学習障害の長男。努力ではカバーしきれない困難さを抱えた結果…出典 : 小5の長男は、ADHD、アスペルガー症候群、そして学習障害という診断を受けています。その中で、今彼を最も困らせているのが、「学習障害」です。上下斜視で2度の外科手術をしている長男ですが、視力は順調に育ちながらも、視機能や視覚認知面での遅れがありました。このため、●本の字を追って読むのが苦手●漢字や図形の形を把握して覚えるのが苦手●黒板の字を視写するのが苦手●先生の口頭の指示を覚えられない●繰り上がりなど複雑な計算が苦手こうした影響が、学習に現れています。医師の診断によると、「今は、彼が本来持っている理解力や思考力を十分に発揮できず、努力をしても定着が進まない状態です。そんな中で失敗経験が積み重なり、勉強自体に『苦手意識』『拒否感』が強まってしまったのでしょう。そのため学習場面で、パニックを起こしたりチック症状が出たりといった、二次障害が出ています。」ということでした。本来、好奇心が旺盛で好きなことなら熱心に知識を取り込み、あっという間に覚えるほど、学ぶことに対して前向きな長男。それが、読み書きという「方法が合わない」ことが原因で、学ぶこと自体が嫌になっているのです。この状況を前にし、親としては可哀想で仕方ありませんでした。タブレット学習が長男を変えた!出典 : そんなとき、通っている療育先や教育相談の先生から、「タブレットを使ってみてはどうか」と勧められました。長男に「こんなのあるけど、やってみない?」と聞いたところ、興味を示して「やってみたい!」とノリノリに。こうして、小3から通信教育のタブレット講座を始め、今ではその他のアプリも取り入れて続けています。なぜ、勉強嫌いの長男がそんなに続いているのか?お勧めの教材4つを紹介しながらお話したいと思います。出典 : こちらは、進研ゼミのタブレット教材です。国語・算数・理科・社会の4教科を、動画や音声で学習できるので、「読む」のが苦手だったり、説明を読んでイメージするのが苦手だったりする子もわかりやすいです。長男にとっては、とにかく「書かなくてもいい」のが良かったようです! 問題の答えの記入は、タッチペンを使った選択制なのです。また、間違えたら再チャレンジする仕組みになっていたり、わからないところがあったら説明や動画をもう一度見ることができたりするので、長男にとっては記憶力の強化にもなります。このシステムの面白いところは、学習をすすめるごとにご褒美(ポイントやゲーム)があるので、やる気につながるようです。「チャレンジタッチ」タブレットの仕様出典 : 長男が視覚認知・視機能の検査を受けた病院で、ビジョントレーニングとして勧められたのがこちらです。これはパソコンにダウンロードして使用するアプリケーションです。視覚認知機能5領域(注意・記憶・形状識別・空間認知・運動統合)のトレーニングができる、16種類のとてもわかりやすく楽しいゲームです。練習ステージをしてから本番に入る形だったり、前回までの記録に合わせて難易度を自動設定してくれたりと、子どものやる気を上手に引き出してくれます。また、保護者メニューでは5領域の力のバランスや、これまでの成績の変化をグラフやチャートで見ることができるので、子どもの成長状態がよくわかります。この記録をもとに、力を付けた方が良い領域のゲームを「今日のおすすめ」として自動表示してくれるので、子どもだけでもまんべんなく、力をつけていくことができると思います。視覚認知バランサー出典 : 苦手な「書く」を補うため、パソコン入力ができるようにと考え、ローマ字を負担なく覚えることができるアプリを探しました。こちらは、タブレット向けのアプリケーション。表示されたひらがな又はカタカナと同じローマ字を4択の中からタッチして選ぶ、学習アプリです。「道場」というだけに、剣道の試合のようにどんどん文字をヒットさせるのが、面白いみたいです。学校の「書いて覚える」学習では泣いて嫌がり、全くローマ字が覚えられなかった長男でしたが、このアプリはタッチするだけで覚えられるので、繰り返すうちに、少しずつですがローマ字が読めるようになってきています。剣道でおぼえるローマ字道場出典 : 漢字を書けなくてもいいから、読めるようになって欲しい。そんな気持ちで、楽しく「漢字の読み」が学習できるアプリを探しました。これもタブレット向け無料アプリです。子どもが大好きなRPGゲームの感覚で、海賊になって問題を解きながら、ステージをクリアしていく楽しみがあります。漢字の正しい読みを選択する問題、漢字の正しい形を選択する問題に回答することで、視覚的に漢字を覚えることができます。ステージを1つクリアする毎にカードやコインをもらえるのもやる気に繋がります。国語海賊〜2年生の漢字編〜その子に合った学習方法さえ見つかれば、子どもは伸びる出典 : 最近読んだ本に、こんなことが書いてありました。「勉強をその子ができる形にしてやることで、子どもは自然に力を伸ばすことができます。また、時期がくれば自然と力を伸ばすこともあります。だから、子どもを勉強に合わせるのではなく、勉強を子どもに合わせてやればよいのです。小学校に入学し、気を張って1日を過ごしてきた子どもに追い打ちをかけるのではなく、家に帰ったらほっこりさせてやりたい。だから、まずは『宿題なんかできなくても大丈夫』と考えてほしいのです。」「宿題をするのは当たり前のこと」と親子で考えていた頃は、確かに毎日が苦痛でした。私はカッとして声を上げ、長男は泣きながら宿題をしていました。でも今は、このタブレット学習を「この子の宿題」として学校に認めてもらい、やったことを記録して報告しています。自分から学習に取り組む今の姿は、以前の彼からは想像できないものでした。その子に合った学習方法を用意すれば、子どもは伸びることができる。そのことを、強く実感しています。(「宿題なんかこわくない発達障害児の学習支援」塚本章人・著かもがわ出版)
2016年10月03日こんにちは。学習アドバイザーの佐々木恵です。皆さまは、反転授業という言葉をご存じでしょうか。現在アメリカで主流になりつつあり、近い将来に日本でも導入される可能性のある反転授業。その内容とメリットとは何なのでしょうか。目次反転授業とは何か反転授業のメリットなぜ、成績が上がる?一方で課題もまとめ●反転授業とは何か教室で講義を聞き、自宅で宿題として問題を解いて予習復習をするのが一般的な学習スタイルでした。反転授業とは、これを逆転させた形式の学習スタイルです。自宅で講義動画を見て学習し、教室では動画で得た知識をもとに問題を解いたり議論を行ったりします。従来のスタイルを反転させることで、教室では講義動画の内容をフォローし、問題を解く時間を増やせる ことが大きな特徴です。●反転授業のメリット教師が一方的に講義をする一斉講義のスタイルでは、どうしても生徒たちの集中力が続かず、授業に対する理解度に差が開いてしまうことにより、勉強に対する意欲が低くなりがちなのが課題でした。反転授業では、講義を家で見ることができるため、教師は一人ひとりにあった対応をすることが可能 です。生徒側にもメリットがあります。一斉授業では一度きりしか講義を聞くことができませんが、動画であれば好きなときに何度も講義を確認できます。理解ができない箇所は動画を見返して復習することもできるため、理解度に合わせて自分のペースで学習することができるという利点があります。●なぜ、成績が上がる?授業での理解が難しい成績下位層の生徒にとっては、授業動画を何度も見て必要な箇所を自分で学べる というのは大きな利点でしょう。動画であれば、必要な部分を必要なだけ見ることができ、予習復習がしやすくなります。成績上位層においては、反転授業によって、知識を得ること、活用することの両方が可能になります。知識を与えるだけの一斉授業に対する批判はこれまでもありましたが、時間不足の問題から解消するのは難しいとされてきました。反転授業を導入することにより、各自が講義によって予習しておくことで、授業ではそれらを応用して問題を解いて思考力を伸ばすことが期待できます。あるいは、浮いた時間にグループ学習を導入すれば、個々人の主体性や仲間と共に取り組む協働性 を育てることもできるでしょう。知識のみではない、活用できる学力を伸ばせる可能性があるのです。●一方で課題もメリットの多い反転授業ですが、課題もあります。自宅で動画を見るためには、インターネット環境の整備や端末の準備が必要です。これらの経済的負担を誰が負担するのか。子どもが小さいうちは、自宅で動画を見るために保護者から子どもへ促す必要もあり、家庭には経済的・時間的な負担がかかるという懸念があります。自宅で動画を見ておかなければ、学校授業で置いていかれてしまい学習意欲がそがれる こともあるでしょう。●まとめ一人ひとりに合った学習が可能になる反転授業。自宅でタブレット端末を使って動画を見て学び、教室では話し合ったり問題を解いたり、アクティブに活動する。近い将来、これが当たり前の光景になるのかもしれません。【参考文献】・『AERA』2013年5月27日号●ライター/佐々木恵(教育コンサルタント)
2016年09月30日「頑張った結果」で評価される環境が大切だった出典 : 編集部:前回までは、畠山さんの幼少期のご経験や進学についてお聞きしました。中高一貫校に進学したとのことですが、「親がいれてくれた」というのは…?畠山:子どもですから、自分で進路の選択肢を「探して持ってくる」までは、しないですよね。親が決めたレールのうち、どれかを選ぶことはあっても基本は親の提示したレールや選択肢の中から決める。塾に入り、成績が良かった、成績が良い場合はここらへんの学校を受験するんだよ、と教えられ、何の疑問を抱かずにその通りに進みました。「自己選択したな」という自覚は別になかったですね。頑張った結果で選べるところに進んだだけ。編集部:「頑張った結果で進める」というのは、曖昧さがなくてわかりやすいですよね。畠山:そう、公文の算数がわかりやすいですよね。出来るようになれば次にいける、できないと何度もそこをくり返す。それに、成績がでるのがいいですよね、地域で何番目かわかる。努力が「事実」で認められる、曖昧な概念ではなく評価される。編集部:例えば、美術のような良し悪しの評価が難しいものは…畠山:いや数字で結果が出ればよい、というのではなく「頑張ったことを認めてもらえる」という事が大前提で一番大事だ、ということです。例えば、自分は100点とったのに、なぜか60点だったあの子が褒められる。100点をとったのに「君は才能があるから」といって努力したことを認めてもらえない、というのはおかしい。そういうことです。編集部:学校でも社会でもありますね。そういった場面で、畠山さんはどうしていたのでしょう?畠山:一つは、その集団に興味がなくなります(笑)会社だったら、そういう会社はやめてしまうかもしれませんね。例えば、上司に気に入られたらボーナスがあがる、という会社だったら仕事は頑張らなくなってしまい、上司に気に入られることを努力するでしょう。仕事を頑張ろうと思ったら違う会社に行くと思います。僕の場合は、塾で勉強すれば評価される環境だったから、しっかり勉強して伸びてきた。それだけ。偶然入った大学では、拘束が多い生活が待っていた。でもそれが自分には合っていた編集部:大学は中学高校と違い、枠組みが曖昧になってきますよね、通い方や学び方も。そこでつまづきはなかったのでしょうか?畠山:中高は無遅刻無欠席、通学も50分かかり、授業後は塾。という、それまでのルーチンとは変わりましたが、防衛大は寮生活ですし、なぜかキツいサッカー部に入ったので、生活は依然拘束されていました。それが良かったんです(笑)普通の大学生生活といってイメージするような、昼から授業にいき、眠りながら授業を受けて…という環境ではなかったので、真っ直ぐ真面目に(笑)編集部:自分のスタイルに合わせて、あえて、そういった学生生活を選んだんですか?畠山:いや、受かったからです(笑)国立の医学部で受かったのは防衛医大だけでした。親もお金かからないし、家計も助かる、じゃあ行きましょう。というところですね。今振り返えると、あの生活スタイルは自分にとって、とても良かったと思います。ただ、全寮制だとは知っていても、朝6時に点呼があるなんて知らなかった(笑)世の中は理不尽なことが多い。だからこそ僕は仕組みを学んだ出典 : 編集部:ちなみに、寮のルールや集団の決まり事に疑問を感じることなどはなかったのでしょうか?理由を考えるとイマイチ納得出来ない慣例的なルールだったり…畠山:疑問…そうですねえ…「ルールがあると知らなくて疑問を抱くこと」はありますよ。編集部:あ、なるほど。畠山:はい、だから僕はルールを隅々まで学んだ。例えば、賃貸物件。部屋を借りるときに、敷金・礼金・手数料がすごく高いことがありました。不動産屋が取れる手数料は、家賃の1ヶ月分で、手数料には消費税はつきますよね。且つ敷金/礼金には消費税はつかない。ところが、僕の手元にきた見積り書には、2ヶ月分の手数料に消費税がかかっていた。これは、宅建法違反なんですよ。というように、ルールを隅々まで学んでいれば、おかしいと思うことをすぐに論理的に理解し、社会の理不尽にすぐに対処し交渉したりできるんです。編集部:そんな風にルールを学ぼうと思ったキッカケは…?畠山:腹が立つからですよ(笑)というのは、冗談で、例えば高速道路のスピード違反、捕まる人と捕まらない人がいるのはなぜでしょう?それは、警察が取り調べをするルールがあるみたいなんですね。警察の覆面パトカーを追い越してから後ろにつかれて云々…と。要は、取り締まりのルールが決まっている。捕まる人と捕まらない人がいるのは理不尽ですよ。でも理不尽だからこそ、学ぶんです。なぜそういうことが起きているのか、という事を知っておく。知っておけば理不尽な社会でも生き抜くことができるんです。僕はそう考えています。畠山さんが現在のお仕事をされるまでの経緯について詳しく伺います。医師(整形外科医)。1974年、大阪府生まれ。1998年、防衛医科大学校卒業後、自衛隊医官として仙台市で勤務。自衛隊退職後、大泉記念病院整形外科、石巻ロイヤル病院整形外科部長を経て2010年、八木山整形外科クリニックを開業。2011年、東日本大震災で被災。2012年維新政治塾に参加、衆院選(宮城4区)に立候補するも落選。現在は複数の病院の外来や在宅診療を掛け持ちで担当している。著書に、『ぼくはアスペルガーなお医者さん 「発達障害」を改善した3つの方法』(KADOKAWA)、『「糖質制限+中鎖脂肪酸」で確実にやせる! 驚異のMCTオイルダイエット』(幻冬舎)。畠山昌樹オフィシャルサイト:
2016年09月15日コミュニケーションが苦手な息子。ドラマを見るのは立派な勉強!Upload By かなしろにゃんこ。先日、特別支援教育モデル校の先生にお会いする機会があり、そこで聞いたお話です。友達と関係を築くのが苦手な息子のことを相談すると、先生から、「最近の若い子は時間の優先順位がSNSで、ドラマを観なくなりました。でも、人付き合いが苦手だったり、相手の気持ちがわからない子はドラマを観ると良いんですよ」と教えてもらいました。ドラマは、自分とは性別も趣味も年齢も違ういろいろな立場の人が登場するので、他人の心模様を観察するのにちょうど良いんだそうです。そこで、「よし!うちもドラマで人間関係を学ぼう!」と思い立ち、時間があれば息子と一緒にドラマを観ることにしました。ドラマを実況中継!息子が分からない表現を母が解説Upload By かなしろにゃんこ。ドラマの中では本心ではない言葉をあえて使って駆け引きしたり、皮肉を言って笑わせる場面が出てきます。でも、コミュニケーションの経験が少ない息子にとっては「どうしてそんなこと言うの?」と謎なことが多いのだと分かりました。そこで、「分からないことがあったら聞いてね、教えてあげるから」と伝えてからDVDで観ることにしました。何か質問されたときは再生を止めて簡単に説明しながら観るようにしたところ、息子は「この言葉はジョークなんだ」「こういうときには本当に思っていることを言わないんだ」などを覚えて、少しずつドラマを楽しむようになっていきました。言葉を文字どおりに受け取るだけではなく、その裏に意味が隠れていることを次第に理解していったのだと思います。また、息子は自分の気分がいいとき、目の前の人の表情から「困っている」「喜んでいる」「怒っている」などの気持ちがくみ取れない、いわゆる空気が読めない性格です。ドラマを見ることで、人間には憂いやはにかみなどたくさんの感情が存在することや、そしてそのときの表情を知ってほしいというのもひとつの狙いでした。コメディを理解し始めた息子は…親の心、子知らず!Upload By かなしろにゃんこ。さて、私の好みもあってアメリカのコメディドラマも観せていると、息子はどっぷりハマってそればかり見るようになってしまいました(笑)おかげで、汚い表現やイカすちょい悪なセリフを覚えては使いたがるようになった息子…ジョークや皮肉をある程度理解するようになったところに成長を感じるものの、「なんか学んでほしいところが違うな…」と思う母なのでございました。余談ですが、アメリカドラマに『ビックバン★セオリー』という発達障害の特性を持つ主人公が出てくるコメディドラマがあります。このドラマは「発達障害を楽しく知ってもらうのにおススメ」だと私も知人から教えてもらい、私もその面白さにハマってしまいました。愛すべき特性がいっぱい出てきて、発達障害は悪いもんじゃないと思えるようになりました。発達障害のお子さんがいるご家庭で、ご覧になっていただけたら嬉しいです。出典 : ワーナー海外ドラマ公式サイト「ビッグバン★セオリー」
2016年09月13日【ママからのご相談】子どもが音楽を聞きながら勉強しています。勉強をするのはいいのですが、音楽を聞いていたら集中できないので、意味がないのではないかと思います。注意するとすねて勉強をやめてしまうので、どうしたものかと……。 音楽を聞きながらの勉強は効果があるのでしょうか?●A. 子どもが集中しているか見極めましょう。ご質問ありがとうございます。学習アドバイザーの佐々木です。子どもが勉強したり、宿題をしたりするのはいいのですが……。音楽を聞きながら勉強していたら、ちょっと気になりますよね。とはいえ、せっかく子どもが自分から勉強を始めたのに「音楽は聞くな!」と言うと、勉強しなくなってしまうのではないかと不安になるのではないでしょうか。悩ましい問題ですよね。●音楽を聞きながら勉強するのには理由がある音楽を聞きながら勉強する理由は大きく分けて2つです。ひとつは、“落ち着かない”から。音楽を聞きながら勉強する中学生は、こんなふうに言います。『静か過ぎると落ち着かない。少し音楽がある方が集中できるし、はかどる気がするんです』(中1男子)実はこれ、脳科学の観点でも言われていることなのです。人間は、“静かで壁に囲まれた狭い空間にたった一人でいること”に慣れていないそうです。たとえば、こんな経験はありませんか?自宅で読書よりも、カフェの方が落ち着く、はかどったという経験が。BGMや周りの人のおしゃべり、調理するときの音。適度な雑音がある方が、人間は集中できるのです。自然に生活していれば、何かしらの音が出るのが当然 ですね。全く音がない状態というのは、かえって不自然な状態なのです。だから、静かな部屋で一人で勉強するときに音楽を流したくなるのです。反対に、あまりにも音がうるさいのも、不自然な状態といえます。自宅の近くで工事をしていて騒音がひどい、家族がテレビを見ていてその音が漏れ聞こえてくるから集中できないという理由で、要するに耳栓がわり。私の生徒にも、こんな子がいます。『毎晩のように夫婦げんか、兄弟げんかが聞こえてくる。うるさくて集中できないから、音楽を流して聞かないようにしないと集中できないし、音楽がある方が安心できる』(中2女子)●勉強の環境は適切か?もし「音楽を流さないと集中できない」なら、静かすぎる、うるさすぎる不自然な状態に耐えられないのかもしれません。「音楽を聞きながら勉強してはいけない」と言う前に、環境改善が必要 です。音楽を聞くにしても、日本語の曲はやめて洋楽にするとか(日本語の曲は感情移入したくなったり、歌いたくなったりする)、集中できる音楽にするとか、音楽のジャンルを選びましょう。●音楽を聞きながら勉強してはいけない人そして、もうひとつの理由は、“音楽が好きすぎる”こと。『音楽が大好きで、音楽を流して歌いながら勉強しています』(中1女子)もしこちらの理由で音楽を聞きながら勉強しているなら、やめましょう。音楽に気を取られてしまい、勉強に集中できるわけがありません。特に、歌を歌ってしまうような人は絶対にやめた方が良いです。ただし、いずれの理由にせよ、「最初は音楽が聞こえていたけれど、気が付いたら聞いていなかった」という人は、音楽を聞きながら勉強しても大丈夫です。聞こえないのは集中している証拠。集中するための儀式として音楽を聞いている ならそれで大丈夫です。結論としては、集中できているなら音楽を聞きながら勉強してOK。集中できていないならやめるべきです。一度、お子さんが音楽を聞きながら勉強する様子を観察してみましょう。加えて、なぜ音楽を聞きながら勉強しているのか聞いてみてください。音楽がある方が集中できているようであれば大丈夫です。歌いながらであればやめたほうがいいでしょう。【参考文献】・『記憶力の脳科学』柿木隆介・著●ライター/佐々木恵(教育コンサルタント)
2016年08月13日【ママからのご相談】長女のスマホについてです。夏休みだからか、娘が家にいるあいだはずっとスマホをいじっています。夏休みの宿題もあるのに……。塾には行っていないので、自分で勉強する習慣を付けて欲しいのですが、娘いわく、スマホの誘惑に勝てないそうです。 どうすれば、勉強とうまくバランスが取れますか?●A. 時間を決めて勉強させ、終わったら思いきりスマホで遊ばせましょう。ご質問ありがとうございます。学習アドバイザーの佐々木と申します。スマホについては、当事者たちも、「どうしてもスマホを見ちゃうんです。つい、Twitterを開いてあれこれ見てたらLINEが来て、友達と喋って……気が付いたら結構な時間になっていて」と、気にしている様子です。勉強中のスマホやゲームとの戦い方。難しいですよね。そこで今日は、スマホやゲームの誘惑に負けてしまう人のためのアドバイスをご紹介します。●(1)物理的に離れるまず、スマホがどうしても気になってしまうときは、物理的に距離を置く ことです。ついつい開いてしまうアプリがあるなら、フォルダに入れて見ないようにする。・アプリから通知がこないように設定しておく・ゲームなら電源の入らない状態にする・誰かに預けてしまう・勉強部屋から一番遠い場所に置くというように、とにかく“触れない状態”をつくります。●(2)完全禁止は逆効果とはいえ、完全に禁止してしまうのも危険です。なぜなら禁断症状が出る からです。「ああああ、スマホが気になる気になる気になる!」と、もう何も手につかない状態ですね……。取り上げて何日も見られない状態が続くと、かえってスマホが恋しくなるので危険です。禁止されるとより気になってしまう心理状態を『カリギュラ効果 』といいます。「押しちゃダメ」と言われると押してみたくなる……あの心理ですね。試験前だからとまったく触らせない、全く触れない状態も、かえって危険です。●(3)時間を決めるそして、時間を決めるのです。決めるのは、スマホをいじる時間ではありません。“勉強する時間 ”を決めるのです。その日にやらなければならないことを書き出し、決めた時間までにすべて終わらせる。「終わったらスマホを好きなだけ触ってOK 」と、ルール決めをするのです。スマホが大好きで早く触りたいなら、早く勉強を終わらせるでしょう。時間を区切ることで緊張感が生まれ、頭に入りやすくなる効果も期待できます。早く終わらせようとすることでスピードがアップし、勉強の効率が上がっていきます。●(4)報酬を与える勉強が続かない理由はいたってシンプルです。報酬がないからです。ゲームは“おもしろい”という報酬がありますが、勉強には報酬がありません。だから続かないのです。将来のためになる、賢くなるなど将来的な報酬はもちろんたくさんあるのですが、子どもにはそんなことを言ってもわかりません。今の楽しみしか見えないでしょう。大人だってそうです。ダイエットは健康のためとわかりながら継続できない人を私は何人も知っています。長期的に見ればいいことがあるけれど、短期的には報酬がない。だから続かないのです。勉強が終わったら、ゲームやスマホを報酬にして、「終わったらいいことがあるんだ 」と思わせることも大切なことです。----------時間を決めて、勉強をやるときはやる。終わったら“いいこと”がある。スマホを触るときは、徹底的に触る。メリハリをつけましょう。これがコツです。【参考文献】・『直感力を高める 数学脳のつくりかた』バーバラ・オークリー(著)●ライター/佐々木恵(教育コンサルタント)
2016年08月09日【ママからのご相談】小学校1年生の男の子がいます。勉強が嫌いみたいで、学校の宿題もほとんどやらず一日中友達と外で遊んでいます。1年生でこの様子だと先が思いやられます。なんとか勉強をしてくれる方法ってないでしょうか。●A. 小学校3年生までを目標に。勉強癖はつけられます。こんにちは。ライターのakiです。小学校時代は、のびのび外遊びをすることも大切ですが、勉強をする習慣を早めにつけておくことも大切です。一説によると、小学校3年生までにしっかり勉強癖をつけるのがいいそうです。宿題がまだ少ない小学校時代の前半のうちにという意味もありますが、単純に記憶が得意な時期であり、脳の前頭前野の発達過程でもそのころが大きな節目になるからだそうです。では、具体的にどのように勉強癖をつけるといいのでしょうか?●子どもに勉強癖をつけさせる方法●(1)歯磨きと一緒で、毎日やらないと気持ち悪いと思わせる歯磨きは毎日します。虫歯になるからという理由もありますが、毎日しなければ気持ち悪いという完全な習慣化が確立しているからです。それと同じように、勉強も“しなければ気持ち悪い” と位置づけするのです。頭の中のバイキンをイメージさせて、「勉強をやらないと頭の中のバイキンがなくならないよ」と吹き込んで毎日少しづつでもいいので勉強をさせるのです。感覚的に勉強をしないことがなんだか落ち着かない……という状況にもっていくよう、まずは親がうまく立ち回りましょう。●(2)最初に音読から一緒にやってみる小学校の宿題でほぼ必ず出されるのが“音読”の宿題です。たいていのお子さんは、「音読なら簡単だからやる」と比較的取りかかりやすいはずです。もしくは音読が嫌いなお子さんも、「お母さんと読んでみようよ」と一緒に誘ってみると素直に聞いてくれることが多いです。脳科学の分野で有名な東北大教授の川島隆太氏は、音読をしているときは脳がもっとも活性化する と断言されています。脳が活発になったところでそのまま勢いにのってほかの宿題や課題をしてもいいですし、集中力が途切れたらまた音読に戻って……というやり方で上手にのせるといいかもしれません。読解力にもダイレクトにつながると言われている音読。家で遊びのように毎日音読ごっこをしてもいいくらいです。まずは、音読を基本に学習を導いてみましょう。●(3)天狗になってもけっこう。おだててやる気を持続させる勉強を好きになるには“達成感”が必要です。そのためには、親がとにかく子どもをほめることが大切です。子どもの意欲は、親が達成感を味わわせる力次第とも言われているくらいです。たとえば、小学校低学年のうちはテストでも100点や高得点を取ることが多いです。その際も、「100点すごいねえ」だけではなく、「学校を休んであまり習ってないところだったのに100点?すごいわねえ」や「この前の日曜日、一緒におさらいして頑張ったもんね。すごいねえ」などと、点数以外でも頑張った部分を具体的にほめてあげること が大切です。時には「勉強しないのにいい点とれた」と言ってくるかもしれません。その場合も、「勉強しなかったのにすごいわねえ。頭いいのね」とうぬぼれさせて新たな勉強をさせる弾みにしてもいいのです。とにかくおだててやる気を引き出すことが親の役目です。----------以上です。勉強は、中学、高校……とこの先もずっと続いていきます。親が横について勉強をさせられるのも小学校のうちだけかもしれません。小学校低学年の素直な時期に勉強癖をしっかりつけておくと、それ以降は自主的にできるお子さんになる可能性が高いです。今のうちにしっかりと親子二人三脚で頑張ってみてください。【参考文献】・『小3までに「勉強グセ」をつける法ー親の「教育力」次第で子どもの学力はいくらでも伸びる!』和田秀樹・著●ライター/aki(中高英語教員)
2016年08月07日【ママからのご相談】小学校高学年の子どもがいます。成績がどんどん下がっていて、1学期の成績は目も当てられない状態でした。子どももすっかり自信をなくしてしまって、勉強が大嫌いになってしまったようで、一切勉強をしたがりません。この夏休みのうちに自信を持ち直してもらい、勉強する習慣をつけたいのですが、どうしたらいいでしょうか。●A. 一つの目標を達成できるように、家族ぐるみでサポートしましょう。ご相談ありがとうございます。勉強嫌い専門コンサルタントの佐々木です。勉強が嫌いになってしまうと、今のうちから心配ですよね。心理学者アルバート・バンデューラが提唱した『社会的学習理論 』では、自己効力感を上げる(自信をつける)ために、4つの要素(個人的達成、代理学習、社会的説得、情緒的覚醒)が必要とされています。そのうち、勉強に対して自信と習慣をつけるためには、特に個人的達成、つまり“成功体験 ”が重要です。夏休みのあいだに、一つ目標を持って何かを達成できるように、家族ぐるみでサポートしましょう。●(1)下の学年の復習から始めるお子さんが5年生なら、4年生あるいは3年生の問題集を解くことから始めましょう。ポイントは、つまずいたところの“少し前”まで戻る ことです。どうしても、つまずいたところに戻りたくなってしまうと思うのですが、つまずいたところではなく、その子が簡単にできるところまで戻るのです。できないことを克服するのは大人だって大変なこと。できる問題をやって調子をつけてから、できないところの復習に取り掛かりましょう。●(2)カレンダーに印をつける少しでも勉強ができた日には、カレンダーに印をつけたり、シールを貼ったりしてみましょう。夏休みの約40日、全てにシールが付いたらちょっとしたごほうびを用意するのもいいですね。話し合ってルールを決め、実践してみてください。ラジオ体操に毎日行って、スタンプを集めた経験はありませんか?最初はいやいやでも、続けることで楽しくなり、やってみようという気持ちが湧いてくることも。頑張りが見えることでやりがいが出てくる ものです。●(3)ほめるそして、なんといっても最大のコツはほめること。下の学年の問題ができたら「こんなにできるんだから大丈夫!」と励ましましょう。どんなに量が少なくても、きちんと続けられたら「頑張ってるね」と、続けることが素晴らしいと伝えてあげる のです。テスト形式で問題を解いて、全問できたら大きな花丸をつけたり、大きく“100点”と書いてあげたりするのもいいですね。自信と習慣をつけるためには、小さなミスにこだわりすぎず、できたことに目を向け、ほめてあげることが大切です。厳しいことを言うのは、自信がしっかりついてから。----------勉強が嫌いな子は、できないことに嫌気がさしている場合が多いので、できていることに着目して、一つひとつ階段をのぼるように伸ばしていきましょう。夏休みの長いお休みで、「できた!」「やり遂げた!」体験を一つさせてあげることで、自信がアップします。ぜひ、家族一丸となってサポートと演出をしてみてくださいね。●ライター/佐々木恵(教育コンサルタント)
2016年08月01日【ママからのご相談】小学生と中学生の子どもがいます。頭のいい子がいるご家庭の母親たちは、「勉強しろなんて一度も言ったことがない」とよく言っています。これは、嘘なのでしょうか。それとも本当なのでしょうか?●A. 「勉強しろ」とは言わないが、子どものやる気を引き出す方法を工夫している。こんにちは。ライターのakiです。私も教員時代、東大をはじめとする超難関校に合格するお子さんのいらっしゃるご家庭をみてきました。確かに親御さんは教育熱心ではあるのでしょうが、「勉強しなさい」などと頭ごなしに勉強をさせるイメージはありませんでした。むしろ、子どもの感受性や心を育てながら、やる気にさせるのがお上手……。そんな方が多かったです。ということで今回は、ご相談者さまの質問に答えるべく、PICASOさんの著書『東大生が教える! 勉強が好きになる子どもの育て方やる気を引き出す親のヒケツ50』より、東大生のご家庭でされていた親から子どもへの接し方の具体例を挙げてまいります。●東大生の自分の成績が伸びた・やる気が出たきっかけエピソード●日常生活編『小2から旅行のプラン(行き先、宿、レストランなど)を決めさせてもらえ自主性を鍛えられた』(東大文科1類男子)『幼稚園から高校まで塾通いをしていた。苦にならなかったのはいつも母親がおやつを用意してくれて、お喋りしながら書き取りや計算を見てもらって勉強の習慣をつけてくれたから』(東大理科3類男子)『両親は共働きで忙しかったけど、本の読み聞かせと博物館や美術館にはよく連れて行ってくれた』(東大人文社会系修士男子)『母からの教育方針は「勉強しなさい」「生活態度を改めなさい」という漠然とした言い方ではなく、「門限を守らなければお小遣いを渡さない」のみ。具体的でわかりやすかった。守ってるうちに生活習慣がきちんとしたものになっていった』(東大経済学部女子)共通しているのは、無理に何かをさせられるのではなく、親から興味のきっかけを与えてもらったり具体的な指針を教えてもらっていたりするということです。「勉強しなさい」「きちんとしなさい」と言うのは簡単ですが、このようにまず具体的な方法 をお子様に示すことが大切です。●勉強編『幼稚園前からフラッシュカードや本の読み聞かせを両親がしてくれた』(東大文学部女子)『5歳まで海外にいた。帰国後は英語の本を親からどんどん与えられた。ハリー・ポッターの原書など何十回も繰り返し読んだ』(東大文科1類男子)『中学校のころ、母が問題集の中から何題か選んで手書きドリルを作ってくれた。問題集をこなすよりやる気が出た』(東大文科3類男子)『英語の音読とシャドウイング(英語を聞きながら少し遅れて発音していく訓練)のやり方を父親が教えてくれてやっていた』(東大人文社会系修士男子)ある東大生の言葉で印象に残っているものに、「親も自分と一緒に勉強していた」 というものがあります。これは別に親も一緒になって受験問題を解いていたという意味ではありません。何をどうすればいいのかを提示してあげ、並走しながらわが子の勉強を見守っているのです。まさに上記の具体例そのものです。難関大に合格する子どもを持つ親御さんの場合、このように一歩踏み込んで子どものやる気を引き出す工夫をされている方が多いのです。●その他『幼稚園のころから「どこの大学に入るかで人生は重要になってくる」とわかりやすいように説明してくれていた』(東大工学部男子)『受験前日にカラオケに連れて行かれたり、ほかの受験2日前も温泉に連れて行かれたり。父親はいつも無理にでもリフレッシュさせてくれた』(東大薬学部男子)臨機応変に子どもに対応するというのもひとつのポイントかもしれません。子どもの性格や状況に合わせて上手に向き合うのです。素直なお子様には大学に入る意味を小さいころから説明して勉強を前向きにさせたり、プレッシャーに弱いお子さんには率先して気分を盛り上げたり。子育て同様に教育方法にも決まったやり方はありません 。お子さん一人ひとりに合わせた導き方を親がきちんと把握していくといいでしょう。----------以上です。「勉強しなさい」と言わずとも見事にお子さんのやる気を引き出してやる気にさせているエピソード。ぜひ、その手法を参考にしてみてください。【参考文献】・『東大生が教える! 勉強が好きになる子どもの育て方やる気を引き出す親のヒケツ50』PICASO・著●ライター/aki(中高英語教員)
2016年07月23日【ママからのご相談】祖父母が子どもをしょっちゅうほめています。ほめてもらえるのは嬉しいですし、子どもをほめるのは大切なことだと認識してはいますが、こんなにほめちぎって大丈夫なのかと不安になることもあります。●A. 大事なのは、子どもに「やればできる」と思わせられるかどうか。ご相談ありがとうございます。教育コンサルタントの佐々木と申します。勉強が苦手な子どもに勉強を教える際、いかにほめるかが非常に重要になります。確かに、子どもの自尊心を高めるうえで、ほめることは有効な手段です。しかし、質問者様が懸念しているように、ほめ方を誤ってしまうと、かえって自尊心をくじく 結果になることもあります。●才能をほめると、挑戦しない!?こんな実験があります。子どもを2グループに分けてテストを受けさせます。一方のグループには「頭がいいのね」とほめ、難易度がより高いテストを行ったそうです。結果はどうだったかというと、「頭がいい」とほめられたグループは、“頭のいい自分”を演じようとしてしまうために、難しい問題に挑戦しなくなりました。頭がいいという評価を覆さないように、失敗を避けた のです。さらに悪いことに、自分の得点を申告する際に、得点を高く偽った子までいたのです。自分を賢くみせようとして必死になっているのですね。●努力に焦点をあてるでは、もう一方のグループはどうだったのか。もう一方のグループには「よく頑張ったね」と、才能ではなく努力をほめました。先のグループと同様に、より難しいテストをしたところ、結果は真逆。最初のテストより点数が上がっていたのです。「ほめるのは難しい」多くの親御さんがそうおっしゃいます。せっかくほめるのなら、効果のあるほめ方をしたいですよね。子どもの自尊心を高めるのは、才能よりも努力に焦点をあてた言葉です。努力をほめれば、「あなたの努力をきちんと見ている 」というメッセージを伝えることができます。お子さんの自尊心を育てるのはもちろん、安心感を与え、親子の信頼関係がよくなる効果も期待できるでしょう。全てを最初から完璧にできることではまずありません。頭でわかっていながらも、完璧を求めて、できたら「頭がいいのね!」とほめていませんか。子どもが最初からできることなんて限られていますし、できることしかしないのであれば、成長が見込めないのです。大切なのは、失敗から学んで、できるようになることです。そのためには、失敗をおそれすぎず、失敗をしてもいい、そこから学ぼうという姿勢。そして、できたときには、失敗しても諦めずに取り組んだこと、やりとげたことを評価するのです。ほめ言葉は、取り方を誤れば毒になります。一方で、正しくほめればよい薬になります。ぜひ、お子さんの成長を楽しみながら、努力をほめてみましょう。【参考文献】・『「やればできる!」の研究ー能力を開花させるマインドセットの力』キャロル・S・ドゥエック(著)●ライター/佐々木恵(教育コンサルタント)
2016年07月15日こんにちは。ライターの渦マキです。子どもにスマホやタブレットを使わせることに関しては、家庭によってさまざまな意見があり、「持たせない」という選択をしている人もいます。しかし、近年では“ICT教育”という情報通信技術教育が注目されており、授業でPCやタブレットを使用する学校も出てきています。●子どもにタブレットを使わせるメリット3つ●(1)直感的に学べる理科や社会などの学習の際、タブレットを使用することでバリエーション豊かな写真を見ながら直感的に学ぶことができます 。数学にしても、立方体などの図形を指で触れて角度を変えることで形を把握しやすくなります。●(2)学習用のアプリが豊富現在、さまざまな学習専用のアプリが販売されています。漢字の成り立ちや理科の実験など、さまざまな学習分野に対応しており、ゲーム感覚で楽しめる ように作られています。普段は勉強にやる気のない子どもでも、アプリを使用することでモチベーションUPが期待できます。●(3)タスク管理を学ぶ私たちは学校で夏休み前に、“1日の計画”という表を作っていましたよね。しかし、大抵は予定通りにいかず計画倒れになることも少なくありませんでした。タブレットにはタスク管理に適したアプリが出ているため、自分の予定をより計画的に立てることができます。●タブレット学習のデメリット一方、タブレット学習には以下のようなデメリットがあります。・学習に関係のないサイトにアクセスする恐れがある (親や先生が知らないうちにSNSに参加しているなど)・タブレット購入や学習のための費用がかかる・個人情報が流出する危険がある----------文部科学省では、ネットの怖さを認識してもらうための動画を公開しています。このような動画を親子で見ながら、タブレット学習には便利さがある反面、危険も孕んでいるのだと教え、話し合うことが大切です。【参考文献】・『スマホ・タブレットで子どもの能力を開発しよう』瀬戸武生・著●ライター/渦マキ(フリーライター)
2016年07月06日【パパからのご相談】娘が中3で、受験を控えています。娘は明らかな文系で、国語、社会、英語の勉強は順調ですが、どう頑張っても数学の成績が伸びません。私はもともと理系で数学が得意なほうでしたので、妻から数学を教えるようにと言われ教えていますが、教えたその場ではできても、テストになると途端にできなくなり、努力が点数につながっていない状態です。全ての科目の中で最も数学に時間を費やしているのに、全く成果が出ない現状……。公立高校を志望しているので受験が心配なのもありますが、親として、この状況を何とかしてやりたいです。●A. 数学が苦手な子には、見直すべきポイントがあります!こんばんは。教育アドバイザーの佐々木です。勉強嫌いのお子さんの指導を得意としています。一生懸命やっているのに成果が出ない。これほどつらいことはありませんよね。周囲の人間は間接的にしか関われないので、もどかしい気持ちもあろうかと思います。とくに文系女子にとって、数学ってほかの科目と勉強方法が全く違うので、やりにくい部分も多いかもしれません。数学、算数が苦手な子にありがちなこと。“計算が遅い” という問題です。計算が遅すぎるゆえに、全然進まずに、嫌になって折れてしまうのですよね。数学でなかなかな伸びないとき、確認すべき点は2つです。●(1)計算のやり方を、理解できているか?計算の方法を理解していないと、足すべきところで掛け算してしまうなど、得意な人にとっては理解できないような計算 をやってしまうことがあります。もちろん、本人に悪気はありません。中学生なら、プラスマイナスの計算や文字式の計算でつまずく子がとても多いです。数学でなかなか成績が振るわないのであれば、ここの理解を確認します。特に文字式では、文字が出てくると途端にわからなくなる子がいます。文字式が苦手な子は、文字を数字に置き換えて、具体化して考える ことがコツです(たとえば、30円の品物をa個買ったときの代金を求める問題では、aを具体的な数字にします。「a個じゃなくて、3個だったらどう計算する?」と聞いてあげれば、答えられるでしょう)。●(2)単純計算を「考えずに」やれているか?計算するときに、「えーっと」と考えていたり、指で計算していたりしませんか。計算で考えてしまう ことが、遅さとミスの原因です。たとえば、歩くときに「次は右足?」と考えたら、転びますよね。自転車に乗るときに「よし!ここでブレーキ!」「ここはペダルを踏んで~」と、いちいち考えないはずです。計算のやり方を考えずに、手が勝手に動く状態。脳科学ではこれを、作業記憶 といいます。計算が作業記憶化されているかどうか、チェックしましょう。----------数学・算数については、「文章題の出来」が気になる方もいるかと思います。とはいえ、文章題いかんの前に、数学のつまずきはだいたいこの2つが根本原因です。普段はできているのであれば、この2点が定着しきっておらず、参考書等が近くにある、教えてくれる人がいるから、それをマネしてできているだけの可能性が高いです。数学って、できるようになると、とても楽しいのです。問題を解いて答えにたどり着く喜びを味わえるのは、5教科のなかでは数学だけ 。しかし、この(1)(2)ができていない状態だと、問題の答えまでたどり着けないので、まったく面白くありません。どうしても成果が出ないのであれば、思い切って戻ってみるのです。こういうときこそ、急がば回れ 。まだ受験まで時間があります。ぜひ、夏休みの時間を使って、不安なところをやり直してみてはいかがでしょうか。【参考文献】・『記憶力の脳科学』柿木隆介・著●ライター/佐々木恵(教育コンサルタント)
2016年07月01日【ママからのご相談】40歳、専業主婦です。中2の息子がいます。「勉強しなさい!」と毎日繰り返すのに疲れてしまいます。自分から机に向かわせる方法はありませんか?●A. 反抗期に入ると「勉強しなさい!」の声がけだけでは逆効果です。こんにちは。ご相談ありがとうございます、ライターの渦マキです。「勉強しなさい!」というお母さんの声に、はじめは「はーい!」と機嫌よく返していますが、だんだん「うん……」「いまやる!」「わかってる!」と、子どもの返事の仕方や声の調子が変わってきますよね。言う側、言われる側ともにいい加減うんざりしてしまうでしょう。反抗期に入ると、親から「勉強しなさい」と執拗に言われるとかえって逆効果になることもあります。●自分から勉強をはじめる子ども親から言われなくても机に向かうことができる子どもは、自己管理力がしっかりと身に付いています。勉強することが、顔を洗ったり歯を磨いたりする行動と同じで習慣化されている ので、「遊びたいけれど勉強を終わらせないうちに遊んでしまうとスッキリしない……先にやってしまおう!」となるわけです。●習慣づけるにはどうしたらいい?まずは親御さんと子どもとで、約束ごとを作りましょう。約束ごとは原点に立ち返り、「なぜ勉強しなければならないか 」という根本的なことを話して納得させていき、次に細かい約束ごとを決めていきます。・勉強しなければ、子どもにどのような損が生じるか(将来社会人になってからどのように影響していくか)・宿題はどのようにやるかを教える(予習、復習の仕方などをアドバイスする)・勉強と遊びの時間割をつくるといった内容を話し合いながら、親子一緒に計画をたてます。ゆっくり会話しながら、命令口調ではなくアドバイスしてあげてください。「勉強しなければならない」ことは漠然とわかっていても、それが「将来どのように影響を及ぼすか 」までは考えていない子どもが案外いるものなのです。●親がしっかり見守ることが大事先に示した決めごとを子どもがしっかり実行できたかを確認することが親の役割です。時間割通りに漫然とやっただけでは、やっつけ仕事になってしまいます。中身が薄ければ何の意味もありません。時間よりも、その中身をしっかりと親御さんが評価します。また、勉強の内容を見て、「ここの部分はこういう風におぼえるといいよ」などといったアドバイスをしながら、親子の会話を増やしていきましょう。子どもが一生懸命取り組んでいることが認められたなら、褒めることも大切 ですね。褒められることで、子どものモチベーションはぐんとアップします。そこから、勉強が子どもにとって日常生活の一部として習慣化されていくようになるでしょう。●万が一、子どもに勉強する兆しが見えなかったら「勉強しなさい!」ではなく、「おかあさん、ご飯の支度するんだけど、そろそろ勉強の時間だよね?」といったように軽く声をかけてあげましょう。諦めないで根気強く見守ることが大事です。親の見守りがなくなると、子どものやる気は途端になくなってしまいます。親……特にお母さんの取り組み方次第で子どもはどんどん変わるものです。【参考文献】・『勉強好きにする導きかた』品川不二郎・著・『男の子は10歳になったら育て方を変えなさい!』松永暢史・著●ライター/渦マキ(フリーライター)
2016年06月29日長男が年長になり、小学校準備に焦るようになりました。今でも自分は口うるさくなっているのに、さらに口うるさくならなければいけない。これが小学校にあがれば、「勉強しなさい」と毎日うるさく言うようになるのでしょう。それは自分が子ども時代、嫌っていた親の姿と同じ。口うるさく言うことが子ども側にとってどれだけ逆効果か、筆者の実体験とともに考えてみましょう。「コドモ博士の哲学トーク」バックナンバー第1回:「朝の着替えを嫌がるのは何で?」第2回:「何でそんなに歯磨きを嫌がるの?」第3回:「怒られているときってこんな気持ち」第4回:「同じことを何度言われてもわからないワケ」第5回:「上の子にとって弟・妹なんて別に可愛くないわけ」第6回:「お兄ちゃんになるってこんなキモチ」第7回:「子どもの繊細な性格を武器にする」第8回:「イタズラって悪いこと?イタズラを考える」第9回:「どう褒められると嬉しいの?」第10回:「こんなケンカならしてもいいよ。夫婦げんかを見る子どもの気持ち」第11回:「良いママ」を目指すママに育てられる子の気持ち言われるほど働く「天邪鬼」心理ママ:もうっ何回言ったらわかるの‼テレビを見過ぎ!早く消して!K:うるさいな〜もうちょっと見るんだよ〜ママ:もういいわ、注意するのも疲れた。テレビを見たいだけ見てればいいわ。K:もういいや、テレビ消そう。ママ:えぇっ!何で「見ないで」って言ったら見るのに、「見たいだけ見て」って言ったら消すの?K:ボクだって、自分でテレビを消せるよ。でもあんまり口うるさく言われるから、ボクの中の「天邪鬼」が動くんだよね。ダメって言われるほど、止めたくなくなるの。ママ:ママもそうだったわ。大人が「飲んじゃダメ」っていうビールほど、飲んでみたくなるのよね。すごく魅力的に思えて。実際は苦くて、子どもには美味しくないのにね。不安と甘えの現れK:あと、「わざとママを困らせてやろう」って思うときもなかった?ママ:あったあった!あんまり怒るからギャフンと言わせたくて、怒られることをあえてするのよね。「うるさいママなんか、もっと怒ってればいいや!」って。K:そうそう。でもそれは、甘えたい気持ちの表れでもあるんだよね。怒られると、やっぱり子どもは不安だよ。不安と甘えたい気持ちが複雑に絡み合って、わざとやるんだ。「何でママは怒ってばかりいるの?ボクのこと嫌いになっちゃったの?本当は甘えたいのに」ってさ。ママ:子どもも大人並みに複雑な感情を抱えるのね〜K:だってボク、もう5歳だよ?プライドだってあるよ、自分としてのプライド、男としてのプライド、年長としてのプライド、お兄ちゃんとしてのプライド…。強がったり、素直になれないときだってあるし。ママ:子どもは小さい大人なのね。言うことを聞いても自立には繋がらないK:あとね、口うるさく言われると「言われている内容」なんか、どうでも良くなっちゃうんだよね。「テレビを見すぎている」ことよりも、「ママに口うるさく怒られている」ことが頭に残る。それにイライラして忘れて、また同じことをしちゃったり。ママ:それって、「感情的に怒られる」のと一緒ね。感情的に怒られると、「怖い」ことしか頭になくて、怒られている内容が飛んじゃうのよね。K:そうなんだよ。だから「口うるさく怒る」のって、あんまり意味ないんだ。結局言うことを聞いたとしても、「やらされた感や支配された感覚」しか感じないんだよ。いつまでも不満が残るだけで、自立には繋がらないんだ。ママ:なるほど、実はママもいい気がしなかったのよ。うるさく言って言うこと聞かせても、何だかモヤモヤしていて。じゃあ、どうすればいいの?子どもを変えるより、親が変わるK:まず、口うるさく言わないことだね。ママ:だってそうしたら、どんどん不健康になるし、困ることばかりよ。K:ママはボクのことを信じてないんだね。ボクは「ダメなことしかやらない子」だと思われてるんだ。口うるさく言われることで、それも伝わってるよ。同じことをやるにしても、気分の差は大きいよ。たとえば「勉強をする」にしても、「口うるさく言われて勉強する」と、中身も入ってこない。でも、「楽しみながら勉強する」のはどう?中身も入ってくるし、もっともっと勉強したくなるんだ。ママ:つまり、「やりたい気持ちになるように導く」ことね。K:そうさ。テレビの見過ぎだってさ、テレビより楽しいことがないんだよ。子どもも複雑ではあるけど、単純だ。ただ「面白いことがしたい」だけなんだよ。ママ:具体的にどうしたら、子どもが動いてくれるのかしら?K:子どもが1番好きなのは誰?ママ:ママとパパね。K:子どもはママとパパの真似っこが好きでしょう。だからママとパパが、ボクたちになってほしいように生きていれば、それを自然と真似するよ。今はパパだって、ずっとテレビ見てるじゃない。ママ:「子どもを変える」という思考自体が、おこがましかったわね。まずはママとパパが生活を変えてみるわ。「コドモ博士の哲学トーク」バックナンバー第1回:「朝の着替えを嫌がるのは何で?」第2回:「何でそんなに歯磨きを嫌がるの?」第3回:「怒られているときってこんな気持ち」第4回:「同じことを何度言われてもわからないワケ」第5回:「上の子にとって弟・妹なんて別に可愛くないわけ」第6回:「お兄ちゃんになるってこんなキモチ」第7回:「子どもの繊細な性格を武器にする」第8回:「イタズラって悪いこと?イタズラを考える」第9回:「どう褒められると嬉しいの?」第10回:「こんなケンカならしてもいいよ。夫婦げんかを見る子どもの気持ち」第11回:「良いママ」を目指すママに育てられる子の気持ちライター:宮野 茉莉子
2016年06月11日【パパからのご相談】小学校5年生の息子がいて、休日に勉強を教えています。一生懸命教えているのですが、なかなかうまくいかず、テストの点がいつも悪いです。「なんでできないの?」と聞いても何も言いませんし、褒めても叱っても効果なし。自分の頃は何も考えずがむしゃらに勉強していたので、なぜこんなにやる気がないのか理解できません。どうしたらやる気に火がつくのでしょうか?●A. やる気を出す声のかけ方を知りましょう。ご相談ありがとうございます。教育コンサルタントの佐々木です。お子さんのやる気になかなか火がつかないのですね。お父様が学生だったころとは随分と環境が変わってしまい、「自分のころはこうだった」が通用しなくなっているのも、難しさの原因のひとつかもしれません。そこで今回は、いまどきの子のやる気をあげる声のかけ方をご紹介します。●「なぜできない?」と聞いてはいけないテストの結果が悪かったとき、「なぜできなかったの?」と聞くと、厳しい印象を与えてしまいます。子どもは「なぜ?」と問われると、責められているように聞こえる のです。相手を責めない聞き方をすることで、本音が聞き出せます。「テストができなかったのは、何が原因だと思う?」と聞けば、その子を責めているわけではなく、理論的に分析しようという姿勢になるため、子どもの本音が出やすくなります。練習が足りなかったとか、学校の授業がよくわからないとか、本人が思う理由が出てくれば、対策も取りやすいはず。そしてさらに、原因がわかったら、「どうやったらうまくいく?」 と質問します。「どうしてできないの?」だと、できない自分ばかりをイメージし、自分はダメだと思い込むことにつながります。そこで、うまくいっているイメージを描けるように質問するのです。イメージを描いて、そのときの感情を想像する。例えば、「勉強ができるってどんなイメージ?」と聞いてみるのです。答えは「いい点を取る」だけではないかもしれません。「試験でスラスラ解ける」「学校の授業でたくさん挙手をする」「お友達に勉強を教える」など、イメージは人によってさまざまです。そのイメージを実現させるためにはどうすればいいのか、お子さんと一緒に考えてみましょう。●“やらないとどうなる”より、“やったらこうなる”子どもに勉強の話をする際に、「勉強しないとお先真っ暗」みたいな話をしてしまっていませんか。人間の脳は、“正しいこと”では動きません。“楽しいこと”に反応します 。たくさんの子どもを見てきましたが、いまどきの子は特に、義務感よりも楽しさに反応する傾向が強いように思います。「勉強しないと進学できないし、就職もできないよ!」というのは正しいのですが、楽しくはありません。言い方を変えて「勉強すれば希望の学校に進学できて、希望の進路に進めるよ」と言うのは、楽しさを伝える言い方です。いずれも「将来のために勉強は必要」という同じメッセージを伝えているにも関わらず、脳の捉え方はまったく違う のです。お子さんと勉強の話をするときは、できるだけ楽しいことをイメージしてみてください。勉強すれば憧れのあの学校に進学できる、お友達がたくさんできる、かっこいい彼氏ができる、お金を稼げる、趣味に没頭できるなど。そのほうが楽しく勉強に取り組むことができます。意外かもしれませんが、どんなに勉強が嫌いな子どもでも、「勉強は必要」ということは認識していて、やらないといけないとは思っています。それなのに、なぜやらないのか?それは踏み出せないからです。どうやったらいいかわからない、何から始めたらいいかわからない、やってもできないなど。だから子どもたちは、やり方次第、声のかけ方次第で変わっていきます。「自分のころとは違う」ことに戸惑うかもしれませんが、一度、声のかけ方を変えてみてはいかがでしょうか。【参考文献】・『いまどきの子のやる気に火をつけるメンタルトレーニング』飯山晄朗・著●ライター/佐々木恵(教育コンサルタント)
2016年06月03日【ママからのご相談】子どもが「どうして勉強しないといけないの?」と繰り返し聞いてきます。どうやら、勉強がつまらないらしく、やる気が出ずにこんなことを言っているようです。超有名な学校に入ってほしいとは思わないですが、せめて勉強を嫌いになってほしくありません。家でできることはありますか。●A. 子どもが興味をもつ4つのツボをおさえる!ご相談ありがとうございます。教育コンサルタントの佐々木です。これまで勉強に興味のない子どもに対して勉強を教え、興味を持たせることに取り組んできました。●勉強が嫌いになる理由勉強が嫌いになってしまう理由は大きく2つあります。1つは「できない」から 。上手にできないことを好きになるのは、大人であっても難しいですよね。上手にできないとき、頑張っても成果が出ないとき、一生懸命頑張れば頑張るほど、子どもは勉強を嫌いになっていきます。もう1つは「つまらない」から 。自分のやっていることに意義が見いだせていないのです。意味のわからないことを1日何時間もやらされていれば、嫌いになるのも無理はありません。大人はつい「勉強は我慢してするものだ!」なんて言ってしまいますが、子どもは楽しみが見いだせないとどんどん勉強が嫌いになります 。●勉強のやる気を引き出すツボ4つそこで、勉強が「できない」「つまらない」を解消するために、『ARCSモデル』 をご紹介します。ARCSモデルは、アメリカの教育工学者ジョン・M・ケラーが「学習のやる気を出す方法」をモデル化したもので、4つの要素の頭文字をとって、このように呼ばれています。『ダイヤモンド社』の人材開発用語集サイトでは、以下のように説明されています。**********①注意(Attention)学習者の興味関心を引き、探究心を喚起する。マンネリを避け、学習者に「面白そうだなぁ」 と思わせることである。②関連性(Relevance)学習の目標に対して親しみをもたせ、与えられた課題を受身的にこなすのでなく、学習者が自分のものとして積極的に取り組めるようにする。目標に向かうプロセスを楽しめるようにし、学習者に「やりがいありそうだなぁ」 と思わせることである。③自信(Confidence)ゴールを明示し、成功の機会を与える。自分の努力によって成功したと思える教材にし、「やればできそうだ」 と思わせることである。④満足感(Satisfaction)学習の結果を無駄に終わらせない。目標に到達した学習者をほめて認める。公平な評価を行い、「やってよかったなぁ」 と思わせることである。**********この4つを順番に刺激できればやる気がアップします。どれか単体として刺激しても、効果が現れます。おうちで子どもと一緒に勉強する際には、この4つ全てを考えながら勉強を教えるのは難しいかもしれません。しかし、どれか1つをおさえることはできそうなのではないでしょうか。例えば、・勉強のときに一緒に絵を書いて「おもしろい!」と思わせる・勉強することやその内容が、日常生活と密接に関わっていることを教えて「やりがいがありそうだ」と思わせる・たくさんある、やるべきことを細かく小さく分解して、「これならできそうだ」と思わせる・勉強が終わったらほめて、「やってよかった」と思わせるこれだけなら、普段の取り組みと心がけ次第で、おうちでできることがたくさんあるはずです。むしろ学校よりも家でこのような話をしておいたほうが、勉強に対して興味関心を持てるかもしれません。この4つのツボをおさえて、お子さんと話をしてみてくださいね。【参考リンク】・ARCS(アークス)モデルとは | ダイヤモンド社の適性検査・社員教育・研修()●ライター/佐々木恵(教育コンサルタント)
2016年05月22日【ママからのご相談】小学校4年生の息子がいます。家でまったく勉強をしません。ですからつい「ゲームソフトを買ってあげるから」「テーマパークに連れて行ってあげるから」などとご褒美で釣ってやらせてしまいます。 すると、主人からそんなやり方では子どもの主体性をダメにしてしまうだろう、と叱られてしまいました。子どものやる気を引き出すためにモノで釣るのはいけないことでしょうか?●A. “目の前のニンジン作戦”で効果をあげるお子さんはたくさんいます。こんにちは。ライターのakiです。勉強が好きで自分から進んでしてくれる子であればいいのですが、ほとんどのお子さんは親が一生懸命言ってもなかなか勉強してくれない子が多いと思います。いくら将来のためだと言い聞かせても。あなた自身のためだと熱弁しても子どもにとってはピンとこないのが実情でしょう。そこで、頑張ったら「○○を買ってあげる」「●●に連れて行ってあげる」などと目の前にオイシイ条件をぶら下げてやる気を出させる方法で子どもを動かしてしまうのです。そのあとで「こんな方法でしか子どもを説得できないなんて……子どもの自主性や、勉強本来の目的や楽しさを奪ってしまうのではないか?」と自己嫌悪に陥ってしまう親御さんも多いのではないでしょうか。しかし、ご褒美で子どものやる気を引き出すことは決して悪いことではありません 。『「学力」の経済学』の著者である中室牧子さんによれば、やり方次第では効果があがるのだそうです。●ご褒美で釣って成功する方法は“あるキーワード”がポイントここで、あるおふたりのお母様の体験談をみてみましょう。【母親Aさん(小学校5年生男の子)】『算数が苦手なわが子。ですから、学校のテストで85点以上とったら好きなゲームを買ってあげるよ。と約束しました。そのゲームは前から欲しがっていたものです』【母親Bさん(小学校6年生男の子)】『算数が苦手なわが子に、算数の問題集を1冊終えたら好きなゲームを買ってあげると約束をしました。ゲームは前から欲しがっていたものです』どちらも算数が苦手な高学年のお子さんに、それぞれご褒美を差し出しています。この結果、どちらかのお子さんは算数の成績が伸び、どちらかのお子さんは成績にほとんど影響がありませんでした。この場合、AさんとBさんどちらのお子様の成績が伸びたかわかりますか?具体的な点数を提示して条件を出しているAさんに対し、Bさんは1冊の問題集をやらせるだけで漠然としています。この場合、一見Aさんのお子さんの方が成績が伸びそうな気がしますが、結果は逆でした。Bさんのお子さんの成績が伸びて、Aさんのお子さんの成績は変わらなかったのです。なぜでしょうか?それは、ご褒美の条件を出す際の子どもの行為 が“アウトプット型”であるか“インプット型”であるかで学力が変わるからです。●“アウトプット型”と“インプット型”、条件の違いで学力が変わるたとえば、「テストの点数が良かったら」「通知表の成績が良かったら」などという条件は、今までやってきたことを外に出して結果を出す“アウトプット型 ”の力です。それに対して、「宿題を終える」「問題集を解く」「本を読む」などの条件は力をつけるために知識を取り入れる“インプット型 ”の行動です。ハーバード大学のフライヤー教授の研究によれば、この“インプット型”の条件でご褒美を示した方が子どもの学力をあげる効果が大きかったと述べています。確かに、“アウトプット型”の「テストの点数が良かったら」「通知表が良かったら」というのは結果を求めるばかりで、良い点数をとるためにどのように勉強をすればいいのか、通知表で良い成績をとるためには何をすべきか、という具体的な手段 が抜けています。一方“インプット型”の行為は、「問題集を解く」「宿題をする」「本を読む」などの学力向上につながる具体的な行動を示しています。子どももその通りにやるだけなので自然と力がついてきます(もちろん、“アウトプット型”の「良い点数がとれればご褒美を……」という条件を出してもその良い点数がとれるための方法を教え、導いてくれる人がいれば良い結果に結びつくと思われます)。ということで、ご褒美は具体的な手段や方法を提示する“インプット型”の条件が良いことがわかります。ちなみに、ご褒美の条件を出す際の日にちは近ければ近い方が具体的でいい そうです。たとえば、「本を毎月1冊ずつ読んだら来年の誕生日におもちゃをあげる」よりも「1時間勉強したら、終わった後でお小遣いをあげる」の方が効果があるそうです。●ご褒美は子どもの勉強への自主性や楽しみを奪わないでは、ご褒美が成績向上に一役かうことはわかりましたが、子どもの勉強へのやる気や楽しさなどの気持ちの影響はどうなるのでしょうか?前述のフライヤー教授の研究によれば、ご褒美をあげる対象となった子どもたちと、そうでない子どもたちを心理学の手法を用いて統計的にはかったところ、両者に気持ちやモチベーションの差は特になかったそうです。つまり、ご褒美が子どもの「一生懸命勉強するのが楽しい」という気持ちを失わせる結果にはならない のです。そう考えると、やり方さえ間違わなければご褒美を前にして子どものやる気を引き出すことは決して悪いことではないとわかります。----------以上の結果からまとめると、・「本を読む」「宿題をする」などの(知識を取り入れる)インプット条件・ご褒美は遠い将来ではなく近い将来にという観点でお子さまにご褒美勉強法を試してみると、学力向上につながるかもしれません。ぜひ、お子さまのやる気を引き出す日々の学習法として役立ててみてください。【参考文献】・『「学力」の経済学』中室牧子・著●ライター/aki(中高英語教員)
2016年05月17日こんにちは。教育コンサルタントの佐々木です。子どもを賢くしたい、頭のいい子に育ってほしい、勉強ができるようになってほしい……子どもがいる親御さんなら誰しもそう願っているのではないでしょうか。そこで、脳科学の見地から、簡単にできる子どもを賢くするコツをご紹介いたします。●(1)適度な運動頭を良くするためには、脳をよく動く状態にすること、つまり脳に血が回ること が重要です。脳に血を回すためには、適度に運動をすることが大切です。集中力が落ちたと感じたらウォーキングをしたり、片付けなど単純作業をして血流を良くしましょう。ちなみに、食後に眠くなるのは胃に血液が流れるため脳に血が回らないためです。●(2)緊張感を持たせるストレスになる程の強い緊張感はパフォーマンスを下げてしまうものですが、適度な緊張感は脳を活性化します 。人が見ているところでは下手なことができないので、一生懸命やろうとするでしょう。あるいは、「絶対に○日までに終わらせる!」という緊張感は脳のパフォーマンスを上げます。たとえば、締切の日や補習の日程に楽しい予定を入れてしまえば、絶対に落とすわけにはいかないので、必死で勉強に取り組むでしょう。●(3)締切や時間制限を設ける時間設定を必ず設けましょう。「何時間でもいいよ」と言われると、脳はだらけてしまいます。宿題をするにしても、今日中に終わればいい、いつでもいいとしてしまうのではなく、時間を決めて取り組みましょう。30分かかりそうなものであれば20分にセットするなど、かかりそうな時間より少し短くする ことで、緊張感を演出できます。キッチンタイマーや、スマートフォンのタイマー機能を使って、時間内に必ず終わらせる習慣を作りましょう。●(4)ライバルを設定する人と競い合うこと は脳の回転数を上げることに非常に役立ちます。負けたくない気持ちから、モチベーションアップも期待できます。例え難しいことだとしても、ライバルがいれば、それをできるように頑張れるものです。●(5)子どもに教えてもらう人に教えることには緊張感が伴い、脳のあらゆる場所を使って考えたり説明したりするため、脳が活性化します。受け身な講義での理解度は5%であるのに対し、人に教えることの理解度は90% と言われています。子どもを賢くしたいならこれを利用しない手はありません。お子さんに、学校で起きたことや学校であったことを説明してもらうことを習慣にすれば、脳が活性化し頭が良くなるでしょう。----------脳を活性化し回転をよくするためには、脳の血流を良くしながら、常に緊張感を持って取り組むことが大切です。自宅で実践できることがほとんどですので、ぜひやってみてくださいね。【参考文献】・『覚えない記憶術』樺沢紫苑・著●ライター/佐々木恵(教育コンサルタント)
2016年04月24日こんにちは。保育士ライターのyossyです。小学生以降、場合によっては幼稚園の後半以降になってくると、子どもの勉強に関してヤキモキすることも増えてくるのではないでしょうか。幼い子どもがいる場合、特に算数に関して、親が教え方に悩んだり、 なかなか理解してもらえずイライラしてしまったりするケースは多いように感じます。「どうしてわからないの!」「何回も言っているでしょ!」なんて言ってしまった経験がある人もいるかもしれませんね。でも、できることなら楽しく優しく勉強のサポートをしてあげたいものです。では、幼い子に算数の基礎を身に付けさせる にはどうすればいいのでしょうか。5つ方法をご紹介します。●子どもに「算数の基礎」を身につけさせる方法5つ●(1)言葉だけでなく“モノ”を使って説明する数字を“足す”“引く”という概念ひとつ取ってみても、幼い子が相手ではなかなか言葉で説明しづらいものです。そんなときは、身近にある物を使って説明するのがいいでしょう。たとえば、「10-2=8」という計算であれば、実際におはじき・お菓子・鉛筆など、なんでもいいので10個(本)用意してください。そして、2個よけて数えてみるのです。数が大きくなって同じものを用意するのが大変になってきたら、そろばんの知育玩具を購入するのもいいですね。実際に、わが家でも大活躍しています。視覚的に数の概念がわかるツール を使うことで、一気に理解が進むケースも多いですよ。●(2)“毎日の積み重ね”はやっぱり大事!緑進学院の代表取締役、石田勝紀氏は『東洋経済オンライン(2015年7月16日)』のなかで以下のように述べています。『小学生の間は、毎日1枚程度の計算プリントを行うことがとても重要です』『毎日歯を磨くことと同じように、日課にする必要があるでしょう』子どもが幼いうちに勉強を習慣化するためには、親の声かけも重要です。当然、忍耐力も必要になるでしょう。でも、毎日少しずつやっていくことで、確実に算数の基礎力が身についていくはず です。市販のドリルでも構いませんので、ぜひやってみてくださいね。●(3)生活のなかで数字を取り入れる普段の生活のなかで数字や計算を使うことも重要です。たとえば、・家族全員分のお皿を並べてもらうときに多めに渡し、何枚余ったか聞く・小さなお菓子を、家族全員同じ数になるように振り分けてもらう・少額の買い物をさせてみる(年齢に応じてサポートしながら)といった具合です。もし時計がなかなか読めずに苦労しているのであれば、時計盤の表示がわかりやすくなっている子ども向けの時計を用意するのもいいでしょう。また、幼稚園の早いうちから時計が読める子のママに秘訣を聞いてみたところ、「普段から“60”を意識して数を数えさせている」という答えがかえってきました。たとえばお風呂で湯船に浸かる際、60数えさせるのです。そうすることで、時計に使われている60進法の基礎が知らず知らずのうちに身に付いている というわけですね。●(4)国語力を鍛える単純な計算式だけでなく、問題文が出てくるようになると、「問題文そのものが読めていない/わかっていない」 というケースも多いものです。これに関しては、文章読解力を別途身につけなければなりません。やはり、訓練を積み重ねること、日ごろから文章に触れる機会を増やすことが大切でしょう。特に、読み聞かせや子ども自身による音読などが有効です。●(5)「うちの子はできない」と思い込まない最後に、パパ・ママが「うちの子は算数ができない……」と思い込んだり、できないからと言って頭ごなしに叱ったりするのはやめたほうがいいでしょう。子どもが計算ミスをすることや、計算の概念を理解できないのは当たり前と思ってください。「なぜできないの?」ではなく「どうしたら伝わるだろうか?」というふうに、手段に思考を巡らせたほうがイライラせずに済む はず。また、仮に親が算数を苦手としていても、子どもには関係ありません。きちんと理解できるように説明すればできるようになります。「自分が苦手だから、やっぱり子どもも……」なんて諦めると、希望の芽を摘むことになりかねません。忍耐力も必要なので大変ですが、ぜひできることからはじめてみてくださいね。【参考リンク】・算数が苦手な子は「3つの誤り」を犯している | 東洋経済オンライン()●ライター/yossy(フリーライター)
2016年04月16日【ママからのご相談】小学校4年生になる息子がいます。すでに勉強が嫌いになってしまったようで、宿題を自分からやろうとしません。やる気が出るまで時間がかかります。やる気を出すにはどうしたらいいですか?●A. まずは動きましょう。ご質問ありがとうございます。教育コンサルタントの佐々木です。勉強が苦手な子の学習指導を専門にしています。一度勉強を嫌いになってしまった子どものやる気を引き出すのはとても難しいですよね。そこで今回は、脳科学に基づいたやる気の出し方 をご紹介します。●行動しないとやる気は出ない黙って座っていたり、ゴロゴロしたりしているうちはやる気が出ないのです。アメリカの脳神経外科医のペンフィールドは、体を動かすと脳も動き出し、次第にやる気が出てくる という考えを示しています。脳は変化に対応して動くため、止まっていては変化が起きないのです。そこで、脳にスイッチを入れる方法を2つご紹介します。●脳のスイッチを入れる方法●(1)手を動かす子どもに勉強させたいなら、まずは落書きでもいいのであれこれ書いて、手を動かしてみましょう。手の準備運動ですね。動くと脳は元気になります。やる気に関わっているのは、大脳辺縁系の中にある側坐核という場所。ここを刺激することでやる気が出てきます。まずは手先を動かしてみましょう。脳科学ではこれを『作業興奮 』と呼んでいます。お子さんが勉強にやる気を出せないようなら、こう声を掛けてみてはどうでしょうか。「まずは片付けからはじめてみようか」「5分でいいからやってみよう」「一緒に鉛筆を持ってみようか」「絵でも描いてみる?」運動する前に体操をして体を温めるのと同じように、勉強のやる気を上げるためにも脳のウォーミングアップ をしましょう。●(2)やるべきことを書き出すやるべきことが多いと脳は拒否反応を起こし、やりたくないという感情が先立ってしまいます。これではやる気は起きません。お子さんがなかなか動き出さないなら、しなければならないことを話し合い、できるだけ細かく書き出してみましょう。「漢字を覚える」では抽象的なので、「漢字を○回書く」「教科書を○回音読する」というように、数字を交えて 具体的に行動できるよう細かく書き出します。細かく書き出せば、いままでぼんやりしていた不安の全貌が見えてきて、不安がなくなるだけでなくやることが見えていきます。細かく書き出した中で一番簡単なことから取り組んでみましょう。書き出し作業もそうですし、簡単なことから取り組むのもそうですが、とにかく手を動かすこと が大切です。手を動かすことで、やるべき事が見えてきます。『つれづれなるままに、日くらし、硯にむかひて、心に移りゆくよしなし事を、そこはかとなく書きつくれば、あやしうこそものぐるほしけれ』徒然草の有名な序文ですが、まさにその通り、とりあえず硯に向かう、つまりペンを握ることが大切なのです。“勉強”というと机に向かって静かにカリカリと……そんな絵が浮かぶかもしれませんが、いきなり走り出して怪我しないように、勉強も準備運動から始めましょう。お子さんと一緒にペンを持って、手を動かしてみてくださいね。【参考文献】・『大人の脳科学常識 頭が冴えわたる脳の鍛え方』トキオ・ナレッジ(著)●ライター/佐々木恵(教育コンサルタント)
2016年04月06日ドリルだけやっていても前頭前野は発達しない、キーポイントは「遊び」 前編 でもご紹介したように、たしかにドリル的な勉強は、子どもの脳の前頭前野を活性化させてくれます。でも、ただひたすらドリル学習をしていけば前頭前野がぐんぐんと発達していくかというと、それは違います。ポイントとして押さえておきたいことは「遊び」です。このことは、運動になぞらえて考えてみるとよくわかります。筋肉は、一定の負荷をかけた後、適宜休ませることで、負荷をかける前よりも筋肉が強くなるということが知られています。ですから、運動をするときにはずっと動き続けているのではなく、適当に休憩を取り入れているのです。考えてみれば脳だって体の一部分です。ですから、基本的には運動をするときと同じように訓練していけばよいのです。つまり、「遊び」を適宜取り入れながらやっていくということ。前頭前野を鍛えるためにドリル学習などの勉強をしますね。そうしたら、少し前頭前野が休まるような行動を取り入れればよいのです。ゲームは決して悪者じゃない、バランスよくやれば味方になる前回、「テレビゲームは頭を使うようでいて、前頭前野を働かせるような効果はあまりない」という研究報告があるとお伝えしました。何かと悪者になりがちなゲームですが、前頭前野を働かせる効果がない分、勉強の合間の遊びとしては適しているのです。ほかにも、漫画を読むこと、テレビを見ることなどもよいでしょう。これらも子どもに好かれることでありつつ、前頭前野を成長させる刺激にはあまりならないものだからです。でも、「今まで『テレビばっかり見てないで!』『またゲームしているの!?』と怒ってきたけど、やらせていいのね。楽になったわ~」なんて言わないでくださいね。子どもたちがこれらの前頭前野をあまり使わない遊びに夢中になり、他のことが手につかないということは、非常によくあることですよね? 子どもたちが自らを律して勉強と遊びを両立するのは難しいのです。つまりは、親のほうで勉強と遊びのバランスをとるように誘導してあげなければならないということです。たとえば、30分間勉強を頑張ったら、その後10分間はテレビや漫画・ゲームOKとする、とか。こうすることで、子どもが勉強の中に効果的に遊びを組み込んでいけるよう、引っ張っていってあげるのです。もちろん、子どもが中学生や高校生になってまでやってあげなければならないこととは言いませんが、少なくとも小学校低学年くらいまでは必要です。親が子どもの勉強にリズムを作ってあげることで、いつかは親に言われなくても、上手に勉強と遊びのバランスがとれた方法を実践していくことができるでしょう。
2016年03月27日「うちの子は遊んでばかりで全然勉強しないのよ…」そんな悩みはよく聞かれます。確かに遊んでばかりでは脳を鍛えることはできませんが、だからと言って勉強ばかりしていても効果的なやり方とは言えません。勉強と遊び、その取り入れ方をどう考えていけばよいのでしょうか。頭の良い子が育つのは遺伝ではなく環境よく、「あそこのうちは、両親がいい大学を出ているから、子どもも賢いのよね」なんていう話を聞きませんか? 勉強ができるかどうかは、遺伝性があるのでしょうか。答えはノーです。頭の良い子を育てるのは、生まれてからの環境や教育でしかありません。では、わが子を賢く育てたいと思ったら、親はどのような働きかけをしたらよいのでしょう。それは、子どもの脳の前頭前野と呼ばれる部分を訓練してあげることです。前頭前野が反応するという程度ではなく、活動的になるように行動させましょう。子どもたちの大好きなテレビゲーム。やっているときの子どもたちは頭脳を使い、非常に集中しているように見えますが、前頭前野の働きを調べてみると、ゲーム中の前頭前野はほぼ100%活動していなかったという研究報告があります。つまり、賢い脳を育てるための手段として、テレビゲームは適切とは考えにくいと言えます(無論すべてのゲームを調べたわけではないでしょうから、ゲームがすべてダメというわけではなく、ゲームによってケースバイケースではあるかと思います)。前頭前野を訓練するのは音読や計算問題では、前頭前野を訓練するには、どのような活動が適しているのでしょう。友だち同士での(テレビゲームではない)遊びを通しても、前頭前野を活動させることができるのですが、ほかにも前頭前野にとって良いと言えるものがあります。それは、音読や計算問題といったドリル勉強です。学校などの集団の中に、落ち着いて活動に取り組めない子どもがいます。授業中立ち歩いたり、静かに話を聞けなかったり…。このように集団行動になじめない子どもは、前頭前野の発達が未熟であると考えられています。そんな子どもたちに、授業前、音読や単純な計算プリントなどをさせると、その後の授業への取り組みがとても落ち着いたものとなったのです。ですから、「うちの子はどうも落ち着きがないようだ」とお悩みであれば、自宅での勉強タイムに読書の時間をたっぷりととったり、単純な計算問題や数を数えるような問題をやらせてみたりしましょう。そしてそれは、ぜひ親であるあなたも一緒に取り組んでください。見違えるほど、子どもの集中力がアップする可能性大です。ちょっと信じられないくらいの効果をもたらしてくれる報告もあがっています。< 後編 に続く>
2016年03月27日【ママからのご相談】こんにちは。小学1年生と4年生の男子の母親です。子どもたちの勉強のことで、今壁にぶち当たっています。私自身の学歴コンプレックスもあって、子どもたちが幼いころからいろいろな教材を買い与え、幼児教室にも通い、勉強には力を入れてきました。下の子はまだ低学年なので何とも言えませんが、長男の成績を見ると今まで頑張ってきた成果を感じることができず、つい焦ってしまいます。周りの友だちは、小学生のうちからそんなに気合いを入れなくてもいいんじゃない?という意見が多く、主人(大卒)も自分が本腰で勉強を始めたのは中2くらいのときだったし、小学生のうちから追い詰めたらかわいそうだ……という意見です。別に中学受験をさせるわけではないです。ただ、今のうちに学習能力の基礎を作っておかないと、将来の選択肢が少なくなってしまうのでは?(自分がそうだったので)と心配なのです。上の子のクラスでは、とくに算数で理解力の差が開いてしまっているようで、おそらくうちの子は中の下くらいだと思います。見ていて思うのは、長男は自分から勉強を楽しんでやっている様子がありません。私が押しつけすぎたんでしょうか?●A. まだまだ修正は可能です! 王道は“能動的な学習”に導くこと初めまして!ライターの月極姫です。ウチの末っ子もこの春やっと小学校に上がり、ご相談者様と同様、私も2人の小学生の母親になりました。お子さんが小さいころから学習面に力を入れてきたとのこと、熱意も労力も大変なものだったとお察しします。たしかに「三つ子の魂百まで」と聞くと幼児期にできる限りのことを……と頑張ってしまうのが親心ですよね。0~3歳までに脳の発達がピークを遂げることを考えると、たしかに幼児教育は無駄にはならないと思われますが、小4で思うような成果を感じないからといって、焦ることはありません。ご相談者様のご主人様が「自分も本腰で勉強を始めたのは中2くらいだった」とおっしゃっているように、受験間近に思わぬ力を発揮するお子さんも結構います。大切なのは、いざというときに高い学習能力を発揮するだけの“基礎”が、小さいうちに構築されているか否かです。とはいえ、小学校中学年の学習内容は急に難しくなる部分もあり、この時期の成績低迷は確かに気になるところ。まず、断じて「ウチの子はダメかも」などと思わないことです!お子さんが、うるさく言わなくても“能動的に学習する子”に育つよう、日頃の接し方をちょっぴり見直してみましょう。熱心なあまり、親御さんが陥りがちな“NG行動”を繰り返してはいませんか?●子どもの学習意欲を妨げる“親のNG行動”6つ●(1)勉強を“神聖化”する勉強部屋の環境をばっちり整え、雑音をシャットアウトし“集中”を余儀なくさせる。一見理想的な学習環境のようで、子どもの勉強嫌いを促進させる、ありがちな間違いです。テレビや音楽をかけながらの“ながら学習”は賛否両論ですが、リビングでお母さんが料理する音、お父さんや兄弟のおしゃべりを聞きながらの学習は大いに結構。勉強を特別視するから嫌いになってしまうのです。“勉強=日常” という図式を植え付けてしまえば、肩の力を抜いて勉強するようになります。受験の年頃になれば、自分の意思で自室で集中するようになるので大丈夫。幼児~小学生のうちは雑音・生活音の中でリラックスして学習できることの方が大切です。●(2)勝手に“学習計画”を立てる「今日はこれをやりましょう」「今週はここまでクリアしよう」と、親の方で勝手に計画を立てていませんか?まず、最初に行うべきは「何を勉強したいか」 を子どもに問うことです。勉強が好きになれば、勝手に勉強する子に育ちます。しかし、お子さんがどの教科を好きなのか、把握していない親御さんは意外に多いものです。小学生のうちは、お子さんが「やりたい教科」がメイン。他は、余った時間にできる範囲でやる。1つの教科で自信をつけた方が、他の教科に対してもやる気がわくものです。●(3)飽きっぽさを否定する「1つの教科をじっくりと」「最後まで集中して」これも、大人にありがちが押しつけです。極端に落ち着きのない性格の場合は別として、じつは知能が高いほど“飽きっぽい” 傾向があります。学校から出た宿題は最低限やらなくてはいけませんが、その他のワークや家庭学習に関しては「飽きたら他の教科をやる」でOK。飽きた教科を延々と無理矢理やらされた記憶は、そのまま勉強嫌いの原因になってしまいます。飽きっぽさは、じつはお子さんが親御さん以上に頭の回転が速いサインかもしれませんよ。●(4)“ゆっくりじっくり、長時間”勉強させようとする長時間の学習、延々とした復習もまた、子どもを勉強嫌いにさせてしまう原因の1つ。「スピーディに、短時間集中型」 で行うのが効果的です。ご相談者様は、授業参観に出られたときに、先生の授業がとてもゆっくりであると感じられたことはありませんか?先生の手腕にもよりますが、学校の授業がゆっくり進むのは、ある程度仕方ない面があります。数十人いる生徒の理解度はさまざまで、やはりゆっくりの方に合わせていかなければならないからです。しかし、これがあまりに極端だと、お子さんの授業離れが進んでしまいます。ご家庭でできることは、お子さんの興味関心やスピードに合わせた学習をさせてあげることです。たとえばワークや教材をお持ちならば、15~20分くらいで、学校の授業の進度は気にせずお子さんがやりたがる部分をやる。また、学校で学んだことが理解できているようなら、延々と復習するよりも短時間で予習をして、終了 。家庭で予習、授業で復習という形の方が、お子さんが意外に勉強好きになったりします。●(5)「勉強しなさい」と命令するはい、のび太くんのママがよくやっていますね(笑)。「勉強しなさい」という命令はナンセンス です。そうではなくて、自分から勉強する子になるように、日頃から働きかけていたか否かを、親は自分に問うべきなのです。もっとも大切なのは、親に向上心があること、親自身がよく勉強することです。年頃になった子どもに「どうして勉強なんかしなくちゃいけないの?」と聞かれ、答えに詰まるような親ではいけないということです。資格の勉強、料理の勉強、家計管理の勉強、趣味の向上、大人にも学ばなければいけないことはたくさんあります。親が、自分自身の人生が豊かになるように、努力しているかどうか。これを、子どもはじつによく見ています。「勉強しなさい」と言われなくても「よし、勉強しよう」と思える子どもになるためには、あなたがお手本になること です。●(6)遊んであげない、人任せにする遊びにしても、学習にしても、人任せにし過ぎると子どもの学習意欲に影響してしまいます。子どもと接する“時間の長さ”ではなくて“時間の濃さ” が大切です。先生や塾に頼りすぎず、親が勉強を教えることも大事。また、遊んであげることもとても重要なのです。体を使った遊び、トランプやボードゲーム、カルタなどを使った遊びを、お子さんとしていますか?1人で遊ぶゲーム機とは違い、たとえば家族でやるトランプなどは感情をコントロールしたり、論理的に考えて目標を達成する訓練になります。ゲーム機も確かに楽しいものですが、一見能動的にやっているように見えて、結局はゲームのプログラムに誘導された受動的な遊びです。東北大学の竹内光准教授らの研究グループが「長時間のゲームが言語性知能の低下につながる」という研究成果を発表しましたが、あまりに長時間、ゲーム機に子どものおもりをさせるのは考えものです。やはり家族が頭と体を使って遊んであげる。これが結局は、お子さんの能力を総合的に向上させる ことになるのです。●“勉強する喜び=親からの愛情”。この図式が一生の宝物ご相談者様は、ご自身の経験から「子どもに勉強や学歴で苦労させたくない」という強い思いで、今まで学習面に力を入れてこられたのですね。「人間は勉強ばかりじゃない」という考え方もその通りですが、実際に一定の学習能力があること、学歴があることで将来の選択肢が広がるという面はあります。たくさんの選択肢の中から、自由に選ぶ権利を与える。これは確かに、親の大切な役割ですよね。しかし、結果を焦るあまり、お子さん本人の心の中に「勉強は楽しい」「勉強は役に立つもの」という“学習意欲の種” を撒く過程をないがしろにすると、結局学習意欲や向上心は身に付きません。理想は、“勉強”と“親の愛情の思い出”が直結していることです。「本を読み聞かせてくれた」「一緒に勉強してくれた」「わからないところを、学校や塾の先生以上に根気よく教えてくれた」「自分に合った教材や塾を一所懸命探してくれた」「成績が悪くても怒らず、励ましてくれた」「あなたならできる、と信じてくれた」親御さんなら誰もが、最初に抱く「この子自身の将来のためにも、できるようになって欲しい」という思い。この思いの“純度”をいかに末永く保つかがポイントです。一所懸命時間とお金をかけているうちに、その努力の目的が他のお子さんとの競争、家族・親族・友だちへの見栄、プライド、意地といった、大人のエゴにすり替わってはいませんか?お母さんが頑張ることに疲れてしまったら、お子さんの赤ちゃんのころのアルバムなどを開いて、誕生したころの純粋な喜びを思い出してみるのもおススメです。お子さんはまだまだ小学生。もっともお子さんのためを考えてあげられるのは親御さんであるという自信を持って、のんびり努力を続けていきましょう!結局は「この子に幸せになって欲しい」という思いが純粋であるほど、学習成果も上がると思うのです。【参考文献】・『13歳からの頭がよくなるコツ大全』小野田博一・著・『自分から勉強する子が育つお母さんの習慣』村上綾一・著●ライター/月極姫(フリーライター)
2016年03月24日【ママからのご相談】子どもの勉強について相談です。数学で計算はできるのに、文章題になると途端にできません。どんな策を講じるべきでしょうか?●A. ほんのわずかな工夫で、できるようになりますよ!ご相談ありがとうございます。教育コンサルタントの佐々木です。数学の文章題になると途端にできなくなってしまうというお悩みですね。数学が苦手な人なら、一度は経験があるのではないでしょうか。これらは「応用力がないから応用力をつけないと」とか「読解力が不足しているから本を読もうね」と、抽象的なアドバイスで片付けられがちです。しかし、応用力も読解力もすぐにはつきません。文章題ができない人に考えられる問題点は2つです。●数学の文章題が解けない理由2つ●パターンがつかめていないまず、解答欄が真っ白で、何も書けないという人は、問題のパターンを見際めることができていません。問題のパターンを心理学ではスキーマ(枠組み) といいます。問題を読んだときに「あ、これは分数の問題だな」「これはXを使って解く問題だな」というように、解き方がイメージできれば、後は式を起こして計算するだけ。一方で、その問題がどの単元でどの枠組みの問題なのか、何を使って解くのかがイメージできないと、何も書けずに終わってしまうことになります。「数学は暗記科目」と時々言われますが、問題のスキーマを覚えていれば対応できる 、という意味でしょう。もし、パターン化が弱いのなら、同じような問題で数字を変えて解かせましょう。「分数の問題が出てきたら、こう解くんだよ」「%が出てきたら分数にして掛け算だよ」ということを何度も繰り返してパターンを作っておくことで対応できます。あるいは、問題を解かずに子どもに解き方を説明させるという練習を繰り返す練習も有効です。よく、文章題には応用力が肝心と言いますが、応用力の問題というよりも、「何を使って解くか」という基本が出てくるようになれば、変わっていくはずです。●数字を追いかけられていない読解力が足りない……というのはありがちな理由ではありますが、これをもう少し分解して考えると、このようなことが考えられます。・問題を解く上で、必要な数字を拾えていない・何を問われているのかが分かっていない前者は、問題を解く上で必要な数字を見逃してしまったり、足すべきなのに早とちりで掛け算をしていたりする人です。後者は、「人数を求めなさい」と言われているのに、解答欄に“個数”を書いてしまった、などのミスがあります。お子さんのミスや計算課程をみれば、どちらなのかわかるでしょう。計算が途中で終わっているなら前者、最後まで書ききっているなら後者です。これを直すには、もちろん“本を読む”こともいいのですが、すぐに効果は出ません。すぐに効果を出したいなら“線を引いて意識づける” のがいいでしょう。数字を見逃してしまう子は、問題を読むときにも鉛筆を持ち、数字が出てきたら丸をつけて注意するクセをつけましょう。そうすれば、読み返しても数字を見落とす心配はありません。答えを書き間違えてしまう子は、問題文の最後に線を引きましょう。「人数を求めなさい」「式をつくりなさい」など、最後に書かれている“問われているもの”をはっきりさせておき、最後にもう一度見て、答えが適切かを確認するクセを付けるのです。----------算数・数学嫌いを悩ませる文章題。しかし、少し勉強のやり方を変えたり、問題を解くときに意識をしてみるだけで変わります。ぜひやってみてくださいね。【参考文献】・『勉強法の科学』市川伸一・著●ライター/佐々木恵(教育コンサルタント)
2016年02月22日両手に男児
めまぐるしいけど愛おしい、空回り母ちゃんの日々
ヲタママだっていーじゃない!
ママ友親子を車に乗せたらトラブル発生! ママ友の子どもが飲み物をこぼしてしまったのです。しかし、その子は謝るどころか衝撃的な発言を……!?ママ友親子を車に乗せたら…ママ友とその子どもを車に乗せていたときの話です。数日前に買ったココアを後部座席に置きっぱなしにしていたところ、それをママ友の6歳の子どもがひっくり返してしまいました。開けて時間が経ったココアが大量にこぼれてしまい、車内には結構な悪臭が広がります。運転をしていたため片付けられずにいたところ、ママ友の子どもが「くっさーい!」とひと言。置きっぱなしにしていた私も悪いとは思いますが、こぼしてしまったことに対して「ごめんなさい」が出ることもなく、その言葉が出てきたので私はあ然……。ママ友もそのことに対して特に注意はしなかったため、とても衝撃を受けました。とにかく車を停めて、拭いたり掃除したり換気したりして対処できましたが、シートなどを丸洗いしたいのが本音です……。 この一件以降、そのママ友親子は車に一度も乗せていません。誰かを車に乗せるときは、トラブルが起こらないように車内の物の置き場所をしっかり考えようと強く思いました。特に飲み物は、後部座席ではなく自分の近くに置くことを徹底しようと思います。 作画/さくら著者:高畑 朱里
2024年05月24日夫のこうきと娘のまなと暮らす、主婦のあやかさん。結婚する前から楽しいことが大好きな夫は、出産して子育てが始まってからも、いつでも自分優先……。子どものお世話はせず、休日も友人との集まりを優先してばかりで、あやかさんはひとりで育児に奮闘していました。娘が熱を出してしまった日も夫は心配すらしてくれず、友人を優先。それなのにあやかさんへは文句ばかりで……。 努力してねーだろ!やっと娘の体調が治ったと思ったら、今度は夫のこうきさんが「二人目がほしいだろ」と夫婦生活をしつこく誘ってくるようになりました。 あやかさんは「今のこうきといて簡単に二人目のこと考えられない」ときっぱり断りますが、こうきさんは気に求めず毎夜毎夜と誘ってきます。 そんなこうきさんに拒否反応が出てしまうあやかさんは、「これならもう離婚したほうがいいんじゃないか」とまで考えてしまいますが、「ママとパパ大好き」だという娘の顔が浮かび、離婚への決心はつきませんでした。 毎日毎日誘ってくるこうきさん。あやかさんが体調を理由に断ると、「いつまで体調悪いんだよ!」「ずっと家にいて暇なくせに早く治す努力をしていない」と逆ギレ。 それならせめて家事や育児を手伝ってほしいと思うあやかさんでしたが、こうきさんに「要領悪いよな」と言われて、ついに堪忍袋の緒が切れました。 「じゃあ今日はもう寝るから!あとの家事よろしくね!」とキレ気味に伝えると、こうきさんはあやかさんの思わぬ反撃に、驚いた様子で……。 ◇◇◇ こうきさんは、自分の要望ばかりを押し通そうとしているように見えますね。本当に夫婦で仲良くしたいのであれば、お互いが心地よく過ごせる環境づくりが先決なはずです。実際、家事や育児の負担を一手に担うあやかさんは、こうきさんに愛情を向ける余裕を失っています。ずっと仲良くいるためにも、いつも思いやれる夫婦でいたいですね。著者:マンガ家・イラストレーター たに
2024年05月24日子どもが2人いる友だちから聞いた「2人目が生まれてから育児が大変になった」という話を、2人目の子どもを妊娠中に夫へ何気なくしてみました。すると夫からまさかの衝撃発言をされて……。軽い世間話のつもりだったのに…2人目の子どもを妊娠していたころのお話です。当時3歳だった長男は、妊娠したころから赤ちゃん返りが始まりました。ワンオペで2人の育児をしていけるのかどうか不安で、子どもが2人いる友だちに相談してみることに。すると友達は、やはり子どもが1人のときより圧倒的に大変で、かわいさは2倍だけれど、しんどいことも2倍になったと、2人育児の大変さを教えてくれました。 それを聞いた私は夫に、「友だちのところは2人目が生まれて大変だってさ……」と何気なく世間話をしたのですが、夫は「何言ってんだよ! 自分で望んで授かった子だろ? 弱音なんか吐くなよな」とまさかの発言。母親は不安な気持ちを吐露することも許されないの? とかなりイラッとしました……。 やがて2人目の子どもが生まれると夫との家事分担も増え、夫は「これは大変だ」と言っていました。どの口が言ってるんだと内心ツッコミを入れましたが、実際に経験して大変さを実感してくれたことで、より協力してくれるようになったのはよかったです。 作画/森田家著者:金野 成子
2024年05月24日ゴルフ好きの夫が、娘が生まれるのを機に「しばらくゴルフに行くのは控える」と言ってくれました。しかし出産して2カ月がたったころから、自分の親とゴルフへ行くようになったのです。ほぼワンオペ育児をする私はモヤモヤした気分になってしまい……。 ゴルフに誘ったのはまさかの義両親娘は昼夜問わずによく泣く子だったため、私は心身ともに疲弊していました。そんな中、「親からゴルフに誘われた。場所が遠いし、前日から実家に泊まっていく」と私に言い放った夫。 私は週に1度の夫の休日を頼りにしていました。休日に家事・育児を手伝ってくれてとても助かっていたのです。赤ちゃんのお世話で大変な時期ということは義両親もわかっているはず。しかし、義両親から私に、夫をゴルフに連れて行くとの連絡はありません。 「なぜ断らないの?」と私が夫に聞くと、「会社のゴルフは全部断っているし、たまにはいいだろう」と機嫌が悪くなる夫。結局、夫は義両親とのゴルフに前日から出かけていきました。それから年に数回、同じように義実家に前泊してゴルフに出かける夫。確かに会社のゴルフはなくなったけど……とモヤモヤする私。 義両親と会っても「時々(夫を)ゴルフに連れ出して悪いわね」と軽く言われる程度です。それに対し、本当は困っていると伝えたかったのですが、遠慮して「大丈夫です」と答えていました。 2人目が生まれたら変わる…?2年後、2人目が生まれるタイミングで改めて、「ゴルフは控えてほしい」と夫に伝えました。変わってくれることを期待しましたが、2人目の産後も、夫は義両親とゴルフに出かけて行きました。 以前より頻度は減りましたが、夫がゴルフに行くことは変わらないとわかり、私は諦めも肝心だと思うように。平日の夫の帰宅時間は遅く、夫のいない休日もその延長だと割り切るようになったのです。 休日のワンオペ育児のときは、実家に帰ってゆっくりしたり、ママ友を自宅に呼んで子ども同士で遊ばせたり、楽しく過ごしています。 義両親とは、言いにくいことを伝えられるような関係ではない上に、ゴルフの話題になると機嫌を損ねる夫。正直、「結婚相手を間違えたか……」と思う瞬間も。しかし今では、夫がいない間は私自身もリフレッシュするようにして、ストレス発散になっているように思います。夫だけに依存することをやめたのは正解でした。 作画/ぐら子著者:下園ひかり
2024年05月24日1人目の子どもを出産するとき、夫は分娩室でいびきをかいて爆睡していました。その後の育児でも寝ていることが多く、育児を任せるのは無理だと諦めた私は……。寝過ぎな夫夫は昔からとにかく眠気に勝てない人で、私が妊婦だろうが、どんな状況だろうが寝てしまいます。1人目の出産時、分娩室で私が必死になって赤ちゃんを産もうとしている中、なんと夫は椅子に座っていびきをかいて寝ていたのです! 現在は子どもが3人になり、生後2カ月の末っ子のお世話で寝不足な私をよそに、3歳の長男をお昼寝させると言って長男より先に寝始め、長男よりあとに起きています。たまには「俺が子どもたちを見てるから休んでおいで」くらい言ってほしいです……。 しかし最近は諦めています。子どもを任せると寝てしまうので、買い出しや料理などの別の家事を手伝ってもらうことに。そうすることで、いいバランスで家事と育児の役割分担ができています。不得意なことを無理に任せるよりも、できることを頑張ってもらえばいいかなと思うようになりました。 作画/森田家著者:川上 栞
2024年05月24日末娘が幼稚園のときの話です。親子遠足で仲良くなったママ友に、「今度遊びにおいで」と言われた私たち親子。娘たちも意気投合していたので、後日遊びに行く約束をしました。そして、当日。「いらっしゃい!」と迎えてくれたママ友。お茶を飲みながらしばらく雑談をしていたのですが、思わぬ展開になってしまったのです――。 勧誘ママに園長のひと言ママ友が何やら取り出してきました。それはアロマのパンフレット。実は、ママ友はそのアロマのセールスウーマンだったのです。 状況が飲み込めていない私に、まくしたてるようにアロマのすばらしさを説くママ友。その日はやんわりと断り、娘を連れてそそくさとママ友宅を後にしました。 しかし、その後もママ友は「今割引期間中だよ!」などと、しつこくメールで営業をかけてきました。はじめのうちはやんわりと断っていた私ですが、そのしつこさにいらだって、いつしか「いりません」ときっぱり言うようになっていました。 あるとき、他のママ友にそのことを相談したら、そのママ友も被害に遭っていることが判明。話を聞くと、どうも例のママ友は手当たり次第に「うちに遊びに来て」と言ってはアロマを売りつけていたようです。 その後――。 幼稚園のPTA総会で、園長先生から「アロマオイルのセールスで保護者のみなさんに迷惑をかけていらっしゃる方がいるというお話をうかがっています」「園では対処しきれないため、あまりにも被害が深刻な場合は警察にご相談ください」とお話がありました。 この園長先生の一言で、例のママ友は少し気まずそうな雰囲気に…。その後、セールスは控えるようになったようです。 私はきっぱりと断っていましたが、中には断り切れず、泣く泣く購入してしまったママさんもいたそう……。ママ友選びは慎重にしないといけないな、と改めて感じさせられた出来事でした。 イラスト/きりぷち 著者:大山芳子
2024年05月24日