初めての育児に神経が過敏になっていた私は、正解がわからないことで息子をほめるよりも叱ることのほうが多かったように思います。そんな私を救ってくれたのは、幼稚園の先生が見つけてくれた息子の長所でした。 息子の動きが止まらない!生まれたときから体が大きかった息子は、すくすくと成長し、歩き始めたころにはかなりやんちゃになっていました。同じ月齢の子と比べて体力があり、結構な距離をお散歩しないとお昼寝ができないほどでした。元気なのはいいことだと思いつつも、毎日のこととなると……。 それに他の子は絵や字に興味を持っているのに対して、息子は体を動かさない遊びは好きになれない様子で、もしかしたら発達に問題があるのではと考えてしまうこともありました。 ダメ出しばかりしてしまう自分に自己嫌悪「走らないの!」「ダメって言ったことをしないの!」「おとなしくして!」。息子の行動を制限することばかり言ってしまい、私自身が反省する日々が続きました。 発達に関してプレ保育で相談してみたり、幼稚園へ通い始めたら椅子に座っていられるだろうかと何度も母に相談したりしたのを覚えています。今思えば息子の良くない面ばかりが目に付いていたのは、入園を前にして母親として私の不安が強かったのだと思います。 幼稚園の先生が見つけてくれた息子の長所そんな息子を叱ってばかりの私を救ってくれたのは、幼稚園の先生からのおたよりでした。毎月出席カードに先生がコメントを書いてくださるのですが、あるとき先生が書いてくださった言葉に目からウロコが落ちました。 「息子くんは、自分で目標を決めてそのために努力できるところが素晴らしいです」。……確かに、考えてみると息子はよちよち歩きのころから公園に行くとなれば自分の足で最後まで歩く子で、幼稚園に入って鉄棒にはまってからは逆上がりができるようになるまで何度も練習し、今では空中逆上がりもできます。私が息子の遊びの一環としてとらえていたものを、先生は努力と評価してくれたのでした。 それからというもの、息子の行動を安心して見守ることができるようになりました。すると、息子がちょっと失敗してしまったときも「ダメでしょ!」ではなく、「頑張ったね!」と評価してあげられるようになりました。今では胸を張って「息子の長所は努力ができるところです!」と言うことができます。これからも息子の努力と成長を見守っていきたいと思っています。 「共感した」「私の場合はこうだった」など、ぜひベビーカレンダーサイトのコメント欄にご感想をお寄せください。また、ベビーカレンダーでは皆さんから募集した体験談を記事でご紹介させていただくことも。ベビーカレンダーに会員登録すると届くメルマガから、皆さんのオリジナル体験談をご応募ください。 監修/助産師REIKO著者:田丸あかね現在、小学校1年生と幼稚園年中の兄弟を子育て中。性格の違う子どもたちの成長を楽しみつつ、自身の体験をもとに、妊娠・出産・子育てに関する体験談を中心に執筆している。
2020年05月02日感染症の流行により、緊急事態宣言の対象地域が全国に拡大されました。そんな中、子どもたちの休校期間が続いているという家庭も多いことでしょう。そうなると、どうやって自宅で学びに取り組ませるか、大きな課題になってきます。今回は、休校中の子どもたちの学習方法について、考えてみたいと思います。■学習方法は家庭によって異なる現状アンケートでは、休校中の学習方法について聞きました。その結果、「市販の学習ドリル」と答えた人が26.9%でもっとも多く、続く「学校の教材での復習」、「通信教材」もそれぞれ20%以上となりました。休校中の学習方法については、どうやらその内容にばらつきがあるようです。Q.休校中の学習方法は?市販の学習ドリル 26.9%学校の教材での復習 23.1%通信教材 20.4%その他 12.4%塾に行く 7.9%塾の課題 5.6%一般公開のデジタル教材 3.1%家庭教師 0.7%※調査期間:2020年4月1日~4月15日■親の在宅の有無、勉強習慣…親たちの悲痛の声パパやママたちからは、子どもの学習に関する悲痛の声がたくさん寄せられていました。「真剣にやったら、親の睡眠時間を削るしかないです。3月は前の学年で終わらなかった分を教え、4月からは漢字、算数、英語をやっています。仕事も看護師できつくなっているなか、倒れそうですね」(神奈川県 40代女性)「新小学1年生なので、 親も子も不慣れです。学校からの課題も量も少なく、あまり習慣化しません」(東京都 40代女性)「学校側が『永遠に休みとでも思っているのか』ってくらい、やる気がないです。学校が始まって、やっていた子との差が広がってしまうのではないかと心配しています」(神奈川県 50代女性)「休校は致し方ないけれど、家に保護者がいるかいないかで、学習格差が出ると思うとせつない。両親ともに在宅勤務は無理だし、勉強を見る時間が確保できない。ひとり留守番だとテレビとゲームの日々なんだろうなぁ」(神奈川県 40代女性)そのほかには、寄せられた意見としては次のようなものがあります。●通信教育はお金がかかって家計が苦しい●家では兄弟がいて集中できない想定外の事態になって、パパやママたちが日々悩みながら子どもたちの学習と向き合っていることがわかります。その現状からは、切迫感が伝わってきます。■学校による学習格差が大きいアンケートでは、全体の約23%が「学校の教材での復習」と答えていました。この回答について、パパやママたちから寄せられた声をみてみると、どうやら学校によってオンライン授業の有無や、課題の多少はさまざまなよう。その内容や対応の違いによって、親たちが子どもたちの学習に対して抱く感情も異なっていました。「新小3の母です。3月の休校から、学校からの課題や宿題は一切なく、丸投げ。突然の休校対応で先生方も大変かと思いますが、せめて、課題や宿題を出して欲しかったです」(神奈川県 40代女性)「新中学3年生ですが、先生が大量の宿題を用意しているため、他の学習まで手が回りません。授業数が足りなかった家庭科のエコバッグ作りや、体育からは1日30分の運動。何を行ったか毎日記入して、親のサイン。朝から晩まで机から離れられません」(神奈川県 40代女性)「中学生の子は学校からの宿題や塾で配布されたプリント、映像授業を受けてます。高校生の子は学校専用のアプリを入学式のときに登録してきて、毎日担任の先生とやり取りをしています。アプリを通じて各教科の先生からドッサリ課題が出され、画像で提出しています」(神奈川県 40代女性)「うちは学校から1人1台タブレット端末が貸与され、ルンルンで学習しています」(神奈川県 30代女性)パソコンやタブレット端末などを利用したICT教育を推進している学校と、そうでない学校との間に、少しずつ乖離ができているようにも思えます。また、学校から課題が出なくて不安な気持ちを抱く人がいる一方で、課題が多すぎて困っている人もいるのが印象的でした。筆者も小学2年生の子どもがいるのですが、小学校でもらってきた課題はプリント数枚程度のみで、2〜3日で終わらせてしまいました。休校期間の長さからすると、あきらかに課題は足りていません。また4月に入ってからは、前の学年の復習と今学年の予習のどちらをすればいいのかわからず、子ども自身もやる気をなくしていて、親子で戸惑う日々です。先生方もこの事態への対応でできる範囲で努力されているのだろうと思います。また先生方が動きたくても多くの課題が残っているという報道も目にします。しかしこれほど長い期間での休校に対して、いまだ対策が取れていない地域や学校も多く、親の焦る気持ちも深まっているように思います。■休校中の学習について見えてきた課題とはここまで、休校によって学校で学習できない現状についてのコメントを見てきましたが、そのなかでは次のような課題が見えてきました。●子どもがひとりで家にいる場合の学習サポートする人材の不在●家での学習習慣が身についていない子どもへの対策●きょうだいや赤ちゃんがいるなどで家庭で勉強する環境が未整備●オンライン学習をするための費用負担●学校から出される課題量のバランス●オンライン学習や双方向Web授業の実施の有無こういった状況のなか、家庭で実施している学習について引き続きコメントを見ていきます。■塾、家庭教師、通信教育…学習のさまざまな選択肢アンケートの結果によると、学校の課題以外に、何らかの学習方法を行っている人は6割を超える結果になりました。それぞれに、何をどのような基準で選んでいるのでしょうか。「塾が配信授業に切り替えたので、家で受けて出された課題を週1回提出に行っています」(千葉県 40代女性)「普段来ていただいている家庭教師にオンラインでお願いしています」(神奈川県 40代女性)「いままで時間がなくてできなかった苦手な作文をじっくり、国語の読解は、一学年戻りやり直し。得意な算数は難易度の高い問題に取り組むなど、本人のレベルにあった勉強をしている」(千葉県 40代女性)「塾の先生が発信しているYouTubeで子供に合った学習法を見つけながら家庭学習をしています。板書を写すのに、途中止めながらノートに記憶する事ができるのが良いと思います」(東京都 40代女性)そのほかには、●ネットで調べた問題をコピーしてやっている●100均のドリルを買ってやらせている●九九の動画を見せているといったコメントも寄せられていました。休校が始まる前から利用している塾や家庭教師をそのまま利用し続ける人や、あらたに動画やプリントを利用し始める人など、さまざまな選択肢があるようです。子どもの性格や、家庭環境によって、それぞれ試行錯誤していることが伝わってきます。また、1日の中でどのように学習に取り組めばいいか、コメントが寄せられていました。「学校と同じ時間にチャイムが鳴るようにアラームをセットし、白紙の時間割を用意して、終わる度に何を何ページ学習したかを書き込ませています。勉強に気持ちが向かない日は、私の趣味でもあるミシンを教えています」(埼玉県 30代女性)「早めの起床、早朝ランニングを毎日行い、午前と午後で時間割を作ってみたりして、子どもが飽きないように日々を過ごしています」(神奈川県 50代女性)時間割を作ったり、早寝早起きをしたりと、学校がなくなって崩れがちな子どもたちの生活リズムを整えるための努力をしている人もいるようです。■今だからこそ身につけたい学習以外のスキルまた、パパやママからは、休校中だからこそ学習以外のことに取り組ませたいという声も寄せられていました。▼今だから身につけたいスキルその1、家事力「勉強より生活力をつける方を優先的に考えてます。母子家庭のため、3人の子どもに家事をたたきこみ、(子どもたちのなかから)リーダーを立てて運動プログラムをこなさせています。当番表も全員で作成して、なんだかんだ楽しんでいます。そうすると、自然と空いた時間に勉強してるみたいで『今日はこんなこと知れた』報告があり、母はうれしい」(大阪府 40代女性)「学習はなかなか進んでやりません。なので、掃除や洗濯物干しをきちんと教えて、ちょい家事をやってもらっています。家事をやりたくない日は『勉強するわ』ってなります」(東京都 30代女性)▼今だから身につけたいスキルその2、プログラミング「iPadの無料アプリで勉強しています。思考力系や、プログラミングも無料で良いものがたくさんあります」(神奈川県 30代女性)「プログラミングとかタイピングとか。いつもなら学校、塾の往復で平日終わってしまうので、こんなときはパソコンに慣れる時期と思って」(岩手県 30代女性)▼今だから身につけたいスキルその3、幅広い知識「貧困国のドキュメンタリーとか旅番組をみせました。東大生の人生観みたいなのもおもしろかったみたい。学校で習わない世界の常識とか知るいい機会かなと」(神奈川県 40代女性)「オンライン英会話を始めました。1日25分間のコースを、毎朝決まった時間に受講しているようです」(神奈川県 50代女性)「うちでは毎日、新聞の記事の中から一つ選んで要約をさせています。感染症の話題も含めて、科学関連や歴史、政治経済などのなかから、本人の興味のある記事を自由に選ばせています。前提や背景、専門用語がわからないと理解しにくい記事があるようで、そのときは教えたり、一緒に調べたりしています」(神奈川県 40代男性)▼今だから身につけたいスキルその4、読書「読書に勝るものはない! ジャンルは問わずなんでも読むことが重要だ!」(埼玉県 40代男性)「非常にストレスのある生活が続いていますが、今だからできる事を考えるのもいいかと思います。子どもたちにはあらためて、『本を読もう!』と声をかけています」(神奈川県 50代女性)「学習」というと、どうしてもドリルや課題など、机に向かって行うものだというイメージがあります。しかし、子どもにとってみれば、どんなことでもその子の力になっていくのだと、あらためて気づかされます。■休校中の親はどんな心持ちでいるべきかそれでは、休校中の家庭では、親はどのような心持ちでいればいいのでしょうか?▼休校中の親の関わり方その1、子どもと一緒「同じ問題を娘と一緒に解き、交換して丸つけをする学習タイムを設けています。時間をはかったり、丸つけが終わってから『ここが難しかったねー』とか『こうやって考えるとわかりやすいよ~』などと話をしながら、間違えた所の復習をしています。仕事から帰宅してからの30分~1時間程ですが、こんな時だからこそ一緒に何かに取り組んだり、たくさん話をしたりできるんだと、前向きに考え乗り越えています」(千葉県 30代女性)「私と主人が学習内容に関わることで、少しやる気になるのかなぁと感じています。どんなことを学んでいるのか見せてもらって、できているところをほめたり、わからない箇所を教えたり、アドバイスしたりしています」(茨城県 40代女性)▼休校中の親の関わり方その2、子どもを見守る「わが家は普段から、試験前でも『勉強しなさい』と言わない教育スタイルです。起床時間と就寝時間だけは決めてますが、毎日の学習時間はとくに決めていません。学校再開後に困るのは本人なので、子どもの成長を見守りたいと思います」(千葉県 40代女性)「『ここでがんばった人は、この先の人生でも自分で生き抜いて行ける力がつくね。くじけずにがんばれ~!』って応援しています」(神奈川県 50代女性)「長い長い春休み。学校が始まったら確実に重圧がかかるので、今のうちに充電してもよかろうと静観している」(神奈川県 50代女性)▼休校中の親の関わり方その3、楽しく取り組める工夫「なかなかやらないのでスタンプラリー形式にしてみました! 今のところがんばっています」(神奈川県 40代女性)「ワンパターンじゃ飽きるので、学校のワークだったり、塾の課題だったり、日によってメニューを変えながら何とかやってます。子どもに毎朝『今日どうしたい?』って聞いて、意思を尊重しつつ、ご褒美のバリエーションも増やしたりして、無理なくできるように工夫しています」(神奈川県 40代女性)普段どおりの生活が送れずに、ストレスがたまってきているパパやママも増えてきているでしょう。在宅勤務できずに子どもとの時間がなかなか取れないという人や、在宅で子どもをみながら仕事をしなければならないという人、仕事をしていないがゆえに逃げ場がなくて悩んでいる人。その事情はそれぞれ異なるにせよ、いつもと違った生活を一生懸命送っているのは、どの家庭も同じだと思います。休校が続くなか、少しでも子どもたちにより良い学習環境を整えてあげたいと考えているパパやママが、努力をしていることが、コメントから伝わってきました。筆者自身も、先の見えない毎日の中、子どもがいる環境で思うように仕事が進められないストレスを感じることが多々あります。休校中の小学生と、自粛要請を受けて休園中の保育園児が二人いる状態ではなかなか仕事が進められず、この先、収入が減少してしまうのではないか、仕事がなくなってしまうのではないかという恐怖感もたびたび襲ってきます。そんなとき、子どもに目を向けてみると、なんだかいつもより生き生きとした表情が少なくなっていることに気づかされ、何よりもストレスを感じているのは、友だちと過ごす当たり前の日常が失われてしまった子ども自身なのではないかと考えさせられることも。親が少しでも心持ちを安定させて、子どもと一緒に時間を過ごしたり、楽しむことこそが、休校中の子どもの支えになるのではないかと考えさせられます。最後に、このようなコメントも寄せられていました。「ニュースを一緒に観てこれから先の事について話し合ったり、ご飯の作り方や洗濯の仕方を教えています。近くに頼れる親戚もいないので、万が一私が感染して入院になっても、子どもたちだけで生活できるように心掛けています。世間では『勉強、勉強』って言われていますけど、今は生き抜く力を養う時だと思います」(東京都 40代女性)口に出しては言えないけれど、心の中で「もし親が感染したら…」と考えているパパママは多いことでしょう。「生き抜く力」は家事力だけではなく、困難なときに負けない心を養うことでもあると思います。子ども自身が困難に立ち向かえるようにするためにも、いまは家庭という基地でのびのび過ごせる環境を作ってあげることも必要な気もします。今回の全世界を襲った感染症が一日も早く終息することを願いつつ、あらためて子どもの心と体の健康を保ちながら、学習の支援ができる方法や親の関わりについて考えてみてはいかがでしょうか。Q.休校中の学習方法は?アンケート回答数: 7131件 ウーマンエキサイト×まちcomi調べ
2020年05月01日子どもにとって、親の言葉は良くも悪くも強力です。たった一言が、子どもに確固たる自信を与えたり、一生の傷を残したりすることもあります。なかには、特別な言葉ではなく、何気なく発したちょっとした言葉が、知らぬ間に子どもに悪影響を与えてしまう場合も……。今回は、そんなつい言ってしまいがちなNGワードをご紹介します。「親の言葉でやる気を失う」51%個別指導塾「スクールIE」を運営する、やる気スイッチグループホールディングスが実施した調査によれば、中高生の51%が、親の言葉により「やる気スイッチ」がオフになった経験があると言います。彼らが言われた言葉で最も多かったのが、「勉強しなさい・早くしなさい」。そのほとんどは、彼らが「やろうと思っている」、もしくは「やらなくてはいけないことはわかっている」という状況のなかで言われたそうです。たしかに、自分がやろうとしているところに、他人から追い打ちをかけるような言葉を言われるといい気はしないでしょう。しかし、ほとんどの場合、この言葉を発する側に悪気はありません。口癖のようになっていて、言ったことすら覚えていないということも少なくないのではないでしょうか。つまり、自覚なく発している親の言葉が、繰り返し子どものやる気を奪っている可能性があると考えられるのです。こうした現象は、残念ながら決して珍しいことではありません。じつは、子どもの教育に悪影響を及ぼしてしまう、親がつい言ってしまいがちな言葉というのは、「勉強しなさい・早くしなさい」のほかにもたくさんあるのです。親から子へのNGワード7選つい言ってしまいがちなNGワードを7つご紹介しましょう。NGワード1:「なんで○○するの!?」子どもが意にそぐわない行動を取ったとき、「なんでこういうことをするの!?」と語気を荒げて言いたくなることもあるでしょう。しかし、「コミュニケーションのプロ」としてメディアに多数出演する作家・カウンセラーの五百田達成さんは、それを「親としてイマイチな対応」と指摘します。たとえば、子どもがレストランで水をこぼしてしまったとき。「なんでこぼすの!」と叱るのは、親としてイマイチな対応といえます。とても純粋な人間である子どもは、どうしてこぼしたのかと親に問い詰められたら、怖くて黙ってしまうか、もしくは原因をあれこれ言うでしょう。でも、親は言い訳を聞きたいわけではなく、反省の弁を聞きたいわけで、子どものウジウジした態度にますます腹が立ってしまうのです。つまりこの質問は不毛なわけです。(引用元:ウーマンエキサイト|子どもに言ってはいけない「なんで○○するの?」声がけは“愛情より戦略”【あなたは大丈夫?話し方で得する人・損する人 第3回】)五百田さんが提案するのは、子どもが何かしでかしたときでも、「これからはどうすればいいと思う?」などの前向きな言葉がけをすること。親が親身になって話を聞けば、ガミガミ叱らなくても子どもは十分反省するのだそうです。NGワード2:「ちょっと待って」同様に、五百田さんは、親が忙しいときによく言ってしまう「ちょっと待って」という言葉もNGとしています。その理由は、「ちょっと」という表現が曖昧で、どの程度の時間を示すのか子どもにはわからないからだそう。たとえて言うならば、職場で上司から「なる早でお願い」と仕事を頼まれたときと同じです。“なる早”の感覚は今日だったり、1週間後だったり、人それぞれ違います。こんなあいまいな会話ではコミュニケーションとしては成立しませんよね。(引用元:ウーマンエキサイト|子どもに言ってはいけない「なんで○○するの?」声がけは“愛情より戦略”【あなたは大丈夫?話し方で得する人・損する人 第3回】)では、どうすればいいのでしょうか。五百田さんが提案するのは、「ちょっと」がどれくらいなのか具体的に示すこと。「洗い物が終わるまで待って」 「あと10分待って」と、子どもにもわかるように伝えればいいのです。NGワード3:「そんなこともできないの?」教育関係のベストセラーを多数持つ教育評論家の親野智可等さんは、子どもの能力を否定するような言葉を発する親に警鐘を鳴らします。その言葉のひとつが、「そんなこともできないの?」。たとえば、算数の計算問題でミスをした子どもが、「3年生にもなって、足し算もできないの?」と親から言われたとしましょう。すると、その子は「自分は算数ができない」という思い込みにとらわれ、何十年も抜け出せなくなる可能性があるのだそうです。悪気がなくとも、「絵が苦手なんだね」「運動音痴だね」などの言葉を発してしまう方も要注意。大切なのは、能力を肯定して信じてあげること。「次はきっとできるよ!」など、前向きな言葉がけを心がけてみましょう。NGワード4:「そんな子はうちの子じゃありません!」親野さんは、存在否定の言葉も子どもに言ってはいけないと言います。たとえば、「そんな子はうちの子じゃありません!」という言葉。これを本心から言う人はいないと思いますが……子どもが反抗したときなどについ感情的になって、もしくは冗談半分で言ってしまったことのある人は少なくないはず。親野さんいわく、存在否定の言葉を言われた子どもは、「自分はいてはいけないのではないか?」と自己否定感にとらわれ続けることになってしまうのだそう。我が子が自己否定感にとらわれ続けるなんて、親としても不本意でしょう。であれば、存在否定の言葉は能力否定の言葉と同様、今すぐやめなければなりません。そして、正反対の言葉がけを心がけましょう。「あなたのことが大好き」「生まれてきてくれてありがとう」など、子どもの存在を無条件に肯定する言葉を日頃から伝えることで、子どもの自己肯定感も高められると言います。NGワード5:「だから言ったでしょう」子どもが親の注意を無視した結果、トラブルを招いたとき――たとえば、子どもが走り回って、親の「危ないからやめなさい」という注意を無視して転んだときは、「だから言ったでしょう」とため息混じりに言いたくもなるでしょう。しかし、心理カウンセラーの佐藤栄子さんは、子どもにとっては、このやり取りのなかで「何が “だから” なのか」がわからないと指摘します。このようなやり取りを繰り返していると、子どもは理由がわからないまま謝り続けることになり、積極性や自信を失ってしまうのだそう。その結果、何かに取り組む際に自身にブレーキをかけてしまうようになることがあるのだとか。佐藤さんによれば、この言葉を使うときの注意点は、「何が “だから” なのか」を説明すること。「ここで走り回ったら、人やモノにぶつかって転ぶことがあるってわかったよね。今度からは気をつけよう」など、わかりやすく伝えましょう。NGワード6:「○○ちゃんってすごいんだね」佐藤さんは、親が子どもの友人の名前を挙げてほめることもNGとしています。理由は、子どもが「ママは自分より○○ちゃんをすごいと思っているんだ」と思い込み、「親の期待に応えられない自分」に自信が持てなくなってしまうからだそう。なかには、親の注目を集めようと悪さをするようになることもあるのだとか。そんなときは、必ず自分の子どもの良いところも挙げるようにすると良いそうです。「○○ちゃんは絵が上手だね。あなたは工作がすごく上手。ふたりともすごいね!」というように、一緒にほめてみてはいかがでしょう。子どもに「自分もママに認めてもらえている」と認識させることができ、安心感を与えることができるはずです。NGワード7:「いい子だね」「いい子だね」は、おそらく多くの方が頻繁に口にしているでしょう。しかし、保育歴60年のベテラン保育士である大川繁子さんの著書『92歳の現役保育士が伝えたい 親子で幸せになる子育て』(実務教育出版)では、この言葉は親が子どもに言うにふさわしい言葉とされていません。同書によれば、「いい子だね」は人を評価する言葉であり、上の人間が下の人間を判定する際に使うもの。また、「いい子だね」とほめられた子どもは、次もほめられることを目的に行動するなど、評価ばかり気にするようになってしまうのだそうです。そのため、子どもが良い行動をしたとき、大川さんは別の言葉で子どもを喜ばせることをすすめています。ですから子どもに対しても評価の言葉は使わず、自分の気持ちを軸に接します。たとえばお友だちにおもちゃを譲ってあげていたら、「友だちに優しくできたね。先生、とってもうれしいよ」って。(中略)「だれかによろこんでもらったり、人のためになったりすることって、うれしいな」――褒めずに感謝の気持ちを伝えることで、そんな貢献のよろこびを感じてほしいと思うのです。(引用元:YAHOO!JAPAN ニュース|子どもに「いい子だね」「すごいね」と言ってはいけない理由)「いい子だね」といった言葉の代わりに、「○○ができたね。ママ嬉しいな」と感謝の気持ちを伝えてみてはいかがでしょう。***こうして見ていくと、親が子どもについ言ってしまうNGワードは、大人どうしでもNGであることが多いことがわかります。それをつい言ってしまうのは、良く言えば親子間の親密度の高さ、悪く言えば緊張感のなさの現れと言えるのかもしれませんね。子どももひとりの人間。相手の気持ちを考えながら接することで、子どもに悪影響を与える発言を控えられるとともに、親子関係もより良くなっていくのではないでしょうか。(参考)やる気スイッチグループ|親に言われてやる気スイッチがオフになる言葉 第1位「勉強しなさい!」東洋経済ONLINE|子どもに絶対言ってはいけない「全否定3要素」YAHOO!JAPAN ニュース|子どもに「いい子だね」「すごいね」と言ってはいけない理由ウーマンエキサイト|子どもに言ってはいけない「なんで○○するの?」声がけは“愛情より戦略”【あなたは大丈夫?話し方で得する人・損する人 第3回】ウーマンエキサイト|親が直すべき口癖3つ! 子供の性格にも影響が出るリスクも
2020年05月01日以前、運動会のかけっこで順位をつけず、最後はみんな手をつないで一緒にゴールした小学校が話題になったことがありました。有名なモンテッソーリ教育も、“競争させない” のがポリシーです。仲良し教育を是とする風潮に、「今の子どもたちは昔に比べて競争心がない」とも言われ、子どもに競争させることの良し悪しはいまだ賛否両論あります。一方で、「負ける」ことに意義を認める日本の伝統競技があります。将棋です。「負けました」と敗者が自ら宣言し勝敗が決まるものは、勝負事としてほかにはないでしょう。期待の若き棋士藤井聡太7段(*)は、将棋を通して今も成長し続けています。その成長には、“負ける” という経験が大きく作用しているそうです。勝敗を競うべきか否かには一長一短ありますが、今回は「負けることの意義」にフォーカス。そこから得られる学びについて詳しく検証してみましょう。*…2020年4月現在子どもの「負け」を成長につなげるために負けると誰でも悔しいものです。その “負” の感情をどう自分の中で処理するかに成長の鍵が潜んでいます。負けを成長につなげるためのポイントは2つです。■負けを認める「自分の弱さを認めることで、どんな困難も乗り越えられる」とは、アメリカ国防総省現役官僚のカイゾン・コーテ氏の言葉。その心理ステップは次の通りです。自分の弱さを受け入れると、本当の自分が見えてくる本当の自分が見えてくると、自分を正しく機能させることができる自分を正しく機能させることができると、最善の選択ができる(引用元:STUDY HACKER|“負け”から成長できる人とできない人の決定的な差。一流営業パーソンは失敗しても〇〇を言わない。)つまり、負の感情を認めることで、自分の気持ちが一度リセットでき、ストレスのない状況で冷静な判断と落ち着いた行動ができます。負の感情をいつまでも引きずらずに前に進むための第一歩が、「負けを認める」ことなのです。しかし、子どもにとって「負けを認める」のはなかなか難しい。そんなときは、親が共感してあげるとよいのだそう。モンテッソーリ教育を掲げる「吉祥寺こどもの家」の百枝義雄先生は、親が「悔しいね」と共感するだけで、子どもは負けてしまったにもかかわらず「自分の持っている感情は間違っていない」「自分の経験は間違っていない」と自信をつけると言っています。■負けを乗り越える弱い自分を受け入れることで第一段階はクリア。しかし、負けを認めるだけでは成長はありません。その後に悔しい思いを糧に努力することが大事です。将棋の世界では、負けを宣言することにはもうひとつ重要な意味があります。それは、負けを口にできる精神的強さを証明したことになり、メンタルでは勝者を上回ったと認められるということなのです。「負けることの意義」は、まさにここにあります。「負けるのはダメなことではない、強さにつながる過程なのだ」と学び、負けを恐れず積極的にチャレンジできる人になれるのです。とはいえ、子どもには少々難しいかもしれません。日本ストレスマネジメント学会事務局長である小関俊祐先生は、「いいチャレンジだったよ!」「毎日頑張っていたよね」と、結果ではなく、毎日の行動や努力を親がほめてあげることで、再び挑戦する力を身につけられると話しています。子どもが思った結果を出せなかったときこそ、日々の努力や頑張りをたくさんほめてあげましょう。競争しない教育を受けた子どもは「攻撃的な大人」になる!?逆に、「負けないこと(競争しないこと)」のデメリットはあるでしょうか。反競争的な教育は、成績に優劣をつけないことで、仲良く協働できるようになること、そして競争に惑わされずに本来の学びに集中することを目指しています。しかし、経済学者で大阪大学大学院経済学研究科教授の大竹文雄氏の研究では、「反競争的教育を受けた子どもは、利他性が低く、非協働的、攻撃的な大人になる」という驚くべき結果がでたのです。本来、人の能力には生まれながらの素質がそれぞれあり、誰しも得意・不得意がありますよね。しかし、競争をしてこなかった子どもは、「能力は誰しも平等で、努力すれば等しく向上できる」と思ってしまうのだそう。もし能力に劣った人がいると、「努力を怠ったから」と断定し、困っている人がいても、助けてあげない傾向があると言うのです。負ける悔しさや、克服する大変さを身をもって知るからこそ、人を思いやり、協働できる人間力が育まれるのだとすると、楽しいこともつらいことも含めた多様な体験こそが、子どもの将来のために何よりも必要なものなのではないでしょうか。「いい子でなきゃいけない!」と思っている子ども子どもは自分の気持ちにきちんと向き合ったり、人に伝えたり、感情をうまくコントロールしたりする術をまだ完全には身につけられていません。消化できないもやもやを分析してみると、負けを認めない子どもの心理には大きく2つ原因があるようです。要因1:生まれつきの性格生まれ持った性格は皆それぞれ。アメリカの精神科医であるトーマス博士が研究発表した「9つの気質」(活発さ・集中力・粘り強さ・環境対応力・規則正しさ・順応力・五感の敏感さ・感情表現・ベースの気性)が混じり合うことによって、子どもは、負けず嫌いの子、のんびりした子、几帳面な子などの性格になります。そして、そこに家庭環境などが影響し、“負け” をどうしても受け入れられない子が出てくるのです。要因2:親からの “いい子” プレッシャー子育て支援士の田宮由美さんによると、どんな子にも保身の気持ちはあるので、親から感情的に叱られたりすると、つい自分の負けを人のせいにしてしまうことも。また、日頃から保護者や先生に「いい子にしなさい」と言われて育つと、「いい子でいなければ受け入れてもらえない」という不安を抱くことに。「負け=悪い子」という構図ができ上がり、どうしても負けを受け入れられない気持ちになってしまうのだといいます。これらの子どもの心理には、やはり親の接し方が大きく関わってきます。注意点を2つ見てみましょう。「レジリエンス」を育むための2つの方法レジリエンスの言葉の意味は「回復力・弾力性」。心理学的には「折れない心・しなやかな強さ」という概念で使われています。つまりは「負けてもへこたれない打たれ強さ」のことで、「生きる力」には不可欠な要素。負けを恐れないレジリエンスを育むためには、どんなことが必要なのでしょうか。以下の2つは、つい「言ってしまう・やってしまう」親の対応ともいえるのでは?NPO法人ハートフルコミュニケーション代表理事の菅原裕子さんのアドバイスを参考に、ポイントをまとめてみました。■子どもを否定しない親は、子どもの気質や思考のクセをできるだけ正確に把握し、常に意識しておく必要があります。特に気をつけたいのが、ネガティブ思考に陥るときのパターン。几帳面で正義感が強い子は、ほかの子がルールを破ったりすると許せず、怒ってしまうことも。そんなときは、親がフォローしてあげましょう。ここで重要なのは、決して子どもを否定や非難してはいけないということ。子どもの気持ちを受け止めたうえで、「Aちゃんはどうしてあんなことをしたのかな?たぶん〇〇だったんじゃない?」と相手の気持ちを慮ることを促すなど、いろいろなものの見方があることに気づかせてあげるのが大事です。ひとつの考えに固執しないことに慣れていくことで、子どもの気持ちも楽になり、視野も広がっていくでしょう。■子どもを人と比べない「〇〇君には負けないで」「お兄ちゃんは一番だったんだから、あなたも頑張って」など、特定の人と比べる言葉をお子さんに投げかけてしまうと、子どもは周りの人に対して偏った競争心を持ってしまい、本来の勉強や競技に集中できなくなってしまいます。対象が身近であるほど、負けることでコンプレックスを抱えてしまうことにも。競争心は特定の人物にではなく、自分の目標に対して抱くべきものなのです。たとえば、一緒にサッカーを練習しているお友だちのほうが上手で、いつもレギュラーで試合に出ているとしたら、子どもは悔しいと思うと同時に、自分にコンプレックスを抱くでしょう。そんなとき、努力のモチベーションを、友人に対する負の思いではなく、自分に向けるべく親が誘導してあげましょう。「目標はレギュラーになること」と定め、そのための手段として「ひとつずつ技を着実に身につけること」とし、具体的なトレーニングメニューを考えます。自分のレベルアップにフォーカスするのです。そうすることで、競争心は前向きな力となります。親は、子どもの意識を他人ではなく自分の内側に向けるガイドの役割を果たすことが求められます。正しい努力をして負けたなら、子どもは負けを受け入れられるようになっているはずです。そこからたくさんのことを感じ取って、成長してくれることでしょう。***長い人生、競争を完全に避けることは不可能ですよね。大小さまざまな優劣、勝敗によって傷ついてしまうこともあるでしょう。目標は、「負けることは悪いことじゃない」と子どもが思えるようになること。負けることにへこたれない強さと、挫折をプラスに転じる力がつけば、自己肯定感も高まります。「子どもの頃にたくさん負けて人間力アップ!」という気持ちで、親子一緒にいろいろなことにチャレンジしてみましょう!(参考)STUDY HACKER|“負け”から成長できる人とできない人の決定的な差。一流営業パーソンは失敗しても〇〇を言わない。JCER 日本経済研究センター|2014年8月14日 反競争的な教育が助け合いを減らす?公益社団法人 日本将棋連盟|将棋コラム|将棋で負けた子供へはどう接すればいい?「負けました」から得られる心の成長【子供たちは将棋から何を学ぶのか】SHINGA FARM|子育てのコト|自分の過ちや失敗を「人のせい」にする子どもの心理と対応法STUDY HACKERこどもまなび☆ラボ|「おしごと」と「集中現象」とは?“親にしかできない”もっとも重要なことSTUDY HACKERこどもまなび☆ラボ|我が子はどのタイプ?個性がわかる「9つの気質」の組み合わせから、子どもを伸ばす方法が見えてくる!さぽナビ|子どものココロジー 競争心の弱い子・すぐあきらめる子STUDY HACKERこどもまなび☆ラボ|子どもの「レジリエンス」を高めるのは、親子の会話。結果ではなく“挑戦”を褒める!
2020年04月27日共働き家庭が増加し、かつ教育熱も高まっているいま、「歴史上かつてないほど、お母さんが頑張っている時代」なんてこともいわれます。そういうお母さんたちに向けて、「すでに十分に頑張っている自分を認めることが大切」と語るのは、自身が母親になったことをきっかけに絵本の世界に飛び込んだ「絵本スタイリスト®」の景山聖子さん。景山さんがおすすめするお母さん向けの絵本の紹介と併せて、頑張っているお母さんに向けてメッセージを頂きました。構成/岩川悟取材・文/清家茂樹写真/石塚雅人(インタビューカット)とにかく「頑張りすぎている」いまのお母さんたちいまのお母さんたちは、とにかく「頑張りすぎている」というのがわたしの印象です。というのも、いまはすぐに「比較」できてしまう時代だからです。インターネットが浸透したいまは、いくらでも情報が手に入りますよね?とくにまだ幼い子どもがいる場合、自分のために外出することなどほとんどなく、家では基本的に子どもと過ごすことになるでしょう。そのためにインターネットでいろいろな情報に触れる機会も増えます。すると、まずは他のお母さんと自分を比べてしまう。自分の子どもの成長や自分の子育てを、他の子どもの成長ぶりや他のお母さんの子育てと比べてしまうのです。そうして、「もっと頑張らなきゃ!」というふうに思ってしまうお母さんが多いのではないでしょうか。また、その比較対象は他人ばかりではありません。自分の記憶にある、ワーキングウーマンとしてばりばり働いていた頃の自分といまの自分を比較することもあります。子育てや家事に疲れていて、仕事では勤務時間が限られていたりするためにむかしほど成果を挙げられないいまの自分とむかしの自分を比べて、「あの頃の自分は輝いていたな……」なんて考えてしまうこともあるのです。お母さん向けの絵本を読んで本当の自分の気持ちを知るそんなときに大切なのは、すでに頑張っている自分を認めてあげること。そのための助けになるような、お母さん向けの絵本がたくさんあります。たとえば、『今日』(福音館書店)という絵本もそのひとつ。これは、ニュージーランドの子育て支援施設に伝わる詩を、詩人の伊藤比呂美さんが日本語訳したものです。登場人物のお母さんは、その日、皿洗いもしなければ窓ガラスも磨かなかったし、ベッドはぐちゃぐちゃのままにしていました。そうして「わたしは今日なにもしなかった」と自己嫌悪に陥ります。でもその日、お母さんは子どもが眠るまでおっぱいをあげたり、泣きやむまで抱っこをしてあげたり、子どもとかくれんぼをして遊んであげたりしました。そうして、なにもやっていないどころか、「いちばん大切なことをしていたんだ」とお母さんは気づくのです。それこそ、共働きをしているような忙しい毎日を送っているお母さんには、ぜひ読んでほしい1冊です。また、お母さん向けの絵本には、先にお伝えしたようなインターネットなどから入ってくる情報に振り回されることなく、自分自身の子育てができるようになるという効果もあります。たとえば、のんびりした雰囲気の絵本を読んだときに、「こういう生活がいいなあ」と感じるようなら、そのお母さんには詰め込み教育のような子育ては合わず、もっとのんびりした子育てが合っているのです。たとえば、『くまくまちゃん』(ポプラ社)という絵本は、まさにそういうのんびりした雰囲気の絵本です。内容としては、ただただお母さんがしたいことがいっぱい書かれているだけのもの(笑)。この絵本にぐっとくるようなら、もっとのんびりとした子育てができるようにすることを考えるのがいいかもしれませんね。いずれにせよ、お母さんを対象にした絵本を読んで、そこから湧き上がる自分の感情をキャッチしてみましょう。そうすることで、自分がどんな子育てをしたり家庭を築いたりしたいのかということが見えてくるはずです。夫を褒めると夫自ら子育てに協力的になる!最後に、ご主人との関係についてわたしからお母さんたちにアドバイスをしておきます。多くのお母さんたちから、「夫との関係が修正できた」という感想が届いている方法です。共働き家庭が増えたとはいえ、やはり子育てや家事の中心を担うのはお母さんだという家庭が多いはず。そのため、「夫が協力してくれない」と悩んでいるお母さんも多いものです。ここでも、まずは絵本を読んでほしい。わたしからおすすめするのは、『みつけてん』(クレヨンハウス)。内容はちょっとシュールなのですが、夫婦が仲良くできていたときの愛情を思い出せて穏やかな気持ちになれるような内容です。すると、普段は忘れていたようなご主人のいいところもまた思い出せるようになる。そうして自分の心を満たしてから、ご主人に対して文句をいったり要望を伝えたりするのではなく、その思い出したご主人のすてきなところを褒めてあげてみてください。そうすると、不思議なことに、ご主人が自分からどんどん子育てや家事に協力してくれるようになるはずです(笑)。わたしが講演などを通じて出会ったお母さんたちからは、「夫が自分から皿洗いをしてくれるようになった」といった声がたくさん届いていますよ。一方で、不満は不満で吐き出すことも大切です。核家族化が進んだいま、子育てなどをめぐってご主人とぶつかっている状態では、家庭には不満を吐き出す場所がありません。ですから、ママ友同士のつながりが大切なのです。イライラしたり怒りを感じたりしてしまうのは、人間だから当然です。そういう自分を「駄目な自分」というふうに決めつけるのではなく、「人間とはそういうものだ」ととらえ、ママ友の集まりの場に積極的に参加してイライラなどを吐き出すようにしましょう。それが、結果的には家庭円満につながるのです。『子育ての悩みには“絵本”が効く!! ママが楽になる絵本レシピ31』景山聖子 著/小学館(2018)■ 絵本スタイリスト®・景山聖子さん インタビュー記事一覧第1回:「絵本の読み聞かせ」から、子どもが学ぶもの。そして、親が手に入れるもの。第2回:「勉強が勉強でなくなる」のが絵本の魅力! でも「勉強のつもり」で読み聞かせてはダメ第3回:「上手に読んであげて、感想を聞く」のは絶対に避けて。絵本の読み聞かせの鉄則です第4回:「もっと頑張らなきゃ」と自己嫌悪に陥りがちな母親たちに、励ましをくれる絵本の存在■景山聖子さん連載『絵本よみきかせコーチング』記事一覧【プロフィール】景山聖子(かげやま・せいこ)群馬県出身。絵本スタイリスト®。群馬テレビアナウンサーを経て上京し、TBS、テレビ朝日、日本テレビ等で報道番組などのリポーターを務めたのち、ナレーターへ転身。NHKラジオの朗読番組『私の本棚』などを担当する。一児の母となると同時に、絵本の世界に魅せられ、2013年に(社)JAPAN絵本よみきかせ協会を設立し、代表理事に就任。ボランティア認定資格講座には全国から人が集まり、公共施設やカルチャーなどの「よみきかせ講師」も多数育成。現在は、絵本を介しての子育てに関する講演活動を行うほか、パナソニック読み聞かせ機能搭載ライトのアドバイザーやカルピス読み聞かせ隊のサポーターに就任。アカチャンホンポ・ピジョン保育士の全国社員研修なども担当。NHK総合テレビで絵本の朗読も行う。園や小学校での絵本の読み聞かせも続け、絵本の持つ力を広めるために精力的に活動している。主な著書に、『今日から使える読み聞かせテクニック』(ヤマハミュージックメディア)、(『子育ての悩みには“絵本”が効く!! ママが楽になる絵本レシピ31』(小学館)、『子どもが夢中になる 絵本の読み聞かせ方』(廣済堂出版)がある。【ライタープロフィール】清家茂樹(せいけ・しげき)1975年生まれ、愛媛県出身。出版社勤務を経て2012年に独立し、編集プロダクション・株式会社ESSを設立。ジャンルを問わずさまざまな雑誌・書籍の編集に携わる。
2020年04月24日ベビーカレンダー編集部がおすすめの「妊娠・出産・育児マンガ」をご紹介♪ 今回は、Twitterでフォロワー5万人超えのさざなみ(@3MshXcteuuT241U)さん。4歳と1歳の姉妹ママです。さざなみさんのマンガは、このほかにもTwitterで更新されています。ぜひチェックしてみてくださいね♪ 監修/助産師REIKO
2020年04月23日文章に出てくる数字を並べて適当に計算をするだけでは、絶対に正解にたどり着けない――。算数嫌いな子どもたちが、とくに苦手としているもののひとつが「文章題」ではないでしょうか。では、どうすれば文章題に対する子どもの苦手意識をなくせるのでしょうか。算数に特化した学習塾「RISU」の代表である今木智隆先生は、「読み解き、考える」ことをキーワードに挙げてくれました。構成/岩川悟取材・文/清家茂樹写真/石塚雅人(インタビューカットのみ)文章題が、大人になったときの問題解決能力を育む算数という教科には、「積み上げ型」という特性があります。足し算、引き算、掛け算、割り算のどれかの理解が足りなければ――つまり、それらが積み上げられていなければ、あらゆる要素が含まれてくる四則混合計算の問題を解くことはできません。そうして、重要な要素が抜け落ちたままで先に進むと、理解できないことが増えて算数がどんどん苦手になるのです(インタビュー第1回参照)。しかも、学年が上がるにつれて単元の内容や問題自体が次第に複雑化していき、中学以降の数学になれば変数なども読み解かなければならない。この「読み解く」ということが、文章題を語るうえでのキーワードです。文章題は、それこそ内容を読み解いて考えなければ正解にたどり着くことができない問題です。つまり、小学校の算数で文章題を読み解くことができなければ、読み解かなければならない要素がどんどん増えていくその後の数学、あるいは物理はまともにできないということになるでしょう。そうなると、ロケット開発に携わるといった子どもが持つ夢を叶えることは難しくなります。ただ、同じ理系の科目でも、化学には比較的暗記や実験が重視される側面があります。理系の科目のなかにも、化学のように暗記と実験の要素が強いものと、物理のように数学的要素が極めて強いものというちがいがあるのです。そういう意味では、小学生の頃から文章題が苦手なままだと、将来のいくつかの選択肢がそぎ落とされるということがいえるかもしれません。そのように将来の可能性を狭めないためということの他に、子どもたちには文章題を得意になってほしいとわたしが考える理由があります。それは、文章題を解くという行為が汎用性の高い力を身につけるからです。なにかを読み解いて考えるという行為は、あらゆる問題を解決するプロセスの基本中の基本ですよね。この力は、将来さまざまな場面で役立ってくれます。もちろん、算数の文章題ができない人のすべてが社会に出たときに力を発揮できないというわけではありません。でも、文章題によって問題解決能力を高められれば、それだけ社会で活躍できる可能性も広がると思うのです。「文章題といえない文章題」では読み解く力は育たないでは、どうすれば文章題が苦手ではなくなるのでしょうか?ここで、小学生向けの少しひねった例題を紹介しましょう。【問い】A君はボールを2個、B君はボールを3個、C君はボールを4個持っています。B君とC君のボールを合わせるといくつになるでしょうか?大人のみなさんなら簡単でしょう。B君の3個とC君の4個を足して「3+4=7」となるので、答えは「7個」です。ところが、子どもたちのなかにはA君の2個も足して「9個」と答える子も少なくありません。というのも、公立校で使われる教科書にもそれに準拠した一般的な教材にも、こういった少しひねった問題がほとんど出てこないからです。「足し算」の単元で習った計算問題のように、出てくる数字を頭から足していけばいいと子どもたちは思っているわけです。本来、文章題というのは、文章をきちんと読み解いて考えなければ式を立てられない問題である必要があります。でも、なにも考えず頭からただ数字を足せばいいといった、本当の意味では文章題とはいえないような文章題でも形式的には文章題に見えます。そのため、そのような問題であっても正解すると、「僕は文章題が得意だ」と子どもは勘違いしてしまう。でも、そのままでは、ひねった応用問題に対応するために必要な、読み解いて考える習慣が身につきません。メリットが多い「算数検定」の問題集がおすすめ大切なのは、読み解いて考える習慣を身につけること。そして、そういう習慣を身につけられる、いわゆる「良問」をたくさん解いていくことが重要です。そういったことを前提に、子どものために良問が多い教材を選んであげましょう。わたしが代表を務める「RISU」のタブレット教材もおすすめしたいのですが、他にわたしがおすすめするのは、「算数検定」の問題集。受験者のあいだに差をつけられなければ検定になりません。ですから、算数検定には、本当に力がある子とそうでない子にきちんと差をつけられるような良問が多いのです。また、算数検定の問題集には、実力診断にもなって子ども自身が得意な単元や苦手な単元を把握することもできる、あるいは、算数が得意な子どもなら飛び級でレベルの高い問題に挑戦できるというメリットもあります。文章題の苦手を克服するということ以外にも有意義なものですから、算数検定の問題集を子どもに与えてみてはどうでしょうか。『10億件の学習データが教える 理系が得意な子の育て方』今木智隆 著/文響社(2019)■ 算数塾「RISU」代表・今木智隆先生 インタビュー記事一覧第1回:子どもを「算数嫌い」にしない大原則。幼児期からできる“算数好きの基礎”の築き方第2回:子どもが勉強で成果を出せないのは、親の「勘違い」が原因かもしれない第3回:10億件のデータを調べてわかった、小学生が「ずば抜けて苦手」な算数の単元と例題第4回:「算数の文章題が苦手」な子どもが、ひねった応用問題でも解けるようになる教育法【プロフィール】今木智隆(いまき・ともたか)RISU Japan株式会社代表取締役。京都大学大学院エネルギー科学研究科修了後、ユーザー行動調査・デジタルマーケティング専門特化型コンサルティングファームの株式会社beBitに入社。金融、消費財、小売流通領域クライアント等にコンサルティングサービスを提供し、2012年より同社国内コンサルティングサービス統括責任者に就任。2014年、RISU Japan株式会社を設立。タブレットを利用した小学生の算数の学習教材で、延べ10億件のデータを収集し、より学習効果の高いカリキュラムや指導法を考案。国内はもちろん、シリコンバレーのハイレベルなアフタースクール等からも算数やAIの基礎を学びたいとオファーが殺到している。【ライタープロフィール】清家茂樹(せいけ・しげき)1975年生まれ、愛媛県出身。出版社勤務を経て2012年に独立し、編集プロダクション・株式会社ESSを設立。ジャンルを問わずさまざまな雑誌・書籍の編集に携わる。
2020年04月23日現在、5歳・2歳のやんちゃな男の子2人を育てています。最近、もうすぐ6歳になる長男が「バカ」「あっち行け」「うるせーな」など言葉づかいが悪くて困っていました。幼稚園やYouTubeで覚えたのだろうと思っていましたが、本人に聞くと意外な答えが……。大反省した体験をお伝えします。 言葉づかいが悪すぎる!最近の長男はとにかく口が悪く、何か注意しても「面倒くせーなー」「ぶっとばすぞ」など耳を覆いたくなるような言葉の数々。2歳の次男までが長男をまねて、舌足らずな声で「ぶっとばすぞ」と言ったときは本気で子育てが嫌になりました。もちろん、次男は言葉の意味を理解していないですが、これは本当になんとかしないといけないと思い、原因を知るため、長男にどこでこの言葉を覚えたのか聞き取り調査をすることに。 原因は…私!?すると「ぶっとばす」「バカ」はアニメのキャラクターが言っていたセリフとのこと。確かに「ぶっとばす」はそのキャラクターがよく言っているなぁ……と納得。日常的に使って良い言葉ではないことを、一緒に見ているときにきちんと説明しなければいけなかったと反省しました。他の言葉も「幼稚園で〇〇君が言ってた!」とも。 長男と話していると、「悪い言葉」というのは何となく理解している様子。幼稚園では他のお友だちには言っておらず、家で私や弟にだけ使っているとのこと。しかし、乱暴な言葉だし、聞いた人が悲しくなる言葉なので使わないようにと言い聞かせました。最後に「あっち行け」の発生源を聞くと、長男は驚いた顔で「ママだよ」と。 一度だけでもダメ!?「ママがそんな言葉使うわけないでしょ!?」と驚く私に、「ママ、前に怒ったときに言ってたよ!」とのこと。そう言われると確かに、体調が悪くてイライラしているときにワガママを言われて思わず使ってしまった記憶が……。ただ、自己弁護すると言ってしまったのは本当に一度だけですし、日常的には使っていません。ただその「一度」だけでも子どもにとっては覚えるのには十分、衝撃的な言葉だったようです。大反省しました。 社会生活を送るなかで、子どもが悪い言葉を覚えてきてしまうのはある程度は仕方のないことだと思います。ただ、今回の場合は、私が悪い言葉を使うことで子どもも「ママが使ったなら、僕も使ってもいいんだ!」と思ってしまったようです。一度だけであっても使うべきではなかったと反省しました。今は子どもと一緒に私も正しい言葉づかいをするように気を付けています。 監修/助産師REIKO著者:竹内優実5歳と2歳の男児を育児中。時短と節約が大好きなアラフォー母。簿記2級・MOSマスター・初級シスアド取得。パソコンを活かした育児グッズの作成が得意。夫は激務の為、ほぼ一人育児中。
2020年04月22日何気なく子どもの様子を見たときに、「なんだか姿勢が悪いような気がする」と感じたことはありませんか?猫背や頬杖をつくなどの悪い姿勢は見た目にも良いとはいえず、さまざま弊害が生まれることもあります。今回は、子どもの姿勢を正しく保つことの大切さについて紹介しましょう。正しい姿勢で子どもが伸びる!?正しい姿勢を保つことが習慣化すると、見た目が美しいだけでなく、学習面や運動面、身体面にもメリットが生まれ、子どもの能力を伸ばすことにつながります。病気や不調の治癒や予防を目的としたヨガセラピーの指導に従事している神田玲子氏いわく、以下のようなステップで座ると正しい姿勢がとりやすくなるそう。Step1.椅子に深く腰かけ、膝を90度に曲げて、膝下を床に垂直に下ろすようにそろえて座る。その際、机と体の間は握りこぶしひとつぶんくらい空けておく。Step2.背筋をぴんと伸ばし、お尻を後ろに引くように意識して背筋を伸ばす。胸を張らないように注意しながら、お腹もまっすぐ伸ばす。Step3.やや二重顎になるくらい顎を引き、頭は前に出ないようにして、リラックスしながら体をまっすぐに保つ。正しい姿勢を保つことのメリット正しい姿勢を保つと、以下のようなメリットがあります。勉強編正しい姿勢を保つと、集中力が増し、思考や記憶に影響を与える空間認知能力が鍛えられます。脳医学者の林成之先生によると、姿勢が悪いと体軸が傾き、目線も傾いてしまうそう。すると、左右の目から入ってきた情報にズレが生じ、脳が左右の情報をひとつにまとめる作業が必要になるため、脳が疲れやすくなるのだとか。しかし、正しい姿勢を保つと、情報をまとめる作業が不要になるぶん、左右の脳が同時に働くために疲れにくく、集中力がアップするといいます。スポーツ編正しい姿勢は、スポーツを行なううえで大切な判断力アップにもつながります。前出の林先生いわく、姿勢の悪さによって目線が傾き、入ってくる情報にズレが生じることは、体を動かすタイミングにも影響するとのこと。正しい姿勢で目線を水平に保つことで、ものがよく見え、判断力が上がるそう。食事編正しい姿勢で食事をすると、内臓がスムーズに働いて消化吸収が良くなったり、歯並びや噛み合わせが良くなったりするメリットがあります。一般社団法人・日本青少年育成協会理事の池上公介氏によると、食事の際に片肘をついたまま食べたり、脚を前に投げ出して体をななめにしながら食べたり、茶碗を持たずにテーブルに覆いかぶさるようにして食べる「犬食い」をしたりすると、内臓が圧迫されて消化吸収が悪くなるそうです。また、アリビオ矯正歯科クリニックによると、足をブラブラさせる悪い姿勢で食事をすると、しっかりと噛むことができないため、顎の発達に悪影響が及び、歯の並ぶスペースが不足して、歯並びが悪化する可能性も出てくるそう。子どもの姿勢を良くするためのポイント子どもの姿勢を良くするためには、以下を実践してみてください。腹式呼吸をする理学療法士の田舎中真由美氏いわく、人は正しい姿勢でいると胸が開いた状態になり、自然と深い呼吸=腹式呼吸をしているそう。腹式呼吸を続けることで、体が正しい姿勢をキープできるようになるのだとか。お腹が膨らむまで鼻から深く息を吸ったあと、お腹をへこませながら、口からゆっくり息を吐くのが正しい腹式呼吸です。子どもに教えながら親も一緒に行なえば、親子で正しい姿勢を手に入れられますよ。声がけを工夫するフリースクール・パーソナルアカデミー代表の谷圭祐氏によると、子どもの姿勢を良くしたいあまり、毎日のように「姿勢を良くして!」と注意していると、親子ともに疲れてしまうそう。そうならないためにも、姿勢についての声がけは1日1回程度にし、「本からもう少し目を離してみたら?」「疲れているみたいだし、少し休憩したら?」など、姿勢を正すというよりは、長時間悪い姿勢で過ごさないことを促す内容にすると良いとのこと。太陽の光を浴びる機会を増やす日本体育大学教授の野井真吾氏いわく、子どもの姿勢を良くするためには、日中に太陽の光をしっかり浴びて、夜はぐっすり眠る、生活リズムを整えることが大切なのだそう。セロトニン神経は、良い姿勢を保つポイントとなる背筋などに、緊張を与える役割を持っています。そのセロトニン神経をしっかり働かせるためには、日中に太陽の光を浴びることが重要です。しかし現代の子どもたちは、外遊びの時間が少ないなどの理由から太陽の光が不足しており、セロトニン神経が弱くなっている傾向があります。セロトニン神経が弱ると、背筋などがしっかり働かなくなるだけでなく、夜に体温を下げて眠りを誘うホルモンであるメラトニンが生成されにくくなることから、寝つきや朝の目覚めが悪くなるなどして生活リズムが狂ってしまうのです。***姿勢を正しくすると、見た目が良いだけでなく、学習面や運動面、健康面など幅広いメリットがあり、まさに良いこと尽くし。日々のちょっとした工夫や心がけで、親子で正しい姿勢を手に入れましょう。文/田口 るい(参考)ベネッセ教育情報サイト|幼児からできる!授業を聴ける心と体づくり【前編】姿勢が悪くなっている原因とは?ベネッセ教育情報サイト|成績もアップ!?正しい姿勢で勉強するメリットベネッセ教育情報サイト|我が子の姿勢が悪い…良い姿勢をキープさせるためにしたいことAERA dot.|子どもの姿勢がすぐによくなる、たった2つの改善法とは?PHPファミリー|姿勢がよくなると勉強もスポーツもぐんぐん伸びる理由幻冬舎ゴールドオンライン|食事中・学習時の「姿勢」が成績に直結する理由アリビオ矯正歯科クリニック|食事の姿勢が子どもの歯並びに影響するって本当?
2020年04月22日子どもに絵本を読んであげるとき、「どうせだったら、うまく読んであげよう」と考える人もいるはずです。でも、「絵本スタイリスト®」であり、絵本の読み聞かせのプロでもある景山聖子さんは、「うまく読もうとしなくていい」と語ります。その理由はどんなものでしょうか。子どもの年齢別のおすすめ絵本と併せて、読み聞かせのコツを教えてもらいました。構成/岩川悟取材・文/清家茂樹写真/石塚雅人(インタビューカット)子どもの年齢に合った絵本を「プロ」に選んでもらう絵本の読み聞かせをする前に、なによりも子どもの発達段階に合った絵本を選ぶことが大切になります。というのも、絵本はそれぞれ対象年齢を考えて学習効果などなんらかのメリットがあるようにつくられているからです。なかには、まだ1歳くらいの赤ちゃんに、「4〜5歳向け」の絵本を読んで反応が悪いからといって、「うちの子は絵本が嫌いだ」なんて思うような人もいるようですが、発達段階に合っていない本を読み聞かせしているのですから反応が悪いのは当然です。ただ、むかしの絵本には「○歳向け」というふうな表示がありましたが、じつはいまの絵本にはその表示が減ってきています。では、どうやって絵本を選べばいいのでしょうか?それはとても簡単なこと。「絵本のプロ」に教えてもらえばいいのです。図書館に行けば、「0〜1歳向け」「2〜3歳向け」というふうに、絵本の棚がわけられていることもあります。そういう分類をリストにして配布している図書館もありますから、それらを参考に選べばいいわけです。あるいは、まさに絵本のプロである図書館の司書さんに話を聞いてもいいでしょう。きっと、それぞれのお子さんに合った絵本を紹介してもらえるはずです。ストーリーではなくコミュニケーションが大切では、子どもの年齢に合った読み聞かせのコツと、わたしがおすすめする絵本を紹介していきましょう。まずは0〜1歳の子どもへの読み聞かせについて。この時期の子どもは、親との親密なコミュニケーションによって親子の絆を築いていく時期にあたります。もちろん、まだストーリーは理解できません。ですから、重要となるのは絵本のストーリーなどではなく、親子のコミュニケーション。この年齢の子どもを対象とした絵本には、親子でコミュニケーションが取りやすいように、擬音語や擬態語がただ並んでいるだけというような内容が多いものです。わたしがおすすめするのは、『じゃあじゃあびりびり』(偕成社)。それこそ、擬音語や擬態語が並んでいるだけです。それらを子どもの目をしっかり見て、大げさに抑揚をつけるなど面白おかしく読んであげてください。そうすることで、子どもは「お父さん、お母さんと過ごす時間は楽しい」「絵本は楽しい」と感じ、ゆくゆくは読書に親しんでくれる子どもに成長してくれるでしょう。続いて、2〜3歳の場合です。この時期の子どもは、日常生活にとても強い興味を示します。大人がやっていることに興味を持って自分でもやりたがりますが、内容によっては危険が伴うこともあり、なんでも経験させるわけにはいきません。ですから、絵本のなかでいろいろな日常を経験させてあげましょう。雨などの天候や食べ物など、日常が描かれているものが最適です。わたしのおすすめは『どうぞのいす』(ひさかたチャイルド)。それこそおいしそうな食べ物がたくさん描かれていますし、内容として助け合いの大切さを学べるというメリットもあります。4〜5歳向けの絵本は「栄養価が高い絵本」の宝庫それから、4〜5歳の子どもを対象にした絵本は、まさに良書の宝庫です。4〜5歳向けの絵本には、「栄養価が高い絵本」と呼ばれるようなロングセラーの絵本がたくさんあるのです。この時期の子どもは、比較的長いストーリーもしっかり理解できるようになることがその要因でしょう。それぞれに個性的なストーリーを持っているバリエーション豊かな絵本がたくさんあります。それらを通じて、さまざまな「体験」をさせてあげることが、子どもの人格を豊かにしていくために大切です(インタビュー第1回参照)。わたしがおすすめするのは『ラチとらいおん』(福音館書店)。内容は、泣き虫だった男の子が、ある日出会ったライオンに特訓してもらって少しずつ強く成長していくというもの。成長の真っ最中にある子どもの心に大いに響く内容です。最後が、6〜7歳の子どもを対象とした絵本について。この時期の子どもは、心が急激に成長しています。そのため、それまでならお父さんやお母さんになんでもいえたのに、「これはいっちゃいけない」「これはいったら恥ずかしい」といった気持ちや悩みが出てきているものです。そこで、そういう子どもの心に寄り添って癒やしてくれるような内容の絵本を与えるのがいいでしょう。わたしからは、『びゅんびゅんごまがまわったら』(童心社)をおすすめしておきます。この絵本では、開かれた小学校生活のシーンが繰り広げられ、親しめる校長先生が登場し、「大人を信じてなんでも話してみたら?」というメッセージもあります。子どもの心が温かくなり、大人は寄り添ってくれる存在として映ることで、悩みが生まれはじめる子どもの心を自然と癒しやてくれることでしょう。「うまく読もう」なんて思わなくていい最後に、全般的な絵本の読み聞かせのコツについてアドバイスしておきましょう。まず、子どもはまだ理解力が成長している途中にありますから、とにかくゆっくり読むということが大切です。大人からすれば、ゆっくりだと感じるスピードをもう1段階遅くするくらいがちょうどいいでしょう。また、読み終わったあとに「どう思った?」と感想を聞くことは絶対に避けましょう。子どもは、絵本を通じて描かれている絵の前後を空想のなかで動かしています。そうして、想像力や集中力、感受性を育んでいるのです。その作業は、絵本を読み終えたあとも子どものなかで続いています。でも、そこで「どう思った?」と聞かれると、その大切な作業を止めてしまうことになってしまう。それから、うまく読もうとすることもNGです。読み聞かせは親の発表会ではありません。絵本は子どもとのコミュニケーションの道具だというふうに考え、子どもの興味がどこに向いているかというところをいちばんに考えてください。子どもがどんどんページをめくりたがるならそうさせればいいし、逆にひとつのページに興味を持って立ち止まったら飽きるまで見せてあげればいい。絵本の内容から親子の会話が盛り上がったら、そのまま絵本を読むことをやめても構いません。そのことが、親子の絆を深め、子どもに「絵本は楽しい」と感じさせ、読書や勉強に対する興味を持たせることにもつながるのです。『子育ての悩みには“絵本”が効く!! ママが楽になる絵本レシピ31』景山聖子 著/小学館(2018)■ 絵本スタイリスト®・景山聖子さん インタビュー記事一覧第1回:「絵本の読み聞かせ」から、子どもが学ぶもの。そして、親が手に入れるもの。第2回:「勉強が勉強でなくなる」のが絵本の魅力! でも「勉強のつもり」で読み聞かせてはダメ第3回:「上手に読んであげて、感想を聞く」のは絶対に避けて。絵本の読み聞かせの鉄則です第4回:「もっと頑張らなきゃ」と自己嫌悪に陥りがちな母親たちに、励ましをくれる絵本の存在(※近日公開)■景山聖子さん連載『絵本よみきかせコーチング』記事一覧【プロフィール】景山聖子(かげやま・せいこ)群馬県出身。絵本スタイリスト®。群馬テレビアナウンサーを経て上京し、TBS、テレビ朝日、日本テレビ等で報道番組などのリポーターを務めたのち、ナレーターへ転身。NHKラジオの朗読番組『私の本棚』などを担当する。一児の母となると同時に、絵本の世界に魅せられ、2013年に(社)JAPAN絵本よみきかせ協会を設立し、代表理事に就任。ボランティア認定資格講座には全国から人が集まり、公共施設やカルチャーなどの「よみきかせ講師」も多数育成。現在は、絵本を介しての子育てに関する講演活動を行うほか、パナソニック読み聞かせ機能搭載ライトのアドバイザーやカルピス読み聞かせ隊のサポーターに就任。アカチャンホンポ・ピジョン保育士の全国社員研修なども担当。NHK総合テレビで絵本の朗読も行う。園や小学校での絵本の読み聞かせも続け、絵本の持つ力を広めるために精力的に活動している。主な著書に、『今日から使える読み聞かせテクニック』(ヤマハミュージックメディア)、(『子育ての悩みには“絵本”が効く!! ママが楽になる絵本レシピ31』(小学館)、『子どもが夢中になる 絵本の読み聞かせ方』(廣済堂出版)がある。【ライタープロフィール】清家茂樹(せいけ・しげき)1975年生まれ、愛媛県出身。出版社勤務を経て2012年に独立し、編集プロダクション・株式会社ESSを設立。ジャンルを問わずさまざまな雑誌・書籍の編集に携わる。
2020年04月21日「ヘリコプターペアレント」というとちょっと耳慣れないかもしれませんが、空からつねに子どもを監視しているような親――つまり「過干渉」の親のことです。親がヘリコプターペアレントだと、子どもにどんな影響があるのでしょうか?欧米で学んだ心理学を子育てに生かし、母親たちをサポートしている公認心理師の佐藤めぐみさんに、ヘリコプターペアレントにならないための方法と併せて教えてもらいました。構成/岩川悟取材・文/清家茂樹「しっかり者」の親に多い「ヘリコプターペアレント」「ヘリコプターペアレント」という言葉を聞いたことがあるでしょうか?これは本来、高校生や大学生くらいの年代の親のうち、ある特徴を持つ人たちに対して使われていた言葉です。「子どもの就活の面接に同行する親がいる」といった話を聞いたことがありませんか?そういう親が、あたかも子どもの頭上でホバリングしながら監視しているようだとして、ヘリコプターペアレントというふうに呼ばれるようになったのです。干渉し過ぎる親のもとで育った子は、のちのち社会に出てからもさまざまな問題を抱える傾向があります。子どもの頃から、なにをするにも「○○くんはこれが好きだよね」「これがいいよね」というふうに、一見意見を尊重しているようで結果的には親が一方的に決めてレールを敷いてしまうため、その子は大人になっても自分の意見を持てないというのはよくあるケースです。いわゆる、「指示待ち人間」になってしまうのです。さらには、打たれ弱いということもその特徴として挙げられます。親が自分のことを過剰なまでに守ってくれ、困難にぶつかる前に手を差し伸べてくれるために、つまずいたり壁にぶつかったりする経験が乏しいまま大人になってしまいます。でも、社会に出れば、親につねに守ってもらうというわけにはいきません。当然、さまざまな失敗を重ねることになります。すると、失敗に対する耐性が弱いために、一度の失敗で心に大きな傷を負ってしまうのです。子どもをそんなふうに育ててしまうヘリコプターペアレントには、心配性であることの他、少し意外かもしれませんが「しっかり者」の人が多いという特徴があります。しっかり者で管理上手だからこそ、子どもに対しても「なにごともうまくやってほしい」と考え、「我が子にはこれがいいんだ」と、子どもにかかわるあらゆることを決めてしまうのです。幼い子どもに対しては、ある程度の干渉が必要ただ誤解してほしくないのは、ヘリコプターペアレントは、あくまでも「高校生や大学生くらいの年代の親」に対しての呼び名だということ。それが、現在はもっと年齢が低い子どもの親に対していわれるようになってきているのですが、幼い子どもに対しては、もちろん親が管理したり干渉したりすることも必要です。なんでも子ども任せで、ただ放置しておけばいいというわけではありませんよね。幼い子どもが外で遊んでいるときには、親はきちんとそばで見守る必要があります。子ども自身や友だちが危険な遊びをしようとしているようなら、親がしっかり止めるべきです。ですが、多くの親御さんとかかわるなかで、わたしが「ヘリコプターペアレント“予備軍”かもしれないな」と感じる人がいるのも事実です。ですから、みなさんには「自分はヘリコプターペアレント予備軍になっていないか」ということを考えてほしいと思います。そうならないために大切なのは、子どもをひとりの人間として尊重することです。「質問をする」「相談をする」「意見を聞く」ということがとても大事になります。先にお伝えしたように、ヘリコプターペアレントは、子どもの日常に過度に干渉するため、その子の決断や判断の機会を失わせてしまうという特徴があります。そうではなく、子どもにかかわることは、まずは子どもにどうしたいかを聞いてほしいと思います。習い事や塾などの重要なことはもちろんですが、なにを食べたいか、なにを着たいか、なにで遊びたいか、そういう日常的なことでも自発的に考える練習になります。そういったことが、子どもの決断力を育むことになり、指示待ち人間ではなく、しっかりした自分の意見を持てる人間に育てるために大切です。子どもの成長に欠かせない、「悔しい」という負の感情また、子どもの「負の感情」を悪いものだと考えないことも重要です。負の感情とは、悔しいとか悲しい、寂しいといった気持ちのことです。もちろん、「友だちにいじめられて悲しい」だとか「お父さん、お母さんとあまり一緒にいられなくて寂しい」といった気持ちを子どもに味わわせることは、親として避けなければなりません。その一方、悔しい気持ちは子どもの成長に欠かせないものでもあります。たとえば、子どもが習い事やスポーツで他の子どもに負けて悔しい思いをしたとしましょう。その悔しい気持ちがあるから、その子は「今度は負けないようにもっと頑張ろう!」と努力をすることができます。その気持ちが、子どもにとってどれだけ大きな成長をもたらしてくれるかは、あらためて考えるまでもないでしょう。ところが、ヘリコプターペアレント予備軍の親たちは、そんな大事な悔しい気持ちすら、「子どもがかわいそうだ」と感じ、手を出したり、代わりにやってあげたりと干渉してしまいます。親の役割として大事なのは、子どもが嫌な思いをしないように先回りして解除することではなく、チャレンジをして悔しい思いをしたときに、「悔しかったね」と、子どもの気持ちに寄り添い、次に進めるように励ましてあげることです。そうすることで、失敗が成長のチャンスになっていくのです。先の「子どもに質問をする、相談をする、意見を聞く」ということにも通じますが、子どもが経験すべきことを親が奪うのではなく、子どもの本当の気持ちをしっかりと見つめることを大切にしてほしいと思います。『子育て心理学のプロが教える 輝くママの習慣』佐藤めぐみ 著/あさ出版(2012)■ 公認心理師・佐藤めぐみさん インタビュー記事一覧第1回:「登園時、毎朝大泣き」問題は、親がコレをしてあげると解決できる!第2回:子どもの「泣き落とし」を収めるテクニック。コツは“ルール作り”にあり第3回:子どもは「甘やかす」より「甘えさせる」!甘えさせてもらえない子は将来こうなる第4回:「過干渉、ヘリコプターペアレント予備軍」親の意外な特徴。もしかしてあなたも?【プロフィール】佐藤めぐみ(さとう・めぐみ)1969年生まれ、東京都出身。公認心理師。オランダ心理学会認定心理士。イギリス・レスター大学大学院修士号取得。欧米で学んだ心理学を日本のお母さんが取り入れやすいかたちにしたポジティブ育児メソッドを考案。現在は公認心理師として、ポジティブ育児研究所でのオンライン子育て心理学講座、育児相談室ポジカフェでのカウンセリング、メディアや企業への執筆活動等を通じ、子育て心理学を活用した育児支援を行っている。HP:megumi-sato.com【ライタープロフィール】清家茂樹(せいけ・しげき)1975年生まれ、愛媛県出身。出版社勤務を経て2012年に独立し、編集プロダクション・株式会社ESSを設立。ジャンルを問わずさまざまな雑誌・書籍の編集に携わる。
2020年04月20日私たち夫婦の実家は遠方なので頼ることができず、ママが仕事復帰する際、2人の子どもをどちらも1歳から保育園に入れることにしました。そこで実際に入園させてみて、パパが感じた3つの良いことをお伝えします。 さまざまな年齢のお友だちができる1つ目の良いことは、お友だちができることです。親と2人きりだと公園に行ったりしてもなかなかお友だちは増えませんでした。でも保育園には同い年はもちろん、お兄ちゃん・お姉ちゃんのような異年齢の子どもがたくさんいます。 子どもは休日に親と遊んでいるときよりも、保育園で子ども同士で遊んだほうが明らかに楽しそうにしていて、そのときの話をたくさんしてくれるようになりました。親には思い付かないような、子ども同士でしか発見できないことも多いようで、良い経験になっていると感じます。 年上のお友だちがお手本に2つ目の良いことは、お手本となるお友だちが近くにいることです。同じ1歳といっても、子どもにとっての数カ月は成長の度合いに大きな差があるように感じます。保育園で数カ月上の子どもと過ごすことで、じっと座ってごはんを食べるようになったり、急に歩きだしたりと、それまでできなかったことができるようになりました。 月齢が上の子どもが身近にいることで、良いお手本となり子どもの成長を助けてくれているように感じます。 先生が見てくれるので安心3つ目の良いことは、先生が見ていてくれることです。保育園の先生たちは、当たり前ですが保育のプロ。子どもについて勉強し、これまで何人もの子どもを見てきています。 保育園の見学に行ったときに、ただ子どもに「片付けなさい」と指示をするのではなく、楽しく遊ばせながら片付けをしている様子に感動しました。また、子どもみんなで歌ったり遊んだりすることで協調性や感性を育んでいるのだと感じました。 保育園の先生方が指導し、いつもやさしく見ていてくれるおかげで、子どもの成長の大きな助けとなっているのだと思います。 私の親は「小さいころから保育園に預けるのはかわいそうだからやめなさい」という考え方。私も子どもを預けた当初は、泣いている姿を見るとやっぱり預けたのは間違っていたのかな……と何度も思いました。 でも、現在は子どもが慣れて毎日楽しそうに帰ってくる姿を見ると、保育園に入れて本当によかったなと感じています。 監修/助産師REIKOイラスト:(c)chicchimama著者:西川しょた普段は看護師として勤務する3歳と1歳、2男の父。育児に関する体験談を中心に記事を執筆している。
2020年04月20日「笑う門には福来る」昔からのことわざにもあるように、笑顔には特別な力があります。最近では、プロゴルファー渋野日向子さんのはじけるような笑顔が話題になりましたよね。緊張した場面でも笑顔を絶やさないその姿に、笑顔の想像以上のパワーを感じた人は少なくないでしょう。今回は笑顔の効果について、改めて検証してみます。卒業アルバムで “笑顔の人” は年を取っても幸せだった笑顔の効果が、私たちの人生にどのような影響をもたらしたのかを検証した実例があります。それは、アメリカ・カリフォルニア大学バークレー校の心理学研究チームが行なった興味深い調査です。卒業生141名の「人生の追跡調査」で、卒業アルバムに写った顔が、“笑顔の人” と “笑顔でなかった人” を比べたところ、“笑顔の人” のほうが、成績優秀で満たされた結婚生活を送り、周りに良い影響を与えるなど、健康で幸せな人生を歩んだというのです。この結果は、「笑顔はさまざまな良いことを引き寄せ、人生を豊かにする」というひとつの実証となりました。ネガティブな気持ちも「笑顔」でポジティブ変換できる笑顔が人生を好転させる仕組みについて、脳科学者の茂木健一郎先生がわかりやすく解説しています。まず、なぜ笑いが起きるのかをみてみましょう。脳の中には「扁桃体」という、感情をつかさどる神経細胞があります。喜怒哀楽のうちの「喜」や「楽」といった快感を得ると、ここが反応して、すぐ近くにある「前帯状皮質(ACC)」を刺激します。その結果として起こる現象が「笑い」です。つまり、笑うということは、その本人が幸せであるというシグナルなのです。(引用元:PHPファミリー|よく笑う子ほど、才能が開花する!〜茂木先生が解説!笑顔の脳科学〜)たしかに、よく笑っている人はハッピーオーラをまとっているように見えますよね。また茂木先生は、活躍中の若手起業家は「明るくてよく笑う」人が多いと話します。「笑い」は、脳の中に備わっている、自分自身の気分を良くしたり癒したりするための装置。ネガティブなことがあっても「笑う」ことで、気分をポジティブに変えられるのです。「笑い」は逆境への対抗策。どんなにつらく苦しいときでも、笑うことでエネルギーを補充し、失敗を糧にできるからこそ、社会で活躍できる人間力がますます育まれるのですね。前を向いて力強く人生を歩んでいくための正しい思考力とメンタル力を身につけられれば、その子の可能性は無限大に広がるでしょう。「笑い」には人生を左右する大きな力があるのです。我が子には、たくさん笑って人生を切り開いていってほしいものですね。「親が笑顔」なら子どもも笑顔になる!では、子どもが笑顔でいられるように親ができることはなんでしょう?脳科学者の西剛志先生は、「親が笑顔でいること」で子どもの笑顔を引き出せると話します。人の脳は、ミラーニューロンという神経細胞を通すことで、自分が見ている人の感情を再現します。つまり、親が笑顔なら、子どももつられて笑顔になるのです。また、子どもの笑顔を引き出す以外にも嬉しい効果がありました。「お母さんの笑顔」には子どもの能力を伸ばす力があるのだそう。子どもに笑顔で勉強を教えると学習能力が10%アップする、笑顔で育てられた子は、そうでない子に比べ、脳の海馬(記憶をつかさどる部分)の成長スピードが2倍早いなど、笑顔が子どもの能力を伸ばすことは、すでに明らかになっています。(引用元:T&Rセルフイメージデザイン|2020年3月10日 山形新聞『笑顔で子どもは伸びる』特集)そして、同じものを見て笑うという感情を共有することも心の成長のためにはとても大切。楽しい体験をできるだけたくさん共有し、笑顔を心がけましょう。子どもの笑顔のためにも、子どもの能力を伸ばすためにも、親はなるべく笑顔でいたいものですね。子どもの笑顔を増やすためにできること「親の笑顔」以外にも、子どもが笑顔でいられるようにできることはあります。小児脳神経外科・発達脳科学のエキスパートである大井静雄先生と茂木先生、そして西先生の見解を中心にご紹介しましょう。■脳の成長期にできるだけ笑顔を引き出す子どもの脳の成長期は0~3歳。この時期に脳の土台をより強いものにするためには、喜びの感情を多く持つことが有効とされます。つまり、まずはこの時期に、子どもがたくさん笑える環境づくりをするのが重要です。子どもが声を発したとき、または親を見ながら何か行動をしたとき、親がニコニコ応答することで、「反応してくれた。嬉しい!」とプラスの感性が働き、子どもは笑顔になります。この「うれしい・楽しい・快い・おもしろい」などのプラスの感情を引き出すべく、親はできる限り子どもの声や行動に笑顔でこたえてあげましょう。■前向きな言葉かけが子どもを笑顔にする初めての登園や遠足のとき、子どもは緊張しますよね。親も「ひとりで大丈夫かしら」など心配していると、子どもはなおさら不安になります。これは、感情は伝染するから。アメリカ・ペンシルベニア大学ウォートン校の研究は、ミラーニューロンが感情にも及ぶことを証明しています。しかも気をつけたいのは、ネガティブな感情ほど伝染しやすいとということ。子どもにかける言葉は、意識的にポジティブを心がけて。たとえば、歌の発表会の前には、ただ「がんばってね」ではなく、「明日みんなとお歌を歌えるの楽しみだね!お母さんも楽しみで仕方ないよ」など、楽しいイメージを先行させる言葉で子どもの気持ちを緩め、笑顔を引き出してあげましょう。■たくさんの「発見と気づき体験」をさせる子どもの脳は、新しい発見や気づきに喜びを感じます。子どもの目がキラキラと輝いて嬉しそう……そんなとき、ありますよね?子どもの好奇心を育てるためにも、興味が湧いたことを自由にできるだけたくさん体験させてあげましょう。体験の幅を広げるために、親の趣味を子どもと一緒に楽しむのもいいですね。プラス体験で脳もどんどん育まれるはずです。逆に「危ない!」「汚れちゃうからダメ」などと、夢中になっている遊びを中断させられてしまうと、脳はマイナスの感情を持ってしまいます。子どもの発見や気づきを遮ってしまわないように、親は安全な遊び場を確保することに気を配りましょう。そして最後に “良い笑顔” について――。「笑い」が大事と言っても、他人を嘲笑するのは “悪い笑い” です。笑顔のパワーとして効果があるのは、自分の失敗を笑い飛ばせる強さを持った “良い笑い”。人間力を高めてくれる “良い笑顔” を子どもの人生最強の武器にするきっかけを作ってあげるのは、大人の役割なのです。***“We shall never know all the good that a simple smile can do.”(笑顔には想像もできないほどの可能性がある)マザーテレサも言っています、笑顔の力は無限大。これからさまざまな出来事に遭遇する子どもたちにも、そのことを脳と心に刻んで、笑顔で人生を歩んでいってほしいですね。(参考)PHPファミリー|よく笑う子ほど、才能が開花する!〜茂木先生が解説!笑顔の脳科学〜Hugkum|【脳科学者監修】気になる「知育」「育脳」って?喜びが脳を発達させる最新の考え方Forbes Japan|感情は伝染する?ポジティブに振る舞うべき理由Forbes|The Untapped Power Of SmilingT&Rセルフイメージデザイン|2020年3月10日 山形新聞『笑顔で子どもは伸びる』特集STUDY HACKER|“笑い”がもたらす7つの効果。究極の『笑顔トレーニング』で人生を好転させろ!
2020年04月19日家庭教育の一環として、「絵本の読み聞かせ」を重視しているみなさんも多いでしょう。「絵本スタイリスト®」である景山聖子さんは、絵本の読み聞かせのメリットとして、「子どもの人格を豊かにしてくれる」ことを挙げます。その一方で、「子どもの学力、とくに国語力の向上にも役立つ」といいます。その理由を教えてもらいました。構成/岩川悟取材・文/清家茂樹写真/石塚雅人(インタビューカット)文科省のお墨付き!絵本の読み聞かせで学力は上がるわたし自身は、絵本の読み聞かせのメリットというと「子どもの人格形成に好影響を与える」ことを第一に挙げますが(インタビュー第1回参照)、絵本の読み聞かせは、子どもの学力向上にも大いに好影響を与えます。このことには、文部科学省の調査データがエビデンスを与えてくれます。文部科学省の調査では、小学生と中学生の親を対象に、子どもが幼い頃に積極的に絵本の読み聞かせをしたかどうかをアンケートしました。そして、「積極的に絵本の読み聞かせをした」と答えた親の子どもと、そうではない親の子どもでは、前者のほうが小学生、中学生ともに国語と算数(数学)の試験成績で大きく上回ったのです。あるいは、2015年にKUMONが現役東大生100人を対象に行ったアンケート調査では、「子どもの頃に親にしてもらって感謝している教育」として、じつに40人が「絵本の読み聞かせ」を挙げました。これは、選択肢のなかの堂々1位。それだけ、その後の学力の伸びに絵本の読み聞かせが役立ったと東大生自身が考えていることがわかります。また、4人の子どもを東大に合格させたとして有名な、佐藤ママこと佐藤亮子さんも、さまざまなところで絵本の読み聞かせの有用性を語っているひとりです。佐藤ママによると、なんと子どもが3歳になるまでに1万冊の絵本の読み聞かせをしたのだといいます。勉強を勉強ととらえさせず親しませる絵本の働き先の文部科学省の調査では、幼い頃に絵本の読み聞かせをたくさんしてもらった子どもは、そうではない子どもに比べて、国語、算数(数学)ともに試験成績がよかったことがわかりました。そのうち国語力に絵本の読み聞かせが与える影響が非常に大きいのではないかと、わたしは自分の体験から考えています。ひとつ、ここでわたしのエピソードを紹介しましょう。ある小学校で絵本の読み聞かせを依頼されたときのことです。私が主宰するよみきかせ協会のボランティアのみなさんで行ったのですが、読み聞かせの対象は1、2年生の子どもたち。学校からは「1、2年生は俳句の勉強をまだしていないので、俳句の絵本は使わないでください」といわれていました。でも、わたしはあえて松尾芭蕉の『おくのほそ道』(ほるぷ出版)という俳句を題材にした絵本をある方に読んでいただきました(笑)。なぜなら、とってもいい絵本である他、読み聞かせをお願いした人が俳句好きで、その読み聞かせが楽しさで満ちあふれていたからです。その絵本では、事あるごとに「そこで一句!」という決まり文句が出てきます。そのときに、子どもたち全員で行うジェスチャー加えることで一体感をつくりました。すると、そのリズムや繰り返しが楽しかったのでしょう。子どもたちは自分でも知らないうちに俳句になじみ、最終的には「自分で俳句を詠みたい」という子も出てきたほどでした。これは、絵本というツールを使って、「勉強」という意識ではなく、「楽しいこと」という意識で俳句に触れることができたからでしょう。さらには、しばらく時間がたってから、その小学校の校長先生から電話を頂きました。その内容は、「あの読み聞かせのおかげで俳句に対するファーストインプレッションがすごくよかったせいか、子どもたちが実際に俳句の授業を受けるときにもとても楽しんで、かつすごい集中力を発揮して勉強してくれた」というお礼でした。絵本には、勉強を勉強としてとらえさせずに親しませるという働きがあります。それこそ、俳句など子どもにとってちょっとなじみがないような国語の単元に事前に触れさせるには最適なツールといえるのではないでしょうか。親が「勉強のつもり」で読み聞かせするのはNG!もちろん、絵本には子どもの語彙力を高めるという力もあります。絵本のいいところは、もちろん絵があるところ。子どもが昔話の絵本を読んでいて、「かやぶき屋根」という言葉がわからなかったとしましょう。でも、すぐそばにはかやぶき屋根の絵が描かれてある。そうして、出てくる言葉が具体的にどういうものなのかをその場で学べるわけです。文字が羅列されているだけの本ではこうはいきませんよね。あるいは、絵本に親しむことよって、文章の書き手のメッセージを推測する力を高められることも考えられます。中学受験をするような子どもは、いわゆる論説文もきっちり読み解く力が求められます。絵本をはじめとした本にあまり親しむことなく、いきなり難しい論説文を読み解くのはかなりハードルが高いことでしょう。でも、幼い頃から絵本に親しみ、児童書なども含めて読書をする習慣がついていたらどうでしょうか?その子は、小さいときからさまざまな文章のパターンを自分のなかにデータベースとして蓄積しています。そのため、論説文を読み解くにも、「あ、あのパターンの文章だな」というふうに、文章の構成や重要なことが書かれているであろう部分を推測することができる。そうして、難しい論説文も容易に読み解くことができるのです。ただ、みなさんに注意してほしいのは、絵本の読み聞かせが子どもの学力、とくに国語力を高めるために有効だからといって、「勉強のつもり」で読み聞かせをすることは避けてほしいということ。子どもはとっても敏感で、親がなにを考えているのかをしっかり感じ取れますから、親が「勉強のつもり」で読み聞かせをしようとすると、子どもはそのことを感じ取り、絵本が嫌いになり、勉強嫌いになってしまいかねません。絵本の読み聞かせが子どもの国語力を高めることはたしかですが、「子どもの国語力を高めたい」と思うのなら、その思いはいったん置いて、子どもと過ごす時間をただ楽しんでください。その姿勢が、最終的には子どもの国語力を伸ばしてくれるはずです。『子育ての悩みには“絵本”が効く!! ママが楽になる絵本レシピ31』景山聖子 著/小学館(2018)■ 絵本スタイリスト®・景山聖子さん インタビュー記事一覧第1回:「絵本の読み聞かせ」から、子どもが学ぶもの。そして、親が手に入れるもの。第2回:「勉強が勉強でなくなる」のが絵本の魅力! でも「勉強のつもり」で読み聞かせてはダメ第3回:「上手に読んであげて、感想を聞く」のは絶対に避けて。絵本の読み聞かせの鉄則です(※近日公開)第4回:「もっと頑張らなきゃ」と自己嫌悪に陥りがちな母親たちに、励ましをくれる絵本の存在(※近日公開)■景山聖子さん連載『絵本よみきかせコーチング』記事一覧【プロフィール】景山聖子(かげやま・せいこ)群馬県出身。絵本スタイリスト®。群馬テレビアナウンサーを経て上京し、TBS、テレビ朝日、日本テレビ等で報道番組などのリポーターを務めたのち、ナレーターへ転身。NHKラジオの朗読番組『私の本棚』などを担当する。一児の母となると同時に、絵本の世界に魅せられ、2013年に(社)JAPAN絵本よみきかせ協会を設立し、代表理事に就任。ボランティア認定資格講座には全国から人が集まり、公共施設やカルチャーなどの「よみきかせ講師」も多数育成。現在は、絵本を介しての子育てに関する講演活動を行うほか、パナソニック読み聞かせ機能搭載ライトのアドバイザーやカルピス読み聞かせ隊のサポーターに就任。アカチャンホンポ・ピジョン保育士の全国社員研修なども担当。NHK総合テレビで絵本の朗読も行う。園や小学校での絵本の読み聞かせも続け、絵本の持つ力を広めるために精力的に活動している。主な著書に、『今日から使える読み聞かせテクニック』(ヤマハミュージックメディア)、(『子育ての悩みには“絵本”が効く!! ママが楽になる絵本レシピ31』(小学館)、『子どもが夢中になる 絵本の読み聞かせ方』(廣済堂出版)がある。【ライタープロフィール】清家茂樹(せいけ・しげき)1975年生まれ、愛媛県出身。出版社勤務を経て2012年に独立し、編集プロダクション・株式会社ESSを設立。ジャンルを問わずさまざまな雑誌・書籍の編集に携わる。
2020年04月18日「甘えさせる」と「甘やかす」――。同じ「甘」という文字が使われているために、つい混同してしまいがちです。でも、子どもの成長にとっては、甘えさせてもらえることと甘やかされることは大違いだというのは、欧米で学んだ心理学を子育てに生かし、母親たちをサポートしている公認心理師の佐藤めぐみさん。そこにあるちがいとはどんなものなのでしょうか。構成/岩川悟取材・文/清家茂樹「甘えさせる」と「甘やかす」とは、それぞれどんな行為?「甘えさせる」とは、子どもが求めてくる愛着行動に対し、温かみを持って受け止める行動を指します。たとえば、「抱っこして」「お膝に乗っていい?」というふうに子どもが甘えてくることがありますよね?そういった欲求を満たしてあげることが、「甘えさせる」ことです。あるいは、子どもの「負の感情」を受け止めることも「甘えさせる」ことに含まれます。子どもが悔しい思いをした、悲しい思いをしたというときに、それらの感情を受け止めて寄り添ってあげることです。大きくは、このふたつのことが「甘えさせる」というものです。一方の「甘やかす」には、大きく3つの行為が含まれます。ひとつは子どもの物質的な要求を無条件に受け入れること。少子化であるいまの時代にはよくある話ですが、子どものおじいちゃんやおばあちゃんが、子どもに求められるままにおもちゃを買い与えるようなことです。ふたつ目の「甘やかす」は、年齢相応に子どもが身につけておかなければならない行動まで親がやってあげてしまうこと。子どもが自分で靴下を履ける年齢になっているにもかかわらず、親が靴下を履かせるようなことです。最後の3つ目の「甘やかす」は、いわゆる「先回り」で、子どもが失敗をしないようにと我が子が通る道をあらかじめ平坦に整えることです。ふたつ目の「甘やかす」とも通じるところがありますが、たとえば荷物の準備などが含まれます。未就学児や小学低学年であれば、幼稚園や小学校に持っていく荷物の準備を親が行ったり、手伝ったりするのはよくあることですが、小学高学年や中学生になってもそうしているようなケースがあてはまります。甘えさせてもらえなかった子どもは、人間関係の壁にぶつかるここまでの話を総括すると、「甘えさせる」ことは大切で、「甘やかす」ことはNGです。「甘えさせる」こととは、「絶対的な愛情で子どもを包み、親子の絆を深める」ことといえます。子どもはそのなかで、良好な人間関係の在り方を知っていくことができる。どういうふうに人とかかわればいいのかを学ぶのです。この学びが少ないと将来的に大きな問題を生んでしまうこともあります。他人と親密な対人関係をうまく築けないために、恋人とどのようにかかわればいいかわからなかったり、結婚して子どもが生まれたとしても、今度は自分の子どもとどうかかわればいいのか難しく感じたり……ということが起こり得ます。また、その問題は「他人に助けを求める」という場面にも出てきます。きちんと親に甘えさせてもらった子どもは基本的に人を信頼していますから、大人になってなにか困ったことがあったときに、素直にまわりに助けを求めることができます。もちろん、それは怠慢などではありません。そういう人は、今度は他人が困っているときには自ら助けてあげようと動けるでしょう。そうして、良好な人間関係を築けるのです。一方、親に十分に甘えさせてもらえなかった子どもは、人を心から信頼することがなかなかできないため、他人にうまく助けを求められず、他人を助けることもできない大人になってしまうことがあります。「手」を差し出すか、「気持ち」を差し出すかこんな話をすると、すべての親御さんが「我が子にはきちんと甘えさせて、甘やかさないようにしたいな」と思ったことでしょう。でも、先に「甘えさせる」と「甘やかす」がどういったものかは解説しましたが、自分ごととして考えると、なかなか見わけがつかないという人もいます。そこで、なにが「甘えさせる」で、なにが「甘やかす」なのか、その判断基準をお伝えしたいと思います。それは、親が子どもに対して提供しているもののちがいです。「甘えさせる」場合、親は「気持ち」を差し出していて、「甘やかす」場合は、親は「手」を差し出しているのです。子どもの要求に応じておもちゃなどを与えるにも、自分で靴下を履ける子どもに靴下を履かせるにも、子どもの荷物の準備を親がするにも、「甘やかす」ときには手を差し出していますよね?一方、「甘えさせる」場合、抱っこをするときにはたしかに手を差し出しているかもしれませんが、子どもを膝に乗せたり子どもの負の感情に寄り添ったりするにも、主に差し出しているのは親の「気持ち」、愛情であるはずです。あとは、共働き世帯が多いいまだからこそ、以下のことにも注意してほしいと思います。毎日、両親ともに忙しく働いていることで、「子どもに寂しい思いをさせている」という罪悪感を持っている親御さんが多くいます。そして、その罪悪感を、子どもが欲しがっていたおもちゃを与えるなどして解消しようとするケースが多いのです。でも、そういう物質的なものは一時的な満足をもらえるだけで、子どもが本当に求めている「甘えたい気持ち」を満たすことはできません。忙しく働き子どもと過ごせる時間が限られているからこそ、その貴重な時間を、子どもたちが真に欲するかたちで満たしてあげてください。『子育て心理学のプロが教える 輝くママの習慣』佐藤めぐみ 著/あさ出版(2012)■ 公認心理師・佐藤めぐみさん インタビュー記事一覧第1回:「登園時、毎朝大泣き」問題は、親がコレをしてあげると解決できる!第2回:子どもの「泣き落とし」を収めるテクニック。コツは“ルール作り”にあり第3回:子どもは「甘やかす」より「甘えさせる」!甘えさせてもらえない子は将来こうなる第4回:「過干渉、ヘリコプターペアレント予備軍」親の意外な特徴。もしかしてあなたも?(※近日公開)【プロフィール】佐藤めぐみ(さとう・めぐみ)1969年生まれ、東京都出身。公認心理師。オランダ心理学会認定心理士。イギリス・レスター大学大学院修士号取得。欧米で学んだ心理学を日本のお母さんが取り入れやすいかたちにしたポジティブ育児メソッドを考案。現在は公認心理師として、ポジティブ育児研究所でのオンライン子育て心理学講座、育児相談室ポジカフェでのカウンセリング、メディアや企業への執筆活動等を通じ、子育て心理学を活用した育児支援を行っている。HP:megumi-sato.com【ライタープロフィール】清家茂樹(せいけ・しげき)1975年生まれ、愛媛県出身。出版社勤務を経て2012年に独立し、編集プロダクション・株式会社ESSを設立。ジャンルを問わずさまざまな雑誌・書籍の編集に携わる。
2020年04月17日小学生の苦手教科に挙げられることも多い算数ですが、その苦手意識の強さは単元によって異なります。はたして、どんな単元を子どもたちはとくに苦手としているのでしょうか。算数に特化した学習塾「RISU」の代表である今木智隆先生が収集した10億件ものデータから、小学生がとくに苦手としている単元とその例題を教えてもらいました。構成/岩川悟取材・文/清家茂樹写真/石塚雅人親の態度と発言が子どもに苦手意識を植えつけるわたしは2019年に『10億件の学習データが教える 理系が得意な子の育て方』(文響社)という著書を出しました。その本を読んだ読者のブックレビューには、「こんな問題は簡単です」というものもありますが、それはあたりまえのことです。小学生向けの問題を大人が間違っていては、それこそ問題です。でも、大人には簡単に思えても、多くの子どもたちが間違う問題があるのです。たとえば、以下の問題もそういうもののひとつです。大人なら、すぐにどちらも「6cm」だとわかるでしょう。ところが、子どもたちが学校の授業で「円」の単元を習うときには、円はひとつしか出てきません。こういうふうに複数の円が組み合わさった問題を見たことがないために、子どもは戸惑うわけです。30年も40年も生きている大人からすれば簡単に思えることも、8歳や9歳の子どもにとってはそうではありません。ですから、こういう問題に取り組む子どもに対して、「どうしてこれくらいの問題ができないの?」なんていうことはご法度です。そういう親の態度や言葉が、算数に対する苦手意識を子どもに持たせかねません。小学生が苦手な単元として頭ひとつ抜けている「位」ここから、多くの小学生が苦手としている単元とその例題をふたつ取り上げます。ひとつ目は「位」で、ふたつ目が「時計」です。まず位ですが、わたしが収集した10億件のデータからも、小学生が苦手としている点で頭ひとつ抜けています。では、位の例題を紹介しましょう。「あ」の問題の答えは「2100」ですが、多くの子どもが「2001」と答えます。小学生は普段使っている定規を見て、目盛りは1、2、3、4……と進んでいくものだと思っている。そのため、この問題でもひとつの目盛りが1だと思ってしまうのです。ひとつの目盛りが1であるというのは、習慣からくる思い込みです。だとしたら、このようなちょっと立ち止まってきちんと考えなければならない変則的な問題を経験させてあげることが大切です。そうして、思い込みをなくしてあげれば、その後は問題なく解けるようになるでしょう。そして、そういったしっかりと考えなければならない問題こそが良問といえます。「時計」を苦手としないためにはアナログ時計を使う続いては、「時計」の例題です。答えは「7時間15分」ですね。それこそ大人には解けて当然の問題ですが、これが小学生には本当に難しい。午前・午後の概念や、1分は60秒なのに時間は12や24だとか、24時間たったらゼロになるなど、子どもにとっては複雑なことのオンパレード。正直、この単元がなぜ低学年のカリキュラムにあるのかと疑問を持つくらいです。ただ、もし子どもが中学受験をしないのならば、時計に関してはスルーしてしまっても問題ありません。というのも、小4以降の算数にも中学以降の数学にも時計の単元は一切ないからです。大人になれば誰もが時計を読めるようになりますから、なんの問題もありません。一方、子どもが中学受験をするというなら、きちんと勉強する必要があります。中学受験では時計の問題は頻繁に登場します。なぜなら、「○時○分のときの長針と短針のあいだの角度は?」「1年のうちで長針と短針は何回交わるか」といった嫌がらせのような問題をつくりやすいからです。では、苦手意識を払拭するためにはどうすればいいでしょうか?そのためには、つねにアナログ時計に触れることをおすすめします。いまは子どもたちも多くがスマホを持っていますから、日常的に目にする時計はほとんどがデジタル時計でしょう。でも、算数の問題では必ず丸いアナログ時計が使われる。そうでないと、先に例に挙げたような受験問題がつくれないからです。だからこそ、日常的にアナログ時計を使うべきです。そうすれば、「長針が30分を指しているときには、短針は文字盤の数字のあいだにある」といったことも自然に理解するようになる。実物があるのに、「勉強だから」と紙のうえだけで学ぼうとするのはおかしなことですよね?リアルの体験から得た知識や体感ほど強いものはありません。『10億件の学習データが教える 理系が得意な子の育て方』今木智隆 著/文響社(2019)■ 算数塾「RISU」代表・今木智隆先生 インタビュー記事一覧第1回:子どもを「算数嫌い」にしない大原則。幼児期からできる“算数好きの基礎”の築き方第2回:子どもが勉強で成果を出せないのは、親の「勘違い」が原因かもしれない第3回:10億件のデータを調べてわかった、小学生が「ずば抜けて苦手」な算数の単元と例題第4回:「算数の文章題が苦手」な子どもが、ひねった応用問題でも解けるようになる教育法(※近日公開)【プロフィール】今木智隆(いまき・ともたか)RISU Japan株式会社代表取締役。京都大学大学院エネルギー科学研究科修了後、ユーザー行動調査・デジタルマーケティング専門特化型コンサルティングファームの株式会社beBitに入社。金融、消費財、小売流通領域クライアント等にコンサルティングサービスを提供し、2012年より同社国内コンサルティングサービス統括責任者に就任。2014年、RISU Japan株式会社を設立。タブレットを利用した小学生の算数の学習教材で、延べ10億件のデータを収集し、より学習効果の高いカリキュラムや指導法を考案。国内はもちろん、シリコンバレーのハイレベルなアフタースクール等からも算数やAIの基礎を学びたいとオファーが殺到している。【ライタープロフィール】清家茂樹(せいけ・しげき)1975年生まれ、愛媛県出身。出版社勤務を経て2012年に独立し、編集プロダクション・株式会社ESSを設立。ジャンルを問わずさまざまな雑誌・書籍の編集に携わる。
2020年04月16日いつの時代も家庭教育における定番のツールである「絵本」。実際、絵本の読み聞かせにはどんなメリットがあるのでしょうか。「本」であることから、つい「語彙力を高める」といった学習面に目が向きがちですが、「絵本スタイリスト®」である景山聖子さんは、「なによりも人格形成に大きな影響を与える」と語ります。構成/岩川悟取材・文/清家茂樹写真/石塚雅人(インタビューカット)絵本のなかでの「自分自身の体験」が豊かな人格を形成する子どもに絵本を読み聞かせすることのメリットは枚挙にいとまがありませんが、なによりも子どもにとって大きな「体験」を得られるということがまず挙げられます。8歳くらいまでの子どもは、その発達段階として、まだ現実と空想をしっかりと区別できません。その後、成長するにつれて現実と空想をしっかりわけてとらえられるようになり、徐々に大人になっていきます。幼稚園で幼い子どもたちを相手に、妖精が登場する絵本を読み聞かせしたとします。すると、そのあとの散歩の時間になると、子どもたちは一斉に「妖精探し」をはじめます。なかには、「あそこの木に妖精がいたよ!」というような子もいるほど。こういうことが起きるのは、幼い子どもが現実と空想の区別をできていないから。つまり、絵本のなかで体験したことも、8歳くらいまでの子どもにとっては紛れもない自分自身の体験だといえるのです。このことのなにが重要なのでしょうか?それは、人格形成に大いに影響を与える点です。子どもたちは、将来どんな人間になっていくのかという、まさに人格をつくっている真っ最中にあります。そのとき、誰かから聞いたというような知識ではなく、絵本によって自分自身の体験をどんどん重ねていくことで、それだけ豊かな人格を形成することができるのです。もちろん、その体験のなかにはたくさんのことが含まれます。「感情」を学ぶこともそう。絵本の登場人物は、そのストーリーによってさまざまな感情を表現します。その感情すらも、子どもたちは自分の体験として得ることができるのですから、絵本に親しめば親しむほど、豊かな感情も手に入れられるというわけです。もちろん、8歳を過ぎた子どもにとっても、絵本に親しむことは悪いことではありません。ただ、現実と空想を区別できないという時期が、人生のうちでも限られた貴重な時間だということを考えると、やはりなるべく幼いときから絵本のなかでたくさんの体験をできるようにしてあげたいものです。肌を触れ合わせて「親子の絆」を深めるその他、絵本の読み聞かせの大きなメリットとしては、「親子の絆を深める」ということも挙げられます。絵本を読むときは、たとえば子どもを膝のうえに乗せたり、寝っ転がりながら肩が触れていたりと、親子で肌と肌を触れ合わせていますよね。すると、オキシトシンというホルモンが、親子ともに脳から分泌されるのだそうです。このオキシトシンは、「愛情伝達物質」とか「愛情ホルモン」という呼び名で知られ、思いやりや愛情といった心の機能を健やかに発育させるために欠かせないもの。そして、その働きによって、親子は信頼関係を心のいちばん深いところで結んでいく、つまり親子の絆を強めることができるのです。わたしは、講演活動を通じてたくさんのお母さんたちから絵本にまつわる体験談を耳にしますが、実際、「絵本の読み聞かせをしたことで子どもの態度が変わった」という話を頻繁に耳にします。たとえば、絵本の読み聞かせをする前は、公園で遊んでいて「もう帰るよ」といってもなかなか遊びをやめずに駄々をこねていたような子どもも、絵本の読み聞かせをはじめてからは素直に従ってくれるようになったという話もあります。それだけ親子の絆が深まり、強い信頼関係が築けたということなのではないでしょうか。絵本の読み聞かせが、肉体的な疲労を取ってくれる!加えていうなら、愛情ホルモンであるオキシトシンには、なんと「肉体的な疲れを取る」という働きもあるようです。寝る前に、肌と肌を触れ合いいとおしい気持ちで読み聞かせを実践した多くのお母さんが、翌日自分の疲れまで取れたという体験談を話されています。共働き家庭が増えているいまは、働きながらもこれまでの専業主婦と変わらず子育ての中心を担っているお母さんが増加中です。そういうお母さんには、まさに24時間、気が休まる時間がほとんどないといっていいでしょう。そうすると、「絵本の読み聞かせは子どもにとっていいことだ」「絵本の読み聞かせをしてあげたい」と思っていても、仕事から帰って夕食の支度をして、子どもをお風呂に入れて、寝かしつけるので精いっぱい。つい、「今日は絵本の読み聞かせはしなくていいや」と思ってしまうものです。でも、そういう忙しいお母さんたちにこそ、ぜひ絵本の読み聞かせを積極的にしてほしいと思います。そもそも、絵本の読み聞かせによって分泌されるオキシトシンに肉体的な疲れを取るという多くの体験談があることもそうですし、先にお伝えしたように、絵本の読み聞かせで親子の信頼関係が深まれば、子どもが駄々をこねて困らされるようなことも減るのですから、それだけ日常生活のなかでたまる疲労も減ることになるのです。『子育ての悩みには“絵本”が効く!! ママが楽になる絵本レシピ31』景山聖子 著/小学館(2018)■ 絵本スタイリスト®・景山聖子さん インタビュー記事一覧第1回:「絵本の読み聞かせ」から、子どもが学ぶもの。そして、親が手に入れるもの。第2回:「勉強が勉強でなくなる」のが絵本の魅力! でも「勉強のつもり」で読み聞かせてはダメ(※近日公開)第3回:「上手に読んであげて、感想を聞く」のは絶対に避けて。絵本の読み聞かせの鉄則です(※近日公開)第4回:「もっと頑張らなきゃ」と自己嫌悪に陥りがちな母親たちに、励ましをくれる絵本の存在(※近日公開)■景山聖子さん連載『絵本よみきかせコーチング』記事一覧【プロフィール】景山聖子(かげやま・せいこ)群馬県出身。絵本スタイリスト®。群馬テレビアナウンサーを経て上京し、TBS、テレビ朝日、日本テレビ等で報道番組などのリポーターを務めたのち、ナレーターへ転身。NHKラジオの朗読番組『私の本棚』などを担当する。一児の母となると同時に、絵本の世界に魅せられ、2013年に(社)JAPAN絵本よみきかせ協会を設立し、代表理事に就任。ボランティア認定資格講座には全国から人が集まり、公共施設やカルチャーなどの「よみきかせ講師」も多数育成。現在は、絵本を介しての子育てに関する講演活動を行うほか、パナソニック読み聞かせ機能搭載ライトのアドバイザーやカルピス読み聞かせ隊のサポーターに就任。アカチャンホンポ・ピジョン保育士の全国社員研修なども担当。NHK総合テレビで絵本の朗読も行う。園や小学校での絵本の読み聞かせも続け、絵本の持つ力を広めるために精力的に活動している。主な著書に、『今日から使える読み聞かせテクニック』(ヤマハミュージックメディア)、(『子育ての悩みには“絵本”が効く!! ママが楽になる絵本レシピ31』(小学館)、『子どもが夢中になる 絵本の読み聞かせ方』(廣済堂出版)がある。【ライタープロフィール】清家茂樹(せいけ・しげき)1975年生まれ、愛媛県出身。出版社勤務を経て2012年に独立し、編集プロダクション・株式会社ESSを設立。ジャンルを問わずさまざまな雑誌・書籍の編集に携わる。
2020年04月15日スーパーに買い物に行くたびに、子どもがお菓子をねだって駄々をこねてしまう……。いわゆる、「泣き落とし」の行為です。親として大いに悩まされることのひとつかもしれません。欧米で学んだ心理学を子育てに生かし、母親たちをサポートしている公認心理師の佐藤めぐみさんは、子どもの泣き落としを収めるには、「子どもがねだっているものとは『別のよろこび』に目を向けさせることが大切」だといいます。構成/岩川悟取材・文/清家茂樹「泣き落とし」の最大の要因は、子ども自身の「気質」にある子どもの「泣き落とし」のピークは、大体が2歳くらいです。ただ、その頃は、まわりの同年代の子どもも泣き落としをしていることが多いので、「うちの子も一緒、イヤイヤ期だからだよね」と、一時的なものとしてとらえていることが多いものです。ところが、一般的に泣き落としが収まりはじめる5、6歳になっても泣き落としをしていると年齢的にも目立つため、親が悩みはじめることになります。なかには、「自分の育て方が悪かったのかな……」と、自分を責めてしまう人もいるでしょう。でも、子どもが泣き落としをするかどうかの原因は、一概に育て方にあるとはいえません。子どもが泣き落としをするもっとも大きな要因は、子ども自身が持っている「気質」です。もともと、自分の意志を押し通そうという気持ちが強い子どもがいるのです。見方を変えれば、粘り強さがある子どもだといういい方もできます。粘り強さというといい意味でとらえられることが多いですが、それがマイナスの方向に出たのが泣き落としといえるでしょう。もちろん、育て方に原因があるケースもあります。単純な話ですが、子どもに泣き落としをされると、親が根負けしてしまうということを繰り返すケースです。すると子どもは、「泣けば思いどおりになる」と学んでしまいます。この流れになってしまうと、どんなに口では「スーパーではお菓子は買わないよ!」といったとしても、そのルールは子どもに伝わりません。その子にとってのルールは、「泣けば買ってもらえる」というものだからです。「親子が互いになんとか守れるルール」を決めるそう考えると、子どもの気質にかかわらずに、親が「一貫した姿勢を示す」ことが子どもの泣き落としを収めるためのポイントになります。昨日は「いいよ」といってもらえたことが、今日は「駄目」だといわれると、子どもは混乱するからです。それに、子どもは自分に都合がいいほうを優先しますから、「いいよ」といわれたことだけを学んでしまうのです。ただ、「一貫した姿勢を示す」とはいっても、ひたすら厳しいルールを課せばいいというわけではありません。ここで大事なことは、「親子が互いになんとか守れるルール」にすること。スーパーでお菓子をねだって泣き落としをするケースなら、「平日にママとスーパーに行くときはお菓子を買わないけど、週末にパパとスーパーに行くときにはひとつだけお菓子を買っていいよ!」といったようなルールにするのです。そうすれば、子どもにとっても目指すものがあるので取り組みやすく、平日の買い物をスムーズにできるようにもなります。そういった過程を経て、「泣かなくてもいいんだ」ということを子どもに学んでもらうことが大切です。つまり、ゲーム感覚でプログラムを遂行させていくようなイメージですよね。きちんとおねだりを我慢できたら、「よく我慢できたね!」とたくさん褒めてあげてください。もちろん、お菓子を食べること自体を禁止しているわけではありませんから、帰宅したらおやつタイムにします。すると子どもからすれば、泣かなくても結局はお菓子を食べられたし、ママは機嫌がいいし、しかも、褒めてくれたということになります。このようにして、子どもがねだっているそのものとは別の視点でのよろこびに目を向けられるようにしていくのがおすすめです。ゲームや漫画などについても、すべて取り上げてしまうというような家庭もあるかもしれません。しかしながら、ゼロでは子どもは満足できませんし、一方で、遊び放題では親も困ってしまいます。ゼロか100かではなく、互いが折り合えるルールを考える方が現実的であり、実行しやすくなります。泣き落としをする子どもの「粘り強さ」を生かす話は少し本筋からそれますが、先にお伝えした泣き落としをする子どもの「粘り強さ」をいい方向に出せるように導いてあげてほしいですね。粘り強さがある、自分の意思を押し通そうとする子どもの思考のベースには、「疑問を持つ」という姿勢があります。スーパーでお菓子をねだる例なら、「ママはダメだといっているけれど、それは本当なのか?」という疑問が最初にあるのです。その思考をうまく生かすことができれば、これからの時代に必要な強い力となるでしょう。これまで、学校で「いい子」といわれてきた子どもは、先生や親にいわれたことに素直に従っていた子どもたちです。しかし、学習指導要領も変わり、これからの子どもには自分で疑問を持って、自分で考えることが求められます。そんな時代にあって、さまざまなことに「疑問を持つ」思考を持っている粘り強い子どもは、うまく導いてあげれば力を発揮できるはずです。そういう子どもは、ひとつのことにこだわって夢中になる傾向もあります。持ち前の粘り強さをいい方向に発揮できるよう、その子がなにかに夢中になって繰り返しチャレンジしていたら、温かく見守ってしっかりと褒めてあげましょう。子どもの気質は、親の接し方次第でプラスにも向かうこともあればマイナスにも向かうこともあります。きちんとプラスの方向に発揮できるよう、親がしっかり導いてあげたいものですね。『子育て心理学のプロが教える 輝くママの習慣』佐藤めぐみ 著/あさ出版(2012)■ 公認心理師・佐藤めぐみさん インタビュー記事一覧第1回:「登園時、毎朝大泣き」問題は、親がコレをしてあげると解決できる!第2回:子どもの「泣き落とし」を収めるテクニック。コツは“ルール作り”にあり第3回:子どもは「甘やかす」より「甘えさせる」!甘えさせてもらえない子は将来こうなる(※近日公開)第4回:「過干渉、ヘリコプターペアレント予備軍」親の意外な特徴。もしかしてあなたも?(※近日公開)【プロフィール】佐藤めぐみ(さとう・めぐみ)1969年生まれ、東京都出身。公認心理師。オランダ心理学会認定心理士。イギリス・レスター大学大学院修士号取得。欧米で学んだ心理学を日本のお母さんが取り入れやすいかたちにしたポジティブ育児メソッドを考案。現在は公認心理師として、ポジティブ育児研究所でのオンライン子育て心理学講座、育児相談室ポジカフェでのカウンセリング、メディアや企業への執筆活動等を通じ、子育て心理学を活用した育児支援を行っている。HP:megumi-sato.com【ライタープロフィール】清家茂樹(せいけ・しげき)1975年生まれ、愛媛県出身。出版社勤務を経て2012年に独立し、編集プロダクション・株式会社ESSを設立。ジャンルを問わずさまざまな雑誌・書籍の編集に携わる。
2020年04月14日気づくといつも手を口元に持っていき、爪をガシガシ噛んでいる――「爪噛み」は、子どもによく見られる癖のひとつです。その姿は、周囲にあまりよい印象を与えません。読者のみなさんのなかには、子どもの爪噛み癖を治したくて悩んでいる方もいるのではないでしょうか。そこで今回は、子どもの爪噛み癖はなぜ始まるのか、どう対処すればいいのかご紹介します。こんなにいる……子どもの爪噛みに悩む親たちまず、爪噛みをする子どもはどれくらいの割合でいるのでしょうか。カナダのカルガリー大学の調査によれば、7〜10歳の子どものうち28〜33%に爪噛み癖があるそうです。およそ3人に1人という計算になります。この割合は、10代になるともっと上がり、45%になるのだそう。実際に、多くの親が子どもの爪噛み癖に悩んでいます。女性向けサービスサイト「ウーマンエキサイト」が行なった調査によれば、86.3%の親が子どもの何らかの「癖」に悩みを抱えており、なかでも「爪を噛む癖」は「鼻をほじる癖」に並び圧倒的に多いそうです。また、株式会社ベネッセホールディングスが行なった調査では、40%の親が子どもの爪に関して困っており、そのひとつが「爪を噛む癖が治らない」であることがわかっています。なぜ、子どもの爪噛み癖に、こんなにも悩んだり困ったりするのでしょうか。それは、爪を噛むことが子どもに悪影響を及ぼす可能性があるからです。たとえば、爪や指先の形が変形したり、衛生面での問題が生じたり……といったさまざまな弊害が起こることが考えられます。また、大人になってもやめられなかったり、今やらない子が突然始めることがあったりするのも、爪噛みの厄介なところ。原因を知り、早めに対処するのに越したことはありません。爪を噛むのはストレスが原因って本当?では、子どもが爪を噛む原因は何なのでしょうか。心理カウンセラーの椎名あつ子さんは、爪を噛む行動の裏にストレスが存在するといいます。そのストレスのはけ口が自分自身になってしまう場合に、引き起こされる行為のひとつなのだそうです。「自分自身に向けてしまう子どものストレスは、心の中に沸き起こる、悔しい、寂しい、悲しいなどの『嫌な感情』、あるいは、意地悪したい、困らせたい、怒りたいなどの『攻撃的な感情』を、原因となる対象にぶつけられない場合に生じます。爪を噛む行為は、軽度の『習癖異常』に分類され、爪の周りの皮を剥く、髪の毛を抜くなどの行為も同様です」(引用元:livedoor NEWS|心理士に聞いた!爪を噛む行為の裏にある心理)ただし、教育コンサルタントの上野緑子さんは、ストレスや愛情不足のほかに、何のストレスもなく、ただ癖になっているだけの子どももいると述べています。子どもの爪噛み癖にはさまざまな原因が考えられ、一概には言えないのです。子どもの心は非常に繊細であるため、大人からすれば些細な出来事や悩みが原因の場合もあります。原因を見つけるためには、子どもの心の声によく耳を傾けることが大切です。爪噛みをやめさせる6つの方法そんな爪噛み癖をやめさせるには、どんな方法があるのでしょうか。米国皮膚科学会(AAD)は、爪噛み癖をやめさせるための下記6つのヒントを発表しています。①爪を短く切っておく。②苦味のある専用マニキュアを塗る。③つねにマニキュアで手入れをしておく。④爪を噛む習慣を、ストレスボールを握るなど他の習慣に置き換える。⑤ストレスや不安がないか爪を噛む原因を知る。⑥噛む指を1本ずつ減らすなど、徐々にやめていく。(引用元:ケータイ家庭の医学SP|爪を噛む癖を直す6つの秘策)1. 爪を短く切っておく。爪を切り、噛める面積を小さくするという方法です。親にできることは、定期的に子どもの爪の長さをチェックして切ってあげる、もしくは本人に切るよう声がけすること。比較的、気軽に取り組みやすい方法と言えます。2. 苦味のある専用マニキュアを塗る。「苦味のある専用マニキュア」とは、ネットショップなどで購入できる、爪を保護するために作られたマニキュアです。これを爪に塗ると、噛んだとき苦味を感じるため、噛みたい気持ちを抑えられることが期待できます。3. つねにマニキュアで手入れをしておく。爪噛み専用ではなく、一般のマニキュアやジェルネイルなどのことです。お金をかけてキレイな爪を保つことで、噛みたくなる気持ちを抑えられることが期待できます。しかし、小学校などで禁止されている場合もあるので、実行するには確認が必要です。4. 爪を噛む習慣を、ストレスボールを握るなど他の習慣に置き換える爪を噛む以外に自分の心がすっきりしたり、落ち着いたりする行為が他にあれば有効。たとえば、「ストレスボール」というストレス発散専用グッズなどの使用が挙げられます。手を使うことで、指を口に持っていかないようにできるのがポイントです。5. ストレスや不安がないか爪を噛む原因を知る爪噛みの原因を探り、その状況を避けるという方法。先述したように、爪噛みの原因はさまざまなものがあるので、簡単には特定できません。我が子がどういう状況のときに爪を噛みやすいか、分析するところから始めましょう。6. 噛む指を1本ずつ減らすなど、徐々にやめていく「いきなりやめさせるのは難しいけど、少しずつ慣れさせていけばできる」という考えのもとにあるのがこの方法です。「右手は噛まない」「親指は噛まない」などルールを決め、少しずつ増やしていきます。この方法なら、子どものペースで進めることが可能です。***ちょっとした癖というものは、大人にも子どもにも、何かしらあるものですよね。あまり深刻に考えすぎず、親子でネイルケアを楽しんだり、ゲーム感覚で爪噛み卒業を目指したりするくらいの心構えで対処することをオススメします。(参考)livedoor NEWS|心理士に聞いた!爪を噛む行為の裏にある心理All About暮らし|子供の爪噛みの治し方とは?原因と対処法NCBI|Nailbiting.ウーマンエキサイト|爪を噛むのをやめさせたい!86.3%の親が子どものクセに悩んでいる?【パパママの本音調査】 Vol.52ベネッセ教育情報サイト|幼児期からマニキュア!?4割の保護者が子どもの爪に困りごとアリ!ケータイ家庭の医学SP|爪を噛む癖を直す6つの秘策かむピタプラス公式サイト
2020年04月13日国語・算数・理科・社会――各教科の学習と、アート教育、どちらが大切か。そう聞かれたら、あなたはなんと答えますか?アート教育も大切だとは思いつつ、実際は教科の学習に重きを置いている。そんなご家庭も多いのではないでしょうか。教科の勉強と芸術教育はまったくの別物だと考えられがちですが、じつはそうではありません。相違点もあれば、共通点もあります。さらに、互いに活用できる要素も多く存在するのです。たとえば、アート教育の手法から各教科の学びに生かせることはたくさんあります。今回は、美術鑑賞教育法として生まれた「対話型鑑賞」を、算国理社4教科の学びに活かす方法をお教えします。学校がお休みになり、いつもより時間に余裕のある春休み。家庭での親子の対話で、従来の学習では習得が難しい大切な力を磨いてみませんか。成績至上主義では難しい、「対話」で得られる7つの力人間の知の基本フレームは、小学生の時期に形成されます。子どもの思考や感性が形成されるこの大切な時期に、あらかじめ定められた解答を単に繰り返すだけの作業や、一問一答式のテスト結果などの目先の成果を優先してしまったら、どうなるでしょう。子どもたちの、自ら学び創造する力、じっくりと考える力、多様な視点や解釈の可能性を受け入れ、自分とは異なる他者を受容して理解する力を削いでしまうのではないでしょうか。それを避けるためには、対話による学びが有効です。対話型鑑賞をとおして得られる7つの力は、これからの時代に必要不可欠な能力ばかり。どれも、生きる力につながる大切な能力です。観察力推論する力表現力再考する力共感力コミュニケーション能力主体的に学ぶ力そして、この7つの力は、特別なことをしなくても、親子の対話をとおして身につけることができるのです。「答えは?」「速く!」はNGワード。5つのコツと3つの問いかけ教科の学びでは、一定の時間内にひとつの正しい答えを求める局面が増えてきます。したがって、いかに「速く」「正解」を導くことができるかが問われるようになります。そんななか、解答に至るまでの思考のプロセスは、なかなか評価してもらえません。これは、テストの成績至上主義の弊害だといえるでしょう。そこで、家庭では、成績至上主義で見過ごされがちなことを、対話をつうじて積極的に補ってあげてください。親子で対話をするときに気をつけてほしいポイントは、以下の5つです。1. 子どもの思考のプロセスをたどる思考力・想像力・メタ認知能力などの大切な力は、思考のプロセスをたどることで培うことができます。ただし、子どもはふだん思考の過程を伝えるのに慣れていないので、最初は親御さんのサポートが必要です。お子さんの発言を丁寧に拾いながら、対話をとおしてひとつひとつ探っていきましょう。◆気づいたこと、考えたことは?◆どこでそう気づいたの?なんでそう考えたの?◆ほかに発見はある?この3つの問いかけで、子どもの思考のプロセスを引き出すことができます。2. 思考のプロセスを「見える化」する思考の過程を言葉にすることに慣れてきたら、お子さんの発言を図示したりメモに残したりして「見える化」することをお勧めします。過去と現在の子どもの思考をつなげたり、振り返って次の思考に役立てたりすることができるでしょう。手を動かすことが論理的思考を刺激し、表現力を高めることはよく知られています。最終的には、子ども自身でも思考のプロセスを残せるように仕向けられるといいですね。親が手を動かして思考の軌跡を記す姿を見ていると、子どもも自然にまねるようになるものです。3. 間違いを恐れないはじめにたどりついた答えが正解ではないことを、恐れないでください。何度つまずいてもいいのです。思考のプロセスに誤りはひとつもありません。つまずきは、新たな思考の飛躍につながる大きなステップ。キラキラ輝く宝物のような存在なのだととらえましょう。4. 解答スピードを気にしない一刻も早く正答を見つけなければならないという強迫観念を捨ててください。すぐに正解できなくてもいいのです。どれだけ時間がかかるかは問題ではありません。頭を使って考えた時間そのものが大切な財産となります。5. 大人が教えない親が教える立場に立ってはいけません。大人としての権威を示す場面はここではありません。子どもと一緒に試行錯誤しながら、ともに歩んでいく姿勢を保ちましょう。私たちにできるのは、ファシリテーターとして、対話をとおして子どもの考えを引き出すこと。あくまでも主人公は子どもです。親はサポート役に徹しましょう。【国語】対話をとおして俳句を味わう各教科の学習内容に「対話」のエッセンスを入れると、どんな学びになるのでしょう?まずは国語からお話します。定番の「俳句」を使って対話型鑑賞に挑戦してみましょう。閑さや岩にしみ入る蝉の声短い5・7・5のなかに、さまざまな意味が込められている俳句。そんな俳句は解釈の多様性にあふれています。言葉から喚起されるイメージを、子どもと対話しながらふくらませていってください。親御さんも見慣れた松尾芭蕉の名句なら、気軽に取り組むことができるはずです。対話のポイントは、定説を押しつけないこと。素朴な疑問からスタートしていいのです。たとえば、このような発問を交えると効果的です。蝉が鳴いているのになぜ静かなの?岩にしみ入るってどういうこと?蝉なのになんで「声」なの?蝉は何匹いるんだろう?どんな情景が思い浮かぶ?決して正解はひとつではありません。この俳句なら、「静けさとは心の静寂を表している」という解釈以外にも、「蝉は何万匹もいてその声は耳を圧するほどうるさいが、その一定の大音量のなかにいてフッと意識が遠のく感覚を静けさと表現した」と解釈をすることもできます。お子さんと一緒に、対話をとおして自由な鑑賞を楽しんでみてください。対話による韻文の鑑賞で培った力は、長文の読解にも役立ちます。さらに、対話を終えてから、感じたことや考えたことを自由に記述する機会を設けることで、論理的な思考力や表現力を高めることもできます(詳しくは『語彙力と読解力はアート鑑賞で伸びる!写真と俳句で「国語力」を高める5つのポイント』をご覧ください)。【算数】三角形の面積の出し方について話し合うこの三角形の面積を答えよ。なぜ「底辺×高さ÷2」の計算式で三角形の面積が出せるのか説明せよ。たとえば三角形の面積のように、算数では答えがひとつに定まることがほとんどですが、正解に至るまでのプロセスは幾通りもあります。大切にしたいのは、その思考のプロセス。子どもたちは正しい答えを導くまで、さまざまな試行錯誤を繰り返します。その過程でのつまずきを大切にしましょう。頭で考えるだけではなく、実際に手を動かして図に書いてもらうのも効果的です。子どもの行動の根拠を尋ねながら、一緒にどうすれば答えを導けるか、その足跡を残していきましょう。算数では、「直角は90°であるとする」というように、前提を元に考えられるということを、子どもが自然に気づけるようになるといいですね。【理科・社会】対話で図表の見方を深める理科では、アート作品の鑑賞と同じように、さまざまな写真や図表から、対話をつうじて有意義な学びを得ることができます。動植物、地質、星座や宇宙の仕組みなどについて、写真や図表を見ながら語り合うことで学べることはたくさんあります。また、目に見えない原理を現象から探る電気や力学などの物理学では、目に見えないものを伝達するために、言語化や数式化が必須です。因果関係を推論し、検証する際に、対話の学習が効果を発揮することでしょう。社会でも、国勢調査や歴史年表など、対話の素材として使える図表はたくさんあります。たとえば、日本・世界各地の写真や歴史資料を見ながら、それぞれの土地や時代の暮らしについて話し合ってもいいでしょう。小学校高学年の子どもであれば、何の資料なのか示さずに、対話をつうじて「この資料が指しているデータは何なのか」を探っていくのもおもしろいはずです。都道府県別の鉄鋼生産量のグラフなどを用意し、何についてのグラフなのか、親子で話し合ってみましょう。今まで習った知識を整理し、知っている情報をもとに推論する力を磨くのに役立ちます。社会や理科で行なわれる比較や分類は、さまざまな視点から比べ、分けられています。たとえば、地域や時代の比較、動植物の分類など、あげればキリがないほどです。対話の際は、今見ている図表やデータは、どのような視点で比較・分類されたものなのか、子ども自身で考えられるよう、促してあげてください。子どもの生きる力を育むためにテストの成績至上主義は、子どもの思考力、非認知能力、メタ認知能力、創造力、他者の立場に立って考えるための多様な視点、ひいては自ら学び判断するという生きる力を削ぐ結果になりかねません。それを避けるためにも、対話をとおして、子どもの思考のプロセスをたどっていきましょう。人生において、正解はひとつだけではありません。たとえ途中で失敗しても、決して無駄にはなりません。結果だけでなく、過程も大切にする親の姿勢は、必ず子どもにも伝わるはずです。それはきっと、お子さんが学びを深めるうえでも、人生を歩むうえでも、大きな糧になることでしょう。(参考)フィリップ ヤノウィン 著, 京都造形芸術大学アートコミュニケーション研究センター 訳(2015),『学力をのばす美術鑑賞』,淡交社.
2020年04月12日長男は4歳のときに、子ども発達支援センターで発達検査を受けました。担当の先生からは発達障害のグレーゾーンと言われ、長男への接し方や特性の話を聞きました。乳児期のころから長男のことを育てにくいと感じていたのですが、当時はなぜ育てにくいと感じてしまうのかわかりませんでした。今回は長男が発達障害であるという結果を聞いたときの私の心境をお話ししたいと思います。 子育てがつらいと感じていた日々長男は生後3カ月ころから寝付きが悪く、夜泣きもひどく、育児用ミルクは一切飲まず母乳のみでした。実家は遠く、夫は非協力的で、金銭的な余裕もなかったので、私ひとりで長男の子育てや家事を頑張るしかありません。さらに長男が1歳、2歳と成長してくると、偏食・言葉の遅れ・こだわりが目立ち始めました。 健診では問題ないと言われていましたが、長男の様子に違和感を持ち始めていた夫や義父から、私のしつけが悪いと言われるようになり、私は長男の子育てをつらいと感じるようになってしまいました。 発達検査を受けた結果長男が4歳になる1カ月前、長男の子育てと成長について子育て支援センターに相談に行ったところ、すぐに子ども発達支援センターを紹介され、長男が4歳3カ月のときに発達検査を受けました。 担当の先生からは検査の結果、「発達障害のグレーゾーン」と言われ、知能的に高い部分と社会性の低い部分で2年半の差があるということでした。発達に凸凹があるために、長男には理解できることとできないことの差がありますが、それは性格や環境のせいで「お母さんのせいではないですよ」と言われたのです。 ショックよりホッとした気持ち夫や義父に長男へのしつけが悪いと言われていた私は、「お母さんのせいではない」と言われたとき、体の力が抜けたと同時にホッとしました。 また長男には発達障害という脳機能の問題があると聞き、妙に納得した感覚がありました。脳機能で何かうまくいかないことがあり、感覚などの過敏があるのだとすると、育てにくいと感じていた長男の偏食やこだわりなどをすんなりと理解することができたのです。そして発達障害だと言われても、不思議とショックはありませんでした。むしろ、発達障害のことを、長男のことを、しっかりと理解したいと思いました。 発達検査の結果が出たあとも、夫や義父は長男の発達障害をなかなか受け入れてくれず、私のしつけが悪いと言っていましたが、私は気にしませんでした。発達検査の結果を聞いた日を境に、長男の子育ては「育てにくい」から「理解したい」という方向へ変わっていきました。私のせいじゃなかった、そう思った瞬間のホッとしたときの気持ちは、うまく言葉では表せませんが一生忘れることはないと思います。 ※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。 先輩ママの体験談、いかがでしたか?「共感した」「私の場合はこうだった」など、ぜひベビーカレンダーサイトのコメント欄にご感想をお寄せください。また、ベビーカレンダーでは皆さんから募集した体験談を記事でご紹介させていただくことも。ベビーカレンダーに会員登録すると届くメルマガから、皆さんのオリジナル体験談をご応募ください。 監修/助産師REIKO著者:川本 千華発達障害の長男、兄が大好きな次男を育てる2児の母。元ピアノ講師。自身の経験を活かし音楽・発達障害に関するライターとして活動中。
2020年04月11日子どもを幼稚園や保育所に預けて仕事に行かなければならないのに、毎朝のように我が子が大泣き……。そんなことに悩んでいる人も多いかもしれません。どうすれば登園時に子どもは泣かないようになるのでしょうか?アドバイスをもらったのは、欧米で学んだ心理学を子育てに生かし母親たちをサポートしている、公認心理師の佐藤めぐみさんです。佐藤さんは、「鍵を握るのは『アタッチメント』」だと語ります。構成/岩川悟取材・文/清家茂樹登園時に子どもが泣いてしまう3つの要因子どもが登園時に泣いてしまうことには、いくつかの要因が考えられます。ひとつは「年齢」が挙げられます。子どもが1歳になったタイミングで仕事に復帰する方は多いですが、ちょうどその頃から1歳半くらいにかけて記憶力が発達し、子どもたちは過去と現在を比較できるようになります。ですから、幼い子どもを幼稚園や保育所に預けると、子どもは「さっきまで一緒にいてくれたお母さんがいまはいない……」と感じて、大泣きするわけです。1歳過ぎから1歳半くらいまでのあいだは、いわゆる分離不安のピークですので、この時期の子どもが登園時に泣いてしまうのは、発達的に見ても「あって当然」のことなのです。このケースでは、「泣かなければラッキーで、泣いても仕方ない時期」と考えて、自分を追い込まないようにしてほしいなと思います。預けなくてはいけない以上、できる工夫はしつつも、「時間が解決してくれる」といういい意味での割り切りも肝心かもしれませんね。しかし、いちばんの要因としては、もともとの「気質」があるでしょう。大人のみなさんでも、行ったことがない場所に行ったり面識がない人に会ったりすることにワクワクする人もいれば、不安を感じる人もいますよね?それは、人生経験の少ない子どもだったら、なおさらのことです。さらには、初めて行った場所や初めて会った人に対する順応のスピードも気質のひとつ。すぐになじむことができる子どももいれば、そうではない子どももいるのです。ただ、気質についても年齢と同じように割り切らなければならないかというと、そうではありません。のちにお伝えしますが、ある方法で解決できる可能性もあります。もうひとつ要因を挙げるとすれば、「家の環境」があります。あまりに家の居心地がいいために、子どもが外に出たがらないのです。もちろん、親子のあいだの愛情にあふれているという居心地のよさであればなんの問題もありません。でも……異なる意味合いで見た場合、居心地のよさが子どもを王子さまやお姫さまのように扱い、なんでも親が世話をして甘やかしていることからであれば問題があります。幼稚園や保育所での集団活動では、我慢しなければならないことが多々あります。そういう場所(幼稚園や保育園)と、とことん甘やかしてもらえる家を比べ、子どもは登園を嫌がるということになるのです。子育てのすべての土台となる「アタッチメント」が鍵ではどうすれば登園時に子どもが泣かないようにできるのでしょうか?その鍵となるのは、「アタッチメント」です。アタッチメントとは、「子どもが特定の人に示す愛着感情」のこと。簡単にいえば、特定の人との「精神的な絆」のことです。そして、小さな子どもにとっての最初の「特定の人」とは、一般的には、もっとも身近に接して世話をしてくれるということで母親というケースが多いと思います。このアタッチメントこそが、子育てのすべてを支える土台なのです。また、子どもは親とのアタッチメントを通じて、人との接し方も学んでいきます。親から「こういうふうにまわりの人とかかわっていけばいいんだな」というテンプレートを学ぶのです。つまり、アタッチメントとは、その子の将来の人間関係の広げ方にも大きくかかわるものなのです。こう表すと、その重要性を強く感じられたのではないでしょうか。そして、このアタッチメントの育み方次第で、気質的には引っ込み思案で幼稚園や保育所で不安を感じるような子どもであっても、しっかり元気に登園できるようにもなります。もちろんその育み方とは、王子さまやお姫さまのように甘やかすことではありません。その育み方とは、親があれこれ手を出すのではなく、子どもが甘えたがっているときにその気持ちをしっかり受け止めること。幼稚園や保育所に子どもをお迎えに行くと、子どもが「抱っこして」といったり手をつないできたりと、子どもに甘え行動が出ますよね。そのときにしっかり甘えさせてあげるのです。もちろん、子どもが望むのなら自宅に帰ってからも膝の上に子どもを乗せて絵本を読んであげたり、一緒にお風呂に入って遊んであげたりすることも、子どもの甘え行動を受け止めることのひとつです。「アタッチメント」で子どもにエネルギーをチャージ!なぜ、こういう行為によって、登園に不安を感じるような子どもでも泣かずに登園できるようになるのでしょうか?それは、アタッチメントによってエネルギーをチャージできるからです。気質が引っ込み思案である子どもの場合、親と離れて幼稚園や保育所で過ごすにも、引っ込み思案ではない子どもと比べ、より多くのエネルギーを使います。だからこそ、翌日も元気に登園できるように、たっぷり甘えさせてエネルギーをしっかりとチャージしてあげることが大切になります。加えて、子どもの気質を無視して、親の主観で言葉をかけることに注意してください。ありがちなのが、自分が子どもの頃には幼稚園や保育所が大好きだったというケース。親子でも気質が正反対ということも珍しくないですよね?それなのに、自分が子どもの頃には幼稚園が楽しかったからと、「大丈夫、大丈夫!元気よく行ってらっしゃい!」「絶対に楽しいから!」と押しつけてしまうのはよくありません。もともとの気質は変わらないものなので、そこを理解したうえのアプローチをしないといい方向へは進みにくくなります。どんな子どもにもアタッチメントは大切なものですが、引っ込み思案の子どもにとってはとくに大切なこと。引っ込み思案の子は、時間をかけてその場所や人々に慣れていくものなので、そのペースに合わせ、日々、子どもにしっかりとエネルギーをチャージしつつ進んでいくことが大事になります。『子育て心理学のプロが教える 輝くママの習慣』佐藤めぐみ 著/あさ出版(2012)■ 公認心理師・佐藤めぐみさん インタビュー記事一覧第1回:「登園時、毎朝大泣き」問題は、親がコレをしてあげると解決できる!第2回:子どもの「泣き落とし」を収めるテクニック。コツは“ルール作り”にあり(※近日公開)第3回:子どもは「甘やかす」より「甘えさせる」!甘えさせてもらえない子は将来こうなる(※近日公開)第4回:「過干渉、ヘリコプターペアレント予備軍」親の意外な特徴。もしかしてあなたも?(※近日公開)【プロフィール】佐藤めぐみ(さとう・めぐみ)1969年生まれ、東京都出身。公認心理師。オランダ心理学会認定心理士。イギリス・レスター大学大学院修士号取得。欧米で学んだ心理学を日本のお母さんが取り入れやすいかたちにしたポジティブ育児メソッドを考案。現在は公認心理師として、ポジティブ育児研究所でのオンライン子育て心理学講座、育児相談室ポジカフェでのカウンセリング、メディアや企業への執筆活動等を通じ、子育て心理学を活用した育児支援を行っている。HP:megumi-sato.com【ライタープロフィール】清家茂樹(せいけ・しげき)1975年生まれ、愛媛県出身。出版社勤務を経て2012年に独立し、編集プロダクション・株式会社ESSを設立。ジャンルを問わずさまざまな雑誌・書籍の編集に携わる。
2020年04月11日子どもが悪いことをしてしまったとき、つい「だめ!」と叱ってしまいがちですよね。でもそれだけでは、子どもの問題はまったく解決されません。反抗心も手伝って、また同じことを繰り返してしまうことも。家庭でのしつけのヒントにもつながる実践法が、アメリカやイギリスなどの学校、そして日本にも徐々に広まってきています。子育てのブレない柱となりうる「Restorative Practice(修復的実践)」から学んでみましょう。加害者と被害者が対話。被害者の8割以上が満足する“Restorative”の動詞形”restore”は「復元する・修復する」という意味。「修復的実践」とは、「コミュニティの中でいかに人間関係を円滑によりよいものにするか」を目指す社会科学理論です。その目的は、よりよい社会の実現、犯罪など社会的弊害の回避と、それによる被害の修復と復元。つまり、「何か問題が起こったとき、当事者を含めた関係者全員が、納得するまで話し合うことで、問題解決を目指そうとする」こと。その元となったのは、司法で使われる「Restorative Justice(修復的司法)」。修復的司法では、犯罪は加害者だけが悪いわけではなく、「地域社会に起きた害悪」であるというとらえ方をします。そして、被害者はもちろんのこと、加害者、それぞれの家族、地域の人々にとってプラスになるよう、その害悪を修復しようと考えるのです。実際に、米ミネソタ大学の調査では、犯罪の被害者と加害者が対話をすることで、被害者の8割以上が満足し、加害者の再犯率が約3割減少したのだそう。この原理が欧米の学校教育にも取り入れられ、問題を起こした子どもへの懲罰の代わりに、対話で解決する方法の試行錯誤が修復的実践として始まったのです。海外での「修復的実践」の取り組みとその効果「修復的実践」は、オーストラリア、アメリカ、イギリスなどで実践が進められ、その効果が証明されてきました。■オーストラリアでの修復的実践対話を取り入れた「修復的実践」は、オーストラリアの学校教育に、1994年頃に初めて実践的に取り入れられました。その際の核となる方針は次のとおりです。3つの原理、「尊重」「配慮」「参加」のもと、以下のような原則が設けられました。5つの原則関係者はそれぞれみな変わりうる存在であるという認識人格尊重が基本いじめによる弊害に耳を傾ける害されたものの回復に努める最終的には関係者全員がコミュニティに再統合され、より強い絆で結ばれることを目指すこの取り組みの実績が認定され、2000年代前半にはオーストラリア全土の学校で実験的に採用されるように。「学校コミュニティに安心感が増した」「恥ずかしい場面でもうまく対処ができるようになった」などの声が子どもたちからあがっており、その効果が認められています。特にいじめは、被害者にとって本当につらい体験です。しかし、加害者となった子どもと納得するまで対話をすることで、もやもやとした気持ちが軽減され、場合によっては絆が強くなる――。最終的にクラスの雰囲気が変わるのです。■アメリカでの修復的実践オーストラリアで始まった試みを体系化したのが、元中学校教師のワクテル氏です。NPO団体を立ち上げ、修復的司法の原理を福祉、教育の場に応用すべく、概念化、組織化し、指導者育成を進めました。その結果、問題解決策としてだけではなく、コミュニケーションスキルを身につけるための人格教育として、最近では学校でのさまざまな話し合いの場などに取り入れられるようになっているそう。その際、重要とされたのは、問題に対して、その場にいる全員が当事者意識を持つことです。まずは、教育者側(教師や親)が自分の感情を伝え、さらに子どもの感情を引き出し、ひとつの問題を共有することで有意義な話し合いにつなげます。それが最終的に、よりよいコミュニティづくりに貢献するのです。子ども同士の対話だけでなく、教師や親までもが同じ目線で、同じ問題についてとことん話す。いつもは絶対的な存在である教師が「正直言っちゃうとさ、先生もね……」と腹を割って話してくれたとしたらどうでしょう?子どもだって、「本音を言ってもいいんだな」と自分の気持ちを第三者に伝えることへの抵抗が少なくなりますよね。■イギリスでの修復的実践ヨークシャー州ハル市では、治安の悪化により地域コミュニティが崩壊し、学校も荒れていました。その中のひとつ、コリングウッド小学校に2004年新しい校長先生としてマクドナルド氏が赴任し、「修復的実践」の指導手法を取り入れると、2年後にはOfsted(教育監査局)による学校評価が、なんと最低から最高ランクにまで急上昇したそうです。このとき、校長がまず教師たちに伝えたのは、「ポジティブで未来志向型の言葉づかいで学校を満たそう」。起こってしまったことをとがめるのではなく、「これからどうすればよいか」にフォーカスして考え、対話を促し、子どもの自主性を引き出したのです。この顕著な効果を受けて、ハル市内のほかの小中学校でも手法が取り入れられ、環境が大きく改善されました。どのケースも、対話する機会を持つことで、前向きに考える力、対話力、問題解決力が育まれ、コミュニケーション力が着実に身についているのがわかります。人間力の基盤が築かれたのです。では、家庭ではどのような点に気をつければよいのかについて紹介しましょう。「おやつ抜きよ!」は効果アリ?まだ日本ではあまり知られていない「修復的実践」。でも、こうして見てくると、とても平和的・道徳的で理に叶っており、複雑な社会で生きていくための人間力を育んでいけそうですよね。日々起こりうる子どもの問題、トラブルに生かさない手はないはず。では、具体的にどういう点に気をつければいいのでしょうか。家庭での問題解決の注意点ついて、アメリカ・オークランドのOakland Unified校での指導例がわかりやすいのでご紹介します。<問題>「触ったらダメ」と何度も言われていたクリスマスのオーナメントを、子どもが触って壊してしまった【関連性のない罰】「ダメだと言ったじゃない!」とおやつを抜きにする【修復的実践】「壊れてしまったから、直しなさい」と元に戻させる罰としての「おやつ抜き」の場合、オーナメントとおやつには何の関連性もなく、問題に対する論理性はありません。修復的実践の場合、修理するために大変な苦労をすれば、そのにがい経験により、次からは「気をつけよう」と直接の問題解決につながります。修復的実践の過程ではさらに、親子で「なぜオーナメントを触りたくなってしまうのか」「壊すつもりじゃなかった」ことなど、子どもの気持ちを掘り下げてお互いが理解し合い、「今後はどうするか」の対策も決めることで、問題回避を図れる建設的な対話となります。「ダメだって言ったでしょ!おやつ抜きよ」というフレーズ、身に覚えのある方も多いのではないでしょうか?そのほかにも、「静かにしてと言ったでしょ!もう今日はオモチャは買わないからね」なども同様フレーズですね。子どもが何かよくないことをした場合は、以下のようなステップを踏んでみてはいかがでしょう?「なぜ〇〇をしてしまったのか?」と子どもに質問する子どもの気持ちや言い分を掘り下げて聞いてみる「今後はどうしたらいいか?」と話し合う このような対話をすることで、親がよくやりがちな「問題と関連性のない罰を与える」のを解決できるはずです。***この実践法の注意点は、「子どもとは対等な関係である」と言う意識を持つこと。上から目線で親の価値観や行動を押しつけると、失敗しがちです。同じ目線でひとつの物事に対処し、子どもの自主性を優先しながら問題を解決することで、自信がつき、自己認知力も高まります。ちょっとした親の心持ちや声かけの変化で、子どもは大きく変わりそうですね。(参考)Wikipedia|Restorative practicesDIAMOND online|【子育ての科学】子供を「叱る」のは意味がないって知ってた?ウィキペディア|修復的司法竹原幸太(2014),『対話と参加を基盤とする学校コミュニティ形成に見る道徳教育への示唆 ―ジャスト・コミュニティと修復的実践のアメリカ教育史的考察を通じて』,東北公益文科大学 総合研究論集 第25号.山辺恵里子(2011),『修復理論における「正義」概念 ―関係性の構築と修復に主眼を置いた教育実践をめぐる議論を手がかりにー』,東京大学大学院教育学研究科紀要 第51巻.OUSDNews|ONews-Edna Brewer Restorative JusticeOakland Unified School District|Restorative JusticePositive Discipline|The Wheel of Choice東京都人権啓発センター|被害者と加害者の対話がもたらすもの「修復的司法」で犯罪被害からの回復をめざす
2020年04月10日わたしたちは、無意識のうちに多くの「思い込み」を抱えて生きています。その思い込みが、子どもが勉強で成果を出すにあたって支障になっていたとしたら?親であれば、子どものためにもそんな思い込みは払拭したいものです。算数に特化した学習塾「RISU」の代表である今木智隆先生が、算数を中心とした勉強に関する思い込みを教えてくれました。構成/岩川悟取材・文/清家茂樹写真/石塚雅人(インタビューカットのみ)算数が得意な子どもの男女比はほぼ5対5「男性は理系教科が得意で、女性は文系教科が得意」。みなさんのなかにもそう思っている人が多いはずです。でも、これはまさに思い込み。算数が得意な子どもの男女比は、ほぼ5対5という数字があるのです。わたしが収集した10億件ものデータによる結果なので、間違いありません。でも、理系の大学院に進むような人には男性が多いというのは事実です。ただ、これは単純に環境によるものではないでしょうか。わたしも京都大学の大学院に行きましたが、理系の大学院は女性に優しい環境だとはとてもいえないからです。いまなら綺麗になっているところも多いかもしれませんが、伝統的に男社会である理系の大学院の多くは、やはり汚いし臭いし……(苦笑)。研究に追われて泊まり込むというようなことになれば、仮眠室なんてものもありませんから、並べたふたつの椅子のうえに寝るようなこともふつうにある。そんなところを女性が敬遠するのはあたりまえのことでしょう。そういうことの積み重ねが、「男性は理系教科が得意で、女性は文系教科が得意」という思い込みを多くの人に持たせてしまっているのだと思います。また、親によるミスリードも「男性は理系教科が得意で、女性は文系教科が得意」という風潮をつくっている要因のひとつでしょう。父親よりも家庭教育を担うことが多く、得手不得手が遺伝すると思い込んでいるような母親が、子どもの頃に算数が苦手だったというケースがそれにあたります。「わたしは算数が苦手だったから、同性の娘も苦手にちがいない」というわけです。でも、子どもにそう思い込ませることほどもったいないことはありません。もしかしたら、母親には発現していない算数の才能をその子は持っているかもしれないのですからね。子どもは親とはまったくの別人格なのですから、親の体験を子どもに投影しないようにしてほしいものです。テストの85点はいい点?悪い点?また、思い込みという点では、テストの点数の解釈にも注意が必要です。たとえば、子どもが算数のテストで85点を取ってきたとしたら、みなさんはどんな印象を受けるでしょうか?100点ではありませんが、「8割以上はできているし、問題ない」と思う人も多いはずです。ところが、その内容によっては大いに問題であるという場合もあるのです。たとえば、配点はすべて5点の20個の問題のうち、ケアレスミスで計算問題だけを3つ間違ったケースと、3つの文章題すべてを間違ったケースではどうでしょう?前者は、学習内容はきちんと理解できていて、今後はケアレスミスにだけ注意すればいいということ。一方、後者の場合、計算はできても、文章題を解釈して式を立てる能力がまったく足りないということになる。深刻度でいえば、後者は前者の何倍にもなるでしょう。つまり、点数そのものではなく、どういうミスをしたのかというところにきちんと着目し、理解すべき大切な内容が抜け落ちたまま先に進むことがないよう注意する必要があるのです。そうしなければ、算数の場合は、「積み上げ型」という教科の特性があるため、その抜け落ちた内容がネックとなって、のちのちに大きな壁にぶつかることになります(インタビュー第1回参照)。親の謙遜と、子どもへのご褒美の条件に要注意ここからお伝えすることは、算数に限った話ではありません。でも、子どもが勉強でしっかり成果を出していけるようにするため、ぜひみなさんには心にとめておいてほしいことです。ひとつは、親の謙遜に注意してほしいということ。ママ友との会話のなかで、「うちの子なんて、算数が全然駄目で……」なんてことを口にしていませんか?じつに謙虚な日本人らしい言葉です。ただ、謙虚であることがいいというのは、このケースにはあてはまらず、ただの思い込みといえます。もし、その言葉を当の子どものまえでいっていたとしたどうでしょう?子どもは大人ほど言葉の裏にある文脈を読めませんから、字面どおりに親の言葉を受け取ります。子どもは、「僕は駄目な子で、お母さんにも期待されていないんだ……」と思ってしまう。すると、「駄目な子なんだから、できなくていい」という論法が成立し、勉強しない理由を子どもにつくらせることになってしまうのです。子どもの勉強に対するモチベーションを上げるためにも、やはり褒めてあげることを大切にしてください。もうひとつは、ご褒美のあげ方についての注意点です。ご褒美によって子どもの勉強に対するやる気を出させること自体が間違いだというわけではありません。ただ、ご褒美をあげる条件の内容には注意が必要。たとえば、「宿題が終わったらゲームをしていいよ」。この場合、たとえば計算ドリルで全問間違ったとしても、とにかく全問やればいいということになりますから、宿題をする意味がまったくありません。「勉強を1時間したら……」でも同様です。勉強の内容は問いませんから、極端な話、机に向かっていたらいいということになります。ではどんな条件がいいのかというと、たとえば、「宿題をやって採点をして全部正解になったら……」ならどうでしょうか。これなら自己採点の習慣もつきますし、内容の理解も進みます。ご褒美の条件次第で、子どもの勉強は意味のある時間にもなれば、まったく意味のない時間にもなる。その点を意識して、ご褒美の条件を考えてみてほしいと思います。『10億件の学習データが教える 理系が得意な子の育て方』今木智隆 著/文響社(2019)■ 算数塾「RISU」代表・今木智隆先生 インタビュー記事一覧第1回:子どもを「算数嫌い」にしない大原則。幼児期からできる“算数好きの基礎”の築き方第2回:子どもが勉強で成果を出せないのは、親の「勘違い」が原因かもしれない第3回:10億件のデータを調べてわかった、小学生が「ずば抜けて苦手」な算数の単元と例題(※近日公開)第4回:「算数の文章題が苦手」な子どもが、ひねった応用問題でも解けるようになる教育法(※近日公開)【プロフィール】今木智隆(いまき・ともたか)RISU Japan株式会社代表取締役。京都大学大学院エネルギー科学研究科修了後、ユーザー行動調査・デジタルマーケティング専門特化型コンサルティングファームの株式会社beBitに入社。金融、消費財、小売流通領域クライアント等にコンサルティングサービスを提供し、2012年より同社国内コンサルティングサービス統括責任者に就任。2014年、RISU Japan株式会社を設立。タブレットを利用した小学生の算数の学習教材で、延べ10億件のデータを収集し、より学習効果の高いカリキュラムや指導法を考案。国内はもちろん、シリコンバレーのハイレベルなアフタースクール等からも算数やAIの基礎を学びたいとオファーが殺到している。【ライタープロフィール】清家茂樹(せいけ・しげき)1975年生まれ、愛媛県出身。出版社勤務を経て2012年に独立し、編集プロダクション・株式会社ESSを設立。ジャンルを問わずさまざまな雑誌・書籍の編集に携わる。
2020年04月09日私は現在3歳と生後8カ月の姉妹のママです。長女に関しては、生後5カ月の離乳食を始めたころから本当に何でも好き嫌いなく食べ続けてくれていて、今までずっと続いています。私がどのようなことを心がけたかお伝えいたします。 市販のおやつは与える月齢を先延ばし私自身が歯科衛生士なので、虫歯予防の観点から子どもに与える市販のお菓子は極力控え続けていました。人工的な砂糖の甘さにはなるべく触れさせないように、長女が2歳半ごろまでベビーせんべいかプレーンヨーグルト、あとは果物やおいもなどなるべく自然の甘みが感じられる食べ物のみをおやつに与えていました。 自然な甘さのおやつをすすめた結果このような心がけにより、長女は「甘いお菓子」の存在を2歳半くらいまであまり理解していませんでした。たとえばチョコレートやあんこなど強い甘味のあるお菓子は依存性が強いとも聞いていたので、あえて与えずにいたのです。自然な甘味のおいもなどはそこまでたくさん欲しがることもなく、おやつの時間は出された量を適度に食べるくらいでおさまっていました。したがって、朝食・昼食・夕食の際も、自然と食欲がわき、お野菜も残さずにしっかりと毎回完食してくれて、何でも食べてくれました。 できるだけ手料理を!あとはできる限り手作りの食事を与え続けました。生後5カ月の離乳食スタートのころから、3歳の今まで普段の生活はもちろんのこと、外出時にもお弁当を持参できそうな場所であるか事前にHPなどでチェックしています。そして、持ち込みができそうな場所であったり、近くに公園など飲食ができる場所であったりすればお弁当を必ず持参しています。外出先で親子が入りやすいレストランといえば、やはりハンバーグ・からあげ・オムライスなど、こってりとした味付けの濃いものが多いです。子どもは濃い味付けにはすぐに適応すると医師から聞いたこともあって、外食も2歳半ごろまでは極力控え続けていました。 手料理の大変さよりも、「なんでも食べられる子ども」になってくれたことでメニューに悩むことがなくなり、私の負担も減りました。ブロッコリーや枝豆などを冷凍ストックしておき解凍すればすぐにお弁当が作れますし、意外と苦労はなかったです。また、市販のお菓子は案外費用がかさんでしまうもの。そういった悩みもなくなり私にとってはストレスフリーでした。 ※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。 先輩ママの体験談、いかがでしたか?「共感した」「私の場合はこうだった」など、ぜひベビーカレンダーサイトのコメント欄にご感想をお寄せください。また、ベビーカレンダーでは皆さんから募集した体験談を記事でご紹介させていただくことも。ベビーカレンダーに会員登録すると届くメルマガから、皆さんのオリジナル体験談をご応募ください。 著者:黒井夢乃二女の母。歯科衛生士資格あり。二女出産前まで歯科医院にて勤務。自身の体験をもとに、妊娠・出産・子育てに関する体験談を中心に執筆している。
2020年04月08日幼稚園や保育園と違い、毎日の時間割に加えて学習用具も増え、持ち物の管理が課題になってくる小学生。「小学校に入ったら、忘れ物ばかり」「お友だちはこんなに忘れ物していないみたい」などと頭を抱えている親御さんの声もよく耳にします。だからといって、我が子のためと思って親がすべてを管理したり、また忘れ物しがちなことを悲観しすぎたり叱ってばかりいたりするようでは、改善の余地はありません。大人である自分だって忘れ物をすることはあるのだから……と大きな心で、原因と対策を考えていきましょう。忘れたことを責めるのはもってのほかうちの子は特別に忘れ物が多い子なのでは?と思い悩んでいる親御さんは少なくないと思いますが……そもそも、多くの子どもは忘れ物をするもの。そういうものだ、と割り切って考えることも必要です。何かに夢中になっていると、忘れ物をしてしまう子どもたちはたくさんいます。気を配らなければいけないことがたくさんあると、忘れてしまうこともあります。忘れてしまったことを叱るよりも、どうしたら忘れないか、考えることが大切です。(引用元:小笠原恵著(2011年),『うちの子、なんでできないの?親子を救う40のヒント』, 文藝春秋.)また、低学年の子どもの場合、子ども自身でも忘れ物を減らしたいとは思っているけれど、忘れ物をしないための対処法がわからず繰り返してしまうということもあります。だからこそ、好き好んで忘れ物をしたわけではないのに厳しく責められたら、子どもは「自分はダメな子なんだ」と自信を失くしてしまう場合があるので要注意です。忘れたこと自体がショックなのに、さらに叱責までされるのは、大人でも子どもでもひどく落ち込んでしまいますから。忘れ物対策が学力向上にもつながるもう小学生なのだから、勉強や運動、習い事などほかのことに意識を向けたいのに。忘れ物のことばかりで思い悩むなんて……と気落ちするのはもったいないことです。忘れ物への対策を練る時間は、決して無駄ではありません。「忘れ物をなくそう」という意識がウッカリすることやケアレスミスを減らし、忘れ物をしないようになることで、学習や物事への取り組みが積極的になり、先を読む力も養われ、子どもにとってプラス面がたくさんあります。(引用元:SHINGA FARM|忘れ物と学力は関係する!? 子どものタイプ別で正しい対応法をご紹介!)子ども能力開花くらぶ代表の田宮由美氏によると、忘れ物を減らそうとする努力は学力向上にもつながるのだそう。次の日の持ち物をしっかり確認する、朝にもう一度持ち物チェックをするなどが習慣化されると、テストのときも「最後に答えを確認しておこう」となるのです。いつも取りこぼしていたケアレスミスがなくなれば、テストの点数はもちろん上がりますよね。続いてご紹介する忘れ物対策は、学習環境を整える・親子での意識を高めるという意味でも有効なものばかり。具体策を講じて忘れ物が減った頃には、生活面も学習面もよりよいものになっているはずです。忘れ物をなくすために親子でできること東京学芸大学教育学部特別支援科学講座准教授の小笠原恵氏は、忘れ物も「子どもが大きく成長するチャンス」と言います。「次はどうしたら失敗しないで済むか、具体的に教えてあげることは、ただ叱るより有効な場合が多くあります」とのこと。忘れ物ばかりする子どもを叱るよりも、どうすればいいのかを教えたり一緒に考えたり、親子で具体的に策を練って実行に移してみましょう。■朝に持ち物を点検できるくらいの余裕を持つ夜にしっかりと準備をしていたとしても、朝になって時間に追われドタバタと玄関を出るようでは、忘れ物をする可能性も大きくなります。ランドセルの中身はそろっていても、上履き袋を持って出るのを忘れたり、体操着袋を置いていってしまったり。玄関を出る直前にもう一度手荷物を確認することができるくらいの時間の余裕が必要です。■日頃から整理整頓を心がける机の周りやランドセル置き場などは、定位置を決めたり、学習教材を教科ごとに分類したり、よく使うものが取り出しやすいようにしておいたりということが重要です。見た目上はスッキリしていたとしても、重要なプリントが適当なノートに挟まっていたり、毎日のように学校に持っていく教科書が引き出しの奥に入っていたりするようではNG。一度親子で片付けをしながら、いろいろな物の置き場所の見直しをしてみるのもいいかもしれません。■否定的な言葉を使わず、頑張っていることを褒める日頃から「いつも忘れるんだから」「うっかりしてばかり」などという決めつけの言葉は使わないようにしましょう。親がそう言い聞かせることで、子ども自身が「自分は忘れ物ばっかりする子どもなんだ」と思い込んだり、周りからもそのような先入観で見られるようになったりしてしまうことも。ただ忘れ物をするだけの事実よりも、その思い込みから脱却することのほうが、子どもにとっては困難なもの。「忘れ物しないように、最近頑張っているね」など、前向きになる言葉かけを心がけましょう。親が学校まで届けるかどうかは臨機応変に子どもが登校したあとに忘れ物をしたことに気がついたら、届けるか届けないか……。悩みどころだと思いますが、届けてしまえば、忘れた当人は「次は忘れないようにしよう」という意識が低下します。保育士として15年以上保育業務に携わる市川由美子氏は、「忘れ物をすると自分が困るといった経験をしておかないと、『忘れ物をしないぞ』という責任感が芽生えません。とはいえ、忘れ物の種類によっては、届けてあげないと周りに迷惑がかかる物もありますので、臨機応変に対処しましょう」と言っています。お弁当や水筒などの貸し借りができない必需品や、衛生的に困るものなどは届けないと大変なことになりますが、教科書などは隣の席の子に見せてもらうなどして切り抜けられます。また、上履きや体育の帽子などは、学校側が忘れた子ども用に用意している場合も多いものです。事前に「もしも忘れてしまったら」の対処法を親子で確認し合っておく、というのもいいかもしれません。肯定し、前向きに捉えることも大切忘れ物の原因と対策についてまとめました。親があまりにも思い詰めたり、子どもへの関わりが忘れ物のことばかりに集中しすぎてしまったりするのは、親の精神衛生上もよくありませんし、親子関係を悪化させる原因にもなりかねません。花まる学習会代表でNPO法人子育て応援隊むぎぐみ理事長の高濱正伸氏と、花まるグループ西郡学習道場代表の西郡文啓氏は、共著書『ちゃんと失敗する子の育て方』で、「しょっちゅう忘れ物をするのは『それくらい抜けているほうが、世の中生きやすい』というように、注意したくなるようなことも見方を変えれば『良いところ』かもしれません」と述べています。心配だからと言って、子どもの人生の道筋をつけてやったり、親の言う通りに生きて行くように育てたりすることが親の役目ではありません。めざしたいのは、子どもが自分で考えて正しい道を選択できるように、失敗しながらも自力で立ち上がって歩いていけるようにすること。もし「自分は心配しすぎる傾向にあるかも?」と思ったら、いっそのこと、ちょっと子どものことを考えるのをやめてみましょう。(引用元:楠本佳子(2016),『12歳までに「勉強ぐせ」をつけるお母さんの習慣』, CCCメディアハウス.)そして忘れ物をせずに過ごせた日は子どもにとって「あたりまえ」の日ではく、花マルの日。「今日は忘れ物しなかったね」と褒めてあげれば、忘れ物で困ることもないだけでなく成功体験だと認識するようになり、忘れ物をしないよう自発的に心がける姿勢を見せてくれるようになるはずです。***「子どもの忘れ物だけに目を向けるのではなく、整理整頓を促したり、日頃から関心を持ち、親子の会話があれば、持ち物や授業に必要な教材などについて、忘れることを予防できるはず」と言うのは、前出の田宮由美氏。親子のコミュニケーションを密に取りながら、少しずつ忘れ物を減らして自立へとつなげていけるといいですね。文/酒井絢子(参考)All About|子どもの忘れ物が多いのは親の責任?! 親子の会話3STEPで忘れ物対策ベネッセ 教育情報サイト|子どもの忘れ物、防止するコツとやってはいけないこととは?SHINGA FARM|忘れ物と学力は関係する!? 子どものタイプ別で正しい対応法をご紹介!楠本佳子(2016年),『12歳までに「勉強ぐせ」をつけるお母さんの習慣』,CCCメディアハウス.小笠原恵(2011年),『うちの子、なんでできないの?親子を救う40のヒント』,文藝春秋.高濱正伸・西郡文啓 (2018年),『ちゃんと失敗する子の育て方』,総合法令出版.
2020年04月08日ここ10年ほどで、「自己肯定感」という言葉は急激に浸透してきました。親としては、わが子の自己肯定感を伸ばしてあげたいと願うのは当然です。一方で、「もしかしたら私の接し方のせいで、自己肯定感を下げてしまっているかも……」と心配になっている親御さんも少なくないでしょう。今回は、これまでご紹介してきた「自己肯定感」にまつわる記事のなかで、特に人気の高かった6本をまとめました。子どもの自己肯定感を育む方法をたっぷり紹介しているので、ぜひ参考にしてくださいね。「自己肯定感」おすすめ記事1■心が折れて立ち上がれなくなってしまう、自信家なのに自己肯定感が低い人教育ジャーマリストのおおたとしまささんは、「自己肯定感のベースにあるのは “根拠のない自信” である」といいます。「自分は○◯ができるからすごいんだ」「◯○を持っているから自分はすごいんだ」という “根拠のある自信” だけしか持っていない場合、「自信家でありながら自己肯定感が低い人」になってしまうそう。どうしてそのような人間に育ってしまうのでしょうか?おおたさんは、親が子どもに対して過度の勉強を強いる「教育虐待」が要因となっているケースもあると指摘しています。教育虐待を受けて育った子どもが、親の無茶な期待になんとか応え、受験でも就活でも出世レースでも勝ち進んできたとしましょう。(中略)その人間にとっては「結果がすべて」です。すると、たったひとつのつまずきによって「結果」を出せないということが起こると、大人になってからでも、ぽっきりと心が折れて立ち上がれなくなってしまうということもあり得るのです。(引用元:StudyHackerこどもまなび☆ラボ|心が折れて立ち上がれなくなってしまう、自信家なのに自己肯定感が低い人)おおたさんは、「自己肯定感の高低は、チャレンジ精神にも大きな影響を及ぼす」と述べています。自己肯定感が高い人はさまざまなチャレンジをすることができ、たとえ失敗に終わっても「なんとかなるさ」とへこたれずに再び立ち上がることができるそう。反対に、自己肯定感が低い人は、失敗したら自分の価値が無になってしまうという恐怖感があるので、チャレンジすることに二の足を踏んでしまいます。このように、自分を高めるための挑戦をしなくなることで、現状に甘んじ、成長する機会を逃してしまうこともあるのです。子どもの自己肯定感を高めるために、親はなにをしてあげられるのでしょうか。おおたさんによると「子どもの言葉をばかにしないで、まじめに聞くことが大事」とのこと。子どもの発言をつい聞き流したり、「またくだらないこと言って」と相手にしなかったりしていたら要注意ですよ。「自己肯定感」おすすめ記事2■「認める」ことが、子どもの健全な自己肯定感を育む第一歩子どものコーチングにまつわる本を執筆、またコミュニケーションに関する講演活動も行なっているビジネスコーチの石川尚子さんは、「褒める」という行為の危険性について言及しています。一方で、子どもの存在そのものを肯定する「認める」という行為は、健全な自己肯定感を育むのに欠かせないといいます。では、子どもを「認める」とは具体的にどんな言動で行えばいいののでしょうか。それは、とても簡単なこと。ただぎゅっと抱きしめるだけでもいいのです。これが「あなたのことをちゃんと見ているよ、気にかけているよ」という気持ちを伝えることになります。(引用元:StudyHackerこどもまなび☆ラボ|「認める」ことが、子どもの健全な自己肯定感を育む第一歩)「認める」といっても、そんなに大それたことではなく、日常的に名前を呼んであいさつするだけでも十分に効果的だそう。石川さんは、「それだけでも子どもの存在を認めることにつながる」と述べています。この記事では、具体的な声かけの事例をいくつも紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。たとえば、テストで悪い点を取ってきた子どもに対して、どのような声かけをするのが正解なのでしょうか。間違っても、「どうしてこんな点を取ったの!」などと責めてはいけません。このような場合は、「今回、どうだった?」「いま、どう思ってるの?」と淡々と質問するといいそう。大事なのは、その後。「どうすればよかったと思う?」「次に生かせることってなにかな?」と、建設的な対応を心がけることで、子ども自身の成長につながります。親が答えを用意するのではなく、次の機会に生かせる方法を考える “セルフコーチング” ができるようになるといいですね。「自己肯定感」おすすめ記事3■子どもの自己表現力を伸ばし、自己肯定感を高める「親子コミュニケーション」ある調査では、「日本人の自己肯定感の強さは先進国で最低」という結果が出たそう。子ども教育のプロフェッショナル養成に携わる増田修治先生は、その要因のひとつとして「子どもたちに『なんでもしっかりできる子がいい子』だというプレッシャーがかかっていること」が考えられるといいます。親も含めて、多くの大人が暗黙のうちにそういう評価基準を持っていませんか?そうすると、少しでも失敗すると、子どもは「自分はいい子じゃない」と思ってしまう。これでは、自己肯定感が弱くなるのも当然ですよね。(引用元:StudyHackerこどもまなび☆ラボ|子どもの自己表現力を伸ばし、自己肯定感を高める「親子コミュニケーション」)増田先生は、「大事なことは、“なんでもしっかりできるいい子” に育てることではありません」と断言します。大切なのは、きちんと自己分析ができ、困ったときには周囲に助けを求められること。そこで必要になるのは、自分の置かれた状況を自分の言葉で語って助けを求める、いわゆる「自己表現力」です。この記事では、子どもの自己表現力を伸ばすために親ができることを詳しく解説しています。なかでも重要なのは、親子間のコミュニケーションです。どちらかが一方的に話し続けるのではなく、相互が話して聞く、という「応答性」があってこそコミュニケーションは充実します。しかし増田先生によると、最近ではそれができていない親子コミュニケーションが目立つそう。たとえば、お菓子やおもちゃなど「好きなのを選んでいいよ」と言いながらも、子どもが悩んでいるのを見てイライラしていませんか?そこで「まだ決まらないの?じゃあこっちしなさい」などと勝手に決めていませんか?そういった対応こそが、子どもの自己表現力や自己肯定感を育む妨げになっているのです。「自己肯定感」おすすめ記事4■「外遊び」は有能感や自己肯定感を伸ばすーーでも、効果のほどは「親次第」「外遊び」と「自己肯定感」の関連性について、多角的な視点で解説しているこの記事。「外遊びが子どもの情操にいい」と考えて、子どもの意志とは関係なく必死に外遊びをさせようとしている親御さんにとって、非常に耳の痛い内容となっています。しかし、読んだあとはきっと気持ちがラクになっているはずですよ。子どもの自律性の発達を妨げるのなんて簡単ですよ。「ああしなさい」「これしちゃ駄目」「こうしたほうがいいんじゃない?」と言うだけでいい。子どもが「やったー!見て!」と誇らしげに言ってきたときに、「そんなの大したことじゃない」と言えば有能感は育たないし、「後でね」と言ってスマホをいじっていれば関係性が育たない。(引用元:StudyHackerこどもまなび☆ラボ|「外遊び」は有能感や自己肯定感を伸ばすーーでも、効果のほどは「親次第」)「自然体験が子どもの発達に及ぼす影響」を研究テーマにする心理学者・石﨑一記先生は、記事の中で、外遊びによって育まれる子どもの能力をいくつか紹介しています。「自律性」もそのひとつ。自然の中で遊ぶことは、頭を使って試行錯誤し、トライ・アンド・エラーを重ねることになり、自律性が育まれます。そして、自分で考えたことをやり遂げた結果自分を好きになる「自己肯定感」や、遊びという場面においてやるべきこととやらなくてもいいことを決める「自己決定力」なども育まれるでしょう。ただし、子どもに外遊びをさせるにあたって注意すべきは「親の関わり方」だということを忘れずに。先に挙げたように、あれこれ口を出したり、ちゃんと子どもに向き合わなかったり、もしくはただの遊びなのに「なんのためにこれをやるの?」と考えすぎたりするのはご法度ですよ。「自己肯定感」おすすめ記事5■子どもの自己肯定感が低下する「ダブルバインド」。“条件付きの愛”は危険です無意識のうちに子どもを脅すしつけ「ダブルバインド」とは、いったいどのようなものなのでしょうか?この記事では、誰もがやってしまいがちなダブルバインドの例と、それによって引き起こされるいくつかの弊害について解説しています。増田先生は、「ダブルバインド親は、じつは条件付きの愛情を提示している」とも指摘しています。「勉強ができるあなたが好きよ」や「運動が得意なあなたが好きよ」といったメッセージを無意識に送っていることが多く、それに気づいた子どもは「勉強(運動)ができなくなったら見捨てられちゃうかも……」と思い、健全な自己肯定感を持てなくなってしまうのです。(引用元:StudyHackerこどもまなび☆ラボ|子どもの自己肯定感が低下する「ダブルバインド」。“条件付きの愛”は危険です)ダブルバインドの例として、「自分が行きたい高校を選びなさい」と子どもの自由を尊重しているフリをしながらも、いざ子どもが選んだ学校が気に入らないと、「ちょっと偏差値が低すぎるんじゃない?」などと否定する親を挙げています。これこそまさに、子どもの自己肯定感を低下させるダブルバインドの典型です。親は決して子どもを脅しているつもりはなく、むしろ理解を示していると自負しているかもしれません。しかし、子どもが親の矛盾した言動を指摘できず、結果的に従わなければならない状況に追い込まれたら、それはダブルバインドなのです。子どもの自己肯定感を低下させ、間違ったコミュニケーション法を学んでしまうダブルバインド。記事では最後に、ダブルバインドを回避する会話のコツをご紹介しています。ぜひ参考にしてみてください。「自己肯定感」おすすめ記事6■「大好きだよ!」で子どもは育つ。“愛されている自覚”が自己肯定感を高め、勉強姿勢までも変えるこの記事では、「子どもへの愛情の伝え方次第で自己肯定感がぐんぐん育まれる」ということを説いています。ただし、言葉かけには注意が必要。「○○ができてすごいね」という行動に対する承認=「行動承認」では、褒められたほうは「人より優れていないと認めてもらえない」と感じるようになるので注意しましょう。でも、特別な「良くできたこと」や「いいところ」が見つからなくても大丈夫。日頃から「存在承認」による言葉かけをすることで、子どもは自ずと自己肯定感を育むことができるのです。(引用元:StudyHackerこどもまなび☆ラボ|「大好きだよ!」で子どもは育つ。“愛されている自覚”が自己肯定感を高め、勉強姿勢までも変える)「存在承認」とは、存在そのものに対する承認を意味します。「生まれてくれてありがとう」「あなたがいてくれるだけでうれしい」といった、ありのままの相手の存在を認めてあげることで、子どもの自己肯定感はぐんぐん伸びていきます。さらに、親の「大好きだよ」「愛しているよ」という存在承認による声かけは、子どもの勉強に対する姿勢にも好影響を与えます。精神科医の和田秀樹先生によると、「お母さんは僕のことを愛してくれている。僕が勉強すると、大好きなお母さんがもっと喜んでくれるから勉強する」というプラスの感情が動機となり、学習への意欲がわいてくるそう。ストレートに愛情を伝えることに気恥ずかしさを覚えるかもしれませんが、子どもへの愛情を言葉にすることで、親自身もまた親子関係を見つめ直すいいきっかけになるはずです。***「自己肯定感」といっても、大げさに考える必要はありません。子どもの存在そのものを認め、日頃から愛情を伝えるように心がけるだけで、十分自己肯定感は育まれます。親子のコミュニケーションがより充実したものになるよう、ぜひ記事を読んで参考にしてくださいね。
2020年04月07日勝ちにこだわりすぎる、負けそうになると勝負を放棄する――。そんな子どもの姿に戸惑ってしまっている親も多いようです。これは「一番病」などとも呼ばれ、競争社会で生き抜くためにはある程度必要な素質とも言えますが、周りを巻き込んでまで一番でないと我慢できない、という状態では困りもの。たとえ負けてしまっても前向きに捉えて立ち上がってもらうために、親はどんなことに気をつけたらよいのでしょうか。勝ちにこだわるのは、その子の気質が基本「一番病」を理解するにあたっては、まず、負けず嫌いな性格はその子の持って生まれた気質によるものであると割り切って考えることが必要かもしれません。アメリカの心理学者であるトーマス博士の研究で見出された9つの気質特徴、これが複雑に絡み合うことで、生まれつき、負けず嫌いだったり、ルールに準じるのが好きだったりという「性分」が出てきます。その子たちは、「できる自分」が好きで、「できない自分」は受け入れがたいと感じ、親や先生からの指摘で、ひどく落ち込んでしまうのです。このタイプのお子さんは、基本的には、「言われてもやらない子」ではなく、むしろ「自分でがんばる子」の場合が多く、「いい子気質」である傾向が高いようです。(引用元:SHINGA FARM|いい子気質に多い!?「間違えるのがイヤ!」その心理と親ができる対策)さらに、気質的に負けず嫌いな子は結果を残すことが多いので、親もつい期待をかけて「できる子」に育てようと突っ走ってしまうパターンが多いんだとか。子どもが運動会で一等を取ったことに親も大喜びで、ご褒美に欲しがっていたおもちゃを買ってあげたりしたことはありませんか?子どももそのときばかりは喜ぶものの、じつは逆に「一番になったり、一等賞をとったりしないと、ママやパパは褒めてくれないんだ」と感じてしまっている可能性も高いのです。負けず嫌いな気質を生かすには「一番病」を克服していくためには、勝ちにこだわる子だからこそ「負けたとき」にどう対応するかがポイントになってくるようです。勝ったときはたっぷりと褒めたりごほうびをあげたりするのに対して、負けたときは「残念だったな。次はがんばれよ!」くらいで済ませてしまっていませんか?教育評論家の親野智可等先生によると、「負けたくない。勝ちたい」という気持ちは、「がんばりたい」という向上心とつながっているのだそう。ですから、勝ち負けにこだわる子どもの気持ちは受け止めつつ、どんなときでもその子の「がんばり」を褒めてあげましょう。結果がよかったときは「結果とがんばった過程の両方を褒める」、逆に、結果がよくなかったときは、「がんばった過程を褒める」ことで、勝っても負けても次にまたがんばることができるはずですよ。ただし、子どもが「勝つまでやりたい!」と何度もゲームを繰り返した結果の勝利については、親が褒める必要はないと、スクールカウンセラーで臨床心理士の福谷徹氏は言います。「それは大人から見てカッコ悪いよ」と子どもに伝えるべきとのこと。自分の都合だけで周りを振り回してまで勝とうとして勝っても、褒めてもらえることはないのだと自覚してもらえればよいのでしょう。勝敗をつける遊びをはじめる前に大阪養護教育振興会によると、幼児期の遊びやゲームなどであれば、「この遊びには勝ち負けがあります。勝つ人がいたら負ける人もいます」と前もって勝敗が分かれることを予告し、「勝ってもいばりません、負けてもおこりません」と遊びのルールを作ったうえで遊び始めるのも有効だそう。負けてしまって悔しがる子には、「勝ちたかったんだね」とその感情を言語化してあげて、自分の気持ちを理解してもらえるという安心感を持たせてあげれば、たかぶった気持ちを抑える一助になります。一緒に大人が遊ぶ場合にも、大人のほうが負けてしまったときに悔しがってばかりいたり、勝ったら踏ん反り返って自慢したりするような態度をとるのは考えもの。「負けちゃった〜、悔しいけれど楽しかったから、まぁいいか。次は勝つぞ〜」くらいの態度で、おおらかな時間を過ごすように心がけましょう。東京学芸大学教育学部特別支援科学講座准教授の小笠原恵氏は、著書『うちの子、なんでできないの?親子を救う40のヒント』の中で、子どもの価値観は大人の価値観を反映していることが多いと言っています。大人が「失敗は成功のもと!」「負けるが勝ちだよ~」と失敗や負けをポジティブに考えていれば、子どももきっと、勝っても負けても楽しい時間を過ごすことができるでしょう。勝ち負け以外でも達成感は得られるどんなスポーツでもボードゲームでも、やっている最中のワクワク感や楽しさはかけがえのないもの。その締めくくりに勝ち負けがあるのであって、たとえうまくいかなかったとしても楽しかった時間や努力した時間がすべて消えてしまうわけではありません。運動会があれば、順位ではなく、一生懸命走っている姿に目を向けてあげてください。最下位だったとしても、去年より今年のほうが速くなっているはずです。その子自身を基準にすれば、どんな子でも絶対に伸びています。ほかの子と比べるのではなく、その子自身の過去と比べて伸びたところを評価するようにすると、確かに成長している子どもの実像が見えてきます。(引用元:高濱正伸・西郡文啓著 (2018年),『ちゃんと失敗する子の育て方』,総合法令出版.)常に成長過程である子どもにとっては、いかなる勝負事も、「結果がすべて」では決してないのです。小笠原氏によると、子どもが勝負に負けてしまった場合は「一生懸命走ったからいいんだよ!次はもっと腕を振ってみよう」というように、がんばった過程をほめたあとに、さらに次に勝てる秘訣を教えるのが有効だといいます。昨日までの自分に勝とうと頑張ることが「自己肯定感」につながる高学年になっても勝ちにこだわるようであれば、勝負の世界のステージを上げてやるとよいそう。そこで、高度な勝負の世界では「相手に勝つ」ことより「自分自身に勝つ」ことが大切であることがわかれば、もう“子ども卒業”です。他者との比較で自分が優れていれば、分かりやすく自分を肯定できますが、もっと優れている子を目の前にすれば簡単に崩れてしまいます。揺るぎのない「自己肯定感」をつくるのは、昨日の自分よりも良くなっているという実感です。「自分はできないことでもがんばって、できるようになってきた。だからまたできないことがあってもなんとかなるだろう」本物の「自己肯定感」を持つ子はそう考えるようになります。(引用元:同上)あのイチローの引退会見でも、「あくまで“はかり”は自分の中にある」「少しずつの積み重ねでしか自分を超えていけない」という言葉がありました。順位や勝ち負けはあくまでもモチベーションを高めるための手段であり、乗り越えていくべきものは自分自身である、ということを親も子も肝に銘じて、小さなゲームから大きな試合まで、「本当の勝ち」を目指して奮闘していけるといいですね。文/酒井絢子(参考)大阪市教育センター|相談事例3.勝ち負けにこだわる子どもへの対応ベネッセ 教育情報サイト|負けず嫌いで何にでも優劣をつけたがる娘[教えて!親野先生]ベネッセ 教育情報サイト|「勝ち」にこだわりすぎる[うちの子、どう接したらいいの?]SHINGA FARM|いい子気質に多い!?「間違えるのがイヤ!」その心理と親ができる対策東洋経済ONLINE|イチロー引退会見に学ぶ超一流の確固たる心得人と比べず己とトコトン向き合う男の引き際AERAdot.|将棋教室がブームの兆し「負けることで心が強くなる」小笠原恵著(2011年),『うちの子、なんでできないの?親子を救う40のヒント』,文藝春秋.高濱正伸・西郡文啓著 (2018年),『ちゃんと失敗する子の育て方』,総合法令出版.
2020年04月06日赤ちゃんから幼児へと成長してきたわが子、そろそろしつけをしたほうがいいのかな……でもどうやって? 私はしつけによって、娘にも自分にもストレスばかりが募るという悪循環を経験してきました。そんなわが家の失敗によって学んだことをご紹介します。 「わかった」はその場のことだけだと心得る「〇〇しないでね」「わかった!」こんなやり取りをした数分後、また同じことを繰り返す……。子どもにはよくあることですよね。「何度言えばいいの?」と募るママのイライラ。 「わかった」は口だけなのかな? 私は何度も考えましたが、実はそうではないようでした。子どもはちゃんとわかっています。でも、それは言われたその場の出来事だけ。その後のことに応用できるようになるのは、少なくとも3歳以降ではないかと思います。1歳や2歳では難しいことなのだと知っておくと、私は気持ちが少しラクになりました。 強制ではなく事態を実感できるような声かけを他の子と関わる場所では、喧嘩やおもちゃの取り合いなども少なからずあります。けれど、他の子のおもちゃをとってしまったり、とられた子が物を投げて怒ったりしても、それは子どもが成長するために必要なプロセスなのではないかと私は思っています。 ケガをするようなことや人に痛い思いをさせるようなことは注意するべきですが、必ず理解を示してあげるようにしていました。「使いたかったんだね。でもとられちゃったら悲しいな」「嫌だったね。でも物を投げるのは危ないよね」など、強制してやめさせるのではなく、その事態を実感できるような声かけをすると、少しずつですが、わが子は自ら学んでいってくれました。 生活習慣のしつけは、まず自分が実践わが家では、生活習慣だけは早くから伝えようと決め、たとえば靴を脱いだら揃えるなどの覚えやすい生活習慣は1歳半から教えることにしました。 まず気を付けたことは、「自分が実践すること」。子どもは親の行動を「これが一番いい方法」と思ってついてくることが多いですよね。私の子どもも、私がやっていることは必ずと言っていいほどまねをします。そして、まねをしているうちにだんだんと身についていきました。 そして、もう1つ気を付けたことは、「できなくても怒らないこと」。できないことにイライラしていたらストレスがたまる一方! 私は自分に余裕がないと感じているときは、できない姿を見ても見ないフリをするようにしていました。 子どものしつけは、気になり出すとどんどん気になっていってしまいますが、「最低限ここは身につけてほしい」という線引きをするとラクになりました。 「共感した」「私の場合はこうだった」など、ぜひベビーカレンダーサイトのコメント欄にご感想をお寄せください。また、ベビーカレンダーでは皆さんから募集した体験談を記事でご紹介させていただくことも。ベビーカレンダーに会員登録すると届くメルマガから、皆さんのオリジナル体験談をご応募ください。 イラスト:(c)chicchimama監修/助産師REIKO著者:里川まちこ大人しく内気な娘と楽天的で活発な息子、男女二児の母。ママ・パパに役立つ情報をお届けすべく、これまでの育児経験を生かして、育児の工夫やお役立ちグッズなどの情報を発信中。
2020年04月05日『すべての子どもたちに音楽を――フランスの “感性を育てる” 音楽教育』では、音楽が子どもたちにすばらしい影響を与えることについて詳しくご紹介しました。その本質を理解し、「音楽を通した人間教育」を世界に広めた人物が、ヴァイオリニストの鈴木鎮一氏です。歌手のさだまさし氏やヴァイオリニストの葉加瀬太郎氏、海外では世界的ヴァイオリニストのヨーヨー・マ氏も、スズキ・メソードを経て、音楽の世界で成功した方々です。そして音楽家に限らず、医師や弁護士、科学者など、音楽とは違う分野で大成された人が多くいるのは、音楽を通して育む「人間教育」の賜物でしょう。70年の長きに渡って46か国の子どもたちを導いてきた教育法はどんなものなのでしょうか。そこには、AIの時代を生き抜いていかねばならない今だからこそ必要な「人間力」を育む要素が、たくさん詰まっているようです。今回は、そんな「人間教育」の面にフォーカスした音楽教育「スズキ・メソード」をご紹介します。赤ちゃんが言葉を覚えるように音楽を学ぶ「母語教育法」戦前、鈴木氏が帝国音楽学校教授だった頃に子どもたちへの早期教育の道がスタートし、“才能教育第1号”と言われる桐朋学園元学長の江藤俊哉氏へのヴァイオリン指導が、「母語教育法」を生むきっかけになりました。江藤少年への指導に悩んでいたとき、「日本人は皆、流暢な日本語をしゃべっている」ことに気づき、衝撃を受けた鈴木氏は、この事実に才能教育の礎を見いだします。日本で育つ日本人はもれなく完璧に日本語を操るようになります。その点において、ほぼ例外はありませんよね。“母国語”でなくあえて“母語”となっているのは、第一言語(はじめに覚える言葉)は、必ずしも国と結びつかないから。そこに潜む教育のヒントはとても大きなものでした。赤ちゃんは毎日繰り返し耳にしている言葉を、いつのまにか話せるようになります。それを誰も特別なこととは思いません。お父さんお母さんがていねいに、よく話しかけることで、言葉が話せるようになり、たくさんの言葉を身につけていきます。(引用元:スズキ・メソード音楽教室|母語教育法)音楽についても同じことが言えるのではないか?母語が育つときと同じように、毎日音楽に触れる教育があればいいのではないか?まさにスズキ・メソードの原点はここにあります。そして、「母語のような教育」をめざした3つの基本方針ができたのです。まさに、赤ちゃんが母語を覚える過程と同じではありませんか。【環境】良い演奏を繰り返し聴く。音楽があふれる環境をつくる。【能力】演奏を聴いたり、レッスンを見学したりすることで、「お母さんやお友だちのように弾きたい」という意欲を引き出す。【喜び】「あの曲を弾きたい」など自主的な気持ちで取り組み、達成の喜びを知ることで、次の意欲と向上心を引き出す。さらに、メソッドの才能教育五訓は、「より早き時期」「より良き環境」「より多き訓練」「より優れたる指導者」「より正しき指導法」。この鈴木氏の理念の集大成が、「母語教育法」なのです。「私には才能がない」は努力をしなかった人の言い訳「自分には才能がないから」誰もが、一度は思ったことがあるのではないでしょうか。この考え方を鈴木氏は「努力を怠った者の言い訳」だと言っています。耳が痛いです。「人間は環境の子。“へたな努力”をすれば、へたな才能が育つ。“正しい努力”をすれば、自分を正しく育てることができる。」つまり、「ただ努力すればいい」わけではないということ。たとえば、音痴のお子さんは、「ファ」の音が半音高くなっていることが多いそうです。それを直す方法に、スズキ・メソードの考え方の基盤を見ることができます。すでに身についてしまった「ファ」の音を“矯正する”のではなく、正しい「ファ」の音を新たに身につける努力をするのです。過去はもうどうすることもできないので、正しい経験を積み重ねて、過去の上書きをするということ。正しい努力を続ければ、いつか、正しい「ファ」が身につきます。これはとても理にかなっていて、無駄な努力を省けるため、結果を大きく変えるでしょう。しかし、当然ながら実行するには多くの努力が必要です。その過程に真の教育のヒントがたくさん潜んでいます。そのポイントをさらに見ていきましょう。我が子の「人間力」を育てるために親ができること3つ鈴木氏の理念には、多くの気づきと学びがあります。それは、70年も前に提唱されていたことなのに、今の時代にも響く、人としてとても大切な普遍性を持っています。子どもと一緒に努力をするためのポイントを3つにまとめてみました。ポイント1:急がず、でも休まない(持続性・忍耐力)前述の「ファ」の音の例であれば、正しい音を身につけるには、正しい「ファ」の音を繰り返し根気強く聞くしかないのです。とにかく休まず続けることが何よりも大切。6歳の子どもで新しい能力が身につくまでに半年はかかるそうです。反復の努力で得た能力により、新しい道が開ける実感を得ることができ、それが次のチャレンジにつながり、人生を切り開く大きな力へと結実していく――まさにこれは、いま注目のGRIT(*)。達成で得られる成功は、「繰り返す」ことから始まるのです。(*GRITとは、Guts度胸、Resilience復原力、Initiative自発性、Tenacity執念の頭文字を合わせた言葉で「やり抜く力」を意味する)ポイント2:行動力こそが人生を切り開く(自主性・行動力)人には誰でも短所がありますが、一番悪いと言えるものが「やらなければいけないと思いながら、すぐにやらないこと」。鈴木氏は、これは「人の一生の運命を左右するほど重大な能力」だと述べています。多くの人が抱えている欠点だと思いますが、その原因は「親や先生に言われてからやる」受け身の習慣が身についてしまっているから。自主性を育むことが、行動する能力を伸ばす解決策となります。ポイント3:子どもの生きる力を信じる(生命力)「教育の“教”にフォーカスしすぎて、“育”という子どもの生命力を忘れている」と鈴木氏。「教える」ことは手段で、本来「育つ、育む」ことが目的なのに、今の教育は本末転倒になっているというわけです。子どもに本来備わっている“生きる力”を伸ばすべく、「結果(テストの成績など)重視=教える教育」ではなく、「学びの過程を大事にする=育てる教育」への転換が求められています。子どもは自分自身で育つ力を持っています。まず親がその力を信じるべきではないでしょうか。これら3つは全て、2020年の教育改革の中でも提唱される「目標に向かって頑張る力、感情をコントロールする力」などの非認知能力と言えます。その言葉がなかった時代から、人間力を身につけるための要素は変わっていないのです。「継続は力なり」ですね。次に、メソードから学ぶ、家庭でのお子さんとの関わり方についてご紹介します。「親子一緒に」がキーポイントの人間教育スズキ・メソード自体は音楽教育ですが、同時に音楽というツールを使って行なう人間教育でもあります。学習などのさまざまな場面で生かせそうな、家庭でできる学びのポイントを押さえておきましょう。■親子で同じ目標に向かって努力するスズキ・メソードでは、「親子で学ぶ」が基本で、親も子どもと同じ曲を練習してもらうそう。同じ目標に向かって努力することで、苦労も喜びもシェアできますよね。お母さんと一緒だったら毎日の練習を乗り越える力も倍増しそうです。家庭では、サッカーでもバスケットでもお習字の練習でも、どんなテーマでもかまいませんので、親子で一緒に頑張る目標を作ってみましょう。お互い楽しく努力することで、行動力、持続力、忍耐力を育みやすい土壌を作ることができます。■親子で毎日ひとつ覚えよう鈴木氏が「もっとも大切な能力のひとつ」とあげるのが記憶力です。スズキ・メソード初期の頃、いかに早く覚えて長く忘れないかの訓練をさせたそうです。その方法のひとつが、子どもたちにも親しみやすい小林一茶の句を毎日一句ずつ覚えさせること。最初は苦戦していても、だんだん早く覚えられるようになり、最後には自分流の俳句を作ることを楽しむまでに。記憶力の訓練から感受性や想像力も育まれていったのです。家庭でもまねできそうですよね。興味のあるものをテーマにして、毎日ひとつずつ親子で覚えて、成果を披露し合えば、共通の話題もでき、親子のコミュニケーション効果も得られて一石二鳥です。■何度も繰り返して質を高める鈴木氏のバイオリンの指導は次のような手順で進められました。課題曲が与えられたら、まずその曲を毎日聴く。弾き方を丁寧に指導し、丁寧に稽古する。一通り弾けるようになったら、“さらに立派に”弾けるように練習を繰り返す。十分弾けるようになったら、その曲を演奏しているときに、全く関係ない質問を投げかけて、演奏しながら答えてもらう。同時にふたつのことをこなせることが確認できたら、しっかり能力が育ったと確認できる。つまり、広く浅くではなく、「ひとつのことを深く掘り下げること」が大事だということ。ひとつを極めることが、能力を育む最適な方法なのです。たとえば、問題集を一冊を何度も何度も繰り返し、書いてあることを全部覚えてしまうほどやる。これは、東大を主席で卒業したNY州弁護士・山口真由さんも「7回読み勉強法」として推奨しています。このときのプロセスを、いかに苦痛ではなく「楽しい」と思わせられるかも大事です。鈴木氏も実践していましたが、前述の「同時にふたつのことをこなす」訓練も、質問を楽しいクイズにするなど、ゲーム感覚で遊ぶように行なうことが、継続の鍵となりそうです。***育てばいいのです。“教育だ”と四角ばったとき、とたんに子どもはゆがみます。まず心を育て、そして能力を身につけさせていく。これが自然の正しい道でした。(引用元:鈴木鎮一著(1966),『愛に生きる 才能は生まれつきではない』,講談社現代新書.)子どもの才能を解放するためには、やはり親の関わりは必要不可欠です。親がやっていることを「やりたい」「親のようになりたい」という自然と生まれる願望が才能の芽となり、自主性が育まれます。その後は、「楽しく続ける」ことを念頭にサポートしてあげたいですね。(参考)スズキ・メソード音楽教室ウィキペディア|スズキ・メソードSTUDY HACKER|最速で確実に結果がついてくる「7回読み」勉強法――東大首席卒・NY州弁護士 山口真由さんにインタビュー【第1回】StudyHackerこどもまなび☆ラボ|才能よりも大切なGRIT!子どもの“やり抜く力”の育て方〜家庭内ルール〜鈴木鎮一著(1966),『愛に生きる 才能は生まれつきではない』,講談社現代新書.
2020年04月05日育児に遅れと混乱が生じてる !!
ムスメちゃんとオコメちゃん
うちの家族、個性の塊です