フリーアナウンサーの堀井美香(52)が28日、都内で行われたHEBEL HAUS『アラウンド50研究』&新商品『余白の在る家』発表会に参加した。堀井は、純白のワンピースでエレガントな装いで登場。「50代ということで、これまで家族と、それから仕事に関しても喜んで本当に頑張ってきた世代だなと思います。なので、一旦ここで自分を振り返るという時間としては、とてもいいタイミングというか、節目だなと思います」と話す。「50代、まだ体力もあって、 これから先も何年も希望を持てる時間があって、ここでもう1度何かを考えたりするのは、すごくいい時間だなと思いますし、私も何か挑戦したいなと思っています」と話していた。自身も50歳を機に、TBSを退社し、フリーアナウンサーに。「40代は本当に子育てや、会社で管理職を担当していたり、まずは周りのためにみたいなところで、一生懸命前だけ向いて進むみたいな。1日24時間あっても足りないんじゃないかという生活をしてきたんですけれども、いろいろ落ち着いて、50代でちょっと心の余裕が出てきた時に、周りを見渡す余裕ですとか、自分を振り返る余裕みたいのが出てきたなと思います」と変化を語った。今後の人生も言及。「ここからは自分のことも一生懸命やりたいんですけれども、次の世代ですとか、ここから続いてくる人たちのために何かしたいなっていうのは、よく番組をやってても、相手のパーソナリティーと話してたりするんです。で、私たちがこうやって変化したり、50代も変化してるとか、50代でもこんなことしてるんだっていうのを若い人たちとか次の世代の人に見ていただいて、元気を出して、50代になっても変わっていいんだっていうところを若い人たちに見てもらうっていうのも1つかな。そういう価値観を大事にしたいなと思っております」とにっこり。また、日々のルーティンを問われると「今までショートスリーパーだったんです。40代は(睡眠時間が)2、3時間で割とアドレナリンも出ていた大丈夫だった」と振り返りながら「最近は(午後)11時に寝ることにしたんです。決めたんです。今まで、くたっと意識なく寝てたんですけれども、11時の前の30分に自分を見つめ直すとか、音楽を聴くとか、すごくいい時間を取れている。睡眠前にぜいたくな環境ができている。そんな感じです」と口にしていた。
2024年05月28日会話が苦手でも、ちょっとした心構えやテクニックを使えば、相手から魅力的に思ってもらうことができる。そこで話のプロ・堀井美香さんが、実践している会話術を指南。相手に寄り添う“聴きポジ”を目指そう!「この人との会話は心地よく感じる」「また会って話したい」、なぜか自然とそう感じさせてくれる人は、誰からも好感を持たれる。フリーランスアナウンサーの堀井美香さんもしかり。永六輔さん、久米宏さんなど名だたる先達のアシスタントを長年にわたって務め、現在もポッドキャスト「OVER THE SUN」で繰り広げられるジェーン・スーさんとの掛け合いに惹きつけられている人が多い。そんな堀井さん曰く「“聴きポジ”に立てば、どんな人との会話も楽しめる」ようになるそう。「聴きポジとは、聴き手のポジションのこと。会話は、話す人と聴く人がいてはじめて成り立ちます。しかし多くの人は聴き手に徹しきれていません。聴きポジに立てれば、話が盛り上がらずに焦ったり、次に何を話そうかと緊張することもないので、肩の力を抜いて会話そのものを楽しめるようになります。そのためにも表情や声のトーンも意識しながら相手の話をしっかりと聴く姿勢を持ち、あなたを受け入れていますという心地よい空気感を作ることが大切。包容力のある会話を心がければ、スムーズにコミュニケーションがとれて、信頼を得ることもできます」優秀な聴きポジになるためには、会話の全体像をイメージすることも大切だそう。「私は会話する時、最初にその目的をやんわりと決めるようにしています。その会話で距離を縮めたいのか、その場の空気が温まればいいのか、自分の中でゴールを定めておくと、会話のズレが生まれにくくなります。そのためにも、可能であれば話す相手に関する情報を予習しておくと役に立ちます。その人に何を聞いて、どんな関係を構築したいのかを決めておけば相手に集中できるので、焦ることも地雷を踏む心配も少なくなります。距離を縮めたい人ほど、情報収集が肝に。もちろん思いがけず突然会話が始まるパターンもあるので、そんな時はその状況を俯瞰して、フラットな視点を持ちましょう。たとえば複数人で会話が始まったら、自分以外のメンバーの立場や状況を把握し、回し役に徹してフォローしながらひとりひとりの言葉を引き出すんです。会話は、量より質。喋る量とそこにいる存在感は決して比例するものではないので、たった一言しか喋らなくとも、その質を高めることで魅力的な人だと思ってもらいやすくなるのではないでしょうか」堀井流の会話術を身につければ、話し下手な人も、会話で魅了することができる!【堀井流会話術ルール1】目をしっかり見てニコニコ笑顔で。会話する時の基本的な姿勢は、目を見ること、そして笑顔を忘れないこと。「昔からよく言われるコミュニケーションマナーです。じーっと見つめなくてもいいので、時折目を合わせながら微笑んだり、相づちを打つことでちゃんと話を聴いているという意思表示になります」【堀井流会話術ルール2】できるだけ相手のペースに寄せる。会話は相手と構築していくもの。心地よい空気感を作るために話し方や声の出し方も重要な要素に。「話すスピード、声のボリューム、声の高低をできる範囲でいいので相手に寄せるように意識しましょう。すると相手から波長が合うと感じられ、好印象を与えやすくなります」堀井美香さんフリーランスアナウンサー。1995年、TBSにアナウンサーとして入社。個性的な先達のアシスタントを長年務めた後、フリーに。著書に『聴きポジのススメ 会話のプロが教える聴く技術』(徳間書店)などがある。※『anan』2024年3月20日号より。イラスト・山中玲奈取材、文・鈴木恵美(by anan編集部)
2024年03月16日株式会社ソニー・クリエイティブプロダクツ(本社:東京都港区、代表取締役:大竹 健)がエージェント業務を行うクリエイター、『#GIFの伊豆見(伊豆見香苗)』がイラストを手掛ける『天才!!ヒマつぶしドリル』シリーズ(発刊:Gakken)が、シリーズ3冊で累計発行部数20万部を突破いたしました。年間1万部売れたら大ヒットとされる参考書・ドリルの業界。その中で発刊された『算数と国語の力がつく 天才!!ヒマつぶしドリル』シリーズ(発刊:Gakken)。「ちょっとやさしめ」「ふつう」の2冊を22年4月に発刊、その後「ちょいムズ」を23年4月に発刊して、わずか1年4か月でシリーズ3冊で累計発行部数20万部を突破いたしました。■業界騒然の大ヒット!『ヒマつぶしドリル」とはどんなドリル?『天才!!ヒマつぶしドリル』シリーズこのドリルの特長は、頭を使うパズル形式の問題が一冊に100問掲載されているということ。算数っぽい問題と国語っぽい問題が、1見開きごとに交互に繰り返され、解いているうちに、爽快感だけでなく知識が身につく仕様になっている。たとえば、「数合わせパズル」では、複数の四角いワクの中の数の合計が同じになるように、1~7の数字を入れるのだが、これがなかなか頭を使うけど、やってくうちに解けてしまう達成感が味わえる。慣用句さがしパズルでは、パズルを解きながら5つの慣用句の意味を理解できる。遊んでいるうちに知識がつくという理想的な教材。内容イメージ(1)内容イメージ(2)■ドリルなのに大人も子どもと同じ目線で楽しめる「子どもにもやらせてみたい」「自分でも解いてみたい」その両面から大人に支持されているのが、本書の人気の秘密。通常、ドリルというのは親が子に渡して子どもが一人で取り組むもの。または、親が付き添っていたとしても、親は子どもを“教える側”になる。しかし、この『ヒマつぶしドリル』は、パズル形式になっているため、大人も一緒になって悩むことができる。子どもも親も同じ目線に立って問題に取り組めるから、コミュニケーションツールとしても一役買っている。【本書に寄せられた感想】・ 子どもに与えたら「次もやりたい、次も」と、すぐに一冊やり切ってしまった。・ 小学生が夢中になっている。遊び感覚なのに頭を使うからとてもいい。・ 子どもと一緒に、頭を悩ませながらパズルを解いています。・ 孫と一緒に遊びながら学んでいる。・ 自分用に買いました。童心に返ってやっていますが、簡単なようで悩みます。脳トレにはいいと思います。・ まだ子どもは小さいので自分でやりましたが楽しかったです。もう少し大きくなったら一緒にやろうと思います。■ストーリーとイラストは伊豆見香苗が執筆ドリルという硬いイメージを巧みに崩しているのが、ドリル内に出てくる愛くるしいキャラクター達。このクリエイティブを担当しているのが、SNSで人気のクリエイター『#GIFの伊豆見』こと伊豆見香苗氏。各書5章ずつのストーリー構成に分かれており、主人公のヒーとマーがカミサマから課せられるミッションを面倒くさがりながらも熟していくといった、ドリルを解きながらRPGゲームを進める感覚が味わえるのも人気を支える秘密。内容イメージ(3)内容イメージ(4)■『天才!!ヒマつぶしドリル概要』【商品概要】『算数と国語の力がつく 天才!!ヒマつぶしドリル ちょっとやさしめ』『算数と国語の力がつく 天才!!ヒマつぶしドリル ふつう』『算数と国語の力がつく 天才!!ヒマつぶしドリル ちょいムズ』定価 :1,210円(本体1,100円+税10%)発売日:2022年4月21日(木)/2023年4月20日(木)判型 :A5変型判/「ちょっとやさしめ」144ページ、「ふつう」148ページ、「ちょいムズ」148ページ電子版:ありISBN :978-4-05-305426-5ISBN :978-4-05-305427-2ISBN :978-4-05-305636-8発行所:株式会社Gakken学研出版サイト: 【本書のご購入はコチラ】・Amazon ・楽天ブックス ■『#GIFの伊豆見』(じふのいずみ)とは伊豆見 香苗LINEスタンプ_えっびっ2本名:伊豆見 香苗(IZUMI KANAE)略歴:1993年沖縄生まれ。現在関東在住。関東の美術大学を卒業後アニメーション、イラストレーション、漫画など幅広く活動中。ライフワークとして1日1個GIFアニメを製作しSNS上に投稿している。「#GIFの伊豆見」としてSNSで人気を博し、代表作ともいえる「えっびっ」は、LINEスタンプDL数でもランキング入りするなどの大ヒット。他にも「れっもっんっ」や「いっぬっ」、「ぎょっうっざっ」などユニークなモチーフのキャラクターが、激しい動きをするLINEスタンプが話題。独特な世界観のGIFアニメやイラストが癖になる人が続出し、企業キャンペーンの採用やYOASOBI「ハルカ」のミュージックビデオ、日本テレビ「MUSIC BLOOD」のイラストを担当するなど、近年では枠にとらわれず様々な業界からオファーを受けている。■『#GIFの伊豆見』(じふのいずみ)過去の活動履歴2009年 大阪芸術大学主催高校生アートコンペティション映像部門 入賞2011年 第2回高校生デジタルフォトコンテストグランプリ大阪芸術大学主催高校生アートコンペティション映像部門 優秀賞2012年 関東の美術大学に入学。在学中に数々のミュージシャンのCDジャケットや雑誌の表紙デザインを手掛ける。2017年 「日本女孩可愛的展」(台湾)に招待出展東京・北の丸公園科学技術館 春休み特別展イントロアニメーション制作オイスターソース「李錦記」ウェブCMのレシピイラスト制作2018年 「えっびっ」 5月LINEスタンプMVP 動くLINEスタンプダウンロード数 1位「れっもっんっ」がLINEスタンプ特集『SNSで話題沸騰!特集』と『7-9月特集ベスト』に掲載フジテレビ地上波バラエティ番組「じゃじゃじゃじゃ~ン!」内キャラクター制作LINE MUSIC クリスマスムービーに「さっかっなっ」のLINEスタンプが起用。地上波CMでも露出。2019年 自身初となる個展を実施。原画100枚が5日間でほぼ完売!2020年 YOASOBI「ハルカ」のジャケット・ミュージックビデオを制作2021年 日本テレビ「MUSIC BLOOD」内イラストを担当日本テレビ「マツコ会議」ヘタウマクリエイターとして出演し、マツコデラックスさんと中継2022年 Gakkenから発売された「天才!!ヒマつぶしドリル」シリーズが第6刷増刷、15万部超えの大ヒット2023年 TVアニメ「この素晴らしい世界に爆焔を!」のエンディングビデオ制作広告案件・動画制作・商品化等の案件続々進行中・#GIFの伊豆見 オフィシャルX(旧:Twitter)アカウント ・#GIFの伊豆見 オフィシャルInstagramアカウント ・#GIFの伊豆見 オフィシャルWebサイト ●ご掲載に関してのお願い掲載原稿の確認をさせていただけますようお願い致します。また必ず下記のクレジットを表記してください。(C) KANAE IZUMI 詳細はこちら プレスリリース提供元:@Press
2023年09月11日■前回のあらすじ香苗と仲のいいママ友・奈々とはうまくやっていきたいものの、あまりに息子のマナー違反を注意しない彼女の態度に戸惑う。少しだけでも香苗が注意すると、細かいことを言わないでと言われ、意地悪呼ばわりまでされて…。電車内でのお菓子の食べかすを掃除せずに降りてしまった奈々ちゃん親子。あわてて代わりに掃除した私に謝ってはくれたものの、「子連れは大変なのだから、多少の迷惑は理解してほしいよね」と共感を求められてしまいました…。確かに子ども2人を連れての外出は大変だけれど、近頃は「子連れ様」と子連れのマナーの悪さを揶揄されているのもあって、最低限のマナーを守るべきだと思っているのですがー。しかし奈々ちゃんと私の感覚のズレは、外食の場でも生じてしまうのです…。次回に続く(全7話)毎日更新!※この漫画は実話を元に編集しています脚本・ 日野光里 /イラスト・ まりお
2023年07月14日局アナ、結婚、育児…さまざまな経験を経て今はフリーランスとして活躍する堀井美香さん。同世代はもちろん、若者からも支持を集める心地よいフレキシブルな人生観を辿ります。昨年、27年勤めたTBSを退社し、現在はフリーアナウンサーとして活躍する堀井美香さん。ジェーン・スーさんとパーソナリティを務めるポッドキャスト『OVER THE SUN』では、歯に衣着せぬ赤裸々なトークが多くの女性の共感を呼び、同世代のみならず、10代や20代のファンも急増中です。人の意見にじゃんじゃん乗っかれるタイプ。それが功を奏してきたなと思います。――anan編集部にも、『OVER THE SUN』のヘビーリスナーがめちゃくちゃ多いんです。半年くらい前、大学に特別講師として呼んでいただいた時も、18歳くらいの女子学生3人が、「いつも聴いてます」って言いに来てくれて。ちょうどその1週間くらい前は、くだらない話ばかりをしていたひどい回だったので、なんだか申し訳なくなりました(笑)。――やはりこの番組は堀井さんにとって、一つの転機になったのでしょうか?そうですね。番組が始まってから、ファンの方が9割…、いや10割女性になりました。昔はおじさまのほうが多かったんですけど(笑)。今、お仕事のご依頼も半数以上が、『OVER THE SUN』がきっかけです。ただ、ポッドキャストはまだ知らない人も多いメディアなので、転機としてもちょうどいいさじ加減でした。あまりにも勢いよくメジャーなものに乗っかってしまうと、いろいろな弊害もあったと思うので。唯一、自分を褒められるのは来るものを拒まないこと。――そもそもアナウンサーは昔からの夢だったんでしょうか?全然!本屋さんに行くにも車で1時間かかるような秋田県のド田舎の生まれなので、そんな仕事があるなんて知らなかったですし、まったく向上心のない子供でした。周りは公務員になる人が多かったので、なんとなく自分も公務員になるんだろうなって思っていたんですよね。進学で上京する友達もいなければ、私自身、東京の大学の名前が耳に入ってきたのも高3くらいで、それまではずっと東北大学や秋田大学が一番偉いと思っていたんです(笑)。――ご両親も上京には反対を?反対でしたね。中学生くらいの時に母に東京に行きたいって言ったら、東京に行ったら人が変わるとか、行方不明になるとか散々叩き込まれていたので、私も東京はすごい怖いところだと思っていて。だから東京の大学に強い憧れがあったわけでもないんですが、結局東京の大学しか受からなかったんです。――その後、大学の事務で先生からマスコミ講座やアナウンサーの道を勧められたそうですが、実際にチャレンジしてみようと決断した理由は何だったのでしょうか。当時は就職氷河期だったので、ただで受けられるなら…と思って試験を受けて、大学のマスコミ講座に入ったんです。最初は“絶対アナウンサーになる”っていう気はなかったんですけど、みんなで集まって自己PRをしたり、時事問題を解いたりしているうちに、なれるものならアナウンサーになりたいと思うようになりました。――そしてTBSに入社し、その翌年にご結婚、さらにその翌年に第一子をご出産されたんですよね。本当に田舎育ちなので、母が結婚は早く決めないと…とすごく心配していたんです。大学に入った時点で一度、お見合いもしていますし。だから今はもう時代錯誤ですけど、私も早く結婚しなきゃっていう意識があったんですよね。――出産後、仕事を辞めることは考えませんでしたか?それはなかったです。母親も働いている人だったので、女の人にとってずっと働くことはすごくいいことなんだなってなんとなく思っていましたし、せっかくアナウンサーになったのに、すぐに育休に入ってしまったので、いつかちゃんと会社に恩返しをしなきゃなって。でもその一方で、「早すぎる」みたいな声が耳に入ってきて落ち込んだり、私は会社のために何もしてない、何も事を成してないって自分を責めたりもしました。――そんな中で仕事と育児にどのように向き合い、バランスをとっていたのでしょうか?復職してからも夫が忙しかったので、子育てはずっとワンオペだったんです。だから深夜や土日の仕事は、声をかけていただいてもお断りすることが続いていて、当時20歳くらい上の上司に相談をしたら、「今はもう子育てをしなさい」と。「今はもう受けないって割り切って、その代わり子育てがある程度落ち着いたら、全精力を会社に傾けるようにして、最後に帳尻を合わせてプラマイゼロにしたらいいんじゃない」って言われて、そこですごく気持ちが楽になったんです。そこからはもう精神的にも時間的にも9割育児。とにかく子供がめちゃくちゃかわいかったし、一緒にいることがめちゃくちゃ幸せだったので、本当に最低限の仕事しかしていなかったと思います。でもその分、子供が大きくなってからはなんでもやろうと思っていたので、他の人がやりたがらない土日や深夜、お正月の仕事も全部引き受けていました。――会社員として働く中で、仕事への向き合い方が変わった印象深い出来事を教えてください。アナウンサーは会社員なので、部署異動もありますし、一生その仕事を続けられる保証はありません。だから、実況であったり、報道であったり、その人なりの強みを持っていないといけないなと思っていたんですけど、私は周りの人から「ナレーションが上手だね」って言っていただくことが多かったんです。第二子出産後、定時で働ける部署に一度異動願を出した時も、当時のアナウンス部長が「その前に1年間、ナレーションをやってみない?」と声をかけてくださって、その現場まで紹介してくださったんです。「とにかくこの現場を毎週見に行け。それで1年経ってもまだ異動したいって言うならそれでいいから」って。結局、それで何十年もアナウンサーを続けることになっちゃったんですけどね(笑)。その時、確か29歳くらいだったんですけど、割と早い段階でナレーションでやっていくと決められたことは大きかったと思います。素直に周りの意見に乗っかってよかったなって。別に決めたからといって、すぐに仕事が入ってくるわけでもなかったんですけど、ナレーションの練習をしていれば気が楽になるというか、その勉強をしていれば人間として厚みが増していくような気がして落ち着いたんですよね。――そうやって周りの方が声をかけてくださるのは、堀井さんの人望があってこそですよね。いえいえ。でも私は昔から、人に「こうしたら?」って言われたら、「じゃあ、やってみようかな」って人の意見にじゃんじゃん乗れるタイプだったんです。それが功を奏してきたなとは思います。考えてみると、大学の事務で「マスコミ講座を受けてみたら?」って言われたことがすべての始まりで、それに乗っかっていなかったら、きっとまったく違う人生だったんじゃないかなって。いろんな人に運がいいねって言われますけど、自分でも唯一褒められるのは、来るものを拒まないこと。今も、この会社に入ったほうがいいよって言われたら、「そうですか?」って、フリーを辞めてまたどこかに勤めることも全然できますし。たぶん、自分というものがないんでしょうね(笑)。50歳でTBSを退社し、卒母。見本も模範もない新しい世界へ踏み出した1年を記録した書き下ろしエッセイを上梓。仕事、美容、車、ノースリーブなど、堀井さんを構築するさまざまなテーマについて語られている。ジェーン・スーさんとの特別対談も収録。堀井美香著『一旦、退社。50歳からの独立日記』(大和書房)は好評発売中。ほりい・みか1972年3月22日生まれ、秋田県出身。法政大学法学部卒業後、’95年にTBSにアナウンサーとして入社。2022年に退社し、フリーに転身。多数のナレーションを担当するほか、ポッドキャスト『ジェーン・スーと堀井美香の「OVER THE SUN」』に出演中。自身の朗読会のチケットは即完売するほどの人気。※『anan』2023年3月1日号より。写真・来家祐介(aosora)インタビュー、文・菅野綾子(by anan編集部)
2023年02月24日無駄話やリスナーの本音エピソードから、おのずと名言が生まれるポッドキャスト番組「ジェーン・スーと堀井美香の『OVER THE SUN』」。今回は“ご自愛”をテーマに選んだ、自分に、そして誰かにかけてあげたくなる言葉をご紹介。楽しみながら、いたわり合う関係。ジェーン・スー:堀井さんが、番組で「ご自愛ください」と言い始めたよね。堀井美香:そうだっけ?全然覚えていない。さっきアナウンサーの出水麻衣ちゃんに会った時に「いつも聴いてます!」って言われて。スー:なんで聴いてるのよ!(笑)堀井:先週くらいに配信した回の話をしてくれたけど、私がどんな話か覚えてなくて(笑)。スー:…という、いい加減なおばさんが生きていてもいいということが、皆さんの励みになるなら、私たち生きててよかったね。『OVER THE SUN』は、リスナーさんたちのメールが本当におもしろい。リスナーさんのアイデアをきっかけに、互助会(リスナーたちの総称)のみんなでヒヤシンスを育てたのも楽しかったね。「#ヒヤスンス」でSNSに投稿してそれぞれの状況を伝えて。堀井:若い男の子からも「ヒヤシンス育ててます!」って言われたりして(笑)。楽しかったな。スー:リスナーさんから「咲きませんでした」って報告が届いたら、「それもあなたの物語」って堀井さんの名言も出た(笑)。こんなふうに、相性がいい人とベラベラと話していたら、こんなにもたくさんの方が聴いてくれるなんて、ありがたいよね。こんな仕事ある!?私たち、今まで頑張って働いてきてよかったよね。堀井:本当だね。「ご自愛ください」って、人にも自分にもかけられる良い言葉。スー:ね。あなたを気にかけていますよ、ってことだからね。堀井:昔は定型文として使っていたけど、年とともに魂がこもってきましたね(笑)。スー:そうね。“THIS IS 加齢”ですよ。今は「頑張れ!」って言葉を人にかけづらい世の中だけど、堀井さんは、私に「頑張れ!」って言える人。それは信頼関係がないとできないことだと思うから、ありがたいです。だからこれからも、お互いに励ましつつ「ご自愛ください」ってねぎらいながらやっていこう…よし、まとまった(笑)。『OVER THE SUN』ご自愛名言集駄々くらいこねさせてよ!アラフィフになり、物分かりの良い大人の顔でやり過ごす日々の中で、スーさんの「なんか駄々こねたくない?」というひと言をきっかけに生まれた大人の本音。時には赤子のように泣き出したい、床に大の字になって駄々をこねたい!そんな願いを表すひと言。(Ep.54より)Byジェーン・スー普段、円滑に進むよう物事を処理したり、トラブルを回避するようなことばかりやってきてるからね。全てに嫌だって言いたくなる時もある。赤ちゃんのように「い~や~だぁ~!」ってひたすら駄々こねたいよね?文句とは違う、パッションのある駄々です。いつかみんなで思いっきり駄々をこねる「駄々ジム」作りたいな~!By堀井美香スーちゃんが駄々こねるところ見たことないね。自分の中で「なんで?」って思っても「分かりました」って言ってきたけど、そこで「え、嫌なんですけど」って言ってみる(笑)。人に迷惑をかけずに思いっきり駄々こねたいね。みんながみんな、自分ファーストでいる。誰かが“ダダ穴”を開けさえすれば、みんな駄々こねやすくなるかも。沖に出る堀井さんがTBSを退社し、フリーランスとして踏み出す一歩を「沖に出てみよう」と表現。当時、堀井さんが夫から何気なく手渡された一冊、『老人と海』(アーネスト・ヘミングウェイ著)の話から生まれた門出の言葉。(Ep.74より)Byジェーン・スーリスナーさんが冒険することとか、前に踏み出すことを「沖に出る」と言ってくださるようになって。そのあとに続く「骨だけ持って帰ってくればよい」もセットで覚えてくれているのも嬉しい。By堀井美香よく「美香さんのことを思って旦那さんが本を選んでくれたんですね」って言われますが、本当に偶然(笑)。でも結果的によかったです。沖に出ることは成功するかどうかとは関係ないんです。よくぞ金曜日まで辿り着きました。おつかれさん毎週、金曜日の夕方5時に配信される番組のオープニングを飾るとっておきの言葉。スーさんの「本当におつかれさん」に抱きしめてもらうために、番組を聴く人も多いのでは。(Ep.3より)Byジェーン・スーツイッタラーの@showgunnさんが、「俺もみんなもよく金曜日までたどり着いた」とハードボイルド風につぶやいていたのがおもしろくてパクったら、定番に。本人に認めてもらえたので使っています。By堀井美香スーちゃんは借りた言葉だと言っていますが、毎回欠かさず、時には言い直して伝えることもあるので、大事にしている言葉なんだと思います。言葉をちゃんと育てているんですね。“無の時間”が必要「隙間時間」や「ながら時間」の時間活用が定番になったり、なにかと予定を詰め込みがちになる今。ただ何もしないことがリフレッシュの時間になるのって良いことでは?という思いを表現。(Ep.16より)Byジェーン・スー先週の日曜日、ソファとベッドの往復しかしなかったよ。多分1日の歩数は100歩くらいかな。温泉に行くとかリラックスの方法は人によっていろいろあるけど、私は週に1日、何にもしない日がないとダメ。なるべく誰とも会わない。効率とは無縁の、世の中的には無駄に仕分けされがちな時間かもしれないけど、無の時間が必要なんです。By堀井美香浅草の芸者さんに着付けを習っているのですが、行くとまず1時間お婆ちゃん先生のお話を聞いて、着付けを1時間くらい、その後また2時間くらい話を聞いて…最初はもっと効率的にできないかなと思っていたんです。でも時間を経てみると、着付けを体で覚えていて。あの時間が、自分自身の経験として返ってきているのを感じるんです。高すぎる眉山などない!とある女性編集者の不自然な“泣き眉”が気になったスーさん。聞くと過去に「眉毛がキツいと就活に不利」と言われていたことが発覚。「がんがん眉山描いて!」と怒りに燃えたひと言。(Ep.80より)Byジェーン・スー人に言われた言葉を大人になっても引きずることで、自分の可能性が狭められてしまう。だから囚われないでいてほしいって伝えたんです。「眉山の高さを人に決めさせなくていい!」って。By堀井美香彼女は番組のリスナーでもあって。就活のアドバイスって間違っていること多いし、若い頃に言われたことってずっと忘れないからね。でも放送後に再会できた時、眉山がちゃんとあって安心しました。負けへんで番組スタートと同時期に誕生し、今や『OVER THE SUN』の合言葉。リスナーさんから募ったさまざまな離婚のエピソードがもたらした連帯が発生源に。頑張るより踏ん張る。悲しくても寂しくてもいいじゃない。そのままのあなたで「負けへんで」。(Ep.1より)Byジェーン・スーただ負けないぞというのではなく「勝ちにはいかないけど、負けへんで」ということが重要です。自分から人を掻き分けて、誰かを蹴落としたり、ものすごい努力をして勝ちにいくことが目的ではないし、勝とうとする気もない。でも、だからといって負けたわけではないぞ!っていう我々の意地であり、尊厳「Dignity」なのです。By堀井美香「負けへんで」とは言っているけれど、勝たなくていいよってところがセットになっているのがポイントです。私自身、本当に苦しかった時に、この言葉に助けられたこともあります。「負けへんで」って自分で唱えながら、ああいい言葉だなって。すぐにスーちゃんに「あなた、これすっごくいい言葉だよ!」って伝えました(笑)。受け身でいる時間仕事、子育て、介護に奔走し、精神的に孤独になったリスナーさんのエピソードが発端に。常に誰かのために動くことが中心になっている方々に向けて、受け身でいる時間を作っていこうというねぎらいとエールの言葉。(Ep.38より)Byジェーン・スー本当に皆さんよく頑張っていますよ。マッサージとか人様に何かをしてもらうっていうのは、ご自愛タイム。私もリラックスしたい時は、人の手に委ねて気持ちよく過ごすようにしているから。By堀井美香家庭のことで忙しくされている方には、自分ではなく誰かに何かしてもらう、ボーッとしていても勝手に事が進んでいく時間を1週間に1回でも作ってほしいです。それだけで全然違ってくると思うので。TBSラジオ『ジェーン・スーと堀井美香の「OVER THE SUN」』ジェーン・スーと堀井美香によるコンビ“スーミカ”がパーソナリティを務めるポッドキャスト番組。リスナーと共に自由に語らうゆるやかなテンションが、老若男女問わず幅広いリスナーに支持され、番組発のオリジナルグッズも大人気。毎週金曜17時~配信中。©TBSラジオジェーン・スーさん(一枚目写真左)1973年、東京都生まれ。コラムニスト、ラジオパーソナリティ、作詞家。TBSラジオ『ジェーン・スー 生活は踊る』が毎週月~木曜昼に放送中。著書に『きれいになりたい気がしてきた』(光文社)など多数ある。堀井美香さん(一枚目写真右)1972年、秋田県生まれ。アナウンサー。27年間所属したTBSを今年退社し、フリーランスに。ナレーションや朗読会など幅広く活動。イベント「yomibashovol.2 堀井美香 朗読会」が12/2ルーテル市ヶ谷ホールにて開催。※『anan』2022年10月12日号より。写真・Nae.Jay取材、文・菅原良美(akaoni)(by anan編集部)
2022年10月05日ザ・リッツ・カールトン京都(所在地:京都市中京区鴨川二条大橋畔)は、2022年5月17日より2022年7月15日までの期間中、京都府宇治市で最古の茶園を受け継ぐ「堀井七茗園」の新茶を使用した3種類のカクテルを、1階「ザ・バー」にて提供いたします。新茶を使用したカクテル「Verdure breeze(バージャー ブリーゼ)」(左)、水出しの新茶(中央)、新茶の茶殻(右)堀井七茗園は、宇治市内で茶葉の栽培から製造、販売までを一貫して行う宇治茶の老舗です。室町時代に足利義満が七ヶ所の優れた茶園を指定した「宇治七茗園」の1つである「奥ノ山」茶園を受け継ぐ同園は、伝統の宇治抹茶栽培を今も守り続け、毎年新茶の時期には手作業による茶摘みを行っています。ザ・リッツ・カールトン京都では、堀井七茗園の新茶の瑞々しい香りを、その最も美味しい時期にご堪能いただくべく、「ザ・バー」にて3種類のカクテルをご用意いたします。「バカルディ レガシー カクテル コンペティション2020」日本大会での優勝経験を有するヘッドバーテンダー浅野陽亮が率いるチームによって考案したカクテルは、新茶の旨味を活かしたマティーニ「Verdure breeze(バージャー ブリーゼ)」、新茶の瑞々しさをクリアなトマトウォーターで引き立てたウォッカベースのミドルカクテル「Nine Thea One(ナイン ティー ワン)」、新茶の爽やかな清涼感をシャンパーニュとマリアージュしたカクテル「茶と果と泡」の3種類です。なお、カクテルに使用する新茶は、「堀井七茗園」園主 堀井長太郎氏が宇治茶の市場にて産地や品種を吟味し、良質な煎茶の茶葉を見極めて、厳選・謹製したものです。また、カクテルにはそれぞれ、新茶の香りと旨味を感じるための「水出しの新茶」に加え、カクテルを作る際に使用した茶葉の茶殻を、自家製のポン酢で和えて食用にアレンジした「新茶の茶殻」を提供します。ザ・リッツ・カールトン京都では、京都の人々の暮らしの中で受け継がれてきた、物を最初から最後まで大切にする心意気を意味する「始末の心」の考え方を受け継ぎ、日頃より積極的にサステナブルな取り組みを進めております。今回は使用済みの茶殻を利用した「新茶の茶殻」をカクテルに添えることにより、その取り組みを一人でも多くのお客様にお伝えできればと考えております。室町時代から約600年続く伝統の茶園を大切に受け継ぎ、持続可能(サステナブル)な商いを行ってきた「堀井七茗園」と、ザ・リッツ・カールトン京都「ザ・バー」のとのコラボレーションは、今後も継続して実施する予定です。「茶と果と泡」(左)、「Verdure breeze(バージャー ブリーゼ)」(中央)、 「Nine Thea One(ナイン ティー ワン)」(右)期 間:2022年5月17日(火)~7月15日(金)場 所:1階「ザ・バー」価 格:Verdure breeze(バージャー ブリーゼ):3,416円Nine Thea One(ナイン ティー ワン):3,416円茶と果と泡:3,416円※税・サービス料込「堀井七茗園」について室町時代より続く宇治最古の「奥ノ山」茶園を受け継ぐ「堀井七茗園」は、伝統の宇治茶栽培を今も守り続け、上質な宇治茶の栽培から製造、販売までを一貫して行う老舗茶舗です。特に抹茶は京都府内産一番碾茶のみを取り扱い、石臼で挽き上げています。大正13年には3代目堀井長次郎が「碾茶乾燥製造機」を考案。これにより均一した優良な抹茶の製造が出来るようになり、日本における抹茶生産の基礎を固めました。5代目堀井信夫は「奥ノ山」茶園から優良品種の選抜を行い、20年の歳月を経て、抹茶向き品種「成里乃」と玉露向き品種「奥の山」の品種登録に成功。品種「成里乃」は平成22年全国茶品評会で一等一席農林水産大臣賞を受賞し、令和2年には、パリで開かれた日本大使館後援の「日本茶コンクール」抹茶の部で金賞グランプリを獲得。玉露および煎茶についても宇治茶師として50年以上、茶の鑑別に携わってきた園主 堀井長太郎が産地や品種を吟味し「これぞ宇治茶」と誇れる逸品を提供しています。ザ・リッツ・カールトン京都について京都の北から南へ流れる鴨川のほとり、東山三十六峰を一望できる最高のロケーションに建つ「ザ・リッツ・カールトン京都」は、祇園や河原町、先斗町など繁華街に近く、観光やビジネスにも便利なアーバンリゾートです。日本の伝統と現代的な欧米様式の融合を図りながら、歴史ある周辺環境にも調和する外観デザイン。京都の伝統・文化のエッセンスが散りばめられたラグジュアリーな空間で、ここでしか味わえない上質な時間を提供します。総客室数は134室。客室平均面積は50平米と京都市内最高水準の広さを誇り、レストランやバー、宴会場、スパをご用意しています。企業プレスリリース詳細へ本記事に掲載しているプレスリリースは、株式会社PR TIMESから提供を受けた企業等のプレスリリースを原文のまま掲載しています。FASHION HEADLINEが、掲載している製品やサービスを推奨したり、プレスリリースの内容を保証したりするものではございません。掲載内容に関するお問い合わせは、株式会社PR TIMES()まで直接ご連絡ください。
2022年05月17日【前編】「よく母親が務まるな」24歳で結婚した堀井美香アナ語る当時の苦悩 から続く元TBSアナウンサーで、4月から独立した堀井美香さん(50)。堀井さんはTBSラジオのポッドキャスト番組『OVER THE SUN』で、コラムニストのジェーン・スーさん(48)とともにパーソナリティを務めている。放送は80回を超え、アラフィフのみならずいまや世代も性別も超えてファンを増やしている人気番組だ。その2月25日配信(第74)回で、堀井さんは次のように切り出した。「3月31日でTBSを退社することになりました。『沖に出てみようかな』と。スーちゃんにも励まされ、力になり、助かりました」彼女は入社2年目に24歳で結婚し、その後、2児の母となるあいだに出産・育児休暇を取得している。そして本格復帰後の30代以降、特にこだわってきたのが「読み」の部分。その高いアナウンス力には定評があり、読み方を説くテキスト・エッセイ『音読教室』(カンゼン)が著書にある「読みのスペシャリスト」なのだ。そんな職人かたぎのアナウンサーが、安定した会社員を辞めて浮き沈みの激しいフリーの世界に、50歳にして飛び込んだ。なぜいまなのか、そして何をしようとしているのか。堀井さんの言葉に、じっくり耳を傾けることにした。■「骨だけ残ればいい」盟友の言葉で一歩前へ子育て真っただ中だったときは家庭を優先して仕事もセーブしていた堀井さんだが、長男が小学校に上がったあたりでは余裕も出てきた。「子どもがだんだん手がかからなくなってきて、いただくオファーを断る理由がなくなっていくんですね。そうしてどんどん、仕事が回りだしました。お仕事をいただけるありがたさを、より実感できたんです」現場の仕事を増やしだしたこの時期、堀井さんは自分の得意分野がナレーションであることを自覚していた。「声」だけが頼りとなるナレーションは、読み手の技術と経験が如実に出る仕事である。「じつは仕事を断っていた時期、現場からの異動希望を申し出たことがありました。そのとき山田修爾アナウンス部長(当時)に『キミにはナレーションの才能がある。アナウンサーを辞めるなどと言わず、じっくり取り組みなさい』とお声かけいただいたんです」そのとき堀井さんが思い浮かべたのは、母の顔だった。小学生のころ、母から毎朝教科書の3回音読を課されていた。忘れれば小学校まで追いかけてきた、母の教え。「ナレーションは、コンマ何秒のタイミングを求められる世界。母が毎日、音読させてくれたおかげで、その下地になったんだと思う。母からもらったナレーション、母からもらった人生と思います」仕事と育児の両立で、休む間もなく20年走り通した堀井さんを縛るものは、何もなかった。「仕事にまい進できるって、こんなにうれしいことだったんだ、と」なかでも憧れていたのは、看板番組のひとつ『世界遺産』の本編ナレーションだった。そこにたどり着くまで、ひたすら努力した。「ほかの人が断ってしまうような仕事でもお断りせず、1行だけのナレーションでもお受けすることから始めます。それを続けているうちに、何行に増やせるか。『世界遺産』は、番組スポンサーさんの“提供読み”を引き受け、それを完璧にこなせるまで何回でも吹き込みました。すると次には、プレゼント告知を担当させてもらえるようになり……」どんな小さな糸口でも、見つけたら絶対にそれを捨てない、食らいついてつなげていく。そんな姿勢で取り組み続け、とうとう『世界遺産』本編のナレーションを手にしたのだ。「3年くらいかかったと思います。不安だから努力する。努力しても不安になるからまた努力する。どんな小さなコピー読みでも、自分が満足できるパフォーマンスができるまで、徹底的にやるという思いでした」すると、アナウンス部に各番組から入るナレーション依頼のほとんどが「堀井」指名で来るように。「困ったら堀井」は、スタッフ間の標語のように全社的にささやかれていたのである。「報道の年間特別番組、皇室特番、深夜ドキュメンタリー『解放区』に夕方のニュース『Nスタ』……担当してみたかったすべての番組に、参加させていただきました」しかしここ1~2年は、アラフィフ世代として「今後10年、15年の身の振り方」をいや応なく考える時期を迎えていた。「昨年にアナウンス部の担当部長に任命され、その後は現場の仕事よりも組織を取りまとめる役割が増えていくのが明白でした」せっかくつかんだナレーションでの定評も、後輩の育成を考えれば譲っていくべき立場だった。さらに、ここ6年ほどアナウンサー採用担当として、就職希望の学生たちの声を多く聞いてきたことでインスパイアされるものもあった。「私たち世代にあった『終身雇用の一流企業への就職』という希望がいまの学生にはなかったりする。スキルアップのために10年間、会社でキャリアを積むとか、社会的意義のある仕事を求めてベンチャー企業を希望するとか……」仕事のスパンも価値観も変わってきた若者たちを見ていて、アップデートの必要性を痛感していた。「長女が就職し長男も大学生となったこと、私自身の会社での立ち位置選択に迫られたこと、50歳という節目……さまざま重なって、選択肢のなかから出てきたのが『退社』『独立』だったんです」堀井さんが「会社を辞めようと思うんだけど」と相談したのは、13年にラジオ番組で出会って以来、意気投合し、いまや盟友となったジェーン・スーさんだ。その相談を受けたときのことを、スーさんが振り返る。「今後のキャリアを考えるとき、選択肢のひとつとして『独立がある』と言う。私は『好きなようにやればいいじゃん!』と答えました。好きなことができるほうを選んでほしい、という意味です」とはいえ昨今の不況下で「フリーアナ受難時代」ともいわれる。『OVER THE SUN』2月25日配信分では「バクチ打ちだよね〜」とスーさんは笑い飛ばしていたが……。「ハッキリ言えばソロ転身も彼女にはチャレンジではないと思う。それだけのキャリアと経験値と、スキルがあるということです。性格からして用意周到でむちゃしませんから、食いっぱぐれることもないと思うし心配してません。むしろ若くして退社するアナウンサーのほうがよっぽど大変でしょ」スーさんから激励を受けた堀井さんが、次に夫に伝えると、「いいと思うよ」の一言だったという。「その数日後、夫が『この本、読んでみたら?』と手渡してくれたのが小説『老人と海』でした。初めて読んだんですが、いまの私に“ぴったんこカンカン”だった」ヘミングウェイのこの最高傑作は、84日間不漁が続く老人が沖に出て、4日間の死闘の末についにマグロを捕獲する。しかし帰港までにサメに襲われ、マグロの身は食われてしまう、というあらすじだ。「これにグッと来たんです。老いぼれたジイさんが意を決して沖に出て、自分を鼓舞して闘う。結果、敗れるが、生きて港に帰り着く。スーちゃんに話したら、『50歳で不安を選んで、そこに負荷をかけるいまのキミと同じ、最高じゃん。骨だけ残ればいいじゃないか』って言ってくれた。そうだ、私も、沖に出るんだ。ダメなら、また生きて岸に戻ってくればいいじゃないかって……」そうして40代最後の冬の晴れた日に、堀井さんは辞表を出した。■不安は尽きないけれど、それより行動あるのみ「いざ『辞めます』って言うまではよかったけれど、『一人になっちゃう』と思うと、急に心細くなったりもするんです……」心もとない単独行だが、動かなければただ時間だけが過ぎていく。そのほうが、もっと怖いから。「勢いで朗読会の会場を押さえました。6月16日の代々木上原ムジカーザ、12月2日のルーテル市ヶ谷教会と会場費も振り込んで」この東京2公演のほかに、全国各地の朗読会参加も考えている。「自治体やNPO法人などと連携を取って、ご高齢の方などのワークショップ的な参加型イベントにもご一緒したいですね」3月末日をもって「沖に出た」堀井さんが、翌4月1日、フリーとして最初に向かった現場も古巣のスタジオだった。全力で闘えば、たとえ敗れても、いつだって帰る場所はあるのだ。収録の冒頭で、もう退職したというのに「TBSアナウンサーの……」と肩書を間違えたのも、じつはスタッフが台本にそう書いて仕掛けた、愛あるトラップだった。「そうなんだよ、私、引っかかる人生なんだよ。肩書、何にしましょうか。組合員でもないし……」仕切り直して発した、フリーとしての第一声はーー。「人間・堀井美香です」(取材・文:鈴木利宗)
2022年04月24日堀井新太、三津谷亮、納谷健が出演する『俳優落語 新年会2021」が1月23日(土)20時30分より、SPWNで配信される。「俳優落語」はワタナベエンターテインメントの若手俳優が落語に挑戦する人気企画。2020年5月の緊急事態宣言中に発足し、これまでに3回開催されている。4回目となる今回は、再びの緊急事態宣言下でも観客にエンタテインメントを届けたいという趣旨で企画された。落語部分は昨年12月開催の第3回公演で披露された堀井新太『親子酒』、三津谷亮『三年目』、納谷健『町内の若い衆』が再配信。一度見たことのある人も楽しめるよう、落語前には「まくら(落語本題に入る前の小噺)」を創作し、生披露するという。また落語配信中は俳優たちも一緒に観覧する。どんな表情で落語を観ているかも楽しめるということで、こちらも期待だ。配信後半には堀井、三津谷、納谷によるソーシャルディスタンスを保った企画も?この機会にぜひ参加して、コメントでも企画を盛り上げてほしい。出演俳優のコメントは以下。<堀井新太・コメント>皆さん明けましておめでとうございます。急遽、俳優落語の新年会をやることになりました!少しでもおうち時間を楽しめるよう、企画も考えていますので、是非ご参加ください。お待ちしております!<三津谷亮・コメント>新年最初の落語が早くも1月に開催決定です☆緊急事態宣言を受け、新作での配信ではなく前回配信した作品ですが、2021年の落語はじめを僕たちの俳優落語で体験してもらえたら嬉しいなぁ~ちょっと追加企画もあるかも?ということでお楽しみにね♪<納谷健・コメント>俳優落語で新年会!!外出自粛要請を受け、また次へのバトンとなるように、前回の勢いを引っ提げて、盛り上がっていきます!心新たに両手を広げて羽ばたける一年になりますように^_^公式ホームページ: ■配信情報「俳優落語新年会2021」1月23日(土)20時30分より配信出演:堀井新太、三津谷亮、納谷健配信プラットフォーム:SPWNチケット:2000円(税込)※別途手数料220円がかかります。配信をご覧になるにはチケットのご購入が必要です。購入: ※投げ銭機能あり。
2021年01月15日滝藤賢一が「恋愛工学」のエキスパート、堀井新太が“非モテ男”を演じる12月28日放送の深夜ドラマ「ぼくは愛を証明しようと思う。」。このほど、彼らのターゲットとなり、次々にオトされていく(!?)美女たちに、内田理央、佐津川愛美、筧美和子ら女性キャストが発表された。滝藤さんが演じるのは、意中の相手を落とす“魔法の方程式”=「恋愛工学」を完ぺきに操るモテモテの永沢圭一。堀井さんは、そんな永沢に「恋愛工学」を学びながらモテ男を目指す、典型的な経験不足の非モテ男のサラリーマン・渡辺正樹を演じる本作。原作者の藤沢数希氏が「僕が人生で出会った中で、いちばん美しい女性たち。正直に白状すれば、彼女たちの前では恋愛工学も無力かもしれませんね」と降参気味のコメントを寄せる注目の顔ぶれは、内田さん、佐津川さん、筧さんに加え、真凛、おのののか、入来茉里、間宮夕貴、小山真由、真崎かれん、永島聖羅、椿原愛、藤崎里菜などなど。なかでも、内田さんはS級の人気モデル役、佐津川さんはクールなバーテンダー役で登場し、「恋愛工学」の実地に励む堀井さん演じる渡辺の成長物語を華やかに彩っていく。渡辺の最終目標は、ずばり彼女たちとの「ベッドイン」!だが、彼はこの中の何人を、「恋愛工学」でオトすことができるのだろうか!?内田理央「まんまと好きになると思います」!?「台本を読んで、素直に勉強になりました。女の子ってこうやって落ちるんだなぁと、教科書のように読んでしまいました」というのは、内田さん。演じる宮田理紗は「S級“モグラ”女子。モグラというのは、モデルもグラビアもやっている女の子のことで、それに関しては私も両方やらせてもらっているので共通しているんですが、“S級”という部分にはプレッシャーを感じました!」と明かす。そんな理紗は、滝藤さん演じる永沢が示す「恋愛工学」によって、堀井さん演じる渡辺さんに心を開いていくというが、「まんまと好きになると思います!(笑)女の子はみんな嫌な気はしないんじゃないかな?好きになったり、友達として仲良くなったり、距離が縮まると思います。『恋愛テクノロジー』本当にすごいです!感動しています!」とその効用に太鼓判!?視聴者にも「男性は、かなり恋愛の勉強になると思います。女性は、こんな男性に気をつけた方がいいよ!というのがわかると思います」とメッセージを贈っている。佐津川愛美、「恋愛工学」のアプローチに「気づかないかも(笑)」佐津川さんが演じるのは、バーテンダーの藤森直子。「少し冷めているところがあって、恋愛にも積極的ではない女の子。主演の男性2人を俯瞰で見るようなポジションにいるんですが、私も若いときは輪の中心で話したりはせず、みんなの恋愛話を俯瞰して聞いているタイプだったので、そこは似ているかもしれません」と明かす。まさに「恋愛テクノロジー」でどんどん変わっていく渡辺さんを第三者的に見ているが、もし実際に佐津川さんがこのテクノロジーを使ってアプローチされたら…?「テクニックを使われていることに気づくのかなぁ…?相手が使っているってことが分かったら、楽しめそうですけど、気づかないかもしれませんね(笑)」とコメント。そんな恋愛テクノロジーの「心理学的なところ」がすごいと感じたそうで、「警戒心を持たせないとか、時間を設定するとか、なるほどな! と思いました」とも語り、「もしかしたらいまの恋愛に活かせる学びもあるかもしれません」と期待を寄せている。恋愛に尻込みする者たちへ「恋愛工学」の提唱者が贈る本ドラマの原作者・藤沢氏は、恋愛工学の伝道師である永沢役を演じる滝藤さんについて、「どんな役を演じようとも、自分の世界を創り出してしまう滝藤さんが、永沢をいったいどう演じるのか。いまから楽しみで仕方がありません」とコメント、そして「これからスターダムに駆け上がろうとしている堀井新太さんは、まさに永沢さんに導かれ恋愛のファーストトラックに飛び乗っていく渡辺くんと重なります。誰よりも愛深きゆえに愛を(一度は)捨ててしまう渡辺くん。とんでもなくロマンチックでワイルドに成長していく渡辺くんを僕たちに見せてくれることでしょう」と、展開が気になるコメントを寄せている。さらに、2人たちが手に入れようとする女性キャスト陣についても、「彼女たちは単にルックスがいいだけではありません。演じることに情熱を持ち、これまでの人生を愛に生きてきた、内面から滲み出る真の魅力の持ち主なのです」と、女心をくすぐるかのようにべた褒め。さすがエキスパート!といったところだが、「いま多くの若者たちが恋愛に対して尻込みしてしまっているようです。だからこそ、恋愛工学を学び、すこしでも上手く立ち回ろうと思うのかもしれません」とも分析。「でも、本当は違うんです。ドラマで伝えてもらいたいのは、むしろ逆で、みんな失敗してもいいんだよ、と挑戦する人たちを励ましてあげることなんです。ちょっとだけ勇気を与え、背中を押してあげる。男性だけでなく女性にも見ていただいて、『こうしたら上手くいく』ではなく、むしろ『こうやって失敗してもいいんだよ』というメッセージを受け取ってもらえたら」と思いを込めている。「ぼくは愛を証明しようと思う。」は12月28日(木)深夜0時20分~テレビ朝日にて放送(text:cinemacafe.net)
2017年12月12日堀井新太、山田裕貴、三津谷亮が演じるイマドキの若者が、ある日突然パパになり、ドタバタの子育てライフを繰り広げるテッペン!水ドラ!!「3人のパパ」。このほど、ミュージカル「テニスの王子様」やドラマ「クズの本懐」などで知られる桜田通が第6話にゲスト出演することになった。本作は、いまを生きる“ゆとり・さとり世代”と呼ばれる男たちが、過去の無責任な行動が原因で赤ちゃんを育てることになり、困難にぶつかりながらも目の前の命と向き合い、共に成長する姿を描くハートフルコメディ。そんな本作の第6話に参戦することになったのが、ネクストブレイク候補ともいえる若手俳優・桜田さん。ミュージカル「テニスの王子様」以降も数々のドラマや映画に出演。近年では、映画『orange-オレンジ-』、ドラマ「グッドモーニング・コール」「嫌われる勇気」などに出演し「クズの本懐」では主演。浜辺美波と北村匠海(DISH//)のW主演作『君の膵臓をたべたい』にも出演しており、いま目が離せない存在の1人だ。桜田さんが今回演じるのは、母親との再会に戸惑う“さとり世代”の青年・西川亮介。幼少期に別れたきりの母親を探して、堀井さん演じる拓人たち3人の前に現れる。シェアハウスで子育てをすることになった拓人、恭平(山田裕貴)、朔(三津谷亮)にとって、亮介の登場は母親の分からない赤ちゃん・晴大と境遇が重なり、晴大の将来を改めて考えるきっかけになっていくのだが…。桜田さんは、「僕が演じる西川亮介は、僕より年齢設定が下だったので、さらにゆとり世代の男の子のイメージを膨らませました。老舗料亭育ちの失礼や嫌味のない男の子と、年相応で等身大の素直な男の子を共存させることを意識しながら精一杯演じました」と、そのキャラクターと役作りを明かす。いま注目の若手俳優3人が揃う本作には、「堀井新太くんとは3度目の共演なのですが、やっぱり芝居大好きで、熱くて真面目な、大きい赤ちゃんでした(笑)」と語るも、「でも、カメラが回るとパパでした」とフォロー?「山田裕貴くんは、振り切った芝居が見ていてとても面白かったです。優しくて大人だなぁと思ったのですが、腹の底にとんでもないバケモノがいそうな雰囲気でした」と鋭く分析し、「三津谷亮くんは、とにかく柔らかい雰囲気の方で、たくさんお話をしてくれました。三津谷くんのおかげでリラックスして撮影ができました」と、それぞれ3人の特徴を見事にとらえながらコメント。また、「濱田マリさんは、僕が演じた亮介にとって重要な関係の役柄だったのですが、今回その役を濱田マリさんが演じて下さっていて本当によかったです。亮介の表情や感情は全て、濱田マリさん演じる美奈子さんがそこにいて下さったおかげだと思っています」と、ベテランともいえる実力派に感謝を寄せた。なお、今夜放送の第3話では、拓人が置き手紙を残してシェアハウスからいなくなるところから始まる。恭平(山田さん)と朔(三津谷さん)は拓人を探しつつも、晴大の面倒をみることに。2人は順番に晴大の面倒を見るも、なかなか思うようにはいかず…。そんな中、朔は幼少期に父親から暴力を受けており、晴大と上手く接することができないと恭平に告白する。すれ違いながら、崩壊していく3人の関係。そして、ある事件が起こってしまう…。白黒つけることが怖い無責任な若者3人の“ドタバタ子育てライフ”。「3パパ」たちには、これからも目が離せない。テッペン!水ドラ!!「3人のパパ」は毎週水曜日23時56分~TBSにて放送中。(text:cinemacafe.net)
2017年05月03日若手俳優とタッグを組み、ザ・スズナリという濃密な空間で人間ドラマを紡ぐ。岩松了のその試みに堀井新太と黒島結菜が参加する。これまでも若手の群像劇には定評があった岩松。今回の『少女ミウ』では、一家心中の生き残りの少女をめぐる物語を描くのだという。その中で追求したいのは「男と女の生態」という岩松ならではの思索に、堀井と黒島も興味津々。初顔合わせの3人に期待が募る。舞台『少女ミウ』チケット情報岩松作品には初参加となる堀井と黒島。「いろんな人から岩松さんの情報を仕入れてたんですけど(笑)、必ず得られるものがあるので本当にいい経験ができるとみんなが言っていたので、今はそれが楽しみ」(堀井)、「岩松さんの作品を演じるのには、まだまだ力が追いついてないと思うんですけど、一生懸命くらいついていきたい」(黒島)とそれぞれに、岩松の作品世界と演出が自分に大きなものをもたらすはずと、確信している様子だ。そんなふたりをはじめとする若手俳優10名と岩松が作り上げるのは、黒島演じる一家心中の生き残りのミウという少女と、彼女を通り過ぎていく人間たちの群像劇。その中でも大きな存在となる男を堀井が演じ、「お互いがどんなふうに相手を利用したり拠りどころにしたりするのか、いろいろ考えながら書いていきたい」と岩松は言う。そのもとには、岩松のこんな思いがある。「人間って社会性を持って生きているけれども、動物のレベルに戻すとどう動くのかっていうことを見せることで、規律とかモラルって何だろうと知らしめることができるんじゃないかなと思ったんです。舞台上で行われることは不条理に見えるかもしれないけど、実は非常にまっとうなことをやっているのだと。“人もまた動物である”っていう副題をつけられるぐらい、動物的な話をやりたいと思います。男と女についても、結局は、女が男を利用して、男は消費されていくんだっていうような(笑)」。岩松の話に「女性にはかなわないという境地に達するのはもう少し先かも(笑)」という感想をもらした堀井。「岩松さんに言われることを柔軟に素直に受け止めてやりたい」と意気込む。黒島も「今までに演じたことのない役どころになると思うので、知らない自分をいっぱい引出してもらいたいと思いますし、自分も新しいものを引出していきたいと思います」と胸を高鳴らせる。人間の本質を問いかけるからこそ作り出される岩松の不可思議な世界。若手俳優のまっすぐさが、その面白さを忌憚なく伝えてくれるだろう。公演は5月21日(日)から6月4日(日)まで東京・下北沢のザ・スズナリにて。チケットぴあではインターネット先行抽選を実施中、2月20日(月)午前11時まで受付。取材・文:大内弓子
2017年02月15日衝動がそのまま音になったような、若者の奏でる音楽ももちろん魅力的。一方で、そんな時間を経たのち、窮屈になるどころか、ますます自由で個性的になっていく大人世代のミュージシャンたちがいる。今なお子どものような、キラキラした眼を持つトータス松本さんにお話をうかがいました。***昨日買ったばかりというGibsonのヴィンテージギターを抱えて現れたトータス松本さん。ご本人とほぼ同い年なのだそうだ。「ヴィンテージ好きになるのも、大人になったということですかね。同じモデルの新品もかなり良い出来なんですが、弾き比べると『まだまだ若いな、お前』って。でもこの年季の入ったギターは、『おおっ!』となる。シブいおっさんに憧れるような気持ちですね」そんなトータスさんも、かつては「アニキっぽさ」が好きと憧れられていたのに、最近はファンからカッコいい「おっさん」と言われることが増え、少々戸惑いも。「オレ、おっさんか?と、言われて初めて見られ方に気づく感じ。嬉しいけど、くすぐったいというか、恥ずかしい。大人かどうかって、自分ではよう分からないですね。ただ若いときよりも、いい加減にはなったね」“ちょっと不器用だけど情熱的で真っすぐな人”というイメージを持たれがちなトータスさんだが、実は几帳面。DIYや料理の才能もあるマメな方なのだ。「そういう性格だから、何でもキチッとやらないとダメ。若いころは、うわー、どうしよう、これではアカンと、常に追い詰められているような感じやった。でも結局、なるようになってきたから『世の中になんともならへんことはない』ということを経験則として学べたんですね。それが分かってきたから、ズルイというか、いい加減になってきているんですよ。こんな自分が新鮮だし、これも大人になったということなのかな」若いときは経験値がないぶん、あるがままにやっては、結果が出る前に焦ったり、目上の人の意見を取り入れても、うまくいかなかったりしたことも。「いま思えば、若さの魅力って若いってこと以外にないと思う。負け惜しみじゃなくて、本当にそう。逆に大人はいろんなことを経験したぞ、という特権で、いい加減になったり、いろんなことがラクになってくる。けど僕はまだあがいているし、過渡期だと思ってます。60~70代になれば余裕も出るんやろうけど、今は余裕のある部分とない部分が、せめぎ合ってる感じがする」トータスさんが参加する「ROOTS66」というイベントがある。‘66年生まれのアーティストが大勢集結する年齢縛りのライブだ。「みんな揃って、他の出演者のリハーサルを舞台袖で見るんですが、それぞれに思うことがありながら、いろんな表情をしているんですよ。あれがすごくいい!みんな同い年やけど、大人と呼べる人は誰もいないね(笑)。若い人と共演するときも、オレは『負けたないー!』と思って観てますね。焦ったり、緊張したりは未だにするなぁ。でも、そういう気持ちが面白いし、まだどっか若くて、青いんやね。それはすごくいいことだと思っている」面白いエピソードを聞いた。トータスさん世代のミュージシャンがバックを務め、ゲストにベテランシンガーを招くといったイベントのときのこと。「リハ中にその方がいきなりブチ切れて、何やっとんじゃ!とバンドに怒鳴って、シーンとなったんですよ。それがすごく面白くて、いいなーと思って。大人げないところを見せるのも、大人の余裕やな、と思って嬉しくなったんです(笑)。きっと家に帰って『ああ、やってもうた』と反省するんやろうけど、いいじゃないですか。オレもあんなピュアでメンドクサイ60代になろう、って思いました」曲作りは年齢とともに変わるのだろうか。トータスさんの作品に共通する、ああこの感じ、という“らしさ”は変わらない気もする。「曲はね、割とすぐに書けるんです。でもすごい1曲と普通の10曲ではえらい差や、と思う。このままだと普通の曲ばかりになりそうなので、すごい曲を書きたいと、ずっとあがいていますね。自分にしかできない日本のポップスとか、ブルース、ロックがまだまだある気がしていて。いろんなことで刺激されながら、新しいな、と思われるものを作りたい。でも音楽そのものから何かをもらうのではなく、いろんな表現からこっちに来るものを取り入れています。最近、宮﨑駿さんのドキュメントを観て、70代が苦悩しながら新しいものを生み出す姿に感動し、よっしゃまだ20年ある、まだまだ行けんなーって元気出ましたね」来年ウルフルズはデビュー25周年を迎える。記念盤はベスト盤でなく、まっさらの新作を出すそう。「節目の年ではあるけど、正直言って、今はイマイチ、ピンときてないんですよね。昔、RCサクセションの35周年ライブに出させてもらったんですけど、清志郎さんは『今がいちばんいいんだから、周年イベントとかやりたくない』と言われてて、当時はなんでー、スゴイことじゃないですか、と思ってたんやけど、今ならその気持ちがすごい分かる。何年だろうが関係ない、それがどうした、って感じがありますね、うん」◇とーたす・まつもとウルフルズのボーカルとして1992年にデビュー。来年デビュー25周年記念のオリジナルアルバムをリリース予定。ソロワークとしては主題歌と初めて劇中音楽を手がけたオムニバス映画『アニバーサリー』が公開中。※『anan』2016年11月16日号より。写真・野呂知功(TRIVAL)スタイリスト・堀井香苗ヘア&メイク・田中大作田中ヒロ子インタビュー、文・北條尚子
2016年11月14日3月24日(木)、NHK局内で創作テレビドラマ大賞「川獺」試写会が行われ、俳優の堀井新太、勝村政信、山下真和(脚本)、伊勢田雅也(演出)、陸田元一(制作統括)が出席した。「創作テレビドラマ大賞」とは、日本放送作家協会とNHKが共催するテレビドラマのオリジナル台本を対象としたコンクールで、毎年、大賞受賞作品がドラマ化される。第39回、応募総数881編から選ばれた山下さんによる本作は、絶滅したはずのニホンカワウソを発見したと嘘をつき、世間を騒がせた父・明憲と距離を置く息子・保が、ふとしたきっかけで父の行動や生き方を理解し、新たな一歩を踏み出していくさまを描いたヒューマンドラマ。ドラマ初主演で保役を演じた堀井さんは、「脚本を読んで、いまこの世の中に伝えるべき作品と思ったし、山下さんのデビュー作ということで、絶対に良い作品にしなければと思いました」と吐露。勝村さんや高岡早紀らベテラン俳優との共演にも刺激を受けた堀井さんは、「今後は嘘をつかないお芝居をしていきたい。観た人が『本当に役に入っているな』と思うような真に訴える表現をして、皆さんに伝えていきたい」とキッパリ。さらに、主役として長く現場にいることで様々な人に支えられていることを実感したそうで、「これからも感謝の気持ちを忘れずに取り組んでいきたい」と決意を表した。一方の明憲役の勝村さんは、高知弁の難しさが印象に残ったそうで、長いカットシーンでは地元のエキストラから「う~ん…惜しい」とダメ出しされたことを明かし、「先生がたくさんいたので、怖い反面助かりました」と打ち明ける。また、堀井さんについては「目がキレイ。僕もたしかこんな目をしていた時があった」と冗談を交えつつ、「これからが楽しみな俳優」と称賛し、堀井さんを喜ばせた。そんな二人が真摯に取り組んで仕上がった本作。山下さんは「今日見て泣きました。大きな愛を含んだ深い良い話になったと実感しました」と手放しで喜んだ。創作テレビドラマ大賞「川獺」は3月29日(火)22時~NHK総合にて放送。(鶴見菜美子)
2016年03月24日「女の子と付き合うなら自分でリードしたいタイプですね」。強気の表情でそう語るのは若手俳優集団「D-BOYS」の堀井新太。半年ほど前に20歳の誕生日を迎えたばかり。仕事や自らについて、プロ意識の高さや大人としての責任感を感じさせる口調で語りつつ、時折のぞくヤンチャな表情、いたずらっぽい笑みが印象的だ。現在、BeeTVにおいて配信中のネットドラマ「ハイスクールドライブ~目が覚めたら高校生だった~」でドラマ初主演を果たした。近年、ネット配信ドラマをステップに多くの若手俳優がスターダムの道を歩んでいるが、堀井さんもその期待を背負う有望株。そんな彼が俳優としての野望から恋愛観までたっぷりと語ってくれた。高校時代、モテるのはクールなタイプだったけど…“学園潜入型恋愛ドラマ”と銘打たれた本作。瑞々しい青春を送る主人公の高校生の身体になぜか光浦靖子(オアシズ)演じる30代後半女性の意識が入り込んでしまうのだが、彼女はしゃべることも手足を動かすこともできない。何もできないままただひたすら若者の言動に驚き、怒り、リアルなツッコミを入れていくというこれまでにない目線とスタイルで物語が進行する。堀井さんが演じた主人公・蒼太はモテモテのバスケ部キャプテン。「最初は明るい男をイメージして、素の僕自身に近い男として演じようと思っていた」と堀井さん。だがメガホンをとった瀬田なつき監督(『嘘つきみーちゃんと壊れたまーちゃん』)からは「もっと感情を押し殺して」と正反対の性格を求められた。「脚本の柴崎(竜人)さんにも『不機嫌な二枚目をイメージして書いた。バスケをやってるし、『スラムダンク』の流川(楓)のような役として演じてほしい」と言われました。リハーサルで芝居を組み立てていくときに考えたのは高校時代のこと。モテる奴って確かにクールなタイプだったなと。好かれようとする奴ほどモテないんですよ(笑)。裏表が見えないような男の方が魅力的に映るのかな?と。ある意味でひねくれた男でもあるし、素直じゃない奴として演じるようにしました」。堀井さん自身は「蒼太とは正反対で思ったことをすぐに口に出すし、面白ければすぐ笑うタイプ」とのことで、蒼太と似ていると感じた部分はほとんどなかったという。「あえて挙げるなら…部活(※堀井さん自身は軟式野球部で活躍)に関しては、僕も大会前にはすごく熱くなってました。でも実際に部活シーンを演じてみてもやっぱり違うんですよね。蒼太はキャプテンという立場にあることも関係しているかもしれないけど、自分が部活に打ち込んでた頃を思い出してもやっぱりちょっと違うなと」。自身と違うタイプだからこその蒼太に対する憧れは?可愛らしい同級生の彼女にあんなに愛されながらも冷たくあしらう姿には劇中の光浦さんならずとも「おいっ!」と突っ込みたくもなるが…。「憧れはありますよ。蒼太は友人に対してもそっけないところがあるけど、不思議と人が集まってくる。それは“何か”を持ってるんでしょうね。ムカつく気持ちももちろんありました。自分でやりながら『最低な野郎だな』って思ってましたから(笑)。自分で自分がそっけないということすら意識してないんでしょうね。ただ演じながら蒼太の本当の考えが徐々に分かっていくところはありましたね」。物語が進む中で、部活の指導に訪れていた年上の女性に蒼太がほのかな想いを抱いていることが明らかになる。堀井さん自身、年上の女性は恋愛の対象か?と尋ねると「高校時代は考えられなかったけど、いまならアリですね」という答えが返ってきた。「いまなら」の理由は冒頭でも紹介した「自分が主導権を握りたい」という思いにある。「例えば僕が高校生で自転車しか持ってなくて、年上の彼女に『前の彼氏は車だったけど』なんて言われたら惨めで耐えられないです(苦笑)。食事するにも定食屋しか行けないのに、『イタリアンが…』なんて言われたら悲しい!いまは自分で仕事もしてるし、免許もあるし(笑)、年上の女性でもグイグイ自分でリードしますね」。「意識はしてないけど、普通の自分のノリでいると本当に弟みたいに」「D-BOYS」では下から2番目、スペシャルユニットの「D☆DATE」では最年少ということで“弟分”“末っ子キャラ”として見られがちだが、実生活では長男。恋愛観からもうかがえるが積極的に攻めていく性格だと自らを分析する。「実は先輩にゴチャゴチャ言われるのが一番嫌なタイプです。でも「D-DATE」の先輩方は本当にすごい人ばかりなので大人しく言うこと聞いてます(笑)。そうしたら『お前、弟みたいだな』と言われるようになって…。高校の先輩・後輩の関係よりも年が離れている分、実際にお兄様方は静かだし大人なんです。意識はしてないけど、ごく普通の自分のノリでいると本当に弟みたいな感じなんですよね」。そうやって学生時代とは違った立ち位置で先輩を見ながら仕事に打ち込む中で意識も変わってきた。「仕事を自分一人でやってるものだと思わなくなりましたね。少しずつ周りを見られるようになり、連帯感を大切にするようになりました。部活でも最初は自分がレギュラーを獲るのにとにかく必死だったのが、少しずつチームが勝つためにということを考えるようになったけど、それと同じかな。作品に携わったとき、どうすればより良い作品になるかというのを常に意識するようになりましたね」。様々な作品に出演する中で“役者”という仕事への思い、カメラの前や舞台上こそが自分の主戦場だという意識も固まってきたという。「僕自身、映画やドラマを観終わったときに『あぁ現実に戻った』と感じられる作品、ジブリの映画のように終わるのが寂しいと思えるような作品が好きなんです。だから自分もそういう作品に関わりたい。好きな監督は三池崇史監督と三谷幸喜監督。もしも、おふたりの作品に自分が入ったらどうなるのか?どんな芝居ができるのか?と考えるとワクワクします」。20代も視界良好といったところだが、最後にプライベートでの現在の目標を聞いてみた。「いまだにパソコンを持ってないので、21歳までに普通に扱えるようになりたいです。自分の歌さえどうやってダウンロードするのか知らないので(苦笑)。現代っ子らしくない?下町育ちで『靴は下駄でいい』ってタイプですから(笑)。頑張って自分でコンテンツを作れるようになりたいですね!」。(photo/text:Naoki Kurozu)特集「年下のカレ」カーディガン(MORGAN HOMME/プリマクレール・アタッシュプレス)シューズ(MORGAN HOMME/プリマクレール・アタッシュプレス)
2012年12月10日