私たちを魅了するエンタメの世界。そこには、それを作り上げている多くの功労者たちがいます。ここでは、表舞台を支える“床山”のお仕事をご紹介!その人らしさを感じるビジュアルをヘアメイクで構築。床山とは、いわゆるヘアメイクを担当する部門。ミュージカル『オペラ座の怪人』は、19世紀のパリ・オペラ座を舞台にしているうえ、劇中劇もあるため、劇団四季のなかでもとくにカツラの使用数が多い演目なのだとか。「すべてというわけにはいかないですが、ものによっては毎日メンテナンスするものもありますし、週に1度、日付を決めて手を入れているものもあります。基本的にメインで使用するカツラはこちらでチェックも行っていますが、本番中に髪型が崩れたものなどがあれば、俳優から自己申告してもらったりもします」当時の流行の髪型にかなり忠実に作られているため、なかには髪の毛ひと束ごと細かくねじって巻き留めていたり、細かく編み込まれている複雑で手の込んだ髪型も。「『オペラ座~』の現場に就いたばかりの時には、構造を把握するためいったんすべて解体しながら写真を撮り、一から作り直してみることをしていました。それでもうまくいかなければ先輩に聞きますが、基本は見て学ぶ、ですね」ロングラン公演の多い劇団四季では、一つの役に複数の俳優がキャスティングされている。そのためメインの役に関しては、演じ手の頭に合わせたカツラを用意。「大事なのは、客席から舞台を見た時に、その役のイメージに合っているかどうか。同じカツラでも、俳優の目鼻の位置や顔の形、身長や体型によってだいぶ印象が変わります。ですのでフィッティングしてみて、大きさだけでなく、部分ごとにボリュームを変えたり、もみあげの長さを調整したり、人によっては毛を植えたり抜いたりすることもあるんです」実際に俳優がそれを着けて舞台に立ち、本番の照明が当たって見えた時のビジュアルが、自分の頭の中で思い描いたキャラクターイメージとぴったり合った時が、やりがいを感じる瞬間と山田さん。「生身の俳優が目の前で演じ、歌っている時の熱量や息遣い。そこに照明や小道具、装置…すべてが一つになった総合芸術。それを五感で余さず感じ取れるのが生の舞台の魅力だと思っています」様々な道具を使い分けながらカツラをメンテナンス。現在、公演を担当している床山さんは4人。終演後、必要なカツラを床山部屋に集め、1人につき1日約4体程度のメンテナンスを担当。コテで髪を巻き直したり、場合によっては一からセットし直す場合も。ここに写っているのは、劇中劇「ハンニバル」のカルロッタのカツラ。山田さんは怪人のメイクも担当しており、そこで使用するアイテムも毎日メンテナンスしている。【本番!】写真・佐藤アキラ髪飾りを付けるカツラは、飾りのインパクトに負けないようボリューム感など何度も調整するとか。カールの太さにより様々なコテを使い分ける。写真は3つともヒゲ用。床山部屋はステージの裏に。劇団四季 ミュージカル『オペラ座の怪人』19世紀半ばのパリ。オペラ座に隠れ住む怪人(=ファントム)と、彼がその才能を見初めた歌姫クリスティーヌをめぐる壮大なラブストーリー。現在、清水建設ミュージカルシアター JR東日本四季劇場[秋]にて上演中。2022年1月10日千秋楽。写真・阿部章仁山田梨香子さん劇団四季 舞台美術部 床山所属『オペラ座の怪人』床山チーフ。小学生時代に特殊メイクに興味を持ち、美容学校を経て劇団四季へ。入団当初は『ライオンキング』を担当。現在、入団3年目。※『anan』2021年8月11日‐18日合併号より。写真・小笠原真紀取材、文・望月リサ(by anan編集部)
2021年08月12日東京・竹芝のホテル「メズム東京、オートグラフ コレクション」(以下、メズム東京)から、『オペラ座の怪人』の世界をイメージしたコンセプトルームが登場。2021年8月6日(金)から2022年1月10日(月)まで、1日1室限定で提供する。予約販売は、8月2日(月)よりスタート。メズム東京×劇団四季『オペラ座の怪人』オペラ座の地下に棲む怪人の歌姫クリスティーヌへの悲恋を、美しく厳かに描いた劇団四季ミュージカル『オペラ座の怪人』。本作とコラボレーションを実現したメズム東京のコンセプトルームは、そんな歌姫・クリスティーヌの楽屋をテーマに、物語の世界観をたっぷりと詰め込んでいるのが特徴だ。劇団四季の美術チームも参加完成したコンセプトルームは、劇団四季の美術チームも加わった本格仕上がり。劇中の豪華絢爛な舞台美術や19世紀後半のパリを彷彿とさせるデザインのヘッドボード、 劇中劇「ハンニバル」の額入りポスター、怪人が着用している仮面のレプリカなど、今回のために制作したオリジナルアイテムが、『オペラ座の怪人』の世界観を盛り上げる。“暗闇のミラー”に浮かび上がる怪人の仮面また楽屋の鏡の中から怪人が現れ、クリスティーヌを地底深くへと誘ったように、バスルームのミラーにも一捻り。暗闇の中、怪人の仮面がミラーに浮かび上がる、“あの名シーン”を楽しむことができる。特製アメニティもそのほかコンセプトルームは、特製アメニティも充実。「劇団四季×mesm」のロゴ入りアメニティポーチや、19世紀パリ発祥の伝統菓子なども取り揃えている。【詳細】『オペラ座の怪人』コンセプトルーム提供期間:2021年8月6日(金)~2022年1月10日(月) ※22年1月11日(火)チェックアウト分まで発売日:8月2日(月)AM10:00~住所:東京都港区海岸1丁目10-30 メズム東京、オートグラフ コレクション客室タイプ:チャプター1 ツイン(40平方メートル)1泊料金:69,950円~(1~2名/朝食なし)・朝食「メズム・ブレックファスト」付きの場合:1名74,250円~/ 2名78,550円~※料金は税金・サービス料を含む。<特典>・「劇団四季×mesm」のロゴ入りアメニティポーチ(非売品)※ひとり一点。・ウェルカムスイーツ&スパークリングワイン【予約・問い合わせ】TEL:03-5777-1111(代表/スターサービスセンター)
2021年08月02日1983年の日本初演以来、驚異的なロングランを続ける劇団四季ミュージカル『キャッツ』。7年ぶり4度目となる福岡公演の開幕を前にキャナルシティ劇場で行われた舞台仕込み取材会で、舞台監督の福永泰晴氏と舞台美術家の土屋茂昭氏に、舞台装置やデザイン、『キャッツ』の世界観について話を聴いた。『キャッツ』の舞台は都会のゴミ捨て場。客席に足を踏み入れた途端に広がる"キャッツ・ワールド"を築き上げる舞台美術は、本作の見どころのひとつ。猫の目線に合わせて実際の3~5倍の大きさで作られた2,500~3,000ものゴミのオブジェが、舞台だけでなく2階席まで劇場全体を埋め尽くし、まるで自分も猫になったかのような気分を体感できる。「でも猫の目線を味わうためだけじゃなくて…」と語るのは土屋。「『ユタと不思議な仲間たち』の公演で東日本大震災の被災地を回った時、被災者の方ががれきの山から取り出した物の砂をはらっている光景を見て、ゴミは思い出の塊なんだということを強く意識するようになりました。だからここも、いろいろな思い出が集積した場所なんだと改めて思いますね」ゴミのオブジェといえば、上演地ゆかりの"ご当地ゴミ"を探すのも劇場での楽しみのひとつ。今回も、「めんべい」や「チロリアン」のパッケージ、福岡ソフトバンクホークスの帽子など、24種類34点のご当地ゴミのオブジェが飾られる。そして、土屋がもうひとつのお楽しみを教えてくれた。「セットの中に、ひとつだけ四つ葉のクローバーが隠されています。場所が変わるので、来る度に見つけてくださいね。幸せのおすそわけです」劇団四季によるキャナルシティ劇場での長期公演活動は、今回の『キャッツ』福岡公演をもって終了となる。前回、7年前の『キャッツ』福岡公演が本作の舞台監督としてのデビューだったという福永は、「今回、同作品でこの劇場に戻って来られたことに、なんだか運命的なものを感じています。(先月閉館した)東京・大井町のキャッツ・シアターと比べて、劇場公演は舞台と客席の距離が近いので、より臨場感があると思います。まるでアトラクションのようなこの空間を楽しみに来てほしいですね」と力強く語り、土屋も「劇場だと、2階からという、また違った視点からも楽しめます。そしてこのキャッツ・ワールドを構成するセットやオブジェも、できるだけ近くで細かいところまで見てほしいですね」と笑顔で締めくくった。福岡公演は、7月27日(火)にキャナルシティ劇場にて開幕。チケットは発売中。
2021年07月19日初日のチケット販売数は歴代1位の23.9万枚!あの『アナと雪の女王』(NOMURA 野村證券ミュージカルシアター JR東日本四季劇場[春]にて公演)がこのたび、劇団四季のミュージカルとなった。大注目作の全貌はいかに?本誌記者が見どころレポート!劇場に入るとすぐ目に飛び込んできたのは、舞台の緞帳に映し出された、世界観を表す映像と作品のタイトル。どこか映画の冒頭をほうふつとさせる演出は、映画版を愛するファンを舞台に誘う架け橋のように感じられた。本作はヤングアナとヤングエルサのシーンから始まる。『雪だるまつくろう』は映画でおなじみの楽曲ながら、生演奏による生の歌唱(歌詞も映画版とは異なる)は、舞台ならでは。子役2人の息の合ったかけ合いに感動させられたかと思えば、愛らしい動きにクスリともさせられる。また、宮中の華やかさにうっとりしていると一転、緊迫した氷の世界に誘われるなど、アトラクションのようにさまざまな感情が呼び覚まされる。極めつけはやはり、エルサが自分を解き放つ『ありのままで』。エルサの内面が映画以上に丁寧に描かれており、自然とエルサに自分を重ね合わせられ、鳥肌必至!【見どころ1】魔法を再現するプロジェクションマッピングふわふわと舞ったり、激しくふぶいたり……雪や氷の見せ方はバリエーション豊か。プロジェクションマッピングなど最新技術を使い、エルサの「魔法」を、鮮やかに描き出す。【見どころ2】映画以上のダンスの躍動感振付家がこだわったというのが、俳優の肉体を駆使した舞台ならではの身体表現。アナとハンスの運命的な出会いは、2人のアクロバティックなダンスにより、言葉以上にその高揚感を伝える。【見どころ3】スヴェン&オラフのかわいらしさリアルさを追求したトナカイのスヴェンと、映画から抜け出したかのような雪だるまのオラフ。見た目はもちろん動きも愛らしい彼らの存在は、緊迫する「氷の世界」の一服の清涼剤に。【見どころ4】『ありのままで』の荘厳セットエルサが自分を解き放つ一幕の見せ場。彼女を引き立てる美しき氷のカーテンには、なんとスワロフスキーが使われているそう!本作品は’20年の初演予定がコロナの影響で延期となった。空白のその1年に作品のキャッチコピーを新しく作成したという。そうして掲げられたのが「凍った世界を救えるのは、この愛だけ。」。私たちが立ち向かう今日の「凍った世界」で開幕したミュージカル『アナ雪』は、演劇界にも吹き荒れる逆風に負けずに届けられた、劇団四季からの「愛」そのものに違いない。
2021年07月05日劇団四季の新作ディズニーミュージカル『アナと雪の女王』が、6月24日、東京・竹芝のNOMURA野村證券ミュージカルシアターJR東日本四季劇場[春]で開幕する。初日を3日後に控えた21日、同劇場で最終通し舞台稽古が公開された。関係者にとっては、まさに“やっと”という思いだろう。本来なら昨年9月10日、新劇場のこけら落とし公演として幕を開ける予定だったが、コロナ禍により延期。改めて9ヶ月後の6月に開幕を決めたものの、海外クリエイティブスタッフが来日できるのか、ギリギリまで危ぶまれる状況だった。すべてを乗り越えて迎えたこの日の公開稽古には、無事来日を果たし、四季側のキャスト、スタッフと共に、約2ヶ月間、集中して稽古に臨んだ海外スタッフたちの姿も見える。客席に入ると、アレンデールの城と家々が描かれた幕にオーロラが揺らめき、吹雪を思わせる音が聞こえてくる。ノルウェーの音楽家フローデ・フェルハイムによる、力強く美しい民族音楽調の曲「ヴェリィ」が流れる中、幕が上がると、幼いふたりの王女、エルサとアナが仲よく遊んでいる。アナの無邪気でかわいらしい姿には、客席からたびたび笑いが起こる。生まれつき雪や氷を操る魔法の力を持つエルサに、雪だるまを作ろうとせがむアナ。しかし事故が起こり、不思議な力を持つ山の民“隠れびと”によってアナは一命を取り留めるが、記憶は消され、国王(阿久津陽一郎)は城門を閉ざし、魔力を人々の目から隠す。その日からエルサは部屋に閉じ籠もり、妹のアナでさえ会えなくなってしまう。やがて旅に出た国王夫妻は海で命を落とし、時が流れ、成人したエルサの戴冠式の日がやってくる。ここまで約15分間、一気に物語は進む。お馴染み「ありのままで」と舞台用に追加された「モンスター」で姉妹の葛藤を描くいよいよ戴冠式の朝、久しぶりに城門が開かれ、ワクワクした気持ちを歌うアナ(三平果歩)のナンバー「生まれて初めて」から、極度の緊張を隠して戴冠式に臨み、無事に終えてホッとするエルサ(岡本瑞恵)のナンバー「危険な夢」まで、登場人物たちをうまく動かし、流れるように展開していくマイケル・グランデージの演出に、観客はどんどん引き込まれていく。アナと、サザンアイルズの王子ハンス(杉浦洸)が惹かれ合うナンバー「扉あけて」の、ロブ・アシュフォード振付によるアクロバティックなダンスや、思わず魔法を使ってしまい、動揺して城を飛び出したエルサを追いかけるアナと、彼女を助ける山男のクリストフ(神永東吾)が歌う「愛の何がわかる」もコミカルで楽しい。そこで出会う雪だるまのオラフ(小林英恵)がまた愛らしく、パペットを操る俳優と共に、アニメ版同様、舞台版でも人気者になりそうだ。しかし圧巻は何と言っても、1幕ラストのナンバー「ありのままで」だろう。舞台奥の全面に設置されたLEDを駆使し、照明とプロジェクションマッピング、そして装置の力で、瞬く間に物が凍りつき、氷の宮殿が出来上がっていく様子は、見事という他はない。床面が凍っていくところまでよく観たければ、2階席がおすすめだ。岡本の歌唱は、最初はまだ自信がなさそうに歌い出し、手袋やマントが飛び去り、引き抜きのように一瞬にして衣裳が替わるにつれて、どんどん力強さを増し、表情も生き生きしていく。2幕はまず、冒頭のワンダリング・オーケンの店の場面で、店主のオーケンが歌う「ヒュッゲ」が楽しい。そして、再会したエルサとアナの「あなたを失いたくない」が、この物語のテーマでもある、姉妹の強い絆と愛を歌っていて、心に響く。舞台版で、他の曲と同様、クリステン・アンダーソン=ロペス&ロバート・ロペスの手によって加えられたエルサのナンバー「モンスター」も、彼女の心情が切々と伝わってくる。日本語台本と訳詞を手がけた高橋知伽江が紡ぎ出した言葉にも、魔法の力があるようだ。『アナと雪の女王』は、年末までほぼチケットが完売だと言う。会えなくても会えないつらさを乗り越え、真実の愛を貫いたエルサとアナの物語は、コロナ禍で様々な制約を課せられている今の私たちに、勇気を与えてくれるだろう。取材・文:原田順子劇団四季最新ミュージカル『アナと雪の女王』東京公演2021年6月24日(木)開幕、2022年6月30日(木)まで上演決定会場:NOMURA野村證券ミュージカルシアター JR東日本四季劇場[春]
2021年06月25日ディズニー最新ミュージカル『アナと雪の女王』が、6月24日(木)より東京・竹芝エリアに誕生した新劇場・NOMURA野村證券ミュージカルシアター JR東日本四季劇場[春]にて開演する。2013年に公開された映画『アナと雪の女王』。社会現象を巻き起こすほどの世界的大ヒットを記録した作品が2018年3月、ブロードウェイにて舞台化、世界各地での公演も行われ、2021年ついに日本上陸。日本でのミュージカル『アナと雪の女王』を手がけるのは、長年ディズニーミュージカルを日本に提供してきた劇団四季。『アナと雪の女王』は販売枚数が23万9千枚を越え、一般発売初日段階での記録として、『アラジン』や『美女と野獣』を超え劇団四季史上最高販売枚数となった。さらに2022年1月〜6月の延長公演も決定。開演前から大きな話題をさらっている。多種多様な手法で舞台化されてきたディズニーミュージカルディズニーは1994年の『美女と野獣』からブロードウェイ・ミュージカルを手がけ、数々の名作を舞台化している。25年以上にわたるディズニーミュージカルの歴史では人気作が世界中で公演され続ける一方、常に新しい作品も生み出され続け、2021年10月には『くまのプーさん』のパペットミュージカルがオフ・ブロードウェイで開幕予定だ。そしてディズニーミュージカルの中でも特に有名なのが『ライオンキング』。日本でも劇団四季により1998年から公演され、通算公演回数は日本演劇史上最多の12,000回を超えている。『ライオンキング』はブロードウェイでアフリカ系キャストを中心に公演され、ラフィキを女性に置き換えた配役や人間が動物を演じる手法は、ミュージカルに留まらず後のディズニー全体の『ライオン・キング』像に大きな影響を及ぼした。さらに“ミュージカル・コメディ”と銘打った『アラジン』、深い人間ドラマとして焦点を当てた『ノートルダムの鐘』など多種多様な手法で舞台化が行われてきた。ディズニーは、単に映画をそのまま舞台化するのではなく、アニメーション映画とは異なる視点から作品を見つめ直すことで、舞台だからこそ表現できる作品の新たな魅力やメッセージを見せてくれている。そんなディズニーが超大ヒット作をどのような手法でミュージカル化するのか。最新鋭の技術による演出で“劇場が凍る”北欧にインスパイアされた美術や雪と氷の表現は、古典的な演劇手法に加え、最新鋭のプロジェクションマッピングやLEDを使用することで実現している。その特殊効果は“劇場が凍る”と宣伝されており、「アナ雪」の世界に劇場全体が引き込まれていくことだろう。さらにオラフやスヴェンはパペットとして登場し、ディズニーミュージカルの伝統と革新を取り込んだ作品になる。「ありのままで」を手がけた高橋知伽江による日本語台本と訳詞ディズニーミュージカルの大きな特徴に、音楽がある。アニメーション版での楽曲は使用しつつ、ミュージカル化に際し新たな楽曲を追加している。この新曲を、『美女と野獣』や『アラジン』などではアニメーション版の作曲家アラン・メンケンが新たに手がけている。アニメーションの音楽と継続性のある新曲でありつつ、登場人物や物語により深みを与えるミュージカルとして機能している。『アナと雪の女王』でも、アニメーション版では「Let It Go~ありのままで~」をはじめ、「生まれてはじめて」「雪だるまつくろう」など社会現象を巻き起こした曲が目白押し。オリジナル楽曲はミュージカルで使用される上に、これらの作詞・作曲家であるロバート・ロペスとクリステン・アンダーソン=ロペス夫妻が10曲以上の新曲を追加した。アニメーション版『アナと雪の女王』は多くの名曲で彩られているが、歌は前半に集中しており、後半は「愛さえあれば」のみ。新たな楽曲が加わることで、全編にわたり音楽に溢れ、より楽しく深みのあるミュージカル作品になることだろう。日本で劇団四季がディズニーミュージカルを手がけて25年、『アナと雪の女王』は7作目となる。今や世界有数のディズニーミュージカル公演都市となった東京で新たに『アナと雪の女王』が開幕する。日本でディズニーミュージカルを公演するに際し、大きなポイントはやはり日本人役者と日本語台詞・訳詞になるだろう。劇団四季『アナと雪の女王』ポスターミュージカル『アナと雪の女王』では、アニメーション版で訳詞を担当し「ありのままで」の歌詞を作り出した高橋知伽江が、アニメーション版に続きミュージカル版も日本語台本と訳詞を手掛ける。高橋は劇団四季のディズニーミュージカルでも『アラジン』で訳詞、『ノートルダムの鐘』で日本語台本と訳詞を担当している。直訳よりリズムを重視し原語のエッセンスの再構築による訳詞を得意とする高橋により、日本ならではの『アナと雪の女王』が表現される。さらに、今回の劇団四季版は「ブロードウェイ初演版と、最新のプロダクションバージョンを融合させ、さらに磨きをかけた日本オリジナルの最新版」と予告されており、まさに日本でしか観られない『アナと雪の女王』が始まる。文:林田周也劇団四季最新ミュージカル『アナと雪の女王』東京公演2021年6月24日(木)開幕、2022年6月30日(木)まで上演決定会場:NOMURA野村證券ミュージカルシアター JR東日本四季劇場[春]
2021年06月20日劇団四季は、新作オリジナルミュージカル『バケモノの子』をJR東日本四季劇場[秋]にて2022年4月30日(土)より上演する。チケットの一般発売開始日は、2022年2月5日(土)。細田守『バケモノの子』が劇団四季ミュージカルに!『バケモノの子』は、2015年に公開されたスタジオ地図の長編アニメーション映画。監督は、『竜とそばかすの姫』などで知られる細田守が務めた。物語の舞台は、<バケモノたちの棲む異世界>と<東京・渋谷>。母親を亡くし孤独に生きていた主人公の少年・九太が、バケモノの熊徹に出会い、相互成長しながらまるで本物の親子のような固い絆で結ばれていく様子を描いている。そんなスタジオ地図の名作が初めてミュージカル化され、劇団四季史上最大のオリジナルミュージカルとして、2022年4月より国産ミュージカルとしては最大級の長期公演を実施。ミュージカルでは、多種多彩なバケモノや祝祭感あふれる異世界、迫力のある戦闘シーンなどを表現するため、特殊メイクやパペット、アクション、マジック、映像などあらゆる手段が用いられる。脚本・歌詞に「アナと雪の女王」の高橋知伽江脚本と歌詞は、映画「アナと雪の女王」や劇団四季の『アラジン』で訳詞を手掛けた高橋知伽江が担当。演出は、劇団四季の海外ストレートプレイ『恋におちたシェイクスピア』や音楽劇『星の王子さま』などを手掛けてきた青木豪が務める。“渋天街”のコンセプトアート上演に先駆けて公開された、装置デザイン・石原敬によるコンセプトアートには、「少年・蓮(九太)がこの舞台上の街に迷い込んだら…」というコンセプトのもとバケモノの世界“渋天街”のビジュアルイメージを描画した、色鮮やかな世界が表現されている。公演概要劇団四季オリジナルミュージカル『バケモノの子』公演期間:2022年4月30日(土)開幕会場:JR東日本四季劇場[秋]住所:東京都港区海岸1-10-45チケット発売日:2022年2月5日(土)10:00 一般発売開始※初回販売分は、2022年4月30日(土)~9月30日(金) 計143回公演。※「四季の会」会員先行予約は、2022年1月29日(土)~開始。※「四季の会」会員を対象とした事前抽選販売がある。4月30日(土)初日公演は、全席種が事前抽選販売の対象となり、通常の販売はない。5月1日(日)~8月31日(水)の公演は、S1席の一部が対象となる。料金:・バリュー(平日夜):S席 一般 11,000円 子ども 5,500円、A席 一般 8,250円 子ども 4,125円、B席 6,050円、C席 2,750円・レギュラー(平日昼・土夜):S席 一般 12,100円 子ども 6,050円、A席 一般 8,800円 子ども 4,400円、B席 6,600円、C席 3,300円・ピーク(土日祝昼):S席 一般13,200円 子ども 6,600円、A席 一般 9,350円 子ども 4,675円、B席 7,150円、C席 3,850円※初日・千秋楽等は、この限りではない。※子ども料金はS席・A席の「ファミリーゾーン」のみ適用(子ども=3歳以上、小学校6年生以下)。※公演当日3歳以上有料(膝上観劇不可)、2歳以下入場不可。予約方法:・ネット予約:SHIKI ON-LINE TICKET(24時間受付)・直接購入:劇団四季専用劇場チケットボックス (一部を除く) 他※ただし、発売初日のみインターネット予約は10:00~、窓口では各公演の開演90分前~発売開始。【問い合わせ先】劇団四季ナビダイヤルTEL:0570-008-110
2021年06月13日劇団四季のディズニーミュージカル『ライオンキング』東京公演が6月12日、積水ハウスミュージカルシアター 四季劇場[夏](東京・大井町)でのファイナル公演を迎え、本編終了後に特別カーテンコールが実施された。1998年、旧四季劇場[春]のこけら落とし公演として開幕以来、日本演劇史上初の無期限ロングランを継続する『ライオンキング』は5都市(東京・大阪・福岡・名古屋・札幌)でのべ11公演を実施し、各地でロングラン記録を樹立した。四季劇場[夏]ファイナル公演終了時点での通算上演回数は12,994回、総入場者数は約1,294万人を数え、いずれも国内最多の記録となる。なお、四季劇場[夏]は、大井町地区の再開発計画を受け、6月をもって閉館。『ライオンキング』は都内最大級の巨大複合施設「有明ガーデン」の一角に位置する新劇場・有明四季劇場に会場を移し、9月26日より再び公演を継続。さらなる無期限ロングランを目指す。“大井町から有明へ”の幕が舞台中央に降り、すべてのキャラクターが登場した特別カーテンコールでは、出演者を代表してムファサ役の内海雅智が挨拶。「9月からは有明四季劇場に舞台を移し、さらなるロングランに挑んで参ります。今後もより一層のご声援を賜りますようお願い申し上げます」と意気込みを語ると、客席からは大きな拍手が送られた。そして、特別バージョンにて「お前のなかに生きている(リプライズ)」のナンバーが披露されると、四季劇場[夏]での『ライオンキング』東京公演は幕を閉じた。<内海雅智(ムファサ役)コメント>『ライオンキング』東京公演は、本日、ここ四季劇場[夏]でのファイナル公演を迎えました。作品を愛し、育んでくださったすべての皆様に、出演者、スタッフ一同、心より御礼申し上げます。1998年の開幕以来、日本演劇史上初となる「無期限ロングランへの挑戦」と続ける『ライオンキング』東京公演。9月からは有明四季劇場に舞台を移し、さらなるロングランに挑んで参ります。今後もより一層のご声援を賜りますようお願い申し上げます。本日は誠にありがとうございました。取材・文・写真=内田涼ディズニーミュージカル『ライオンキング』東京公演公演日程:2021年9月26日(日)~ロングラン公演会場:有明四季劇場(江東区有明2丁目1-29)
2021年06月12日劇団四季によるディズニーミュージカル『アナと雪の女王』の待望の日本初演が2021年6月24日(木)から、東京・竹芝エリアに誕生した新劇場「NOMURA 野村證券ミュージカルシアター JR東日本四季劇場[春]」のロングラン第一弾作品として開幕する。2013年に公開され、世界的な大ヒットを記録したディズニーの劇場版長編アニメーション『アナと雪の女王』。その名作アニメを舞台化した本作は、18年3月にブロードウェイで初演され、2020年に日本初演される予定だったが、コロナ禍であえなく開幕を延期。今回、満を持しての上演となる。初日まで1カ月を切った5月某日。横浜市青葉区にある四季芸術センターで、出演候補者によるメディア向け公開稽古と合同取材会が行われた。演出アソシエートのエイドリアン・サープルが「Enjoy!」と声を掛け、公開稽古が始まった。この日公開されたのは3曲。1曲目は、アレンデールの王女アナが歌う「生まれて初めて」。眠っていたアナが、侍女に起こされて、急いでドレスを身につけ、これからの出会いに胸を膨らませる様子を歌う。この日アナを演じた町島智子は、表情豊かに、とてもチャーミングなアナを演じていた。続いては「サザンアイルズのハンス」〜「危険な夢」。偶然出会ったアナとハンスが、ぎこちない会話ながらも、互いの出自と立場に共感して、心が惹かれ合っていくシーンから、エルサの戴冠式までを通す。この日エルサを演じた岡本瑞恵は、凛とした表情がよく似合う。短いシーンながらも、孤独や女王としての矜持が十二分に感じられた。一旦、エイドリアンらによるフィードバックの時間が設けられた。細かい振付の確認や、芝居の間合いなどを詰めていく。間に通訳を挟みながら、カンパニー一同、真摯にその意見やアドバイスに耳を傾ける。中でも印象的だったのが、俳優陣は言われたことをすぐに実践して見せること。何が最適解なのか、その場で探り、ともに創る姿を垣間見た。そして、最後は「聞いたことのない曲だと思います」とエイドリアンが冗談を言うほどに、本作を代表するナンバーの「ありのままで」。エルサが魔法の力を解放し、ひとりで自由に生きていく決意を高らかに歌い上げる名曲だ。本番では、さまざまな舞台効果が組み合わさって、よりゴージャスな場面になるのだろうが、公開稽古の段階で、岡本エルサはたったひとりで、素晴らしい歌唱を堂々と披露。エイドリアンが「彼女には何も舞台効果は必要ない」と言うほどに、その熱量と表現力は圧巻だった。「ありのままで」を歌い終わった岡本エルサのもとに、町島アナが駆け寄って、抱き合うシーンも。これまでの思いがこみ上げてきたのか、ふたりとも涙ぐんでいるように見えた。筆者自身、これまでいくつもの演劇の稽古場を取材してきたが、ここまで稽古の段階で心を揺さぶられ、感動したのは初めての経験だった。本番がさらに待ち遠しくなった。公開稽古での手応え、本番に向けて『アナと雪の女王』稽古場取材会より左から劇団四季代表取締役社長・吉田智誉樹、アナ役候補の三平果歩、町島智子エルサ役候補の岡本瑞恵、三井莉穂演出アソシエートのエイドリアン・サープル振付アソシエートのチャーリー・ウィリアムズ公開稽古終了後は合同取材会が行われた。その内容を一部紹介したい。ーーきょうの公開稽古の感想をお願いします。チャーリー・ウィリアムズ(振付アソシエート):僕たちすごくキャストのみんなを誇りに思っています。思っていたよりもずいぶん先まで来れましたし、四季のみなさまに支えていただいて、とても嬉しく思っております。エイドリアン・サープル(演出アソシエート):僕自身もすごくカンパニーに大満足していますし、とてもスリリングな体験をしています。今はとにかく劇場にいくことをすごく楽しみにしています。すでに僕たちの美術補佐の方が劇場に行っていて、本当に美しい素晴らしい劇場だとお伺いしています。今までの『アナと雪の女王』の公演のなかでも最も美しい公演になるのではないかと思います。三井莉穂(エルサ役候補):きょうは見ていたんですけど、一緒にお稽古を一緒にさせていただいて、一緒に課題にも向かって、話してきての公開稽古だったので、やり遂げられるおふたりを見て、とても胸が熱くなりました。だからこそ私も頑張ろうと思ったし、いい作品にできたらなと思います。岡本瑞恵(エルサ役候補):今までたくさんお稽古をしてきて、課題や壁になっていた部分がたくさんあったんですが、公開稽古の前にもエイドリアンさんに少しお稽古をしていただいて、大きく消化できた部分があって。あの瞬間は楽しむことができました。エイドリアンさんが常に舞台の上では楽しむことを大切にということを仰ってくださっていたのですが、それが初めてちゃんと楽しいと思えた瞬間でした。今日感じた瞬間を大切にしながら、これから舞台稽古や本番に向けて、もっともっといいお稽古をしていけたらなと思います。町島智子(アナ役候補):今日はとにかく楽しかったです。これからまた、舞台稽古で装置を見たり、全員が衣装を着たりするのを見たりすると思うんですけど、楽しみです。私も早く劇場に行きたいなと思います。毎回毎回自分の中で出てくるワクワクや喜びを、しっかり自分の中で確立していく作業を進めていきたいと思っています。三平果歩(アナ役候補):今日見るのが本当に楽しみで。思っている以上に完璧にされたことに、すごい鳥肌が立ちました。すごく誇らしく思うし、いいな、楽しそうだなと思いました。吉田智誉樹(劇団四季代表取締役社長):このような日本国内で感染が拡大して困難の中、海外からお越しくださったディズニーのクリエイティブメンバーのみなさまの素晴らしい仕事ぶりに感心しました。みなさん、稽古場とホテルを往復するだけの困難の日々を過ごしていらっしゃるのに、こんなに明るく楽しい気持ちで、キャストの皆様に接してくださることに感謝しています。また、ここにいる4人の王女がディズニーの人たちのよろしき指導を得て、しっかり仕事をしているなと思います。ただ、まだまだ途中地点ですので、最終地点を目指して頑張って欲しいなと思います。ーー日本で本作を上演させることにあたり、今、感じていることを教えてください。エイドリアン:どの国でも初めて公演を開けるというのは、本当に光栄なことですし、喜ばしいことだと考えています。日本の観客の皆様は、観劇を楽しみにしてくださっている方が多いと思います。それ自体がモチベーションになりますし、ベストな作品をお届けしようという強い気持ちがわきます。今回は新しい楽曲も追加され、台本の翻訳は高橋知伽江さんがしてくださって、日本のお客様に訴えるような形を目指しています。その過程は大変でもあるんですが、日本のチームのみなさまの努力は類稀なるものがあります。世界中でこの作品を立ち上げてきたのですが、こんなに努力家の役者さんは見たことないです。これを日本のお客さんにお届けすることを楽しみにしています。『アナと雪の女王』稽古場取材会より前列左からアナ役候補の三平果歩町島智子、エルサ役候補の岡本瑞恵三井莉穂/後列左から振付アソシエートのチャーリー・ウィリアムズ、演出アソシエートのエイドリアン・サープル、劇団四季代表取締役社長の吉田智誉樹チャーリー:僕自身日本に来られて、嬉しく、感謝の気持ちでいっぱいです。こうして素晴らしいキャストとご一緒できることを嬉しく思っています。また、こうした世界の情勢があって、公演ができるのか、延期になってしまうのではないかという気持ちもあったんですけど、初めて来日することができて、本当に光栄に思っています。僕自身、普段はマンハッタンに住んでいて、ブロードウェイの『アナと雪の女王』をやっている劇場から5ブロックほどのところに住んでいたんですけど、皆さんご存知の通り、ブロードウェイはほとんどクローズ状態です。そんな中、2021年、こうして劇場で開幕に向かっていくような仕事ができるのは、本当に大きなギフトだなと感じています。僕にとっては初めて外国語で作品を立ち上げているのですが、また新しい視野が広がったような気がします。何年もこの作品をエイドリアンと一緒に手掛けていますが、この作品がより深い作品、強いつながりが生まれたように思います。※劇団四季では5月30日にチケットの一般発売を開始したが、初日の段階の記録としては、同劇団史上最高の総販売数23万9000枚を超えている。好評を受け、来年6月30日まで半年の公演延長が決まっている。取材・文・撮影:五月女菜穂ディズニーミュージカル 『アナと雪の女王』2021年6月24日(木)開幕~2022年6月30日(木)会場:東京・NOMURA野村證券ミュージカルシアター JR東日本四季劇場[春]
2021年06月09日劇団四季が新作オリジナルミュージカル『バケモノの子』を2022年4月より東京・JR東日本四季劇場[秋]で上演する。劇団四季史上、最大規模の新作オリジナルミュージカルとなる本作。原作は2015年公開のスタジオ地図作品・細田守監督による長編アニメーション映画『バケモノの子』だ。同社の大ヒット作のひとつで、翌年の「第39回日本アカデミー賞」では最優秀アニメーション作品賞を受賞している。スタジオ地図作品のミュージカル化は本作が初。四季はこの『バケモノの子』で、国産ミュージカルとして最大級の長期公演に挑む。舞台は、バケモノたちの棲む異世界と東京・渋谷。多種多彩なバケモノや祝祭感あふれる異世界、迫力のある戦闘シーンなどを表現するため、特殊メイクやパペットなどあらゆるクリエイティブ要素を用いるという。壮大な物語が圧倒的なエンターテインメント性とシアトリカルな手法で描かれるもようだ。一方、作品を通して描かれるのは、バケモノの熊徹と主人公の少年・九太ふたりの相互成長や本当の親子のような固い絆、己のアイデンティティを模索し葛藤する九太の姿。「自分は何者なのか」という問いに対し、大切な誰かと手を携えて力強く人生を歩んでいくことの価値を教えてくれるだろう。なお今回も各分野で、一線級の外部クリエイターが集結。脚本・歌詞に高橋知伽江、演出の青木豪をはじめとする強力な陣容に、劇団内の才能が合わさって目下創作が進められているという。なお本作のオーディション実施も決定している。募集されるのは主人公・蓮(九太)、猪王山の息子・一郎彦、二郎丸の少年時代を演じる子役。こちらは応募ぺージをぜひ確認してほしい。<スタジオ地図:細田守・コメント>私たちスタジオ地図のアニメーション映画作品『バケモノの子』が、劇団四季の皆さんによってミュージカル化されることになり、大変光栄に思っています。来年の春から上演されると伺い、どのような作品になるか私も楽しみにしております。ぜひ多くの皆様にご覧いただけますと幸いです。<演出:青木豪・コメント>未曾有の危機的状況に毎日ヒリヒリとしながらも、五十代の私は「バケモノの子」という作品に巡り合えたことに奇跡を感じています。この物語には、他人が産んだ子どもを育て、そこに愛を覚え、生き物の宿命として親の世代は先に死ぬ、というテーマがあるからです。海外で生まれたミュージカルというジャンルを劇団四季が愛をもって日本で育て、ある時期の四季作品を見て育った私が、この物語を今、世に放つ。生きとし生けるもの、死ぬのが宿命であるならば、「人生は生きるに値する」と思える瞬間とは、次世代にバトンを渡す時だと思うのです。次を育てる世代、次に育つ世代のすべての人々に、この作品が愛されることを願って、四季オリジナルミュージカル『バケモノの子』を育てていきたいと思います。<劇団四季代表取締役社長:吉田智誉樹・コメント>スタジオ地図作品として大ヒットを記録したというこの超大作の舞台化に挑戦できることを大変光栄に思います。本作が伝えるのは、大切な人と共に強く生きていくことの素晴らしさです。これは、創立以来四季作品に受け継がれる「人生の感動」「生きる喜び」というテーマにも通じると言えます。今回、脚本・歌詞はこれまでも数々の四季作品にご参加頂いている高橋知伽江さん、演出は『恋におちたシェイクスピア』でご一緒した青木豪さんに再びお願いしました。その他、心強いクリエイターの方々と共に、四季の経験知を結集して創作に励んで参ります。近年、オリジナル作品創作に力を入れている中、今回は国産ミュージカルとして最大級の長期公演に挑みます。四季の創作活動においてひとつの到達点とも言える作品になることでしょう。どうぞご期待ください。■公演情報三井不動産創立80周年記念公演劇団四季オリジナルミュージカル『バケモノの子』2022年4月30日(土)より上演会 場: JR 東日本四季劇場[秋]チケット:2022年2月一般発売予定オーディション情報ページ:
2021年06月08日auスマートパスプレミアムが30日より、劇団四季のディズニー最新ミュージカル『アナと雪の女王』(6月24日から上演予定)の鑑賞チケットを会員限定で抽選販売している。受付及び販売は5月〜10月まで6回に分けて行われ、第1回受付は5月30日(12:00〜)から6月13日に実施。第1回受付では、7月〜9月公演分の抽選申込となる。2013年公開の劇場版長編アニメーションを基に創作された同作は2018年3月、ブロードウェイで開幕。全世界のアニメーション映画興行収入において当時歴代1位の記録を持つ名作の舞台化は、開幕するやいなや世界中で話題をさらった。日本では東京・竹芝エリアに誕生した新劇場・ NOMURA野村證券ミュージカルシアターJR東日本四季劇場[春]で 、2021年6月からロングラン上演が決定し、注目を集めている。ミュージカルでは、アニメーション版で監督も務めた脚本のジェニファー・リーが、アニメーションのストーリーラインを踏まえながら、 キャラクター造形や心情描写、それぞれの関係性をより丁寧に描き、奥行きあるドラマへとさらに深化。そして、「Let It Go」でアカデミー歌曲賞を受賞したロバート・ロペスとクリステン・アンダーソン=ロペス夫妻が作詞・作曲を手掛け、「生まれてはじめて」「雪だるまつくろう」などのオリジナル楽曲に加え、10曲以上もの新曲が追加されている。
2021年05月31日ミュージカル『オペラ座の怪人』でデビュー後、17年にわたり劇団四季のスターとして活躍してきた石丸幹二。退団後は歌手、俳優として活躍の場を広げ、2013年の出演ドラマ『半沢直樹』で人気が拡大。現在、テレビ番組『題名のない音楽会』6代目司会者としても親しまれている。昨年にはデビュー30周年を迎え、記念企画が目白押しだ。『石丸幹二 オーケストラコンサート2021』チケット情報昨年は軌跡をたどる『The Best』とデュエット集『Duets』の2枚のアルバムを発売。過去のアルバムからの選曲で、それぞれ新録音も1曲ずつ収録。『Duets』では石丸の歌声とデュエットできるカラオケ仕様の6曲も追加した。今年は6月2日(水)に劇団四季時代の映像特典付き、初の2枚組映像作品『石丸幹二 ORCHESTRA CONCERT 2016&ONLINE LIVE 2020』の発売が決定。続く4日(金)からスタートするのが、全国5都市を巡るデビュー30周年『石丸幹二 オーケストラコンサート2021』。会場ごとに多彩なゲストを迎え、初日の大阪公演には石丸が「歌声に惚れ込んだ」という演歌歌手の島津亜矢が登場する。コンサートでは「観客の心に寄り添い、心の中で口ずさめるような」選曲にこだわったという石丸。『ふるさと』『あすという日が』といった耳馴染みのある楽曲から、アニメ『宇宙戦艦ヤマト』より『真っ赤なスカーフ』、劇団四季時代から現在までの出演ミュージカルの代表曲など約17曲を予定。島津とのデュエット曲には『美女と野獣』を選んだ。「演歌ではない歌をオーケストラと共に歌ってもらったらきっと大きな花が咲くだろう」と期待を寄せる。「短いようで長かった」と音楽と共に歩んだ30年を振り返る石丸。ベストアルバムのライナーノーツには楽曲に込めた思いや当時の心境を克明に記した。「一枚の写真と同じですね、まるでアルバムをめくるように一曲ごとにいろんなことが思い出されて。聴いてくださる方もご自身の記憶と重ね合わせて楽しんでいただけたら」。舞台人として鍛錬を積んだ劇団時代を経て、第2章と位置付けるその後の13年でとりわけ磨いてきたのが、歌手としての個性だ。退団直後の休暇中に聴いたアンリ・サルバドールのアルバムがひとつの転機となった。「彼が80歳を過ぎてカムバックして出したアルバムで、囁くような唱法が新鮮でした。一生歌い続けるなら目指すのはこの唱法だなと。今までにないものを取り入れようとスタートしたのが第2章の始まりでした」。そんな“つぶやき唱法”はひとまずアルバム等でご堪能を。大劇場では変わらずオペラティックな歌唱で観客の心を満たし続ける。「総勢80名近いフルオーケストラとの共演はやっぱりゴージャスですよね。今回のツアーでは初めてご一緒する楽団もあり、人や音楽の輪が広がっていくのが楽しい。お客様もきっと会場に身を置くことで、歌声や音に包まれる心地よさを感じられると思います」。公演は6月4日(金)、大阪のザ・シンフォニーホールを皮切りに、東京、愛知、広島、札幌を巡演。チケット発売中。取材・文:石橋法子
2021年05月28日劇団四季が、ディズニー最新ミュージカル『アナと雪の女王』が、6月24日(木)より開幕することが決定。チケットは、5月30日(日)より発売開始となる。本作は、2013年公開(翌2014年日本公開)の劇場版長編アニメーションを基に創作したニュージカル。運命に引き裂かれた姉妹エルサとアナを主人公に、真実の愛を描いた感動の物語だ。全世界のアニメーション映画興行収入において当時歴代1位を記録した名作が舞台化され、2018年3月にブロードウェイにて初演を迎えた。音楽は「Let It Go」や「生まれて初めて」「雪だるまつくろう」などのオリジナル楽曲に加え、10曲以上もの新曲を追加。雪と氷の世界が、演劇的創造力と最新技術を融合させた手法で、劇場空間いっぱいに表現する。【公演概要】ディズニーミュージカル『アナと雪の女王』東京公演公演期間:6月24日(木) 開幕ロングラン上演会場:NOMURA 野村證券ミュージカルシアター JR東日本四季劇場[春](東京都港区海岸1-10-45)チケット発売日:5月30日(日) 10:00〜 / 「四季の会」会員先行予約:5月16日(日)※初回販売分6月24日(木)~12月31日(金) 計178回公演※「四季の会」会員を対象とした事前抽選販売がございます。6月24日(木)初日公演は、全席種が事前抽選販売の対象となり、通常の販売はございません。以降の公演は、S1席の一部が対象となります。詳細資料がご入用のかたは、上記 劇団四季広報宣伝部までお知らせください。<予約方法>ネット予約:SHIKI ON-LINE TICKET (24時間受付)直接購入:劇団四季専用劇場チケットボックス (一部を除く) 他※ただし、発売初日のみインターネット予約は10時より、窓口では各公演の開演90分前より発売開始。問合せ先: 劇団四季ナビダイヤル0570-008-110
2021年04月09日現在、新劇場であるJR東日本四季劇場[春]にて上演されている『劇団四季 The Bridge ~歌の架け橋~』の追加ライブ配信が決定した。本作は昨秋、東京・竹芝に誕生したJR東日本四季劇場[春]のこけら落とし公演となる新作オリジナルショウ。劇団四季の作品群より、おなじみの海外ミュージカルからオリジナル・ファミリーミュージカルのナンバーまで、名曲の数々の再構成し、ダンスやストレートプレイの台詞朗誦も交えながら、新劇場の開場を華々しく飾る。今回のライブ配信は、11月に実施したオリジナルミュージカル『ロボット・イン・ザ・ガーデン』に続く第2弾。『劇団四季 The Bridge ~歌の架け橋~』は1月にライブ配信を行なったが、ファンの熱い要望を受け、2月6日(土)の13:30公演と17:00公演、7日(日)13:30公演の追加ライブ配信を実施する。配信は、各オンライン動画配信サービスにて視聴可能。配信プラットフォームは、劇団四季ライブチャンネルほか、U-NEXT、Rakuten TVを予定している。本作は2月11日(木・祝)まで上演されるが、会場に足を運べない方も自宅から新作ショウを堪能してほしい。【ライブ配信 概要】『劇団四季 The Bridge ~歌の架け橋~』東京公演(JR東日本四季劇場[春])上演時間:約1時間30分(休憩なし)配信開始:2月6日(土)13:30~ / 17:00~、2月7日(日)13:30~※開演1時間前より視聴ページにアクセスいただけます。※見逃し配信はありません。※著作権上の都合により、一部割愛となる可能性がございます。視聴方法:「劇団四季ライブチャンネル」( )※その他「U-NEXT」「Rakuten TV」にて視聴可能です。詳細は各社ホームページをご確認ください。チケット発売:発売中※各回、公演30分前まで購入可能。視聴料金:5,000円(税込)<Go Toイベント適用>・劇団四季ライブチャンネル:適用後 4,000円(税込)・U-NEXT:適用後 4,000円(税込)<Go Toイベント対象外>・Rakuten TV:5,000円※クーポン獲得・利用で20%(1,000円)引きになります。
2021年02月03日劇団四季『ロボット・イン・ザ・ガーデン』が現在、東京・自由劇場で上演中だ。原作はイギリスの作家デボラ・インストールの小説。2016年のベルリン国際映画祭では「映画化したい一冊」に選ばれた、世界中で愛されている物語を、台本/作詞・長田育恵、演出・小山ゆうなという、今もっとも演劇界で注目される気鋭のクリエイターが舞台化。劇団四季のオリジナルミュージカルとしては、ファミリーミュージカルをのぞき、16年ぶりの新作となる。アンドロイドが人間の仕事を担い、その恩恵に預かる人もいる一方、職を奪われた人もいる近未来のイギリス。両親を事故で失ったことから無気力に日々を過ごしているベンは、庭に旧式のロボットが迷い込んだのを見つける。タングと名乗ったその壊れかけのロボットになぜか心惹かれるベン。一方で妻エイミーはそんなベンに愛想をつかし家を出ていってしまう。喪失感や葛藤を抱えながらも、このままだとまもなく止まってしまいそうなタングを修理するために、ベンはタングとともに旅に出る……。近未来を舞台にしながら、描かれるのは、自分の思いを大切にすることだったり、相手を思いやることだったりと、アナログでプリミティブなテーマ。旅の中で様々な人や出来事と遭遇し、自分の人生に背を向けていたベンは少しずつ再生していく。ベンを演じる田邊真也は、四季の看板俳優のひとり。もともと芝居力の高い人だが、傷を抱えながらも心優しい青年という役どころを力みなく演じていて、魅力的だ。四季の地力が発揮されるダンスシーンなどの華やかさと、丁寧に紡がれていく登場人物たちの感情の繊細さが見事に融合し、質の高いオリジナルミュージカルが誕生した。そして何といっても秀逸なのは、ロボットのタングだ。大きな四角い頭、まんまるレンズの目、無骨な鉛色の3頭身くらいの身体……まずビジュアルが最高に可愛らしい。その上、時に癇癪を起こすし、暴走もする、何ならちょっと拗ねたりもする、なんとも人間臭いところもいい。照明の光が反射しキラキラ輝くその目には、時折涙すら見えるような気すらしてくる。パペットデザイン&ディレクションは『リトルマーメイド』も手掛けたトビー・オリエ。俳優2名が息を合わせ操るさまも見事で、ちょっとした動作ひとつとっても感心しきり。それにしても、心のないはずのロボットにここまで感情移入をしてしまうのはなぜなのだろう。無機物に心があるように感じるのは、観る側の勝手な妄想か。いや、勘違いでもいいじゃないか。勝手に人間側がタングに影響されて、何かを教えられたような気になってしまった、それでもいい。タングは、こんがらがってしまった人間関係や、こんがらがってしまった心を優しくほぐす。そして、一歩ずつでも地に足をつけて歩き出すことの大切さを教えてくれる。そこには温もりが確かにある。とにかく可愛いタングに会いに、ぜひ、劇場へ。東京公演は3月21日(日)まで同劇場にて、チケットは発売中。(取材・文:平野祥恵)
2021年01月29日『劇団四季 The Bridge ~歌の架け橋~』が1月10日、新劇場・JR東日本四季劇場[春]で開幕した。東京竹芝の「ウォーターズ竹芝」に生まれたこの劇場は、1998年に開場し、2017年まで同地で稼働していたJR東日本アートセンター四季劇場[春][秋]の後継となるもの。劇団四季の新たな拠点の幕開けは、舞台芸術への愛情と、四季の理念である「人生は素晴らしい。生きるに値する」というメッセージを詰め込んだ、希望に満ちた華やかなショウになった。劇団四季といえば『キャッツ』や『オペラ座の怪人』『ライオンキング』といった海外ミュージカルの日本版上演という印象を持つ人も多いかと思うが、実はショウ作品も人気が高い。これまでも劇団の節目ごとにオリジナルの名作ショウをいくつも作り上げてきた。本作『The Bridge』は本来は昨年7月、JR東日本四季劇場[秋]の開幕を飾る予定だったが、コロナ禍のスケジュール見直しにより変更、このたびの[春]のこけら落とし公演になった。劇場や上演時期の変更、また90分休憩なしという四季のショウとしては珍しいスタイルであることなど含め、開幕まで紆余曲折があったことは想像に難くない。だが、そうして誕生したステージは、斬新でありつつも、四季らしい、四季ならではのものになっている。内容は、『リトルマーメイド』『アラジン』といった人気ミュージカルのナンバーを本番とは違うアレンジ、ダンスで魅せ楽しませるのはもちろん、ファミリーミュージカルや“昭和三部作”といったオリジナル作品の名曲も丁寧に織り込まれる。さらには、劇団の出発点であるストレートプレイ、ジロドゥの『オンディーヌ』、アヌイの『ひばり』といったセリフ劇の要素も組み込み、改めて劇団四季が自分たちのアイデンティティを噛みしめているかのよう。そんな様々な要素をつなぎ、「劇場は夢を見るところ」という力強い思いが全編を貫く。選曲も、祈りや希望を謳うナンバーが揃い、コロナ禍という逆風の中に伝えるべきメッセージを丁寧に選んでいるのがわかる。ことに終盤で歌われる『美女と野獣』の「人間に戻りたい」 ――これは劇中、魔法によって“モノ”に姿を変えられてしまった野獣の城の召使いたちが「人間に戻ったらあれをしたい、これもしたい」と歌う楽曲である―― は、「世の中が落ち着いたら日常を楽しもう、それまで希望をなくさず頑張ろう」というエールに聞こえ、胸にしみた。公演は2月11日(木・祝)まで同劇場にて、チケットは発売中。東京公演の他、3月14日(日)~3月28日(日)までは福岡・キャナルシティ劇場で上演後、4月16日(金)より全国を巡演予定。なお最後に、客席は上演中はもちろん開幕前も私語はほとんどなく、観客も感染症対策にしっかりと協力していたことも特記したい。取材・文:平野祥恵
2021年01月13日劇団四季の新作ショー『劇団四季 The Bridge ~歌の架け橋~』が1月10日、JR東日本四季劇場[春]のこけら落とし作品として開幕。初日上演後、演出を手がける荒木美保が取材に応じ、「お客様が(劇場に)入って完成するんだなと改めて実感しています。皆さまと生きる喜びを分かち合いたいという全員の“祈り”と感謝がさらに強くなった」と感無量の面持ちだった。“舞台を通して生きる喜びをお客様にお伝えしたい”という理念のもと繰り広げられる、劇団四季の新作ショー。ダンスやストレートプレイの台詞朗誦も交えながら、おなじみの海外ミュージカルからオリジナル / ファミリーミュージカルのナンバーまで、数多くの名曲を再構成する。当初は昨年7月、JR東日本四季劇場[秋]で開幕予定だったが、新型コロナウイルス感染症の影響で上演計画が変更された。それだけに「今日という日を迎えても、実際に幕が上がるまで、本当に上演できるのかという思いもあった」といい、「分かっていたつもりでしたが、毎日公演できて、お客様が来てくれるのは当たり前じゃないと強く感じた。7月以降、もう1度『The Bridge』に取り組むにあたって、その思いが助けてくれた」としみじみ。コロナ禍での稽古は「完全に2班に分けて接触を避け、マスクやゴーグル着用も徹底した」そうで、「それとこまめな換気ですね。稽古場が寒くて、立っているだけでも体はきつかったはずだが、ステージ上で踊り切る。それだけでメッセージが届くはず」。本作で初めてオリジナル作品の演出を務めた心境を「ド緊張した」とも明かし、予定していなかったダブルカーテンコールについては「あれ?っと思い、走って舞台監督のところに行きました」と喜びを示した。今回初めて四季作品に参加した丸山敬太によるコスチュームデザイン(第6・7場)も大きな見せ場で、「生きる喜びをいろんな側面から描き、最後に向けてどんどん加速していくシーン。華やかで前向きなエネルギーがあればと思い、丸山さんに実際に俳優たちに会ってもらい、1人1人を魅力的に見せてほしいと相談した」と衣装にも強いこだわりが込められた。取材会には劇団四季社長の吉田智誉樹氏が同席し、「浅利(浅利慶太氏)たちが祈りを込めた仕事をしっかりと受け継いでいこうという思い」とこちらも新劇場の第一歩に感慨しきり。「このような状況で足を運んでくださったお客様には感謝しかない」と語り、「ステージとお客様の心にかかるブリッジ、橋にしかお芝居は存在しないと実感した。大切な原則である人生賛歌のメッセージを持った作品を厳選し、年に1本はオリジナル新作を送りだしたい」と決意を新たにした。一方、緊急事態宣言の再発布により「チケットのセールスは落ち込んでいる」と認めた上で、「こればかりは耐えるしかないが、基本的には粛々と指示に従い、公演はやります」と力強く宣言していた。取材・文:内田涼「劇団四季 The Bridge ~歌の架け橋~」2021年1月10日(日)~2月11日(木・祝)東京都 JR東日本四季劇場[春]2021年3月14日(日)~28日(日)福岡県 キャナルシティ劇場ほか全国公演あり構成・台本:高橋知伽江演出:荒木美保
2021年01月11日『オペラ座の怪人』や『ライオンキング』で知られる劇団四季が、16年ぶりに一般オリジナルミュージカルを制作。英国の小説を舞台化した作品の注目ポイントはロボット。そう聞くと、子供っぽいSF作品かと思う人もいるかもしれない。しかしこれが、日々を慌ただしく生きる大人の心に、じわりと染みる良作なのだ。ポンコツロボットとの旅で見つけた幸せとは―。見どころ1本当に生きているようなロボットの愛らしさに注目。物語の始まりは、主人公・ベンが庭で壊れかけたロボットを見つけるところから。世の中はすでにAIを搭載した人型のアンドロイドが家事や仕事に従事する時代。そんななかで、金属製の壊れかけの錆びた四角いロボットは、フォルムからしてもはやオモチャのよう。自身を「タング」と名乗るそのロボットに愛着を感じたベンは、彼を修理するための旅に出るのだけど、注目はこのタングが本当に可愛いところ。舞台では、タング役のふたりが文楽の人形遣いのようにロボットの背後から操り、セリフと歌も担う。この動きが本当に生きているかのよう。従順なアンドロイドとは違い、タングは時に反発したりスネてみせたりと、まるで子供。表情はさほど変わらないのに驚くほど感情表現が豊かで、気づけばタングの虜になっていること間違いなしだ。見どころ2ささやかだけど心に響く温かなヒューマンドラマ。主人公のベンは、突然の事故で両親を一度に失ったことから無気力になり、仕事もせず、夢を追うこともやめ、ただ日々を無為に過ごしている。ある日タングが庭に現れたことが引き金となり、妻のエイミーから別れを切り出されてしまう。後悔から涙を流しながらも、一歩を踏み出せないままのベンの不甲斐なさに最初はモヤモヤするのだけど、次第に彼の心の傷が少しずつ浮き彫りになっていくうち、気づけばベンの心の応援団になっている自分に気づくはず。終盤には思いもしなかったような展開が待ち受けていたりするけれど、この作品が描いているのは、日常の何気ない小さな幸せや、身近にいて自分を思ってくれる人たちを大切にしようというメッセージ。物事の価値観が一変した今という時代だからこそ余計に響いてくるに違いない。『ロボット・イン・ザ・ガーデン』心に傷を抱え無気力な日々を過ごすベンの前に、壊れかけたロボットのタングが現れる。タングに心惹かれ世話を焼くベンだが、そんな彼に妻・エイミーは愛想を尽かし…。1月17日(日)~3月21日(日)浜松町・自由劇場S席1万1000円A席8800円ほか(すべて税込み)劇団四季 TEL:0570・008・110撮影:阿部章仁※『anan』2021年1月13日号より。文・望月リサ(by anan編集部)
2021年01月10日劇場「JR東日本四季劇場[春]」のこけら落としと作品となる舞台『劇団四季 The Bridge ~歌の架け橋~』が1月10日(日)、11日(月)にかけて、U-NEXTでライブ配信される。JR東日本四季劇場[春][秋]は劇団四季の新たな本拠地として、東京都港区の複合施設「ウォーターズ竹芝(WATERS takeshiba)」に誕生。10月には[秋]劇場のこけら落とし作品『オペラ座の怪人』が開幕し、これに続く[春]劇場の幕を開けるのが、新作ショウ『劇団四季 The Bridge ~歌の架け橋~』となる。おなじみの海外ミュージカルからオリジナル / ファミリーミュージカルまで、四季ナンバーの名曲を一挙に楽しむことができる。『アラジン』の「新しい世界 ア・ホール・ニュー・ワールド」、『リトルマーメイド』の「アンダー・ザ・シー」、『キャッツ』の「メモリー」など、誰もが一度は聞いたことがあるナンバーから最新オリジナルミュージカル『ロボット・イン・ザ・ガーデン』まで、多彩な曲が登場する予定だ(ナンバーは変更になる可能性あり)。なお、本公演は「Go Toイベント」対象作品のため、通常価格の2割引で利用可能。U-NEXTなら全国どこででも、テレビの大画面で高画質&高音質で楽しむことができる■配信情報『劇団四季 The Bridge ~歌の架け橋~』2021年1月10日(日)13:00開場 / 13:30配信開始(販売期間:2020年12月28日(月)10:00~2021年1月10日(日)12:59まで)2021年1月11日(月・祝)13:00開場 / 13:30配信開始(販売期間:2020年12月28日(月)10:00~2021年1月11日(月・祝)12:59まで)視聴料:「Go Toイベント」対象作品価格4,000円(税込)通常価格5,000円(税込)※本公演はライブ配信のみとなります。見逃し配信はありませんのでご注意ください。※配信開始時間は変更になる場合があります。※本ライブの購入は2020年12月28日10時よりU-NEXTのサービスサイト( )にて開始いたします。またU-NEXTの月額会員でなくてもご覧いただけます。視聴方法はこちら( )からご確認ください。
2021年01月05日12月20日(日)に、日本上演22周年を迎えた劇団四季のディズニーミュージカル『ライオンキング』。これを記念して、東京・大井町の積水ハウスミュージカルシアター 四季劇場[夏]では、周年当日の本編終了後に特別カーテンコールが実施された。1998年、旧四季劇場[春]でこけら落とし公演として開幕した後、日本演劇史上初の無期限ロングランを継続してきたこの作品。同公演を皮切りに、5都市(東京・大阪・福岡・名古屋・札幌)でのべ10公演を実施し、各地でロングラン記録を樹立した。周年当日公演終了時点での通算上演回数は12,704回、総入場者数は約1281万人を数える。いずれも国内最多の記録だ。なお、四季劇場[夏]で上演中の『ライオンキング』は2021年6月12日(土)にファイナルを迎え、2020年9月からは、東京・有明に誕生する新劇場「有明四季劇場」に場所を移しての公演が決定している。今年夏にグランドオープンした都内最大級の巨大施設「有明ガーデン」の一角に位置する同劇場から、さらなる無期限ロングランを目指すという。特別カーテンコールでは、出演者を代表してスカー役の飯村和也が挨拶。「明日への希望を込め、お客様お一人お一人に作品の感動をお届けできるよう、これからも毎回の舞台を精一杯努めてまいります。引き続きご声援を賜りますようお願い申し上げます」と意気込みを語ると、客席からは大きな拍手が送られた。<飯村和也(スカー役)コメント>ご来場いただき、誠にありがとうございます。本日、『ライオンキング』東京公演は、上演22周年を迎えました。1998年の開幕から22年、多くのお客様に支えられ、日本演劇史上初の無期限ロングランを続けて参りました。作品を愛してくださる皆様に、出演者、スタッフ一同、心より御礼申し上げます。明日への希望を込め、お客様お一人お一人に作品の感動をお届けできるよう、これからも毎回の舞台を精一杯努めてまいります。引き続きご声援を賜りますようお願い申し上げます。本日は誠にありがとうございました。
2020年12月21日劇団四季の稽古場を有する、劇団の本拠地「四季芸術センター」の食堂メニューである「100点カレー」がレトルトカレーとして発売されることが決定した。このカレーは、劇団四季の食堂で一番人気を誇るメニューで、これまで数多くの俳優たちのお腹を満たしてきた門外不出の味を再現したもの。「100点カレー」という名称は、劇団の連帯が現れた食堂の制度に由来しているという。同食堂では、それぞれのメニューの値段を点数で表す制度が採用されており、1点あたりの値段が在団歴や役職によって異なるという仕組み。ちょうど100点で購入できるこのカレー1杯の中にも、懐に余裕のある劇団員が、稽古に励む若い劇団員のために少し多めに払うという劇団ならではの精神が込められている。また「100点カレー」は、コロナ禍でも日々の活動を応援してくれているファンと力を合わせてこの窮地を乗り越えたいという願いを込められた商品でもある。劇団員同士の助け合いの精神が込められたこの一杯で、彼らと思いを一つにしてみてはいかがだろうか。観劇の記念としてはもちろん、この商品を購入することで劇団を支援することにも繋がる。【商品概要】「劇団四季の100点カレー」販売価格 :800円(税込)内容量 :180g発売日:12月21日(月)※数量限定販売<販売方法>・劇団四季ウェブショップ: ・JR東日本四季劇場[春]売店※『劇団四季 The Bridge ~歌の架け橋~』上演期間中(2021年1月10日(日)~2月11日(木・祝))お問合せ:0570-008-110
2020年12月15日劇団四季在団中には『オペラ座の怪人』や『ジーザス・クライスト=スーパースター』、退団後も『レ・ミゼラブル』『エリザベート』『ダンス オブ ヴァンパイア』など数々の大作に主演し、“ミュージカル界の帝王”の名をほしいままにする山口祐一郎。『エリザベート』のルドルフ役で頭角を現し、その後『アルジャーノンに花束を』や『デスノート』などを経て、今や帝国劇場で単独主演を張れる数少ない俳優のひとりにまで上り詰めた浦井健治。そして、劇団四季の看板女優として『クレイジー・フォー・ユー』『マンマ・ミーア!』などに主演後、退団してからは縦横無尽な活躍ぶりが光る保坂知寿。ミュージカルファン垂涎の顔合わせが、しかし意外にもストレートプレイでーー全員日本人の役でーー実現することがまた興味をそそる『オトコ・フタリ』が、本日12月12日(土)に東京・シアタークリエで開幕する。NHK大河ドラマ『篤姫』『江~姫たちの戦国』など、数々の名ドラマを世に送り出してきた脚本家、田渕久美子が書き下ろす三人芝居。演出は、『ダンス オブ ヴァンパイア』『ローマの休日』などでおなじみの山田和也が務める。舞台は画家・禅定寺恭一郎(山口)のアトリエ。「先生、お茶が入りました」と入って来た家政婦の中村好子(保坂)の目線の先には、真っ白なキャンパス。“愛”をテーマにと依頼された作品に、恭一郎は取り掛かることができないでいるのだ。とそこに、ドタバタとうるさい足音が。須藤冬馬と名乗る青年(浦井)は「母を探しに来たんです。母を出せ、今すぐに!」と、訳が分からない恭一郎と好子をまっすぐ睨みつける。愛を知らないオトコと愛に生きるオトコ、そしてフタリを見守るオンナがキャンバスに描き出す“愛”の形とは……?3人は既に、9月に行われた山口のスペシャル・トークショー『My Story~素敵な仲間たち~』、また11月に行われた本作の製作発表でも顔を揃え、息の合ったトークを披露。彼らならきっと、宣伝文句にある通りの“珠玉のエンターテインメント・コメディ”を紡ぎ出してくれることだろう。文:町田麻子『オトコ・フタリ』脚本:田渕久美子演出:山田和也出演:山口祐一郎 / 浦井健治 / 保坂知寿【東京公演】2020年12月12日(土)~12月30日(水)会場:シアタークリエ【大阪公演】2021年1月15日(金)~1月17日(日)会場:梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ【愛知公演】2021年1月23日(土)~1月24日(日)会場:刈谷市総合文化センターアイリ
2020年12月12日東京・竹芝に今年6月オープンした複合施設「ウォーターズ竹芝」。そのシアター棟に劇団四季の新劇場「JR東日本四季劇場」が誕生した。隣接する2劇場のうち1つ、劇場の記念すべきこけら落としは、劇団が長年大切に上演し続けてきたミュージカル『オペラ座の怪人』。10月24日の初日を目前に行われたゲネプロを取材した。開演前散り散りに鳴っていた生オケの音がピタリとやんだ次の瞬間、俳優の第一声とともに、いざ開幕!物語の舞台は19世紀、パリのオペラ座。劇場にすむとされ恐れられる怪人と、怪人に見初められたコーラスガールのクリスティーヌ、彼女を愛する子爵・ラウルの“三角関係”を軸に物語は進んでいく。クリスティーヌへのゆがんだ愛により怪人が引き起こす「シャンデリアの落下」や、まるで“あの世”のような劇場地下の怪人のすみかなど、息をのむシーンの数々。そこに屈指の名曲たちが生演奏に乗せて歌われ、時間も時代も、自分自身さえも忘れてしまうほど“世界”にのめり込めること間違いなし。リモートで海外スタッフとの稽古を重ね、細部までさらに磨き上げられ完成した新生『オペラ座の怪人』。目に見えないウイルスに日常を脅かされている今、遠い異国へ旅をするような観劇体験に、明日を生きる活力がチャージされること必至です!【Information】劇団四季『オペラ座の怪人』ウォーターズ竹芝・シアター棟の清水建設ミュージカルシアターJR東日本四季劇場[秋]にてロングラン上映中。チケットは現在11月公演分までを劇団四季の公式サイトにて販売。「女性自身」2020年11月10日号 掲載
2020年10月31日劇団四季の新作オリジナルミュージカル『ロボット・イン・ザ・ガーデン』が、11月22日(日)、23日(月)に動画配信サービス「U-NEXT」にて配信されることが決定した。なお、劇団四季が公演の模様をオンラインで配信するのは、今回が初の試みとなる。『ロボット・イン・ザ・ガーデン』は、劇団四季が一般向けのオリジナルミュージカルとして16年ぶりに制作した新作。世界中でロングセラーとなっているイギリスの作家デボラ・インストール氏の小説を原作としている。人間に代わってアンドロイドが仕事をする近未来を舞台に、心に傷を抱えた男ベンが壊れかけのロボット・タングを修理するために世界中を旅し、自らの再生とタングの成長が描かれる。2016年にはベルリン国際映画祭で「映画化したい1冊」に選出。実際に、映画化決定も決まり、作品自体への注目度も急激に高まっている。同作は、10月3日より東京・自由劇場でスタート。新型コロナウイルス感染拡大によりライフスタイルが変化していく中、より多くの観客に作品を楽しんでもらうべく、劇団四季は同社初となるオンライン配信を決定した。今回の取り組みについてU-NEXT代表取締役社長・堤天心と、四季株式会社代表取締役社長・吉田智誉樹は下記のコメントを寄せている。●U-NEXT 代表取締役社長 堤天心コメントU-NEXTは映画・ドラマ・アニメのみならず、電子書籍や音楽ライブなど、ユーザーの趣味趣向に合わせて様々なジャンルのエンターテイメントを提供してきました。これに加えてこの度、日本を代表する劇団四季さんの初のオンライン公演を提供することができ、大変嬉しく思っています。より多くの方に劇団四季さんの素晴らしいミュージカルをお届けしますので、これまで劇場内でしか味わうことができなかった感動を、ぜひU-NEXTを通じてお楽しみください。全国のファンの皆さんに、生の感動をお届けいたします。●四季株式会社 代表取締役社長 吉田智誉樹氏コメントこのたびU-NEXT様はじめ複数の企業様のお力をお借りして、劇団四季としては初のライブ配信を行わせていただきます。「心と心の結びつき」を描いたこの物語の温もりこそが、今の時代に最も求められているもののような気がしてなりません。ぜひ多くのお客様に、本作をお楽しみいただけたらと思います。本ライブのチケットは11月5日(木)10時よりU-NEXTのサービスサイト( )にて販売予定。なお、本ライブは、U-NEXTの月額会員でなくても視聴可能(※視聴方法はこちら: )。また、U-NEXTでは11月13日(金)~26日(木)までの2週間限定で、原作小説『ロボット・イン・ザ』シリーズ4作品(『ロボット・イン・ザ・ガーデン』『ロボット・イン・ザ・ハウス』『ロボット・イン・ザ・スクール』『ロボット・イン・ザ・ファミリー』)が30%オフになるキャンペーンが実施される。『ロボット・イン・ザ・ガーデン』【配信期間】●配信ライブ1.2020年11月22日(日)12:00開場 / 13:00配信開始2.2020年11月23日(月・祝)12:00開場 / 13:00配信開始●見逃し配信1.2020年11月22日(日)配信準備完了次第〜11月23日(月・祝)23:59まで2.2020年11月23日(月・祝)配信準備完了次第〜11月24日(火)23:59まで※配信開始時間は変更になる場合があります。【販売期間】1.2020年11月5日(木)10:00~11月23日(月・祝)20:59まで2.2020年11月5日(木)10:00~11月24日(火)20:59まで【会場】自由劇場(東京・竹芝)【視聴料】3,800円(税込)※ライブ終了後、見逃し配信のみ購入する場合も、3,800円(税込)です。【視聴可能デバイス】・スマートフォン / タブレット(U-NEXTアプリ)・パソコン(Google Chrome / Firefox / Microsoft Edge / Safari)・テレビ(Android TV / Amazon FireTV / FireTV Stick / U-NEXT TV / AirPlay)※配信には1時間に最大約5.5GBの通信量を消費します。当日はWi-Fi環境での視聴を推奨します。【U-NEXT】
2020年10月30日10月24日(土)、東京・竹芝に位置する劇団四季の新劇場・JR東日本四季劇場[秋]が開場。そのこけら落とし公演として、ミュージカル『オペラ座の怪人』が無事開幕した。JR東日本四季劇場[秋]開場セレモニーでのテープカットこの劇場は、隣接するJR東日本四季劇場[春]と併せ、竹芝ウォーターフロント開発によって開業した複合施設「WATERS takeshiba」の一角に誕生。1998年から2017年まで同地にあった旧・四季劇場では、19年にわたり、首都圏での活動拠点として、観客と多くの感動を分かち合ってきた。この伝統と歴史を受け継ぎつつ、新たな時代に文化・芸術のイノベーションを起こす場として、装い新たに再オープンした。初日公演前には、劇場前にてテープカットセレモニーも行われた。ミュージカル『オペラ座の怪人』撮影:阿部章仁ミュージカル『オペラ座の怪人』は、仏作家ガストン・ルルーの同名小説をもとにしたミュージカル。パリ・オペラ座の地下に棲み、歌姫クリスティーヌに恋をする“怪人”の悲しいまでの愛の様が、“21世紀のモーツァルト”アンドリュー・ロイド=ウェバー(『キャッツ』、『エビータ』他)の流麗で重厚な旋律によって紡がれる。劇団四季でも節目節目で上演されてきた人気作だ。初日公演の客席では、新劇場の幕開けを心待ちにしていた観客より熱い拍手がおくられた。ミュージカル『オペラ座の怪人』撮影:阿部章仁以下、10月24日(土)の開場セレモニーより劇団四季の吉田智誉樹社長とオペラ座の怪人役をつとめる佐野正幸のコメントを紹介。四季株式会社(劇団四季)代表取締役社長吉田智誉樹(よしだ ちよき)コメント本日『オペラ座の怪人』の初日、そしてJR東日本四季劇場開場の日をようやく迎えることができました。本劇場の開場をお待ちいただいた皆様に、心よりお礼を申し上げます。『オペラ座の怪人』は、四季が新しい挑戦を行う際に上演してきた演目です。1990年代に建設した各地の四季専用劇場のほぼすべてで、本作がオープニングを飾りました。全国で多くのお客様に愛された作品が、奇しくも今回もこけら落としを担うことになりました。これからも私たちは、この劇場を拠点に、舞台を通してお客様に「生きる喜び」をお届けして参ります。ご支援賜りますよう宜しくお願いいたします。オペラ座の怪人役佐野正幸(さの まさゆき)コメント新劇場の記念すべきこけら落とし公演に携わることができ大変光栄です。ここからまた劇団四季の新たな歴史が始まることとなり、身が引き締まる思いがいたします。『オペラ座の怪人』は30年以上にわたって四季で大切にされてきた作品の一つです。今回の上演にあたり、再び真摯に役と向き合い、怪人の心の機微を丁寧に演じていきたいと思います。19世紀のオペラ座で繰り広げられる美しく悲しい愛のドラマを通して、お客様の心に作品の感動をお届けできましたら幸いです。劇団四季ミュージカル『オペラ座の怪人』10月24日(土)~ロングラン上演会場:東京・清水建設ミュージカルシアター JR東日本四季劇場[秋]
2020年10月26日劇団四季が、新たな首都圏の拠点劇場として、東京・竹芝にできた大型複合施設“ウォーターズ竹芝”内で建設を進めていた、JR東日本四季劇場[春]と [秋]。いよいよ来週10月24日(日)、まずJR東日本四季劇場[秋]が、アンドリュー・ロイド=ウェバーの傑作ミュージカル『オペラ座の怪人』でオープンする。『オペラ座の怪人』は、88年に日本初演。通算上演回数は7195回を数える。この人気ミュージカルが新劇場のこけら落としを担うのは今回が5度目で、これまでも劇団が大きな飛躍を遂げようとする時に上演されてきた、言わば劇団四季の“勝負作”だ。『オペラ座の怪人』舞台写真/撮影:下坂敦俊[秋]劇場は、本来なら劇団の創立記念日である今年7月14日(火)に開場する予定だったが、新型コロナウイルス禍で次々と四季の公演が中止になる中、新劇場の開場も延期になっていた。現在は公演も再開しているが、ひとたび関係者に感染や濃厚接触が確認されれば、今も公演中止に追い込まれるという状況が続く。そんな手探りのウィズコロナの時代にあっては、『オペラ座の怪人』のような、信頼できる強いミュージカルがふさわしいだろう。19世紀半ばのパリ・オペラ座を舞台に、その地下に隠れ住む怪人と、可憐な歌姫、彼女の幼馴染みの若い子爵が織りなす美しくも哀しい物語と、それを甘く切なく重厚に彩るロイド=ウェバーの名曲の数々。また、くすんだゴールドと暗めの赤、そして黒を基調としたマリア・ビョルンソンの舞台美術も、荘厳なオペラ座の雰囲気を見事に再現している。今回、劇中で重要な役割を果たすシャンデリアが新調され、さらなる劇的効果も期待できそうだ。JR東日本四季劇場[春][秋]外観写真/撮影:阿部章仁初演から34年間ロングランを続けてきたオリジナルのロンドン公演が、コロナ禍でクローズを余儀なくされ、来年1月に再開する予定だったブロードウェイ公演は、他の全公演と共に、さらに5月末まで延期することが発表されている。そんな中で幕を開ける『オペラ座の怪人』東京公演の上演意義は大きいにちがいない。JR東日本四季劇場[秋]では、来年も引き続き、『オペラ座の怪人』のロングラン上演が予定され、もう一方のJR東日本四季劇場[春]は、来年1月10日(日)に『劇団四季The Breidge~歌の架け橋~』で開場し、2月11日(木)まで上演。その後6月には、今年9月に幕を開けるはずだった、待望久しいディズニーミュージカル『アナと雪の女王』が開幕する予定になっている。その折にはまた大きな話題を提供してくれるだろう。劇団四季ミュージカル『オペラ座の怪人』10月24日(土)~ロングラン上演会場:JR東日本四季劇場[秋]文:原田順子
2020年10月18日劇団四季の新作オリジナルミュージカル『ロボット・イン・ザ・ガーデン』が10月3日(土)から東京・自由劇場で開幕した。劇団四季にとっては2004年『ミュージカル南十字星』以来、およそ16年ぶりの一般オリジナルミュージカルの製作となる。本作はイギリスの小説家デボラ・インストールの同名小説が原作。2015年に出版され、同年のベルリン国際映画祭で「映画化したい1冊」に選出された小説だ。日本でも16年に小学館文庫より出版され、人気シリーズとなっている。『ロボット・イン・ザ・ガーデン』撮影:阿部章仁AI(人工知能)の開発が進み、家事や仕事に就くアンドロイドが日々モデルチェンジをしている近未来が物語の舞台。不慮の事故で両親を失った主人公のベンは、親から譲り受けた家で無為に日々を過ごし、弁護士の妻エイミーとの関係も芳しくない。そんなある日、自宅の庭に壊れかけのロボット・タングが現れる。「四角い胴体に四角い頭」という何とも時代遅れな格好だが、タングから他のアンドロイドたちにはない何かを感じたベン。タングを作った人物を探すため、ベンとタングは旅に出てーー。長い旅の中で出会った人々との交流を通して、ベンやタングの心の成長、家族の絆、明るい未来への祈りが描かれる。『ロボット・イン・ザ・ガーデン』撮影:阿部章仁今回のミュージカル化にあたり、各界で活躍するクリエイターが集結した。台本・作詞は人の心をつかむ筆致で多くの話題作を手がける長田育恵、演出はウィットに飛んだ翻訳劇などで注目を集める小山ゆうな。作曲は数々のドラマ音楽を手がけるヒットメーカー・河野伸、音楽監督は劇団OBでこれまでもさまざまな作品を支えてきた清水恵介、装置デザインは国内外で高い評価をされている土岐研一、パペットデザイン・ディレクションは英国を拠点に活動するトビー・オリエ。そこに四季クリエイターも加わり、本作が完成した。主人公ベンを演じる田邊真也は、「新たなオリジナルミュージカル創作に、一から携わることができたことは望外の喜びです。(中略)旅中での人々との出逢い、そしてタングとの心の交流によって、彼(ベン)の人生は大きく変わっていきます。人生は素晴らしく、生きるに値する。数々の四季レパートリーと同様のメッセージが湛えられた作品だと思います。国内一線級のクリエイターの方々と四季のメンバーが固く手を携え、創り上げました。作品の感動をお客様にお届けできるよう、誠心誠意努めていきたいと思っています。」と語る。東京公演は11月29日(日)まで。心温まる新作ミュージカルをぜひお見逃しなく。ミュージカル『ロボット・イン・ザ・ガーデン』上演中~ 11月29日(日)会場:東京・自由劇場文:五月女菜穂
2020年10月07日劇団四季の看板俳優として『ジーザス・クライスト=スーパースター』『オペラ座の怪人』などに主演後、1996年に退団してからも『レ・ミゼラブル』『エリザベート』『ダンス オブ ヴァンパイア』など、数々の大作ミュージカルで圧倒的な歌声を轟かせ続けている山口祐一郎。空前のミュージカルブームが訪れ、“プリンス”花盛りの昨今の日本演劇界にあって、“帝王”と称される唯一無二の大スターだ。フットワーク軽くSNSやトーク番組でも活躍する“プリンス”たちとは一線を画す、その神秘的で謎めいた存在感も“帝王”たる所以のひとつ。だが、製作発表会見や千穐楽カーテンコールなどで披露する挨拶を通じて、人柄も魅力的であることはミュージカルファンなら誰もが知るところだ。そんな山口が9月17日(木)と18日(金)、帝王の“領地”とも言える帝国劇場にて、初の本格的なトークショーとなる『My Story~素敵な仲間たち~』を開催。本人をして、「前代未聞の珍事。今回のコロナなくしては、起こり得なかったイベントである」と言わしめる貴重な機会だ。公演では山田和也の演出のもと、山口がミュージカルで彩られた自身の“Story”を振り返るほか、共にミュージカルを作り上げてきた“素敵な仲間たち”とのクロストークも。ゲストは各回替わりで、まず17日昼公演には『オトコ・フタリ』(シアタークリエ/12月)で山口との共演を控える浦井健治と保坂知寿が、夜公演には『ローマの休日』(帝国劇場/10月)でかつて山口が演じた新聞記者ジョー・ブラッドレー役を引き継ぐ加藤和樹と平方元基が登場。そして18日昼夜には、山口との共演は『モーツァルト!』ただ一作ながら、今も交流が続いているという中川晃教が登場し、13年ぶりの帝劇共演を果たす。山田とのオンライン打ち合わせの過程で、山口の口からはなんと、「MCは必要ない」との衝撃発言が飛び出したとか。気心が知れた仲間同士のミュージカルトークは、果たしてどこに向かうのか――。各回まさに、予測不能の90分となりそうだ。文:町田麻子
2020年09月17日新型コロナウイルス感染拡大防止のため、全国各地のすべての公演を中止していた劇団四季が、7月14日から、感染防止対策を徹底した上で、順次公演を再開する。7月14日は、今年67周年を迎える劇団の創立記念日であり、本来なら、首都圏の新たな拠点となるJR東日本四季劇場が、東京・竹芝に開場するはずの日でもあった。その特別な日に、全公演に先がけてまず再開するのは、東京・大井町の四季劇場[夏]で公演中だった、ディズニーのミュージカル『ライオンキング』東京公演だ。2月27日に中止を余儀なくされて以来、4ヶ月半ぶりの上演となる。1998年の日本初演開幕から21年、通算総公演回数は1万2,000回を優に超え、観客動員数も約1,250万人を数える、この劇団四季のみならず、日本を代表するミュージカルが真っ先に公演を再開するのは頷ける。同じく7月14日、横浜のKAAT神奈川芸術劇場で幕を開けるのは、ABBAのヒットナンバーで綴られたミュージカル『マンマ・ミーア!』。3月28日の開幕予定から、3ヶ月半遅れでやっと初日を迎えることになった。この日程変更に伴い、当初発表されていた8月10日の千秋楽を2週間延長し、8月23日まで上演される。翌7月15日には、東京・汐留の電通四季劇場[海]で『アラジン』東京公演が、大井町のキャッツ・シアターで『キャッツ』東京公演が再開する。『アラジン』は、ディズニーの同名アニメ映画を基にした作品で、2015年に日本初演が開幕して以来5年間、常に何ヶ月も先までチケットが完売するほどの高い人気を誇っているミュージカルだ。『キャッツ』は、1983年、東京・西新宿に建てられた仮設専用劇場キャッツ・シアターで初演され、日本演劇史上初となる1年間のロングランを達成。それ以後、全国9都市で上演を重ね、劇団を長く支えてきた、四季にとっては大切なレパートリーのひとつと言える。首都圏以外では、同じく15日、名古屋四季劇場で『ライオンキング』名古屋公演も再開に漕ぎつけた。新型コロナの影響で開幕が危ぶまれる中、予定通り3月26日に、14年ぶりとなる名古屋での公演が初日を迎えたものの、直後に中止となっていた公演で、名古屋の四季ファンには嬉しいニュースだろう。15日には、大阪四季劇場でも、ディズニーの『リトルマーメイド』大阪公演が再び幕を開ける。関西では初となる公演が開幕したのは2018年10月。以来、連日観客が詰めかける盛況が続き、再開が待たれていた公演だ。文:原田順子
2020年07月14日劇団四季の人気ミュージカル『マンマ・ミーア!』が、3月28日(土)、横浜のKAAT 神奈川芸術劇場 ホールで開幕する。2002年12月、電通四季劇場[海]のこけら落とし公演として日本初演されて以来、各都市で公演を重ねてきたが、首都圏での上演は、2016年の東京公演以来、約3年半ぶりで、横浜での公演は初めて。今回は8月10日(月・祝)までの期間限定公演となる。『マンマ・ミーア!』は、1970~80年代、世界のヒットチャートを席巻したスウェーデンのポップグループ、ABBAのヒットナンバーだけで構成されたカタログミュージカルで、この作品の大ヒット以降、世界中でカタログミュージカルが次々と製作されるようになり、ミュージカルのひとつのジャンルとして定着した。舞台はギリシャのエーゲ海に浮かぶ美しい小島。ここでホテルを切り盛りするシングルマザーのドナは、ひとり娘ソフィの結婚式を控えて、準備に忙しい。そこへ、式に招かれたドナの親友で、以前一緒にロックバンドを組んでいたターニャとロージーが到着するが、あろうことか、21年前に1度ずつ関係を持っただけのサム、ビル、ハリーも現われ、ドナはパニックになる。実は、自分の父親が誰か知りたいソフィが、ドナに内緒で3人を招待していたのだ。しかし、事情を知った男たちは、3人とも自分が父親だと名乗りを上げ、ソフィは混乱してしまう。各場面で、「マネー、マネー、マネー」や「マンマ・ミーア!」「チキチータ」「ダンシング・クイーン」などなど、ノリのいいナンバーの数々が効果的に使われる。初演は1999年、ロンドンのプリンス・エドワード劇場で開幕。その後、サンフランシスコなどを経て、ブロードウェイ公演のプレビューが始まったのは、9.11同時多発テロが起こった直後の2001年10月だった。多くの劇場が一時的にクローズする状況下で、開幕を危ぶむ声もあったが、ABBAのポップなサウンドと、明るく前向きに生きる母と娘の物語、そして総立ちのカーテンコールは、NYの人々に勇気と力を与えたと言われる。新型コロナウイルス感染拡大予防のために、公演中止が相次ぎ、重苦しい空気が流れる今の日本の演劇界と、ミュージカルを愛する観客たちにも、この作品が勇気と力を与えてくれることを祈りたい。文:原田順子
2020年03月26日