7月2日、コピーライター・野澤幸司さんによる書籍『問題未満』が発売されました。同書の著者である野澤幸司さんは、「渋谷がつらい=老いを実感すること」「なるほどですね=何の関心もないこと」など、日常生活で感じた違和感やモヤモヤから、世の中にない言葉を勝手に作り出し、広めていく『妄想国語辞典』で人気を集めました。野澤さんの鋭い洞察力から生まれる言葉は共感を呼び、テレビ・雑誌でも取り上げられています。今回発売された『問題未満』は、野澤さんが”みんながそれほど問題視してこなかったあれこれを勝手に顕在化させて世に問うてみよう”という企画。「なぜ、デカめのサングラスをかけて撮られると、世間の風当たりが強くなるのか」「どれだけ早く起きても、出発する時間はギリギリになるのか」など、取り立てて騒ぐほどのことではないけれど、気になって仕方ない〇〇問題について取り上げました。同書に収録されている”問題”の一部を紹介。「思わせぶり問題」は、映画鑑賞中、エンドロール後に特典映像があると思ったらふつうに終わってしまうという問題。「大ヤケド問題」は、次のアポまで時間ないのに鍋焼きうどんを頼んでしまったという問題です。そのほか、自分でしゃべって、自分で笑う人無敵説を取り上げた「うふふふふふ問題」、ほっといてと言われて本当にほっておくと揉める「押すなよ押すなよ問題」、おごってもらうときの財布を出そうとする演技力で印象が変わる「ゴチの問題」、一滴も飲めないのに居酒屋で割り勘させられる「飲めない問題」、くしゃみのボリューム設定間違えてるおじさん「ヘックション問題」、なんでも野球で例えて余計分かりにくくなる「俺たち今ツーアウト満塁問題」などが登場します。なかには、身に覚えがある行動にギクリとした人もいるのではないでしょうか。ニュースで取り上げられることはなく、問題にするほどでもない問題ですが、社会で重要視されない問題の中にこそ、今の世の中を映し出すものが隠れているのかもしれない。そんな気づきを感じさせてくれる一冊です。■書籍概要書籍名:『問題未満』著者:野澤幸司定価:1,650円判型:単行本165ページISBN:978-4-594-09501-7(フォルサ)
2023年07月02日元税理士志望の“パン好き男”松本幸司が選ぶ、本当に美味しいと思うB級グルメだけをサンドしたコッペパン専門店「松本幸司の世界観」が、広島に2018年3月7日(水)オープン。長年夢見たベーカリー開業に向けて独立の決意を固め、13年間務めた税理士事務所を退職した松本幸司。そんな彼が、全国に行列のできるパン屋を仕掛けるベーカリープロデューサー 岸本拓也のサポートのもと、広島初のオーダーを受けてから作りたてを提供するコッペパン専門店をオープンさせる。看板メニューとして提案するのは、北海道産のあんと自家製レーズンバターをダイナミックにサンドする「マツモトバターサンド」だ。さらに、世界各国の料理を取り入れたメニューもラインナップし、イギリスの「フィッシュ&チップス」、フランスの「ゲランドの塩ミルククリーム」、韓国の「プルコギ」、アメリカの「ピーナッツバターとジェリー」、中国の「海老のチリソース」など、おかず系10種、おやつ系13種の計23種から選ぶことができる。【詳細】松本幸司の世界観(まつもとこうじのせかいかん)プレオープン:2018年3月6日(火)グランドオープン:2018年3月7日(水)住所:広島県広島市中区大手町1丁目4-8-101電話番号:082-247-7177アクセス:広島電鉄 紙屋町西駅より徒歩約2分営業時間:10:00 〜 19:30定休日:水曜日
2018年03月05日ファクトタム(FACTOTUM)を始動して以来、コレクション制作に臨むにあたり、必ず旅に出てきたという有働幸司。実際に見て、触れた歴史とその歴史を紡ぐ人々はモノづくりにリアリティを生んだ。10年におよぶ世界放浪の中で、もっとも価値観をゆさぶったのがアジア3カ国だったという。ーー最近ではインド、チベット、ネパールとアジア3カ国をまわられた旅も印象深かったと伺っています。完成される前の国はエネルギッシュです。街も人も。圧倒的だったのは、宗教という存在。年端もいかない子どもたちが何年もかけて巡礼の旅をする“チベット仏教の聖地”といわれるジョカン、火葬して、遺灰をそのまま流すガンジス川…。日本では決してお目にかかれないものばかりであり、やはり見ると聞くでは大違いです。カメラマンやグラフィックデザイナーなどファクトタムのクリエーター・チームと動いたので事なきを得ましたが、ひとりだったらあの強烈な磁力に搦めとられていたかも知れない。ネパールでは帰国直前に高熱が出て、点滴を打って搭乗、成田から病院へ直行しました。ーーそのネパールではちょっとした出会いもあったとか。ええ。ガイドの方が自分の家はすぐ近くだから夕食に招待してやるって。ガイドには5人の子どもがいて、兄弟の家族も祖父母も一緒に暮らしている大家族です。電気が通っていないどころか、水道もない。皆に囲まれて手掴みで食べたカレーは忘れられません。ーー旅で得たものはどのようにコレクションに反映されるのでしょうか。ケースバイケースですが、そこで見聞きしたトライバルな柄や色合いは積極的に採り入れるようにしています。インド刺繍のコレクションは現地で作ってもらいました。それら現地で吸収したものをスポーツやロックなどリアルなスタイルに落とし込みます。ーー旅は昔からお好きだったんでしょうか?面白さに目覚めたのは卒業旅行でロンドンに行ってからですね。メインはパリで、ユーロスターで日帰りする慌ただしいものでしたが、訪れた瞬間、住んでみたいと思いました。スケートボードやブリティッシュポップ…多大なる影響を受けたストリートカルチャーの原点がそこにあったんです。いったんはビームス(BEAMS)へ入社するものの、ロンドンへの思いは断ち切りがたく、たった1年で退職してしまった。念願叶って暮らし始めると、カムデンやポートベローのフリマで古着を買いまくり、レコードも漁りまくりました。最低でも1年のつもりでいたんですが、おかげで半年で資金が尽きた(笑)。ーーこの秋冬のコレクションからは日本がテーマになるそうですね。フィンランドを旅したときに20世紀を代表する建築家、アルバ・アールトが日本の長屋や食器棚にインスパイアされていると知って、改めて自分が生まれ育った国ってすごいなぁという気づきがあって。第1弾として村上春樹の小説『羊をめぐる冒険』の舞台になった北海道の美深町へ行きました。ストレートにウールを料理しつつ、アイヌの文様も採り入れました。1/2に戻る。
2015年08月30日旅をしない音楽家は不幸だ、とモーツァルトが言ったように、日常の喧騒から解放してくれる旅は、クリエーションにおいてもまたとない栄養になる。それは、海外でもその名を知られるファクトタム(FACTOTUM)のデザイナー、有働幸司がコレクション制作を前に欠かさず世界をさすらう事実からも明らかだ。ーーブランド立ち上げ当初より旅をテーマにしてきたファクトタム。その狙いを教えていただけますか。ラウンジリザード(LOUNGE LIZARD/友人とともに立ち上げたブランド)の頃は徒手空拳でリアルクローズを追求しました。自らの経験値が問われる点でやりがいのあるアプローチでしたが、改めて、旅とはモノづくりに深みを出してくれる行為だと思っています。街を歩けばありのままの文化に接することができ、それがそのまま新たな引き出しになりますから。ーーどのように訪れる街を選ばれるのですか。まずはコンセプトを決めます。好きな映画や小説、アーティスト、あるいは時代感など、それはその時々でさまざまです。で、そのコンセプトにふさわしいエリアを抽出します。ーー滞在中はどのように過ごされるのでしょうか。真っ先にジョギングをします。ナローなブリティッシュをベースにしている以上、作り手が太ることは許されないってところから始まっているんですが(笑)、街を肌で感じるのにいい。僕が目安としている10キロは、その街のだいたいの雰囲気がわかる距離なんです。あとはキーとなる人に会ったり、文献や歴史的建造物、史跡を渉猟したり…といった具合です。一回の滞在は短くて一週間、長いときは半月以上ですね。ーー印象に残っている旅は?映画『スウェーディッシュ・ラブ・ストーリー』のロイ・アンダーソン監督に会いにスウェーデンまで行ったことです(その作品は第20回ベルリン国際映画祭でインターフィルム賞など4つの賞を獲得した)。初めは断られたんですが、運良く新作ができあがったタイミングで機嫌が良かったんでしょう(笑)。粘ったらOKに。そして、なんと身内のみを集めた試写会に招かれたんです。ーーそれは貴重な体験でしたね。そこで僕はかねてから知りたかったひとつの質問をします。「『スウェーディッシュ・ラブ・ストーリー』にはライダース・ジャケットが出てくるが、あのモチーフは何か?」と。てっきりニューシネマあたりかと思ったら、イギリスの古き良き時代にインスパイアされたということでした。そのシーズンはルイスレザーに範をとったライダースを作りました。-後編はアジアの国々を旅して感じたことや旅に目覚めたきっかけについて。2/2に続く。
2015年08月30日