幼い頃から、いわゆる“女らしさ、男らしさ”はよくわからなかった。まわりから見たらセーラームーンとウルトラマンのどちらも好きで、周囲の反応からは女の子ともよく遊ぶ“ちょっと変な子”。高校生のときには、社会や環境のせいで好き同士だった人と一緒に居続けられないという苦しさと理不尽さを味わう。それらと闘うなかで、自身がゲイだとカミングアウトし始める。大学に入ってからは、そうした原体験を経て自主的に動き出した。そして、現在は企業向けLGBT研修やLGBTメディアを運営しているLetibee取締役の外山雄太氏。今回Be inspired!は、新しいLGBTカルチャーを作ろうと挑戦するミレニアル世代の視点から彼にインタビューを行なった。日本でも聞こえるようになった、“LGBT”というワード。そうした呼称にはいろいろなものがあるという。「LGBTs」(レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダーとその他のセクシュアル・ジェンダーアイデンティティ)や「LGBTQIA」(前者にクィアとインターセックス、アライを足したもの)などの呼称だ。果たして、どんな呼び方が最適なのだろうか?外山氏は、マイノリティという捉え方ではなく「性」が多様だということを表す「SOGI(ソギやソジと読む)」という呼び方があることを紹介してくれた。“LGBTって結局、LとGとBとTがあってそれ以外にもたくさん性のあり方ってあって、なんかいろいろAとかQとか入れていってきているけど、どんどん長くなっていってきちゃって、でも「SOGI」っていうのはSOがsexual orientation(性的指向)、GIがgender identity(性自認、性的嗜好)を意味していてそれぞれに多様性があるよねっていうインクルーシブな感じになっていていいですね。”外山氏が運営するLetibeeのホームページでは表記をLGBTで統一している。間違いがあったり他の人権を損害することはあったりしてはいけないが、「LGBT」というキーワードで検索する人が多いことを考慮しているのだそうだ。「新宿二丁目」や「出会い系アプリ」とは違う、“コミュニティを作れる場所”ゲイという切り口なら、「新宿二丁目」のような“居場所”や「出会い系アプリ」があることで生きやすくなってきている。けれども“二丁目”のようなディープな雰囲気の漂う夜の町が苦手な人や未成年者にはハードルが高く、掲示板で顔の見えない人たちと交流するとなると、アンダーグラウンド、さらには“エロ”にアクセスすることにもなる。したがって、“出会いの場所”ではなく“コミュニティが作れる場所”が、どこかのタイミングで必要なのだ。“出会い系に頼ってしまうと、どうしても一対一の出会いだけになっちゃうので、それって結局誰かに相談したいというとき彼のことをわかっている友人がいないということもあるし、なんか不誠実な話になりますけど、この人との関係を切ろうと思えば、すぐに切れちゃうんですよね。でもそういう“インスタントな関係”じゃなくて、コミュニティ発信の日常生活のなかでの出会いが、コミュニティのベースになっていくと思うんです。職場とか学校とかサークルとか部活とかまあオフ会とか、人として相手と接していくうえで第三者の人がいるっていうのはやっぱりコミュニティの良さだと思います”アジア発信のLGBTカルチャーをアジアのLGBTカルチャーのリーディングカントリーとして動き始めている台湾では、同性婚の審議やアジア最大のプライドパレードが行なわれている。これに日本も続いていけるのだろうか?外山氏は「アジア固有の歴史があるなか、このタイミングの時代に他国のトレンド取り入れる以外にできることは何なのか、考えを進めていくべき」と分析している。“宗教観や道徳観など、欧米諸国と日本やアジアでは違う。結局(他国のトレンドを)入れればいいというものじゃないので、日本人がどうやったら咀嚼できるのか、全く関係のない人たちがどうやったら彼らが生きている価値観のなかで「それだったらLGBTとか同性婚とかだからそういうサポートって必要だよね」ってなっていくかには、日本なりの別のアプローチが必要なんじゃないかと思います。”インタビューのなかで「僕がこうやって取材を受けたり、ストレート(異性愛者)の友達と『あの人イケメンじゃない?』『え、趣味悪くない?』みたいな話をできたりっていうのはすごく幸せなことで、そういうのが少しずつ当たり前になってきているんですよね」と話していた外山氏。ミレニアルズとしての新しい感覚を持つ彼こそが、アートやカルチャーという“ソフトパワー”で「日本発LGBTカルチャー」を引っ張っていくに違いない。私たちミレニアルズは、そのような多様性が認められる社会を作っていけるはずだ。株式会社Letibee(レティビー):撮影協力:factory(ファクトリー)〒150-0002 東京都渋谷区渋谷2-8-7 青山宮野ビル1FTel:03-6419-7739Website:
2016年12月28日2007年のデビュー以来、多くの聴衆を魅了しているピアニスト外山啓介が8月、10年連続となるリサイタルを開く。節目にふさわしい思い入れの深い選曲となった。【チケット情報はこちら】「今回、最初に弾くことを決めたリストのバラード第2番は、高校生のころ出会った曲です。僕が通っていたのは普通高校で、将来の進路に音楽大学を選ぶ生徒も僕が初めてだったので、周囲から理解を得られなくて。それまではピアノがただただ好きで、ピアニストになることを疑っていなかったのですが、初めて無理かもしれないと悩み、練習も手につかなくなってしまい、本当に諦めかけてしまった、そんな時にこの曲を聴き、“こんな曲を弾きたい。ピアノを続けたい”と強く思ったんです。リストの初期作品と違って、バラードは派手ながらもさほど技巧に走っておらず、時を経て本当に作りたい音楽に行き着いたのではないかと感じます。去年はこの曲を美智子皇后にも聴いていただいたし、今回も多くの方にお聴かせできる。10数年前の自分に教えてあげたいですね!」リスト曲ではこのほか、「音が飛ぶし連打もあるしオクターブも続くけれど、なによりテーマが変化した時にどういうキャラクターなのか、その本質をしっかり伝えたい」という『ラ・カンパネラ』、「とくに有名な3番は起承転結があり、きれいな二重奏になったりリストらしい技巧もあったりと、よくできていると実感する」という『愛の夢』3曲を演奏する。そして、外山が今回初めて取り上げるのが、ベートーヴェンのピアノ・ソナタ第17番『テンペスト』だ。「昔はベートーヴェンに苦手意識を持っていましたが、大人になって感じるのは、楽器が変わっていく時代に、音楽の素晴らしさを誰よりも伝え、ロマン派に渡した作曲家だということ。彼のソナタは年に1回でも本番に出し、死ぬまでに全曲を演奏したいと考えています。なかでも『テンペスト』は音楽の美しさが素朴に実直に表れた作品で、僕自身の音楽への思いとも重なります」リストのバラード第2番とベートーヴェンの『テンペスト』をともに「つかみどころがないようで、芯が通っている」とする外山。テンペストとは「嵐」の意だが、バラードにも「嵐のように」と指示のついた箇所があり、共通するものを感じるという。作曲家達が若いころとは違う魅力を楽譜に注ぎ始めた時期のこれらの曲が、32歳の外山の手でどのような演奏となるか、必聴だ。インタビュー中、ほかの演奏家の名前を次々に上げ、目を輝かせながらその素晴らしさや感動を説いた外山。音楽を無心に愛する者の姿が、そこには垣間見えた。おっとりとした物腰だが「ピアノを弾いている時の性格はものすごくキツいと思います。多分、それが本当の自分ですね」と笑う。「ピアノに苦しめられもするけれど、ピアノが救ってくれる。そこに真っ直ぐに向き合い、奇をてらわずシンプルにきちんと弾くピアニストになっていきたいです」■<外山啓介ピアノ・リサイタル>~ベートーヴェン&リスト~8月7日(日)サントリーホール大ホール (東京都)取材・文:高橋彩子
2016年07月22日日本セクシャルマイノリティ協会(一般社団法人 日本同性愛者協会)は2月9日~15日、写真家 青山裕企の写真と、同性愛者の気持ちを表すコトバによる展覧会を開催する。○同性愛者の「写真」と、その気持ちを表す「コトバ」の展覧会同展覧会は、「さまざまな"好き"のカタチを世の中に発信していくことで、同性愛者への理解を促し"一人ひとりみんなちがう"ことを認め合うきっかけになれば…」という思いから開催されるもので、同性愛者の「写真」とともに、その気持ちを表す「コトバ」が展示されるという。開催にあたっては、クラウドファンディングサイトGREEN FUNDINGでお金を募り、クラウドファンディングを開始しただけで、数万人の人に拡散されたほか、Yahoo! パートナーも後援につくなど、多くの人の力で実現したとのことだ。開催日時は2月9日~15日、12時~19時。会場はフォトギャラリー Place M (東京都・新宿区)で、入場無料。詳細は、「"好き"に変はない展」の特設サイトから。○バレンタインの夜に、トークイベント開催期間中、2月14日バレンタインの夜(19時~)には、「写真家 青山裕企」「レズビアンタレント 一ノ瀬文香」「ゲイ社長 Letibee 外山雄太」が、それぞれの視点から"好きに変はない"について語るトークイベントが開催される。事前予約制で、参加費900円。
2015年02月06日