漫画家として活躍するカレー沢薫さんの連載コラム「アクマの辞典」このコラムは、ア行からワ行まで、女や恋愛に関する様々なワードをカレー沢さん独自の視点で解釈していきます。女の本性をあぶりだす新しい言葉の定義をとくとご覧あれ!■第41回アクマの辞典ガ行【グ】➤「偶然(運命)の出会い」(ぐうぜんのであい)今回のテーマはガ行から「偶然の出会い」だ。日本には根強い「天然信仰」がある。養殖より天然、どんな美人でも整形とわかるや否や、皆「これは偽物ですよ」と美味しんぼの山岡の顔になる。よって「出会い」も天然、つまり自然なほうがよいとされてきた。ベストなのは、学校や職場などの出会うことが一番の目的ではないコミュニティでの出会いである。それに対し「インターネットで知り合った」というのは、私たち世代では養殖の出会いであり、結婚式などでは「(出会い系の)紹介で知り合った二人」と、そこは省略されることが多かった。しかし、そう言った自然な出会い、つまり偶然の出会いにこだわり過ぎると、針に何も引っかからないまま、人生の日が暮れてしまう、というリスクがある。それに「偶然の出会い」と言っても、実は必然要素もあるのだ。魅力的な人間であれば、周りが勝手に「これは運命(偶然)の出会い」と感じて近づいてくるので「偶然発生率」が高くなる。だが、そうでない人間だと、自分が「ペロッ!これは運命!」と思わなければ、偶然の出会いは発生しないし、自分はそう思っていても相手は「この合コンが終わったら二度と会うことはないだろう」という別の運命を感じている可能性もある。偶然の出会いを発生させるにも成立させるにも、それなりの魅力が必要なのである。あまりそれがない人間は、「偶然の出会いが起こるのをひたすら待つ」のみで時間ばかりが過ぎ去っていき「お客さんそろそろ閉店時間なんで」と言われてしまうだけなのだ。偶然の出会いが勝手に起こらない人間が偶然を起こそうと思ったら、出会いがありそうな場に積極的に出向き、進んでコミュニケーションをとる。偶然発生率を高める努力が必要となってくるのだ。つまりやる気と行動である。しかし最近は、そういったやる気と行動力があるなら「出会いに繋がるかもしれない人と出会えるかもしれない場」のような「友達のいとこの夫の愛人である義父」のごとき遠い場所で無駄撃ちするより「出会いを求めている人が集まる場」で的確に狙ったほうがよいだろう、という風潮が強まってきている。つまり、本気で出会いたければ、むしろ早めに信用のおける出会いアプリや結婚相談所などの、ネットや業者を挟めということである。確かに、職場のような「自然な出会いの場」にだって、妻子持ちなのに恋愛しようとする人間は潜んでいるものである。自然な出会いの場のほうが、養殖場より魚の質がよい、なんてことはないのだ。そして、天然物より美味い養殖物はいくらでもある。よい出会いを求めるなら、逆に漁場にはこだわらないほうがよいだろう。【ガ】➤「学歴」(がくれき)…これと年収の落差がひどいと、ないほうがマシなぐらいモテない【ギ】➤「義父母」(ぎふぼ)…夫ガチャで引くと強制的に引かなければならないガチャ、1つでも爆死すると死につながる【グ】➤「偶然(運命)の出会い」(ぐうぜんのであい)…ライブで「俺のほう見た」と思うのと同じ、思うことが幸せ【ゲ】➤「下戸」(げこ)…酒が飲めるヤツがやる失態を犯さずに済む、むしろ得な人【ゴ】➤「誤送信」(ごそうしん)…「あえて誤送信」というLINEモテテクがある。お母さんにエロ画像を送ってしまったときも「あえて」と思おうプロフィールカレー沢薫漫画家、コラムニスト。1982年生まれ。2009年に『クレムリン』(講談社)で漫画家デビューを飾る。秀逸な言語感覚で繰り広げられる切れ味鋭い世界観が人気。こよなく猫を愛し、猫が登場する作品も多数。著書『ブスのたしなみ』(太田出版)も発売中。
2019年09月05日人気声優の中村悠一と沢城みゆきが、エリザベス女王の愛犬をモデルにしたアニメーション映画『ロイヤルコーギー レックスの大冒険』の吹き替えを担当することが決定。併せてメインビジュアルも到着した。ストーリーバッキンガム宮殿に住むロイヤルコーギーのレックスは、エリザベス女王のトップドッグとして、贅沢でわがまま放題のセレブ生活を送っていた。ある日、大事な晩餐会を台無しにしてしまったレックスは、仲間のチャーリーと共に宮殿を抜け出すことに!しかし、トップドッグの座を狙うチャーリーの裏切りによって、池に落とされてしまう…。初めての外の世界、家を失った犬たちが住むシェルターに保護されたレックスは、様々な問題に直面しながらも、仲間の力を借りて宮殿へ戻ろうと計画する。ところが、彼らの前にシェルターのボス・タイソンが立ちはだかる!レックスは無事女王の元へ戻ることが出来るのか――。本作は、英国のエリザベス女王が幼いころより飼育していた愛犬、ロイヤルコーギーを主人公のモデルに、わがままに育ったレックスが宮殿を飛び出し、初めて外の世界と出会う物語が描かれる。中村悠一、セレブな主人公に「生命力にあふれた作品」本作の主人公は、ロイヤルコーギーのレックス。エリザベス女王一番のお気に入り犬としてわがままに育ったセレブな犬だ。このレックスを演じるのは、「マクロスF」「曇天に笑う」「おそ松さん」などのアニメ作品をはじめ、クリス・エヴァンス演じるキャプテン・アメリカなどの吹き替えも担当する中村悠一。中村さんは「映像の中には『まるで本物のような』沢山の命があります。表情のひとつをとっても本当に生きているかのような、生命力にあふれた作品です」と作品について明かし、「時には本物の犬の様に、時には人の様に…?色々な面を見せてくれるコーギーたちのドラマを、是非劇場で楽しんでいただけると嬉しいです」とコメントしている。沢城みゆき「レックスは必聴」「ルパン三世」の峰不二子役などでお馴染み、『ペット』シリーズでもかわいい犬を演じた沢城さんが担当するのは、美しいペルシャ・グレイハウンドのワンダ。レックスが外の世界で出会うヒロインだ。沢城さんは「本当に1匹1匹、個性の違う魅力的なキャラクター達を、日本語版でも個性豊かなメンバーが集まり吹き替えています。“あの”悠一君のとっても可愛いレックスは必聴です…!お楽しみに!」と期待を煽るコメントを寄せている。ほかにも犬たちがたくさん!レックスと共に宮殿に住むコーギー役に落合弘治、岩崎ひろし、清水はる香。トランプ大統領夫妻が飼うコーギー役をたかはし智秋。レックスが外の世界で出会うシェルターに住む犬たちを、佐藤せつじ、後藤光祐、菊池通武らが務める。『ロイヤルコーギー レックスの大冒険』は10月25日(金)よりイオンシネマほか全国にて公開。(cinemacafe.net)
2019年09月04日漫画家として活躍するカレー沢薫さんの連載コラム「アクマの辞典」このコラムは、ア行からワ行まで、女や恋愛に関する様々なワードをカレー沢さん独自の視点で解釈していきます。女の本性をあぶりだす新しい言葉の定義をとくとご覧あれ!■第39回アクマの辞典ワ行【ワ】「割り勘」(わりかん)今回のテーマはワ行から「割り勘」だ。同性同士が集まった場合、そこに石油王でもまざっていない限り、会計はほぼ自動的に割り勘になる。しかし、石油王がまざっていたとしても、実はおごってやる必要などないのだ。石油王だって、誰よりも早くスマホの電卓で1円単位まで割りにかかったり、レジ前で「別々でお願いします!」とコールしても良いのである。このように、女だろうが男だろうが、年が上だろうが金を持っていようが「おごる義務」というのは誰にもないはずなのである、そうじゃないと自分が万が一金を持った時に困る。しかし、その場にいる人間は全員こう言うのである「石油王のくせに」と。そしてその内の半分がツイッターに書くはずだ。このように、おごる義務は誰にもないはずなのに「おごる、おごらない」は定期的にツイッターなどで話題になる、鉄板学級会ネタである。議題に挙がるのは大体「デートでのおごる、おごらない」だ。勢力は主に「デートでおごらない男ってなんなの?」派と「おごられて当然と思ってる女どうなん?」派に分かれる。ちなみに私は「部屋で一人で食うペペロソチーノ最高原理主義過激派」だ。だいぶ薄れてきたものの、未だにデートは「男がおごるもの」という風潮がある。だからこそ、おごられなかった女が「初デートなのにおごってくれなかった、ないわ」などと言う「開戦の詔」をツイッターに書き込み、議会が開廷されてしまうのだ。おごる、おごらないの話だけなら、「男だからといっておごらなければいけないということはない」というのが、ジェンダーフリー社会には相応しいのだろうが、そこに「恋愛」が絡むとそう簡単ではなくなる。単に、おごった、おごらなかっただけではなく、その「真意」を考えてしまうのだ。おごらなかった場合「お前に投資するつもりはない」つまり、つきあいたいとか、ヤリたいと思っているわけではない、と捉えることができる、つまり「脈なし」である。しかし、恋愛対象の女にしかおごらない、ということは「おごることに性的な見返りを求めている」ということでもある。こういうタイプにおごられると逆に厄介なことになるかもしれない。一方で、長く真剣につきあいたいからこそ、最初からおごらないことで「対等な関係」であると表明している、という説もある。それは良いのだが「わかりづれえ…」という欠点がある。なかなかそこまで読み取ってくれる女はいないだろう。また、おごらないことで反応を確認し、その女の“人となり”を見ている、という者もいる。それも、最初から「試し」をいれてくれる男はどうなんだ、という気がする。そこで「合格」したとしても、今後あらゆる面で「試される」ことは容易に想像がつくからだ。そして、おごられた場合も、ただ単におごってくれたのか、自分に気があるのか、もしくはヤりたいのか、などの可能性を考えないといけない。このように、おごられようがおごられまいが、モヤモヤしようと思えばいくらでもできる。つまり、これは「落ちている一円玉」なのだ。落ちている一円玉を拾うと、一円以上のエネルギーを使うから損、というように、おごる、おごられないでモヤること自体、たとえおごられていたとしても赤字なのではないだろうか。どんな高い飯でも最終的にウンコになる。たかだかウンコの素を1回おごられなかったぐらいでモヤる相手とは最初から食事に行かなければ良いのだ。高い飯をおごられるのではなく、他人にガタガタ言わずに自分の金で美味い飯をスカッと食えるのが良い女なのではないか。【ワ】➤「割り勘」(わりかん)公平なようで、酒を飲まない奴が根に持つシステム【ヲ】➤「ヲタ卒」(おたそつ)オタクは病(ビョウ)なので卒業はない、寛解と再発だけがある【ン】➤「んちゃ」(んちゃ)子どもだけでなく、30年前の不思議ちゃんも使ってたのではないかプロフィールカレー沢薫漫画家、コラムニスト。1982年生まれ。2009年に『クレムリン』(講談社)で漫画家デビューを飾る。秀逸な言語感覚で繰り広げられる切れ味鋭い世界観が人気。こよなく猫を愛し、猫が登場する作品も多数。著書『ブスのたしなみ』(太田出版)も発売中。
2019年08月21日漫画家として活躍するカレー沢薫さんの連載コラム「アクマの辞典」このコラムは、ア行からワ行まで、女や恋愛に関する様々なワードをカレー沢さん独自の視点で解釈していきます。女の本性をあぶりだす新しい言葉の定義をとくとご覧あれ!■第39回アクマの辞典ラ行【レ】「(セックス)レス」(れす)今回のテーマはラ行より「レス」だ。何がレスかというと「セックス」に決まっているだろう、言わせるな。セックスレスとは、単に個人がセックスしていないという意味ではなく、配偶者や恋人など、セックスしてしかるべき相手がいるはずなのに、長期間セックスしていない状態のことを指す。よって「セックスレス歴=年齢」みたいな使い方は正しくない。一般的に「セックスレス」とは、あまり良くない意味で使われている。「仲が悪いからセックスレスなのだ」もしくは「セックスレスが原因でこれから悪くなる」といったイメージがあるからだ。しかし「円満離婚」などの言葉がまかり通るなら「仲良しセックスレス」も十分通るはずだ。どこを、と言われたら困るが、お互いが「セックスするより犬に顔を舐められていたほうが良い」と思っていれば、それは「円満セックスレス」である。何事も「する」「しない」が問題ではない、そこで意見が割れてしまうのが問題なのだ。よって「深刻なセックスレス問題」とか「セックスレスは不和の原因」などというのは、顔を犬のツバだらけにして仲良くやっているレスカップルを「脅迫している」とも言える。そういうカップルが無理してセックスしても、多分良いことにはならない。セックスだろうが綱引きだろうが、やりたくないことを無理にやっていたら、仲良くなるどころか、悪くなるに決まっているのだ。パートナー間だけではなく、女性誌などの「セックス特集」は評価される一方で、「セックスしないとあっという間に更年期ヒスババアになっちゃうぞ」と、セックスしない女を脅す内容であるといった批判もある。娯楽やコミュニケーションが多岐に渡る現代において、セックスとは、人生をより良くするための選択肢の一つでしかなく、魅力を感じなければ無理に選ぶ必要はない。クリスマスイブはセックスしている人間が一番偉く、1人で明石家サンタを見ているヤツはかわいそう、という発想はすでに前時代的なのだ。人によっては、セックスより優れた明石家サンタがそこにあるのである。だが、片方は猛烈にセックスしたいが、もう片方は痛烈にしたくないといった「セックスレス」は確かに深刻な問題だろう、折衷案が見いだせない場合は「別れ」もやむなしかもしれない。性の不一致で離婚、などと言うと、カップルならともかく、セックスで離婚までするなよ、と言われてしまうかもしれないが「とにかくセックスが一番大事なんだ」というのも個人の大事な価値観である。負けないこと、投げ出さないこと、逃げ出さないこと、そしてセックス、相手が何を「それが一番大事」と考えているか、せめて結婚する前に確認しておくべきかもしれない。【ラ】➤「(一緒にいて)楽な人」(らくなひと)…好きなところは一つもないが、この一点だけで別れられないことがある【リ】➤「リバウンド」(りばうんど)…むしろダイエットはリバウンドするための「助走」【ル】➤「ルマンド」(るまんど)…「ブルボン界のセンター」というと、多数の中年から反論の声が上がる【レ】➤「(セックス)レス」(れす)…パートナーに「よそでしてきてよ」と言われても真に受けてはいけない【ロ】➤「ロリータ」(ろりーた)…高齢化社会、90歳で60歳とつきあうのはロリコンになるのだろうかプロフィールカレー沢薫漫画家、コラムニスト。1982年生まれ。2009年に『クレムリン』(講談社)で漫画家デビューを飾る。秀逸な言語感覚で繰り広げられる切れ味鋭い世界観が人気。こよなく猫を愛し、猫が登場する作品も多数。著書『ブスのたしなみ』(太田出版)も発売中。
2019年08月05日漫画家として活躍するカレー沢薫さんの連載コラム「アクマの辞典」このコラムは、ア行からワ行まで、女や恋愛に関する様々なワードをカレー沢さん独自の視点で解釈していきます。女の本性をあぶりだす新しい言葉の定義をとくとご覧あれ!■第38回アクマの辞典ヤ行今回のテーマはヤ行から「余計な一言」だ。余計な一言とは「逆画竜点睛」。バトル漫画としては最高なのに、作者がサービスのつもりで入れているパンチラシーンが邪魔すぎる、という「それのおかげで全部台無し」というヤツである。「余計な一言」は文字通り、一言でなければいけない。ベラベラと余計なことしか言わないヤツというのは逆に印象に残らないものだ。「立てば菜々緒、座ればガッキー、投げる姿は吉田沙保里」と途中までパーフェクトに褒めておいて、最後に一言「なのになんで嫁にいけないのかな~」でキメるのが正しい余計な一言である。こうすることにより、途中の褒めまで最後の落としを引き立てる「前フリ」でしかなくなり、相手に「すごく嫌なヤツ」と、より強い印象を与えることができるのだ。もちろん恋愛関係でも、余計な一言が発射されて空気がヒリつくことはよくあるが、その場合の余計な一言は「照れ隠し」のつもりで言われているケースもある。今は大分違ってきていると思うが、昔から日本人、特に男は欧米諸国に比べて、パートナーの女性のことを素直に褒めない傾向にあると言われていた。それどころか、人前で自分の妻を褒めるなんて恥ずべきこと、という風潮すらあり、その結果「うちの愚妻がお恥ずかしい」などという、悪い日本語が生まれてしまったのだ。ちなみに良い日本語は「小生の愚息も昇天」などである。その名残なのか「今日カワイイじゃん」と褒めた後でも照れ隠しかなんなのか「服が(笑)」というギャグとしても全く面白くない余計な一言を口にして「おっとやんのか?」という空気にしてしまうのである。ここで注目したいのが「ツンデレ」だ。既に消費し尽くされた古の萌えキャラという印象があるかもしれないが、これこそが「余計な一言」の逆の存在なのだ。ツンと言うのはいわば「嫌な態度」だ、これだけだと当然悪い印象を与えたままになる。だが、ツンを積み重ねた最後に「デレ」を繰り出すことにより、今までのツン全てがデレを輝かす布石となる。もちろんツンデレは二次元のみで許される存在であり、現実でやるとツンの時点で周りから人がいなくなるのだが、「最後はデレ(褒め)で締めるよう心がける」というのは現実でも使える。前述の会話で言うなら「今日服じゃん」からの「カワイイ(笑)」だ。このように全く意味不明なのだが、最後「カワイイ」という褒め言葉で締めるだけで、相手は少なくとも嫌な気にはならないはずである。照れ隠しというのは、相手が「照れ隠しだな」と気づいてくれるケースは稀で、大体は「余計な一言」なのだ。それを言わずにいられないなら「なにも言わない」という良い手段があるので試してみると良いだろう。【ヤ】➤「ヤフー知恵袋」(やふーちえぶくろ)…発言小町が胃にもたれてきたら、こっちを見る【ヰ】➤「ゐろは」(ゐろは)…ほへと、以外言うことが思いつかない【ユ】➤「百合」(ゆり)…「間に入りたい」と言った瞬間殺害されるジャンル【ヱ】➤「ヱロチック」(えろちっく)…自分をこう表現する女はエロいかもしれないが、面倒くさそう【ヨ】➤「余計な一言」(よけいなひとこと)…言葉をちょうどいいところで止められず必ず溢れさせるタイプ、無口のほうがマシプロフィールカレー沢薫漫画家、コラムニスト。1982年生まれ。2009年に『クレムリン』(講談社)で漫画家デビューを飾る。秀逸な言語感覚で繰り広げられる切れ味鋭い世界観が人気。こよなく猫を愛し、猫が登場する作品も多数。著書『ブスのたしなみ』(太田出版)も発売中。
2019年07月21日漫画家として活躍するカレー沢薫さんの連載コラム「アクマの辞典」このコラムは、ア行からワ行まで、女や恋愛に関する様々なワードをカレー沢さん独自の視点で解釈していきます。女の本性をあぶりだす新しい言葉の定義をとくとご覧あれ!■第37回アクマの辞典マ行【ム】「ムラムラ」(むらむら)今回のテーマはマ行から「ムラムラ」だ。その前にこの言葉は若人に通じているのだろうか、言葉と私の作る弁当は一瞬でも目を離すと腐っているので気が抜けない。「ムラムラ」とは、エロい気分になること、大塚明夫の声で言うなら「性欲を持て余す」状態のことである。つまりムラムラしたらそれを解消したくなる。その方法は、ソロやペア、団体戦までいろいろあるが、とりあえず満足いくまでエロいことをすればムラムラは消え去り、どこかのCEOかと見紛うばかりの「賢者タイム」が訪れる。今でこそ、女にも性欲があることは有名な話であり、女性向けAVや、オシャレなソロライブグッズなど、女の性欲に向けたコンテンツも多くあるが、それでも「女が性欲を他人に見せる」ことは未だに憚られる風潮がある。男がスケベなのは当たり前とされているが、女が性欲を前に出すと「ふしだら」「淫乱」「さかりのおつきになった女性のおキャット様」など、言われてしまうことがある。これらはある意味全部褒め言葉だが、そう言われたくないあまり、性に対し抑圧的になり、男任せにせざるを得ない日本女性は依然として多い。このように、性欲に関しては何かと女のほうが不利を被っているように見えるが、逆に男が不利な点はないのだろうか。あるとしたら「性的目線」に関しては明らかに男のほうが配慮されていない。「女性の性的消費」が問題になっているように、「女をエロ目線で見ること」は、どんどん大っぴらにはできないことになってきている。片や「女が男を性的に見ること」は割と堂々と行われているのだ。わかりやすいのは「抱かれたい男性芸能人」ではないだろうか、あれは「女が男をほぼ100%エロ目線で選ぶ」という行為だ。それが割と大々的に発表されているのである。一方「抱きたい女性芸能人」のほうは、そういった企画が皆無ということはないだろうが、上記の理由からか男性芸能人に比べればひっそりとしている。女が男に性的視線で見られるのが嫌だとするなら、男だって不特定多数の女に「ヤりたい」と思われるのは不愉快かもしれないのだ。しかし、男の場合、女に「抱かれたい」と思われているのは「栄誉」と喜ばないといけない、というような風潮がある。これが「抱きたい女性芸能人」で、一位に選ばれた人に「みんなお前とヤリたいと思っているぞ、光栄に思え」と言ったら、おそらく炎上する。「男はみんなスケベ」と思われているが故の無遠慮さを、男は向けられているのである。ちなみに「抱かれたい男性芸能人は?」と聞かれた時の女の回答は「半分以上フェイク説」がある。本心では「森山直太朗」とか真に抱かれたい男はいるが「なんで?」と聞かれるのがウザいのでとりあえず「福山雅治」など、万人が納得しやすい回答をしており、それが上位に来ているのだという。確かに自分の性的嗜好を他人にカミングアウトする義務などないし、抱かれたいと言われたほうが不愉快に思う可能性だってあるのだ。そろそろこの質問もやめるべき時代なのかもしれない。【マ】➤「負け組」(まけぐみ)…自称して他人を油断させるための言葉。他人に使ってはダメ【ミ】➤「ミニマリスト」(みにまりすと)…片づけられない奴が真似すると、必要なものがなくゴミだけある部屋になる【ム】➤「ムラムラ」(むらむら)…元は「群群」で人が集まる様という意味、それが何故か性欲になるのだから言葉は不思議【メ】➤「女々しい男」(めめしいおとこ)…そろそろ差別表現として怒られそうなので「男の腐ったヤツ」と言ったほうが無難【モ】➤「モテ期」(もてき)…運が良ければ、生まれた時と葬式で二回あるプロフィールカレー沢薫漫画家、コラムニスト。1982年生まれ。2009年に『クレムリン』(講談社)で漫画家デビューを飾る。秀逸な言語感覚で繰り広げられる切れ味鋭い世界観が人気。こよなく猫を愛し、猫が登場する作品も多数。著書『ブスのたしなみ』(太田出版)も発売中。
2019年07月05日漫画家として活躍するカレー沢薫さんの連載コラム「アクマの辞典」このコラムは、ア行からワ行まで、女や恋愛に関する様々なワードをカレー沢さん独自の視点で解釈していきます。女の本性をあぶりだす新しい言葉の定義をとくとご覧あれ!■第36回アクマの辞典ハ行【ヘ】➤「部屋に行く」(へやにいく)今回のテーマはハ行から「部屋に行く」である。最近また「性合意」についての話題をよく聞くようになった。性犯罪などが起こると「はっきり拒絶しないほうが悪い」と何故か被害者側が責められるという構図がよく見られるが、拒絶したら殺されるかもしれない、自分より強い相手に「NO」と言うのは至難の業である。弱い側に「NO」と言わせるより、全ての人間に「犯罪者になりたくなければ、相手がYESと言わない限りNOと思え」と自分が加害者にならないための性合意を教えたほうが簡単なのではないだろうか。だが、もともと日本人はYES、NOをはっきり言わない民族であり、性のことになると殊更それが顕著である。よって「女が男の部屋に1人で来たらOK」など、相手の行動でYESかNOかを推し量る風潮ができてしまったのだ。「OK」の意味で男の部屋に行く女もそれはいるだろう。しかし、それはその女にその時のみ適用されるワンタイムルールである。それがまるで全国統一ルールのように信じられてしまうから事件、事故が起こるのだ。YES、NO以外の性合意表現とは、「大富豪」級のローカルルールありすぎ問題なのである。前の相手がそのルールだったからと言って、別の相手にもそれを使おうとしたら「革命」という名の「犯罪」になる可能性が高い。そんな迷信を信じて犯罪者になるのもバカらしい、やはり「相手がYESと言う以外、合意ではない」と思ったほうが無難であり、自分のためになるのだ。◎相手にYESと伝えること「YES以外はNO」というのが共通認識になると今度は「YESの時はYESと言う」ことが義務になってくる。言わなくてもわかってほしい「察してちゃん」では許されない。セックスしたいなら「したいです」と安西先生、もしくは相手にきちんと伝えることが重要なのだ。そうでなければ相手は「YESと言ってねえからNOだ」と判断して、永遠にセックスできない。自分の意志を言葉にできず、相手に察してもらうしかできないのは乳幼児なので「乳幼児にセックスは早い」ということである。◎しかし、用心するに越したことはない何か起こった後で「部屋に行ったほうが悪い」と被害者を責めるのは論外だが、「外出する時は家に鍵をかけるのが当たり前」であるように、確信犯的に隙を狙って悪いことをしようとする人間が存在する以上、用心するに越したことはない。全くそんな気がない相手と会う時は、イトーヨーカドーのポッポなど、密室よりも人のいる開けた場所にしておくのが無難だろう。またそんなつもりはなくても、場の雰囲気でそういうことになる可能性もあるので、後悔しそうな相手とは、ハプニングバーなどにも行かないほうが良いのだ。【ハ】➤「ハウツー本」(はうつーぼん)…それが全女、もしくは男に通じると思うことから犯罪が起きる【ヒ】➤「火遊び」(ひあそび)…家庭持ちがやると家が全焼するおそれがある【フ】➤「老け顔」(ふけがお)…一定の年齢を越えると逆に不老になるので後半に強いタイプ【ヘ】➤「部屋に行く」(へやにいく)…「そんなつもり」がなくても「スマブラやろう」と言われたら、行っちゃうだろう【ホ】➤「本妻」(ほんさい)…本妻と思っている人が数人いて本妻不在の場合もあるプロフィールカレー沢薫漫画家、コラムニスト。1982年生まれ。2009年に『クレムリン』(講談社)で漫画家デビューを飾る。秀逸な言語感覚で繰り広げられる切れ味鋭い世界観が人気。こよなく猫を愛し、猫が登場する作品も多数。著書『ブスのたしなみ』(太田出版)も発売中。
2019年06月21日漫画家として活躍するカレー沢薫さんの連載コラム「アクマの辞典」このコラムは、ア行からワ行まで、女や恋愛に関する様々なワードをカレー沢さん独自の視点で解釈していきます。女の本性をあぶりだす新しい言葉の定義をとくとご覧あれ!■第34回アクマの辞典ナ行【ノ】➤「残り物」(のこりもの)…人も物も表示をよく見ないで食うのは良くない今回のテーマはナ行から「残り物」だ。「残り物には福がある」と言うが、我が家の冷蔵庫の残り物は大体腐っているし、腐っているとわかった上で捨てないから残り続けるという、ただの増殖する凶でしかない。しかし、時間を置くと腐る、劣化するというのはあくまで物の話である。人間は死ぬかボーイズラブに目覚めない限りは腐らない。それにも係わらず我々は、ある程度の年齢になって独身でいると「残り物」などと、経年で劣化した「物」扱いされてしまう風潮が未だに残っている。また、これは女のほうが言われる率が高い。つまり、令和になった今でも、女は売り物として選ばれるほうで、男はそれを選んで買うほうという考えが残っているのである。二次元ならば、ヒト×モノというカップリングもありだ。拙者も無機物をイケメンに擬人化したゲームとか大好物でござる。しかし、リアルの結婚というのはあくまで「ヒト×ヒト」のカップリング固定である。相手にモノと思われてした結婚など、幸せになれるはずがない。まだゴリラと思われて結婚したほうがリスペクトを感じる。だからと言って「残り物」という言葉を使わなかったら「人間として人間に選ばれなかった人」というもっと深刻な感じになってしまうので、もしかしたらキツいようで「残り物」というのはオブラートに包んだ優しい言い方なのかもしれない。だがここでも誤解がある。選ばれなかったとか以前に「そもそも陳列棚に並んだ覚えがない人」も、そこには含まれているのだ。誰もが結婚や恋愛、パートナーを求めているわけではない。そういう人は「選んでください」と棚に並ぶこともない、非売品なのである。そういう非売品の人の年齢だけを見て「売れ残りだ!」とスーパー玉出の割引シールを貼ろうとするのは、失礼以外の何ものでもない。逆に言えば、結婚する気がなかった魅力ある非売品の人が、考えを変えて婚活市場に入って来ることだってあるのである。それを年齢だけで「ワケアリの残り物」と判断するのは早計だし、もったいない。ひと昔前なら「この年で結婚していないのは、何かあるに違いない」と思われていたようだが、今だと「むしろ何もなかった(機会が)から独身」という人のほうが多いように思える。だがもちろん「何か問題があって独身」の人もゼロではない。つまり「残り物」が福か凶かというのは「よく見ろ」としか言いようがないのである。【ナ】➤「ナルシスト」(なるしすと)…本物は、他人ごときに認めてもらう必要がないので自撮りはしない【ニ】➤「匂わせ」(におわせ)…相手を一切写さず、デート、ケンカ、仲直りの過程を見せる表現のプロ【ヌ】➤「脱いだらすごい」(ヌイダラスゴイ)…冬から春の変わり目に女を突然脱がせるとすごいときがある【ネ】➤「寝言」(ねごと)…「推しと猫がいれば良い」的な発言は、起きて正気で言っていることなので目を覚まさせようとすると殴られます【ノ】➤「残り物」(のこりもの)…人も物も表示をよく見ないで食うのは良くないプロフィールカレー沢薫漫画家、コラムニスト。1982年生まれ。2009年に『クレムリン』(講談社)で漫画家デビューを飾る。秀逸な言語感覚で繰り広げられる切れ味鋭い世界観が人気。こよなく猫を愛し、猫が登場する作品も多数。著書『ブスのたしなみ』(太田出版)も発売中。
2019年06月07日漫画家として活躍するカレー沢薫さんの連載コラム「アクマの辞典」このコラムは、ア行からワ行まで、女や恋愛に関する様々なワードをカレー沢さん独自の視点で解釈していきます。女の本性をあぶりだす新しい言葉の定義をとくとご覧あれ!■第34回アクマの辞典タ行【ト】➤「年の差恋愛」(としのされんあい)…女のほうが寿命が長いので、女が年上なのが適正では、と思うが「女のほうが、夫が死んでから元気になる」率が高いので、やはり男が年上なのが適正なのかも今回のテーマはタ行から「年の差恋愛」だ。先日三船美佳さんが再婚をされた。私は、三船さんと同い年であるため、当時16歳の三船さんが40歳の高橋ジョージ氏と結婚する、と聞いても「乙女ゲーではよくある話だ」としか思わなかったが、今考えると、あれは平成を代表する案件だったのではないか、とさえ思える。そもそも乙女ゲーですら、あそこまで離れているのは、そうそうない。成年と中高生、もしくはそれ以下の交際については「未成年本人が良いならいいじゃないか」という意見もあるが、無知で判断力に欠ける子供を、悪い大人がいろいろ搾取している可能性も十分にあるため、一概に「本人が良ければ」と言えないのは確かだ。しかし、成人さえすれば、人間の判断力はバリバリになり、悪い奴なんかには騙されなくなるか、というと依然ハチャメチャに騙されていたりするので「年齢と判断力は必ずしも比例しない」という事実が、また成年と未成年の交際問題をややこしくしていると言える。お互い成年であっても、年の離れた恋愛というのは、周囲にガタガタ言われがちなものである。年が離れれば離れるほど「遺産目当て」というような「恋愛感情以外の打算や理由」があるに違いないと邪推されがちなのだ。しかし「遺産目当て」と言っても、簡単ではない、何故なら日本人の寿命というのは思った以上に伸びているからだ。例えば、20歳の頃に70歳の金持ちジジイと結婚して、ジジイが死んだ暁には、遺産で若い男とよろしくやろうと画策しても、平気でジジイが100まで生きる可能性があるのである。そうなると、ジジイが死ぬときには、自分もすでにババアと言ってよい年齢であり、しかも若い時分を全てジジイの介護に費やす羽目にもなりかねない。よって「遺産目当て」で年の差婚をするときは「自らの手で相手を殺す」ぐらいの覚悟で臨まなければいけない。それも「油ものを食べさせて早死にさせる」などという手ぬるい方法ではダメだ。ひとたび病院に入ってしまったら、驚異の現代医術で「生きてはないけど死んでもない」というような状態を10年ぐらいキープされてしまったりする。よって「確実に心臓を打ち抜く」ぐらいはしないとダメなのだ。つまり遺産目当ての結婚というのは「リスクが高すぎる」のである。このように、女の場合は相手の男が年上すぎると「金目当て」を勘ぐられるが、女が年上すぎると今度は「騙されている」と言われてしまう。もし女側に、わざわざ騙して奪うような財産がない場合は「そのうち捨てられる」と言われるのだ。このように、若い男が純粋な気持ちで年増女を好きになるなどあり得ないし、もの珍しさで一時期付き合っても、そのうち飽きて若い女に行くに決まっている、と思っている人間がいるのである。毎度おなじみツイッター情報なので本当かどうかはわからないが「中学生男子たちが『沢尻エリカも30過ぎのババアだから、俺絶対抱けねーわ』などと放言していた」というつぶやきを見た。怒りというより、その年で可哀想である。世の中には「いい年して」と年齢で他人の行動を制限しようとする人間もいるが、逆にそれで己の行動を制限してしまい、人生の幅を狭くしてしまっている人もいるのだ。件の男子中学生で言えば、この先どんなに魅力的な異性に出会っても「30歳過ぎているんだから選択肢から除外しなければいけない」と思ってしまう、ということだ。だが、この男子中学生が「いろんな女を抱いた結果、やっぱり30以上の女はない」と判断したとは考えづらい。つまり、そういう考えの大人が周りにいたか、そういう大人の発した狭量な思想を不幸にもネットか何かでキャッチしてしまった、ということだ。年の差、と言っても17歳と30歳が付き合っていると聞けば「おっと?」となるが、80歳と93歳が付き合っていると聞いたらもはや「誤差」だろう。人生100年時代、そろそろ多少の年の差でガタガタ言うのは止めないと、古い人間と思われるだけだ。【タ】➤「托卵女子」(たくらんじょし)…犯罪者よりもDNA鑑定の発達を苦々しく思っている【チ】➤「痴漢」(ちかん)…男VS女の構図になりがちな話題だが、敵は「痴漢」だということを忘れてはならない【ツ】➤「妻」(つま)…「妻は女じゃない」と、言っているとき、妻はあなたを「ATM」と言っているかもしれない【テ】➤「手相占い」(てそううらない)…最終的に「病院へ行ったほうがよい」という現実的なアドバイスをする占い師が増えているらしい【ト】➤「年の差恋愛」(としのされんあい)…女のほうが寿命が長いので、女が年上なのが適正では、と思うが「女のほうが、夫が死んでから元気になる」率が高いので、やはり男が年上なのが適正なのかもプロフィールカレー沢薫漫画家、コラムニスト。1982年生まれ。2009年に『クレムリン』(講談社)で漫画家デビューを飾る。秀逸な言語感覚で繰り広げられる切れ味鋭い世界観が人気。こよなく猫を愛し、猫が登場する作品も多数。著書『ブスのたしなみ』(太田出版)も発売中。
2019年05月21日人気コミック『聖☆おにいさん』実写化作品の続編が登場。『聖☆おにいさん 第Ⅱ紀』として、2019年6月1日(土)より、動画配信サービス「ピッコマTV」にて公開。また劇場版は、立川シネマシティ・イオンシネマにて、6月6日(木)より順次2週間限定で上映される。監督は福田雄一、製作総指揮は山田孝之が務める。『聖☆おにいさん』再び!『聖☆おにいさん』は、中村光によるギャグ漫画。ブッダとイエス・キリストを主人公に、世紀末を無事越えた二人が東京・立川でアパートをルームシェアリングしながら下界のバカンスを満喫する姿をユーモラスに描いている。松山ケンイチ×染谷将太のW主演『聖☆おにいさん 第Ⅱ紀』では、前作同様、イエス役に『関ヶ原』の松山ケンイチ、ブッダ役に『空海―KU-KAI― 美しき王妃の謎』『パラレルワールド・ラブストーリー』の染谷将太が抜擢。本来民を導く側のイエスが警察官に補導されたり、ブッダがついにインスタグラムデビューをしたり、挙句の果てには、オタクの聖地・秋葉原で2人のフリースタイルバトルが繰り広げられるなど、炎上スレスレ(?)なストーリーが描かれるようだ。福田雄一監督と山田孝之が再タッグクリエイター勢も前作同様、監督に『銀魂』シリーズの福田雄一、製作総指揮に『闇金ウシジマくん』『50回目のファーストキス』など、俳優としても活躍する山田孝之が担当。また『聖☆おにいさん 第Ⅱ紀』の公開を記念して、5月25日(土)から48時間限定で、前作全10話をドラマ「聖☆おにいさん」のYouTube公式チャンネルで一挙公開されることも決定している。【詳細】『聖☆おにいさん 第Ⅱ紀』公開時期:2019年6月1日(土)~※動画配信サービス「ピッコマTV」にて公開※6月6日(木)より立川シネマシティ、7日(金)よりイオンシネマにて2週間限定ロードショー監督・脚本:福田雄一製作総指揮:山田孝之出演:松山ケンイチ 染谷将太製作:パンチとロン毛 製作委員会原作:中村光『聖☆おにいさん』(講談社「モーニング・ツー」連載)
2019年05月16日漫画家として活躍するカレー沢薫さんの連載コラム「アクマの辞典」このコラムは、ア行からワ行まで、女や恋愛に関する様々なワードをカレー沢さん独自の視点で解釈していきます。女の本性をあぶりだす新しい言葉の定義をとくとご覧あれ!■第33回アクマの辞典サ行【シ】➤「失恋」(しつれん)…失えるところまでいけるのは恋愛エリート今回のテーマはサ行から「失恋」だ。この世の中には、カップ焼きそばの麺を三角コーナーに全部ボッシュートしたり、湯切りには成功したがかやくを入れ忘れていたり、逆に後から入れるソースを先に入れていたりと、様々な悲しみがある。カップ焼きそば一つでこれだけ悲しめるのだから、その数は計り知れない。その中でも失恋の悲しみは別格と言われている。しかし私自身は、失恋らしい失恋をしたことがない。勘の良い読者はすでに気づいてショウ・タッカーに殺されていると思うが「失恋したことがない」=「モテる」ではない。逆に真にモテず、恋愛に縁がない奴というのは失恋するところにまでいけないのだ。ない袖が振れないように、したことない恋を失うことはできないのである。モテない自信がある人間というのは、「成就確率0%」と気象庁に発表されている自分が恋をしたところで、失恋して無駄にダメージ負うだけと思っているので、恋自体を徹底的に避け、老人のように、ときめきは全部不整脈だと思って生きている。モテない人間だけではなく、人間は年を取るにつれ「失恋を恐れて恋をしなくなる」傾向にあるという。年を取ると身体的に傷の治りが遅くなり、かさぶたが剥げた後にかさぶたができるという無限かさぶた製造機となり、一向に傷が癒えない。心の傷の治りに年齢が関係あるかどうかは不明だが、大人になると「そうそう心を負傷するわけにはいかなくなる」のは確かだ。中高生なら失恋しても勉強が手につかなくなるぐらいで済むかもしれないが、大人が失恋して仕事や家事ができなくなったら生活が破綻する。恋などという決して不可欠でないものに、生活を狂わされるわけにはいかない、という思いが人を恋から遠ざけるのだ。婚活サイトやマッチングアプリが流行っているのもそのせいかもしれない。出会いを求めている人間が集まるところなら成功率も高いし、そういう媒体を挟めば上手くいかなくても「失恋」とは言わず「ご縁がなかっただけ」として、ダメージを減らすことができる。恋愛からできるだけ恋部分を省略しようとしているのが、現代の大人の恋愛なのかもしれない。最近は中高生でも、直接「好きだ」などと面と向かって告白することは少なく、LINEやメールなどで済ますほうが多いのではないだろうか。対面ではないため、告白のハードルが下がるし、断られたら「ナンチャッテσ(^_^;)」と突然おじさんになって、冗談でした、と逃げることもできる。しかし、LINEやメールでの告白のほうが実はリスクが高い。昔ラブレターが回し読みされたように、おもしろLINE告白は即スクショを取られて回されるだろうし、最悪SNSで全世界に晒される。一番そういうリスクがないのは「対面口頭」なのである。最近は24時間で投稿が消えるインスタグラムのストーリーが人気だそうだが、それよりも早く消えて、データも残らないのが口頭なのだ。何でも保存されて拡散される世の中においてはこのアナログ方法が一番頭の良い告白とも言える。ただ相手がボイレコで録音している可能性もあるので、告白の際には相手のボディチェックも忘れないようにしよう。【サ】➤「財布」(さいふ)…スムーズに奢られるために「払う意志はある」を演出するアクセサリー【シ】➤「失恋」(しつれん)…失えるところまでいけるのは恋愛エリート【ス】➤「好き避け」(すきさけ)…推しに会うと推しの目の前で発狂してしまうのであえて会いにいかない人のこと【セ】➤「セロトニン」(せろとにん)…太陽の光を浴びると出て幸せになるらしい、美白至上主義国家日本の女が不幸なのは自然の流れ【ソ】➤「尊敬できる人」(そんけいできるひと)…「理想の結婚相手は?」と聞いて、これが返ってきたら「お前にそんなこと答えるつもりはない」の意プロフィールカレー沢薫漫画家、コラムニスト。1982年生まれ。2009年に『クレムリン』(講談社)で漫画家デビューを飾る。秀逸な言語感覚で繰り広げられる切れ味鋭い世界観が人気。こよなく猫を愛し、猫が登場する作品も多数。著書『ブスのたしなみ』(太田出版)も発売中。
2019年05月07日漫画家として活躍するカレー沢薫さんの連載コラム「アクマの辞典」このコラムは、ア行からワ行まで、女や恋愛に関する様々なワードをカレー沢さん独自の視点で解釈していきます。女の本性をあぶりだす新しい言葉の定義をとくとご覧あれ!■第32回アクマの辞典カ行【キ】➤「記念日」(きねんび)…自分にとってだけの記念日を「二人の記念日」にして怒っている人がいる今回のテーマは「記念日」である。「相手に灰皿で殴られた傷を抜糸した日」とかでなければ記念日というのはカップルにとっておめでたい日のはずである。離婚日ですら状況によっては祝杯が上がるぐらいだ。それにもかかわらず「ケンカの素」になりがちなのも、この「記念日」というやつである。「結局、恋愛というのはマッチング」それを言っちゃあ全てがエンドなのだが、この記念日を巡るカップルの諍いを見ると「エンドですね」と言わざるを得なくもなる。「記念日にこだわり過ぎな彼女がウザい」「記念日を全く覚えない彼氏が信じられない」など、記念日に対するパートナーへの不満は世に溢れている。だがこれは、記念日を気にし過ぎな奴は重いとか、気にしなさ過ぎな奴が無神経という話ではなく「記念日に対する価値観が違う相手とつきあってしまった」ために起こる不満なのである。「その指テクいいね」と君が言った「手マン記念日」とかを二人とも覚えているというなら何ら問題ない。逆に誕生日どころかお互いの名前すら忘れてしまい、今さら聞けないので、死ぬまで若い頃につけた恥ずかしいあだ名で呼び合った、というカップルもある意味上手くいったと言えるだろう。だが価値観が全く同じカップルというのも稀であり、そのズレにイラッときてしまうことは、記念日だけに限らずよくあることだ。しかし、ケンカなどできればしたくないものだ。よって、記念日に対しての価値観がパートナーと違う時はどうしたらよいのだろうか。まず、いきなり相手の価値観を否定しないほうがよいだろう。「いくらなんでも誕生日を覚えてないのは酷い」と思うかもしれないが、それすらも個人の価値観である。もしかしたら相手は「誕生日なんてただの日付けさ、数字の羅列に過ぎない…」という強固な厨二的思想を持っているのかもしれないのだ。それを頭ごなしに「何で覚えてないのよ!」とキレても、ケンカになるだけだし、何より相手の思想と価値観を否定している。覚えてないのは仕方ないとして「でも自分は、誕生日ぐらいは覚えてほしいのだ」という、まず自分の価値観を説明し、それに歩み寄ってもらえるよう相手に交渉すべきだろう。逆に記念日を全く重視しない派も「そんな、くだらねえことイチイチ覚えてんじゃねえよ」と言ってはいけない、相手にとっては、手マンがすごくよかった大切な日なのだ、それを否定してはいけない。ただ「自分はそこまでは覚えられない」ということは相手に説明し「その代わり誕生日は忘れない」など、相手に歩み寄る姿勢を見せるべきであろう。パートナーを選ぶ時は、価値観の近さも重要だが「どれだけ相手の価値観を否定しない」かも重視すべきだろうあと記念日重視派は「今日は何の日か覚えている?」という「試し」は止めたほうがよい、圧迫面接であり「私いくつに見える?」に通じるクソクエスチョンである。【カ】➤「勝ち組」(かちぐみ)…勝ち組だと周りに認識されると負けるまで殴られる【キ】➤「記念日」(きねんび)…自分にとってだけの記念日を「二人の記念日」にして怒っている人がいる【ク】➤「クールドジ」(くーるどじ)…現実では「残念な人」と言われる【ケ】➤「毛」(け)…ジムと同じで脱毛は金を出すのは容易く、通うのは難しい【コ】➤「コスパ」(こすぱ)…自分とのデートのコスパをよくされるのは嫌プロフィールカレー沢薫漫画家、コラムニスト。1982年生まれ。2009年に『クレムリン』(講談社)で漫画家デビューを飾る。秀逸な言語感覚で繰り広げられる切れ味鋭い世界観が人気。こよなく猫を愛し、猫が登場する作品も多数。著書『ブスのたしなみ』(太田出版)も発売中。
2019年04月22日漫画家として活躍するカレー沢薫さんの連載コラム「アクマの辞典」このコラムは、ア行からワ行まで、女や恋愛に関する様々なワードをカレー沢さん独自の視点で解釈していきます。女の本性をあぶりだす新しい言葉の定義をとくとご覧あれ!第31回アクマの辞典ア行【ウ】➤「受け身」(うけみ)…全部受けとめるのも、受け流すのも疲れるのでこれからは「避け身の女」がくる今回のテーマはあ行より「受け身(の女)」だ。このサイトは見ての通り、占いコンテンツが充実している。むしろ何故「占い」をテーマに選ばなかったんだと言うぐらいだ。吉牛に行こうと提案しておいてカレーを頼む奴ぐらい不可解である。しかし、全く無関係というわけでもない。占い好きな女は「受け身」の傾向があると言われているそうだ。「受け身」とは決して、現代的な女の生き方とは言えなくなってきている。自活し、結婚するも出産するも自分で決めるのが今の時代の女であり、「受け身」などという、うすらボンヤリした生き方では、自称「グイグイ引っ張って行くタイプ」の男が運転する軽トラの荷台にしがみついて生きる羽目になる、というわけだ。しかし「受け身」な態度が全て従属的かというと、必ずしもそうではない。私は数年前、家を建てた。注文住宅なので、敷地面積と予算の許す限り自由にすることができた。なんでも自分の思い通り、と言えば聞こえは良いが「なんでも」の中には便所のドアノブの色とかも含まれているのだ、正直どれでもよい。しかし施工主は、どうでもいいことまで全部決める義務があるため非常に疲れた。「なんでも自分で考えて決める」というのは、意外と面倒くさいのだ。それよりもっと楽なのは「誰かに決めさせ、気に入らなかったら文句をつける」ことだ。夕飯はなんでもいいと言いながら「そうめん」と言ったら「え~」と言うポジションである。「あなたに任せる」と、一見受け身な態度で面倒くさいことは下々にやらせ、最終決定権は自分が持つと言う「従属的」どころか完全に「貴族の思想」だ。時には他人に決断を委ねたほうが効率的なこともあるし、「乗るしかない、このビッグウェーブに!」という名言があるように世の中の流れに身を任せたほうが良い結果になることもある。受け身な女は現代的ではないかもしれないが、だからと言って「総攻め」という同人誌でしか見ないような、攻め一方の女も柔軟性がないし、何より疲れてしまう。戦況によって受けと攻めを変えられるバランス型ファイターが現代的な女と言えるのではないだろうか。恋愛に関しては「受け身」のほうがモテるらしい。何故なら、モテというのはまず相手に「イケそう」と思わせるのが大事だからだ。つまり、いくらイイ女でも、難攻不落の要塞の如く攻め入る相手全員を大砲で撃ち落としてそうだと「ムリめ」と思われて挑戦者自体がそうそう現れない、つまりモテない。逆に「受け身の女」は門が半開きで「来るものは拒まず」「押しに弱い」雰囲気である。そこに「イケるのでは」と思った男が寄って来るのだ。しかし、このモテは、毎度おなじみ「雑魚モテ」である。鍵をかけてない家に泥棒が入って来るのと同じ原理だ。よって恋愛においては、意中の男は「受けとめ」、そうでない男は「受け流す」二種類の「受け」を使いわけるのが、デキる受け身の女である。【ア】➤「頭ポンポン」(あたまぽんぽん)…漫画やドラマで使うときは「これで喜ぶ女はフィクションです」と明記したほうがよい【イ】➤「インフルエンサー」(いんふるえんさー)…インフルエンザのインフルエンサーと言うのを我慢するのに骨が折れる存在【ウ】➤「受け身」(うけみ)…全部受けとめるのも、受け流すのも疲れるのでこれからは「避け身の女」がくる【エ】➤「遠距離恋愛」(えんきょりれんあい)…同居していても浮気する奴はするので距離は関係ない【オ】➤「押しに弱い」(おしによわい)…自分の押しで倒れた相手は、他の奴の押しにも倒れると思ったほうがいいプロフィールカレー沢薫漫画家、コラムニスト。1982年生まれ。2009年に『クレムリン』(講談社)で漫画家デビューを飾る。秀逸な言語感覚で繰り広げられる切れ味鋭い世界観が人気。こよなく猫を愛し、猫が登場する作品も多数。著書『ブスのたしなみ』(太田出版)も発売中。
2019年04月07日漫画家として活躍するカレー沢薫さんの連載コラム「アクマの辞典」このコラムは、ア行からワ行まで、女や恋愛に関する様々なワードをカレー沢さん独自の視点で解釈していきます。女の本性をあぶりだす新しい言葉の定義をとくとご覧あれ!■第30回アクマの辞典パ行【ピ】➤「ピンとくる」(ぴんとくる)…年収に比例してピンとくる人間の数が増える今回のテーマはパ行から「ピンとくる人」だ。古の言葉を使えば「ビビビときた」という奴である。「一目惚れ」なる言葉があるように、世の中には出会って4秒で「君に決めた」とポケモンボールを投げてしまう人間がいるのだ。この一目惚れというのは、する奴は何回でも繰り返し、そのうち「運命の人」で打線が組めるようになるのだが、逆にしない奴は全くしない。ビビビ否定派にとって「一目惚れ」は軽率な行為であり、恋というのは時間をかけ相手の人となりや、年収、のちのち面倒くさいことになりそうな兄弟姉妹の有無などを知ってから落ちるべきものだからである。そうした情報を得ずに「ピンときた」というのは、第六感のみに頼ること。それは、相手が床下に埋めた元カノの残留思念をキャッチしただけのことかもしれないのだ。つまり「ピン」を信じるのは危険度が高すぎる、と慎重派は考えているのである。しかし、ピンとくる派が己の直感を過信しているとしたら、慎重派は「自分の人の見る目」を信じすぎじゃないか、という気もする。むしろ直感に頼って生きている奴より、人を見る目が狂っている奴のほうがよほど破天荒な人生を送るのではないか。結婚や恋愛において「吟味」は重要ではあるが「選び抜いた相手なら大丈夫」というわけでもない。何故ならどれだけ相手のことを知り尽くしてもそれは「2019年現在調べ」だからである。全くそんな様子を見せなかった優しい人が、結婚し妻が妊娠するや否や腹にキックをかますDV野郎になり出産前に離婚したという話を最近聞いた。よく、パートナーのDVやモラハラに悩む人に対し「そういう相手を選んだ自分が悪い」との自己責任論を持ち出す人がいるが「こいつ私が妊娠したら腹にイイの入れてくるタイプだな」とわかって結婚する人間などいない。人は「2019年現在の調査」などでは全く予測できない「豹変」をするものなのである。このレベルの豹変になると、それこそ「こいつは将来私の腹にアーネスト・ホースト級のローキックをキメてくると守護霊が言っている」みたいな直感に頼るしかない。結局、直感で上手くいく人間もいれば、吟味に吟味を重ねて失敗する人間もいるということである。むしろ、慎重になりすぎると相手が全員「ローキックの達人」に見えてきてしまい、全く動き出せなくなるので、恋愛や結婚にはある程度「勢い」や「賭けに出る」気持ちが必要となる。そういう賭け事はしたくないという人は、そもそも結婚や恋愛に向いていないので、無理にする必要すらないのだ。しかし、直感で選ぼうが吟味して選ぼうが、それが上手くいかないと「それ見たことか」「そうなると思ってた」と言い出す人が現れるのである。どうせ結果論で笑われるなら、せめて自分が納得いく方法で選んだほうが良いだろう。【パ】➤「パワースポット」(ぱわーすぽっと)…上手くいってない人間の気をたくさん吸っている場所【ピ】➤「ピンとくる」(ぴんとくる)…年収に比例してピンとくる人間の数が増える【プ】➤「プロポーズ」(ぷろぽーず)…フラッシュモブはやめておけとあれほど【ペ】➤「ペアリング」(ぺありんぐ)…片方だけならメルカリで手に入る【ポ】➤「ポエム」(ぽえむ)…SNSで悩みをつぶやいたらそう言われるプロフィールカレー沢薫漫画家、コラムニスト。1982年生まれ。2009年に『クレムリン』(講談社)で漫画家デビューを飾る。秀逸な言語感覚で繰り広げられる切れ味鋭い世界観が人気。こよなく猫を愛し、猫が登場する作品も多数。著書『ブスのたしなみ』(太田出版)も発売中。
2019年03月21日漫画家として活躍するカレー沢薫さんの連載コラム「アクマの辞典」このコラムは、ア行からワ行まで、女や恋愛に関する様々なワードをカレー沢さん独自の視点で解釈していきます。女の本性をあぶりだす新しい言葉の定義をとくとご覧あれ!■第29回アクマの辞典バ行【ビ】➤「美人だけどモテない」(びじんだけどもてない)…美人のくせに男に興味がないのは許せないという圧も感じる我々は時々実体不明の敵と戦ってしまう時がある。実際見たわけでもないのに「いるよね、こういう奴」と言って、いるかどうかわからない生き物に対し延々悪口を言ったり腹を立て続けたりしてしまうのだ。一日中ネッシーにムカついているのと同じで、極めて無益である。こういった「いそうだが実際見たことはない未確認生物」の話で、便利づかいされがちなのが「ブス」だ。ブスの見た目がUMAっぽいからではない、例えば「好きな映画は『セックス・アンド・ザ・シティ』という女」を「好きな映画は『セックス・アンド・ザ・シティ』とかいうブス」と、ちょい足しアレンジするだけで「いるいる、そういうブス~!」とその場に失笑混じりの共感の嵐が吹き荒れてしまうのである。もちろん、全員そういうブスを見たわけでもなく、いたとしてもブスが『SATC』を好きで何が悪いという話なのだが、世間は頻繁に「とかいうブス」という架空の生物を作り出し、袋叩きにしたがるのである。どうせ幻と戦うなら、刃牙のように巨大カマキリと戦ったほうがまだ有益だ。そして今回のテーマも、ひょっとして架空の生き物では、という存在である。遅くなったが今回のテーマはバ行から「美人だけどモテない」だ。「モテない美人」いそうだし、いるんだろうけど、イマイチ「いる」と断言しにくい存在である。己の美人を妬む心が生み出した幻なのではないかとさえ思える。美人を妬む心が見せる幻覚には他にも「性格の悪い美人」「幸の薄い美人」「悲報!あの美人が劣化!」などが挙げられる。まず、美人が劣化するなら、同じ時を経た自分はもっと腐っているし、そちらのほうがリアルだ。このように美人もブスと同じぐらい「架空の生き物」を作られがちな存在なのだが、ブスとの違いは、実在していてもその存在を認めてもらえないことが多い、ということである。例えば本当にモテない美人が「私モテないの」と言っても「うそつけ、モテない美人などいない」と悩みも存在も否定されてしまうのである。モテるモテないだけでなく、この世には「幽霊否定派」と同じように「不遇な美人否定派」がいる。そういう人間に美人がどんな苦悩や苦労を語っても「でもあなた美人じゃないですか」「美人なんですからそんなことないでしょ」と言って全く取り合わない。このように美人にとっては「美人は性格が悪い」などネガティブな美人像を作り出す人間より「無敵の生物・美人」という架空の生き物がいると信じて疑っていない人間のほうが厄介なのである。「美人は色仕掛けで仕事を取っている」などと言う人間は、美人を妬んでいる人間より、むしろこの「美人無敵説」を信じている者だったりする。美人もブスも美醜以前にまず人間である、「適当なイメージで語られたら傷つく」というのは覚えておいたほうが良いだろう。【バ】➤「爆弾発言」(ばくだんはつげん)…「爆弾発言していい?」という奴の発言は大体不発【ビ】➤「美人だけどモテない」(びじんだけどもてない)…美人のくせに男に興味がないのは許せないという圧も感じる【ブ】➤「VIO脱毛」(ぶいあいおーだつもう)…介護する側もされる側も楽になるらしいので、腕毛すね毛よりマストかも【ベ】➤「ベスト体重」(べすとたいじゅう)…ダイエットを成功させるより必要なのは「俺のベスト体重は俺が決める」という強い意志【ボ】➤「母性」(ぼせい)…カビのように自然発生するものではないプロフィールカレー沢薫漫画家、コラムニスト。1982年生まれ。2009年に『クレムリン』(講談社)で漫画家デビューを飾る。秀逸な言語感覚で繰り広げられる切れ味鋭い世界観が人気。こよなく猫を愛し、猫が登場する作品も多数。著書『ブスのたしなみ』(太田出版)も発売中。
2019年03月07日漫画家として活躍するカレー沢薫さんの連載コラム「アクマの辞典」このコラムは、ア行からワ行まで、女や恋愛に関する様々なワードをカレー沢さん独自の視点で解釈していきます。女の本性をあぶりだす新しい言葉の定義をとくとご覧あれ!■第28回アクマの辞典ダ行【ド】➤「泥棒猫」(どろぼうねこ)…おキャット様は人間の男などわざわざ盗らない今回のテーマから「泥棒猫」である。これは、本物の泥棒のおキャット様にではなく、人の男を盗る不埒な人間のメスに対して使われることが多い言葉だ。この言葉には大きな問題がある。まずおキャット様への不敬罪で世が世なら使った時点で斬首だ。まず人間を、人間より遥かに優れた生き物であるおキャット様に例えている時点で全く悪態として成立していない、カニカマに対し「この松葉ガニ野郎!」と言っているようなものだ。よってそういう不貞の輩に出会った時は「この泥棒人間」と誤解がないように表現すべきである。また「泥棒猫」という言葉を使うことにより、ただの盗人から「猫のように悪い女だが魅力的」というイメージにすり替わってしまう恐れがあるのだ。泥棒でも怪盗とか義賊とか表現してしまうと、カッコよく思えて真似しちゃう奴が出てくるのである。だから一時期暴走族を「珍走団」と呼ぼうとして失敗した過去があるのだ。つまり「泥棒猫」は、これ以上なく盗人のことを美化した言葉なので「人の物を取っちゃいけません」と教育したいなら即刻禁止用語にすべきである。人様のパートナーを奪う行為も窃盗と言って良いはずだが、人間が物以下なせいか、正式に婚姻関係を結んでいる相手から奪わない限り、法的に罪に問えない上に、窃盗なら刑事事件だが、不貞は民事である。その昔、姦通罪と言って不貞も刑事事件だったのだ。だが、昔の法律は男が作っているため、男に都合が良いものが多く、不貞をして罪に問われるのは妻と間男だけで、なんと夫が愛人を作っても罪には問われないのである。もちろん戦後「男女不平等だ」となり「男も罪になるようにしろ」という声が上がった。しかし「だったら姦通罪自体なしにしましょう」という「そこまで男の不倫が罪に問われちゃ困るかよ」という力技で、姦通罪は消滅し、男女共に不貞行為をしても刑事罰に問われることはなくなってしまった。確かに不倫が罪になるようなら、最近、騎士団長になった島耕作も何回「被告島耕作」になってしまうかわからない。不倫が刑事罰だったら、不倫ドラマをおいそれとは作れないだろう、このように姦通罪の有無は現実だけではなく創作の世界も大きな影響を与えている。「人の物が欲しくなる」という心理は確かにある。私だって、ソシャゲのガチャで「今回のキャラは回さなくていいな」と思っても、人様がゲットしているのを見ると、つい回してしまったりする。しかし、その欲求を抑えられない者は「悪女」などというカッコいいものではないと思う。話は変わるが、最近某ティラミス店の騒動をご存じだろうか。日本の会社が海外のティラミス店を丸パクリした上に、相手の権利まで奪ったという話である。概要だけ聞くと、とても悪い話だが、この会社は現時点では法的に悪いことはしていないのだ。「悪い奴ほど法律を守る」のである。よって、バッチリ相手から訴えられる上に負ける可能性が高い不倫に身を染める女は「悪女」より「馬鹿女」のほうが近い。法的に相手を完封した状態で悪いことをし、地団駄を踏むしかない相手から発せられるにふさわしいのが「この泥棒猫!」という言葉である。【ダ】➤「妥協」(だきょう)…“深淵”のように、こちらが妥協しているとき、相手も妥協している【ヅ】➤「ヅラ」(づら)…バレたほうより、それにベストなリアクションを取らなければいけない相手のほうが辛い【デ】➤「ディズニーデート」(でぃずにーでーと)…お互いの顔より、行列に並んでスマホを見ている時間のほうが長い【ド】➤「泥棒猫」(どろぼうねこ)…おキャット様は人間の男などわざわざ盗らないプロフィールカレー沢薫漫画家、コラムニスト。1982年生まれ。2009年に『クレムリン』(講談社)で漫画家デビューを飾る。とにかく猫が好きで猫が登場する作品も多い。秀逸な言語感覚で繰り広げられる切れ味鋭い世界観が人気。著作『ブスのたしなみ』(太田出版)も発売中。
2019年02月21日漫画家として活躍するカレー沢薫さんの連載コラム「アクマの辞典」このコラムは、ア行からワ行まで、女や恋愛に関する様々なワードをカレー沢さん独自の視点で解釈していきます。女の本性をあぶりだす新しい言葉の定義をとくとご覧あれ!■第27回アクマの辞典ザ行【ジ】➤「自己肯定感」(じここうていかん)…今後、肯定力に実力が追いついてない問題が深刻に今回のテーマはザ行から「自己肯定感」である。私の文章はよく「自虐系」と言われるのだが、正直そういうノリはもう流行らないだろうし、むしろこれから「うちの子が真似したらどうするんですか」と怒られる側になっていくと思う。つまり売れもしない内から芸風がオワコンになるという、2019年の目標は「転職」に決定なのでは、という状態だ。だが冷静に考えたら私は無職だった。無職ほど世相に振り回されない安定した職業はない、悪いが今年も安泰である何故自虐がもう流行らないかというと、今は無駄な謙虚さより最初に言った「自己肯定感」のほうが大事だからである。日本人は諸外国の人々に比べて自己肯定感が低いと言われている。何故そうなったかと言うと日本には「自信満々な奴はその自信がなくなるまでハンマーで殴って良い」という法律があるからだ。目の前で人が屠殺されれば誰だって「俺はハゲだし嫁はブスです」と卑屈なまでに謙虚になってしまうだろう。しかし、それはもう古い。そうやって他人の自信を奪おうとする奴こそ、ネイルハンマーの釘を抜く側で殴ってやるべきだ、という声がだんだん大きくなってきているのだ。自分の価値は他人が決めるものではない、どれだけ自分が自分を認めてやれるかのほうが大事だということである。つまり、人様に向かってブスだデブだと言ってくる連中なんぞに認められることなんかより、鏡に映った自分を見るたびに「どうして石原さとみがこんなところに?」と思えるようにしたほうが良い、ということだ。つまり鏡に石原さとみの写真を貼れば解決である。もちろん個人が「俺は誰が何と言おうと卑屈で行く」「はじめましてチンカスです」という方向性で行くなら止める権利はない。しかし自信のある人に対し他人が「もっと謙虚になれ」「身の程を知れ」というのはもはや、大きなお世話な世の中なのだ。だから私も、あまり自虐的なことを書きすぎると、親御さんたちから「うちの子のセルフリスペクトがロストしたらどうするんですか」と怒られるかもしれない、ということである。だが私も、昔に比べて「自己肯定感」は格段に上がっているのだ。今から10年前、私はその時も無職だったのだが、当時のブログにはもっと「ニートですみません」「無職の分際で」というようなことを書いていたと思う。それに対して今は「無職である自分に誇りを感じている」というスタンスだ。それもセルフリスペクトだけではない。「働かずに食う飯は美味いか?などとおっしゃいますが、農家さんが一生懸命作った米は誰が食っても美味いに決まっているでしょう、失礼じゃないですか?」という他者に対するリスペクトまで持てるようになったのだ。自分を肯定できない奴が心から他者を肯定できるわけがない。恋愛においても、自己肯定感の低い女は愛され下手で恋人ができなかったり、クズ男にハマったりといいことがないと言われている。とりあえず鏡に憧れの芸能人の写真を貼るところからはじめよう。【ザ】➤「財力」(ざいりょく)…相手に求めるのは古い【ジ】➤「自己肯定感」(じここうていかん)…今後、肯定力に実力が追いついてない問題が深刻に【ズ】➤「ずるい女」(ずるいおんな)…30歳以上はつんく♂が歌い出す【ゼ】➤「ゼクシィ」(ぜくしぃ)…あの厚さはズルズルつきあって結局結婚しないまま別れる男を撲殺するため【ゾ】➤「ゾンビ映画」(ぞんびえいが)…「ゾンビ映画好きだよ、バイオハザードとか」と言ったら怒られる世界プロフィールカレー沢薫漫画家、コラムニスト。1982年生まれ。2009年に『クレムリン』(講談社)で漫画家デビューを飾る。秀逸な言語感覚で繰り広げられる切れ味鋭い世界観が人気。こよなく猫を愛し、猫が登場する作品も多数。著書『ブスのたしなみ』(太田出版)も発売中。
2019年02月07日漫画家として活躍するカレー沢薫さんの連載コラム「アクマの辞典」このコラムは、ア行からワ行まで、女や恋愛に関する様々なワードをカレー沢さん独自の視点で解釈していきます。女の本性をあぶりだす新しい言葉の定義をとくとご覧あれ!■第26回アクマの辞典ガ行【ギ】▶「疑似恋愛」(ぎじれんあい)…他人の恋路を邪魔すると馬に蹴られて死ぬ、たとえ相手が二次元でも今回のテーマはガ行から「疑似恋愛」である。疑似恋愛とは、二次元やアイドル、まともに見たら網膜が焼けてしまうイケメンや美女など、自分のものになる確率が極めて低い相手と、脳内でだけ「つきあっている」設定で楽しむ恋愛である。つまりただの「妄想」なのだが、脳内というのは唯一何をやっても罰せられない、世界一治安が悪い、無法地帯である。逆に、脳内で二次元やアイドルとつきあわなかったらどこでつきあうのだ、ここ以外で交際しようとしたら、国家権力や医療機関を呼ばれる恐れがある。もちろんあくまで妄想なので不毛と言えば不毛なのだが、そうすることにより、本人がセロトニンでビショ濡れになれると言うなら、それはそういう健康法でもあるのだ。それを止めるというのは、ジョギングをしている人に体当たりをかますに等しい。だが、ジョギングや筋トレがそんなに体当たりされないのに対し、この「疑似恋愛」には、未だに後ろから追突してくる人間がいるのだ。何故ぶつかってくるかというと「コースアウトしている人間を正しい道に戻してやるため」である。先日「二次元の男に夢中な30過ぎの友達に三次元の男を紹介してやった」という記事を見て「これは戦後のエピソードだろうか」と思った。平成も終わる今だからこそ、あえて昔の悲惨な歴史を振り返ろうという企画なのかと。だが残念なことに平成30年の話だった。もちろん、その二次元好きの友人が男を紹介してと言ったわけではない、「二次元の男などというクソの役にも立たないものに現実逃避している友人の目をこの私が覚まさせてやらなければ」という「正義感」略して「大きなお世話」によるものである。逆に文字数が増えてしまったが、これは疑似恋愛趣味だけではない、世の中には妙齢の女がリアルの男との恋愛や結婚には目もくれず趣味に没頭している姿を全部「現実逃避」と呼ぶ勢がいるのだ。恋愛以外現実じゃないとは、お前はリアルの範囲が狭すぎやしないか、と思うが、そういう人間にとっては全ての趣味が「恋愛以下」もしくは「恋愛の代替」なのである。男が「俺様たちに興味がないなんて、どうかしてんじゃねーの?」と、趣味没頭女を悪く言うのは2兆歩譲ってまだわかるが、同性までもが「画面と話してる暇があるなら、合コンにでも行こうよ!時間がもったないぞ!」と言ってくるのは絶望的すぎる。それは親切ではない、三次元の男のほうが二次元の男より優れているという、自らの価値観の押しつけである。こういった「オタクの目を覚まさせようとする人」というのは未だいなくならないのだが、そろそろオタクたちは「ちゃんと起きている」ということに気付いたほうが良いのではないだろうか。起きて、顔を洗い、メガネをかけた上で「三次元より二次元のほうが良い」と言っているのだということを、メガネをかけてちゃんと見てほしい。【ガ】▶「ガールズトーク」(がーるずとーく)…ガールたちの年代によって、美容、健康、など話題が変わるが、他人の悪口だけが普遍【ギ】▶「疑似恋愛」(ぎじれんあい)…他人の恋路を邪魔すると馬に蹴られて死ぬ、たとえ相手が二次元でも【グ】▶「グーグル」(ぐーぐる)…グーグルに話しかけられるかどうかで年がわかる気がする【ゲ】▶「減点方式」(げんてんほうしき)…美人は初対面が最高点で後は字が汚いだけで減点されるというが、字が綺麗でも「隙がなくて可愛くない」と減点される【ゴ】▶「ご飯デート」(ごはんでーと)…パパ活のパパ側はそう言ってそうプロフィールカレー沢薫漫画家、コラムニスト。1982年生まれ。2009年に『クレムリン』(講談社)で漫画家デビューを飾る。秀逸な言語感覚で繰り広げられる切れ味鋭い世界観が人気。こよなく猫を愛し、猫が登場する作品も多数。著書『ブスのたしなみ』(太田出版)も発売中。
2019年01月21日「金曜ロードSHOW!」では先週と今週の2週にわたり「冬もジブリ」を掲げてジブリ作品を連続放送。2週目の1月11日(金)今夜は放送される度に多くの視聴者に感動を呼び起こす名作『耳をすませば』が放送される。『紅の豚』『平成狸合戦ぽんぽこ』のヒットでスタジオジブリの名前がアニメファンだけでなく日本じゅうに知れ渡った1995年に公開された本作。物語は現代の東京、多摩地区が舞台。中学3年生の月島雫は、図書館で借りた本の図書カードに必ず名前が書いてある「天沢聖司」という男の子にほのかな想いを抱きはじめていた。雫は偶然迷い込んだアンティークショップ「地球屋」で最悪な出会い方をした同級生の聖司と再会してしまい、聖司の無神経ぶりに「地球屋」の主人・司朗や店に置いてあったロマンティックな仕掛け時計、猫の人形・バロンとの“出会い”まで台無しにされたような気分になる。夏休みが明けた新学期、雫は親友の夕子が想いを寄せていたクラスメイトの杉村から逆に告白され、戸惑ったまま「地球屋」に向かうとそこに聖司が現れる。聖司は「地球屋」の主人・司朗の孫で、親に反対されながらも司朗の元でバイオリン職人になるための修行を積んでいたのだった。さらに聖司があの「天沢聖司」だと知り雫は衝撃を受けるが、夢に向かって真っすぐ進もうとしている聖司に少しずつ惹かれていく。そしてイタリアに短期留学することになった聖司を見て、雫も「物語」を書いてみようと決意する――という展開。柊あおいによる同名コミックを原作に、先週放送の『風の谷のナウシカ』をはじめ『魔女の宅急便』『千と千尋の神隠し』など数々の名作アニメを世に送り出してきた宮崎駿が脚本を手掛け、本作が劇場アニメ初監督となる近藤喜文がメガホンを取った。ドラマ「カルテット」や月9「民衆の敵~世の中、おかしくないですか!?~」、昨年秋の「僕らは奇跡でできている」も好評のうちに終了した高橋一生が声優として聖司役で出演。14歳の高橋さんのいまとまた違った声の演技も見どころ。金曜ロードSHOW!「2週連続冬もジブリ」『耳をすませば』は1月11日(金)21時~日本テレビ系にてノーカット放送。(笠緒)
2019年01月11日漫画家として活躍するカレー沢薫さんの連載コラム「アクマの辞典」このコラムは、ア行からワ行まで、女や恋愛に関する様々なワードをカレー沢さん独自の視点で解釈していきます。女の本性をあぶりだす新しい言葉の定義をとくとご覧あれ!■第25回アクマの辞典ワ行【ヲ】➤「ヲタ夫婦」(をたふうふ)…「結婚したんだから足洗うよね」と言ってくる者もいるので油断はならない今回はワ行から「ヲタ夫婦」だ。最近は「ヲタ婚活」などヲタク同士でパートナーを見つけようという催しも活発だが、そもそも「ヲタ同士なら仲良くできんだろ」というのも乱暴な考えだったりする。インターネットでは日夜、ヲタク同士が「戦に次ぐ戦」「学級会が終わって学級会が始まる」という、一般人がその場で吐いてしまうような陰惨な戦いを繰り広げているのだ。むしろヲタク同士というのは「ケンカのネタに困らない」間柄だったりもする。しかし、人生の大半を二次元と向かい合ってきたため、いざ三次元に向かうと何を話してよいかわならない、というヲタクがいることも確かだ。そして、ヲタクの特徴に「得意分野の事なら饒舌になる」というのがある、つまり何を話してよいか全くわからない一般人相手より、ヲタク相手のほうがお互い話しやすいだろう、というのも一理ある。だが、ヲタクは得意分野の話になると、饒舌にもなるが同時に早口にもなってしまうし、興が乗り過ぎると会話ではなく、独り言と化すので、本当にそれでコミュニケーションが取れているかは別の話である。このように、話すだけならヲタ同士のほうがスムーズかもしれないが、それが結婚となると「同じアニメが好き」というだけでは難しい。むしろ片やジャニヲタで片や軍ヲタという、全く趣味が違う二人でも趣味にかける金銭感覚や、時間の感覚が似ていればそんなに揉めることはない。逆に、同じゲームの同じキャラが好きでも「課金は月1万まで」の人間と「リボ払いにしてでも出るまで回す」という人間が一緒になっては上手くいくはずがない。じゃあリボ払い同士が結婚すれば上手く行くのかというと、それはそれで早急に破滅すると思うが、少なくとも「どちらか一方が我慢を強いられる」という状況にないだけマシだ。そもそもヲタクがパートナーに求める「自分の趣味を理解してくれる人がよい」というのは「私の推しカプがどれだけシコいか相手にも理解してほしい」「2人で“尊い!”と叫んで気絶したい」という意味ではない。理解してほしい、というのは「否定はしないでほしい」つまり「ほっといてくれ」ということである。つまり、私の推しカプがどれだけSSS(スーパーシコシコ)かはわかってくれなくてよいから、それが私にとって大切なものだということはわかってほしい、ということである。しかし、世の中には、自分が理解できないもの=ゴミと見なし、配偶者の趣味のものを勝手に捨ててしまったりする人もいる。趣味がわからないのは仕方ないが、少なくとも「パートナーの大事なものをゴミ扱いする相手」とは一緒にならないほうがよいだろう。つまり共通の趣味を持つことより、お互いの趣味を否定しないことのほうが大事なのだ。「我ら推しているものは違えど、推しを大事に思う気持ちはわかり哲也」とお互い認め合っているのが理想の「ヲタ夫婦」ではないだろうか。【ワ】➤「忘れられない男」(わすれられないおとこ)…大体「この恨み忘れてなるものか」という動機で覚えられている【ヲ】➤「ヲタ夫婦」(をたふうふ)…「結婚したんだから足洗うよね」と言ってくる者もいるので油断はならない【ン】➤「N’夙川BOYS」(んしゅくがわぼーいず)…ンしゅくがわボーイズ、辞典の「ん」項目に現れた新たな救世主、バンドプロフィールカレー沢薫漫画家、コラムニスト。1982年生まれ。2009年に『クレムリン』(講談社)で漫画家デビューを飾る。秀逸な言語感覚で繰り広げられる切れ味鋭い世界観が人気。こよなく猫を愛し、猫が登場する作品も多数。著書『ブスのたしなみ』(太田出版)も発売中。
2019年01月07日漫画家として活躍するカレー沢薫さんの連載コラム「アクマの辞典」このコラムは、ア行からワ行まで、女や恋愛に関する様々なワードをカレー沢さん独自の視点で解釈していきます。女の本性をあぶりだす新しい言葉の定義をとくとご覧あれ!■第23回アクマの辞典ラ行【リ】▶「理想が高い」(りそうがたかい)…顔によって言っていい条件の数が変動する、ブスは1個でも「高い」と言われる今回のテーマはラ行から「理想が高い」だ。日本は「理想の相手は?」と聞かれて二項目以上答えると「ブスのくせに理想高い」「だから結婚できないんだよ」と口を極めて罵倒される国なので、多くの女が「優しい人」という薄らぼんやりした返答をすることを余儀なくされている。特に相手に「年収いくら以上」を求める女は嫌われがちだが、ここを完全に不問にしろと言われたら、結婚生活以前に人間生活が破綻してしまう。相手に「結婚生活をやっていける年収」を求めるのは当然だろう。では「やっていける年収」「毎日見ても健康を害さない顔」程度の相手ならそこで妥協すべきでありそれ以上を求めるのは贅沢で、理想が高い身の程知らずということになってしまうのだろうか。そんなことはない。何故なら、交際も結婚も妥協してまでしなければいけないことではないからだ。「とにかく日本国籍が欲しい」「何がなんでも姓を変える必要がある」という特殊事情があるなら妥協もやむなしだが、そうでないなら理想を下げてまでするほどのことではないだろう。むしろこの「妥協」のせいで「しないほうがマシだった」な結果になることもままある。しかし世の中には「女は30までに結婚しないと」などという脅迫が満ち溢れており「結婚はしなくてはいけない」→「結婚するためには妥協が必要」→「妥協できない理想が高い女は結婚できない」→「そういう女は地獄の業火に焼かれて死ぬ」ということにしたい人間が多いため、妥協は必要で理想が高いのは悪という考えが蔓延してしまっている。ともかく「結婚」の称号を得ることが最重要で、その内容に関しては細かく問い過ぎるな、ということである。そんな世の中において、それでも「理想が高い」人間はそう言った脅迫や一般論に屈しなかった鋼のメンタルと確固たる自分を持っている人間と言える。脅迫に屈し、妥協に妥協を重ねた相手と結婚し野垂れ死ぬより「年収1000万以下の男と結婚するぐらいなら野垂れ死んだほうがマシ」という高潔な精神の持ち主である。同じ野垂れ死にでも後者のほうがその死に顔は安らかだろう。「結婚すれば安泰」というのがもはや都市伝説であると判明している昨今、むしろ理想は高く持ち結婚に対しては「結婚?まあ俺のお眼鏡にかなう相手が見つかったらしてやってもいいけどな?」と乙女ゲーに出てくる俺様野郎みたいなスタンスを取ることが、妥協づくめの結婚をするより幸せになれるのではないだろうか。【ラ】▶「ラブホテル」(らぶほてる)…女子会や外国人旅行客の宿泊先として活躍、カップルはヤれればどこでもいいだろうから譲るべき【リ】▶「理想が高い」(りそうがたかい)…顔によって言っていい条件の数が変動する、ブスは1個でも「高い」と言われる【ル】▶「ルックス重視」(るっくすじゅうし)…毎日見るなら形が良いものが良いだろう。【レ】▶「連絡を待つ女」(れんらくをまつおんな)…連絡が来たら来たで「すぐに返信しないほうが良い」というしゃらくさいテクを使おうとする【ロ】▶「ろくな男がいない」(ろくなおとこがいない)…自分ですらわからない自分の魅力をわかってくれる男がいないことプロフィールカレー沢薫漫画家、コラムニスト。1982年生まれ。2009年に『クレムリン』(講談社)で漫画家デビューを飾る。秀逸な言語感覚で繰り広げられる切れ味鋭い世界観が人気。こよなく猫を愛し、猫が登場する作品も多数。著書『ブスのたしなみ』(太田出版)も発売中。
2018年12月21日「金曜ロードSHOW!」では2019年1月4日から2週連続で「冬もジブリ」をお届け。映画史に残る名作『風の谷のナウシカ』、そして『耳をすませば』をノーカットで放送する。■『風の谷のナウシカ』女性主人公のあり方を変えた珠玉の名作1月4日放送の第1夜は『風の谷のナウシカ』(1984)をノーカット放送。強く、優しく、美しい…。宮崎駿監督が描く、まさに絶対的ヒロインのナウシカ。世界中の映画やアニメに影響を与え、女性主人公のあり方を変えた、言わずと知れた日本アニメーションを代表する珠玉の名作。作品の歴代最高視聴率は、2000年2月11日に記録した23.3%。今回で放送回数は18回目となるが、公開から35年近く経ったいまでも全く色褪せることない傑作ファンタジーが、平成最後のお正月に登場する。■『耳をすませば』当時14歳、声変わり前の高橋一生にも注目!1月11日放送の第2夜はプロデュース/脚本・宮崎駿、監督・近藤喜文の青春ラブストーリー『耳をすませば』(1995)を、こちらもノーカットで放送。作品の放送回数は今回で11回目となり、歴代最高視聴率は2002年7月19日に記録した20.5%。小説執筆に取り組む女の子とバイオリン職人を目指す男の子。甘酸っぱくてどこか懐かしい、まっすぐな恋のお話を大切な人とぜひ一緒に。主人公の月島雫に想いを寄せる少年、天沢聖司の声はなんと当時14歳の高橋一生が担当。声変わり前の繊細な高橋さんの声もお楽しみに。スタジオジブリの鈴木敏夫プロデューサーは、「『風の谷のナウシカ』はジブリの出発点。『耳をすませば』は初々しい青春映画。年の初めに新たな気持ちで観て頂けると幸いです」とコメントを寄せている。金曜ロードSHOW!「2週連続冬もジブリ」『風の谷のナウシカ』は2019年1月4日(金)21時~(放送枠30分拡大)、『耳をすませば』は2019年1月11日(金)21時~(放送枠25分拡大)日本テレビ系にて放送。※視聴率はいずれもビデオリサーチ調べ、関東地区(text:cinemacafe.net)
2018年12月14日漫画家として活躍するカレー沢薫さんの連載コラム「アクマの辞典」このコラムは、ア行からワ行まで、女や恋愛に関する様々なワードをカレー沢さん独自の視点で解釈していきます。女の本性をあぶりだす新しい言葉の定義をとくとご覧あれ!■第23回アクマの辞典ヤ行【ユ】▶「ゆとり世代」(ゆとりせだい)…30代のゆとりも増えるので、「若く見られた」と喜ぶゆとりも出てくるかも今回のテーマはヤ行から「ゆとり世代の恋愛」だ。「ゆとり」とは何か若い奴の悪口を言いたいが、語彙が死んでて何も出てこない時にとりあえず繰り出される言葉として有名だが、そもそも「ゆとり世代」とは正確にはどこを指すのか。ウィキペディアによると、主に悪口で使われている「ゆとり世代」は1987年4月2日から2004年4月1日生まれを指すらしい。つまり、初代ゆとり世代は、もう30歳ぐらいなのである、若者を揶揄する言葉として「ゆとり」を使うのはもはや「マンモスうれピー」級の遅れ感なのだ。しかし「ゆとり」という言葉はすっかり悪口として定着していて、その枕詞は「これだから」が大半であり「さすが」とか「俺たちにできないことをやってのける」とかはあまり言われない。そんな「これだからゆとりは」と言われるゆとり世代だが、その元となった「ゆとり教育」を思いついたのは、当たり前だが当時子どもだったゆとり世代ではなく、大人だ。つまりゆとりを生み出した元凶である、ゆとりより上の世代が「これだからゆとりは」と言っているのだ、海原雄山が自分で作ったあらい(※)に対し「このあらいを作ったのは誰だあ!」とブチ切れているようなものである。そんな、ある意味被害者と言えるゆとり世代だが、その特徴として「主体性や積極性がなく何事に対しても興味が薄い」というのがある。中高年の大好物としておなじみの「若い者の○○離れ」である。特に「若者のセックス離れ」という言葉はよく聞く話題だ。よって「ゆとり世代は恋愛にも積極的ではない」となってしまうのだが、これはゆとり世代が消極的性格だからというより「暇つぶしの選択肢が増えた」せいではないだろうか。私が若いころは、文明があまり発達しておらず、竪穴式住居に住んでおり、当然娯楽も、石を遠くに投げて爆笑するか、男と女、もしくは男と男、女と女、組み合わせは何でもいいが、人が二人以上いればできる「恋愛」という原始的な遊びしかなかったのである。つまり「セックスしないと時間が経たない」からやっていたのである。それが今では、スマホやパソコン一台あれば一日容易につぶれる、というか意図せず潰してしまうこともしばしばだ。それだけではなく、娯楽はひと昔前に比べ飛躍的に多様化し安価で手軽なものも増えた。そんな数ある暇つぶしの中で「恋愛」というのはかなりコスパが悪い。時間も使うが「風が吹けば桶屋が儲かる」と同じく「サイゼリヤを初デートに使うとネットが炎上する」ということわざがある通り「安く済まそうとする奴は恋愛する資格がない、出直して来い」という風潮さえある。つまり、恋愛は娯楽のレビューサイトでは「コスパ☆1」だ、コスパ重視の若者はまず選ばないだろう。このように恋愛というのは割と贅沢品なのだ、贅沢せずに慎ましく生きてるんだから逆に恋愛しない若者を褒めてもよいだろう。※「あらい」…さしみの一種。こい・くろだい・すずきなどの肉の生身を冷水や氷で洗いちぢませたもの【ヤ】▶「ヤンデレ」(やんでれ)…リスカ画像を送ってきた後にデレられるとさらに怖いので現実向けではない【ヰ】▶「ヰタ・セクスアリス」(ゐた・せくすありす)…バンド名かと思ったら森鴎外の小説。キラキラネーム創始者の底力【ユ】▶「ゆとり世代」(ゆとりせだい)…30代のゆとりも増えるので、「若く見られた」と喜ぶゆとりも出てくるかも【ヱ】▶「ヱビス」(ゑびす)…発泡酒しか買わない奴が、たまに奢りでヱビスビールを飲んでおいて「ヱビスはクセが強い」と言っている印象※個人の感想【ヨ】▶「嫁姑」(よめしゅうとめ)…両方自分がいじめられてると思っているプロフィールカレー沢薫漫画家、コラムニスト。1982年生まれ。2009年に『クレムリン』(講談社)で漫画家デビューを飾る。秀逸な言語感覚で繰り広げられる切れ味鋭い世界観が人気。こよなく猫を愛し、猫が登場する作品も多数。著書『ブスのたしなみ』(太田出版)も発売中。
2018年12月07日有村架純演じる中学教師と岡田健史演じる生徒の“禁断の恋”を描く「中学聖日記」の第8話が11月27日放送。ついに再会を果たした聖と晶だが、想いを抑えきれない晶の行動に「もはやストーカーレベル」「現れ方に笑ってしまった」などの声が寄せられている。片田舎の中学校に赴任してきた女教師・末永聖(有村さん)は婚約者がいながらも、自身の生徒・黒岩晶に心惹かれキスまでしてしまう。それがきっかけで学校を辞め婚約も解消した聖は3年後、別の街の小学校で新たに教師としてやり直そうとするが、そこでも過去を知る者が現れ、さらに18歳になった晶と再会。いまの生活を壊したくない聖は晶の想いを拒むのだが、聖を恨み続ける晶の母、愛子が聖のもとに現れる…というのがこれまでの展開。※以下ネタバレを含む表現があります。ご注意ください。野上(渡辺大)からの告白を受け交際することを決めた聖だが、そこに愛子(夏川結衣)が現れる。その様子を見ていた美和(村川絵梨)は聖の過去を探ろうと愛子に接近、過去の掲示板などから聖と晶の関係について知る。現在聖が勤務する小宮第一小学校では学習発表会が近づいていて、聖は野上とともに準備を進めていたが、聖の3年前の事件が保護者に知れ渡り母親たちが乗り込んで来る。一方晶はるな(小野莉奈)に自分の気持ちを伝えようとするがるなからは「別れない」と拒否される。上布(マキタスポーツ)からも叱責され追い込まれた晶は家出、父のいる離島へ向かおうとする。それに気づいた聖は後を追い、一緒にフェリーに乗船、そのまま2人は離島に向かうことに…というのが今回のストーリー。今回、聖の想いが抑えられない晶が、「もう来ないで」と言われてるにも関わらず再び聖の前に現れるシーンに「黒岩もうストーカーじゃ… 怖いよw」「唐突に現れられると黒岩に恐怖を感じる」などの声が多数。その登場の仕方に「突然道端からズサァ!って登場するのは笑うwww」「ガザガザって!笑ってしまった!」など、思わず笑ってしまったという反応もあり「黒岩くんの登場の仕方心臓に悪い」「ストーカーホラードラマ」と言った感想まで。当初は再会した晶を拒んでいた聖だがラストでは家出した晶と共にフェリーに乗船してしまう。まさかの“駆け落ち”展開に「来週楽しみすぎて泣きそう」「はやく来週になれ」など、次回に期待する声が殺到中だ。(笠緒)
2018年11月28日漫画家として活躍するカレー沢薫さんの連載コラム「アクマの辞典」このコラムは、ア行からワ行まで、女や恋愛に関する様々なワードをカレー沢さん独自の視点で解釈していきます。女の本性をあぶりだす新しい言葉の定義をとくとご覧あれ!☆第22回アクマの辞典マ行【ミ】▶「(人を)見る目」(みるめ)…モテないわけではなく、周りの人を見る目がない今回のテーマはマ行から「(人を)見る目」である。これはデカい虫しかいない無人島に生まれたというのでなければ、ある意味最重要なものだ。たとえ容姿や才能、金などに恵まれていたとしても、これがないと、何一つ恵まれずに裸一貫で生まれてきた上ケツが汚ねえヤツより最悪な人生を送る羽目になる。むしろ恵まれた人間ほど人を見る目が必要になる。そもそも何もないヤツには「何か目当て」のヤツが寄ってこないのである。もちろん何か目当てのヤツどころか何も寄ってこず、たまに勢い余ったカナブンとかがぶつかってくるだけの、デカい虫しかいない島に生まれてきたのと大して変わらない人生にもなりがちだ。だが、何も寄ってこないということは当然変なのも寄ってこないのだ。片や、何か持っている人間のところには人が集まる、集まれば集まるほどその中に「変なの」が混ざる率が上がる。よって変なのを掴まないための「人を見る目」が必要となってくる。例えば小室哲也さんなど、全盛期にもう一生働かなくていいぐらいの収入を得たはずだ。だがその後、何故あんなワイルドをゲットした展開になってしまったかというと、チープなスリルに身を任せたり、理由はいろいろあるだろうが、寄ってきた変なヤツの話に乗ってしまったからというのも大きいだろう。「才気がある人間ほど人を見る目がない」という説もある。容姿や才能に恵まれた人間は、幼少より周りに褒められ、素直に育っているため「まさかこの誰もが認める砂場の砂で堅い団子を作るのが天才的に上手い俺様をだますヤツなどいるはずがない」というように「人を疑う心」にパラメータを振り忘れて大人になってしまったりするのだ。よって、実際1~2度だまされてやっと「あ、俺をだますヤツがいるんだ」と気づくことになるのだが、1~2度だまされた時点で人生が終わっている可能性もある。片や何も持っておらず、周りから褒められた経験がない人間は、少し褒められただけで舞い上がる「チョロい」人間になってしまうケースも多々あるが、逆に「この祖父母にも塩対応された俺様に優しくするとは、こいつ何を企んでいるのだ」と猜疑心の塊となり、「てめえドコ中だよ?」と絡んでくるヤンキーの如く、人を見たら「お前、ナニ教だよ?」と自分に近づく人間は全員宗教の勧誘と思っているヤツも多い。これは人を見る目があるというよりは、素直な人間が「全員信じる」のに対し「全員信じない」という全てをシャットアウトする戦法である。こうすれば、変なヤツにだまされることはなくなるが、純粋な好意の人間も追い出すことにもなり、当然「孤独」である。「人を見る」というのは人を疑うことであり「人を見て態度を変える」というのは下品な行為だと思われがちだ。だが、「おかしい」「合わない」と思った人間から距離を取れないようではワイルドをゲットすることになる。だからと言って人を見すぎると、孤独になる。人を見る時は「視力0.7」ぐらいで見るのがベストかもしれない。【マ】▶「マウンティング」(まうんてぃんぐ)…優位を取ろうとする女をマウンティングゴリラと呼べるようになった、功績の高い言葉【ミ】▶「(人を)見る目」(みるめ)…モテないわけではなく、周りの人を見る目がない【ム】▶「無償の愛」(むしょうのあい)…無償労働をさせるために使われる言葉【メ】▶「メシウマ」(めしうま)…アイスはバニラ、のように「FXで大損した人」などがシンプルで一番うまい【モ】▶「モテ期」(もてき)…生まれた瞬間に終わっているケースが多いプロフィールカレー沢薫漫画家、コラムニスト。1982年生まれ。2009年に『クレムリン』(講談社)で漫画家デビューを飾る。秀逸な言語感覚で繰り広げられる切れ味鋭い世界観が人気。こよなく猫を愛し、猫が登場する作品も多数。著書『ブスのたしなみ』(太田出版)も発売中。
2018年11月21日TVアニメ「聖闘士星矢 セインティア翔」に、三森すずこ、竹達彩奈、森下由樹子、佐藤利奈の出演が決定。本作のメインビジュアルも公開された。原作漫画「聖闘士星矢」の“銀河戦争(ギャラクシアンウォーズ)編”と“聖域十二宮編”と時を同じくして、城戸沙織(アテナ)やアテナの身辺を警護する聖闘少女たちに巻き起こ る闘い、葛藤、そして、それぞれの成長の物語を描く本作。すでに、主人公・翔子役の鈴木愛奈をはじめ、M・A・O、水瀬いのり、中島愛、関俊彦、田中秀幸、置鮎龍太郎ら豪華声優陣の出演が決定している。今回新たに発表されたのは、4名の人気声優たち。聖闘少女で小熊座(ウルサミノル)のシャオリン役に、「ラブライブ!」「タイガーマスクW」などに出演し、歌手としても活躍する三森すずこ。同じく聖闘少女のカシオペア座のエルダ役には、「けいおん!」「俺の妹がこんなに可愛いわけがない」「神のみぞ知るセカイ」に出演する竹達彩奈。聖闘少女であるが敵か味方かつかみどころのない冠座(ノー ザンクラウン)のカティア役に、「ちびまる子ちゃん」「ONE PIECE」など人気作にも出演した森下由樹子。聖闘少女になるべく決意した翔子に、聖闘士や小宇宙について教え、導く師となる白銀聖闘士 (シルバーセイント)の孔雀座(パーヴォ)のマユラ役に、「とある魔術の禁書目録」「夏目友人帳」「よんでますよ、アザゼルさん。」など数々の人気作に出演する佐藤利奈が決定した。なお、キャラクターデザインには荒木プロの血を継ぐ市川慶一と西野文那。シリーズディレクターを玉川真人。シリーズ構成を高橋郁子が担当。企画・製作の東映アニメーションと手を組み、GONZOがアニメーション制作を手掛ける。「聖闘士星矢 セインティア翔」は12月24日(月・祝)19時~アニマックスほかにて放送。12月10日(月)19時~Amazon Prime Video チャンネル (スカパー!アニメセット for Prime Video)にて最速配信※毎週月曜更新。(cinemacafe.net)
2018年11月19日漫画家として活躍するカレー沢薫さんの連載コラム「アクマの辞典」このコラムは、ア行からワ行まで、女や恋愛に関する様々なワードをカレー沢さん独自の視点で解釈していきます。女の本性をあぶりだす新しい言葉の定義をとくとご覧あれ!■アクマの辞典ハ行【ハ】▶「腹黒女」(はらぐろおんな)…女から見て気に入らない女は全部「腹黒」ということになる今回のテーマはハ行から「腹黒女」だ。腹黒とは、表面上は白を装いながら、その振る舞いは全て自分の利益のためという、腹の中は真っ黒のイカみたいな奴のことである 。しかし、デキ婚のことを本人たちや新婦の親が「授かり婚」と言い変えたりするように、腹黒女たちは自分たちのことを「腹黒」などと言ったりはしない。何と言うのか?「あざとかわいい」だ。これは「なんでもヤバいと言っておけばいいと思ってるだろ」と怒られるの承知で「ヤバい」と言うに等しいパワーワードだ。ちなみに「パワーワード」も最近、多用されすぎの思考停止用語としてよく怒られる。つまり二倍怒られてでも使いたい「ヤバいパワーワード」=「あざとかわいい」なのだ。読んで字の如く、計算しつくされた、あざといファッション、メイク、しぐさをしつつも、男にはそのあざとさを勘づかれてない、もしくは「もう、あざといんだから!」と言われながら飯を奢られている女のことである。昔からよくいるブリっ子じゃねえかと思うかもしれないが、本物のあざとかわいい女はバカを装ったりしない。なぜなら、それが何の得にもならないとわかっているからだ。「バカを装え」は女の鉄板モテテクであり、合コン「さしすせそ」などその代表だろう。確かにそれがヤリコンだというなら、前戯から後戯まで「すごーい」だけでよく「さしせそ」すら不要なのだが、真面目な結婚をしたい女に対して、婚活コンサルタントが「バカを装え」とアドバイスしているところもあるというから驚きである。そこがペットショップなら「バカそうだけどクソカワイイ」で決めても良いと思うが、結婚相手として「バカ」かどうかで女を選ぶ男はそれ以上のバカか「バカだから操りやすい」と思っているかのどちらかだ。もちろんホンモノのバカの方でいらっしゃるなら、そのようなお相手と結婚しても「ベストマッチング」かもしれないが、コンサルのアドバイスに盲従し「バカを装って」結婚した場合、その相手はちょっと口答えしたり自分の意見を言ったりしただけで怒りだす可能性が非常に高い。「バカ(自分より下)と思って結婚した」のだから当然だ。それも、カワイイだけのバカ女が1人、2人肩に乗っていても余裕で歩ける、むしろちょうどいいハンデという、手足に重りをつけて生活しているサイヤ人のような真の高スペック男ならまだ良いかもしれないが、そこまでの甲斐性もなく「バカな女(共働き必須)希望」の男はもはや結婚相手を探しているとも言い難く、素直に「お母さん希望」と言ってくれたほうが助かる。よってモテるために「バカを装う」というのは、そういう男を寄せ付ける「雑魚モテ」をするだけである。本当に「あざとかわいい」女はそんなことはせず、むしろ平素は「しっかりした女」、ともすれば「1人で生きていける女」のようにふるまうという。それでは男を寄せ付けないと思われるかもしれないが、もちろんツッパリ倒した女ではなく、弱みやバカさも見せる、ただその弱みやバカさを見せる相手を「厳選」するのだ。そうすれば相手は「俺にだけ本当の自分を見せてくれている」「頼られている」思うのである。あざとかわいい女は「一本釣り」なのだ。いらぬ雑魚に時間をかけないのが、その「あざとさ(頭の良さ)」の所以である。【ハ】▶「腹黒女」(はらぐろおんな)…女から見て気に入らない女は全部「腹黒」ということになる【ヒ】▶「姫扱い」(ひめあつかい)…王族に生まれなくても高いシャンパンを入れればなれる、良い世の中【フ】▶「不意打ちキス」(ふいうちきす)…性犯罪【ヘ】▶「平成」(へいせい)…自分が平成だったら二十代のうちに終わらせてほしかったと思う【モ】▶「モラハラ男」(もらはらおとこ)…「間違ってるお前」を正しにやってきた間違ってる男プロフィールカレー沢薫漫画家、コラムニスト。1982年生まれ。2009年に『クレムリン』(講談社)で漫画家デビューを飾る。秀逸な言語感覚で繰り広げられる切れ味鋭い世界観が人気。こよなく猫を愛し、猫が登場する作品も多数。著書『ブスのたしなみ』(太田出版)も発売中。
2018年11月07日有村架純主演で教師と生徒の“禁断の恋”を描く火曜ドラマ「中学聖日記」の第5話が11月6日に放送された。聖と晶、勝太郎の関係に1つの区切りがついた前半ラスト回、ネットには多くの視聴者から思い思いの感想が寄せられている。神奈川の片田舎にある子星中学校に赴任してきた新任教師の末永聖を有村さんが演じて主演。聖は大学時代からの恋人で現在は大阪で働く川合勝太郎(町田啓太)という恋人がいるにも関わらず、10歳も年下である自らの生徒・黒岩晶(岡田健史)に惹かれてしまう。しかし晶のことが好きな同級生の岩崎るな(小野莉奈)は聖のことを快く思わず、晶の母・愛子(夏川結衣)に聖が晶をたぶらかしてると話す。そして当初は晶の想いを取り合わなかった聖も次第に晶に惹かれていき、花火大会の夜、晶からキスされてしまうと、2人は手を取り合い聖の自宅へ。だがそこには勝太郎と愛子が待ち構えていた…というのがこれまでの物語。※以下ネタバレを含む表現があります。ご注意ください。2人の“恋”の行方に注目が集まった第5話。勝太郎は聖の肩を抱き部屋に連れ帰ると「向こうのペースに引きづり込まれたんでしょ」と気にしてないそぶりをみせる。翌日聖は学校に呼び出され謹慎を命じられる。そのことを知った晶は勝太郎の会社に出向くなど事態を変えようとするが無力で、結局聖は学校を辞め勝太郎と大坂で暮らすことに。聖が街から引っ越すことを知ると晶は家を飛び出し、聖の乗った車を追う。一方、聖も勝太郎に別れを告げる…というのが第5話のストーリー。聖、晶、勝太郎それぞれの恋にひとまず区切りがついたラストに「歳の差とか立場とか言っちゃっても気持ちは止めれんわぁ」「黒岩くん、聖ちゃんに対して真っ直ぐな感じに涙腺崩壊」「怪我しながらも追いかける黒岩くんが健気すぎ」など一途な想いに共感する声や、「聖についに本音が言えた勝太郎辛くて見てられない」など、それぞれの立場に感情移入した視聴者からの感想が放送後もタイムラインに溢れ続けている。またラストで18歳になった晶の姿が映されると「次回気になりすぎて興奮」「次回の中学聖日記気になりすぎて寝られへん」「3年後!どんな風に再会するのかめっちゃ楽しみ」といった声も続々投稿。公式サイトには波乱の展開を感じさせる予告編もアップされており、次回が待ちきれない視聴者が続出している模様だ。(笠緒)
2018年11月07日漫画家として活躍するカレー沢薫さんの連載コラム「アクマの辞典」このコラムは、ア行からワ行まで、女や恋愛に関する様々なワードをカレー沢さん独自の視点で解釈していきます。女の本性をあぶりだす新しい言葉の定義をとくとご覧あれ!■第20回アクマの辞典ナ行【ナ】➤「涙(は女の武器)」(なみだ)…使ったら死ぬ(社会的に)系アイテム今回のテーマはナ行から「涙(は女の武器)」だ。女のみなさん、涙を武器に使ったことがあるだろうか、女たるもの、眼球から涙を散弾銃のように撃ち相手をハチの巣にするぐらい朝飯前のはずだ。でもそれを使うと、力の差が圧倒的になってしまうので使わないであげていると思う。だが、液体状の涙を武器として使っている者はいる。特に子どものころ、涙は「切り札」として常用されていた。幼少時の涙というのは、日本の道路交通法みたいなもので、どれだけ歩行者が全裸に靴下のみ着けて道路に大の字で寝ていようと、とりあえずそれを轢いた車が悪い、となってしまうように、どんな事情があろうと「泣かせたほうが悪い」となり、先生などに怒られていた。つまり泣いたもの勝ちである。これは男子でも使えるが、男子は3才ごろから「男の子は簡単に泣いてはいけない」という男女差別にさらされており、泣くのは恥ずかしいこと、まして女子に泣かされるなど即刻腹を切るべき、と刷り込まれているので、なかなかこの切り札は使えないものである。では、大人になってから涙を武器とするのはどうだろうか。タイマン、特に痴情の場でなら大人になってからも使っていいと思う、別れ話で女が泣き出したり、逆にゴールデンボンバーのPVのように男が縋り付いて、女々しくて女々しくて辛くなったりしても、これは二人のことである。しかし、ビジネスなど、社会的な場で涙を武器にするというのは下策である。たとえ涙でビジネス上のピンチを切りぬけたとしても、それは「泣いてるお前が可愛くて」許したわけではなく「うわあ」という、許すというより引いたため「退いた」だけである。しかも1人涙を武器にする女がいると、一瞬にして「女は泣けばいいと思っている」という、主語巨大化現象が起きてしまうため、社会的な場で液状の涙を武器にする女は、涙を武器にするぐらいなら口から溶解液を出して戦う、という女から蛇蝎の如く嫌われる。大人になってからの涙を武器にするという行為は子どもの時より「切り札」度が上がっており、一度公の場で使うと「そういう人」と思われるし、何度も通用するものではない。ドラクエなら「メガンテ(※)」と思ったほうがいい、自分も無傷では済まないからだ。しかし、涙も尿と同じで、我慢に限界があり、どれだけ出すまいと思っても出る時は出る。そんな「限界まで我慢したが断腸の思いで漏らした」という涙に対しても「泣けばいいと思って」と言われてしまう時もある。この時の悔しさは筆舌に尽くしがたいものである。涙を武器として自在に操っているものもいるかもしれないが、そんな器用なことできない女のほうが多い。職場などで大の大人が涙を堪えきれないほど追いつめられるというのは異常事態なのだ。それを「泣けばいいと思っている」と女なら誰でも自在に使える武器扱いし、パワハラがうやむやにされている側面もあるのではないだろうか。※「メガンテ」…自らの命と引き換えに大爆発を起こし敵を砕けさせるという自爆呪文【ナ】➤「涙(は女の武器)」(なみだ)…使ったら死ぬ(社会的に)系アイテム【に】▶「肉食女子」(にくしょくじょし)…ヤリマンと同一にされがちだが、肉なら緑に変色した鶏肉でも食うというわけではない、結構選ぶ。【ヌ】▶「ヌーブラ」(ぬーぶら)…勝負服は綺麗に着られるが、勝負下着としては最悪な諸刃の剣【ネ】▶「猫」(ねこ)…猫がいれば男はいらないと言っている女はマジで言っているので「そんなこと言って~」と茶化すと殺される【ノ】▶「呪い」(のろい)…女はこうするのが一番幸せ、など、幸せのフリした呪いがたくさんあるプロフィールカレー沢薫漫画家、コラムニスト。1982年生まれ。2009年に『クレムリン』(講談社)で漫画家デビューを飾る。秀逸な言語感覚で繰り広げられる切れ味鋭い世界観が人気。こよなく猫を愛し、猫が登場する作品も多数。著書『ブスのたしなみ』(太田出版)も発売中。
2018年10月20日現在"放牧中"のいきものがかり・吉岡聖恵がパーソナリティを務めるニッポン放送『いきものがかり吉岡聖恵のオールナイトニッポン』が、22日(25:00~)に一夜限りの復活を果たすことが明らかになった。いきものがかりは、17年1月に「放牧宣言」と題して、グループとしての活動休止を発表。以降はメンバーそれぞれがソロ活動を行っている。吉岡はかつて「オールナイトニッポン」でレギュラーパーソナリティーを務めていた。今回は24日にソロカヴァーアルバム『うたいろ』の発売を記念して、16年3月に一夜限りの特番として放送されて以来、2年半ぶりに復活する。"放牧中"の生活について吉岡の口から語られる他、レギュラー放送時代の名物コーナーも復活する予定だ。吉岡は「2年半ぶりにオールナイトニッポンをやらせて頂ける事、うれしさでいっぱいです!」とコメントし、「放牧中の今ですが、10月24日には初のソロカヴァーアルバム「うたいろ」をリリースさせて頂く事になりました!そのお話もさせて頂きますね」と明かした。番組ではアルバムタイトルにちなみ、「あなたの今、なにいろ?!」というテーマで、リスナーに「自分の『現在』はどんな環境で、どんな心境なのか?」を色で表現してもらうメッセージを募集する。
2018年10月16日