4月18日に公開されるアニメーション映画『クレヨンしんちゃん オラの引越し物語~サボテン大襲撃~』の公開アフレコが18日、都内で行われ、ゲスト出演するアイドルグループ・HKT48の指原莉乃、お笑いコンビ・日本エレキテル連合が出席した。『クレヨンしんちゃん』の映画シリーズ23作目となる本作の舞台は、父・ひろしの転勤で、春日部を離れることになった野原一家の引っ越し先・メキシコ。女性がみんなボン・キュッ・ボボ~ンと聞いて喜んで旅立つしんのすけだが、そこには動くサボテンが待ち受けており、一家が動くサボテンの大襲撃に立ち向かう姿が描かれる。指原演じるスマホは、野原一家が引っ越した先のご近所さんの少女。メキシコ人という設定を斬新に感じたという指原は、どうにも14歳の少女になりきることができず、かなり監督から注意されたという。そのため「100回くらい『14歳の役です!』と言われ、14歳という言葉をもう聞きたくないです」と苦笑いで、演技についても「メキシコ人と14歳という設定を抜きにして見てもらえれば大丈夫です……」と少々不安の残る自己評価。そんな指原だったが、この日の公開アフレコでは2つのシーンに挑戦し、どちらも1発OK。控えめな自己評価とは違い、しっかりと役を演じきっていた。日本エレキテル連合の中野聡子と橋本小雪は、昨年流行語大賞を受賞したネタ「おしゃべりワイフシリーズ未亡人朱美ちゃん3号」のキャラクター、小平市の細貝さん(中野)と白塗りの人形・朱美ちゃん(橋本)の役そのままで劇中に登場。『クレヨンしんちゃん』が大好きだったという二人は、映画出演を大いに喜びつつ、指原の苦戦に「私達なんて30代なのに70代をやってんだから大丈夫よ」と人生の先輩としてアドバイス。演技の出来栄えは「これまでの劇場版に出演した小島よしおや長州小力とは違うのよ」と違いを強調し、中野がしんのすけの真似を披露するサプライズも飛び出した。今回は、当たりネタの細貝さんと朱美ちゃんとして出演した日本エレキテル連合の二人だが「今後は、場末のしがないスナックの客と訳ありママとかやりたい。私達は、たくさんネタを持っているので、ナースからニジマスまで、なんでも演じてみせます」と意欲を見せた。『映画 クレヨンしんちゃん オラの引っ越し物語サボテン大襲撃』は、4月18日より全国公開。
2015年03月18日第1回では、国際宇宙ステーションの成り立ちと、ロシアが2024年に国際宇宙ステーションの運用から抜けること、そしてその後、3基のロシア側モジュールを引き連れて、ロシア独自の宇宙ステーションを建造することといった内容の方針を発表したことを紹介した。今回は、その3基のロシア側モジュールを基に建造される「ロシアの宇宙ステーション」が、いったいどのようなものなのかについて紹介したい。○ISSから分離される3基のモジュールロシア連邦宇宙庁が2015年2月24日に発表した文書の中で、国際宇宙ステーションから分離すると記されているのは、「多目的実験モジュール」(MLM、愛称「ナウーカ」)、「ウズラヴォーイ・モジュール」(UM)、そして「科学・電力モジュール」(NEM)の3基だ。ナウーカ・モジュールは、軌道上で科学実験を行うことを目的としたモジュールとして開発されている。ナウーカとは「科学」という意味だ。これまでに打ち上げられたロシア側モジュールのザリャー、ズヴィズダーは、宇宙飛行士の居住区や倉庫などの用途で使われているため、ナウーカは初の科学実験を目的としたロシア側モジュールとなる。打ち上げにプロトーンMロケットが使われる。ウズラヴォーイ・モジュールは、球体に6か所のドッキング・ポートを持った形をしている。少し詳しい人なら、昔「ミール」宇宙ステーションの中心にあった、ドッキング部分を思い出すかもしれない。ウズラヴォーイ・モジュールもまさにミールと同じように、この6か所のドッキング・ポートにモジュールを結合させ、巨大なステーションを建造することが考えられている。もちろんソユース宇宙船やプログレス補給船のドッキングも可能だ。ウズラヴォーイとは「結節点」や「中心点」といった意味で、まさに各モジュールをつなぐ節として機能する。打ち上げの際は、プログレス補給船の先端にある軌道モジュール部と取り替えるような形で搭載され、ソユース2ロケットで打ち上げられる。科学・電力モジュールは、実験区画と巨大な太陽電池を持つモジュールで、ロシア側モジュールに対して電力を供給し、また独立後も発電所として機能する。以前は「科学・電力プラットフォーム」と呼ばれており、規模も今よりもう少し大きなものであったが、計画は中止され、部品の一部はラスヴェート・モジュールへ流用されている。その後計画が見直され、規模を縮小した科学・電力モジュールの開発が始まった。打ち上げにはプロトーンMか、アンガラー・ロケットが用いられる予定だ。この3基のモジュールはまだ打ち上げられておらず、地上で開発中、もしくは保管中の状態にある。計画では、まずナウーカを打ち上げ、ズヴィズダー・モジュールの地球側のドッキング・ポートに結合する。そして後ろからウズラヴォーイを結合し、それを介する形で科学・電力モジュールを結合する。ウズラヴォーイはすでに完成しているとされるが、こうした組み立て方であることから、まずナウーカが先に打ち上げられないことには何もできない状況にある。しかしナウーカは製造が遅れており、打ち上げは早くても2017年以降になるといわれている。したがってウズラヴォーイや科学・電力モジュールはさらにその後ということになる。ただ、ロシアにとって都合の良いことに、もし予定通りに2017年に打ち上げられたとしても、2024年時点で7年しか宇宙で使われていないことになり、また打ち上げが遅れれば遅れるほど、その時間はより短くなる。ナウーカの設計寿命は15年ほどとされているため、ロシアにとっては寿命が十分に残った状態のモジュールを、自身の宇宙ステーションに使えることになる。○国際"じゃない"宇宙ステーションナウーカ、ウズラヴォーイ、科学・電力モジュールを引き連れて独立したロシアの宇宙ステーションは、それだけは少し貧相だが、徐々に新しいモジュールが結合され、かつてのミールに匹敵するほどの宇宙ステーションが造られる予定だ。まだその具体的な姿かたちは明らかにされていないが、ソヴィエト・ロシアの宇宙開発に詳しいWebサイト「RussianSpaceWeb」によれば、「オーカT-2」、「トランスフォーマブル・モジュール」、「モジュール・シップヤード」という3基が結合される可能性があるという。オーカT-2は、ソユース2.1bロケットで打ち上げられる比較的小型のモジュールで、主に実験場として使用されるという。かつてはオーカ2-MKSと呼ばれており、国際宇宙ステーションへ結合するために造られていたが、計画変更により中止されている。トランスフォーマブル・モジュールは空気で膨らむモジュールで、主に居住区として使用されるようだ。モジュール・シップヤードは、宇宙飛行士が船外活動する際の出入り口(エアロック)が装備されている他、宇宙飛行士を乗せた宇宙船や補給物資を積んだ補給船のドッキング・ポートとしての機能も持つという。実際にどうなるかはまだ不明だが、ウズラヴォーイのドッキング・ポートは6か所あるから、もう1つモジュールが増えることもあるだろう。ロシアはこの新しいステーションを使い、有人月探査を始めとする将来の有人深宇宙探査に向けた足がかりとして、宇宙飛行士の長期滞在実験や、深宇宙探査から帰ってきた宇宙飛行士のリハビリ施設として使うことを目指しているという。○高緯度宇宙ステーションとヴァストーチュヌィ宇宙基地このロシアの宇宙ステーションは、国際宇宙ステーションよりも軌道傾斜角(赤道上からの傾き度合い)が大きくなるといわれている。国際宇宙ステーションの軌道傾斜角は51.6度だが、このロシアのステーションのそれは64.85度になり、また高度も高くなるという。その理由について、ロスコスモスのオレーク・オスターペンコ前長官は「ロシアの上空を通過する頻度が増え、地表が観測しやすくなる」と語ったりしていたが、それは事実ではあっても、おそらく最大の理由ではないだろう。ロシア上空を通過する頻度が増えることで交信可能な時間も増え、また軌道傾斜角が大きいことで宇宙船や補給船の打ち上げがしやすくなるという、どちらかといえばロシアが単独で宇宙ステーションを運用する際の、運用上の必然からもたらされたものであると考えられる。軌道傾斜角が大きいことで宇宙船や補給船の打ち上げがしやすくなる、という点については少し説明が必要かもしれない。現在ロシアは、国際宇宙ステーションへのモジュールや宇宙飛行士、補給物資の打ち上げ場所として、バイコヌール宇宙基地を使っている。バイコヌールはカザフスタン共和国内にあるため、ロシア政府は料金を払って使用している状態にある。ちなみにロシアは、ロシア北東部にプレセーツク宇宙基地を持っているが、ここは地球を南北に回る極軌道への打ち上げに特化した基地であり、国際宇宙ステーションへの打ち上げには使われていない。一方で、ロシアは極東部に「ヴァストーチュヌィ」という新しい宇宙基地を建設している。ヴァストーチュヌィはバイコヌールに取って代わる宇宙基地に位置づけられており、ここが完成すれば、カザフスタンに気兼ねなく、新しいモジュールや宇宙船、補給船を打ち上げられるようになる。しかし、このヴァストーチュヌィ宇宙基地は立地上、国際宇宙ステーションの軌道傾斜角である51.6度の軌道への、有人宇宙船の打ち上げには適していない。というのも、東側には太平洋が広がっているため、万が一ロケットが飛行中に問題を起こして宇宙船を緊急脱出させた場合、宇宙船は太平洋上に着水する羽目になるからだ。ソユース宇宙船は基本的に着水するようには造られておらず(まったくできないというわけではない)、救助用の船なども新たに用意しなければならない。一方、軌道傾斜角64.85度へ向けた打ち上げであれば、ロケットはシベリア北部のツンドラ地帯を突っ切ることになり、ロケットから脱出した宇宙船は陸上に降りられることになるため、捜索や回収が比較的簡単になる。(次回は3月17日に掲載予定です)
2015年03月13日「国際宇宙ステーション」――それは、地球の地表から高度400kmを、秒速7.7kmで飛ぶ、サッカー場ほどもある巨大な建造物である。建設や運用には米国をはじめ、ロシア、カナダ、欧州、そして日本など、世界16か国が参加する一大国際協力プロジェクトでもある。これまでに述べ216人もの宇宙飛行士が訪れ、人類の有人宇宙開発の前哨基地として日夜実験や研究が続けられている。しかし、始め有るものは必ず終わり有り、国際宇宙ステーションもいつかは運用を終えなければならないときがくる。しかし、いつ終わらせるのか、そしてその後の各国の有人宇宙計画はどうなるのかは、まだはっきりとは決まっていない。その中で、ロシア連邦宇宙庁(ロスコスモス)は2015年2月24日、国際宇宙ステーションより先の有人宇宙計画について、いち早く具体的な計画を打ち出した。それは2024年で国際宇宙ステーションから離脱し、ロシア単独で新しい宇宙ステーションを造るというものだ。○国際宇宙ステーションとは国際宇宙ステーションは1998年、最初のモジュール「ザリャー」の打ち上げから建設が始まった。モジュールというのは、宇宙ステーションを構成する部品のことだ。巨大なステーションを一度に打ち上げることはできないので、部品単位で次々に打ち上げて、それらを宇宙でくっ付けて組み立てるという方法が採られている。国際宇宙ステーション計画はもともと、1984年に米国のレイガン大統領によって提唱された「フリーダム」という宇宙ステーションが発端となっている。フリーダムは米国を中心に、日本や欧州諸国、カナダなどが建設に参加する計画で、当時世界は東西冷戦下にあったため、フリーダムによって、西側諸国の結束の強さをソヴィエト連邦に示威する意味合いがあった。フリーダムといういかにもな名前も、レイガン大統領自らが付けたものだ。当初の予定では、1492年のコロンブスによるアメリカ大陸発見から500年目にあたる、1992年には完成しているはずだった。しかし複雑な設計や、予算削減による資金難によって開発は遅れ、何より冷戦の終結によって、フリーダムはいつまで経っても宇宙へ打ち上げられることはなく、存在意義も失われつつあり、1991年には米議会によって計画が中止寸前にまで追い込まれる有様だった。1993年、NASAはフリーダムの規模を小さくした「アルファ」という宇宙ステーションへの計画変更を発表する。一方、1991年に誕生したロシアは、ソ連時代に打ち上げられた「ミール」という宇宙ステーションを引き続き運用しており、また新しく「ミール2」を建造する計画を持っていたが、資金難により計画はほとんど進んでいなかった。そこでNASAはロシアと手を結び、アルファとミール2を合体させる形で、新しい宇宙ステーションを造ることを決定する。それが今の国際宇宙ステーションとなった。そして、もともとミール2のモジュールとして開発されていたザリャーの打ち上げを皮切りに、ユニティ(米、1998年)、ズヴィスダー(露、2000年)、ディスティニー(米、2001年)、クエスト(米、2001年)、ピールス(露、2001年)、ハーモニー(米、2007年)、コロンバス(欧、2008年)、「きぼう」(日、2008-2009年)、ポーイスク(露、2009年)、キューポラ(米、2010年)、トランクウィリティ(米、2010年)、ラスヴェート(露、2010年)、恒久型多目的モジュール(米、2011年)といったモジュールが打ち上げられ、ステーションに結合されていった。またこれと並行し、ステーションの横に伸びるトラス構造物や、そこから広がる太陽電池パドルなどが2000年から2009年にかけて打ち上げられ、さらにカナダ製のロボットアームや、ステーションの外に設置する実験機器なども打ち上げられ、組み立てられていった。国際宇宙ステーションはひとまず、2011年7月をもって「完成」ということになっているが、今後も3基のロシア側のモジュールが打ち上げられる予定であり、また米国のビグロゥ・エアロスペース社が開発する、空気で膨らむ形式のモジュール(インフレータブル・モジュールという)も打ち上げが計画されており、本当の意味ではまだ未完成だ。○ロシアが打ち出した方針ロスコスモスが2月24日に発表した方針は、同庁内で開催された、今後の有人宇宙計画について話し合う会議の中でまとめられたものだ。座長はロスコスモスの前身にあたるロシア航空宇宙庁(ロスアヴィアコスモス)の長官を務めていたこともあるユーリィ・コープチェフ氏である。今後この方針は、産業界のトップも交えた会議の中で、最終的に決定されるという。ロスコスモスが発表した方針は、大きく3つの項目から構成されている。国際宇宙ステーション計画には2024年まで参加する。2024年時点でロシアが保有する国際宇宙ステーションのモジュールのうち、3基を切り離し、それらを基にロシア独自の宇宙ステーションを建造する月探査にも力を入れ、無人探査を行った後、2030年代中に人間を送り込む現在、参加各国の間では、国際宇宙ステーションは2020年まで運用されること決定がなされている。2014年に米国が、ステーションの運用を2024年、あるいは2028年まで延長したいという方針を打ち出したが、まだ計画に参加しているすべての国からの了解は得られていない。例えば日本は現在態度を保留しており、2016年度に決定するとしている。その中で、国際宇宙ステーションに多くのモジュールを提供し、宇宙飛行士や物資の輸送でも主力となっているロシアが、いち早く「わが国は2024年に手を引く」と表明したことは、米国による国際宇宙ステーションの2024年までの延長案をロシアが受け入れたということと同時に、ロシアが抜けることで2024年以降の国際宇宙ステーションの運用に大きな改革が必要になること、あるいは運用を終了せざるを得なくなる可能性もあることを示している。実は、ロシアではかねてより、国際宇宙ステーションから撤退し、独自の宇宙ステーションを持つことを検討し続けていた。また2014年には、ドミートリィ・ロゴージン副首相が、ウクライナ問題を巡る米露の対立を背景に「2020年以降は国際宇宙ステーションに参加しない」と発言したこともあった。一部のメディアで「ロシアが米国に妥協して2024年まで付き合うことを決定した」という論調があったのも、そうした事情があったためだ。この「妥協」という見方は、ある意味では正しい。現在のロシアの宇宙開発は、以前ほどではないにせよ資金不足の状態が続いており、軍事衛星から民間向けの通信衛星に至るまで、開発や打ち上げ時期が軒並み遅れている。また、ロケットの打ち上げ失敗や衛星の故障も増えており、現在信頼性の回復に向けた努力が続けられている最中にある。ロシアにとっては、国際宇宙ステーションに2024年まで参加し続けることで、なるべく投資を抑えつつ、また見方によっては他国がその一部を負担する形で、自力で有人宇宙活動ができるぐらいにまで資金力や技術力を回復させたいという狙いがあるのだろう。ところ、実はロシアは、2001年ごろから独自の宇宙ステーションを持つ構想を持っていた。近年ではOPSEKという名称で研究も進められていた。今回の方針の下敷きには、今までの検討や研究の蓄積があるのだろう。ちなみに、2001年にロシア独自の宇宙ステーションを持つべきと主張していた人物こそ、この会議の座長を務めたユーリィ・コープチェフ氏であった。
2015年03月13日『宇宙戦艦ヤマト2199』と『宇宙戦艦ヤマト2199 星巡る方舟』の軌跡を音楽で綴るシンフォニーコンサート「宮川彬良 Presents『宇宙戦艦ヤマト2199』コンサート2015」が2月28日~3月1日にかけて、千葉県・舞浜アンフィシアターにて行われた。2012年に劇場でのイベント上映からスタートした『宇宙戦艦ヤマト2199』シリーズの音楽を、オリジナル・アレンジ・新曲の3つのアプローチから新たなる"ヤマトサウンド"を構築した宮川彬良氏。今回のコンサートでは、ヤマトの航海を音楽で追体験することをコンセプトに、第1部『追憶の航海』と第2部『星巡る方舟』の2部構成で楽曲をセレクトし、ミュージシャン60名が劇判と同じ編成で生演奏を行うという特別なコンサートとなった。第1部のオープニングを飾ったのは、弦と管楽器による落ち着いた曲調の「銀河航路BG」、2曲目は美しいスキャットで知られるYucca氏が登場する「無限に広がる大宇宙」。そして「夕日に眠るヤマト」「地球を飛び立つヤマト」と続き、ヤマトの航海が始まるシーンを再現した。中盤では、約40名の混声合唱団によるガミラス国家「永遠に讃えよ我が光」、ドメルとの死闘を中心にした「コスモタイガー(Wan・Dah・Bah)」「ヤマト前進」「ヤマト渦中へ」も演奏され、観客たちの気持ちを否応なしに盛り上げていく。そしてラストには、デスラーとスターシャの心情を描くシーンで使用された「孤高のデスラー」「虚空の邂逅」が演奏され、ヤマトは無事イスカンダルに到着し、第1部は幕を閉じた。休憩を挟み、第2部は第一バイオリンのソロが美しい「宇宙戦艦ヤマト2199 メインテーマ」からスタート。しかし、ティンパニの迫力が迫る楽曲「蛮族襲来」で空気は一変。その後「ジレルの囁き」では橋本一子氏が登場し、『星巡る方舟』のストーリーやシーンを思い出させる楽曲が続いていく。第2部の終盤では「大決戦-ヤマト・ガミラス・ガトランティス-」「方舟は星の海へと還る」「わかれ」「わかれ-出航-」と、『星巡る方舟』の劇中で使用された曲順と同じ流れで演奏が行われた。最後に、混声合唱団にYucca氏と橋本一子氏が加わった「Great Harmony ~for yamato2199」が斉唱され、ステージに設置されたスクリーンに"大志"のフレーズと地球の姿も。そして、地球が青く変わっていく姿が投影され、コンサートは盛況のうちに幕を閉じた。なお、このコンサートの模様を収録したBlu-ray Audio&CD『宮川彬良 Presents 宇宙戦艦ヤマト2199 Concert 2015』が、6月10日に日本コロンビアから発売されることも決定。価格は、Blu-ray Audioが5,184円、CD(2枚組)が4,104円。(C)西﨑義展/2014 宇宙戦艦ヤマト2199 製作委員会
2015年03月04日映画『クレヨンしんちゃん』シリーズの傑作を集めたオールナイト上映会が、3月28日に東京・池袋の新文芸坐で開催され、野原ひろし役の藤原啓治と原恵一監督が出演することが明らかになった。新文芸坐では、定期的にアニメ雑誌『アニメスタイル』との共同企画でアニメ作品をセレクトしたオールナイト上映会を開催。上映前にはクリエイターや出演者によるトークイベントも実施され、合わせて見どころとなっている。3月28日のオールナイト上映は、映画『クレヨンしんちゃん』の傑作選で、主人公の野原しんのすけの父親である野原ひろしにスポットをあてたプログラム。上映作品は、野原一家の活躍を描いた娯楽大作の第5作『クレヨンしんちゃん 暗黒タマタマ大追跡』(1997年公開)、名作として高く評価されている第9作『クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶモーレツ!オトナ帝国の逆襲』(2001年公開)、昨年公開の最新作でひろしがロボットになってしまう第22作『クレヨンしんちゃん ガチンコ!逆襲のロボとーちゃん』(2014年公開)の3本。さらに歴代映画『クレヨンしんちゃん』の予告編大会も予定されている。トークの出演者は、野原ひろし役の藤原啓治と、上映作品の「暗黒タマタマ大追跡」「オトナ帝国の逆襲」を手がけ、新作アニメ映画『百日紅』の公開を控えた原恵一監督。トークは藤原がメインとなり、原監督が藤原啓治に質問をする形で進んでいくという。上映会の前売り券は3月4日よりチケットぴあ、新文芸坐窓口で発売開始。(C)臼井儀人/双葉社・シンエイ・テレビ朝日・ADK 2014
2015年03月03日●17年越しで打ち上げられたDSCOVR米国のスペースX社は2月10日、地球・宇宙天気観測衛星「DSCOVR」を搭載した、「ファルコン9」ロケットの打ち上げに成功した。この打ち上げは2つの点で大きな注目を集めた。ひとつは、DSCOVRがかつてアル・ゴア元米副大統領の肝いりで開発が始まったものの、打ち上げ中止などの紆余曲折の末に、実に17年越しで打ち上げられた衛星であったこと。そしてもうひとつは、ファルコン9の第1段機体が海上への着水に成功したことだ。○17年越しで打ち上げられた「ゴアサット」DSCOVRは米航空宇宙局(NASA)と米海洋大気庁(NOAA)が開発した衛星で、太陽から放出される荷電粒子や、磁気嵐の状況といった「宇宙天気」を観測すること、また地球の昼側(太陽光が当たる側)を常時観測することを目的としている。DSCOVRは「Deep Space Climate Observatory」の略で、直訳すると「深宇宙の気象観測所」といった意味になる。またDSCOVRという略語は、「発見する」という意味の「Discover」に掛けられている。打ち上げ時の質量は570kgで、設計寿命は約2年が予定されている。軌道は、太陽・地球系のラグランジュ第1点と呼ばれる場所に投入される。下図にあるように、この場所は常に太陽と地球の間に存在しているので、太陽と地球の間の環境や、お互いがお互いに与える作用を観測したり、また地球の昼側を観測し続けるのに適している。DSCOVRには、大きく3種類の観測機器が搭載されている。まず「PlasMag」は、太陽から地球に向かって飛んでくる荷電粒子や電子、そして磁場などを観測する。「NISTAR」は地球のエネルギー収支を観測する。そして「EPIC」は、地球表面からのエネルギーの放射量やエアロゾル、オゾン、雲の動きなどを観測することを目的としている。DSCOVRは実に17年越しに打ち上げられた衛星だ。DSCOVRの開発は、もともと1998年に開発がはじまったトリアーナ(Triana)計画をその源流に持つ。トリアーナという名前は、1492年にコロンブスの艦隊がアメリカ大陸に訪れた際、最初に船から大陸を発見した乗組員の名前にちなんでいる。そしてトリアーナにはもうひとつ、「ザ・ブルー・マーブル」のような青く輝く地球の写真を、ほぼリアルタイムで世界中に配信するというミッションも課せられてた。「ザ・ブルー・マーブル」というのは、1972年にアポロ17の宇宙飛行士たちが撮影した、太陽の光を全面に受けて、宇宙に浮かぶビー玉のように輝く地球の写真のことだ。トリアーナを使い、現代の、そして常に最新のブルー・マーブルの映像を世界中に配信することで、環境問題や世界平和への意識を高めることが期待されていた。これは当時のアル・ゴア米副大統領の肝いりで進められたもので、後の証言によると、トリアーナはそもそも、このゴア副大統領の提案が発端となって計画が立ち上がり、他の科学機器はその後に徐々に付け加えられていったのだという。また、ゴア副大統領は太陽・地球系のラグランジュ第1点の持つ価値や、衛星からの観測で分かることなどについて、深い知識を持っていたという。しかし周囲からの評判は芳しくなく、「高価なスクリーンセーバーに過ぎない」と非難されたり、必要性を強固に訴えるゴア氏の名前を取り「ゴアサット」などと揶揄される始末だった。また、他の機器による科学ミッションについても「すでにある気象観測衛星からのデータで十分」という批判が集まるようになり、すでに衛星はほとんど完成していたにもかかわらず、2001年に計画は中止されることになった。トリアーナはスペースシャトルで打ち上げることが予定されていたが、国際宇宙ステーションの建設や、ハッブル宇宙望遠鏡の修理ミッションの方が優先順位が高かったために中止され、打ち上げ手段がなくなったのだ。ちなみに、打ち上げが中止される直前の時点で、トリアーナは、2003年2月1日に空中分解事故によって悲劇的な結末となった、STS-107コロンビアで打ち上げられることが計画されていた。また、この中止の背景には政治的な事情があったといわれることもある。ゴア氏は2000年の米大統領選挙に民主党候補として出馬し、激しい選挙戦の末、共和党候補のジョージ・W・ブッシュに破れている。トリアーナが中止されたのは、まさにブッシュ政権が誕生したのと同じ2001年のことであり、当時のことについて触れられた記事などでは「ブッシュ大統領はゴアサットを見せしめとして潰したのだ」などと書かれることもある。だが、スペースシャトルの運行予定が詰まっていたことは事実であり、かといって別のロケットで打ち上げるには追加予算が必要になること、さらに衛星の必要性が疑問視されていたことから、たとえゴア氏の息のかかった衛星でなかったとしても、打ち上げは中止されていたと見るのが自然だろう。トリアーナは打ち上げ中止となったが、しかし解体されることにはならなかった。NASAは、ゴダード宇宙飛行センターの窒素が充填された箱の中でトリアーナを保管し、いつか打ち上げの機会が巡ってくるときを待ち続けた。2003年には、トリアーナからDSCOVRへと名称が変更された。そして2009年、トリアーナ改めDSCOVRに、NOAAが救いの手を差し伸べた。当時NOAAは、NASAが打ち上げたACE(Advanced Composition Explorer)という太陽風の観測衛星に観測機器を提供し、宇宙天気の研究や、大規模な太陽嵐が発生する可能性があるときには警報を出すといったミッションを行っていた。しかしACEは1997年に打ち上げられた衛星であり、老朽化が進んでいたことから、NOAAでは後継機を欲していた。そこで目をつけたのが、ほぼ完成した状態で保管されていたDSCOVRだったのだ。NOAAの資金提供によって、約8年ぶりに保管庫から出されたDSCOVRは、まず各機器が正常に動くかが確かめられた。また搭載する観測機器はトリアーナ時代と変わらないが、NOAAの要求に合わせて再調整が行われた。こうしてDSCOVRは、姿かたちこそ変わらないものの、ミッションの主役はNASAからNOAAへ移り、新たに宇宙天気の観測を目的とした衛星として生まれ変わった。また、DSCOVRには米空軍も資金を提供している。これには2つの狙いがあった。まず1つ目は、宇宙天気の情報は米空軍の活動、特に弾道ミサイルの発射などを探知するための早期警戒衛星の運用にとって重要であること。そして2つ目は、新興企業のスペースX社が開発した新型のファルコン9ロケットに、1回でも多くの打ち上げの機会を提供することで、「育てる」という狙いがあった。ロケットに打ち上げ機会を提供するために衛星を新しく造るのはお金がかかるし、かといって単なる重りを打ち上げたり、あるいは空荷で打ち上げるのはもったいない。そこで、ある程度製造が終わっていたDSCOVRに資金提供が行われ、DSCOVRの復活を後押しした。米空軍が提供した分の金額は、ほぼすべて打ち上げ費用に充てられた。こうした紆余曲折を経て、DSCOVRは米東部標準時2015年2月11日18時3分(日本時間2015年2月12日8時3分)、米国フロリダ州にあるケープ・カナヴェラル空軍ステーションのSLC-40から旅立った。ロケットは順調に飛行し、約35分後に予定通りの軌道にDSCOVRを投入した。DSCOVRは現在、太陽・地球系のラグランジュ第1点に向けて飛行を続けている。2月24日にはその道程の半分を通過している。観測が始まれば、宇宙に浮かぶ、青く輝く地球の画像が、毎日のように送られてくる。それはきっと息を呑むほど美しいものに違いない。DSCOVRの打ち上げに立ち会ったゴア氏は、自身のblogの中で次のように語っている。「DSCOVRは、地球に関する私たちの理解を深め、市民や科学者たちに異常気象の現実を教え、その解決策を考えるためのミッションへ旅立った。そしてDSCOVRはまた、この地球の美しさと、そして脆さを映し出し、このたったひとつの地球を守る義務を思い起こさせてくれる、すばらしい機会を与えてもくれるだろう」。●ファルコン9ロケットは着水に成功○ファルコン9の第1段は精度10mで着水今回の打ち上げにおける世間の注目は、どちらかというと積み荷のDSCOVRよりも、それを打ち上げるファルコン9ロケットの第1段機体の回収試験に集まっていた。スペースX社は、ロケットを再使用することで、打ち上げにかかわる費用を大きく引き下げることを目指しており、その最初のステップとして、打ち上げを終えて地球に戻ってきたロケットの第1段機体を、広い甲板を持つ船で回収する、という試験を進めている。同社はこれまで、垂直離着陸実験機による試験飛行や、打ち上げ後に第1段を海上に降ろす着水試験を行い、今年1月10日には船の上に着地する試験に初挑戦した。ロケットは巧みに制御されつつ船の真上まで舞い戻りはしたものの、甲板に激しく衝突するように着地し、残念ながら完璧な成功には至らなかった。その詳細については、拙稿『隼は舞い降りられるか? - 再使用ロケットに賭けるスペースXの野望と挑戦』を参照していただければと思う。今回のDSCOVRの打ち上げでは、1月の試験と同じく、太平洋上に用意した回収船の上にロケットの第1段機体を着地させることを目指していた。しかし、打ち上げ当日に着地予定海域を嵐が襲い、船が出せなくなってしまった。また船自体も、エンジンの1つに問題を抱えていたという。あくまで主目的はDSCOVRを打ち上げることにあったので、回収船が出せないからといって打ち上げが延期されることはなかった。しかし、スペースX社は転んでもただでは起きなかった。船こそないものの、本番さならがらに、海のある一点を目指して着水させることを試みた。その結果、約10mの精度で垂直に安定して降下することに成功したという。同社のイーロン・マスクCEOは「天気が安定していれば、船の上に降り立つことは可能だろう」とTwitterで述べている。もちろん今回がうまくいったからといって、次の試験で成功するとは限らないが、それでも可能性は高くなったと言ってよいだろう。ファルコン9の次の打ち上げは3月1日以降に予定されているが、この打ち上げと、さらにその次の打ち上げでは、ロケットの持つ能力を最大限に使う必要があり、着地に使うための追加の推進剤や着陸脚を積む余裕がなく、回収試験は実施されない見通しだ。次に回収試験が実施されるのは、今年4月に予定されているドラゴン補給船運用6号機の打ち上げの際となる予定なので、今しばらく待たねばならない。なお、同社は1月27日に、「ファルコン・ヘヴィ」ロケットの打ち上げを描いたCGアニメを公開した。ファルコン・ヘヴィは、ファルコン9の第1段を3基束ねて、より重い人工衛星を打ち上げられるようにしたもので、現時点で今年中に初の打ち上げが行われる予定だ。ファルコン・ヘヴィも機体の再使用することが考えられており(再使用しなければもっと重いものを打ち上げることができる)、このアニメでも、3基の第1段機体が打ち上げた場所にきれいに舞い戻ってくるという、にわかには信じられないような光景が描かれている。次の回収試験に向けて、期待は高まるばかりだ。参考・ ・ ・ ・ ・
2015年02月27日4月18日に公開されるアニメーション映画『クレヨンしんちゃん オラの引越し物語~サボテン大襲撃~』のゲスト声優に、アイドルグループ・HKT48の指原莉乃とお笑いコンビ・日本エレキテル連合が出演することが明らかになった。『クレヨンしんちゃん』の映画シリーズ23作目となる本作の舞台は、父・ひろしの転勤で、春日部を離れることになった野原一家の引っ越し先・メキシコ。女性がみんなボン・キュッ・ボボ~ンと聞いて喜んで旅立つしんのすけだが、そこには動くサボテンが待ち受けており、一家が動くサボテンの大襲撃に立ち向かう姿が描かれる。新しい野原家の近所に住むメキシコ人の少女"スマホちゃん"を演じる指原は「小さなころからアニメも漫画も映画もずっと見てきていた"しんちゃん"に出られるなんて最初にお話をいただいた時は信じられない気持ちでした!」と喜びをあらわにし、「今日は本物のしんちゃんにも会えて、芸能界に入って1番感動しました!」と興奮気味。役どころについては「思春期ゆえにクールで無愛想、お年頃で多感な女の子」と説明した上で、「監督にもお年頃な女の子感を出してと言われましたが、ご存じの通りもうお年頃ではないので難しく……。でも、自分なりにがんばりました!」とアフレコを振り返った。そして日本エレキテル連合は、昨年ブレイクを果たしたネタ「おしゃべりワイフシリーズ未亡人朱美ちゃん3号」のキャラクター、小平市の細貝さん(中野聡子)と白塗りの人形・朱美ちゃん(橋本小雪)の役そのままで劇中に登場。中野は「初めて買ったコミックが『クレヨンしんちゃん』だった私は、それでお笑いを学んだほどです。今回のお話をもらった時はとってもうれしかったけれど、長州小力、波田陽区、小島よしお……とこれまでの声優を思い出すと、うすうすくるんじゃねぇかなと思っていました」と明かした。さらに、自分たちのキャラクターを見て中野は「2人の比率なんかも合っていてきちんとよく見て描いてくれていてうれしいよ。アフレコは声がしんちゃんに似ているとよく言われるから、彼の声につられないように気を付けたよ」と細貝さんでコメントすると、橋本も「アニメで足を細く描いてもらえてうれしいの!」と朱美ちゃん調で回答。また、日本エレキテル連合との共演について指原は「旬な方と共演できて、私も共に旬なのかな! と勘違いできてうれしいです!」とした上で「今回のお二人のアニメは本当にそのまんま!! いつかもっと"さっしー"の名が売れたら、ぜひ私も"さっしー"役でアニメに出させてもらいたいです! でも、本人役だったら大した役には描いてもらえないだろうなぁ……」と自虐気味に締めくくった。映画『クレヨンしんちゃん』シリーズは、前作『ガチンコ!逆襲のロボとーちゃん』(2014年)は興行収入18億円を記録。また、第18回文化庁メディア芸術祭ではアニメーション部門優秀賞を獲得している。(C)臼井儀人/双葉社・シンエイ・テレビ朝日・ADK 2015
2015年02月24日2015年2月11日、欧州宇宙機関(ESA)は、再使用型宇宙往還実験機「IXV」の飛行試験に成功した。IXVは「リフティング・ボディ」と呼ばれる、胴体そのものが翼のような役目を果たす形をしており、未来の欧州のロケットや宇宙機の開発にとって重要なデータを集めた。IXVの飛行時間はわずか100分ほどであったが、欧州の宇宙開発の未来にとっても、そしてリフティング・ボディという「翼なき翼」の歴史にとっても、新たな章を刻むものとなった。○翼なき翼、リフティング・ボディ人類は古来より、鳥のように空を飛ぶことを夢見てきた。オットー・リリエンタールやライト兄弟がその夢を叶え、続いてその手が宇宙へと伸ばされたとき、しかし宇宙飛行において翼は必ずしも必要ではないことを知った。けれども、宇宙空間から地上のある一点を狙って着陸することを考えたとき、翼は依然として魅力的であり続けた。スペースシャトルなどが軒並み大きな翼を持っているのはそうした理由がある。だが、打ち上げや宇宙空間を飛行する際には、翼は役に立たず、単なる重荷でしかない。また宇宙船が大気圏に再突入する際、その速度は極超音速の、とてつもないものになるが、そのとき翼は大きな抵抗となり、また高熱からその翼をどうやって防護するかは難しい問題であった。さらに胴体から大きく張り出した翼は、構造的に弱点でもあった。そこで、翼がなくとも飛行を制御することができるよう、胴体そのものが揚力を生み出すような形をした機体が考えられた。それが「リフティング・ボディ」である。フティング・ボディは1950年代の米国で本格的に研究がはじまり、またソヴィエト連邦や欧州、日本でも研究が行われた。その過程でいくつかの実験機による飛行実験が行われたものの、すべて大気圏内の飛行であったり、あるいは宇宙空間には出たものの、軌道速度と比べ非常に遅い速度であったりと、純粋に「翼のないリフティング・ボディ機が宇宙を飛び、地球に帰還する」ことが実証されたのは、今回のIXVが世界で初めてのことであった。○IXVIXVが開発された背景には、ESAが2003年に立ち上げた「将来打ち上げ機準備計画」(FLPP:Future Launchers Preparatory Programme)というプログラムがある。これは将来のロケットにとって必要となる技術や要素を開発することを目的としたもので、例えば機体の信頼性の向上や製造や運用の簡略化、環境への影響の低減といった技術目標が立てられており、その中に「Reusability」、つまり再使用化も盛り込まれている。IXVという名前はIntermediate Experimental Vehicleの頭文字から取られているが、Intermediate(中間)という言葉が入っているのは、この将来の欧州のロケット開発に向けた長期的なロードマップの中の「中間的」な要素に、IXVが位置付けられているためだ。ESAやフランス国立宇宙科学センター(CNES)、ドイツ航空宇宙センター(DLR)では、2005年ごろからリフティング・ボディの実験機「PRE-X」や、再突入実験機の「AREV」、「EXPERT」の研究が行われており、IXVの開発にあたってはこれらの成果が受け継がれている。なおEXPERTは、実際にロケットに搭載して飛行試験が行われる予定だったが、打ち上げのために確保していたロシア製ロケットの都合で打ち上げが無期延期となっている。IXVはタレース・アレーニア・スペース社によって開発と製造が行われた。全長5.0m、全高1.5m、全幅2.2m、打ち上げ時の質量は1,845kgほどで、前述したように翼はなく、革靴のような姿かたちをしている。大気圏内での飛行制御には、胴体後部に装備された、足ひれのような2枚の板状の翼を使う。機体の姿勢制御はもちろん、飛行方向を左右に、距離にして400kmほど変えることもできるという。今回の飛行試験に先立ち、2012年には米国アリゾナ州のユマ実験場において、高度5,700mの高さからIXVの試験機を空中投下し、パラシュートを展開させる試験が実施された。また2013年には、地中海の上空3,000mから試験機を投下し着水させる試験も行われている。IXVは「ヴェガ」ロケットの先端部分に搭載され、現地時間2015年2月11日10時40分(日本時間2015年2月11日22時40分)、南米仏領ギアナにあるギアナ宇宙センターのヴェガ射場(SLV)から離昇した。当初、打ち上げは10時ちょうど(日本時間22時ちょうど)に予定されていたが、ロケットと地上設備との間のテレメトリーの接続が切れるという問題が発生したため、40分間延期されることになった。打ち上げ後、ロケットは順調に飛行し、17分59秒後に高度340kmの地点でIXVを分離した。IXVはそのまま慣性で上昇を続け、高度412kmまで到達した。そしてそこから下降をはじめ、やがて大気圏に再突入した。機体は高度120km付近で秒速7.5kmに達し、最大で摂氏1,700度もの高熱にさらされながら、大気を突っ切っていった。IXVのミッションは、地球周回軌道に乗ることを意図していなかったが、高度120km付近で秒速7.5kmというのは、宇宙船が地球周回軌道から離脱し、大気圏に再突入する際とほぼ同じ条件である。灼熱の環境を抜けたIXVは、大気圏内を滑るように飛行し、やがて速度がマッハ1.5にまで落ちたところで、最初のパラシュートが展開し、続いて2つ目のパラシュートも展開した。そして高度約26kmのところで主パラシュートが展開し、IXVは回収船の待つ海上へと降りていった。打ち上げから約100分後の日本時間2月12日0時19分ごろ、IXVはガラパゴス諸島のすぐ西の太平洋上に着水し、海上で待機していた回収船「Nos Aries」によって回収された。機体の状態は正常で、機体の各所には取り付けられていた、計300個を超えるセンサからのデータも予定通り得られ、ミッションは完璧な成功であったという。このあとIXVはESAの施設へと送られ、約6週間をかけて、初期分析が行われることになっている。ESAのJean-Jacques Dordain長官は「IXVは再突入と再使用の能力において、ESAのために新たな章を拓きました」と語った。(次回は2月24日に掲載予定です)参考・・・・・
2015年02月23日アメリカ航空宇宙局(NASA)はこのほど、今年に実施される第45次国際宇宙ステーション(ISS)長期滞在ミッションのポスターを公開した。ポスターは、映画『スターウォーズ』をモチーフに、日本人の油井亀美也宇宙飛行士を含む6人の宇宙飛行士が「ジェダイの騎士」に扮している。第45次ISS長期滞在クルーは、第43次長期滞在からクルーを務めるスコット・ケリー宇宙飛行士とミカエル・コニエンコ宇宙飛行士、第44次長期滞在からクルーを務めるオレッグ・コノネンコ宇宙飛行士、油井宇宙飛行士、チェル・リングリン宇宙飛行士、第45次長期滞在からクルーを務めるセルゲイ・ヴォルコフ宇宙飛行士の計6名。油井宇宙飛行士らが搭乗する「ソユーズTMA-17M宇宙船」は2015年5月に、ヴォルコフ宇宙飛行士が搭乗する「ソユーズTMA-18M宇宙船」は同年10月に打ち上げられる予定。10月の打ち上げ時には歌手のサラ・ブライトマンも旅行者として参加し、短期で滞在する予定となっている。NASAは宇宙飛行に対する認知度を高めるため活動の一環として、ISS長期滞在クルーをポスターという形で紹介している。そのポスターは、映画をモチーフにしたものが多く、これまで『マトリックス』『スター・トレック』『パイレーツ・オブ・カリビアン』を模したポスターが公開されている。
2015年02月13日アメリカ航空宇宙局(NASA)は2月10日(現地時間)、ハッブル宇宙望遠鏡が撮影した、宇宙空間に浮かんだ笑顔のように見える銀河団の写真を公開した。輪郭、2つの目、ボタンのような鼻、口元でかたどられたものは「SDSS J1038+4849」と呼ばれる銀河団。目のように見えるオレンジの光は「SDSSCGB 8842.3」「SDSSCGB 8842.4」という遠く離れた場所にある2つの銀河で、口元は、強い重力によって光が曲がる「重力レンズ」によるものだという。顔の輪郭のような曲線は、重量レンズのリング状の像である「アインシュタイン・リング」と呼ばれるものとのことだ。この写真は2012年4月にアップロードされたもので、今回、ハッブル望遠鏡が撮影した膨大な写真から「お宝画像」を見つけ出すコンテストで見つかったもの。
2015年02月12日劇作家・脚本家として人気を誇る三谷幸喜監督の最新作が、主演に香取慎吾(SMAP)、ヒロインに綾瀬はるかを迎えて製作されることが決定!登場人物は全員宇宙人ーー三谷映画史上初の“宇宙”が舞台となる本作の名は『ギャラクシー街道』だ。時は西暦2265年、木星のそばに浮かぶスペースコロニー(宇宙空間に作られた人工居住区)「うず潮」。そこと地球を結ぶスペース幹線道路を、人は“ギャラクシー街道”と呼んだ。かつては、交通量も多く、沿道にもたくさんの飲食店が並んでいたが、開通して150年。老朽化が著しく、そろそろ廃止の噂も聞こえ始めた…そんな街道の脇に佇む、小さな飲食店を舞台に、そこで働く人々と客たちが織りなす、宇宙人模様を描き出す。本作に登場するのは、スペース警備隊、スペースヒーロー、スペース客引き、スペース娼婦、スペース獣医、スペース役人、スペースシンガーに、スペースパートタイムのおばさん…そう全員、宇宙人である。そんな奇想天外な物語で、主人公の宇宙人・ノア役を演じることとなったのは香取さん。三谷作品には、『みんなのいえ』『THE 有頂天ホテル』『ザ・マジックアワー』に出演してきたが、三谷監督は「主演の香取さんは、信頼する俳優さんの一人です。彼にはまだまだ隠れた引き出しが沢山あると思っています。今まで彼が演じてきた役柄ではなく、今回はあくまで等身大の人間を演じてもらうつもり。香取さん主演の舞台『オーシャンズ11』を観て、香取さんとジョージ・クルーニーには共通するところがあると感じたので、今回の役柄はジョージもちょっと入っています」とそのキャラクターは全く予想がつかない。そしてノアの妻・ノエ役には、『ザ・マジックアワー』以来の三谷作品となる綾瀬さん。三谷監督によると「綾瀬さんは、ピュアで天然なイメージがありますが、『ザ・マジックアワー』でご一緒した時にとてもクレバーな方だなと感じました。その後、大河ドラマなど様々な経験を積まれて、より演技にも深みが出て、ぜひもう一度ご一緒したいと思っていました。綾瀬さんは物を食べる時に、本当に美味しそうに食べるイメージがあります。今回は宇宙一食べ方がかわいいキャラクターになっています」と、こちらも予測不可能なキャラクターだ。三谷作品といえば、毎回壮大なセットが魅力のひとつだが、今回も美術は種田陽平チームが担当するとのこと。「これまでに、ホテル、港町、裁判所、清須城と作ってきました。作品作りの一番最初に、まず舞台を決めて、さぁそこを舞台に何をしようか、と考えます。既に街というスケールの大きな空間を作っていたので、さらにスケールを大きく、宇宙を作ろう!ということは大分早い段階から決まっていました。今の技術を使えば、いくらでもCGで宇宙を作ることはできますが、スタジオのセットで作る、手作り感満載の宇宙が見てみたい!という、僕の希望で、今回は敢えてCGではなくセットで宇宙空間を作ります」とチャレンジングな作戦となっているようだ。そして、壮大なのはセットだけではない、興行面に関しても三谷監督は壮大な野望を持っているようだ…。「偶然にも、今年はあの『スター・ウォーズ』新作も公開されます。ライバルはもちろん『スター・ウォーズ』!! 目指すはSWシリーズ最高興収(『エピソード1/ファントム・メナス』の132.6億円)越え。目標も宇宙規模でいきたいと思っています」。『ギャラクシー街道』の撮影は3月にクランクインし、今年10月の公開を予定している。(text:cinemacafe.net)
2015年02月10日映画・TVドラマの定額制ストリーミングサービスを提供する米Netflixは2月4日(現地時間)、日本で今秋からサービス提供を開始すると発表した。Netflixは、欧米においてDVDからストリーミングへのシフトを牽引したサービスだ。現在、米国、欧州、南米の50カ国近くで5700万人以上が契約し、1カ月の合計視聴時間が20億時間を超える。セットトップボックス、Apple TVやRokuなどのストリーミングデバイス、スマートTV、ゲーム機(PlayStation 3/4/Vita、Xbox 360/One、Wii/Wii U/3DS)、スマートフォン、タブレットなど、インターネットに接続する幅広いデバイスで利用可能。便利で高品質なサービスはユーザーから高く評価されている。その一方で、ネット中立性問題ではネットワークをひっ迫させるサービスとしてインターネットサービスプロバイダから非難された。日本でのサービス開始は、2016年末までの完了を目指すグローバル展開の一環である。Wall Street Journalによると、アジア地域へサービスを広げる足がかりとして、ブロードバンド接続環境が整っている日本を拠点に選んだ。日本に先立って3月からオーストラリアとニュージーランドでのサービス開始を予定しているが、日本では東京にオフィスを開設し、Gregory Peters氏(ストリーミング/パートナーシップオフィサー)がNetflix Japanのゼネラルマネージャーに就任する。Peters氏は、Netflixが米国以外で初めて任命するゼネラルマネージャーになる。オンラインDVDレンタルで起業し、映画・TV番組ストリーミング配信で成長したNetflixは、2013年から同社が製作したオリジナル作品の配信を開始している。最初のオリジナル連続ドラマ「House of Cards」(ケビン・スペーシー主演)は、ネット発のドラマで初めてプライムタイム・エミー賞にノミネートされ、デヴィッド・フィンチャーが演出監督賞を受賞した。その後も「Arrested Development」の続編、「Orange Is the New Black」など話題作を生み出し続けており、コンテンツ製作でも注目されている。
2015年02月06日今作でシリーズ23作目となる映画クレヨンしんちゃんの最新作『オラの引越し物語~サボテン大襲撃~』が4月18日(土)に公開することが決定。この度、本作の主題歌に「夏色」や「栄光の架橋」などヒット曲を多数世に送り出す国民的アーティスト「ゆず」が担当することが明らかになった。テーマはタイトルの通り“引越し”。映画史上初めて、あの野原家が春日部から引越し、舞台をメキシコに移します。春日部の仲間たちとの別れを乗り越え、慣れない土地や文化・そして動くサボテンに立ち向かい、野原家が大暴れする。今回、「ゆず」が歌う楽曲名は「OLA!!」。今作の舞台メキシコの公用語であるスペイン語で「オラ」という響きは「こんにちは」を意味し、自身を“オラ”と呼ぶ主人公のしんのすけが現地に馴染んでいくきっかけとなるキーワードでもあるのだ。昔から家や楽屋でアニメのクレヨンしんちゃんを観て癒されていたという「ゆず」の2人は、「しんちゃんは小さいお子さんから上の世代まで多くの方に愛されているアニメなので、聴いていただいたみなさんが一緒に口ずさんだり踊りだしたりするような曲になればいいなと思い、曲をつくりました」と語る通り、陽気なラテンのリズムや遊び心あふれる歌詞など、メキシコの元気なしんのすけを思わせる要素が盛りだくさん。「大人でもほろっとくるクレヨンしんちゃんの映画のように…」と大人の心にも染み入るような部分を随所に取り入れたという。また、今作では様々な海外のアーティストと作品中でコラボレーション!「なかなかできないこと!」と新たな挑戦に気合い十分の様子。さらに今回「ゆず」の2人が初めて特別に描き下ろされたアニメーションになることも決定。「しんちゃんの世界の中に自分たちが登場するなんて、めちゃくちゃ嬉しいですね。自慢したいです(笑)。ありがとうございます!」と興奮気味に語った。なお、「OLA!!」はテレビ朝日系列にて放送されているレギュラーアニメ「クレヨンしんちゃん」のエンディング曲としても2月6日(金)より放送が決定。音楽に合わせて、アニメーションの「ゆず」がしんのすけと共に登場するとのこと。『オラの引越し物語~サボテン大襲撃~』は4月18日(土)より全国東宝系にて公開。(text:cinemacafe.net)
2015年01月30日一般人を対象に、宇宙旅行の企画・販売をする会社が現れた現代では、海外旅行が身近なものになったように、宇宙旅行も非日常なことではなくなる日がくるかもしれません。でも宇宙での睡眠って、実はちょっと特殊なようです。宇宙旅行が現実のものに将来的には身近なものになると考えられている宇宙旅行。実際に海外にある宇宙旅行会社では、2015年以降の出発予定で、1人25万ドル(約2,500万円)の価格で募集をスタートしました。上記の旅行は、宇宙の滞在期間が4分弱と非常に短いものですが、すでに約700人が予約をしているそうです。日本国内でも宇宙旅行を企画する会社が設立されており、本当に現実のものになりつつあるようです。現在では数分の宇宙滞在ですが、きっと科学技術がさらに進歩すれば長期間滞在できるようになるでしょうね。でも、果たして宇宙ではグッスリ眠ることができるのでしょうか。宇宙では睡眠不足になる?宇宙飛行士は宇宙でどのように寝ているのでしょうか?無重力の中では上下と言う概念がなくなるので、寝ようと思えばどのような向きでも寝ることができるようです。ただ、睡眠中にふわふわと浮いて、どこかに飛んでいってしまうので、寝袋を使って動かないように壁などに縛り、固定して眠るのだそうです。不眠に悩む宇宙飛行士の割合は非常に高く、全体の6~7割とも言われています。なぜ宇宙ではこんなにも不眠に悩まされるのでしょうか?睡眠不足解消に睡眠薬も宇宙における不眠の原因は、以下の7つが考えられています。(1)就寝スペースが十分ではない、狭い(2)無重力による宇宙酔い、体内環境の変化(3)普段の環境と異なることからくる精神的緊張(4)換気ファンなどの騒音、睡眠環境(5)(宇宙飛行士は)作業が多いため睡眠不足になる(6)睡眠構造が変化する(深い睡眠が減少する)(7)その他の生活要因(スペースシャトル内での90分周期のサイクルなど)これらを解消するために宇宙飛行士は睡眠薬を利用したり、耳栓・アイマスクを活用しているそうです。なかなか静かで快適な環境でグッスリ……どはいかないようですね!Photo by NASA’s Marshall Space Flight Center
2015年01月29日●「何もかも皆懐かしい…」沖田艦長はやっぱりかっこいい人はなぜ宇宙に惹かれるのだろうか。サイエンスやテクノロジーの領域においても、映画や漫画・アニメーションといったクリエイティブな領域においても、宇宙は多くの人の想像力を駆り立てるものであり続けている。現実の宇宙も創作の宇宙も、一般の社会に生きる今の我々にとっては触れ得ぬ存在だが、実際に宇宙を経験したことのある人にとっては、それはどのようなものであるのだろうか。今回は2010年にスペースシャトル ディスカバリーで宇宙へ飛んだ宇宙飛行士・山崎直子氏にお話しを伺う機会を得た。山崎氏が最初に宇宙へ憧れを持つきっかけになったのは、子供の頃に『宇宙戦艦ヤマト』や『銀河鉄道999』といった作品をテレビで見たことだったという。憧れるところまでは多くの人が同じでも、一生のうちに実際に宇宙に行く経験ができる人はごくわずか。今の時点では、特別に訓練された人たちが宇宙で特定の任務をこなす、宇宙飛行士だけだ。宇宙を経験した人にとって、実際の宇宙とはどんなものなのか、映画やアニメーションなどのSF作品はどのように見えるのだろうか。山崎氏にお話を伺った。○大人になったらみんな宇宙に行けると思った――子供の頃は、どんな作品をご覧になっていましたか?幼稚園生の頃に『宇宙戦艦ヤマト』を見ていました。おぼろげに『アルプスの少女ハイジ』も見たいと思っていた憶えもあるのですが、3歳違いの兄の影響でヤマトを見はじめて。そうしたら、面白かったんです。子供心に、宇宙はすごいな、いつか行きたいなと。大人になったらみんな行けるんじゃないかと思っていました。他にも、子供が普通に見るような『キャンディキャンディ』や『ドラえもん』も好きでしたが、最初に見始めた『宇宙戦艦ヤマト』は強烈でした。宇宙という舞台そのものにワクワクしましたし、後で見直すといろいろといい場面もあるんですよ。沖田艦長の『何もかも皆懐かしい』というシーンも。沖田艦長は子供の頃からカッコいいと思っていましたね。」――JAXAにも『ヤマト』をはじめSF作品のお好きな方が多いそうですね。そういったSF作品から感化されて、JAXAやNASAで働いているという方はたくさんいます。日本以外の宇宙飛行士の中にも日本のアニメオタクという人が何人かいて、『銀河鉄道999』や『宇宙戦艦ヤマト』、ジブリ作品などを英語で見たそうです。宇宙飛行士は訓練を開始してから実際に宇宙に飛ぶまで、とても長い道のりです。その間に計画もどんどん変わり、実際に宇宙に行けるかどうかわからない中で、小さい時からの"好き"という単純な思いがある意味一番のモチベーションというか、エネルギーになっていたと思います。だから何年かかっても、大変なことがあっても、それが苦ではない気持ちは大きかった。エンジニアや研究開発で携わっている方も長丁場であることが多いので、そういう好奇心が支えるところは同じなのだろうと。――それらの作品を改めて思い返して、印象深いエピソードはありますか?『銀河鉄道999』ではあの当時から"機械と人間"という奥の深いテーマを扱っていて、考えさせられました。『宇宙戦艦ヤマト』では、今でこそ高エネ研(高エネルギー加速器研究機構)などでいろいろな実験が行われている"反物質"というものがあの当時から出てくるんです。『さらば』(劇場2作目『さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち』1978年)はテレサという反物質世界の女性が登場して、最後は『ヤマト』と一緒になることで自爆し、なんとか地球を救うという話でした。それが中学高校の物理でアインシュタインの[E=mc²]という公式が出てきて、実際の公理で表されるのだということにびっくりしたんです。ある意味美しいというか……。それで物理が好きになりました。でも、それが一歩間違えれば原子爆弾にもなるという科学の両面性を知ったのも作品の影響です。『ヤマト』の中でも古代君が敵を倒した後に「なぜ戦わねばならないのだろう」というシーンがあり、そうした勧善懲悪ではない奥深さも描かれていました。現在は完全新作劇場映画『宇宙戦艦ヤマト2199 星巡る方舟』もあり、こちらも観に行きたいと思っています。●そうして行った宇宙は案外"普通"に生活できる場所○現実が想像を追いかける――実際に宇宙に行かれた人の目から見ると、SF作品とはどんな存在ですか?私から見るとSF作品は本当にすごいと思います。私たちの世界の何歩も先を行っていて、その後を現実世界が追いかけているという感じです。それこそ、ジュール・ヴェルヌの小説(『月世界旅行』1865年)から始まって、アーサー・クラークが作品に描いた静止衛星が今は実際にたくさん使われていたり。最近では宇宙エレベーターも、まだSF的な部分はありますが、いろいろな実験や研究を重ねて材料の開発も進められています。宇宙だけではなくテクノロジー全般について、SFやアニメの想像力はすごいと思います。私たちは未来を想像して技術開発や発明をしていきますが、どうしても今あるものに頼って、そこから一歩二歩先を考えるのですが、それをSF作家さんやアニメを作る人は、何百年、何千年先をスポーンと見てしまうのでしょうね。こうなったらいいなと将来をワクワクしながら考えることは同じだと思いますが、そのスケール感はすごいものだと思います。――そういう想像力が、何かをやりはじめる動機になるのかもしれませんね。最初から難しそうだと思ったり現実的な壁を見てしまうと、モチベーションが下がったり、じゃあいいやと諦めてしまうところもあると思います。私も最初から宇宙飛行士の訓練に11年かかると言われていたら、もしかしたら(宇宙飛行士を目指すかどうか)考えていたかもしれません。でも、何か楽しそう、やりたいという思いから始まると、それが苦でないから、何年かかろうとあっという間のように感じます。やっぱり、最初のモチベーション、ワクワク感は大きいですね。――これからのSF作品には、どんなことを描いて欲しいと思いますか?学生時代に見た『エヴァンゲリオン』や『攻殻機動隊』など、必ずしも宇宙ではなくても、人とロボットの関係や、人がどんどん改造されてコンピュータの世界との境界がどうなっていくのか、それは進化と呼べるのか、そもそも生命とは何かなど、いろいろなことを考えさせられます。描いて欲しいことがあるとするなら、これからは宇宙だけ、ロボットだけという分野ごとではなく、いろいろなことが同時並行で進んでいくので、それらが融合していくとどうなるのだろうということには興味がありますね。人が宇宙へどんどん進出して、再生医療が進んで病気が治り、機能を補うだけでなく強化された身体が造られ、コンピュータやロボットやITの技術も進んで……と、想像力が掻き立てられます。○宇宙は"普通"に生活できる場所――現実の宇宙は、SFとはどのように違うものなのでしょうか?小さい頃に宇宙へ行くというと、それこそイスカンダルのような遠い所へ行くことを考えていましたが、今人間が行き来しているのは地上約400kmにある国際宇宙ステーションで、まだまだ地上にへばりついているような状態です。そこに行き来するにも大変という、現実の厳しさがあります。でも、そうして行った宇宙は案外"普通"に生活できる場所でした。長い間訓練をして行くので特別なところだというイメージがありましたが、宇宙食でご飯を食べて、お風呂には入れないけれどタオルで身体を拭いて、歯磨きをして、夜は寝て、日中は起きて仕事をして……と。人は宇宙でも、生活をすればそこが日常生活になるんですよね。もちろん、壁一枚隔てれば真空の宇宙という危機感は、地上の安心感とは比べものになりませんけど最長滞在記録を持っているのはロシアで(※ワレリー・ポリャコフ宇宙飛行士。1994年1月8日から1995年3月22日まで、427日間滞在)、そうやって人が宇宙に生活するようになると、適応して進化していくのではないかという提唱もあるんです。本当に宇宙にいると、そんな気がしますね。●アニメやSFの世界を現実が追いかけている私はISSとスペースシャトルで滞在が15日間と比較的短かったんですけど、その間でもすぐに上下感覚が切り替わるんです。宇宙船の中では天井に明かりがあり、床に少し濃い色があって、"上下"は区別されているんですけど、それに関係なく、自分が宙ぶらりんになっていれば天井が自分にとっての"床"と思えて、自分はちゃんと立っているという感覚になります。だから、他の人にただ「上にあるものを取って」と言っても通じなくて、「あなたの上」とか「宇宙船の天井」と言わなくてはならないのですが、それにもすぐ慣れます。会話をする時に相手と逆さまになって話すのも全然普通で、人の顔も真っ直ぐだけでなく逆さまになった顔で思い浮かべたり、そういった想像も変わってきます。身体的にも、重力がないと体液がどんどん上に動いていき筋肉も衰えるので脚が細くなり、反対に顔は"ムーンフェイス"と言われるようにむくんで丸くなるんです。だから、脚は細く、頭は大きく、胴体は背骨と背骨の間隔が伸びるので長くなるという、宇宙人の想像図に出てくるような体型に近づくんです。本当に人が宇宙で生活していくと、姿も変わっていくのはあながち嘘ではないだろうと感じます。――それが二世代目、三世代目と続けば、新しい能力を身につけても不思議ではないですね。その意味では、中学生の頃に読んだ萩尾望都さんの『スター・レッド』などは火星での何世代にも渡る物語で、どんどん能力が変化していく話ですし、竹宮惠子さんの『地球(テラ)へ…』も、人が宇宙へ行くと新しい集団ができて、文化が生まれ……という内容です。これらもテクノロジーとは別の心理的な面で興味を持った作品です。○世界の多様な在りかたを考えるために――将来的に、普通の人が普通に宇宙へ行けるようになるでしょうか?あと一歩、二歩くらいでしょうかね。動き出せば早いと思います。飛行機だと1903年にライト兄弟が初飛行をした後、民間の利用が一般化するのに50~60年くらいかかりました。宇宙ではガガーリンさんが世界初の有人宇宙飛行をしたのが1961年、スペースシャトルの運用開始が1981年です。今は宇宙旅行用の宇宙船の開発も行われていて、申し込んでいる人も何百人といるようですが、一般の人にとって現実的な料金になるまでにあと20年くらいでしょうか。――山崎さんもまた宇宙へ行きたいと思っていらっしゃいますか?もちろん、行きたいです。旅行も良いですが、仕事でも行きたいですね。宇宙飛行士ですから。宇宙へ行くのに年齢制限はありません。『プラネテス』という作品で、スペースデブリ(宇宙のゴミ)を掃除する会社が描かれていましたが、今は本当に宇宙を掃除する会社が作られて、現在は必要な技術を開発中です。アメリカでは小惑星で資源を発掘する企業も設立されました。国の宇宙飛行士だけでなく、民間が独自に宇宙飛行士を宇宙に派遣するという世界にあと10年20年でなってくると思います。その点でも、アニメやSFの世界を現実が追いかけているなと感じます。――見て想像するだけでなく、現実的に足を踏み入れられる場所として、宇宙が身近になってくる時代なんですね。私自身、子供の頃も今も、SF作品やアニメからすごく影響を受けて、本当に考えさせられてきたと思います。現実の中で接することができるのは今この時代、この場所の限られた世界でしかありませんが、作品の中では過去や未来や宇宙の果てなど、時間と空間の制限を超えて本当に幅広い世界に接することができるのが醍醐味だと思います。私たちが今いる世界が全てではなく、色々な世界の在り方がたくさんあるんです。これからの世の中の在り方を決めていくのは私たち一人ひとり、特に若い世代の人たちであって、自分が何をするか、それでどんな未来になるのか、SFやアニメはそういった想像力を持つ力になると思います。宇宙の話に限らずいろいろな種類の作品に接して、考えていってほしいと思います。■プロフィール宇宙飛行士・山崎直子千葉県松戸市生まれ。1999年国際宇宙ステーション(ISS)の宇宙飛行士候補者に選ばれ、2001年認定。2004年ソユーズ宇宙船運航技術者、2006年スペースシャトル搭乗運用技術者の資格を取得。2010年4月、スペースシャトル・ディスカバリー号で宇宙へ。ISS組立補給ミッションSTS-131に従事した。2011年8月JAXA退職。内閣府宇宙政策委員会委員、日本宇宙少年団(YAC)アドバイザー、松戸市民会館名誉館長、立命館大学および女子美術大学客員教授などを務める。著書に『宇宙飛行士になる勉強法』(中央公論新社)、『夢をつなぐ』(角川書店)、『瑠璃色の星』(世界文化社)など。
2015年01月15日世界初の有人宇宙飛行を提供しているスペース アドベンチャーズ社は1月7日、クリエーティブ・ディレクターで同社の代理店であるSPACE TRAVEL代表取締役の高松聡が、国際宇宙ステーション(ISS)搭乗乗組員候補として、飛行訓練を開始することを発表した。氏は、去年の7月から8月にかけて行われた宇宙飛行士としての訓練に入るための試験に合格。今月12日から9月まで、ロシア「星の街」をベースに800時間に及ぶ訓練に臨む。その後、ロシア宇宙庁より日本人としては初めて、ISS搭乗の民間人宇宙飛行士として認定される予定だ。民間人宇宙飛行士としては26年ぶり2人目の快挙となる。高松は、6歳の時にアポロ11号の月面着陸をテレビで見たのをきっかけに宇宙飛行士を志し、大学では宇宙空間について研究していたが、視力を理由に夢を断念。電通に就職し、テレビCMなどを手掛けてきた。氏が注目されたのは、世界初の宇宙ロケで制作された大塚製薬ポカリスエットのテレビCM「GOES TO SPACE」だ。その後、日清カップヌードルのCM「NO BORDER」でも宇宙ロケを敢行し、「AKIRA」などで知られる大友克洋監督と共にCM「FREEDOM」を手掛けた。退職後も宇宙に関わる仕事を忘れられず、日本初の宇宙旅行代理店を2012年に設立した。記者会見で登壇したスペース アドベンチャーズ プレジデントのトム・シェリー氏は、今回高松さんを指名した理由について「高松氏は、広告業界において輝かしい実績を持ち、起業家精神に溢れ、幼いころから宇宙に対する情熱を長年持ち続けている、クリエーティブな精神の持ち主」と今回抜擢された理由を説明。高松氏は、「6歳の時の夢が51歳になって突然チャンスがやってきた。どんな夢も必ず叶うということを伝えたい」と喜びを語った。会見には、日本初の民間の宇宙飛行士である元TBS宇宙特派員/京都造形芸術大学教授の秋山豊寛氏もかけつけ、51歳という年齢を気にする高松さんに対し、「50歳代の宇宙飛行士は、外国人ではたくさんいる」とアドバイス。また、「高松氏の限界を設定しない姿勢で苦労して自分の道を切り開いてきた人。彼が自分の歴史を自分で作ろうとしている。そして、その人の心を掴むセンスは外国でもきっと通用するだろう」と激励した。フライトは2015年から2016年に予定。「新しいタイプの宇宙飛行士になる」と話す高松氏は今回、宇宙飛行訓練の様子から宇宙での生活まですべてをSNS等を通じリアルタイムでシェアしていくという。「皆が宇宙飛行士になる、宇宙を共有できるプロジェクトにしたい」と力強く語った。
2015年01月08日2015年の宇宙、どうでしょう?ということで、予測が秒単位でできることから、どーなるかわからんことまで「素人でも手軽に観察・参加できる」宇宙にかかわるあれこれを、サクっと紹介しちゃいます。今回は、上半期分をば。宇宙にかかわるできごとは、予測が秒単位でできるものから、いきなりやってくるものまで、いろいろでございます。という2014年の「宇宙、どうでしょう」おかげさまで、私の近くでは、かなーり好評でございました。特に「ロゼッタについて早く知っておけてよかった」ってな声が多かったですな。もちろん、詳しくは、天文手帳、天文年鑑、星空年鑑2015を、あと、ライトな宇宙好きむけに、藤井旭の天文年鑑2015なんてのもあります。アプリだと iOS限定ですが、アストロガイド2015なんてのがございますので、ご参照くださいませ。ここでは、2014年版と同じく、まあ、ファンってわけじゃないけど、たまには空を見るかな。話題になったら、気になるかなという「素人でも手軽に観察・参加できる」宇宙にかかわるあれこれを紹介しちゃいます。○1月~2月星がいちばんよく見える時期です。明るい星が集中しているんですな。特に関東地方は、晴れ続けますねー。ただ、日本海側は、雪ですねー。雲の上ではという注釈をつけないといけません。日本は広い。晴れさえすれば、「オリオン座」。そう3つ星が並んでいる、あれがみえますね。オリオン座がわかれば、3つ並んだ星を、左にズーッと延長した先にある、明るーーい星が、シリウス。焼き焦がすものという意味がある星ですな。距離は8.7光年。本州から肉眼で見える、一番近くにある恒星でもあります。逆にオリオン座の3つ並んだ星を、右にズーッと延長すると、赤っぽいアルデバラン、そのさきに、モヤっとか、ゴチャっとか見えるのが「すばる」でございます。これくらいチェックできれば、ちょっと星に詳しい人としてはじゅうぶんです。あ、ビートたけしさんの前ではやらないように、あの人は本当によく知っていますから-。さて、宇宙探査というと、アメリカ勢の動きが目立ちます。まず1月29日、SMAP探査機が打ち上げ。ジャニーズアイドルとは関係なくて、地球の水の探査をするのでございます。2月中ごろ、DAWN(ドーン)探査機が、小惑星ケレス付近に到着します。1801年、最初に発見され小惑星帯最大の直径950km。ほぼ球形で、しかも大気があり、水蒸気を吹き出しているなんて発見もありました。DAWNは夏にかけてケレスをまわる軌道に入り、詳細な探査をはじめます。むー、楽しみですなー。また、同じく2月中ごろから、冥王星探査機ニューホライズンズも、冥王星の本格的探査にかかります。これも夏にかけて冥王星に突撃。横を通り過ぎるフライバイ探査でございます。冥王星は氷のかたまりと予想されておりますが、さてどんな姿をしているのでしょうね?探査機の運用には、直径が100mという巨大なアンテナを使って通信をするのですが、アンテナのスケジュール調整大丈夫かいなと思ってしまいます。リアルタイムでどのアンテナ使っているかなんてわかりますよー。○3~4月3月なかごろ、アメリカは「MMS」という地球の磁場の探査衛星を打ち上げます。4月4日の夜には、「皆既月食」があります。夜9時前後に皆既になる、観察のしやすい月食なので、またお知らせしますねー。双眼鏡で見るのがいいですよー。4月13日~19日は、国の科学技術週間です。毎年、つくばの学園都市などは特にお祭りみたいな感じだそうです。神奈川県相模原市のJAXAや埼玉県和光市の理化学研究所など、若手の研究者を中心に一生懸命って感じでとてもいいですよー。詳しい情報は3月末くらいにこちらで。一家に一枚XXXな科学ポスターの配布も各地の科学館などでされます。そうそう、ヨーロッパの彗星探査機、話題になったロゼッタちゃんは、チュリモフゲラシメンコ彗星によりそいながら、活発になっていく彗星のモニターをしています。彗星は太陽に接近して活発になりますと、噴水のように身体をまき散らします。どこまで見ていられるか? それも注目でございます。ロゼッタのツイッターのつぶやきも注目です。太陽への最接近は8月13日です。○5~6月このころ、夕方の空に、木星と金星、2つの明るい星がよく見えております。さらに5月5~9日くらいは、木星・金星を結んだ下に、水星が見やすくなっているのですが、ちょっとわかりにくいかもしれません。5月5~6日にみずがめ座エータ流星群がピークです。といっても条件はあまりよくないですね。明け方のみ、流れ星がふだんの倍ほど(1時間に5~6個)になります。6月には、ロシアのソユーズ宇宙船で、日本の油井宇宙飛行士が、国際宇宙ステーションに行く予定…なんですが、ロシアがちょっとグダグダになっているので、さてどうなりますか。宇宙はわりと影響受けにくいそうなんですけど、やはり政治や経済が左右するところはありますからね。後半分は、また6月ごろにお知らせいたしますねー。著者プロフィール東明六郎(しののめろくろう)科学系キュレーター。あっちの話題と、こっちの情報をくっつけて、おもしろくする業界の人。天文、宇宙系を主なフィールドとする。天文ニュースがあると、突然忙しくなり、生き生きする。年齢不詳で、アイドルのコンサートにも行くミーハーだが、まさかのあんな科学者とも知り合い。安く買える新書を愛し、一度本や資料を読むと、どこに何が書いてあったか覚えるのが特技。だが、細かい内容はその場で忘れる。
2014年12月24日現在公開中の映画『宇宙戦艦ヤマト2199 星巡る方舟』は、2012年より上映されたアニメ『宇宙戦艦ヤマト2199』の完全新作劇場版だ。公開初日には新聞に全面広告が掲載され話題を呼んだ。どうして今、新聞広告なのか。そこにおそらく今後のアニメのあり方を考えるヒントがある。『宇宙戦艦ヤマト2199』は1974年に放送された『宇宙戦艦ヤマト』のリメイクである。ガミラス星の攻撃によって瀕死の状態となった地球を救うため、ヤマトが単身、イスカンダル星を目指すという旧作のイメージをそのままに保ちつつ、設定やドラマは現代的にアレンジ。21世紀の視点として楽しめるSF冒険活劇として作品を蘇らせた。全26話(映画館では全七章に編集して上映)で完結したが、本映画はそのヒットを受けて企画。イスカンダル星からの帰還の途中を舞台にして、本編では描かれなかった謎の異星人ガトランティスなどとの隠された戦いを描く。『宇宙戦艦ヤマト2199』が新聞広告を打つのはこれが初めてではない。2013年のTV放送開始時期とTV放送終了および第7巻のBD&DVD発売に合わせて特大サイズの折り込み広告を展開している。「新聞広告データアーカイブ」の記事によると、この広告には、1974年から放送されたオリジナル『宇宙戦艦ヤマト』のファンであるハイエージ層と、現在はアニメに触れる機会の少ない人々に、リメイク版である『2199』の存在を知ってもらうために企画されたという。1974年に公開された『ヤマト』と出会った時、10代だったファンももう50代半ば。この世代は20代~30代と比べれば、新聞との親和性はまだまだ高い。だからこその新聞広告というわけだ。この『宇宙戦艦ヤマト2199』が宣伝で掘り起こそうとしている層がそこだとわかると、2012年4月の週刊誌『週刊ポスト』(小学館)とのコラボ企画(特集記事掲載に合わせ裏表紙を森雪が微笑む『週刊ヤマト』にした)も、旧来の『ヤマト』ファンへの訴求を目指したものだと合点がいく。実際、映画館に足を運んでいるファンを見ると、年齢が高めのファンが少なからず見受けられた。これがどうして今後のアニメのあり方を考えるヒントになるのか。それは『宇宙戦艦ヤマト 2199』のヒットに、オリジナル『ヤマト』ファンが少なからず貢献したことを考えると、そこに「シルバーエージ向けアニメ」の可能性が見えるからだ。1974年に『ヤマト』に注目し、1977年の劇場版ヒットに貢献したオリジナル『ヤマト』のファンは、いうなればアニメファン第一世代である。1960年前後に生まれた彼らは、TVアニメ(と特撮)とともに成長し、1980年前後に盛り上がったアニメブームの中心的存在となった。ファンからクリエイターにまわった人も多く『宇宙戦艦ヤマト 2199』の総監督・出渕裕氏もそうだし、『新世紀エヴァンゲリオン』の庵野秀明監督、『超時空要塞マクロス』の河森正治監督も同世代だ。やがてアニメブームは、1984年いっぱいで収束し、社会人となったファンの多くは「元アニメファン」という形で、現在放送中のアニメを見ることからは次第にリタイアしていった。しかし、そうしたごく普通の元ファンも、「興味がある題材」と「そこに届く宣伝」があれば、ちゃんと劇場まで足を運ぶのだ。聞くところによると、アニメのBD&DVDというとネット通販サイトが販路として圧倒的な印象を受けるが、年齢総高めの作品については新聞の通販広告というルートもなかなか見逃せないのだという。これもまた「興味がある題材」と「そこに届く宣伝」の一例だろう。こうした元アニメファン層は今後、もっと積極的に掘り起こされていくだろう。なにしろあと5年でこの世代は還暦に達する。可処分所得に加え可処分時間に余裕のある"アニメファン"がそこに登場することになるのだ。「シルバーエージ世代が楽しむアニメ」というとどうしても冗談風に捉えてしまう向きもあるだろう。アニメのような"若者向けカルチャー"を"枯れたはずの"老人が(無理して?)楽しんでいる、という戯画的なイメージが浮かんでしまうからかもしれない。だが、現代の60歳は、イメージほどに老けた存在ではない。音楽にしろマンガにしろ、その世代のファンとともに「若向けの文化」が「シルバーエージも参加できる文化」になっていった例も多くある。戯画的なイメージにひっぱられていては、将来のビジョンを見損なうだろう。「シルバーエージ世代が楽しむアニメ」というからいけないのかもしれない。現在アニメに起きつつある変化とは、もう少し本質的なことなのだ。それは「アニメが一生の趣味である時代の到来」といったほうがわかりやすいかもしれない。若い頃アニメが好きで、その後、元ファンになってしまう人は少なくない。でもこれからは旧譜の再販を買ったりするだけでなく、人生の実りの時期に改めて自分はアニメが好きだったな」と再確認できるタイトルが登場する可能性がでてくるのだ。『ヤマト』以外でいうなら、『機動戦士ガンダムUC』『機動戦士ガンダムTHE ORIGIN』もそこにカテゴライズ可能な作品だろう。「アニメが一生の趣味」と呼べるようになる時、どんなアニメが作られ、どんな方法で流通し、どのように宣伝されるのか。その萌芽の一旦は間違いなく『宇宙戦艦ヤマト2199』の中に宿っているように思う。(C)西崎義展/2014 宇宙戦艦ヤマト2199 製作委員会
2014年12月12日現在完全新作劇場版となるアニメーション映画『宇宙戦艦ヤマト2199星巡る方舟』も上映中の同シリーズより、登場するキャラクターをモチーフにした多機能ペンの2本セット『古代進&森雪 愛の波動ペンセット』の予約受付が、バンダイの公式ショッピングサイト「プレミアムバンダイ」にてスタートしている。2015年4月発売予定で、価格は6,912円(税込)。本商品は、アニメ『宇宙戦艦ヤマト2199』に登場す主人公・古代進とヒロイン・森雪の2人をモチーフとした多機能ペンの2本セットで、『宇宙戦艦ヤマト』の40周年を記念して制作。それぞれ特別仕様の多機能ペンで、古代進は細字の青ボールペン・赤ボールペン・黒ボールペン、森雪はシャープペンと細字の赤ボールペン・黒ボールペンが内蔵されている。古代進ペンの蓋飾りは「宇宙戦艦ヤマト」の波動砲口を再現。持ち手リング部分にはそれぞれ「SUSUMU KODAI」「YUKI MORI」の刻印入りとなる。パッケージ外箱、試し書きカードは「宇宙戦艦ヤマト」外観図を金で箔押しした豪華仕様で、40周年記念のスペシャルなボールペンに仕上がっているという。製造メーカーは、「戦艦大和」建造のほか、広島県呉市発祥の文具メーカーであるセーラー万年筆株式会社で、創業103年の歴史と技術が生んだ最高の書き味と洗練されたデザインとなっている。商品価格は2本セットで6,912円(税込)、予約締切は2015年1月13日23:00。商品の発送は、2015年4月を予定している。(C)2012 宇宙戦艦ヤマト2199 製作委員会
2014年12月11日“映画ドラえもんシリーズ”35周年記念作品『映画ドラえもん のび太の宇宙英雄記〈スペースヒーローズ〉』の主題歌をmiwaが担当することが発表された。タイトルは『360°(さんびゃくろくじゅうど)』。ドラえもんが大好きというmiwaが、子どもたちにも映画の世界観やメッセージが伝わるように、熱い想いを込めて作詞をした新曲だ。その他の写真映画は、ドラえもんと仲間たちが、地球に不時着していたポックル星人のアロンと出会ったことから、宇宙へ飛び出し、冒険を繰り広げるSFアドベンチャー。現在、アリーナツアー中のmiwaは、10日に日本ガイシホールで行ったライブで観客に主題歌決定を報告。どこでもドアでやってきたドラえもんとのび太がステージにサプライズ登場し、会場がさらに盛り上がる中で、新曲『360°』を初披露した。miwaは、主題歌のオファーを受けたときの心境について「あのドラえもんに携われるなんて本当にうれしかったです! 一緒に歌えるというのはすごく貴重な経験だし、『やった!』と思いました。だって私が生まれたときからドラえもんは傍にいたし、ずっと変わらないもの。もし自分に子どもが出来ても『ドラえもんの主題歌を歌ってる人、お母さんなんだよ』って伝えられるし。他にはないことだからほんとにすごいと思います!」と話し、「曲もみんなで歌って盛り上がれる曲だし、映画も仲間の大切さがすごく伝わる内容になっているのでぜひ周りのお友だちと一緒に観て欲しいです。ドラえもん・のび太くん・ジャイアン・スネ夫くん・しずかちゃんがみんな歌ってくれるんです! みんなどんな感じで歌ってくださるのか楽しみです」とコメントを寄せている。『映画ドラえもん のび太の宇宙英雄記〈スペースヒーローズ〉』2015年3月7日(土)全国東宝系にてロードショー
2014年12月11日アニメーション映画『宇宙戦艦ヤマト2199星巡る方舟』が12月6日より公開された。同作は、2012年より上映された『宇宙戦艦ヤマト2199』(2012年)の完全新作劇場版だ。本作の公開に至るまでの過程は、近年のアニメにおける「ウィンドウ戦略」(一つの作品のリリース時期をメディアごとに順序をつけて展開する戦略)の代表的な例といえる。本作の歩みを通じて、現代のアニメビジネスのあり方を見てみよう。『宇宙戦艦ヤマト2199』(以下『2199』)は、1974年にTV放送された『宇宙戦艦ヤマト』(以下『ヤマト』)のリメイク作品だ。西暦2199年、地球は謎のガミラス星人の攻撃により絶滅の危機に瀕していた。そんな地球に宇宙の彼方、大マゼラン星雲にあるイスカンダル星から救いの手が差し伸べられる。イスカンダルには、汚染された地球を救うことのできるシステム「コスモクリーナーD(『2199』ではコスモリバースシステム)」があるというのだ。人類の最後の希望を託されたヤマトは、沖田十三艦長の指揮のもと前人未到の大航海に出発することになる。1974年当時、アニメはまだ「テレビまんが」と呼ばれることが多く、小学校卒業とともに"卒業"するものだった。だが「大宇宙を舞台にした冒険航海というロマンあふれる設定」「SFマインドあふれる緻密なメカニック描写」といった『ヤマト』の魅力は、10代に熱狂的なファンを生んだ。こうしたファンの支えにより、1977年にはTVアニメを再編集した劇場版が大ヒット。これを起点としてアニメブームが巻き起こることになった。『2199』はこのような伝説的な作品を現代に蘇らせるべく制作された。リメイクにあたっては「オリジナルを尊重する部分」と「現代的にアップトゥデートする部分」が慎重に選択された。音楽や効果音、メカデザインについては極力オリジナルを尊重し、一方でキャラクター描写やSF設定などは現代の視線で新たに再構築された。『2199』はオリジナルと同じ全26話ということで制作が進んでいたが、ファースト・ウィンドウとして選ばれたのは映画館におけるイベント上映だった。全26話を全七章に分け、全国10数館の規模10館で数カ月おきに上映していくスタイルが選ばれたのだ。『2199』のウィンドウ戦略の特徴はここに端を発している。そもそも連作シリーズを劇場で上映するというスタイルの嚆矢となったのは2007年から公開された『劇場版空の境界』シリーズだ。奈須きのこの同名伝奇小説を完全アニメ化し、2007年から2009年にかけて全7章を公開。本作が大ヒットを記録したことで、業界内で60分前後の連作を映画館で上映する企画が検討されるようになる。そうした企画の中でも特にめざましいヒットとなったのが『機動戦士ガンダムUC』。福井晴敏の同名小説のアニメ化で、2010年から2014年にかけて全7章で上映された。『空の境界』と『ガンダムUC』の大きな違いは、前者が「映画」として企画されていたことに対して、後者はあくまでOVA(オリジナルビデオアニメ)として企画されていたこと。そのため『ガンダムUC』はあくまで「ビデオ用作品イベント上映」の扱い。だからこそ上映と同時に劇場でBlu-rayの販売も可能となり、これが非常によく売れたことも話題になった。ちなみに『2199』の場合は、劇場上映時に「劇場限定版」Blu-rayの発売とVOD(ビデオ・オン・デマンド)による配信、その後1カ月後に正式な商品(Blu-ray&DVD)がリリースされるというタイムスケジュールが組まれていた。OVAのイベント上映は、映画館サイドにとっても魅力的な案件だった。数年前からよく使われるようになった言葉に、ODSというものがある。これはOther Digital Stuffの略で、「非映画デジタルコンテンツ」とも呼ばれている。一言で言えば、映画館を映画だけでなく、それ以外の映像メディアを見ることのできる場所として活用していこうというものだ。OVAだけでなく、オペラや歌舞伎などを収録した映像や、各種ライブビューイングなどがODSに相当する。つまり「TV以外のファースト・ウィンドウ」を探していたアニメ業界と、「映画以外のコンテンツ」を探していたシネコンの利害が一致したところで、イベント上映が成立しているのである。TV用に企画されながら、イベント上映されることになった『2199』はそうした状況の産物だったのだ。なお、ファースト・ウィンドウが映画館であるメリットは、まず制作スケジュールにある。毎週1話ずつ制作しなくてはならないTVと違いイベント上映は数カ月に1回の公開なので、TVよりもリッチでクオリティ感のある画面と作り出すことができる。逆にデメリットとしては、知名度の低いタイトルでは集客が難しいという点が挙げられる。この点でも『2199』はイベント上映に向いていたことがわかる。『2199』のウィンドウ戦略が面白いのは、こうしたイベント上映とVOD配信が継続する2013年4月からTV放送も始まったということだ。つまり2013年の4月~10月の期間は、「イベント上映」「パッケージソフト(Blu-ray)「TV放送」「VOD」という四つのウィンドウで『2199』が展開されることになった。偶然そうなった部分も少なからずあるとはいえ、これはアニメのウィンドウ戦略としては非常に珍しいケースである。そしてTV放送による視聴者のすそ野の広がりは、イベント上映の動員に反映した。特に第23話~第26話をまとめた第七章は、TVで第22話を放送終了したタイミングでの上映開始となり、興行収入1億円を突破するヒットを記録するに至ったのだ。今回の『宇宙戦艦ヤマト2199 星巡る方舟』は、こうしたヒットを受けて企画された完全新作映画である。こちらは全国89館で公開される正式な映画である。描かれるのは、ヤマトがイスカンダルからの復路で出会った「ガトランティス」という新たな敵との戦い。一刻も早く地球へ戻りたいヤマトと新たな敵ガトランティス、そこにガミラス残党が絡んで物語が展開する。仮に『2199』が当初の予定通りTVをファースト・ウィンドウとして展開していたら、果たして完全新作映画に到達するほどの盛り上がりを獲得することができていただろうか。それを考えると『2199』というプロジェクトは「イベント上映」「パッケージ販売」「TV放送」「配信」というそれぞれのウィンドウでの展開タイミングとその特性が見事に絡み合った結果のヒットであったということができる。2014年も『攻殻機動隊ARISE』や実写『THE NEXT GENERATION パトレイバー』といった作品がイベント上映形式で複数話上映された。どちらも人気シリーズの最新作で、おそらく今後しばらくはこうしたウィンドウ戦略は続くだろう。その上でファーストウィンドウとしてイベント上映が定着するかどうかは、これから「知名度のあるタイトル以外のヒット」がそこから生まれるかどうかにかかっているといえる。(C)西崎義展/2014 宇宙戦艦ヤマト2199 製作委員会
2014年12月06日12月6日から全国公開されるアニメーション映画『宇宙戦艦ヤマト2199 星巡る方舟』のエンディングテーマを、シンガーソングライターの平原綾香が担当することが明らかになった。平原が歌う「Great Harmony ~for yamato2199」は、『宇宙戦艦ヤマト2199』シリーズの音楽を担当し、旧作の音楽を担当していた故・宮川泰氏の息子である宮川彬良氏が手がけた楽曲。平原が起用された経緯には、彼女の父親でサックス奏者の平原まこと氏が、宮川泰氏の率いる名匠宮川組のコアメンバーであり、"世代交代"という作品内容にも共通する事柄から、シリーズ企画プロデューサー・西﨑彰司氏と音楽スタッフの意向で、今回新作エンディングテーマへの参加が決定したという。楽曲タイトルについて、作詞を手がけた吉元由美氏は「日本古代の"やまと"と呼ばれていた頃の、みんなと調和して分け合いながら生きて来た精神性がこの時代に大事なんじゃないかと思い"大和"と書いて偉"大"な調"和"=Great Harmony に決め、この大きな調和で繋がっていくことが私たちにとって大事だという思いを込めた」と語っている。父親を通じて、幼少の頃から宮川泰氏や宮川彬良氏を知っていたという平原は、スタッフから今回の話を聞いた時に「時間がないから無理かもしれない」と言われたという。しかし、平原はこれも"縁"と感じており「『時間なくても歌うから!』と懸命にお願いしました(笑)」とオファー時を振り返っている。また平原は、歌詞を初めて見た時に震災のことを頭に浮かべ「傷ついても失ってもその悲しみを抱えながらももう一度故郷に帰りたいと思う人たちがいっぱいいて、そういう人たちに歌いたい」と楽曲に込めた想いを吐露。「悩んだり苦しんでいる人たちにも聴いていただきたいですし、子供たちにもこの歌を伝えてもらえるように、私も命がけで歌っていきたい」と明かしている。「平原綾香が歌うことを念頭においた曲」という宮川氏は、「僕は収録の時に自分の曲で涙がでたのは初めて」と語る。作詞を手がけた吉元氏とは、何度も何度も詞の内容でキャッチボールを繰り返し、「そうやっていじくると大体の場合ロクな曲にならないのですが、この歌にはもっと何かあるように感じた」と語っている。「それで最後に歌手というブロックがピタッとハマって、感動してしまったんです」と完成を喜び、「多分この歌の向こう側にあるところまで辿り着いたからだと思っています」と自信をのぞかせた。本楽曲は、「iTunes Store」「レコチョク」「mora」「e-onkyo music」などの音楽配信サイトにて12月3日より配信がスタートする。『宇宙戦艦ヤマト2199』は、1974年に放送された『宇宙戦艦ヤマト』(読売テレビ・日本テレビ系)第1作をベースに、出渕裕総監督ら新たなスタッフで制作された完全新作アニメーション。2012年より全七章にわたるイベント上映と劇場限定版Blu-rayの同時発売、さらにVODと、これまでのアニメーションシリーズとは異なる展開を行い、開始1年半で経済圏100億円を突破した。また、2013年4月~9月に放送されていたTVアニメ『宇宙戦艦ヤマト2199』全26話の特別総集編で、シリーズ初の5.1ch化、さらに追加カットや新たな視点で再構成された『宇宙戦艦ヤマト2199 追憶の航海』が、全国で順次上映中。完全新作劇場版となる『宇宙戦艦ヤマト2199 星巡る方舟』が、12月6日より全国公開される。(C)西﨑義展/2014 宇宙戦艦ヤマト2199 製作委員会
2014年12月03日宇宙誕生の秘密とその仕組みを解き明かすシリーズ番組「解明・宇宙の仕組み」のシーズン3が、7日からドキュメンタリーチャンネル「ディスカバリーチャンネル」でスタートした(毎週金曜23:00~)。28日に放送される第4話「宇宙の最初の1秒間」は、複数の専門家の意見を交えてビッグバンの謎に迫る。今のところ、現在の宇宙の起源とされている現象"ビッグバン"。何千億個もの銀河やそれを形作っている材料のすべてが凝縮した小さな1点、それがビッグバンを経て一瞬のうちに宇宙へと変貌を遂げた。宇宙の最初の1秒間は、宇宙の歴史上で最も重要な時間。なぜならば、その間に空間、時間、エネルギー、物質が一瞬のうちに生まれて動きはじめたからだ。しかし、今の時間の概念では、この宇宙創生の瞬間を語ることはできない。そこで、「10億分の1秒」のような想像を絶するほどの時間を表す単位「プランク時間」が用いられる。もともと、空間と時間は限りなく小さな1点の「純粋なエネルギー」の中にあった。そしてプランク時間が動きはじめた時に空間と時間は解放され、空間が膨張を開始。ビッグバンは「空間の中」で起こったのではなく「空間自体の爆発」と考えられている。そして、物質から星や銀河を作るために必要不可欠な「重力」が発生。強すぎず弱すぎない重力のお陰で、さまざまな物質が誕生していくことになる。宇宙の数ある謎の1つが、「どこを眺めても同じような銀河がほぼ均等に散らばっている」こと。1979年に宇宙学者のアラン・グースは、その謎を解き明かす説として「インフレーション理論」を提唱した。それは「生まれたての宇宙が想像を絶する速さで膨張した」という内容で、アラン・グースは「急激な膨張が、宇宙を構成する要素を均等にばらまき、宇宙に秩序ある配置をもたらした」と考えた。このインフレーション理論から時は流れて2014年3月。南極からの観測データが科学界を騒然とさせた。それは「宇宙誕生の直後に起こったことを伝える痕跡を捉えた」というもので、観測データはインフレーション理論にほぼ合致。同理論ではほかの宇宙を発生させた可能性もあるため、複数の宇宙が存在する「多元宇宙」やわれわれと全く同じ人々が全く同じ人生を歩んでいる「並行宇宙」など、「どんな宇宙でも存在しうる」と考えている科学者も現れた。そのほか、番組ではアインシュタインの「物質は凝縮されたエネルギー」という考えが与える影響、アメリカ・ロングアイランドにある研究所での「粒子の衝突実験」、ビッグバンの解明が大きく前進した「ヒッグス粒子」についても解説している。ビッグバンを経て、陽子と中性子が原子核を作りはじめ、38万年後に原子が誕生し、そこから数億年後に原子が集まって星が生まれ、90億年以上をかけて太陽や地球が誕生。今回の番組は、この壮大な"過去"を振り返りながら「すべての運命は、宇宙の最初の1秒間で決まっていたのです」という言葉で締めくくられている。(C)2014 Discovery Communications, LLC.
2014年11月28日12月6日から全国公開されるアニメーション映画『宇宙戦艦ヤマト2199 星巡る方舟』の見どころを紹介するテレビ特番「劇場公開記念!!『宇宙戦艦ヤマト2199 星巡る方舟』発進SP」が、12月3日より各局で順次放送される。本番組は、桐生美影役の中村繪里子と岬百合亜役の内田彩がナビゲーターを務め、豪華キャストや、メインテーマ曲「宇宙戦艦ヤマト2199」を担当した宮川彬良氏と葉加瀬太郎氏らのメッセージを公開。そのほかにも、本邦初公開となる『星巡る方舟』の最新映像や「2分でわかるヤマトヒストリー」など、盛りだくさんな内容の番組になるという。番組の放送局、放送日は以下のとおり。○「劇場公開記念!!『宇宙戦艦ヤマト2199 星巡る方舟』発進SP」放送日程テレビ埼玉 12月3日21:00~21:30北海道放送 12月4日25:40~26:10TOKYO MX 12月5日25:35~26:05九州朝日放送 12月5日26:31~27:01熊本朝日放送 12月6日7:30~8:00メ~テレ 12月6日25:55~26:25ファミリー劇場 12月7日5:20~6:00(再放送 14日5:20~6:00、17日22:00~22:30)静岡放送 12月7日24:50~25:20東北放送 12月7日25:25~25:55テレビ新潟 12月13日 時間調整中テレビ大阪 日時調整中中村は「ヤマトにおける人間愛……これが熱く熱く描かれていきます。40年間変わることのないヤマトへの愛、ヤマトを通した愛……劇場でぜひ皆さんに見ていただきたきたいです」と『宇宙戦艦ヤマト2199 星巡る方舟』を魅力を解説。そして内田も「オリジナルのヤマト世代からのファンの方々も、そして『2199』からファンになって下さった方々…すべてのヤマトファンの方々に贈る……オリジナル!」と語り「完全オリジナルとなっていますので、どなたが見ても手に汗握る展開になっていると思います」とアピールしている。『宇宙戦艦ヤマト2199』は、1974年に放送された『宇宙戦艦ヤマト』(読売テレビ・日本テレビ系)第1作をベースに、出渕裕総監督ら新たなスタッフで制作された完全新作アニメーション。2012年より全七章にわたるイベント上映と劇場限定版Blu-rayの同時発売、さらにVODと、これまでのアニメーションシリーズとは異なる展開を行い、開始1年半で経済圏100億円を突破した。また、2013年4月~9月に放送されていたTVアニメ『宇宙戦艦ヤマト2199』全26話の特別総集編で、シリーズ初の5.1ch化、さらに追加カットや新たな視点で再構成された『宇宙戦艦ヤマト2199 追憶の航海』が、全国で順次上映中。完全新作劇場版となる『宇宙戦艦ヤマト2199 星巡る方舟』が、12月6日より全国公開される。(C)西﨑義展/2014 宇宙戦艦ヤマト2199 製作委員会(C)2012 宇宙戦艦ヤマト2199 製作委員会
2014年11月22日あなたは、大切な人のために、自分をどこまで犠牲にできますか? 地球に危機が迫り、人類と愛する娘の未来のために主人公は宇宙へ旅立つ――11月22日に公開される映画『インターステラー』は、大切な人と映画館で観て欲しい絶対泣ける感動作です。今回、ウーマンエキサイトの読者代表として集まっていただいた、2児の母親でもあるビューティーコンサルタントの土屋香織さん、ヨガインストラクターの渡辺由布子さん、会社員の原田あかねさん、会社員の佐藤里香さんの4人も涙した、この冬話題の映画の見どころについて語って頂きました。父と娘の“愛と絆の物語”に涙! 涙! ――『インターステラー』をご覧になった感想を教えてください。原田:愛する家族と地球を救うため、家族を残して旅立つ主人公クーパーと娘マーフの絆の描かれ方に感動しました。本当に泣きました。佐藤:ラストが感動的。宇宙で起こっていたことと、親子の物語がつながっていくところにぐっときました。 土屋:宇宙をテーマにした作品はあまり観たことないのですが、この作品はあっと言う間に観ることができました。私は、二人の子供がいるので、親子愛にすごく感動しました。――みなさん、共通して“親子愛”に感動していますね。どのシーンが泣けましたか? 原田:私は主人公クーパーが、子どもたちを救うため宇宙飛行士として宇宙へ旅立つことを決意したシーンです。『行かないで』って引き止める娘マーフの気持ちが痛いほど伝わってきました。子役の子は、すごい演技だったと思います。佐藤:私もそのシーンから、涙腺がゆるみはじめました。娘が怒る気持ちわかるなあって。土屋:あと、お父さんが宇宙に旅立ったあと家族とやりとりをするビデオレターのシーンも泣けました……。 渡辺:そうそう、お父さんは旅立ったときと変わらない姿だけど、残された子どもたちは……。あのシーンは衝撃的です。切なくなりました。 信念があって、純粋で。結婚するなら、こういう人がいい――それでは、キャストについて伺います。主人公クーパーを演じるマシュー・マコノヒーはいかがでしたか? 渡辺:実は最初、あまりピンとこなかったんです(笑)。でも次第に親しみが沸いてきて、お父さんにもお兄ちゃんにも恋人にも照らし合わせることができるような、ニュートラルな雰囲気が魅力だと思いました。土屋:役にあっていましたよね。いいお父さんって感じがすごくしました。佐藤:車でコーン畑に突っ込んでいったり、娘の担任を言い負かしたり、世間の常識に囚われず、自分の信念が強い人だと思いました。家族だったら心強いだろうし、知れば知るほど好きになりそうな人だと思いました。原田:確かに! 私も実は最初はこの人、苦手かも、って思っていたのに、物語が進めば進むほど素敵だなって思いました。信念があって、純粋で。結婚するなら、こういう人がいいなって思いました。渡辺:頼りがいがすごくあるよね。土屋:そうそう、この人だったら地球や子どもたちを救ってくれるに違いない! という説得力がすごくありました。 ――もし自分の大切な人が、彼のように宇宙に旅立つと言ったらどうしますか? 一同:止めます!! ――みな同じ意見なんですね(笑)。渡辺:地球の未来よりも、自分や自分の周囲の人の幸せの方が大事だと思うので…。原田:死ぬなら一緒がいいです。最後まで一緒にいたいです。佐藤:私も一緒がいいです。最後に離れ離れだなんてつらすぎます。土屋:私もそう思う! 最後の瞬間は大切な家族と一緒にいたいので、父クーパーを止める娘マーフの気持ちがすごくわかります…。――アメリア役のアン・ハサウェイはいかがでしたか? アカデミー賞主演女優賞を受賞した『レ・ミゼラブル』以来の出演作ですが。渡辺:アン・ハサウェイ大好きです。『プラダを着た悪魔』も『ラブ&ドラッグ』など、どんな作品でも彼女に目がいってしまいます。土屋:華があって素敵ですよね。宇宙船に乗るのは男性クルーばかりだったので、なおさらアンに目がいってしまいました。佐藤:黒髪のショートヘアと黒い服で、ファッションに派手さはなかったけど、出てきた瞬間、かわいい~! とテンションが上がりました。今回の役はすごく知的でクールな感じが新鮮でした。原田:そうそう、責任感がある強い女性という感じがして、その点でもかっこいいなと思いながら見ました。デートムービーにぴったり! 大切な人と観に行って! ――『インターステラー』は“惑星間移動”という意味があります。この作品の背景である地球滅亡のステップや宇宙の描写はいかがでしたか?原田:温暖化は年々深刻になっているし、遠い未来からもしれないけど、地球が滅亡する可能性はあるのかもしれないと改めて思いました。渡辺:これ以上地球を壊さないように! って訴えているのかも。地球の未来を考えさせられました。土屋:そういうメッセージ性の高さも魅力ですよね。佐藤:宇宙空間で急に無音になったりするところが、すごい臨場感でした。宇宙ってこんななのかな…? と。――この作品を友だちや周囲の人にオススメするとしたら? 佐藤:親子愛も見どころだけど、頭のいい子にオススメしたいです(笑)。原田:ねー(笑)。宇宙や科学とかが好きな人もすごく楽しめそう。私は主人にオススメしたいです。熱血漢でちょっと主人公のクーパーに似ているので、号泣しながら観そう(笑)。渡辺:宇宙の冒険ものとしても、ヒューマンドラマとしても男性はすごく楽しめると思うので、女子だけで、というより、デートムービーにぴったりだと思います。佐藤:観終わった後に彼に感想を聞いて、子どもに対する考え方とか、人類を救うために宇宙に行くのか、行かないのかとか、いろいろ聞いてみたいですね。彼をもっと知るいいチャンスかも(笑)。土屋:私は小学生の娘と一緒に観たいと思いました。一緒に宇宙について勉強してから行くのもいいかも。男の子は宇宙飛行士になりたいって言いそうですよね。原田:子どもがいる人はすごく共感しそうだし、より泣けそうですね。映像も美しく迫力があって、こういう映画こそ映画館がいいと思います。 ――みなさん、長い時間ありがとうございました! 普段、宇宙を舞台にした映画は観ないという読者の皆さん。主人公とともに繰り広げるハラハラドキドキの冒険、迫力のある美しい映像、そして最初から最後まで泣かせてくれる父と娘のドラマ、多くの共感が詰まった感動作です。想像を超えるクライマックスに、観終わったあと思わず語りたくなるはず! そんな映画を、ぜひ劇場で大切な人と一緒に観てください。『インターステラー』11月22日(土)新宿ピカデリー他全国ロードショー 公式サイト 配給:ワーナー・ブラザース映画(C) 2014 Warner Bros. Entertainment, Inc. and Paramount Pictures. All Rights Reserved.
2014年11月21日12月6日から全国公開されるアニメーション映画『宇宙戦艦ヤマト2199 星巡る方舟』と宮城県・仙台市交通局のコラボレーションを果たし、地下鉄を使用したスタンプラリーやパネル展の実施が決定した。スタンプラリーは、仙台市の地下鉄6駅間(泉中央駅、旭ヶ丘駅、勾当台公園駅、仙台駅; 河原町駅、長町南駅)で実施され、各駅に設置されているラリーポイントを回ってスタンプを集めると、先着でグッズがプレゼントされる。また、仙台駅コンコースでは『宇宙戦艦ヤマト2199』のパネル展を展開。ともに実施期間は、11月22日~12月19日となる。さらに、『宇宙戦艦ヤマト2199 星巡る方舟』の公開日と同日の12月6日には、仙台市の地下鉄でサービスがスタートするICカード乗車券「icsca<イクスカ<」とコラボしたオリジナル動画も展開。映像では、沖田十三艦長が仙台市民に「icsca<イクスカ<」の使用を説き、スターシャ女王がメッセージ映像を発表する内容で、期間中に地下鉄駅構内の改札上液晶表示器、駅構内放送、交通局ホームページやYouTubeなどで放映されるという。『宇宙戦艦ヤマト2199』は、1974年に放送された『宇宙戦艦ヤマト』(読売テレビ・日本テレビ系)第1作をベースに、出渕裕総監督ら新たなスタッフで制作された完全新作アニメーション。2012年より全七章にわたるイベント上映と劇場限定版Blu-rayの同時発売、さらにVODと、これまでのアニメーションシリーズとは異なる展開を行い、開始1年半で経済圏100億円を突破した。また、2013年4月~9月に放送されていたTVアニメ『宇宙戦艦ヤマト2199』全26話の特別総集編で、シリーズ初の5.1ch化、さらに追加カットや新たな視点で再構成された『宇宙戦艦ヤマト2199 追憶の航海』が、全国で順次上映中。完全新作劇場版となる『宇宙戦艦ヤマト2199 星巡る方舟』が、12月6日より全国公開される。(C)西﨑義展/2014 宇宙戦艦ヤマト2199 製作委員会
2014年11月19日12月6日から全国公開されるアニメーション映画『宇宙戦艦ヤマト2199 星巡る方舟』のメインテーマ曲「宇宙戦艦ヤマト2199」に、世界的なヴァイオリニスト・葉加瀬太郎氏が参加することが明らかになった。メインテーマ曲「宇宙戦艦ヤマト2199」は、本シリーズの編曲を手がける宮川彬良氏が作曲・編曲を行い、ヴァイオリン演奏を葉加瀬太郎氏が担当するという奇跡のコラボレーションが実現。初めて企画を聞いた時に信じられなかったという葉加瀬氏は、「『歌のイメージが強いこの曲をヴァイオリンで弾くなんて、なんてことを考えるんだろう!』と驚かされましたし、同時に『子供のころに夢中になっていたヤマトのあのメロディーを弾けるんだ』とわくわくしました」と名誉を感じたという。続けて葉加瀬氏は「昔のイメージがありながらも、今でなければできない音をどうしても作りたかった」と感じており、楽曲については「パッと聞いたらすごく懐かしいけれど、よくよく聞くとすごく刺激的な感じ」と表現。「だから、ビートも入っているし現代的なリズム感も入っているのですが、宮川彬良さんの重厚さや、ヤマトの世界観も全部ひっくるめて、すべてを踏襲するようなものにしました」と語っている。また「ゴージャスなオーケストレーションの中で、一本のヴァイオリンでメロディーを奏でなければならないため、そのオケに太刀打ちできるよう"一音入魂"で挑みました」「歌声のイメージが強い曲なので、音階をどう歌詞に結び付けるかというのも本当に大変でした」と明かしている。また、企画プロデューサーの西崎彰司氏は、「このサウンドであれば、昔からのファンも、『2199』でファンになった方たちも、十分に喜んでいただけると思います」と、仕上がったサウンドに感激したという。本楽曲は、「レコチョク」「iTunes」「mora」などの音楽配信サイトにて12月3日より配信スタートする。そして、葉加氏は、自ら音楽総監督を務める音楽レーベル「HATS」のレーベルメイトたちと『ヤマト』の名曲をイメージカバーしたCD『宇宙戦艦ヤマト2199 40th Anniversary ベストトラックイメージアルバム』を12月3日に発売する。本アルバムには、『宇宙戦艦ヤマト2199 星巡る方舟』のメインテーマ曲「宇宙戦艦ヤマト2199」をはじめ、「真っ赤なスカーフ」や「ヤマトより愛をこめて」などの名曲をカバーした全13曲を収録。封入特典には、岬百合亜役の内田彩と桐生美影役の中村繪里子がパーソナリティを務める「YRA ラジオヤマトHATS 特別編」も収められるという(2015年5月31日までの期間限定)。価格は3,240円。『宇宙戦艦ヤマト2199』は、1974年に放送された『宇宙戦艦ヤマト』(読売テレビ・日本テレビ系)第1作をベースに、出渕裕総監督ら新たなスタッフで制作された完全新作アニメーション。2012年より全七章にわたるイベント上映と劇場限定版Blu-rayの同時発売、さらにVODと、これまでのアニメーションシリーズとは異なる展開を行い、開始1年半で経済圏100億円を突破した。また、2013年4月~9月に放送されていたTVアニメ『宇宙戦艦ヤマト2199』全26話の特別総集編で、シリーズ初の5.1ch化、さらに追加カットや新たな視点で再構成された『宇宙戦艦ヤマト2199 追憶の航海』が、全国で順次上映中。完全新作劇場版となる『宇宙戦艦ヤマト2199 星巡る方舟』が、12月6日より全国公開される。(C)西﨑義展/2014 宇宙戦艦ヤマト2199 製作委員会(C)2012 宇宙戦艦ヤマト2199 製作委員会
2014年11月14日宇宙には必ず終わりが訪れるという。それはいつ、どのように迎えるのか。宇宙誕生の秘密とその仕組みを解き明かすシリーズ番組「解明・宇宙の仕組み」のシーズン3が、7日からドキュメンタリーチャンネル「ディスカバリーチャンネル」でスタート(毎週金曜23:00~)。14日の番組では、「宇宙の終わり」をテーマに「明日にも人類が滅亡する可能性もある」という衝撃の仮説を、宇宙学者や天体物理学者ら複数の専門家の意見を交えて検証する。宇宙滅亡の鍵を握るのは、収縮させる「重力」と時空の「膨張力」。重力が勝れば宇宙は収縮を繰り返して超高密度の火の球になり、逆の場合は限りなく冷え込んでいく。この両者の綱引きで膨張力が勝った状態を「ビッグフリーズ」、重力が勝った状態を「ビッグクランチ」と呼び、釣り合った場合はそのままの状態が保たれる。現在はこの均衡状態にあるといわれている。太陽は天の川銀河を形作る2千億個の恒星の1つにすぎず、天の川銀河も直径900億光年以上の広がりに散らばる無数の銀河の1つにすぎない。番組は、巨大な銀河から小さな原子までもが「いずれ死を迎える」と断言している。そのはじまりは138億年前。高温で高密度の小さな一点が突然急膨張をはじめた。この「ビッグバン」からすべての物が生まれ今でも時空自体を膨張させているが、絶妙な加減の重力が働いていたことから、現在まで宇宙は均衡を保っている。40年前までは、ビッグフリーズとビッグクランチのどちらも起こらないとする説が主流だったが、1970年代にダークマターが発見されたことで状況は一変する。それは光を発することも反射することも、遮ることもない謎の物質で、宇宙をつなぎとめる役割を果たす一方、破滅の危険ももたらしている。つまり、大量の物質であるダークマターが存在していることで重力が優位になり、ビッグクランチ説が有力に。ところが、90年代になると宇宙の膨張を加速させる謎の"ダークエネルギー"の存在が判明する。正体不明のそのエネルギーは物理学史上最大の謎と言われ、真空そのものに存在する。重力に反発するエネルギー、いわゆる「反重力」の作用をもたらしていると考えられており、NASAが最先端の機器で宇宙に存在するダークエネルギーの量を調べたところ、全体のほぼ4分の3を占めていることが明らかになった。しかも、そのエネルギーは宇宙の膨張に伴って増え続けているという。球を頭上に投げた時と同じように減速していくと思われた宇宙の膨張が、加速しているという現実。この物理の法則に反した現象が、このエネルギーに関係するいわれている。宇宙を膨張させるダークエネルギーの存在が分かったことから、ビッグクランチ説は消滅。空間とダークエネルギーの関係が対等なら、宇宙は一定の速度で膨張し続け、ビッグフリーズに終わる。しかし、ダークエネルギーの増加率が上回れば、別の結末が待ち受けている。「ビッグリップ」は、「すべてが引き裂かれる」という新たな説。最後の数分で宇宙のすべての星や惑星が破壊され、その残骸が小さなかけらとなる。原子が破壊され光子が残り、最終的には時空すらも引き裂き、現実が消滅。宇宙の終わりは、ビッグリップか、それともビッグフリーズか。いずれにせよ、このダークエネルギーの性質を解明しない限りは、正確な「宇宙の最終章」を描くことはできない。現在、最も有力視されているシナリオがビッグフリーズで、気の遠くなるような時をかけて、冷え切った死を迎えるというもの。それを唯一打ち消す可能性があるといわれているのが「相転移」と呼ばれる現象だ。水の温度を下げると氷になるような物質の変化を指し、真空でもそのような現象が起こり得るとされている。真空からエネルギーが相転移によって放出されると、物理の法則が崩壊。新たな宇宙の"泡"が古い宇宙を一気に飲み込み込んでしまう。ビッグバンの瞬間から、1兆分の1秒にも満たない間に何かが相転移を引き起こし、すべてを破壊しながら急激に膨張した結果、現在の宇宙が誕生したとされている。今、われわれが目にしているものは、すべてそのエネルギーが作り出したもの。古い宇宙が持っていたエネルギーは新しい宇宙を作るために使われ、残ったものがダークエネルギーとも考えられる。相転移をもたらす"泡"は宇宙を光の速さで駆け抜け、膨張する泡が届いた途端に、惑星も星雲も銀河も破壊されてしまう。そして、古い宇宙から新しい物理の法則をもった新宇宙が誕生。それは意識しない一瞬の出来事。物理の法則が変わった瞬間に、すべてが消滅する時を迎えるということになる。この相転移がいつ起こるかは想定できないが、発生確率を予測することはできる。可能性としては、100億年か200億年に1度起こるとされていることから138億年が経過した現在の宇宙で起こっていないのは幸運ともいえる。宇宙学者のローレンス・クラウスは番組の最後でこんな言葉を残している。「ダークエネルギーの正体が分からない限り、何も定かなことは言えません。宇宙の将来をはじめ、多くのことが謎のままです。だからこそ、胸が躍るんです」。(C)2014 Discovery Communications, LLC.
2014年11月13日「宇宙戦艦ヤマト」のTVシリーズ第1作をベースに、新たなスタッフで制作した「宇宙戦艦ヤマト2199」のすべてが詰まったムック本『宇宙戦艦ヤマト2199ぴあ』が11月26日(水)に発売される。イラストギャラリーをはじめ、ヤマト第1作を現代的にリメイクしたTVシリーズ(2013年)クロニクル、10月公開の総集編となる映画「追憶の航海」解説、そして12月6日(土)公開の完全新作映画「星巡る方舟」の新設定完全紹介など、「2199」シリーズの魅力を凝縮。新作映画の総監督を務める出渕裕や、総集編のエンディング主題歌を唄う水樹奈々、中村繪里子、内田彩ら豪華声優陣のインタビューも満載で、表紙はTVシリーズのエンディングイラストを手がけた漫画家・麻宮輝亜による最新描き下ろしとなっている。現在「BOOKぴあ」では、予約購入者特典として表紙イラストのオリジナルクリアファイルがもらえるキャンペーンを実施している。■『宇宙戦艦ヤマト2199ぴあ』2014年11月26日(水)発売1350円(税込)ぴあ<コンテンツ内容>◎「宇宙戦艦ヤマト 2199 星巡る方舟」新設定全紹介◎7大スペシャルインタビュー・出渕 裕総監督・結城信輝・宮川彬良・山寺宏一・水樹奈々・中村繪里子・内田 彩◎描き下ろしイラスト◎濃縮「宇宙戦艦ヤマト 2199」クロニクル◎「2199」プラモデル完全ガイド他※麻宮騎亜描き下ろしB3ポスター付★BOOKぴあ予約購入特典★麻宮輝亜描き下ろし表紙イラストのオリジナルクリアファイルプレゼント(送料無料)■『宇宙戦艦ヤマト2199 星巡る方舟』12月6日(土)より公開
2014年11月13日宇宙航空研究開発機構(JAXA)宇宙科学研究所と東北大学は11月7日、宇宙赤外線背景放射にこれまでの予測を超える大きな「空間的ゆらぎ(まだら模様)」が存在することを発見したと発表した。同成果はJAXAと東北大のほか、米カリフォルニア工科大学や韓国天文宇宙科学研究院などとの協力のもとで実施した実験によるもので、11月7日付け(現地時間)の米科学誌「Science」に掲載された。今回の発見は、アメリカ航空宇宙局(NASA)の今回の成果は、NASA の観測ロケットを用いて2009年から実施しているCIBER実験のうち、2010年7月と2012年3月に撮影した赤外線観測画像から得られたもの。CIBER実験とは、すばる望遠鏡などの大きな望遠鏡を用いても詳しく観測することが難しい初期の銀河を観測するための観測手法。近傍から遠方宇宙までの天体の光が足し合わされた宇宙赤外線背景放射をまとめて観測する。その中から、明るさ(放射の強さ)の空間分布パターンの「まだら模様」を検出することで、観測された明るさから太陽系内の影響を取り除きやすくなり、観測対象である銀河系外からの放射成分を抽出することができる。個別に分解できる前景の明るい星や銀河を取り除いた後の画像には、空間的に広がった宇宙赤外線背景放射の「まだら模様」のパターンが現れる。発見された「まだら模様」を分析したところ、その大きさが知りうる限りのすべての銀河を考慮した予測値の2倍以上も大きいことが判明。条件的に既知の天体の影響では説明できないため、未知の放射成分が関係している可能性があるとういう。同研究チームはすでに、銀河の周囲にあり、ダークマター(暗黒物質)が広く分布しているハローという領域に、銀河同士の過去の相互作用により放出された多数の星が存在し、それらの光が今回観測されたような「まだら模様」を作り出すのではないかという仮説を立てている。現在、CIBER-2が進行しているとのことで、望遠鏡の口径を3倍にしてさらに精度の高い宇宙赤外線背景放射の「まだら模様」の測定を実施する予定だ。目標は、銀河ハロー星の仮説の検証を行うとともに、その向こうに見え隠れしている宇宙初期の「まだら模様」の成分も検出することだという。
2014年11月07日