魅力的な主人公には、“悪役=ヴィラン”の存在が不可欠。ヴィランが興味深いキャラクターであればあるほど、物語もよりドラマチックになるもの。そんな中、『スター・ウォーズ』のカイロ・レン、『ブラックパンサー』のキルモンガーなど、ここ最近の人気作でヴィランの日本語吹き替えを歴任しているのが声優・津田健次郎だ。彼がその憂いを含んだ低音ボイスを響かせれば、影を背負った男の色気や哀愁までがあふれ出す!ヴィランを一層ステキなキャラクターにしてしまう、津田さんの出演作&魅力をご紹介したい。■もがき葛藤する弱さまで声で表現…『スター・ウォーズ』映画史に燦然と輝く世界的超大作『スター・ウォーズ』シリーズの新たなる三部作で、最重要人物のひとりとなるカイロ・レン(アダム・ドライバー)。十字型のライトセーバーを操る彼は、謎多き人物として『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』に登場。シスの暗黒卿ダース・ベイダーを崇拝するその正体は、ハン・ソロとレイア・オーガナの息子だった。家族を捨て、闇の道を歩み始めたカイロ・レンのドラマこそ、新三部作の大きな魅力。偉大な両親のもと、彼がどんな葛藤を抱えていたのか…。アダム・ドライバーの悲しげな表情も印象的だが、日本語吹替版では、津田さんがカイロ・レンのもがきや弱さまでをしっかりと表現している。■“孤独感”…そして心の揺らぎが伝わる!『ブラックパンサー』マーベルの新ヒーローの活躍を描く『ブラックパンサー』では、ワカンダの国王にしてヒーローという2つの顔を持つ主人公・ブラックパンサー/ティ・チャラの前に、最強の敵・キルモンガー(マイケル・B・ジョーダン)が立ちはだかる。元アメリカの秘密工作員で、身体能力はもちろん、知識も豊富なキルモンガー。ワカンダの王位を狙う彼だが、その思惑には彼なりの正義がある。戦うことでしか、その正義を示せなかったキルモンガー。カイロ・レンもキルモンガーも孤独であり、青年期特有の揺らぎを抱えたキャラクターと言えそう。津田さんの息遣いからも揺らぎが伝わり、力強さともろさの二面性を演じ分けられる津田さんだからこそ、彼らの胸に迫るほどの孤独感を体現できたのだろう。■物語に引き込む“声の引力”がすごい!『ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅』『ハリー・ポッター』に続く、J.K.ローリングの魔法シリーズ『ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅』では、コリン・ファレル演じるパーシバル・グレイブスの吹き替えを務めた津田さん。アメリカ合衆国魔法議会の長官で最強の“闇祓い”。一見紳士的だが、怪しげな雰囲気をたっぷりと漂わせるグレイブス。津田さんの少し鼻にかかったような声質も、彼の不穏さを見事に表現しており、グイグイと物語に引き込まれる。ヴィランではないが、海外ドラマ「リーサル・ウェポン」も、津田さんが陰と陽の二面性を見事に演じ分けている1作。津田さんが演じるのは、主人公で自殺願望のある刑事・リッグス役(クレイン・クロフォード)。ムチャクチャなド派手アクションをキメる一方、最愛の妻を亡くした悲しみを抱えた男で、無理をして笑おうとするリッグスを見れば「私がなんとかしてあげたい!」と思う女性も多いはずだ。■津田健次郎がキャラクターにさらなる“艶”を与えるこう考えてみると津田さんの演じる男たちの多くには、我が道を突っ走るがゆえの孤独感が漂う。ただでさえ、孤独な男からは色気がにじみ出るものだが、津田さんが演じることによってさらなる艶が加えられ、最高に魅力あふれるキャラクターへと進化させているような気がするのだ。これからも、彼の演じるセクシーで影のある男が続々と登場することに期待したい。(text:Orie Narita)■関連作品:スター・ウォーズ/最後のジェダイ 2017年12月15日より全国にて公開ⓒ 2017 Lucasfilm Ltd. All Rights Reserved.ブラックパンサー 2018年3月1日より全国にて公開© Marvel Studios 2017 MARVEL-JAPAN.JP/blackpanther
2018年03月30日公開初日から満席の劇場が続出し、本年度に公開した洋画実写作品でNO.1となるぶっちりのスタートを切った『ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅』。このほど、その大ヒットを記念して、本作での強大な魔法使いの存在を、J.K.ローリングやエディ・レッドメイン、エズラ・ミラー、コリン・ファレルらが明かす特別映像が解禁となった。ハリー・ポッターが在籍したホグワーツ魔法魔術学校の“先輩”で、動物といるほうが気が楽な魔法動物学者ニュート・スキャマンダー(エディ・レッドメイン)が主人公となる本作。ニュートは魔法動物たちを調べ、保護するために不思議なトランクの中を魔法動物でイッパイにしてニューヨークを訪れるが、ある日、その魔法動物たちが人間(ノー・マジ)の世界へと逃げ出し、街中が前代未聞のパニックに。しかも、そのころアメリカの魔法界はピリピリとした空気に包まれていた。ニューヨークの街で地割れや建物の倒壊など、不可思議で危険な現象が相次ぎ、これを「魔女のせいだ」と騒ぎ立てるノー・マジの集団が出現していたのだ…。ニュートを演じるエディは、「映画には、J.K.ローリングらしいユーモアと温かさに加えて、恐怖も描かれます。理解できないものに対する恐れや、その恐れに対する極端な反応を描いています。だから、ニューヨークの魔法使いたちは人目を忍ぶようにして暮らしているし、ノー・マジとは全く交流がない。だから魔法動物を抹殺しようとするのも、魔法使いの存在を知られてはいけないという恐怖があるからだと思う」と明かす。アメリカ魔法議会(MACUSA)では「魔法使いの存在は絶対に知られてはならない」のが掟。数々巻き起こる危険な現象の原因は不明だが、ヨーロッパで大惨事を引き起こした闇の魔法使い、グリンデルバルトがいまだ逃走中との背景もあり、MACUSAは強度の警戒態勢を敷いていたのだ。今回の映像で、J.K.ローリングは「『ハリー・ポッター』とは意外な形でつながっている。魔法使いが世界の秩序を初めて脅かすの」と、ファンにはたまらないヒントも明かす。さらに、MACUSAのトップクラスの魔法使いとして名高いパーシバル・グレイブスを演じ、注目を集めているコリン・ファレルも、「グレイブスは魔法界に有害なものを捜査する闇祓いなんだ」と語る。「MACUSAのメンバーでさえ、グレイブスのことはよく知らないので、僕はこのキャラクターがどこまで謎なのかを楽しんで演じたんだ」というコリン。映像からも分かるように、グレイブスにまつわる謎の1つは、エズラ・ミラー扮するクリーデンスへの非常に強い関心だ。そんなクリーデンスが手にするのは、『ハリー・ポッター』シリーズにも登場していた“死の秘宝”のネックレス。このシーンが意味するものとは…?SNSでは「観終わったばかりなのにもう1回観たい」「あと2回は観る!」など、複数回鑑賞を宣言している人も多く、少しでもその謎に近づくためにリピーターも続出しそうだ。『ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅』は全国にて公開中。(text:cinemacafe.net)
2016年12月01日11月に公開になる“ハリー・ポッター”の新シリーズ『ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅』のキャラクターポスターが解禁になった。“ハリポタ”には個性豊かなキャラクターが数多く登場したが、“ファンタビ”も魅力的な人物がたくさん登場するようだ。その他の画像本作は、ハリー・ポッターやハーマイオニーたちがホグワーツ魔法学校の授業で使っていた教科書“幻の動物とその生息地”を編纂した英国人で、魔法動物学者のニュート・スキャマンダーが主人公。1926年のニューヨークで、ニュートの運んでいたトランクに入っていた魔法動物がカバンの外へ逃げ出したことから街はパニックになり、ニュートは騒動の収拾のために大冒険を繰り広げる。ハリー・ポッターはどんな逆境にも負けない明るい少年だったが、本作の主人公ニュートは、人間といるよりも魔法動物と一緒の方が気が楽な変わり者。魔法動物についての知識は膨大で、精悍なルックスだが、研究に夢中のため、少し“ずぼら”なところもあり、そこが魅力的に描かれるようだ。そんなニュートと行動を共にするティナとクイニーは姉妹。ふたりともアメリカ合衆国魔法議会で働いており、姉のティナはかつて“闇祓い”だったが無断で魔法を使ってしまい現在は単調な仕事に甘んじている。一方のクイニーは自由奔放な性格で、姉のことを愛している女性のようだ。さらにここに魔法を使えない人間(ノーマジ)のジェイコブも合流する。彼は缶詰工場で働く男で、パン屋になることを夢見ている。ニュートは3人の仲間と逃げ出してしまった魔法動物を追ってニューヨークの街を奔走するが、そんな彼らを監視し、追っているのがアメリカ合衆国魔法議会の長官パーシバルだ。彼は人々の尊敬を集める最高ランクの役人で“闇祓い”でもあるが、このほど公開になったポスターにはなぜか『ハリー・ポッター』シリーズに登場した“死の秘宝”のマークが描かれており、まだ明かされてない情報がありそうだ。『ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅』11月23日(水・祝) 全国ロードショー
2016年10月28日2015年7月16日。史上初の冥王星(めいおうせい)探査機ニューホライズンズが、冥王星に接近、横を通り抜けます。地球の5分の1しかなく、太陽の40倍も遠くにあるこの小さな天体の素顔が、明かになる瞬間でございます。それに先立ちまして、いままでに分かっている冥王星のあれこれを、サクっとチェックしておきましょー。○1. 冥王星が発見されたのは20世紀の1930年。米国が初めて発見した「惑星」発見したのは、米国のクライド・トンボーさん。米国アリゾナ州にある「私設」研究所であるローウェル天文台のスタッフでした。米国が「惑星」を発見したのは初めて。米国民はお祭り騒ぎになったそうでございます。また、天文台の創設者パーシバル・ローウェル(Percival Lowell:この時には故人)の夢をかなえた発見でもありました。ちなみに、古代から知られていた5惑星に加え、天王星は18世紀に英国が、海王星は19世紀に英仏の科学者が予測してドイツがそれぞれ発見していました。また、最初の小惑星ケレスは19世紀にイタリアが発見しています。20世紀の大国米国のプライドをくすぐる発見だったのですねー。○2. オリジナル名の「プルート(Plute)」は、11歳の女の子の発案発見された「惑星」の名前はすぐには決まりませんでした。ニュースをおばあちゃんから聞いたイギリスの11歳の天文ファンの女の子ヴェネチア・バーニーちゃんが、ローマ神話の地獄の神様、プルートにしてはどうかと発案。それを周囲の大人がローウェル天文台に伝えたところ。いたく評判になり、採用されました。PLuteの最初の2文字がPercival Lowellのイニシャルになっているのもポイントだったそうでございます。ちなみにバーニーちゃんのおばあちゃんのお兄さんのマダンは、火星の衛星フォボスとダイモスの名前の提案者だそうです。へー。○3. ディズニーのキャラの名前、そしてあの元素の名前にも。ディズニーのミッキーマウスは1930年に愛犬が登場します。その名前がプルートで、これはもちろん新発見の「惑星」にちなんだものですな。ところで、プルートは、犬のキャラのグーフィーの愛犬になることも…また、プルートは、1940年に発見された新元素の名前にもなっています。それが原子番号94番プルトニウムですな。ちなみに、天王星ウラヌスは、原子番号92番ウラニウム。海王星ネプチューンは同じく93番ネプツニウムの名前の由来になっています。そのほかに、水星の英語名マーキュリーは水銀のことですね。○4. 冥王星という名前これは、日本の野尻抱影さんという文筆家があてたそうです。天王星、海王星が、ウラヌス、ネプチューンという神様なのに「王」という名前を与えていますから、それにうまくならわせたものですね。ただ、冥(めい)の字が難しいものですから、子供の図鑑などでは「めい王星」とかかれていて、まるでヤギかヒツジの王様みたいと思ったりされたのでした。○5. 長らく、太陽系最果ての天体だったが、1979年~1999年は海王星が最果てとなった。冥王星は、平均すると太陽から地球の40倍離れた軌道をまわっています。30倍の海王星より3割も太陽から離れているわけですね。ところが、冥王星の距離は、最大太陽から29.5倍~59倍も変化するのでございます。最接近時には海王星よりも太陽に近づくわけで、最果ての天体の座を海王星にゆずっていました。米国のボイジャー探査機は1989年に海王星の探査をしたのですが、その瞬間は「太陽系最果ての天体」を探査したことになったわけです。○6. 海王星とは接近しない軌道海王星と冥王星が、太陽からの距離で交差するってことは、ぶつかる心配があるんじゃね? という話になります。が、これはうまいこと避けられるのでございます。というのは、冥王星が海王星軌道との交差点にさしかかるころには、海王星はその近所にいないのですね。公転の周期が3:2になっているためです。「赤い惑星」さんの説明がわかりやすいですよ。○7. とても暗い星、見つけたのは写真とアニメの技術冥王星の明るさは13~14等級程度です。これは、肉眼で見える一番暗い星の1000分の1というレベル。望遠鏡だと光を集めるレンズの直径が25cm以上は必要です。そんな暗い星を見つける決め手になったのは、写真とアニメの技術。2枚の写真を交互に見比べ、変化を調べる、つまりは2コマの動画にする機械(ブリンク・コンパレータ)が活躍したのだそうです。アニメのキャラの名前の由来の星は、アニメの技術によって発見されたのでございますー。○8. だんだん小さくなる冥王星冥王星は当初、地球と同じくらいの重さがあり、大きさもそう変わらないと考えられていました。ところが、調べるために見積りが小さくなり。いまでは、地球の5分の1の大きさ(月が4分の1なので、月より小さい)、重さは地球の500分の1であることがわかっています。なんでかというと、冥王星が予想以上に白くて、大きさの割に目立っていた(明るかった)のですな。化粧をしているとでもいいましょうか。しかも、冥王星には冥王星の半分ほどの大きさの衛星カロンがあり、カロンと冥王星をあわせた明るさを単体の明るさと見積もっていたためでもあります。遠目では、なかなか本当のことが分かるのは難しいものです。見積もるたびに小さくなるので、このままだと冥王星は1984年には消滅するというジョークがあったそうでございます。○9. 冥王星は5つの月がある。冥王星は、小さいくせに5つも月を従えています。1978年に発見されたカロンのほかに、21世紀になってからニクスとヒドラ、ケルベロス、ステュクスが発見されています。望遠鏡で見ても、表面の様子などはほぼなにもわからないわけでして、探査機ニューホライズンズによる詳細な情報が楽しみですねー!○10. 2006年に、惑星でなくなる。新しい発見は、時に過去の栄光をなかったことにするわけです。1990年代の終わりごろから、冥王星なみの遠いところに、小惑星が発見されるようになりました。かねてからそのあたりからやってくる彗星が多いことから予想されていたことでございました。2001年に発見されたイクシオンは、冥王星と同じような軌道をまわっていて、冥王星の半分ほどの大きさであることが判明しました。いうならば第二冥王星というようなものですね。それからセドナ、クアオアなど冥王星とほとんど同じくらいの大きさの天体が次々と発見されました。冥王星を小惑星の分類にすべきって話も出たのですな。決め手となったのは、2003UB313のエリスで、冥王星の1.5倍ほど遠くを回る天体で、大きさは冥王星よりチョイ大きいくらいとわかったんですねー。これを第10惑星とする発表もあったのですが、じゃあ、チョイ小さいクアオアとかどうする? という話になったのですね? この絵を見るとウームと思いますよ。そこで、2006年までに天文学者が教義し、惑星ってなに? という定義を考えることになります。日本からは国立天文台の渡部潤一さんが参加しています。最終的には国際総会にて「投票」が行われ、冥王星は惑星とせずに、ドワーフ・プラネット(後に準惑星)というカテゴリーに入れることが決まったのです。つまり、冥王星は「惑星」ではなくなったのでございますねー。もっとも自然のことを「人間が投票」で決めるってのはどうなのよーという話もあります。まあ、生物の種も危うくなっているってはなしも前に書きましたし、自然はパチっとはわからんもんです。いずれにせよ、新しい発見が、冥王星の見方を変えたわけでございまして、7月に冥王星に接近する探査機ニューホライズンズが何を教えてくれるのか、楽しみなわけでございますー。著者プロフィール東明六郎(しののめろくろう)科学系キュレーター。あっちの話題と、こっちの情報をくっつけて、おもしろくする業界の人。天文、宇宙系を主なフィールドとする。天文ニュースがあると、突然忙しくなり、生き生きする。年齢不詳で、アイドルのコンサートにも行くミーハーだが、まさかのあんな科学者とも知り合い。安く買える新書を愛し、一度本や資料を読むと、どこに何が書いてあったか覚えるのが特技。だが、細かい内容はその場で忘れる。
2015年05月27日