玖美さん(仮名・28歳)の職場には、妻から激しい束縛を受ける角谷さん(仮名)という上司がいました。角谷さんに同情した玖美さんは、次第に角谷さんへの好意が芽生え、出張先で関係を持ってしまったそう。その日から束縛妻の目を盗んで密会していた二人は、いったいどのような結末を迎えたのでしょうか。出張と偽って密会を重ねる「出張先で上司の角谷さんと関係を持って以来、私たちは密かに交際を続けていました。といっても、角谷さんの妻が厳しく目を光らせているので、二人っきりになれるのは仕事終わりのわずかな時間だけでした。ときには、出張だと妻に嘘をついてもらって密会をしたこともあります。角谷さんいわく、日帰り出張であればさほど制限されず、少しなら帰りが遅くなっても大丈夫とのことでした。それでも、一緒にいられるのは2~3時間程度でしたね。そうやって限られた時間を有効に使っていたんですが、ある日突然、私たちの関係に幕切れが訪れました」妻から突然の電話「嘘の日帰り出張をでっちあげて、角谷さんとホテルで過ごしていたとき、角谷さんのスマホに妻から着信が。嫌な予感がしましたが、角谷さんは出ないわけにもいかないので応答しました。会話を続けるうちに角谷さんの声のトーンがどんどん低くなっていき、私は出張だと嘘をついたことがバレたんだなと思いました。どうやら、出張の回数が多いと感じた妻が会社に問い合わせ、嘘が発覚したようです。すると突然、“妻が話したいと言っている”と言って、角谷さんが私にスマホを渡してきました」不倫相手の妻から呼び出され…「激しく罵られるかと思って構えていたものの、妻は意外と冷静な口調でした。淡々と何かを言われたのですが、私はかなり動揺していたので何も頭に入ってこず、ただ“はい”と返事を繰り返すことしかできませんでしたね。最後に“一度、二人で会って話をしましょう”と言われ、私は我に返って指定された場所と時間をメモしました。その日の記憶はおぼろげで、どうやって角谷さんと別れてどうやって帰ったのか、ハッキリと覚えていません。そして週末、角谷さんの妻と会う約束をした日がやってきました。彼があれほど恐れている妻です。もしかしたら刺されるかもしれない……なんて恐怖心を抱きつつも、意を決して指定されたカフェに向かいました」束縛妻から提示された条件「角谷さんの妻は強そうなイメージを持っていましたが、実際に対峙すると、小柄で一見おとなしそうな女性でした。私が挨拶をして謝罪の言葉を口にすると、“単刀直入に言いますね”と遮られました。そして間髪を入れず、冷たい口調で“会社を辞めてもらえませんか?”と言われたんです。やはり、角谷さんとはもう会ってほしくないとのことで、そうなると会社を辞めるという選択しかないだろうと。“この条件を飲んでくれるのなら、会社にも伝えないし、慰謝料の請求もしない”と言われました。角谷さんの出世に響くということもあり、会社への報告はなるべく避けたいとのことでした。さらに、“この条件が飲めないのであれば、あなたのご両親にも報告します”と…。私は妻の言うとおり、週明けには退職希望を出して、1か月後には会社を辞めました。角谷さんと関係を持ち、角谷さんの妻を傷つけてしまったことには深く反省しています。角谷さんとはそれ以来連絡も取っていません。ただ、今でも角谷さんは今でも妻から束縛を受けているのだろうか……と、たまに考えてしまいます」“束縛妻を持つ上司と不倫に堕ちた女性の告白”をご紹介しました。いくら相手を不憫に思って同情したとしても、家庭を壊すようなことをすれば、新たな不幸が生まれてしまいます。相手が結婚している限り、相談に乗るくらいにとどめておくべきだったのでしょう。©Svyatoslav Lypynskyy/Adobe Stock ©beeboys/Adobe Stock文・塚田牧夫
2023年12月20日映画『妖獣奇譚 ニンジャ VS シャーク』が、2023年4月14日(金)より公開される。監督は、坂本浩一。“忍者対サメ”の異種格闘戦映画『妖獣奇譚 ニンジャ VS シャーク』は、江戸時代を背景に“忍者対サメ”の、史上最大の異種格闘戦を描く作品。国内外で人気の二大ジャンルを融合させ、忍者、忍術、アクション、ゾンビ、スプラッター、巨大なサメと要素盛りだくさんのノンストップエンターテイメントを提供する。監督は、「パワーレンジャー」「ウルトラマン」「仮面ライダー」『破裏拳ポリマー』等、数多くの特撮ヒーローを世に送り出し、実写映画『文豪ストレイドッグス BEAST』も手掛けた坂本浩⼀が務める。平野宏周&西銘駿がW主演「ウルトラマン Z」の平野宏周が小太郎を演じ、共に戦う信助を演じる「仮面ライダーゴースト」の西銘駿とW主演を果たす。さらにヒロインの沙代を女優、看護師、空手世界一、プロレスラーという数々の肩書きを持つ長野じゅりあが演じる。主人公・潮崎小太郎…平野宏周村外れの寺にいる用心棒。村長から助太刀を頼まれ、村人を救うために鮫士郎と戦う。信助…西銘駿村人の沙代を生贄として鮫士郎に捧げようとする村長に反発。小太郎とともに戦う。沙代…長野じゅりあ百園菊魔…宮原華音小太郎の行く手を遮る女忍者。螭鮫士郎/清丸…中村優一螭鮫士郎は、邪教集団・紅魔衆の首領。不老不死の力を得る為に呪術を使い、鮫を操る事によって村で採れる真珠を強制的に村人から巻き上げていた。映画『妖獣奇譚 ニンジャ VS シャーク』あらすじ刻は江戸時代。人里離れた沖津村の浜に村人の惨殺された死体が上がる。邪教集団・紅魔衆の首領・螭鮫士郎は不老不死の力を得る為に、忍術を使い鮫を操る事によって村で採れる真珠を強制的に村人から巻き上げていたのだ。この状況に業を煮やした村長は、助太刀を頼むべく村外れの寺にいる用心棒の潮崎小太郎に会いに行く。報酬とともにその仕事を⼀旦引き受ける小太郎だが、小太郎の行く手に現れたのは菊魔と名乗る女忍者だった。村人を救う為に鮫士郎に戦いを挑む小太郎だが、その前に現れたのは、この世の物とは思えない巨大な鮫…。遂に実現する、忍者対鮫の究極バトル!生き残るのはどっちだ!【詳細】映画『妖獣奇譚 ニンジャ VS シャーク』公開日:2023年4月14日(金)監督:坂本浩一出演:平野宏周、西銘駿、長野じゅりあ、宮原華音、中村優一配給:エクストリーム
2023年01月29日美しく繊細な世界観に定評のある演出家・荻田浩一が長年温めてきた、知る人ぞ知る手塚治虫の『アラバスター』をベースに、個性豊かなキャストと共におくるオリジナルミュージカル『アラバスター』の上演が決定した。本公演の原作『アラバスター』は、1970年から1971年にかけて『週刊少年チャンピオン』に連載された作品で、美しいものを妬む、人間の深い心の闇を鋭く描いたSF犯罪サスペンスである。手塚治虫自身が“嫌悪する作品”として挙げている一方で、連載時からのファンも根強く存在している異色作だ。【アラバスター】には、自身のソロコンサートのほか、舞台やミュージカルで活躍するLE VELVETSの宮原浩暢が決定。ヒロイン亜美に思いを寄せる少年【ゲン】に、ダンスボーカルユニットLeadのメンバーとして活動しながら、ミュージカル等でも活躍する古屋敬多、アラバスターを追う冷酷無慈悲な捜査官【ロック】に矢田悠祐が抜擢。そのほか、亜美の養い親である元検事の【小沢ひろみ】と【力仁】の親子をAKANE LIV、馬場良馬がそれぞれ演じる。更に、治田敦、田村雄一、遠藤瑠美子、穴沢裕介、岩橋大が名を連ね、歌とダンスに一層深みを与える。そして、ヒロインの【亜美】を、宝塚歌劇団・月組トップスターとして活躍し、退団後も舞台や映像で幅広く活躍する涼風真世が務める。涼風は、「荻田さんWORLD(世界観)を信じ、透明な身体を持つ「亜美」として生きる覚悟です」と意気込みを語った。透明な身体を持つ亜美を、七色の声を持つ涼風がどう表現するのか、新たな表現方法にも注目だ。とある時代の日本。人や動物が透明あるいは半透明にされる奇妙かつ無差別なテロルが蔓延っている。正体不明の、まさに見えない敵であるテロリストは、ただ自ら名乗りを上げて大胆に犯行声明をぶちまける。その名はアラバスター。黒衣の下に半透明の身体を隠す男。アラバスターの仲間には眼球以外は透明な肉体を持つ少女・亜美がいる。謎めいた存在のアラバスターと亜美を中心に、愛憎に翻弄され、運命の渦に巻き込まれていくのは、亜美に思いを寄せる少年ゲン、亜美の養い親である元検事の小沢ひろみと力仁(通称カニ平)の親子、そしてアラバスターを追う冷酷無慈悲な捜査官ロック。まだ偏見と差別に満ちた世界に、「異形」に生まれたが故の懊悩が価値観や美意識に対する反逆となり、やがては苛烈な攻撃へと転じ、狂気に蝕まれた悲劇へと暴走していく。アラバスターの哀感に溢れた挽歌が、いま慟哭のように深く鳴り響く。人間の奥底に潜む“復讐・憎悪の心”と“歪んだ愛”を主題とし、欲望が渦巻く世界で翻弄される人々の運命を描いたミュージカル『アラバスター』。東京公演は6月25日(土)~7月3日(日) 東京芸術劇場プレイハウスにて、大阪公演は7月10日(日) 梅田芸術劇場シアター・ドラマシティにて上演される。<上演決定に際してのコメント>●宮原浩暢(LE VELVETS)【アラバスター役】人間の深い闇を描いたSF犯罪サスペンス、手塚治虫原作、そしてオリジナルミュージカル、これを聞いて心が躍らない訳はありません。裏切り、復讐、嫉妬から生まれた自らの歪んだ正義を振りかざし罪を犯していく渦中の人物アラバスター。全身全霊で役を生きたいと思います。そして、魅力溢れる役者達と共に、皆様をアラバスターの暗い影の世界へ誘っていきます。●古屋敬多(Lead) 【ゲン役】ゲン役で出演させていただきます、古屋敬多です。手塚治虫先生の隠れた名作といわれる『アラバスター』そのオリジナルミュージカルに出演出来ることをとても嬉しく、光栄に思います。社会に反発しながらも自分の正義に従い、強い意志で行動を起こすゲンは物語を動かすきっかけとなる人物のひとりです。そんなゲンを演じることは僕にとって新たな挑戦となりますが、魂燃やして全力で頑張りたいと思います。●馬場良馬【力仁役】皆様はじめまして馬場良馬と申します。僕は小学生の時に図書館で手塚治虫先生の漫画を読み漁っていた時代があるので、この作品に出演出来る事とても嬉しく思っています。ミュージカルに出演する機会があまり無いので不安もありますが精一杯努めて、この『アラバスター』の素敵な世界観を皆様にお届け出来る様頑張ります。●矢田悠祐【ロック役】ロック役を演じさせて頂きます。矢田悠祐です。今回演じるロックは美醜に異常な拘りを持った捜査官です。ロックはとんでもないナルシストなので、その発言に負けないように今からお肌のケアなどもしっかりしていこうと思います。皆さんにいい意味で嫌われるように頑張ります。●AKANE LIV【小沢ひろみ役】子供の頃、テレビで放映された「火の鳥」を観て、壮大なスケールで描かれた人間の愛、美、醜を表現したアニメに初めて触れ、凄い衝撃を受けました。今作も、人間の深い内面、闇を描いた作品。素晴らしいスタッフ・キャストの皆様と共に手塚先生ワールドに参加できる事を感慨深く嬉しく思います。●涼風真世 【亜美役】新たな表現舞台にチャレンジできることに感謝の気持ちを忘れず、荻田さんWORLD(世界観)を信じ、透明な身体を持つ「亜美」として生きる覚悟です。皆様、ミュージカル『アラバスター』ご期待ください。▼公演概要【タイトル】 ミュージカル『アラバスター』【原作】 手塚治虫【脚本・演出】 荻田浩一【音楽】 奥村健介【企画協力】 手塚プロダクション【出演】宮原浩暢(LE VELVETS) / 古屋敬多(Lead)馬場良馬 / 治田 敦田村雄一遠藤瑠美子穴沢裕介岩橋 大 / 矢田悠祐AKANE LIV / 涼風真世【日時 / 会場】6月25日(土)〜7月3日(日) 東京芸術劇場プレイハウス7月10日(日) 梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ【席種】S席(パンフレット付き)13,000円(税込) / S席:11,000円(税込) / A席:7,000円(税込)【チケット発売日】先行発売:5月17日(火)12:00〜一般発売:6月12日(日)10:00~【主催】 ミュージカル『アラバスター』製作委員会【問い合わせ】 東京公演:公演事務局 (営業時間:平日10:00~17:00)大阪公演:キョードーインフォメーション 0570-200-888(平日・土曜11:00~16:00)【公式HP】 ※手塚治虫と手塚プロダクションの「塚」は、正式には「ヽ」がつく旧字表記
2022年05月16日松竹が3月13日(土)の19:00より、桐生麻耶、尾上菊之丞、荻田浩一による一夜限りのトークライブ「桜咲く夜~歌劇家話」を生配信することが決定した。松竹はコロナ禍における自粛生活が続く中、歌舞伎座ギャラリーで好評を博していた「歌舞伎夜話(かぶきやわ)」のステイホーム特別版として、オンライン配信による「“家”話(やわ)」企画を昨年5月より開催し、「歌舞伎家話」や「紀尾井町家話」といった人気企画を生み出してきた。これまでにない顔合せによる貴重なトークに、舞台上では見られない俳優やスタッフの生の声、素顔が垣間見られる特別な空間、真剣に舞台に向き合う姿に熱い支持が集まり、多くの人に注目されている。そして新たな「家話」企画である「桜咲く夜~歌劇家話」は、“華やかなレビューの世界”を、豪華出演陣が存分に語らう一夜限りの特別配信企画。出演は、来年に創立100周年を迎えるOSK日本歌劇団のトップスター・桐生麻耶、日本舞踊尾上流四代家元にして、歌舞伎舞踊からジャンルを超えたコラボレーションなど幅広く活躍する尾上菊之丞。宝塚歌劇団出身で、独特の世界観と美意識で観る者を魅了する人気演出家・荻田浩一。これまで歩んできた道も異なる3人が一堂に会し繰り広げるトークは、歌劇の魅力から、女性が演じる男役の魅力やその楽しみ、日本舞踊家から見る歌劇の世界、レビュー制作の裏側など、ここでしか聞くことができない話題から、コロナ禍における舞台への想いなど、今だからこそ聞きたい想いや制作秘話が展開される予感だ。華麗なるレビューの世界を創り上げる3人による魅惑のトークに期待してほしい。また、コロナ禍での公演中止を経て一年越しの開幕となった「レビュー春のおどり」が、ついに東京・新橋演舞場(3月26日~28日)でファイナルを迎える。31日をもって特別専科へ移籍する「唯一無二の男役・桐生麻耶」のトップスターとしてのラストステージだ。なお、尾上は第1部『ツクヨミ~the moon~』構成・演出・振付を担当、荻田は第2部『Victoria!』作・演出を担当している。さらに、「桜咲く夜~歌劇家話」の配信に合わせ、尾上が演出を務めた2017年上演『桜鏡~夢幻義経譚~』(桐生麻耶出演)舞台映像配信も行う。「春のおどり」のオンライン配信は史上初。こちらも合わせてチェックしよう。●桐生麻耶菊之丞先生、荻田先生と改めて3人でお話しするという機会はあまりなかったので、今から楽しみです。お二人ともこちらが感動するくらいに真摯に舞台や人と向き合ってくださる。こうでなくてはなぁ……と思いました。普段は聞けない事を勇気を出して聞いてみようかなぁと思います。それも踏まえて演舞場でまた一味違う角度からステージをお楽しみいただけると嬉しいです! 楽しみにしていてくださいませませ!!【配信概要】「桜咲く夜~歌劇家話」配信日時:3月13日(土) 19:00開始(70分程度を予定)出演:桐生麻耶、尾上菊之丞、荻田浩一司会:戸部和久(「レビュー 春のおどり」第一部『ツクヨミ~the moon~』脚本)配信場所:イープラス「Streaming⁺」チケット:2,000円(税込) / 3月6日(土) 10:00発売開始※有料配信チケットは、3月20日(金) 20:00 まで発売。※配信開始後、配信終了後に購入の方も3月20日(金) 23:59 までアーカイブ視聴できます 。購入方法:「イープラス 歌劇家話」で検索<視聴価格(税込)>1.トークライブ「桜咲く夜~歌劇家話」: 2,000円2.舞台映像配信『桜鏡~夢幻義経譚~』:1,000円3.トークライブ+舞台映像 セット券:2,700円販売期間:3月6日(土) 10:00発売開始~3月20日(金) 20:00まで発売視聴期間:3月13日(土) 19:00~3月20日(金) 23:59 までアーカイブ視聴可能配信場所:イープラス「Streaming⁺」
2021年03月06日「新しい『財政検証』をなぜ速やかに出さないのか。出てこない限りは、年金制度の安心が保たれているかどうか、判断できません」金融庁の報告書に端を発した“老後資金2,000万円問題”。6月19日に行われた党首討論では、野党党首が年金問題について、安倍晋三首相を厳しく追及した。冒頭の言葉は、国民民主党の玉木雄一郎代表が、安倍首相に投げかけたものだ。“年金博士”として知られる、社会保険労務士の北村庄吾さんが、解説する。「『財政検証』とは、厚生労働省が作成する年金財政の“健康診断”のようなものです。年金制度が持続できるように、5年に1度、検証し、発表することが法律で定められています。財政検証の結果に従い、将来の年金の支給計画が立てられたり、法改正が行われたりする。まさに、年金制度にとって、もっとも重要な文書なのです」話題の“2,000万円報告書”は金融庁の作成。年金だけでは不足する老後資金をどう補うべきか、金融を所有する省庁の立場から“ご提案”したものにすぎない。一方、財政検証は、年金を所管する厚生労働省が作成する調査報告書と計画書を兼ねたようなもの。まさに、年金制度の今後を占う要といってもいい。ところが、その公表が遅れているという。過去2回の財政検証は、内容を議論する専門委員会の最終会合から3カ月ほどで公表された。今年は3月7日に最終会合が行われたので、6月中旬までには公表されると見込まれていた。だが、いまだ公表の予定はない。財政検証を担当する厚労省年金局数理課は、「検証中で、まだ発表時期ではないとしか申し上げられない」と繰り返すのみで、作業の進捗状況すら答えなかった。政治ジャーナリストの角谷浩一さんは、こう分析する。「永田町では『老後2,000万円問題で紛糾するなか、よほど悪い検証結果なので、夏の参院選が終わるまで出さないのではないか』といわれています。厚労省が安倍内閣に“忖度”している、あるいは官邸から公表しないように指示された、そんなふうに見られているのです」“よほど悪い検証結果”とはどんなものだろうか。そのヒントとなるのが、過去の検証結果だ。前回の財政検証での所得代替率は62.7%。所得代替率は、現役世代の男性の平均的な賃金に対して、厚生年金を受給している夫婦2人のモデル世帯の年金受給額が何%あるかで示される。’14年財政検証では、平均賃金は月34万8,000円で、モデル世帯の年金額は21万8,000円とされたので、所得代替率は62.7%。’04年の年金改革で、この値が50%を下回らないように調整することが定められている。「しかし、将来的に所得代替率は下がっていきます。マクロ経済スライドのために、物価が上昇しても、年金額は同じようには上昇しないためです。受け取る年金の額面はわずかに上がるか、“据え置き”なので気づきにくいのですが、年金は実質的に“減る”のです。安倍首相は国会で、今年0.1%年金受給額が増えたと豪語していましたが、物価の上昇を考えると、年金は減ったのです」(北村さん)物価が上がると、同じものを以前とは同じ値段で買えなくなる。そのため、手元に入るお金が一定だったり、ほとんど増えなかった場合、買えるものは少なくなってしまう。つまり、お金の価値が“減る”ということだ。もともと、年金は物価や賃金の変動に応じて、支給額も変動していた。しかし、’04年に導入された「マクロ経済スライド」によって、物価や賃金が上昇しても、年金の支給額の上昇は抑制されることになった。何%抑制するかをあらわす値を「スライド調整率」という。物価や賃金が上がっても、年金の支給額は同じように上がらないので、「所得代替率」が下がっていくことになる。こうして、マクロ経済スライドによって、年金の価値は徐々に減る。それでも、所得代替率を50%よりは下げないことが、法令で定められている。この50%に至るのがいつごろになるか試算するのが「財政検証」の肝になる。5年前の財政検証では、経済がもっと順調に推移していく「ケースA」から、もっとも悪化していく「ケースH」まで、8段階のシミュレーションが行われた。「ところが、いちばん楽観的なケースAであっても、11年後の2030年には、所得代替率が57.2%と6割を割り込み、25年後の2044年には所得代替率が50.9%まで下がると、試算されているのです」(北村さん)経済評論家の加谷珪一さんは、現状に即しているのは、もっとも悲観的なケースHだと考えている。「政府が目標としてきた経済成長率の数値は未達成のままですし、世界経済も、不況の兆しが見えているためです。ケースHでは、所得代替率がわずか11年後の2030年に53.8%にまで落ち込み、今50歳前後の人たちが年金の受給を始める、17年後の2036年には50%に達すると試算されています」所得代替率50%は、前回の財政検証で基準となった62.7%から2割減。現在の平均月給から計算すると月17万円ほどだ。夫婦2人、この金額での生活は困難だろう。そもそも、所得代替率の基になる“モデル世帯”の設定すら、現実を反映していない。「’19年度のモデル世帯は、夫が40年間、平均月42.8万円の賃金でサラリーマン生活を送っていて、その間、妻がずっと専業主婦で、基礎年金は満額支給を受けられるという設定です。しかし、学生時代の年金が未納になっている人や、転勤などで国民年金だけだった時期がある人、また、これよりずっと低賃金で働いていた人もたくさんいます。すでに多くの年金受給世帯が、所得代替率は50%ほどか、それを下回っているのです。そこからさらに2割減となれば、老後破綻しかないでしょう」(北村さん)――17年後には年金が2割減ってしまう。これだけでも驚きの試算だが、あくまでも前回の財政検証でのもの。最新の財政検証には、もっと恐ろしい未来が盛り込まれる可能性が高いという。すでに、厚労省は今年の財政検証で、年金を試算するときに使う「経済前提」を発表している。物価上昇率や賃金上昇率などが将来的にどう推移するか、ケース1~6まで6つの予想が提示されるが、どの数字も軒並み前回よりも悪く見積もられている。たとえば、もっとも悲観的なケース6と、前回の財政検証のケースHを比べてみると、「物価上昇率」、「賃金上昇率(実質〈対物価〉)」、「運用利回り(実質〈対物価〉)」、「経済成長率(実質〈対物価〉)」、どの数字も下がっている。この数字を“前提”に、年金の将来が試算されるので、17年後に所得代替率50%に達するという前回のケースHを上回る、恐ろしいシミュレーションが今年の財政検証に盛り込まれる可能性は高い。
2019年06月27日世間をにぎわせている金融庁の“2,000万円報告書”。多くの人が、その内容の厳しさに愕然となったが、じつはこれよりも“ヤバい”文書が隠されているのだ――。「新しい『財政検証』をなぜ速やかに出さないのか。出てこない限りは、年金制度の安心が保たれているかどうか、判断できません」金融庁の報告書に端を発した“老後資金2,000万円問題”。6月19日に行われた党首討論では、野党党首が年金問題について、安倍晋三首相を厳しく追及した。冒頭の言葉は、国民民主党の玉木雄一郎代表が、安倍首相に投げかけたものだ。“年金博士”として知られる、社会保険労務士の北村庄吾さんが、解説する。「『財政検証』とは、厚生労働省が作成する年金財政の“健康診断”のようなものです。年金制度が持続できるように、5年に1度、検証し、発表することが法律で定められています。財政検証の結果に従い、将来の年金の支給計画が立てられたり、法改正が行われたりする。まさに、年金制度にとって、もっとも重要な文書なのです」話題の“2,000万円報告書”は金融庁の作成。年金だけでは不足する老後資金をどう補うべきか、金融を所有する省庁の立場から“ご提案”したものにすぎない。一方、財政検証は、年金を所管する厚生労働省が作成する調査報告書と計画書を兼ねたようなもの。まさに、年金制度の今後を占う要といってもいい。ところが、その公表が遅れているという。過去2回の財政検証は、内容を議論する専門委員会の最終会合から3カ月ほどで公表された。今年は3月7日に最終会合が行われたので、6月中旬までには公表されると見込まれていた。だが、いまだ公表の予定はない。財政検証を担当する厚労省年金局数理課は、「検証中で、まだ発表時期ではないとしか申し上げられない」と繰り返すのみで、作業の進捗状況すら答えなかった。政治ジャーナリストの角谷浩一さんは、こう分析する。「永田町では『老後2,000万円問題で紛糾するなか、よほど悪い検証結果なので、夏の参院選が終わるまで出さないのではないか』といわれています。厚労省が安倍内閣に“忖度”している、あるいは官邸から公表しないように指示された、そんなふうに見られているのです」今年3月に公表された「2019年財政検証の基本的枠組み」では、厚生年金の適用拡大や、受給開始年齢の選択化も「財政検証」に盛り込むことが予告されている。「政府は、将来的に受給開始年齢を引き上げていく方針です。過去の改正を鑑みると、現在50歳以下の女性は、受給開始が68歳に引き上げられることが予想されます。いずれは65歳定年が法制化され、受給開始は70歳にされるでしょう」(北村さん)われわれの将来を占ううえで、欠かせない「年金財政検証」。角谷さんは語気を強めた。「参院選の前であろうと、後であろうと、財政や数字は変わりません。大事なのは、早急に公表し、この年金不安に対して、どのような対策で取り組んでいくかを議論して、選挙で信を問うことです」経済評論家の加谷珪一さんはこんな懸念をする。「“2,000万円報告書”が批判を浴びたのを受けて、財政検証の内容が書き換えられてしまうのではないか。これまでの例を踏襲しなかったり、悲観的な試算を隠したりと、不正確な財政検証が出たら、将来的に被害を受けるのは、われわれ国民なのです」目の前の選挙や政局のために、われわれの未来がないがしろにされてはならない。
2019年06月27日木曜日連載、アート・ブックショップ「NADiff(ナディッフ)」各店による今読むべき1冊。今週は、田幡浩一の展覧会「マルメロと表裏」(2017年12月2日~2018年1月27日)に合わせ刊行されたアートブック『one way or another』。NADiffの書籍バイヤーによるご紹介です。■『one way or another』田幡浩一本書は、六本木のギャラリー、Yutaka Kikutake Galleryで開催された田幡浩一の展覧会「マルメロと表裏」(2017年12月2日~2018年1月27日)に合わせ刊行されたアートブック。田幡浩一はこれまで油彩とドローイングによる新たな試みとして「one way or another」シリーズを展開してきた。植物やフルーツ、ティーカップやケーキなどのどこにでもあるような静物画を分割することにより、単純な視覚的「ズレ」を平面に表すことにより、2次元と3次元を行き来させる。内側に織り込まれたページをめくる運動のなかで、分割された絵画の間をアニメーションが浮かびあがり、時間感覚を刺激し、目に見えるもののイメージと認識を脅すことで失読症的な感覚に襲われ、絵画とは何かを問いかける。本書は田幡浩一のこれまで絵画、アニメーションを立体的、本質的に捉える制作スタイルと地続きにあり、独特な空気感を帯びたアートブックだ。ページをめくって何も感じないか、何かを感じるかは常に委ねられている。【書籍情報】『one way or another』著者:田幡浩一出版社:Yutaka Kikutake Gallery刊テキスト執筆:兼平彦太郎、中尾拓哉ソフトカバー/56ページ/12作品掲載言語:日本語発売日:2017年12月1日価格:3,000円(限定300部)
2018年02月01日3月に東京・赤坂RED/THEATERにて上演される、荻田浩一演出・脚本によるO-Parts公演 コメディプレイ『リビング』の主演が発表された。主演を務めるのは、栗山航。2013年にテレビドラマ『牙狼〈GARO〉~闇を照らす者~』の主演・道外流牙役にて俳優デビューし、テレビドラマ『婚活刑事』(2015年)、映画『L・DK』(2014年)などに出演。現在放送中のテレビドラマ『お義父さんと呼ばせて』に水嶋拓也役として出演中だが、舞台は『BIOHAZARD THE STAGE』(2015年)に続き、今作が2作目となり、舞台初主演を務める。舞台『リビング』チケット情報本作は、家庭のダイニングルームを舞台にしたドタバタのワンシチュエーションコメディ。栗山が演じるのは、仕事中に客のクレームに耐えきれず逃亡し、家に引き籠る主人公・マタロウ。しかし、その家でも無職で呑んだくれの父親や長年付き合っていた恋人、出て行った母とその愛人などに振り回されるという役どころだ。コメディ作品には初挑戦となる栗山は「僕はコメディが好きなんですよ。なのでコメディと聞いて嬉しくてワクワクしています。荻田さんならではの間の取り方などを一つひとつ自分に染み込ませていきたいなって思いますね」と期待を膨らませる。テレビや映画など映像の世界でも活躍している栗山だが、舞台の魅力をチーム感だと語る。「時間をかけてみんなで詰めていく作業が楽しいです。チームプレイが好きなんですよ。カンパニーみんなでコミュニケーションをとりながら、ここの芝居がこうだからこっちでこうしたい、とかそういう話し合いができるのはいいなって思いますね」荻田は『牙狼―』を見て、栗山を主役に抜擢したという。「うれしい限りです。ただ、『牙狼―』のイメージを持った方はみんな『全然違うね』って言います。全然クールじゃないんですよ(笑)」その端正な容姿から男前の役が多い栗山だが、今回演じるマタロウは“ささくれて荒れ放題”という今までにない役柄。「マタロウは演じていて気持ちいいだろうなって思います。かっこつけてる人じゃないので。僕自身は穏やかなほうですし引きこもりでもないですが、(役を)作るっていう感覚はあまり好きじゃないので、自分の中にあるものを信じてやりたいですね」共演は元・宝塚歌劇団雪組トップ娘役の舞羽美海や元・劇団スタジオライフの三上俊、*pnish*の佐野大樹、俳優でダンサーの大野幸人などバラエティ豊か。このキャスト陣で描かれるコメディの世界は期待大だ。「コメディですけど、きっと深い作品になると思います。観てくれる方になにか残せる作品にしたいです」(栗山)O-Parts公演 コメディプレイ『リビング』は、3月2日(水)から7日(月)まで東京・赤坂RED/THEATERにて公演。なお、チケットぴあでは先行抽選「プレリザーブ」を2月1日(月)18:00より受付開始。一般発売は2月6日(土)より。取材・文中川實穗
2016年02月01日クラウド請求管理サービス「Misoca」を開発・運営するMisocaは7月28日、同社の技術フェローに日本Rubyの会理事の角谷信太郎氏が就任したことを発表した。同社によると、MisocaはRuby on Railsで開発されており、その開発手法としてアジャイルソフトウェア開発を取り入れ、顧客からの声を日々製品に反映する取り組みを続けているという。角谷氏は、アジャイルソフトウェア開発の分野において国内第一人者であり、また、日本Rubyの会理事、Rubykaigiの運営などRubyコミュニティにおいても精力的に活動を行っている。同社は、角谷氏の技術フェロー就任により、開発プロセスの一層の改善を図り、社会ニーズへの柔軟な対応を可能にし、より顧客に寄り添った製品開発体制を構築していくとしている。また角谷氏は、「たのしいRuby、いきいきとしたアジャイル開発のスタイル、価値横断的なコミュニティ。プログラマーの新たな社会構造の相似性をビジネス取引一般の規模で実現させることに挑むMisocaチームに、貸せるだけの力を貸したいと思います」とコメントしている。
2015年07月29日