何かと理由をつけて、親戚が集まることの多い義実家。そのたびに私もお手伝い係として駆り出され、子どもたちを連れて出かけます。そんな中で、私がしてしまった失敗。義母と親戚が私の失敗を取り上げて責め立ててきました。そんなとき私を救ったのは……。親戚の集まりで痛恨の失敗……!「親戚が集まるから、お弁当注文しておいて」と言われたのは、集まりがある日の前日でした。しかし、頼まれたその日は忙しく、わが家のことだけでいっぱいいっぱい。返事だけして、すっかりお弁当の注文を忘れてしまっていました。 集まりの当日、義実家に手伝いに行くと「お弁当は?」と言われ、そのときにやっと「あっ! 忘れた!」と気づいた私。「すみません! 今すぐ買ってきます! 」と慌てて予定とは違うお弁当屋さんに子どもたちとともに行き、人数分のお弁当を両手にかかえて義実家に戻りました。 私の失敗をみんなの前で笑う義母何とか集まりに間に合いホッとしつつ、集まった親戚の対応をしていると、義母が「今日は本当は○○屋さんのお弁当を買ってくるつもりだったのよ」とわざわざ言いました。続けて「でもね、お嫁さんが忘れてて、さっき慌てて買いに行かせたのよ。ごめんなさいねー、まったく」とケラケラ笑うのです。 私は「忘れた私も悪いけれど、何とかなったのだから言わなくてもいいのに」と心の中で思いつつも、「すみません、忘れちゃってて……」と謝りました。そんな私に親戚たちは「もっとしっかりやるんだよ」「ボーっとしちゃって、まあ」と義母側の発言を口にしました。 親戚を黙らせた娘の言葉なじるような義母や親戚の言葉にイライラしながらも「気をつけますね」と受け答えしていると、遠くで遊んでいた娘が私のそばにやってきました。そして私に向かって「いいんだよ。まちがってもいいんだよ。誰でも失敗するんだから」と私をなでなで。そして親戚に向かって「まずはお弁当買ってきてくれてありがとうだよね?」と促すように言いました。 娘のまっすぐな視線に、気まずそうにする義母と親戚たち。1人の親戚が「嫁ちゃんの子どもはいい子だね!」と取り繕うように言い、「さ、食べよう食べよう」と親戚たちはそそくさと逃げていきました。娘の言い方は、私がたまに娘にする言い方そのもの。義母や親戚に責められている私を見て、「自分が言わなければ」と思った娘をとても誇らしく思いました。 義母や親戚が感謝や謝罪の言葉を口にすることはありませんでしたが、娘が私のために行動してくれたことで心が救われました。娘には「ありがとう」と、思い切りハグ。私は人の失敗を責める義母や親戚とこれから付き合っていくことに一抹の不安を感じつつも、娘が芯をもって成長してくれていることをうれしく思いました。 ベビーカレンダーでは、赤ちゃん時代を卒業して自己主張を始めた2~6歳までの子どもの力を伸ばし、親子の生活がもっと楽しくなる【キッズライフ記事】を強化配信中。今よりもっと笑顔が増えてハッピーな毎日になりますように! 著者:山口花田舎で1女1男を育てる母。コーチングの資格を子育てに生かしながら日々奮闘中。主に妊娠・出産・教育の記事を執筆している。
2024年03月04日接客業の業務内容は、接客だけではありません。職場や立場によって異なるものの、品出しや在庫管理といった、客とのコミュニケーション以外の作業もこなす必要があるのです。プレゼント用のラッピングサービスも、店員が行っていることがほとんど。接客の合間に、包装紙や袋を使って品物を美しく包みます。ラッピングをするということは、大切な人への贈り物として手渡されるはず。素敵な思い出になるよう、店員は頑張ってラッピングをしているのです。一升瓶のプレゼント用ラッピングを頼まれた店員スーパーマーケット(以下、スーパー)で働いている、あとみ(yumekomanga)さん。ある日、まだラッピング作業に不慣れなアルバイトの頼みで、一升瓶を包装することになったといいます。現在のスーパーだけでなく、ほかの職場でもラッピング作業を経験してきた、あとみさん。「ここは『ベテラン』の腕の見せどころ…!」と思い、気合を入れて難易度の高いラッピングに挑みました。しかし、『ベテラン』レベルでも、一升瓶を包装紙でラッピングするのは困難な模様。アルバイトの前でやり直しになり、その上、待っている客にも正直に伝えられてしまったのでした…!店員側の努力と苦労が伝わってくる、あとみさんのエピソード。漫画を読んだ接客業経験者からは、共感の声が続々と上がりました。・正直すぎるアルバイトちゃんに吹いた。・以前、スイカを包んでほしいといわれてビックリしたなあ。・接客業経験者だからめっちゃ分かる!自分も何度も失敗しました…。特殊な形状をした、一升瓶。包装紙を使ったラッピングがどれだけ難しいかは、きっと誰もが想像できるはず。包装紙でラッピングされた一升瓶を受け取って、依頼をした客は『プロの技』に見惚れたことでしょう![文・構成/grape編集部]
2023年08月20日皆さんは、お弁当作りに失敗したことはありますか?今回は、子どものお弁当エピソードを漫画で紹介します。イラスト:えりこラモーン子どものお弁当作り失敗した卵焼きが!?子どもに激怒!失敗したらまたネタにされる…失敗した料理の写真を、子どもがSNSに投稿してしまうとは…。女性としては、複雑な気持ちになってしまいますね。今後のお弁当作りで、プレッシャーを感じてしまうことになりそうです…。※こちらは実際に募集したエピソードをもとに記事化しています。
2023年07月26日皆さんは、お弁当作りで意識していることはありますか?今回は、お弁当作りでの失敗エピソードを漫画で紹介します。イラスト:西谷まみ子どものお弁当作り手作り感を出すために…ハンバーグは黒焦げに…子どももお怒り!?ひと工夫が、まさか逆効果になってしまうなんて…。今回の失敗を糧に、次は効率よくお弁当が作れるといいですね!※こちらは実際に募集したエピソードをもとに記事化しています。
2023年07月13日恋愛で「あー、失敗したな」と思ったことはありますか?人間関係には正解がない以上、失敗をゼロにするというのはほぼ不可能です。しかし、ほかの人の失敗談を聞いておけば、未然に防ぐことができるかもしれません。そこで今回は、女性に「恋愛で失敗したエピソード」を聞いてきました。条件だけで相手を選んで…「私はお金持ちの人と付き合いたくて、合コンにいた開業医に猛アピールしました。結果、付き合うことはできたのですが、性格が合わずすぐに破局。もっと考えて付き合うべきでしたね」(29歳女性/看護師)パートナーを選ぶときに、客観的に分かる条件を優先する女性も多いですよね。収入や身長、学歴に社会的地位、恋愛経験の有無から年齢まで、さまざまな条件が考えられます。しかし、あまりにも条件にこだわりすぎてしまうと、うまく人間関係が築けないまま終わってしまうかもしれません。張り切りすぎて…「付き合ってまだ2週間しか経っていないのに、彼の誕生日に手作りのアルバムを渡したことがあります。まだ2人で撮った写真が少ないので、アルバムには私の写真がたくさん……。思い返すと恥ずかしくなりますね」(28歳女性/ネイリスト)付き合ったばかりのころは、なにかと張り切ってしまう人もいると思います。頑張る女性は素敵ですが、熱量の差から彼に距離を置かれる可能性も。その努力は、もっと大切な日にとっておいた方がいいかもしれませんね。焦りすぎて…「結婚願望が強かったので、付き合って初のお家デートの際に、結婚情報誌を見えるように置いておきました。それから1週間後『プレッシャーに耐えきれない』とフラれてしまいました……」(30歳女性/歯科衛生士)結婚を焦りすぎて失敗するのもよくあるパターンです。男性は「結婚」という言葉を目の当たりにすると、プレッシャーを抱いてしまう場合が多いんだとか。お互いの意識を共有できるまでは、結婚の話題を控えめにするのがおすすめです。失敗を恐れないで!もし失敗してしまったなと思っても、そこで恋愛を諦めるのはもったいないです。失敗を糧にして改善していけば、きっといつかはうまくいきます。思うようにいかなくても焦らず、また失敗を恐れず、どんどん前に進んでいきましょう。(愛カツ編集部)
2023年03月10日何かと理由をつけて、親戚が集まることの多い義実家。そのたびに私もお手伝い係として駆り出され、子どもたちを連れて出かけます。そんな中で、私がしてしまった失敗。義母と親戚が私の失敗を取り上げて責め立ててきました。そんなとき私を救ったのは……。親戚の集まりで痛恨の失敗……!「親戚が集まるから、お弁当注文しておいて」と言われたのは、集まりがある日の前日でした。しかし、頼まれたその日は忙しく、わが家のことだけでいっぱいいっぱい。返事だけして、すっかりお弁当の注文を忘れてしまっていました。 集まりの当日、義実家に手伝いに行くと「お弁当は?」と言われ、そのときにやっと「あっ! 忘れた!」と気づいた私。「すみません! 今すぐ買ってきます! 」と慌てて予定とは違うお弁当屋さんに子どもたちとともに行き、人数分のお弁当を両手にかかえて義実家に戻りました。 私の失敗をみんなの前で笑う義母何とか集まりに間に合いホッとしつつ、集まった親戚の対応をしていると、義母が「今日は本当は○○屋さんのお弁当を買ってくるつもりだったのよ」とわざわざ言いました。続けて「でもね、お嫁さんが忘れてて、さっき慌てて買いに行かせたのよ。ごめんなさいねー、まったく」とケラケラ笑うのです。 私は「忘れた私も悪いけれど、何とかなったのだから言わなくてもいいのに」と心の中で思いつつも、「すみません、忘れちゃってて……」と謝りました。そんな私に親戚たちは「もっとしっかりやるんだよ」「ボーっとしちゃって、まあ」と義母側の発言を口にしました。 親戚を黙らせた娘の言葉なじるような義母や親戚の言葉にイライラしながらも「気をつけますね」と受け答えしていると、遠くで遊んでいた娘が私のそばにやってきました。そして私に向かって「いいんだよ。まちがってもいいんだよ。誰でも失敗するんだから」と私をなでなで。そして親戚に向かって「まずはお弁当買ってきてくれてありがとうだよね?」と促すように言いました。 娘のまっすぐな視線に、気まずそうにする義母と親戚たち。1人の親戚が「嫁ちゃんの子どもはいい子だね!」と取り繕うように言い、「さ、食べよう食べよう」と親戚たちはそそくさと逃げていきました。娘の言い方は、私がたまに娘にする言い方そのもの。義母や親戚に責められている私を見て、「自分が言わなければ」と思った娘をとても誇らしく思いました。 義母や親戚が感謝や謝罪の言葉を口にすることはありませんでしたが、娘が私のために行動してくれたことで心が救われました。娘には「ありがとう」と、思い切りハグ。私は人の失敗を責める義母や親戚とこれから付き合っていくことに一抹の不安を感じつつも、娘が芯をもって成長してくれていることをうれしく思いました。 ベビーカレンダーでは、赤ちゃん時代を卒業して自己主張を始めた2~6歳までの子どもの力を伸ばし、親子の生活がもっと楽しくなる【キッズライフ記事】を強化配信中。今よりもっと笑顔が増えてハッピーな毎日になりますように! 著者:山口花田舎で1女1男を育てる母。コーチングの資格を子育てに生かしながら日々奮闘中。主に妊娠・出産・教育の記事を執筆している。
2022年12月09日自宅で餃子を作るとき、一番気が重いのが肉ダネ(餡)を皮で包む工程ですね。餃子のタネそのものはチョッパーを使えばラクに出来るけど、あの地味な包むという労力を考えたら冷凍が一番と思いますよね。・冷凍食品の値上げの波が!もちろん冷凍もいいですが、冷凍餃子にも値上げの波が…家族が多いとお腹いっぱいになるには結構な数が必要ですし、手ごろといってもバカになりません。・110円『かんたん餃子』があれば量産できる!そんな悩みを一気に解決する便利なモノを百円ショップのダイソーで発見。とっても評判が良くて売り切れてしまう店が多く、運よくラスト1個をゲットしました。■ダイソー『かんたん餃子』の使い方周りがギザギザになっていてパカッと折りたためるようになっています。手のらサイズでなんだかかわいい…。・皮のサイズは大判、普通どっちもOKまず皮のサイズはどうなんだろうと思って両方買ってみたのですが、結論からいうとどちらもOKでした。容器に入れられるタネが少量なので、大判の場合は皮のボリューム多めで水餃子に向いているかもしれないです。■ワンツースリーでサクサク出来る!さて、早速作ってみましょう!かんたん餃子の上に皮を乗せて、中央に「肉だね(餡)」を入れます。小さじ一杯強というところでしょうか。多すぎるとはみ出してしまいます。肉ダネが少ない分、数がたくさん作れますね。餃子の皮のフチの部分にグルっと水をつけます。レバーを閉じて軽く押さえて、広げるとキレイな餃子が完成しています!入れては閉じ…を繰り返すと面白いようにどんどん餃子が出来上がっていきます(まだ生ですが)。・15分で30個できた!そんなこんなで15分で30個ほどの餃子があっという間にできました。■子どもでも簡単だから、たくさん作れて経済的何が一番いいかというと、子どもにもラクラクできるから一緒にできて、その分たくさんできるから一石二鳥!2個買っても220円ですから家族分買って、自分の食べたい分だけ作っちゃうなんていうのも楽しいですね。■おすすめは「エビ揚げ餃子」餃子づくりが手軽なら、揚げ餃子もサクッとできちゃいます。プリプリのエビ餃子。アツアツの揚げたてを召し上がれ。冷蔵庫に眠っている冷凍エビを活用しても♪【材料】 ( 2 人分 )餃子の皮20枚むきエビ50g豚ひき肉50gニラ1/4束 しょうゆ小さじ1 オイスターソース小さじ1 顆粒チキンスープの素少々 ゴマ油小さじ1揚げ油適量【作り方】1、むきエビ、ニラは細かく刻む。2、ボウルで(1)、豚ひき肉、<調味料>の材料をよく混ぜ合わせる。3、餃子の皮を手にとり、(2)を中央にのせ、皮のフチに水を薄くぬり、餃子の皮をかぶせてしっかり端を押さえる。4、180℃の揚げ油でカラっと揚げる。家族みんなで作って、食べたいだけ食べましょう!「かんたん餃子」があれば、作り置き分の冷凍餃子もまとめて作れちゃいますよ。
2022年11月15日私は子どもを4人育ててきて、何度もママ友付き合いが面倒だと思うことがありました。そんなときは「ママ友はいらない」と消極的になりましたが、さまざまな失敗を経験したことで、今は適度で良好なママ友関係を築くことができています。 合わないと感じたら無理に付き合わない第一子出産後は近くに友人がおらず、私はとにかくママ友が欲しいと思っていました。産院が一緒というだけで積極的に友人になり、まだ幼い子どもを連れて遊びに行くこともありました。 初めて一緒に外出した先では習慣の違いからか違和感を覚え、「楽しくないな」と思う瞬間も。それでも「お友だちだから……」と無理に合わせていましたが、帰宅してグッタリしてしまいました。自分と合わないと感じたら、無理に付き合わない決断も大切だと感じました。 ママ友との関係は対等に!以前の私は誰かに甘えるということができず、ママ友関係を負担に感じることもありました。たとえば、自分の子どもが多いにもかかわらずお友だちの子どもを預かり、昼食を作ってご馳走したりするなど、自分に負担があることを自分から引き受けてたように思います。 そのときは感謝され、達成感もあって楽しかったのですが、夕方にはグッタリです。第4子が生まれようやくお友だちのご厚意に甘えることができるようになってからは、「困ったときはお互いさま」を合言葉にすることで、いい関係が続いています。 信頼できるママ友とうれしい関係また、実家から食べきれないほど、特産品を送ってもらったときには、近所のママ友におすそ分けをしています。以前は「あげたら迷惑かな?」と下手に遠慮していたのですが、思い切って信頼できるママ友に聞いたところ、「もらえたらうれしい!」という反応だったので、おすそ分けをすることにしました。 今ではご近所に信頼できるママ友が数名いるので、お互いにおすそ分けしたり、いただいたりと、持ちつ持たれつなうれしい関係が続いています。 保育園や幼稚園などに通うと、どうしても苦手なママもいますが、私の場合、苦手だと感じるママとの関係はあいさつ程度にとどめ、無理に付き合わないほうがベターでした。無理をせず、自然と仲良くなったママ友と付き合うことで精神的にラクになったので、これからも自分の負担がかからないように、ママ友付き合いを続けていければと思います。 監修/助産師REIKOイラストレーター/星田つまみ著者:武山あゆみ三男一女の母。ワンオペ育児に奮闘するかたわら、自身の体験をもとに妊娠・出産・子育てに関する体験談を中心に執筆中。
2022年10月27日「『私、失敗しないので』というのはドラマの世界の話。人間は誰しも失敗します。私は認知症の母の介護でいくつも失敗をしました。母には心の底から謝罪したい」そう語るのは、医師の森田豊先生。森田先生は、人気ドラマ『Doctor-X~外科医・大門未知子~』(テレビ朝日系)の医療監修を担当。米倉涼子演じる主人公の決めゼリフ「私、失敗しないので」には、命に関わる現場では失敗は許されない、という思いが込められている。しかし、現実は違った。森田先生は、現在介護施設で過ごす母(94)の認知症のシグナルに気づいていたのに、手を打つのが遅れてしまったのだという。その後悔や反省を新著『医者の僕が認知症の母と過ごす23年間のこと』(自由国民社)にしたためた。知的でおしゃれが大好きな母の異変に気づいたのは、アメリカに留学していた森田先生が妻子を伴い帰国した後。再び二世帯同居を始めた90年代後半のことだった。「帰国してしばらくすると、母は体の不調を訴えてきました。最初は『口が痛い』『胸がざわざわする』などで、その都度病院にかかりましたが、異常はなし。おしゃれに無頓着になり、外食にも行きたくないと言うので、うつ病を疑い心療内科の受診を勧めましたが、原因は特定されませんでした」(森田先生・以下同)森田先生が渡米していた当時、父は仕事のため不在がちで、母は一人で過ごす時間が増えていた。そのことが原因でうつ病を招いてしまったのではないかと考えたのだ。いま振り返れば、母を一人にさせてしまったことも、失敗の一つだったという。やがて物忘れの症状も出始めた。’06年11月には「振り込め詐欺」の被害に遭い、200万円を振り込んでしまった。「そのころからトラブルが急に増えていきました。外出先から一人で帰れなくなったり、食事を済ませたのに『まだ食べていない』と言い出したり。大量にバナナを買ってきて冷蔵庫に入れるなど、認知症かもしれないという行動もあったのですが、母が認知症の検査を嫌がっていたこともあり、強くは勧められなかったのです……」受診を先延ばしにしているうち、少しずつ認知症は進行していた。カレーを温めようと鍋を火にかけたのを忘れてボヤ騒ぎを起こしたときに、「このままでは周囲の人を巻き込んでしまうかもしれない」と危機感を抱いた森田先生は、ついに母の説得を試みる。「『僕のために検査を受けてほしい』と必死に頼み込みました。ようやく母が納得し、2度目のMRIの検査を受けたところ、海馬の萎縮が認められ、アルツハイマー型認知症の診断が出ました」治療を開始したときには、最初の異変に気がついてから7年が経っていた。「もしあのときに強く治療を勧めていたら……」と、いまでも思うことがあるという。次に待ち受けていた関門は「介護サービスを受ける」こと。デイサービスに送り出す際、何度も「そんなところに行きたくない」と拒まれたが「お母さんの健康を維持するため」とまたも頼み込んだ。「施設ではスタッフさんたちがレクリエーションをやるよう上手に気持ちを向かせてくれたので、やがてデイサービス通いも嫌がらなくなりました。その後、腎盂腎炎を起こして入院したのをきっかけに、介護施設に入ってもらいました。最初は『帰りたい』と言っていましたが、段々と生活が落ち着いてくると、体調もよくなり、性格も穏やかになってきて、昔の母が戻ってきたのです。おしゃれにも気を使い、みんなの輪の中心にいて楽しそうに笑っている母の姿を見ていると、もっと早く治療を始めていれば、より質の高い生活ができていたのでは、と反省しました」森田先生は自身の経験にもとづき、次のように語る。「もう一つの後悔は、母が身の回りの世話を私や妻が行うのを拒んでいたのを理由にして、姉に頼りすぎてしまったこと。姉が涙を流すほどつらい思いをしていたことを長い間知らなかったのです。介護のキーパーソン一人に責任を背負わせないで、負担やつらさを分担することがとても大切です。一人で介護をされている方も、つらいと思ったら介護スタッフや自治体の相談窓口を活用してほしい。何かを判断するときも、一人で判断せず、何人かで共有して結論を出すと、失敗や後悔を防ぐことにつながると思います」誰もがいつ直面してもおかしくない認知症という病いは、大切な人が発するシグナルを身近な人がいかに見落とさないかが肝要となるーー。
2022年08月18日あなたのお子さまは、失敗を怖がっていませんか?「幼少期に “失敗力” をつけるべき」と話すのは、著書に『成功したいなら「失敗力」を育てなさい』がある、教育ジャーナリスト・中曽根陽子氏です。中曽根氏によると、失敗力とは「失敗を恐れず挑戦する力」「失敗にくじけない力」のこと。今回は、この「失敗力」について考えていきます。失敗を過度に恐れる若者が増えている失敗を過度に恐れるあまり「マニュアル依存」や「指示待ち傾向」が強まっていると、日本の若者たちに危機感を抱いているのは、『伸びる子どもは○○がすごい』著者で心理学者の榎本博明氏です。榎本氏が調査したところによると、若者が失敗を恐れる理由は以下のようなものでした。先生の指示に従って動けば間違いないし、勝手に動いて叱られるのは嫌なので、自分たちは失敗しないように先生のサポートに頼るようになったのではないか。言われた通りにやっていればうまくいくのなら、あえて自分からチャレンジする必要もないし。(引用元:榎本博明(2019),『伸びる子どもは○○がすごい』, 日本経済新聞出版.)では、いつから若者は失敗を恐れるようになってしまったのでしょう。どうやら、その原因は彼らの幼少期にあるようです。榎本氏は著書のなかで、その主な原因をふたつ挙げています。【原因1】親の過剰なサポートが子どもから失敗経験を奪っている思考錯誤する時間を与えず、親が先回りして指示やアドバイスをしてしまうため、子どもは失敗経験を積むことができない。【原因2】「失敗による挫折感を与えない教育法」が推奨されている子どもたちが失敗して傷つくことを防ぐために、学校や塾では懇切丁寧な指導が行なわれている。また、子どもがポジティブな気分になるような言葉がけが多い。つまり、親だけでなく学校や塾の先生までもが、子どもが失敗しないようにと “過保護な環境” をつくり出しているというのです。その結果、「失敗経験が乏しく、失敗に対する免疫がないため、いざ失敗すると立ち直れないほどの痛手を負う若者」が増えてしまったとのこと。現代は先の読めない時代です。榎本氏は、そんな予測不可能な時代において、「失敗を恐れていたら前に進むことができない」と断言しています。そこで次項からは、子どもの “失敗力” を育てる方法をご紹介しましょう。「失敗力」を育てる方法&「失敗体験」が必要な理由失敗力はどう育てればいいのか?子どもの頃の失敗体験はなぜ必要なのか?教育の専門家、5人の意見を見てみましょう!■「悪い先回り」ではなく「いい先回り」を!(岩立京子氏)幼児教育・保育の専門家で東京家政大学子ども学部教授の岩立京子氏は、親の「悪い先回り」が子どもから失敗経験を奪っていると言います。「悪い先回り」とは、親があからさまに手出し口出しをすること。親がなんでもかんでも手伝ってしまうと、子どもから「失敗経験」や「学びのチャンス」を奪ってしまうことにーー。また、子どもには子どもなりのプライドがあるのです。そのプライドによって、子どもは親に反発し、やろうとしていたことを途中で投げ出してしまうかもしれません。岩立氏は、親は「いい先回り」をすべきだとしています。「いい先回り」とは、「成功率を上げるお膳立て」のこと。たとえば、料理をお皿に盛りつける手伝いの場合、使いづらい長い菜箸ではなく、子どもでも扱いやすいトングを用意するといったことです。ほかにも、子どもが洗い物をするときは、割れにくいプラスチックの食器を用意したり、床が濡れてもいいようにビニールシートを敷いたりなども、「いい先回り」なのだそう。少し面倒に感じるかもしれませんが、子どもの成長のために「いい先回り」をしたいものですね。「いい先回り」について、もっと詳しく!↓↓↓『子どもの失敗の機会を奪う「悪い先回り」を今すぐやめて、「いい先回り」をするための工夫とは?』■子どもに失敗をさせまいとするのは、親が安心したいだけ(中曽根陽子氏)「子どもに失敗させまいとするのは、親が “安心したい” だけ」ーーそう言いきるのは、前出の中曽根氏。変化が著しい時代社会では、「学歴をつけておけばいい」「〇〇をやらせておけばいい」といった安全策が見つからないため、親自身が不安で仕方がないのだと中曽根氏は言います。しかし、わが子が “失敗さえしなければ” 、「私の子育てや家庭教育はうまくいっている!」と、親は安心することができるのです。けれど、まったく失敗を経験しないまま大人になってしまった人間は、ちょっとした困難にぶつかっただけでも挫折してしまいます。困難にぶつかって一度は落ち込んだとしても、そこから学び、再びその困難に立ち向かうようなたくましさは、失敗を乗り越える経験からしか学ぶことができません。中曽根氏は、「親元にいるときの子どもの失敗なんて、大人から見ればたいしたことではない」と言っています。ですから、子どもにはどんどん失敗をさせて、失敗を乗り越える経験を積ませてあげてください。「失敗を乗り越える経験」について、もっと詳しく!↓↓↓『任せて、失敗させて、考えさせる。「困難を乗り越える力」を伸ばすには、放っておくのが◎』■親が見ているところで、子どもに “失敗させてあげて” (田中博史氏)失敗を恐れないチャレンジ精神旺盛な子どもに育てるために、親が知っておくことは「子どもとの適切な距離感」だと話すのは、元筑波大学附属小学校副校長の田中博史氏。田中氏によると、「いまの親と子どもとの距離はとにかく近すぎる」のだそう。親がすぐに「転ばぬ先の杖」を差し出してしまうので、子どもが自分で考えたり失敗したりする機会は減っているとのこと。にもかかわらず、子どもは、親から「最初から成功しなければならない」と強いられています。これでは、失敗が怖くて挑戦なんてできません。そこで田中氏は、「親が見ているところで子どもに “失敗させてあげて” 」とアドバイスをしています。子どもが中学生や高校生になってしまったら、きっと「失敗」に立ち会う機会は激減するはず。でも幼少期なら、まだ親の目が届きます。ですから、親が手を差し伸べられる時期に、「失敗して、立ち上がる経験をさせる」のです。もし子どもが勇気を出してなにかに挑戦しようとしているならば、「うちの子は成功するかな?失敗をするならどんな失敗をするかな?」とニコニコとしてただ見ていてあげればOK。公園などで遊ぶときは、自分の子どもがまわりの子どものなかでどのように関係性を築いていくのかを観察してみましょう。「子どもとの適切な距離感」について、もっと詳しく!↓↓↓『子どもを大きく成長させる、人間関係における失敗。親が知るべき「子どもとの距離感」』■子どもに「親の失敗体験」を話してあげましょう(井戸ゆかり氏)発達臨床心理学・保育学・児童学が専門で東京都市大学人間科学部教授の井戸ゆかり氏は、親と子が強い信頼関係で結ばれていて、「親が子どもの安全基地」になっていれば、子どもは「失敗してもいいのだ」と考えることができると述べています。もしなにか問題が起きても「お父さんとお母さんのところにいけば大丈夫」という安心感が、子どもの挑戦意欲を高めるのです。また、「失敗してもいいんだよ」と、親が子どもに教えることも大切です。たとえば、子どもがお皿を割ってしまったとき、「お父さん(お母さん)も小さい頃にお皿を割ったことがあるよ」と自身の失敗談を話してあげましょう。すると子どもは、「たとえ失敗しても挑戦を続けることで、いつかお父さんやお母さんのような人間になれる」と、失敗を恐れないようになります。当たり前ですが、「失敗した経験」がない子どもは、「失敗を乗り越える経験」もすることができません。井戸氏は、そのような子は失敗経験のある子に比べて、弱い人間に育ってしまうと危惧しています。「子どもが失敗したときはチャンス!」と考えられるようにしたいものですね。「失敗を恐れない力の育て方」について、もっと詳しく!↓↓↓『「失敗を恐れない力」の育て方。子どもに「挑戦したい!」と思わせる、効果抜群な言葉かけ』■子どもの「やり抜く力」を育むなら “格好悪い親” であれ!(ボーク重子氏)子どもの「やり抜く力」を育むなら “格好悪い親” であれ!そう言うのは、ライフコーチのボーク重子氏です。ボーク氏の娘であるスカイさんは、全米の女子高生が知性や才能、リーダーシップを競う「全米最優秀女子高生コンクール」で見事優勝しています。スカイさんの幼少期、ボーク氏が意識していたのは「親の失敗をシェアする」ということ。ボーク氏が成功より失敗をスカイさんに見せてきた理由は、「失敗は通過点」「失敗してもやり直しができる」「ひとつの方法がダメなら、ほかの選択肢や可能性を試せばいい」ということを伝えたかったから。失敗経験のある子どもは、「やり抜く力」や「回復力」が育ちます。一方、失敗経験のない子どもは、「やり抜く力」も「回復力」ももっていないので、たったひとつのテストの結果でポキッと心が折れてしまうこともあるのです。子どもには、どんどん親の失敗を見せましょう!ロールモデルである親が失敗を見せることで、子どもは「失敗は悪いことではない」と学ぶのですから。「やり抜く力の育て方」について、もっと詳しく!↓↓↓『子どもが親の失敗から学ぶもの。「やり抜く力」を育むなら“格好悪い親”であれ』大学入学はゴールではない!人生は大学に入ったあとも続くどの専門家も、子どもの成長に失敗体験は必要だと言っていますね。「奇跡の公立小学校」と呼ばれる大空小学校初代校長の木村泰子氏も、子どもの頃の失敗体験が社会に出てから役に立つとしています。社会に出ていろいろなことにぶつかったとしても、それまでに「失敗したらやり直せばいい」「ピンチはチャンス」「失敗は宝物だよね」という経験が体中に染み込んでいたら、心が折れることもないはずです。失敗が挫折につながったり、二度と立ち直れなくなってしまうことではなく、失敗したら「どうやり直そうかな」「やり直せばいいだけだよね」と思えるように。この経験を、この力を子どものうちに存分につけたいですね。(引用元:木村泰子(2020),『10年後の子どもに必要な「見えない学力」の育て方』, 青春出版社.)そして木村氏は、自身の経験から、「大人だって失敗してもいい」と強調しています。大人が失敗してやり直す姿を子どもに見せてあげればいいのです。子どもは親の鏡。子どもに一番影響力のある親が「失敗を隠さずに暴露」することで、子どもは挫折に強くなるそうですよ。また、「人生は大学に入ったあとも続く」と、大学入学をゴールとする子育てに警鐘を鳴らすのは、前出の中曽根氏。そして、その中曽根氏との対談で、「潰れない程度の失敗を数多くして、できれば社会人になる前にいろいろミスをしておくことが大事」と話していたのは、対談当時に開成中学・高校校長を務めていた柳沢幸雄氏です。もしなにか子どもが失敗したとしても、「この小さな失敗が成長につながる。次のチャレンジにつながる」と考えましょう。柳沢氏は、親が「小さな失敗に収まってよかった」と考えられることが大切だとアドバイスしていますよ。***このコラムを執筆中、子どもに「水曜日の練習着は水色じゃなくて黒だよ!お母さん、間違えないでよ」と言われてハッとしました。学校から帰宅してすぐに習い事に行くため、タオルや水筒、練習着などは、家で待つ筆者が用意することが多かったのです。これはまさに、田中氏の言う「親と子どもの距離が近すぎる状態」ではないか……。そこで翌日からは練習着だけでなく、水筒もタオルも用意することをやめました。すると、文句を言いながらも自分で準備をするようになったのです。タオルを忘れる日もありますが、忘れた翌日は入念に持ち物チェックをしています。「子どもの失敗体験は成長につながる」を体感した出来事でした。こう書き出してみると、自分自身が「過保護な親」だと気づかされますね。これからは、「悪い先回り」ではなく「いい先回り」ができるようにしていきたいものです。(参考)榎本博明(2019),『伸びる子どもは○○がすごい』, 日本経済新聞出版.中曽根陽子(2016),『成功したいなら「失敗力」を育てなさい』, 晶文社.木村泰子(2020),『10年後の子どもに必要な「見えない学力」の育て方』, 青春出版社.STUDY HACKER こどもまなび☆ラボ|子どもの失敗の機会を奪う「悪い先回り」を今すぐやめて、「いい先回り」をするための工夫とは?STUDY HACKER こどもまなび☆ラボ|任せて、失敗させて、考えさせる。「困難を乗り越える力」を伸ばすには、放っておくのが◎STUDY HACKER こどもまなび☆ラボ|子どもを大きく成長させる、人間関係における失敗。親が知るべき「子どもとの距離感」STUDY HACKER こどもまなび☆ラボ|「失敗を恐れない力」の育て方。子どもに「挑戦したい!」と思わせる、効果抜群な言葉かけSTUDY HACKER こどもまなび☆ラボ|子どもが親の失敗から学ぶもの。「やり抜く力」を育むなら“格好悪い親”であれ
2022年07月15日新年度が始まりましたが、皆さんいかがお過ごしでしょうか。私は今年度も幼稚園でお仕事をさせてもらっています!(園児達かわゆす〜癒し〜)入園・進級したての園児たちは不安で戸惑うことも多く…フォローしなければならないことがたくさんあるので、この時期、職員は大忙し!私も早速、腰痛に悩まされています!腰ベルトがないとやっていけないです。(オススメの腰ベルトがあったら教えてください〜)そして、わが家の子ども達はというと…娘は小学3年生に、息子は年長さんになりました。娘は3月生まれなので、同じ学年の子と比べると少し幼い感じがしていましたが、最近は習い事やお手伝いも頑張っていて、だいぶしっかりしてきました。息子も早生まれなので幼稚園で一番小柄でしたが、このところ急に背が伸びて凛々しくなってきました!そんな成長著しい2人ですが、まだまだ面白い失敗をしてよく笑わせてくれます!!■子どもたちの爆笑失敗談!娘も息子も、何度かパジャマを脱ぎ忘れて学校や幼稚園へ行ったことがあります。息子に至っては、パジャマを脱ぎ忘れたことにすら気づかない有様(笑)「いつの間にかパジャマ着てたんですけどっ!!!」って本気で驚いていました。この話を主人にしたら…■母の私にも似たような失敗が…!ありましたありました!パジャマを脱ぎ忘れたことはないけど、洋服を裏表反対に着て出社したことがありました!タグが丸見えの服着て、満員電車に一時間揺られて出社しました(笑)絶対気づいた人いたよねぇ〜。会社の先輩に指摘されてやっと気づくという…恥ずかしすぎるぅ。子ども達の失敗が自分の失敗と似てて、なんだか微笑ましい(笑)夫婦で笑いました。子ども達がドジっ子(ズボラ?)なのは、私に似たからなのかなぁ…。これからも沢山失敗して、私たちを笑わせてくれたまえ!!!!
2022年04月13日先回りママ必見!自分で考え動ける子を育てたいなら、手出しせず見守ろうケガをしたらどうしようと行動するたびに手をかけたり、忘れ物したらかわいそうと準備を手伝ったり。子どものことを必要以上に心配し、子どもが考えるより先にあれこれお世話を焼いてしまうお母さんはいませんか?子どもに不自由なく過ごしてほしいと願うのはもちろん親の愛情ですが、なんでもしてあげていたら子どもは自分の頭で考えなくなってしまいます。手を出したい気持ちをぐっと抑えて根気強く待ってあげると、子どもは自分の力で動けるようになりますよ。かわいいからこそ手をかけてあげたい親心。でも手のかけ方には気をつけて4歳のFくんは、保育園に通う男の子。とにかくお母さんが大好きで甘え上手。お母さんもそんなFくんをかわいがり、Fくんが自分でできる保育園の準備などもよく手伝っていました。ところがある日、Fくんは保育園で使う箸箱を家に忘れてしまいました。そしてなんとFくんは「ママがカバンに入れなかったから」と言い訳したそう。それを先生に聞いたお母さんは、子どもを手伝いすぎるのも考えものだと反省しました。お母さんに頼らず行動できることが自立の第一歩。失敗にも責任を持たせよう失敗を人のせいにするのは、自分の責任から逃げること。子どもを大切に思うお母さんほど、子どもに失敗させないよう先回りして動きます。それゆえに普段からあれこれ構われている子どもほど失敗する経験が少なく、いざ失敗したときに言い訳をしがちです。自分で決め行動し、失敗する経験は子どもの成長にとって必要不可欠。失敗しても自分の行動に責任を持てることが本当の自立です。まずは自分の意思で行動していくよう促しましょう。失敗なんて怖くない!自立した子に育てたいなら、お母さんは見守るのが一番保育園の準備など子ども一人にさせるよりは手伝った方が早いため、つい手が出がち。でも、そこをぐっと抑えて子どもを見守ってみましょう。なかなか動き出せないときは「何からする?」と声をかけ、答えられなければ選択肢をたくさん提示し選ばせるのも一つです。手を出さず、子どもの行動を引き出す方法はたくさんあります。失敗を乗り越えていくたくましさは、自分で失敗を経験してこそ養われるもの。すぐ手を出さず、子どもが自分で考えて動くまで待つことが、自立に向かうスタートです。今日の1日1成長子どもには失敗も必要!先回りしがちなお母さんは、見守ることに徹して子どもの行動力も1成長、お母さんの忍耐力も1成長。みやもとまどな(文)さわどあさみ(編集)日本キッズコーチング協会(監修)あわせて読みたい🌈手出し口出しは無用。親の務めは教えることではなく導くこと
2022年03月29日「わが子には失敗してほしくない」「できれば失敗せずに成功してもらいたい」――そう願う親は少なくないのではないでしょうか。しかし、失敗体験でしか得られないものもたくさんあるようです。今回は、「失敗体験の重要性」「子どもが失敗したときの親の心得」について、とことん考えていきましょう。“カーリングペアレント” が奪う「わが子の失敗体験」みなさんは、過去に大失敗をした経験はありますか?これまでの人生を振り返って、すべてのことが希望通りスムーズに進んだという人はいないはず。むしろ、「いまになって考えると、あの頃の失敗がその後の人生に役立っている」「失敗した当時は、この世の終わりとばかりに絶望したけど、あの経験があったからこそ飛躍できた」と実感している方が多いかと思います。では、「わが子の失敗」についてはどうですか?いつでも親がそばにいて、手を差し伸べてあげられる幼少期なら、子どもの失敗にすぐに対処することができるかもしれません。しかし、幼稚園、小学校、中学校に通うようになるにつれ、子どもは親と離れて過ごす時間が増えていきます。すると、常に子どもに手を差し伸べることは難しくなるでしょう。それでもなお、親が子どもの失敗を未然に防ぎ続けた場合、子どもの成長過程においてさまざまな問題が表面化してしまうようです。その弊害について、精神科医・片田珠美氏は著書『一億総ガキ社会 「成熟拒否」という病』のなかで「カーリングペアレント」を例に挙げて解説しています。カーリングとは、氷上のストーンが進む道をブラシでゴシゴシとならし、スムーズにストーンをすべらせて得点を競う競技。同じように、子どもの進む道からあらゆる障害を取り除き、 “困難や危険も人生の一部である” という重要なことを身につける機会を奪う「カーリングペアレント」がいま、世界各国で問題視されているとのこと。「子どもが転んだりけがをしたりしないことが最優先課題になっている過保護・過干渉の教育が、打たれ弱い子どもや若者を数多く生み出していることは明らか」と片田氏が指摘するように、失敗体験を避けながら育った子は、失敗して傷つくことを過度に恐れて、挑戦する前から諦めるようになってしまうのです。さらに、「挑戦しない」→「失敗経験がない」→「根拠のない万能感が育つ」となるため、少しでも自分の思い通りにいかないストレスにさらされると、対処ができなくなってしまう子も出てくるのだそう。そしてその際によく見られるのが、「衝動コントロールができなくなってキレる」「弱い者いじめをして欲求不満を発散する」「不登校やひきこもりの形で安全地帯に避難する」の3つの行動。失敗体験がないまま成長すると、子ども本人が生きづらさを抱えていくことになってしまいます。失敗を通して学ぶ「やり抜く力」と「決断力」次は「失敗を通して学ぶこと」について、詳しく解説していきます。失敗体験を重ねることで身につく力はたくさんありますが、そのなかでも「やり抜く力(GRIT)」と「決断力」はとても重要です。失敗によって身につく力1:やり抜く力(GRIT)ペンシルバニア大学心理学教授のアンジェラ・ダックワース氏の研究によると、「やり抜く力」は生まれもった才能ではなく、失敗を恐れずに挑戦し続けることで後天的に身につけられるのだそう。何度も失敗を繰り返すことで、「今度こそ!」と成功を目指してやり抜こうとする意識が芽生えるのです。どんなに優れた才能や恵まれた資質が備わっていても、何事も途中で投げ出してしまうようでは成功をつかむのは難しいでしょう。逆に、才能や資質に恵まれていなかったとしても、粘り強く取り組む姿勢と努力し続ける強い意志が備わっていれば、成果をあげることができるはず。親は、子どもに失敗させないように先回りして手を出すよりも、たとえ失敗しても自分の力で立ち上がれるようにサポートすることが大事です。子どもが、何度でも挑戦しようと思えるような接し方や声かけを意識しましょう。失敗によって身につく力2:決断力失敗によって培われる、もうひとつの力は「決断力」。オーストラリアエディスコーワン大学教育学部講師のマンディー・シェイン氏は、「失敗がもたらす最大の利点は、自分の決断に対する当然の結果を学べること」と断言しています。たとえば、「宿題をしなければ怒られる」「練習をしなければレギュラーになれない」という “結果を経験させること” が大切なのです。「Aをしたら、Bが起こる」というシンプルな概念も、失敗を経験してこそ理解できるとシェイン氏は言います。「決断」には責任がともないます。自分の決断によって不利益が生じたり、傷ついたり後悔したりすることを恐れていては、いつまでたっても決断力は身につきません。わが子には、失敗をたくさん経験して決断力を高めてもらいたいものです。子どもが「安心して失敗できる」ために親がやるべきことどんなに失敗体験が大事だとわかっていても、子どもが明らかに失敗しそうなとき、口や手を出さずにいるのは難しいものです。そこで、「この経験がわが子を成長させる!」と信じて見守ってあげられるように、また子ども自身が「安心して失敗できる」ように、親としての3つの心構えを提案します。■ネガティブなリアクションをやめる花まる学習会代表の高濱正伸氏によると、物事を始めるときに「できない」「やりたくない」と否定形から入る子どもは、親のリアクションの影響から失敗を恐れているのだそう。たとえば、子どもが新しいことに挑戦しようとしたとき、「本当にできるの?」「難しいから無理だと思うよ」と言っていませんか?テストやスポーツでミスをした子どもに対して、「あ〜あ」「もう、本当にダメね」などと失望の言葉をぶつけていませんか?「『最初から成功しなければならない』と強いられた子どもが、失敗を恐れて挑戦することを敬遠するようになるのは当たり前」と指摘するのは元筑波大学附属小学校副校長の田中博史氏です。失敗した結果に対して、「叱る」「がっかりした態度を見せる」「プレッシャーを与える」といった対応をしていると、子どもは「失敗してしまった!」と必要以上に恐怖を感じることに。まずは落ち込んでいる子どもの気持ちに共感し、「話してくれてありがとう」「頑張る姿が見られて嬉しいよ」と前向きな声かけをしてあげましょう。そして、「子どもが勇気を出してなにかに挑戦しようとしたとき、『うちの子は成功するかな?失敗をするならどんな失敗をするかな?』とニコニコしてただ見ていてあげればよい」という田中氏の言葉を思い出して、大らかな気持ちで見守ってあげてください。■「結果」より「努力」をほめるアドラー心理学のメソッドを取り入れた「松井美香ピアノ教室」代表の松井美香氏は、「子どもに失敗をさせないようにすることではなく、失敗を恐れない、強く前向きな心を育てることが大切」と述べています。アドラー流子育てでは、結果よりも経過を重視し、失敗したら何度でもやり直せるということを教えるのだそう。親として気をつけるのは、結果だけに注目しないこと。目を向けるべきは、それまでの努力です。テストの結果がよくなかったとき、「なんでこんな点数なの!?」「こんな点数だなんて恥ずかしい!」「もう二度とこんな点数とらないで!」と、結果だけを見て責め立てるのはもちろんNG。努力したけど結果に結びつかなかったのなら、「頑張って解いたけど難しかったんだね」「一生懸命勉強していたよね。頑張る姿が嬉しかったよ」と、親が努力した過程を認めることで、子どもは前向きに失敗を受け止められるようになります。また、その先の段階として、子どもに「次はどうしたらいいと思う?」とたずねたり、一緒に考えたりすることも大切です。アドラー心理学者でカウンセラーの本郷博央氏は、「失敗は誰にでもあることなので仕方がない。むしろ喜んで受け入れるべきという前提のもと、『じゃあ次に同じことをしないためにはどうしたらいいか?』と考えることが、子どもの成長や自信につながる」と述べています。■親自身が「失敗を失敗と考えない」教育ジャーナリストの中曽根陽子氏は、「子どもに失敗させまいとするのは、『自分の子育てや家庭教育はうまくいっている』と親が安心したいだけ」と苦言を呈しています。前出の片田氏もまた、「たいていの親は子どもに『あなたのためを思って』と言うが、じつは『子どもが失敗すると自分も不安になるので、その不安を回避するため』という場合が少なくない」と厳しく指摘しています。だからこそ、親自身が失敗に対する認識を改める必要があるようです。「失敗する大人の前だと、子どもも気軽に失敗できる」と前出の田中氏が述べるように、子どもに自分の弱点をさらけ出したり、失敗談を話したりしてみましょう。そうすると、「私がこんなことを言っても、このお父さんなら味方になってくれる」「お母さんだって苦手なことがあるのだから、僕も苦手なことを言ってみよう」と、子どもは苦手なことを素直に表現できるようになります。東京都市大学教授の井戸ゆかり氏も同様に、「『失敗してもいい』という気持ちの裏には、なにか問題が起きても『お父さんとお母さんのところにいけば大丈夫』という思いがある」と述べ、子どもが親を「安全基地」だと感じられるような、親子の信頼関係の重要性を説いています。そのためにも、日頃からどんな小さなことでも話し合えるような関係性を築いておきたいですね。***子どもが失敗を恐れるようになるのは、親の態度や言葉かけが大きく影響しています。まずは親御さん自身が、失敗に対するネガティブなイメージを捨てて、「わが子が成長するチャンス!」と前向きにとらえることから始めてみましょう。(参考)片田珠美(2010),『一億総ガキ社会 「成熟拒否」という病』, 光文社新書.All About|「カーリングペアレント」とはどんな親?アンジェラ・ダックワース(2016),『やり抜く力GRIT(グリット)ー人生のあらゆる成功を決める「究極の能力」を身につける』, ダイヤモンド社.ニューズウィーク日本版|立ち直る力を持つ「強い子供」に育てる、正しい失敗のさせ方とは高濱正伸(2012),『伸び続ける子が育つ お母さんの習慣』,青春出版社.STUDY HACKER こどもまなび☆ラボ|子どもを大きく成長させる、人間関係における失敗。親が知るべき「子どもとの距離感」Gakken キッズネット|失敗を恐れずチャレンジする心を大切に/くやまない、悩まない、自分を責めないーー心がラクになるアドラー流子育て【第14回】いこーよ|失敗も怖くない!子どもの自信をアップさせる子育て法STUDY HACKER こどもまなび☆ラボ|任せて、失敗させて、考えさせる。「困難を乗り越える力」を伸ばすには、放っておくのが◎田中博史(2018),『子どもと接するときにほんとうに大切なこと』, キノブックス.STUDY HACKER こどもまなび☆ラボ|「失敗を恐れない力」の育て方。子どもに「挑戦したい!」と思わせる、効果抜群な言葉かけソクラテスのたまご|カーリングペアレントとは?特徴と事例、予防策を解説
2022年03月04日ユウコトリトリさんの連載第41話。ときには料理を失敗してしまうときもありますよね!そんなとき、子ども達からかけられる言葉もそれぞれなようで……。こんにちは、ユウコトリトリです。保育園児から中学生まで、3人の子どもを子育て中です。 今回は子どもたちの心やさしい話です。 先日の出来事なのですが、火加減を間違えまして……餃子を焦がしてしまいました。こんがりを超えてしまい、焦げっぽくなってしまった餃子たち。食べられないほどではないけど、残念ながら美味しそうな見た目からは遠いものでした。 しかし、3人の子どもたちからは三者三様のフォローの言葉が……。 料理をしくじったときの子ども達からのフォロー とっさに「香ばしい」の言葉が出てこなかった長男ですが、気持ちは伝わりました。例えが子どもらしくて、ちょっとほっこり。 こんな感性も今だけかもしれませんね! 著者:マンガ家・イラストレーター ユウコトリトリ2007年、2011年、2015年生まれの騒がしい三姉弟を子育て中のワーママ。Instagramにて、育児あるあるや日常の小ネタをカエル漫画でゆるっと更新中!
2022年02月27日生きていれば、失敗の1つや2つぐらい、あって当たり前。失敗せずに生きてきた人は、ほぼいないでしょう。しかし、失敗した時に多少なりとも落ち込んでしまうのも、当然のこと。それが仕事など、自分の失敗でほかの人にまで影響を与えてしまう状況では、より一層気分が沈んでしまいます。上司の『ひと言』に救われた心仕事でミスをしてしまい、落ち込んでいた1人の女性。上司から「なぜ仕事で失敗してしまうのか」と問われた女性は、自分の能力の至らなさをあげ、再び落ち込んでしまいます。【漫画】上司に「なんで仕事で失敗するかわかってる?」と聞かれて答えたら、意外な展開に…(2/2) #勤労感謝の日 pic.twitter.com/tOm94qMiQ7 — もず✒︎週末漫画家 (@mo_x_2) November 23, 2021 『そもそも仕事をしていなければ、失敗することもない』という上司の極論に、女性は戸惑いを隠せません。しかし、上司はこうも続けます。失敗上等。仕事をしている証拠。あなたは、よく仕事をしている。どんなに頑張っても、思うような成果につなげられず、時には空回って失敗してしまうこともあるでしょう。しかし、ちゃんとその努力を見てくれている人がいます。上司の『ひと言』を嬉しく感じた女性は、きっとまた失敗を恐れず再び努力していけるはず。もず(@mo_x_2)さんが描いた漫画は反響を呼び、「今の自分の心にしみる言葉…」とコメントが寄せられるなど、多くの人に勇気を与えたようです。もちろん、同じ失敗を繰り返さないための対策は必要でしょう。しかし、それはそれとして、ちゃんと目標に向かって歩んでいる自分自身を認めてあげたいですね。成功に失敗はつきものなのですから。[文・構成/grape編集部]
2021年11月25日【失敗プロポーズ 第18話】美大で後の夫となるぴーちゃんと運命的な出会いを果たした雛田さん(@i_tks74)。同棲、社会人生活を経て結婚! しかし、プロポーズは決して順調ではなくて――!? 雛田さん(ひぃちゃん)がぴーちゃんと出会い、プロポーズされるまでを描く胸キュンなれそめストーリー♡毎日更新です!どんな夫婦にも、結婚に至るまでには、さまざまなストーリーがあるもの――。 美大で後の夫となるぴーちゃんと運命的な出会いを果たした雛田さん。同棲、社会人生活を経て結婚! しかし、プロポーズは決して順調ではなくて――!? 雛田さん(ひぃちゃん)がぴーちゃんと出会い、プロポーズされるまでを描く胸キュンなれそめストーリー、付き合うことになったふたりの「居候編」をお届けします。 30歳までに子どもを生みたいという思いがあった雛田さん。ぴーちゃんが語った「親に挨拶をするのはやりたいことが安定した30歳以降かな」という言葉が引っかかっていました。雛田さんのなかでは、ぴーちゃんとは結婚を前提にお付き合いしているつもりでしたが、彼は……? 雛田さんは「今になってみればぴーちゃんが言っていたことは、何も間違っていないし、むしろとてもまともなことを言っている……」と当時を振り返ります。しかし、このときは彼の言葉にとらわれて……。 ★♡★♡ベビカレ秋のマンガ祭り★♡★♡マンガ200連載突破を記念して『べビカレ秋のマンガ祭り』開催中!話題のマンガを毎日増量配信♪ぜひチェックしてくださいね!ムーンカレンダー編集室では、女性の体を知って、毎月をもっとラクに快適に、女性の一生をサポートする記事を配信しています。すべての女性の毎日がもっとラクに楽しくなりますように!著者:イラストレーター 雛田あゆこ愛称:ひぃちゃん。Instagramにて波風立たない平凡な夫婦エッセイを投稿しています。キュンキュンはしないけど縁側でお茶をすすっているような穏やかな日々を綴っています。
2021年11月18日こんにちは、エェコです。お子さんが何かを失敗して泣いちゃうことってありませんか?ウチの娘も泣いてしまうのですが…今回は「失敗しても泣かなくていいんだよ」と娘にお話しした出来事です。■失敗すると泣いてしまう娘、失敗が悔しい?どうやら私の考えていた理由とは違うような気がする…。そこで本人に聞いてみました。なんと! 失敗=怒られると思っていた娘。そういえば「失敗して泣く」のは家のお手伝いをしてくれている時がほとんどだった気がする。私を助けたかったのに失敗によって私の仕事を増やしてしまい、怒られると思ったのかな?なんて思いやりのある娘なんだ…!■失敗は、成功するための勉強!私は即、否定しました。「ママだってよく失敗してるでしょ?」って言ったら「うん」と即答されました(笑)よく「失敗は成功の母」ってよく言いますが、まさにその通りだと思います。失敗から学べばいいんです。誰だって失敗はする! 反省は大事だけど泣かなくていい!…ということを娘に言ったらわかってくれたようで失敗しても「ごめんなさい」と反省するだけで泣かなくなりました。怒られると思うと恐怖が生まれます。そしてその恐怖からできないことにチャレンジしなくなる子になってしまうのが怖いです。この先、失敗して怒る人が必ずいると思うのですが…私の言葉を思い出してなんでも再チャレンジするような子に育ってほしいな~と思う母なのでした。
2021年08月15日■前回のあらすじケンカして家を飛び出した息子を追いかけて行った公園で見ず知らずの女性と話すことに。彼女から「公立中学もいいですよ」と言われたのですが…。 >>1話目を見る 私立中学に入れたいけれど、現段階では塾には身が入らず、宿題もほとんど手をつけられない息子。そんな息子に対して、勉強をさせようと四苦八苦するけれど、成績を上げるどころか、ヤル気すら引き出すことができない私。本当は夫に相談すべきと思いつつ、自分の能力の低さを暴露するようで、何もできずにいました。そんなときに公園で出会っただけの見知らぬ女性との会話で、これまで誰にも相談できなかったことがどうしてか口をついて出てきました。公立中学の魅力というと、思い浮かぶのは、「多様性がある」、「通学が楽」、「学費があまりかからない」などがあります。ただ我が家のように進学を重視して考えた場合、どうしても私立中学が優位に思えてしまう。周りの子が私立中学という良い大学に入るためのルートを確保したときに、うちの子どもだけがそのルートを確保できなかったとしたら、それはすごく損をしたことになると思っていました。少しでも確率が高いルートを親としては用意してあげなければいけない…そう考えてきた私に、彼女からの言葉は思ってもみなかったことでした。勉強ができない息子のことを考えると、つい「これ以上失敗しないで」と思ってしまうときがあります。しかし何より、そんな息子の勉強を見てあげられない、やる気も出してあげられない私自身が「失敗」しているのだということを感じていました。そんな風に自虐的になる私に対して、公園で知り合った彼女は、「子どもを想う親は失敗ばかり」と言ってくれて…。私立中学に行けば、子どもの将来が約束されるわけではない。いつの間に私は、希望の私立中学に入れれば「成功」で、公立中学に行くことは「失敗」と決めつけてしまっていたのだろう。子どもがどんなルートを通っても失敗なんてことはないのに…。樹が塾の勉強ができないことも、宿題をやらないことも全部私のせい。そうずっと思っていた私。でも、私に話しかけれくれた女性は、最後まで私のことを何一つ否定せず、ずっと寄り添ってくれました。その心地よさに公園に着いたときに感じていた焦燥感はすっかりと消えていました。暑い日も毎日水筒を持って公園に行った日々、ズボンのなかいっぱいにダンゴムシを詰め込んで帰って悲鳴を上げた日、誕生日に買ってあげた図鑑を抱きしめながら眠った樹の寝顔…。そんな小さな頃の樹を思い浮かべながら、樹を見つめていました。中学受験は誰のために、どうしてするんだろう?次回に続く(全7話)毎日8時更新!原案・ウーマンエキサイト編集部/イラスト・ ふゆ
2021年08月03日子どもが小さいころ通っていた子ども広場で、いつものように過ごしていたときに起きた生理パプニング! 恥ずかしかったのはもちろんですが、子どもたちを怖がらせたり、心配させないようできるだけ自然にトイレに行きたくて……。いろいろ考え、私はある作戦を決行しました。 お気に入りの場所で違和感発生うちの子どもが幼稚園に入る前、室内で自由に遊ばせることのできる子ども広場によく通っていました。その日もたくさん遊ばせよう!とさっさと家事を片付け、午前中から広場に向かいました。 すでにきていた顔見知りの親子に「おはようございます~」とあいさつもそこそこに、さっそく子どもはおもちゃに一直線、ごきげんで遊び始めました。そんな姿をやれやれと一安心して見守っていましたが、気付くとなんだか下半身に違和感があります。 嫌な予感は的中!崩した正座で座っていた私は、そーっとおしりを確認するとやっぱり! 思いかけず生理がきていて、ベージュのパンツに赤いしみが広がっていました。子ども広場は広めのお部屋で、おもちゃや絵本が揃えられており、子どもが自由にとって遊ぶのを保護者は床に座って見守っていたり、一緒に遊んだりできるのですが、トイレは部屋の外です。そして運悪くそのとき私は、部屋のドアから一番離れた場所にいました。 何かで隠そうにも、荷物はドア近くの棚においてしまっており、ポケットティッシュくらいしか持っていませんでした。 苦しまぎれのカニカニ歩き!?大人にみられて恥ずかしいのはもちろんですが、赤く汚れたパンツを見て、子どもを心配させたり怖がらせたりしないかが気になりました。どうにか汚れを隠したままトイレに行きたい……そう悩んでいると子どもが「見て~」と近づいてきました。そして、その手には海の生き物図鑑があったのです。 図鑑を見た私は、ハッとひらめき「ね、カニさんて横向きに歩くんだよ~」ととっさに壁に背を向けた姿勢で横向きのカニ歩きをしてみせると、初めて見る動きに子どもは大ウケし、「なにそれ~」とまねしてくれました。 そこで、2人でカニカニ~と横歩きのまま、壁づたいに荷物のところまでたどり着き、バッグを後ろ手に持つとそれでお尻をかくし、トイレに行こうか!と、一緒にこども広場を脱出することに成功しました。 明らかに急な行動、そして腰に上着を巻いて帰ってきたので、顔見知りのママたちにはしっかりバレており、「いきなりびっくしたよ」と笑われました。そして、子どもたちにはあのカニ歩きがとてもウケて、しばらくはカニカニブームに。わが子はもちろん、ほかの子どもたちもやって見せてくれていました。 ムーンカレンダー編集室では、女性の体を知って、毎月をもっとラクに快適に、女性の一生をサポートする記事を配信しています。すべての女性の毎日がもっとラクに楽しくなりますように! 監修/助産師REIKO著者/oniko
2021年06月10日大人が口出しせず、グラウンド設営、大会運営、レフェリーまでを子どもたちが行う子どもが主役の大会「フォレストカップ」。大会を主催する伊勢原FCフォレストは「子どもが自分で考えて、行動できるようになる」をモットーとするクラブで、代表を務める一場哲宏監督の理念に賛同した保護者、子どもたちが集まり、人として、サッカー選手として成長するために、日々奮闘しています。チームに子どもを預ける保護者の皆さんにも、チームのどんなところに賛同しているか、親としての意識がどう変わったかなどを伺いました。(取材・文:鈴木智之)自分たちのプレーの振り返りだけでなく、相手チームへのアドバイス、気づきも話し合います<<前編:会場設営、出場メンバーも作戦も子どもたちで。ベンチに大人が入らない「子どもが主体の大会」で子どもたちに起こる変化■日替わりキャプテン、お互いのいいところを言い合うミーティング伊勢原FCフォレストは、コーチがガイド役となって子どもたちを導きながら、「自分で考えて行動できる」ようになるため、練習では日替わりキャプテンを中心に練習内容を決めたり、練習後にはお互いのいいところを言い合うミーティングをしたり、試合会場には大人の送迎に頼らず、自分たちで行ったりと、様々な経験を積んでいきます。「自主性」「自立」をテーマに活動して行く中で、子どもたちが徐々に成長し、大会の設営や運営、レフェリーまでも自分たちでできるようになっていきます。その集大成がフォレストカップなのです。当然、最初からうまくいくわけはありません。大人がこうしなさいと命令し、そのとおりにやらせるほうが簡単です。しかし一場監督は「子どもたちが自分で考えて、行動できるようになってほしい」という想いから、指示命令を出すのは我慢して、子どもたちが何を感じ、どう行動するかを見守っています。■ジュニア年代は通過点、将来を見て指導することが大事「1、2年生の頃は大変ですよ。対外試合をすると、10点差以上で負けることもしょっちゅうですから。でも、私も含めたコーチはそうなることがわかっているので、とくに慌てたり動揺はしません。1、2年生の場合、相手チームに身体能力の高い子がいたり、こっちのGKが慣れていない子だと、たくさん点が入っちゃうじゃないですか。だから、1、2年生の頃にそうやって負けることに関しては、全然問題ないんです」ただ、と一場監督は付け加えます。「保護者の方は心配になるみたいです。こんなにボロ負けして、このチームは弱いんじゃないかって(笑)。そこで僕が理由を説明して納得してもらうのですが、5、6年生になると、ボロ負けした相手に勝つようになります。それはフォレストの取り組みを通じて、サッカー選手として、人間として成長していくからです。子どもたちは目先の勝ち負けに一喜一憂してもいいのですが、僕たち指導者は、子どもの将来を見て指導することが大切だと思っています」サッカー選手として考えると、ジュニア年代はゴールではなく通過点。結果が出るのはもっと先です。さらに言うと、プロになれる選手はほんの一握り。99.9%の子どもたちはサッカー経験を胸に、社会人としてプロサッカー選手以外の仕事につきます。「僕たちは、子どもたちが社会に出た時に、立派な社会人になって、ゆくゆくはサッカーに貢献してほしいという想いで、小学生年代の指導に関わらせてもらっています」■「失敗してよかったね、そこから何が学べる?」というスタンスに保護者も共感フォレストの保護者の多くが、その考えに賛同しているようです。子どもたちや保護者は、一場監督を始め、コーチのことをニックネームで読んでいます。それはクラブ側から働きかけたもので、コーチが教え、子どもが教わるという上下関係ではなく、ともに学び、成長していく仲間なのだという考えがもとになっています。保護者の方々は、こう言います。「最初は『てっちゃん』(一場監督のニックネーム)って呼んでいいの?って感じでしたけど、いまはフレンドリーに呼んでいます(笑)。周りには『ザ・サッカー』という、昔ながらの根性をベースにした指導のチームが多い中、サッカー選手としてだけでなく、将来のことも考えて指導しているところに共感しました」(Aさん)「誰かに言われてやるのはできるけど、言われる前に自分で考えて行動するのは、大人でも難しいことですよね。それは小さい頃からの積み重ねなのかなと思います。私は小さい頃から体育会系で育ってきて、コーチに言われたことをやるという考え方でした。子育てをしていても、子どもに次はこれをやって、あれをやってと言っていたのですが、フォレストに子どもを入れて、てっちゃんの考え方を聞く中で、そうではないんだなと考え方を変えてもらいました」(Bさん)「フォレストの子どもたちは、いきいきとサッカーをやれているのでいいなと思います。コーチがああしなさい、こうしなさいとやって、強いチームもありますけど、てっちゃんに習った子ども達を見ると、低学年までは弱小チームですが、6年生になるとある程度の結果が毎年出ています。なんでも頭ごなしにダメと言わず、やったことに対して『ナイスチャレンジ』と言ってくれて、失敗しても怒らない。むしろ『失敗してよかったね。そこから何が学べる?』というスタンスなので、私たち親もそういう考えにシフトしていきました」(Cさん)■子どもたち自身も自分で考えて動けるようになったことを実感会場設営やサッカーの審判だけでなく、大山こまの大会運営も子どもたちが行います子どもたち自身も変化は感じているようで、6年生の黒須蒼平くんは「フォレストに入って良かった。楽しいし、コーチもただ怒鳴ったりするだけじゃなくて、成長しやすい教え方をしてくれる」と元気に答えてくれました。「フォレストは自力で試合会場まで行きます。親の送迎はないので、電車にひとりで乗れるようになりました。試合のポジションも自分たちで決めるし、プレーで失敗したとしても、他のチームだったらコーチが怒鳴って、こうしろって答えを言っちゃうけど、フォレストの場合はまずは自分で考えるので、コーチになにか言われなくても動けるようになる。そこは成長したと思う」■自分で考えて行動する力は中学生活でも活きているほかにもフォレストの中学生が、はにかみながら、こう話してくれました。「小学生の頃から、自分で考えて行動することをさせてくれたので、すごくありがたかったです。何か起きたときに、どうすればいいかを自分で考えるくせがつきましたし、学校で先生の手伝いをするときも、周りがやらなくてもすぐに気づいて、行動できるようになりました」(原海都くん/中2)「自分の考えを意見として相手に伝えることは、小学生の頃からずっとやっています。学校の体育祭や文化祭などでは、自分の係じゃないところでも手伝ったりと、周りに言われなくても動けるようになりました。社会に出た時も、その考えは大事になると思うので、継続していきたいです」(山口雄雅くん/中2)フォレストカップでは学年の垣根を越えて、協力しながら運営する姿が見られました。これも日々、フォレストで積み上げてきたことがあってのことでしょう。主体性を育むことは、一朝一夕にできることではありません。コーチ、保護者、選手が同じ方向を見て、我慢強く取り組んでいくこと。その大切さを、フォレストのみなさんが教えてくれました。一場哲宏(いちば・てつひろ)伊勢原FCフォレスト代表。日本体育大学に進学後、ドイツ・ケルン体育大学にて交換留学生として4年間サッカーの指導法を学ぶ。ケルンの街クラブで5・6才カテゴリーの監督の他、イギリスや湘南ベルマーレなど国内外で指導に携わる。 2019年4月から一般社団法人伊勢原FCフォレスト代表理事と保育専門学校講師として活動中。独・英・Jクラブで確立したサッカーを通して『人間力』も養う【4ステップ理論】を提供。保有資格は、日本サッカー協会公認指導者ライセンスB級、日本サッカー協会公認キッズリーダーインストラクター、日本キッズコーチング協会公認エキスパート、幼稚園教諭一種保育士
2021年04月19日まだ中学生で、生理周期も定まっていなかったころ、友だちの家で突然生理になってしまいました。当時はとにかく恥ずかしい気持ちでしたが、今となっては、後悔もしている出来事です。 次の生理がいつなのか、まだわからない中学2年生くらいのときのことです。まだ、生理周期が定まっておらず、生理不順のような状態だった私は、次の生理がいつくるか、なかなかわかりませんでした。 しかし、ある日、よりによって、友だちの家に遊びに行っていたときに、生理になっていることに気づいたのです。 とりあえずの応急処置で使ったのは…生理になったことに気づいた私は、トイレで大慌て。でも、「来たばっかりの生理なら、そんなに量は多くないだろう」と思い、私はとりあえずの応急処置として、トイレットペーパーをたくさんショーツの上に敷いておくことに。 そして、トイレを出て、何事もなかったように、友人と一緒に、部屋でずっと漫画を読んで過ごしました。 「どうしよう…」動揺した私がとった行動は…しばらくして、帰る時間になりました。立ち上がり、ふと自分が座っていた所を見ると、フローリングに血が…! 先に部屋を出ていた友人は気づかなかったようで、玄関から「お母さが迎えに来てくれるよ~」と呼んでいました。 私は、恥ずかしい気持ちと、汚れてしまってどうしよう…という気持ちとで動揺しました。そして結局、フローリングが経血で汚れてしまったことを、友人に言い出せないまま、友人の家を後にしてしまいました。 自宅に帰ってからも、私は気になって気になって……。結局、帰ってから生理に気づいたことにして、翌日、友人に必死で謝りました。 このエピソードは今でも生理がくるとときどき思い出す出来事です。そして、「あのとき、その場で誤ればよかった」と、今で後悔しています。ただ、その友人は、私の結婚式にも来てくれ、今でも仲良くしてもらっている友人です。 監修/助産師REIKO-----文/ちょこさん
2020年09月12日誰だって愛される恋愛をしたいもの。でも、必ずしもうまくいくとは限りませんし、失敗してしまうこともあります。大切なのは、失敗の原因を見つめ直し、次に活かすことです!そこで今回は、彼にフラれてしまった理由を調査。その理由から愛され女子になる秘訣を考えていきたいと思います。■ 理想の付き合い方を押しつけた「まわりに自慢できるようなデートや記念日など、いろいろと理想を押しつけてしまった結果、『疲れてしまった』とフラれてしまいました」(22歳・大学生)恋人ができたら“やりたいこと”や、“叶えたいこと”などは、誰だって少なからずあるものです。でも、その理想ばかり追い求めてしまうと“愛情を深める”ことよりも“自分の理想を叶える”ための恋愛となるため、相手は疲れてしまいます。理想を叶えることは悪いことではありませんが、せっかくなら2人とも満足な関係を目指したいところですよね。日頃から、彼の意見や気持ちに寄りそうように意識するのも大切です。■ 信頼&安心させる努力を怠った「『浮気じゃないから』と言い逃れしては、彼氏ができてからも飲み会に行ったり男友だちと遊んだりしていた結果、彼から「信用できない」と別れを告げられました」(26歳・アパレル販売)彼氏がいるからほかの男性と関わってはいけないというわけではありません。でも、交際相手の異性関係はどうしても気になってしまうものです。それに、ほかの男性に対して彼氏が嫉妬するのは、あなたを大切に思っている証拠でもあります。自分の行動によって相手の気持ちを乱さないかどうか、一度立ち止まって考えることも大切。とくに異性関係は、恋人との信頼関係を大きく左右させます。お互いの恋愛観や価値観を理解し歩み寄ることで、別れの原因を1つ解消できるはずです。■ 仕事に夢中で放置してしまった「仕事が忙しく、ずっと彼氏をほったらかし……。だいぶ経って彼の寂しさに気づいたときには、彼は心変わりしていました」(27歳・ウェディングプランナー)仕事を頑張るのはとても素敵なこと。でも、連絡すらなおざりにしてしまっては男性も寂しさを感じますし、相手にされていないと思うと心変わりしやすいようです。残業や出張などで直接会って話すのが難しいときは、LINEの通話やメッセージで気持ちを伝えて。会えなくても気持ちがつながっていると感じられれば、不思議と待っていられるものです。仕事が忙しいときこそ、コミュニケーションや思いやりを忘れないでいたいですね。■ 甘えてワガママを言いすぎた「リッチな彼に甘えて、あれこれおねだり。優しい彼に調子に乗ってワガママばかり言っていた結果、『お金がかかりすぎて将来を考えられない』とフラれてしまいました」(24歳・受付)甘えることは悪いことではありませんが、遠慮や謙虚さを忘れてしまうと、“お金目当て” “ワガママ”と思われやすくなります。優しい彼氏だとつい甘えたくなるのは自然ですし、甘やかすのが好きな男性も多いですが、バランスを考えてふるまうのが賢明です。たまにはしっかりした大人な一面を見せることで、かえって一目置かれるようになることも。男性は結婚を考えられる相手かどうかをいろいろな場面で見ているもの。安心して家庭を築けるような堅実さをアピールすることも大切ですね。■ おわりにどの失敗も1回の過ちで別れにつながるというわけではありませんし、早めに気付いて改善していくことで別れの回避につながります。どれも小さなことの積み重ねですから、負の連鎖を断ち切って良い循環に変えられるよう意識してみて。ついやってしまいがちな失敗を忘れずに、愛され続ける恋愛をつかんでくださいね!(白藤 やよ/ライター)(愛カツ編集部)presented by愛カツ ()
2020年08月13日なにかに失敗して、落ち込んでいる子どもの姿を見るのはつらいものです。「こんな思いをさせるくらいなら、失敗しないように導いてあげなければ」と考える親御さんの気持ちもよくわかります。一方で、「これからの人生において、つらいことや苦しいことはたくさんある。いまのうちに失敗を経験させるべき?」と悩むこともあるでしょう。今回は、「失敗したことがない子」にはどのような将来が待っているのか、また失敗することの大切さについて解説していきます。子どもは「失敗する機会」を奪われている!?現代では、「ちょっと壁にぶつかるとすぐに諦める」「打たれ弱い」「失敗を恐れて新しいことに挑戦しない」若者が多い傾向が見られるといいます。その原因として最も大きいのは「幼い頃からの環境」であり、日本の学校特有の教育方針にも問題があるようです。「日本の教育は、子どもたちから失敗の機会を奪っている」と指摘するのは、花まる学習会グループ「西郡学習道場」代表の西郡文啓先生。日本の教育では、失敗を避けて効率的に生きることを子どもたちに教える傾向が強く、社会に出てからもそれを求められるため、子どもたちは自然と「失敗したらいけないんだ」と思い込んでしまうのです。西郡先生は「日本の教育は、自分のやり方ではなく『正しいとされている』やり方を教えられる」と言い、「学校では、成功の方法は教えてもらえるが、失敗したあとの方法は教えてもらえない」と苦言を呈しています。そして、「失敗を奪っているのは教育現場だけではなく、親も知らず知らずのうちに子どもを失敗から遠ざけようとしている」とも話します。子どもから「失敗する機会」を奪い、それが正しいと信じているのが、「ヘリコプターペアレント」と呼ばれる親たちです。ヘリコプターペアレント過保護かつ過干渉な親の総称。わが子が失敗しないように見張り続け、困難に遭遇しようものならすぐさま飛んでいって助ける親を指す。すべての失敗や困難から子どもを遠ざけて、傷つかないように守るヘリコプターペアレント。その過剰な愛情は、子どもの内面的な成長や将来の成功の機会を奪います。「子どものために」失敗から遠ざけた結果、子ども自身の自立を阻んでしまっているのです。失敗しなかった子は「他人の判断に依存する」失敗を避け続けて成長した先に、いったい何が待ち受けているのでしょうか。『メンタルが強い子どもに育てる13の習慣』(講談社+α新書)の著者で、サイコセラピストのエイミー・モーリン氏は、「些細なことまですべて親が決めてしまう “ヘリコプターペアレント” に育てられた子どもは、基本的な意思決定能力すら備わらずに大人になってしまう」と述べています。ヘリコプターペアレントの子どもは、ほかの子どもたちに比べて圧倒的に「決断する機会」が減ります。そのため、ちょっとしたことでも自分では決められず、「ママ、どうしたらいい?」「パパはどう思う?」と、親や他人の判断に強く依存するようになるのです。また、幼少期に失敗を重ねなかったことから、「完璧な自分」しか認められない、自分を好きになれないなどのネガティブな価値観形成が見られるケースも多いそう。実際に、親がヘリコプターペアレントである人はうつ病になりやすく、人生への満足度も低い傾向が見られます。子育ち研究家の長岡真意子さんは、「失敗を恐れる完璧主義の人は、周囲に対しても完璧さを求める傾向が強くなり、相手に対して否定的・批判的になってしまう」と述べています。ゆえに人間関係がうまく築けずに、孤立してしまうのです。さらには、失敗したくないがために挑戦することを避け、自分が確実にできることにしか手を出さなくなることも。これではせっかく成長の機会が訪れても無駄になってしまいます。失敗をしたことがない子や失敗を恐れる子は、一見「おとなしい優等生」のように見えますが、自らの成長の機会を避け続けているため、どんどん周囲との差が開いてしまうのです。失敗は脳にとって最高のエクササイズ!前出の西郡先生は、「これからの時代を生き抜くための力を育てるには、『失敗』が不可欠」と断言しています。そして、「失敗をしたうえでの成功体験をもっている子どもは、わからないことそのものを楽しく感じる。その差が、将来の学力の差になる」とも述べています。できなかったことができたとき、前に失敗したことを克服できたとき、子どもは大きな快感を味わいます。その快感が、学習意欲や、もっと学びたいという向上心にもつながっていくのです。「失敗は脳にとって最高のエクササイズ」と話すのは、性別や年齢別の脳の違いを分析し、独自のマーケティング論を展開している(株)感性リサーチ代表取締役の黒川伊保子さん。黒川さんによると、失敗は脳の “直感力” を高めるそうです。「勘が働き、パッとひらめく脳」は、失敗がつくるものと言っても過言ではありません。また、『東大生を育てる親は家の中で何をしているのか?』(文響社)の著者で、進学塾VAMOSの代表である富永雄輔先生は、「親はつい成功体験を重視しがちだが、成功体験と同様に失敗体験も子どもの挑戦力を育てるためには欠かせない」と述べています。富永先生いわく「理想は、成功が51・失敗が49」。49の失敗体験があってこそ、51の成功がより生きるのだと考えましょう。私たち親は、つい「失敗しないように手助けしなきゃ」と考えてしまいますが、「その失敗が子どもの挑戦力につながる」と意識を変えなければならないのかもしれませんね。「あなたなら失敗しても大丈夫!」と励ましてわざと子どもが失敗するように仕向ける親はいませんが、「失敗しそうだな」と察知して事前に止めることを我慢するだけで、子どもにとっては成長のチャンスになることも。前出のエイミー・モーリン氏は、「手を出すことをやめ、『あなたなら失敗に耐えられる』と子どもを励ますことに心を注ぎましょう」とアドバイスしています。大事なのは、子ども自身が「自分で決められる」「失敗しても立ち直れる」という自信を身につけることです。自分で麦茶を入れようとしてこぼしてしまった、ふざけて走っていたら転んでしまった……。そんな子どもの様子を目にすると、とっさに「なにやってるの!」「まったくもう!」「危ないって言ったでしょ!」と強い言葉が出てきがちです。しかし、このような場合に必要以上に叱ってしまうと、子どもは「失敗は恥」だと感じてしまいます。子どもが失敗を恐れなくなるためにも、「次はどうしたらいいかな?」「今度はうまくいくように自分で考えてごらん」と、次のチャレンジにつなげられるような声かけを心がけましょう。また、失敗して落ち込んでいるようなら、親御さん自身の失敗談を話してあげるのも効果的です。失敗からどう立ち直ったのか、失敗しても結果的にはいい方向に物事が進んだ、など子どもの気持ちが前向きになるエピソードを話してあげるといいでしょう。大事なのは成功したかどうかではありません。一生懸命取り組むことや、楽しみながらやり遂げることのすばらしさを、自分の体験を通して学ぶことが、子どもの自信につながるのです。***親御さん自身も、「あのときの失敗があったからこそ、結果的に成功することができた」といった経験はありませんか?失敗を恐れずに、積極的にチャレンジする力を育むことは、お子さんの将来に必ずプラスになるでしょう。(参考)ウーマンエキサイト|なぜ親は子どもが失敗することを恐れるのか?【「ちゃんと失敗する子」の育て方 Vol.2】STUDY HACKER こどもまなび☆ラボ|過保護に育った子どもの恐ろしい将来。我が子の成長を奪う「ヘリコプターペアレント」現代ビジネス|メンタルが強い子の親が、子育て中絶対に「しないこと」があった!STUDY HACKER こどもまなび☆ラボ|失敗を恐れる「完璧主義」の子ども、なぜそうなった?4つの予防・改善方法All About|完璧主義の子供は成長に悪影響を及ぼす?子育てでの対処法PHPのびのび子育て 2020年8月特別増刊号, PHP研究所.STUDY HACKER こどもまなび☆ラボ|“49”の失敗体験が子どもの挑戦力につながる!過干渉にならない会話のコツ『これからの未来を生き抜くできる子の育て方』(2018年), 洋泉社MOOK.
2020年08月11日パパイラストレーターのYUDAI9℃(ユウダイクド)と申します。今回は3歳になる息子の寝かしつけがテーマ。20時には寝かしつけているのですが……。わが家では夫婦そろって子どもを寝かしつけています。 元気があり余っている3歳の息子、毎晩の寝かしつけは一苦労。すんなり寝てくれる日は本当にまれで、大体はこちらが寝たふりを決め込んで、遊び疲れていつの間にか眠りについているというパターンが多いです。 寝たふりをしながら「あの仕事を片付けよう」とか「あのテレビを見よう」とか子どもが寝てからのスケジュールを考え、寝付くのを待っているのですが、大抵僕のほうが先に寝てしまっています。 気が付けば朝、調子が良くて深夜0時……。やりたかったことはほとんど出来ず、ただただ無駄に睡眠時間ばかり増えて行く日々。子育ての時間のやりくりは本当に難しいですね(寝なければいいだけの話なのですが笑)。 著者:イラストレーター YUDAI9℃2017年6月4日生まれの男の子を子育て中のパパイラストレーター。奥さんと子どもにどうにかして好かれたい一心で、毎日生きている。普段はこぶたのキャラクター「ポトフスキー」を描いている。
2020年06月26日少子化が進んだいま、限られた数の子どもに愛情をたっぷり注ぐ親が増えていることで、新たな問題が生じています。それは、「子どもが失敗をしないようにする親」の増加です。失敗をしないことは悪いことではないようにも思えますが、いったいなにが問題なのでしょうか。教育ジャーナリストとして活躍する、中曽根陽子さんに教えてもらいました。構成/岩川悟取材・文/清家茂樹写真/石塚雅人(インタビューカット)子どもに失敗させまいとするのは、親が「安心したい」だけ子どもが失敗することがわかっていて、みすみすその道を進ませるのは忍びない――。子どもに失敗させたくないというのは、我が子を思う親として当然の感情であり、親が持つ本能ともいえます。ただ、その感情の裏にあるのはなにかというと、多くは親自身が「安心したい」という気持ちのように思うのです。いまは世の中の先行きが不透明な時代です。だからこそ、自分が受けてきた教育や体験をそのまま子どもに与えるだけでは通用しないということも親は薄々感じています。すると、「学歴をつけておけばいい」というふうに、「これをやらせておけばいい」といった策が見つからないということになる。その不安を解消して自分が安心したいがために、「せめて子どもがなるべく失敗しないですむようにしたい」という発想に至るのだと思います。「わたしの子どもは失敗しないから、子育てや家庭教育がうまくいっている」と感じたいわけです。そう考えると、子どもに失敗させまいとして取っている言動も含め、自分の言動の裏にある親自身の気持ちをときどき振り返ることが大切になってきます。「いまの言葉かけや行動は、本当に子どものためのものなのか?」「そもそも自分が安心したいだけではないのか?」というふうに疑問視するのです。子育てに追われる忙しい生活のなかでは、どうしても目先のことばかりに目が向きがちですが、自分自身を俯瞰することはとても大切です。困難に立ち向かう力は、失敗からしか学べないでも、なぜ親が安心したいがために、子どもに失敗させまいとすることがよくないのでしょうか?親が安心することがよくないわけではありません。子どもに失敗させまいとすることがよくないのです。なぜなら、失敗の経験から子どもは多くのことを学び、たくましさを身につけていくからです。新型コロナウイルス感染の拡大という事態で、世の中は一気に変化を余儀なくされています。変化が加速していく時代のなかを子どもたちはサバイバルしていかなければなりません。思いもかけない事態に直面したときにはなおさら、自分で判断し行動する主体性が必要です。それなのに、まったく失敗を経験しないまま大人になってしまうと、ちょっとした困難にぶつかっただけでも挫折してしまうということになるでしょう。困難にぶつかって一度はしょげてしまっても、そこから学び、再びその困難に立ち向かうようなたくましさは、失敗を乗り越える経験からしか学ぶことができません。そして、その学ぶ場は学校などではなく、多くは家庭生活のなかにあります。だからこそ、親の対応が大切になるのです。考えてもみてください。親元にいるときの子どもの失敗なんて、大人から見れば大したものではないはずです。仮に失敗したとしても、人生が終わるといったことはありません。ですから、どんどん失敗をさせてあげましょう。そのなかで、子どもは失敗を乗り越える成功体験を積むことができる。その体験が、のちに生きる知恵として力を発揮するようになるのです。子ども自身に任せ、子ども自身に解決させる子どもに失敗をさせることが大事だというと、「子どもにどうやって失敗させたらいいでしょうか?」なんて疑問を持った人もいるかもしれません。でも、「失敗をさせる」のではなく、「失敗をさせないようにしない」ことが大切です。言い換えると、いい意味で放っておくのです。たとえば、「子どもが忘れ物をしないか心配だから」と考えて、子どもが小学校に持っていく持ち物をすべて用意しているような人はいませんか?もちろん、子どもが小さいときにはトレーニングとして一緒に持ち物の準備をすることも必要でしょう。でも、いつまでたっても親がすべて用意していると、仮に忘れ物があったときには、子どもは「お母さんがちゃんと用意してくれなかったからだ!」と親のせいにします。そうではなくて、子どもに任せればいい。それで忘れ物をしたとしても、強く叱ってはいけません。なぜなら、叱るだけでは子どもの行動変容につながらないからです。親がやるべきことは、子どもに任せて、失敗したとなったら今後の行動変容を促すこと。「次からどうすればいいかな?」と聞いてみましょう。忘れ物をして恥ずかしい思いをした子どもなら、「忘れ物をしないためにはどうしたらいいか」と自分で必死に考えるはずです。持ち物の用意に限らず、さまざまなことを子どもに任せること。そしてなにか問題が発生したとしても、親はサポートに徹して子ども自身に解決させることを強く意識してほしいと思います。『1歩先いく中学受験 成功したいなら「失敗力」を育てなさい』中曽根陽子 著/晶文社(2016)■ 教育ジャーナリスト・中曽根陽子さん インタビュー記事一覧第1回:親の役目は我が子の「自己探究の力」を育むこと。“理想の子ども像”を押し付けてない?第2回:学歴の価値はどう変わる? 「偏差値の高い大学に行く」ことにしがみつく必要は、もうない第3回:任せて、失敗させて、考えさせる。「困難を乗り越える力」を伸ばすには、放っておくのが◎第4回:自己肯定感が「高い子の親」と「低い子の親」。驚くほど全く違う、それぞれの特徴とは(※近日公開)【プロフィール】中曽根陽子(なかそね・ようこ)1958年生まれ、東京都出身。教育ジャーナリスト。マザークエスト代表。慶応義塾大学大学院システムデザインマネジメント科ヒューマンラボ研究員。出産のために小学館を退職後、1994年、子育て中の母親たちが子どもと一緒にあそび場をチェックし紹介する『子どもとでかける大阪あそび場ガイド』(メイツ出版)を制作。取材から執筆、イラストまですべてを母親たちの手によって作成した同書は、いまなお改定版を重ねるロングセラーとなり、シリーズ累計50万部超。2004年、女性のネットワークを生かした編集・取材活動を行う情報発信ネットワーク「ワイワイネット」を発足。「お母さんと子どもたちの笑顔のために」をコンセプトに、数多くの書籍をプロデュース。2013年、「親を人材育成のプロに」というコンセプトのもと、母親自身が新しい時代をデザインする「マザークエスト」を立ち上げ、アクティブラーニング型のセミナーの開催を中心に活動している。現在は、教育ジャーナリストとして紙媒体からウェブ媒体まで幅広く執筆する傍ら、海外の教育視察も行い、偏差値主義の教育からクリエイティブな力を育てる探求型の学びへのシフトを提唱する。主な著書に『はじめての海外旅行 安心おでかけガイド』(メイツ出版)、『マンガ版 子どもが伸びる! コーチングブック』(合同出版)がある。【ライタープロフィール】清家茂樹(せいけ・しげき)1975年生まれ、愛媛県出身。出版社勤務を経て2012年に独立し、編集プロダクション・株式会社ESSを設立。ジャンルを問わずさまざまな雑誌・書籍の編集に携わる。
2020年05月21日子ども教育の現場においては、場面に応じた「言葉がけ」が重要だといわれます。さまざまな場面のなかでも、子どもが打ち込んでいるスポーツの試合、習い事の発表会や昇段試験、あるいは入学試験に臨むといった場面では、持っている力をしっかり発揮できるような言葉がけをしてあげたいものです。その言葉がけは、英語で「ペップトーク」と呼ばれています。その言葉がけによって、子どもはどんな影響を受けるのでしょうか。日本におけるペップトークの第一人者である、日本ペップトーク普及協会代表理事・岩﨑由純さんにお話を聞きました。構成/岩川悟取材・文/清家茂樹写真/石塚雅人(インタビューカットのみ)ラグビーワールドカップで生まれたペップトークの名言「ペップトーク」は、英語表記で「peptalk」と書きます。ちなみに「pep」は、「元気、活気、活力」といった意味です。それが「話」を表す「talk」と結びつき、日本語では「励ましの言葉、激励演説」というふうに訳されます。このペップトーク、もともとは欧米のスポーツの現場で生まれました。みなさんも、スポーツを題材にしたアメリカ映画のなかで、大事な本番直前のロッカールームで、監督やコーチが熱い言葉で選手たちを励まし、士気を高めるといったシーンを観たことがあるでしょう。その言葉がけがまさにペップトークです。ペップトークはとくにアメリカで発達してきました。というのも、アメリカは、さまざまなルーツや文化的背景を持つ人間が集まる多人種多民族の国家だからです。さまざまなタイプの選手たちをひとつの目標に向かわせるには、できるだけわかりやすく短い言葉で激励のメッセージを送る必要がある。そうして、ペップトークがアメリカで発達することになったわけです。つい最近、同じような力を発揮したペップトークの名言が日本でも生まれました。2019年に行われたラグビーワールドカップで、アイルランド代表との初戦に臨む日本代表メンバーにかけたジェイミー・ジョセフヘッドコーチの言葉です。代表メンバーはそれこそ多人種多民族。そんなメンバーに、彼はこんな言葉をかけました。「誰も勝てると思っていない。接戦になるとさえ思っていない。でも、君たちがどれだけハードワークをしてきたかを誰も知らない。君たちがどれだけ犠牲を払ってきたかも知らない。そして、君たちは自分たちが準備できていることを知っている。わたしもいままさにそのことを知っている。よし、行くぞ!」いま振り返っても感動がよみがえるという人もいるでしょう。そして、選手たちは見事に前評判を覆して勝利した。これが、ペップトークの持つ力なのです。ペップトークの対極にある「プッペトーク」とは?ただ、なにか大事なイベントを前にしてやる気を出したり、その気になる必要があったりするのはスポーツに限った話ではありませんよね。ビジネスの場でもそうでしょうし、子どもたちが習い事の発表会や入学試験に臨むときもそれにあたります。そうして、現在ではさまざまな場にペップトークが広まりつつあるのです。大事なイベントに子どもが臨む直前のことを想像してもらえればわかるかと思いますが、ペップトークに使う言葉は原則として「前向きな言葉」になります。逆のパターンを想像すると、よりわかりやすいかもしれませんね。たとえば、ペップトークという言葉を知らない人も、受験生には「落ちる」「滑る」といった言葉をかけないようにする、あるいは結婚式のスピーチでは「離れる」「終わる」「切れる」といった言葉を使わないということは知っているでしょう。それらのいわゆる「忌み言葉」のようなものが、子どもに対する言葉がけにもあるのです。それは、「短くてわかりやすくてポジティブな言葉」であるペップトークに対して、「長くてわかりにくくてネガティブな言葉」です。そういった言葉を、ペップトークの真反対のものだとして、わたしたちは「プッペトーク」とも呼んでいます。ただ、じつは短い言葉のなかにも、子どもを望ましくない方向に向かわせてしまうプッペトークはあります。たとえば、スポーツの大事な試合に臨む子どもたちに向かって、コーチが「負けたら罰走だぞ!」と声をかけた。もちろん、コーチは勝ってほしいと思うからこそ、厳しい言葉で励ましたつもりでしょう。でも、子どもたちは負けて走らされている姿をイメージしてしまいます。そうして試合前からネガティブになってしまっては、いい結果につながるはずもありません。ネガティブな言葉を浴びせ続けられた子どもの将来こういったプッペトークをかけ続けられた子どもはどうなるでしょうか。先に挙げた「負けたら罰走だぞ!」という言葉は、「脅し」の言葉でもあります。その言葉におじけづいた子どもは、負けまいと必死に頑張った。つまりこれは、コントロールされたわけです。すると、その子が成長したときには、同じように脅しの言葉で人をコントロールするようになる。また、プッペトークのなかには「嘘をつく」というものもあります。夜ふかししている子どもに、親が「夜ふかししているとおばけが出るよ!」といった。でも、夜ふかししてもおばけは出ませんよね。つまり、これは噓です。すると、脅しの言葉のケースと同じように、子どもは平気で噓をつくようになるのです。子どもをそんな大人にしないためにも、脅しや嘘ではない、なるべくポジティブな言葉をかけることが大切です。しかし、子育ての場合には別の視点も必要でしょう。たとえば、小さい子どもが道路に飛び出そうとしたとします。たしかに、スポーツの試合前に「ミスしたら駄目だぞ」なんて言葉をかけることはNGですが、この場合はきちんと「道路に飛び出したら駄目だよ」と教えなければなりません。そのうえで、「手を上げて横断歩道を渡ろうね」と教えてあげるのです。小さい子どもは、やってはいけないことやどうするのがいいのかといった判断がまだできませんから、場面に応じて、それらをセットで教えてあげることが大切なのではないでしょうか。『相手の結果を100%引き出す 実践!ペップトーク』岩﨑由純 監修・浦上大輔 著/フォレスト出版(2019)■ 日本ペップトーク普及協会代表理事・岩﨑由純さん インタビュー記事一覧第1回:子どもの成功も失敗も、親の言葉がけ次第!「ペップトーク」が持つすごい力とは第2回:子どもの夢を断ち切っているのは親かもしれない。注意すべき「ドリームキラー」発言(※近日公開)第3回:「わたしの子=わたしのもの」と思ってはダメ。“傾聴力”で子育てはもっとうまくいく!(※近日公開)第4回:本番に強いか弱いかは価値観で決まる。「緊張を味方につける方法」の教え方(※近日公開)【プロフィール】岩﨑由純(いわさき・よしずみ)1959年10月10日生まれ、山口県出身。一般社団法人日本ペップトーク普及協会代表理事。NECレッドロケッツ・コンディショニングアドバイザー。日本体育大学体育学部体育学科卒業後に渡米し、米シラキューズ大学大学院体育学専攻科修士課程修了。日本初の「アスレチックトレーナー」として数々のスポーツ現場で活躍。アメリカ留学中に、ペップトークの迫力・思い・魅力を体感し、現在はスポーツの他、教育・ビジネスの世界にペップトークを普及するため精力的に講演活動を行っている。主な著書に『子どもの心に響く励ましの言葉がけ「ペップトーク」』(学事出版)、『想いが伝わるペップトーク』(いまじにあ出版)、『やる気をなくす悪魔の言葉VSやる気を起こす魔法の言葉』(中央経済社)、『心に響くコミュニケーション ペップトーク』(中央経済社)、『子どものココロを育てるコミュニケーション術』(東邦出版)などがある。【ライタープロフィール】清家茂樹(せいけ・しげき)1975年生まれ、愛媛県出身。出版社勤務を経て2012年に独立し、編集プロダクション・株式会社ESSを設立。ジャンルを問わずさまざまな雑誌・書籍の編集に携わる。
2020年01月26日子どもにはお手伝いをさせた方がいいと分かっていても、子どもにやらせると時間がかかったり、失敗したり、散らかったり…と面倒がっていませんか。でも、未就学児に「お手伝いをさせる大きな意味」があると知ったら、積極的にやらせてみようと思えるかもしれません。今回は、未就学児のお手伝いが、未来にどうつながるのかということをお話ししたいと思います。「働くことへの意識づけと経験」は幼少期から育まれる先日、私自身の働き方について、キャリアコンサルタントに話を聞いていたときに、「社会人となり、働きづらさを抱えている人の中には、幼少期から思春期にかけて、家庭や学校生活の中で養うべき力や経験が不足している」というお話がありました。詳しく聞いてみると、これは「幼少期に、働くことへの意識づけと経験」が足りなかったということだそう。この「働くことへの意識づけと経験」はどうすればいいか。それが「家庭でのお手伝い」です。お手伝いは何から始める?ママが目的を持ってさせるお手伝いであれば、何でもOK。その目的とは「人のために働ける喜び」を知ること。家族の一員としてのお手伝いを通して「楽しい」「幸せ」など、子どもが人のために動ける喜びを感じられるように働きかけていくのがママの役割です。手伝ったことに対して「ありがとう」「助かった」という言葉に、子どもは喜びと、頑張ろうという気持ちが芽生えます。お母さんや家族のために何かしようと思えるようになったら、心が成長している証拠です。ここで、失敗したり、思うような結果が得られなかった時は、問題解決能力を親子で高めるチャンス。どうしてうまくいかなかったのか、という原因は本人が不慣れなためだけではなく、環境整備にも問題があったのかもしれません。お片づけなら、入れ物や場所をどのように決めるのかを話し合うことも大事なポイントです。家の中でたくさん「話し合う」経験を積んだ子どもは、友達や先生とも話し合って解決する力が身につくそう。他者へのアプローチは、友達とケンカしてしまった時などにも通じ、ひいては仕事を円滑に進めるための重要なスキルになっていくとのこと。段階的なステップアップ大きな困難に立ち向かう!リジリエンスという言葉があります。「回復力」と訳されることが多く、「折れない心」と解釈できます。幼少期に小さな失敗をした時、内省から次のアクションを起こし、乗り越えるという一連の経験を、人に支えられてできたという経験がある人は、自分ならやれるという自己効力感が働くのだそう。その積み重ねで、自分の経験から立ちはだかる困難にも挑戦してみようと思えるのだそうです。このお話から、お手伝いをさせる中で、まだ早いかな?と思えるような家事にも、段階的にトライさせていきながら、できなかったことが、できるようになる過程の中に親子の成長の種を見つけていきたいと思いました。「お手伝いを通して、誰が見ていなくても、お礼を言われなくても、家事の一部を担ってくれるようになったら、その子は、家族の中で自分の役割を見出し、人のために働くことが身についている」という話を聞きながら、そんな日はわが家にもやってくるのかしらと遠い目をしてしまう私…。そんな私に、有効な言葉がけを教えてくれました。「あなたが〇〇をしてくれたから、パパ/ママは〇〇(仕事・趣味など)ができた」と、「あなたの存在によって助けられた」ということをきちんと伝えることが大事なのだそうです。『お手伝いは、将来わが子が「働く」ことをとらえるために必要なこと』。そう思えるようになってから、私はちょっと前向きにいろいろなことを「やらせてみよう」と思うようになりました。幼稚園や小学校は冬休みを迎え、年末年始はイベントが盛りだくさん。わが家は、家族の時間も増え、新しい年をどんな一年にしていこうかとワクワクしています。まずは、毎年恒例のおせち作りを子ども達と一緒に楽しみたいです!<文・写真:ライターよしだひろこ>
2019年12月28日「これからの時代を生き抜くための力を育てるには、『失敗』が不可欠なんです」と言うのは、花まるグループ「西郡学習道場」代表の西郡文啓(にしごおり ふみひろ)さん。そう言われても、そもそも論として、「失敗が怖い」筆者は、わが子に失敗をさせてあげる胆力(心の余裕)がありません。どうしたら良いのでしょうか? 「Vol.1 “良い大学”では生き抜けない時代。子育ての新しい道筋は?」 の続きです。「いまの学校教育が育てているのは、“受験に合格する力”です」と語る「花まる学習会」グループの西郡さん。AIが進化して答えのない時代に、いま、子どもに、本当に必要な力を、どう育てていけば良いのでしょうか?■“成長”の前には、必ず失敗や困難がある「みなさんも、自分の人生を振り返ってみれば、『自分が成長したな』『壁を乗り越えたな』と感じたときには、その前に必ず失敗があったのではないでしょうか?」と西郡さんは言います。たとえば、部活動で試合に負けて、その悔しさをバネに練習をがんばったとき、大人になってからは、お客様に叱られる、大きなミスをする。そうしたことを乗り越えて、何かを成し遂げたとき。「そんなとき、自分の成長を感じた方も多いのではないでしょうか?」(西郡さん) 成長は、失敗や困難の先にある。失敗ではなく、その先にある成長の方に意識を向けられるようになってくると、いま、目の前にある「失敗」は、成長のためのジャンプ台に見えてくるのかもしれませんね。…と、そんなことを書いてみてはいる筆者ですが、じつは最近、仕事で大失敗をして、ただいま激しく落ち込んでいます。そんななか、「失敗は、ジャンプ台」なんていう気分には、じつは、まったくなれません(涙)。■「失敗」を避ける日本の教育失敗恐怖症ともいえる筆者。「なぜ、自分はこれほどまでに失敗が怖いのか?」ということを理論的に知ることも、失敗恐怖症を和らげるのに役立つかもしれません。従来の日本の教育では、なるべく「失敗」を避けて効率的に生きることが良しとされています。良い大学に入れるように、テストで良い点を取るための勉強をする。「成功の方法は教えてもらえますが、失敗したあとの方法は教えてもらえないのです」(西郡さん)そこには、「失敗」をして遠回りする時間の余裕がないという、致し方ない側面もあります。試験で点数を取るためには、知識を効率よく詰め込む必要があります。「そのため、自分のやり方ではなく、『正しいとされている』やり方を教えられるのが日本の教育なのです」(西郡さん)現在の教育のあり方そのものが、「失敗」を排除する方向にいきがちである。そういった認識を持っておくことが、子どもの失敗を許容できる母への第一歩なのかもしれませんね。■なぜ、うちの子は「失敗」を嫌がるのか?しかし、西郡さんは「『失敗』を奪っているのは教育現場だけではありません。親も、知らず知らずのうちに、子どもを失敗から遠ざけようとしています」とも、言います「親の接し方で、子どもは違ってきます。たとえば、子どもに対して『これはこうでしょ!』と上から目線で伝えるのではなく、『もっとよく見て、これはどうなると思う?』と、示唆的に考えさせるような会話をすることが大切です」(西郡さん)問題を解けなければ、叱る。正解すれば、褒めるという教え方では、子どもはできないことに焦りや不安を感じてしまいます。「失敗をした上での成功体験を持っている子どもは、わからないことそのものを楽しく感じます。その差が、将来の学力の差になるのだと思います。『わからないからおもしろいんだよ』と、繰り返し伝えてあげてください」(西郡さん)。■「できちゃった」が「またやりたい」を生む西郡さんがおっしゃる、「わからないからおもしろいんだよ」と子どもに言える母である、という境地。母であるなら、ぜひとも辿り着いてみたいものです。けれども、現在の筆者は辿り着けていません(涙)。どうしたら良いのでしょうか? 「そもそも、学習とは、ひと言で表せば、『できなかったことをできるようにすること』なんです。『できなかったこと』が、『できちゃった』とき、子どもは大きな快感を味わいます。そして、より勉強をおもしろいと感じるようになり、明日もやりたいという『学習意欲』が生まれます」(西郡さん)やはり、その根底には、『失敗』があります。たとえば、問題が解けなかった。その後、どうすれば解けるようになるか考えて試行錯誤し、最終的に正解を導き出すことで、「やった!」「解けた!」という大きな達成感が生まれるのですから。「その感覚が楽しいから、また勉強をがんばります。そして、もっともっと学びたい、いろいろなことを知りたいという『向上心』が生まれるのです」(西郡さん)■子どもが「明日またがんばろう」と思えるためには「『学習意欲』と『向上心』。この2つを得ることができれば、どんな子も伸びていきます」(西郡さん)。「学習意欲」と「向上心」と書くと難しく感じるかもしれませんが、要するに「明日またやろう」「より良くしよう」という気にさせることだそうです。そのために大切なことは、大人が「できなかったことができるようになっているか」という部分に着目してあげること。「つまり、他人ではなく、以前のその子自身と比べて伸びているかどうかが重要なのです」(西郡さん)昨日の自分にはできなかったことができちゃった。それが楽しいから明日もまたやりたい。「この連鎖が、何よりも子どもを成長させていくのです」(西郡さん)<「失敗する子」の育て方>1)これからの時代を生き抜く子を育てるためには、「失敗」が不可欠2)「できちゃった」が「またやりたい」を生む3)その子自身の成長に注目してあげると、学習意欲と向上心が育つ■花まる学習会/西郡学習道場代表 西郡文啓さんの新著 『ちゃんと失敗する子の育て方』 高濱 正伸、西郡 文啓 (著)/総合法令出版 1,300円(税抜き)●高濱 正伸さん花まる学習会代表・NPO法人子育て応援隊むぎぐみ理事長・算数オリンピック委員会理事。1959年熊本県生まれ。東京大学農学部卒、同大学院農学系研究科修士課程修了。1993年、「この国は自立できない大人を量産している」という問題意識から、「メシが食える大人に育てる」という理念のもと、「作文」「読書」「思考力」「野外体験」を主軸にすえた学習塾「花まる学習会」を設立。ロングセラー『伸び続ける子が育つお母さんの習慣』ほか、『小3までに育てたい算数脳』『わが子を「メシが食える大人」に育てる』『算数脳パズルなぞぺー』など、著書多数。花まる学習会公式サイト: ●西郡文啓(にしごおり ふみひろ)さん1958年生まれ。熊本大学教育学部卒業。花まるグループ内に「子ども自身が自分の学習に正面から向き合う場」として「西郡学習道場」を設立。現在「官民一体型学校」として指定を受けた小学校「武雄花まる学園」にて、学校の先生とともに、小学校の中で花まるメソッドを浸透させていくことに尽力中。高濱さん曰く、「私が経営者という立場で運営部分に頭を働かせているときも、彼はただただ、子どものことだけを考えてきた人間です。頭のてっぺんから足のつま先まで、根っからの教育者で、どんな子でも一度も見放したことはありません」。
2019年08月19日結果はどうあれ、失敗を恐れずなにごとにも意欲的に挑戦できる人間になってほしいと親は子どもに願います。その願いをかなえるためのアドバイスをしてくれたのは、発達臨床心理学、保育学、児童学を専門とする東京都市大学人間科学部教授の井戸ゆかり先生。井戸先生は「親が子どもの『安全基地』になり、子どもに『失敗してもいい』と思わせることが大切」だといいます。構成/岩川悟取材・文/清家茂樹写真/石塚雅人(インタビューカットのみ)親が子どもの「安全基地」になる自己肯定感の低下に伴って、いまの子どもたちは挑戦意欲も失っているように感じます。自己肯定感が低ければ、「どうせ自分にはできない……」と思ってしまって、なにかに挑戦することができません。あるいは、自己肯定感が低いがために、まわりの目を気にすることも子どもが挑戦意欲を失う要因でしょう。友だちや親の前で失敗して恥ずかしい思いをしたくない――。その気持ちが、挑戦から子どもを遠ざけてしまうのです。逆にいえば、自己肯定感が高い子どもには挑戦意欲も備わっているといえます。自分に自信があり、「たとえ失敗してもいい」となにごとにも前向きに取り組むことになりますからね。その、「失敗してもいい」という気持ちを子どもに持たせてあげるには、親が子どもと信頼関係をしっかり築いておく必要があります。どういうことかというと、「失敗してもいい」という気持ちの裏には、なにか問題が起きても「お父さんとお母さんのところにいけば大丈夫」という思いがあるのです。これは、親子が強い信頼関係で結ばれていて、子どもが親を「安全基地」だと感じているということ。その安心感が子どもの挑戦意欲を高めるのです。ときにはおだて上手になって子どもに挑戦させる子どもの挑戦意欲を高めたいと思うのなら、日頃の親子の対話によって信頼関係を築くことがもっとも大切となります。もちろん、なにかに挑戦して子どもが失敗したときにも親がするべきことはあります。そこできちんと対応しておかないと、子どもが「次の挑戦」をしなくなってしまう可能性もありますからね。親がすべきこととは、子どもがどこでどうつまずいたかという分析をすること。たとえば、子どもが目玉焼きをつくろうとして失敗したのなら、そのプロセスを分析するのです。フライパンの熱し方や油の引き方、卵の入れ方はどうだったのか、火の加減や焼き時間は適切だったのか。そういった子どもが行ったプロセスを分析し、つまずいた箇所を発見できれば、そこだけを手伝ってあげればいい。そうすれば、失敗を乗り越えて成功体験を得ることができ、次の挑戦につなげることができます。気をつけてほしいのは、あくまで「失敗した部分」だけを手伝ってあげること。全部を親が手伝ってしまうと、子どもは「お母さんにやってもらえばいいや」と思ってしまって、挑戦しない子どもになってしまうからです。また、なにかがうまくいかなくて子どもが困っているときは、上手に「おだてる」ことも効果的でしょう。わたしが自分の子どもによく使ったのは「格好いいところ、見てみたいな」という言葉です。幼い子どもがうまく着替えができなくてまごまごしているなら、「格好良く着替えるところ、見せてほしいな!」というふうに声をかけるのです。そういう言葉で、子どもは途端にやる気を出します。それでうまく着替えられたら、「格好良かったね」「すてきだね!」というふうに、ちょっと「オーバーアクションかな」と思うくらい大げさに褒めてあげましょう。「格好いい」というと、男の子に向けての言葉のようですが、女の子にもこの言葉は有効であることが多いので、ぜひ使ってみてください。「親だってスーパーマンじゃない」と子どもに教えるそして、親御さんには「失敗してもいいんだ」ということを子どもに教えてあげることも強く意識してほしい。先にお伝えしましたが、親との信頼関係があって「失敗してもいい」と思える子どもはなにごとにも前向きに挑戦できます。もっといえば、失敗した経験がない子どもは、失敗を乗り越える経験もできないのですから、失敗経験がある子どもと比べて弱い人間になってしまいます。そういう意味では、失敗してもいいというより、「失敗する経験も大切」といったほうが正しいかもしれません。その意識を子どもに伝えるためには、きちんと子どもに挑戦させたうえで、ときには親御さん自身の失敗経験を教えてあげることもおすすめです。たとえば、食後の食器の片づけを子どもが手伝ってくれようとしたとします。共働き家庭が増えているいまの忙しい親なら、「子どもが失敗してお皿を割ったりしたら面倒だな」なんて思って、つい自分でやってしまおうとするかもしれません。それでも、まずはきちんと子どもに挑戦させてあげましょう。そして、子どもがお皿を割るなど失敗したときを「チャンス」ととらえるのです。そのとき、頭ごなしにお皿を割ったことを叱ったりしてはいけません。子どもは二度と自分からすすんでお手伝いをしようとは思わなくなるでしょう。そうではなくて、まずは「ケガしなかった?」と子どもを心配してあげる。それから、「お母さんも小さいときにお皿を割っちゃったの」というふうに自分の失敗談を話してあげるのです。子どもからすれば、お父さんやお母さんはなんでもできるスーパーマンのように見えています。でも、そのお父さんやお母さんも失敗したことがあると知れば、たとえ失敗しても挑戦を続けることで、「いつかお父さんやお母さんのような人間になれる」と失敗を恐れない力を得ていくはずです。『保育の心理学 実践につなげる、子どもの発達理解』井戸ゆかり 編著/萌文書林(2019)■ 東京都市大学人間科学部教授・井戸ゆかり先生 インタビュー一覧第1回:あなたの子どもは大丈夫?絶対に見過ごしてはいけない「自己肯定感」低下のサイン第2回:「失敗を恐れない力」の育て方。子どもに「挑戦したい!」と思わせる、効果抜群な言葉かけ第3回:「辛抱強い子」を育てるヒント。「我慢する力」を伸ばすのは“○○上手な親”だった!(※近日公開)第4回:「先生に言いつけるよ」がダメな理由。自己主張できない子が育つ“4つのNGなしつけ”(※近日公開)【プロフィール】井戸ゆかり(いど・ゆかり)東京都出身。東京都市大学人間科学部教授。専門は発達臨床心理学、保育学、児童学。学術博士。横浜市子育てサポート研修講師、渋谷区子ども・子育て会議会長などを務める。二児の母。著書に『子どもの「おそい・できない」にイライラしなくなる本』(PHP研究所)、『「気がね」する子どもたち-「よい子」からのSOS-』(萌文書林)、編著に『保育の心理学Ⅱ 演習で学ぶ、子ども理解と具体的援助』(萌文書林)』、監修書に『1さいのなあに? のびのび育つ! 親子ふれあい絵本』『2さいのなあに? 「知りたい」がいっぱい! であい絵本』(ともにPHP研究所)などがある。【ライタープロフィール】清家茂樹(せいけ・しげき)1975年生まれ、愛媛県出身。出版社勤務を経て2012年に独立し、編集プロダクション・株式会社ESSを設立。ジャンルを問わずさまざまな雑誌・書籍の編集に携わる。
2019年06月13日京都サンガでは「サンガに関係する全ての人々の心を明るくすると同時に、サッカーを通じて地域を振興し、連帯を深めること」を理念としています。この理念をもとに「子ども」に焦点を当て、「子どもまんなかプロジェクト」と題し、2012年から「サンガつながり隊」という活動を行っています。これまで福中善久コーチの「エガオノミカタ」としてお送りしてきたコラムがリニューアル。よっしぃコーチの「みんながつながり隊っ!」としてお送りしますのでお楽しみに。第五回目のコラムをどうぞ。「サンガつながり隊」では最後にゲームを行っています。私も中に入って子どもたちと一緒にプレーすることがあるのですが、私が得点したら「大人なのに本気でゴールしてズルイ」と言う子が多いです。確かに子どもがゴールできるように、大人がお膳立てしてあげるのもひとつの接し方ですが、本気でプレーした先に真の楽しさや喜びがあったり、選手が本気でプレーする姿に見る人が心打たれたりするのがスポーツの本質。そして、子どもたちにとって、スポーツは大人が真剣に取り組んでいる姿を見たり、大人の力を体感できる良い機会です。「大人ってすごいんだ」、「本気ってすごいんだ」という姿を見せるのも大切な学びのひとつだと私は考えています。<<前回:口に出す、誰かに教えることで伝える力がつく!サッカーで体験するアクティブラーニング大人が真剣な姿を見せることも大事。子どもの興味関心を広げたいなら大人がその姿を見せましょう。■①学びの原点は模倣にあります例えば今ほど便利なものであふれていなかった時代、火を起こしたり、食料となる動物を狩ったりすることを、人はどうやって学んだのでしょう?大人が火を起こしたり、狩りをしたりする姿を見た子どもが真似しながら学んでいったのではないでしょうか?「いいか、よく見とけよ」と言いつつ得意げにナイフで鉛筆を削る父親の姿を見て、「大人ってカッコいいな」とか「お父さんってスゴイな」と思った経験をひとつやふたつお持ちの方もきっと多いはずです。現代の日常生活の中であれば、「あいさつをしなさい!」と言って聞かせるのではなく、大人が率先してあいさつする。あるいは「千ャレンジしなさい!」ではなく、大人がいろんなことに興味を持って実践する姿を見せることが大切です。■②大人であっても完璧ではありません大人が子どもの前で何かをやって見せようとする時、どうしても完璧にこなす姿をお手本として見せようとします。でも、大人といえども何事も成功するとは限りませんよね?子どもは大人の失敗からも多くのことを学ぶことができます。「大人も失敗するんだから、子どもの自分が失敗しても大丈夫なんだ」とか、「失敗した時はこうやってフォローすれば大丈夫なんだ」と子どもに感じてもらうことができれば、それは素晴らしい学びの機会になったということです。■③本気で取り組める環境設定をしてあけましょう大人が子どもたちに混じってサッカーをすると「どうせ大人にかなわないんだ」とあきらめる子がいます。でも、「大人がゴールしたら1点、子どもがゴールしたら10点」というルールがあれば大人が3点取っても子どもは全力でゴールを目指します。以前、子どもチーム、大人の女性チーム、男性チームが参加する「田んぼラグビー」を見学する機会がありました。大人の方が技術や力では勝るものの、体の重みでぬかるみに足を取られてしまいますが、子どもは大人たちの間を軽快にすり抜けることができるので、おのずと皆が全力でプレーしないといけない環境がありました。また真剣に取り組むほど勝ちたい気持ちが強くなるのが人間です。大人も子どもも本気でプレーし、その先にある勝利の喜びを爆発させていた田んぼラグビーを見て、スポーツの中にある学びを改めて感じました。<<前回:口に出す、誰かに教えることで伝える力がつく!サッカーで体験するアクティブラーニング福中善久(ふくなか・よしひさ)大阪体育大学卒業後、大阪YMCAで幼児~小学生を中心に様々なスポーツやキャンプ指導にあたった。また、大学生の指導者育成や高齢者スポーツなど幅広く活動。京都サンガでは未来を担う子どもたちに、スポーツを通じて「人と人がつながっていくことの大切さ」を伝える「サンガつながり隊」のコーチとして活動。地域の小学校を中心に年間2万人の子どもと関わっている。
2019年01月31日