妊娠して5か月目になると、つわりも少しおさまり妊婦さんも安定期に入ります。赤ちゃんもお腹の中で動き出し、母親になる喜びが感じられる頃です。「戌の日」に安産で多産の犬にあやかって腹巻を巻く風習があります。戌の日は、お腹の赤ちゃんをしっかりと意識すべき日だと思っています。2019年戌の日カレンダー1日(火)・13日(日)・25日(金)2月 6日(水)・18日(月)3月 2日(土)・14日(木) ・26日(火)4月 7日(日)・19日(金)5月 1日(水)・13日(月)・25日(土)6月 6日(木)・18日(火)・30日(日)7月 2日(金)・24日(水)8月 5日(月)・17日(土)・29日(木)9月 10日(火)・22日(日)10月 4日(金)・16日(水)・28日(月)11月 9日(土)・21日(木)12月 3日(火)・15日(日)・27日(金)2020年戌の日カレンダー1月 8日(水)・20日(月)2月 1日(土)・13日(木)・25日(火)3月 8日(日)・20日(金) 4月 1日(水)・13日(月)・25日(土)5月 7日(木)・19日(火)・31日(日) 6月 12日(金)・24日(水) 7月 6日(月)・ 18日(土)・ 30日(木)8月 11日(火)・23日(日)9月 4日(金)・ 16日(水)・ 28日(月)10月 10日(土)・22日(木)11月 3日(火)・15日(日)・27日(金)12月 9日(水)・21日(月)妊婦さんが寺社へのお参りをする日ではない?戌の日には必ず寺社にお参りをするものと勘違いをされている人も多く、昨今寺社では、お参りの人で行列ができ、妊婦さんが救急車で運ばれるなんていう話も聞きます。折角の良い思い出になるお参りも、そのようなことにならないように気を付けなくてはなりませんね。お参りに行くのであれば、妊婦さんの体調と相談して、良い日を選びましょう。大安などの六輝(六曜)にこだわる方もいますが、六輝自体は鎌倉時代に中国から入ってきた占いの一つです。入ってきた当初は一日の時間の吉凶を占ったものを、後に江戸時代に日にちの吉凶を占うものになったので、筆者はあまり意味のないことと思います。日々是好日と体調の良い日にご家族でお参りすることをお勧めします。そもそも戌の日の起源とは?犬は多産でお産が軽いので犬の出産にあやかる意味で、妊娠がはっきりして、そろそろ胎動が感じられる5ヶ月目の戌の日の前に、各地の寺社で安産祈祷をしてもらった腹帯を戌の日にしめることが風習となっているようです。何故、戌の日かというかと言いますと、犬の出産にあやかろうとすると説明されることが多いのですが、その他にも、犬はあの世とこの世とを往復できる動物と考えられていることにも関係がありそうです。ただ、現代のようになったのは、江戸時代に入ってからと言われています。その前は、子(ね)の日に行われていたようです。鼠も多産で子孫を増やす力があったために、その力にあやかろうとしたためと言われています。早いところでは3ヶ月、遅いところでは7ヶ月の戌の日に妊婦のお腹に腹帯をまくところもあるようです。腹帯を巻く風習の起源腹帯を巻く風習は、平安時代に皇室でおこなわれたのがはじめとされています。昔は、妊婦の実家が赤白二筋の絹と白木綿一筋の帯を重ねて奉書紙で包み、表書きを「岩田帯」「祝の帯」「祝帯」と書いて、蝶結びの赤白の水引をかけて贈りました。絹帯は、あとで祝着に仕立てて、赤ちゃんの誕生の時に使い、白木綿はオムツに使われました。妊婦がつけるさらしの腹帯「岩田帯」は、もともと齋肌帯(いはだおび)から転じた言葉で「齋」のは「忌み」という意味があり、昔は出産が穢れ(けがれ)と考えられていたことによります。帯祝いの日から出産の忌みに入るので肌帯をつけて安産を願ったのですが、岩田帯をお腹にまくことで胎児を守り、妊婦の腰を支えたり、冷えを防いだりする実用的な役割もあったと思われます。昔は、腹帯は産婆に巻いてもらうほか、仲人、里の親、夫などにしめてもらったり、子運のよい人、産の軽かった人、丈夫な子供を育てている人などに帯親を頼んでしめてもらったりすることが多かったそうです。腹帯には、各地の寺社で安産祈願をしてもらった布が用いられるほか、上棟式、船卸の幟、土俵の四本柱の巻き布など祝儀の時にもちいたものが使われることもあったそうです。また、葬式の時にたてる5色の旗を巻くところもありました。力士のように強い力をもらったり、死者の霊魂を胎児に付与することによって運がつけられたり、胎児の霊魂も強くなるといった強いもの、縁起のよいものの力を借りようとする意識がみられます。帯の長さも縁起の良い3尺3寸や7尺5寸長さに切って使用したり、安産のまじない札を挟んでおきました。まじないは、腹帯に犬という字を書き、腹帯の間に熊の腸や毛や蛇の抜け殻などを挟むやり方があったそうです。腹帯の起源は、神功皇后の新羅征討の時に、応神天皇を出産しそうになり、腹帯に小石を挟んで出征して帰国するまでに出産をのばしたという故事に由来すると言われています。きりっと締めると子供が育ちすぎずに産が軽く済むと言われるとともに、腹帯をするのは、世界中でもめずらしいようで、日本オリジナルの出産文化である事が分かります。安産祈願のお祝い金や内祝について親しい人がお金でお祝いをする場合は「ご着帯御祝」と書いて贈ります。お祝いを頂いた家へは、お金をもらった場合は、1割のお移り(おため)を入れて返礼します。犬の張子人形を贈ることもあります。犬張子は平安時代に産室の魔よけとして飾られたものです。また、江戸時代には初宮参りのとき、あいさつ回りを迎える側から贈り物として使われていたという縁起ものです。基本的には、帯祝いにいただいたものには、特にお返しの品は必要ないと言われています。また、着帯しましたよということを近所や親戚に知ってもあうために「帯掛け内祝」として折箱に赤飯を軽く入れて南天の葉を添えて贈るところもあります。赤飯を軽く入れるのは、お産が軽く済むようにとの願いです。南天は難を転じるおまじないです。寺社へ参拝する場合戌の日を前に岩田帯を用意して寺社に安産祈願をしますが、東京では、中央区の水天宮が有名です。水天宮にように安産祈願に有名な寺社は、戌の日には想像以上に混み合うことも多いので気を付けましょう。水天宮には「御子守帯」(みすずおび)という岩田帯も用意されています。実家の母親とお参りする人が多いようですが、姑を一緒に誘ってあげても喜ばれると思います。特に男の子しかいない母親には、自分もそうだったと懐かしく思ってもらえると思います。夫婦やその親と一緒に神社で安産祈願したあとで食事会などする人も多いと聞きます。▼服装のルールは?服装は、神様にお願いに上がるので余りカジュアルな服装よりある程度きちんとした服装の方が良いと思います。▼初穂料は?のし袋は必要?祈祷してもらう場合は、初穂料をおさめるのが一般的。赤白の蝶結びの水引に熨斗付きお金包みに「初穂料」と書いてお金を包みます。いくら包むかは、前もって訊いておくとよいでしょう。出産に伴う不安を払拭させたい方も多いと思いますが、体調の悪い場合は、無理せず、戌の日でなくてもよいのです。戌の日には、腹帯をつけることをなさるとよいと思います。<参考>人生儀礼辞典(小学館)日本橋はいばらがおくる四季の心得帖(自由国民社)
2017年02月27日