新国立劇場芸術監督の小川絵梨子が就任とともに打ち出した、「すべての出演者をオーディションで決定する」フルオーディション企画。その第5弾となる『エンジェルス・イン・アメリカ』を2023年4月〜5月に二部作で一挙上演することが決定した。今年4月に上演したフルオーディション第3弾『斬られの仙太』を手がけた上村聡史を演出に迎え、2021年10月25日(月)より出演者の応募を開始。12月にオーディションを開催し、合格者は23年2月からスタートする稽古に参加、4〜5月の連続上演の公演に出演することとなる。フルオーディション第5弾の開始にあたって、芸術監督の小川絵梨子、演出家の上村聡史より、応募者に向けたコメントが到着した。<コメント>●演劇芸術監督・小川絵梨子『かもめ』、『反応工程』、『斬られの仙太』、『イロアセル』に続く、フルオーディション第5弾が決定いたしました。作品は、1991,92年の初演から世界中で愛され続け、20世紀の最も重要な現代戯曲とも言われるトニー・クシュナー作『エンジェルス・イン・アメリカ』です。この作品は第一部「Millennium Approaches」と第二部「Perestroika」に分かれており、この度の公演では、第一部と第二部を新国立劇場小劇場にて一挙上演いたします。演出には『斬られの仙太』をフルオーディションで作り上げてくださった上村聡史さんを再びお迎えしました。個人的にも大好きな作品ですが、本作品は、変化が起こったとき、それを否定して安定を図るのか、それとも不安定でも進歩を選ぶのか、その葛藤と再生が描かれていると私は考えています。混乱と不安の今の時代に、根源的な人間の本質の一つでもある「変化すること」を、私たちはどう捉え、それにどう反応していくのかを考える機会になればと思っております。この作品に興味を持って下さった方には、是非、オーディションに参加していただけましたら幸いです。 今年のオーディションにて、新しい出会い、嬉しい再会がたくさんありますことを祈っております。●演出家・上村聡史フルオーディション企画も今回で5回目となり、回を追うごとに「自らの意思で創作現場へ赴むく」という企画の根幹が、すくすくと育まれ、本企画が心地よい刺激と熱量に溢れる作品を生み出しているように感じます。そのようなシリーズ企画に再び、取り組めることに喜びを覚えつつ、今回はシリーズの生長にふさわしい、20世紀を代表する名作、『エンジェルス・イン・アメリカ』に挑みます。今から約40年前、1980年代のニューヨークを舞台に、社会の変革期に生きる人々を、疫病によって混乱を引き起こす愛を、多様化への不寛容に苦しむ精神と肉体を、そして己の変革に果敢に挑む魂を、これらをユーモアに満ちた力強さで描きたいと思います。そして、その姿を通し、セクシャリティ、すなわち生きていく上での自由・解放に対し、今も強かな政治力でステレオタイプを固持する無意識、無自覚に一石を投じる作品を目指します。8名の出演者で8時間近い大作を上演することは並々ならぬ技術、個性、そして意気込みが必要になるかと思います。また、今回は二部作形式の上演で、稽古日程も多くなりますので、タフな体力と精神力も必要です。こう書くと、ゾッとするかもしれませんが、なによりも、作者トニー・クシュナーの宝石箱のような劇世界・文体を想像していく作業は、演じることの喜びに加え、表現の尊さを感じることのできる体験になるでしょう。是非、ご応募いただけたら何よりです。【公演概要】『エンジェルス・イン・アメリカ』公演日程:2023年4月上旬~5月末 予定会場:新国立劇場 小劇場作:トニー・クシュナー / 翻訳:小田島創志 / 演出:上村聡史芸術監督:小川絵梨子主催:新国立劇場オーディション詳細: 一般発売日:未定/料金:未定チケットに関するお問い合わせ:新国立劇場ボックスオフィス 03-5352-9999(10:00〜18:00)
2021年10月18日新国立劇場にて12月に上演される『あーぶくたった、にいたった』の取材会が開催。演出の西沢栄治と新国立劇場演劇芸術監督の小川絵梨子が出席した。本公演は、1年をかけて創作していく企画「こつこつプロジェクト」から誕生。本企画の意義などについて語り合った。小川芸術監督たっての希望で始まったこの「こつこつプロジェクト」。現在の演劇界は1か月ほどの稽古期間を経て、上演という流れが主流だが、本企画では長い時間をかけて作品を育てていく。2019年3月にスタートし、リーディング公演と3度におよぶ試演を行なってきた。小川芸術監督は、イギリスのナショナルシアターでは、常時大小合わせて200ものプロジェクトが水面下で動いていることを紹介し、「矢継ぎ早に作品を作っていく良さもありますが、じっくりと、時が来たら舞台に上げるシステムが日本でもできないか?と思い企画しました。 時間をかけて作品の強度や豊かさを高めていく作業から、作品への理解度が圧倒的に変わっていきますし、“チームを作る”ことがどういうことか?など、いろんな経験ができると思います。」とその意義を強調。「表に出るか出ないかわからないものに、投資としてお金を払う難しさはあります。でもやはり、とても大事なことだと思っていて。時間をかけてちょっとずつ良さを証明し、改善しつつ、世代を超えて続いていってほしいです」と、本企画を継続する重要性を訴えた。西沢は実際に1年におよぶ取り組みを通じて、「芝居の強度が上がっていくし、発見があり、(複数の試演により)1回目の発表ではわからなかったところに到達した気がします」と手応えを口にし、「新国立劇場だけに還元されるのではなく、演劇界に幅広く貢献していくことになると思います」と語る。別役実が執筆した本作は、婚礼を控えた新郎新婦が、まだ見ぬ我が子の将来を想像していく物語。西沢は「かつて日本にいたであろう、絶滅危惧種の小市民、こつこつ日々の暮らしを生きてきた人たちのありようを振り返って捉えてみたいです。『風が出てきた』『運動会が終わったんだよ』というセリフがあるんですが、オリンピック・パラリンピックが終わって、我々は何を見るのか?何を置き去りにしてきたのか?僕なりの日本人論みたいなものにたどり着けたらと思っております」と意気込みを語った。
2021年10月15日新国立劇場のフルオーディション企画として11月に上演される『イロアセル』の取材会が行われ、作・演出を務める倉持裕と新国立劇場演劇芸術監督の小川絵梨子が出席。フルオーディション企画の意義、10年前に書き上げた本作がいまなお持つ“現代性”などについて語り合った。小川の芸術監督就任と共に始まったフルオーディション企画の第4弾となる本作。1835人の応募者から、数回の選考会の後、男性役6名、女性役4名が決まった。倉持自身、オファーが来る以前に新国立劇場にてフルオーディションで上演された『かもめ』を観て、「役を役者に寄せるのではなく、役者が役に寄っていく作り方をしているのを感じました。フラットに余計なことを考えず作品を観られて。普段、有名な役者の芝居を観ることが多いけど、(作品そのものではなく)役者を見ていたということに気づきました」と明かす。小川芸術監督は、まさに倉持が口にしたような“フラット”な空気を過去のフルオーディション企画作品の稽古場でも感じたようで、「気後れや遠慮といったものがなく、風通しがいいんですね。いいチーム感がすぐに立ち上がって、贅沢で豊かな創造性の高い現場を作れていることを体感しています」と手応えを口にする。役者の知名度に依ることなくキャスティングをするということは、集客という点では難しさを抱えることにもなるが、小川は「作品の良さで伸びていくことを信じています。作品で来ていただき、観てみたら面白かったと思っていただけるよう、フルオーディション企画を続けていくことが大事」と語り、倉持は「『フルオーディション=知名度のない役者のチャンス』となってもつまらない。結果的に誰もが知っている人になってもいいし、むしろそうなってくれたらいい。時間がずいぶんかかるし大変でしょうけど」と、この取り組みが、日本の演劇界におけるオーディションの概念そのものを変えることになればと期待を口にした。本作は、インターネット上の匿名の発言が抱える“特異性”がテーマだ。倉持が10年前に書き上げ、鵜山仁が演出を手掛けた作品を、今回は倉持自らの演出で上演する。10年前は東日本大震災が起きた年だったが、倉持は「10年経って読み返したら面白かったです。いまはコロナもあって匿名の言葉が塊になって一方向に進んでいくし、偏りもすごい。敵を見つけたら、そこを攻めていくという現象も激しくなっている。権力もその匿名の言葉の塊を利用するようになっていると肌で感じます。いま、これをやることで感じることがあるんじゃないかと思う」と語った。
2021年09月29日●50歳で舞台に復帰「死ぬほど頑張らないと」「50歳を過ぎてから、必死になれることがあるって本当に幸せなこと」。こう語るのは近年、舞台活動を精力的に行なっている女優、タレントの小川菜摘。1989年にダウンタウンの浜田雅功と結婚してからは、家事と育児のために舞台の仕事を意識的に休んでいたというが、今月は宮下今日子や藤井隆と共演する朗読劇『ドウキの…』に出演するなど、充実のセカンドキャリアを歩んでいる。年齢を重ねてからのチャレンジへと背中を押したのは、舞台や役者業への情熱と家族のサポートだったという。本作は、小川、宮下今日子、藤井隆というメンバーに加え、守谷日和、フクシノブキといった個性豊かなキャスト陣が顔をそろえた朗読劇。同窓会に集まった面々が、「老けた」「太った」「幸せ」「不幸」だと会話を繰り広げる中、かつて起きた“事件”の背景をそれぞれが語り始めるさまを描く。劇団「空晴」の岡部尚子が脚本・演出を務める。「藤井くんと会うといつも話が止まらない。くだらないことから仕事のことまで、話題が尽きない」のだとか。気心の知れたメンバーとの掛け合いが大きな見どころとなりそうだが、「座組の中では私が年上なんですが、いつも藤井くんには『お姉さんしっかりしてくださいよ」と怒られています(笑)。藤井くんは周囲がよく見えているし、気遣いもできて、本当に魅力的な人。とりわけ笑いに関しては絶大な信頼を置いています。いろいろな表情を持っているし、ものすごく頼りにしています」とうれしい共演となった様子。“役者・藤井”とは初めて一緒に舞台に立つことになるという。「これだけ長く一緒にいても、バラエティでしか共演したことがなくて。“役者・藤井隆”の一面が見られるなんて、ものすごく楽しみ。でも最初は、照れくさくもあるかも!」と笑顔を浮かべ、「脚本・演出の岡部さんは、当て書きが上手な方なんです。『いつもの菜摘さんと藤井さんの雰囲気を出したい』とおっしゃっていたので、どんな舞台になるのか私自身とても楽しみです」と期待を寄せる。「生のお客さんのリアクションって、たまらないものがある」と舞台に魅了されている小川。1978年にスタートした中村雅俊主演の学園ドラマ『ゆうひが丘の総理大臣』で女優デビューしたのち、「お芝居の基礎をきちんと学びたいと思って、文学座に研究生として入って。もともと、“舞台をやりたい”という気持ちが強いんです」と舞台は自身の原点とも言える場所だ。「今回の舞台はオンライン配信もあります。私も最近は、オンラインで舞台を観ることもあるのですが、客席の後ろの方からではわからなかった役者の表情がアップで見られたりと、新鮮で、新しい楽しみ方もできるものだなと思っています」と新しいエンタメの届け方にも魅力を感じながら、「オンラインであっても、役者は『演じている先には、お客さんが観てくださっているんだ』とその先を感じながらやることが大事だと思っています」と力強く語る。舞台への愛情をあふれさせる小川だが、1989年に結婚してから26年間は、舞台活動を休止していた。「お稽古期間もあるし、地方巡業があったりと、舞台の大変さは身に染みています。生半可な気持ちでできるものではないと思っていました」とその道の厳しさを明かし、「結婚して子どもが生まれてからは、もし私が舞台をやるとなったら、家のことに手が回らなくなるのは目に見えていました。家のこと、舞台、どちらも中途半端になってしまう気がして、そうするとすごく自分のことがイヤになってしまうだろうなと。自分が、そんなに器用な人間じゃないのもわかっていますしね。それだったら、舞台は我慢しようと思っていました」と述懐。舞台に復帰したのは、50歳のとき。「2人の子どもたちも自分でご飯を作れるようになって、母親が何日かいなくても手のかからない年齢になっていた」という頃に、俳優の渡辺いっけいから「舞台はやらないの? 今度こういう舞台があるんだけど」と声をかけられ、「舞台、大好きなんです! やらせてください!」と思わず前のめりになったという。「すぐに主人にも相談して、『ええんちゃうん、もう子どもも大きいし』と賛成してくれました」劇団500歳の会 旗揚げ公演 『いつか見た男達~ジェネシス~』で復帰がかない、「渡辺いっけいさんや、池田成志さん、山西惇さんなど、“演劇お化け”みたいなものすごいメンバーの方々が出演する舞台で、復帰してしまって。そんな中で、みなさんが『菜摘ちゃん、大丈夫だよ。なにがあっても、俺たちが全部サポートするから』と言ってくださった。その言葉が今でも心に残っています。恩人だし、やっぱり舞台っていいものだなとひしひしと感じさせてくださった」と感謝しきり。「そのときに26年のブランクも感じたし自分の実力が伴っていないこともわかったし、これは死ぬほどここから頑張らないと、とにかく場数を踏まなければいけないと思って。それからは、年に4、5本はやらせていただくようになりました」と心に火がついたと話す。復帰後は、芝居へのスタンスも変化したという。「劇団研究生だったころは演出家の方の言う通り、一言一句、間違えないよう必死にやっていました。もちろんそれも大切な事ですが、今は、とにかくがむしゃらにいろいろと自分なりに考えたものをお稽古場で披露するようにしている」という。「“こうやってみよう”と考えて持っていったものを、お稽古場でみんなが笑ってくれたり、演出家の方が『それいいね! 採用しよう!』と言ってくれたときは、最高ですよ!もちろん、『それは違う』と言われるときもあります。そういった積み重ねで作品が出来上がっていくのが、とても楽しいです」と大きな笑顔を見せ、「舞台に出ると、すごいお手本が周りにたくさんいますからね。ステキなところを盗んで、吸収していかないといけないと思っています。私は歳ばかりとっているけれど、気持ちはまだまだ新人女優。これからもどんどん、新しいことにチャレンジしていきたいです」となんとも意欲的だ。●夫婦円満の秘訣は「リスペクトすること」「“やりたい”という気持ちがあれば、年齢なんて関係ないんだなと思っています。50歳を過ぎてから必死になれることがあるって、本当に幸せなこと。だから今、とても楽しいんです」としみじみ。セカンドキャリアへ踏み出せた理由は、まず「“舞台をやりたい”という気持ちは、ずっと持ち続けていました。そのためにも、“引退した人だよね”となってしまったらイヤだなと。いつか舞台に呼んでいただけるよう、バラエティやドラマに出演させていただきながら、お仕事を続けていました」と情熱を持ち続けること。同時に、これまで家事、育児に全力を注いできたからこそ、思い切って復帰できたと続ける。「子どもが小さなときは、主人の休みの日には絶対に仕事を入れないようにしていましたし、なによりも家庭優先でスケジュールを組んでもらっていました。私自身も子どもの成長を間近で見たかったというのもありますし、子どもが小さな頃に、家を空けてあちこち飛び回っていたら、家庭が崩壊していたかもしれない。私なりに、子育てや家のことをやってきて、それを家族は見てくれていた。だからこそ今、主人も『やりたいことがあるんやったら、やったらええやん』と応援してくれているんだと思います」と思いを巡らせ、「今では私が家を空けるときは、安心して主人に家のことを任せています」と話す。ダウンタウンの浜田は、小川にとって頼もしい夫であり、芸能界を生きる同業者でもある。「刺激を受けることもたくさんある」といい、「彼は、役者としてもすごくステキだと思うんです。嫁だから言っているのではなく、客観的に見ても『うまいなあ』と思う」「彼はお笑いをメインに活動をしていますが、役者として呼ばれたときには『役者の世界に芸人がお世話になるんだから、生半可な気持ちでやってはいけないんだ』と言っています。だからこそきちんとセリフを覚えていくし、台本を見ながら現場に立つことはしないそうです。『俺は芸人やし、しかも主役をやらせてもらうとしたら、そんなことやったら絶対あかんやろ』って。もし自分より若手の芸人さんも出演しているとしたら、『俺がセリフを覚えていたら、あいつらも覚えないわけにあかんやろ(笑)』と言っていますね。そういった責任感はすごいなと思うし、尊敬しています」と夫の努力家の一面を語り、「私が舞台で笑いを取らなければいけないようなシーンがあると、主人に相談したりもするんです」と明かす。夫婦円満の秘訣を聞いてみると「なにをもって円満というのかは、難しいですけどね」と照れ笑いを浮かべながら、「昔も今もずっと変わらないのは、リスペクトすることかな。それはきっと向こうも、同じように思ってくれていると感じています。尊敬していたら、この人のためおいしいご飯を作りたい、なにかしたいと思いますよね」と回答。来年には還暦を迎えるが、どこまでもパワフルな小川。「今の目標は、どんな小さな役でもいいからずっと舞台に立っていたいということ。これからも作品に呼んでいただけるよう、健康でもいなければいけないし、たくさん努力していきたいなと思っています。努力は絶対に裏切らないので」と語った。リーディングアクト『ドウキの…』は、9月20、21日に東京・よしもと有楽町シアターにて上演。■小川菜摘東京都出身。78年、日本テレビ『ゆうひが丘の総理大臣』でデビュー後、文学座演劇研究所入団。以降、数々のテレビドラマや映画に出演。2012年に『いつかみた男達~ジェネシス~』で舞台復帰。以降、『泣いたらアカンで通天閣』(18)、『梅沢富美男 特別公演』(18)、『私のホストちゃん THE PREMIUM』(19)、御園座三月特別公演『水戸黄門~春に咲く花』(21)などに多数出演。KADOKAWAよりライフスタイル本「LOVE BLOG 美味しくて楽しくてちょっとおしゃれな暮らしのこと」発売中。
2021年09月19日7月12日に新国立劇場 小劇場で初日を迎えた舞台『反応工程』より、演出・千葉哲也と出演・久保田響介のコメントが到着した。小川絵梨子が芸術監督就任の際に掲げた支柱のひとつである「演劇システムの実験と開拓」。毎シーズンに1本、全キャストをオーディションで選考し、作り手が新しい俳優、俳優が新しい演出家、劇場が新しい作り手たちと出会い、作品を立ち上げていくプロジェクトだ。劇作家・宮本研が自身の経験をもとに、終戦前夜の軍需工場で生きる人々を鮮やかに描いた『反応工程』は、このフルオーディション企画・第2弾。演出には、俳優としても演出家としても新国立劇場で多くの作品に携わってきた千葉哲也を迎え、2018年10月末より12月中旬まで6週間に及ぶオーディションを開催、多数の応募者の中から、14人の俳優が出演する。本作は2020年4月上演予定だったが、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う緊急事態宣言発令のため公演中止に。それから、できる限り遠くない時期での上演を目指して調整を重ねた結果、全キャストと全スタッフが再集結。今回の上演に至った。物語は太平洋戦争の敗色濃い1945年8月、九州中部にある軍需指定工場から始まる。戦前は染料を製造するためだった工場も、今ではロケット砲の推進薬を作り出す反応工程の現場となっている。田宮や林、影山らの動員学徒も配属され、日夜、古株の工員らと共に汗を流していた。勝利を信じる田宮だったが、勤労課の職員である太宰に戦争の本質を説かれ、禁書となっている本を渡される。そんな中、影山に召集命令が…。本作の上演は7月25日(日)まで。ぜひ劇場で生の演技を体感してほしい。<演出:千葉哲也・コメント>『反応工程』無事に…460日遅れにて初蔵出しの初日開幕となりました。幕が開けられた喜びと奇跡、そして50%制限とは言え、今日の初日の公演に沢山のお客様に来場していただけた事への感謝…これからのカンパニーの勇気とエネルギーになります。本当にありがとうございます!<久保田響介・コメント>この1年半、観て頂ける方があってこその演劇なんだと改めて痛感しました。何かと気のおけない状況ではありますが、だからこそ観に来て下さるお客様に劇場での時間を空間を、最大限体感して楽しんで頂けるように皆で全力でこの作品に取り組んでいきたいと思います。■公演情報『反応工程』7月12日(月)~25日(日)会場:新国立劇場 小劇場料金(税込):A席6,600円 B席3,300円(税込)一般発売:6月6日(日)10:00~
2021年07月13日『NEWS23』(TBS系)のキャスター・小川彩佳アナ(36)の夫・豊田剛一郎氏(37)が「今からなら、遊んでも慰謝料は増えないかな」などと話していたと6月22日、『文春オンライン』によって報じられた。ネットでは、厳しい声が相次いでいる。さかのぼること19年2月、小川アナは豊田氏との結婚を発表。そして昨年7月に第一子が誕生したが今年2月、『文春オンライン』で豊田氏の不倫が報じられた。「当時、『NEWSポストセブン』に豊田氏の不倫相手であるAさんが登場。そこでAさんは、豊田氏が結婚したことで関係を終わらせようとしたものの、『終わりにしたくない』と引き留められたと明かしています。また不倫が発覚した際、『結婚後に肉体関係はない』との“口裏合わせ”を彼から要求されたとも告白。そして今月2日、同サイトは夫妻が離婚協議入りしたと伝えました」(芸能関係者)そんななか22日の『文春オンライン』は、豊田氏の知人の証言を紹介。知人は豊田氏について「子どもに会えてないそうですが、寂しげな様子はあまりなかった」といい、彼が「今からなら、遊んでも慰謝料は増えないかな」と話していたとコメント。さらに豊田氏は、婚姻期間が短かったため保有している株を財産分与しなくていいと主張しているという。小川アナと子供をないがしろにするような豊田氏。ネットでは、彼の言動を疑問視する声がこう上がっている。《なんで結婚して子供作ったんだ、、?ずっと自由でいれば良かったじゃん》《何を目的に結婚したんだろうと思う》《トロフィーワイフ目的だったのかも》《女性を馬鹿にしすぎ》
2021年06月22日日本で親しまれ続けてきた名作をおくる新国立劇場のシリーズ「人を思うちから」。その第三弾となる井上ひさし作『キネマの天地』が6月10日(木)より開幕した。本作は山田洋次監督の映画『キネマの天地』(1986年)に作者のひとりとして参加していた井上が、その続編として書き下ろした戯曲。映画とは内容が異なり、4人の女優たちが巻き込まれる殺人事件をめぐる物語が、笑いをたっぷり散りばめて描かれる。物語の舞台は昭和10年、築地東京劇場。松竹キネマ蒲田撮影所の助監督・島田健二郎の前に、娘役で人気沸騰の準幹部女優・田中小春、ヴァンプ役で人気の幹部女優・滝沢菊江、お母さん物で有名な大幹部待遇の徳川駒子、大幹部女優のトップスター立花かず子がやってくる。超大作映画『諏訪峠』の打合せに呼ばれて来た4人は、自らを誇示し、鞘当てし合いながら、上演中に突然死した女優・松井チエ子のことを思い出す。そこへ、松井の夫でもある映画監督・小倉虎吉郎が現れ、松井の一周忌記念興行として『豚草物語』の再演を持ち出してくる。松井殺しの犯人探しが目的の監督は、万年下積み役者の尾上竹之助を刑事役として雇い、稽古中の4人を見張らせる。果たして、この4人の中に犯人はいるのか……。人を思うちから 其の参『キネマの天地』より、右から鈴木杏、那須佐代子、高橋惠子、趣里撮影:細野晋司今回、初めて井上作品を演出する小川絵梨子は、自身が中学生の時に演劇部で上演した同作で小春役を貰った思い出があり、「『キネマの天地』は私がどうしてもやりたかった作品のひとつ」だったと言う。さらに「あれから30年近くがたち、演出家という立場で、大好きな作品を大好きな俳優の方々とご一緒できる幸せを噛み締めています。この作品を、このキャストの皆さんとご一緒できることが楽しみでなりません。“演劇、ありがとう”と、演劇への感謝を込めて、作品作りに向かいたいと思います」とその心境を語っていたが、本公演開幕にあたり「今回の出演者の皆さんは、自ら喜んで未知の領域へと飛び込み、存分にお力を貸してくださる方々ばかり。振り返れば、芝居づくりに集中し、純粋にそのことが楽しめる稽古場でした。」とコメントを寄せた。4人の女優には、立花かず子役に高橋惠子、滝沢菊江に鈴木杏、田中小春に趣里、徳川駒子に那須佐代子と魅力的な顔ぶれが揃った。さらに、下積み役者の尾上竹之助役に佐藤誓、助監督の島田健二郎を章平、映画監督の小倉虎吉郎を千葉哲也が演じる。7人の実力派俳優たちがユーモアたっぷりに展開する井上流推理喜劇を堪能してほしい。上演は6月27日(日)まで、東京・新国立劇場 小劇場にて。文:伊藤由紀子【演出・小川絵梨子コメント全文】井上ひさしさんは新国立劇場の財産というべき戯曲をいくつも残してくださった、劇場にとって大切な作家のおひとり。演出家としてはまだまだ未熟な私ですが、今回は満を持しての挑戦になります。井上戯曲初演出作品として選んだ、この『キネマの天地』は、井上さんの自由で軽妙、かつちょっとシニカルな視点が生きた戯曲だと思っています。中学時代に所属していた演劇部で上演したということもあり、特別に愛着を感じている作品で、井上さん流の「演劇賛歌」が込められた戯曲だと思い続けてきました。今回の出演者の皆さんは、自ら喜んで未知の領域へと飛び込み、存分にお力を貸してくださる方々ばかり。振り返れば、芝居づくりに集中し、純粋にそのことが楽しめる稽古場でした。最後まで楽しんでいただけましたら幸いです。人を思うちから 其の参『キネマの天地』作:井上ひさし演出:小川絵梨子出演:高橋惠子鈴木 杏趣里那須佐代子佐藤 誓章平千葉哲也2021年6月5日(土)~2021年6月27日(日)会場:東京・新国立劇場 小劇場
2021年06月11日新国立劇場は7月、こどものためのバレエ劇場2021『竜宮~亀の姫と季(とき)の庭~』を上演する。日替わりで登場するヒロイン役ダンサーの一人、プリンシパルの米沢唯と、同じく新国立劇場で開催される演劇公演『キネマの天地』(小劇場にて6月10日(木)~27日(日)※5日(土)、6日はプレビュー公演)に出演する若手実力派俳優・趣里が、稽古場での日々、作品の魅力を語り合った。この日が初対面の二人かと思いきや、稽古の合間にコーヒーを買う際、電子マネーの支払いがうまくできずにいた趣里を米沢が手助けしたことがあったそう。「ずっとファンでした!」と興奮気味の趣里に、笑顔の米沢。バレエを志し、留学も経験したという趣里にとって米沢は憧れの存在。自分が言うのもおこがましいと恐縮しつつ「テクニックも素晴らしいのですが、表現の面ですごく勉強になる」という。自身のバレエ経験については、「表現の道を演劇で目指したいと思ったのは、バレエをしていたからこそ」とも明かす。いっぽうの米沢は「父が演出家だったので、演劇を観る機会は多かった。バレエには言葉がないが、芝居は言葉の洪水で、言葉の海に投げ出されるよう。そういう体験は私にはとても必要なことで、どうしても観ずにはいられない」という。趣里が出演する『キネマの天地』も観劇を楽しみにしている。『キネマの天地』は映画出演のために集められた4人の女優達が巻き込まれる、殺人事件をめぐる井上ひさしによる推理喜劇。趣里は、1番の若手で人気急上昇の女優を演じる。「演出の小川絵梨子さんが目指しているのは、表面的な面白さを超えた人間の心のやりとり。今の人の心にアプローチできるよう頑張っています」と意欲的だ。翌月に上演されるバレエ『竜宮』は、昨年7月に新国立劇場が初演したオリジナル作品で、演出・振付の森山開次によるユニークなアイデアと独特の身体表現が、多くの観客の心を捉えた。「浦島太郎の物語です。ポップな衣裳に美しいプロジェクションマッピングは、バレエを初めて観る方も小さなお子さまも楽しんでいただけます。子どもがマネしたくなるような振付や、“鶴の舞”というカッコいい踊りも!」と米沢が紹介すると、すかさず「絶対行きます」と趣里。こどものためのバレエ劇場2021『竜宮~亀の姫と季(とき)の庭~』は、7月24日(土)~27日(火)、新国立劇場オペラパレスにて。チケット一般発売は7月4日(日)。文:加藤智子
2021年05月31日アイドルグループ・ジャニーズWESTの小瀧望が、舞台『検察側の証人』に主演することが30日、明らかになった。同作は世界的な推理小説家アガサ・クリスティによる戯曲で、『ねずみとり』『蜘蛛の巣』などと並んで世界中で上演され舞台劇の最高峰と称賛される法廷ミステリーの決定版。容姿端麗な青年レナード(小瀧)は大富豪で独り身の婦人を撲殺した容疑で起訴され、無罪を主張しているものの、状況証拠は彼に不利なものばかり。レナードはあえなく逮捕され、敏腕検事のマイヤーズ(成河)が事件を担当する。法廷が開かれ、法廷弁護人と検事の答弁が白熱の応酬となる中、唯一のアリバイを妻ローマイン(瀬奈じゅん)が証言するはずだっが、法廷に立った彼女から口を突いて出た言葉は、「彼から『婦人を殺した』と告白された」という「検察側の証人」としてのものだった。クリスティ自身が「これは私が描いた戯曲の中でも、お気に入りの一つであった」と自伝の中で語るほど、緊迫感あふれる応酬と観客の度肝を抜く展開が見所に。翻訳・演出は、読売演劇大賞 優秀演出家賞など数々の演劇賞を受賞し、今最も注目を集めている演出家の一人・小川絵梨子が務める。意外にもクリスティ作品を手がけるのは初めてだという。第28回読売演劇大賞 杉村春子賞、及び優秀男優賞を受賞の小瀧望が容姿端麗な青年・レナードを演じ、瀬奈じゅん、成河と実力派が揃う。他、大滝寛(ウィルフリッド卿役)、 浅野雅博(首席秘書カーター・判事役)、寺西拓人(ハーン警部・警官役)、斉藤直樹(ワイアット博士役)、林愛夏(グリーダ役)、西川大貴(クレッグ・看守役)、阿岐之将一(裁判書記・廷吏役)、那須佐代子(ジャネット・マッケンジー)、梶原善(事務弁護士メイヒュー役)が出演する。東京公演は世田谷パブリックシアターにて8月28日~9月12日、兵庫公演は兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホールにて9月16日~9月20日、大阪公演は枚方市総合文化芸術センター 関西医大 大ホールにて9月23日~9月28日。○小瀧望 コメント作品のお話を聞いて、ぜひ! やりたいと思いました。改めて読んで、書かれたクリスティ自身も気に入っている作品というのも納得のとても面白い作品だと思いました。演出の小川さんと稽古場で、色々話しながら作り上げていければと思います。小川さんとご一緒できる時間を楽しんで、また先輩方との芝居のコミュニケーションも楽しみです。僕の演じる青年・レナードについては、節々に狂気的な愛を持った人物だな、と感じました。僕自身、知らない自分に出会えそうです。全く違った僕をお見せできると思います。まだまだ、気の抜けない状況で、我慢をしていただくところもありますが、生で感じるエンターテイメントのすばらしさを伝えていくことも、僕の使命だと思っています。生の演劇に触れて、生の役者のパワーに触れて欲しいと思います。劇場では、傍聴席にいるような気持ちで、ぜひ傑作ミステリーを楽しんで下さい。○瀬奈じゅん コメントこのお話を頂いた時、とにかく興奮しました。出演するのが夢であった『検察側の証人』という作品である事。そして何より、小川絵梨子さんの演出であるという事。今はまだその興奮が収まりきっていない状態ですが、共演者の皆様と共に、しっかりと誠実に稽古を重ねて参りたいと思います。このような状況下ではありますが、足をお運び頂けたら嬉しく思います。○成河 コメント心から信頼する小川絵梨子さんの演出、頼もしく力強い共演者の方々と一緒に、新しい時代の『検察側の証人』を創れることを嬉しく思います。時代を経ても決して古びることのないアガサ・クリスティのこの法廷ミステリーを、さらに今回新翻訳で、より今の私たちに近しいエンターテイメントとして甦らせる事が出来るのではないかと期待しています。出口の見えない不安な日々に少しでも、上質な娯楽、前向きで建設的な思考を、皆さんと共有出来るよう、気を引き締めて稽古に臨みたいと思います。お楽しみにお待ちください。
2021年05月30日中止となっていた舞台『反応工程』が7月12日(月)から、新国立劇場 小劇場で上演されることが決定した。小川絵梨子が芸術監督就任の際に掲げた支柱のひとつである「演劇システムの実験と開拓」。毎シーズンに1本、全キャストをオーディションで選考し、作り手が新しい俳優、俳優が新しい演出家、劇場が新しい作り手たちと出会い、作品を立ち上げていくプロジェクトだ。劇作家・宮本研が自身の経験をもとに、終戦前夜の軍需工場で生きる人々を鮮やかに描いた『反応工程』は、このフルオーディション企画・第2弾。演出には、俳優としても演出家としても新国立劇場で多くの作品に携わってきた千葉哲也を迎え、2018年10月末より12月中旬まで6週間に及ぶオーディションを開催、多数の応募者の中から、14人の俳優が出演する。本作は2020年4月上演予定だったが、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う緊急事態宣言発令のため公演中止に。それから、できる限り遠くない時期での上演を目指して調整を重ねた結果、全キャストと全スタッフが再集結。今回の上演に至った。物語は太平洋戦争の敗色濃い1945年8月、九州中部にある軍需指定工場から始まる。戦前は染料を製造するためだった工場も、今ではロケット砲の推進薬を作り出す反応工程の現場となっている。田宮や林、影山らの動員学徒も配属され、日夜、古株の工員らと共に汗を流していた。勝利を信じる田宮だったが、勤労課の職員である太宰に戦争の本質を説かれ、禁書となっている本を渡される。そんな中、影山に召集命令が……。上演決定に合わせて、演出の千葉哲也より、下記のコメントが寄せられている。<演出:千葉哲也・コメント>『反応工程』……そこにあるのは敗戦数日前の軍需工場という閉鎖された場所で、戦争に巻き込まれた人々の生活です。市井の人々には如何ともし難く、先の見えない大きな出来事に飲み込まれた時、人はどう変わり、行動を起こしていくのか。この作品を上演するはずだった時から1年を経ても、世界は依然として混沌の中にあります。この事態に僕らはどう立ち向かい、どう考え、どう行動すべきなのか。あの時よりもいっそう強い思いで、この作品に向かいたいと思います。■公演情報『反応工程』7月12日(月)~25日(日)会場:新国立劇場 小劇場料金(税込):A席6,600円 B席3,300円(税込)一般発売:6月6日(日)10:00~※通常の座席配置での販売を予定しております。
2021年05月25日身寄りのない子どもたちが暮らす家を舞台にした、女優・文筆家の小川紗良が監督を務める映画『海辺の金魚』の予告編とポスタービジュアルが公開された。到着した予告編は、花(小川未祐)と晴海(花田琉愛)の出会いからスタート。施設での日常と共に、2人の気持ちが次第に通じあっていく様子が描かれる。そして、映像でも流れる本作の主題歌は、元「チャットモンチー」の橋本絵莉子が担当。小川監督が小学生のころからファンだった橋本さんのオフィシャルサイトへ直接メールオファーしたことがきっかけで実現。楽曲「あ、そ、か」を書き下ろした橋本さんは「びっくりしましたが、ラッシュ映像をみて一瞬で引きこまれました。普段、自分が目にしない知らない世界をテーマに扱っていて、そこに自分の息子と同じくらいの子供たちが沢山いる―。どうしようもない強い衝撃を受けました。そして、私でできるかな?私でできることはあるかな?という二つの気持ちから主題歌を引き受けました」とふり返っている。また併せて公開されたポスタービジュアルには、本作のメインとなる2人の少女、花と晴海の笑顔が切り取られ、やわらかな印象の1枚に仕上がっている。なお、本作の小説版の発売も決定。表題作「海辺の金魚」のほか、「みっちゃんはね、」「星に願いを」「花びらとツバメ」の4篇を収録した連作短編集となっている。『海辺の金魚』は6月25日(金)より新宿シネマカリテほかにて公開。小説「海辺の金魚」(著者:小川紗良)は6月10日(木)発売。(cinemacafe.net)■関連作品:海辺の金魚 2021年6月25日より新宿シネマカリテほかにて公開ⓒ2021東映ビデオ
2021年04月22日2021年4月、 新国立劇場で三好十郎の『斬られの仙太』が上演される。本作は江戸末期から明治にかけての動乱期を舞台に、農民上がりの博徒・仙太郎が水戸天狗党の乱に関わるようになるも、組織の理想と現実の間で翻弄される物語。この度、本作の演出を手掛ける上村聡史と主人公の仙太役を演じる伊達暁が、『斬られの仙太』の舞台となる水戸・筑波を訪ねた動画の後編が公開された。前編では上野駅からスタートし、筑波神社から仙太の出身地である真壁に移動。後編では那珂湊反射炉跡から、水戸志士が幽閉された蔵が移築された回転神社、そして水戸殉難志士の墓、那珂川と本作に出てくる場所をめぐる。江戸末期に思いを馳せるふたりの様子をご覧いただきたい。■新国立劇場の演劇『斬られの仙太』筑波水戸紀行~前編■新国立劇場の演劇『斬られの仙太』筑波水戸紀行~後編【公演概要】『斬られの仙太』会場:新国立劇場 小劇場公演日程:4月6日(火)~25日(日)作:三好十郎演出:上村聡史芸術監督:小川絵梨子 / 主催:新国立劇場出演:青山 勝、浅野令子、今國雅彦、内田健介、木下政治、久保貫太郎、小泉将臣、小林大介佐藤祐基、瀬口寛之、伊達 暁、中山義紘、原 愛絵、原川浩明、陽月 華、山森大輔チケット発売中料金(税込):A席7,700円 / B席3,300円公演詳細: チケットに関するお問い合わせ:新国立劇場ボックスオフィス(03-5352-9999 / 10:00~18:00)Webボックスオフィス:
2021年03月19日新国立劇場の演劇部門の2021/2022シーズン発表会が3月8日に行なわれ、芸術監督の小川絵梨子が出席した。シーズンの幕開けを飾るのは、海外招聘公演『ガラスの動物園』。コロナ禍で昨年、招聘を断念した同作だが現在、9月の上演を目指して交渉を進めているという。パリの国立オデオン座の制作で、本国フランスでも4日間の上演で打ち切りとなったが、かなりの高評価だったとのことで、当代一の人気を誇る演出家イヴォ・ヴァン・ホーヴェの手によりテネシー・ウィリアムズの名作が現代にどう蘇るのか期待が高まる。小川芸術監督が就任以降、積極的に取り組んできたのがフルオーディションによる公演だが、11月には倉持裕の作・演出による『イロアセル』を上演する。小川の就任以前の2011年に倉持が新国立劇場に書き下ろした作品だが「いまの社会に必要な本」(小川)と10年を経て再び同劇場で上演される。もうひとつ、小川が力を注いできたのが、1年もの時間をかけて作品を育てていく「こつこつプロジェクト」。第一期の作品として、西沢栄治の演出で別役実の『あーぶくたった、にいたった』が12月に上演される。また第二期として、福山桜子、船岩祐太、柳沼昭徳の3人が新たに参加することも決まった。さらに新たなシリーズ企画として「正論≒極論≒批判≠議論」と銘打って、言葉によるコミュニケーションの在り方について考える3本の戯曲―『アンチポデス(仮題)』『ロビー・ヒーロー』、『来訪(仮題)』を上演。小川がコロナ禍において、様々なニュースやそれに伴うコメントなどに触れ、考えた経験がきっかけとなっており「SNSなども含め、個人が発言しやすくなっている中で、それは意見なのか? 感想なのか? 批判なのか? 文句なのか? 誹謗中傷なのか? それとも議論がしたいのか? 何かを変えたくて言っているのか? 『これは何の発言なんだろうか?』ということを考えていきたい」とその趣旨を語る。芸術監督に就任して4シーズン目を迎えるが、即効性、一過性の施策だけでなく「時間をかけて積み重ねていく」ことの重要性を訴える。コロナ禍で多くのものが「不要不急か否か?」で分類され、演劇もその存在意義が問われてきた。小川は「(演劇が社会に)必要だと声をあげていくことはもちろんですが、そう思ってもらえるためにどうしていくか考えるのが重要。必要だと思ってもらえる作品をどう作っていくか? 考えていかなくてはいけない」と語った。
2021年03月11日新国立劇場の演劇部門の2021/2022シーズンのラインアップ発表会が3月8日に開催され、2018年9月より芸術監督を務めている小川絵梨子が出席。新シリーズ「正論≒極論≒批判≠議論」などについて説明した。シーズン幕開けを飾る、小川芸術監督就任後初の海外招聘作品となる『ガラスの動物園』、倉持裕が2011年に同劇場に書き下ろした『イロアセル』のフルオーディション公演など、新シーズンも枠にとらわれない多彩なラインアップが組まれている。中でも注目を集めそうなのが「正論≒極論≒批判≠議論」と名付けられた新シリーズで、小川自らが演出を務める『アンチポデス(仮題)』を皮切りに『ロビー・ヒーロー』、『来訪(仮題)』の3本が上演される。「正論≒極論≒批判≠議論」というテーマには小川自身がコロナ禍において考えていた人々のコミュニケーションに対する思いが込められているとのこと。「SNSなども含め、個人が発言しやすくなっている中で、それは意見なのか? 感想なのか? 批判なのか? 文句なのか? 誹謗中傷なのか? それとも議論がしたいのか? 何かを変えたくて言っているのか? 『これは何の発言なんだろうか?』ということを考えていきたい」とテーマの意図を説明する。『アンチポデス』は小川と同世代のアメリカの女性作家アニー・ベーカーの作品で、会議室に男女が集まって議論をするという物語。「コミュニケーションが歪んでいくさまが、非常に現代的でリアルに描かれている」という。『ロビー・ヒーロー』は米アカデミー賞脚本賞に輝いた映画『マンチェスター・バイ・ザ・シー』の脚本・監督を務めたケネス・ロナーガンの作品で「声高に正義を叫ぶことの大事さ、そして難しさが描かれている」としてこのシリーズに加えられた。3本目の『来訪』は、小川がこのシリーズに最初の選んだ作品であり、ある金持ちの老婦人が町への寄付の条件としてある人物をつるし上げることを人々に要求するという寓話的な物語。「大きな力、同調圧力によって、つるし上げが正義になっていく」さまが描かれる。小川はコロナ禍における自粛期間中を振り返りつつ「なかなか人と会えず、でも情報はほしいので、ネットやいろんなところから情報を得ようと(ニュースや情報に)接続すると、そこでの発言の内容にいい意味で心打たれるもの、考えさせられるものもあったけど、心がえぐられる気持ちになるものもあって『なぜそんな言い方になるんだろうか?』と感情を揺さぶられることが多かった。“答え”があるわけではなく、みんなで考えていけたら」と語った。自身、18年秋に芸術監督に就任し、昨年はコロナ禍という難しい局面に向き合うことになったが、改めて芸術監督の仕事を「時間をかけて積み重ねていくということ」だと一過性ではなく、新たな世代に演劇の楽しさを伝え、残していくことだと語る。同世代の長塚圭史がKAAT神奈川芸術劇場の新芸術監督に就任し、同じくダンサーで振付家の近藤良平が「彩の国さいたま芸術劇場」の芸術監督に就任することも発表されたが「ざっくばらんにオープンに長塚さん、近藤さんと話していける関係でありたいし、大きなつながりを次の世代にも残していきたい」と語る。新シーズンでは、小川が立ち上げた、長期間で作品を育てていく「こつこつプロジェクト」が第二期を迎え、英国のロイヤルコート劇場とのコラボレーションによる劇作家ワークショップも新たなフェーズを迎えるが、改めて「創作への投資」の重要性を強く訴えていた。2021/2022ラインアップは以下の通り2021年9月■ガラスの動物園作:テネシー・ウィリアムズ演出:イヴォ・ヴァン・ホーヴェ制作:国立オデオン劇場出演:イザベル・ユペール、ジャスティーン・バチェレ、シリル・グエイ、アントワン・レナーツ2021年11月■イロアセル作・演出:倉持裕※フルオーディション作品2021年12月■あーぶくたった、にいたった作:別役実演出:西沢栄治2022年4月「正論≒極論≒批判≠議論」 vol.1■アンチポデス(仮題)作:アニー・ベイカー翻訳:小田島創志演出:小川絵梨子2022年5月「正論≒極論≒批判≠議論」 vol.2■ロビー・ヒーロー作:ケネス・ロナーガン翻訳:浦辺千鶴演出:桑原裕子2022年6月「正論≒極論≒批判≠議論」 vol.3■来訪(仮題)作:フリードリヒ・テュレンマット翻訳:小山ゆうな演出:五戸真理枝■こつこつプロジェクト-ディベロップメント-第二期<参加演出家>福山桜子船岩祐太柳沼昭徳取材・文・撮影:黒豆直樹
2021年03月09日俳優の生田斗真が主演を務める舞台『ほんとうのハウンド警部』が5日に東京・Bunkamuna シアターコクーンで初日を迎える。同作は英国演劇界の至宝トム・ストッパードの緻密な頭脳プレイが炸裂する戯曲で、シス・カンパニーによる2021年の第1弾公演となる。1968年にロンドン・クライテリオン劇場にて初演を迎え、「劇中劇=メタシアター」のからくりが物理的にも心理的にも絡み合った「劇場全体」の魅力が凝縮された作品で、推理劇仕立てで始まりながら、「推理」にとどまらない人間心理の滑稽さを孕んだ複雑な谷間へ導いていく。2017年のストッパード作の戯曲『ローゼンクランツとギルデンスターンは死んだ』(シス・カンパニー公演)以来、4年ぶり2度目のタッグを組んだ演出:小川絵梨子と生田の2人を筆頭に、吉原光夫、趣里、池谷のぶえ、鈴木浩介、峯村リエ、山崎一と演劇巧者たちが集結。1月末から稽古場に集い、スタッフと一丸となって、万全の感染予防対策を講じながら稽古を積み重ねてきたという。本公演でも徹底した感染症防止対策を実施し、客席も1席空けで対応。5日18時の初日公演を前に、舞台写真と演出の小川、主演の生田からのコメントが到着した。公演はBunkamuna シアターコクーンにて31日まで。○演出:小川絵梨子 コメント演劇のおもちゃ箱のような世界を、毎日、素敵な役者さんたちと一緒に探検していた稽古場でした。劇構造の面白さを再認識できるような哲学的な脚本でありながら、実はシニカルで思いっきり笑えるコメディなんです。「ストッパード? 難しそう……」とあまり構えずに、演劇ならではの面白さが詰まった不思議な世界をお楽しみください。生田斗真さんとは、「ローゼンクランツとギルデンスターンは死んだ」以来4年ぶりです。前回、周りをすごく引っ張ってくださって、年下なのに「兄貴」という感じでした。前にどんどん進んでいく感じとか、まるで年上のように頼りになるところとか、当時と全く印象が変わっていません。今回も、やはり頼りがいのある「兄貴」ですね。○生田斗真 コメントストッパードらしさにあふれた構造で、どこまでが現実で、どこからが虚構なのか、、、その境界線が溶け合っていく感じは、まさに演劇でなければ表現できない世界です。小川絵梨子さんは何事にも妥協することなく、常に前向きにトライし続ける演出家。そんな小川さんや、まさに「演劇モンスター」と言える信頼する共演者の皆さんと一緒に、戯曲を掘り下げていく稽古場での作業は、とにかく充実していました。いよいよ開幕の日を迎えます。ご来場いただく皆さんにもいろいろとご不便な思いをさせてしまうことも多いのですが、だからこそより一層、お客様を含めた全員で一緒に舞台を作っているという実感があります。これまで以上にお客様との繋がりを感じながら、毎日の舞台を精一杯努めます。是非、皆さんも楽しんでください! お待ちしています!
2021年03月05日2月3日、「文春オンライン」によって夫で実業家の豊田剛一郎氏(36)に不倫交際が報じられた小川彩佳アナウンサー(35)。「豊田氏は結婚前から不倫相手のAさんと交際を続けてきました。2度目の緊急事態宣言が発令された1月8日以降も、Aさんが暮らすマンションに通っていたといいます。報道を受けて豊田氏は、医療ベンチャー『メドレー』の代表取締役を辞任。21年12月期に発生する役員報酬を返上し、無報酬での勤務に。さらに32万株分のストックオプションも放棄し、“責任”を取りました。ですが、小川アナが負った心の傷を埋めることはできないでしょう」(芸能関係者)そんななか「NEWS ポストセブン」が6日、豊田氏の不倫相手・Aさん(35)の告白インタビューを報じた。Aさんが豊田氏と出会ったのは18年12月。どちらともなく連絡を取り合い、19年2月には親密な関係になっていたという。小川アナが結婚を理由に、テレビ朝日を退社すると発表したのは同年2月8日のことだ。また記事によると豊田氏が小川アナと19年7月に入籍した際、関係を終わらせようとしたAさん。しかし、豊田氏から「終わりにしたくない」と告げられたという。それからわずか2カ月後には、“密会用”のマンションに引っ越すことに。そして今年1月下旬、「週刊文春」の取材が入ったことで妻に不倫を打ち明ける決意をしたという豊田氏。その際、Aさんに「結婚後は肉体関係はない」と口裏を合わせることを要求していたというのだ。そんなAさんは記事の中で「週間文春」で報じられた豊田氏との沖縄旅行について、「いまでも忘れられない」「素敵な夜だった」と回想している。不倫相手による激白で明るみになった“ゲス不倫”。ネットでは豊田氏とAさんに批判の声があがっている。《最低な旦那と彼女。口裏合わせるなんて》《自分が同じことをされていたらどんな気持ちになると思うのか。ナルシスト風に語らないでほしい。子育て、仕事と一生懸命頑張っている小川さんが気の毒だ》《ズルい男とズルい女。こんな2人に人生を傷つけられた小川彩佳さんが不憫でなりません。未来の自分の幸せのために、前向きな決断をしてほしいです》■家事や育児には消極的だったという豊田氏夫の不倫報道があった当日、『NEWS23』(TBS系)では気丈に振る舞っていた小川アナ。20年10月に同番組で産後復帰したが、彼女の産休はわずか3ヵ月。早くも共働きとなったが、豊田氏は家事や育児に消極的だったようだ。「夜のニュース番組を担う女性キャスターが産後復帰するという前例はあまりないことから、小川アナは『自分が挑戦することで女性活躍の一助になれば』と意欲的でした。ですがテレビ番組で『よくシャワー浴びながら泣いている』と語っていたように、家庭ではワンオペ状態。豊田氏は小川アナの不在時に子どもの面倒を見ていたそうですが、家事や育児は“自分の役割”とは思っていなかったようですね」(前出・芸能関係者)19年4月、豊田氏は「ONE CAREER」のインタビューで読者に向けてこう語っていた。「自分で自らの心に『火』を灯し、どんな環境に置かれたとしても自分から主体的にアクションを起こすことができる『自燃性』を持ってほしい」家庭には主体的でなく、彼の唱える「自然性」は不倫相手に向けられていたようだ。
2021年02月07日2月3日、微笑みながら『NEWS23』(TBS系)の放送を締めくくったのはメインキャスターを務める小川彩佳アナウンサー(35)。しかし、微笑みの裏で小川アナは“受難”していた。同日、『文春オンライン』によって小川の夫であり実業家の豊田剛一郎氏(36)が愛人女性と密会を重ねていたことが報じられたのだ。同サイトによると、豊田氏17年頃に愛人女性と出会い、小川と結婚後の19年夏に急接近。その後不倫関係に入り、2度目の緊急事態宣言が発令された今年1月8日以降も複数回にわたって愛人女性の自宅マンションを訪れていたという。報道を受け、3日夕方に医療ベンチャー「メドレー」は豊田氏が代表取締役を辞任したことを発表。小川アナも「デイリースポーツ」の取材に対して、「医療従事者などエッセンシャルワーカーの皆様をはじめ、多くの方が耐えながら過ごしていらっしゃる中で、本当に申し訳なく思っております」などと謝罪していた。19年2月に豊田氏との結婚を発表し、20年7月29日に第一子を出産した小川アナ。10月19日からは、3カ月弱で『NEWS23』にキャスターとして産後復帰していた。異例の早さで産後復帰した理由について、小川はこう語っていた。《女性にとって30代というのはいろいろなことが立て込む時期だと思うんです。妊娠・出産に向き合わざるを得ない一方で、仕事は自分でできることが増えてきて、頑張り時だったりする。その結果、駆け足になってしまったのかな》(21年1月11日『CREA WEB』)育児と仕事の両立に励む小川アナだが、困難にも直面していた。1月30日に出演した『サワコの朝』(TBS系)では、次のように吐露。「(仕事が終わり)日付が変わって、帰宅したら、仕事の続きのようなことをしながら、翌日の準備とか、読み物をしたりとか(をする)。なかなか時間が持てないので。いつの寝始めるという概念がないですね。こまごまと子供が起きてくるので。授乳に目を覚ますのを仕事をしながら待って、ミルクや母乳をあげて。あまりにも自転車操業すぎて」また同番組内では「よくシャワー浴びながら泣いてる」とも告白しており、小川アナの両立への苦悩が伺い知れる。それだけに、夫に裏切られた小川アナの心情を心配する声がSNS上では相次いだ。《小川彩佳さんが謝る事では無いですよ。これからも、一歩ずつ歩んでください。頑張らないで下さい》《小川彩佳がただただかわいそう》
2021年02月04日2021年1月2日現在、多くの芸能人が新年の挨拶をSNSやブログに投稿しています。女優やタレントとして活躍する小川菜摘さんも、自身のInstagramに1枚の写真を投稿し、ファンへ新年の挨拶を行いました。投稿された写真には、夫であり、お笑いコンビ『ダウンタウン』の浜田雅功さんも写っており、ファンからは「レアなツーショット!」「めちゃくちゃ幸せそう」などの声が上がっています。その写真がコチラ! この投稿をInstagramで見る 小川菜摘(@natsumi1230)がシェアした投稿 すごく幸せそう…!愛犬をそれぞれヒザの上に乗せ、仲睦まじい夫婦の姿を披露したのでした。『HAPPY NEW YEAR』のメガネをかけた2人の幸せそうな様子に、ほほ笑んでしまいますね!投稿には、さまざまな声が寄せられました。・あけましておめでとうございます!幸せオーラ全開で癒されました!・浜田さんが写ってる。珍しいツーショットにテンション上がった!・理想の夫婦だなあ。素敵な写真ですね。新年早々、幸せのおすそ分けをありがとうございます。写真から伝わってくる小川さんと浜田さんの仲のよさに、多くの人が癒されたことでしょう![文・構成/grape編集部]
2021年01月02日シス・カンパニー公演が2021年第1弾の取り組みとして、英国演劇界の至宝トム・ストッパードの戯曲『ほんとうのハウンド警部(原題:The Real Inspector Hound)』をBunkamuraシアターコクーンで3月5日(金)~3月31日(水)に上演することが分かった。その荒唐無稽ともいえる発想の斬新さが生み出すカタルシスで、観客を劇空間の迷路へと誘い込み魅了する巨匠ストッパード。シス・カンパニーはこれまでも、『アルカディア』(2016年栗山民也演出)、『ローゼンクランツとギルデンスターンは死んだ(通称:ロズギル)』(2017年小川絵梨子演出)で、その世界観に迫ってきた。そしてこの度、『ロズギル』で互いに信頼を深め合った生田斗真と演出の小川絵梨子が、本舞台で再び顔を合わせる。出演は、その生田を筆頭に、吉原光夫、趣里、池谷のぶえ、鈴木浩介、峯村リエ、山崎一、7名の役者陣。『ほんとうのハウンド警部』は1968年にロンドン・クライテリオン劇場にて初演され、当時の観客の度肝を抜いた斬新な戯曲。推理劇仕立てで始まる舞台は、やがてひとつの「推理」にとどまらない人間心理の滑稽さを孕んだ複雑な谷間へと向かう。ほんとうのハウンド警部 原題:The Real Inspector Hound【作】トム・ストッパード【翻訳】徐賀世子【演出】小川絵梨子【出演】生田斗真、吉原光夫、趣里、池谷のぶえ、鈴木浩介、峯村リエ、山崎一【公演会場】Bunkamuraシアターコクーン(東京公演のみ)【公演期間】2021年3月5日(金)~3月31日(水)【一般前売開始日】2021年2月6日(土)
2020年12月07日黙していると強面(こわもて)。でも、ミュージカル『レ・ミゼラブル』の主人公・バルジャンや、ドラマ『エール』の馬具職人・岩城など、吉原光夫さんの演技を見れば、内に秘めるまっすぐな情熱や真面目な人柄が伝わってくる。ただ、今回出演する舞台『23階の笑い』は、これまでのイメージを覆すようなコメディ。自身もオファーを受け、「エッて50回くらい言ってから」出演を決めたとか。そうは見えないかもしれないですが、稽古場に通うのが本気で楽しいです。「僕は、これまでコメディを追求してこなかった人間で、そもそも笑いがわからないんです。これだけ大きな振り幅のものって初めてだし、ミスキャスティングなんじゃないかと思いつつ…。いま42歳で、新しいことに挑戦するのが無性に怖くなったりして、凝り固まりそうな部分があるんです。でもいまは、自分よりキャリアも年齢も上の百戦錬磨の方がたに囲まれて、1年生になった気分で稽古場に通えているんです」共演に名を連ねるのは、浅野和之さん、山崎一さん、梶原善さんら、今回の演出を手掛ける三谷幸喜さんの作品でもお馴染みの面々。「コメディックな方向に演技を振るのって、すごく勇気がいることだと思うんです。客席からウケるウケないっていうことに対する抵抗力というか。僕がどうしようかって迷ってる間に、みなさんはそこをポーンと飛び越えていく。そのジャンプ力がすごい。自分が演じてて、まだ楽しいとは思えないけど、このメンバーと23階の笑いっていう部屋に一緒にいるのは本気で楽しいです」そう言ってから、「僕、こういう顔なんで、そういうふうに思われてないと思うんですけど…」とボソッ。逆にこちらは、この生真面目すぎる姿に、思わず笑みが漏れ出てしまうが、本人はまだまだ悩みの淵に。「最初の本読みで、自分が求められているものと全然違うものを演じているのを感じたんです。それに気づいた瞬間から、全部捨てて、これまで無しだと思っていたものを試している段階で、苦しいは苦しいです」朝ドラへの出演、初の三谷作品と、新しい挑戦が続いている。「劇団四季を出て、小川絵梨子という演出家に出会ったとき、演劇の世界ってこんなに広くて、まだ知らないことがいっぱいあるんだって思ったんです。まさに目から鱗でした。そこから知らないままで終わってしまうことが怖くなったんですよね。いいなと思ったら、とりあえず出かけていくようにしています」シス・カンパニー公演『23階の笑い』12月5日(土)~27日(日)三軒茶屋・世田谷パブリックシアター作/ニール・サイモン演出・上演台本/三谷幸喜翻訳/徐賀世子出演/瀬戸康史、松岡茉優、吉原光夫、小手伸也、鈴木浩介、梶原善、青木さやか、山崎一、浅野和之S席1万2000円A席1万円B席8000円1階補助席9000円(すべて税込み)シス・カンパニー TEL:03・5423・5906(平日11:00~19:00)1953年のNY。高層ビルの23階にある人気コメディアン・マックス(小手)のオフィスでは大騒動が巻き起こっていた。大衆受けを望むテレビ局上層部が厳しい要求をつきつけてきて…。よしはら・みつお1978年9月22日生まれ。東京都出身。劇団四季を経て、数々の舞台に出演する傍ら、演出も手掛ける。NHK連続テレビ小説『エール』岩城役でも注目される。※『anan』2020年12月9日号より。写真・小笠原真紀インタビュー、文・望月リサ(by anan編集部)
2020年12月05日ピアニスト小川典子のリサイタルは、ロシア音楽だけで構成されたプログラム(11月7日・ミューザ川崎シンフォニーホール)。ラフマニノフの前奏曲集から8曲、プロコフィエフの戦争ソナタ第7番、そしてムソルグスキー《展覧会の絵》を弾く。「スケール大きなイメージのラフマニノフの音楽ですが、実はこの前奏曲ぐらいの長さの作品が最も適している。一度のクライマックスで音楽のシェイプができるので、焦点が定まって、彼の書法をとてもわかりやすくお聴きいただけると思います。プロコフィエフのソナタ第7番は、『非情』という言葉が似合う音楽。その中で、痛みを抱えた切ないフレーズも出てくるし、第3楽章は、7拍子という珍しい、座りの悪いリズムで突進して爆発します。素晴らしいミューザ川崎の響きの中で、どこまでぎんぎんに弾けるか、楽しみです。ムソルグスキーの音楽には、他の二人のような緻密さはありません。でもだからこそロシアの土臭さを感じるし、二人には書けなかった冒険もできる。豪華絢爛なオーケストラ編曲版よりも、原曲のピアノ独奏版のほうが、それがいっそうよく現れます」なお《展覧会の絵》は作曲家の自筆譜に基づいて演奏する。よく知られた出版譜とは微妙に異なっており、随所にハッとする発見があるという。ところで、じつは小川にとって初のオール・ロシア・プロ。しかしラフマニノフの協奏曲などのイメージも強い彼女だけに、もちろんロシア音楽は大好きで、その背景にもずっと興味を持って向き合ってきた。「高校の頃からドストエフスキーが好きだったし、ノーベル賞作家ソルジェニーツィンとソビエト政府の関係にも興味がありました。抑圧された環境で生きる人間の気持ちに関心があって、そんなテーマのドキュメンタリー番組などもよく見ていました」ロシアのピアノ曲には、楽器を鳴らしきるような豊かな音量や厚みのある音色が大事。それはそのまま小川のピアノの魅力の一端でもあるのだが、彼女はさらに、「エッジの効いた音」が必要だと説く。「そういうエッジの効いた音で弾いてこそ効果が出るように音が配列されている。たとえばシューベルトはそんな音で弾いたらダメ。それでは曲にならないように書かれているからです」ピアニストは日々、その作曲家と作品にふさわしい音を探し、見きわめ続けているのだ。そうやって見つけた音が彩る小川のロシア名曲。その音が震わせる空間を直接共有してこそ、より深く共感できるはず。そしてその聴き手の共感がもう一度、演奏にも還元される。「言葉にはできない客席の“気”のようなものはいつも感じて、演奏にも目に見えない反応があります。あえて私のリサイタルを選んでくださる熱心なお客様と一緒に、密度の濃い演奏会になることを楽しみにしています」開演前には音楽評論家・下田幸二とのプレトークも。これも聞き逃せない。余裕を持って、少し早めに会場へ。小川典子の公演情報はこちら取材・文:宮本明
2020年10月29日TBS系報道番組『NEWS23』(毎週月~木曜23:00~/金曜23:30~)のメインキャスターを務めるフリーアナウンサーの小川彩佳が5日、番組公式ツイッターを通じて、先月29日に第1子を出産したことを報告した。小川は「先月29日、無事出産いたしました」と報告し、「日に日に芽生える母親としての感覚に自分でも驚きながら、新しい生活に漕ぎ出しています」と心境を告白。「新型コロナ対策のため立ち合いや面会はやはり許されませんでしたが、そっと寄り添って下さる医療スタッフの皆さんのお気遣いに支えられました」と伝え、「コロナ禍の緊張感を院内の至る所で感じる中、細心の注意を払いつつ一層の心配りを欠かさない医療従事者の皆さんには、改めて感謝と敬意をお伝えしたい思いです」とつづった。そして、「コロナをめぐる状況が深刻度を増していますが、皆様どうぞくれぐれもご自愛ください。また『NEWS23』に復帰させていただく目処が立ちましたら、ご報告させていただきます」とメッセージを送った。小川は、2007年にテレビ朝日に入社し、2011年から2018年まで『報道ステーション』の3代目サブアナウンサーを担当。2019年2月に一般男性との結婚とテレビ朝日退社を発表し、同年4月にフリーに転身した。今年2月28日に『NEWS23』のツイッターを通じて第1子妊娠を発表し、7月4日より産休に入っていた。
2020年08月05日京都発のコーヒー店・小川珈琲の旗艦店「オガワコーヒー ラボラトリー(OGAWA COFFEE LABORATOR)」が東京・桜新町に2020年8月1日(土)オープンします。京都発「小川珈琲」旗艦店が誕生小川珈琲は、昭和27年京都で創業した老舗のコーヒーショップ。“珈琲を嗜好品でなく、日常にとってかけがえのないものにすること”をキーワードに、創業以来、生産者とともに栽培や精選方法にこだわって作り上げた希少なコーヒーを提供。そんな京都発の老舗店が、関西を飛び出し東京へ。東急田園都市線の桜新町駅から徒歩3分という落ち着きのある住宅街に、旗艦店「オガワコーヒー ラボラトリー」をオープンします。こだわりのコーヒーを常時21種ショップでは、常時21種のコーヒーが取り揃えられています。各国の品評会で買い付けた希少なコーヒーから、店内でローストするシングルオリジンまで、小川珈琲の深みとコクのある味わいを楽しむことができます。また、隔週入れ代わりで“スペシャルティ”と呼ばれる特別な一杯も用意。トップレベルの技術をもつバリスタが丁寧に淹れたコーヒーは、豊かな香りがポイントです。珈琲×炭焼き料理のマリアージュまた、コーヒーと相性のよいフードメニューも充実。「メゾンサンカントサンク」「ランタン」などの人気店を展開するシェルシュの丸山智博を監修に迎え、朝のトーストからディナーの肉料理まで、食材の旨味を活かしたメニューが揃っています。“珈琲職人の所作”が見えるこだわり空間珈琲職人の“所作”がどこにいても体感できるショップデザインも特徴的。ガラス貼りの焙煎室、コーヒー豆の貯蔵庫・蔵も客席から見える位置に配置。和紙を使った壁面や京都の廃線市電の敷石を再利用した床など、伝統的な日本の美意識を表現したこだわりのインテリアもポイントです。スポット情報スポット名:オガワコーヒー ラボラトリー住所:東京都世田谷区新町3-23-8エスカリエ桜新町1電話番号:03-6413-5252
2020年07月30日ダウンタウン・浜田雅功の妻でタレントの小川菜摘が10日、自身のブログを更新。浜田が出演している番組スタッフが新型コロナウイルスに感染している疑いがあったが、PCR検査の結果が「陰性」だったと報告した。小川は「皆様に大変ご心配をおかけしております。主人が出演させて頂いてる番組のスタッフさんが発熱し、PCR検査を受けたところ、本日陰性の結果が出ました」と報告。「ご家族の皆様も大変ご心配だったでしょうから、本当に良かったと思っています。主人も胸を撫で下ろしております」とつづった。続けて、「自粛緩和中とはいえ、大切な人を守るため、この疫病を他人事と思わず、今一度自身で出来る事を徹底して行きたいです」と記し、「主人を応援してくださる皆様に沢山のメッセージを頂きありがとうございます」と感謝した。きのう9日、相方の松本人志がツイッターで、「浜田さんの親しいスタッフからコロナの可能性がある方がでました。とっても元気な浜田さんですが大事をとって自宅待機となります。ハッキリする迄ダウンタウンの番組はオレ1人でやりますかね~」と明かしていた。
2020年06月10日タレントの小川菜摘(おがわ・なつみ)さんが、2020年5月10日に自身のブログを更新。『母の日』のエピソードをつづり、多くの反響が寄せられています。小川菜摘、息子たちからのプレゼントに感激この日、小川菜摘さんは長男でロックバンド『OKAMOTO’S』のベーシスト、ハマ・オカモトさんと次男それぞれからプレゼントをもらったことを報告。プレゼントの内容について具体的には明らかにしていませんが、「嬉しい」と喜びのコメントをしました。しかし、小川菜摘さんにとっての最大の喜びはプレゼントではなかったようです。幼少期の息子たちとの写真を添えて、次のようにつづっています。でもね1番のプレゼントは貴方達が健康で日々笑顔で居てくれること。これは貴方達が生まれた時から今日まで変わることありません。小川菜摘オフィシャルブログーより引用長男のハマ・オカモトさんは同年3月30日に発熱や全身の倦怠感、咳の症状が確認されたため、PCR検査を2回受けています。ところが、いずれも陰性だったことから、小川菜摘さんは同年4月15日のブログで「ホットした」とコメント。「引き続き息子をサポートしていきたい」と頼もしい言葉をつづっています。そんな大変な出来事を乗り越えて迎えた『母の日』。小川菜摘さんにとっては忘れられない1日になったのではないでしょうか。小川菜摘との馴れ初めについて浜田雅功が語ったことは?夫婦のエピソードに驚き[文・構成/grape編集部]
2020年05月12日ダウンタウン・浜田雅功の妻でタレントの小川菜摘が15日、自身のブログを更新。息子で4人組バンド・OKAMOTO’Sのハマ・オカモトが新型コロナウイルスの疑いで受けていた2回目のPCR検査の結果が陰性だったことを受け、「少しだけホッと致しました」とつづった。小川は「息子の2回目のPCR検査の結果が出まして、一回目と同じく陰性でした。これまでずっと心配な日々を過ごしてきましたが、少しだけホッと致しました」と胸中を明かし、「引き続き体調が万全になるまで家族としてサポートしていきます」と記した。続けて、「私達夫婦は、彼とは会っていませんでしたので、いわゆる濃厚接触者にはあたらないのですが、いつ誰が感染するか、本当にわからない状況だと思います。沢山の方がおっしゃっているように、いまは不要不急の外出を抑えて、自宅で過ごすという事が大切なんだと思います」とつづり、「今回の件で沢山の温かい励ましのお言葉を頂き有り難うございます」と感謝。「1日も早く平常な日々が戻りますように」と締めくくった。
2020年04月15日ダウンタウン・浜田雅功の妻でタレントの小川菜摘が14日、自身のブログを更新。息子で4人組バンド・OKAMOTO’Sのハマ・オカモトが、新型コロナウイルスの感染の疑いでPCR検査を受けたことについて言及した。小川は「息子の件でご心配をかけております」と書き出し、「これまでの経緯は所属事務所から出されている内容通りですが、3月30日に発熱があり、4月4日に1回目のPCR検査を受け、結果は陰性でしたが、その後も体調が回復しないことから4月9日に2回目のPCR検査受けました。が、今現在まだ検査結果待ちです」と報告。「息子の場合、喘息の疾患を持っており、肺炎の疑いもあったのでPCR検査に至りました」と説明し、「結果が出るまでにも時間がかかり、その間家族としても心配な状況がまだ続いております」とつづった。また、「9日に再検査して、まだ結果連絡が来ない現状、最前線で治療や検査にあたって頂いている医療関係者の方々には大変な負担がかかっている状況なのだと感じます」とし、「長男とは同居はしておらず、私達夫婦は自宅待機し元気にしておりますが、体調管理と健康観察はこれからも日々行って参ります」と、自身と夫・浜田の状況も伝えた。最後に、「今回の事で、お仕事先にもご迷惑、ご心配をかけておりますが、早期回復に向け、(現在は発熱症状も治まっております)家族としても引き続き息子をサポートしてまいります」と記した。
2020年04月14日エンリケこと小川えりさんの新刊2月14日、元キャバクラ嬢でタレント、YouTuberの小川えりさんによるスタイルブック『※エンリケ空間』が発売された(※は記号のシャープ)。同書では今注目の小川えりさんがメイクやファッションを初公開しており、A5判で160ページ、宝島社より1,500円(税別)の価格で発売中である。引退したからこそ語れるマル秘情報も岐阜県出身の小川えりさんは、名古屋・錦の老舗高級キャバクラ「アールズカフェ」にてNo.1キャバ嬢となり、エンリケのニックネームで知られている。2018年のバースデー・イベントでは、3日で2億5000万円以上の売り上げを達成したという伝説がある。小川さんは昨年11月にキャバクラ嬢を引退。今一番マネしたい女性として、テレビでも人気で、昨年10月に開設されたYouTubeのチャンネルでは、ヘアメイクやコーディネートなどの動画を公開。開設から約4か月で17万人以上が登録し、Instagramでは46万人以上のフォロワーを集めている。発売された新刊では、次のステージへと進んだ小川さんがメイクやファッションを初公開。SNSなどでは公開していない情報も掲載され、男性だけでなく女性にもモテる秘密がわかるスタイルブックとなっている。(画像はAmazon.co.jpより)【参考】※エンリケ空間 - 宝島社の公式WEBサイト 宝島チャンネル
2020年02月24日昨年、新国立劇場に史上最年少の芸術監督が誕生した。当時、小川絵梨子さんは39歳。日本での本格的演出家デビューから10年足らずでの抜擢は衝撃的だった。“斬新な舞台ばかりでなく、ベーシックも必要なんです”「小さい時から演劇はよく観ていて、学生時代は演劇部でした。最初は俳優になりたかったんですが、高校3年生の時に演出をやったら楽しくて。私個人の表現より、いろんなセクションからのアイデアを吸い上げて舵取りするほうが性に合っていたんだと思います」そして20歳の時に旅行でNYを訪れたのをきっかけに、向こうで演劇を学びたいと留学を決意する。「その時はまだ、演劇を仕事にしようという強い意思ではなかったけれど、演劇をアカデミックに学びたかったんです。演劇の演出を専門に学べる学校が日本にはあまりないのと、全く知らない世界を体験してみたいという思いもあって、思い切って海外に出ました」NYでの日々は新鮮で楽しかったけれど、将来を考えると展望が見えずに落ち込んだ、とも。「日本で演出家になる方法がわからなかったし、アメリカで演出をやるには言語能力も、何より文化の理解度が足りない。私は、古典を斬新な解釈で再構築するより、戯曲を読み込んで地道に積み上げていくのが好きだしそれしかできないんです。でもそれには、根底にある文化の理解度が必要。例えば阿部定事件とか、ドラえもんとか縁側とか…日本人のなかに共通する原風景や想起される匂いがありますよね。それが向こうではウォーターゲート事件とかなわけです。頭では理解できても、一番重要な匂いや感覚までは理解できないので」転機は突然訪れる。知人に頼まれて携わった俳優養成所の公演を通して知り合った演劇プロデューサーに、ある公演の演出を依頼される。それが’10年の舞台『今は亡きヘンリー・モス』だ。これが大きな評判を呼び、一躍時の人となった。「私はただ台本をやっただけなんですけどね」と言う。しかし、それまで老舗劇団か小劇場出身の演出家が主流だったなか、小川さんは海外で演劇を体系的に学び、そのメソッドに基づいて演出する。センスや個性で創る舞台とは違いオーソドックスだが、それゆえ戯曲自体の面白さが際立つ。「斬新な解釈とか強烈な個性とか、憧れるし大好きだけれど、自分にはできない。ただ、斬新なものばかりでなくシンプルでベーシックな作品があってもいいし、舞台作品の多様性という意味でもむしろ必要だとも思います。その分野ならば、突出した個性や才能のない自分でも学んだことから立ち上げていくことができるのかなって」何より大事にしているのは物語。「ビジュアルにあまりこだわりがない…というかわからず、立ち上げた物語にそぐうものであればいいと思っているだけなので」小川さんの現場では、俳優もスタッフもすべてが対等。全員がプロフェッショナルとして参加し、演出家の役割は全セクションと関わりながら舵取りをすることだ。「いま芸術監督として一番のモチベーションは、次の世代のためによりやりやすい演劇環境を整えること。これまでの現代演劇は、どうしても革新的だったり作家性の強い作品が注目されてきたけれど、そんな特別な才能に恵まれていなくても演劇を創る方法は色々ある。先人たちが何世代もかけてその方法を模索して、積み上げてきた歴史もある。私もただその流れの中で次世代の方々に何か一つでも渡していけたらと思っています」おがわ・えりこ新国立劇場演劇部門芸術監督/演出家、翻訳家1978年生まれ、東京都出身。日本の大学卒業後に渡米。2004年にNYアクターズ・スタジオ大学院演出学科を修了。’10年に初めて翻訳・演出を手掛けた舞台が話題となり数々の舞台を演出。’12年に読売演劇大賞杉村春子賞を、翌年には紀伊國屋演劇賞と千田是也賞を受賞。’18年に新国立劇場芸術監督に就任。※『anan』2020年1月15日号より。写真・土佐麻理子取材、文・望月リサ(by anan編集部)
2020年01月09日新国立劇場の2020/2021シーズンラインアップ発表会見が1月8日に行われ、演劇部門の芸術監督の小川絵梨子、新たにバレエ・ダンス部門の芸術監督に就任する吉田都らが出席した。英国のロイヤルバレエ団で長年にわたりプリンシパルとして活躍してきた吉田監督は「(新国立劇場の)20年以上の積み重ねを大切にしつつ、新たなチャレンジをしていきたい」と意気込みを語る。就任1年目は『白鳥の湖』(新制作)で幕を開け、『くるみ割り人形』など古典作品が続くが「古典をすることで基礎の大切さ、テクニックの向上、スタミナ・筋力の強化ができる」とベース部分の底上げを図る。一方で「世界的にコンテンポラリーの比重が大きくなっていて、(古典とコンテンポラリー)両方、踊れることが求められる」とも。また「振付家の育成・発掘」も大きな課題とし「なぜロイヤルバレエ団が世界3大バレエ団と呼ばれるようになったか? 優秀な振付家を育てて素晴らしい作品を作ったから。新国立劇場から世界に発信できる作品を作りたい」と“世界”を見据えての育成を掲げる。「吉田都セレクション」と銘打った公演では、世界的に活躍する振付家デヴィッド・ドウソンがバッハのピアノコンチェルトに振り付けた『A Million Kisses to my Skin』、ピアソラのタンゴとバレエを融合させた『ファイヴ・タンゴ』などを上演する。演劇は、パリのオデオン劇場からの招聘作品で、世界的演出家イヴォ・ヴァン・ホーヴェ、主演に仏の国民的女優イザベル・ユペールを迎えての『ガラスの動物園』で幕を開ける。また、2009年より続いてきたシェイクスピアの歴史劇シリーズは『リチャード二世』で遂に完結を迎える。「人を思うちから」と銘打って日本で愛されてきた名作3作を届けるシリーズでは、第1弾で三好十郎作の『斬られの仙太』を上村聡史の演出によりフルオーディションで、第2弾では世界的人気を誇る故・今敏監督によるアニメーション映画を新国立劇場初登場の藤田俊太郎の演出で舞台化する『東京ゴッドファーザーズ』を、そして第3弾では小川監督自身の演出で井上ひさしの名作『キネマの天地』が上演される。小川監督は同企画について「損得とか正しいとか政治的に合っているとかじゃなく、根本に“人を思うちから”をみんなが持っているはず。それを改めて感じてもらえたら。人の“情”のお話であり、3作とも欧米では絶対に書かれない作品だと思います」と言葉に力を込めた。取材・文/黒豆直樹
2020年01月09日