「ももいろクローバーZ」(百田夏菜子、玉井詩織、高城れに、有安杏果、佐々木彩夏)が初主演を務める舞台「幕が上がる」の開幕を前に4月30日(木)、リハーサルの模様が公開され、原作小説、劇場版とはまた違った物語が明らかになった。平田オリザが発表した青春小説を「踊る大捜査線」の本広克行監督が2月公開の映画に続いて「ももクロ」主演で舞台化。弱小の高校演劇部が、かつて“学生演劇の女王”の異名をとった新米教諭を顧問に迎え、全国大会出場を目標に奮闘するさまを描き出す。※以下、物語の内容や演出に踏み込んだ記述が出てきます。ご注意ください。舞台版の物語は演劇部の練習場となっている美術室のシーンで始まるのだが、上演開始の15分ほど前からすでに部員のひとりが“早練”で壇上に姿を見せ、台本を読みこんでおり、さらに高城さん演じるガルルが廊下をアラレちゃんのように「キーン!」などと意味不明の言葉を発しながら高速で走り抜けるなど、一風変わった演出で観客を楽しませる。また、開演前の注意のアナウンスを行なったのは百田さん!携帯電話についての注意や非常口の案内を行なった後に「百田でした!」と語ったが、全公演を通じて百田さんが務めるのか?それとも日替わりでメンバーが行うのかは不明…。この舞台版は原作者の平田さんが自ら脚本を執筆しているが、原作小説、映画と大きく異なるのは、舞台に出てくるのが「ももクロ」が演じる演劇部の主要メンバー5人(3年生4人と2年生1人)と彼女たち以外の7人の女優が演じる2年生、1年生部員――つまり合計12名の演劇部員のみで、親や教師といった大人が一人も登場しないという点。映画では黒木華が演じた吉岡先生が鮮烈に登場し、演劇部を導くさまが描かれるが、この舞台では吉岡先生が学校を去ったのち、百田さん演じる部長・さおりを中心に、生徒たちが苦悩し、もがきながらも自分たちの力で前進していく過程が描かれている。そして、舞台版の大きな見どころと言えるのは劇中劇の「銀河鉄道の夜」。映画では、演劇部の大会での上演演目である「銀河鉄道の夜」の描写はごく一部のシーンでしか見られなかったが、舞台版ではその稽古の模様がかなり詳細にわたって描かれている。劇中劇の描写によって登場人物たちの心情が映し出されるような場面もあり、この舞台の重要な要素となっている。また「銀河鉄道の夜」の作者・宮沢賢治は岩手県の出身だが、それも踏まえてこの舞台版では2011年の東日本大震災に関係する描写や設定も加えられている。この部分に関しては、リハーサル前の記者会見でも、メンバーが「ビックリしました。まさかこんなエピソードが…」と驚きを漏らしていたが、そこで語られるセリフは「きっと日本中のみんなが持っていてくれるんだろうという言葉であったりしたので、だからこそしっかりと届けて、胸にグサッと刺さればと思います」とも!また、ファンにとって嬉しいのは、随所に見られる、メンバーが歌うシーン。部室で、屋上で、そしてカラオケボックスで!決してミュージカル調ではなく、あくまで物語の中で自然に歌声が挿入されているのだが、誰が何を歌うのかは見てのお楽しみ!基本的にストーリーはほぼ原作に沿った形で進むのだが、シチュエーションやそれぞれのセリフなどは、ほとんど舞台オリジナルとなっている。同時多発的にあちこちで会話が始まり、重なり合う平田さん独特のセリフ回しも健在!原作小説を読んでいる人も、すでに劇場で映画を見た人も新鮮な気持ちで高校生たちが時に悩み、ぶつかり合いながらも成長を遂げていくさまを楽しめる作品となっている。舞台「幕が上がる」は5月1日(金)よりZeppブルーシアター六本木にて開幕。(text:cinemacafe.net)
2015年05月01日乃木坂46元メンバーでモデルの宮沢セイラ、お笑いコンビ・フォーリンラブのバービーが3日、千葉県内のスポーツクラブで行われた特集番組『WOWOWテニスデー』の収録に参加した。WOWOWでは、4月19日に『WOWOWテニスデー』と題したテニス番組を特集。日本人初・世界ランキング1位の錦織圭選手に焦点を当てた、「錦織圭という奇跡!」(13:00~)、「錦織圭だけじゃない! 新旧スーパースター列伝!」(15:15~)、「錦織圭 グランドスラム制覇への道!」(17:45~)を約8時間に渡って放送する。また、番組内では、宮沢とバービーが、テニスのレッスンや試合に挑んでいる。テニス初心者の宮沢は、レッスンを終えると、「スッキリしてストレス発散になる。当たった時の音が気持ち良い。趣味でやってもいいかなと思った」とすっかりハマったようで、「初心者でも楽しめるスポーツなので、番組を通して盛り上げていきたい」と笑顔でアピール。一方、テニス歴10年でインストラクター経験もあるバービーは、大活躍している錦織選手に対し、「テニスで食えないのは日本の常識だったけど、錦織くんのようなスターが現れた。上に行けば華やかな世界があるんだと、希望を与えてくれた」と喜びの表情を浮かべた。また、同番組で初共演した2人だが、担当コーチと共に宮沢を指導したバービーは、「セイラちゃんは『格好良い~!』って言って、コーチの腕の筋肉しか見てなかった」と含み笑いで暴露しつつ、「サーブ、ストローク、ボレー、スマッシュは一通り出来た。言ったことをすぐに実践して筋が良い」とその素質を称賛。元サッカー選手の宮澤ミシェルを父親に持ち、自身もバレエやサッカー、マラソンなどの経験を持つ宮沢は、「全部制覇して、スポーツと言ったら宮沢セイラと言われたい」と意気込むと、バービーは、「ポスト水野裕子!」と太鼓判を押していた。
2015年04月04日宮沢りえが映画『紙の月』の演技で、2月27日(金)に開催された「第38回日本アカデミー賞」授賞式で最優秀主演女優賞を受賞。宮沢さんはオープニング時は赤いドレスで出席したが、舞台公演のために途中で式を抜けており、同作の吉田大八監督が代わりにブロンズを受け取った。宮沢さんは同作で、平凡な妻であり、銀行員だったが、ふとしたきっかけで横領に手を染めていく主人公を好演。昨年の東京国際映画祭の最優秀女優賞受賞を皮切りに、今年の賞レースをリードし、この日本アカデミー賞「最優秀主演女優賞」も本命視されていた。今年は同数票のために例年よりも一人多い6名が「優秀主演女優賞」を受賞。宮沢さんに吉永小百合(『ふしぎな岬の物語』)、安藤サクラ(『0.5ミリ』)、池脇千鶴(『そこのみにて光輝く』)、井上真央(『白ゆき姫殺人事件』)、二階堂ふみ(『私の男』)と若手、ベテランの実力派が顔を揃えたが、宮沢さんが「最優秀賞」に輝いた。なお宮沢さんの「最優秀主演女優賞」受賞は2003年の『たそがれ清兵衛』以来、2度目となる。宮沢さんは真っ赤なドレス姿で他の5名の「優秀賞受賞者」と共にオープニングのレッドカーペットを歩いたが現在、舞台「三人姉妹」に出演中で、残念ながらセレモニーの最中に会場を後にせねばならず、「主演女優賞」の授与の際は不在。「優秀賞受賞者」のひとりずつの挨拶は、事前に収録されたメッセージがスクリーンに映し出され、そこで「『紙の月』という作品に出合った大きさを改めて感じています。私の歴史の1ページになったと思います」と喜びを語っていた。昨年の「最優秀主演男優賞」受賞者の松田龍平がプレゼンターを務め、「最優秀賞」に宮沢さんの名が読み上げられると会場は歓声に包まれた。宮沢さんの代わりに同作の吉田監督がブロンズを受け取ったが、吉田監督は、宮沢さんが長く演劇に活動の軸を移していた中で本作で7年ぶりの主演を務めたこと、そしてこの日も演劇のために出席が叶わなかった点に触れ「演劇のカレンダーは早いですが、映画の方ももう少し、(演劇に)負けない野心的な企画を持って行かないといけないと、彼女がいない席を見て思いました」と祝福の代わりに映画人を代表して“警鐘”を鳴らした。また、「最優秀助演女優賞」は『小さいおうち』の黒木華(くろき はる)が受賞。着物姿で登壇した黒木さんは「この作品は私をいろんなところに連れて行ってくれました。いろんな思いをしたし、いろんな経験をしたなと思います。役者さんになることができてから、賞をいただけると『このまま(役者を)やっていいんだ』と思えて嬉しいです。周りに助けていただいてばかりなので、そういう方が(黒木さんの受賞で)喜んでいただけるのが一番嬉しいです」と喜びを口にした。(text:cinemacafe.net)■関連作品:紙の月 2014年11月15日より全国にて公開(C) 2014「紙の月」製作委員会
2015年02月27日ダンサーで振付家の西島数博が芸術監督を務めるガラ公演「プレミアム・ダンス・ガラ」が4月24日(金)、東京・メルパルクTOKYOで行われる。「プレミアム・ダンス・ガラ」チケット情報西島が立ち上げた企画団体J.D.I(ジャパン・ダンス・イノベーション)による旗揚げ公演で、バレエ、タップ、ジャズ、コンテンポラリー、ストリート、アルゼンチンタンゴ、ボールルームダンスなど、様々なジャンルのトップダンサーが一堂に集結。タップのHIDEBOHと異ジャンルのダンサーによるコラボ作品、小尻健太振付の宮沢賢治「雨ニモマケズ」をコンセプトにした新作など12演目を上演する。「他のジャンルのダンサーとの壁をとっぱらいたかった。今まで一緒に舞台に立ったことのない方々に集まっていただいて、『こんなのアリだったんだ』と思ってもらえるような舞台をお見せできたら」と、12月に行われた会見で意気込みを語っている西島。西島自身は、東北の被災地を撮り続ける写真家とのコラボレーション作品を発表する予定だ。公演は4月24日(金)の昼夜2回。チケットの一般発売は1月17日(土)午前10時より。なお、チケットぴあでは本日午後6時より一般発売直前先行を実施。
2015年01月16日キャラメルボックスの新作公演『太陽の棘 彼はなぜ彼女を残して旅立ったのだろう』が12月10日、東京・サンシャイン劇場にて開幕した。今作は脚本家・ほさかよう(演劇プロデュースユニット「空想組曲」主宰)に脚本を依頼し、劇団の成井豊が演出する新しい取り組みだ。キャラメルボックスと言えば「人が人を想う気持ち」をスローガンに掲げ、幾多の困難の末にその想いを成就させる物語を得意としている。だがこの舞台では「死別を契機に、残された人達が故人の本心を探る」という、劇団史上類を見ない物語に挑んだ。大切な存在に先立たれた人々のやりきれぬ心情を丁寧に描き、新たな刺激と可能性を呈示した意欲作に仕上がった。キャラメルボックス『太陽の棘彼はなぜ彼女を残して旅立ったのだろう』チケット情報物語は、事故で恋人を失った女性と兄を亡くした弟と従姉妹が、兄が残した手紙を手掛かりに東北へ旅に出るところから始まる。今作で劇団公演に初主演する鍛治本大樹は、弟・永沢亮二を演じる。心根の優しい青年を全身で体現化し、見事大役を果たしていた。最愛の恋人を失った星宮明音役を務めるのは岡内美喜子。残された側の悲しみを背負い複雑に揺れ動く心状は、岡内の確かな演技力により一層の真実味を増していた。そして、物語のキーパーソンである兄の永沢恭一を演じるのは多田直人。宮沢賢治を敬愛し、聡明さと正義感を持つ恭一の姿に多田自身の存在が重なった。“自己犠牲の精神”ゆえに命を落とした恭一の心の奥を探る旅は、賢治の未発表童話『ペンネンノルデの伝記』になぞられたストーリーに彩られながら、ドラマの後半で徐々に明らかになっていく。近しい者同士であっても、感情のすれ違いやどうにもならない過去のエピソードなど、人間の清濁に迫ろうとするほさか脚本の特色が随所に見られる。また、白を基調としたセットが組まれ、全体的にソリッドな舞台空間に仕上がっているのは、作品が持つ哀感の影響か。背景の白壁に画像や照明を映し出す演出は、他のキャラメルボックス作品では見かけず新鮮な印象を残す。ほさかの脚本と、演劇への熱情を包み隠さず表現するキャラメルボックスの化学反応が新たな世界を広げたと言える。来年、創立30年を迎えるキャラメルボックス。新しい刺激を内包した今回のコラボレーションは、劇団の更なる挑戦を予感させた。公演は24日(水)まで。なお、同劇場では『ブリザード・ミュージック』を25日(木)まで同時上演中。チケットは公演前日までチケットぴあにて発売。取材・文:園田喬し
2014年12月12日宮沢りえ7年ぶりの映画主演作となる『紙の月』が第32回トリノ映画祭の“Festa Mobile”部門で公式上映され、吉田大八監督が公式上映と記者会見に出席した。その他の写真公式上映前に行われた記者会見には世界各国から記者が参加。溝口健二や小津安二郎など日本の名監督が自身の描く女性像を作品の重要なポイントに置いていることから、「日本の古典的な映画の要素、女性像を取り入れているか?」と質問されると、吉田監督は「かつての映画の中の女性像というのは、実際、それらの映画を通じて、私も経験していますし、影響はおそらく受けていると思います。しかし、『紙の月』は、2014年の今に作っている映画です。私が普段に接している女性たち、そして、原作の小説の中で生きていた女性たちのことを考え作りましたので、あえて、過去の作品のどれかの女性像をモデルにしたということはありません」と回答。主人公の梨花が劇中で起こす出来事の原因について質問されると「私の考えでは、光太との出会いというのは、あくまできっかけで、彼女の行為は、彼女が本来の自分自身に戻っていく過程、プロセスだったと思っています」と分析した。また、「日本では賛否両論です。梨花を絶対許せないという女性はすごく多いし、反対に、とても共感するという女性も多い」という吉田監督が「イタリアの人がどう思っているのかすごく興味があります」と語ると、記者から「梨花に共感します」の声があがり、吉田監督が笑みを見せるひと幕もあった。その後に行われた公式上映のチケットは完売。上映前に登場した吉田監督は「女性がお金を使っていく中で、どう変化をしていくか、そういうことを表現したくて作りました。楽しんでください」とあいさつ。上映後には観客から大きな拍手があがった。映画は、角田光代の同名小説を原作に、『桐島、部活やめるってよ』の吉田大八監督がメガホンを執ったヒューマンサスペンス。ごく平凡な主婦・梨花(宮沢)が起こした巨額の横領事件を通して、彼女の抱える心の闇が描かれる。『紙の月』公開中
2014年12月01日北陸新幹線長野~金沢間開業にともない、石川県内の並行在来線を引き継ぐ会社は「IRいしかわ鉄道」だ。その名前の意味については、当連載第277回で紹介した通り。日本国内で会社名に英文字を表記する鉄道会社は珍しく、他にIGRいわて銀河鉄道があるくらい。いわば英文字入り鉄道会社名の"先輩"にあたる。IGRいわて銀河鉄道は、旧東北本線の盛岡~目時(青森県との県境付近)間を運営する鉄道会社だ。この路線は2002年、東北新幹線が盛岡駅から八戸駅まで延伸したとき、JR東日本から経営分離された。目時駅から北側、青森県内を運行する路線は青い森鉄道に移管された。IRいしかわ鉄道の「IR」は「Ishikawa Railway」の略だ。ならばIGRいわて銀河鉄道の「IGR」も「Iwate Ginga Railway」の略だろう……、と思ったら大間違い。「IGR」の「G」は、ローマ字の「Ginga」の略ではなく、英語で銀河を表す「Galaxy」の略である。ローマ字の頭文字を並べたわけではなかった。もっとも、「IGR」をローマ字で表記するなら「Iwate Ginga Tetsudo」となり、略して「IGT」になってしまう。IGRは「Iwate Galaxy Railway」で納得である。○英文字表記の理由は「法人登記」にあったIGRいわて銀河鉄道は「英文字入り鉄道会社名の元祖」といえそうだが、そもそもなぜ、「IGR」という英文字を併記しているのだろうか? その理由はなんと、法人登記の都合だった。鉄道趣味誌「鉄道ジャーナル」2002年10月号によると、当初は「いわて銀河鉄道」とする予定だった。しかし、盛岡市内に同じ名前の会社がすでに法人登記されていた。同じ名前は使えないから、会社名の先頭に略称の「IGR」を付けたという。ただし、正式社名は英文字ではなく、「アイジーアールいわて銀河鉄道」である。ちなみに、法人登記ではなく商標で「いわて銀河鉄道」を検索すると、先に登記したはずの「いわて銀河鉄道」は見当たらず、「IGRいわて銀河鉄道」が2件の商標を登録していた。先に法人登記した「いわて銀河鉄道」の実態は不明となっている。今回は「IGR」のほうに注目したけれど、「銀河鉄道」のほうはもちろん、岩手県出身の童話作家・宮沢賢治の代表作『銀河鉄道の夜』が由来となっている。余談だが、「銀河鉄道株式会社」は別にあり、東京都東村山市で路線バスや貸切バスを運行する会社だ。こちらも興味深いけれど、当連載は「鉄道トリビア」だから、名前だけの紹介にとどめておきたい。※写真は本文とは関係ありません。
2014年11月29日キャラメルボックス 2014 クリスマスツアー『ブリザード・ミュージック』が、11月22日、新神戸オリエンタル劇場で開幕した。1991年の初演以来4度目の再演となる人気作。心温まるファンタジーながら初日の舞台では、来年30周年を迎える劇団の“決意”のようなものを感じた。それは“一本の芝居を作る”という物語の中に詰め込まれた演劇人の率直な思い、そして4年ぶりに主役を演じる西川浩幸の役者魂ゆえだろう。キャラメルボックス『ブリザード・ミュージック』チケット情報西川は初演よりずっと梅原清吉役を演じている。13年ぶりの再演となった今回も自らの強い意志でこの役に挑んだ。「若人よ来たれ!君もクリスマスに芝居をやらないか!」という新聞広告を出した90歳の清吉。彼はなぜ、宮沢賢治の未発表童話『ペンネンノルデの伝記』を基にした脚本を書き、自ら主演すると言い出したのか。70年前の彼の秘めた想いが次第に明らかになっていく。物語は清吉の芝居を、クリスマスまでの1週間で作り上げるのを軸に展開していくが、いくつもの波乱が巻き起こる。まず大金をはたいた清吉に対して家族たちが大反対。特に息巻く息子の清一郎を演じた阿部丈二の、顔芸とも言える演技に笑いが起きる。3人の孫や清一郎の妻・妙子(坂口理恵)らは、いつの間にかサポート側に転じているのが微笑ましい。家族に向けた成井豊(脚本・演出)の温かい目線、さらに宮沢賢治へのリスペクトが作品を普遍的なものにしている。一方泥臭いぐらい熱いのが役者チーム。頼もしい筋トレを披露する釜石(三浦剛)、元タカラヅカ男役だと言う水沢(前田綾)、ジャッキー・チェーンに憧れる久慈(畑中智行)ら演技スタイルも様々な5人が、エチュードで芝居を作り上げるから支離滅裂でオカシイ。5人は宮沢賢治が生きた時代の若者を演じるうちに絆を深めていく。さらにキーパーソンとなるのが、清吉がつれてきた24歳の看護師・ミハル。彼女は清吉にとっての“ミューズ”なのだが、渡邊安理演じるミハルは現代的で明るくちょっと勝気な女性。だからこそ終盤、彼女が着物で演じ切ったもうひとりのミハルの意外な行動と台詞が心に響く。舞台は劇場という空間のみ。無造作に置かれた大道具を役者自らの手で動かし、命が吹き込まれる。物語は特に後半、ZABADAKの音楽と共に時空の壁を一気に超えるような爽快感と緊張感で加速していく。学生服を着た90歳の清吉じいさん。頑固な中にあるくもりなき純粋さ、死生観にまでたどり着くような台詞を、西川は強い目力で伝え切った。初日のカーテンコールでは、「今日のことは一生忘れないと思います」(西川)と感無量な表情。まさに劇団にとっても観客にとっても、忘れられない再演となるはずだ。神戸公演は11月27日(木)まで。その後東京・サンシャイン劇場で12月5日(金)から25日(木)まで上演。なお、東京公演では10日(水)から24日(水)まで、ほさかよう作、成井演出の新作『太陽の棘彼はなぜ彼女を残して旅立ったのだろう』を同時上演する。取材・文:小野寺亜紀
2014年11月25日「ももいろクローバーZ」の百田夏菜子、玉井詩織、高城れに、有安杏果、佐々木彩夏が主演を務める映画『幕が上がる』。8月下旬から10月上旬にかけて撮影が行われた本作だが、9月下旬に報道陣を入れて撮影が行われた高校演劇の地区大会の模様が解禁となった。劇作家の平田オリザが高校演劇を題材に手がけた小説を原作に、「踊る大捜査線」シリーズの本広克行がメガホンを握り、『桐島、部活やめるってよ』の喜安浩平が脚本を執筆。弱小の演劇部が、“学生演劇の女王”の異名をとった新任教師をアドバイザーに迎え、全国大会を目指して奮闘する姿を爽快に描き出す。今回解禁となったのは、全国を目指す富士ヶ丘高校演劇部にとっての最初の関門となる地区大会。撮影は静岡県函南町の文化センターで行われたが、県内の高校を中心に、エキストラとして参加する現役の高校生たちも集められ、週末の2日間にわたり、撮影が行われた。日曜の午前中の撮影には、「ももクロ」の5人に加え、演劇部の顧問・溝口を演じるムロツヨシ、そして先述の“元・学生演劇の女王”こと新任の吉岡を演じる黒木華も参加。地区大会の成績発表を富士ヶ丘高校のメンバーが固唾をのんで見守るシーンなどが撮影された。昼食を挟んで午後からは、いよいよ「ももクロ」のメンバーたちが富士ヶ丘高校演劇部として壇上で劇中の劇を演じるシーンの撮影が行われる。この劇中劇は、百田さん演じる部長のさおりが宮沢賢治の名作「銀河鉄道の夜」を翻案して作り上げた作品。この地区大会は富士ヶ丘高校にとって“初陣”ということもあり、部員たちは緊張のあまり、なかなか本来の力を発揮できずに壇上で苦戦する…という設定。幕が上がると学校の授業風景が展開されるのだが、部員同士でぶつかってしまったり、小道具を落としたりと失敗が続出する。壇上で失敗する姿を自然に見せなくてはいけないという難しいシーンだが、本広監督はシーンごとに細かく指示を与え、丁寧に何度も繰り返す。終わるごとに「あーりん(佐々木さん)、いいよ!いまみたいなの」などと声を掛け、監督を中心に真剣な空気の中に活気が漂っていた。途中、観客席の通路にレールが組まれ、ゆっくりとカメラを動かしながら撮影が行われたが本広監督は「みんなを映したい」とその意図を説明。丁寧にひとりずつをカメラに捉えたいという監督の強い思いが伝わってくる。長ゼリフのシーンも1発OKが続き、壇上でメンバーたちがガッツポーズする姿も!緊張感と情熱が詰まった見応えのシーンに仕上がりそうだ。なお、この2日間を含め、撮影の9割は静岡県内で行われたが、ほかに都内各所や茨城県内などでも撮影された。「ももクロ」の5人を中心にいったい、どのような青春映画が出来上がるのか?完成が待たれる。『幕が上がる』は2015年2月28日(土)より公開。なお2015年5月には「ももクロ」主演、本広監督の演出による舞台版「幕が上がる」の上演も行われる予定。(text:cinemacafe.net)
2014年11月18日映画『紙の月』の初日舞台あいさつが15日、都内で行われ、キャストの宮沢りえ、池松壮亮、大島優子、田辺誠一、近藤芳正、小林聡美と吉田大八監督が出席した。全国公開中の本作は、主婦による巨額横領事件を描いた角田光代の同名小説を映画化した作品。夫と暮らす平凡な主婦・梨花(宮沢)は、銀行の契約社員として外回りの仕事をしている。そんなある日、梨花は、大学生の光太(池松)と出会ったことで、顧客の預金に手をつけてしまい、次第に金銭感覚と日常が歪み出す――というサスペンス・ストーリーで、第27回東京国際映画祭にて、観客賞および主演の宮沢が最優秀女優賞を受賞した。本作で7年ぶりの映画主演を務めた宮沢は、「やっとこの日を迎えられたと興奮しています。人生が音楽だとすると、『紙の月』は私にとって貴重で大切な一小節になった。監督、ありがとうございました」と感謝の言葉を。そんな宮沢に向け、吉田監督は、「現場を引っ張っていってくれたのはあなたです。女優とは思えない程、不器用で必死でどこまでも真剣な想いを感じ、うれしさを通り越して苦しいくらいだった。また一緒に、大きなものを捕まえる旅に出ましょう」という手紙を読み上げ、「言葉になりません……」と感激する宮沢と熱い抱擁を交わした。吉田監督が手紙を読む間に大粒の涙をこぼし、「本当に忘れられない日になりました。こういうのを感無量って言うんですね」となかなか止まらない涙を手の平で拭っていた宮沢。その様子を見て、そっとポケットからハンカチを差し出した池松は、「宮沢さんが、7年ぶりに主演としてここに立った心境は、僕には計り知れない。その想いを少しでも受け取ってくれればと思います」と観客にメッセージを。また、イベントでは、本作の内容にちなみ、"盗みたいもの"について、トークが展開されたが、大島が「小林さんの安心感。抱き締めてもらいたいとずっと思ってた」と照れながら打ち明けると、大島、小林、宮沢の女優陣3人がそれぞれ抱き合い、会場は和やかなムードに包まれた。
2014年11月16日女優の宮沢りえが11月15日に都内で行われた主演作『紙の月』の初日舞台あいさつに出席した。7年ぶりに映画主演を果たし、平凡な主婦から横領犯へと転落するヒロイン役で新境地を開拓。初タッグを組んだ吉田大八監督から、感謝の手紙を読み上げられ「言葉になりません。こういうのを感無量って言うんですかね」と大粒の涙を流した。『紙の月』舞台挨拶その他の写真契約社員として銀行で真面目に働く主婦・梨花(宮沢)が、年下の不倫相手のために、巨額の横領事件を引き起こすヒューマン・サスペンス。直木賞作家・角田光代氏のベストセラー長編小説を映画化し、第27回東京国際映画祭のコンペティション部門で最優秀女優賞&観客賞の2冠を達成した。「やっとこの日を迎えて、体中を興奮が駆けめぐっている」と語った宮沢は、「人生が音楽だとすれば、『紙の月』との出会いは貴重で大切な一小節になった」と感激しきり。吉田監督に対し「粘り強さは天下一品」と最敬礼だった。一方、吉田監督も「正直、この企画は途中でつぶれると思っていた」と明かし、「ところが宮沢さんの主演が決まった瞬間、ヒロインが顔を持ち、見る見る形になった」と宮沢に改めて感謝の意を表し、「いつかもっと大きなものをつかんでみましょう」と再タッグに期待を寄せた。舞台あいさつには宮沢と吉田監督に加えて、共演する池松壮亮、大島優子、田辺誠一、近藤芳正、小林聡美が出席。横領を描いた本作にちなみ「ここにいる誰かから盗みたいものは?」の質問に、「りえさんの元気」(池松)、「小林さんの安心感」(大島)、「池松君の若さ」(吉田監督)と思い思いに答えた。『紙の月』公開中取材・文・写真:内田 涼
2014年11月15日女優の宮沢りえが11月15日(土)、都内で行われた主演作『紙の月』の初日舞台挨拶に出席。吉田大八監督が感謝の手紙を読みあげると「言葉になりません。こういうのを感無量って言うんですね。今日は忘れられない日になりました」と感激の涙を流した。7年ぶりの映画主演を果たした宮沢さんは平凡な主婦から横領犯へと転落するヒロイン役で新境地を開拓し、早くも本年度の映画賞レースで、第28回山路ふみ子女優賞、第27回東京国際映画祭の最優秀女優賞と2冠を達成している。舞台挨拶に立った宮沢さん本人も「人生が音楽だとすれば、この映画との出会いは貴重で大切な一小節になった。監督、ありがとうございます」とこみ上げる思いを抑えきれない様子。吉田監督とは初タッグで「監督の粘り強さは天下一品」と最大限の敬意と謝意を払っていた。一方、吉田監督は宮沢さんの主演が決まる以前「途中でこの企画はつぶれると思っていた」と告白。「ところが宮沢さんに主演してもらえることが決まると、ヒロインが顔を持ち始め、見る見る形になっていた」とこちらも感謝の意。「今度はもっと大きなものをつかんでいきましょう」と再びタッグを組むことに、意欲を燃やしていた。ベストセラー作家・角田光代の同名小説を原作に、バブル崩壊直後の1994年、夫と暮らす銀行の契約社員・梅澤梨花(宮沢さん)が、年下の不倫相手のために顧客の金を横領し、その犯行をエスカレートさせる姿を描いた。第27回東京国際映画祭では、コンペティション部門の最優秀女優賞&観客賞のダブル受賞を果たした。舞台挨拶には宮沢さんと吉田監督を始め、共演する池松壮亮、大島優子、田辺誠一、近藤芳正、小林聡美が出席。不倫相手を演じた池松さんは「現場のりえさんは本当にパワフル。僕もその元気をもらいたい」と宮沢さんとの共演をふり返っていた。『紙の月』は全国にて公開中。(text:cinemacafe.net)■関連作品:紙の月 2014年11月15日より全国にて公開(C) 2014「紙の月」製作委員会
2014年11月15日映画『紙の月』主演の宮沢りえが11月13日(木)、東京・ミッドタウンのクリスマス・イルミネーションの点灯式に出席した。ミッドタウンのクリスマス・イルミネーションは、広大な敷地内にテーマに沿ってLEDライトを配置し、幻想的な世界観を作り上げており、昨年は期間中に500万人を超える来場者が足を運ぶなど、ここ数年、都内のクリスマス・イルミネーションの定番となっている。今年は「ミッドナイト・クルーズ」をテーマに、全50万個のLEDライトを使用。地球の自然現象を表現したものや、シャンパンイルミネーション、そしてこの日の点灯式の会場ともなったメインの芝生広場では“スターライトガーデン”と銘打って、宇宙旅行を模した世界が展開し、宇宙の始まりから星屑や無重力空間などが色彩豊かに表現される。宮沢さん自身、ミッドタウンに足を運ぶことは多々あるそうで「ビルボード東京のライヴに来たり、フルーツ屋さんのジュースを飲みに来たりしますよ」と明かす。毎年、クリスマスの時期には「娘と一緒に必ずイルミネーションを見に来ている」とのことで「子どもが見ても大人が見ても夢があって、今年1年が終わるんだなという締めくくるような気持ちにもなるし大好きです」と笑顔で語る。そして、いよいよ点灯式本番。宮沢さんがスイッチを押すと、暗闇から青いLEDの光が浮かび上がり、その美しさに集まった観衆からはどよめきが。宮沢さんも感激の面持ちで、自身の携帯で幻想的な光景を写真に収めていた。特に、点灯式を行なった場所は普段は入ることが出来ない芝生の中ということで、内側からの光景を目の当たりにし「すごく嬉しいです。(テンションが)上がってます!」と興奮した面持ちで語っていた。まだひと月以上あるが、今年のクリスマスの予定を尋ねると「だいたい毎年、好きな友達と集まってプレゼント交換をしたりします」とニッコリ。さらに「ウチにはサンタが来るので、いつ来てもいいように準備もしないと」と微笑む。クリスマスを前にいよいよこの週末より『紙の月』が公開を迎えるが、「こんなに公開前にドキドキするのはこれまでにないこと」と期待と不安をのぞかせる。「難しい役だったからこそ、出来上がったものが大切に思えます。たくさんの方に観てもらえることで映画に息吹が与えられると思うので、ぜひ多くの人に観ていただけたら」と語った。最後に、集まった多くの観客に向け宮沢さんは「愛があふれるクリスマスをお過ごしください!」と呼びかけ、会場は拍手と歓声に包まれた。「ミッドタウン クリスマス 2014」は12月25日(木)まで開催。映画『紙の月』は11月15日(土)より全国にて公開。(text:cinemacafe.net)■関連作品:紙の月 2014年11月15日より全国にて公開(C) 2014「紙の月」製作委員会
2014年11月13日『紙の月』に主演し第27回東京国際映画祭の最優秀女優賞に輝いた宮沢りえが11月13日に東京ミッドタウンのクリスマスイルミネーションの点灯式に出席した。ブルーの色彩があたり一面に広がる幻想的な光景に、「こんな近くで見られるなんて、すごく嬉しいです。青い宇宙をイメージさせてくれますね」とうっとりした表情を浮かべた。その他の写真ミッドタウンの冬の風物詩として、約560万人が足を運ぶ“ミッドタウン・クリスマス”も今年で8回目。約2000平方メートルの広大な芝生エリアで展開される“スターライトガーデン2014”には、青を基調にした約18万個のLEDライトの中で日本初のイルミネーション演出装置スティックイルミネーションが最大4メートルの高さで輝き、無重力空間を演出。“ミッドタウン・クリスマス”全体ではLED総数50万個を使用し、“宇宙への旅”を表現する。東京ミッドタウンについて、「クリスマスの時期には、娘と一緒に来ます。来るたび、今年も終わりなんだという気持ちになり、大好きな場所です」。今年のクリスマスは「大好きな友だちで集まって、プレゼント交換する予定」と話した。映画はバブル崩壊直後の1994年を舞台に、契約社員として銀行で真面目に働く主婦・梨花(宮沢)が、巨額の横領事件を引き起こす様を描くヒューマン・サスペンス。直木賞作家・角田光代氏のベストセラー長編小説を、『桐島、部活やめるってよ』の鬼才・吉田大八監督が映画化し、第27回東京国際映画祭のコンペティション部門で最優秀女優賞&観客賞の2冠を達成した。「すてきな賞をいただき、もっともっと頑張ろうと身が引き締まった」と喜びを語る宮沢は、「公開も目前なので勢いもついたし、ドキドキしている。皆さんに観ていただくことで、初めて映画に息吹きが吹き込まれる」とアピールした。『紙の月』11月15日(土)全国ロードショー取材・文・写真:内田 涼
2014年11月13日宮沢りえが主演する映画『紙の月』が間もなく公開になる。本作は自身が勤務する銀行の預金を横領した女性の人生が次第に揺らいでいく様を繊細なタッチで描いた作品だが、人間は“大金”を手にすると人生が大きくブレたり、場合によっては金銭感覚がマヒしてしまうものなのだろうか? 公開に先駆けて行われたuP!!!PREVIEW『紙の月』プレミア試写会に参加した観客者の声を集めた。その他の写真本作の主人公・梨花は夫とふたりで真面目に暮す主婦だが、年下の大学生・光太との出会いを機に、勤め先の銀行の預金に手をつける。最初は「すぐに返すつもりで」数万円、次はバレないように数十万円、さらに数百万円……と梨花の行動はエスカレートし、これまでの彼女の“日常”はいとも簡単に崩れ去っていく。プレミア試写会には10代から70代まで幅広い層の観客が来場したが、結果は“大金を手にすると金銭感覚がおかしくなる”という声が圧倒的だった。会場では「金銭感覚が狂うのは500万。人生が狂うのは1億」(24歳・女)、「100万円以上を自由に使えるようになってしまったら、狂い始めると思う」(35歳・男)、「1億くらいあれば簡単に狂います。使っても使っても減っている実感はほとんどないでしょうね」(32歳・女)などの声が寄せられる一方、「人それぞれだと思いますが、欲しいものはある程度揃っているので狂わないと思う」(50歳・女)、「お金の使い方の大切さを知っていれば、私利私欲に走る事はない」(49歳・女)などの声もあがった。とは言え、これはあくまでも“もしも”の話で、1億円を手にしていない人間が語る「1億円あれば人生狂う」にどれほどの信憑性があるかは不明だ。劇中で梨花は多額の金を横領するが、単に金がほしいわけではなく、物語が進むにつれて、なぜ彼女は危険をおかしてまで横領を続けるのかが描かれる。劇中には銀行預金を横領する巧みな手口や、大金を使って豪遊する主人公の享楽的な姿が描かれており、映画を鑑賞した観客は自身とお金、お金を手にしたい“真の欲望”について想いをはせるのではないだろうか?『紙の月』11月15日(土)全国ロードショー
2014年11月05日東京国際映画祭で最優秀女優賞と観客賞に輝いたばかりの『紙の月』のプレミア試写会が“uP!!!PREVIEW”として11月2日に開催され、宮沢りえ、池松壮亮、大島優子、田辺誠一、近藤芳正、石橋蓮司、小林聡美、吉田大八監督がレッドカーペットイベントと舞台あいさつに登壇した。その他の写真『八日目の蝉』の直木賞作家・角田光代の小説を映画化。妻として銀行の契約社員として平凡な日々を過ごしていた梨花がある小さなきっかけから横領に手を染め、転落していくさまが美しく、スリリングに綴られる。この日のイベントは新宿ピカデリーにて開催されたが、同時刻に大阪、名古屋、福岡、札幌、仙台、金沢でも試写会が開催され、舞台あいさつの模様が各劇場に生中継された。宮沢らがレッドカーペットに登場すると、宮沢の顔をプリントした大量のお札が上から降り注ぐという演出で、会場は盛り上がりを見せる。宮沢は「7年ぶりの映画主演で緊張と不安で、撮影に入る前はドキドキしましたが、入ってからは吉田監督の演出の下、濃密で集中力のある毎日を過ごし、惜しみなく演じることが出来ました」と語る。吉田監督は改めて宮沢の最優秀女優賞について「すごくほしかった賞です。この映画においては作品賞とほぼ一緒の意味を持つと思っています」と梨花の変遷を描く本作で宮沢の演技が高い評価を受けたことを喜んでいた。梨花と不倫関係に陥る若き大学生を演じた池松は、撮影中のエピソードとして「ラブホテルでのシーンで貝殻のベッドとかがあるんですが、りえさんはベッドで飛び跳ねていました(笑)」と証言。宮沢は「めったに行かないのでテンション上がっちゃって(笑)。デコレーションの素晴らしさに感動してワクワクしてました」と語り、笑いを誘っていた。これから映画を見る観客に吉田監督は「『楽しんで』と言いきれないところはありますが(笑)、覚悟して観てもらえば、報いが待っていると思います」と自信をのぞかせる。宮沢は「梨花が常識や理性を捨てて、本能に向かって走っていく描写を楽しんでください!」と力強く呼びかけた。『紙の月』11月15日(土)全国ロードショー
2014年11月04日WOWOW連続ドラマWで放送される「グーグーだって猫である」の完成披露試写会が10月16日(木)、都内で開催され、第1話上映後の舞台挨拶に主演の宮沢りえを始め、長塚圭史、犬童一心監督が登壇した。2008年に小泉今日子・主演で犬童監督の手により映画化もされた大島弓子の自伝的エッセイ漫画を、同じく犬童監督が連続ドラマ化。長年連れ添った愛猫・サバを失い、落ち込む漫画家の麻子が運命的に出会ったアメリカンショートヘアのグーグーと共に過ごす日々を全4話で描き出す。撮影のほとんどは原作の舞台でもある吉祥寺で行われたが、宮沢さんは「私の中で住みたい街No.1」と語るほど、撮影を通じて吉祥寺が気に入ったよう。「車を降りて撮影の場所に行くまでに入りたくなるお店がたくさんあって、誘惑を断つのが大変でした(笑)」とふり返る。麻子という役を通じて、漫画家・大島弓子の人生を生きたと言えるが「あれほど素晴らしい漫画をお描きになる方が日々をどう過ごしているのか?撮影前に妄想するのが楽しかったです。あれだけ素晴らしいものを描くには葛藤もあるし、表現する人の苦悩、ものを生み出す苦悩がある。一方でそれを見せず、穏やかで、ものや人が好きで、キラキラしている麻子もいて、その2つの面をちゃんと出せたらと思っていました」と語る。長塚さんは麻子の担当編集者の大森を演じたが、何かと麻子を気遣う役で第1話から麻子と食事を一緒にするシーンが多く登場する。「カメラの前で食べるのに慣れないし、目の前に宮沢りえがいるんですよ(苦笑)!」とその難しさを語るが、徐々に楽しくなっていったよう。「なかなか、みなさんは宮沢りえとお食事する機会はないでしょうが、僕は相当、一緒に食べましたよ(笑)」と自慢げにふり返り、会場は笑いに包まれた。宮沢さんも、食事のシーンは印象深かったようで「おそば屋さんでは本番中というのを忘れて、ビールを頼みたくなりました(笑)」と述懐。犬童監督は「本番中なのに、どう見ても普通に食べてました。普通はセリフも言わなくちゃいけないので抑制気味になるんだけど…。これまでいろんな人の食べる様子を撮ってきたけど、間違いなくこの2人の食べるシーンが最高!」と称賛していた。全4話を通して、最後は麻子が51歳になるまでの時間を描くが、不思議と画面からはゆったりとした時間の流れが伝わってくる。長塚さんは「最近、世の中慌ただしいし、海外ドラマなどでもものすごいスピードで進みますが、この作品は全く違うスピードで独特の時間が流れます」と語る。宮沢さんも「麻子が日々をどう過ごし、年齢、人生をどう重ねていくのか?静かな時間の中で温度を持って表現しています」と本作ならではの魅力を強調。会場は温かい拍手に包まれた。「グーグーだって猫である」はWOWOW連続ドラマWにて10月18日(土)より放送開始(全4話/第1話無料放送)。(text:cinemacafe.net)
2014年10月16日女優の宮沢りえが7年ぶりの主演映画『紙の月』で、第28回山路ふみ子女優賞を受賞した。平凡な主婦から横領犯へと転落するヒロイン役で新境地を開拓。宮沢が同賞を受賞するのは『父と暮せば』(2004年)以来2度目で、2度の女優賞は吉永小百合に続き、史上2人目の快挙となる。その他の写真吉報が届いた15日、メガホンを執った吉田大八監督がアップルストア銀座で行われたトークショーに出席。日本映画として唯一、第27回東京国際映画祭のコンペティション部門に出品されており、同映画祭のコンペ部門プログラミングディレクターを務める矢田部吉彦氏を聞き手に、「僕が求めるもの、映画が必要とすることのために、100パーセントの仕事をしてくれた」と本作で宮沢が見せた“女優魂”を振り返った。映画はベストセラー作家・角田光代の同名小説を原作に、夫と暮らす銀行の契約社員・梅澤梨花(宮沢)が、年下の恋人のため顧客の金を横領し、その犯行をエスカレートさせる姿を描いた。吉田監督は「だんだんプロセスが大胆になるなかで、彼女が見せる表情の変遷が、作品の大きなよりどころになった。現場では常にプロフェッショナル。監督としての僕を信頼してくれた」と宮沢への感謝を表した。吉田監督はCM業界で20年のキャリアを積んだ後、『腑抜けども、悲しみの愛を見せろ』(2007年)で長編監督デビュー。『クヒオ大佐』(2009年)『パーマネント野ばら』(2010年)を発表し、『桐島、部活やめるってよ』(2012年)では第36回日本アカデミー賞で最優秀監督賞を受賞した。「毎回違ったことをしようと心がけるが、いい意味で『監督らしいですね』と言われることも。長年CMをやってきたからか、なるべく自分を消して、誰が撮ったかわからないと思ってもらえるのが理想」と話していた。山路ふみ子賞は映画人の育成、功績を称える目的で毎年開催している。『紙の月』11月15日(土)全国ロードショー取材・文・写真:内田 涼
2014年10月16日今では世界的に人気が高いスタジオジブリの映画。海外では「千と千尋の神隠し」のアカデミー賞やベルリン国際映画祭金熊賞などで有名となりました。そんなジブリ作品のキャラクターや描写は、海外の人にはどう見られているのでしょうか。そこで、日本在住の外国人20名に「スタジオジブリの映画で最も絵がかわいいと思うものは?」と質問してみました。■となりのトトロ(ロシア/20代前半/女性)■となりのトトロ(イギリス/20代前半/女性)■となりのトトロ(ドイツ/40代前半/女性)■となりのトトロ(中国/20代後半/女性)■となりのトトロ(スペイン/30代後半/男性)■となりのトトロ(アメリカ/20代後半/男性)■となりのトトロ!(アルゼンチン/30代前半/男性)■となりのトトロ(マレーシア/30代前半/男性)■となりのトトロ(スウェーデン/40代後半/女性)■となりのトトロ(ペルー/30代前半/男性)圧倒的な人気で票を集めたのがこの作品。1988年4月公開、絵コンテを宮崎駿、作画監督を佐藤好春が担当しました。宮崎駿が日本アニメーション在籍中から構想を練っていた一本です。昭和30年代前半の日本を舞台に、田舎に引っ越してきたサツキ&メイ姉妹と不思議な生物「トトロ」の交流を描いたファンタジー。トトロの原型は、宮沢賢治の「どんぐりと山猫」にあり、大トトロ(ミミンズク)が1,302歳、中トトロ(ズク)が679歳 、小トトロ(ミン)が109歳という設定だったそう。むくむくとした形で、ぬいぐるみなどとしても人気のキャラクターです。ボンネットバスの形をした「ネコバス」、壁の穴から飛び出してくる「まっくろくろすけ」など、丸みを帯びた形や質感を思わせる描写が、かわいらしさを感じさせるのでしょう。■崖の上のポニョ(タイ/30代後半/女性)■崖の上のポニョ(イスラエル/30代後半/女性)2008年7月公開。絵コンテを宮崎駿、作画監督を近藤勝也、高坂希太郎、賀川愛らが担当しました。海沿いの町を舞台に、「人間になりたい」と願う魚の子ポニョと、5歳の少年宗介の交流を描く物語です。童話「人魚姫」を参考としながらも日本を舞台に変え、西欧的かつキリスト教的な要素が出ないようにしたのだとか。構想は広島県の鞆の浦にこもって行われ、海や波の描写に特に力を入れて制作されています。また作画をすべて手書き(彩色、撮影はデジタル)で行っており、その結果、絵が素朴なタッチとなって、それまでの作品とは異なる新しい印象が生まれました。現在は金魚のような形のポニョですが、アイデア段階ではカエルに似た魚の形で、人間になった時の髪や衣装なども大きく違っていたそう。もしこちらのデザインで進められていたら「かわいい」というイメージにはならなかったかも!?■魔女の宅急便(トルコ/30代前半/女性)■魔女の宅急便(台湾/40代前半/男性)1989年7月公開。原作は角野栄子「魔女の宅急便」、絵コンテは宮崎駿と近藤喜文、作画監督を大塚伸治、近藤勝也、近藤喜文が担当しました。田舎から都会に上京した少女・キキが魔女の力を使い、相棒の黒猫ジジや町の少年トンボたちと成長していくストーリーです。キキの髪型は、初期はロングヘア、ふたつ括り、金髪などいろいろな設定があったものの、結果的に現在のショートヘアと赤いリボンに。描写の難しさから決まった形とは言え、暗色ワンピースのよいアクセントになっています。背景は、ストックホルムやゴットランド島ヴィスビュー、アイルランドなどさまざまな街を参考に描かれているそう。ちなみに、ヤマト運輸が制作に名を連ねているのは、この作品を制作する際に「宅急便」が同社の登録商標と判明しスポンサー要請を行ったから。最初は難色を示していたものの、黒猫が登場するとのことで許可が下りたのだそうですよ。ちょっと気になる小ネタです。■千と千尋の神隠し(フィリピン/40代前半/女性)2001年7月公開。アカデミー賞受賞や日本歴代興行収入第1位など、国内外で評価の高かった作品です。絵コンテを宮崎駿、作画監督を安藤雅司/高坂希太郎/賀川愛の3名で担当。少女・千尋が迷い込んだ神様の町での出来事を、謎の少年・ハクや町の住人たちの交流とともに描いています。千尋やハクはキリッとしたりりしさの反面、稚児衣装をまとった年代らしく時に子どもらしさを見せるので、かわいらしさがより感じられるのでしょう。また、ぽってりとしたおなかがかわいいネズミやオオトリ様、一見グロテスクながらユーモラスさもある湯婆婆や坊など、幅広い「かわいさ」を見せる作品とも言えます。■耳をすませば(ブラジル/20代後半/男性)1995年7月公開。原作は柊あおいの同名マンガで、絵コンテを宮崎駿と近藤喜文が、作画監督を高坂希太郎が担当しました。内容は、本を介して進む、本好きの14歳・雫とヴァイオリン職人を目指す聖司の恋愛成長譚。背景には東京の多摩市と武蔵野市の描写が多く、聖蹟桜ヶ丘駅西口広場には「耳をすませばモデル地案内マップ」が設置されているほどです。14歳の女の子のフレッシュさ、想像の世界のファンタジックさはもちろんですが、電車に乗り込んできたムーンや人形の「バロン」など随所に登場する猫も「かわいさ」を感じさせるひとつの要素。毛並みやまるまるとした形に思わず顔がほころびます。■メインの動物(韓国/40代後半/男性)ジジやぽんぽこ、トトロ(は動物ではないですが…)など、ジブリの描く動物はみなユーモラスさや哀愁まで表現する豊かさを持ちつつ、全体的にはかわいらしいという印象。それが、子どもから大人まで心を惹きつける要素のひとつになっているのでしょう。また、各作品の項でもご紹介したように、やわらかそう、ふかふかしそう…などの質感が伝わる描写もポイント。作品全体を通してかわいらしい印象を与えてきたことが、本回答からは伺えます。回答がばらけた「かっこいいと思うジブリ作品」とは異なり、トトロが圧倒的な票を集めた今回のアンケート。「魔女の宅急便」や「耳をすませば」など、猫こがポイントになる作品が挙がっているのもポイントです。フカフカした質感や丸みを帯びた動物にかわいらしさを感じる感覚は万国共通なのですね。
2014年10月15日渡辺えり率いる「オフィス3○○(さんじゅうまる)」が、2012年に初演した『天使猫-宮澤賢治の生き方-』。東北出身の渡辺が東日本大震災後初めて書き下ろしたこの作品を、大沢健、大和田美帆という新キャストを迎えて再演する。描かれるのは、同じ東北に生きた宮沢賢治の生涯と彼の作品の世界。賢治が残した命への思いは、時空を自在に行き来する渡辺独自の演劇空間にどう放たれるのだろうか。渡辺が『天使猫』の再演を決めたのには理由がある。「震災から3年以上が過ぎても状況は変わらないのに、東北の苦しみを感じなくなっている。風化させてはいけないと思いました。被災地に行くたび『芝居が観たい』とも言われるんです。物資は被災者が多すぎて分けられないけど、芝居なら分けずに観て感じればいいからと」(渡辺)。そこで東北を含む全国公演を決行。そこに参加する大沢と大和田も、「震災があった年に東北で芝居をして、『3月11日以来初めて笑った』という声を聞きました。また自分にできることをやれたらなと思っています」(大沢)、「その場所に行って、自分の生身の体で表現する。それも、東北出身のえりさんが書いた東北で育った賢治の話を、というのは、これ以上ない機会だと思っています」(大和田)と意欲的だ。宮沢賢治の生涯を描くといっても、賢治が書いた童話の登場人物が現れるなど、そこには渡辺ならではのめくるめく世界が待っている。たとえば、渡辺作品には2度目の出演となる大沢は、現実と賢治の作品世界とを行き来する“天使猫”をはじめ、様々な役に扮するのだが、「何役も演じるのは点と点を飛ぶようなものなんですけど、そこを結ぶものが見つかったときにパーッと拓ける感動がある」(大沢)という。また念願の渡辺作品で、おもに賢治の妹のとしを演じる大和田。「こういう人物だという思い込みがあっては演じられない戯曲。多面的に捉えていかないと。大変なことに挑みたいと思っている今、えりさんの作品に出会えてよかったです」(大和田)と燃えている。想像広がる芝居の根底には、「宮沢賢治は、飢饉や自然災害に苦しみながら耐えている東北人を見て、農民のために死のうと決めた人。その生き方を通じて、東北のことを考えてほしい」(渡辺)という思いが流れている。しかし、「主義主張を言葉でストレートに伝えるのは演劇人じゃない」(渡辺)という矜持がこの作品を誕生させた。演劇だからこそ感じられるものを、思う存分受け止めたい。『天使猫-宮澤賢治の生き方-』は10月23日(木)東京・シアタートラムより開幕。その後、兵庫、石川、愛知、福島、宮城を周る。チケットは発売中。取材・文:大内弓子
2014年10月10日キャラメルボックスが劇団史上初の試み「キャラメルボックス・アラカルト」で新作『太陽の棘 彼はなぜ彼女を残して旅立ったのだろう』を12月、東京・サンシャイン劇場にて上演する。この企画は劇団外の作家が脚本を書き下ろし、キャラメルボックスの成井豊が演出を担当するというもの。第1回目となる今回は“ダークファンタジー”と評される作風で注目を集める若手脚本家・ほさかよう(演劇プロデュース・ユニット「空想組曲」主宰)と成井の初タッグが実現する。劇団員の多田直人、岡内美喜子、そして、劇団公演で初の主演を務める鍛治本大樹の3名に、今作にかける意気込みを訊いた。キャラメルボックス 公演情報キャラメルボックスで多数の出演歴を誇る岡内と多田は、「この公演はキャラメルボックスにとって、最大級の新風を運んでくる企画になると思います」(岡内)、「ほさかさんの力をお借りして劇団員の新たな一面も発掘出来ると思いますし、それプラス、劇団公演初主演の鍛治本大樹にも非常に期待しています。劇団として、幾重にも新しいトピックスがある公演です」(多田)と、大きな期待を寄せる。先輩からのエールを受けた入団7年目の鍛治本は「作品自体を面白くすることは勿論ですが、『野心を持った鍛治本はここまでやるんだ!』という姿をきちんとお見せしたいです。その姿を目撃しに、是非劇場へお越しください」と、自らを奮い立たせるように熱く胸の内を語った。成井がほさかに依頼した題材は、同時上演する『ブリザード・ミュージック』にも登場する宮沢賢治の未発表童話『ペンネンノルデの伝記』。各々が担う役柄について、「キャラメルボックスの主演像とはちょっと異なるタイプ」(鍛治本)、「自分の役が最も謎めいています」(多田)、「女性のお客様は、私に感情移入しながら物語を見守っていくであろう役なので、頑張らないといけないと思っています」(岡内)と三者三様にコメント。ファン待望の新作ドラマは、人気劇団の新たな一面を予感させる。『太陽の棘 彼はなぜ彼女を残して旅立ったのだろう』は、12月10日(水)から24日(水)までサンシャイン劇場にて上演。また、13年ぶりに再演するキャラメルボックスの人気作『ブリザード・ミュージック』が11月22日(土)から27日(木)まで兵庫・新神戸オリエンタル劇場、12月5日(金)から25日(木)まで東京・サンシャイン劇場にて同時上演される。チケットは共に一般前売り中。なお、インタビューの全文はチケットぴあサイトに掲載。取材・文:園田喬し
2014年09月26日少女漫画界の巨匠・大島弓子の自伝的コミックエッセイ『グーグーだって猫である』が宮沢りえ主演で連続ドラマ化され、WOWOWで今秋に放送されることが14日、明らかになった。『グーグーだって猫である』は、1人の女性が飼い猫と過ごす愛おしい日々を綴ったもので、コミックは累計80万部発行、2008年には小泉今日子主演で映画されヒットした。主人公の小島麻子役に宮沢、監督は映画版と同じく犬童一心。脚本は『婚前特急』などの高田亮によるオリジナルストーリーで、愛猫を失い失意の日々を送っていた少女漫画家・麻子(宮沢)が、井の頭公園で病気の子猫を連れたホームレスと出会うところから始まる。主演の宮沢りえは「普段あまり漫画は読まないのですが、大島先生の作品を読ませて頂いて、小説を読むように物語が進んでいく漫画というのは初めてだったので、とても新鮮でした。大島先生のファンの方々が面白いと思ってくださるような作品にしたいですね。キラキラとした日常が流れていく一方で、モノをつくるアーティストとしての葛藤や苦悩をリアルに出せたらいいなと、思っています」とコメント。映画版に続いて監督を務める犬童監督も「毎日宮沢さんの演技を見て、驚き楽しみ感動しています。彼女の演技にはいつもしっかりアイデアがあり、誠実で、でもそれでいながらあけっぴろげで大胆です。見ていると心がいっぱい揺れてしまいますね。そして、美しい。生涯そう出会うことのない息をのむ美しさです」と、宮沢の演技を絶賛している。
2014年04月14日ライフィートはこのほど、小説付きレトルトカレー「華麗なる小説」を発売した。○東京の文化流行を取り入れた"小説付き"ご当地カレー同商品は、有数の古書店街・神田神保町の「カレーと本」の文化流行をパッケージした商品。味へのこだわりはもちろん、付属小説やパッケージにも気を配り、東京の新しいご当地カレーとして、お土産や贈答品として活用できるよう、また幅広い年齢層が楽しめるように開発したという。カレーは、180g。日本人になじみのあるルウカレーと、幅広い世代に人気のあるキーマカレーの良さをバランスよく配合、鶏ひき肉を多く使って旨みを引き出し、あらゆる年齢層が楽しめるように適度にスパイスを効かせた中辛味とした。また、本を読みながら食べることをイメージし、冷めてもおいしく食べられるように風味にもこだわったという。付属の小説は、夏目漱石(夢十夜)、宮沢賢治(注文の多い料理店、他1編)、芥川龍之介(羅生門、他2編)、太宰治(走れメロス、他1編)など、日本を代表する文豪の短編小説を中心に収録。いつでもどこでもすぐに読めるよう、持ち運びにも便利な、市販の文庫と同サイズとした。小説は現在4種類あり、作家/作品は今後も追加予定となっている。販売価格は、648円。現在、Webサイトほかにて購入することが可能となっている。
2014年04月09日タワーレコードは4日、同社の意見広告シリーズ「NO MUSIC, NO LIFE?」として、冨田勲、Lamp、MAN WITH A MISSION、憂歌兄弟の4組がそれぞれ登場する最新ポスターを発表した。Lamp、MAN WITH A MISSIONのポスターは同日より、冨田勲、憂歌兄弟のポスターは2月15日より、タワーレコード全店およびTOWERmini店頭にて順次掲出される。今回発表されたのは、宮沢賢治の世界を音で描く『イーハトーヴ交響曲』に初音ミクを起用したことでも話題になった作曲家/シンセサイザー奏者の冨田勲氏をはじめ、気鋭の3人組バンド「Lamp」、全米デビューも決定したロックバンド「MAN WITH A MISSION」、伝説のブルースバンド「憂歌団」の木村充揮と内田勘太郎による音楽ユニット「憂歌兄弟」の4組がそれぞれ登場するポスター。いずれも店頭にて掲出されるほか、各アーティストが3月に発売する最新作を同店にて購入すると、抽選でそのアーティストのポスターが当たる応募ハガキがもらえるとのこと。なお、タワーレコード・オンライン内の「『NO MUSIC, NO LIFE?』ポスターギャラリー」では、今回のメイキングレポートやインタビュー&メイキングムービーも順次公開される予定(MAN WITH A MISSIONは除く)。さらに、Lampのポスター出演を記念したコラボTシャツ「151 Lamp NO MUSIC, NO LIFE. T-shirt」もタワーレコード・オンラインにて発売される。全5サイズ展開で価格は3,150円。発売日は3月31日(2月25日より予約開始)。
2014年02月04日「ゆうばり国際ファンタスティック映画祭」のクロージングセレモニーおよび各賞の発表が2月24日(日)に開催され戸田幸宏監督の『暗闇から手をのばせ』がグランプリとシネガー・アワード(記者および興行主の審査による賞)の2冠に輝いた。同作のテーマは「障害者の性」。グラビアアイドルの小泉麻耶が障害者専門のデリヘル嬢に扮しており、ハンディキャップを抱える人々を遠ざけようとする社会に鋭い視点と軽やかな描写で切り込んでいく。戸田監督はNHKエンタープライズに所属し、ドキュメンタリーのディレクターを務めている。今回、初めてフィクション作品に挑戦したが、数年前に巡り合った現実の題材が基となっている。そもそも会社でドキュメンタリー作品として製作するための企画を立てたが、許可が下りずに自己資金で制作することを決めたという。シネガー・アワードで最初に登壇した際は「昨夜、飲み屋で携帯をなくしてしまい、この1日は携帯のことばかり考えていたんですがさっき見つかりました」と語り笑いを誘っていたが、最後にグランプリとして再び名前が呼ばれることは予想してなかったよう。驚いた様子で再び舞台中央へと足を運び「さっきいただいたので『もうもらえないのか』とがっかりしてたので驚いてます(笑)」と喜びを語った。会社でボツとなった企画での受賞、しかもスカパー!から次回作のための資金援助として200万円が授与されるということで「NHKザマアミロ!スカパー!さん、ありがとう」と過激な叫びで会場を沸かせる。審査委員長の塚本晋也監督は「(審査員の)みなさんに1(位)、2(位)、3(位)を挙げてもらい、公正に選んだ」と明かし、本作について「お金は出してもらえないけどどうしても撮りたくて自分を信じて作る思いが表れていた。最後まで見せ切り、観る人を引っ張る強さがあった」と評した。吉田大八監督からは「次の作品のテーマに苦労すると思う。苦しむ姿を見たい(笑)。期待したい」という言葉を贈られたが、戸田監督は「タブーに挑戦するテーマで、制約を受けずに作っていきたい」とさらなる飛躍を誓っていた。なお本作は3月23日(土)よりユーロスペースにて劇場公開されることがすでに決定している。このほか北海道知事賞は原田裕司監督の『冬のアルパカ』が受賞。俳優の山本浩司がプレゼンターを務めたが、原田監督は「山本さん主演の『ばかのハコ船』を観て映画を撮り始めたので嬉しいです」と感激を語る。『天使の恋』や『DOCUMENTARY OF AKB48』など既に商業映画で活躍している寒竹ゆり監督の『ケランハンパン』は審査員特別賞に輝いた。勧告を舞台に撮影した本作だが寒竹監督は「予算がなくて主演の村上淳さんと『(衣裳の)靴だけはいい靴を買いたいよね』と話してて『右はおれが買うから左は監督が買って』なんて話してました。そうやって撮った作品をみなさんに見ていただき、笑ってもらえて、賞までいただけて嬉しいです」と喜びを明かした。スカパー!映画チャンネル賞は山口秀矢監督の『樹海のふたり』が受賞。61歳にして、初の監督作品で見事に受賞を果たした山口監督は「自信を持ってここに来たものの、他の監督の作品を見てすっかり自信をなくしてました。この賞をいただき、私も(映画祭のテーマと同じように)一歩先へ行きたい」と語った。そして、最後に塚本監督から「どうしても、もうひとつあげたい」とさらなる特別賞の扱いで“「渚」特別賞”が授与されたのが原將人監督の『あなたにゐてほしい ~Soar~』。急遽、審査員が相談して授与を決定したため賞状やトロフィーはなく花束が贈呈されたが、原監督は自身の妻であり主演を務めた観音崎まおりが双子を妊娠中であることを告白し、さらに宮沢賢治の「双子の星」をベースにした監督作『20世紀ノスタルジア』で観音崎さんと出会ったという不思議な運命をも明かし客席からは温かい祝福の拍手がわき起こった。62歳の原監督は「インディペンデントで45年やってきましたが、これを励みにあと40年、100歳まで作れる気がします!」とさらなる創作に意欲を燃やした。21日(木)からこの日の午後5時までの4日間で映画祭には11,735人もの観客が来場。最終日の25日(月)には受賞作の上映があるため12,000人突破は確実となった。<オフシアター・コンペティション部門 受賞一覧>■グランプリ:「暗闇から手をのばせ」(戸田幸宏監督)■北海道知事賞:「冬のアルパカ」(原田裕司監督)■審査員特別賞:「ケランハンパン」(寒竹ゆり監督)■「渚」特別賞 Special Mention for Nagisa:「あなたにゐてほしい ~Soar~」(原將人監督)■スカパー!映画チャンネル賞:「樹海のふたり」(山口秀矢監督)■シネガー・アワード:「暗闇から手をのばせ」(戸田幸宏監督)■審査員特別賞:「ケランハンパン」(寒竹ゆり監督)(text:cinemacafe.net)
2013年02月25日サニーヘルスは同社のダイエット情報発信サイト「microdiet.net」にて、調査レポート『文学に見る、明治期日本の質素な「食」事情』を公開した。「microdiet.net」では同社の管理栄養士や、数百名のダイエットサポートを経験したスタッフが、コンテンツを形成。ダイエットに関する正しい知識を知ってもらうために情報を発信している。このほど公開したレポート「文学に見る、明治期日本の質素な『食』事情」では、宮沢賢治の「雨ニモマケズ」を取り上げ、明治時代の日本の食生活を紹介。この文中に登場する「一日に玄米四合と味噌と少しの野菜を食べ」というくだりについて解説している。ご飯4合は、女性用の茶わんで8膳ほどにあたる。ご飯の量としては多いように感じるが、当時の日本は少しのおかずや漬物で大量の米を食べるという食事内容が一般的。宮沢賢治が生きた明治~昭和初期の食事情では、「4合」は控えめな量で質素であったという。当時の日本陸軍の食事規定は、主食は1人1日6合の麦飯が基本。副食として朝食は汁物と漬物、昼食・夕食は肉や魚を含んだ少量のおかず一品が付く。しかし「雨ニモマケズ」では、副食に肉・魚はなく、3食とも汁物か漬物程度。現代とは違い肉体労働が日常的である環境で、この食事内容は粗食の極みと言えるという。詳しい記事は、『文学に見る、明治期日本の質素な「食」事情』で紹介している。【拡大画像を含む完全版はこちら】
2012年10月22日昭和の文豪たちの短編小説をオムニバス形式で映画化した『BUNGO ~ささやかな欲望~』が9月29日(土)に公開を迎え、各話にヒロインとしてに出演する石原さとみ、橋本愛、波瑠、水崎綾女が舞台挨拶に登壇した。坂口安吾、宮沢賢治、林芙美子、三浦哲郎、永井荷風、岡本かの子という6人の作家たちの知られざる短編作品を山下敦弘、熊切和嘉ら気鋭の演出家、脚本家を迎えて映像化。年の離れた男女や思春期の男子中学生が年上の女性に抱くほのかな思いなど、様々な男女関係の機微が描き出される。女優陣は作品にあわせて昭和風のレトロな衣裳で登場。「注文の多い料理店」に出演した石原さんは、冨永昌敬監督の下で宮迫博之(雨上がり決死隊)と共演。「冨永さんと宮迫さんとのお仕事ということでぜひやりたいと思った」と明かす。宮迫さんにオイルでマッサージされるシーンがあるが「宮迫さんはオイルが大嫌いらしくて、付けるのがイヤみたいでしたが頑張ってました。お笑いの方だからそういうの慣れてるかと思ったんですが…。嫌がって私の足でオイルをふいたことがあって、それが(本編に)使われてましたね」とおかしそうに明かした。橋本さんは「鮨」でリリー・フランキーと共演。寿司屋の看板娘と彼女がほのかに思いを寄せる物静かな中年男性という関係だったが、「リリーさんが素敵な方で、すんなりと役同士で関係を持てて、(演じた)ともよの気持ちで恋させてくれました」と述懐。もしも、年上の男性に恋に落ちるなら何歳ぐらいまでOKか?と問われると「統計は取れてないんですが…」と苦笑しつつ、「基本は中身だと思います」と頷く。波瑠さんは「幸福の彼方」で三浦貴大と夫婦役を演じた。妻役を演じるのは初めての経験だったが「新妻ということで私も家事とかできないし、そこはリアルだったかなと思います」と照れくさそうに明かした。水崎さんは「乳房」に出演したが、「“乳房”って言葉自体、普段口にすることがないので、取材などで発するたびにドキドキしてました」と少し恥ずかしそう。近所に住む中学生が、水崎さん演じる理髪店の女主人にドギマギするさまが描かれるが、水崎さん自身は5人姉妹の中で育ったということで、「男の子と接する機会がなくて、何を話したら盛り上がるのか分からなかった」と困り顔だった。『BUNGO~ささやかな欲望~』は「見つめられる淑女たち」「告白する紳士たち」の2篇にそれぞれ3話ずつを配し角川シネマ有楽町ほか全国にて公開中。■関連作品:BUNGO~ささやかな欲望~ 2012年9月29日より角川シネマ有楽町ほか全国にて公開© 「BUNGO ささやかな欲望」製作委員会
2012年10月01日秋のシルバーウィークの7日間、兵庫県篠山市の国重要伝統的建造物群保存地区「河原町妻入商家群」の25軒の町屋をギャラリーにした『丹波篠山・まちなみアートフェスティバル』が開催される。秋の丹波篠山は観光のベストシーズン。松茸、栗、黒豆、山芋といった食べ物はもちろん、色鮮やかに紅葉する篠山の風景は一見の価値あり。そんな篠山は、歴史的な”まちなみ”と”芸術”もあふれている。9月15日(土)~17日(日)、20(木)~23日(日)、この町が才能あふれる芸術家たちの展覧会場に変わり、歴史と芸術のコラボレーションを展開する。「丹波篠山・まちなみアートフェスティバル」は2008年「丹波篠山築城400年祭」に合わせてスタートした。5回目を迎える今年は、地元の芸術家を中心に32名が作品を出展する。絵画、イラスト、造形、彫刻、陶芸、創作硝子、映像、写真、キルト、木工芸などなど、多彩なジャンルの作品が25軒の風情ある町屋をギャラリーに、撩乱する。なお、鑑賞は無料だ。今年は、幻の「山猫軒」が「フェリシモしあわせの学校」と「丹波篠山まちなみアートフェスティバル実行委員会」の共催で、町屋の「ささやまな家」を利用してオープンする。「山猫軒」とは、宮沢賢治の童話「注文の多い料理店」に登場する森の奥の”一風変わった”レストランだ。『篠山の山猫軒』では、宮沢賢治の作品世界とともに、兵庫×東北・岩手がコラボレーションするカフェ。篠山の野菜と岩手の雑穀たっぷりのスープと天然酵母パンのランチプレート(各日限定20食)。イーハトーブのお茶っこセット、篠山のおやつセット、黒豆茶などの限定メニューが楽しめる。また、イベントもさまざま企画されている。フェスティバル前半の9月15日(土)~17日(月)には、”山猫軒ワークショップ”として、料理研究家で宮沢賢治研究家の中野由貴さんを講師に迎えての「賢治の電器葡萄酒作り」。宮沢賢治が詩人・草野心平にそのレシピを贈ったと言われる「電気葡萄酒」を、デモンストレーション形式で再現する。さらにソープアーティストのクボノリコさんが里山の秋をテーマに手作り石けんを作る「どんぐり&きのこの石けん作り」や、アナウンサーの川邊暁美さんによる「雨ニモマケズ」朗読ワークショップが開催される。後半の22日(土・祝)は、篠山に近い三木市出身の「玉岡かおるさんのアート語り」として、スペシャル・チャリティー講演会、『サイレントシネマ活弁上映会』(上映作品「東への道」)が予定されている。なお、上記イベントはいずれも有料。【拡大画像を含む完全版はこちら】
2012年09月04日世界的に活躍する作曲家・冨田勲の新制作「イーハトーヴ」交響曲・世界初演公演の制作発表が8月27日に都内で開催。ヴァーチャルシンガー、初音ミクの出演が発表された。冨田勲新制作交響曲「イーハトーヴ」世界初演の公演情報冨田勲は、シンセサイザーの可能性にいち早く着目するなど、独創的な音楽技法を追求し続け、特に電子音楽の分野で世界的評価を得てきた。1974年よりビルボード・クラシカルアルバムチャート連続第1位(『月の光』、『展覧会の絵』、『惑星』)を獲得。日本人として初めてグラミー賞4部門にノミネートされるなど、音楽シーンの最先端を歩んできた。今年80歳を迎えた世界的巨匠が新制作する「イーハトーヴ」は、構想に10余年をかけた大作。『注文の多い料理店』『風の又三郎』『銀河鉄道の夜』『雨にも負けず』など、宮沢賢治の作品を題材にして、人間や自然を超越した宇宙的な力を音楽で描くという壮大なものだ。今回の制作発表でのビッグニュースは、何といってもヴァーチャルシンガー、初音ミクの起用だろう。作曲者自身の熱烈オファーにより実現したという驚きのコラボ。PC用の音声合成ソフトの一種である初音ミクが、冨田勲の交響曲の中でどのように登場するのか。記者会見では『注文の多い料理店』を題材にした楽曲「猫のレストラン」を例にあげて、構想の一端が明かされた。「料理店(山猫軒)の中に人は出てこない。声だけはどこかから聞こえてくるけれど、ボーイの案内もない。色々な部屋に通されて、結局は自分たちが食われるということ分かる。逃げ出そうとしたけれど逃げられない。そこで、突然サーカスみたいな音楽とともに初音ミクが出てきて『わたしは初音ミク、かりそめのボディ』と歌うんです。ミクロの世界、パソコンの中にしかいられないミクが、もうあなた方も出られないんですよ、と暗示する訳です」他にも『風の又三郎』『銀河鉄道の夜』などの楽曲の重要なポイントで登場するという。「異次元からきた、何者か分からないもの、宮沢賢治の世界観を表現するには初音ミクしかないんです」と、起用の理由を冨田勲は熱く語った。これまでの初音ミクのコンサートといえば、事前にCGで作成したミクのパフォーマンス動画に合わせて、バンドやコーラスが演奏するというスタイル。今回は逆に、大友直人の指揮、日本フィルハーモニー交響楽団と合唱団の総勢300名の演奏に合わせて、初音ミクがライブで歌い、踊るという新しい試みになる。「技術的なハードルが高いですが、目処は立ってきました。電子音楽の歴史に残る冨田先生と初音ミクのコラボは、非常に野心的な試みです」と、初音ミクを手がけるクリプトン・フューチャー・メディアの伊藤博之も意気込みを語る。冨田勲新制作交響曲「イーハトーヴ」世界初演は、11月23日(金・祝)に東京オペラシティ コンサートホール(東京都)で開催。チケットは発売中。
2012年08月29日いつも何気なく口にしている食べ物が一体どのように作られているのか。その製造過程をのぞき、作りたてのおいしさに出会える工場見学が今、大ブームだ。そして東北・岩手といえば、全国的に有名な食品メーカーの主要工場が数多く建っている県でもあり、工場見学を目的に訪れる人も少なくない。そこで今回は、岩手旅行のプランニングで「どこから回ろう?」と悩んでしまう方におススメする、見学大歓迎の工場を2つご紹介。他の観光地と合わせて訪れたい厳選スポットだ。岩手と言えばその広大な大地、雄大な自然に育まれた乳製品を思い浮かべる方が多いのではないだろうか。中でも有名なのは、盛岡駅から車で20分程、雫石町(しずくいしちょう)にある「小岩井農場」。牛の乳搾りやポニー乗馬など、子どもにとって貴重な経験ができる場としても人気の観光地だ。その「小岩井農場」からさらに奥へと5分程走ると、この度ご紹介する「小岩井乳業 小岩井工場」が見えてくる。この工場では「小岩井農場」で育てた牛の乳を使って牛乳やバターなどの製品を製造しており、見学料はもちろん無料。冬期および毎週水曜日の休みを除き、10時から15時までの間、自由に見学することができる。工場見学の前にぜひお試しいただきたいことがある。それはカメラで周囲の自然を撮影することだ。雫石エリアはもともと空の青、森の緑がまぶしい山林地域だが、本工場は宮沢賢治の物語にも登場する「狼森(おいがもり)」を臨む最高のロケーションに位置する。木々の生い茂る大自然の中にある駐車場に着いた時点で、早くも「来てよかった」と感じるはずだ。この美しさをぜひ写真に収めて持ち帰っていただきたい。また、工場の外観も絶好の被写体。赤い屋根がいかにも酪農工場らしく、ここが日本であることを忘れそうになるほど、のびのびとした気分が味わえる。納得がいくまで写真を撮ったら、早速エントランスへ。ここでは自分のペースでゆっくり見学するスタイルをとっているため、記名のみですぐに入ることができる。レンガ造りの階段を上ったら、広いホールを抜けて製造ラインを見学する。残念ながら、製造ラインは撮影禁止。マナーはしっかり守りたい。その分、乳製品の製造過程について詳しく説明されたパネルを熟読しよう。通路の反対側ではこの日一番のお目当て、牛乳のパック詰め過程やバターの製造・充?(じゅうてん)行程をガラス越しに見ることができる。より深く学びたい方は、通路に設置されたテレビで流れているVTRをチェック。案内スタッフがいないことに物足りなさを感じるかもしれないが、あっさり見るだけでいいという方も、機械の動作一つひとつをじっくり見たいという方も、好きな時間配分で見学できるのが「小岩井工場」のいいところなのだ。ただし、本工場で見学できるのは全行程の一部のみ。1本の見学用通路を往復するだけになってしまうため、どんなにゆっくり見学しても30分程で満足できるコースでもある。いつも飲んでいる牛乳がどうやって作られているのか勉強したら、先ほどのホールに戻って出来たて牛乳を試飲しよう。普段から小岩井製品を愛飲している人こそ、その味の違いに驚くのではないだろうか。よく冷やされた牛乳はとにかく甘く風味豊か。ますます小岩井ブランドのファンになってしまいそうなほど、大満足のおいしさを感じるはずだ。また、このホールでは小岩井乳業製品も販売。チーズやクッキー、バターあめなど、新鮮な牛乳を使った商品がめじろ押しだ。お土産として外せないのは、”小岩井農場限定品”のクッキー。農場たまごとオートミールを使った「とうきび畑」や、小岩井バターとたまごにパルメザンチーズを加えた「きこりのお気に入り」など、食べ応え十分の本格派がラインアップ。朝食やワインのお供にと、自宅用として大量に購入する人も多いそう。チーズなどの要冷蔵製品については、スタッフの方によく相談してからお買い求めを。●information 小岩井乳業 小岩井工場 費用無料 見学時間10:00~15:00 休日毎週水曜日、11月上旬~4月下旬 予約不要 住所岩手県岩手郡雫石町丸谷地36-1 交通 東北自動車道盛岡 I.Cより国道46号を秋田方面へ約12km→車で約15分 JR盛岡駅前10番乗場より「小岩井農場まきば園行き」「網張温泉行き」→バスで約35分岩手を代表する有名工場2つ目は、大迫町(おおはさままち)にある「エーデルワイン」へ。早池峰山(はやちねさん)の麓、恵まれた肥沃(ひよく)な大地でたわわに実ったぶどうを高品質ワインへと醸成する工場で、岩手県産ぶどう100%のみというこだわりぶり。2012年で創業50周年を迎え、「良いワインは良いブドウから」をモットーに、岩手県人らしく実直なワイン作りを貫いている。そもそも「エーデルワイン」を知らない方も多いかもしれないが、国産ワインコンクールでは毎年のように銅賞、銀賞を受賞しており、ワイン専門誌などのメディアでも度々取り上げられている“知る人ぞ知る”ブランドなのだ。駐車場に着き、清浄な空気を胸いっぱいに吸い込んだら、早速ビン詰め・醸造・樽熟庫を備えた工場へ。ワインの本場、ヨーロッパを思わせるような洗練されたデザインのエントランスを抜け、階段を上る。2階に着くとすぐ「エーデルワイン」のこだわりやワインの歴史について書かれたパネルが目に入ってくる。また、年代を追うごとに変化していく形状のビンや、様々なデザインのコルクなど、色とりどりの実物も展示。ワインと聞けば思い浮かぶ木製樽が積まれた貯蔵庫、巨大な発酵タンクが並ぶ醸造棟など、工場見学の醍醐味をたっぷり堪能することができる。こちらは年末年始を除き、毎日10時から15時まで無料で見学可能。全てのコースを回る目安は30~40分程だろう。また事前に予約していればスタッフの方が工場内を案内してくれるので、せっかくだからちゃんと知りたいという方はぜひご利用を。ぶどうからワインに変わっていく過程を知り、ますますワインへの思いが深くなったところで、お待ちかねの試飲タイム。工場に隣接された総合案内所兼ショップ「ワインシャトー大迫」に移動し、そのおいしさを堪能しよう。このショップには受賞経験を持つ自慢の「エーデルワイン」がずらりと並ぶ。中でも人気の高い10本程のワインを自由に試飲できるのだ。入店の際には、入り口に準備された試飲用カップを取ることをお忘れなく。後は誰に気兼ねすることもなく、気になる銘柄をどんどんテイスティングしていただきたい。ドライバーや子ども、アルコールが苦手という方には、春から秋までの期間限定、ワインを使ったソフトクリームがオススメ。アルコール分を飛ばしているため安心だ。旅の締めくくりにはお土産選びといこう。通常の銘柄からワインシャトー限定商品、コルク抜きやグラスなどのグッズ、ワインによく合う地元産チーズまで幅広く扱っているため、かなり時間を要してしまうはず。女性へのお土産には梅やりんごなど、地場の果実を使用した甘口リキュールはいかがだろう。岩手県産ぶどうを使用した本格ジュースなら、お年寄りや子どもがいる家庭にも喜ばれそうだ。通の方には2,000本もの厳選銘柄が貯蔵されたワインセラーからチョイス。ワイン好きを思わず笑顔にする逸品に出会えるはずだ。また「エーデルワイン」工場周辺には、拭きガラスやステンドグラス作りを体験できる「森のくに」、濃厚なソフトクリーム、保存料無添加の飲むヨーグルトなどが味わえる「ミルク工房」があるので、大迫を訪れた際にはぜひ足を伸ばしてみよう。●information エーデルワイン工場 費用無料 見学時間10:00~15:00 休日年末年始(12月31日~1月3日) 予約不要(10人以上の場合は電話予約が必要) 住所岩手県花巻市大迫町大迫10-18-3 交通【拡大画像を含む完全版はこちら】
2012年08月22日