ビジネスの視点から、いまの日本のエンターテインメント業界を俯瞰してみるといったい何が見えるのか。さまざまなエンタメコンテンツを抱え、ブームを生み出している仕掛け人・木谷高明さんに話を聞いた。“どんなコンテンツも人の熱には敵わないんです”カードゲームが軸の会社としてスタートしたブシロードが、いまアニメをはじめ、音楽やプロレス、劇団とさまざまなエンターテインメント事業に参画している。その仕掛け人が、コンテンツ開発の最前線に立つ木谷高明さん。「人が感動するのは、キャラクターとストーリー。それはアニメもスポーツも同じです。エンターテインメントがなくても人は生きられるし、楽しいことはいくらでも見つかります。ただ日常で笑うことはあっても、感動したり泣くことってめったにない。じつは人は感動したり泣いたりしたいんだと思っていて、そのために非日常のエンターテインメントが求められている。感動や涙を誘発するには共感が一番で、そこにキャラクターやストーリーが必要なんです」ブシロードがいま重点を置いて進めているのが、デジタル施策とライブ施策のふたつ。「デジタルにすればオンライン化でき、オンラインにすればグローバルになる時代。あるコンテンツを素早く、広い範囲や多くの人たちに拡散するのにデジタルほど有効なものはありません。ただ、どんなに練られたデジタルコンテンツも、人の持っている熱には敵わない。それだけ生のライブ感というのは、惹きつける強力なパワーがある。まず熱狂を巻き起こす火種として、ライブというのはとても有効な手段だと思っています」現在の主要コンテンツには、ミュージカルとアニメを連動させた『少女歌劇 レヴュースタァライト』(以下、スタァライト)や、アニメやゲームなどメディアミックスで展開する次世代ガールズバンドプロジェクト・BanG Dream!(以下、バンドリ!)、近年の日本のプロレスブームを牽引している新日本プロレスなどがある。スタァライトは演劇で、バンドリ!はライブで、新日本プロレスは試合で熱狂を生み、その熱をアニメやゲーム、映像配信サービスに引き継いで、人気を全国に、そして海外に拡散させている。「じつは熱狂を呼ぶのは熱狂なんです。ただ、その前提にコンテンツが魅力的であることが重要。例えばいま、新日本プロレスが多くの支持をいただいているのも、もともとプロレスにはそれだけのポテンシャルがあったからです」長く低迷していたプロレス人気を復活させたのは、新日本プロレスであり、’12年にその親会社となったブシロードだ。自身もプロレスファンだった木谷さんが人気回復のために最初に行ったのは、大規模なプロモーション活動。「トレンドを自分たちで作ったんです。それが、かつてのプロレスファンが戻ってくるきっかけになりました。観客が増えると、レスラーというのは自然と体から色気が出てくるもので、当然試合の質も上がる。それを観た人たちの熱狂が、また新たな観客を呼び込んでくれる。そのループがうまくでき上がったら、あとはコンテンツの質を落としさえしなければ順調に回っていくんです」かつてのプロレスブームは男性が中心だったが、いま新日本プロレスの会場は約半数を女性や子供が占めるようになっている。「これまでの経験上、女性や子供に受け入れられたらコンテンツは圧倒的に強いんです」そんなブシロードの、未来を見据えたこの先の戦略とは?「いまの若い人は、アメリカや中国の資本をかけて構築したコンテンツを見慣れている世代です。グローバルな視点で企画されたコンテンツ創りを考えています」きだに・たかあき株式会社ブシロード取締役・デジタルコンテンツ部本部長・広報宣伝部部長、株式会社ブシロード ミュージック代表取締役社長1960年生まれ、石川県出身。証券会社を経て、’94年に株式会社ブロッコリー、’07年に株式会社ブシロードを設立。’12年に新日本プロレスを子会社化。以前よりファンだったプロレスをビジネスの視点から捉え、多彩な戦略で現在のプロレスブームを牽引。’17年に株式会社ブシロードの代表取締役社長を自ら辞し、現職に。※『anan』2020年1月15日号より。写真・土佐麻理子取材、文・望月リサ(by anan編集部)
2020年01月14日「ミルキィホームズ 2016 大! プロジェクト発表会」が2016年1月20日、秋葉原・ベルサール秋葉原で開催され、パチスロ『探偵歌劇 ミルキィホームズTD 消えた7と奇跡の歌』の制作や、5月に幕張イベントホールでの2daysライブ「ミルキィホームズ 総天然色祭」開催などが発表された。2月27日に『劇場版 探偵オペラ ミルキィホームズ 逆襲のミルキィホームズ』が公開される直前ということもあり、このタイミングでの発表内容が注目された。会場のベルサール秋葉原は、真冬の半屋外という環境にもかかわらず多くのミルキィファンでぎっしり。発表会冒頭にはブシロードの代表取締役社長で、プロジェクトミルキィホームズ製作総指揮の木谷高明氏が登場。「ミルキィのプロジェクトが始まって6年、年を取るわけですね。今日は映画化を中心とした様々な情報を発表したいと思います」と挨拶。木谷社長はミルキィホームズプロジェクトが最初に目指したものを振り返り、「声優さんの個性、職能領域が広がればいいなと考えていました。彼女たちにはそれぞれの個性を活かして、声優業界のSMAPになってほしかったんです。だから今4人が様々なフィールドで活躍してくれているのがとても嬉しいです」と語った。ここでステージには三森すずこ、徳井青空、橘田いずみ、佐々木未来がミルキィホームズの原点とも言える探偵服で登場。舞台には4つのくす玉が登場し、それぞれのくす玉から現れる4つの目玉を軸に発表会は進行した。一つ目のくす玉の中身は「新プロジェクト」。最新PVのラストで、新プロジェクトの内容がパチスロ化であることが明かされると会場には驚きのどよめきが上がった。タイトルは『探偵歌劇 ミルキィホームズTD 消えた7と奇跡の歌』。中村伸行総合プロデューサーは「パチスロは普通コンテンツの最後の時期に作られることが多いんですが、これからもまだまだミルキィが続いていく今のタイミングで面白いものを作って風穴を開けたかった」と、ミルキィだからこそできるパチスロ作りへの意欲を語った。『探偵歌劇 ミルキィホームズTD 消えた7と奇跡の歌』は新規録りおろしボイス5000ワード以上、キャラ数50人以上、楽曲22曲以上収録、アニメーションも描き下ろしと、コンテンツとして見ても非常に充実した内容で、それだけの内容を盛り込むために筐体も改造してもらったとのことだ。ステージでは4人によるサンプル筐体試遊も行われ、力を合わせて野菜を引っこ抜いたり、エリーが格ゲーのボーナスステージ風に車を破壊したりと、ミルキィならではの演出が垣間見えた。二つ目のくす玉の中身は「ライブ」。4月20日にセカンドアルバム『総天然色(フルカラー)』をリリースし、同アルバムを中心に据えたライブ「ライブ ミルキィホームズ 総天然色祭」を5月14日・15日に幕張イベントホール2daysで開催することが発表された。三つ目のくす玉の中身は「先行上映」。2月27日公開の『劇場版 探偵オペラ ミルキィホームズ 逆襲のミルキィホームズ』の冒頭7分間が会場のみで特別上映された。グンマを舞台にミルキィホームズ、怪盗帝国、G4が入り乱れる様子はミルキィらしい楽しさと劇場版ならではのクオリティで、完成が楽しみになる7分間だった。上映後には劇場版の桜井弘明監督が登壇。「1期2期の頃の元気でおバカなミルキィを作ろうと思いました」とコンセプトを語っていた。2月17日には新宿バルト9にて「完成披露上映会」を行い、ミルキィホームズの4人と桜井弘明監督が登壇する。また、上映初日の2月27日と翌28日には各地で舞台挨拶を開催することも発表された。四つ目のくす玉の中身は「再会」。声優バラエティ番組『みるみるミルキィ』新シリーズが2016年4月より放送されることが発表されると、会場からはこの日一番とも思える歓声が上がっていた。発表会の後半にはミルキィメンバーによる書き初めが行われ、三森は「コツコツがんばる一年」、徳井は「ハッピードリームクリエイター」、橘田は「尖(とん)がる」、佐々木は「何でもやってみる」を今年の意気込みとして掲げていた。ミルキィチーム全体の今年の方針として公開された巨大な書の文字は「鋭」の文字だった。発表会のラストはミニライブ。4人が披露したのは劇場版主題歌「激情! ミルキィ大作戦!」と原点の楽曲「正解はひとつ! じゃない!!」で、会場のファンも屋外の凍えるような寒さを吹き飛ばすような熱量を見せていた。発表会中には、『ミルキィホームズ』を最初期から手がけ、支えてきた中村伸行統括プロデューサーの退任と、岡田太郎新統括プロデューサーへの引き継ぎが発表された。中村氏は「6年間ミルキィに携わらせて頂いて、何もわからないところからのスタートでした。6年間やってきて残ったのは、楽しいという気持ちです。本当に感謝感謝の気持ちしかありません。ここまでやってきたのは、この4人(声優)と一緒でなければ無理だったと思います。私は一歩引く形になりますが、これからも『ミルキィホームズ』は最前線に立ち続けますので、みんなのことを応援してあげてください。今まで本当にありがとうございました」と退任の想いを語っていた。後任で、これまで『ミルキィホームズ』のライブ関連中心に携わってきた岡田氏は「中村さんと同じことはできませんが、『ミルキィホームズ』に対する愛情だけは負けないように、熱い気持ちを持って『ミルキィホームズ』爆進していきたいと思います」と気持ちを引き締めている様子だった。
2016年01月21日ブシロードとバンダイビジュアルによる新プロジェクト『ラクエンロジック』の発表会が17日、都内・秋葉原UDXシアターで開催された。『ラクエンロジック』は、アニメとトレーディングカードゲーム(TCG)で展開されるプロジェクト。アニメは2016年1月9日よりTOKYO MXほかで放送が開始される。イベント冒頭には、ブシロード代表取締役社長の木谷高明氏が登壇。「このアニメとTCGは合体・トランスというものをテーマにしています」と趣旨を説明。ブシロード、バンダイビジュアルに加えアニメーション制作を動画工房、音楽をランティス、TCG制作を遊宝洞、世界観協力をニトロプラスが担当するという6社による大プロジェクトであることが明かされた。さらに木谷社長は「この作品はカードゲームが売れ続けさえすれば、アニメーションは年に一回ぐらいずーっと永遠に続くぞというビジネススキームになっています。当初は3カ月アニメですが、カードゲームショップの方や流通関係の方に頑張ってカードゲームを売っていただいて、"永遠に続くアニメ"にしたいと思います」と語った。第一部のアニメーション紹介パートには、『ラクエンロジック』原案・脚本・シリーズ構成の高橋悠也氏と、千明孝一監督が登場。高橋氏は作品について、「『ラクエンロジック』はLuck&Logic、運と論理を"モジった"タイトルです。大きな特色は合体(トランス)。そして特殊能力を持った少年少女と、異世界に住む神々・悪魔・獣といった人ならぬ存在がバディを組んで合体して、世界の平和を守る王道バトルファンタジーエンターテインメントです。また、TCGとアニメが企画段階から協力し、連動して進行していくことも大きな特徴になります」と解説した。千明監督は作品コンセプトについて、「僕は今まで何本か"飛行機械は二人でなければ飛べない"というテーマで作品を作ってきましたが、本作もバディ(パートナー)物というコンセプトを大事にしたいと思っています。ここ数年はアニメの世界で3DCGの進歩が著しく、本作でもキャラクターのアクションに3Dが使える幸運に恵まれました。2Dの技術と3Dのケレン味のあるアクションを組み合わせられたらと考えています。シリアスなだけでなく、コミカルな面でもキャラクターを生き生きと描きたいと思っています」と語った。発表会第一部にはTVアニメキャストから、剣美親(つるぎよしちか)役の小野賢章、アテナ役の上坂すみれも登場。小野はキャラクターのイラストを見て「強そう」とストレートなコメント。一方の上坂は「アテナさんは本来は神々しい女神さまのような姿をしているんです」と紹介した。今回ステージでは、以下のキャスト陣と主題歌が発表された。剣美親:小野賢章アテナ:上坂すみれ揺音玉姫:種田梨沙ヴィーナス:東山奈央クロエ・マクスウェル:徳井青空ヴァルキリー:小見川千明明日葉学:水瀬いのりアルテミス:折笠富美子ヴェロニカ・アナンコ:水野理紗ネメシス:橘田いずみ七星縁:愛美オルガ・ブレイクチャイルド:松岡禎丞ヤルノ現乃:郷田ほづみ剣しおり:茅野愛衣ピエリ:植田佳奈ロジグラフ:三森すずこルシフェル:鳥海浩輔OP主題歌:「STORY」小野賢章ED主題歌:「盟約の彼方」新田恵海主人公・剣美親役の小野賢章はOP主題歌も担当する。主題歌発表後にはED主題歌を担当する新田恵海も登場。新田は「『盟約の彼方』はアテナの想いに寄り添った曲で、私としても初めてのタイプの楽曲です」と意気込みを述べた。さらにステージでは、『ラクエンロジック』の今後の展開も発表。2015年12月31日19時~20時30分には、TOKYO MXにて『ラクエンロジック』特別番組を放送する。TCGの展開では、『ラクエンロジック』スタートデッキ2種とブースターパック第1弾が2016年1月28日に同時発売されるという。また、TVアニメ放送時には、本編放送1分前に女子高生TCGプレイヤー日常系ショートアニメ『私たち、らくろじ部!』が放送されることも明かされた。TCG『ラクエンロジック』を紹介する第二部にはブシロード営業本部の田中文啓プロデューサーが登場。「運」と「論理」の両方を大事にした基本システムと、「色」と「ワールド」でカードに特色を持たせた、自由度の高いデッキ構築の基本を紹介した。1月28日に発売予定の『ラクエンロジック』スタートデッキ2種は500円という格安価格で提供するほか、11月28日~12月20日には先行体験会ツアーを、1月1日~1月31日には初心者講習会を全国で実施して普及に努める。さらに第二部にはキャスト陣から小野賢章、上坂すみれ、種田梨沙、東山奈央、徳井青空、小見川千明、水瀬いのり、折笠富美子、愛美、植田佳奈が登場。第一部を動画で見ていたキャスト陣が控室で「かわいい!」と大騒ぎしていた話や、女性が多い収録現場で小野と松岡禎丞が所在なく静かにしている話などで盛り上がっていた。(C)Project Luck & Logic
2015年11月20日楽天の三木谷浩史社長と米セールスフォース・ドットコムのマーク・ベニオフCEOは4月8日、京都大学の「iPS細胞研究基金」へそれぞれ約2.5億円を寄付する事を発表し、都内で調印式を開催した。調印式には京都大学の山中伸弥教授と三木谷浩史社長が出席、マーク・ベニオフCEOは中継で参加した。2009年4月に設立された同基金はiPS細胞研究所において基礎から応用研究まで実施できる研究環境を整備し、研究の加速化を図ることを目的としている。寄付金は知的財産の確保と維持、優秀な研究者・研究支援者の確保、安定的な研究の推進、医療応用に向けた研究費としての支出などに使用されている。今回の件は、ベニオフCEOが来日した際に山中教授に資金援助を申し出たことがきっかけだという。その際、ベニオフCEOが「他に賛同してくれる人はいないか」と聞いたところ山中教授から三木谷社長の名前が挙がったという。会見で三木谷社長は「山中先生は研究者という立場を超えて再生医療の実現に向けて資金調達をやっておられる。国からの支援も制約があると聞いた。今回の寄付金でより自由に研究できるようになればといい」とコメントした。iPS細胞研究所は国から競争的資金という名目の援助を受けている。しかし、この資金で同研究所でかかる費用の全てをカバーできるわけでなはい。競争的資金では国から許認可を得る専門家、高度な実験を行う技術員などを有期雇用することしかできず、研究所の職員の9割が不安定な立場にとどまっているという。iPS細胞研究の医療応用を目指している同研究所にとって、優秀な研究者や技術員を確保できないということは大きな痛手だ。自身もマラソン大会に参加するなどして資金集めに奮闘している山中教授は「研究所では年間5億から10億円の資金が必要となる。今回の支援をいたたいだことは、研究にとって非常にありがたい。最大限有効に生かして臨床応用の実現に向かってこれからも頑張っていきたい」と感謝を述べた。
2015年04月08日