西洋占星術では、10の天体「月、太陽、水星、金星、火星、木星、土星、天王星、海王星、冥王星」の動きから運勢を読み解きます。「天体」と聞くと、「占い」よりも「天文学」を思い浮かべる人も多いでしょう。今は「占星学」として区別されている星占いですが、実は遠い昔、天文学から生まれたのです。天文学的な天体の特徴と、占星術的な天体の象徴の興味深い結びつきを、3回に渡ってご紹介します。■地球と占い私たち人間が住む地球は、太陽系の天体の中で唯一、海と生命が存在する惑星です。地震でお馴染みの重なり合うプレートの運動から、地球は内部に水分がある「水惑星」だと考えられているそうです。自然の恵みで命を営みながらも、自然の脅威に見舞われる私たちは、苦難を乗り越えながらも、人類誕生の時からずっと命をつないできました。自然の謎が解明される以前は、夜になって暗闇に包み込まれただけでも死の恐怖を味わっていたかもしれません。そんな人間たちがすがった祈りや信仰の中に、占いが生まれたのでしょう。■太陽太陽は、太陽系の中心に陣取り、自ら光を放って輝く恒星です。降り注ぐ太陽の光は、地球上の動植物を育て、命の恵みをもたらします。その莫大なエネルギーは、水素を核融合することで生み出されるそうです。占星術において太陽は自分自身を表し、生命力やバイタリティーを象徴します。約1年で地球を一周する太陽は、1カ月ごとに星座を移動しながら、1年後の誕生日に同じ位置に戻ります。お馴染みの「星座占い」と最も深く結びつく星です。太陽の明るい輝きは、輝く人生を意味し、成功や成長、達成と喜びを表します。太陽にある黒点は、人生に落とす影を表しているのかもしれません。■月月は、地球の周囲を周回する唯一の衛星です。日々、満ち欠けを繰り返し、表情を変化させる気まぐれな月は、移り変わる人の心を象徴しています。自転周期と公転周期が同じ月は、地球に同じ面を向け続け、決して後姿を見せることはありませんが、表面に溶岩の跡が見られる一方、隠された背面はクレーターにおおわれているそうです。満月から新月への変貌を遂げる姿と、一方向しか見せないスタイルは、本性を隠す人間そのもののようです。太陽の光と地球からの太陽光の反射を利用して、銀色に輝く様子も、人の顔色や反応を伺う人間のあり方に似ているでしょう。■金星地球とほぼ同じ大きさの金星は、地球の「双子星」と呼ばれることがあります。地球と逆の方向に自転することからも、地球を映し出す鏡のような存在と言えるでしょう。金星が象徴する「美」は、鏡を見ることや、我を振り返ることの慎ましさ、そこから生まれる優しさや愛しさと結び付いて、愛や調和を意味するようになったのかもしれません。「明けの明星」「宵の明星」として満ち欠けを見せる金星は、移ろいやすい美しさや美徳、モラルの象徴にぴったりです。時代背景や主観で変わるこれらの要素は、太陽と地球と金星の位置関係で形を変える金星そのものと言えるでしょう。■おわりに占い師も含め、星占いを少しでもかじったことのある人たちは、「○○星が△△だからこうなんだ」という言い方をしますが、その背景には、こうした星の象徴があるのです。次回は、水星・火星・木星・土星をご紹介します。お楽しみに!(LUA/ハウコレ)
2015年04月07日