ギネスにも認定される国民的映画『男はつらいよ』シリーズ。今回、シリーズ48作に特別篇を加えた49作品が、12日1日(火)より「dTV」にて見放題独占配信されることが明らかとなった。誰もが元気になれる日本人の心の原風景を描き続け、現在まで幅広い世代から愛され続けている国民的人気シリーズ『男はつらいよ」。原作・脚本・監督を日本を代表する巨匠・山田洋次が手がけ、主人公・車寅二郎を演じる渥美清との名コンビで制作され、初公開から27年にわたり、全48作が公開。同一主演俳優による世界最長の映画シリーズとして、ギネス記録にも認定されるほど、世界でも愛され続けている。第1作において、渥美清演じる主人公"フーテンの寅"こと車寅次郎が、約20年ぶりに故郷の葛飾柴又に戻ってきたところから物語が始まり、以後、寅次郎の腹違いの妹・さくら、おいちゃん、おばちゃんらが集まるだんご屋を中心とした柴又と、寅次郎が訪れる日本各地で物語は展開。寅次郎の旅先の美しい風景もみどころのひとつだ。また、吉永小百合、浅丘ルリ子、竹下景子、三田佳子、後藤久美子など、寅二郎が恋に落ち、追いかけて旅をするその時代の魅力的なマドンナたちが出演するほか、沢田研二や永瀬正敏、小林幸子、長渕剛など豪華ゲストも多数登場し、物語に一層の魅力を与えている。今回決定した「dTV」独占配信では、1969年初公開された第1作から1995年に公開されたシリーズ全48作と特別篇を加えた49作を配信。また、「dTV」では『男はつらいよ』以外にも『幸福の黄色いハンカチ』や『東京家族』、『母べえ』など、山田監督の名作を多数配信。今月公開の吉永小百合主演『母と暮せば』や、来年3月公開の喜劇映画『家族はつらいよ』に向けて、この機会に思う存分山田監督ワールドを堪能してみて。「男はつらいよ」は12月1日(火)より「dTV」にて配信開始(全48作+特別篇)。(cinemacafe.net)
2015年12月01日数々の名作を世に送り出し日本映画の歴史を彩ってきた日本最古の映画会社、日活が10日に創立100周年を迎え、日活調布撮影所にて記念式典が開催された。日本映画黄金期を支えた名優たちを代表して宍戸錠、浜田光夫、和泉雅子、松原智恵子らが出席。日本映画を支えた先達たちの手型を収めたモニュメントの除幕式が行われた。大正元年に“日本活動写真株式会社”として誕生し、戦後は1953年に映画制作再開を宣言。同時に着工となり、当時、東洋一と呼ばれた調布撮影所が翌1954年に完成した。手形モニュメントには64名の映画人が参加。小林旭に舟木一夫、渡哲也、浅丘ルリ子、谷ナオミ、吉永小百合、鈴木清順監督、石原裕次郎など、銀幕を彩り時代を駆け抜けた錚々たる面々の手形が並んだ。創業から16代目にあたるという佐藤直樹社長は「日活100年の歴史は映画100年の歴史とも言えます。アクションに恋愛、青春映画。多くの監督やスタッフを育成したロマンポルノなどのタイトルも素晴らしい作品であり我々の誇り。このようなライブラリーを作り上げた先輩たちの技術やプライドを受け継いでいきたい」とあいさつした。2011年には『八日目の蝉』および『冷たい熱帯魚』が高い評価を受け、日本アカデミー賞で計11冠に輝くなど“復権”の兆しも見えるが、佐藤社長は「日活はまだ元気に映画を作れると思っていただける成果が少しずつ出てきた」と述べ、この春に制作が発表された鈴木清順監督×宍戸錠のコンビによる『野獣の青春』のリメイクでジョン・ウー監督がメガホンを執る『デイ・オブ・ザ・ビースト(原題)/Day of the Beast』への期待を口にし、「日本のみならず海外とも共同制作を推進していきたい」と今後の展望を語った。また、宍戸は「なんと58年ここで働いてました。いまだにやってます。何でやってるかというと面白いから。映画作りほど面白いものはない!」と衰えることのない映画作りへの情熱、映画への愛を吐露した。浜田と言えば吉永との“純愛コンビ”で知られるが共演作『キューポラのある街』の公開50周年を記念し、この春には映画の舞台となった川口市を訪れたそう。「かつての鋳物工場が高層マンションになっており、50年の歴史を感じました」と過ぎし日を偲んだ。昭和36年に13歳で日活に入社した和泉は「60歳を過ぎてからは言われなくなったけど、50代までは日活の俳優さんに会うと『何歳になったの?』と聞かれたものでした。おかげさまで65歳になりました」とおどけつつ、「日活は私の青春です」としみじみ。和泉の同期で16歳で日活に入り、10年を過ごした松原も「素人の私をスタッフのみなさん、共演者のみなさんが優しく見守ってくれて、監督自らお芝居をしながら私を育ててくれた10年でした。日活は本当に私にとって恩人であり懐かしい場所です」と感慨深げに語り、集まった多くの関係者から温かい拍手が送られた。なおこの手形モニュメントは調布撮影所内と調布市内で一般公開される予定だという。
2012年09月10日三谷幸喜がロシアを代表する劇作家アントン・チェーホフの『桜の園』を演出する舞台が、東京・PARCO劇場で6月9日に初日を迎えた。前日の6月8日には公開舞台稽古が行われ、出演の浅丘ルリ子、藤井隆、青木さやかと三谷が会見に応じた。三谷版「桜の園」チケット情報『桜の園』は『かもめ』『ワーニャ伯父さん』『三人姉妹』と並ぶチェーホフ4大戯曲のひとつ。革命前夜のロシアを舞台に没落貴族の喜悲劇を描く。物語はパリで放蕩生活をしていた桜の園の女地主が資産を使い果たし、領地が競売にかけられるため帰国するところから始まる。会見で三谷は「『桜の園』は読むと結構笑えるところがあるんですよ。実際、戯曲には“4幕の喜劇”と書かれていて、コメディとして作ってある。だからこそ、僕みたいな喜劇作家が本来のコメディとして作るべきなんじゃないかと思いました」と本作を手がけるに至った経緯を語った。三谷の演出について訊かれた出演者は「すっごくダメ出しが長いです。でも三谷さんがおっしゃったことが、こういう風に変わるんだ、としみじみ感じながらやらせていただいてます」(浅丘)、「僕が迷っていても許してくださって、その結果を採用してくださる器の大きい方です」(藤井)、「私が不安に思っていたりすると気付いてくれて凄いなと思います」(青木)、とそれぞれが三谷を絶賛。今回のキャスティングについて訊かれた三谷は「新しいイメージでチェーホフをやりたかったので、なるべくチェーホフから遠いところにいる人を集めた」と話すと、浅丘が「本当はシェイクスピアやチェーホフは好きじゃないので、以前来た話はお断りしたことがあるんです。今回は三谷さんとならやってみようかしら」と引き受けた理由を明かした。また大学生役に挑戦する藤井に対し、報道陣から年齢的なギャップについて問われると「(劇中で)頭が禿げてるみたいな件もありまして、(僕も)ちょうど前頭部が禿げ上がってきたのでいいタイミングだな」と笑いを誘っていた。稽古場ではキャストが浅丘の楽屋に集まり、皆でお茶を飲むなど仲のよさを青木がアピール。逆に三谷は「僕は距離を置いてました」と話し、「浅丘さんはおしとやかに見えますけど一方でべらんめえなところもあって、結構怖いんですよ」と暴露。これを受けて浅丘が「“てめえ馬鹿やろう、うるせえんだよ”とか、いろんな面を三谷さんにお見せしているんです」と自身が演じる女地主・ラネーフスカヤの役作りの一環(!?)だったと話していた。会見の最後に三谷は「この3人の中で一番笑いをとるのは浅丘さんだと思う」と浅丘のコメディエンヌぶりをぜひ見て欲しいとアピールしていた。公演は7月8日(日)まで東京・PARCO劇場にて上演。その後、7月12日(木)から22日(日)まで大阪・森ノ宮ピロティホール、7月25日(水)から29日(日)までKAAT 神奈川芸術劇場にて上演される。チケットは発売中。
2012年06月11日三谷幸喜らしさがこれほど際立つ舞台は珍しい。国も違う100年も後輩の演劇人によって、自らの戯曲にチューンナップが施され、作品本来の喜劇性を取り戻したと知ったら、チェーホフはどう思うか。それが、三谷版『桜の園』の稽古場取材で得た感想だった。三谷版『桜の園』公演情報初めて他人の戯曲を演出することになった三谷にとって、まず最初に頼りにしたのが、キャスティングだろう。破産寸前なのに優雅な暮らしをあきらめきれない“桜の園”の女地主・ラネーフスカヤに、浅丘ルリ子。自前の豪華なドレスで稽古に取り組む姿勢からはスターの風格が漂い、世俗に染まらないピュアな印象が役によく合う。何より、嘆きのセリフが暗くなりすぎないのがいい。透明感のある声はどこか凛々しく、特権階級としての矜持をにじませる。一方、彼女の対極に位置するのが、成り上がりの実業家・ロパーヒン役の市川しんぺーだ。猫のホテルのメンバーとして小劇場で足腰を鍛えたタフな存在感が、浅丘と絶妙なコントラストをなす。作者チェーホフが“喜劇”と称していながら、笑いの部分をきちんと汲み取った上演は、これまで多くなかった。だからこそ笑える舞台にしようと立ち上がった三谷だけに、やはりそこへのこだわりは並大抵ではない。笑いの達人である藤井隆、青木さやかのほかにも、大和田美帆、瀬戸カトリーヌ、阿南健治、藤木孝ら、陽性なキャストが揃っている。普通、出番でない俳優は自分の世界に没頭していてもおかしくないが、この現場では、笑い声をあげながら、他人の稽古を楽しそうに見ている俳優が多いのが印象的だった。また、お互いの役名を早く覚えようと、役名入りゼッケンを胸につけて稽古するというもの、悲劇の稽古場なら考えられない。ましてや、演出家までもが自らの胸に“アントン”(チェーホフのファーストネーム)と書いてみせるなんて。チェーホフ戯曲のどこに面白さを感じるか。そして、自分が感じたその印象に観客をどう巻き込むか。他の演出家なら素通りしてしまいそうな何気ない場面が、テンポや間のとり方、セリフのトーンを変えただけで、爆笑シーンとして生まれ変わる不思議。すべては演出家のセンス次第だ。つまり今回の三谷の挑戦は、自らのクリエイターとしての資質にあらためて向き合う作業に他ならない。チェーホフでありながら、三谷流。三谷ワールド全開なのに、あくまでもチェーホフ。最良の着地点を目指して、稽古は開幕まで続く。6月9日(土)から7月8日(日)まで東京・PARCO劇場、7月12日(木)から22日(日)まで大阪・森ノ宮ピロティホール、7月25日(水)から29日(日)までKAAT 神奈川芸術劇場 ホールにて上演。チケット発売中。
2012年05月28日AKB48の大島優子や女優の武井咲、韓国のガールズ・グループ、少女時代らが1月11日、東京・有明の東京ビックサイトで開催された、「第23回日本ジュエリーベストドレッサー賞」の授賞式に登場した。AKB48の公演チケット情報同賞は、ジュエリーの似合う著名人に世代別で贈られ、20代部門で受賞した大島優子は「身が引き締まる思いです。輝きに負けないように、美しいジュエリーのように自分を磨いていこうと思います」と輝くような笑顔でコメント。10代部門に選ばれた武井咲は「光栄です。(事務所の)社長室に入る時につけようかな」と初々しい笑顔を見せ、「ジュエリーの似合う女性として20代、30代を生きていきたい思います」と話した。特別賞女性部門を受賞した少女時代は、メンバーを代表してソヒョンが「これからもジュエリーのように輝くアーティストになりたいです」と挨拶し、「今年も(日本で)全国ツアーがしたいです。できたら、ワールド・ツアーもやりたいですね」と抱負を述べた。このほか、30代部門では米倉涼子、40代部門では檀れい、50代部門では余貴美子、60代以上の部門では浅丘ルリ子が受賞。また、男性部門では佐藤浩市、特別賞男性部門には、サッカー・CSKAモスクワ所属の本田圭佑が選ばれた。
2012年01月12日10月29日(土)に東京・帝国劇場で開幕するミュージカル『ニューヨークに行きたい!!』に出演する瀬奈じゅん、橋本さとし、村井国夫、浅丘ルリ子が27日、帝国劇場正面玄関に敷き詰めた“ブルーカーペット”に登場。豪華客船が舞台ということで、レッドカーペットならぬ“海”をイメージしたブルーの道を、劇中の衣裳に身を包み笑顔で歩いた。『ニューヨークに行きたい!!』チケット情報はこちら『ニューヨークに行きたい!!』は2007年のドイツ初演以来、ヨーロッパでは“現在もっともチケットの取れないミュージカル”と称される人気ミュージカル。人気キャスターのリサ(瀬奈)のもとに、老人ホームで暮らす母マリア(浅丘)が駆け落ちをした、という知らせが入ることから始まるコメディ。豪華客船を舞台にダンスシーン満載で綴るハッピーな作品だ。この日行われた会見では、初日を目前に控えた気持ちを瀬奈が「信じられない気持ちと、早くみなさまにこの楽しい舞台をお届けしたいなという気持ちがありますが、総合的にはとても楽しみ」と語り、橋本も「“ヨーロッパでもっともチケットの取りにくいミュージカル”という、その意味は観られたら必ずわかる。楽しくてヒューマンドラマがしっかり描かれていて、大変良い作品なので、“日本でももっともチケットの取りにくいミュージカル”にしたい」と意気込みを話した。また浅丘扮するマリアと駆け落ちをするオットー役の村井は「浅丘ルリ子がミュージカルですよ!? 歌うんですよ、踊るんですよ、そりゃもう見なきゃ!」とユニークにアピール。浅丘も「(初のミュージカル出演だが、ミュージカルが)こんなに楽しいものとは思いませんでした。お話も、優しくて単純、でもいろいろなものが詰まっていて楽しい。こんなに素晴らしいミュージカルって近頃ないんじゃないかって思うくらい。観て絶対ソンはないと思います」と作品の魅力を語っていた。公演は10月29日(土)から11月20日(日)まで帝国劇場、11月25日(金)から29日(火)まで大阪・梅田芸術劇場 メインホールにて。チケットはともに発売中。
2011年10月27日元宝塚月組トップスター、瀬奈じゅんが主演するミュージカル『ニューヨークに行きたい!!』の製作発表が8月22日、都内にて行われた。この作品は2007年ドイツ・ハンブルクで初演。約3年のロングランを果たし、現在もシュツットガルト、ウィーンで上演中。現在ヨーロッパでもっともチケットの取れないミュージカルと言われている人気作が、日本初上陸する。物語はTV番組の人気キャスターとしてバリバリ働いているリサ(瀬奈)がある日、老人ホームで暮らす母マリア(浅丘ルリ子)から、豪華客船に乗ってNYの自由の女神の下で結婚式を挙げると知らせを受けたことから始まる。母とその相手オットー(村井国夫)を1週間以内に連れ戻さないと、せっかく入ったホームから追い出されてしまうと、オットーの息子アクセル(橋本さとし)とともに豪華客船を追いかけるも……。恋に仕事にケンカに親子の絆がドタバタの中に描かれていく、ミュージカル・コメディだ。「女優になってから、普通の現代女性を演じるのが初めて」という瀬奈は、「女性の永遠のテーマである仕事か結婚か、という選択など、自分にちょっと重ねながら、悩みながら、とにかく楽しいハッピーなミュージカルをお届けしたいと思います」と意気込みを語る。瀬奈と相手役となる橋本さとしとは現在ミュージカル『三銃士』で共演中とのことで、橋本は「瀬奈さんとは今、とても悲しい恋愛を演じていますが、次はガッツリ! ラブリーなハッピーラブということで、とても光栄」と嬉しげに話していた。またこの日、終始話題の中心にいたのは、長いキャリアの中で今回が意外にもミュージカル初挑戦という浅丘ルリ子。開口一番「今の気持ちは、死にたいです……」と語り、「すっごい憂鬱です。私に歌えって? もうどうするの、っていろんな不安ばかり。今からでも(役を)降りたいくらい」とおっとりと愚痴を連発する姿が可愛らしく、共演者は爆笑。「皆さんの足をひっぱらないように先に稽古しておきたい」と焦りを見せる浅丘だったが、この日も身に着けていた衣裳のウェディングドレスに話が及ぶと「なかなかいいものですね。老人ホームで恋してNYに行きたいと行ってふたりで脱走するという気持ちがすごい素敵」とニッコリ。そんな浅丘に対し、相方となる村井国夫は「浅丘さんがミュージカルに出演なさるということで、ただそれが嬉しくて、ワクワクしています。ずっとご一緒したいと話していたんですよ、まして恋人役ですから」と満面の笑顔を浮かべていた。公演は10月29日(土)から11月20日(日)まで東京・帝国劇場、11月25日(金)から29日(火)まで大阪・梅田芸術劇場 メインホールにて。東京公演はチケット発売中、大阪公演は10月2日(日)に一般発売開始。
2011年08月23日思わず支えたくなるような純粋無垢な女性から、目的のためには手段を選ばない悪女まで、女優・菅野美穂の演技には毎度驚かされる。そんな彼女が『チーム・バチスタの栄光』、『ジェネラル・ルージュの凱旋』などの映像化で知られる医療ミステリー作家・海堂尊の新シリーズ『ジーン・ワルツ』の映画化で演じるのは、クール・ウィッチ(冷徹な魔女)と言われ、権力に屈しない行動力を持つ、産婦人科医であり顕微授精のスペシャリスト・曾根崎理恵だ。“史上最強の女医”を演じたことで彼女自身の人生はどう変化したのか――。曾根崎の芯の強さに「羨ましい」「原作の曾根崎先生は、どこまでもクール。内側にある情熱はポーカーフェイスで一切表面に出さず、水も漏らさないような計画を立てる完璧な女性。そういう女性を私が演じるってどうなんだろう…という不安はありました。でも、映画の台本を読んで、彼女の揺らぎとか葛藤を膨らませていることに気がついて、私の役割は原作の曾根崎先生と映像化にあたっての曾根崎先生のニュアンス、その両方を繋ぎ合わせることだと思ったんです」と語るように、信念を貫きながらも揺れ動く心情を丁寧に表現している。菅野さんが20代の頃からカメレオン女優と言われるゆえんはそこにある。物語の舞台となるのは、とある理由で閉院間近となったマリアクリニック。曾根崎と彼女がサポートする4人の妊婦それぞれの出産に至るまでが描かれ、多くの女性は出産について深く考えさせられる。もちろん菅野さんもそのひとりだ。作品から受けた衝撃を「頭をガツンと叩かれたようだった」と説明する。「いままでは、赤ちゃんを産むことに関してどこか夢見がちだったというか、早いか遅いかの違いはあっても、いずれ母親になるだろうと思っていたんです。けれど、そうではなかった。現代の女性にとっては、産む人生も産まない人生も選択できる。赤ちゃんを産むにしても、十月十日の間にどれだけ大変なことが待っているのか──その大変さを知り、その先にあるであろう自分の赤ちゃんを抱くことの喜びを考えることができた。いまは夢見がちではなく、現実的な大変さも含めて、いつか赤ちゃんを産みたいと思っています」。また、今回は菅野さんをはじめ浅丘ルリ子、南果歩、風吹ジュン、白石美帆、桐谷美玲など女性キャストが多かったこともあり、現場でも出産トークが繰り広げられた。「風吹さんが現場にお茶のセットを持ってきて中国茶を入れてくださったんです。そのお茶を飲みながら、出産のときはね…と話をしたこともありますね」。監督の実体験から演技のヒントを得るそして、和気あいあいとしたオフタイムの雰囲気とは一変、劇中で曾根崎が代理出産という大胆な計画を遂行するために、上司である帝華大学准教授の清川と火花を散らし、繊細さと強さを武器に清川を振りまわす一幕も。菅野さんはそんな曾根崎を「羨ましい」、「あっぱれな女性」と称える。「曾根崎先生のやろうとしていること、言っていることは正しいけれど、拳をあげた瞬間に意味が変わることってありますよね?でも、彼女の場合は正々堂々と正義をきっちり貫き通している。もちろん、その自信の裏には努力があるわけですが、私は彼女ほど自分に自信を持てないし、嫌われたらどうしよう?って考えてしまう。ほんとにあっぱれな女性ですよね」。クール・ウィッチと呼ばれながらも同性から頼られるキャラクターでいられるのは、彼女に観客が希望を託したいと願うからなのかもしれない。続けて、何日もかけて撮影したという、曾根崎と清川が一緒に手術を行うシーンが印象深く記憶に刻まれているとふり返る。「赤ちゃんが生まれるだけでなく、曾根崎先生と清川先生の本音がぶつかるシーンでもあって、さらに帝王切開の術式を手際よく演じなければならなくて…いろいろなものがギュウギュウに詰まっているシーンでした。私自身は子供を産んだ経験がないので分からないことだらけだったんですが、この作品の撮影に入る前に大谷監督はイクメンをされていたので、監督の(実体験からくる)何気ない言葉の一つ一つが演技につながりました。何よりも“映画を観たあとにあったかい気持ちになれる、そういう映画にしたい”という監督の言葉が支えになりましたね」。「私もいつか赤ちゃんを産みたい」と菅野さんが熱い思いを胸に刻んだように、多くの女性が曾根崎先生のような産婦人科医の下で、出産したいと思うことだろう。温かな気持ちを抱きながら──。(photo:Toru Hiraiwa/text:Rie Shintani)特集「『ジーン・ワルツ』 現場が伝える女性の『生き方』&『働き方』」■関連作品:ジーン・ワルツ 2011年2月5日より全国にて公開© 2011「ジーン・ワルツ」製作委員会■関連記事:『ジーン・ワルツ』海堂尊インタビュー納得の出来に原作者も「危険な映画(笑)」菅野美穂「ピザマルゲリータを見ると帝王切開を思い出す」就活女子必見…?桐谷美玲がコメディ初挑戦でコスプレ軍団に囲まれ困惑矢田亜希子クリスマスにプレゼントもらう予定アリ矢田亜希子インタビュー「いまだからできる」母親役で見せた強さ
2011年02月03日