女子会にもピッタリなおしゃれ空間東京・富ヶ谷のCafe & SAKANA Bistro「Bojun TOMIGAYA(ボジュン トミガヤ)」。ナチュラル志向の料理を取りそろえたお店は、ガラス張りのエントランスが目印となっています。隣接するスポーツジムとも連携しており、店内はスタイリッシュながら、ワークアウト後の休憩に最適なリラックスできる雰囲気も持ち合わせています。外の景色が望めるカウンター席や、広めのソファが魅力的なテーブル席など、女子会にもぴったりな造りです。身体が喜ぶヘルシーでナチュラルな料理が堪能できる!創業340年もの歴史を持つ葉山の料亭をルーツとして、2014年に富ヶ谷にオープンしました。オーガニック野菜を使ったヘルシーな料理や、乳製品や卵不使用のマクロビスイーツなどを中心に楽しむことができます。充実したラインナップのランチや、ヘルシーにお腹いっぱい食べられるディナーメニュー、アルコール類もそろっているお店です。ヘルシーおかずがギュッと詰まったランチは必見!充実した内容の「ボジュントミガヤ コースランチ」は、ヘルシーな絶品料理の数々が一度に楽しめるぜいたくな人気メニュー。3種類の前菜やメインの魚料理、国産の有機玄米ご飯や豆乳アイスなどがセットになっています。品数も豊富でお腹をしっかり満たしてくれるのも人気の理由のひとつ。ヴィーガンにも対応してくれます。欲ばり女子におすすめの「マクロビスイーツバリエ」卵や乳製品、白砂糖を使わずに仕上げたマクロビスイーツを欲ばりに堪能できるのが「マクロビスイーツバリエ」。少しずつさまざまなメニューが楽しめるので、マクロビスイーツ初心者にもおすすめ。ヘルシーなのに濃厚な味わいがクセにあるクレームブリュレや、ほろ苦い大人の味わいが人気の生チョコレート、さっぱりとした後味の豆乳アイスなどが一緒に楽しめます。絶品ヘルシー料理でお腹も心もしっかり満たそう!オーガニック野菜やマクロビを取り入れた、体にやさしい料理が味わえるお店です。いろいろな料理が一度に楽しめるランチや、新鮮な魚介の料理やパスタなどが楽しめるディナーなど、女子会にもピッタリのラインナップ。ヘルシーなスイーツやおしゃれなアルコール類もしっかり揃っています。事前に問い合わせておけば予約もできるので、特別な日を過ごすのにもおすすめ!お店は小田急小田原線「代々木八幡駅」南口より徒歩4分、あるいは東京メトロ千代田線「代々木公園駅」1番出口から徒歩4分です。健康やダイエットを意識しながらもお腹いっぱい食べたいときにぜひ訪ねてみては。スポット情報スポット名:Bojun TOMIGAYA住所:東京都渋谷区富ヶ谷1-35-20 富ヶ谷スプリングス2F電話番号:03-6804-9550
2017年11月18日20世紀が生んだ演劇界の革命家ベルトルト・ブレヒトと作曲家クルト・ヴァイルの代表作『三文オペラ』が、谷賢一演出で、装いも新たに登場する。『三文オペラ』チケット情報泥棒マクヒィスが、乞食集団の親分と警視総監を向こうに回して大騒動を巻き起こす本作。主人公マクヒィスを演じるSOPHIA・MICHAELのヴォーカルで俳優の松岡充は「裏で通じ合い、弱みを握る人々がいるといった『三文オペラ』の社会構造は今と同じ。そんな中、民衆が一致団結して世の中を動かすんだ、というメッセージも込められている。マクヒィスが内に秘める反骨精神や、人を強く愛する気持ちの根源となるパワーを追究したい」と語る。マクヒィスの妻ポリー役には第13回全日本国民的美少女コンテストのグランプリ吉本実憂。ポリーの恋敵ルーシー役にはAKB48の峯岸みなみ。オーディションではふたりとも、演出の谷を相手に、ポリーとルーシーのバトルシーンを演じたという。「最初はよくわからずに演じていましたが、段々、ポリー同様にルーシーにイライラしてきて(笑)。最後は心から『楽しかったです』と答えることができました」と吉本は笑顔で語り、「スイッチが入るまでに時間がかかりましたが、気持ちよくて、朝からアドレナリンが出ました(笑)。『女の世界にいるのでもっと出せます』と言い切ってしまったので、しっかり演じたいです」と峯岸は表情を引き締める。それにしてもマクヒィスのモテっぷりは見事。こうした男性との恋愛について、峯岸は「本当は嫌だけれど、すごく好きな相手なら嫌いにはなれないかもしれないです。誰からも興味を持たれる男性って魅力的ですから。AKBは恋愛禁止なので、舞台上では恋愛を楽しみたいです」吉本は「浮気をしたら誰かが傷つくわけだから、自分の気持ちを押し殺して相手から離れる人のほうが、個人的には好きです。でも今回は、マクヒィスのことが好きなポリーの気持ちを稽古場で育てていきたいです」。松岡の「男性も女性も、最期に寄り添ってくれる相手を求めているのは同じ。関係性はこの作品の中では妻・愛人・もうひとりの愛人、ということになるけれど、時が違えば逆だったり別の相手だったりするかもしれない。そうしたことも、このお芝居の構図の中に表現されています」との意見には、ふたりとも大きくうなずいた。吉本も峯岸も、今作が初舞台。「何時間も本番が続くのは緊張しますが、画面の中で表現するドラマや映画と違って、端っこにいてもその役として生きたらそれが表現になるのが楽しみです」と言う吉本、「誰かの出方で空気が変わるのが舞台なので、自分も受け手だけでなく攻め手に回れるくらい、稽古に食らいついていきたいです」と言う峯岸を、松岡が「稽古期間をどれだけ遊ぶか。遊園地気分で楽しんだ者勝ちです!」と励まし、「今回は音楽監督の志磨遼平さんによってロック色が強くなるのは楽しみだし、設定も近未来の日本になるということで谷さんによる新しい『三文オペラ』が生まれると思います」と意気込んだ。1月23日(火)よりKAAT 神奈川芸術劇場 ホールにて。取材・文:高橋彩子
2017年11月10日絵本、コミックス、アニメーションなどで世界中の人々から愛されているムーミンの物語。そのムーミン映画の最新作、映画シリーズ初となる“冬のムーミン谷”を舞台にした『ムーミン谷とウィンターワンダーランド』が12月に日本でも公開。この度、そんな本作の予告編が公開された。今回到着した予告編では、女優・宮沢りえ演じる主人公・ムーミントロールがついに公開!先日のアフレコ取材で、「研究を重ねた」と語った宮沢さんの少年っぽさを感じられるイノセントな声の響きに注目だ。また、ムーミンパパやヘムレンなどを森川智之が、ムーミンママやリトルミイなどを朴ロ美が担当しており、複数の役を演じ分ける実力派声優2人の名演も必見。さらに、透明感あふれる声で物語を紡ぐ神田沙也加のナレーション、3オクターブを超える“天使の歌声”サラ・オレインの美しい歌声が、物語を鮮やかに彩っている。また、本作の前売り券10月28日(土)より発売開始。通常前売券には、ポストカードサイズのオリジナルクリアファイルが特典に(数量限定、無くなり次第終了)。さらに今回は、数量限定プレミアグッズ付き前売券の発売も決定。プレミアグッズの中身は、「ネックストラップ付きパスケース」。首から下げられるだけでなく、バッグにも付けられるタイプとなっている。『ムーミン谷とウィンターワンダーランド』は12月2日(土)より全国にて公開。(cinemacafe.net)
2017年10月20日パペットアニメーション映画『ムーミン谷とウィンターワンダーランド』が、2017年12月2日(土)より、丸の内TOEIほか全国にて公開される。まだ見ぬ「クリスマス」を探してーー。ムーミン映画最新作『ムーミン谷とウィンターワンダーランド』は、2009年『ムーミン 谷の夏まつり』、2010年『ムーミン谷の彗星』に続く、パペットアニメーションシリーズの最新作。原作者であるトーベ・ヤンソン自ら監修し、「大好きな作品」と語っていた1978年から82年にポーランドで製作された短編テレビシリーズをフィンランドにてデジタル・リマスター化、劇場版長編映画として完成させたもので、今作では、映画シリーズ初となる冬のムーミン谷が舞台となっている。物語が始まるのは、木の葉が舞い落ちる秋。知的好奇心いっぱいのムーミントロールは、友だちのスナフキンと共にムーミン谷にまもなく訪れる冬を感じようと出かけるが、そこで知ったのは、まもなくやってくるという「クリスマス」の存在。やがてムーミンは、不思議な冬の魔法、驚きの数々、そしてムーミン谷に訪れる最高の夜に出会う。木々にしんしんと降り積もる雪、陽の光に照らされた一面の銀世界。美しい冬景色の数々がムーミンの世界観の魅力を一層ひきたてる、クリスマスシーズンにぴったりの一本となりそうだ。日本語吹き替え版は主演に宮沢りえ、ナレーションに神田沙也加日本語吹き替え版では、映画『紙の月』『湯を沸かすほどの熱い愛』で日本アカデミー賞最優秀主演女優賞を受賞した、日本を代表する実力派女優・宮沢りえが主人公のムーミントロールの声を務める。また、ナレーションは歌手であり『アナと雪の女王』のアナ役として知られる神田沙也加が務め、 映画の世界観により深い奥行きを与える。「MOOMIN パペット・アニメーション展」が松屋銀座にて開催「MOOMIN パペット・アニメーション展」が、2017年11月28日(火)から12月11日(月)まで松屋銀座にて開催される。松屋銀座では、2014年から毎年ムーミンに関する展覧会を開催してきた。映画の公開を記念した内容となった本展では、映画の撮影で実際に使用されたパペットをはじめ、セットの模型や劇中スチールなども展示。アニメ制作の裏側から最新映画を通じてムーミンの世界を楽しむことができる。作品情報映画『ムーミン谷とウィンターワンダーランド』公開日:2017年12月2日(土)原題:『MOOMINS and the WINTER WONDERLAND』)監督:ヤコブ・ブロンスキ、イーラ・カーペラン・通常前売券発売日:2017年10月28日(土)価格:1,500円特典:ポストカードサイズ オリジナルクリアファイル ※なくなり次第終了・数量限定プレミアグッズ付き前売券発売日:2017年10月28日(土)価格:2,800円特典:ネックストラップ付きパスケース©Filmkompaniet / AnimoonMoomin Characters TM■「MOOMIN パペット・アニメーション展」期間:2017年11月28日(火)~12月11日(月)時間:10:00~20:00(入場は閉場の30分前まで。最終日は17時閉場)会場:松屋銀座8階イベントスクエア住所:東京都中央区銀座3丁目6−1入場料:一般 500円、小・中学生 300円問い合わせ先:03-3567-1211(松屋銀座大代表)
2017年07月31日窪塚洋介と「Dragon Ash」のフロントマン・降谷建志が共演する映画『アリーキャット』の完成披露試写会が6月23日(金)に開催。窪塚さん、降谷さんに共演の市川由衣、品川祐、榊英雄監督が舞台挨拶に登壇した。かつては名のあるボクサーだったがいまは警備員のバイトで暮らす秀晃(窪塚さん)と彼が猫をきっかけに知り合い、意気投合した不思議な男・リリィ(降谷さん)。とある事件をきっかけに、危険な組織に追われるはめになり…。大歓声に迎えられた窪塚さんはなぜか「ジャッキー・チェンです」と挨拶。スルーされてもめげずに、もう一度「ジャッキー・チェンです!」と繰り返し、これに気圧されたのか、戸惑いつつも降谷さんは「サモ・ハン・キンポーです(笑)」、市川さんは「マイケル・ホイです(苦笑)」、そして品川さんは「ユン・ピョウです」と自己紹介し、爆笑の中で舞台挨拶はスタート!窪塚さんは、本作での降谷さんとのタッグは“運命”だったと述懐。ある共通の結婚式で初めて顔を合わせたという2人だが「たまたま同じテーブルで、『あれ?俺ら初対面だっけ?』というくらい、共通の知り合いも多いし、昔からの連れのような感じになったんです。それから2週間後くらいに『降谷くんと映画やらない?』とオファーがあり、これは天の導きだと思った」と語る。降谷さんは「最初は、周りに相談してたんですが、(窪塚さんの)家の近くに行く機会あって、2人で飲みに行って『やるべき』と言ってもらった」と背中を押されて出演を決意したと明かす。市川さん、品川さんは、出演者でありながら、この2人が同じステージに立っていることに大興奮!品川さんが「俺らの世代のカリスマ」と言えば、市川さんも「台本をいただいたとき、2人の名前を聞いてて、ワクワクしかなかった」とふり返った。舞台挨拶中、降谷さんが作品の中身に関する発言をポロリと漏らし、周囲から「新人俳優!」と突っ込まれる場面もあったが、そんな天然な(?)降谷さんのキャラクターが現場で大いに愛されていたよう。窪塚さんは「新人俳優のフルオープンハートで現場にいてくれました。そのピュアさ、情熱が僕らに火をつけて、『いい作品つくるぞ!』って思いをかき立ててくれました」と称賛。品川さんは悪役を演じたが、このピュアさに影響され(?)、なぜか自分の出番と関係なく、現場に差し入れの手作り豚汁の鍋を抱えて駆け付けたとか!「それでも(世間の)好感度は下がったままですが…」と自嘲気味につぶやく品川さんに、降谷さんが「なかなか伝わらないもんですね(笑)」とあっけらかんと語り、会場は笑いに包まれていた。窪塚さんは最後に改めて「『俺はこんなもんじゃねぇ』ってみんな思うものだし、思うまでは自由。でも、そこから一歩踏み出して行動する、その行動が全てです。そんな思いを抱えている人が、この映画で新しいステージに踏み出してもらえたら嬉しいです」と呼びかけ、会場は温かい拍手に包まれた。『アリーキャット』は7月15日(土)より公開。(text:cinemacafe.net)
2017年06月23日4月29日(土・祝)放送の「世にも奇妙な物語‘17春の特別編」に、俳優の滝藤賢一が出演することがこのほど決定。すでに、菅田将暉主演の「カメレオン俳優」、遠藤憲一主演の「妻の記憶」が放送されることが発表されているが、これに続きショートショートのラインナップが明らかになった。いま最も忙しい俳優のひとり、滝藤さんが主演するのは、漫画家・江口寿史の短編ギャグ漫画「江口寿史の爆発ディナーショー」から、「しりとり家族」「しりとり家族ふたたび」をドラマ化。4月スタートの月9ドラマ「貴族探偵」で、運転手かつボディーガード・佐藤役を演じることでも話題となっている滝藤さんが今回演じるのは、どこにでもいそうなちょっとトホホな父親役だ。さらに妻役には、ドラマや映画、朗読劇など様々なジャンルで活躍する内山理名、娘役には「咲-Saki-」や『君の膵臓をたべたい』『亜人』などに出演するいま注目の若手女優・浜辺美波、息子役に中川翼が出演し、普通の4人家族が食卓で「しりとり」する様をひたすら描くという、シュールなコメディーながら心温まる作品となっている。そのほか、「赤」「ノック」が放送。お笑いコンビ「メイプル超合金」のカズレーザーが出演するショートショート「赤」は、新商品「宇宙一赤いトマトジュース」の発売イベントに呼ばれたカズレーザーさんが、赤だらけのイベント会場で突然、具合が悪くなってしまい…というストーリー。赤い衣装でお馴染みのカズレーザーさんならではの企画に、“本人役”で登場。そして相方・安藤なつも出演する。また「ノック」には、2014年度「第27回ジュノン・スーパーボーイ・コンテスト」ファイナリストで、「動物戦隊ジュウオウジャー」ジュウオウエレファント/タスク役の渡邉剣が参加する。「世にも奇妙な物語‘17春の特別編」は4月29日(土・祝)21時~フジテレビにて放送。(cinemacafe.net)
2017年04月12日滝藤賢一が主演を務める、テレビ東京のスペシャルドラマ「ハノイ発夜行バス、南下してベトナム1800キロ縦断旅」が、2月26日(日)16時から放送される。このほど、滝藤さんの奮闘ぶりがよく分かる劇中写真とともに、本人からコメントが到着した。勤続17年のサラリーマン・鈴木広太(滝藤賢一)が、40歳にしてもらった10日間の有給休暇。家族で旅行しようと思ったら、妻は仕事、子どもはお稽古ごとで忙しい。「あなた1人でいってらっしゃい」「僕1人で大丈夫か…」。そこで出かけた初めての海外1人旅。ベトナムの首都ハノイからホーチミンまで、長距離バスと鉄道を使い1,800キロを縦断する。訪れた時期は旧正月“テト”。休みの少ないベトナムの人にとって家族と過ごせる一番幸せな時間。日本と違う金銭感覚に頭を抱え、ベトナム戦争の傷跡を知り、昔ながらの漁村で南シナ海の海の幸を食べる…。40男のサラリーマンがベトナムからもらったものとは…。ベトナムで暮らすリアルな人々が出演し、現在のベトナムをとらえる虚実ないまぜの不思議な本ドラマ。主演を務めるのは、堺雅人主演ドラマ「半沢直樹」での熱演で一躍注目を浴び、『るろうに剣心』『テラフォーマーズ』と話題作に立て続けて出演、2017年は4月期フジテレビ月9ドラマ「貴族探偵」出演や岡田准一主演『関ヶ原』で豊臣秀吉を演じるなど、いまもっとも注目を集める実力派俳優・滝藤さんが、現地の人々を巻き込みながらリアルにベトナムを縦断する。「“ベトナム縦断?絶対やります!”」と「1秒で返事しました」という滝藤さん。「主役は無条件で受けさせていただく私ですが、ベトナムを縦断できるなんて…まるでご褒美をいただいた気分。仕事という意識が皆無な自分が恐ろしいです(笑) 危ない危ない…」と出演決定時をふり返る。「ベトナムならではのトラブルがありながらも(出演者のドタキャン、予定どおりに出発しない、到着しないなど)全てがいい方向に向くという奇跡の連続!最小限の人数で巡ったベトナム縦断は、とても素敵なチームで、ドラマかドキュメンタリーか、ただのプライベートな旅なのか錯覚するほどでした。楽し過ぎて未だに、ベトナムの余韻が抜けません」と語り、「今後も、主人公の鈴木公太が世界中を旅することを切に切に願っています!」と続編を希望するほど気に入った様子。プロデューサーを務めた瀧川治水(テレビ東京制作局制作番組部)は「素顔なのか、芝居なのか、わからない微妙な表現をしてくださる滝藤賢一さんの鈴木広太という40男の本音が全編にほとばしっています」と自信たっぷりにコメントを寄せている。「ハノイ発夜行バス、南下してホーチミン-ベトナム1800キロ縦断旅」は2月26日(日)16時~テレビ東京系列にて放送。(text:cinemacafe.net)
2017年02月26日新国立劇場が30代の演出家を迎えて送るシリーズ「かさなる視点―日本の戯曲の力―」。第1弾は、近年高い評価を得てきた演出家・谷賢一が三島由紀夫の長編戯曲『白蟻の巣』に挑む。2月中旬に行われた通し稽古に足を運んだ。【チケット情報はこちら】三島がブラジルを訪れた経験を基に執筆し、昭和30年に刊行された本作。日本で名家に生まれるも没落し、ブラジルのコーヒー農園の経営者に収まった刈屋義郎(平田満)と妙子(安蘭けい)の夫婦、住み込み運転手で過去に妙子と心中未遂事件を起こした百島(石田佳央)とその事件を知りつつも彼と結婚した若き妻・啓子(村川絵梨)、農園の経営を任されている大杉(半海一晃)、女中・きぬ(熊坂理恵子)の6人が表面上は穏やかに暮らす邸宅。啓子のある“企み”に刈屋が乗ったことから、少しずつ屋敷を覆う空気、彼らの関係性が変化してゆく。谷はこの戯曲を選んだ理由として「感情の火柱が非常に太く、それがぶつかり合い、火花を散らしている」とその魅力を語ったが、登場人物たちの会話には表面上、奇妙な静けさが漂っている。この空気を担っているのが、平田演じる“旦那様”刈屋と安蘭が演じる妻の妙子の佇いである。刈屋は、妻と若き運転手の過ちを、彼特有の“寛大さ”で許しており、まるで何事もなかったかの様に、妙子と百島、啓子らとテーブルを囲む。妙子はどこか定まらない視点とじっとりとした口調が特徴的で、自らを「もう死んだ女」と語り、生ける屍のようにただ、そこにいる。妙子は夫の赦しを「寛大さの牢獄」と表現するが、谷は「優しさ、許し、寛大さがもたらす息苦しさ、辛さ、呪縛は、個人主義的に現代を生きる我々に響くテーマになる」と語る。そんなこの家の空気に唯一、まともに刃向かっている存在であり、刈屋をして「あんたは生きているよ」と言われるのが、百島の若き妻・啓子だ。彼女は百島と妙子の間の過去にもがき苦しみ、それを何でもない事の様に笑い話として話す刈屋に激しく詰め寄り、ある“策”を弄する。彼女の激情が、止まっていた時を動かし、少しずつそれぞれの心情、本音が蠢き、“牢獄”を飛び出していくが……。全編を通して印象的なのは俳優陣の声!刈屋の無関心と同義の諦念、妙子の死人の様な口調、啓子の激情、夫・百島の迷い、いつか再び日本の地を踏む事を叶わぬ“夢”として語る大杉…。それぞれの感情が見事なまでに彼らの声に乗せられて、“美しき不協和音”とも言えるような奇妙な音色を奏でる。昭和30年に書かれた戯曲は旧字体で書かれており、会話も決して現代の口語的とは言えないのだが、実際に通し稽古で展開される俳優陣のやり取りは、古臭さも不自然さも全く感じさせず、静かに、しかし、生き生きとした感情が伝わってくる。「三島特有の美しい言葉は魅力ですが、言葉はあくまでも氷山の一角。その裏に漂うドロドロとした感情、ピリピリとした関係性が伝われば」――そんな谷の言葉通り、ブラジルの明るい太陽の下で、たっぷりと湿気を含んだ、べっとりとした感情の戦いが繰り広げられていた。公演は3月2日(木)に開幕。取材・文・撮影:黒豆直樹
2017年02月24日女優の小雪が主演を務めるフジテレビ系ドラマ『大貧乏』(来年1月8日スタート、毎週日曜21:00~21:54)に、成田凌、神山智洋(ジャニーズWEST)、滝藤賢一、奥田瑛二らが出演することが9日、明らかになった。このドラマは、勤務先の人材派遣会社・DOHの倒産で"大貧乏"に転落してしまった小雪演じるシングルマザー・七草ゆず子が、暴れん坊な息子とおてんば盛りの娘を抱えながら、理不尽な社会に立ち向かうというストーリー。彼女を支えるエリート弁護士・柿原新一を、伊藤淳史が演じる。成田は、DOH営業部の若きエース・加瀬春木役。敏腕な営業マンだが、真面目な優秀タイプでなく、若くして人間の嫌な部分を知り尽くしているというキャラクターで、成田は「役としては、どこかつかめない緊張感や親近感が出せればと思っています」と語る。神山は、柿原法律事務所の新人弁護士・木暮祐人役で登場。洞察力に長け、柿原が求めることを瞬時に察知できるという優秀な男だ。滝藤は、DOHの経理部長・浅岡礼司役。倒産をめぐって次々と襲いかかる波乱の展開の鍵をにぎる人物で、「座長の小雪さんを中心に、一丸となって痛快なドラマを日曜日の夜に皆さまにお届けできるよう頑張ります!」と意気込む。そして奥田は、DOH社長の天満利章役で出演。シングルマザーのゆず子が働きやすい環境を整えてくれた恩人という役どころで、「話の展開の中で自分の役がどう転がりどう表現するのか、これには自身、強くワクワクしています」と期待を語っている。
2016年12月09日新国立劇場にて来春「かさなる視点-日本戯曲の力-」と銘打ち、近代演劇の礎となった昭和30年代に発表された3本の戯曲を、30代の3人の演出家の手で上演することが決定した。三島由紀夫の『白蟻の巣』を演出する谷賢一、安部公房の『城塞』を上演する上村聡史、田中千禾夫の『マリアの首-幻に長崎を想う曲-』の演出を務める小川絵梨子、同劇場の芸術監督を務める宮田慶子が出席しての取材会が行われた。【チケット情報はこちら】宮田は“国立”の劇場として「日本の戯曲を大切にしたいとずっと思っていた」と語る。2010年の芸術監督就任から「JAPAN MEETS…-現代劇の系譜をひもとく-」シリーズでは近現代の海外戯曲の新訳などを上演してきたが、満を持しての国内の名作の上演。「脂の乗った30代の演出家たちが、あの時代の日本の戯曲にどう向き合うか見てほしい」と期待を寄せた。3作品は、いずれも昭和30年代に発表されており、宮田はこの時代を「戦後10年以上が経って、焦土から復興を遂げ、そろそろ高度経済成長が始まる頃であるけど、戦争の跡と新しい時代の狭間で軋んでいた時代」と語る。『白蟻の巣』は三島の初長編戯曲。ブラジルの農園を舞台にした人間ドラマで、戦後の空虚感が色濃く描き出される。谷は「当時の現実にベッタリとへばりつく必要はない。34歳の僕がいま読んでピンと来た、現代と重なる部分を立てるような形で演出していきたい」と意気込みを口にした。『城塞』は、ある一家の姿を通して安部公房が戦争責任を問うた作品だが、上村は「“戦後”をテーマに掲げて上演したい」と語る。「いま、グローバルな価値観と、民族性や国民性といったドメスティックに根付いている日本人のローカルな価値観が軋み始めている印象があり、不穏な音を立てている気がしています。演劇でそのこととどう対峙できるか? 敗戦後の再生の陰で変わらなかった日本人の精神、戦争責任の所在に目を向けることで、その軋みをひも解く糸口になるのではないか? いま、上演されて真価が発揮される作品だと思います」と自信をのぞかせた。小川は宮田から、被爆地・長崎を舞台にした『マリアの首』を勧められ、目を通して「直感で、やってみたいと思った」と明かす。これまで翻訳劇が多かったこともあり「挑戦であり、プレッシャーや不安もあるし、難しい作品だと思います」とも。本作に挑む上でとっかかりとして挙げたのが「当時、大人とは言えないまでも、既に息づいていた」75歳の自身の父親の存在。「市井の人々の話であり、生活臭をちゃんと描くことが大事だと思っています。そこにあった“ニオイ”を私も体感したい」と語った。同世代の演出家が、同じ時期に発表された名作を演出するということで「比べられる(苦笑)」(小川)、「一生懸命、ケンカしたい(笑)」(谷)など、互いを意識する発言も。「次の時代を拓き、日本の演劇界を引っ張っていく三人」(宮田)がどのように“戦後”に挑むのか?楽しみに待ちたい。公演は3月から5月まで順次上演。いずれも新国立劇場小劇場にて。取材・文・撮影:黒豆直樹
2016年12月05日写真週刊誌で、芸能&事件班とグラビア班を取り仕切る副編集長にして、次の編集長の座を狙うライバル同士。吉田羊と滝藤賢一がこの役を演じると聞いただけで、よく知りもしない写真週刊誌の編集部の様子がなぜかリアルにイメージできてしまう。校了前の“戦場”と化した編集部で、大声を張り上げ、互いのやり方を認めずに丁々発止の激論をぶつけ合う。実は若いときからなぜか対抗意識を持っていて…そんな、時間を超えたドラマ性まで妙にリアリティをもって想像させてしまうのは、この2人の演技力の高さ、絶妙な存在感ゆえである。この数年、次々と話題の作品に出演して注目を浴び、いまや日本映画界に欠かせない引っ張りだこの人気俳優となったという点でも共通している2人が、映画『SCOOP!』および、お互いについて、知られざる、とっておきの特ダネも…?――普段は、パパラッチに狙われる側であるお二人が本作では狙う側の写真週刊誌の副編集長を演じられていますね。滝藤:僕なんて狙われたことないよ!――いやいや、きっと虎視眈々とパパラッチが狙ってますよ(笑)。滝藤:そうなの(笑)?吉田:演じてみて「こういう風に(スクープの撮影を)やっているのか!」と興味深かったですね。実際、本物の張り込みの現場の様子の映像なども見せていただいたんですけど「こんなに手の内を見せていいのかな?」となぜか心配までしつつ(笑)。――写真週刊誌に対してイメージは変わりましたか?吉田:最初は二階堂ふみちゃんが演じた野火と一緒で「こんな仕事…」とか思ってたんですけど、演じる中で「なにがなんでもスクープ撮ってやるぞ!」って気持ちになってくるし、世間の反応を見て「自分は世の役に立っているんだ」なんて正義感まで芽生えてくる。それが原動力であり、大義名分にさえなってくるんですよね。映画の撮影が終わる頃には、私自身の感覚がちょっとすり替わっているのに気づいて怖くなりましたね。――お金とか部数増加のためではなく…吉田:お金に関係なく、自分がやったことが世の中を動かしたり、世間をあっと言わせたりする快感や興奮があるんでしょうね。理解したくないけど、ちょっと理解をしてしまったり…(苦笑)。滝藤:そりゃ、撮られるよりも撮る側の方がいいですよね。吉田:世間の「知りたい」という欲って底知れないもので、どんなに撮っても「その次が見たい!」ってなるんですよね。滝藤:僕はそこまで図太くないから無理だなと思いました。本人を前に直撃したりなんてできない!繊細ですから(笑)。だから僕は、グラビア班でよかった…。――グラビアといえば、映画の中でも“袋とじ”グラビアが出てきますね。滝藤:夢があっていいのかなぁ…(笑)?僕は破らずに、こうやって(隙間からのぞくように)見ます。吉田:そこで袋とじを破るか?破らないかの差、一線を超えるかどうかの基準って何?好きなタレントかどうか?――さすが芸能・事件班担当の副編集長!切り込みますね(笑)。滝藤:いや、破ったら見たってわかっちゃうでしょ?跡を残したくないんですよ。奥さんに知られるのはいいけど、僕の楽屋に置いてあった週刊誌の袋とじが破れていたら「滝藤賢一が袋とじを見た」ってなるわけでしょ。吉田:滝藤さん的には見たい欲求はあるけど、周りにどう見られるかを意識して…(笑)?滝藤:そう。僕は他人に対する壁が高いというか、シャットアウトしようとする気持ちが強いんでしょうね。――週刊誌の繰り出す芸能ネタに熱狂する人々の気持ちは理解できますか? 「見たい人がいるから、撮る人がいる」という論理もありますが…。滝藤:欲求はあるでしょうね。ただ、僕は常に「逆を問う」ことを大事にしています。「こういうニュアンスで書かれているけど、本当なのか?もしかしたら逆だったり、都合よく切り取られたりしてるだけなんじゃないか?」と。全てを鵜呑みにするんじゃなくて。――もしご自分に関する記事が出たら、どう受け止めますか?滝藤:僕の記事ですか?もし真実ならば、しょうがないですよね。でもそうじゃないなら…反論したくなるなぁ。吉田:しますか?滝藤:しないでしょうね。反論したらしたで、それがまたニュースになって…。そうならないように努力するしかないのかな?だいたい、そんな努力する必要あるのかな?僕の場合、そんなこと意識したのは「半沢直樹」直後だけでしたよ。――いまでは、もしも何かあれば一斉に飛びつきますよ(笑)!滝藤:何かあればね。何もないもん。吉田:うまくやっているから(笑)?滝藤:違う(笑)!家族がいるし、仕事しかないから!結局、そこでリスクを冒してまで、仕事の運気を変えたくないんです。僕は自分のことが大好き人間だから(笑)。――今回、お二人が演じたのは、同じ雑誌内でライバル関係にある定子と馬場という副編集長でした。お互い、これまで共演経験も多くて互いをよく知っていらっしゃるとは思いますが…。吉田:実は、そんなに以前から何回も共演経験があるわけではないんですよね。しっかりとお芝居で絡めたのはこの映画とWOWOWの「コールドケース」くらい?ただ、もともと、舞台出身ということで、似たようなスタンスでこの世界を生きている仲間意識、同じニオイのする同族意識があるのかな?滝藤:嬉しいですね。僕は勝手に“ライバル”だと思っているから(笑)。吉田:そうなの?滝藤:同じようにずっとやってきて「なんで売れないんだ?」って思ってた。自分のことも、羊さんのことも。だから『HERO』で羊さんがガツンと来たときは「ほら来た!」って(笑)。僕だけでなく、周りで見てきた俳優さんはみんなそう思ってたと思いますよ。――お互いを「似ている」「同族」と思うのはどういった部分で…?吉田:何でしょうね…どこかで「自分は何かを成し遂げられるかもしれない」って根拠のない自信を持っているところ…ありません?滝藤:あります(笑)。あとは、ひたすら現場で腕を磨いてきたっていうところ。小さな役でもひとつひとつ、積み重ねてきた自負がある。一作一作が勝負なんです。映画『八日目の蝉』でも、羊さんはラストだけだったでしょ?でもあれ見て「やっぱりすげーな!」って思ったもん。吉田:そういえば「傍聴マニア」もありましたね!滝藤:検事と被告人の関係でしたね。吉田:この時点で、私の中では『クライマーズ・ハイ』の印象があったんですよね。滝藤さんといえば、出る作品ごとに存在感を示していて、しかもいい作品ばっかり出てる!この人みたいになりたいなって憧れていました。「傍聴マニア」で共演したとき、私のアドリブにこれ以上ないっていうくらいのベストな返しをしてくださって、これだけ柔軟で、対応力があるからこそ求められているんだなって肌で感じました。――お二人とも様々な作品に出てこられましたが、世間的な意味で“全国区”の知名度を得たのはこの数年ですね。お話を伺っていると、売れる以前と以降でやっていること自体は変わってないように思えますが、売れる・売れないの差はどこにあるんでしょうか?滝藤:(指でこちらを指しながら)運!そうじゃないかなぁ?だって、うまくても埋もれている人もいっぱいいますし。発見してもらえなければ、世間に出てこられない。努力はしていて当たり前だし、才能がある人なんてゴロゴロいる。あとは運とか巡り合わせじゃないかしら?吉田:タイミングとか巡り合わせはあるよね。滝藤:自分がタイミング合わずにお断りした役で、別の俳優さんが助演男優賞を獲ったこともありますし(苦笑)。いつ何があるかわからないから、常に準備をしておく――結局、一作ずつを大切にしていくしかないんですよ。全てをチャンスと思ってやっておかないと、誰が何を見てくれているかわからない。積み重ねがなければチャンスすら来ないですしね。(無名塾時代の恩師の)仲代達矢さんは「チャンスは人生で3度来る」っておっしゃっていました。――そんなお二人から見て、今回の主演の福山雅治さんの存在は…?滝藤:僕とは見てきた世界が全く違う。持って生まれたもの、運命もあるんだろうし…カッコいいですよ。こちらが真似のしようのないお芝居をされますよね。吉田:でも、いい意味で変わらない方ですよねオンもオフも。「俺は福山だから」ってところがないんですよ。今回、特にカッコ悪い役ですけど、そこでカッコよく見せようって意識や欲が全くないのがカッコいい。私が見てきた、第一線で走ってきた人たちに共通することでもあります。自分ならカッコよく見せようとしちゃう気がします(笑)。滝藤:福山さんは気さくに話しかけてくださるんですけど、こっちは緊張しますよ、どこかでやはり…。吉田:わかる!わかる(笑)!やっぱりみんな、福山雅治のファンなんだもん!――お二人の中で福山雅治といえば…吉田&滝藤:チイ兄ちゃん(「ひとつ屋根の下」)!滝藤:「何なら、店ごと買い占めるか」ってしびれましたよ!(※妹の小梅がキャバクラに乗り込んでのセリフ)。吉田:あった!あった(笑)!!テレビ見ながら叫んでました。滝藤:あの福山雅治さんと共演しているって…いまだに不思議な気分です(笑)。(photo / text:Naoki Kurozu)
2016年09月30日俳優の滝藤賢一が7月1日(金)公開の映画『アリス・イン・ワンダーランド/時間の旅』の日本語版で、物語のカギを握る新キャラクター“タイム”の声を演じることが発表になった。その他の画像本作は『アリス・イン・ワンダーランド』のその後を描く作品で、アリスが親友マッドハッターの危機を救うために、再びワンダーランドに戻り、時間をさかのぼる冒険を繰り広げるが、時が正しく流れ、過去が改変されないように見張っている番人が“タイム”だ。「ついにハリウッドデビューか!と嬉しかったです。やっとこの日が来たかって(笑)」と喜ぶ滝藤は「ジョニー・デップやヘレナ・ボナム=カーターと共演している気持ちにさせていただける素敵な現場だったと思います。勘違いしてしまいそうでした(笑)」とコメントした。滝藤は徹底的に準備を重ねて現場に臨むことで知られているが、彼がワンダーランドの番人にして、どこかコミカルな面も持つ“タイム”の声をどう演じるのか気になるところだ。『アリス・イン・ワンダーランド/時間の旅』7月1日(金) 全国ロードショー
2016年06月24日俳優の滝藤賢一が、映画『アリス・イン・ワンダーランド』の6年ぶりとなる新作『アリス・イン・ワンダーランド/時間の旅』(7月1日公開)で新キャラクターの時間の番人"タイム"の日本語版声優を務めることが23日、わかった。映画声優初挑戦となる。滝藤が演じる時間の番人"タイム"は、誰もが敵に回したくはないと恐れている人物。無限の空間にそびえる永遠の城に棲む、"時間"の化身で万物にパワーをもたらす万物の大時計を守り続けており、その大時計とシンクロする時計仕掛けの心臓を持つ、半身人間、半身機械という摩訶不思議な存在だ。おどろおどろしい姿とは裏腹に、自信家で間抜けという愛嬌のある一面も持つ。オーディションを受けて決定したという滝藤は、「ついにハリウッドデビューか!とうれしかったです。やっとこの日が来たかって(笑)」と声優が決まった時の喜びをコメント。アフレコについて「声だけで表現することは難しく、大変でした」と振り返り、「ジョニー・デップやヘレナ・ボナム=カーターと共演している気持ちにさせていただける素敵な現場だったと思います。勘違いしてしまいそうでした(笑)」と冗談交じりに語った。本作は、前作から3年後の世界を舞台に、悲しい過去に心を奪われ帰らぬ家族を待ち続けるマッドハッターを救うため、時間をさかのぼるアリスの冒険を描くファンタジー・アドベンチャー。白の女王役の深田恭子をはじめ、マッドハッタ―役の平田広明、アリス役の安藤瞳、赤の女王役の朴ロ美(ロは王へんに路)の日本語版声優の続投も先日発表された。(C)2016 Disney. All Rights Reserved.
2016年06月24日俳優集団D-BOYSの柳下大、劇団プレステージの平埜生成、高橋和也による3人芝居『オーファンズ』が東京芸術劇場で開幕した。舞台『オーファンズ』チケット情報トリート(柳下)とフィリップ(平埜)は、トリートの盗みで生計を立てている孤児の兄弟。ある日、トリートはハロルド(高橋)を誘拐し身代金を得ようと目論むが、ハロルドは意に介さずトリートに自身の仕事を手伝うように持ちかけ3人の共同生活が始まる、というストーリー。演出は宮田慶子、翻訳は劇作家・谷賢一。椅子は倒れ、物は散乱し、ごみが溢れた部屋でひとり兄を待つフィリップ。そんな静かな時間と共にこの舞台は始まる。その静けさを崩すのは兄・トリート。少しでも気に食わないと怒鳴り暴力をふるう彼はフィリップを委縮させる。そこに現れたハロルドが兄弟の生活を変える。どっしりと構え、温かく、博識なハロルド。彼が教えることで部屋は片付き、身なりが整い、温かい食事がテーブルに並ぶ。「お前には励ましが必要だ」と肩を抱かれたフィリップはみるみる自信をつけ、表情、話し方まで変わっていく。しかしトリートは長い間思うがままに過ごしてきたため感情のコントロールができない。特に怒りが暴力に直結するせいで仕事をさせてもらえず、いらだちは募っていく。うまくいかない自分、ハロルドを慕い変わっていく弟、そこに生まれる想い――。後半はトリートの抑えつけられない感情と抑えつけていた感情、その両方が露呈。舞台から溢れ出し客席まで広がっていくような柳下の芝居が印象的だった。3人それぞれが持つ想いや過去を説明することなく伝える、繊細な芝居。それは宮田の演出の賜物ともいえる。キャストのコメントは以下。柳下「役者としてもっと新しい自分を見つけたいと思い、宮田慶子さんに演出をお願いした作品です。何度も壁にぶつかり悩み苦しみ、それでも必死に稽古をして、改めて一から芝居というものを見つめ直すことができました」平埜「僕が演じるフィリップは、劇中ですごく変わっていきます。人が変わっていく、誰かに影響されていくのは皆さんにもある経験だと思うので、自分はどういう風に変わってきたんだろうと思いながら観ていただけたら、いつもと違う舞台の楽しみ方ができるのではないかと思います」高橋「僕にとっては、10年に一本出合えるかどうかという作品だと思っています。ぜひ皆さま、劇場に足を運んで、衝撃を受けていただきたいと思います」2月21日(日)まで東京芸術劇場 シアターウエストにて、2月27日(土)・28日(日)まで新神戸オリエンタル劇場にて上演。取材・文:中川實穗
2016年02月12日「女方として、できる範囲のことはすべてチャレンジしたい」と語るのは、中村七之助。彼の今年最初の舞台は、歌舞伎ではなく現代劇だ。十八代目中村勘三郎とデヴィッド・ルヴォーの企画で誕生したという『ETERNAL CHIKAMATSU-近松門左衛門「心中天網島」より-』。『心中天網島』は、遊女小春・紙屋治兵衛・その妻おさんの三角関係を描いた近松の代表作。この作品を、注目の若手作家・谷賢一が、ルヴォーのオリジナルアイデアに基づき新作戯曲として描き下ろす。七之助は、初めてルヴォーの演出を受け、これまであまりやったことのない現代劇で女方を演じ、そして初共演の深津絵里とW主演する。まさにチャレンジだ。稽古前に来阪し、「父の、死してなお夢を実現する力」を感じながら、遺志を受け継いで出演する意気込みを話した。『ETERNAL CHIKAMATSU -近松門左衛門「心中天網島」より-』チケット情報「父は、歌舞伎の演目を海外の方に演出してほしいという夢があり、私たち息子にも話していました。具体的にルヴォーさんで近松を、と。それをルヴォーさんが覚えていてくださり、今回の上演になりました。ルヴォーさんという暮らしも文化も違う方が、近松作品をどういう解釈で演出され、そこからどんな変化が生まれるのか。今回、それが一番楽しみです」。物語は、現代に生きるハル(深津)が、江戸時代に生きる遊女・小春(七之助)と出会い、近松門左衛門の古い古い恋の物語に引き込まれていく。ハルと小春を通して描く、究極の愛。1月下旬から稽古に入るが、初めてやる時に一番大事にしていることは「お稽古までに台本を全部覚えて行くこと」と言う。「これは父が口を酸っぱくして言ってましたから。それと、柔らかい気持ちで行くことかな。杉村春子先生は台本を100回読まれたと。だから、台本は最初から最後までよく読んで、自分のキャラクターを考えます。でも、固めて行かない。固めると、そこから抜け出ることが大変になるから」。今回、深津とはガップリ四つの初共演だ。「僕はテレビでも映画でも歌舞伎でも、相手役はほとんど男としかやったことがなかったんです。だから、深津さんとほぼ初対面でポスター撮りした時、『もっと顔を近づけて、近づけて』と言われて、恥ずかしくてね(笑)。すごい脇汗でした(笑)。深津さんはキレイな人で、すごくいい方でした」。ほかに伊藤歩、中嶋しゅう、中島歩、音尾琢磨らが出演。「今回は、歌舞伎で培ってきたものをいろいろ試せる、チャレンジできる舞台でうれしいです。現代劇の中で女方として出るなんて、これは僕個人としてもおもしろいし、ボクがお客様だったら、ちょっと観てみたいな(笑)」。公演は、2月29日(月)から3月6日(日)まで大阪・梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ、3月10日(木)から27日(日)まで東京・Bunkamura シアターコクーンにて上演。チケットは発売中。取材・文:高橋晴代
2016年02月05日近松門左衛門の代表作「心中天網島」をベースにした舞台「ETERNAL CHIKAMATSU」の製作発表が1月27日(水)、水天宮ピットで行われ、出演する深津絵里、中村七之助、伊藤歩と演出家のデヴィッド・ルヴォーらが出席した。「ETERNAL CHIKAMATSU」は、遊女小春、治兵衛、その妻・おさんの三角関係を描いた近松の「心中天網島」をベースに、究極の愛を描いた物語。演出家デヴィッド氏のオリジナルアイデアに基づき、作家の谷賢一が書き下ろす新作戯曲となっている。主演を務める深津さんと中村さんは、本作が初共演。中村さんの印象について、深津さんは「まだ信じられないような気持ちです。七之助さんは本当に軽やかな方で、すごく美しいんです。ものを作る姿勢が本当に素晴らしくて。一緒に芝居を1から作っていけることの喜びをすごく感じています。すでに美しさは負けているんですけど」と語り、伊藤さんも「美しさは降参です」と、女形で培った中村さんの可憐な美しさに触れた。首を振っていた中村さんだったが、「公開処刑、やめてください。今、心の中ではすごく小さくなっています」と恐縮しきりだった。一方、深津さんの印象を尋ねられると中村さんは絶賛。「もちろん綺麗だということは前提で、ミーハーなんですけど『踊る!大捜査線』のすみれさんだあ!、というイメージが強くて」と記者を笑わせた後、「舞台も拝見していて、映画『悪人』も素晴らしいですし、映像もドラマも舞台もできる女優さんは少ないと思っているので、本当に尊敬できる大先輩です」と、女優としての器の大きさを感じていたようだ。もともと本作は七之助さんの亡き父、勘三郎さんがデヴィッド氏と「歌舞伎で上演できれば」と話を進めていたものだという。その延長戦上にあるプロジェクトゆえに、中村さんは「父の願いは近松の作品を歌舞伎で演出することでしたが、父親が描いていたものをはるかに超えて、もっともっとスケールの大きいものになっているので、すごく楽しみです」と、希望をたたえた瞳で舞台への意気込みを語った。会見には、そのほか中嶋しゅう、音尾琢真が出席した。舞台「ETERNAL CHIKAMATSU」は、2月29日(月)~3月6日(日)まで大阪・梅田芸術劇場シアター・ドラマシティにて、3月10日(木)~27日(日)まで東京・Bunkamura シアターコクーンで公演。(cinamacafe.net)
2016年01月27日イギリス人演出家デヴィッド・ルヴォーが近松門左衛門の「心中天網島」を現代劇として企画、演出。谷賢一がルヴォーの原案をもとに脚本を手掛ける。『ETERNAL CHIKAMATSU―近松門左衛門「心中天網島」より―』が、深津絵里と中村七之助のW主演で上演される。『ETERNAL CHIKAMATSU-近松門左衛門「心中天網島」より-』チケット情報物語は小春と治兵衛による心中を核として、現代と江戸時代をパラレルに行き来しつつ展開してゆく。今回、中島歩が近松の世界観を担う重要な役どころに挑む。「心中物というと遠い話の気がするけれど、恋愛と社会が折り合わないのは今もよくある話です。プロットを読んだら現代社会からの逆風がリアルで、身近に起こり得る話だなと感じました。僕の好きなノンフィクションに、『ドナウよ、静かに流れよ』という、ドナウ川に身を投げた日本人留学生男女の話があり、一途な恋心も心中物の魅力のひとつかと」中島は舞台『黒蜥蜴』で2013年俳優デビュー、NHKの朝ドラ『花子とアン』で注目を集めた、期待の新星である。「ルヴォーさんの演出は初めてで全く想像がつかない分、楽しみです。深津さんとも七之助さんとも初共演。おふたりが役にどのように取り組まれるのか、気になりますね。何より歌舞伎俳優さんは所作もきれいでしょうし、盗めるものはできる限り盗みたい」もし、中島が好きな女の子に「一緒に心中して」と言われたらどうするのか?「『嫌だ。ダサくない?もっと違う方法を考えよう』って言います。死ぬか生きるかでいったら、死ぬより生きて、きっと先に楽しいことがあると思う方を選択したい。僕、すごく楽天的で、嫌なことはすぐ忘れるタイプなんです」大学時代はモデルをしながら、立川藤志楼(高田文夫)、立川志らく、春風亭一之輔を輩出した名門落語サークルに所属していた変わり種でもある。「元々、役者になりたかったので、モデルをすれば芝居に出られるようになると素人考えで始めたのですが、そんなチャンスは皆無でしたね。それより落語のほうが楽しかった。亭号は大家主水(だいやもんど)。ダサいでしょう?先輩がつけるので、どうにもならないんですよ。古典落語が中心で、『千早振る』『火焔太鼓』をよくやりました。何が楽しいって、受けた時の気持ち良さ!あれを知ったら、抜けられません。落語は究極のひとり芝居。全部俺の力でやってるぜ!という快感は格別で、その幸せな原体験が今の舞台で役立っています。落語で学んだ江戸時代の感覚は『ETERNAL CHIKAMATSU』にも活かせるはず」公演は2016年2月29日(月)から3月6日(日)まで大阪・梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ、3月10日(木)から27日(日)まで東京・渋谷のBunkamuraシアターコクーンで上演。チケットは東京・大阪共、12月12日(土)より一般発売開始。なお、一般発売に先がけ、先行抽選プレリザーブを実施。受付は11月13日(金)11:00から11月18日(水)11:00まで。取材・文:三浦真紀
2015年11月12日コスプレショップ・ACOS(アコス)より、TVアニメ『ハイキュー!! セカンドシーズン』から待望の梟谷学園高校のアイテムとして、イメージパーカー&ジャージが登場。コスプレはもちろん、普段着としてもオススメのラインナップとなっている。■梟谷学園高校バレーボール部イメージパーカーユニフォームをイメージしたモノトーンにゴールドラインが映えるパーカー。胸元はちょこんと留まったフクロウ&後ろにはロゴプリント入りで、さらっとした生地のとても着心地のよい1枚となっている。発売は2016年2月11日(木)ごろの予定で、価格は7,500円(税別)。■梟谷学園高校バレーボール部ジャージついに梟谷学園高校バレーボール部ジャージの上下セットがリリース。モノトーンにゴールドが映えるカラーリングとなっており、さらっとした生地なので、動きやすさ&着心地も抜群だ。発売は2016年4月ごろの予定で、価格は8,800円(税別)。各アイテムの詳細は、ACOSの特設ページをチェックしてほしい。(C)古舘春一/集英社・「ハイキュー!!セカンドシーズン」製作委員会・MBS
2015年10月26日映画『アドバンスト・スタイルそのファッションが、人生』の公開にあわせて下北沢B&Bで行われた、BEAMSクリエイティブディレクター・青野賢一さん×『東京を生きる』を執筆されたライター・雨宮まみさんのトークイベントのレポート記事をお送りします。第一回の対談記事<人の言いなりになっていたら明日死ぬかもしれない>第二回の対談記事<人は歳をとると自分自身を受け入れる。私は私どうにもならない>はこちら上質なものを長く使うのは無理…かもしれない雨宮まみさん(以下敬称略):上質なものを一生使う、という傾向が最近はありますよね。でも、クローゼットの中が上質で飽きがこないものだけで構成されてたら、私はちょっと息苦しいんです。これをずっと大切に、ずっと使わないとっていうプレッシャーを感じてしまって。いくつかは、飽きたら捨ててもいい、買い換えてもいい、というものもあって欲しいなって気持ちがあります。そのときの気分で、着たいものも変わりますし。青野賢一さん(以下敬称略):僕もお店で販売スタッフやってた頃、お客さんによく言ってたのが、「一生モノなんてほんとないですから」で(笑)ほんとにないんですよ。年齢も変わるし、メンタルもかわるし、環境も変わるし。そういうことを考えると口がさけてもいえない。でもメディアはそういうこといっていかなきゃいけないのでね。でも一生モノなんてないなってずっと思ってました。雨宮:誠実に言うとしたら、5~6年は着れますよ、ってくらいですよね(笑)。青野:そうですね(笑)結果的に一生だったらいいんですけどね。気がついたらそのくらい長く使ってるって位がちょうどいいかなと。スタイルを持つという到達点雨宮:この映画では、スタイルを持つということが一つの到達点となっていますよね。それってずっとみんなが目指していることのような気がするんです。自己啓発書を読んでも「スタイルを持つことが重要だ」と何百回も言われるけど、なかなか持てないなと感じます。青野:そもそもスタイルってどういうものなんでしょうね?流行という意味でファッションを考えるとその時その時とっかえひっかえしても、ファッショナブルだけど、それはあなたが着なくても、トレンドが担保されている状態ってことですよね。それを繰り返していくと疲れていくだけじゃない?ってことはわかるんですけどね。雨宮:そうすると、逆に「この服は私が着なかったら誰が着るんだろう?」っていうのを選ぶのはありですね。青野:なんか、服に呼ばれることってないですか?お店に行って、あれ?って。雨宮:あります。パッと見かけて「あれだ!」と思うこともありますし、プレセールで見て、さらにセールの終わりかけの頃に、何回も値札を貼り直されて70%offとかになってるどうしようもない服を、「これは私が着ないと誰も着ないかもしれない」と思って買ってきちゃうこともあります(笑)。妙に愛おしくなっちゃったりして。青野:ありますよね!お店に入って見回したら、なんかあの色のあれが気になるなって。あるんですよね。で着てみたら、やっぱりよかったって。この人しか着られないとか、着てあげないと…というのはいわゆる流行、ファッションとは違うレベルの感覚ですよね。お直しして着る服青野:あと、今年は着られなさそうな、前シーズンのものを直して着ることはありますか?雨宮:祖母が洋裁ができるので、袖を切ってもらったり、ワンピースを巻きスカートに直してもらったりはありますね。でも身近にできる人がいなければ、なかなか難しいかもしれません。自分ではせいぜい裾上げ程度かな。青野:でも、それ、すごくいいなあと思うんですよね。『アドバンスト~』のなかでもカスタマイズする人も結構いて。自分の髪の毛でつけまつげを作ったりする人とか。自分でどんどん手を入れて、ちょっと形を直せば今シーズンも着られる、服って直せるんだよってことはもっと知ってほしいですね。雨宮:そうですね、丈は直しやすいですし、ボタンを変えるのも簡単ですね。青野:ボタンは効果ありますね!雨宮:あと、アクセサリーも簡単なものなら、今はすごく作りやすくなってますね。パーツ屋さんが増えて、イメージに近いものを作りやすい。そういう工夫はしやすいですね。青野:それが、既製服をより自分の方に引き寄せることになりますよね。それこそがファッションがスタイルになっていく、一つの契機だってことはあると思います。正解が狭まる怖さ青野:これってどういうふうに着るんですか、何に使うんですか?っていう質問はお店でもよくあるんですが、そんなの好きにやればいいじゃん、って僕は思ってしまうんです。どう使えるかっていうよりは、これこういう風に使えるじゃんとか、柄が気に入った布があったとしたら、シャツ、ワンピ、カーテン、テーブルクロスでも、色々できるんですよね。でも、「これはどういうもの?」と聞いてしまうと、物の可能性をどんどん消していってしまってもったいないなって。雨宮:正解が欲しいんですよね。「あの人、テーブルクロス巻いてるんじゃない?」とか「後ろ前を逆に着てるんじゃない?」と思われたくないって気持ちが強い(笑)。誰が見ても、「あの着方で正しいんだな」っていう答えが欲しいなという気持ちは、私にもあります。青野:なるほど。今親切な世の中だから、これはこうしてください、とだまってても何でも進んでいくということはすごく多いと思うんですけど、そこで失ってきてしまった視点の多様性っていうものも復権するとよさそうだなと思います。雨宮:そうですね、自分にとって少し謎なものに挑戦したりするのも重要ですね。私、最近大きい花瓶を買ったんですけど、ハイビスカスの模様がついてるんですよ。 これ、どうしようと思って。ハイビスカスを活けるのも変な気がするし、ハイビスカス以外は合うのかな?とも思うし。どうしろっていうんだろうと(笑)。でも意外に使うのが楽しいんです。私の場合はこうやって使った、ということでいいんだろうなと。うまくいくと嬉しいんですよ。失敗しても、部屋の中のことですし。青野:服の着方も結構似ていますね。僕、よくやるのが、家から近所のスーパーにいくときに、この組み合わせやってないけどやってみようって10分だけその恰好でいくんです。それで、歩いてて嫌な気分じゃなければ、これいけんのかな?ってなります。電車乗っちゃうと最後って感じするじゃないですか。雨宮:(笑)。そうですね、気心の知れてる人がいるときに着ていったりするのもいいですね。変だったら容赦なくツッコまれるような関係の人たちとの飲み会とか、実験の場にはちょうどいい。人との関係性の中で楽しむ服雨宮:私は、すごく派手な格好をすることに少し怖さを感じてるところがあるんです。でも、私のように「できない」と感じてる人が多いからこそ、こういう本(『アドバンスト・スタイル』)が何度でも世の中に出てきてくれるんだなと思います。青野:特に日本だとロールモデルみたいなのが求められるじゃないですか。だから、単純に憧れをもって、めざすものがあるのは必ずしも悪いことじゃないなって。最後にですが、今、せっかく服が好きで好きなように着られるんだったら、憧れを持つのもいいし、シンプルに楽しんで制約なく服を着れたらいいなあって思います。僕は誰と会うとかってことを大事にしているので、派手な方向に振り切ることは中々ないんですが、人との関係性の中でファッションを楽しみたいですね。雨宮:コミュニケーションとしての服ですよね。私もそういう風にも楽しんでいけたらいいなと思っています。―それでは、今日はありがとうございました。
2015年09月02日映画『アドバンスト・スタイルそのファッションが、人生』の公開にあわせて下北沢B&Bで行われた、BEAMSクリエイティブディレクター・青野賢一さん×『東京を生きる』を執筆されたライター・雨宮まみさんのトークイベントのレポート記事をお送りします。第一回の対談記事<人の言いなりになっていたら明日死ぬかもしれない>はこちら路上で知らない者同士がとるコミュニケーション青野賢一さん(以下敬称略):東京は、全然知らないもの同士が路上でコミュニケーションすることって、スナップ撮らせてください、位しかないですよね。雨宮まみさん(以下敬称略):海外だと、すれ違うときに普通に「その服素敵ね」とか言う人、いますよね。日本ではあんまりないですが、たまにお歳を召した方に「その帽子いいわね、どこで買ったの?」とか、普通に訊かれることもあったりして。そういうの、言えるといいなあと思うんです。自分も素敵な人に「素敵ですね」とただ言いたいときがあるんですが、不審者と思われるのが怖くて。青野:ガードが固い感じですよね。街を歩いている時でも、なるべくそういうものを遠ざけたいというか、面倒くさいものを避けたい気持ちは確実にありますよね。雨宮:ただ一言、賞賛したいだけなんですけどね。でも、そういう声のかけ方に慣れてないので、どうしても不自然になりそうです…。青野:そこで、うまく伝わればいいんですけどね。なんて一言目にしようとか考えちゃう(笑)。『東京を生きる』著者:雨宮まみ(大和書房)雨宮:『東京を生きる』でも書いてるんですけど、たまに本当に素敵な人を見かけることがあって、そのコーディネートやその人の佇まいをしっかり見たくて、しばらくそっと追いかけちゃったりすることがあります。ほんとは写真撮りたいくらいなんですけど…。我慢して、目に焼き付けてます。青野:本の話が出ましたね。今、雨宮さんが目に焼き付けるといいましたが、ぼくは『東京を生きる』を読んで、あなたの目線の強さというか、見る力がすごいなと思って読んでいたんです。なんでもない景色に関するディテールの言及の仕方とか、人の姿を見る視点がすごいなと。だから僕も今日気が抜けない感じで(笑)。それは自意識過剰かもしれないけど、そう思ってしまうほど、目の力が凝縮されている本だなって。雨宮:見るのは確かに好きなんですよね。でも、自分の見たものの中からいいものを選べるかというとそうでもなくて、たくさん見ていると、どれもいいと思ってしまうんです。東京って、本当に色んなスタイルがあって、家具や服、全てにいい物があるから、高いものも安いものも、北欧もアンティークもいいなとか思っちゃって。でも、それぞれはセンスのいいものでも、ごちゃごちゃに置いて合うわけじゃないんですよね。ふと振り返ると、だいたいごちゃごちゃになっているので、『人生ががときめく片付けの魔法』を再読しては、捨てに捨てまくったりしてます(笑)。そういう人、すごく多いと思います。日本の褒め言葉「かわいい」の相容れなさ雨宮:『アドバンスト・スタイル』のような世界観が、東京で成立しない理由のひとつとして、『女の子よ銃を取れ』という本でも書いたんですが、日本では「かわいい」っていう褒め言葉がすごく強いんですよね。「かわいい」って、年齢を重ねていくこととは相容れないじゃないですか。「かわいいおばあちゃん」みたいな言い方もあるけど、ちょっとバカにしてるところがある気がして、私はあまり好きじゃないんです。かわいいかかわいくないかしかないのかな、と思ってたときに、「ティムガンのファッションチェック」という、素人が変身していく番組を見たんです。そしたら褒め言葉がすごく豊富で。「存在感がある」「すごくシックだね」「ゴージャスだよ」とか…。「かわいい」とか「きれいだね」はほとんどなかった。こんなにたくさんの褒め言葉があるのに、なぜ「かわいい」だけになってしまうんだろうって、褒め言葉の貧しさを感じてしまいました。「かわいい」以外にも、自信を持たせてくれる言葉はたくさんあるのに。青野:かわいいといっときゃ、何か伝わっている気がするみたいなのはありますね。雨宮:どんなに褒められても、「かわいい」と言われないと不安になる気持ちも正直あります。「かわいい」と言われることが好意の証、みたいに思っちゃうんですよね。青野:すごくレンジが広い言葉ですよね。なので、便利な言葉というところはあるかもしれません。雨宮:ちょっと褒める時に、ほとんどその言葉でまかなえるので、豊かな言葉ではあるんですけど、歳を取るとやっぱりかわいいと縁を切らなきゃならなくなるっていうことがすごく恐怖で。でも『アドバンスト~』のこういう形で美しく着飾っている人を見ると、かわいいとかにこだわってる場合じゃないよなって。元気付けられます。力強いですね。青野:パワフルですよね。白いフリルのついた傘が映画に出てくるんですけど、可愛いという言葉で表現されるような小物でも、たとえば違うスタイリングをしたら、また違う存在感や価値を与えられる。どういう風に組み合わせるか、ということで「かわいい」ではなく、スタイルが生まれるってことはありますね。必ず読み返す『エレガンス』という本雨宮:『エレガンス』というイギリスの小説があるんですが、美から遠ざかっていたアメリカの女性がイギリスに移住して変わっていくというお話なんです。元気がないとき、必ず読み返す本で。ある時、彼女がアスコット競馬に行くための帽子を買うことになって、他の人たちと同じような、ツバの大きい派手なものを買おうとするんですけど、そこへ通りがかった素敵なマダムが「あなたにはそれお似合いにならないわ。もっと小さくてベールのついた帽子が似合うわ」と言うんです。彼女には本当にその帽子が似合ってしまう。でも、「周りから自分は浮くのではないか?」と不安を口にすると、「溶け込むのは女学生まで。人と違うことは罪ではないのよ、財産です」と言われる。まるで日本のようなシチュエーションだなと思ったんですが、イギリスでもこういうことはあるんだなと。文化の違いはあるでしょうけど、特に『アドバンスト~』の映画を観ていると、ニューヨークだからみんなが自由に生きてるって訳ではなくて、やっぱり戦って得てきた自由であり、個性なんだなと感じました。青野:素敵な本ですね。似合うでいうと、歳を重ねたからこそ似合ってきたものってあったりしますか?雨宮:シンプルな服ですかね。似合うというか、昔はとにかく飾りがついているものがおしゃれだと信じてたので、シンプルなのが着れなかったんです(笑)。あと、失敗を繰り返してきた分、似合うものはわかってきたのですが、似合うものも少しずつ変わっていくので、安全圏から半歩出るようなものを選びたいなと。青野:やっぱりそういう積み重ねみたいなものがありますよね。映画に出てくる方々って私たちよりもっと積み重ねがある方ですから、ただ、自分が着心地が良いとか似合うだけじゃなくて、さっきおっしゃったように半歩でて、少しづつアップグレードしてこられた感じが、服だけじゃなく、発言からも感じられますよね。雨宮:そうですね、センスは別に最初からあるものじゃなくて、磨いていけるものだっていうセリフも映画内でありましたもんね。青野:やっぱり突然変異でここにはやってこないですよね。僕は今47歳なんですけど、昔はベージュが似合わなくて全然着られなかったんです。でも今は髪が結構白くなってきて、そうなってくると、突然着られるようになってくる。そういう体験があるので、この歳になってから着られないものって当然あるんですけど、この歳になったから、着られるものもあるんだなぁって。雨宮:歳をとって自分の見た目がフレッシュさを失った時こそ、派手な服を着ると、明るさが足されていい感じになったりしますよね。若い頃に着たら過剰だった服が、歳を取ると以外に似合ったり。青野:若い人がパンとしてて派手なのは、まぶしくて見てられないことはありますね。雨宮:まぶしくて見てられないって(笑)。私、「人は歳をとると自分自身を受け入れるようになるわ、私は私、どうにもならないでしょ」っていうセリフがすごく好きで。私自身、自分を受け入れるのに時間がかかったタイプで、やっと受け入れることができても「今朝のこのほうれい線は受け入れられない…」とか思ったりして(笑)。受け入れないといけないものはどんどん増えていくんですよね、でも同時に、受け入れるとどんどん軽くなる気がしています。【次回に続きます。お楽しみに!】
2015年08月27日今回は、映画『アドバンスト・スタイルそのファッションが、人生』の公開にあわせて下北沢B&Bで行われた、BEAMSクリエイティブディレクター・青野賢一さん×『東京を生きる』を執筆されたライター・雨宮まみさんのトークイベントのレポート記事をお送りします。映画『アドバンスト・スタイルそのファッションが、人生』とは?NYの街角を闊歩する、over 60のおしゃれな女性たちを紹介したファッション・ブログ「Advanced Style」。このブログからはじまった写真集は世界中でベストセラーとなり、ついには映画公開となりました。ブログにも登場するエレガントな七人を四年間にわたって密着した、素敵なドキュメンタリー映画です。人のいいなりになっていたら明日死ぬかもしれない青野賢一さん(以下敬称略):そもそも僕らはなぜここにいるのか、の話からしましょうか。雨宮まみさん(以下敬称略):私は、Numéroという雑誌で、『アドバンスト・スタイルそのファッションが、人生』に関して、一ページ映画評を書かせていただいたんですよね。青野:僕は、劇場用パンフレットにエッセイを書いたり、雑誌『装苑』でやはり映画にまつわるエッセイを書かせていただいたり。そういうことで私たちは座ってます。まずは、『アドバンスト・スタイル』に対する率直な感想としては、「いくつになってもファッションっていいよね」っていう当たり前の話は大前提として、出演者が歳を取っていくことに関するシークエンスが印象的でした。雨宮:そうですね。本当に生きること、装うことが戦いというか、今、人のいいなりになっていたら明日死ぬかもしれない、という切実さが感じられました。そういうことが老いを通じて伝わってくるように描かれていましたね。青野:舞台であるニューヨークと日本を置き換えるとまた違うところがあるかもしれませんね。ファッションと自分の関係性というか、ニューヨークだからこそ成立することもあります。雨宮:ありますね。出演者の有名ファッションブロガーが歩いているときに、「あなた有名人でしょ!知ってる!一緒に写真撮ってー!」って気軽に声かけるノリは、東京じゃあまりないなと。あと、『アドバンスト・スタイル』はブログから出発していますが、そういう新しいものが出てきたときに、認められるスピードもとても速いですよね。私は『アドバンスト~』の写真集を知った頃に、ちょうどL’idéalというブログを見つけたんです。まさに『アドバンスト~』の日本版のような感じで、本当に素敵で。皆さん、奇抜すぎず上品で、本人にとても似合った服装をしてらっしゃるし、パーフェクトだからどこにいても違和感がないんです。かといって周りには埋没していなくて。打ち破る人の価値雨宮:私の祖母もこの『L’idéal』を写真集(『Over60 Street Snapいくつになっても憧れの女性』)で見ていて、とても喜んでましたね。祖母は福岡に住んでいて、おしゃれで、マリメッコとかも好きなんです。でも、「こんな派手な花柄のバッグ持ってたら、ついにボケたと思われるから」と言って買わなかったり、コムデギャルソンの金色の財布を持ってるんですけど『カラスに襲われる』とか言って、滅多に使わなかったり。私が銀色のクラッチを持ってたら『そんな目立つバッグ持ってたらひったくられるから、エコバッグに入れなさい』とか言うんですよね(笑)。やっぱり上の世代の方は打ち破るのが大変なんだなと思います。だからこそ打ち破ってる人の姿には価値があるなって、L’idéalをみて感じました。福岡といってもうちは田舎のほうですし、もっと都会のほうだったり、関西のように違う文化圏だとまた違ったりするんでしょうけどね。青野:そうですね。ちょっと失礼ですけど、「大阪のおばちゃんの代名詞はヒョウ柄」みたいな言い方されますよね。ビームスで89年頃に大きな店が大阪にできたんです。その時の商品の配分を思い出すと、同じブランドの中でも、やっぱり大阪用はめっちゃ派手な服ばっかりで(笑)。もちろんちゃんとそういうのが売れるお店とお客さんの関係性っていうのがあるんですが。雨宮:大阪に行くと、派手なものに対して躊躇しない姿勢が気持ちよく感じるんです。むしろ、地味で目立たないものなんか買っても意味ないじゃん、ぐらいの感覚がありますよね。でも、東京では目立つものに手を出すのに躊躇しちゃう。自分も人も、他人の視線に怯えてるな、って感じることはあります。青野:特にリアルな場面とか、対面する場だと過剰にそういうのがありますね。ただ一方で、インスタグラムとかであれば逆に個性を全面に出していく。そのアンビバレントなところの面白さは現代にあるなと感じます。埋没しないファッションって?『東京を生きる』著者:雨宮まみ(大和書房)雨宮:青野さんはお仕事柄、ファッションには気を遣われていると思いますが、埋没しないようにとか、逆に浮かないようにとか、そういうことは考えます?青野:僕はそんなに考えてないかも。一番重要なのは今日誰と、どんな場所で、ってことかなあ。人は特に大切ですね。 短パンはないだろうとか。今日だったら、この作品に出てくる人と派手さで同じ土俵には立てないし。だから落ち着いたカラーかな、でもネクタイはちょっと下北沢の場所的に違うかな、じゃあドットのスカーフでも垂らそうかな、とかそういうのが楽しめるタイプなので、それは考えます。埋没、溶け込むかとかは考えないかな。雨宮さんはどうですか?雨宮:例えばですけど、オープニングパーティ、レセプションパーティー、とか言われるともう身構えますね(笑)。「パーティー」って、みんなどれくらいのテンションでキメキメで来るのか教えて欲しいんです。行き慣れてないと、わからない。青野:ああいうのは一番難しいですね。大体、和装でくる方は何人かいますよね。鉄板だし別の世界にいってる感じもあるし。でも、あれはあれでずるいなと僕は思っちゃうんですけど(笑)。雨宮:和装は逃げ…!(笑)私の研究によると、文化系の女性には和装逃げに走る人と、チャイナ逃げに走る人がいるんですよね。私はチャイナ逃げ派なんですが…。知性もありつつ個性も見せつつ、なおかつ格式もあるというのが可能かなあ、と自分では思っているんですが…(笑)。アイコニックなものは落ち着けない青野:ファッション系の催しだと、特に女性はハイブランドの人も多いですよね。あえてそっちに突っ込んでいったりすることもありますか?雨宮:正真正銘のハイブランドは、正直買えないです。でも確かに、試写会なんかでもファッション誌の方はすぐわかりますね。最新のアイコン的なものを必ず一つは身につけていらっしゃるので、これがファッション誌の世界なんだなぁとはよく感じます。青野:でも、そういうところでいうと、ぼくはアイコニックなものは敬遠してしまうタイプかもしれません。悟られたくない気持ちが、少しあって。そういう感じで服を着るのって自分に関していえば全然落ち着けないんですよね。ロゴが入っているものも興味ないですし…。ロゴものを、本気で着てるとちょっときついじゃないですか。雨宮:(笑)。 本気で着てるかどうかの区別は、仲良しじゃないとわからないですもんね。この人は洒落で着てるんだなぁとか、友達はわかってくれても、知らない人が見ればただのロゴ好きな人に見えちゃう。青野:ロゴものは難しいところですよね。わかりやすいんですけど、逆にそれが足かせとなってしまったりして、どっちもどっちみたいなところがあるかなと思います。【次回に続きます。お楽しみに!】
2015年08月19日Dragon AshのKjこと降谷建志が、初のソロアルバム『Everything Becomes The Music』をリリース。12の収録曲は全て彼の作詞作曲であり、さらに楽器演奏も彼一人だけという完璧な“ソロ作品”だ。「去年、Dragon Ashとして『THE FACES』という、バンドにとって最高のアルバムを作り、ツアーを含めた活動で味わったことのない達成感を得たので、それがソロの後押しになったと思う。まぁ中毒といえるほど曲を作り続けているから、バンドには属さない曲も溜まっていくので、それをソロとしてまとめてもいいんじゃないかと。やっとそういう気持ちになれた」ソロワークに彼が掲げたスローガンが、アルバム名の“すべては音楽になる”。Dragon Ashでは聴けない彼の日常生活を想像させる曲や、自分を正直に見つめた“降谷建志”自身の物語を読ませる曲もあり、驚きつつドキドキしてしまう。「ブログと同じかな。ブログって身の回りの些細な出来事を、自分の中で終わらせたくない、みんなに聞いてほしいという心情で書くよね。表現方法は違うけど、全く同じだと思う。何を歌っているかは聴く人には他愛のないことだろうけど、オレにとっては大事なこと。普段歌わないことを歌うとか、楽器を全部自分で弾いているとか、それをこのアルバムでできたことが良かったと思う」とはいえ、一人で音を探しながら楽器を持ち替え、トラックを完成させるのは並大抵の苦労ではないはず。「自分の腕ではここまでしかできない、という失望の部分もある。でもいいところばっかり見せようとはしてないんだよね。楽器を弾けなくても音楽を作れたり、絵が描けなくてもデザイナーになれたり、どんどんインスタントなものが増えているこんな時代に、あえて面倒くさいことを、プライドを持ってやっている。これがミュージシャンなんだ、っていう気概だね」◇ふるや・けんじDragon Ashのフロントマンとしてロックシーンの最前線で活躍。7/20「Dances With Wolves」などライブイベントや夏フェスにオリジナルバンドと共に出演予定。◇『Everything Becomes The Music』【初回限定盤CD+DVD】¥3,400DVDには先行シングル「Swallow Dive」と「Stairway」のミュージックビデオ(監督・神山健治)を収録。【通常盤CD】¥2,800(Victor Entertainment)※『anan』2015年7月1日号より。写真・佐山順丸文・北條尚子
2015年06月30日アリエル・ドーフマンの心理サスペンス劇『死と乙女』が大空祐飛、風間杜夫の出演で、2015年3月19日(木)より、東京・シアタークリエで上演されることが決まった。作品はローレンス・オリヴィエ賞 最優秀戯曲賞に輝いたドーフマンの傑作戯曲で、1994年ロマン・ポランスキー監督により映画化もされている。チリの独裁政権崩壊後が舞台。かつて学生運動に加わり過酷な拷問を受けた女が、偶然にも自分を蹂躙した男と再会する。被害者と加害者、そして被害者の夫。シューベルトの名曲『死と乙女』をモチーフに、3人の男女が密室で火花の散るような葛藤を繰り広げる。演出は新進気鋭の谷賢一。公演は2015年3月19日(木)から28日(土)まで。チケットの一般発売は12月13日(土)より。
2014年11月04日デザイナー・尾花はインスタグラムやLINEを最近始めたという。インスタグラムにはブランドの宣伝というよりも彼の日常がつづられている。裏面には服をデザインするだけでなくブランドを運営するマネジメント力の高さが垣間見られる。話は尾花の意外な一面へと進展した。T:尾花さんって保守的なイメージがあったんで意外でした。ひょっとしたらまだiPhoneじゃないんじゃないかって思ってたくらい(笑)。O:それがその通りでさ。実際、今年の頭までブラックベリーをSIMフリーなんてわざわざ買ってまで使ってたのよ。でもいよいよマーケット的に日本語対応しなくなったわけよ。でも(携帯を変えた)一番大きなきっかけは、ニューヨークで電話掛けてたら数日で電話代が10数万円になったことなんだよね。やばいかなって思って、「ねえ、LINEってどうなの?」って周囲に訊いたら全員「ぜひLINE導入してください」と。で、実際導入したらすごいスピード感で知り合いがつながっていって、そうこうしてるうちに今度はインスタグラム。いつかやればいいんでしょ?って感じだったんだけど、「やった方がいいかな?」って言ったらまたもや全員が、「はい。お願いします」それで、じゃあやるけど、いわゆる商売じみた投稿はやらないよ、って答えて、できる範囲のことから始めたのね。それで、ネットサーフィンとかに近いことをして、“この人はこういうの好きなんだ”と思ったらフォローするってことをやってるうちに、世の中の種明かしまで分かっちゃって。あれにはびっくりしたね。あまりの情報の速さで。T:今後ウェブで仕掛けたいこととかあるんですか?O:新しいことを仕掛けたいというよりは、やっぱり第1に考えるのは、デジタルを駆使してる人とそうでない人との差を埋めることだよね。ウェブに関することを決める会議では、俺はいつも、最もウェブに精通していない消費者としての立場から意見を言うようにしてる。インスタとか使ってない人もいるんだから、そういうツールを全く利用していない人の視線で会話して盲点を探すことがすごく大事。「便利なのは使えるあなた達にとって便利なだけで、使えない人からしたらこれ全然便利じゃないよ」ってね。そういう考えがある中で通販を解禁したのは、お取り引き様に対して、解禁することによって自由にできることの幅を広げてもらいたかったんだよね。T:すごくシステマチックに考えてますね。うちは意外と人海戦術を使ってるところがあるんで参考になります。O:システマチックにやっていくと、各部署の責任持ってる人は成長していくけど、システムに乗っかってない人は成長しなくなっていくから、ある程度の人海戦術は必要だよね。例えば、やったことない人に100% 丸投げでやらせると、完成度はどうあれ、やる気のある人なら一定の結果は出してくれるしね。T:やって失敗したとしても、それが成長につながりますからね。成長しないやつってなかなか失敗もしないんで、失敗ができる環境って必要だなって思うんですよ。会社7年やっていろんな人見てきて思うことなんですけど、大きな仕事を成し遂げている人は、年齢関係なく、今より若い時に無茶ぶりされてきた人達であることが多いですね。O:うん。だから、無茶ぶりに応えてくれた後も、更に無茶ぶりし続けたほうがいいよね(笑)。システマチックに関して言うと、うちは最初の頃は、“個人の個性をいかしましょう”っことで、各自が持ってるアイテムを、俺が発表してるコレクションアイテムに組み合わせて着てもらってたの。そうすると、ショーのとは全然違うかっこいい着方するやつが出てきたりなんかして。最初の頃のほうがアクの強いやつが集まってくるしね。でもそのうち、ただ着たいの着てるだけのやつが出てきて、「うちのブランドはこういうふうに着ましょう」って説明しないといけないようになって。で、最終的にはショップでコーディネート決めまですることになったんだよね。そういうのまでもシステマチックにやらないといけないのかって思ったけど、スタッフが考えてやってくれたことだからうれしかったってのもあったね。雑誌に掲載されて反響が出ることが事前に分かってるがゆえに、「このタイミングでこう見せていきましょう」ってことだからね。T:うちは最近、新しく入ってきた子達が、口では日本ブランドがどうたらって言いながらインポートの洋服着て出社したんで、「店に立つときは、うちで売ってるものじゃなくてもいいから日本のものを着てくださいね」ってルール設けました。プライベートで着る分にはもちろん構わないんですけどね。来年には海外に進出しようと思ってるんですけど、その過程で海外のいいものを取り入れるようなことはあったとしても、「日本のブランドを世界に発信していく」っていうコンセプトだけは変わらず大事にしたいですね。1/2「エヌハリ尾花大輔×STUDIOUS谷正人が語るファッションデジタルマネジメント」に戻る。【尾花大輔プロフィール】1974年1月28日生まれ。神奈川県出身。古着ショップ「ゴーゲッター」立ち上げにかかわり、2000年「N.ハリウッド」設立。2002年東京コレクションデビュー、現在はニューヨークに発表の舞台を移している。直営店は東京都渋谷区神宮前4-13-16。コレクションラインとは別にスーツなどの「コンパイル」、アンダーウエアの「アンダーサミットウェア」を展開。【谷正人プロフィール】1983年10月12日生まれ。 静岡県出身。中央大学商学部卒業後、2006年4月デイトナインターナショナル入社。セレクトショップ・ステュディオス事業を立ち上げ、09年2月にMBOにより独立。同年3月株式会社ステュディオスを設立する。「日本発を世界へ」をコンセプトにドメスティックブランドを扱う。原宿の路面店の他、横浜、名古屋、大阪など大都市圏のルミネやパルコなどファッションビルに出店。15年11月には発九州進出となる福岡店がオープンする。16年には海外進出、新業態ローンチを予定。
2014年10月31日作家・演出家・翻訳家の谷賢一が立ち上げたユニット「テアトル・ド・アナール」は、これまで、第1回公演で“脳科学”を、第2回公演で“哲学”を素材にしてきた。第3回公演の『トーキョー・スラム・エンジェルス』で、谷が俎上にするのは、“資本主義経済”。南果歩を主演に迎え、そのテーマはどんな演劇に立ち上がっていくのだろうか。テアトル・ド・アナール チケット情報第3回公演で“資本主義経済”を選び、南果歩を迎えることになった経緯を、谷賢一はまずこう語る。「世界のほとんどの国が資本主義をベストな形態だと思って動いてきたけれども、ここ5年ぐらい、そのひずみが見えてきた。日本でもたとえば格差が広がってますよね。じゃあ、自分は何のために働き、その経済活動はどういう意味を持っているんだろうと、経済に興味が湧いてきて。そのときに、“女の金儲け”という言葉が浮かんできたんですが(笑)、女性から見たお金という価値観が入ると、お話が膨らむなと思ったんです」。それに対し、証券会社で成功を手に入れた女性を演じることになる南もこう応える。「女性には男性よりも、家庭のこととか、仕事以外に自分を引っ張るものがある。だから、証券会社で“女の金儲け”をしてたとしても(笑)、男性とは違うお金との関係が描かれるんじゃないかなと、楽しみにしているんです」。物語の舞台となるのは、2020年の東京オリンピック景気も過ぎ去った、少し未来の日本。スラム化が始まりつつある東京の一角に住む低所得者層と、南演じる高所得者層の異なる世界が描かれる。「オリンピックが決まってから、みんな2020年を目標に生きているところがあるなか、その先を見ようとしている谷さんはやっぱりおかしい(笑)」と笑う南だが、その谷の視点と、「演者に1対1で対峙して情熱を注ぐ濃い稽古」に信頼を置いているそうだ。谷にとっても南は、「自分から何でもやろうとし、役作りも自分で研究して、きちんと演劇をやろうとしている頼りになる人」である。この取材でも、谷の話をしきりにメモしていた南の姿があった。その誠実さは、経済というテーマを実像に落とし込む困難な作業にあたっても、力となるだろう。「経済というと堅苦しく思えますが、青山円形劇場という客席とステージが近い場所で演じることで、それが人間の営みであり、人の喜怒哀楽や愛情や失望に結びついているということが、息遣いで伝わるんじゃないかなと思ってるんです」と谷。その目論みの成就が早くも浮かぶ。公演は11月14日(金)から24日(月・祝)まで東京・青山円形劇場にて。チケットの一般発売は10月4日(土)午前10時より。なおチケットぴあではインターネット先行抽選を実施中、10月2日(木)午前11時まで受付。取材・文:大内弓子
2014年09月29日一夜の乱交パーティの模様を描いた映画として注目を浴びる『愛の渦』の完成披露試写会が2月18日(火)に開催。主演の池松荘亮、門脇麦に滝藤賢一、柄本時生、三浦大輔監督らが作品の魅力を語った。三浦監督が舞台で上演した自らの戯曲を映画化。ただセックスだけを目的に集まった男女のむき出しの人間模様を描き出していく。123分の本編中、着衣時間はわずか18分という過激さが話題となっているが、池松さんは見どころを問われると「卑猥なことしか思い浮かばない!」と苦笑いしつつ、「女性陣の体じゃないでしょうか(笑)?」とストレートに語る。昨年のドラマ「半沢直樹」で人気が急上昇した滝藤さんは、開口一番「4月クールのドラマの主役が決まりました!だからなんだって…(笑)?」と映画と全く関係ないアピールで笑いを誘い、作品について「金メダルの羽生(結弦)くんのような美しさがあり、銅メダルのラージヒル日本チームのようにチームワークの良かった作品です。僕たちにとっては間違いなく金メダル」とソチ五輪にちなんだノリノリのコメント。これから映画を鑑賞する観客に「ムラムラすると思うけど、ここでヘンなコトするとヘンなコトになるので(笑)、家に帰ってから自分で処理してください!」と映画開始前から卑猥な言葉で会場を沸かせていた。柄本さんはまだ完成した映画を観ていないと前置きしつつ、「女の人たち(三津谷葉子&中村映里子)が裸で罵り合ってるのを予告編で見ました。バカみたいで笑えそう」と楽しそうに語っていた。ぽっちゃり体型の信江勇は見どころとして「男性キャストとスタッフを魅了した私のヌード!」と自信満々に語り喝采を浴びる。三浦監督は映画について「『テラスハウス』みたいな映画ですって言えと言われてるんですが…(苦笑)」と明かし、「過激な言われ方をしてますが、人が本質的に持ってる“スケベ心”を描いただけ。デートムービーと思ってます。ちょっとでもこの作品が爪跡を残すことができれば、面白いことになるなと思ってます」と観客の反応を心待ちにしていた。最後に、マイクを握った門脇さんは「撮影が終わった後、私も乱交パーティに参加していたかのような変な感じがありました。ドキュメンタリーのようにみんな、むき出しになっていき、乱交パーティを覗いたり、参加したりしているような気持ちで見られる面白さがあると思います」としっかりと作品の魅力を訴えた。『愛の渦』は3月1日(土)よりテアトル新宿ほか全国にて公開。(text:cinemacafe.net)■関連作品:愛の渦 2014年3月1日よりテアトル新宿ほか全国にて公開(C) 2014映画「愛の渦」製作委員会
2014年02月18日藤ヶ谷太輔(Kis-My-Ft2)が映画初主演を飾った『劇場版仮面ティーチャー』の完成披露プレミア上映会が22日に東京・新宿バルト9で行われ、藤ヶ谷をはじめ、共演する斎藤工と遠藤憲一が登壇。ヒットを祈願し、鏡割りならぬ“仮面割り”が行われ、本作完成の喜びをファンと分かち合った。その他の画像昨年7月から放送された同名ドラマの劇場版。荒廃した近未来の教育現場を舞台に、生徒を更正するためなら体罰も許された特別教師・仮面ティーチャーこと主人公の荒木剛太(藤ヶ谷)が、生徒たちと“心”でぶつかり合う姿を描いた学園アクションだ。藤ヶ谷にとって、ファンを前にした映画の舞台あいさつは「初めての経験」だといい、「それが『仮面ティーチャー』で良かった。熱い作品がみなさんに届き、全力で受け取ってもらえるとうれしい」と思い入れたっぷり。さらにファンに「みなさん“宣伝部”として、しっかり仕事をこなしてください」と呼びかけると、場内は割れんばかりの歓声に包まれた。そんな歓声を目の当たりにし、「やっぱりすごいっすね、ジャニーズさんは」(斎藤)、「この声援はヤバイな。これだけ熱いのは初めて」(遠藤)と共演陣はすっかり圧倒された様子。斎藤が演じるエリート官僚は、ドラマ版で剛太と敵対していたが、今回の劇場版ではある共通の敵を相手に、タッグを組んでおり「藤ヶ谷君と一緒だと頼もしい」と手応え十分。自身にも「仮面願望がある」と明かし、「俳優は役という仮面をつけて、強くなれる面がある」と持論を展開した。一方、遠藤は剛太と敵対する高校時代の恩師を演じ「ファンのみなさんには憎まれそうだね」と苦笑い。「積極的に話しかけてくれて、先輩の僕が暖かく包まれた」と藤ヶ谷の人柄を語っていた。『劇場版仮面ティーチャー』2月22日(土) 全国ロードショー
2014年01月23日映画『バイロケーション』の完成披露試写会が14日、都内で行われ、キャストの水川あさみ、滝藤賢一、酒井若菜、浅利陽介と安里麻里監督が出席した。法条遥の同名小説が原作の同作は、"もう1人の自分"であるバイロケーションに命を狙われるサスペンス・ホラー作品。覚えのない偽札使用の容疑をかけられた桐村忍(水川)は、刑事の加納(滝藤)からバイロケーションの存在について聞かされる。突如現れ凶暴化していくバイロケーションに、忍たちは追い詰められていく――というストーリーで、映画はエンディングが異なる2作品("表"は18日~、"裏"は2月1日~)が全国公開される。オリジナルとバイロケーションの2役を演じた主演の水川は、「1人の役を演じ分けるので、私が私と対峙する時も、1人でやらなきゃいけない。複雑だったけど、貴重な体験でした」と初体験に刺激を受けた様子。また、狂気じみた役を熱演している滝藤は、「普段は3人の親なのでとても穏やかなんです」と釈明しつつ、「(狂気を)見るのも演じるのも好きなので、とても楽しくやらせてもらいました」と満足げに語った。イベントでは、「痩せすぎ!」と水川に突っ込まれた滝藤が、「病気じゃない。役づくりだから心配しないで!」と返して笑いを誘い、巨大なマイクに「ツボにはまっちゃった」と笑いが止まらない酒井につられて水川も爆笑するなど、和気あいあい。最後は、集まった観客の多数決で"表"と"裏"のどちらかを上映するという企画も行われ、「観終わった後の気分が全然違う。個人的には"表"が大好き」(安里監督)、「終わってもモヤッとする"表"が好き」(水川)というアピールによって、試写会では"表"が上映された。
2014年01月15日一般公募で選ばれたカップルが、栃木県塩原温泉の塩原ダム湖に架かる「もみじ谷大吊橋」を会場に、結婚式を挙げるイベント「もみじ谷グリーンウエディング」が6月9日に開催。現在、愛を誓い合いたいカップル5組を募集している。毎年6月に開催し、これまで70組のカップルが誕生してきた。今年はこのイベントも15回目を迎え、これを機に名称を「塩原フラワーウエディング」から「もみじ谷グリーンウエディング」に変更。6月9日に塩原の新緑の自然の中、もみじ谷大吊橋をバージンロードに見たて、結婚式が行われる。参加資格は、これから二人で新しい人生を歩み始めるカップルから、すでに結婚していてもまだ式を挙げていないカップルまで年齢不問。挙式費用、結婚衣装一式は無料で、挙式前日は塩原温泉に無料宿泊招待もあり、記念品・記念写真がプレゼントされる。申し込み方法は、二人のなれそめ、募集の動機などを400字以内にまとめたもの、二人の写っている写真、住所・氏名・生年月日・職業・連絡先(電話・FAX)を、塩原温泉観光協会内「もみじ谷グリーンウエディング・カップル募集」係へ持参または郵送する。申し込み締め切りは3月31日必着。当選者は、主催者による書類選考の上、抽選にて当選者を決定し、4月中旬までに応募者全員に通知するとのこと。詳細は、塩原温泉郷公式ホームページまで。【拡大画像を含む完全版はこちら】
2013年03月17日髪をバッサリと切ったり衣裳を大きく変えることで作品ごとにガラリと印象を変えてしまう俳優は数多くいるが、貫地谷しほりはそうしたタイプとはひと味違う。過去の出演作を見れば分かるが、多少の髪型の変化くらいはあっても大きく見た目が変化することはなく、パッと見でどの作品なのかが分からないくらいだ。その実、演じている役柄は強気の姉御肌からおっとりした美人、ちょっぴり抜けたヒロインまで多種多様。外見ではなくオーラによって存在感を醸し出す何とも不思議なタイプの女優である。そんな彼女の最新作『ぱいかじ南海作戦』で演じているのは“はっちゃけた”という表現がふさわしいハイテンションの関西弁ガール。都会の喧騒を離れての南の島での撮影のことから、女優として進むべき道まで率直な思いを語ってもらった。南の島でのキャンプに女子が飛び込み!職を失い、妻とも別れた中年男が南の島で繰り広げるサバイバル生活を描く本作。椎名誠による原作小説では主人公の一人称で島の情景やそこで起こる様々な事件が事細かに描写されるが、最初に脚本を読んだとき、貫地谷さんは「どんな映画になるのか全く予想できなかった」と明かす。彼女が演じたアパは、友人のキミ(佐々木希)と共に島を訪れ、主人公の佐々木(阿部サダヲ)とオッコチ(永山絢斗)と浜辺で共同生活を送ることになるが、役のイメージも演じていく中で当初に抱いていたものとは全く違ったものになっていったという。「最初、アパはハジケた感じというよりもドスの効いた感じの関西人をイメージしてたんです。そうしたら細川(徹)監督に『男だけでキャンプ生活を送ってる中に女の子が飛び込んできたという雰囲気を出したいので、キャピキャピした感じで』と言われました。撮影しながらどんどん自分が思ってたものと離れていくので、正直どうしていいか分からなくなっていったんですが、そのうち“ええいっ、もうやってやれ!”って感じになって(笑)。キャラの濃い方々の中でワイワイやってました。改めて完成した映画を観たときは『こんな映画だったのか!』って感動しましたよ」。撮影はまず阿部さんがクランクイン。そこに永山さんが加わり、さらに貫地谷さんと佐々木さんが入っていくというほぼ物語の流れに沿った形で進行していった。東京から南の島(西表島)へと渡り、撮影に加わったときの心境は?「佐々木希ちゃんとは以前、ドラマで一緒になったことがあったので、安心してました。だからわりと緊張感を抱かずにすんなりと入れたんですが、むしろ阿部さんと永山くんの方が、突然の女子来訪にどうしていいか分からないって感じだったと思います(笑)。しかも、のぞみん(=佐々木さん)が阿部さんの大ファンだっていうことが途中で発覚して。阿部さんはなぜかマジ照れで“おいおい、おっちゃん(笑)!”って思いつつも、うらやましかったりしましたね」。冒頭でも述べたように、作品ごとに全く違うキャラクターを作り上げてしまうところが貫地谷さんの魅力。誤解を恐れずに言えば“貫地谷しほり”を感じさせず、まず何より役柄として存在感を発揮しているのだ。そんなこちらの言葉に貫地谷さんはほんの一瞬、複雑そうな表情を見せる。「そう言っていただけるのは嬉しい反面、少し前まで悩みでもあったんです。私は存在感が薄いんじゃないかって(苦笑)。でもあるとき、道で役名で呼ばれたことがあって、それがすごく嬉しかったんです。もちろん、私の名前で呼んでもらっても嬉しいんですが、役名で呼んでもらえる、役として見てもらえるって幸せなことなんだなと感じました」。素の「貫地谷しほり」を出していくこと素の自分は「メチャクチャなお調子者」だという。「悲壮感がある役のときに素の貫地谷しほりが頭をよぎったら終わりだなと思うくらい」と苦笑する。「少し前まで、バラエティ番組に出るときもあまりしゃべらずに自分を出さないようにしてたんです。素の貫地谷しほりがどういう人かというイメージを持たれると、観る人が素直に入れないんじゃないかと思って。そのとき、共演者の松重豊さんに『いい加減にその仮面取れよ』って言われて(笑)、それからしゃべるようになったんですが、当時はそれぐらいシビアに考えてたんです。でも、そもそも観る人にそんなことを感じさせるようなレベルの芝居をしてることが問題なんだって思うようになって、いまは自分を納得させながらやってます」。2007年にはNHKの連続テレビ小説「ちりとてちん」のヒロイン役を務め、その後も映画にドラマ、舞台とキャリアを積んできた。単発ドラマも含め、今年だけでも出演作は10近くにおよぶが、役に臨む姿勢など「自分の中で確実に変化を感じている」とも。「どうすれば伝えられるか?最近は自分の役を好きになることが一番早い、それが一番大事だなと感じてます。これまでは自分の気持ちの中で理解できない行動を脚本で読んだとき、心の中で引っ掛かりを感じながら演じてたんですね。だから最終的に胸を張って『やりきった!』と言えない瞬間があって…。でも観る人は本当に頭がいいんです。私に迷いがあったときは反応もそれなりだし、大好きだと感じながら演じると反響も大きい。自分が入り込まないと観る人は付いてきてくれないということを如実に感じながら、どんな異端児のキャラクターでも好きになれる部分をまず探すようにしています」。演じながら悩むことも多い。「選択肢を自分でいっぱい作ってしまい、“ああかな?こうかな?でもこうもできるな”って。キリがないんですが…。監督に相談して『うーん、悩むなぁ』なんて言われちゃうと、一緒に悩んじゃって決まらないんですよ」。苦笑を浮かべてそう語るが、その顔はどこか楽しげだ。悩み、もがきつつ作品の中に溶けてゆく。この不思議な存在感から目が離せない。(photo/text:Naoki Kurozu)■関連作品:ぱいかじ南海作戦 2012年7月14日より新宿バルト9ほか全国にて公開© 2012 「ぱいかじ南海作戦」製作委員会
2012年07月12日