まだ妊娠前、職場の健康診断の項目にあった子宮頚がん検査を初めて受けました。当時私は23歳でしたが、結果は「クラス3b。精密検査を受けてください」という結果。とても不安を覚えました。そして精密検査を受け、手術をした私の体験談をお伝えします。 精密検査の内容婦人科で精密検査を受ける際に、子宮頸部の細胞を3カ所採取して検査に出すという説明と、少し痛みが生じることを伝えられました。そして内診台に乗り細胞を採取するとき、パチンパチンパチンッという音と共に少しの痛みを感じました。 ガーセで止血をしたので、そのガーゼを取る処置をしてもらうために翌日も病院に行きましたが、私の場合は細胞を採取した当日も翌日も検査後の痛みはまったくありませんでした。 1週間後の検査結果は……結果は「高度異形成」という、放っておくと癌になる恐れがある細胞があったということでした。医師からは、子宮頸部の細胞をレーザーで焼く日帰りのリープ手術か、子宮頸部を円錐状に切り取る円錐切除術どちらかを選択肢として与えられ、双方のメリットとデメリットを聞き医師と相談することに。 異形成がある部分を完全に取り除くには円錐切除術が良いとのこと。しかし円錐切除術によって子宮頚管が短くなるので、今後妊娠したときは赤ちゃんを支えるために子宮口を縛る必要があるということでした。 迷いましたが、レーザー手術後に経過をみてから、その後に円錐切除術をするという選択もありかなと思い、レーザー手術に決めました。 手術を受けてその後の生活は……リープ手術は体に負担が少なく1時間ほどで終わると伝えられましたが、不安でいっぱい……。いざ始まるとさらに緊張する私に、医師と看護師さんがやさしく声をかけてくださり安心することができました。 手術は麻酔をしなくても痛みを感じることはなく、なんだか少し熱いなぁ……という感覚と焦げたようなにおいが。やがて手術は終わり、術後の生活は普段となんら変わりなく過ごすことができました。その後の検査結果も良好で、4度の出産を経験。現在も年に1度の検査を受けていますが、すべて結果は良好です。 妊娠・出産を経験すると、産婦人科の内診台や分娩台に乗ることにも慣れてきますが、当時の私は独身で婦人科とも縁がなかっため、行くだけで勇気のいることでした。さらに異常があるなんて考えてもおらず、思わしくない結果が出ると頭が真っ白になり、悪いことばかりを考えて泣いてしまう日もありました。しかし術後に経過が良好になったときは、子宮頸がん検査を受けて本当によかったと心から思いました。著者:高橋四葉四児の母。自然分娩二回、帝王切開二回を経験。現在子育てに奮闘しながら自身の体験をもとにした記事を執筆中。 ※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。
2019年04月23日がん検診といったら、なんでも受ければよしというものではない。がん検査にも「適齢期」があり、高齢になるとがんを早期発見する利益より、検査を受けることの不利益が大きくなってしまうことも――。「自治体の検診は無意味ではありません。ただ、そもそも検診は『スクリーニング検査』といって健康な人のなかから、がんが疑われる人を一定数すくいあげ、ふるいにかけるというのが本来の狙い。ですから100%もれなく拾い上げるわけではありません。それを承知したうえで、がん検診を受けることの利益と不利益を確認しておくこと。体への負担といった不利益のほうが大きくなる検査は、あえて受けない選択肢もあります」そう語るのは国立がん研究センター検診研究部部長・中山富雄氏。では、私たちは何を目安に検査を選択すればよいのだろう?そこで参考になるのが、厚労省が取りまとめた「受けたほうがいい」「受けなくていい」検診のガイドラインである。がん検診に適すると評価されている胃がん、大腸がん、肺がん、子宮頸がん、乳がんについて、中山氏を代表とする厚労省の「有効性評価に基づくがん検診ガイドライン」作成チームが、慎重に検討を重ねたうえで、対象者の適正年齢、推奨グレード(A~D、科学的根拠を検討中のI)、そして、受けることによる利益と不利益を定めたものである。「このガイドラインはなんでもかんでも受ければよし、とする風潮のがん検診にブレーキをかける意義もあります」(中山氏)A、Bはおおむね同じ評価で、有効性が高い。Cは受ける利益もあるがそれと同程度の不利益もある。Dは受ける利益がないと評価された検査。Iの評価となっている検査については科学的評価が定まっておらず、今後ランクアップしてAになる可能性もありえるものだ。中山氏とともに、ここでは「胃がん」「大腸がん」の検査を見ていこう。【胃がん】X線検査は、おおむね効果があると認められている。日本では胃がん罹患者じたいが減少しており、家族に胃がんの罹患者がいない人は2年に1度を推奨。対象年齢は、かつては40歳以上を対象としていたが、ピロリ菌感染者の減少により罹患者が急に減っていることから、50歳以上に引き上げられている。ただ、高齢者になると話は変わってくる。「内視鏡はやめておきませんか?」「年をとったら受けられないのか!」昨今、医師と80歳以上の高齢者との間でこんな侃々諤々の問答が繰り広げられているという。実は、がん検査にも「適齢期」があり、高齢になるとがんを早期発見する利益より、検査を受けることの不利益が大きくなってしまうのだ。具体的に高齢になるとどんな不利益があるのか。「まずX線検査は、事前にバリウムを大量に飲むことで、便秘や腸閉塞などのリスクが高くなります。誤嚥や腸閉塞、腸に穴が開くといった合併症が起こる可能性があります。内視鏡検査については、80歳以上になると、胃の粘膜が薄くなり、そこに空気で無理やりに膨らませると、胃壁に穴が開いて、緊急手術という例もあります」(中山氏)そのことから、最近は独自に上限について定める自治体も登場。長野県伊那市では’14年度から、愛知県田原市では’16年から、胃がんのX検査の対象年齢を79歳までと定めた。実は年齢の上限がないのは、先進国では日本とドイツだけ。日本でもガイドライン作成チームが、がん検診を受ける年齢に上限を設ける方向で検討中だという。【大腸がん】便潜血検査は、すべてのがん検査のなかで、唯一推奨グレードAだ。いわゆる「検便」で、採取するだけで済む、極めて体への負担が少ない検査で、年1回の検査が推奨されている。だが、内視鏡検査などは、「やはり80歳を超えると、検査のダメージも懸念されます」(中山氏)。「腸壁が薄くなっていることから内視鏡検査で腸に穴が開いたり、傷ができたりすることのリスクがあります。また下剤を2リットル飲むのは若い人でも負担が大きい。さらに、下剤を飲むことは高齢の方にはかなり危険を伴います。下剤が利きすぎて、脱水症を起こして倒れたり、脳梗塞を引き起こして、健康だった人が寝たきりになってしまうケースもあります」唯一推奨Aの検便も、高齢になると考えてほしいと中山氏は語る。「受けて異常が見つかってしまうと、次のステップに進むか否かが問題になりますので、この年代であれば、急いでがんを発見して治療をせずとも、症状が出てから治療を検討するほうが賢明だと思います。大腸ポリープで命を落とす可能性は5年先、10年先といわれます。ですから、仮に85歳で発見しても、5年間でほかの不調の出る可能性もあるので、急いでポリープを見つける有効性はないという考え方もできます。便潜血検査も、慎重に検討すべきかもしれません」アメリカでは大腸内視鏡検査は10年に1度を推奨しており、高齢になっても毎年人間ドックで受けているという人は、見直してもいいかもしれない。
2019年03月27日がん検診といったら、なんでも受ければよしというものではない。技師の未熟さ、放射線被曝の危険、高齢者には命とりになることも――。「自治体の検診は無意味ではありません。ただ、そもそも検診は『スクリーニング検査』といって健康な人のなかから、がんが疑われる人を一定数すくいあげ、ふるいにかけるというのが本来の狙い。ですから100%もれなく拾い上げるわけではありません。それを承知したうえで、がん検診を受けることの利益と不利益を確認しておくこと。体への負担といった不利益のほうが大きくなる検査は、あえて受けない選択肢もあります」そう語るのは国立がん研究センター検診研究部部長・中山富雄氏。では、私たちは何を目安に検査を選択すればよいのだろう?そこで参考になるのが、厚労省が取りまとめた「受けたほうがいい」「受けなくていい」検診のガイドラインである。がん検診に適すると評価されている胃がん、大腸がん、肺がん、子宮頸がん、乳がんについて、中山氏を代表とする厚労省の「有効性評価に基づくがん検診ガイドライン」作成チームが、慎重に検討を重ねたうえで、対象者の適正年齢、推奨グレード(A~D、科学的根拠を検討中のI)、そして、受けることによる利益と不利益を定めたものである。「このガイドラインはなんでもかんでも受ければよし、とする風潮のがん検診にブレーキをかける意義もあります」(中山氏・以下同)A、Bはおおむね同じ評価で、有効性が高い。Cは受ける利益もあるがそれと同程度の不利益もある。Dは受ける利益がないと評価された検査。Iの評価となっている検査については科学的評価が定まっておらず、今後ランクアップしてAになる可能性もありえるものだ。中山氏とともに、ここでは「肺がん」「子宮頸がん」「乳がん」の検査を見ていこう――。【肺がん】胸部X線検査と喀痰検査はおおむね問題なく、1年に1度の検査が推奨されている。注意すべきは「CT」であると中山氏は警鐘を鳴らす。「人間ドックではCTは当然のように行われていますが、線量が多すぎることで放射線被曝の問題が生じます。世界中の流れでは非喫煙者には行うべきではないともいわれています」また、技師の技術不足も挙げられる。「施設によっては、技師が医療機器を扱い切れていないことが大問題です。体への負担を気にせず、放射線を大量に浴びせてしまうことがあるのです。大きな病院では線量を患者さんにきちっと提示するところもありますが、告知せずやりっぱなしの医療機関も多く、線量の提示は普及してはいません」内視鏡の場合、本人にしんどいという自覚があるが、CTを受ける場合は、どれだけ被曝しても自分ではわからないので、危険だ。「毎年受けるのは、かなり害がありますから慎重に。受けたとしても、その前にどのくらいの線量を使用するか確認しましょう」【子宮頸がん】細胞診は一定の利益が認められている。従来法、液状検体法のいずれも20歳以上なら、2年に1回受けることが目安となる。「世界でもっとも広く行われている検診なので推奨できます」子宮頸がんの原因となるウイルスHPV(ヒトパピローマウイルス)に感染しているかどうかの検査については、いまは推奨グレードがIとなっているが、「推奨する」に改訂するかどうかの議論が進行中という。今後の行方に注目したい。【乳がん】40歳から74歳を対象としたマンモグラフィー単独法と、64歳までのマンモグラフィーと視触診の併用法については、「推奨する」としているが、そのほかの検診については「推奨しない」との結果。特に若い女性は乳腺のタイプによっては発見困難なこともある。「40歳未満の女性の乳房で、乳腺組織が多い場合を高濃度乳腺『デンスブレスト』といいます。こうしたタイプはマンモグラフィーでは全体的に白っぽく塊のように写ってしまい、がんがあっても発見しにくい、という難しさがあります」と、中山氏が解説するように、40歳未満の人についてのマンモグラフィーの単独法およびマンモグラフィーと視触診の併用法は推奨グレードはIとなっている。「今後、このタイプの乳腺の女性の検診についても検討を重ねる必要があります」超音波検査(エコー)については、読影技術によって診断結果にあまりにもばらつきがあるので、欧米諸国では、信頼性の低い検査とされている。
2019年03月27日「がん患者の登録が’16年に施行されて初めて全数調査。これまでよりも正確で詳細ながん患者の実態分析が可能です。ランキングに一喜一憂することなく、この調査結果から浮かび上がる、がん予防のヒントを見つけ出すことが重要です」そう語るのは、国立がん研究センター「全国がん登録」室長の松田智大医師。厚生労働省が1月17日に公表した「’16年がん患者数」は、すべてのがん患者を追跡する「全国がん登録」のデータを初めて集計・分析したもの。この調査結果で見えてくるのが「女性のがんが少ない県」である。「全国がん登録」に調査に関わっている松田先生が続ける。「がんのリスクを減らし、かつ科学的根拠が示されている健康習慣は『禁煙、節酒、食生活、身体運動、適正体重の維持』の5つ。これらに加えて“がんになりにくい地域”には、それなりの食生活や生活習慣が隠されているのです」女性のがんが少ない都道府県ランキングトップ10は次のとおり(人口10万人あたりのがん罹患者数)。【第1位】愛知県・321.9人【第2位】山口県・327.2人【第3位】群馬県・328.3人【第4位】山形県・330.9人【第5位】岡山県・331.2人【第6位】長野県・331.4人【第7位】沖縄県・332.7人【第8位】栃木県・333.8人【第9位】静岡県・335.0人【第10位】島根県・336.8人※厚生労働省「がん登録2016年速報」より作成この“がんにならない県” ランキングで第1位になった愛知県にはどんな秘密があるのだろう。愛知県がんセンター研究所の松尾恵太郎医師が語る。「愛知県の女性の場合、がんのリスクを上げる喫煙率や飲酒率では、全国平均を大きく下回っています。また、肥満が比較的少ないのも重要なこと。厚生労働省の調査でも肥満率は全国の平均より下にあります。また、年間のスポーツ行動者率は全国6位。つまり体を動かす習慣を持つ人も多いのです。さらに県内の女性に、がんが少ない要因は、乳がんになる人が少ないことです」たしかに「全国がん登録」の最新のデータによると、愛知県女性の乳がんの罹患率は7.5%(’16年累積罹患率10万人あたり)で全国トップ3に入る低さ。愛知県が乳がんの罹患を抑えている背景とは?松尾先生が分析する。「乳がんは、乳腺が女性ホルモンにさらされ続けることによって発症リスクが上がります。妊娠中は分泌が止まるため、女性ホルモンにさらされない期間が生じます。そんな機会が多い方が、乳がんの罹患リスクを下げます。実は愛知県は人口が多い割に婚姻率が高く、また若くして結婚している女性が多いのが特徴。妊娠回数も多いことが予想され、乳がんの罹患率を下げることに寄与している可能性もあります」愛知県の婚姻率は全国3位(’16年総務省統計局調べ)。ちなみに「女性のがんが少ない県」第2位、山口県の女性の平均結婚年齢は28.6歳(’15年人口動態統計)。日本でもっとも早婚の県のひとつである。愛知県の県庁所在地・名古屋市では、喫茶店文化が花開いていることで知られている。名古屋市の喫茶代は1世帯あたり年間1万2,945円(’14~’16年平均、総務省調査)と全国2位だ。名古屋学芸大学健康・栄養研究所の下方浩史所長は次のように語る。「そんな喫茶店の多くで提供されるのはボリュームたっぷりのモーニングサービス。その背景には、愛知県民に朝食をしっかり取る習慣が根づいていることがあるでしょう。朝から良質なタンパク質などをしっかり食べれば、体内時計が整います。体内時計が正しく動くことは、がんの増殖を抑える効果があるともいわれているのです。喫茶店は、愛知県に住む女性たちにとっての社交場。友人とのおしゃべりは、がんの発症要因と考えられるストレスの発散にも。また大いに笑う楽しい会話は免疫力を高め、がん細胞を消滅させるナチュラルキラー細胞を増やしてくれるのです」また、愛知県といえば、トヨタを筆頭に、デンソー、ブラザー工業など大企業が多い。そんな企業の福利厚生が、がんになりにくい県をつくっていると、下方所長。「従業員ばかりではなく、家族の健康にも配慮する、古きよき日本の文化が残っている企業が多く、主婦の健診や人間ドックの補助金が出ることも。そのように健康を意識する機会が増えれば、食生活や生活を変えるきっかけにもなるでしょう」(下方所長)
2019年02月01日厚労省が新たに発表したがん罹患率の調査結果は、これまでのものよりさらに正確な数字だといわれるが、がん患者が少ない地域の“生活スタイル”をのぞいてみると驚きの共通点が見えてきた――。「がん患者の登録が’16年に施行されて初めて全数調査。これまでよりも正確で詳細ながん患者の実態分析が可能です。ランキングに一喜一憂することなく、この調査結果から浮かび上がる、がん予防のヒントを見つけ出すことが重要です」そう語るのは、国立がん研究センター「全国がん登録」室長の松田智大医師。厚生労働省が1月17日に公表した「’16年がん患者数」は、すべてのがん患者を追跡する「全国がん登録」のデータを初めて集計・分析したもの。この調査結果で見えてくるのが「女性のがんが少ない県」である。「全国がん登録」に調査に関わっている松田先生が続ける。「がんのリスクを減らし、かつ科学的根拠が示されている健康習慣は『禁煙、節酒、食生活、身体運動、適正体重の維持』の5つ。これらに加えて“がんになりにくい地域”には、それなりの食生活や生活習慣が隠されているのです」女性のがんが少ない都道府県ランキングトップ10は次のとおり(人口10万人あたりのがん罹患者数)。【第1位】愛知県・321.9人【第2位】山口県・327.2人【第3位】群馬県・328.3人【第4位】山形県・330.9人【第5位】岡山県・331.2人【第6位】長野県・331.4人【第7位】沖縄県・332.7人【第8位】栃木県・333.8人【第9位】静岡県・335.0人【第10位】島根県・336.8人※厚生労働省「がん登録2016年速報」より作成この“がんにならない県”ランキングで第1位になった愛知県にはどんな秘密があるのだろう。そして、上位に入っている県にはどんな共通点があるのだろうか?愛知県がんセンター研究所の松尾恵太郎医師が語る。「愛知県の女性の場合、がんのリスクを上げる喫煙率や飲酒率では、全国平均を大きく下回っています。また、肥満が比較的少ないのも重要なこと。厚生労働省の調査でも肥満率は全国の平均より下にあります。また、年間のスポーツ行動者率は全国6位。つまり体を動かす習慣を持つ人も多いのです」また、愛知県といえば八丁味噌や三河味噌などの豆味噌が食卓を彩ることが多いが……。「愛知県民は味噌汁以外だけでなく味噌カツや味噌煮込みうどん、どて煮など調味料として豆味噌を多用していることは重要なポイントです。蒸した大豆を味噌玉にして、こうじに仕込んでつくる豆味噌には、女性ホルモンと似た働きをする大豆イソフラボンが豊富。それが乳がんの発症を防ぐ効果があると考えられています」(松尾先生)発酵食品である豆味噌の抗酸化力に注目しているのが、椙山女学園大学の江崎秀男教授(管理栄養学)。「2年以上熟成させる豆味噌には褐色の色素『メラノイジン』が多く含まれ、米味噌や麦味噌と比較しても抗酸化作用が強いのが特徴。体を酸化させて細胞や遺伝子を傷つけてがんを発生させる、活性酸素を除去する働きがあるのです。また『メラノイジン』には、糖尿病を予防する機能も。がんの発症リスクを2~3割上げるといわれるのが糖尿病です。実は愛知県は、糖尿病による死亡率がもっとも低い県です」豆味噌だけではない。愛知県では、生産量の多い酢、みりん、醤油などバラエティ豊かな発酵食品がそろっていることも忘れてはならない。発酵食品といえば「女性のがんが少ない県」で第3位に入っている群馬県は「乳酸菌飲料」の年間消費額が全国平均の2倍近くで、全国トップクラス。腸内環境を整え、免疫力を高める効果がある発酵ライフも大切なようだ。愛知県の年間日照時間は2168時間(総務省統計局調べ)で全国第2位。この日照時間の長さとがんとの関係に注目しているのは、名古屋学芸大学健康・栄養研究所の下方浩史所長だ。「愛知県が、全国でも有数の日照時間が長い地域であることはあまり知られていません。日光を浴びると体内でビタミンDが生成されます。食物から摂取するよりも、日を浴びるだけで効果的にビタミンDが活性化されます。骨格の形成に関与することがわかっているビタミンDですが、最近では免疫機能を高め、肝臓がん、肺がん、乳がんなどの予防効果があることもわかっています」ちなみに、群馬県も1年間の快晴日数46日で全国2位と、共通している部分といえる。がんの予防には、野菜の多い食生活が欠かせないが、実は愛知県は、カゴメの調査によると1人あたりの1日の野菜平均摂取量は99.5グラムで全国ワーストだ。「愛知では共働きで働いている人が多いこともあり、お総菜を買って食べたり、外食の機会が多かったりすることで、野菜の摂取量が低いのかもしれません。しかし、トマトやキャベツなどの日本有数の産地である濃尾平野があり、親戚や知人には農業関係者がいる人も。そこから新鮮な野菜をもらうなど、統計には出てこない“摂取量”もあるはずです。海に面した愛知は新鮮な魚介類や海藻なども豊富。そんな豊かな食の環境もがんの発症を抑えていると考えています」(江崎教授)農業王国の群馬県の野菜産出額は愛知県に次ぐ第6位。ふぐで有名な下関で知られる山口県は、豊かな海に囲まれている。ここにもなにかしらのヒントがありそうだ。最後に、松尾先生が言う。「日本人の2人に1人がなるがんは、私たちにとって身近な病気です。がんのリスクを下げる生活習慣や食などを複合的に、そして地道な取り組みをコツコツ積み重ねることが近道なのです」
2019年02月01日がん保険と医療保険はどちらを選ぶのが良いのでしょうか?あるいはどちらを優先して先に加入するのが良いのでしょうか?すでに医療保険に加入している人はがん保険は不要なのでしょうか?または、がん保険と医療保険の両方に加入していて、重複した保障で無駄になっていないかどうかを確認したいという方もいるかもしれません。今回はがん保険と医療保険の共通点や相違点、そしてどちらを選ぶのが良いのかをわかりやすく説明していきたいと思います。がん保険と医療保険の共通点がん保険と医療保険の共通点を確認していくために、それぞれの基本的な仕組みを理解しましょう。がん保険の仕組みまず、がん保険の基本的な仕組みを確認しましょう。がん保険には、通常以下のような保障があります。がんと診断された場合の保障(1回のみ100万円など)がんで入院・通院した場合の保障(1日につき1万円など)がんで手術した場合の保障(1回につき10万円など)がんで特定の治療をした場合の保障(1回につき20万円など)がん保険の仕組みについては詳細を別の記事で説明していますので参考にしていください。医療保険の仕組み次に医療保険の基本的な仕組みを確認しましょう。医療保険は、以下のような保障が基本となっています。病気やケガで入院・通院した場合の保障(1日につき5千円など)病気やケガで手術した場合の保障(1回につき15万円など)特定の病気で治療した場合の保障(1回につき20万円など)現在の医療保険には多種多様な保障内容があるようにみえますが、突き詰めると上記の基本的な保障にまとめることができます。がん保険と医療保険との類似点両保険の基本的な仕組みを確認したところで、類似点を整理していきましょう。両保険とも入院・通院・手術・特定の治療といった場合に給付金が支払われる、という点です。類似点:入院・通院・手術・特定の治療で場合に給付金が受け取れる点がん保険と医療保険の相違点それでは逆に相違点を確認していきましょう。がん保険と医療保険のどちらを選ぶのが良いのかを考える際に最も参考になるのが、この相違点となります。異なる保障範囲医療保険は、視力回復手術(レーシック)などの一部を除いて、ほとんどの病気やケガという幅広い対象を保障するのが特徴です。これに対してがん保険は、がんに特化した保障範囲です。医療保険は保障する範囲が広く、がん保険はがんのみで保障範囲が狭い、というのが一つ目の相違点です。相違点1:医療保険は保障範囲が広く、がん保険はがんのみの保障範囲である点手厚いがん保障医療保険は幅広い病気やケガを保障範囲とする反面、保障額は入院や通院で1日につき3千円からせいぜい1万5千円までが限度です。また手術も1回につき5万円から40万円となっています。これに対して、がん保険はがんのみを保障範囲としますが、医療保険と比べて手厚い保障となっています。なかでも特徴的なのが、がんと診断された場合に支払われる「診断給付金(診断一時金などの別名もあり)」です。この診断給付金は1回だけの支払いである保障がほとんどですが、その1回の支払額は100万円から300万円となり、手厚い保障金額となっています。相違点2:がん保険独自の手厚い保障がある点なお診断給付金については詳細を別記事に記載していますので参考にしてください。がん保険には免責期間があるがん保険に加入した後の3ヶ月間(90日間)は免責期間といい、がん保険の保障が開始されません。なぜ免責期間があるのかというと、がんは自覚症状がある場合が考えられるからです。がんかもしれないと疑いを持った方が、まずがん保険に加入してから次に病院に行ってがんの診断を受けて、すぐに給付金の支払いを受ける、ということが出来てしまいますこうしたことを避けるため、がん保険には3ヶ月間という給付金が支払われない期間があるのです。医療保険にはこうした免責期間がありません。相違点3:がん保険には免責期間90日間がある点なお、免責期間については詳細を別記事に記載していますので参考にしてください。がん保険と医療保険をどちらを選べばよいのかここまでがん保険と医療保険の類似点と相違点について確認をしてきました。それでは次にがん保険と医療保険ではどちらを優先すればよいのか、あるいはどのような組み合わせやセットで加入したほうが良いのか、についてケース別に説明をしていきましょう。どちらにも加入していないケースがん保険と医療保険のどちらかに加入したい、あるいは先にどちらかに加入したいという場合を考えてみましょう。これまで整理してきた通り、あなた自身がどんな保障が欲しいかということがまず最初に重要です。病気やケガの幅広い保障が欲しいということでしたら医療保険を優先して検討しましょう。やはりがんになった時の保障を最初に手当てしておきたいということでしたらがん保険です。次に重要なのはがん保険や医療保険に加入する本来の目的です。病気・ケガ、がんになった時の治療費や急な出費に備えるのが、がん保険・医療保険の目的です。自分の貯蓄などで手当てできない部分を保険で補完するという考え方で、必要ながん保険や医療保険を検討されることをお勧めします。なお、がん保険の具体的な選び方については別の記事で詳しく紹介しましたので、参考にしてください。既に医療保険に加入しているケース次に医療保険に既に加入済みである場合に、どのようながん保険を検討したらよいのかを考えていきましょう。がんを含めた病気やケガの保障は医療保険で手当てされています。そうすると、あえてがん保険の加入を考えるのであれば、がん保険にしかない保障を中心に加入を考えたほうがよいということになります。がん保険独自の保障ということで先ほどご説明したのが、診断給付金などといわれる一時金の保障です。特に一時金だけ欲しいという方は、ネットライフ生命のダブルエールのように診断給付金だけに絞り込んだ商品もありますので参考にしてください。がん保険にのみ加入しているケースがん保険にすでに加入している場合は、がん以外の病気やケガでの保障がどれぐらい必要かを検討したうえで、医療保険の加入を検討しましょう。特に公的医療制度の自己負担3割が適用されず、治療費の全額が自己負担となってしまう先進医療を対象とした医療保険もあります。がん保険も医療保険も両方加入しているケースがん保険と医療保険に両方加入している場合には、両方の保険で重複している保障がないかを念のため確認しておきましょう。例えば医療保険の特約(追加保障)にがんの保障がついているのに、別にがん保険に加入している、といった事例などもありますので注意してください。がん保険と医療保険の比較まとめがん保険と医療保険ではどちらを選ぶのがよいのか、あるいは優先して加入すべきなのはどちらなのかを考えるために、両保険の類似点と相違点を整理しました。類似点:がん、病気・ケガになった場合の入院・手術・通院などの給付金があることです。相違点:医療保険が幅広く病気・ケガを保障しているのに対して、がん保険はがんのみに重点を絞って手厚い保障になっていることです。なお、がん保険には免責期間という当初3か月は保障対象外の期間があるので注意してください。がん保険と医療保険の選び方ですが、がん保険についてはがん診断給付金の一時金といった独自の手厚い保障を中心に検討しましょう。医療保険は幅広い保障であることから、がん保険との重複に気を付けて加入を検討しましょう。
2019年01月29日「免責期間なし」というがん保険をご存知でしょうか?そもそもがん保険でよく聞く「免責期間」とはどういう内容でしょうか?また、「免責期間なし」の商品と「免責期間」のある商品とではどのような違いがあるのでしょうか?今回は、通常のがん保険にある「免責期間」と、逆に「免責期間なし」の商品についてわかりやすく説明していきたいと思います。免責期間とは?まず、がん保険にある「免責期間」とは一体どういう内容でしょうか?免責とは責任を免れる、ということですが、誰の責任かというと保険会社の責任です。保険会社が保険金・給付金を支払うという責任から免れる期間、というのが「免責期間」ということになります。保険の責任開始の考え方「免責期間」を考える前に、まず保険会社が責任を持つ、ということについて確認していきましょう。保険に加入すると、具体的に保険会社はいつから保険金・給付金の支払いに責任を持ってくれるのでしょうか?保険会社が保険金・給付金に責任を持ち始めるタイミングを責任開始(日)といいます。がん保険であれば、がんに罹患した場合や治療になった場合に、商品内容で約束した給付金を支払う責任が開始される日のことです。がん保険以外の保険であれば、次の3つが揃った日から責任開始となります。保険の申込健康状態の告知(または医師による診査)第一回保険料の払込通常の保険であれば、上記の3つが揃って、保険会社が責任を開始するのですが、がん保険に免責期間があるということは、この責任開始のタイミングが、がん保険では他の保険と異なる(遅くなる)ということになるのです。免責期間の内容ではがん保険の「免責期間」はどれぐらいの長さなのでしょうか?実はがん保険の「免責期間」は90日間となっています。責任開始の3つ(申込、告知・診査、保険料払込)が揃ったとしても、そこから90日は免責期間として保障は開始されません。このため免責期間のことを保障が開始されるまで待つ期間という意味で、待機期間と呼ぶこともあります。万が一、この免責期間(待機期間)中にがんに罹患した場合はどうなるのでしょうか?保険契約は無かったこととなり、支払った保険料が返還されることになります。もちろん、がんと診断されていたとしても、そのがん保険から給付金は支払われません。「免責期間」がある理由なぜがん保険には、こうした「免責期間」が設定されているのでしょうか?がん保険には「免責期間」があるのに、その他の保険にはなぜ「免責期間」がないのでしょうか?その理由を考えてみましょう。実はがん保険は、「がんに罹患したかもしれない」という自覚症状がある方が加入することを排除しきれない、という宿命があります。どういうことなのか、具体例で説明しましょう。例えば乳房にしこりのようなものがある、と気づいた女性がいたとしましょう。健康診断や病院の検査に行く前に、がん保険に加入をします。保険会社の責任が開始する3つの条件として、申込、告知・診査、保険料払込をご紹介しましたが、がん保険の加入の際は、ほとんどが医師による診査はなく、加入するご自身の健康状態を告知することになります。この時には、健康診断も病院の検査も受けていませんので、告知は問題なく、保険に加入することが出来るのです。そしてがん保険の加入の後に、病院の検査を受けて、乳がんと診断されると、入ったばかりのがん保険から一時金などの給付金が支払われることになります。金額だけで考えるならば、数千円から1万円程度の保険料を払って、100万円〜300万円の一時金を受け取ることが可能となってしまいます。こうした、いわば一時金の受け取りを目的として保険に入ってくることを避けるために、90日間という「免責期間」を設けて、保険加入者の人達の公平性を保つようにしているのです。仮にがんの自覚症状がある方が加入したとしても、病院にも行かずに我慢し続けることは出来ない期間を考慮して90日間が設定されていると言われています。「免責期間なし」のがん保険とは?がん保険になぜ「免責期間」があるのか、その理由を確認してきました。では逆に「免責期間なし」のがん保険はあるのでしょうか?実は数が少ないながらも、「免責期間なし」のがん保険は存在します。それでは次に「免責期間なし」のがん保険を紹介しましょう。一時金の保障を除外した商品内容「免責期間なし」のがん保険「アクサ生命の「治療保障」のがん保険」です。さっそく具体的な商品内容を確認しましょう。<アクサの「治療保障」のがん保険>基本給付金額 :10万円保険期間:10年保険料払込期間:10年上記の商品内容の通り、「免責期間なし」商品の特徴は、一時金としての保険金・給付金がなく、手術などの比較的少額の給付金に絞られていることです。これは、さきほど確認した「免責期間」を設けている理由と整合がとれています。100万円を超えるような一時金の給付金がないことで、自覚症状のある方が申し込みの手間をかけて、かつ保険料まで払い込んで加入してくる動機を減らせることが出来るからです。では、こうしたがんと診断された場合に給付される一時金は必要なのでしょうか?結論からいうと、こうしたがん保険の一時金こそ、がん保険を他の保険と区別する特徴と言うことができます。(注)「免責期間なし」のがん保険を検討する際には、こうした一時金の有無について十分に理解することが前提となります。まとめ「免責期間なし」のがん保険について確認をしてきました。そもそも「免責期間」がある理由は、がんの罹患について自覚症状を伏せたまま、がん保険に加入することが出来るため、そうした方が有利に保険金支払いを受けてしまうためです。こうした事態を避けて、保険に加入する人達の公平性を保つために、保険に加入してから90日間はがんに罹患しても保険金や給付金の支払いがないという「免責期間」を設けているのです。「免責期間なし」という商品もありますが、そうした商品には、がんと診断された場合の一時金給付がありません。100万円単位となる一時金がなければ、自覚症状を伏せてまで保険に加入されるリスクを減らせることになるからです。「免責期間なし」で診断一時金もない商品がよいのか、「免責期間」があるものの診断一時金がある商品がよいのかは、ご自身の目的と照らし合わせて慎重に検討されることが大切です。
2019年01月15日「がん保険」には「何歳から」加入すると良いのでしょうか?できる限り若いうちから加入した方が良いのでしょうか?それとも若いうちにはがん保険に加入する必要はないのでしょうか?今回は、がんの罹患率とがん保険の商品の仕組みから、がん保険に加入する時期ついて確認をしていきたいと思います。がん保険って何?という方はまずこちらをご覧ください。そもそも、がん保険は何歳から加入できるの?がん保険には何歳から加入すると良いのかを考える前に、そもそもがん保険には何歳から加入できるのでしょうか?人気のがん保険といわれる5商品(注)の加入できる年齢(契約年齢範囲)を確認してみましょう。会社・商品によって違いがありますが、概ね20歳以上から50歳まではほとんどの方が加入対象年齢であることがわかります。がんの罹患率から加入時期を考えよう!がん保険には何歳から加入するのが良いのかを考えるには、何歳からがんに備えればいいのかを考えればいいことになります。「がんの備え=がん保険への加入」と言い換えることもできます。がんに対する備えが必要な年齢=がん保険の加入を検討する年齢何歳くらいからがんになる可能性が高まる?それでは、何歳くらいからがんになる可能性が高まるのでしょうか?統計データを基に、年齢とがんに罹患する関係を確認していきましょう。まず年齢の推移によるがん罹患率の変化を確認してみましょう。下のグラフは国立がん研究センター「がん登録・統計」にて掲載されている統計情報で、全てのがんに対する年齢別の罹患率(2014年)が線グラフで表示されています。グラフをご覧いただいた通り、男女ともに50歳代くらいから罹患率が増加し、高齢になるほど罹患率は高くなっていくことがわかります。特徴的なのは、30歳代後半から40歳代にかけては、女性の方が男性より罹患率がやや高くなっていることです。逆に60歳代以降になりますと、男性の方が女性より顕著に罹患率が高くなっていきます。生涯でがんに罹患する確率はどれくらい?次の統計情報をご紹介しましょう。下の表は、がんの累積罹患リスクというもので、ある年齢までにある病気に罹患する(その病気と診断される)おおよその確率を表したものです。生涯でがんに罹患する確率と言い換えることができます。上の表からどのようなことが読み取れるか確認していきましょう。まず、生涯でがんに罹患する確率は、男性62%(2人に1人)、女性47%(2人に1人)ということです。最初の線グラフでは、30歳代や40歳代であれば、がんの罹患率は高くないから安心と思われた方もいらっしゃると思います。しかしながらこちらの表であらためて確認出来ることは、生涯でがんに罹患するリスクが2人に1人という事実です。また女性にとっては、乳がん(11人に1人)、子宮がん(33人に1人)というデータもがんへの備えが必要だと理解できる参考情報になるのではないでしょうか。以上のとおり統計情報からわかることは、がんの罹患率は50歳代から上昇し、生涯にがんに罹患するのが2人に1人であるという事実です。こうしたことから実際にがんに備えるためには50歳より以前にがん保険に加入することを検討しておいた方が良い、ということができるのです。がん保険の仕組みから加入時期を考えよう!さきほどまでは、がんの罹患率といったデータから、がん保険にはがんの罹患率が高まる50歳代よりも以前に加入した方が良い、ということが確認できました。ここからは、がん保険の商品の仕組みから、がん保険に加入した方が良い年齢があるのかどうかを検討していきたいと思います。若い時の方が保険料が安いがん保険の商品の特徴・仕組みから、がん保険に何歳で加入したほうがよい、ということは言えるのでしょうか?昨今のがん保険は、終身タイプの商品が数多く販売されています。終身タイプの商品は、保険期間が終身(一生涯)であるとともに、あなたが支払う保険料も終身払い続けるという仕組みになっています。こうすることで毎月・毎年の保険料負担が一定で変わることはありません。ここで注目いただきたいのは、この終身タイプでの保険料は年齢ごとに、どの程度差があるのかということです。保険は原則として、同じ保障であれば加入する年齢が高ければ高いほど保険料は高くなります。具体的な商品を挙げて年齢別の保険料を比較してみよう!紹介するのは女性向けがん保険(※)で人気のアメリカンファミリー生命の「生きるためのがん保険Days1レディースプラン」です。<保障内容(入院日額:1万円の場合)><上記保障内容での月払保険料>20歳 2,616円30歳 3,591円40歳 5,502円50歳 7,209円60歳 8,936円例えば30歳で加入した場合には保険料3,591円ですが、40歳で加入した場合は保険料5,502円となり、約1.5倍となります。このように、若い年齢で加入することができるほど、保険料負担は軽くなることがわかります。保険料払込免除で保険料払込負担を軽減出来る若い年齢のうちの方が、同じ保障でも保険料負担が安いということを確認してきました。しかしながら「若い年齢からがん保険に加入していると結局がんに罹患しないまま20年・30年と保険料を払い続けることになり、結果としては損をするのではないか」と思われる方がいらっしゃるかもしれません。結果論としては30歳で加入して60歳までがんに罹患しないまま保険料を支払い続けるということはありえます。しかし、それを損だと決めつけることも出来ません。どういう意味かと申しますと、30歳代・40歳代でも低いながらもがんに罹患するリスクはあります。その期間を保険で保障されていたのですから、経済的リスクに対して対処していたということになります。そのコストが保険料負担となっているわけなので、無駄遣いをしていたわけではありません。このように単に損だということにはならないと考えることもできます。また、最近の終身タイプの商品には、保険料払込免除という機能がついており、万が一がんになった場合、以後の保険料払込が不要となる商品もあります。若い年齢で加入してがんに罹患した後にも、がん保険は継続することが多いです。その場合に保険料払込は免除となるのは、経済的に非常に助かるわけです。若い時にがん保険に入ると保険料総額が大きくなる、という決めつけた議論がされる場合がありますが、保険料払込免除について考慮しておくことで、若い時に加入する=総額が増えるとは一概に言い切れない、ということを押さえておきましょう。まとめがん保険は何歳から加入した方がよいのかということを確認してきました。がん保険には概ね20歳から50歳ぐらいまで加入できるので、あとは私たちが何歳ぐらいになって加入するかの問題となります。まずは、がんの罹患率データを確認すると、生涯の罹患率は2人に1人であり、50歳代から罹患率が上昇していきます。このため50歳代より前に、がん保険の加入を検討した方が良いといえます。また、がん保険の仕組みから加入時期を考えてみましたが、できる限り年齢が若いうちに加入しておいた方が、月々の保険料負担が軽くなります。以上の両面から考慮すると、がんに罹患した時の経済的保障をがん保険で手当てしたいと考えている方で、保険料負担が問題ないのであれば、20歳代・30歳代のうちから将来に備えてがん保険に加入するのは十分に価値のある選択といえるでしょう。
2019年01月08日今や世帯加入率が62.8%(注)となっているがん保険。生命保険を検討する際の保険種類として、その認知度は高くなっています。しかし、一方で「本当にがん保険って必要なの?不要ではないの?」という疑問をいだく方もいらっしゃるようです。今回は具体的なケース(がん保険に入らなかった場合と、がん保険に入っていた場合)を設定して、がん保険が必要なのか不要なのかをどのように考えればよいかをわかりやすく説明していきたいと思います。注:生命保険文化センター「平成30年度 生命保険に関する実態調査」がん保険に入らなかった場合には?それでは早速、ある具体的な人物像を設定して、がん保険に入らなかった場合と入っていた場合とを比較していきます。まずはがん保険に入らなかった場合を考えてみましょう。人物像を設定30歳女性のAさんは独身の会社員(年収400万円)で一人暮らしをしています。このAさんが、がん保険に入っていないまま、5年後の35歳の時に会社の健康診断で再検査をすすめられ、病院で乳がんとの診断を受けたとしましょう。入院後乳房温存手術を行い、1週間入院後に退院となりました。その後5週間にわたって放射線療法を受けたと仮定します。公的医療制度と自己負担額は?皆さまご存知の通り、がん保険に入っていなかったとしても公的な医療制度があります。今回のAさんの場合では、この公的な医療制度はどのように適用されて、Aさんの自己負担はどのぐらいになるのかを確認していきましょう。まず、Aさんに対する治療費総額はどれぐらいになるでしょうか?乳がんの専門学会でのデータをもとに試算すると以下の通りとなります。乳房温存手術で1週間入院:75万円放射線療法で5週間通院:47万円上記の治療費合計122万円はあくまで総額であり、皆さんが負担する金額ではありません。公的な医療制度が適用されて、皆さんの負担は通常この治療費総額の3割となります。自己負担額の治療費をあらためて示すと以下の通りで合計37万円となります。乳房温存手術で1週間入院:23万円放射線療法で5週間通院:14万円さらに、高額療養費制度というものがあり、1ヶ月の自己負担額は、80,100円+(267,000円を超えた額)×1%が限度となります。今回は入院後6週間が経過したケースですが、仮に1ヶ月間で37万円の自己負担額であったとすると、自己負担額は81,100円程度となります。がん保険に入っていない場合のまとめ以上の通り今回Aさんが、がんに罹患して治療する際にかかる自己負担額を確認してきました。がん保険に入っていなかったとしても、こうした負担額をまかなえる貯蓄があればとりあえずの対処は大丈夫ということになります。ただし気をつけていただきたい点があります。今回のケースでは、公的保険の適用外となる治療がありませんでしたが、先進医療といわれる治療を行った場合は、公的医療が適用されないため、全額自己負担となります。例えば身体への負担が少なく乳房等の切除を避けたいと考えて量子線治療という先進医療を選択した場合、276万円という全額自己負担の治療費がかかることあります。(注)また治療費以外にも差額ベッド代といわれる入院代の追加費用や病院での食事代、入退院や通院でのタクシー代などの費用が別途かかることは押さえておきたいところです。(注)生命保険文化センター「ひと目でわかる生活設計情報」しかし逆にいえば、こうしたもしもの時の貯蓄が無く、がん保険にも入っていない場合は、経済的に苦しい状態になる可能性が残ってしまうのです。がん保険に入っていた場合には?それでは次に、がん保険に入っていた場合を考えてみましょう。人物設定先程と同じ30歳女性のAさんに登場していただきましょう。このAさんが、30歳でがん保険に加入していて、5年後の35歳の時に会社の健康診断で再検査をすすめられ、病院で乳がんの診断を受けたとしましょう。その後の経過は先程と同じと考えます。このAさんが加入していたがん保険を設定しましょう。アクサダイレクト生命のがん終身に入っており、保障内容は以下の通りだったとします。もちろんこの保障内容で実際に加入することが出来ます。アクサダイレクト生命がん終身・保険期間:終身・保険料払込期間:終身・月払保険料:3,600円がん保険の給付金が支払われるAさんが入っているがん保険から、どれぐらいの給付金が支払われるでしょうか?今回の治療で支払われる給付金は以下の通りです。がん診断給付金で200万円がん入院給付金で14万円(7日間×2万円)がん手術給付金で10万円退院後療養給付金で10万円合計すると234万円となります。がん保険の保険料負担を考えておくこれに対して、Aさんの治療費の自己負担は先程の保険に入っていなかった場合と同じく8万円程度となりますが、出費はそれだけではありません。35歳にまるまでの5年間、がん保険に加入していたのですから、その保険料の負担を考慮に入れなければいけません。この負担額は毎月3600円×5年(60ヶ月間)であり約22万円となります。最初のがん保険に入っていなかった場合と平等に比較するためには、この保険料負担も入れて考える必要があるのです。自己負担額8万円程度に支払保険料の22万円を合わせて30万円の負担に対して、234万円の給付金の支払いがある、ということになります。がん保険に入っている場合のまとめこれまで確認してきた通り、がん保険に入っていた場合は、がん治療の自己負担額を十分まなかえる給付金が支払われることがわかりました。しかしながら一方で毎月がん保険の保険料は支払う必要があり、さきほどのAさんのケースでは、5年間で22万程度の負担が発生することになります。加えて5年後にがんになるとは限りませんので、10年後、15年後かもしれませんし、逆に1年後かもしれません。10年後、15年後にがんになった場合は、そこまでの支払保険料は2倍、3倍になりますし、60歳、70歳まで保険を継続することになれば、30年、40年の保険料負担になるのです。なお、今回のAさんが加入していた商品のように保険料払込免除特約(注)があれば、がんになった以降の保険料の負担はなくなります。以上のことも考慮にいれてがん保険の必要性を考えると良いでしょう。(注)保険料払込免除特約とは?がん保険は、がんの診断で保険金を受け取った後も、保険自体は消滅せずに継続となります。そうすると本来は保険料をその後も支払う必要があるわけですが、保険料払込免除特約が付帯している保険は、その後の保険料支払いが免除されるわけです。これはがんに罹患した人にとってはとても有難い制度です。まとめ今回は、「がん保険は本当に必要なの?不要ではないの?」といわれる素朴な疑問を出発点として、がん保険に入っていた場合と入っていなかった場合とを比較することで、がん保険が必要か不要かを考えるヒントにしていただきました。がん保険に入っていない場合には、当然ながら公的な医療制度で保障される範囲をこえた治療費の自己負担額を貯蓄しておくことが必要となります。一方でがん保険に入っている場合には、そうした自己負担額をがん保険の給付金で手当てすることが可能ですが、そのがん保険の保険料(費用)を毎月支払い続ける必要があります。がん保険が必要か不要かを判断する際は、「がんになった時にどれぐらいの自己負担となり、それを貯蓄で支払えるかを考える。」または「自己負担をがん保険の給付金で手当てするために保険料はどれぐらいなら支払うのかを考える。」こうした両面から検討することが重要なのです。
2018年12月24日女性の体が変化していく40代。健康に不安を抱える年代だが、どこでどんな検査を受けたらいいのか迷う女性は多い。そこで本誌は、40代以上の女医50人に、緊急アンケート。「40代以上の女性が受けておくべき検査」を調査。がんを早期発見するためには、どんな検査が必要なのか、部位ごとに見ていこう。大腸に次いで、女性で2番目に“がん死”が多いのは肺がん。アンケート結果で気になったのは、「まずはエックス線検査をすすめるが、見落としも多い」という回答が散見されたことだ。たしかに、河北健診クリニック(東京都)で肺がんの見落としがあったニュースは記憶に新しい。大阪府摂津市のマツイ医院院長・大林きよ子先生は、見落としの可能性についてこう説明する。「胸部エックス線検査では、小さいがんは見えづらいので、正直言って見落としも多い。ただ、毎年受けることで、ちょっとした変化に気づき、見落としが防げます。より詳細に見るにはCT検査がおすすめですが、被ばく量がエックス線より多い。リスクの高い肺がん家系の方や喫煙者は、1~2年に1度CT検査を受けるのがベストです」女性のがん罹患数ではトップの乳がんは、40代後半から50代前半で罹患率のピークがくる。仙台市のせんだい総合健診クリニック院長の石垣洋子先生は、次のように語る。「乳がんは、治るがんにもかかわらず、日本の乳がん検診受診率は国際的にも最低レベルで、不幸にも命を落とす方が出てしまうのが残念です」アンケートでも、女医の多くが、乳がん検査は「1~2年に1度受けてほしい」と回答。超音波検査を推奨する医師が多かった。岡山市・淳風会健康管理センターの斧澤克乃先生も超音波検査をすすめる。「マンモグラフィーでは、脂肪の少ない“高濃度乳腺”の方は、がんが判別しづらいのです。日本人女性の約8割は高濃度乳腺といわれているので、乳房の大きい方に多い脂肪性乳腺以外は、超音波検査のほうが適しています(乳房超音波検査は、自治体検診にはないのでオプション)。まれに超音波検査で写らないがんもあるので、超音波検査は毎年受けて、マンモグラフィーは、数年に1度受けると安心です」子宮頸がんは30代後半から40代前半に、子宮体がんは、40歳から急増し55歳で罹患率がピークに。アンケートでも、多数の女医が、「子宮頸がん・体がんともに、1~2年に1度は細胞診検査を受けたほうがよい」と回答。「子宮頸がんは、2年以上放置したら子宮の筋層の奥まで進行して入院治療が必要となってしまいますが、2年以内であれば、診察台の上で異型細胞だけをパチンと切除して終わり。前がん状態のうちに取りきれてしまうのです。細胞が直接採取できる検査なので、必ず受けてほしい」(斧澤先生)20人の女医が「毎年受けたほうがよい」と回答した超音波による卵巣がん検査は、自治体の“がん検診”では対象になっていない。「子宮がん検査を受けるときに、オプションで子宮・卵巣の超音波検査を付けると、卵巣がんの可能性もわかります」(斧澤先生)
2018年12月23日初めて日本でがん保険が発売されてから40年以上が経過しました。以来、がん治療の発展とともに、がん保険を取り扱う保険会社も増え、商品も変化し続けて今日に至っています。様々ながん治療が増加するにしたがって、がん保険の保障内容も広がってきたといえるでしょう。一方でそうした保障の広がりには大きな注意点があります。今回はその注意点をがん保障の「一時金」というキーワードとともに、わかりやすく説明していきたいと思います。保障内容と保障金額から商品をとらえ直すがんのための経済的保障をしてくれるのが「がん保険」です。では「がん保険」とは、具体的に、どのような場合に、どれぐらいの金額を保障してくれる商品なのでしょうか?どのような場合に支払われるのか = 保障内容どれぐらいの金額が支払われるのか = 保障額がん保険の商品は、この保障内容と、保障額で構成されているのです。そして、生命保険の商品でいうところの「一時金」というのは、保障額に関する言葉です。100万円以上のまとまった金額のお支払いのことを生命保険では「一時金」と呼ぶことが多いです。では100万円に満たない支払いの金額をどのように呼ぶかというと給付金と呼ぶことが多いです。また「一時金」というのは原則1回だけの支払いを表します。これに対して給付金というのは、1日つき1万円支払います、というように複数回支払われることが前提となった表現です。なお、生命保険の仕組みについては以下の記事で詳しく紹介しましたので、参考にしてください。保障内容と保障額の2軸で考える皆さんが、がん保険の商品を選ぶ際には、保障内容にまず注目されることが多いと思います。これは至極当然のことで、「どんな場合に支払いをしてくれるのか(くれないのか)」が一番重要といえるからです。しかしながら、それと同時に重要なのが、では「その保障内容でどれぐらいの金額を支払ってくれるのか」という視点なのです。では実際の商品でこの保障内容と保障額を具体的に説明していきましょう。今回は、「保障内容を幅広く揃えた商品」と、「絞り込んだ保障内容の商品」という両極端の2商品をご紹介します。この2商品を比べていただくことで、浮かび上がってくる「一時金」という保障額の重要性もご理解いただけると思います。幅広い保障の商品最初に、幅広い保障内容が選べる商品の代表例として、チューリッヒ生命のガン治療保険プレミアムDX(以下、プレミアムDXといいます)をご紹介します。このプレミアムDXは、がん保険ランキング上位にあがってくるほどの人気商品となっています。このプレミアムDXの保障内容と保障額の具体例は下表の通りです。<30歳女性での設計例>保険期間:終身保険料払込期間:終身月払保険料:4,686円表をご覧頂くだけで保障内容の広さ(給付金の種類の多さ)がすぐにわかっていただけると思います。保障内容が細分化されており、この中から自分にとって必要だと思われる保障内容を取捨選択出来るわけですから、人気商品であるのもうなずけます。そしてもう一点、ご注目いただきたいのが、保障額です。自由診療抗がん剤・自由診療ホルモン剤治療給付金は月額60万円、がん診断給付金は50万円ですが、それ以外の給付金の金額(単位)は多いもので10万円、少ないもので数千円となっています。保障内容が幅広い反面、100万円単位の「一時金」といえる保障額はなく、低額の給付金が種類多くある、という特徴の商品となっているのです。とりあえずまとまった金額が欲しい、という方には注意が必要といえるでしょう。保障を絞った商品では次に、保障を絞った商品の代表例として、ライフネット生命のがん保険ダブルエール(以下、ダブルエールといいます)をご紹介します。ダブルエールも、プレミアムDXとは全く異なる商品性によって人気商品となっています。ではダブルエールの保障内容と保障額の具体例を確認していきましょう。<30歳女性、シンプルプランでの設計例>保険期間:終身保険料払込期間:終身月払保険料:4,311円ダブルエールの保障内容はかなり絞り込まれていて、プレミアムDXとは大きく異なる保障内容であることが理解いただけたことと思います。その一方で、がんと診断された時に支払われる、がん診断一時金が300万円となっており、まさに「一時金」と呼ぶにふさわしい保障額になっていることが分かると思います。がんと診断されたら、とりあえずまとまった金額が欲しいという方に適した商品といえるでしょう。理由は保険料負担先程2つの商品の保障内容と保障額を具体的に確認してきました。ここで読者の皆様はこんな風に思われるかも知れません。「プレミアムDXは保障内容の範囲(種類)が多いのに、なぜ保障額を抑えているの?もっと保障額を上げればいいじゃない?」「ダブルエールはなぜ保障内容を絞っているの?いろいろな保障内容を増やせばいいじゃない?」実はこれらの疑問に対する答えは、「保険料」にあるのです。保険料とは、あなたが保険会社に毎月(毎年)支払うお金のことです。がんに罹患した時に、保険会社から保障内容にある一時金や給付金を支払ってもらうためには、あなたは保険会社に保険料を支払わなければなりません。したがって、保険料はあなたにとって出費であり、負担になるものです。もう一度2つの商品の表をご覧いただくと、保険料(30歳女性の例)が掲載されています。プレミアムDXは月払4,686円、ダブルエールは月払4,311円です。仮に、プレミアムDXの幅広い保障内容のそれぞれの給付金の保障額を2倍にしたらどうなるでしょうか?単純計算でも9000円以上になります。保障額を3倍にすれば15000円ぐらいにはなるでしょう。がんの経済的保障がどうしても必要といっても、そのために毎月支払う保険料があまりにも多くなりすぎると、がんになった時のリスクの対処の前に、毎月の家計が大変になってしまうのです。商品を販売している保険会社もその辺りのことはよくわかっていて、保険を検討する人が毎月確実に支払える程度の保険料で商品設計をしてくるわけです。保障内容が幅広いプレミアムDXの保障額は、なぜ抑えられているのでしょうか?その理由は保険料負担を重くしすぎないためです。一時金が充実しているダブルエールの保障内容は、なぜ絞られているのでしょうか?その理由も保険料負担を重くしすぎないためなのです。まとめがん保険は、がん治療の進化とともに、その保障内容が変化してきました。変化の一つの方向性としては、保障を幅広く細分化してラインナップしてきたことです。これにより、自分が必要だと思われる保障を取捨選択して加入できる商品も増えてきました。しかしながら、幅広く細分化してラインナップされてきた反面、それぞれの保障ごとの保障額が低額に設定されている点には注意が必要です。がん治療の進化に合わせた保障が欲しいということで、こうした幅広い保障から取捨選択することもよいですが、がんに罹患した時にはまとまった一時金が欲しいという方は、がん診断給付金(がん診断一時金)が手厚い商品をチェックされることをお勧めします。
2018年12月11日人気があるものには理由がある、といわれます。現在人気のあるがん保険の商品を調査して、その人気の理由を探ってみました。こうした人気商品の理由を知っておくことで、ご自分の商品を選ぶ際の参考にすることができます。今回の記事では、人気のある商品をいくつか具体的にピックアップして、その理由をわかりやすく紹介していきたいと思います。人気のあるがん保険の商品とは?人気の商品と一概にいっても、「人気のある」という定義は様々です。今回は「人気のあるがん保険」の調査として、保険の紹介・比較サイト6社のがん保険ランキングを基に筆者独自の判断で、人気商品の中から5つのがん保険を選定しました。(詳細は 「参考:調査・選定方法」を参照してください)選んだ5商品それでは選定した商品を早速ご紹介しましょう。以下の5商品です。チューリッヒ生命 終身ガン治療保険プレミアムDXメットライフ生命 ガン保険ガードエックスアクサダイレクト生命 がん保険[定期型]オリックス生命 がん保険Believe[ビリーブ]ライフネット生命 がん保険ダブルエール参考:調査・選定方法上記の5商品を選定した方法についてご説明いたします。まず人気のあるがん保険の調査方法ですが、保険の比較情報の提供または保険の比較販売をメインとしている事業体から、がん保険に特化してランキングを発表しているWEBサイトを調査しました。このWEBサイトを調査する際には、個人などで運営されているHPやブログなどの情報は除いています。最終的に以下の6社のWEBサイトにあるランキング上位を人気商品として対象とし、その対象から筆者の判断で5つの商品を選定しました。ℹ︎保険:生命保険比較>がん保険ランキング>保険料サーチ>30歳女性価格.com:保険>がん保険 人気ランキング保険市場:最新!2018年11月版 がん保険ランキング 30代保険比較ライフィ:2018年人気保険ランキング>がん保険ランキング保険比較:がん保険比較 ランキングクチコミランキング:がん保険 ランキング 口コミ人気の理由はこれだ!ここまで人気商品の理由を探ると表現してきましたが、当然ながらがん保険の商品ですので、その人気の理由を探るということは、その商品内容や商品の特徴を捉える・理解する、ということになります。人気の理由=その商品ならではの内容や特徴それでは順番に5つの商品の人気の理由を確認していきたいと思います。①チューリッヒ生命 終身ガン治療保険プレミアムDX最初にご紹介するのは、チューリッヒ生命の終身ガン治療保険プレミアムDX(以下、プレミアムDXといいます)です。プレミアムDXは調査したサイトのほぼ全てのランキングで上位に位置している人気商品の代表格です。この人気の理由はどこにあるでしょうか?ズバリ一言でいうと、保障金額を3段階(基準給付月額10万円、20万円、30万円)に設定できること、そして幅広い保障内容から自分で必要だと思われるものを選ぶことができる点です。基本保障として次の3つ保障があります。放射線治療給付金抗がん剤・ホルモン剤治療給付金自由診療抗がん剤・自由診療ホルモン剤治療給付金そして上記の3つに加えて以下の保障を取捨選択できる設計となっています。ガン先進医療給付金ガン先進医療支援給付金悪性新生物保険料払込免除(以後の保険料を払込免除)ガン診断給付金ガン入院給付金ガン手術給付金ガン通院給付金ガン緩和療養給付金ガン診断後ストレス性疾病給付金がん長期入院時差額別途保障また商品設計のコンセプトとして、自由診療が多くなるケースを想定して、ガンを治療することをサポートする、という点も人気の理由であると考えられます。②メットライフ生命 ガン保険ガードエックス次にご紹介するのは、メットライフ生命のガン保険ガードエックス(以下、ガードエックスといいます)です。こちらもプレミアムDX同様に調査対象サイトの上位にランキングしている人気商品です。まずは保障の一覧をご確認いただきましょう。悪性新生物治療給付金上皮内悪性新生物治療給付金ホルモン剤治療給付金保険料払込免除ガン先進医療給付金ガン先進医療支援給付金ガン通院サポート給付金悪性新生物診断給付金上皮内悪性新生物診断給付金ガン入院給付金・ガン長期入院給付金ガードエックスの人気の理由は、優先順位の高い保障がバランスよくセットになって揃っている点と考えられます。ちょうどいい、という言葉がありますが、まさに適度な範囲の保障になっていると言えるでしょう。③アクサダイレクト生命 がん保険[定期型]三番目にご紹介するのは、アクサダイレクト生命のがん保険[定期型](以下、アクサがん定期といいます)です。アクサがん定期は、プレミアムDXやガードエックスとは、かなり異なる特徴があります。保険期間は10年間保障はがん治療流れに沿った内容保険料負担が軽い先程の2商品の保険期間が終身であるのに対して、アクサがん定期は保険期間が10年となっています。また保障内容は下表のとおりです。がん診断給付金一時金として 100万円がん入院給付金1日につき 1万円がん手術給付金1回につき 10万円がん先進医療給付金先進医療の技術料の実費(通算500万円限度)退院後療養給付金がん入院後療養のため退院した時 10万円ご覧の通り、がん診断→がん入院・手術→先進医療→退院後の療養という、がん罹患から治療までの流れに沿った内容になっていることがわかります。そして最後の特徴は保険料です。30歳女性の月払保険料は650円となっています。通常のがん保険の保険料が2000円から5000円程度であることを考慮すると、その負担感の軽さがお分かりいただけると思います。④オリックス生命 がん保険Believe[ビリーブ]4番目にご紹介するのは、オリックス生命のがん保険Believe[ビリーブ](以下、ビリーブといいます)です。こちらも保障内容を確認しましょう。がん初回診断一時金初回のみ 100万円がん治療給付金1回につき 50万円がん入院給付金1日につき 1万円がん手術給付金1回につき20万円がん先進医療給付金先進医療の技術料と同額(通算2000万円限度)がん先進医療一時金がん先進医療給付金の10%相当額がん退院一時金がんで10日以上の継続入院後に退院した時 1回につき10万円がん通院給付金1日につき1万円(上表は通院保障プラン・基本給付金額1万円の保障内容です。)ビリーブの特徴はシンプルながん保障に加えて、退院時と通院時の保障が充実している点です。がん入院後のステップとして考えなければならないのは退院とその後の通院です。退院後もがん治療や再発防止のために通院するケースは多いわけですが、そうしたケースに心強い保障としてビリーブがあるといえるでしょう。⑤ライフネット生命 がん保険ダブルエール最後にご紹介するのは、ライフネット生命のがん保険ダブルエール(以下、ダブルエールといいます)です。ダブルエールの最大の特徴は、がんと診断された時の一時金である、がん診断給付金が手厚く用意できる点です。通常のがん保険が、がん診断給付金が50万円から150万円であるのに対して、ダブルエールはがん診断給付金(正式名称はがん診断一時金)を100万円、200万円、300万円と設定することが出来ます。加えて、保障をシンプルに設計できる点が魅力です。シンプル、かつ、がんと診断された時の保障を一番に考えたいという方に人気のある商品といえるでしょう。がん診断一時金一時金として 100万円〜300万円上皮内新生物診断一時金がん診断一時金×50%(上表はシンプルタイプの保障内容です。)まとめ人気のあるがん保険の理由を、具体的商品をみながら確認してきました。人気があると一口に言っても、商品ごとにその人気の理由が異なることがお分かりいただけたと思います。皆さんがご自身のがん保険を検討する際にも、こうした人気商品をまず最初に検討されることが多いでしょう。そうした際に今回の記事の視点を参考に、人気の理由=商品の特徴を押さえていただければと思います。
2018年12月07日「最終的に温存手術を選ばず全摘の決断をしたのは、理屈ではなく体の中でがんがものすごい速さで育っていくのを感じたからです」エネルギッシュに報道の現場を飛び回っていたある日、右胸にしこりを見つけた。社会人2年目の春だった。絶望に打ちひしがれながらも、家族や医師、同僚に支えられて、日本テレビ報道局社会部記者の鈴木美穂さん(35)は、徐々に前を向けるように。闘病を経験している記者として、がんとともにありながらも、希望の持てる生き方を伝えたいと模索してきた。いま夫という家族を得て、鈴木さんは新たなチャレンジに歩みだそうとしている――。’06年4月、鈴木さんは日本テレビに入社。面接時からドキュメンタリー志望と伝えていた彼女だったが、希望どおり、報道局へと配属された。入社1年目のAD時代から、自らネタを見つけては企画書を提出して、ニュース番組内での放送を実現。さらに1年後には、若手の皇室担当としてベテラン記者に交じり夜討ち朝駆けで、ハードながら充実した日々を送っていた。右胸のしこりに気づいたのは、そんな24歳の春だった。’08年5月2日、乳がんと検査結果を告げられる。「結婚も、出産もしないまま、私は死ぬのか。健康優良児で、親族にも一人もがんはいませんでしたから、『なんで私なの?』と、かつてないほどひどく混乱しました」女性の11人に1人がかかるといわれる乳がん。鈴木さんのがんは進行が早く、当時は再発リスクも高いといわれていた。“HER2陽性”タイプだった。「死にたくない」という一心で、最良と思える治療を求めて、病院をまわった。そんななか出会ったのが、取材で懇意になった医師が紹介してくれた国際医療福祉大学三田病院・乳腺センター長の吉本賢隆先生(70・現よしもとブレストクリニック院長)だった。「がんになって最もつらかったのは、未来が見えないことでした。私の未来の可能性を一緒に考えてくれた吉本先生に主治医になってもらおうと決めました」5月21日、右乳房の全摘出手術を行った結果、ステージ3の乳がんで、リンパへの転移も判明。抗がん剤治療が始まり、副作用で全身の脱毛が始まる。この苦境を支えたのが、24時間交代で付き添ってくれた家族であり、要所で治療の様子を撮影してくれた職場の仲間だった。「先輩ディレクターの『美穂はいつか自分の体験を伝えたくなるときがくるから』という提案がきっかけで、ときには家族もカメラを回してくれました。私自身、『がんになった自分だからできることがある』と信じていたというより、正直、当時はそうでも思わないと気力を維持できなかった」ちょうどHER2陽性タイプに効果のある分子標的薬が開発されたことも味方した。放射線など「治療のフルコース」を経て、8カ月の休職後、職場復帰を果たす。仕事に復帰することで不安が少しまぎれてはいたが、同じ悩みを語り合える場が欲しかった。「当時は、報道でもがん患者にはモザイクをかけるような時代。特に若いがん患者の情報は少なかったんです。同じ体験をした人たちに会いたいと思いました」’09年夏、仲間を集めて、35歳以下の若年性がん患者の団体「STAND UP!!」を立ち上げた。がん告知から5年目を迎えた’13年には、ヨガなどがん患者のためのワークショップを主催する「Cue!」をスタートさせて講演なども行い、海外のがん関連の会議にも積極的に参加。「完治まで10年といわれる乳がんですから、5年目は“折り返し”のイメージ。講演では『励まされました』という人がいて頑張ろうと思うんですが、同時に自分の体験を思い出してつらくなり、落ち込むということの繰り返しでした」しかし、国内外の患者らとの交流のなかで、少しずつ前向きな気持ちが大きくなっていく。「患者が、がんになった直後から立ち寄れて、欲しい情報も得られる常設の場が必要だと、より痛感するようになりました。日本では、治療法はもちろん仕事や恋愛、結婚、出産などの悩みを吐き出したり共有できる場所がなかったんです」そして思った。「だったら、自分で作ろう!」と。「がん患者が集える場所をつくろうと、両親も巻き込んで、一緒に不動産会社めぐりをしていました。世田谷に約8,000万円の一軒家の物件を見つけ、生涯ローンを組む寸前までいっていたんです」そんな矢先の、発症から6年目の’14年春、ウィーンでがんに関する国際会議に出席した鈴木さんは「マギーズセンター」と出合い、「これだ!」と衝撃を受ける。イギリス人の造園家のマギーさんが乳がんになったとき、「患者や家族が安らぐと同時に専門家に気軽に相談できる場所を」と、’96年にスコットランドのエディンバラに設立した施設。「早速、パソコンで“マギーズ”とカタカナで検索したら3件だけヒットして、そのすべてに“秋山正子”の名がありました」すぐに新宿区で「暮らしの保健室」を主宰する看護師の秋山正子さん(68)のもとへ、都のモデル事業の取材として駆けつけた。秋山さんは、当時のことをこう語る。「インタビューが終わるころには、『一緒にやりましょう』と手を取り合っていて。医療関係の人材確保は私、土地建物の資金面や広報は鈴木さんという互いに補い合える協力関係ができて、一気に計画は加速しました」’16年10月10日、「第二のわが家」をコンセプトに、がんにまつわるさまざまな相談が無料という画期的な施設「マギーズ東京」がオープンした。そんな鈴木さんは次のステップに踏み出そうとしている。「根っこにあるのは、私の原体験としてのがん闘病ですが、今後は病気に関するサポートに限らず、生きづらさや困難を抱える人たちを、そっと包み込む寛容な社会をつくっていきたい。そのために必要と思えば、場や商品づくりや、記者のときと同様に情報発信もしていきたい」
2018年11月19日15年もの長きにわたり、女性のがん死亡者数1位である大腸がん。日本人の生活の変化が増加の原因だといわれているが、生活習慣の改善で大腸がんになるリスクは下げられるという。専門家に聞いた。「大腸がんの原因は、はっきり解明されていません。しかし大腸がんの約70%は、肛門のすぐ上、便がたまりやすい直腸とS字結腸にできるんです。つまり便秘になると、大腸がんになるリスクが高まると考えられます。腸内に老廃物をため込まないことが予防になるのです」こう語るのは、これまで4万件以上の大腸内視鏡検査を行ってきた腸の専門医で、『腸はぜったい冷やすな!』(光文社)など、多くの著書を発表している、松生クリニックの松生恒夫院長(63)。9月に厚生労働省が発表した「平成29年人口動態統計」によると、昨年の女性のがん死亡者数1位は、15年連続で大腸がん(結腸、直腸)だった。その数は2万3,347人。さらに、国立がん研究センターが同時期に発表した今年のがん死亡者数予測でも、2万4,800人と、今年も女性の死亡者数1位は大腸がんと予測されている。30年前と比べて倍以上に増えている大腸がんによる死亡者数。多くの女性たちがこの病いが原因で命を落としてきた。「大腸がん増加は、日本人のライフスタイルの変化、特に食生活の変化が、腸に負担をかけていることが原因だと考えられています」(松生院長・以下同)それでは、どのように生活習慣を改善すれば、腸が健康になるのだろうか。松生院長は、オリーブオイルを多用した食生活を提案している。「オリーブオイルには主成分のオレイン酸をはじめ、ポリフェノールや葉緑素、ビタミンEなどの抗酸化作用のある物質が豊富に含まれています。とくにオリーブの実を搾っただけの、精製をしていないエクストラ・バージン・オリーブオイルには、強い抗炎症作用のあるオレオカンタールも含まれています」これらの成分が、腸の老化と炎症を防いでくれる。「さらに、オリーブオイルが腸管を刺激し、腸内の老廃物にもオリーブオイルが混じるので、排便がスムーズになります。いわば“天然の下剤”のようなものですね。実際、エクストラ・バージン・オリーブオイルをたっぷりと取る食生活をしている地中海地域では、大腸がんの発症率が低いことが知られています」1日の推奨摂取量は30ミリリットル。大さじ2杯分だ。毎日これだけの量を取るには、オリーブオイルを使った凝った料理を無理して作るより、できるだけシンプルに使ったほうが長続きするという。そこで、1日30ミリリットルを実現する「ちょい足し・オリーブオイルレシピ」を紹介。■納豆オリーブオイルボウルに納豆を入れてよく混ぜ、タレとオリーブオイルを入れ、また混ぜる。納豆1パックに対して、大さじ1杯の割合で。■オリーブココア1)カップに純ココアの粉を適量入れ、熱湯を注ぎ混ぜ合わせる。2)オリーブオイルを小さじ2杯(約10ミリリットル)とオリゴ糖を適量入れてよく混ぜ合わせる。■マグロのカルパッチョ1)マグロのさくをぶつ切りにする。2)オリーブオイル、醤油を適量加えて混ぜる。最後に刻んだバジルの葉をかける。■オリーブ野菜スープ(4人分)1)オリーブオイルを大さじ2杯鍋に引いて、それぞれ食べやすい大きさに切ったベーコン、玉ねぎ(1/2個)、にんじん(1/2本)、キャベツの葉(2枚)、じゃがいも(1個)の順に入れて、よく炒める。2)火が十分に通ったら、水を600ミリリットル入れて、スープのもと、塩を小さじ1/3、こしょうを加えて、沸騰させる。3)オリーブオイルを適量入れ、味を調えて、できあがり。「納豆1パックに大さじ1杯混ぜるなど、できるだけシンプルな使い方をすることが、毎日欠かさずに取るコツです。意外に日本食に合うので、さまざまなもので試してみてください」もちろん、野菜や穀類など、食物繊維が豊富な食材を多く食べることも大切だ。さらに、岩塩、豆腐、ごまなどに含まれるマグネシウムや、漬け物、味噌、醤油などに含まれる植物性乳酸菌も腸の刺激になり、排便を促す効果がある。豆腐入りの味噌汁なども、腸にはいいという。「夕飯の主食は、肉と魚を1日おきに食べましょう。そうすれば、肉の摂取量を減らし、魚を増やすことができる。魚に含まれるEPAやDHAは、生活習慣病を予防する効果があります。オリーブオイルをかけてカルパッチョにしたり、焼き魚にするといいでしょう」
2018年11月12日「大腸がんの原因は、はっきり解明されていません。しかし大腸がんの約70%は、肛門のすぐ上、便がたまりやすい直腸とS字結腸にできるんです。つまり便秘になると、大腸がんになるリスクが高まると考えられます。腸内に老廃物をため込まないことが予防になるのです」こう語るのは、これまで4万件以上の大腸内視鏡検査を行ってきた腸の専門医で、『腸はぜったい冷やすな!』(光文社)など、多くの著書を発表している、松生クリニックの松生恒夫院長(63)。9月に厚生労働省が発表した「平成29年人口動態統計」によると、昨年の女性のがん死亡者数1位は、15年連続で大腸がん(結腸、直腸)だった。その数は2万3,347人。さらに、国立がん研究センターが同時期に発表した今年のがん死亡者数予測でも、2万4,800人と、今年も女性の死亡者数1位は大腸がんと予測されている。30年前と比べて倍以上に増えている大腸がんによる死亡者数。多くの女性たちがこの病いが原因で命を落としてきた。「大腸がん増加は、日本人のライフスタイルの変化、特に食生活の変化が、腸に負担をかけていることが原因だと考えられています」(松生院長・以下同)それでは、どのように生活習慣を改善すれば、腸が健康になるのだろうか。松生院長が勧める大腸がんを予防する習慣は次の5つ。【1】オリーブオイルを使った食事をする【2】夕食の主食は、肉と魚を1日おきにする【3】節度ある飲酒を心がける【4】食物繊維の多い品目を多く取る【5】適度な運動をして、肥満を避ける生活習慣の改善のほかに、忘れてはならないのが、定期的に大腸がん検診を受けることだ。「大腸がんの死亡者数が減らないのは、大腸内視鏡検査が浸透していないことが大きな要因です。現在、国内で年間400万件ぐらいの検査が行われていますが、胃の内視鏡検査など(約950万件)の半分以下に過ぎません。検査を受ける人が少ないので、大腸がんが悪くなってから見つかるケースが多く、死亡者数にブレーキがかからないのです。胃がんによる死亡者数が毎年減っているのとは対照的です」大腸がんは内視鏡検査による早期発見、早期治療で90%以上が治癒するといわれている。最後に松生院長はこんな人には、ぜひ診察を受けてほしいと言う。「いちばんは血便のある人。次に、いままでは平気だったのになぜか急に便秘が始まったような人です。また、親が60歳前後で大腸がんになったなど、家系内に大腸がんの経験者がいる場合は、遺伝性の大腸がんになるリスクが高いので、注意してください」女性のがん死亡者数1位の大腸がん。だが、正しく予防し、定期的に検査すれば、“死なない”病気なのだ。
2018年11月12日「大腸がんの原因は、はっきり解明されていません。しかし大腸がんの約70%は、肛門のすぐ上、便がたまりやすい直腸とS字結腸にできるんです。つまり便秘になると、大腸がんになるリスクが高まると考えられます。腸内に老廃物をため込まないことが予防になるのです」こう語るのは、これまで4万件以上の大腸内視鏡検査を行ってきた腸の専門医で、『腸はぜったい冷やすな!』(光文社)など、多くの著書を発表している、松生クリニックの松生恒夫院長(63)。9月に厚生労働省が発表した「平成29年人口動態統計」によると、昨年の女性のがん死亡者数1位は、15年連続で大腸がん(結腸、直腸)だった。その数は2万3,347人。さらに、国立がん研究センターが同時期に発表した今年のがん死亡者数予測でも、2万4,800人と、今年も女性の死亡者数1位は大腸がんと予測されている。30年前と比べて倍以上に増えている大腸がんによる死亡者数。多くの女性たちがこの病いが原因で命を落としてきた。「大腸がん増加は、日本人のライフスタイルの変化、特に食生活の変化が、腸に負担をかけていることが原因だと考えられています。それを改善するためにも、最初に自分の腸の健康状態を把握してください」(松生院長・以下同)松生院長監修のもと本誌が作成した、次のチェックリストをやってみよう。□ふだんから、野菜や生の果物をあまり食べない□水分をあまり取らない□炭水化物の摂取を避けている□牛肉や豚肉、加工肉(ベーコン、ソーセージなど)をよく食べる□下痢と便秘を繰り返している□排便後も残便感がある□排便時にときどき下血することがある□運動をしない□肥満気味だ□過度の飲酒や喫煙の習慣があるチェック数が、「3個以下」=特に問題なし。「4~5個」=やや問題があるので、チェック項目を見直そう。「6~8個」=要注意。生活習慣の改善を。「9個以上」=全面的な生活習慣の見直しが必要。近年、はやっている“炭水化物抜きダイエット”。「米やパンといった炭水化物は食物繊維と糖質でできています。食物繊維の摂取量が減ると、腸内に老廃物がたまりやすくなってしまいます。つまり便秘になりやすくなるわけです」一方、肉は大腸がんのリスクを高めるといわれているので、取りすぎは気を付けたい。さらに、夜にトイレに起きるのが、めんどうくさいなどの理由で、水分摂取を控えている人も注意が必要だ。「本来、便は腸内で泥状になっており、S状結腸で初めて固形便になります。水分が不足すると、S状結腸に至る前に固形化してしまって、便秘を引き起こします」食事や水分だけではなく、運動不足も腸の大敵だ。「大腸は、内容物を肛門のほうに送り出すぜん動運動を行っているのですが、筋力が衰えると、ぜん動運動が起こりにくくなり、便を押し出す力が弱くなってしまいます」
2018年11月12日日本人の2人に1人がかかる「がん」。今年9月上旬、国立がん研究センター(東京都中央区)が初めて公表した「がん患者の3年生存率」は、71.3%で、乳がんはステージ1では100%、乳がん全体でも95.2%となった。「かんの摘出手術をしたとしても入院期間は短くなり、通院しながら抗がん剤治療を受けるケースも増えてきました。“がん”と宣告されても、治療をすれば社会復帰できる時代になりましたので、慌てて仕事を辞めないこと。医療費の支払いという経済的な負担が伴いますので、治療を金銭面で支えてくれる公的制度を知っておくと安心できます」そうアドバイスするのは、『大図解届け出だけでもらえるお金』(プレジデント社)の著者で社会保険労務士、ファイナンシャルプランナーの井戸美枝さん。そこで、がんなど病気にかかったときの、経済的負担を支える制度について教えてもらった。■払い過ぎた税金が戻ってくる1月から12月までに自己負担した医療費が10万円(または所得の5%)以上かかった場合、確定申告をすると、10万円を超えた分が所得から差し引かれる「医療費控除」が受けられる。計算方法は、「1年間に医療費として支払った額」から高額療養費の給付や医療保険の給付金など「補てんされる額」を引き、さらに「10万円」を引くと医療費控除の額になり、税率に応じて税金が還付される。たとえば、医療費控除の30万円の人が、所得税の税率が10%だった場合、3万円が還付される計算になる。通院の交通費、医師の処方による医薬品は医療費控除の対象になるが、疲労回復のためのマッサージ代は対象外など、細かく分かれているので国税庁のホームページを参考にしよう。なお、専業主婦の妻ががんになった場合は、夫が加入する保険の被扶養者なので高額療養費制度、付加給付は利用できる。会社勤めしていないので傷病手当金はもらえないが、障害年金は夫が会社員の場合は、妻は「第3号被保険者」として国民年金に加入しているので障害基礎年金がもらえる。夫が自営業の場合は、専業主婦の妻自身も国民年金に加入しているので障害基礎年金を受け取れる。医師は医療費や使える制度について教えてくれるわけではない。そんなとき、病院内の「医療ソーシャルワーカー」や、全国400以上あるがん診療連携拠点病院にある「がん相談支援センター」では、社会福祉士や看護師らが、生活面での相談に乗ってくれる。気になること、わからないことはそのままにしないで、何でも聞いてみよう。
2018年10月17日日本人の2人に1人がかかる「がん」。今年9月上旬、国立がん研究センター(東京都中央区)が初めて公表した「がん患者の3年生存率」は、71.3%で、乳がんはステージ1では100%、乳がん全体でも95.2%となった。「かんの摘出手術をしたとしても入院期間は短くなり、通院しながら抗がん剤治療を受けるケースも増えてきました。“がん”と宣告されても、治療をすれば社会復帰できる時代になりましたので、慌てて仕事を辞めないこと。医療費の支払いという経済的な負担が伴いますので、治療を金銭面で支えてくれる公的制度を知っておくと安心できます」そうアドバイスするのは、『大図解届け出だけでもらえるお金』(プレジデント社)の著者で社会保険労務士、ファイナンシャルプランナーの井戸美枝さん。そこで、がんなど病気にかかったときの、経済的負担を支える制度について教えてもらった。■働くことが困難になったら病気やケガによって仕事や生活が制限されるようになった場合、現役世代の人でも年金がもらえる制度が「障害年金」。目、聴覚、手足などの障害、精神障害のほかに、呼吸器、心臓、腎臓、血液の疾患、糖尿病、そしてがんなど内臓疾患の人でももらえる。「たとえば、直腸がんを患い手術を受けて人工肛門にした、咽頭がんで摘出手術をした人などは、障害年金の対象の可能性があります」国民年金から支給される「障害基礎年金」、厚生年金から支給される「障害厚生年金」があり、もらうためには初めて医師の診断を受けた日(初診日)に65歳未満で、初診日から1年6カ月経過した日に要件を満たす障害がある、といった条件がある。また、国民年金の被保険者は市区町村、厚生年金の被保険者は年金事務所で手続きをして、医師の診断書が必要になる。「障害の等級は1級から3級まであり、障害基礎年金の1級は年額97万4,125円(’18年度)、2級は77万9,300円(同)になっています。自営業の人は、妻と(高校卒業していない)子の3人家族の場合、1級と認定されると年119万8,425円、2級は100万3,600円になります。それに対して、会社員は月収30万円とすると、1級は年221万225円、2級は185万7,900円と、2倍近くの年金がもらえます」障害年金の認定は、目に見えて体の機能が変わった場合だけでなく、がん治療による倦怠感や麻痺、しびれ、貧血、下痢など客観的にわかりにくい内部障害の場合にも該当する可能性があるので、「もらえないかも」と1人で勝手に判断しないこと。主治医に「障害年金を申請したい」と話したうえで、仕事や生活に支障をきたしていることを具体的に伝えてみよう。
2018年10月17日日本人の2人に1人がかかる「がん」。今年9月上旬、国立がん研究センター(東京都中央区)が初めて公表した「がん患者の3年生存率」は、71.3%で、乳がんはステージ1では100%、乳がん全体でも95.2%となった。「がんの摘出手術をしたとしても入院期間は短くなり、通院しながら抗がん剤治療を受けるケースも増えてきました。“がん”と宣告されても、治療をすれば社会復帰できる時代になりましたので、慌てて仕事を辞めないこと。医療費の支払いという経済的な負担が伴いますので、治療を金銭面で支えてくれる公的制度を知っておくと安心できます」そうアドバイスするのは、『大図解届け出だけでもらえるお金』(プレジデント社)の著者で社会保険労務士、ファイナンシャルプランナーの井戸美枝さん。そこで、がんなど病気にかかったときの、経済的負担を支える制度について教えてもらった。■医療費が戻ってくるたとえば、入院や手術で100万円の医療費がかかったとしても、窓口で支払うのは3割負担の30万円。ここから自己負担限度額を超えた分が戻ってくるというのが「高額療養費制度」。「一般的な所得の会社員(70歳未満、年収350万~770万円)が入院・手術して1カ月で100万円の医療費がかかったケースでは、8万7,430円が自己負担限度額で、21万2,570円が払い戻される計算になります。手続きは会社員なら勤務先を通じて健康保険組合、協会けんぽで、国民健康保険に加入する自営業の人は市区町村の国民健康保険課で行います。直近12カ月で3回以上、自己負担限度額を超えた月がありますと、4回目からは『多数該当』として自己負担限度額は4万4,400円と低くなり、戻ってくるお金は25万5,600円になります」(井戸さん・以下同)また、高額療養費制度は手続きしてから指定の口座に振り込まれるまで3カ月ほどかかるが、加入する健康保険で「限度額適用認定証」を申請して、病院で提示すれば、窓口での負担は限度額で済む。もちろん、生計を一にする家族が使った医療費もまとめて計算できる「世帯合算」にも適用できる。さらに、従業員が700人を超えるような大手企業の健康保険組合では、独自の自己負担限度額を設けているケースもあるという。「『付加給付』といい、たとえば、窓口負担が30万円の人でも、『付加給付』の自己負担限度額が2万5,000円だったとしますと、27万5,000円戻ってくることになります。なお、この制度は高額療養費制度と併用可能です」夫の会社の福利厚生を知らない、という人は今すぐチェック!■欠勤したときに給料の一部がもらえる治療が長引いたり、体調が戻らなかったりして、会社を欠勤するようになって給料が支払われないとき、健康保険から「傷病手当金」がもらえる。「連続して3日間の待期の後、4日目以降の仕事に就けなかった人は、4日目から最長1年6カ月、給料の3分の2程度の支給額がもらえます。月収30万円の人が60日休業した場合、約40万円がもらえる計算になります。届け出は勤務先を通じて健康保険組合・協会けんぽに申請し、その際、医師の意見書が必要になります。国民健康保険にない制度なので自営業の人はもらえませんが、パート勤務でも健康保険に加入すれば給付の対象になります」
2018年10月17日今では日本人の国民病ともいわれる「がん」。厚生労働省によると、生涯でがんにかかる可能性は男性の2人に1人、女性の3人に1人と推測されています。皆さんも自分がいつか、がんになる可能性について考えたことがあるかもしれません。そこで今回は「がんに関する意識調査」についてのお話です。■ 2人に1人はがんになる可能性があると認識がんに関する情報提供事業、先端がん医療技術の開発・普及支援事業を展開する「株式会社GMS」は、自身が「がん」と診断された経験がなく、身内にも「がん」経験者のいない、全国の20歳から59歳までの男女500名を対象に「がん」に対する意識調査を実施しました。まずは、自分が「がん」になる可能性があると思うか、についての結果を見てみると……、「可能性がある」「どちらかというとある」という回答を合わせると、55.8%の人ががんになる可能性を認識していることが判明しました。年代別でみてみると、自分ががんになる可能性を認識しているのは50代の62.7%がトップ。自身の加齢という要素だけでなく、「知人ががんになった」などと耳にすることも増えるからだと考えられます。foly / PIXTA(ピクスタ)■ 「がん対策」している人は何をしている?50%以上の人が将来のがんの可能性を認識していることが明るみになったこちらの調査。Fine Graphics / PIXTA(ピクスタ)しかし、実際にがん予防の対策を行ったことがある人はわずか16.2%。認識はあるものの、予防や対策をされている方は少数派なんですね。確かに日ごろの生活習慣の積み重ねが、がんの原因を作ると何となく分かっていながらも、急に改善することって難しいですよね。実際にがん対策をされた方の内容を見てみると、食生活、運動、禁煙、禁酒など、あらゆる病気の対策になりそうなメジャーな対策が並びます。プラナ / PIXTA(ピクスタ)しかし、「国立がん研究センター」によると、”禁煙・節酒・食生活・適度な運動・適正体重”、この5つのすべての健康習慣をすべて実践することは、がんリスクをほぼ半減できるとありますし、freeangle / PIXTA(ピクスタ)健康的な生活を意識することはがん対策に欠かせないことであることが分かります。■ 「がん検診」の受診率が低い要因とは?がん対策をしている割合が低いのであれば、もちろん「がん検診」の受診の割合も低いと予測がつきますよね。がん対策の一つに挙がる”がんの早期発見”ですが、3人に2人ががん検診を受けたことがないと回答しています。がん検診を受けない理由を見てみると、費用の問題、面倒などが上位に挙がります。Fuchsia / PIXTA(ピクスタ)確かに、”乳がん検診”を例に挙げると、普段はあまり利用しない乳腺外科で受診することになり、“怖い”と毎回感じてしまいますし、子宮けいがん検診などは、対象の年齢でなければ自己負担額が高い場合もあるため何となく後回しにしてしまうんですよね……。このような背景から、がん検診が億劫ということは筆者も理解できます。しかし、がんは“早期発見・早期治療”でその多くは治せるという時代。やはり定期的な受診はかなり有効ながん対策の一つといえるでしょう。よっしー / PIXTA(ピクスタ)いかがでしたか?がん保険に加入しているから大丈夫と構えている人でも、がん治療は日々進化していることもあり、保険に加入してるのに受けたい治療が受けられないというケースも珍しくはないようです。がん検診、自身の身体のがんリスクを下げる対策も重要ですが、がん医療費を備えること、保険の見直しなどもがん対策の一つと言えるのではないでしょうか。【参考】※2人に1人は「自分がいつか、がんになる可能性はある」と認識しているGMS調べ 「がんに関する意識調査 2018」※がん対策について-厚生労働省※科学的根拠に基づくがん予防-国立がん研究センター
2018年10月16日外見ケアに携わる分田貴子医師の新刊がん治療による見た目の変化への対処法を解説している書籍『女性のがんと外見ケア』が発売された。A5判で144ページ、法研より1,600円(税別)で刊行されている。著者は東京大学大学院医学系研究科乳腺内分泌外科学助教で、がん相談支援センター副センター長、外見ケアが専門の分田貴子氏である。抗がん剤・放射線の副作用と対処法日進月歩のがん治療は救命率を向上させている。しかし、抗がん剤や放射線などのがん治療が患者の外見に大きな変化を与えてしまうこともある。外見はその人にとって心の問題と直結し、QOL(生活の質)に大きく関わっている。分田貴子氏は、国立がん研究センター中央病院で免疫治療を研究し、患者の外見変化の問題を目の当たりにしたことから、カバーメイクの研究を始めている。その後、イギリスでの研修を経て、東大病院にカバーメイク・外見ケア外来を立ち上げている。新刊では、がん治療の副作用による外見の変化をカバーメイクや、ウィッグ、補正下着で目立たなくする活用法を解説。まず女性に多いがんについて解説され、抗がん剤治療と放射線治療の副作用やその対処法について、心のケアについて、また、東大病院の外見ケアサービスについても触れている。(画像はAmazon.co.jpより)【参考】※女性のがんと外見ケア
2018年10月03日今月15日、国立がん研究センターが新しいデータを発表した。’14年に、新たにがんと診断された人は約86万7000人で、過去最高を更新。また、’18年には100万人を超える人が、がんになると予測されている。そこで、がんに対する必要な備えを経済ジャーナリストの荻原博子さんが解説してくれた――。沖縄県の翁長雄志知事や漫画家のさくらものこさんなど、がんで亡くなる方が相次いでいます。もしがんになったらと不安になる方、体はもちろん、お金も心配だという方も多いでしょう。なかでも住宅ローンの返済は切実です。住宅ローンを組む多くの方は、契約者が死亡、あるいは高度障害に陥った場合、「団体信用生命保険(以下、団信)」でローンが完済される契約をします。ですが、がんなどで働けないときの保障は、通常、付いていません。ところが最近、病気に対する保障の付いた団信が増えてきました。新しく登場したのは「がん50%保障団信」です。がんと診断されたら、住宅ローンの残高が50%免除されるもので、’15年末からじぶん銀行が、今年8月からソニー銀行が扱い始めました。以前から、がんや脳疾患などの特定の病気になると、残りの住宅ローンが完済される「特定疾病保障付き団信」はありました。これと比べると、がん50%保障団信は、がん限定でローン残高も完済ではないなど、保障が少ないように感じます。ですが、大きな違いは保険料なのです。特定疾病保障付き団信は、住宅ローンの金利が0.3%程度上乗せされるものが多いです。たとえば3000万円を30年ローンで借りた場合、金利が0.3%上乗せされると、約150万円余計に払うことになります。これが30年分の保険料、つまり、年間約5万円かかるのです。私は金利を上乗せしてまで、保障を広げる必要はないと思います。これに対し、がん50%保障団信は、上乗せ金利がありません。保険料負担ゼロで、がんへの備えができるとうたっています。ただ50歳以上の方は、契約できないことが多いです。また、ネット銀行での契約には、書類を自分で不備なく用意する手間と時間がかかることにも注意しましょう。がん50%保障団信を含め、病気保障まで付いた団信はどんなものでも、住宅ローンの総支払い額を比較することが大切です。上乗せ金利にかかわらず、通常は不要な手数料や、住宅ローン金利そのものの高さによって、総支払い額が増えるケースもあるからです。今年4月から、前立腺がんの粒子線治療や、食道がんのロボット手術などが保険適用となりました。公的健康保険は少しずつ、がん治療をはじめとする先進医療の保険適用を拡充しています。先進医療だと10割自己負担で300万円かかった治療でも、保険適用になると現役世代の多くは3割負担で済みます。さらに高額療養費制度が利用でき、一般的な収入の現役世代なら、月9万円ほどの負担に抑えられます。過度な心配をせずに、必要な備えを見極めたいものです。
2018年09月28日「今でも、がん=死とイメージする人は少なくありません。しかし確実に、がんと共に生きていく時代が近づいています」とは、医療ガバナンス研究所理事長で腫瘍内科の上昌広医師。国立がん研究センターが9月11日、がん患者の「3年生存率」を初めて公表した。写真の表は、日本人に多い「5大がん」のステージ別のデータだ。上医師が解説する。「これは11年にがんと診断された全国約30万人のデータから算出したもので、がん全体の3年生存率は71.3%にものぼることが分かりました。これまでは約10年前に診断されたがん患者の5年生存率が一般的だったので注目を集めています。3年生存率の公表には、5年分のデータが揃うのを待たずして、最新治療を受けた患者の状態を把握するためのデータが算出できるという利点があるのです」今回公表されたデータのなかで、とりわけ3年生存率が高いのが乳がんだ。ステージ1では100%、全体でも95%を超えている。だが気がかりなのは、もっとも助かりやすい乳がんであっても、がん細胞がほかの部位に転移するステージ4になると生存率が54.4%に急落してしまうことだ。熊本大学乳腺内分泌外科の岩瀬弘敬教授は“生死を分ける境目”をこう語る。「まず、転移した部位がどこかによって生存率の明暗が分かれます。リンパ節や骨ならば3年後も70%以上の生存率が見込めますが、肝臓や肺などほかの臓器に転移した場合は3年後で50%を切ってきます。また進行が速いか遅いかというがんの性質によっても変わります。ステージ4と一口に言っても、小林麻央さん(享年34)の場合は発症してから亡くなるまでが短かったので進行の早いがんだったと考えられます。半面、再発しても10年以上生きている人も少なからずいます。とはいっても、やはり早期発見がもっとも大切です」女性の11人にひとりがかかるといわれる乳がんは、がんのなかでも唯一、自分で発見できる病気。乳がんで死なないためには、日常生活のなかでいかに自分の体をケアするかが重要だ。女性のがんのなかで最も死亡者が多いのが、大腸がん。ステージ4になると一気に生存率が下がり、30・3%になる。だが、東京女子医科大学病院がんセンター長の林和彦医師は「ステージ4でも絶望的になってはいけない」と語る。「ステージ4のがんは以前までは“末期がん”と呼ばれていましたが、今の医療現場ではもうそんな言葉は使われていません。医療の進歩により、ステージ4で転移がある進行がんでも、薬物療法でがんを縮小させたり、症状を抑えたりすることが可能になりました。その結果、ステージ4から3に下がることもあります。もはや、ステージ4は“死の境目”ではないのです」3年生存率のデータをひも解くことで見えてきた、がんに克つ希望。しかし、東京医療保険大学の副学長で外科医の小西敏郎教授は“3年生存率データへの過信”にこう警鐘を鳴らす。「3年生存率といっても、がんの部位ごとに治るまでの期間が異なります。つまり、“3年生きたからがんが治った”と安心してしまうのはとても危険です。たとえば、胃がんや大腸がんは5年が判断の目安。乳がんの場合は10年以上経ってから再発することがいくらでもあるので油断できません」06年に胃がん、09年に前立腺がんを経験している小西教授。2度の生還から“がんに克つ境目”を知る小西教授の話には生存率を上げるヒントが多い。「今は、私のように何種類ものがんにかかる時代。よく陥りがちなのが、1度がんになったときの担当医に定期的に経過を診てもらっているから安心だと思い込んでしまうこと。専門医は他のがんに気がつかないことも多いのです。私は体全体のがん検診を受け続けたことで、前立腺がんを早期発見することができたのです」がんの啓蒙活動を行っている、東京大学医学部附属病院・放射線科の中川恵一准教授は最後に言う。「実は先進国のなかで、がんで命を落とす人が増えている国は日本だけなんです。がん検診受診率の低さが主な理由といえます。また、がんのことを知らずに効果のあやしい代替医療や民間医療に走る患者が多いのが現状です」「がんに克つ」には、まずは早期発見。ステージ3や4でも過度な不安を抱かず、冷静な判断で適切な治療を選ぶことが重要なのだ。
2018年09月20日ダイエット中の発病で大腸がんの発見が遅れた。急きょ手術したものの人工肛門に。しかしがんと向き合ったら、いらないものがはっきりして生活が身軽に――。 「肛門から数センチのところにがんができてしまったから、手術では肛門の周辺をまるで茶筒を抜くようなイメージで、ざっくり切除。その後、左右のお尻を強引につなぎ合わせたので、お尻の割れ目がなくなっちゃったんですよ」 開口一番にそう語るのは、マンガ家の内田春菊さん(58)。大腸がんが原因で、人工肛門の生活になるまでの経緯をまとめた『がんまんが』(ぶんか社)が注目されている。同作品の表紙に描かれている女性の左脇腹にある、赤いおできのようなものが目を引く。 「穴を開けた脇腹から、体内で切り離した大腸を出しているんです。ここから排せつできるよう、人工肛門の袋を装着しました。慣れれば、意外に楽なんです」(内田さん・以下同) 達観したように見えるほど、時にユーモアを交え、時に淡々と語る内田さん。内田さんは、’15年の年末から抗がん剤治療を開始。’16年4月、がんを切除するため手術に臨む。3時間半の大手術だった。 「人工肛門については、ほぼつけることになりそうだと聞いていましたが、一縷の望みを捨てたくないんですね。そういった意味では、覚悟はできていませんでした。だから入院当日に、人工肛門をつける場所を決めて、おなかにマーキングしたときは“なんで?まだ決まっていないのに”って」 現在、身につけている1枚800円ほどの使いきりの袋や、2日で1回くらい取り替える500円ほどのフィルターなどの器具は、これから一生涯使い続けることになる。 「でも、慣れれば着脱は簡単だし、排せつ物をためる袋は1日1回、取り替えるだけ。袋は中身の見えないタイプもあるんです。お風呂も普通に入れますから、まだ行っていませんが、温泉にだって入れます」 それでも、けがなどで四肢を切断したとき、切断した部分が痛むような“幻肢痛”に悩まされることもある。 「同じようなことを体験しました。おなかが痛くなると、ないはずの直腸あたりが痛むことはあったりします。でも、出る爽快感は味わえなくても、散々悩まされた便秘の苦しみからは解放されました。将来、介護生活になっても、おむつの取り替えの必要はないし下の世話は楽だなんて思ったりして(笑)」 患部も、息子が「梅干しみたい」と表現したそのままの形状だ。 「おなかから取り出した大腸の表面はクニャクニャしていて、お風呂に入ると色が白くなったり、体調を崩すと赤い点々が出てきたり。けっこう“表情”があって、今は愛おしい存在です」 自分の体を受け入れ“無理はしない”ことも心がけるようになった。依存症のように飲んでいたお酒も、やめてから1年ほどたった。 「医者から『がん患者にお酒までやめろとは言えない』と言われていましたが、飲みすぎは何しろ大腸に悪いし、絶対に再発は防ぎたいので。そもそも悩みを忘れるためにお酒を飲んでいましたが、それで解決するわけではないから。結局同じことで翌日はまた落ち込むんですね。だったら、最初から悩みに向き合い、受け流していけばいいんですね」 酒と同時に、これまで絶やさなかった恋愛も卒業。 「私の男性遍歴を知っている親しい友人からは『絶対無理でしょ』って言われますが。親からの虐待があって、そこで男性に愛情を求めていた部分もあったんですけどね。4人の子どもに恵まれたし、閉経して、もう出産することもないから必要ない気がするんですよ。がんになっていろいろ割り切れたから、酒も恋愛も捨てられました。人生で重荷だったことが2つも消えて、身軽になりました」 がんと共存していくなかで、これまでの悩みも小さく思えるようになった。そうすると、がんを前向きに捉えられるようにもなった。 「当初は人工肛門のことを描く自信はなかったし、迷いもありました。でも今では“大ネタもらっちゃったな”という思いです」 そして現在は、続編としてストーマ(人工肛門の総称)生活を描いた「すとまんが」を執筆中だ。 「今、がんになって改めて感じるのは、これまでと変わらず子どもに囲まれて、マンガを描けることが本当に幸せだということ」 自分の体に変化があったからこそ、当たり前と思っていた日常に幸せがあるのだと再確認できたのだった。
2018年04月08日大丸松坂屋百貨店はこのほど、子宮頸がん予防の啓発活動「LOVE49プロジェクト」を全国の大丸・松坂屋18店舗(※)で開始した。期間は4月17日まで。LOVE49プロジェクトは、認定NPO法人『子宮頸がんを考える市民の会』が主催する「子宮を大切に想い、子宮頸がんの予防を伝える」取り組みのこと。同社では、女性が多い百貨店にふさわしい社会貢献活動として、これまでもピンクリボン運動(乳がん啓発活動)や子宮頸がん予防・啓発活動などに取り組んできた。今年も「子宮頸がんを予防する日=4月9日」を中心に「2018年春LOVE49全国街頭予防・啓発アクション」を実施する。そのほかに店頭募金やチャリティ缶バッジの販売などを通じて、子宮頸がんの早期発見・早期治療の重要性を訴えていくという。4月8日には大丸神戸店・須磨店で、子宮がん闘病の経験を持つタレント・原千晶さんのトークショーを開催する。自らの闘病体験に基づいた「女性の心と体を守ることの大切さ」について語るとのこと。大丸須磨店・芦屋店では、実際に子宮頸がん検診で見つかったがん細胞と正常な細胞とを顕微鏡で見比べ、違いをわかりやすく説明するコーナーを設置する。大丸芦屋店では4月7日、LOVE49キャンペーン兵庫実行委員である南出卓氏プロデュースのフルート奏者グループによる演奏会も開催する。4月17日までは、大丸・松坂屋18店舗の店頭(案内所など)で子宮頸がん予防の啓発ニュースレターの配布や募金、およびチャリティ缶バッジの販売を行う。缶バッジの販売は売り切れ次第終了。店頭募金、チャリティ缶バッジの収益金は、LOVE49プロジェクトの推進に活用されるという。※大丸心斎橋店、梅田店、東京店、京都店、山科店、神戸店、須磨店、芦屋店、札幌店、松坂屋名古屋店、上野店、静岡店、高槻店、豊田店/博多大丸、下関大丸、高知大丸、鳥取大丸
2018年04月02日「がんになり入院や治療で子どもと接することができなくなっても、ママらしいことをしてあげたい!」 医師として患者と接するなかで、そんなママのもどかしい気持ちを痛いほど感じてきた金城舞さん(38)。制限があるなかでも子どもに存分に愛情を注いでほしいと、昨年10月、NPO法人「がんのママをささえ隊ETERNAL BRIDGE」(以下・ささえ隊)を立ち上げた。 金城さんは福岡県内の大学病院に勤務する乳腺外科医。大学病院でのポジションは医員という、いちばん下の職制。乳腺外科医としてもこれから修業を積んでいこうという若手医師だ。病院内で患者のための活動を立ち上げるには時間がかかる。既存の組織内で新しいチャレンジは難しい。ならば、別の立場を作ってボランティアでサポートすればいいと切り替えた。それが「ささえ隊」だ。 8月末、福岡市東区の会場で患者のママと子どもが一緒に料理する「親子クッキング」のイベントがあった。午前10時から25人の参加者全員で調理開始。白地にお菓子柄のエプロンをつけた金城さんも、包丁やフライパンを手に奮闘した。できあがった料理を楽しげなおしゃべりとともに完食すると、午後から親子別行動。子どもは託児室で遊び、ママのほうは調理室の隅で輪になり。「かたりBa」を始める。 「かたりBaは、ママ同士で思いを吐き出す場所。私がアドバイスしたり、答えを与えたりするものではありません」(金城さん) がんのママたちが互いに共感することで生まれる力。それが病気と向き合うために大切だと金城さんは言う。 乳腺外科の第一線で、金城さんは、身の引き締まる思いでスキルアップに取り組んでいる。医師としての能力や技術はあって当然のこと。だから日ごろのトレーニングはもちろん、学会や研修、高名な医師の講習会などで勉強する。専門分野にとどまらず、患者とのコミュニケーションスキルを学ぶワークショップにも自発的に参加。 「心優しいだけのヤブ医者になってはいけない、そう自戒しています」(金城さん) 医師としての金城さんを知る人たちは、どんなふうに感じているのか。「舞先生の診察は、待ち時間が長いんです」と笑うのは菜々美さん(仮名・44)。現在、ささえ隊スタッフの彼女は、37歳で子宮がん、42歳で乳がんを患った。 「舞先生は一人一人の患者の話をじっくり聞いてくれるから、必然的に待ち時間が長い。でも、私は不満どころか、それがわかっているから逆にうれしいんです。私も診察中に泣くことが多かったけど、舞先生は時間を気にしたり、話の途中で切り上げるようなことは一度もしませんでした」(菜々美さん) 乳がん手術の日、不安に押しつぶされそうだった菜々美さんは、突然手の甲にぬくもりを感じた。金城さんが、静かにさすってくれていた。 「がんになったことは悲しいけれど、舞先生に出会えたことは一生の宝物です」(菜々美さん) 6歳と2歳の子どもを持つ優美さん(仮名・32)は昨年7月、ステージ3の乳がんと診断された。厳しい現実に心が折れかけたが、金城さんの言葉に助けられた。 「診察室に入ると、必ず子どものことを話題にしてくれます。『そろそろ入学式ですよね。本人はドキドキしていると思うから、ほめてあげてくださいね』とか。そのときの私は自分の体調のことで頭がいっぱい。でも、そういう言葉を聞くと、子どものことが後回しだったと気づかされる。母親としての平常心を取り戻せるんです」(優美さん) 検査結果や今後の見通しについては、医師ならではの冷静な、しかし温かい言葉をくれるという。 「『どんな治療にも絶対はない。再発するときは再発する。でもそれにとらわれず、治療中はお子さんとの時間を楽しんで』、そう背中を押してくれます」(優美さん) 「ママたちの不安を安心に、涙を笑顔に変えたい」と語る金城さんには、乳腺外科医として、目指すものがあるという。 「持てる能力すべて使ってよりよい医療を提供したいです。患者さんの中には、厳しい状況にある人もいます。でも、どんなに小さくても、必ず希望を与えたい。『一緒にがんばりましょう』。その言葉を忘れたくないですね」(金城さん)
2017年09月17日「がん治療に明るい光が見えています。がんと診断されてから5年後に生存する人の割合を示す『5年生存率』が、昨年より0.9%上昇。65.2%になりました(’17年8月・国立がん研究センター発表)。そのいっぽうで、がん患者へのアンケートから『働くがん患者の年収は、平均2割減少した』ことがわかりました。減少の理由は、休職、業務量のセーブ、退職がトップ3です。なかには『収入ゼロになった』人が18%もいて、『半分以下になった』人が47%に上ります(’17年8月・ライフネット生命保険調べ)。小林麻央さんなど、がんで命を落とす方もいて、がんへの恐怖はなかなかぬぐえません。しかし、経済的なことに限定すれば、制度を知って賢く利用することで、不安を軽減することができます」 こう語るのは、経済ジャーナリストの荻原博子さん。ただし、それらの制度は自己申告制。知らなかったために生活が困窮することのないよう、荻原さんが“がんの不安を軽減することができる”制度を解説してくれた。 【1】高額療養費制度 「医療費は収入や年齢によって、月々の負担上限が決まっています。たとえば、70歳未満の年収370万〜770万円の方なら、自己負担は月約9万円。それを超えて支払った医療費は、申請すれば返金されます。入院の場合は『限度額適用認定証』を受けておくと、医療機関への支払い自体が限度額になるよう計算してくれ、大金の支払いや返金手続きは不要です。詳しくは、病院窓口にお問い合わせください」 【2】医療費控除 「1の高額療養費制度での返金や民間保険の給付金などを差し引いても、年間の医療費が10万円を超える場合は、確定申告して医療費控除を受けましょう。医療費控除は、5年間さかのぼって申告することができます。体調が落ち着いてからでも間に合いますから、領収証はきちんと保管しておきましょう。先のアンケート調査でも、1の高額療養費制度は病院からの指導もあるようで、利用率が92%ですが、2の医療費控除の利用率は58%。忘れずに申告したいものです」 【3】傷病手当金 「会社員の方なら仕事を休んでも、給料の約3分の2が、最長1年半の間、傷病手当金として支給されます。パートの方なども、社会保険に加入していれば支給対象です。また、1年半を超えても病状が思わしくなく働けない場合は、障害年金が受給できることもあります」 これら公的支援を利用すると、医療費の自己負担はかなり抑えられる。東北大学・濃沼信夫氏の’10年の調査では、がん患者の医療費は平均101万円かかるが、公的支援や民間保険などの給付が平均62万5,000円あった。これを差し引くと、実質負担の平均は約40万円。思ったより負担が少ないと感じる人も多いのでは。 「昨年12月に、改正がん対策基本法が成立し、がん患者が働き続けられるよう配慮することが、事業主の責務として盛り込まれました。がんになったからといって、すぐに辞めないことが大切です。身近にも、がん治療をしながら働いている方が増えてきたように思います。制度などは企業の方針を待たねばなりませんが、私たちはできるだけの応援をしていきたいものです。日本人の2人に1人はがんになるといわれている時代です。お互いさまの精神で、助け合っていきましょう」
2017年09月01日女性特有のがんの一つである子宮頚がん。その名称を聞いたことがある人は多いだろうが、「子宮頚部異形成」という言葉を耳にしたことがある人となると、一気にその数は減るのではないだろうか。実はこの子宮頚部異形成は、子宮頚がんの手前の段階にあたる。年間で約1万900人が新たに子宮頚がんに罹患している(2014年の人口動態統計より)だけに、その発病のメカニズムをきちんと理解しておけば、自身やパートナーの命を救うことにつながることになる。今回は一般にあまり知られていないであろう子宮頚部異形成について、産婦人科専門医の十倉陽子医師にうかがった。――まず、子宮頚がん発病の原因をあらためて教えていただけますでしょうか。最近になって、子宮頚がんが発生しているほとんどの人が、ヒトパピローマウイルス(HPV)というウイルスに感染していることがわかってきました。HPVには子宮頚がんを起こしやすいハイリスクタイプとローリスクタイプがあります。日本人では、性交経験のある女性の約10%において、子宮頚部にハイリスク型のHPVが検出されています。――HPVが子宮頚がんの原因なのですね。それでは、子宮頚部異形成と子宮頚がんの関係性について教えていただけますでしょうか。HPVに感染しても、90%の人は2年以内に自分の免疫の力でウイルスが自然に排除されます。ただ、10%の人は感染が長期間持続し、子宮頚部異形成という子宮の頚部の細胞が異常に増殖した前がん病変に進んでしまいます。そして異形成が軽度、中等度、高度と進行していくと、子宮頚がんへ移行してしまうことがあります。日本では年間に約1万人が子宮頚がんを発症し、約3,000人が亡くなっています。特に若い女性で患者さんが増えているのが特長です。喫煙や性交渉のパートナーの多さ、コンドームなしでの性交渉がリスクとなるので注意しましょう。――性交渉で感染するHPVは、大半の女性が生涯を通じて一度は感染するウイルスと言っても過言ではないですよね。異形成にも軽度、中等度、高度と複数のステージがあるとのことですが、各ステージから子宮頚がんへと移行してしまう確率はどれぐらいなのでしょうか。HPVに感染してから子宮頚がんに進んでしまうまで、数年から10年程度かかるとされています。軽度異形成からですと5年間で5~14%、中等度異形成からは5年間で17~26%、高度異形成とその後のステージである上皮内がんまで進行してしまうと、2年ほどでおよそ3割が子宮頚がんへ進んでしまうとされています。そのため、多くの場合にはこの時点までに治療が必要となります。逆に軽度異形成からは59~75%が、中等度異形成からは52~64%が、高度異形成と上皮内がんまで進行しても19%が2年以内に正常な細胞へと自然に治ってしまうと言われています。――子宮頚部異形成の各ステージでの症状には、どのようなものがあるのでしょうか。子宮頚部異形成では通常、ほとんど自覚症状がありません。子宮頚がんへ進行してしまっても、その初期には症状がほとんどなく、がんが進んでいくにつれて時々起こる症状としては「臭いがある」「茶褐色や黒褐色のおりもの」「月経以外の出血である不正出血」「性交渉時の出血」「腰や腹部の痛み」などが出てくることになります。何か症状があれば、婦人科を受診してきちんと検査を受けることが大切です。ただ、できるだけ初期に発見するため、検診をしっかり受けていただくことがより重要です。※写真と本文は関係ありません○取材協力: 十倉陽子(トクラ・ヨウコ)産婦人科専門医。大学卒業後、総合診療、家庭医、地域医療を初期研修で学び、その後女性を全人的に見ることができる医師を目指し産婦人科医局に入局。腹腔鏡手術での婦人科良性腫瘍、性感染症、女性医療、婦人科悪性腫瘍、周産期医療、新生児治療の研修を踏まえ、現在は不妊治療専門施設に勤務。体外受精を含む不妊治療を中心に、その他女性のトラブル全般に対応できる女性の全人的医療者を目指しています。一歳と三歳の二児の母としても奮闘中です。En女医会所属。英ウィメンズクリニック勤務En女医会とは150人以上の女性医師(医科・歯科)が参加している会。さまざまな形でボランティア活動を行うことによって、女性の意識の向上と社会貢献の実現を目指している。会員が持つ医療知識や経験を活かして商品開発を行い、利益の一部を社会貢献に使用。また、健康や美容についてより良い情報を発信し、医療分野での啓発活動を積極的に行う。En女医会HPはこちら。
2017年07月25日乳がんを経験し、講演などの活動を行う女優の音無美紀子さん(67)と「がん哲学外来」理事長で、がん患者やその家族と対話し、生きる希望を与えている順天堂大学医学部の樋野興夫教授(63)。2人に1人が罹患する時代に、がんやがん患者とともに生きてきたお2人が、病いにどう向き合えばいいかを語り合った。 音無さんは’88年に乳がんが見つかり、当時標準治療だった全摘手術を受けた。手術後は、うつになり「死にたい」と苦しんだという。 音無「10時間に及ぶ手術、その後のリハビリと奮闘しましたが、抗がん剤の点滴治療のミスをきっかけに心を閉ざしてひきこもり状態に」 樋野「がん告知を受けた人の約3割に音無さんと同じようにうつ的な症状が現れます」 音無「眠れない、食べられない、何もできない。当時、そういうのは、心が弱い人がなる“ノイローゼ”だと思い込んで、恥ずかしくて病院にも行けなかった。告知されてからの闘病の苦しみ、『なぜ私が?』という恨みや未練も重なり、つらかった。いくら医療技術は進歩しても、人間の“心”は同じ気がしますね」 樋野「はい。医師には最先端の治療を確立することと、もう一つ『人間的な責任で手を差し伸べる』という使命がありますが、それが失われようとしています。そこで私は’08年に『がん哲学外来』を立ち上げました。患者さんとご家族に、『病気であっても病人ではない』『がんも単なる個性である』というような言葉の処方箋を出しています」 音無「言葉といえば、ある日、当時小学生だった娘の『ママなんで笑わないの?』の言葉にハッと気づかされたんです。左胸を全摘してから自分の体もそうですが、いっさい鏡を見られなくなったんです。鏡を見てみると口角も上がらないし、どう笑えばいいのかさえ忘れてしまっていて。娘に言われてから意識して鏡で笑顔をつくるようになりました。少しすると口紅もつけてみよう。美容室にも行こうと、徐々に元気になれました」 樋野「家族の『言葉の処方箋』に助けられましたね。私の哲学外来では一人1時間、カルテもなし。お茶を一緒に飲みながら話を聞いて対話するだけです。どんな病気なのか。なぜここに来たのかをじっくり聞くうちに本音を吐露していきます。自殺を考えていた人に『あなたには役割がある。存在には意味がある』と伝えると、自分ができることを探し始めます。その患者さんが自ら『メディカルカフェ』を開き、同じ苦悩する人の悩みに耳を傾ける人もいるんです」 音無「私自身、“心が重い日々”が続きましたが、一歩を踏み出すことで変わりました。うつで、夏休みに娘をどこにも連れていけないとき、『絵日記を書く材料がない』って言われたんです。娘は『ママと、目玉焼きをつくりたい』と言うから『それならできるかも』と、勇気を出してやってみたら『ママすごい』と娘が喜んでくれました。翌日、『じゃあ、おにぎりをつくろうか』と言って三角おにぎりをむすんだ私に『すごい』と娘が言ってくれて。本当に小さな一歩でしたが、これをきっかけに気持ちが回復していきました」 樋野「家族の接し方では、懸命に尽くすつもりが、気持ちの押し付けになる“よけいなおせっかい”が多い。ふだんは話もしないのに病気になると、途端に世話を焼く。それが患者の悩みや負担につながっています。そんな人に私は『偉大なるおせっかいであれ』と伝えます。同じ部屋にいて寄り添うだけでいいんです。夫婦でリビングに無言で1時間一緒にいる。“よけいなおせっかい”だと思われないように、お互いが一緒にいることで安心できる関係をふだんからつくっておきましょう。大事なのは相手に関心を持つこと。『後ろからじっと見守る』イメージです」 音無「私たちも仕事が忙しく、ふだんは対話の時間が多かったわけではないのですが、主人(俳優の村井國夫さん)は私が病気のことを人に言えずに苦しんでいることを見てくれていたようです。『もうさらけだせば』という思いが助けになりました。がんになって13年後、’01年に主人がテレビ番組でポロッと私のことを話したところ大反響で、それをきっかけに私も『徹子の部屋』に出演して闘病について告白でき、ようやくラクになりました」
2017年07月22日俳優のヒュー・ジャックマンが、再び皮膚がんの治療を受けていたことが分かった。2013年に皮膚の基底細胞がんと診断されて以降、過去数回にわたって鼻の皮膚の手術を受けているヒューだが、今回再び鼻に絆創膏を着けている自身の姿をツイッターに投稿し、医師団によって非黒色腫皮膚がんが発見されたことを明かした。ヒューは写真と共に「新たな基底細胞がんが見つかったよ。定期的な検診と素晴らしい医師団に感謝するよ。すべてはうまくいっているよ。この絆創膏を着けていると見た目は悪いけどね!みんな、日焼け止めクリームを塗るようにしてね」とツイートしている。ヒューは以前あるインタビューの中で「『がん』という言葉は聞くだけもショックを受けるものだよね。皮膚がんはオーストラリアで育った自分にとって珍しくないんだ」「がんについては落ち着いて対応するようにしたよ。基底細胞がんとはただ向き合わなくちゃいけないんだよ。これは悪性腫瘍だからね。どんどん症状が進行するんだ。だから僕らはただこれを取り除かなくちゃいけないんだよ」とコメント。また、「僕は3カ月ごとに検診にいっているところさ。まあ僕にとってこれは新しい習慣だけどね。医者はこれからも再発するだろうと言っているし、もし君がこの病気にかかることがないとしたらそれはラッキーだってことだよ」と語っていた。(C)BANG Media International
2017年02月15日