野田秀樹が、東京芸術劇場の芸術監督を2026年3月31日(火) をもって退任し、岡田利規と山田和樹が4月1日(水) より新芸術監督に就任することが発表された。野田芸術監督は、2009年に初代芸術監督として着任以来、東京芸術劇場を東京の舞台芸術(演劇・音楽・舞踊等)分野の中心的施設として育てたほか、世界の劇場と積極的に連携し、多くの良質の海外舞台作品の招聘や、日本の数々の舞台作品を海外に送り出すなど国際交流を推進。また池袋西口を中心とした賑わいの創出、質の高い創造発信、若手育成の活動などにも多大な貢献を果たした。今後は、そのクリエイションが世界から注目を集める岡田を舞台芸術部門の芸術監督に迎え、新たな文化の創造・発信を行う場として、東京芸術劇場の存在感の向上と、世界の劇場と肩を並べる発信力を持つ劇場を目指すという。さらに新たに音楽分野の芸術監督として、日本を代表するマエストロである山田を迎え、1,999席の座席数を有する日本有数のシンフォニーホールの特性を活かし、音楽公演のクオリティや国内外への発信力をより一層高めていくとしている。また芸術監督の就任にあたり、岡田と山田からコメントが到着した。なお岡田は、2025年度からの東京芸術祭アーティスティックディレクターにも就任することが決定している。■岡田利規 コメント芸術と、人びと/社会/現実との関係を問い続ける。それを、東京芸術劇場の芸術監督の仕事をするための、基本的な姿勢としたい。そのうえで以下の問いに、劇場の職員をはじめとする協働者のみなさんとアイデア・意見を交換し、コンセンサスをとりながら向き合い、試行錯誤を重ねていきたいです。舞台芸術と音楽とが交錯しあう企みも、音楽部門の監督となられる山田和樹さんとさまざまに、積極的に画策していきたいです。上演に立ち会う観客との相互作用の結果として、感覚的悦び・励まし・ものごとを新しい眼差しで捉える経験・自分たちの声が代弁されているという思い・社会や自分自身を批評する機会などの、価値ある現象が生じる——そうした舞台芸術のポテンシャルを最大限発揮させるため、そこにできるだけ大きな射程を備わせるため、さて、どのような内容(プログラム)を、どのような形式(態度)を、東京芸術劇場は持つか?国内の文脈における、かつ国際的な文脈における、東京という都市の位置づけ。可能性と問題点とをともに孕む、その両義性に積極的に目を向けて、さて、そのような都市に建つ公立劇場として、東京芸術劇場はなにをする(なにをしない)か?舞台芸術を体験する悦び・舞台芸術を創造する悦び・そうした悦びが生じる場をつくり出す悦び、それらは、決して誰かの不幸な犠牲のうえに成り立つものであってはなりません。このことを含め、さて、東京芸術劇場がそこに関わる人びと、すなわち観客・創作に携わる芸術家・劇場職員——つまり、潜在的にはすべての人びと――にとって望ましい場所であるには?<岡田利規プロフィール>おかだ としき。演劇作家、小説家、演劇カンパニー「チェルフィッチュ」主宰。その手法における言葉と身体の独特な関係が注目される。2007年『三月の5日間』でブリュッセルの国際舞台芸術祭、クンステン・フェスティバル・デザールに参加。この初の海外公演以降、国内のみならず、アジア・欧州・北米・南米あわせて90都市以上で作品を上演し続けている。2016年からはドイツの公立劇場レパートリー作品の作・演出も継続的に務める。タイの現代小説をタイの俳優たちと舞台化した『プラータナー:憑依のポートレート』で第27回読売演劇大賞・選考委員特別賞を受賞。能のナラティヴの構造を用いた『未練の幽霊と怪物 挫波/敦賀』(KAAT 神奈川芸術劇場)で第72回読売文学賞・戯曲・シナリオ賞及び第25回鶴屋南北賞受賞。2021年には『夕鶴』(全国共同制作オペラ)で歌劇の演出を手がけた。■山田和樹 コメント(C)Zuzanna Specjal東京芸術劇場は1990年10月に開館していますが、91年2月には小学6年生だった自分が早くもこの舞台に立っていました。音感教育の成果発表の場で、オーケストラ伴奏で独唱をしたのでした。同世代の中では間違いなく一番乗りでしょう。あの長い長いエスカレーターを見た時の衝撃は忘れられません。当時の自分はそこに東京という街の近未来の姿を見ていたのでした。そう、私にとって東京芸術劇場というのは近未来の発信の場なのです。開館から34年経っている訳ですが、常に変貌する池袋・豊島区を象徴する建物であることに変わりありません。ここから何が発信できるか。見据えるのは、池袋から世界への発信です。世界から輸入する一方ではなく、輸出側に回る発想を軸にしたいと考えています。時代はクロスオーバーです。あるひとつの文化が放つ光は、また違う文化を照らすという側面がありますから、たくさんの文化が織りなす光は、さながら銀河系の様相を呈しているはずです。「芸劇」がその光の中心となればと思います。どうせやるなら、今までになかったことをしたい。自分が持つ開拓と反骨の精神をフル活用していければと思います。舞台芸術部門の監督に就任なさる岡田利規さんとのコラボレーションもとても楽しみです。 常に変化しつづける東京芸術劇場にどうぞご期待ください。<山田和樹プロフィール>やまだ かずき。2009年第51回ブザンソン国際指揮者コンクールで優勝。ほどなくBBC交響楽団を指揮してヨーロッパ・デビュー。同年、ミシェル・プラッソンの代役でパリ管弦楽団を指揮して以来、破竹の勢いで活躍の場を広げている。2012年~2018年スイス・ロマンド管弦楽団の首席客演指揮者、2016/17 シーズンからモンテカルロ・フィルハーモニー管弦楽団芸術監督兼音楽監督、2023年4月からバーミンガム市交響楽団の首席指揮者兼アーティスティックアドバイザーに就任。日本では、東京混声合唱団音楽監督兼理事長、学生時代に創設した横浜シンフォニエッタの音楽監督としても活動。これまでに出光音楽賞、渡邉暁雄音楽基金音楽賞、齋藤秀雄メモリアル基金賞など多数受賞。2022年にはモナコ公国からシュバリエ文化功労勲章を受章。東京芸術劇場 公式サイト:
2024年04月25日岡田利規(作・演出)と藤倉大(音楽)のコラボレーションによるチェルフィッチュ『リビングルームのメタモルフォーシス』が、5月13日から15日にかけて、オーストリアで開催中のウィーン芸術週間で世界初演された。ウィーン芸術週間は、ヨーロッパ屈指の規模と歴史を誇る舞台芸術祭のひとつで、毎年5月から6月にかけて、ウィーン各所で世界中から招かれた気鋭のアーティストによるオペラ、演劇、ダンス、コンサート、ビジュアルアート、パフォーマンス等のプログラムを展開。世界的な大物から注目の新進アーティストまで、新制作のオペラから小スタジオでのソロパフォーマンスまでと、自主制作を含めた幅広いラインナップで定評がある。今年は5月12日~6月21日の開催期間中に、7つの自主制作と11の共同制作を含む全36作品が上演される予定だ。今回、岡田と藤倉の顔合わせによる新作音楽劇を提案したのは、岡田を初めてヨーロッパに紹介し、以後たびたび共働してきたウィーン芸術週間のクリストフ・スラフマイダー芸術総監督。『リビングルームのメタモルフォーシス』は、そのウィーン芸術週間からの委嘱(=自主制作)作品として、芸術祭のオープニングに登場。いずれも完売となった3日間のうち、最終日5月15日の公演を観た。(c) Nurith Wagner-Strauss(c) Nurith Wagner-Strauss現代音楽のアンサンブル、クラングフォルム・ウィーンの7人の演奏者が舞台前方に陣取り、下手後方に、木枠が目立つシンプルを極めたリビングルームの装置(美術/dot architects)と、俳優たちのアクティングエリアがあるシンプルな舞台空間。家主からの理不尽な立ち退き要請に動揺する家族のもとに、それを煽るように不吉な闖入者が現れたり、家族の間で不和が起きたりして、冒頭で「なにかの気配がする」と家族のひとりが感じていた「なにか」が、次第に実体を持ち始める。やがてリビングルーム自体もどんどん歪んでゆき、果てには人知を超えたカタストロフィに――。(c) Nurith Wagner-Strauss(c) Nurith Wagner-Strauss(c) Nurith Wagner-Straussクラングフォルム・ウィーンによる多様な奏法の演奏が粒立っていて、そこはかとなく不穏な「気配」が空間を支配する舞台だ。演劇と音楽が従属的な関係にならず、対等である音楽劇の創造を目指したという本作。つまり、音楽は俳優の演技を補ったり感情を増幅させるためにあるのではなく、俳優のせりふや動作も、音楽の内容を説明するためにあるのではない。岡田のテキスト作成と藤倉の作曲も同時進行で、互いを必要以上に憚ることなく進められたという。舞台での演奏と後方での演劇、ともに独立した両者が、「気配」という不気味な概念でつながっているのを強く感じた。(c) Nurith Wagner-Strauss「音楽で演劇を説明しないというのはもちろん、演劇が行われていても、そこで奏でられている音楽を、観客/聴衆が存分に体験できる状態までもっていきたいと思ったんですが、それはできている気がします」と、終演後の岡田は手応えを感じている様子。音楽の藤倉は、これまでの過程を振り返りつつ、「岡田さんから『ここはこうしてほしい』という指示は一切なかったし、僕から岡田さんへもリクエストは出さずに、2年間まったくプレッシャーを感じることなく、フレキシブルなコラボレーションができたのは、素晴らしい体験でした。公演初日の客席は、宗教的なまでにシーンとしていて、2日目は大笑いする人が多くて、3日目の今日は、咳する人が多かった(笑)。空気が乾いてるのかな。まあいいんじゃないですか、いろんな反応があるところが。僕も『ボンクリ・フェス』※のキュレーションをしているのでわかるんですが、みんなが『気に入った』とか言うのは絶対だめ。そういうもんですよ」※『ボンクリ・フェス』:藤倉がキュレーターを務め、東京・池袋の東京芸術劇場を会場に、今生まれゆく新しい音楽を誰もが気軽に楽しめる催し。藤倉の呼びかけにより、世界中のオリジナリティあふれるユニークなアーティストが集結する。この日は確かに咳は多めだったかもしれないけれど、観客の反応はいたって好意的だったことを、念のため証言しておきたい。(c) Nurith Wagner-Strauss岡田にとっては、ウィーン芸術週間への参加は今回で6回目。ヨーロッパ、特にドイツ語圏での人気を如実に反映している回数だ。「ウィーンのお客さんは、いつもよく観てくれて、今回もいい反応でうれしいですが、僕にとっては、2007年に初めてチェルフィッチュを海外に呼んでくれた(芸術総監督の)クリストフから、ウィーン芸術週間のプログラムにとって重要である新作の音楽劇の創作を提案してもらえた、ということがまずとても大きくて、初日があけた今、そのことを噛みしめている感じです」『リビングルームのメタモルフォーシス』は、この後5月19日と20日にドイツのハノーファーで上演され、6月には、ウィーン芸術週間と同様規模のヨーロッパの有力芸術祭で、現代音楽への関心もひときわ高いオランダ・フェスティバルでの上演が控えている。来年の日本公演まで、進化は続きそうだ。取材・文:伊達なつめ<公演情報>チェルフィッチュ × 藤倉大 with クラングフォルム・ウィーン『リビングルームのメタモルフォーシス』作・演出:岡田利規作曲:藤倉大出演:青柳いづみ、朝倉千恵子、大村わたる、川﨑麻里子、椎橋綾那、矢澤誠演奏:クラングフォルム・ウィーン(Lorelei Dowling, Jacobo Hernandez Enriquez, Benedikt Leitner, Florian Müller, Dimitrios Polisoidis, Sophie Schafleitner, Bernhard Zachhuber)◎ウィーン芸術週間公式サイト◎ヘレンハウゼン芸術祭公式サイト:◎オランダ・フェスティバル公式サイト※2024年に日本公演を予定◎チェルフィッチュ公式サイト
2023年05月26日森新太郎演出、正門良規主演の舞台『ヴィンセント・イン・ブリクストン』が、10月1日より東京グローブ座にて開幕し、舞台写真とコメントが到着した。本作は、ニコラス・ライトによる画家になる以前の若きゴッホを描いた戯曲で、2003年のローレンス・オリヴィエ賞受賞、そしてトニー賞最優秀演劇作品賞にノミネートされた作品。日本では『若き日のゴッホ ~ヴィンセント・イン・ブリクストン~』のタイトルで上演された。演出を手掛けるのは、2021年『ジュリアス・シーザー』、今年2月『冬のライオン』の演出で第47回菊田一夫演劇賞を受賞した森新太郎。主演は昨年の舞台『染、色』で舞台初単独主演を果たし、今年2月には自身初のソロコンサートを成功させるなど躍進し続ける関西ジャニーズJr.のユニット・Aぇ! groupの正門良規が務める。以下、演出の森新太郎、主演の正門良規をはじめ、共演者のコメント。■演出:森新太郎 コメントあらためて素晴らしい戯曲だと感じています。稽古場では5人の俳優たちと共に、試しては削いで、削いでは試しての繰り返しでした。そして今、ようやく、この戯曲の核となっている“愛”のかたちが見えてきました。小さなキッチンで紡がれるささやかな人間ドラマですが、ふとした瞬間に彼らを包み込む無限の宇宙が立ち現れる、そんな底の知れない作品です。まるでゴッホの絵のようです。かの画家の若き日を演じる正門くんの眼にも、ついに尋常ならざるものが宿り始めました。無邪気とも狂気とも呼べる、真っすぐな何かです。そんな彼に激しく惹かれる未亡人の喜びや哀しみを、七瀬さんが余すところなく体現して下さっています。作者の仮説に基づく物語ですので、けっして史実どおりのゴッホというわけではありませんが、お時間がございます方はぜひゴッホの画集を眺めてからのご観劇をオススメします。特に「古靴」や「星月夜」あたりをおさえておきますと、作品世界の味わい方が全然違ってくると思います。どうぞこの機会にゴッホの絵にも触れてみて下さい。■ヴィンセント役:正門良規 コメント無事スタートを切れる事、そしてここから1公演1公演積み重ねていけることが本当に幸せで楽しみです。稽古場で愛情あふれるご指導をたくさん頂き、日々この作品への愛が増していきました。皆さんの元にお届けできる事がとても幸せです。ユーモア、愛、情熱がたっぷり詰まったこの作品を余す事なく感じていただけるよう、ヴィンセントとして懸命に舞台の上で生きたいと思います。どうぞよろしくお願いします。■ユージェニー役:夏子 コメント森さんの演出を受けられることが何より楽しい稽古の日々です。そして、ついに初日。私たちの知るヴィンセント・ファン・ゴッホがまだ絵を描き始める前のお話です。もしかしたら、こんな出会いがあったから、今でも多くの人を魅了する作品達が誕生したのかもしれない。そんなドキドキを観て下さるお客様に届けたいと思います。芸術が生まれる瞬間にも、芸術が届く瞬間にも、そこには人がいることを学びました。■サム役:富田健太郎 コメント世にゴッホの作品が多数ある中で、珍しい売れる前のゴッホのお話。恋に燃え、芸術に燃え、それぞれが選んだ幸せの道。この戯曲の作者、ニコラス・ライトさんの繊細な愛が溢れています。そして、その愛を森さんの演出の元、丁寧に紡ぎ上げています。皆さんに見てもらえることを楽しみにしています。■アンナ役:佐藤玲 コメント今作は、座長の正門さん演じるヴィンセントを含め、5人しか登場しない小さな物語ではありますが、その繊細さは果てしなく、どれだけ稽古を重ねても全てを零さずに積み上げられるか……途方もない気持ちになった日もありました。でも今、初日を目前にし、スタッフ・キャスト一丸となって今作を何ひとつ逃さないようにお届けできることを確信し、とてもワクワクしております。どうぞ皆さま楽しみにご来場ください、劇場でお待ちしております!■アーシュラ役:七瀬なつみ コメント森新太郎さんの繊細かつ情熱的な演出で、スタッフ・キャスト全員が力を合わせ、儚く美しく力強い愛に満ちた素晴らしい作品を作り上げることができました。そしてこれからもまだまだ進化します!正門さんのヴィンセントがとにかく魅力的で、私は舞台上で毎日ときめいています。きっとお客さまもときめきが止まらなくなると思います。是非劇場に足を運んでいただき、同じ空間で体感していただきたいです。<公演情報>舞台『ヴィンセント・イン・ブリクストン』2022年10月1日(土) ~10月22日(土) 東京グローブ座2022年10月26日(水) ~11月3日(木・祝) 梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ作:ニコラス・ライト翻訳:芦沢みどり演出:森新太郎【出演】正門良規(Aぇ! group / 関西ジャニーズJr.)夏子富田健太郎佐藤玲七瀬なつみ【東京公演】※終了分は割愛10月3日(月) 18:0010月4日(火) 13:0010月5日(水) 休演10月6日(木) 13:00 / 18:0010月7日(金) 18:0010月8日(土) 13:00 / 18:0010月9日(日) 13:0010月10日(月・祝) 13:00 / 18:0010月11日(火) 13:0010月12日(水) 休演10月13日(木) 13:00 / 18:0010月14日(金) 18:0010月15日(土) 13:00 / 18:0010月16日(日) 13:0010月17日(月) 休演10月18日(火) 13:00 / 18:0010月19日(水) 18:0010月20日(木) 13:00 / 18:0010月21日(金) 13:0010月22日(土) 12:00■チケット料金S席:9,000円(税込)A席:8,000円(税込)B席:6,000円(税込)※全席指定※未就学児童入場不可※営利目的の転売禁止【大阪公演】10月26日(水) 18:0010月27日(木) 13:00 / 18:0010月28日(金) 18:0010月29日(土) 13:00 / 18:0010月30日(日) 13:0010月31日(月) 休演11月1日(火) 18:0011月2日(水) 13:00 / 18:0011月3日(木・祝) 13:00■チケット料金9,000円(税込)※全席指定※未就学児童入場不可※営利目的の転売禁止公式サイト:
2022年10月03日関西ジャニーズJr.・Aぇ! groupの正門良規が、舞台『ヴィンセント・イン・ブリクストン』の主演を務めることが10日、明らかになった。同作はニコラス・ライトによる、画家になる以前の若きゴッホを描いた戯曲。未亡人のアーシュラ(七瀬なつみ)が営むブリクストンのある下宿屋に、20歳の青年ヴィンセント(正門良規)が、空き部屋の貼り紙を見たと訪ねてきた。実のところは家から出てくる美しい娘・ユージェニー(夏子)に惹かれて、この下宿屋に部屋を借りに来たのだ。何も知らないアーシュラは、ヴィンセントに部屋を貸すことを決める。ほどなくして先に下宿していた画家志望のサム(富田健太郎)とヴィンセントが口論となり、それをきっかけに娘のユージェニーが下宿をする目的だと知ったアーシュラは、ヴィンセントに部屋を貸せないと話すが…。2002年にロンドンのナショナル・シアターにて初演され、2003年にはイギリス最大の演劇賞である第27回ローレンス・オリヴィエ賞を受賞。また同年のトニー賞最優秀演劇作品賞にもノミネートされ、日本でも『若き日のゴッホ~ヴィンセント・イン・ブリクストン~』のタイトルで上演された。演出を森新太郎が務め、主演は昨年の舞台『染、色』で舞台初単独主演を果たし、今年2月には自身初のソロコンサートを成功させるなど躍進し続ける関西ジャニーズJr.のユニット “Aぇ! group”の正門良規。今作では狂気の画家になる前、一人の青年だった若き日のゴッホを演じる。共演として夏子、富田健太郎、佐藤玲、七瀬なつみがそろった。東京公演は東京グローブ座にて10月1日~10月22日。大阪公演は梅田芸術劇場シアター・ドラマシティにて10月26日~11月3日。○森新太郎 コメント6年前、平幹二朗さんの主演で『クレシダ』というお芝居を演出しました。エリザベス朝時代の女形俳優たちの物語で、アーティストの孤独や欲望、そして愉悦がユーモアたっぷりに描かれた傑作戯曲でした。その時に翻訳の芦沢みどりさんから「作者のニコラス・ライトにはもうひとつ代表作があるのよ」と手渡されたのが、今回の『ヴィンセント・イン・ブリクストン』です。これもまたアーティストの内面に深く迫った人間ドラマです。主人公は、画家になることを決意する前の若き日のゴッホ。彼は自分と同じく居場所を見失っている年の離れた未亡人アーシュラと出逢い、心を通わせます。真っ暗闇な世界の片隅に、煌々と青白く灯る愛の物語。正門良規くん、七瀬なつみさんと共にそれを静かに繊細に紡いでいけたらと思います。どうぞご期待下さい。○正門良規 コメントこの度、主演を務めさせて頂きますAぇ! groupの正門良規です。沢山の方々が演じてこられ、ファンも多いこの作品にゴッホとして参加できる事がとても幸せです。そして演出家の森新太郎さんとご一緒できるのが夢のようです。まだまだ分からない事だらけですが、知らないからこそ全力でぶつかっていけると思っています。この作品に出会えた事を誇りに初めて観て頂く方、そしてこの物語のファンの方にも感動して頂けるよう懸命に向き合いたいと思います。皆さま是非、劇場に足を運んでください。○夏子 コメント互いに惹かれていることを自覚しつつも、弾き合う男と女。二人の間に働いている力って何なのでしょう。ガラスのように脆く、炎のように激しいこの恋の物語が一体どんなものなのか、自分自身で体感しながら探していきたいです。10年ぶりにご一緒する森新太郎さん、初めてお会いする正門良規さんとそれを見つけていけることを、心から楽しみにしております。
2022年07月10日玉城裕規と菊池修司のW主演による舞台『HELI-X Ⅲ~レディスピランセス〜』が、6月3日(金)~6月19日(日)、東京と大阪で上演された。その舞台の模様をレポートする。舞台『HELI-X』とは、脚本・毛利亘宏(少年社中)、脚色 / 演出・西森英行(Innocent Sphere)が手がけるオリジナル劇。2020年12月に第1弾が上演され、今作で第3弾を迎えた。物語の舞台は、第3次世界大戦後の極東の島国・大和。遺伝子工学の進歩により、人類は性別を自由に選択できるTRANS(トランス)技術を生み出し、性別の壁を越える新世界が作られた。しかし、施術を受けた者の中にまれに特殊能力を持つ者が誕生し、彼らはHELI-X(ヘリックス)と名付けられて人々に恐れられる存在となってしまう。やがて横行し始めたヘリックスによる犯罪や殺人事件を解決すべく結成されたのが、菊池修司演じるアガタタカヨシが所属する螺旋機関。そして、第1弾のラストでは、かつては追われる側であった玉城裕規演じるゼロも所属を決意し、2人はバディとなる。続く第2弾では、アガタの正体がゼロの元恋人カイだと判明。カイが死んだものとして復讐のためにトランス手術を受けたゼロは衝撃を受け、アガタもまた苦悶する。そんな矢先、ねじ曲げられていた過去の真実が明らかとなり、2人は再び敵と味方に別れてしまうのだった。過去を抱えきれず、何かに取り憑かれたように狂気を剥き出しにするゼロ(玉城裕規)。そして、アガタとカイ、2つの人生を背負い苦しむアガタ(菊池修司)。第3弾では、再びすれ違ってしまった2人の、せつない愛の物語が主軸となり物語が進んでいく。バディ解消後、ますます凶暴化していくゼロ。一方、アガタは司令官であるカンザキより、国際平和連盟なる組織から2人の招かざる客人のやってきたことを知らされ、2人の真の目的を暴くという予想外の使命に翻弄される。片時もゼロへの思いを忘れることはないものの、己の正義が指し示す方に足が向かってしまうのがアガタという男なのだ。2人が見せる強さと弱さ、揺れ動く思いが、ストーリーを右へ左へと揺さぶっていく。アガタの葛藤、ゼロの本心が前作にもまして丁寧に描かれるのだが、今回は、そんな2人の心境をビジュアル化すべく美しい舞台装置も加わり、エンターテインメント性も大いに増した。今作のもう一つの見どころが、国際平和連盟を名乗る新キャストの存在。美しい顔に冷徹の仮面をかぶるミステリアスなセーレを演じるのは彩凪翔。そして、巨大な戦斧を振りかざすスリリングなフルカスを演じるのは天真みちる。2人共、元宝塚歌劇団に所属していたスターであり、奇しくも同期。コンビネーションもバツグンに卓越した名演技を披露し、物語にさらなる緊迫感を呼び込んだ。詳しくは明かせないが、2人はある使命をたずさえていた。その目的はアガタとゼロ、そして全人類に関わる壮大なミッション。一体、敵なのか、味方なのかさえ分からない。その謎こそが物語の鍵であり、観る者への問いかけでもあり…。また、疾走感を増したストーリー性も注目すべきポイントだろう。今作は全員が主人公と言っても過言ではないほど、各キャラクターにスポットが当たり、息を飲む展開が連続する。どの組織にも属さず孤高の戦いを続けてきたクライ(宇野結也)、家族を惨殺され復讐に闘志を燃やすワカクサ(立道梨緒奈)を始め、前作までに語られた因縁に決着をつけていくのだが、1人1人がゼロとアガタを囲む脇役に甘んずることなく、驚きと感動を呼ぶ。これまで命令に従うだけだった、シュンスイ(松田昇大)ら螺旋機関のメンバーたちにも変化が現れていく。また、BlackBloodのレスター(服部武雄)も新たな衣装で再登場し、意外な活躍を遂げる。毎回、注目を浴びる異能力をぶつけ合うバトルシーンも華麗さが倍増した。シデン(後藤大)やイモータル(杉江大志)、前作で深い心の傷をおったサッドネス(星元裕月)なども、これまで見せることのなかった怒り、哀しみ、苦しみを剥き出しにして戦いに挑む。中には予想さえできなかった悲劇までも描かれ、各キャラクターの魅力がここにきて上書きされていった。前作、姿を消していたリュウジン(輝馬)は怪しい魅力を増して舞い戻り、ストーリーに深みを与える。その一方で、ゼロとアガタの思いだけは、ますます複雑に絡まり合っていった。刃を向ける相手も、背中を預ける相手までも目まぐるしく変わっていく。展開に重厚感が増した事で、誰が本当の敵なのかさえ、わからなくなってしまう。ヘリックスが統べる理想の世界を目指すオシリス(平野良)も、前作ではお人好しの顔を見せていた天才科学者のDr.皇(田辺幸太郎《少年社中》)も、信頼を寄せている司令官のカンザキ(久世星佳)さえも衝撃的な過去が明らかになり、その素顔が曖昧になってしまうのだ。何を信じて進むべきか、引くべきか…。大きな疑問と葛藤の末、追い詰められていくゼロとアガタ。救うべきは全人類か愛する人か!?究極の問いが突きつけられたとき、2人は選ぶべき答えを見つけようと激しく足掻く。果たして今度こそ、同じ未来を選ぶのだろうか?第1弾、第2弾以上に、緊迫感が張り詰める第3弾。最後の一瞬まで目が離せなくなること受けあいだ。今作、ゼロとアガタの愛の物語は一つの結論を迎える。しかし、カーテンコールで見せた玉城と菊池の熱い眼差しには、次なる物語への期待が込められているように見えた。舞台『HELI-X』は、まだまだファンの心を捉えたまま離してはくれないようだ。取材・写真・文:浅水美保
2022年06月29日玉城裕規と菊池修司がW主演を務める舞台「HELI-X(ヘリックス)」のトークイベント第2弾『HELI-X Talk Meeting 2022』が、3月5日(土)、東京・日本教育会館(一ツ橋ホール)にて開催された。舞台「HELI-X」とは、毛利亘宏(脚本)と西森英行(脚色・演出)のタッグが手掛けるオリジナルシリーズ。遺伝子工学の進歩によって性別の壁を乗り越え、ヘリックスと呼ばれる特殊能力者となった者たちを中心に繰り広げられる、スペクタクルな近未来ストーリーである。2020年12月に初演、翌年10月には第2弾「HELI-X Ⅱ 〜アンモナイトシンドローム」を公演。そして、今回行われたトークイベントもまた昨年に引き続き第2回目の開催となる。この日の第一部に登壇したのは主演のゼロ役・玉城裕規さん、アガタタカヨシ役・菊池修司さんを筆頭に、星元裕月さん(サッドネス)、服部武雄さん(レスター)、松田昇大さん(シュンスイ)、輝馬さん(リュウジン)、平野良さん(オシリス)。さらに、次回作からの出演が決まった元・宝塚歌劇団の彩凪翔さん(セーレ)と天真みちるさん(フルカス)の9名。進行は、テレビ番組などでもMCを務めている平野さんが担当し、会場のファン、そして配信を通じて参加した全国のファンを大いに沸かせた。玉城裕規さんが演じるゼロは元女性の殺し屋。細部まで作り込まれたワイルドな衣装も注目だ菊池修司さん演じるアガタは秘密部隊「螺旋機関」の制服をまとってキリリと登場星元裕月さん演じるサッドネスは、ムチを武器に戦う美しくも悲しい役柄だが、この日は満面の笑みを見せてくれた悪の組織を束ねていたボスの息子・レスターを演じる服部武雄さんは第1作目以来の再登場となった松田昇大さんはシュンスイのトレードマークであるピンクのヘアスタイルで元気に登場したリュウジン役の輝馬さんは制服からの衣装チェンジ。イギリスの貴公子のよう!第3作目から出演する元タカラジェンヌの彩凪翔さん。貴婦人のようなドレス姿だが役名のセーレは悪魔の名前同じく元タカラジェンヌの天真みちるさんも悪魔の名前であるフルカスとして次回作から登場となるオシリス役の平野良さんがMC。舞台本番での冷徹な印象とは打って変わり気さくな表情で会場を盛り上げた脚本の毛利亘宏さんはスクリーンでの出演となったイベントは、毛利さんのビデオレターと共に開幕した。ここで初めて新キャスト2名の役名と、その由来が悪魔の名前だと発表。すると彩凪さんと天真さんは「初めて知りました」と、顔を合わせてワクワクとした笑顔を見せた。シリーズ第1作目『HELI-X』を名場面写真ともに紙芝居風に紹介引き続き始まった最初のコーナーは「HELI-Xスチール紙芝居」。まだHELI-Xシリーズを観戦したことがない人たちのために、第1作目の名場面の写真をスクリーンに映し出し、1枚ずつキャストを変えて紙芝居風に紹介した。順番はくじ引きで決定。司会の平野さんの「役者の力量が試されます!」の一言で、皆が個性を爆発させ思い思いのスタイルで朗読を始めるとツッコミと笑いの嵐に。おなじみのキャストたちが盛り上がる中、新メンバーの彩凪さん、天真さんが熱心にスクリーンに見入る姿は印象的だった。第2作目の名シーンを突然再現することになった菊池さんは照れまくり次のコーナーは、第2作目「HELI-X Ⅱ 〜アンモナイトシンドローム」のお気に入りのシーンを紹介する「HELI-X Ⅱ振り返りトーク」。玉城さんのお気に入りは、菊池さんが激しい頭痛でのたうつシーン。本番では菊池さんの名演技が際立つ緊迫の場面だったが、玉城さんが選んだ理由はそれではなく「叫び声が『ニャー!』と聞こえたから(笑)」とのこと。すると、菊池さんは納得できない顔をしつつも、リクエストに応えて再現を試みるのだが、恥ずかしさに耐えかねてもじもじしてしまった。そんなふたりの掛け合いがまるで兄弟同士のじゃれあいようでもあり、会場を和ませた。それぞれの思い出が発表される中、最も人気があったシーンが、司令官カンザキを演じる大御所女優の久世星佳さんと、不思議な万能キャラ・イモータルを演じた杉江大志さんのアドリブシーン。お笑いコントのような軽快な掛け合いが、キャストさえ知らされていなかった完全アドリブだったと知らされると会場のファンも驚いた様子に。このアドリブが次回作でも見ることができるのか、期待が高まるところだ。クイズコーナーはチームリーダー2人の素顔がよりあわらになり大盛り上がり!3つ目のコーナーは「HELI-Xクイズ」。玉城チームと菊池チームに分かれ、賞品の高級フルーツをかけて敵味方が入り混じってのクイズバトルを実施した。問題は、一般には知られていない作品裏話や、舞台上の演出などの超難問。両チームは苦戦しつつも和気あいあいと回答。珍回答も飛び出し、舞台本番では見ることのできない自然体の表情や笑い声が飛び交う楽しいひと時となった。賞品の千疋屋の高級フルーツ詰め合わせが登場すると「これ1万円だよ!」と驚く平野さんと星元さん内緒話をするように松田さんに回答を教える玉城さんの姿に、会場から「きゃっ!」と黄色い声がもれる一幕も菊池さんと輝馬さんの螺旋機関コンビは、真剣な表情で着実に正解を重ねていった勝利したのは菊池チーム。終始、ふざけあっていた玉城チームは一問も正解できずがっかりの様子特殊能力がHELI-Xの要だけに、様々な願望が飛び交った続いてはお客様からの質問コーナー。「サッドネスの他人と入れ替わる能力を手に入れたら?」の質問に、服部さんが「ゼロになって、時間を遡って学生時代に戻りたい」と回答すると、なぜかガラケーの話に発展。平野さんはガラケー時代に携帯ショップの販売員だったという意外な話に「ヘ〜!」の声がこだまし、キャストとファンの垣根を越えた一体感が生まれた。また、天真さんのポケモンの能力が欲しいというかわいい回答にも笑いが起きた。これからどんな能力を使えるのか楽しみだという天真さん最新作を紹介したのはキーパーソンになることが期待される新キャストの彩凪さん最後を締め括ったのが、この日、情報解禁となった第3作目『HELI-X Ⅲ〜レディ・スピランセス〜』の予告映像。これまでにないミステリアスな雰囲気に玉城さんが思わず「怖い…」ともらしたほどの迫力のある映像に、キャストたちも釘付けに。よりカッコよさを増した予告映像にキャストたちも釘付け前作のラストシーンで、バディを解消してしまったゼロとアガタ。次回作では再び思いが通じ合うのか?そして、それぞれのキャラクターたちが抱えている苦悩は解決されるのか?悪魔の名前を持つ新たな登場人物セーレとフルカスの能力と目的は?謎と期待が膨らむ中、登壇者たちは次回作への思いを述べた。玉城「予告を初めてみたのですが、3作目のこの世界観に驚いています。一体、どう始まり、どう終わるのか。そしてどこへ向かっていくのか…。不安もありますが、その中にワクワクもあります」菊池「これまで2作を演じて、アガタ、そして玉ちゃん演じるゼロの姿にもいろいろ考えさせられました。これからふたりがどうなっていくのかファンとしても楽しみです」最後に司会の平野さんからファンに向けて「愛してます!」の一言で大団円に。自粛期間での開催のため声援を送ることはできなかったが、言葉をこえるほどの大きな拍手が沸き起きおこりイベントは幕を下ろした。今から6月が待ち遠しくてならない。舞台『HELI-X Ⅲ〜レディ・スピランセス〜』の詳しい情報はこちら★チケット情報はこちら取材・写真・文=浅水美保
2022年03月23日日本オペラの金字塔、團伊玖磨《夕鶴》を劇作家・岡田利規が演出、主役つうにソプラノの小林沙羅が初挑戦する話題の舞台の上演まで1か月。「全国共同制作オペラ」の記者会見が開かれた(9月28日・東京芸術劇場)。岡田利規は海外でも評価の高い、現代の日本を代表する演劇人。これがオペラ初演出だ。岡田「オペラの演出とは何をすることなのかを見つけたいと思っている。音楽は抽象的な表現形式と思っていたが、じつはオペラは、物語や意味、登場人物の心理など、ほぼすべてを音楽が寄り添って描写していて、そこに演出が関わる必要がない。僕はそこに関わるのが演出だと思っていたので、では代わりに何をするのか。それを見つけられたら楽しい。片鱗は見つけつつある」《夕鶴》は1952年の初演以来、800回以上(2011年の集計)という破格の上演回数を誇る国民的オペラだ。「鶴の恩返し」や「鶴女房」として親しまれている民話をもとにした物語。岡田はそれを現代の私たちの物語として描く。岡田「資本主義に絡め取られてずぶずぶになっていく人間たちに問いかける。そういう物語」そのために、つうの亭主である〝普通の人間〟の与ひょうをキーパーソンとして、われわれ観客を彼に投影する。これは音楽的にも理にかなっているはず。オペラは管弦楽の前奏に出る「与ひょうの主題」で始まり、最後も同じ主題で幕を閉じる。《夕鶴》は与ひょうの物語でもあるのだ。舞台装置も衣裳も現代的。台本にはないダンサーも出演して表現の幅を広げる。つう役の小林沙羅は、中学生の頃からいつか演じたいと憧れていた念願の役だと語る。しかし、ずっとふくらませてきたこの役のイメージを、岡田との稽古のなかでいったんリセットして、ゼロから作り上げているのだそう。小林「今まで感情で歌ってきたのを、感情を一度無にして、そこからどう作っていこうかと歌い出すと、歌も変わってくるし、今まで見えなかった《夕鶴》の面白さがたくさん見えてきている」与ひょう役には美声のテノール与儀巧。与ひょうをそそのかす運ず役と惣ど役に寺田功治(バリトン)と三戸大久(バス・バリトン)。ダンスに岡本優と工藤響子。《夕鶴》は、10月30日(土)の東京芸術劇場コンサートホールを皮切りに、愛知県刈谷市(2022年1月)、熊本市(同2月)と全国3都市を巡演する。指揮は辻博之(東京)と鈴木優人(刈谷、熊本)。(文:宮本明)
2021年09月29日KAAT神奈川芸術劇場プロデュース『未練の幽霊と怪物―「挫波」「敦賀」―』の神奈川公演が6月5日(土)に開幕。併せて、演出家・岡田利規の初日コメントと舞台写真が到着した。現代演劇の言葉と身体、空間がおりなす可能性を開拓し、国際的に活躍する劇作家・演出家の岡田利規(チェルフィッチュ主宰)が、現存する世界最古の舞台芸術「能」に触発された音楽劇を上演。新型コロナウィルス感染拡大の影響を受けて、2020年6月〜7月に予定していた全公演が中止となったが、1年越しにオリジナルキャスト・スタッフで待望の劇場上演を果たすこととなった。本公演は、ザハ・ハディドをシテに描く演目『挫波(ザハ)』と、高速増殖炉「もんじゅ」をめぐる演目『敦賀(つるが)』の2演目で構成されている。『挫波』の主人公は東京五輪招致のため、2012年新国立競技場の設計者としてコンペで選ばれた天才建築家「ザハ・ハディド」。その圧倒的なデザインで脚光を浴びながら、後にその採用を白紙撤回され、それからほどなく没した彼女をシテとして描く。一方、『敦賀』では夢のエネルギー計画の期待を担い、1985年の着工以来一兆円を超す巨額の資金が投じられたものの、一度も正式稼動することなく、廃炉の道をたどる高速増殖炉もんじゅが舞台。もんじゅを臨む敦賀の浜を訪れた旅行者の姿を描く。出演者には、俳優、ダンサーとしても常にその活動が注目される森山未來をはじめ、無二の存在感を放つ片桐はいり、独自の個性で俳優としても活躍目覚しい栗原類、若手実力派女優でダンサーでもある石橋静河、チェルフィッチュ作品にも多数出演し、映画監督としても話題を集める太田信吾が名を連ねる。さらに、シンガー・ソングライターの七尾旅人が出演。類まれな歌い手の七尾が、劇中では謡をつとめ、内橋率いる演奏家とともに音楽劇としての能の根幹を担う。『未練の幽霊と怪物―「挫波」「敦賀」―』は6月5日(土)~6 月26日(土)まで、KAAT神奈川芸術劇場にて上演された後、 6月29日(火)と6月30日(水)に穂の国とよはし芸術劇場PLATにて豊橋公演を開催。最後に、 7月3日(土)、7月4日(日)と兵庫県立芸術文化センターにて兵庫公演が行われる。■作・演出:岡田利規 初日コメントもうしぶんないチームで、もうしぶんないプロセスを経て、心から納得のいく作品をつくることができました。観客のみなさんが上演の時間・空間の中で、現実のそれとは異なる、というかほとんどそれとパラレルな世界を幻視する、そのための媒介物となるためのパフォーマンスです。それを体験してもらえる機会を今日からはじめられて、とてもハッピーです。【公演概要】KAAT 神奈川芸術劇場プロデュース『未練の幽霊と怪物―「挫波」「敦賀」―』作・演出:岡田利規 / 音楽監督・演奏:内橋和久企画製作:KAAT神奈川芸術劇場<出演者>能「挫波」:太田信吾、森山未來、片桐はいり能「敦賀」出演:栗原類、石橋静河、片桐はいり歌手:七尾旅人<公演日程>●神奈川公演:KAAT 神奈川芸術劇場 大スタジオ2021年6月5日(土)~6月26日(土)主催:KAAT 神奈川芸術劇場●豊橋公演:穂の国とよはし芸術劇場PLAT 主ホール2021年6月29日(火)、6月30日(水)主催:公益財団法人豊橋文化振興財団●兵庫公演:兵庫県立芸術文化センター阪急 中ホール2021年7月3日(土)、7月4日(日)主催:兵庫県、兵庫県立芸術文化センター
2021年06月07日舞台『染、色』のフォトコール及び取材会が28日に東京・東京グローブ座にて行われ、正門良規(Aぇ! group/関西ジャニーズJr.)、三浦透子、岡田義徳、加藤シゲアキ(原作・脚本)、瀬戸山美咲(演出)が登場した。同作は、小説『オルタネート』で第164回の直木賞候補にあがった加藤が2015年に上梓した短編集『傘をもたない蟻たちは』(KADOKAWA/角川文庫刊)の一編を舞台化。主人公・市村(正門)は周りに才能を認められ、彼女もいて、何不自由なく過ごす美大生だが、そんな毎日を退屈に感じながら日々を送っている。ある日、壁にグラフィティアートを落書きする謎の女性・美優(三浦)と出会うと、彼女の不思議な魅力に魅せられた市村は、彼女と一緒に行動するようになり、退屈だった日常に変化が訪れていく。初主演の正門のほか、三浦透子、松島庄汰、小日向星一、黒崎レイナ、岡田義徳が出演する。「むちゃくちゃ気持ちが高まってます」という正門は、フォトセッション中に2回もタオルを差し入れられ、汗について指摘されると「出てますねえ。比例していってますねえ。ズクズクです」と独特な表現。初主演については「めちゃくちゃ緊張してます、本当に」と言うが、新型コロナウイルスの影響で1年延期となった上演について「去年出来なかったりとか、いろいろ中止になったりということもあったんですけど、この1年間で楽しみとか期待とかの気持ちがどんどん高まってきて、ほどよく色んな感情が今あります、自分の中に」と心境を吐露した。原作・脚本をジャニーズ事務所の先輩である加藤が務めていることについては「逆にすごくプレッシャーですね。怖いですよ! 初めてお話いただいたのは2年半前の秋だったんですけど、そのときはびびりまくってましたね。ようやくやるぞというのが高まってきた感じです」と苦笑する。加藤は「プレッシャーですよね、きっと。決して簡単ではない役ですし、かといって正門に合わせるのもある意味失礼かなと。なので、この役に飛び込んでもらうつもりで遠慮なく書かせてもらいました」と語る。加藤は「稽古場に何度か足を運ばせてもらって、あんまり近くで見たらかわいそうかな、遠くで座ろうと思ったんですけど、『真ん前に座ってください』と。プレッシャーに慣れたい、と。そういう意味では本番さながらの緊張感を与える役割だったかな」と振り返り、「どんどん成長していく姿は見ていてたくましいですし、初舞台なのに堂々としてるなと感心してます」と後輩を称賛した。加藤は正門に楽屋のれんも贈ったと明かし、正門は「びっくりしました。昨日小屋入りやったんですけど、楽屋入った瞬間スタッフさんが『ちょっと待ってください!』ってケータイで動画を回しだして、わからんまんま行ったらのれんがかかってて、ファーストリアクションを動画にいおさめたいと」と状況を説明。しかし加藤は「その動画、見てないんだけど! もらってない。写真は見たよ! 動画は見てない。あとで確認しておきます」と抗議し、「出せばいいんじゃない? ブログとかで」とアドバイスもしていた。正門について、岡田は「大変真面目だと思います。本当に、近年まれに見る真面目だなと思うくらい真面目で、その姿勢が伝わってくるので、アドバイスできることはいくらでもアドバイスするし、逆にわからないものは全部聞いてきて本当に努力家だなあと思います」と絶賛。「考えちゃうと周りが一瞬見えなくなる時があったりして、そういうの見てると、『ああ、かわいいなあ。自分もそういう考え込んだ時期ってあったなあ』と思うので、あたたかく見守って。そういう瞬間が稽古でもいくつかあったので、『調子悪い?』と聞いたり、『乗り切れない?』って聞いてみたりとか」と様子を明かす岡田に、正門は「カウンセリングに近いというか、支えられました」と感謝する。また三浦は「先にダンスの稽古があったので、割と緊張せずに入れた感じはあったかなと思います。最初は真面目で誠実でしっかりされてる方かなあと思って、実際ほとんどそういう印象なんですけど、割と抜けてるところがある。そういう瞬間とか稽古場とかでも笑いが起こる。意図してないと思いますけど、稽古場の雰囲気を盛り上げてくれてる」と語った。
2021年05月28日正門良規(Aぇ! group / 関西ジャニーズJr.)主演舞台『染、色』の上演日が5月29日(土)からとなることが決定した。さらに本公演のキービジュアルも発表されている。この舞台は小説『オルタネート』で吉川英治文学新人賞を受賞したNEWSの加藤シゲアキが初の舞台脚本。2015年に出版された短編小説集『傘をもたない蟻たちは』(KADOKAWA / 角川文庫刊)収録の、美大生のリアルな日常と葛藤を描いた『染色』で、自身初の舞台化&脚本に挑む。主演は、19年に結成された関西ジャニーズJr.の“Aぇ! group”のメンバーで、NHKの連続テレビ小説『スカーレット』 での好演で幅広い世代から注目を集め、昨年は『DIVER-特殊潜入班-』にも出演した正門良規。自身の才能に葛藤する等身大の美大生・深馬役を演じる。壁にグラフィックアートの落書きをする謎の女性に三浦透子、深馬の大学の友人役に松島庄汰と小日向星一、深馬の恋人役に黒崎レイナ。そして深馬が所属するゼミの教授役を、実力派俳優の岡田義徳が務める。演出は、加藤シゲアキ主演舞台『グリーンマイル』(2017年)の演出を担当し、演出を手掛けた『現代能楽集X「幸福論」~能「道成寺」「隅田川」より』が「第28回読売演劇大賞」で選考委員特別賞を受賞した瀬戸山美咲。本作ではクリエイター側としてタイトル題字も手掛けた加藤と共に“才能”という壁に向きあう若きアーティストたちの生々しい葛藤と日常を鮮やかに彩る。■舞台情報『染、色』<東京公演>5月29日(土)~6月20日(日)会場:東京グローブ座料金 S席 9,000円A席 8,000円B席 6,000円(全席指定・税込)※未就学児童入場不可※営利目的の転売禁止一般発売日:5月8日(土)10:00<大阪公演>6月24日(木)~6月30日(水)会場:梅田芸術劇場 シアター・ドラマシティ料金:9,000円(全席指定・税込)※未就学児童入場不可※営利目的の転売禁止一般発売日:5月8日(土)10:00
2021年03月10日アイドルグループ・NEWSの加藤シゲアキが初脚本を務め、Aぇ! group/関西ジャニーズJr.の正門良規が単独初主演を務める舞台『染、色』の復活上演決定が28日、明らかになった。小説『オルタネート』で第164回の直木賞候補にあがった加藤が2015年に上梓した短編集『傘をもたない蟻たちは』(KADOKAWA/角川文庫刊)の一編を舞台化する同作。主人公・市村(正門)は周りに才能を認められ、彼女もいて、何不自由なく過ごす美大生だが、そんな毎日を退屈に感じながら日々を送っている。ある日、壁にグラフィティアートを落書きする謎の女性・美優と出会うと、彼女の不思議な魅力に魅せられた市村は、彼女と一緒に行動するようになり、退屈だった日常に変化が訪れていく。今年5月に上演を予定していたが、新型コロナウイルス感染症の拡大を受けて中止となってしまい、今回復活上演が決定。2021年5月下旬~6月中旬に東京グローブ座、2021年6月下旬に梅田芸術劇場 シアター・ドラマシティでの上演を予定している。関西ジャニーズJr.のユニット・Aぇ! groupの正門良規が舞台で初単独主演となり、自身の才能に葛藤する等身大の美大生・深馬役を演じる。ほか、壁にグラフィックアートの落書きをする謎の女性役を三浦透子、深馬の大学の友人役を松島庄汰と小日向星一、深馬の恋人役を黒崎レイナ、深馬が所属するゼミの教授役を岡田義徳、演出を瀬戸山美咲が務める。○加藤シゲアキ コメント今年行う予定だった舞台『染、色』を改めて公演させて頂くことになりました。すでに台本を書き上げていたので、中止の知らせを聞いたときは悔しくてしかたありませんでしたが、ようやく日の目を見ることができそうなのでほっとしております。『「染色」であり「染色」ではない。そんな不思議な戯曲をお届けできたら』というのは今年発表したコメントですが、まさにその通りの台本を書き上げることができ、手応えを感じております。この戯曲を演出の瀬戸山さん、正門とともに演じてくれる俳優陣、スタッフのみんなが鮮やかに染め上げてくれることを期待しております。○瀬戸山美咲 コメント『染、色』をみなさんにお届けできることになりました! 春に公演中止が決まったときは、肩を落としました。特に寸前まで戯曲の改稿を重ねていた加藤さんは本当に悔しかったことと思います。あのとき「これでいこう!」と走り出した作品にようやく取り掛かれます。あれから、主演の正門さんはさらに活躍の場を広げてきました。その経験はきっと作品を深めてくれると思います。2020年は多くの人が不安を抱え迷い続けた1年でした。でも、だからこそ、この日々をプラスに変えていくような作品にしたい。『染、色』は悩みながらも前に進む私たちにそっと寄り添ってくれる作品です。ぜひ劇場でお会いしましょう。○正門良規 コメント今年舞台が中止になってしまった時はとにかく悔しくて悲しかったのですが再びこういう機会を頂けた事、そしてこのお知らせを皆様に出来る事が本当に嬉しくてたまらないです。初の主演舞台という事もあり不安や緊張もありますが、それを超える楽しみで今からすでにドキドキしております。しっかりとこの物語を表現して皆様に届けられるよう頑張ります。楽しみにしていて下さい。○三浦透子 コメント台本を読んでいて、思わず声に出してしまうような生々しい会話の連続。僕は正門さん演じる深馬に嫉妬と憧れを抱く北見をやらせて頂きます。登場人物6人のみの濃厚な群像劇。まだ何にもなれていない大学生の繊細な感情を逃さず、瀬戸山さんの演出に染まって行きたいなと思います。今から楽しみです。○小日向星一 コメント加藤シゲアキさんの初戯曲を、瀬戸山美咲さんの演出で、素敵な共演者の皆様とご一緒に上演できることが楽しみで仕方ありません。ここの場面はどうやって作るのだろう、どんな舞台が出来上がるのだろうとワクワクしながら戯曲を読みました。演じる役の持つ悩みや日常を上手く表現できたらなと思っています。よろしくお願いします。○黒崎レイナ コメント私にとって念願の初舞台となります。『染、色』に携わらせていただけることを心から嬉しく思います。一途で繊細だけど少し不器用な杏奈というキャラクターが凄く魅力的に感じました。真摯に物語と向き合い、杏奈の想いを台詞に乗せて皆様に届けられるよう精一杯演じさせていただきます。『染、色』の物語が舞台でどう表現されていくのかとても楽しみです。皆様、宜しくお願い致します!○岡田義徳 コメント台詞のやりとりの中に、独特の世界観があり、それを皆でどのように作り上げていけるかをとても楽しみにしています。若いパワーと共に良い作品を作りたいと思います。
2020年12月28日アイドルグループ・NEWSの加藤シゲアキが、舞台『染、色』にて初脚本を手がけることが14日、明らかになった。Aぇ! group/関西ジャニーズJr.の正門良規が主演を務める。作家としても活躍する加藤が2015年に上梓した短編集『傘をもたない蟻たちは』(KADOKAWA/角川文庫刊)の一編を舞台化する同作。主人公・市村(正門)は周りに才能を認められ、彼女もいて、何不自由なく過ごす美大生だが、そんな毎日を退屈に感じながら日々を送っている。ある日、壁にグラフィティアートを落書きする謎の女性・美優と出会うと、彼女の不思議な魅力に魅せられた市村は、彼女と一緒に行動するようになり、退屈だった日常に変化が訪れていく。美大生特有の葛藤を描いた原作は、加藤自身が知人から美大に関する情報収集を行ったという。主演舞台『グリーンマイル』(17)で演出×主演としてタッグを組んだ演出家・瀬戸山美咲と、今度は演出×脚本としてタッグを組み直し、自身の作品の世界と可能性を広げる。東京公演は東京グローブ座にて6月4日~21日、大阪公演はエブノ泉の森ホールにて6月25日~28日。○原作・脚本 加藤シゲアキ コメント「加藤さんの作品をどれか舞台化しませんか?」スタッフからそう相談されたのが始まりでした。そのとき僕の頭に浮かんだのは、『傘をもたない蟻たちは』という短編集の冒頭に収められた『染色』という作品でした。自分自身が今作を舞台で観たいと思ったのです。「でしたら加藤さん、戯曲を書きませんか」スタッフから次にそう言われました。仕事がいくつか重なっている時期だったのでお断りしようと思ったのですが、ふと脳内に戯曲化された『染色』が広がりました。そしてその内容は原作とは少し違ったストーリーでした。妖艶な気配はそのままに、美大生たちが織りなす群像劇。これは自分にしかできないのではないか。原作者だからこそ、大胆に変更することが可能なのではないか。そう思い直し、この話をお受けすることにしました。とはいえ原作とは異なる内容に、同名のタイトルを付けていいのか。試行錯誤した揚げ句、『染、色』という形で、読点を加えることにしました。『染色』であり『染色』ではない。そんな不思議な戯曲をお届けできたらと思い、目下NEWSのライブの準備と合わせて執筆中でございます。舞台でしか表出させることのできない僕の世界を、ぜひ楽しんでください。○演出 瀬戸山美咲 コメントこのたび、ご縁がつながり、加藤シゲアキさんの初劇作を演出させていただくことになりました。青春時代特有の危うさ、美しさに満ちた『染色』という短編小説が、新たな戯曲『染、色』として生まれ変わります。何者かになりたい、でも、それが何かもわからない。そんな普遍的な若者の魂の彷徨を描いたこの作品の主人公に、フレッシュさとまっすぐさを持ち合わせた正門良規さんはぴったりだと思います。今の正門さんだけが発することができる光のようなものを引き出せたらいいなと思っています。○正門良規 コメント主演舞台をこんなにも早く、そして、加藤シゲアキくんの作品で務められるという事がとても光栄です。役者としての経験も少なく、お芝居もまだまだ未熟で不安もありますが、主演として役と向き合えることに心から喜びを感じています。市村と美優の出会いが物語にどういう影響を与え、どのような変化をもたらしていくのか、原作ファンの方はもちろん、はじめて物語に触れられる方にも、舞台『染、色』の世界を楽しんで頂けるように精一杯頑張ります。
2020年03月14日アートディレクター矢後直規による初の大型個展「婆娑羅」が、2020年2月22日(土)から3月8日(日)までラフォーレミュージアム原宿にて開催される。矢後直規は、人気アートディレクターとしてラフォーレ原宿の広告を多数手がけるほか、Chara、菅田将暉といったアーティストのCDジャケットやMV、写真家・篠山紀信のブックデザインなど、多方面で活躍。2020年に就航が予定されているJALグループのLCC「ZIPAIR」においては、ロゴタイプやシンボルマーク、機体デザイン、制服のディレクションなどブランドの立ち上げに参画し、これまでのアートディレクションの垣根を超えた活動にも注目が集まっている。今回開催される「婆娑羅」は、矢後直規にとって初となる大型個展。会場は、自身が創り出した数々の世界観が集結した古代遺跡のように構成。未知の文明に迷い込んだような空間を歩きながら、作品を体感できる。“色彩、形、素材などさまざまな異色のものが過剰にぶつかり合う”という思いが込められたタイトル通り、初公開となる作品やラフスケッチ、再構築した過去作品など、矢後直規ならではの色鮮やかでユーモア溢れる作品が多数ラインナップ。また、2019年2月までラフォーレ原宿のエントランスに設置されていた銀杏の木を用いた作品も、本展で初披露される。会期中には、写真集のブックデザインを手がけた写真家・篠山紀信をはじめとするスペシャルゲストとのトークイベントを実施。さらに、開催に合わせて製作した同名作品集も会場で先行発売するので、気になる人は是非チェックしてみて。【詳細】期間:2020年2月22日(土)~3月8日(日)時間:11:00~21:00(入場は20:30まで)会場:ラフォーレミュージアム原宿住所:東京都渋谷区神宮前1丁目11番6号 ラフォーレ原宿6階入場料:無料アイテム価格:矢後直規作品集 「婆娑羅」 3,900円+税【問い合わせ先】TEL:03-3475-0411(ラフォーレ原宿代表番号)
2019年12月06日畠中恵の人気小説の舞台化シリーズ第二弾、舞台「若様組まいる~アイスクリン強し~」の公開ゲネプロと囲み取材が行われ、玉城裕規、入江甚儀、塩野瑛久、中村優一、安川純平、宮崎香蓮、井上小百合、粟根まことが登壇した。舞台は明治23年、文明開化に湧く東京。描かれるのは駆け出しの西洋菓子職人で「風琴屋」主人・皆川真次郎(玉城裕規)と旧旗本出身の新人警官・長瀬健吾(入江甚儀)たち「若様組」らが繰り広げるスイーツ青春譚。彼らをとりまく騒動と葛藤、その成長を村上大樹ならではのスパイスを効かせた演出で贈る、意欲作。「初日を迎え、この演出を観た、お客さまがどういう反応をしてくださるのか楽しみです。全員、人間力が高くて熱くて、僕はそのすべての人と関わる役なので、そこでの変化や人間関係にも注目してください。舞台の中で精一杯、千穐楽まで生きていきます」(玉城)「明治を生きる若者たちのありのままの姿を届けます。オムニバス形式で全員の見せ場があります。なかでも、にぎやかな日常から警官としての若様たちの活躍といった緩急も見どころで、最初から最後の最後まで楽しんでいただけるエンタメです」(入江)「主役の玉城くんが全員と関わって感情を動かしていくお話で、時代の流れにあわせて物語もスピーディな展開なので僕らもそこに負けずと付いていきます。個人的な見どころは、やたらとキレて刀を抜く役ですが、ちょっと遊び心があってキレる、みたいなところを見せたいです」(塩野)「甘いスイーツと甘い恋愛模様がたっぷり入った、“甘い舞台”です!座長の玉城さんがとにかくすごくて、今日も劇場のロビーを往復しながら、大量の台詞を繰り返す姿を見て、ついていこう!と決めました」(中村)「お客さまが入って完成するものなので、初日、がんばります。前作とはまたガラッと作風がちがっていますが、明治も今も夢を持って夢に進む姿は変わらないんだな、という姿を見せたいです」(安川)「仲のいい座組で、チームワークも抜群なので楽しんでいきたいです。玉城さんも若様もお父さまもカッコイイんですが、女子も負けずに活躍するので見てください」(宮崎)「今回、とても意地悪な役を演じているので、くすっと笑いながら観てほしいです。生演奏にあわせて演じるのが心地よくて、音楽も一緒に楽しんでください」(井上)「中村くんが“甘い舞台”と言っていましたが、実際に甘い香りがするという試みが散りばめられた意欲的な作品です。見どころはたくさんありますが、特に和合真一さん演じる牧忠行のシーンは全部、見どころです!」(粟根)本作はサンシャイン劇場にて5月6日(日)まで上演。チケットぴあでは現在当日引き換え券を発売中。取材・文:おーちようこ※宮崎の「崎」は立ち崎
2018年05月01日岡田利規主宰のチェルフィッチュが2004年に初演し、岸田國士戯曲賞も受賞した『三月の5日間』が、オーディションで選ばれた若者たちとのリクリエーションによって生まれ変わる。【チケット情報はこちら】「初演からの13年間で、僕が置かれている環境も演劇観も、大きく変わりました」と岡田は言う。「以前は、現実にある話し方や身体を、拡大し誇張した形ではあるけれどそのまま舞台上に持ち込みたいと考えていましたが、今の自分に大事なのは、観客に何かを引き起こすための現象としてのパフォーマンスであること。俳優の見せ方にしても、かつては自分の方法を彼らにどうインストールするかに強いこだわりがあったけれど、今はそれ以上に、それぞれの個性を際立たせたいと考えています。それは演出力がついたからでもあるのでしょうが、僕の手法が取り沙汰されたり面白がられたりしたことが、僕自身に影響を及ぼし、スタイルよりエフェクトに関心を向けたとも言えそうです」今回の出演者7名のほとんどは20代前半。かつて同時代を描いていた作品も、彼らには物心つく前の昔話だ。「パフォーマンスと観客によって生み出されるものを上演と呼ぶならば、彼らはその関係を作るのがうまい。上演を阻害する、こわばりみたいなものがないんです。それは7人の個人の力でもあるけれど、もしかしたら、小さいころから写真を撮られ慣れていて、しかもそれをその場ですぐ確認できた彼らの、世代的なアドバンテージかもしれないと、ここ数週間思っています。以前、海外でチェルフィッチュが『インプロージョン』、つまり内側で爆発していると評された時、僕はまさにそれが自分のやりたいことだと感じたし、こわばりもそのために有効でしたが、現在では“見る/見られる”の関係を重視しているので、見られるスキルが高い彼らの力に期待しています」稽古で俳優達に頻繁に言った言葉は、「観客」、そして「想像」。「俳優には、想像を持ち、それが自分に及ぼす影響を被ることを求め続けました。これも、初演時とは違いますね。そして、今回の舞台が僕にとってすごく納得できるものになることで、この“想像原理主義”的な作り方をやめる時が来るかもしれないという気がしています。例えば能に色々な謡曲が存在するように、想像ということをフォーマットに様々な作品を作ってもいいとは思いますが、別のフォーマットを作りたいとの気持ちも強い。『三月の5日間』がもたらす経験によって変わった僕が、前とは違う『三月の5日間』を作り、それが満足のいくものとなることで、さらに新しいところにいけたら、と願っているんです」公演は12月1日(金)から20日(水)まで、神奈川・KAAT 神奈川芸術劇場大スタジオにて。その後、愛知、京都など各地を周る。チケット発売中。取材・文:高橋彩子
2017年12月07日浜辺美波が主演するドラマ&映画化プロジェクト「咲-Saki-」。この度、学生キャスト以外の新キャストとして、夏菜、佐野ひなこ、玉城裕規の出演が決定した。原作は、異例の大ヒットを記録した同名麻雀スポ根漫画。今回その実写化プロジェクトとして、12月よりMBS・TBSのドラマイズム枠にて全4話と年明け1月放送の特別編を合わせた計5話のTVドラマシリーズの放送が決定し、さらに来年2月には映画版の公開も控えている。主人公・宮永咲役の浜辺さんを始め、「SUPER☆GiRLS」浅川梨奈、「私立恵比寿中学」廣田あいか、大人気モデル・武田玲奈、「ゆるめるモ!」あのら、清澄高校を始め全国高校麻雀県大会で対戦する「龍門渕高校・風越女子高校・鶴賀学園」の透明感溢れる新進気鋭の若手キャストが一斉解禁され、Twitterではトレンド入り、また話題のツイートで「浜辺美波」が1位、「浅川梨奈」が2位にランクインするなど、大きな賑わいをみせている。そして今回は、そんなフレッシュな学生キャスト以外の新キャストが発表!通称「マクリの女王」と呼ばれ、清澄高校麻雀部部長・竹井久と知人であるプロ女雀士・藤田靖子役に、『GANTZ』などに出演する女優の夏菜さん、風越女子高校麻雀部のOGでありスパルタコーチの久保貴子役に、グラビアだけでなく「サイレーン 刑事×彼女×完全悪女」「好きな人がいること」など女優としても活躍する佐野さん、龍門渕家の屋敷に勤めるスーパー執事であり、普段は天江衣の付き人として同行しているハギヨシ役に、美しすぎる大人気俳優の玉城さんが決定した。麻雀をテーマに、互いに切磋琢磨する姿を瑞々しく描いた青春スポ根作品。より華やかに彩りを添える人気の大人キャラクターの配役も決定し、ますます期待がかかるようだ。ドラマ「咲-Saki-」は12月4日(日)深夜0時50分~MBSにて、12月6日(火)深夜1時28分~TBSにて放送。ドラマ「咲-Saki-」特別編は2017年1月8日(日)深夜0時50分~MBSにて、1月10日(火)深夜1時28分~TBSにて放送。映画『咲-Saki-』は2017年2月、TOHOシネマズ日本橋ほか全国にて公開予定。(cinemacafe.net)
2016年11月09日俳優の玉城裕規(29)が、女優・内田理央(24)の主演映画『血まみれスケバンチェーンソー』(2016年初頭公開)に女装姿で出演していることが明らかになり、ポスタービジュアルと場面写真が30日、初公開された。本作は、漫画家・三家本礼氏が2009年より漫画誌『コミックビーム』(KADOKAWA)で連載している同名コミックが原作。解体屋の娘に生まれた不良女子中学生・鋸村ギーコ(内田)が、ある事件がきっかけで、改造されてゾンビと化しまったクラスメイトらと自前のチェーンソーで戦っていく様を描く。内田や玉城のほか、山地まりや佐藤聖羅の出演も決定している。玉城が演じるのは、学校中からからかわれ、日々忍んで活動していた忍者部部長の笹山香織。香織は女性だったが、ある日、碧井ネロ(山地)によって改造され、男性の怨憎に生まれ変わって、ギーコの前に立ちはだかり、多彩な忍術を繰り出して激しいアクションバトルを展開していく。玉城は、香織として女装に挑戦しながら、劇中で怨憎となるため、従来の男性役も務める。香織、そして怨憎を演じる玉城は「今回は人生初…いや今後あるか分からない女学生役もやらせてもらってます」としながら、「その部分はですね、皆さまの広い心、温かい目で見ていただけら」と少しタジタジな様子。続けて、「タイトル通りパンチが効いてる作品になっておりますので、余すことなく楽しんでもらえたら」とアピールしている。山口ヒロキ監督は玉城ついて、「別作品で何度もご一緒させてもらってて、普段から本当に美人だなと思っていた」と明かし、「今回なんのいたずらか女装姿を撮ることができて、思い出深い現場になりました(笑)」とコメント。「原作では登場後すぐに死んでしまう怨憎ですが、玉城くんが演じてくれたことによって、とても魅力的なキャラに生まれ変わってます」と太鼓判を押した。あわせて公開されたポスタービジュアルは、巨大なチェーンソーを持って不敵な笑みを浮かべている内田を取り囲むように、玉城や股間からミサイルを発射して攻撃する衝撃のキャラクター・爆谷さゆりを演じる佐藤らが集結。内田の制服やチェーンソーには血痕も付着しており、映画タイトル通りのデザインに仕上がっている。玉城は、1985年12月17日生まれ。沖縄県出身。2004年にテレビ東京で放送されたドラマ『エコエコアザラク~眼~』で俳優デビュー。その後映画、ドラマ、舞台など数々の作品に出演し、『曇天に笑う』の曇天火役など人気キャラクターを務める一方で、その中性的な顔立ちから女性役を演じるなど幅広い演技を見せている。(C)2016三家本礼・KADOKAWA刊/VAP
2015年10月30日竹内真による同名小説を2011年に舞台化。今回、主演の玉城裕規をはじめ、5人の新たなメインキャストを迎えての再演となる舞台『カレーライフ』が、10月17日、東京・Zeppブルーシアター六本木にて開幕した。【チケット情報はこちら】幼い頃、祖父の洋食屋で一緒にカレーを食べ「大きくなったら一緒にカレー屋をやろう」と誓い合った5人のいとこ同士。しかし時は流れ、いとこ同士の約束は風化し、それぞれが自分の人生を歩んでいた。ケンスケ(玉城)自身もすっかり約束を忘れていたが、父が亡くなる直前に祖父の店を託される。昔食べた「じいちゃんのカレー」を復活させようとするもその味には程遠い。いとこ5人での約束を思い出したケンスケは、唯一連絡がついたワタル(滝口幸広)とともに残りのいとこ達に会おうと決心するが、なかなかうまくいかない。アメリカ留学中のヒカリ(岡本玲)はカレー嫌いになっており、サトル(長濱慎)は大学受験失敗後に行方不明。コジロウ(丸山敦史)には週刊誌記者の仕事が忙しくカレー屋の誘いを断られてしまう。祖父のカレーといとこ達を求め、富士、アメリカ、インド、沖縄と各地を旅していくうちに、祖父のカレーの隠し味に、戦後まもなくの混乱期にあった黄金伝説が関係していることを知る。「じいちゃんは一体、どんな想いでカレーを作っていたんだろう?」明らかになっていくカレーの秘密とともに、苦難の旅を乗り越えたケンスケたちが辿りついた新しい「じいちゃんのカレー」とは…。祖父のカレーの秘密をめぐり、世界を旅する青年たちの成長を描いた本作。ストーリーはテンポよく軽快に展開していく。会話のやりとりからキャストたちのチームワークの良さが伺え、また、それぞれの個性が埋没することなく彩り豊かだ。「世界中のばらばらに育った材料がひとつの鍋に集まっている」というカレーをテーマにしているだけに、登場人物たちの様々なキャラクターと、それぞれが持つ事情や悩み、葛藤がからみ合い、爽やかながらもコクのある青春群像劇に仕上がった。公演は10月25日(日)まで東京・Zeppブルーシアター六本木、11月5日(木)熊本・熊本県立劇場演劇ホール、7日(土)大阪・森ノ宮ピロティホールにて上演。チケットは発売中。
2015年10月20日エルメネジルド ゼニア クチュール(Ermenegildo Zegna Couture)が“メイド イン ジャパン”プロジェクトを始動。14SSコレクションより、同ブランドのヘッドデザイナーを務めるステファノ・ピラーティと、日本のニュージェネレーションのアルチザンたちとのコラボレーションが実現した。イタリアのデザインであるが、全ての素材が日本製という今回のカプセルコレクション。日本のチッチオ(Ciccio)の上木規至、山神シャツ、アパレルメーカーのブロウズ(BROWZE)などとタッグを組み、スーツやジャケットはもちろん、ブルゾン、シャツ、シューズ、バッグなどアクセサリーまでのフルラインナップを作製した。更にこのカプセルコレクションのビジュアルは、日本の写真家、ホンマタカシによって撮影されている。出演は俳優の加瀬亮、クリエイティブディレクターのムラカミカイエ、料理人の長谷川在祐、音楽家の渋谷慶一郎、建築家の重松象平といった顔ぶれ。映画界・ビジネス界・クリエーションなどと多ジャンルにおいてそれぞれの個性を持って活躍する5人の“キー・オピニオン・リーダー”が、このカプセルコレクションが持つ「日本の若く優秀な才能を招聘し、コレクションに更なる感度とノウハウを吹き込む」という特別なコンセプトを体現するものである。“メイド イン ジャパン”の全4ラインは9月5日より銀座グローバスストアにて先行発売。続いて10月より大阪のグローバルストアでも展開される予定だ。ステファノ・ピラーティのデザインと、日本製のテーラーリングとファブリックにおける日本文化・伝統の融合を体感して欲しい。ホンマタカシ撮影の動画 --5人の“キー・オピニオン・リーダー”のインタビュー
2015年09月08日