現代パフォーミングアーツ、バレエ、コンテンポラリー・ダンス界の最重要アーティストたちによる新作ダンス2作品の来日公演が、2022年に開催されることが決定した。今なおバレエ、コンテンポラリー・ダンス界の最先端を行く舞踊家である巨匠ウィリアム・フォーサイス振付の『THREE QUIET DUETS』が2月に開催。フォーサイスは、45年以上にわたり振付家として活躍し、その作品は、バレエを21世紀のダイナミックなアートフォームへと方向転換させたことで知られている。1984年にフランクフルト・バレエ団のディレクターに就任し、わずか3年で世界トップレベルのカンパニーに成長させ、その鋭い現代的感覚と芸術性で“バレエ界のウルトラ・モダン”と称されている。92年と99年にはローレンス・オリビエ賞、02年にはニジンスキー賞を受賞。05年にはフォーサイス・カンパニーを設立し、翌06年の来日公演でも、「安定に抗う極限の技能」「舞踊界において突出している」(朝日新聞/石井達朗氏)と高く評価された。今なお舞台芸術の最先端を行く巨匠フォーサイスが、今最も信頼を置く最高のダンサーたち5名と究極の静謐なダンスを繰り広げる。近年最も評価の高い傑作群の初来日公演が、東京、京都、福岡の3都市で上演される5月には、舞踊家ピナ・バウシュの『春の祭典』を上演。バウシュは、2009年に逝去した後の日本でも、コンテンポラリー・ダンス、バレエ、演劇など幅広い分野で、今なお大きな影響力を誇る不世出の舞踊家。数ある作品の中でも最も激しいダンスと、舞台に敷き詰められた2トン以上の土の上で踊り続けるダンサーたちの迫力のパフォーマンスで知られる代表作が『春の祭典』だ。この楽曲は、“音楽の天才”ストラヴィンスキーによる近代バレエ音楽の最高傑作と言われ、バレエ、クラシック界のみならず、広く一般に知られており、世界中のカンパニーによる上演が後を絶たず、特にピナ・バウシュ振付版(75年初演)は、パリ・オペラ座・バレエ団など世界最高峰のカンパニーによっても上演されるなど、その評価を確固たるものにしている。ダンスと演劇を融合した傑作を、今回は、アフリカ13カ国から結集した精鋭ダンサー32名が踊る、全舞台ファン必見の最重要作となる。さらに元ピナ・バウシュ・ヴッパタール舞踊団で、同団の主要パートを歴任したマル-・アイラド、アフリカ現代舞踊の母ジャメイン・アコニーによる新たな作品『common ground[s]』も同時上演される。【以下、作家・ヤサぐれ舞踊評論家 乗越たかおによる本公演に向けての特別寄稿】ピナ・バウシュ & ウィリアム・フォーサイス数あるコンテンポラリー・ダンスの振付家の中でも、巨人と呼ぶにふさわしい二人、ピナ・バウシュとウィリアム・フォーサイスの作品が上演される。この二人は、いったい何がスゴイのだろうか?ピナ・バウシュはタンツテアター(演劇的ダンス)という手法で、演劇とダンスの垣根を超えた振付家だ。舞台上で踊る人々の感情の機微が、観客の胸にスッと入って突き刺さる。しかもダンスなので、どのシーンも美しい。ダンスには、こんなことまでできるのか……と世界中のダンス関係者を驚愕させたのである。とくに今回の『春の祭典』は初期の傑作で、約2トンの本物の土を舞台に敷き詰めて踊る。元はロシアの大地の神へ生け贄を捧げる作品だが、ピナは「生け贄を集団が選び出す」という現代的なテーマとして描いた。さらに今回は生前のピナが率いたヴッパタール舞踊団の指導のもと35名のアフリカ人ダンサーが踊る。画期的な挑戦で、ネットの有料配信は世界中で話題になった。一方のフォーサイスは「バレエを脱構築させた」と言われる振付家である。バレエではセンターにあるべきとされる体軸や重心を自在に変化させ、バレエの新しい領域を切り開いていった。さらに作品も知的でソリッドな興奮に満ちている。今回の『THREE QUIET DUETS』はそんな彼の新境地ともいえる作品である。ストリートダンスのダンサーも加わり、かつタイトルの通り不思議な「静寂(QUIET)」と詩情が漂う。フォーサイス作品をよく知る人も、きっと刮目するだろう。二人に共通するのは、様々なアートの領域横断的な刺激に満ちた作品という点である。コロナ禍で海外からの招聘公演が困難な昨今、巨匠達の新しい作品・新しい試みを観られる希有な公演だ。見逃すな!■公演概要PARCO presents ウィリアム・フォーサイス『THREE QUIET DUETS』 来日公演東京公演:2022年2月4日(金)~6日(日)会場:Bunkamuraオーチャードホール京都公演:2022年2月9日(水) 会場:ロームシアター京都(メインホール)福岡公演:2022年2月12日(土)会場:北九州芸術劇場(大ホール)振付:ウィリアム・フォーサイス出演:Brigel Gjoka、Riley Watts、Jill Johnson、島地保武、Rauf "RubberLegZ" YasitPARCO presents ピナ・バウシュ 『春の祭典』 / ジャメイン・アコニー&マル―・アイラド 『common ground[s]』来日公演日程:2022年5月(※日程詳細は順次発表予定。)会場:東京Bunkamuraオーチャードホール公式サイト:
2021年11月02日ドリス ヴァン ノッテン(DRIES VAN NOTEN)は、2021-22年秋冬ウィメンズコレクションを発表した。劇的かつ繊細なコンテンポラリーダンスオンラインにて映像形式で発表された今季のコレクション。映像には、ピュアさと情熱、マスキュリンとフェミニンの間を行き来するかのような、コンテンポラリーダンスのパフォーマンスが映し出されている。世界的に有名なベルギーのコンテンポラリーダンス・カンパニー「ローザス(Rosas)」「ウルティマ・ヴェス(Ultima Vez)」「パリ国立オペラ」から、計47人のパフォーマーが集結し、生き生きとした舞踊が繰り広げられた。様々な感情が入り乱れるかのような激しさと静寂、相反するムードを併せ持った世界観は、映画監督のペドロ・アルモドバルが描く情熱的で誇張された女性と、コンテンポラリーダンスの振付家、舞踊家のピナ・バウシュのストイックで優美な破壊力から着想を得た。研ぎ澄まされた美を提示する。大きなバラの花束とともに冒頭に登場する白いロングシャツドレスは、ファッションの専門学生であった1981年に発表したファースト・コレクションのデザイン。ドリス ヴァン ノッテンのデザインのルーツともいえるエッセンシャルなピースが、劇的で繊細な幕開けを告げる。身体の躍動に呼応する衣服ゆったりとしたダブルのコートは身体の動きに連動してふわりと空に翻り、チャコールグレーのセットアップは身体のシルエットに沿ってなだらかな曲線美を描き出す。その他にも、反り返る身体によって生み出されるシワやドレープが表情豊かなジャケットや、肌を露出するキャミソールトップス、屈んだ身体と同時に重力によって裾が広がり落ちるロングコートなど、衣服がまるで人の動きに呼吸を合わせているかのようなデザインが印象的だ。きらめくスパンコールやフェイクファーの装飾ダンスの躍動感をより一層引き立てているのは、光を反射して煌めくスパンコールやシャイニーなフェイクファー。かっちりとしたテーラードジャケットには、輪郭線をなぞるようにしてモヘアのフェイクファーをあしらい、繊細な毛先が柔らかな印象を演出する。艶やかな光沢のサテンスカートには、柔らかなフェイクファートップスをコーディネート。対照的な質感のコントラストが、余韻を残していく。1950年代からインスピレーションを得た、レッドのスパンコールを全面に配したドレスは、その鮮烈な光によって瞬時に注目を集めるほどのグラマラスな存在感を放つ。ピンクのスパンコールを散りばめたノースリーブのトップスは、裾にフリンジ状にスパンコールを連ねることで、ゆらめくような輝きを際立たせた。立体感のあるトロンプルイユプリントトロンプルイユプリントも目を引くディテールだ。服地に刻まれたドレープのように見えるグラフィックや、フード付きドレスの襟からのぞくオーガンザと連動したしなやかなアートワーク、写実的なバラを全面に投影したニットは、平面的に描かれているはずなのに布地の流れに乗って立体感のある表情に。また、うねるようなグローブの絵柄を総柄で落とし込んだコートも登場。陰影からすっと伸びるブルーやベージュのグローブは、意思を持ってうごめいているかのようだ。
2021年03月18日2月4日に開幕する「横浜ダンスコレクション2021」。昨年のコンペティションII新人振付家部門にて最優秀新人賞を受賞した橋本ロマンスによる新作「デビルダンス」が上演される。昨年の受賞作「サイクロン・クロニクル」は審査員から文字通り絶賛された。「パズルやコラージュのように解体と構築がなされ作り込まれた作品」である同作が「多くの方に現代美術的なコンセプチュアルな手法や、ストリートやポップカルチャーの要素を楽しんでいただけたということは自分にとって嬉しい発見でした」とふり返る。岡本太郎にクリスト&ジャン・クロード、ボブ・フォッシー、ピナ・バウシュ、ディミトリス・パパイオアヌー、勅使川原三郎、MIKIKO、クリストファー・ノーランなど、ダンサーのみならず様々なアーティストに影響を受けており、「サイクロン・クロニクル」は「オズの魔法使い」とプラトンの「饗宴」に登場する「アンドロギュヌスの逸話」をモチーフにしている。発想の源、創作の過程について、橋本はこう語る。「文学や映画が直接的に発想の源となるというよりは、作品内で伝えたいことを多面的に掘り下げていくために文学や映画の持つ文脈ごと挿入するという感じです。我々が抱えている問題の大半はもう既に歴史上で起こっているので、そのことを題材とした作品をモチーフとして取り入れることで、自分の作品の支えてもらうことが多いです。複数の物語の文脈をコラージュ的に配置したり重ね合わせたりすると、全く新しい文脈や物語同士の関係性が現れてくることがあります。それをしつこく検証して『これってもしかしてこういう意味なんじゃないかな?』という自分勝手な大発見をすることが創作の核になっています。そして、その自分で作った仮定を証明していく作業がパフォーマンスであると考えています」2度目の緊急事態宣言の発出を受け、上演をすべきか否かについて主催者側と話し合いを持った上で今回の「デビルダンス」の発表を決めた。コロナ禍の中、彼女が抱いた“違和感”こそが「いまこのタイミングで作品を上演することを決めた理由」と語る。「コロナ禍において、この状況を笑い飛ばせる人の方がポジティブで、怖がることはネガティブで場が白けてしまうことのような空気感があり、そこにとても違和感があります。上演を行うこと自体が『止まらず進み続ける』というメッセージになりがちですが、私が伝えたいのは『立ち止まって良い』ということ、そして『私たちに、死ぬのが怖いと言わせてほしい』ということです。作品の具体的なモチーフとしては『ファウスト』、『時計じかけのオレンジ』、また現象としての『ダンス・マカブル』、『ええじゃないか』などを含む予定です」(黒豆直樹)
2021年02月01日デザイナー・柳川 荒士氏が2003年に立ち上げ以降、日本のファッション界を代表するブランドの1つして輝き続けている「ジョン ローレンス サリバン(JOHN LAWRENCE SULLIVAN)」。メンズファッションからスタートし、現在ではレディースも展開。海外でコレクションを発表して、世界のファッショニスタをも魅了する同ブランドの2020年秋冬コレクションがついに展開される。今回は、9月2日から15日まで行われる、伊勢丹新宿店メンズ館2階=メンズクリエーターズでのプロモーションに合わせて、コレクションについて紹介すると共に、柳川氏にコレクションに至る背景、そして“今”のファッションについての想いを伺った。2020秋冬コレクション今シーズンは、ドイツの映画監督、ヴィム・ヴェンダース(Wim Wenders)氏の作品と、ドイツのコンテンポラリーダンスの振付師であり、ダンサーでもあったピナ・バウシュ(Pina Bausch)氏 のパフォーマンスにインスパイアされたコレクション。ヴィム・ヴェンダース氏の“Wings of Desire”の世界観を、伝統的なブリティッシュヘリンボーンウールや、しなやかなイタリアンウールにウエストを強調するようパールボタンで折り目を飾ったり、ウエストにステッチでギャザーを入れるミリタリーディテールを取り入れて表現。花柄と幾何学模様のプリントはハンドペイントでデザインされており、サイドにボックスプリーツの入ったワイドトラウザーズは、極端なフレアシルエットを作り、ボタンディテールのチェスターコートとオーバーサイズニットを使ったスタイリングで、ピナ・バウシュ氏 のパフォーマンスの流動性を表現した。常にジョンローレンスサリバンの中心にあるインダストリアルミュージック、ダーク・サブカル チャーからボンテージストラップを取り入れ、クロコダイル、リザード、オーストリッチ柄をエンボス加工したレザーシューズにはパールを配置し、仕上げた。 パールアクセサリーは、梶谷好孝氏が手掛けるアクセサリーブランド、ヨシコ クリエーション(YOSHiKO CREATiON) と、サングラスはロンドン発のアイウェアブランド、ブライザック(BLYSZAK)とコラボレーション。また、「Last Waltz」「Dance with Me」「Floating Emotions」のワードで、ヴィム・ヴェンダースとピナ・バウシュの世界観に落とし込まれたジャガードスカーフは、ニューヨーク発のスカーフブランドのモンマルトル ニューヨーク(MONTMARTRE NEY YORK)とのコラボレーションによるもの。今回のコレクションについて柳川氏に伺った―――Wim Wenders氏 の作品やPina Bausch氏のパフォーマンスとの出会いとは柳川「15年くらい前、友人が誕生日プレゼントとしてPinaのPalermo,PalermoとFull Moonを観に連れて行ってくれました。その頃、東京コレクションを行なっていた自分は、総合演出のあり方や今後目指すべき表現を観たような気がして、無意識のうちに涙を流していました。それ以来、ニューヨーク、ロンドン、様々な場所で彼女の作品を観劇しました。Wimは中学生か高校生の頃、知り合いの勧めで、PARIS TEXASを観て知ったと思います。PARIS TEXASとPinaは好きで、今でもDVDで繰り返し観ています」―――Wim Wenders の作品やPina Bauschのパフォーマンスからインスパイアされて、実際にファッションに落とし込む上での拘り柳川「映画やパフォーマンスから感じたムードを、素材の色やテクスチャー、シルエットのボリューム感などに反映させました」―――“今”、ファッションについて思うこと、そして伊勢丹メンズのお客さまにプロモーションを通して感じて欲しいこと柳川「今までと変わらず、人の心を揺さぶり刺激するような、挑発的なもの作りを心がけています。僕が初めてPina Bauschを観た時のような何かを、私たちの洋服から感じてもらえたら嬉しいです」柳川荒士やながわあらし●ジョンローレンスサリバンデザイナー。2003年、同ブランドを設立し、テーラードを軸としたメンズウェアを展開。強さとエレガントさを持ち合わせた男性像を基本的なコンセプトとしている。また、2010年SSシーズンよりレディースラインも展開しており、メンズテーラードの技術を駆使したシャープな印象が特徴的である。2003年〈JOHN LAWRENCE SULLIVAN〉設立2007年 2007SS~2010年AW 東京コレクション参加2008年 旗艦店を中目黒にオープン2010年 2010SSより「WOMEN’S」ラインスタート三越伊勢丹オンラインストア〈ジョン ローレンス サリバン〉商品一覧はこちらから【イベント情報】ジョン ローレンス サリバンプロモーション会期:9月2日~9月15日会場:メンズ館2階=メンズクリエーターズお問合せメンズ館2階=メンズクリエーターズ03-3352-1111(大代表)記事提供元ISETAN MEN’s netPhoto&Text:ISETAN MEN‘S net
2020年09月05日ジョン ローレンス サリバン(JOHN LAWRENCE SULLIVAN)は、2020年秋冬メンズ&ウィメンズコレクションの新作アイテムを2020年7月11日(土)にジョン ローレンス サリバン中目黒店、伊勢丹新宿店、渋谷パルコ店、京都藤井大丸店、オフィシャルオンラインストアにて発売する。ドイツの映画監督、ヴィム・ヴェンダースの作品と、ドイツの振付師・ダンサーのピナ・バウシュから着想を得た2020年秋冬シーズン。コレクションの中でもキーアイテムとなっていた“パール”を配したコートやジャケットなどの新作アイテムが登場する。パワーショルダーとオーバーシルエットが目を引くグリーンのコートは、袖口や合わせにパールがあしらわれている。バックサイドには生地を折り畳むようにしてタックが施されており、タック部分にもパールを配した。同様のバックサイドディテールを採用したベージュのジャケットも登場する。加えて、左右のポケットの下にスリットを配しボタンを並べたブラックのダブルジャケットや、シングルボタンのテーラードジャケットなども、ソリッドな仕立てのウェア。シングルボタンのテーラードジャケットには、鮮やかなフューシャピンクを採用した。また、セットアップで着用できるストレートシルエットのトラウザーや、裾のボタンを開けて異なる表情を楽しめるスリット入りのセンタープレスパンツも展開される。【詳細】ジョン ローレンス サリバン 2020年秋冬 新作アイテム発売日:2020年7月11日(土)取り扱い店舗 : ジョン ローレンス サリバン 中目黒店、伊勢丹新宿店、渋谷パルコ店、京都藤井大丸店、オフィシャルオンラインストア・バックサイドタックコート 180,000円+税・バックサイドタックジャケット 94,000円+税・フロントサイドボタンジャケット 88,000円+税・1ボタンシングルジャケット 90,000円+税・ストレートトラウザー 38,000円+税・スリットトラウザー 40,000円+税※7月11日(土)より各店で、先着200名に「Golpe Mortal」が手がけた2020年秋冬ランウェイショーの全楽曲が入ったオリジナルサウンドトラックCDをノベルティとしてプレゼント。50,000円(税込)以上の購入者に限る。【問い合わせ先】ジョン ローレンス サリバン中目黒店TEL:03-5428-0068
2020年07月11日ジョン ローレンス サリバン(JOHN LAWRENCE SULLIVAN)から、ストールブランド「モンマルトル ニューヨーク(MONTMARTRE NEW YORK)」とのジャカードストールが、2020年7月4日(土)よりジョン ローレンス サリバン直営各店、ジョン ローレンス サリバン取扱セレクトショップ一部、オフィシャルオンラインストアにて発売される。今回のコラボレーションは、20年秋冬コレクションのテーマである、ドイツの映画監督「ヴィム・ヴェンダース」の作品と同じくドイツの振付師・ダンサー「ピナ・バウシュ」から着想を得たもの。モンマルトル ニューヨークが得意とするジャカードストールをベースに、3つのデザインで展開する。ストールには、“Last Waltz”“Dance with Me”“Floating Emotions”といったワードと共に、「ヴィム・ヴェンダース」「ピナ・バウシュ」両名の世界観を落とし込んだインパクトのあるグラフィックを落とし込んだ。また、ジョン ローレンス サリバンのフォントロゴも、デザインとして添えられている。カラーは、ブラック×レッド、ブラック×イエロー、パープル×グリーンの3つを用意する。【詳細】ジョン ローレンス サリバン×モンマルトル ニューヨーク発売日:2020年7月4日(土)販売店舗:ジョン ローレンス サリバン直営各店、ジョン ローレンス サリバン取扱セレクトショップ一部、オフィシャルオンラインストアカラー:ブラック×レッド、ブラック×イエロー、パープル×グリーン価格:各24,000円+税【問い合わせ先】ジョン ローレンス サリバン中目黒店TEL:03-5428-0068
2020年07月04日ジョン ローレンス サリバン(JOHN LAWRENCE SULLIVAN)は、2020-21年秋冬コレクションを発表した。ヴィム・ヴェンダース&ピナ・バウシュから着想今季は、ドイツの映画監督、ヴィム・ヴェンダースの作品と、同じくドイツの振付師・ダンサーのピナ・バウシュから着想を得ている。モンマルトル ニューヨーク(MONTMARTRE NEW YORK)とタッグを組んだグラフィカルなジャカードストールには、「Last Waltz」「Dance with Me」「Floating Emotions」といったワードが綴られており、ルックの所々に用いられることで、ヴィム・ヴェンダース、ピナ・バウシュ両名の世界観をサブリミナル的に連想させる役割を果たした。『ベルリン・天使の詩』を彷彿させるオーバーコートファーストルックで登場したのは、ヴィム・ヴェンダースの映画『ベルリン・天使の詩』で主人公の天使・ダミエルが羽織っていた重厚感のあるオーバーコートを彷彿させる、グレーのロングコート。ウエストにステッチでギャザーを寄せたパワーショルダーのコートは、緩急のあるフォルムながら、しなやかな生地の落ち感が手伝ってどこか静かな雰囲気をまとっている。アヴァンギャルドなパール度々散見されるのはパールの装飾だ。ジャケット、シャツの合わせや袖口の部分にボタンの代わりにあしらわれていたり、パンツの裾やグローブの指先、レザーシューズなどにアクセントとして用いられていたり。ヨシコ クリエーション(YOSHiKO CREATiON)が手がけたパールアクセサリーも随所に登場している。パールそのものの華やかさを生かしたまま、ジョン ローレンス サリバンらしくソリッドな方法で用いられることにより、パールがアヴァンギャルドな存在感を放っている。舞踊のように流動的なシルエットピナ・バウシュの舞踊のごとく、流動的で有機的なデザインを衣服に落とし込んでいるのも印象的だ。緩やかなドレープ感のワイドパンツは、たっぷりと生地を使った流れるようなシルエットが余韻を残す。レッドやベージュのチェスターコートには、ボタン付きのスリットを配し、ボタンを開けて着ると躍動感のあるフォルムに。オーバーサイズニットは、ラフに身に着けることで不均一なドレープを生み出している。ボンデージやライダースなどアナーキーなスタイルもフロントにボンデージストラップを配したパンツやジャケット、ノイジーな抽象柄のシャツなど、ジョン ローレンス サリバンのコアにあるインダストリアルミュージックやダーク・サブカルチャーなどからインスパイアされたディテールも見て取れる。鮮やかな赤1色のライダースジャケットにメッシュのカットソーを重ねた、アナーキーなルックも登場した。
2020年03月11日スズキ拓朗率いるダンスカンパニー、CHAiroiPLINの公演『AZUKI』が10月17日(木)に開幕する。「おどる童話」というシリーズ名が冠されたこの作品は、宮沢賢治の『ざしき童子のはなし』を原作にしたもので、今回で3度目の上演となる。「元号が変わって、オリンピックもあって、いろんなことが新しくなって未来に向かうという大きな流れがありますよね。もちろんそれもいいことだけれど、同時に忘れたくないものもいっぱいあるなと思ったんです。そこで、この作品をいま再び上演しようと思いました」とスズキ。原作は数ページ程度のごく短いもの。その物語に初めて触れたとき、スズキは自分の家族を重ね合わせたのだという。「僕、3人兄弟なんですけど、じつはもうひとり、生まれて3カ月くらいで亡くなったお姉ちゃんがいたらしいんです。顔も知らなければ記憶もないお姉ちゃんは、ぼくにとっては座敷わらしのような存在なんですよね。会ったことがなくても忘れたくない、確かにいたということをずっと思っていたい。そんなことを考えながら作品をつくっていきました」。CHAiroiPLINはダンスカンパニーでありながら、いわゆる一般的なコンテンポラリーダンスのイメージとは異なる部分がある。たとえば、セリフがふつうにあること。「雑な言い方をしてしまえば、面白ければなんでもいいと思っているんです。喋った方が面白ければしゃべるし、ものを使った方がいいときは使う。僕はもともと俳優からはじまってその後ダンスに出会ったので、ストーリーを伝えるのにセリフを使うのは全然抵抗がないんです」『AZUKI』も例外ではない。しかも同じ単語が繰り返されたり、リズムのいい言葉が続いたりと、聞いているだけで気持ちいい、楽しいセリフがたくさんある。「子供にも楽しんでもらいたいから、0歳児が入れる回をつくりました。それから、昼と夜の公演で演出が変わります」。また、ダンサーではないキャストたちが多数キャスティングされているのもCHAiroiPLINの特徴だ。スズキのキャリアが、蜷川幸雄主宰の「さいたまネクスト・シアター」で俳優としてスタートしたことと無縁でない。「僕の演劇の先生は蜷川さんで、ダンスの先生は、直接お会いしたことはないですけど、ピナ・バウシュだと思っています。だから、ピナのように、踊る技術よりもその人自身の存在を重視したい。今回出演してくれるジョディって、すごく体が大きいので、ジャンプひとつとってもすごく大変そうなんですよ。でも僕はその、必死で舞台に立っている姿が見たい。むしろ踊れない人のほうが好きなんです。まあ、ピナのダンスカンパニーの方はめちゃくちゃ踊れるんですけど、僕はそこをうまいこと履き違えて実践しているんです(笑)」今回も大人計画の宮崎吐夢をはじめとして俳優たちが複数参加している。「吐夢さんはお客さんに近い存在、ツッコミ役を担ってもらいます。吐夢さんは本当にいろんなものを見てらっしゃるので、稽古場でも助かることばかりです。劇団桟敷童子の大手忍さんには、座敷童子をやってもらいます。桟敷童子の役者さんって肌で感じるスピードが速くて、迫力がある。異質感のある役柄が合うんですよ」。セリフ、歌、衣裳、セット。ダンサーとは違う動きのキャストたち。スズキの手がける作品は、ダンスを見慣れていない人も楽しめる要素がふんだんに詰まっている。「コンテンポラリーダンスというジャンルが、このままだとなくなってしまう可能性もある、という危機感は感じています。難しい、独特なその人だけの世界観に入っていけない……。でも僕は、ダンスはいろんなことに展開できるものだと思っているんですよ。発想、表現、コミュニケーションって、すべての仕事に必要なものじゃないですか。だから本当にいろんな人に見に来てほしい」『AZUKI』でも、セットを通じてうれしい出会いがあったという。「舞台に使う畳を借りに、畳屋さんに行ったんです。“ダンスに畳?”って不思議がられたので“蚊帳とかちゃぶ台とかも置いて、日本家屋のような空間で踊るんです”と説明したら畳屋さんが“じゃあ時間あったら観に行くよ”って言ってくれたんですよ」。ダンスを単なるパフォーマンスとしてではなく、あらゆる人に関係する実用的なものとして捉えて広げようとしているスズキ。CHAiroiPLINの公演をハイペースで行いながら、ダンスカンパニー・コンドルズにも所属。外部の作品に振付家として参加することも多い。「ふつう演出家同士って一緒に仕事することはないじゃないですか。僕、振付家としていろんな演出家の仕事を間近で見られるし、知らなかった俳優さんと出会うこともできる。すごくラッキーだなと思います」さまざまな活動がすべてダンスに還元していくのだという。「何を踊ろうかな、って常に考えています。いまは古事記にも興味があるし、絵も題材にしてみたい。本当になんでもダンスになるんですよ」。CHAiroiPLIN『おどる童話 AZUKI』は、10月17日(木)から20日(日)まで神奈川県立青少年センタースタジオHIKARIにて上演。取材・文:釣木文恵
2019年10月15日蜷川実花監督と小栗旬がタッグを組み、宮沢りえ、沢尻エリカ、二階堂ふみと豪華女優陣の出演も明らかになった映画『人間失格』。この度、タイトルを『人間失格 太宰治と3人の女たち』に改めることが決定し、併せて衝撃の特報映像とティザービジュアルが到着した。今回到着したのは、小栗さん演じる太宰と、彼を愛する3人の女たちそれぞれの濃密な関係が映し出される特報映像。女たちに「大丈夫。君は僕が好きだよ…」と囁く太宰や、沢尻さん演じる愛人・静子から「赤ちゃんがほしい」と笑顔で迫られたり、二階堂さん演じるもうひとりの愛人・富栄からは、「嘘つき!」と突き飛ばされたりする場面も。一方で、正妻・美知子(宮沢さん)からは「あなたはもっと凄いものが書ける!」と言われ、傑作「人間失格」の執筆のために鬼気迫る表情で机に向かい、そして「死ぬかと思った…」ともらす太宰の姿も映し出される。また、映像と併せて公開されたティザービジュアルでは、赤い唇を拭うセクシーな太宰の姿が。さらに、下部には彼をめぐる“3人の女性たち”のカットも使用されている。なお、本作の劇中音楽は音楽家の三宅純が手掛け、現在作曲中であることも明らかに。仏・パリを拠点とする三宅さんは、ヴィム・ヴェンダース監督作品『Pina/ピナ・バウシュ踊り続けるいのち』をはじめとする映画、広告、舞台などへの楽曲提供など国際的に活躍する日本人音楽家。本作ではそんな音楽にも要注目だ。『人間失格 太宰治と3人の女たち』は9月13日(金)より全国にて公開。(cinemacafe.net)■関連作品:人間失格 太宰治と3人の女たち 2019年9月13日より全国にて公開© 2019「人間失格」製作委員会
2019年03月22日俳優の小栗旬が主演を務める、蜷川実花監督最新映画『人間失格 太宰治と3人の女たち』(9月13日公開)の特報とティザービジュアルが22日、公開された。同作は、小説家・太宰治の遺作にして傑作である『人間失格』の誕生秘話を、小栗演じる太宰自身と彼を愛した3人の女たち(宮沢りえ・沢尻エリカ・二階堂ふみ)の目線から、事実をもとにしたフィクションとして蜷川実花監督が映画化する。天才作家でありながら、酒と恋に溺れた自堕落な生活を送り、自殺未遂を繰り返した果てに、愛人と川に身を投げるという日本中を騒がせた“文学史上最大のスキャンダル”の真相を描く。特報映像は「人間は、恋と革命のために生まれてきた」という太宰の名言から始まり、天才作家として生きる太宰と、彼を愛する3人の女たちそれぞれの濃密な関係が映し出されている。太宰は「大丈夫。君は僕が好きだよ……」と、女たちに甘い言葉を囁き、愛人・静子(沢尻)から「赤ちゃんがほしい」と笑顔で迫られ、もうひとりの愛人・富栄(二階堂)からは、「嘘つき!」と突き飛ばされるダメっぷり。その一方で、正妻の美知子(宮沢)から「あなたはもっと凄いものが書ける!」と叫ばれ、のちに日本最大のベストセラーとなる傑作『人間失格』の執筆のために、鬼気迫る表情で机に向かう。最後には、布団の上に裸で横たわる太宰の頬を静子がつつく、セクシーなシーンも。劇中音楽は、仏・パリを拠点とする音楽家・三宅純が手がけ、現在作曲中であることが明らかに。アカデミー賞にノミネートされたヴィム・ヴェンダース監督作品『Pina/ピナ・バウシュ踊り続けるいのち』をはじめ、映画、広告、舞台、コンテンポラリー・ダンス、ファッション・ショーへの楽曲提供など国際的に活躍し、椎名林檎の依頼に応えたリオデジャネイロオリンピック閉会式での“君が代”のアレンジで注目を集めている。また、ティザービジュアルには、口元についた“赤い何か”を手の甲で拭う、思わせぶりでセクシーな太宰と、彼をめぐる3人の女性たちの姿が写し出された。
2019年03月22日スターダンサーズ・バレエ団による公演「緑のテーブル」が、2019年3月30日(土)・31日(日)に東京・池袋の東京芸術劇場にて行われる。本公演は、2005年以来の再演となる。天才舞踏家ピナ・バウシュの師匠として知られるクルト・ヨースが振付を手がけた不朽の名作「緑のテーブル」は、“緑のテーブル”が置かれた架空の国の国際会議を舞台に、戦争について話し合う身勝手な指導者たちの衝突と、戦争を利用する者の暗躍、そしてそれに振り回される兵士やその家族の葛藤を描く風刺劇。シンプルなステージながら、2台のピアノによる迫力の生演奏と、細部までこだわり抜いた構成が見どころだ。1979年にクルト・ヨースがこの世を去って以来、アンナ・マーカードによって語り継がれてきた本作だが、上演条件が非常に厳しいことでも知られ、世界中で名作と評されながらも、その上演回数は決して多くない。スターダンサーズ・バレエ団も、戦後70年を迎えた2015年に開催を目指していたものの条件が折り合わず、ようやく今回の再演実現にこぎつけたという。【開催概要】スターダンサーズ・バレエ団 公演「緑のテーブル」公演日:2019年3月30日(土)・31日(日)会場:東京芸術劇場プレイハウス台本&振付:クルト・ヨース作曲:フリッツ.A.コーヘン美術:ハイン・ヘックロスマスク&照明:ハーマン・マーカード舞台指導:ジャネット・ヴォンデルサール舞台指導助手:クラウディオ・シェリーノ照明再構成:ベリー・クラーセンピアノ:小池ちとせ、山内佑太<チケット情報>価格:S席 8,000円、A席 5,000円、学生(A席) 2,000円※学生券は25歳までの学生対象(要学生証)/スターダンサーズ・バレエ団のみ取り扱い。※価格は全て税込。全席指定。一般発売:2018年12月18日(火)10:00SDBフレンズ先行販売:2018年12月11日(火)〜13日(木)<同時上演>「ウェスタン・シンフォニー」振付:ジョージ・バランシン音楽:ハーシー・ケイ振付指導:ベン・ヒューズ
2018年12月13日Photo : CARLOTA GUERRERO FOR DIORロンシャン競馬場内の特設テントにて、バレエダンサーたちを従えて2019年春夏 プレタポルテ コレクション ショーを開催したディオール(DIOR)。アーティスティック ディレクター マリア・グラツィア・キウリ(Maria Grazia Chiuri)は、ここ最近特定の女性にスポットを当てながらのクリエーションを行っているが、今シーズンも希代の女性バレエダンサーたち、ロイ・フラー(Loie Fuller)、ルース・セント・デニス(Ruth St.Denis)、イザドラ・ダンカン(Isadora Duncan)、ピナ・バウシュ(Pina Bausch)、マーサ・グラハム(Martha Graham)をイメージソースとしている。19世紀末から20世紀後半まで、様々な時代に活躍し、世界に影響を与えてきたバレエダンサーたちの衣装を思わせるロングシルエットのドレスと、ディオールのコードである「バー」ジャケットのフォルムを組み合わせ、クチュールメゾンならではの高度なテクニックを駆使。プレタポルテでもオートクチュールでもない、しかしそのどちらでもある、というディオールならではの世界観を描いている。チュール素材はマリア・グラツィア・キウリが好んで使用する素材だが、今シーズンはグラデーション状に編んだフィッシュネットドレスや、レースのように編んだシースルードレス、細かなパーツを剥ぎ合わせて優美なボリュームを出したドレスとして登場。インナーには微妙に色の異なるブラやトップスを合わせ、レイヤードのテクニックで奥行きを出しているのが特徴。羽をグラフィカルに刺繡したドレスや、カットしたチュールをアップリケしてモチーフを描いたドレスなど、クチュール的な作品も目を引くが、シンプルかつフェミニンな女神風プリーツドレスやジャージーのワンピースなども秀逸。カッティングとシルエットの美しさが際立ち、クチュールメゾンならではの仕上がりを見せていた。
2018年10月03日ディオール(Diorの2019年春夏ウィメンズコレクションが、フランス・パリで2018年9月24日(月)に発表された。ロンシャン競馬場内ショー会場で、ダンサーが舞う会場は、パリ16区・ブローニュの森の中にあるロンシャン競馬場。“世界で1番美しい”とも言われる競馬場内に、ランウェイショーのために特別な会場が設営された。「ダンス」をクリエーションの起点として今季は、発表方法も斬新。ランウェイに初めに現れたのはモデルではなくダンサーで、パステルカラーの花びらが天から降りしきる中、パフォーマンスを披露。モデルの登場後も、複数のダンサーたちの演技は継続して行われた。ムッシュ・ディオールが愛した「ダンス」を現代につなぐ「ダンス」はディオールと縁が深いもので、ムッシュ・ディオールもダンスを好み、偉大なマーゴ・フォンテインなどを顧客に持っていたという。マリア・グラツィア・キウリは、過去の資料に加えて、ピナ・バウシュなどのコンテンポラリーダンスのヒロインたちの作品群から強いインスピレーションを受けて、新作ピースをデザインしたと語る。コルセットに代わりアンダーウェアを女性に届けるドレス、スーツ、パンツスタイルなど、あらゆるジャンルのウェアが揃っているが、それらを繋ぐのがダンスのエッセンスだ。ダンスの躍動感を表現するように、フリルやタックで広がりを持たせたチュールドレスは、アンダーウェアと組み合わせ。過去の女性たちの味方であったコルセットから、現代女性のために動きやすく、開放的なインナーを提案。ダンサーたちのレッスン着を想起させる、クロスストラップのタンクトップやスパッツ、ボディスーツなどが用意されている。スーツスタイルは、ロゴ入りベルトでウエストマークをし、その品格を保ちながらもモダンにアップデート。ボトムスをクロップドパンツやワイドパンツにチェンジすることで、より自由な身体の動きを提供した。デニムの起用は、ヒップホップの影響から。弾むようなリズムをまだら模様で視覚的に再現し、まだ劇場を出てオフへと戻るダンサーたちの日常をカジュアルウェアを交えることで、詩的に綴っている。ヌードカラー&万華鏡モチーフパレットはヌードカラーを中心に、深みのあるグリーンやネイビーなどをコンビネーション。いくつかのルックでは、それらの色彩に万華鏡のような幾何学的模様が配されているが、それはロイ・フラーが実施した運動学的実験にオマージュを捧げたものだという。モデルたちを飾るのは、ダンサーをまさに想起させるヘアバンド。シューズもダンスシューズにのように足首までリボンが編み込まれたもので、プレキシガラスで仕上げたクリアなヒールが印象的だ。
2018年09月26日『愛と青春の旅立ち』『プリティ・ウーマン』『HACHI 約束の犬』など幅広く活躍し、「この世で最もセクシーな男性」にも選ばれたことのあるリチャード・ギアの主演最新作が、邦題『嘘はフィクサーのはじまり』として日本公開されることが決定した。■ストーリー首相と親しくなるには1足の革靴から!?ニューヨークを牛耳るユダヤ人社会に食い込もうと、自称フィクサーのノーマンは小さな嘘を積み重ねて人脈を広げてきた。ある日、イスラエルのカリスマ政治家エシェルに偶然を装って近づき、高価な革靴をプレゼントする。3年後、首相に就任したエシェルと再会を果たしたノーマンは、“首相のお墨付き”を武器に超大物たちの間で暗躍し始める。しかし過度の“忖度”はさまざまな混乱を巻き起こし、国際紛争に発展しそうな事態を招いてしまう…。■「見たことのないリチャード・ギアにのけぞった」全米メディアが絶賛元祖・二枚目ハリウッドスターが厄介事を引き受けまくる自称フィクサーを怪演し、「見たことのないリチャード・ギアの姿にのけぞった」(ニューヨークタイムズ紙)、「ギア史上最高のパフォーマンス!」(ローリング・ストーン誌)と一流の批評家たちが大絶賛した本作。撮影の1年前から役作りを研究し、歩き方から表情、耳の立ち方(!?)にいたるまで、お調子者だけど憎めないキャラクターを作り上げたというリチャード・ギアの熱演に期待が寄せられている。ノーマンを翻弄する首相役には、 9 月に公開される『運命は踊る』で主演を務めたイスラエルを代表する俳優リオル・アシュケナージ。他にも『クィーン』『パッセンジャー』のマイケル・シーン、コーエン兄弟作品などの個性派スティーヴ・ブシェミ、女検察官役にシャルロット・ゲンズブールなど国際色豊かな俳優たちが脇を固めている。監督は『ボーフォートレバノンからの撤退』と『フットノート』がアカデミー賞外国語映画賞にノミネートされたヨセフ・シダー。『Pina/ピナ・バウシュ 踊り続けるいのち』や、リオ五輪閉会式での「君が代」のアレンジを手がけた三宅純が音楽を担当している。「存在を認められたい!偉い人と繋がって、あわよくば大金を手にしたい!」そんな万国共通の欲望を笑い、自省したくなるブラックすぎる忖度コメディを劇場でぜひ堪能して。『嘘はフィクサーのはじまり』は10月よりシネスイッチ銀座、YEBISU GARDEN CINEMAほか全国にて順次公開。(text:cinemacafe.net)
2018年07月10日国際交流基金アジアセンターと株式会社パルコが2014年に立ち上げた「ダンス・ダンス・アジア~クロッシング・ザ・ムーヴメンツ~」。3月23日の東京公演開始に先立ち、3月15日にはダンス関係者へ向けた公開リハーサルが行われた。DANCE DANCE ASIA チケット情報集まったのはフィリピン、インドネシア、シンガポール、マレーシア、タイ、ベトナム、そして日本のダンサーたち。シアターで展開される彼らのダンスは、そのテクニックはストリートダンスをベースとしながらも、コンテンポラリーや演劇など他のアート分野と驚くべき幸せな邂逅を経て、新たな地平を切り開いている。まさに世界のムーブメントの“今”を感じられるステージとなっている。ラコステ、ディーゼルなどのショーやMV、CMなどの振付を多数手がけるヴィンス・メンドーザの作品は『Hilatas<君を導く光>』。2016年の東京初演以降、海外公演を経て、同名作品を長編化。今回は振付・演出補佐、ドラマトゥルクとしてピナ・バウシュ ヴッパタール舞踊団出身のファビアン・プリオヴィルが参加。リハーサルでは、印象的なリズムラインに導かれ、コンテンポラリー・アート作品としてのヒップホップの可能性を予感させるダンスが展開されていた。ユニクロのTVCMで、世界三大広告賞を含めた23タイトル受賞という快挙を成し遂げた気鋭のクリエイター黄帝心仙人の作品は『宇宙 -Space-』。舞台に設置された透明なドーム型の“宇宙船”の中で繰り広げられる船員達のドラマだ。音楽とダンスの驚くべき雄弁さによって、まるで台詞が聞こえてくるようだ。ストリートダンスのテクニックによって表現されながら、まさに演劇としてのパフォーマンスとなっている。インドネシアのダンス・アイコンとして名高いハムディ・ファバスの作品名は『Soul Train』。ストリートダンスの変遷を辿るショーケース的な構成は、さながらダンス番組『ソウル・トレイン』の“いいとこ取り”。多用されるダイナミックなブレイキングは、まるで舞台を彩る華のように咲き乱れる。ハムディ・ファバスによるストリートダンスの“今”の表現にも注目だ。公演は3月23日(金)から25日(日)の3日間、東京芸術劇場 シアターイーストにて合計4回開催される。各回、3作品全てが上演される。24日(土)、25日(日)の公演終了後には演出家・クリエイターによるアフタートークが決定しており、各回登壇する演出家は異なる。取材・文:yokano
2018年03月22日映画『ミスター・ガガ心と身体を解き放つダンス』が、2017年10月14日(土)より、シアター・イメージフォーラムほか全国の劇場で順次公開される。現代ダンス界の教祖的存在、オハッド・ナハリンの創作の秘密に迫るドキュメンタリーイスラエルを代表するコンテンポラリーダンスカンパニーのバットシェバ舞踏団。本作は、1990年からそのバットシェバ舞踏団で芸術監督・振付家を務めるオハッド・ナハリンを、8年間に渡って長期密着取材したドキュメンタリー映画だ。映画本編は、その人生を振り返る貴重な資料映像と、代表的な公演の記録映像を数多く使用したダンスシーンとで構成。「GAGA(ガガ)」と呼ばれる独自の身体能力開発メソッドを考案し、現代人の身体感覚や直感的な感性を目覚めさせてきた彼の創作の秘密に迫る。天才舞踊家、ピナ・バウシュのドキュメンタリー映画を監督したヴィム・ヴェンダースも絶賛世界の舞台芸術に多大な影響を与えた天才舞踊家、ピナ・バウシュの人智を超えた身体表現を最新技術で捉えたドキュメンタリー映画『Pina/ピナ・バウシュ 踊り続けるいのち』を監督した名匠ヴィム・ヴェンダースも、「この映画にやみつきだ。映画が終わるころには、まだまだ見たいという気持ちになる。そしてそう思った瞬間、自分の身体が動きだす…」と本作を評価している。また、女優のナタリー・ポートマンも「オハッドが映画監督をスタジオに入れる許可を出したなんて、とてもエキサイティング。この映画は多くの人々にとって素晴らしい体験になると思います。スタジオの中に入れるだけでなく、オハッドの心の中にも入り込めますから」とコメント。なお、彼女は本作の出演者としてもクレジットされている。公開と同時期に来日公演もさらに、映画内にも登場する演目の来日公演「LAST WORKーラスト・ワーク」が、埼玉・福岡・愛知・滋賀で開催決定。ひたすら走り続ける人、祈る人、つるむ人々、囚われる人、逃げる人…オハッド・ナハリンとバットシェバ舞踏団の驚異的なダンサー18人が現代に向けた強烈なメッセージを表現した本公演も、是非映画と合わせて鑑賞してみてはいかがだろう。作品情報映画『ミスター・ガガ心と身体を解き放つダンス』公開日:2017年10月14日(土)監督:トメル・ハイマン製作:バラク・ハイマン音楽:イシャイ・アダル出演:オハッド・ナハリン、ナタリー・ポートマン、マーサ・グラハム、モーリス・ベジャール、マリ・カジワラほか原題:MR.GAGA■来日公演バットシェバ舞踏団/オハッド・ナハリン「LAST WORKーラスト・ワーク」公演日・場所:2017年10月28日(土)・29日(日) 彩の国さいたま芸術劇場(0570-064-939)2017年10月31日(火) 北九州芸術劇場(093-562-2655)2017年11月3日(金・祝) 愛知県芸術劇場(052-971-5609)2017年11月5日(日) 滋賀県立芸術劇場びわ湖ホール(077-523-7136)
2017年08月09日“レディ・ガガ”ならぬ“ミスター・ガガ”こと、コンテンポラリーダンス界の教祖的存在、オハッド・ナハリンに密着したドキュメンタリー映画『ミスター・ガガ心と身体を解き放つダンス』が10月14日(土)より公開されることが決定。併せて、本作のメインビジュアルも公開された。イスラエルを代表するコンテンポラリーダンスカンパニーのバットシェバ舞踊団。本作は、1990年から芸術監督・振付家を務めるオハッド・ナハリンに8年間に渡って長期密着取材したドキュメンタリー映画となっており、その人生をふり返る貴重な資料映像と、代表的な公演の記録映像を数多く使用したダンスシーンとで構成されている。また、「GAGA(ガガ)」と呼ばれる独自の身体能力開発メソッドを考案。現代人の身体感覚や直感的な感性を目覚めさせてきたその世界に肉迫し、本作を通して「ミスター・ガガ」と呼ばれるオハッド・ナハリンの創作の秘密が明らかにしていく。本作を観賞した女優、ナタリー・ポートマンは、「オハッドが映画監督をスタジオに入れる許可を出したなんて、とてもエキサイティング!この映画は多くの人々にとって素晴らしい体験になると思います。スタジオの中に入れるだけでなく、オハッドの心の中にも入り込めますから」と絶賛し、『Pina/ピナ・バウシュ踊り続けるいのち』の監督ヴィム・ヴェンダースも、「この映画にやみつきだ。映画が終わるころには、まだまだ見たいという気持ちになる。そしてそう思った瞬間、自分の身体が動き出す…」とコメントしており、最高にエキサイティングなダンスドキュメンタリーとなっていることは間違いないようだ。なお、今回公開と同時期に待望の来日公演「バットシェバ舞踊団/オハッド・ナハリン『LAST WORK―ラスト・ワーク』」の上演が決定。オハッド・ナハリンの豊かな知性と感性が、バッドシェバ舞踊団の驚異的な18人のダンサーたちと挑戦した、現代へのひそやかで強烈なメッセージ。ひたすら走り続ける人、祈る人、つるむ人々、囚われる人、逃げる人…見る者の想像を喚起し、謎めいた物語が浮かび上がる本公演。ぜひこちらもチェックしてみて。『ミスター・ガガ心と身体を解き放つダンス』は10月14日(土)よりシアター・イメージフォーラムほか全国にて順次公開。(cinemacafe.net)
2017年08月06日ヴィム・ヴェンダース最新作、映画『アランフエスの麗しき日々』が2017年12月16日(土)より全国順次公開される。原作となる戯曲はペーター・ハントケの「アランフエスの麗しき日々 夏のダイアローグ」。名作『ゴールキーパーの不安』や脚本を手掛けた『ベルリン・天使の詩』などに続き5本目のコラボレーション作品となる。『アランフエスの麗しき日々』ではヴェネチア国際映画祭コンペティション部門正式出品。「生涯で初めて100%自分の思いのままに撮り上げた映画」とヴェンダースは語る。『Pina/ピナ・バウシュ 踊り続けるいのち』など、近年はドキュメンタリーの発表が目立ったヴェンダース。今回は、ほとんどキャストが登場せず、2人の男女の会話でストーリーが進んでいくユニークなスタイルで撮った。原作の副題に「夏の対話」と表現されているように、全編にわたり、女と男が織りなす対話で映画が構成されている。ある柔らかい風が吹く麗しい夏の日、目の前には広々とした平原が広がり、その遠くにはパリのシルエットが見える木陰のテラスというシュチュエーションだ。会話の内容とは次のようなもの・性的体験・子供時代・記憶・夏の本質・男と女の違い・女性的な視点と男性的な認識についてまるで決闘あるいはQ&Aゲームのように会話が交わされていくそう。なお、ヴェンダースにとって初のフランス語作品であることも見どころの1つと言える。『アランフエスの麗しき日々』あらすじ木々の間を吹き抜ける涼風が木漏れ日を揺らす夏の午後、小高い丘の上の一軒家。足下に広がる田園風景の遠くに、パリの街並みがおぼろげに見え、 庭の木陰に置かれたテーブルをはさんで座る一組の男女が、最初はためらいがちに、長い対話を始める。性的体験、子供時代の思い出、それぞれの記憶、夏の本質、男と女の違いについて...。ときにゲームのように激しく言葉が応酬し、ときに長いモノローグや間、静寂へと変容する。庭に向かって大きく開け放たれた扉の奥の書斎には、タイプライターを前に、作家がひとり、庭を見つめながら座っている...。作品情報映画『アランフエスの麗しき日々』公開日:2017年12月16(土)より、YEBISU GARDEN CINEMAほか全国順次公開原題:Les BEAUX JOURS d’ARANJUEZ監督ヴィム・ヴェンダース監督・脚本:ヴィム・ヴェンダースキャスト:レダ・カテヴ、ソフィー・セミン、イェンス・ハルツ、ニック・ケイヴ原作:ペーター・ハントケ『アランフエスの麗しき日々 夏のダイアローグ』(論創社)製作年:2016年/製作国:フランス、ドイツ、ポルトガル言語:フランス語、ドイツ語、英語字幕翻訳:松岡葉子配給:オンリー・ハーツ
2017年06月23日“時間”と“空間”という制約を設け、世界で活躍する“表現者”たちが、いま伝えたい「何か」を自由に表現するミニ枠新番組「白の美術館」が、4月5日(水)より毎週水曜日テレビ朝日にて放送決定。本番組のオープニングを飾るのは、女優・宮沢りえとデザイナーの山本耀司であることが分かった。世界で活躍する“表現者”たち。彼らはいま何を考え、どんな未来を見ているのか――。本番組が用意するものは、壁も天井も真っ白で無機質な部屋。そこへ様々な分野で活躍する“表現者”が毎回1組やってくる。表現者に与えられるタイムリミットは“1時間”。表現のために必要なものは、表現者自身が部屋に持ち込み、自由に表現。文字を書く者、ダンスを踊る者、詩を口ずさむ者、印象的だった出来事を淡々と話す者、楽器を演奏する者…“表現”の方法は実に人それぞれ。表現者はこの白い部屋で内なるものを全て出し切り、真っ白にリセット。その様子を観察していく。様々な分野で活躍する表現者が続々登場予定の本番組。4月5日(水)の初回放送と翌週12日(水)のオープニングを飾るのは、「第40回日本アカデミー賞」にて『湯を沸かすほどの熱い愛』で最優秀主演女優賞を受賞した宮沢さん。そして、19日(水)&26日(水)には、山本さんが登場する。1981年に「ヨウジヤマモト(Yohji Yamamoto)」ブランドでパリコレクションに初参加し、黒を基調とした新しい概念の女性服で“黒の衝撃”と称され世界に衝撃を与え、ワーグナーオペラや北野武監督の映画、ピナ・バウシュが芸術監督を務めたヴッパタール舞踊団の衣装を担当する世界的デザイナーの山本さん。“黒”のイメージがあるデザイナー・山本さんが白い部屋で何を“表現”するのか?期待が高まる。さらに、本番組はBS朝日で連動番組も放送スタート。限られた時間では伝えきれない創作の裏側や表現者の思い、日常を追うなど、“表現者のいま”をより立体的に描くという。初回の17日(月)には宮沢さん、5月1日(月)には山本さんが出演する。出演する表現者のポートレートは、木村伊兵衛写真賞、フランス芸術文化勲章シュヴァリエ、パリ市芸術大賞を受賞し、世界的に活躍を続ける写真家の田原桂一が毎回番組のために撮り下ろし。また番組テーマ曲は、ピナ・バウシュ、ヴィム・ヴェンダース作品への楽曲提供をはじめ、世界的賞賛を浴びたリオデジャネイロオリンピック閉会式の「君が代」のアレンジも記憶に新しい作曲家の三宅純が手掛けるなど、世界で活躍する一流の表現者たちが番組を支える。「白の美術館」は4月5日(水)より毎週水曜日23時10分~テレビ朝日ほかにて放送。連動番組は17日(月)より第1・3月曜日23時~BS朝日にて放送。(cinemacafe.net)
2017年03月27日ドキュメンタリー作品『Pina/ピナ・バウシュ 踊り続けるいのち』で3Dの可能性を進化させた巨匠ヴィム・ヴェンダース監督の7年振りの劇映画『誰のせいでもない』。このほど、11月12日(土)からの公開を前に、主演を務めたジェームズ・フランコがヴェンダース監督との仕事や豪華共演陣について、たっぷりと語るインタビュー動画がシネマカフェに到着した。舞台は、カナダ・ケベック州モントリオール郊外。作家のトマス(ジェームズ・フランコ)は恋人サラ(レイチェル・マクアダムス)と暮らしているが、仕事がうまくいかずその関係はぎこちない。ある大雪の日、車を走らせていたトマスは、目の前に飛び出してきた何かに驚き、急ブレーキをかける。そこには車の前で虚ろに座り込んでいる幼い少年がいた。幸い怪我もなく、ほっとしたトマスが彼を家まで送ると、母ケイト(シャルロット・ゲンズブール)は息子の姿を見て半狂乱になる…。トマス、恋人のサラ、編集者のアン(マリ=ジョゼ・クローズ)、そして少年の母ケイト。誰のせいでもない1つの事故が、1人の男と3人の女の人生を変えてしまうーー。本作は、ある雪の日に不可抗力で起こった交通事故をきっかけに、1人の男と3人の女の運命が変わっていく12年間を描いたドラマ。「人物の心の深い奥こそ3Dで語るにふさわしい」と語るヴェンダース監督が、俳優たちの表情や内面を、ロードムービーの名手らしく風景のランドスケープのように、かつ緊張感たっぷりに映し出している。今回到着したインタビュー動画からは、フランコが、ヴェンダースが作りあげようとする世界に対して入念な準備をした上で、ヴェンダースと現場で丁寧に作り上げていった様子が伺える。出演作は監督で決めるという彼は、ヴェンダースの作品だからこそ本作への出演を決め、かつ映画が描く物語にも関心があったと出演理由を語る。脚本を読み、ほかの多くの映画と比べて「原因と結果の描写が繊細」で「物語の展開が重要ではなく登場人物の人生を紹介するような作品」だと感じながら、監督が求めるトマス像をイメージして撮影に臨んだことを明かす。その結果、フランコは初日から監督の要求をすぐに理解し、また監督もフランコの演技について修正しなかったという。「彼の提案は全て気に入った」とフランコが言うように、彼の要求にはたいてい納得し、お互い理解できた上で撮影が進み、とてもテイク数が少ない現場だったとふり返っている。自身も映画監督でもあるフランコだからこそ、脚本からヴェンダースの意図を的確にすくい上げることができたのかもしれない。そのほか、映像では、彼が演じたトマスを取り巻く3人の女性のキャラクターとの関わりや、映画のテーマのひとつでもある“罪悪感”、またヴェンダースが挑戦した3Dについても言及。ヴェンダースとの出会いは、フランコにとって素晴らしいものになったのは間違いなさそうだ。『誰のせいでもない』は11月12日(土)よりヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国にて順次公開。(text:cinemacafe.net)
2016年11月04日『パリ、テキサス』『ベルリン・天使の詩』などの名作や、『ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ』『Pina/ピナ・バウシュ 踊り続けるいのち』などの大ヒット・ドキュメンタリーで知られる巨匠ヴィム・ヴェンダースの、7年振りの劇映画『誰のせいでもない』が、11月12日(土)より公開される。このほど、ジェームズ・フランコ、シャルロット・ゲンズブール、レイチェル・マクアダムスら、豪華実力派キャストが競演する本作の日本版予告編が解禁となった。カナダ、ケベック州モントリオール郊外。作家のトマスは恋人サラと暮らしているが、仕事がうまくいかず、その関係はぎこちない。ある大雪の日、車を走らせていたトマスは、目の前に飛び出してきた何かに驚き、急ブレーキをかける。そこには車の前で虚ろに座り込んでいる幼い少年がいた。幸い怪我もなく、ほっとしたトマスが彼を家まで送ると、母ケイトは息子の姿を見て半狂乱になる…。この誰のせいでもない1つの事故が、トマス、恋人のサラ、編集者のアン、そして少年の母ケイト、1人の男と3人の女の人生を変えてしまう――。昨年のベルリン国際映画祭において、金熊名誉賞を受賞したヴェンダース監督が、7 年ぶりに手がけた待望の新作劇映画となる本作。主人公の作家トマスを演じるのは、『127時間』『スプリング・ブレイカーズ』や、スティーヴン・キング原作×J.J.エイブラムス製作ドラマ「11/22/63」のジェームズ・フランコ。トマスがひき起こした事故に息子が巻き込まれる母親には、伝説の『シャルロット・フォー・エヴァー』から近年はラース・フォン・トリアー作品で大胆な演技を見せるシャルロット・ゲンズブール。トマスに別れを告げられる恋人サラには、『スポットライト 世紀のスクープ』でアカデミー賞にノミネートされたレイチェル・マクアダムス。フランコに惹かれていく編集者アンには、『みなさん、さようなら』『潜水服は蝶の夢を見る』のカナダ女優マリ=ジョゼ・クローズが扮している。到着した予告編では、冒頭からヴェンダースのこれまでのフィルモグラフィーが紹介され、あらためて偉大な監督であることを実感させる。それに続く、真っ白な雪に包まれた街を、走る車。そして急ブレーキ。この映像の連なりを見るだけでも、緊張が高まってくる。『Pina/ピナ・バウシュ』で3D の可能性を進化させたヴェンダースが、3D作品として撮影した本作は、日本では2Dと3Dでの上映が予定されている。「人物の心の深い奥こそ3Dで語るにふさわしい」と語るヴェンダースの言葉通り、俳優たちの表情や内面をランドスケープのように映しだす手法は、新たな3D映画の傑作誕生を予感させている。『誰のせいでもない』は11月12日(土)よりヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国にて順次公開。(text:cinemacafe.net)
2016年09月13日ストレスが溜まっているとき、どんな本がおすすめ?本好き有名人のタレント・壇蜜さん、映画監督・山戸結希さん、書評家・藤田香織さんに“ストレスが溜まっているときに読む本”を選んでもらいました。もやもやとしたこの想いを晴らすには、スカッとした気持ちになれる小説や、しなやかな生き方を見せてくれる本で活を入れよう。予防薬に、絡んだ糸をほぐすような詩集もそばに置いて。≪壇さんおすすめ!≫■『ポケット詩集』田中和雄 編宮沢賢治、与謝野晶子、茨木のり子、長田弘、新川和江ら、そうそうたる詩人の名作を収録。美しい言葉たちが、人生のさまざまな場面で心にそっと寄り添い、背中を押してくれる。「この世が、『少年のポケットにはナイフではなく詩集を』という編者の田中和雄さんの願い通りになってほしいと思うばかりです。詩のある暮らしは、苛立ちを和らげ、いさかいを抑止すると信じて生活しております」。童話屋1250円≪山戸さんおすすめ!≫■『ピナ・バウシュ怖がらずに踊ってごらん』ヨッヘン・シュミット谷川道子 訳世界的な舞踊家ピナ・バウシュの主題と作品、そして人生を、あますところなく伝える決定版の評伝。「美しい踊りは、天国の象徴だと思わされます。そして、どうして人は命を削ってまで踊るのかという問いは、どうして人は愛されたいと請い願うのかという問いにも繋がっているのです。すべての人は、表現者だと気づかされます。この肉体を持ったまま、天国を夢見るような」。フィルムアート社2000円≪藤田さんおすすめ!≫■『大脱走』荒木 源知らずにブラック企業に入ってしまった片桐いずみ。入社から3年、彼女のもとに、とんでもなくやる気のない新人の部下が配属されて…。「ブラック企業でボロ雑巾のように働く主人公が、あることを機に進むべき道を見つめ直します。無理、無謀、無責任極まる勤務先や、超絶マイペースな新人に、ムカムカしつつ、抜群のあるある感が楽しめます。仕事の対人関係でストレスフルな人には明日の活力になるはず」。小学館1400円■『この世にたやすい仕事はない』津村記久子燃え尽き症候群のようになり、きつい前職を辞めた36歳の女性主人公。異なる5つの仕事を経て、自分と仕事との健全な関係を取り戻すまでを描いた、お仕事モノ連作短編集。「今の仕事をいつまで続ける?私の人生、このままでいいの?っていうか、もう正直働きたくない!などなど、仕事についての苛々鬱々に効果絶大。“仕事”と“私”の距離感を考えるいいきっかけにも!」。日本経済新聞出版社1600円◇だんみつタレント。『オール讀物』(文藝春秋)に掲載した「光ラズノナヨ竹」で、小説家デビュー。著書に『どうしよう』(小社刊)、『壇蜜日記』(文春文庫)などがある。「本は、打ち解けるまで時間がかかる友人です」◇やまと・ゆうき映画監督。乃木坂46 のシングルMVを手がけるなど、注目の新鋭。小松菜奈・菅田将暉主演の最新作『溺れるナイフ』が11月公開。「本は私にとって、世界を映すカメラのレンズを増やしてくれるものです」◇ふじた・かをり書評家、エッセイスト。著書に『だらしな日記』シリーズ、杉江松恋氏との共著『東海道でしょう!』(共に幻冬舎文庫)、『ホンのお楽しみ』(講談社文庫)など。ツイッター@daranekos※『anan』2016年6月15日号より。写真・多田 寛(DOUBLE ONE)文・熊坂麻美
2016年06月08日ヴィム・ヴェンダースが『Buena Vista Social Club: Adios』の製作総指揮を務めることになった。ヴェンダースが監督と脚本を兼任した1999年のドキュメンタリー映画『ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ』の続編。1作目から20年が経過し、キューバとアメリカの国交が回復した2015年、このバンドがどう変わったのかを描くものだという。撮影はすでに始まっている。監督はルーシー・ウォーカー。その他の情報『ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ』はオスカーのドキュメンタリー部門にノミネートされ、サウンドトラックも爆発的に売れた。ヴェンダースは『Pina/ピナ・バウシュ 踊り続けるいのち』『セバスチャン・サルガド/地球へのラブレター』でも同部門にノミネートされている。文:猿渡由紀
2015年09月16日オダギリジョーが主演する、1920年代よりフランスを中心に活躍した日本人画家・藤田嗣治の半生を描いた『FOUJITA』が、11月14日(土)より角川シネマ有楽町、新宿武蔵野館ほか全国にて公開することがこのほど決定した。1920年代、「乳白色の肌」で裸婦を描き、エコール・ド・パリの寵児となっていたフジタ。戦争を機に日本に戻り、数多くの「戦争協力画」を描いて日本美術界の重鎮に上りつめていく。5番目の妻である君代と疎開先の村で敗戦を迎えることになるが――。『死の棘』で第43回カンヌ国際映画祭審査員特別グランプリと国際批評家連盟賞をダブル受賞し、『泥の河』『伽椰子のために』『眠る男』など、海外で高い評価を得ている小栗康平監督が10年にメガホンをとる本作。主人公である画家・藤田嗣治役を、演技派俳優・オダギリジョーが演じる。韓国の鬼才キム・ギドク監督の『悲夢』など、海外作品への出演も目覚ましいオダギリさんだが、本作で初めての欧州進出。共演は、『嫌われ松子の一生』『縫い裁つ人』の中谷美紀や、『永遠の僕たち』『自由が丘で』の加瀬亮、小栗監督作『死の棘』に出演した岸部一徳ほか、フランスの人気の俳優らも顔を揃えている。フランス側のプロデューサーは、『アメリ』や『Pina/ピナ・バウシュ 踊り続けるいのち』を手掛けるクローディー・オサールが務める。タイトルの『FOUJITA』は、本作の主人公である藤田嗣治の“フジタ”のフランス語表記。1913年、フジタは27歳で単身フランスへ渡り、1920年代前半に発表した「ジュイ布のある裸婦」(寝室の裸婦キキ)を始めとして、“乳白色の肌”と称された裸婦像が絶賛を浴び、エコール・ド・パリの寵児となり、社交界の人気者となった。1940年、第二次大世界大戦でパリがドイツ軍の手に落ちる寸前に、帰国。戦時の日本では「アッツ島玉砕」ほか数多くの“戦争協力画”を描いたことで、戦後に戦争責任を問われ日本を去る。その後、フランスに帰化し、カソリックになって洗礼名としてレオナール・フジタを名乗る。フジタは戦後、二度と日本には戻らなかった。小栗監督は、「パリの裸婦は日本画的といってもよく、日本での“戦争協力画”は西洋の歴史画に近い。『大東亜の理想』が叫ばれていたときである。これをフジタの"ねじれ"ととるか、したたかさ、ととるか、掘り下げるべきテーマは深い。」と語り、フジタが生きた二つの時代、二つの文化の差異に注目したという。小栗監督の静謐な映像美と共に描かれるフジタの半生。猛特訓して撮影に挑んだというオダギリさんのフランス語にも注目してみて。『FOUJITA』は、11月14日(土)より角川シネマ有楽町、新宿武蔵野館ほか全国にて公開。(text:cinemacafe.net)
2015年06月10日『ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ』や『Pina/ピナ・バウシュ 踊り続けるいのち』など、数々の傑作ドキュメンタリー映画を手掛けてきた巨匠ヴィム・ヴェンダースの最新作『セバスチャン・サルガド/地球へのラブレター』より、このほど予告編映像が解禁となった。本作は、ヴィム・ヴェンダースとジュリアーノ・リベイロ・サルガドの二人が共同監督として制作。写真家の顔も持つヴィム・ヴェンダースは、もともとサルガドの写真作品を2枚所有しているほどのファンであり親交もあったことから、セバスチャン・サルガドの長男ジュリアーノがすすめていた本作に参加することになった。ブラジル出身の写真家セバスチャン・サルガドは、30代で写真を撮り始めて以来40年間、世界中を飛び回り、何年も要するプロジェクト作品を数多く発表してきた。モノクロを基調とする彼の作品は常に人間を捉え、死、破壊、腐敗といった根源的なテーマが扱われ、それらは写真と呼ぶにはあまりにも美しく、荘厳であるがゆえに、サルガドは“神の眼”を持つ写真家とも呼ばれている。彼は、2004年から「Genesis(ジェネシス)」プロジェクトを開始。地球上の最も美しい場所を求め、ガラパゴス、アラスカ、サハラ砂漠など12か国余りで撮影された作品は、熱気球から撮られた水牛の群れ、遊牧民のネネツ族のシベリア横断、サンドイッチ諸島での“ペンギンの楽園”など、生と死が極限に交わる、誰も見たことがない圧巻の風景が写し出されている。本作ではこのプロジェクトに同行したサルガドの息子ジュリアーノとヴェンダースの2人のクリエイターの視点から、唯一無二の写真家の足跡を解き明かしていく。今回公開となった予告編では、長年サルガドが取り組んできた労働、貧困、紛争などの写真プロジェクトから自然環境保護を謳いあげた最新プロジェクト「GENESIS」までの道のりを、家族との関係を含めて描かれている。難民や移民、厳しい労働に従事する者たちを写し取りながら、神話的とも評されるサルガドの写真世界を存分に映像として表現したドキュメンタリーに仕上がっていることが窺える。“神の眼”を持つと称されたサルガドがフィルムに刻んだ風景の数々。まずはこの映像から、彼が捉えた地球上で最も美しい場所を目撃してみて。『セバスチャン・サルガド/地球へのラブレター』は、8月1日(土)よりBunkamuraル・シネマほか全国にて公開。(text:cinemacafe.net)
2015年05月29日3月下旬の桜の季節、ドーバー ストリート マーケット ギンザ(DOVER STREET MARKET GINZA、DSMG)3周年を祝し、5階のシモーネ ロシャ(Simone Rocha)スペースに無数の花が咲いた。デザイナーのシモーネ・ロシャ自身が手掛けた “狂乱の花(MAD FLOWER)”だ。その花はシモーネ ロシャ15SSシーズンで発表されたシノワズリのような赤のフラワープリントアイテムに用いられているコサージュと同じテクスチャー。フェイクだが、匂い立つほどに瑞々しく、そして狂おしい。15SSコレクションは黒、フラワープリント、白とはっきりしたシーンで構成。それぞれに共通するのは“花のモチーフ”だ。「今シーズンは花を様々な方法で見せたかった。ブロケード、プリント、コサージュ、チュールに刺繍、クロシェレース……。コレクションはダークな悲しみで始まり、狂ったように花が咲き乱れ、清純無垢で終わるの」とシモーネ。インスピレーション源は、ドイツのダンスカンパニー「ピナ・バウシュ ヴッパタール舞踊団」の公演。伝説的ダンサーであるピナはデザイナー・山本耀司のミューズとして有名だが、2009年に鬼籍に入った後もロンドンを代表する若きデザイナーを魅了したようだ。シモーネは2012年、世界のメガロポリスをモチーフとした演目「World Cities」を鑑賞し、“香港”をテーマとした「Der Fensterputzer(窓清掃人)」に感銘を受けたという。そのステージには、まるで華道家・中川幸夫の作品「魔の山」のように漆黒の舞台に真紅の花弁が山のように積もる。「パフォーマンスの動き、感情、そして何より花の山に感銘を受けたの。愛と喪失を感じたわ」シモーネは2年前のDSMG1周年の時も来日し、花を用いたインスタレーションを行っている。その時は生花のあじさいやミモザが彼女の13SSコレクションに華やぎを添えた。2月に発表された15-16AWコレクションでは現代美術家、ルイーズ・ブルジョワの作品からインスパイアされた一見花弁のような形が用いられている。人の顔を覆った花のモチーフもチュールに刺繍として描かれた。彼女はフラワーモチーフを多用するのだ。「抽象的な形が好きなのかも。花はそれぞれ形や色の染まり具合が違うし、粉が吹いていたりとテクスチャーも異なる。人工的でなく、オーガニックなところに惹かれるわ」デザイナーをしていなかったら花屋になっていたかもしれないというシモーネ。好きな花との問いに、「Peony rose」と返ってきた。落ちるほどに大振りなバラだ。クラシックでワイルドなところが気に入っているという。「まだコレクションには使っていないけどね。花は春夏秋冬それぞれのシーズンに合わせ、芽が吹き、開花し、そして枯れる。まるでファッションのようね」ロマンティックな中にどこか毒気があるシモーネ ロシャの服。ロンドンコレクションを牽引する彼女のクリエーションは大輪のバラのような芳香を放っている。
2015年04月02日日本を代表する世界的デザイナー山本耀司のデザイナーとしての足跡をたどる新刊「山本耀司。モードの記録。」(2,835円)が、1月24日文化出版局より発売となった。本書は、文化出版局の雑誌「装苑」「ハイファッション」「ミスター・ハイファッション」の3誌で長年取材、掲載してきた、山本耀司の膨大な記事の中から、テーマを厳選し再構成したものが中心。山本耀司の長年のファンの方はもとより、ファッションを学ぶ人や、クリエイティブな仕事の現場にいる人にも、クリエーションとは何かを、上質で美しい写真とテキストでインスピレーションをもたらしてくれるおすすめの一冊に仕上がっている。トピックスの中には、1991年に東京で開催された「コム デ ギャルソン(COMME des GARÇONS)」との合同ショー「6・1 THE MEN」やパリコレでのバックステージ写真、ヨウジヤマモトの30年間の全コレクションアーカイブの他、ヨウジヤマモトを着る男たちとして、西島秀俊、伊勢谷友介、大沢たかお、市川海老蔵、吹越満ら9人の旬な男たちも登場。また山本里美との対談、ヨウジヤマモトを着たピナ・バウシュのポートレートなど貴重な記録に加え、現在の山本耀司がクリエーションと社会についての思いを語った約1万字の最新インタビューなどが、240ページに渡って展開される。(text:Miwa Ogata)
2014年01月28日名匠ヴィム・ヴェンダースが、2009年にこの世を去った天才舞踊家ピナ・バウシュが遺した軌跡を捉えたドキュメンタリー『Pina/ピナ・バウシュ 踊り続けるいのち』のブルーレイ/DVDが24日(金)にリリースされる。コンテンポラリー・ダンスの世界を、ドイツの映画作家が撮影した本作。撮影現場では最新のデジタル技術が駆使されていたようだ。その他の写真本作は、舞踊界、演劇界に多大な影響を与えたピナ・バウシュの世界を捉えた作品で、ブルーレイ/DVDは2Dでの収録だが、劇場公開時はデジタル3Dで上映され、大きな話題を呼んだ。さらにヴェンダース監督はピナの作品を、ダンサーしか見ていなかった視点、さらに観客もダンサーも見たことのなかった視点から捉えることに力を注ぎ、その映像美に多くの賛辞が寄せられた。このほどリリースされるブルーレイ/DVDの特典ディスクに収録されているメイキング映像には、ヴェンダース監督らスタッフが、ダンサーたちのパフォーマンスを収録する場面が登場する。現場に持ち込まれたのは最新のデジタル3Dカメラと、微妙な動きまで実現可能な撮影用クレーン、そして小型軽量カメラだ。彼らは、通常の映画撮影のようにカット毎にカメラを止めることをせずに、ダンサーたちに舞台と同じように演じてもらい、クレーンを用いてカメラをステージ上で動かしてダンサーの目線を記録し、さらに自在に操作することで、まだ誰も見たことのなかった視点からピナの芸術を記録した。また、ソニー製の最新カメラHDC-P1を手にしたクルーがダンサーたちに肉薄することで、客席からは見られなかった細やかな表情や、身体の動きを捉えることに成功している。フィルムカメラは物理的な制約から1度に20分ほどしか連続して撮影することができない。しかし、ヴェンダース監督は長時間撮影できるデジタルカメラの特徴を活かして、ダンサーたちの緊張感や感情を途切れさせることなく、ピナの芸術を映像化した。本作は、公開時に映像の美しさについて言及する記事や感想が多く出たが、その秘密と舞台裏はブルーレイ/DVD収録のメイキング映像で存分に堪能できる。『Pina/ピナ・バウシュ 踊り続けるいのち』コレクターズ・エディションブルーレイ 6825円(税込)DVD 5985円(税込)8月24日(金)発売発売元:ギャガ 販売元:ポニーキャニオン
2012年08月22日名匠ヴィム・ヴェンダースが、2009年にこの世を去った天才舞踊家ピナ・バウシュが遺した軌跡を捉えたアート・ドキュメンタリー『Pina/ピナ・バウシュ 踊り続けるいのち』のブルーレイ/DVDが24日(金)にリリースされる。公開時は“アート映画”でありながら“3D映画”として注目を集めた作品だ。その他の写真本作は、舞踊界、演劇界に多大な影響を与えたピナ・バウシュの世界を捉えたドキュメンタリー。ブルーレイとDVDは2Dでの収録となるが、ヴェンダース監督がこだわり抜いた撮影によって、これまで客席では観ることのできなかった視点から、稀代の舞踊家ピナ・バウシュの世界を堪能できる。また、ソフト化に際して未公開シーンを特典として収録。劇映画や通常のドキュメンタリーの削除・未公開シーンは、前後の流れを断ち切られた“映像”でしかないが、ダンス・パフォーマンスを捉えた本作の未公開シーンは、上映時間の都合で収められたなかった“作品”として観ることのできるクオリティの高いものが揃っているという。劇場公開時は、ダンス愛好家だけでなく、一般の映画ファンからも好評を集めた本作だけに、ソフト化を機にさらに幅広い観客から支持を集めるのではないだろうか。『Pina/ピナ・バウシュ 踊り続けるいのち』コレクターズ・エディションブルーレイ 6825円(税込)DVD 5985円(税込)8月24日(金)発売発売元:ギャガ 販売元:ポニーキャニオン
2012年08月13日2009年に急逝し、世界中のファンの悲しみを誘った舞踊家ピナ・バウシュ。その軌跡を映像と音楽で綴る、『ピナ・バウシュトリビュート特別追悼公演』が、6月30日(土)、ピナの命日に新宿文化センターで行われる。生前ピナと親交を持ち、追悼公演に出演が予定されている作曲家、三宅純に公演の見どころとピナ・バウシュの魅力について話を訊いた。「ピナ・バウシュトリビュート」チケット情報以前からピナのファンであったという三宅は、2004年頃、ヴッパタール舞踊団の音楽監督から楽曲提供の依頼があり、その年に来日したピナと出会ってから交流が始まった。今年2月に公開された映画『Pina/踊り続けるいのち』では、ピナが2006年に発表した舞台『フルムーン』の中で、三宅の楽曲『Lilies of the valley』が映画の象徴のように使用されている。ピナが作品を創る制作過程は「何が完成するのかわからない刺激的なものだった」と三宅は語る。「ピナは山のような質問をダンサーに浴びせて個性を引き出し、最終的に編集します。ダンサーとの対話に時間をかけるため、身体表現が固まるのは初日ギリギリで、それまでは音楽がついていないことがほとんどです」。三宅はリハーサルを見ること無く、カンパニーサイドからの簡単なキーワードとヒントを基に楽曲を作ったこともあるそうだ。それでも「ピナとコラボレーションができるのは嬉しかった」と当時を振り返って話す。三宅から見たピナの素顔は「物静かで多くを語りませんが、その目はいつも人を見通すように見ていました。彼女の作品は人の魂を裸にするようなもので、言葉では表現できない感覚や感情を(舞台を通して)伝えられる稀有な表現者だと思います」と穏やかな口調の中にも、ピナへの深い思いが伝わってきた。ピナ・バウシュの命日に、来日公演で使われていた新宿文化センターで開催される追悼公演。「音楽の捧げものとしてピナに届くような、コンサート単体として成立するものを考えています。映画のエンディングロール『The here and after』を歌っているリサ・パピノーも出演します。前半はレアなフィルム、できればピナ本人のダンスが観られるものを選んで上映したいと思っています」と公演への意気込みを語った。その生涯をかけて、言葉を要さない芸術を追求してきたピナ・バウシュ。知られざる彼女の姿が見られる特別な公演となるだろう。取材・文:高橋恭子
2012年04月26日