今回のテーマは「暴力からの卒業」である。まるでヤンキーの更生話のようだが、「カレー沢暴力」を名乗ってすでに2カ月、そろそろ面白くもなんともなくなってきているから戻しては、という提案であろう。正直言って、全然卒業したくない。暴力に留年しまくりたいと思っている。○実は多い「二つ名」の作家たち「カレー沢暴力」、やはり惚れ惚れするほどカッコいいペンネームだ。さすが他人が考えたものをパクってきただけのことはある。「カレー沢」というペンネームの唯一の利点は、エゴサーチがしやすいというところだ。確かな情報筋によると、ペンネームにカレー沢という苗字を持つ作家は日本に私一人らしい。自分の名前に「カレー」を入れると言うセンスの奴が2人も3人もいたら、いよいよ日本終わった感が漂うので、ひとまず安堵である。下の名が「薫」でも「暴力」でも、カレー沢である以上、エゴサのしやすさは変わらない。ならばカッコいい方を選ぶのが道理と言える。しかし、前も言ったが、ただでさえ無きに等しい知名度を、「薫」と「暴力」で分散させてしまうリスクを考えると、今のうちに「薫」に戻した方が利口ではあるだろう。だが、ペンネームを複数もっている作家というのは、実はそんなに珍しくない。成年向けやボーイズラブ漫画を描く時は別名義にする、という作家も多くいるのだ。よって、私も上記のような仕事が来た際には「暴力」と名乗れば解決である。しかし、ここで新たな問題が浮上する、私に仕事をよこす成年向けやBL誌がこの世に存在しないのだ。仮にいたとしても、私に仕事をふってくるようなところであれば、すぐにこの世から消滅するであろう。どうやら出版社には、皆既月食の如く数年に1度、編集や編集長の判断力が最も鈍る瞬間があるらしく、そういう時に私にお呼びがかかるのだ。とはいえ、どれだけ編集部全体が集団インフルエンザ状態でも、絵の上手さが特に重視されるだろう成年向けやBL方面からのオファーが来るとは思えない。ハレーすい星ぐらいの周期でならそういう瞬間がやってくるかもしれないが、だとしたら次は2061年ということになり、当方約80歳である。多分寝たきりか恍惚の人状態だろうが、耳元で「カレー沢先生!リブレ出版から依頼です」とでかい声で言ってもらえれば、おもむろにパラマウントベッドから立ち上がり、虚空を見つめていた目に光が宿るであろうから、逆に今から2061年に依頼をしてくれる成年向け、BL出版社を募集したいと思う。○「左のワキ出身のワキ毛」の矜恃しかし、私はよく「私はオタクだがBL好きのいわゆる腐女子ではない」という主張をしている。これは例えるなら、ワキ毛が「私は左のワキ生まれのワキ毛で、断じて右のワキから生えたのではない」と言っているような至極どうでもいい内容だが、「腐女子ではない」と明言している以上、BLの仕事がくるはずないだろうと思われるかもしれない。だが、デビュー前から乙女ゲーの二次創作をし、これだけ乙女ゲーが好きだと言っていても、今まで乙女ゲームの仕事が来たことは1回もない。だったら逆に、思ってもみない依頼が舞い込んできても良いはずだ。それにオタク女界も、BLが好きな女と嫌いな女しかいないわけではない。BLは好きではないが嫌悪感もない者、嫌いじゃないが自分の好きなキャラのBLは受け付けない者など、端から見れば全部ワキ毛であるが、かなり細分化される。メタルやデスメタル、ゴシックメタルを「全部同じ鼻毛じゃないか」と言ったら怒り出す人がいるように、ワキ毛にはワキ毛なりの棲み分けがあるものなのだ。私などは積極的にBLを見ることはないが、何か落ち込むことがあった時などに「ここは一発エグイBLでも読んでみるっぺか!」と景気づけBLを飲る(やる)ワキ毛である。話を戻すと、作家がどれだけ「この雑誌でこういう漫画が描きたい」と思っていても、なかなか実現するものではない。それができるならとっくにジャンプで描いている。結局、需要がないから話が来ないだけなのであるが、これではいつまでたっても「カレー沢暴力」が正式に名乗れない。2061年には名乗れるとしても、すでに鬼籍に入っている恐れもある。暴力を名乗れずに死ぬなんて、地縛霊になること必至だ。そこで、別名義を名乗る定義を持って広くしようと思う。今までいろんな雑誌で漫画を描かせてもらったが、ほぼすべて青年誌だ。なので、もういっそのこと、青年誌以外の依頼があったら「暴力」でいくことにする。というわけで少女漫画誌からなどの依頼を待ちたいと思うが、前に「少女漫画誌で描きたい」とつぶやいた後に連絡をくれたのは漫画ゴラクだったので、はっきり言って望み薄である。それに、よく考えてみたら、本名と違う名前を名乗れるのはペンネームやハンドルネームだけではない。例えば、大好きだと言い続けている乙女ゲーがまさにそれだ。灯台下暗しとはこのこと、青い鳥は割と近くにいたのである。よって、これから乙女ゲーをプレイする時は、ヒロインの名前を一律「カレー沢暴力」とする。2次元のイケメンに「好きだカレー沢…」「愛してる、暴力…」と囁かれながら、青年誌以外のオファーを待ちたいと思うので、何卒お願い申し上げる。―カレー沢暴力拝―<作者プロフィール>カレー沢薫漫画家・コラムニスト。1982年生まれ。会社員として働きながら二足のわらじで執筆活動を行う。デビュー作「クレムリン」(2009年)以降、「国家の猫ムラヤマ」、「バイトのコーメイくん」、「アンモラル・カスタマイズZ」(いずれも2012年)、「ニコニコはんしょくアクマ」(2013年)、「負ける技術」(2014年)、Web連載漫画「ヤリへん」(2015年)など切れ味鋭い作品を次々と生み出す。連載作品「やわらかい。課長起田総司」単行本は1~2巻まで発売中。10月15日にエッセイ「負ける技術」文庫版を発売した。「兼業まんがクリエイター・カレー沢薫の日常と退廃」、次回は2016年1月5日(火)掲載予定です。
2015年12月29日鉄道事業者共同制作による「暴力行為防止ポスター」が8日から、各社の駅構内や列車内に掲出される。駅・列車内での利用者同士のトラブルや、駅係員・乗務員などへの暴力行為が発生しやすい年末年始の時期に合わせて行うもので、暴力被害件数の減少と安心して鉄道を利用できる環境の実現を図る。ポスターは、「暴力は犯罪」の赤い文字が目立つデザイン。利用者同士や係員への暴力は社会的に許されない行為であるとのメッセージを直接的な言葉で表現したという。吊り革を円グラフに見立て、暴力行為が多い時間帯や発生場所などを視覚的に示す工夫も。ポスター掲出に参加するのは、日本民営鉄道協会加盟会社とJR東日本・JR東海・JR西日本・JR四国・JR九州など、全国の鉄道事業者79社局。駅構内に約7,400枚、列車内に約5万5,000枚が掲出される。掲出期間は2015年2月7日まで。
2014年12月05日「ケリング(KERING)」は、11月25日の“女性に対する暴力撤廃の国際デー”に向けて「ホワイトリボン・キャンペーン」を実施している。ホワイトリボンとは、女性に対する暴力を撲滅するために90年代初頭に男性が立ち上げた社会貢献運動。ケリングでは、ケリング基金の役員でもあるステラ・マッカートニーデザインによる「ホワイトリボン・バッジ」を11月29日までの同社傘下の世界38ヶ国、700以上のラグジュアリーブランドショップにて20万個配布している。日本での対象ブランド店舗は「グッチ(GUCCI)」「ボッテガ・ヴェネタ(BOTTEGA VENETA)」「バレンシアガ(BALENCIAGA)」「ステラ・マッカートニー(Stella McCartney)」「 ブリオーニ(Brioni)」「ブシュロン(BOUCHERON)」(ボッテガ・ヴェネタ、バレンシアガ、ブシュロンは一部店舗のみ)。また、現在オンラインでのキャンペーンも29日まで連動して実施。Facebook、Twitter、Instagramなどでデジタルバッジの配信やハッシュタグ「#WR4W」を付けての拡散も呼び掛けている。
2014年11月19日2011年度に発生した鉄道係員(駅係員や乗務員など)への暴力行為の発生状況が4日、発表された。暴力行為は依然として高い件数で推移しており、13日からは日本民営鉄道協会加盟会社やJR5社、東京都交通局など76社局で暴力行為防止ポスターを掲出する。鉄道係員への暴力行為の件数・発生状況について集計を行ったのは、大手私鉄16社とJR東日本、JR東海、JR西日本、東京都交通局、横浜市交通局、名古屋市交通局、大阪市交通局、東京モノレール、北総鉄道、愛知環状鉄道の計26社局。集計の結果、昨年度の暴力行為の発生件数は911件で、2010年度の868件より増加し、1,000件に迫る勢いとなっている。発生状況については、夜10時以降、飲酒をともなった場合に多発する傾向があり、とくに金曜日は161件(他の曜日は120~130件程度)と高い数値を示した。発生場所は改札が最も多く410件、続いてホーム(236件)、車内(116件)、通路(36件)の順に。年齢別では、40代以上による暴力行為が増加しつつあるという。こうした状況を考慮し、鉄道係員への暴力行為は夏期に発生しやすいことから、鉄道事業者76社局が共同でポスターを制作、掲出し、暴力行為の防止を呼びかけることに。今回のポスターのテーマは「STOP暴力」で、シンプルで直接的な言葉を視認性の高いデザインで表現することにより、暴力防止のメッセージをわかりやすく伝え、暴力行為を未然に防ぐことをめざす。「暴力行為防止ポスター『STOP暴力』」は13日より、駅構内に7,000枚、列車内に約4万9,000枚掲出する予定。掲出期間は9月12日までとなっている。【拡大画像を含む完全版はこちら】
2012年07月05日永山絢斗と撲殺。何だか似合わない組み合わせだが、この男が暴力に次ぐ暴力の連鎖の口火を切る。目的はガールフレンドをボコボコにした不良への復讐。しかもターゲットは本人ではなく仇相手の祖母である。「あっという間に人の命を奪えるし、奪われちゃうものなんだなと思った」というのが“一線を越えた”永山さんの感想。決して出演シーンは多くないが、映画『ハードロマンチッカー』で永山さんは確実にこれまでとは違った新たな一面をさらけ出している。退廃の香りが漂う町で、暴力の果てに永山さんは何を見たのか?永山さん演じる辰による殺害シーンで幕を開ける本作。この事件が松田翔太演じる主人公・グーを始め、チョー高(朝鮮高校)の不良や暴走族、ヤクザや警察を巻き込んだ大騒動の引き金となる。だが当の辰は警察にしょっ引かれてもケロリとした様子。決して開き直っているわけではない。人ひとり殺したということの重大性を全く分かってないのだ。この一連のシーンにどのように臨んだのか?永山さんの“供述”を聞いてみよう。「そういうヤツっているじゃないですか?何となく(周りと)繋がっていて、そこでギリギリの生活を送っているヤツ。監督からは『辰は何も考えないで時間だけがどんどん過ぎて、気づいたらこうなってた男。自分が何をやっていたのかも全然分かってない』と言われました。警官に見つかったときに『ヤバッ』って言うんですが、最初にやってみたら監督が『そんな真面目にならないで軽い感じで』って。やることはやってるけど(笑)、どこかポップなんですよね。復讐のために緊張感持って忍び込んだけど、フッと緊張が切れた瞬間に相手に掴み掛られて、慌てて叩き落す、そして無我夢中で殴ってしまう。電気が点いたら我に返って『あれっ?』って感じで…。正直、(役柄と同じ)そのままの気持ちでそこにいられましたね。次どうしなきゃって考えずに自然にできました」。NHKの連続テレビ小説「おひさま」で井上真央演じる主人公の次兄を好演した永山さんだが、本作の撮影は「おひさま」出演の合間を縫って行われた。しかも、悪友の“共犯者”マサル役の柄本時生は「おひさま」でも共演した仲である。「『おひさま』の最中にこの作品に出られたというのは自分でもすごく楽しかったです。NHKで時生とも『明日から(映画の撮影)よろしくね』とか話してて、同じ便で向こうに行って残虐な暴力シーンを撮影して帰る…なんか変な感じでしたね(笑)」。実は、松田翔太とは「この仕事する以前から仲良くしてもらっている」という仲。『ライアーゲームザ・ファイナルステージ』に続いての“兄貴分”との共演は?「普段よく一緒に遊んだりしてる分、なおさら現場入ったときの緊張感、翔太くんの本番までの持っていき方とかは勉強になりました。正直、恐ろしくて視界に入れられなかったです(笑)。(視界に)入ってるけど見られないというレベルを超えてて…ワンシーンしか絡むシーンがなかったけど『すごいな』と。男でも好きになる、人としてすごいです」。「煮えきらないで暴力に走る10代の感じは、誰もが持っているものだと思う」と永山さん。クールな印象とは裏腹に、スクリーンの中を疾走する男たちの魂への共感を語る。「台本を読んだときからこの男クサさやギラギラ感をそのまま映画にしたらすごいことになるなと感じていました。男がヤワいって言われるいまの時代に、なかなかパンチのある男っぽい作品ができたなと。やっぱり男には男らしくいてほしい…まぁ、この男たちが男らしいかって言うとまた別ですが(苦笑)。男らしさ?うーん、何でしょう…。それが分かればおれも少しは男らしくなれるんでしょうけどね(笑)」。映画デビュー作『フレフレ少女』、初主演作『ソフトボーイ』など爽やかな好青年のイメージが強い。昨年公開された『悪人』では、どちらかと言うと観客の目線に近い位置、悪意を外側に立って眺めていた。今回、暴力の渦の中心に入り、改めて「命の“脆さ”“危うさ”を感じた」とふり返る。役柄を通じて自らに生じた内面の変化についても言及する。「映画をやると、やっぱりそこに引っ張られるところはありますね。毎回、役が自分に少しずつ足されて、積み重なっていく感じです。元の自分がどうだったかというのをあまり考えず、それが楽しいですね」。デビューから4年。こうしたインタビュー取材について「いまだに全然、慣れないです」と苦笑を浮かべつつ、今回の映画、そしてNHKの朝ドラを経て、この先の俳優としての自身の在り方についてこんな言葉も…。「今回、同世代の共演者も多かったんですが、俳優という仕事は『本番!』という声がかかれば芸歴とか関係ない世界。どんどん上の世代の人たちの背中を蹴っていきたいというか、『ちくしょう』と思わせるような芝居を見せていけたらいいなと思います」。内に秘めた熱い思いを垣間見せる22歳。「暴力」ではなく「表現力」を武器に歩み続ける。(photo/text:Naoki Kurozu)Hairmake:MiwakoTohyama(THYMON)/Stylist:Kikuchi Yohnosuke■関連作品:ハードロマンチッカー 2011年11月26日より全国にて公開© 2011「ハードロマンチッカー」製作委員会■関連記事:喧嘩で生きていく男たちの物語『ハードロマンチッカー』試写会に10組20名様をご招待【TIFFレポート】松田翔太、主演作上映前に「良くなかったら出てっていいです」金髪&傷だらけの松田翔太!『ハードロマンチッカー』衝撃的ポスターが到着
2011年11月22日