1969年の日本初演から43年。松本幸四郎が人生の半分以上演じ続けている『ラ・マンチャの男』。その制作発表が2月20日にホテルオークラ福岡で開催され、主演のドン・キホーテを演じる松本幸四郎と、彼が想い姫と慕うアルドンサ役の松たか子が登壇した。今年は5月の福岡・博多座、8月の東京・帝国劇場の上演が予定されているが、幸四郎が古希を迎える8月19日(日)の東京公演で、上演回数1200回という偉業を達成する。ミュージカル「ラ・マンチャの男」 チケット情報10年前の博多座公演からは、幸四郎が本作の演出も担当。「外国の作品を、日本の役者が日本語で演じるわけだから、日本の現代劇としてお見せすることが基本姿勢。プラス、オリジナルの良さを保つように。2009年の公演を、本作の脚本家デール・ワッサーマンさんの未亡人がご覧になられて『オリジナルの魅力を保ち続けているのは、このカンパニーだけ』というお言葉を頂いたのですが、それは本当に嬉しかった。皆様も、その言葉を信じて観にきて頂きたいですね」と、演出家としての自信ものぞかせる。子供の頃からこの作品を観ていたという松も「最初は『暗い、怖い、汚い』というイメージ(笑)。でも、やっぱり何かいいなって思う気持ちがあって。自分が出演し始めてからは、演じるごとに感じることが違う作品で、再演を重ねられる作品というのはこういうものなのだな、と日々実感しています」と魅力を語りつつ、「同じ舞台に立つ以上は『父のために頑張る』という気持ちは全くなく、とにかく作品を良くしたい。そのためにもアルドンサを死にもの狂いで演じます」と俳優としての決意を語った。互いに「たか子は、人間をつかむ能力が凄い」「父の好奇心の強さは尊敬する」と俳優しての魅力を語り合いつつも、作品の中ではライバルとして演じ合うふたり。1200回公演を迎える今年は、さらに気持ちも熱いようで、声を合わせて「記念の公演に向けて、1公演1公演しっかり演じていきたい」と語る。福岡公演は5月5日(土)から28日(月)まで、東京公演は8月3日(金)から25日(土)まで開催。チケットはそれぞれ福岡公演が3月10日(土)、東京公演は5月26日(土)より一般発売する。
2012年02月22日歌舞伎をはじめ、日本初のオペラや翻訳劇にも出演した近代の名優、七世松本幸四郎が襲名してから今年でちょうど100年目となる。これを記念して、七世幸四郎の曾孫である市川染五郎、尾上松緑、市川海老蔵の3人が中心となり、七世幸四郎ゆかりの作品を上演する『日生劇場十二月歌舞伎公演』が12月7日(水)、同劇場にて開幕する。『日生劇場十二月歌舞伎公演』チケット情報染五郎は、100年ぶりの復活上演となる『碁盤忠信』で佐藤忠信役を務める。「七代目幸四郎というと、曽祖父ではありますが私にとっては伝説の名優です。『碁盤忠信』は100年前、曽祖父が襲名披露で演じた演目です。僅かに残る台本と向き合い、衣裳や音楽など荒事の新作を作るつもりで取り組みたいと思っています」と語った。また、個人的な思いとして「それぞれが自分の役割をしっかり務め、その結果、『誰がよかったですか』とお客さまに判定していただく、対決という感じで務めてみたいと思っています。私たち3人は一生この世界で同時代を生きていくわけですから歌舞伎の灯を消さないよう、力を合わせて頑張っていきたいです」と話した。茨木童子の伝説を題材にした舞踊劇の大曲『茨木』に挑む松緑は、「(『茨木』は)これを第一歩に生涯かけて務め続けられればと思っています。初役ですのでコクとまではいかないと思いますが、何とか墨絵の重厚感みたいなものが出せればと思っています」と気合の入ったコメントを寄せた。また、夜の部に3人揃って出演する『勧進帳』について「親戚3人で一年の締めくくりとしてやれることが楽しみですね」と話し、共演するふたりについても「染五郎さんとは気心が知れていて、今後ふたりで継承していきたい演目が多くあります。海老蔵さんとも互いの息はよくわかっているつもりです」と語った。海老蔵は近代随一と言われた七世の弁慶役について「今回は曽祖父が生涯におよそ1600回以上務めたとされる『勧進帳』の弁慶を務めさせていただきます。この作品自体、祖先の七代目團十郎が作ったものですので、やはり市川家のひとりとして、気を引き締めて務めていかなければなりません」と心境を語った。また「3人とも将来は歌舞伎界を支えていかねばならない立場。この公演をきっかけに改めて(歌舞伎と)真摯に向き合い、しのぎをけずり、芸道精進していきたいですね」と話していた。公演は東京・日生劇場にて12月25日(日)まで上演。チケットは発売中。なおチケットぴあでは、花道シートと厳選レストランでの食事がセットになった企画チケット及び、平日限定の筋書付チケットを発売中。
2011年11月30日上演400回を超えて7年ぶりに再演される、松本幸四郎の主演舞台『アマデウス』の制作発表会見が9月23日、都内で行われた。会見には、モーツァルト役に挑む武田真治と、その妻コンスタンツェ役を演じる内山理名も登壇した。「アマデウス」チケット情報『アマデウス』は天才作曲家モーツァルトの死を巡る謎をもとに創作され、映画化もされた傑作舞台。幸四郎は1982年の日本初演より、天才モーツァルトの存在に揺さぶられる音楽家サリエーリを、圧倒的な存在感で演じてきた。2004年の前回公演千秋楽では上演回数400回を記録し、今回は7年ぶりの再演となる。またキャストも一新し、武田と内山はそれぞれ初めての出演となる。会見で幸四郎は「とうとう来年はサリエーリと同じ歳になりますが、回数よりもいかに一回一回いい舞台が出来たかどうか」と記録よりも観客に喜んでもらえる事が何よりと話す。また武田は「7年前の公演では染五郎さんが演じられていた役なので、やはり意識せずにはいられないですが、僕なりのモーツァルトにしたいです」と語ると、内山も「1982年の初演時にはまだ1歳でしたが、歴史のある作品にかかわれてとても光栄です」と上演を重ねてきた作品へ参加する意気込みを語った。前回公演より演出も手掛けている幸四郎は「武田くんには、卑猥な言葉や下品な言葉をモーツアルトが吐くんだけれども、その言葉が自然といえるようなところにまでテンションを持っていって欲しい」とアドバイス。また内山が、幸四郎と武田を褒める様子を見て「彼女は意図しているかわかりませんが、劇中のコンスタンツェがモーツァルトとサリエーリを手玉にとるシーンにピッタリ。こうやって男2人を手玉にとってください」と早くも演出家目線になっていた。公演は11月5日(土)より、東京・ルテアトル銀座byPARCOでの上演を皮切りに、福岡、大阪、長野、富山、愛知と各地を回る。 チケットは一部を除き発売中。
2011年09月26日歌舞伎役者の松本幸四郎とその娘・松たか子が、親子でBBC製作のネイチャー・ドキュメンタリー映画『ライフ -いのちをつなぐ物語-』の日本版ナレーションを務めることが決定。5月28日(土)に都内でアフレコ収録の様子が報道陣に公開され、作品に対する熱い想いや父娘共演について語った。最新のカメラ技術を駆使し、3,000日もの撮影期間を経て、地球上の全大陸の陸海空の生き物たちが自然界を生きていく姿を捉えた本作。幸四郎さんと松さんは、それぞれのパートを分担しつつ、2人で1作の映画のナレーションを務めあげる。幸四郎さんは、今回の仕事を引き受ける上で「まずこの映画が素晴らしかったこと」、「震災のこと」、そして「娘のたか子が『やりましょう』と言ってくれたこと」と3つのポイントがあったことを明かす。特に、映画の中で描かれる、命が繋がれていくさまは、歌舞伎の世界で名を繋いでいく自らと重なるところがあったようで「昔、父に『襲名の“めい”は、“名”ではなく“命”』と教えられたことがあったのを思い出しました」と感慨深げに語った。元々、BBCのドキュメンタリーが大好きだったという松さんは、オファーが届くとすぐに参加を決断したそうで「めったにないこの機会で、父と一緒に作り上げていければ」と笑顔を見せた。原発問題が日々報じられているが、幸四郎さんは「エネルギーの問題についての話題が毎日飛び交っていますが、本当のエネルギーは我々一人一人の心と体にあるもの。それは人間ひとりが生きるに足るエネルギーであると思います」と語る。松さんも「エネルギーを最大限に使いこなしている動物たちが映画の中に出てきます」とうなづく。さらに映画の中の動物たちの姿に、幸四郎さんは“父親”としての自らを重ねた部分もあったようで劇中のゴリラやライオンの例を挙げ「我々の世界も、動物の世界も“父”というのは後ろ姿が寂しいもの。哀愁を感じました」としみじみ。また、“いのちをつなぐ”ということで、松さんには「新しい命は?」という質問も飛んだが「まだ宙に浮いています(笑)。そのときではないんだなと思います」とサラリ。隣の幸四郎さんは「父親には刺激の強すぎる質問で…」と苦笑いを浮かべていた。『ライフ -いのちをつなぐ物語-』は9月1日(木)より全国にて公開。■関連作品:ライフ −いのちをつなぐ物語− 2011年9月1日よりTOHOシネマズ 日劇ほか全国にて公開© BBC EARTH PRODUCTIONS(LIFE)LIMITED MMXI.ALL RIGHTS RESEVED.
2011年05月30日