤罪という判決が出たすぐ後に、ジャック・レモンで映像作品(編集部注:1988年のテレビミニシリーズ『七十年目の審判』)が作られているけれど、映画にはなっていない。胸がかきむしられるようなテーマだけど、ミュージカルだからこそ世界に投げかけることが出来たと、僕は思いましたね。これは余談ですが、アメリカ人の仕事仲間と話をしていて、彼は南部のジョージア州の出身なんですけど、「幹二は『パレード』をやったんでしょう?どう思った?」って聞かれて。「僕はアトランタ出身だから、ブロードウェイでやっている人たちの感覚とは未だに違うんだ」と。未だに違うって何だろう?つまり彼の生まれ育った地域には、冤罪とされた判決を間違いだと思っている人が今もたくさんいるんだと。だからこのミュージカルがアメリカでやっていた時は、ものすごく衝撃だったと。この作品、アトランタでも4ヶ月、公演しているんですよね。「そういう作品なんだよ、幹二」と言われて、僕は「君はどう思っているの?」と聞き返せなかった、怖くて。――その土地によって、観客の受け止め方が真逆だったりするわけですね。そう、違うんですよね。アメリカはそういう国なんだと。それを聞いた時、再演をやる時には、そんなふうに思っている人が世の中にはいることも考えてやらなければ……と思いましたね。他国の話ではあるけれど、100年前と今と、社会の状況は何ら変わっていないということをこの『パレード』で感じ取って、また自分たちの社会にも向き合い、自分自身は何を思うかを皆さんに問いたいなと思います。――差別や保身、集団の持つ力など、作品の根底にある問題は日本人の観客の心にも引っ掻き傷を残したと思います。初演では公演の後半、多くの方が劇場に駆けつけていました。来られていましたね。噂が広がり、自分も体感したいと思われたのか。この作品を観ることによって、自分の中の何かが変わる。そんなミラクルが起こるミュージカルだと思うんですよね。だからこそ、やり続ける意味があるなと思います。堀内敬子との再共演――ルシール役の堀内敬子さんとの、息の合った再共演も楽しみです。劇団四季を離れて17年ぶりに、初めてミュージカルの現場で彼女と一緒にやったのがこの初演だったんですよ。彼女がパワーアップしていたことが嬉しかったし、もともと妖精的な人なので(笑)、だからこそ若い役があんなに自然に出来るんですよね。また今回も磨きをかけてますから、どんなふうにチャーミングにルシールを演じるのか、すごく楽しみです。先日、初めて初演の映像を見たんですよ。それで「堀内さんはこんな表情をしていたんだ!」ってことを知りました。舞台上にいたらわからなかったので、それは再演に向けての収穫のひとつでしたね(笑)。――また、このコロナ禍において、初演とは違う感触を得るような気もします。そうですね、世界ではますます分断が深まっていますから。でも一方で絆も強まっている。そんなコロナ禍にあって、障壁を乗り越えてでも観たいという方が劇場にいらっしゃるだろうと。だからこそ、観て良かったと必ず思っていただけるものを届けねばと思います。許されるなら、いろんな方を誘って観に来てほしいですね。ここに描かれていることは人ごとではない、自分たちの周りでも同じようなことが起こっている……というふうに思いを向けてもらえたら、この作品を日本でやる意味が出てくると思います。取材・文:上野紀子撮影:源賀津己衣装協力=ジョルジオ アルマーニ(ジョルジオ アルマーニ ジャパンTel.03-6274-7070)ヘアメイク中島康平スタイリスト土田拓郎ミュージカル『パレード』作:アルフレッド・ウーリー作詞・作曲:ジェイソン・ロバート・ブラウン演出:ハロルド・プリンス(共同構想及びブロードウェイ版演出) / 森新太郎出演:石丸幹二 / 堀内敬子 / 武田真治 / 坂元健児 / 福井貴一 / 今井清隆 / 石川禅 / 岡本健一安崎求 / 未来優希 / 内藤大希 / 宮川浩 / 秋園美緒 / 飯野めぐみ / 熊谷彩春石井雅登 / 白石拓也 / 渡辺崇人 / 森山大輔 / 水野貴以 / 横岡沙季 / 吉田萌美※東京公演一部キャスト変更あり。詳細は公演公式サイトにてご確認ください【東京公演】2021年1月17日(日)~31日(日)会場:東京芸術劇場プレイハウス※開幕日が変更になりました【大阪公演】2021年2月4日(木)~8日(月)会場:梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ【愛知公演】2021年2月13日(土)・14日(日)会場:愛知県芸術劇場大ホール【富山公演】2021年2月20(土)・21日(日)会場:オーバードホール
2021年01月17日なにわ男子/関西ジャニーズJr.の道枝駿佑が、舞台『ロミオとジュリエット』で初主演を務めることが7日に明らかになった。ジュリエット役は初舞台の茅島みずきが務める。同作は世界中で愛され、上演されてきたシェイクスピアの名作で、中世イタリアの都・ヴェローナを舞台に長年にわたっていがみ合いを続けているモンタギュー家の息子・ロミオとキャピュレット家の娘・ジュリエットが出会って恋をしたことから、悲劇が起こる。道枝と茅島は、なにわ男子主演ドラマ『メンズ校』でも共演。ロミオとジュリエットが出会い恋に落ちる、初々しく微笑ましい光景から、一転2人が引き離され、悲しい結末を迎えるラストまでを、原作に近い10代の2人が演じることになる。公演は東京グローブ座で今春を予定しており、演出は同劇場でのシェイクスピア作品演出が19年に菊池風磨主演で上演した舞台『ハムレット』以来2作目となる森新太郎が務める。ジャニーズ事務所では1月いっぱいのコンサート公演については無観客での実施を昨年内に決定しているが、「本作も含めた今後の舞台公演作品につきましても、引き続き新型コロナ感染症の状況を鑑みまして、公演実施、または観客の来場有無等を決定してまいる所存です」とコメントを寄せている。○演出・森新太郎 コメントご存知のように、ロミオとジュリエットは激しく愛し合った末、非業の死を遂げます。ロミオは毒薬をあおり、ジュリエットは短剣を胸に突き刺して。恋人たちの自死は敵対する親同士を和解へと導きますが、どちらもひとり息子・ひとり娘なので、時すでに遅く、やがては両家とも血が絶えることになります。悲劇と呼ぶにふさわしい苦々しい幕切れです。しかし、戯曲を読むたびに沸き上がる、この不思議な多幸感は何でしょう。非力な若者たちの純真さに揺さぶられて、ほんの少しだけ自分もまだ生まれ変われるような心持ちになるのです。まるで喜劇を堪能したかのように、再生への活力がもたらされるのです。コロナ禍だからこそ、私はこの作品の上演を切望しました。10代の道枝駿佑と茅島みずきが織り成す、人と人とが惹かれ合い、繋がり合う物語。どうぞご期待下さい。○道枝駿佑 コメント舞台ロミオとジュリエットで初単独主演をさせていただくことになりました。このお話を聞いた時すごく驚きました。本作はシェイクスピアの歴史ある作品で、今までいろんな俳優さんがやられていた作品でもあり、自分にもできるのかと不安でしかありません。今はDVDなどを見て勉強しています。この役をしっかりとやりきって自分なりに楽しみながら頑張っていき、次に繋げていきたいと思っています!皆さん、楽しみにしていてください!○茅島みずき コメントこの度、ジュリエット役を務めさせて頂きます、茅島みずきです。『ロミオとジュリエット』という歴史ある作品に参加することが出来、とても光栄です。初舞台、そしてジュリエットという大役に嬉しい気持ち反面不安な気持ちもありますが、演出家の森さんにご指導頂き、しっかり役と向き合いたいと思います。ロミオ役の道枝さんをはじめ、キャスト・スタッフの皆さんと一緒に、素敵な作品に出来るように精一杯頑張りますので、宜しくお願い致します。
2021年01月07日