「レッジョ・エミリア」という言葉を耳にしたことがある人はいるでしょうか。本来、レッジョ・エミリアはイタリアの都市の名前です。レッジョ・エミリアは、町を挙げての幼児教育と芸術教育により、欧米はもちろん近年は日本でも注目度が上がっており、その教育手法は「レッジョ・エミリア・アプローチ」として広まりつつあります。レッジョ・エミリア・アプローチをベースにしたインターナショナルプレスクール「東京チルドレンズガーデン」の伊原尚郎理事長に、その教育の特徴を聞いてみました。構成/岩川悟取材・文/清家茂樹写真/石塚雅人(インタビューカットのみ)子どもには子ども自身で学べる力が備わっている当校の教育について具体的にお話する前に、先にお伝えしておきたいことがあります。読者のみなさんのなかには、わたしたちの教育が「子どもにどんな効果を生むのか」という「答え」のようなものを求めている人がいるのではないでしょうか。取材を受けるときにも、「どのように創造性を高めているのか」「どうすれば勉強ができるようになるのか」といった質問をされることがとても多いものです。でも、わたしたちは基本的に、そんな大人の意志で子どもを誘導するようなスタンスを取っていません。なぜかというと、子どもには子ども自身で学べる力が備わっているからです。その力がしっかり発揮できるような環境を整えることが、わたしたちの役割なのです。ですから、先のような質問に対して、求められているようなわかりやすい答えを提示することはできないということを、まずはお断りしておきます。さて、当校の教育のベースにあるのは、イタリア発祥の「レッジョ・エミリア・アプローチ」です。その特徴というと、「子どもは有能で知的な学習者」ということを前提としていることがまず挙げられます。これは、「構成主義」と呼ばれる考え方です。みなさんのなかにも、「モンテッソーリ教育」について聞いたことがある人は多いでしょう。モンテッソーリなど、いま注目されているほかの新教育なども、同様に構成主義の教育手法です。ただ、レッジョ・エミリアは、構成主義のなかでも「社会構成主義」だという点で、ほかの新教育とは異なります。同じ構成主義でも、レッジョ・エミリア以外の多くの教育手法は、「人間が個人としてどのように学んでいくのか」という観点で研究がされてきました。でも、人間はひとりで生きていくわけではないですよね?なにかを学ぶ場面というのは、ひとりで机に向かって勉強するときだけではありません。人間は周囲のさまざまな他者とかかわり、影響を受けたり与えたりしながら学んでいくもの――。そういう考え方から出発しているのが、レッジョ・エミリアの中核的な考え方である社会構成主義なのです。大人が決めた分野に縛られず、子どもは広く学ぼうとするその他にも、レッジョ・エミリアには他の新教育と異なる点があります。多数の他の新教育は、さまざまな教具を用意しておき、「この教具を使えばこういう学びが深まる」というようなメソッド方式をとっています。でき上がっている教具などの学びの条件を用意し、環境から引き離し、学びは直線的に獲得されるとの観念のうえに実践があります。学びは、教科・発達分野というかたちの分類をされ、理解されています。しかし、人間の学びというものは、そんな教科・発達分野に縛られないもっと広い興味からはじまり、もっといろいろな可能性を秘めたもののはずです。それがレッジョ・エミリアの考え方なのです。レッジョ・エミリアの実践は子どもの興味・関心からはじまり、ゆっくりとジグザグに、ときには後退などしながらも学んでいくという考え方を大事にするアプローチ方式で行われます。それだけに、少しわかりにくいということころもあるのですが……(苦笑)。子どもには、大人が考える教科のような分野に縛られることなく、あらゆることを学びたいという欲求があります。それは、本能的に持っている欲求です。たとえば、いまなら『パプリカ』という子どもに人気の曲を聴けば、子どもたちは自然に歌ってダンスをはじめます。子どもたちはなにも意識的にアートを学ぼうとしているわけではありませんが、大人の目には、先の教科のように、それがアートという分野を学んでいるように映るということに過ぎないのです。子どもたちは、ごく自然な欲求として歌って踊っているだけのこと。だったら、そうできる環境を用意していくというのが、わたしたちの考え方です。指示や目標を与えないからこそ、社会で活躍できるようになるわたしたちは、一般の学校のように「あれをしなさい」「これは駄目」というふうな指示は極力しません。もしかしたら、わたしたちの学校で育った子どもたちが一般の学校に行くことがあれば、ちょっと変わった子どものように見られてしまうかもしれません。でも、実社会に出たときのことを考えてみてください。誰かから指示をされたり目標を与えられたりしなければ行動できない人間が社会で活躍できるでしょうか?いま、世界を牽引しているGoogleのような企業の場合、基本的にはなにをつくるといった目標はありません。社員の自由な発想により、これまでになかった画期的なサービスをいくつも生み出しているのが、新しい時代の企業です。そして、それらの発想は、他者との関係性のなかから「こういうサービスがあったら、すばらしい社会になるにちがいない」と生まれてきます。当校の子どもたちがやっていることも、それと似ているかもしれません。誰かから指示をされたり目標を与えられたりすることなく、友だちや先生など他者とのかかわりのなかで自由な発想で学んでいきます。そういう点で、いまの時代とレッジョ・エミリアの親和性は非常に高いと思うのです。■東京チルドレンズガーデン■ 東京チルドレンズガーデン・伊原尚郎理事長インタビュー一覧第1回:いまの時代にマッチする「レッジョ・エミリア・アプローチ」の教育第2回:もしも子どもがアインシュタインだったら?子どもに対して親が取るべき姿勢第3回:グローバルな人間に――生まれ育った地域や国を知る「レッジョ・エミリア・アプローチ」第4回:信じることで本来の力を引き出す。すごい能力を持つ子どもたち【プロフィール】伊原尚郎(いはら・ひさお)東京チルドレンズガーデン理事長、共同創設者。米国ニューヨーク州立大学メディアアート科修士課程修了。ビデオアーティストとしてニューヨークで多方面に活躍。約20年の在米ののち帰国し、幼稚園の園長に就任。国際幼児教育の理解を深め、クリエイティブ思考を育てるための研究に従事。2017年に共同創設者の西ヶ谷アンとともにレッジョ・エミリア・アプローチをベースとするインターナショナルプレスクール「東京チルドレンズガーデン」をオープンし、理事長に就任。【ライタープロフィール】清家茂樹(せいけ・しげき)1975年生まれ、愛媛県出身。出版社勤務を経て2012年に独立し、編集プロダクション・株式会社ESSを設立。ジャンルを問わずさまざまな雑誌・書籍の編集に携わる。
2019年12月15日慶應義塾中等部の家庭学習としても活用されている、英検 Jr. オンライン版。自宅のパソコンで受験可能なので、「初めての会場で落ち着いていられるかな」「親と離れて、ひとりで受験できるだろうか」などの心配もなく、お子さんの初めてのテストとしてもぴったりです。そんな英検 Jr. には、英検やほかの試験にはない特徴がたくさんあります。今回は、第二言語習得研究や言語教育の専門家の意見をもとに、英検 Jr. のメリットをご紹介します。英検 Jr.の5つのメリット1. 幼児期にぴったりの「リスニング特化型」英語4技能試験が注目されるなか、「なぜリスニング1技能だけなの?」と疑問に思われる方もいるかもしれません。ですが、英語のプロトレーナーである田畑翔子さんは、小学生までの子どもには、音声中心の学習がいいと語っています。子どもの場合、まずは英語にふれる機会を多く持ち、英語を「聞く」という大量のインプットを確保することが必要になります。(引用元:StudyHacker こどもまなび☆ラボ|「10歳」を境に最適な英語学習法が変わる?)特に、幼児期の子どもの英語学習において一番重要なのは、他人との英語でのやりとり=「インタラクション」を通した自然なインプット。英検 Jr.のリスニング内容を軸に、親子で簡単な英語でのやり取りを楽しんでもいいですね。慶應義塾大学名誉教授・ココネ言語教育研究所所長の田中茂範さんも、幼児は「音への感受性が高い」と述べています。音への感受性が高い時期に、英語をたくさん「聞く」こと。リスニングから始めるのは、理にかなっていることなのです。2. テストを通して学習を促進できる子どもの年齢が上がるとともに、どんどん重要性を増す「テスト」の存在。つい結果に目がいってしまいますが、学習の定着度を確認すること以上に重要な効果があるのだとか。ペンシルベニア大学准教授のバトラー後藤裕子さんは「テストを受けて学習を促進させる効果」が期待できると語ります。テストには、そもそも2つの大きな役割があります。1つは、どれくらい学習が進んだかを把握すること、もう1つは、テストを受けること自体で学習を促進させること。私たちはテストというと、すぐに最初の役割ばかりに気を取られがちですが、実は2番目の役割が非常に大切なのです。英検 Jr.オンライン版に付属した学習コンテンツでは、ゲーム感覚で、英語をたくさん聞いているうちに、生活に密着した単語や表現を身につけられるようになっています。前回はできなかったアイテムが、次に学習するときには優先的に出てくるなど、コンピューターの特長を十分に生かした学習コンテンツになっています。身についたことを実感するためにテストをやりたくなってしまう―英検 Jr.オンライン版はこんな魅力を備えているといえます。(引用元:英検 Jr.「オンライン版」がスタート!|英検 Jr.|公益財団法人 日本英語検定協会)「テストを受けること自体で学習を促進できるのなら、ほかのテストでもいいのでは?」と思われる方もいるかもしれません。ですが、そもそも低年齢の子どもを対象にした英語テスト自体、数少ないのです。そんななか、英語学習を始めたばかりの子どもたちのために開発された英検 Jr.の存在は貴重だと言えます。3. 小学校の外国語活動とリンク!今後の英語学習に役立つ2020年度から小学校中学年で「外国語活動」が導入され、小学校高学年からは「外国語科」として成績対象になります。新しい英語教育改革に向けて、2018年度から移行期間が始まっています。新学習指導要領で定められている外国語活動の目標のための3つの柱のひとつ、「知識及び技能」面では、以下のように示されています。外国語を通して、言語や文化について体験的に理解を深め、日本語と外国語との音声の違い等に気付くとともに、外国語の音声や基本的な表現に慣れ親しむようにする。(引用元:文部科学省|外国語教育|新学習指導要領(令和2年度以降順次実施~)|小学校学習指導要領(平成29年告示)解説外国語活動・外国語編)つまり、高学年以降の外国語学習における聞く力や話す力につながるものとして、子どもの柔軟な適応力を生かし、外国語の音声や基本的な表現に慣れ親しむことが求められているのです。英検 Jr.のBRONZEのテスト内容は、小学校の外国語活動に対応しているので、学校での授業の成果検証としても使えます。テスト準備は学校での学習内容の予習にもなるでしょう。特に小学5・6年生の授業では成績がつくことを考えると、低学年のうちからしっかり準備しておきたいところです。テスト終了後すぐに結果がわかるのも、英検 Jr. の大きな特徴。忘れないうちに間違えたところを確認できるので、自然な流れで復習できます。さらに、カラフルで可愛らしいデザインの個人成績表には、成績だけでなく学習アドバイスも書かれています。お子さんの今のレベルに合わせた助言となっているので、今後の学習にも役立ちますね。(画像出典:REPORT CARD(個人成績表)|英検 Jr.|公益財団法人 日本英語検定協会)4. 「動機づけ」でやる気アップ!立命館大学大学院教授の田浦秀幸さんは、小学生の英語学習を考えるうえで最も重要な点は「動機付け」だと語っています。小学生に一番大事なのは動機付けです。(中略)小さいお子さんに対しては特に、周りがうまく動機づけをしてあげることが重要です。(引用元:StudyHacker こどもまなび☆ラボ|【田浦教授インタビュー 第5回】子ども向けオンライン英会話の学習効果――英語学習を成功に導くための活用術)英検 Jr.には、子どもの動機付けを支えるさまざまな工夫が施されています。ゲームのように取り組めるテスト内容や教材そのもののおもしろさ、テスト直後の結果発表と、かわいらしいデザインのレポートカード、子どもが達成感を味わえる成績証明書……。特に、テストの約3週間後に送付される成績証明書は賞状のようで、とってもかっこいいんです!お子さん自身がそれぞれのグレードのシールを貼ることができる仕様になっており、学習意欲向上につながります。合否はなく、結果は「正答率」で表示されるので、全員がこちらの成績証明書を受け取ることができるのも嬉しいポイント。不合格となりお子さんが落ち込んだり、自信をなくしたり……という恐れがなく、子どもが喜ぶアイテムが必ず手に入るのはありがたいですね。(画像出典:CERTIFICATE(成績証明書)|英検 Jr.|公益財団法人 日本英語検定協会)ただ、周囲がいくらうまく動機付けをしてあげても、小さいお子さんのやる気を維持するのは難しいもの。特に、幼児はまだ時間や日にちの概念を大人のように正確に理解できていないので、「1ヶ月後にテストだよ!」「来週本番だから頑張ろうね」と言われてもピンとこないこともあります。子どものやる気が出たとき、気分がのっているときに、ピンポイントでテストを受けることで、よりスムーズに進むはずです。英検 Jr.は申し込み直後から3ヶ月の間いつでもテストを受けることができるので、お子さんが「やりたい!」と思ったタイミングを見計らって挑戦できますよ。5. 楽しい=タスクモチベーション↑英語のプロトレーナー・田畑翔子さんは、「動機付け」の中でも、特に「タスクモチベーション」という概念に注目するといいと語っています。特に子どもの場合、自分から「英語の成績を上げていい学校に行きたい」とか「英語ができれば将来の仕事に役立つ」といったモチベーションを持つことはあまりありませんから、「タスクモチベーション」という概念に注目するといいでしょう。これは、面白いと思える学習法ならやる気が高まるということ。(中略)学習者が興味を持てる部分をうまく刺激して、学習方法自体を動機づけにするのです。子どもは、楽しめる活動でなければ続きません。特に英語を学び始めるときは、面白いと思える学習活動を用意する必要があります。(引用元:StudyHacker こどもまなび☆ラボ|「10歳」を境に最適な英語学習法が変わる?)英検 Jr.の問題はオールカラーでイラストが中心となっており、ゲーム感覚でチャレンジできます。白黒で文字が中心のほかの試験とは違い、子どもも楽しんで取り組める内容です。試験時間も短めなので、途中で飽きずに最後まで続けやすくなっています。(画像出典:英検 Jr.オンライン版の紹介|英検 Jr.「オンライン版」がスタート!|英検 Jr.|公益財団法人 日本英語検定協会)テストを受ける際の負担を最小限に抑えつつ、学校以外のテストを受ける経験を積むことができる英検 Jr.。お子さんのモチベーションを上手にあげながら、音声の学習を中心に、テストによる学習促進効果を狙ってみてはいかがでしょうか。【関連記事】■慶應義塾中等部でも導入! 英検の準備としても優秀な「英検 Jr.」■幼児〜小学生にぴったり! 英検との比較と「英検 Jr.」おすすめ勉強法■「はじめての検定試験」デビュー!小学生の英検受験の3つのメリットと注意点■小学生以下の受験が25%アップ!子どもに合った英検の級の選び方とおすすめ学習法■小学1年生は55%、2年生は43%アップ!?増える「小学生の英検受験」■あなたのお子さんの年は移行期?全面実施期?3分でわかる「小学校英語教育」■授業のスピーキングは5倍、英語入試実施中学は8倍!現代の小学生にマストな「英語力」■知らないと損をする!親世代の感覚では危険な、現代の子どもの英語学習事情(参考)公益財団法人 日本英語検定協会|英検Jr.公益財団法人 日本英語検定協会|英検 Jr.「オンライン版」がスタート!|公益財団法人 日本英語検定協会|検定・テストの特徴と比較公益財団法人 日本英語検定協会|英検 受験の状況文部科学省|小学校学習指導要領(平成29年告示)解説外国語活動・外国語編こどもまなび☆ラボ|「10歳」を境に最適な英語学習法が変わる?こどもまなび☆ラボ|【田浦教授インタビュー 第5回】子ども向けオンライン英会話の学習効果――英語学習を成功に導くための活用術
2019年12月14日英語なんてまだ早い……。検定試験なんて、うちの子にはまだ無理!そう考えている親御さんも多いかもしれません。しかし今、小学生以下の英検志願者数がどんどん増えているのをご存じでしょうか?公益財団法人 日本英語検定協会によると、英検、英検 Jr.、英検IBAの志願者は毎年のように拡大しています。なかでも、小学生以下の志願者数は、2014年から2018年にかけて、約25%も増えているのです。(受験の状況|英検|公益財団法人 日本英語検定協会を元に筆者が作成)小学生以下の子どもたちの間での英検の拡大に伴い、英検を受ける前の導入として注目を集めているのが「英検 Jr.」。いったい、どのようなテストなのでしょう?英検 Jr.とは?一番多く受験しているのは◯歳英検 Jr.とは、公益財団法人 日本英語検定協会が主催する、子どものための「育成型」英語テストです。英語学習を始めたばかりの子どもたちが、英語や異文化への興味・関心を広げ、英語でコミュニケーションすることへの親しみや楽しさを知ることを目的としています。1994年に作られ、その後2009年に「オンライン版」がスタートしました。当初は「児童英検」と呼ばれていましたが、2015年に「英検 Jr.」という名称に変わっています。幼児から小学生を対象としたテストですが、小学生の志願者が中心で、一番多く受けているのは8歳(小学2年生)です。英検 Jr. 3つのレベルと6つの特徴英検 Jr.には、ペーパー版・オンライン版・学校版がありますが、個人で受ける場合は「オンライン版」を利用します。そのため、本記事でもオンライン版についてお話ししましょう。オンライン版は、児童向けの英語テスト「英検 Jr. 」とテスト対策のための学習教材が一体となった、日本英語検定協会公式のサービス。子どものための英語リスニング教材も豊富で、試験の枠を超えておうちでの英語学習にも活用できます。ブロンズ、シルバー、ゴールドの3つのグレードが用意され、学習レベルに合わせて受けることができるようになっています。英検 Jr. オンライン版の特徴はこの6つ。リスニング特化型オールカラー!イラストが豊富で、ゲーム感覚で取り組める好きなときに好きな場所でテストを受けられる小学校の外国語活動に対応合否のない育成型カラフルで可愛らしい個人成績表とかっこいい成績証明書がもらえる(画像出典:REPORT CARD(個人成績表)|英検 Jr.|公益財団法人 日本英語検定協会)(画像出典:CERTIFICATE(成績証明書)|英検 Jr.|公益財団法人 日本英語検定協会)慶應義塾中等部でも導入!テスト一体型のリスニング教材英検 Jr.オンライン版は、慶應義塾中等部の中学1年生の英語学習にも導入されています。音声学習の補完、そして家庭学習の活性化を目的に採用されました。慶應義塾中等部英語科の江波戸愼先生は、次のように語っています。英検 Jr.オンライン版の利用は、語彙力アップに間違いなく貢献すると思います。ドリルでたくさんの語彙や表現を聞き、ゲームできちんとかつ楽しく点検をすることで、計画的に確実に学習が進んでいきます。結果、学習の効率があがり、特に音声での語彙の習得スピードはかなり早いと思われます。(中略)しっかりとした語彙の基盤をつくる手助けになっており、生徒もそれを実感しているようです。(引用元:特集 オンライン版の活用事例(4)|英検 Jr.|公益財団法人 日本英語検定協会)名門中学でも導入されている「英検 Jr.」ですが、レベルに合わせて幼児から小学生まで楽しく挑戦できますよ。ご家庭での英語学習の一環として取り入れてみてはいかがでしょうか。【関連記事】■子どもには○○中心の学習が一番! 専門家に聞いた、英検 Jr. の5つのメリット■幼児〜小学生にぴったり! 英検との比較と「英検 Jr.」おすすめ勉強法■「はじめての検定試験」デビュー!小学生の英検受験の3つのメリットと注意点■小学生以下の受験が25%アップ!子どもに合った英検の級の選び方とおすすめ学習法■小学1年生は55%、2年生は43%アップ!?増える「小学生の英検受験」■あなたのお子さんの年は移行期?全面実施期?3分でわかる「小学校英語教育」■授業のスピーキングは5倍、英語入試実施中学は8倍!現代の小学生にマストな「英語力」■知らないと損をする!親世代の感覚では危険な、現代の子どもの英語学習事情(参考)公益財団法人 日本英語検定協会|英検Jr.公益財団法人 日本英語検定協会|英検 Jr.「オンライン版」がスタート!公益財団法人 日本英語検定協会|検定・テストの特徴と比較公益財団法人 日本英語検定協会|受験の状況こどもまなびラボ|小学1年生は55%、2年生は43%アップ!?増える「小学生の英検受験」
2019年12月13日親であれば、自分なりの「理想の子育て」というものを考えているでしょう。もちろん、それぞれにちがっていいものですが、子育てには不安がつきものです。自分の理想に自信を持てない人もいるかもしれません。そこで、著書の『脳科学的に正しい 一流の子育てQ&A』(ダイヤモンド社)で注目を集める脳科学者・西剛志先生に、先生ご自身の「理想の子育て」とはどんなものなのかを教えてもらいました。構成/岩川悟取材・文/清家茂樹写真/和知明(インタビューカットのみ)自立するために必要な「困難を乗り越える力」脳科学をベースとして子育ての研究を続けるなかでわたしがいきついたのは、子育ての最終目標は「子どもを自立できる人間に育てること」です。どんなに勉強ができても、どんなにスポーツで優れた力を発揮できても、他人に依存しなければならない人間は、将来的にしっかり生きていくことができないからです。では、自立するためにはなにが必要なのかというと、そのひとつは「困難を乗り越える力」だと考えています。人は人生を歩むうえでいくつもの困難にぶつかります。それらを乗り越えられなければ、その先の人生を歩むことができません。ところが、いまの子育てを見ていると、その大切な「困難を乗り越える力」を育む場面をわざわざ奪っているように思えるのです。それはきっと、子どもに対する愛情からなのでしょう。子どもがつまずく前から困難を排除する――。そういう親が増えているのではないでしょうか。その場合、子どもは、親のそばにいるときには一度も挫折を味わうことなく成長していきます。でも、その子どもが親元を離れて社会に出たとしたらどうなるでしょうか。人生には困難にぶつかる場面が必ず訪れます。それが人生ではじめての困難だったとしたら……?過去に困難を乗り越えた経験が一度もないのですから、たった一度の挫折で心が折れてしまうということになりかねません。チャレンジに対してしっかり褒めることが大切子どもの「困難を乗り越える力」を育むには、大ケガをするといった本当に危険なこと以外の小さな困難を乗り越える経験を、小さい頃からどんどんさせてほしいと思います。そして、そのチャレンジに対してしっかり褒めてほしい。わたしには幼い息子がいます。わたし自身は子どもの頃からチャレンジ精神旺盛なタイプでしたが、息子は不思議なほど慎重派でした。そこで、妻とも話し合って水泳教室に通わせることにしたのです。通いはじめたばかりの頃、教室の先生は息子を抱いて5秒間くらい水のなかに潜らせました。もちろん、水から顔を出した息子はすごくびっくりしている。じつは、先生はちょっとこわもて……(笑)。でも、その先生が、息子が水から顔を出した瞬間、「すごいね!」「よく我慢できたね!」と、こわもての見た目からは考えられないくらいに褒めちぎってくれたのです。すると、息子はいまでいう「ドヤ顔」というか、まんざらでもない表情を見せました。おかげさまで、それ以降、すごく慎重派だった息子は新しいことにチャレンジしていくようになったのです。夫婦喧嘩が絶えなければ、子どもの対人スキルが育たないでも、いくら自立できる人間に育てることが大切だといっても、人はひとりでは生きていけません。他人の心がわかり、周囲といい関係を築いていけることも大切な力です。子どもをそういう人間に育てるには、なによりも夫婦関係を良好なものにすることを心がけましょう。それには、脳科学的なエビデンスがあります。どんなエビデンスかというと、人間の脳にあるミラーニューロンという神経細胞の働きです。みなさんの目の前に笑っている人がいたらどんな気持ちになるでしょうか。あるいは怒っている人ならどうでしょう。前者なら幸せな気持ちになって、後者なら嫌な気持ちになるはずです。つまり、目の前の人間の行動を見て、自分も同じ行動を取っているかのように反応するわけです。これがミラーニューロンの働きです。では、両親が子どもの前でつねに喧嘩をしていたとしたら?子ども自身は喧嘩をしていなくとも、心はつねに誰かと喧嘩をしているときと同じ影響を受けるのです。そして、その子どもは、将来的に人間関係の問題を起こしやすくなるというわけです。また、ニューヨーク大学の研究によれば、両親が暴力的な家庭に育った子どもは、他人の感情を読む力が衰えるということもわかっています。心を閉ざし、暴力的な親など他人の感情を読まないことで自分を守ろうとしているのです。これでは、大人になったときに周囲と良好な関係を築けるはずもありません。子どもの長所に目を向けて自信を持たせるそれから、夫婦喧嘩をしないことのほかに、子どもの長所に目を向けてあげることも親の大切な役割です。謙虚であることがいいとされる日本文化の影響なのか、「うちの子はなにをやらせても駄目で……」といったことをいう親も多いものです。でも、考えてみてください。あなたの目の前につねにあなたに駄目出しをする人がいたらどうでしょうか。嫌な気持ちになるし、どんどん自信を失っていくでしょう。「うちの子はなにをやらせても駄目」という親は、自分の子どもに対してそれと同じことをしているわけです。そうではなく、子どもの長所に目を向けて、その長所を子どもに伝えてあげる。それこそが、親がやるべきことです。わたしが講演会で親御さんたちによくやってもらうのが、「10分間で20個の子どもの長所を書き出す」ということ。これをやると、子どもの見方がまったく変わります。最初は、勉強やスポーツに関することなど、わかりやすいところに目が向くのですが、20個を書き出すとなると、「嫌な顔をせずにお手伝いをしてくれる」「友だちと仲良くできる」というふうに、普段はあまり意識していない点についても目を向けることになります。そして、その長所を子どもに伝えてあげるのです。直接話してもいいですし、書き出したものを子どもの目につくところに貼ってもいいでしょう。それを見た子どもは、それこそ自立して生きていくために必要な自信を身につけてくれるはずです。『脳科学的に正しい 一流の子育てQ&A』西剛志 著/ダイヤモンド社(2019)■ 脳科学者・西剛志先生インタビュー一覧第1回:家のなかに生活感を!子どもの「創造力」を伸ばすために親ができること第2回:お手伝いで子どもの「自制心」が育つ“脳科学的メカニズム”第3回:集中力がない、聞き分けがない、内気。子どもの性格の「困った」はどうする?第4回:子どもを自立できる人間に育てる――脳科学者が考える「理想の子育て」【プロフィール】西剛志(にし・たけゆき)1975年4月8日、鹿児島県出身。脳科学者(工学博士)、分子生物学者。T&Rセルフイメージデザイン代表。LCA教育研究所顧問。東京工業大学大学院生命情報専攻修了。2002年に博士号を取得後、(一財)知的財産研究所に入所。2003年に特許庁入庁。大学非常勤講師を兼任しながら、書籍出版、雑誌掲載、ノーベル賞受賞者との対談、世界旅行、結婚、当時日本に1100人しかいない難病の克服など、多くの夢を実現。その自身の夢をかなえてきたプロセスが心理学と脳科学の原理に基づくことに気づき、いい人生を歩むための脳科学的ノウハウを企業や個人向けに提供するT&Rセルフイメージデザインを2008年に設立。現在は、脳科学を生かした子育ての研究も行う。【ライタープロフィール】清家茂樹(せいけ・しげき)1975年生まれ、愛媛県出身。出版社勤務を経て2012年に独立し、編集プロダクション・株式会社ESSを設立。ジャンルを問わずさまざまな雑誌・書籍の編集に携わる。
2019年12月12日子どもが成長するにつれ、徐々にそれぞれの性格がはっきりしてきます。でも、なかには、親からすれば「困った」と思うような性格もあるでしょう。そんな子どもの性格の「困った」に答えてくれるのは、著書の『脳科学的に正しい 一流の子育てQ&A』(ダイヤモンド社)で注目を集める脳科学者・西剛志先生です。「集中力がない」「聞き分けがない」「内気」という3つのケースについて、親がどうするべきかというアドバイスをしてくれました。構成/岩川悟取材・文/清家茂樹写真/和知明(インタビューカットのみ)脳が未発達の子どもは集中力がなくてあたりまえ多くの親御さんから寄せられる悩みとして、「子どもの集中力がない」というものがあります。集中力を司る脳の前頭前野という部分は28歳くらいまでの長い時間をかけて発達していくものですから、子どもの前頭前野はそもそも未発達です。つまり、子どもは集中力がなくてあたりまえなのです。でも、そうはいっても、すごい集中力を発揮する子どももいますよね?電車が好きな子どもなら、飽きずにずっと電車を眺め続けます。そういう子どもがなにに集中しているかというと、間違いなく自分が好きなことなのです。つまり、たとえ前頭前野は未発達の子どもでも、自分の好きなことならしっかり集中できる。そうして集中することが、集中力を育む最適なトレーニングとなります。であるならば、親としては子どもの好きなこと、やりたいことをきちんと見つけて、没頭させてあげることが大切になります。逆にいうと、子どもがやりたくもない習い事を親のエゴで無理やりやらせるようなことはNGだということです。それから、親のNG行為としては、子どもにむやみに介入することも挙げられます。せっかく子どもが自分の好きな遊びに集中しているのに、つい「面白そうだね」なんて一緒に遊ぼうとしてはいませんか?その都度、子どもの脳の集中は途切れますから、これは、わざわざ親が子どもの集中力を育む邪魔をしているということなのです。子どもがなにかに黙々と取り組んでいるときは、親はそっと見守るように心がけてください。また、集中力がなく飽きっぽい子どものなかには、単純に頭がいいという可能性もあります。おもちゃを与えてみてもすぐに飽きてしまう。それは、頭がいいためにそのおもちゃでの遊び方をすぐに学習してしまうからということも考えられるわけです。聞き分けがない子どもほど社会的に成功しやすいまた、「うちの子は聞き分けがない」というのもよく寄せられる悩みです。親の立場からすれば、聞き分けがない子どもはわがままに映って困ってしまうものですよね。ですが、ちょっと意外な研究データがあります。ドイツのヘッツァーという心理学者の研究なのですが、「聞き分けがない子どもほど社会的に成功しやすい」というのです。親の目にはただのわがままに映っているような子どもも、子ども本人からすればそうではない場合もあります。それは、子どもが自分の考えをきちんと持っていて、親の話に納得していないという場合です。自分でしっかり考えることができるのですから、将来的に成功を収める可能性が高いというのも納得できる話ですよね。そういう子どもに対しては、親の考えをしっかり伝えることが大切です。なにかを禁止するにしても、「○○しちゃ駄目」というだけではなく、なぜ駄目なのか、その理由をきちんと伝える。そうすれば、自分の考えを持っているような頭のいい子なのですから、しっかり理解してくれるはずです。とにかく、「聞き分けがないことは悪いことだ」と決めつけてはいけません。ただ、そうはいっても、聞き分けがないことで家族以外の他人に迷惑をかけるようなことは問題ですから、その点だけはきちんとしつける必要があるでしょう。もうひとつの注意点は、先の話を受けて、「うちの子は聞き分けがないから成功する」と早合点してはいけないということ。聞き分けがない子どもになることの要因として、カロリー不足、睡眠不足、愛情不足の3つの不足が挙げられます。もしかしたら、自分の考えをしっかり持っているのではなく、それら3つが不足しているだけかもしれません。しっかりご飯を食べさせて、睡眠時間を確保し、親子のスキンシップを取ってください。内気な子どもほど内的なエネルギーに満ちている最後に、「内気な子ども」のケースを取り上げておきましょう。いつからか「明るいことがいい」「ポジティブであることがいい」という時代になったことで、子どもが内気なことを心配している親は意外なほど多いものです。ただ、これも聞き分けがないことと同じように、心配しすぎる必要はありません。内気な子どもは、「内面的才能」が高い可能性が考えられるからです。内面的才能とは、「自分の心を深く掘り下げる能力」のこと。そんな子どもは、幼少期のときには口数も少なくてひとりで遊ぶようなことが多いという傾向があります。そして、そのなかで高い創造力を身につけ、将来はクリエイティブな仕事で力を発揮するということもある。あるいは、自分の心を深く掘り下げられると同時に他人の気持ちもわかるので、カウンセラーなどの仕事に向いているということもあります。また、内気な子どもほど内的なエネルギーが強いという研究もあります。ひとりで遊んでも十分に楽しめるというのは、エネルギーに満ちていると見ることもできます。一方、明るく外交的な人はどうかというと、他人と会って他人からエネルギーをもらってはじめて楽しいと思える。自分自身で楽しみを生み出すような強いエネルギーを持っていないのです。たとえ内気であっても、そんなエネルギーに満ちた子どもなら、内面的才能によって自分の心を掘り下げ、「これだ!」と思う目標を見つけたときには、それに向かって力強く進んでいけるでしょう。いずれにせよ、「内気なことは良くないこと」という先入観を親はいますぐに捨てるべきです。内気な子どもには内気な子どもだからこそ持つ力があるのです。『脳科学的に正しい 一流の子育てQ&A』西剛志 著/ダイヤモンド社(2019)■ 脳科学者・西剛志先生インタビュー一覧第1回:家のなかに生活感を!子どもの「創造力」を伸ばすために親ができること第2回:お手伝いで子どもの「自制心」が育つ“脳科学的メカニズム”第3回:集中力がない、聞き分けがない、内気。子どもの性格の「困った」はどうする?第4回:子どもを自立できる人間に育てる――脳科学者が考える「理想の子育て」【プロフィール】西剛志(にし・たけゆき)1975年4月8日、鹿児島県出身。脳科学者(工学博士)、分子生物学者。T&Rセルフイメージデザイン代表。LCA教育研究所顧問。東京工業大学大学院生命情報専攻修了。2002年に博士号を取得後、(一財)知的財産研究所に入所。2003年に特許庁入庁。大学非常勤講師を兼任しながら、書籍出版、雑誌掲載、ノーベル賞受賞者との対談、世界旅行、結婚、当時日本に1100人しかいない難病の克服など、多くの夢を実現。その自身の夢をかなえてきたプロセスが心理学と脳科学の原理に基づくことに気づき、いい人生を歩むための脳科学的ノウハウを企業や個人向けに提供するT&Rセルフイメージデザインを2008年に設立。現在は、脳科学を生かした子育ての研究も行う。【ライタープロフィール】清家茂樹(せいけ・しげき)1975年生まれ、愛媛県出身。出版社勤務を経て2012年に独立し、編集プロダクション・株式会社ESSを設立。ジャンルを問わずさまざまな雑誌・書籍の編集に携わる。
2019年12月11日2018年2月生まれの男の子を育児中のみーすけです。 1歳ちょうどくらいの子の外遊び、難しくないですか? 芝生のあるような公園が近くにないので、遊ばせる場所に難儀しております……。 育児書などに「公園遊びを」と書かれているから、家から出さなきゃと思うんですけど、「この状況で? マジかよ〜!」ってなります。 すごい勢いで石を食べようとするから、こっちもバッと手を出してしまって、はたき落とすような形になり、そまが怒るというループ……。 うちの子にはまだ早かったみたい。 意を決して整備された公園に解き放ってみましたが、運動はそこそこに、落ち葉やプラスチック片ばかりに興味を持って、30分くらいで切り上げました〜!30分くらいだけど、手も足もドロドロ~(涙)!!! 監修/助産師REIKO著者:イラストレーター 絵日記ブロガー みーすけ2018年生まれの男の子を育児中の絵日記ブロガー。日常をマンガにしてブログを更新中! ネットで子育て情報を検索するのが趣味。最近の悩みは赤ちゃんのおもちゃを買いすぎてしまうこと。
2019年12月08日筆者は、ライターとして教育記事を手掛けることが多いのですが、とりわけ特別支援教育に関心があります。なぜなら、私には広汎性発達障害の診断を受けた息子がいるからです。彼は、小学校の低学年の時に支援学級(通級)に通い、適切な特別支援を受けることができました。そのおかげで、今は通常学級のみの在籍で楽しそうに学校に通ってます。》 「「うちの子、発達障害かも!?」と思ったら」 発達障害の子、LGBTQの子、外国にルーツのある子など、教室のなかには多様な子どもたちがいます。それぞれの子のニーズに合った支援の必要性が、ようやく認知されるようになってきました。そういう意味で、最近の教育現場では、「多様性」がキーワードのひとつになっています。【LGBTQとは】L(レズビアン)、G(ゲイ)、B(バイセクシュアル)、T(トランスジェンダー)。そして「Q」はQuestioning(自分の性別がわからない、もしくは意図的に決めていない人)、Queer(セクシュアルマイノリティの総称、枠組みに囚われない人)として使われています。■クラスの中にLGBTQの子どもたちはいる筆者は、ある教育雑誌の記事に「13人に1人がLGBT。この数字は日本の左利きの人口とほぼ一緒です」というフレーズを書きました。割合から推測すれば、LGBTQの子どもたちはクラスに2~3人はいるのかもしれません。そんな子どもたちが安心して過ごすために、大人ができることは? パナソニックセンター東京で行われた、教育関係者を中心とした『LGBTQ』のワークショップに参加してきました。私が参加したワークショップグループのメンバーは、「養護教諭」、「ユニバーサルデザインに関心がある建築家」、「企業のダイバーシティ推進室所属の会社員」、「当事者の発信者」、そして教育ライターの私の5人です。さまざまな立場の人が、それぞれの立脚点から、このトピックに関心を寄せていることがわかります。質問に対して、グループのみんなで話し合い、その後、登壇者の方たちも、同じ質問に回答をするという形式で進められました。 ■LGBTQの子どもたちの苦しみとは最初の質問は、「映画を見た感想を語り合いましょう」。オーストラリアの映像作品でトランスジェンダーの少女(出生時男性→女性)が主人公の映画『新入生』(原題:First Day)を見たあと、グループに分かれてワークショップを行いました。【映画『新入生』とは…】トランスジェンダーの少女ハナーは小学生の時、男の子として過ごしていました。進学は本当の自分になるチャンスです。ところが、入学初日が近づくにつれて、ハナーは不安になっていきます。トランスジェンダーだということが他の生徒に知られてしまったらどうしよう?登壇したそれぞれの方の「背景」が垣間見えたので、それを含めてご紹介します。小林 りょう子(こばやし りょうこ)さん子どもからカミングアウトを受け、性的マイノリティの子の親として、LGBT当事者や家族の支援活動を行っている。小林さんの38歳になる息子さんは、出生時の性は女性でした。小林さんが映画の中で最もグッときたのは、ハナーちゃんが制服を着た時の表情だったそうです。息子さんに、「男性の制服を着せてあげたかった」と、涙ぐんでいらっしゃったのが印象に残りました。浅沼 智也(あさぬま ともや)さんトランス男性(出生時女性→男性)。看護師。LGBTQであり、精神疾患や発達障害、依存症などの複合的な問題を抱える当事者のぴあサポートをしている団体カラフル@はーと代表。浅沼さんは、「自分は何も悪いことをしていないのに、トランスジェンダーということは隠し通さなければいけないと感じてしまう、その苦しさを思い出した」と。浦田 幸奈(うらた ゆきな)さんトランス女性(出生時男性→女性)。 愛知県の中学校教諭。2017年、学級・学年・職員に性同一性障害をカミングアウト。2018年度より女性名・女性の装いで教壇に立つ。特定非営利活動法人ASTA所属。浦田さんは、映画の中での、いわゆる「誰でもトイレ」の話に言及。「『男子トイレ(たくさん)』『誰でもトイレ(ひとつ)』『「女子トイレ(たくさん)』。 この『たくさん・ひとつ・たくさん』とあった時の、『ひとつ』を使うということは、隅に追いやられている感じがして、思った以上に孤独感を味わう」と。「映画の中では、ハナーの事情を知らない同級生が、『今度私もそこに行きたい!』言うのですが、その発言に歩み寄るというか寄り添う感じがした」とも。知花 梨花(ちばな りか)さんトランス女性(出生時男性→女性)。ジェンダークリニックで看護師をしながら女優として活動。ジェンダークリニックで性に違和感を抱える方のケアをされている実感として、「性別を移行するということは、世間体、家族、会社などとの関係性もあり、長い時間を要します。現実として、『女性ホルモン(男性ホルモン)を打てれば幸せなんです』と、外見の見た目は変わらないという人も多いです」と。■「無知」が多様な性を阻害している次の質問は、「多様な性を阻害しているものは、何だと思いますか?」。私たちのグループから出た意見は、「無知」「世間体」「旧態依然とした制度」の3つでした。登壇者の方からの意見も大別すれば、この3つのどれかに含まるのでは? と、感じました。小林さんからは、「無知である」ということを象徴する具体的なエピソードとして、「文部科学省から2016年4月1日に教員向けの手引書が出されているのに、現場の先生に浸透していない」という問題が指摘されました。手引書は、ネットで誰でも見ることができるので、ぜひご覧ください。教育現場のLGBTQの子どもたちへの対応については、情報インフラがまったく整っていないと感じます。私が取材を通じて遭遇した教育現場の現実をいくつかご紹介しましょう。■共生社会をつくるには「多様性を目指す教員の会」の勉強会に参加したときのこと。多様な性に関する教育現場などでの発信をされている中島潤(なかじまじゅん)さんのお名刺に、「生まれた命が、生き抜ける社会を」と印刷されていました。中島さんは、「今年から、この文言を印刷しました」とおっしゃっていました。どんな現実があるのか、ぜひ今後、ウーマンエキサイトでもご紹介していきたいと考えています。▼性を揶揄する言葉が教室内で使われている当事者の子どもたちは、性を揶揄(やゆ)する言葉で傷つくことが多々あるそうです。そうした言動を、先生方が見て見ぬふりをしているというのは、LGBTQの子どもたちや保護者の集まりで必ず話題になる事柄だそうです。▼性に対しての配慮と合理的配慮の混同LGBTQの子への配慮が合理的配慮と混同され、診断書の提出を求められることが多いことも教育現場の混乱のひとつでしょう。合理的配慮を受ける場合は、たしかに診断書が必要です。ただ、性に対しての配慮は、合理的配慮とは別物です。たとえば、「名前シールで、赤・青といった性別二元論ではない対応をして欲しい」というのは、けっしして「わがまま」という範疇の話ではないのです。■すべての子がありのままの自分でいられるためにこうした教育現場の現実を踏まえ、最後の質問に突入します。「すべての子どもがありのままの自分でいられる社会を実現するために必要なことは?」私たちのグループから出た意見は「まずは、知ることなのでは?」ということでした。私は今年に入ってから多様な性に関する記事を書くようになりましたが、正直なところ、いまだ「手探りで書いている」という状態です。2019年現在、多様な性を知るための情報が、圧倒的に少なすぎる…。浦田さんは、「知ることで、できることが見えてくる。多様性を知ることを楽しみつつ、その人たちが笑顔になるために自分ができることを考える人が増えたらうれしい」と、おっしゃっていました。ワークショップのチラシには、「目に見える違い、見えない違い、それぞれの人が『人と人との違い』にさまざまな思いを持ちながら過ごしています」と、書いてありました。「知らないこと」に対しては、誰だって身構えてしまいます。そんな自分を、「だから悪いんだ」と思うのではなく、「何に対して自分は身構えているのだろう?」 そういったことから、ゆっくりと自分と対話を始めてみようと思いました。知花さんが、「今日感じたことを、まずは、みなさんの言葉で伝えて、広げていって欲しい」と、おっしゃっていました。私が感じたことの何かひとつでも、皆さんの心に届くとうれしいです。<参考サイト>●文部科学省: 「性同一性障害や性的指向・性自認に係る、 児童生徒に対するきめ細かな対応等の実施について」 (教職員向け)[pdf]●多様性を目指す教員の会: 公式HP DIVERSITY&INCLUSIONイベント第6弾『LGBTQ』~すべての子どもがありのままの自分でいられる社会を目指して~
2019年12月01日家でも外でもおかまいなしに、子どもが癇癪(かんしゃく)を起こして、泣いて叫んで大暴れ…。そうなると、お母さんはどうしていいかわからないですよね。「こんなに癇癪を起こすなんて、私の育て方が間違っているのかしら…」そう不安に感じるお母さんは多いでしょう。そもそも、子どもはどうして癇癪を起こすのでしょうか。その予防法はあるのでしょうか? 子どもの癇癪について、くわしく解説していきましょう。【監修】赤坂ファミリークリニック院長 伊藤明子 先生小児科医師、公衆衛生専門医、同時通訳者。東京外国語大学イタリア語学科卒業。帝京大学医学部卒業、東京大学医学部附属病院小児科入局。東京大学大学院医学系研究科公共健康医学専攻修了。同大学院医学系研究科公衆衛生学/健康医療政策学教室客員研究員。2017年より赤坂ファミリークリニック院長、NPO法人Healthy Children, Healthy Lives代表理事。著書・共著に『小児科医がすすめる最高の子育て食』など。テレビ番組「林修の今でしょ!講座」などに出演中。二児の母。■癇癪(かんしゃく)とは癇癪(かんしゃく)を起こすとは?「癇癪」とは、激しい感情を抑えきれず、大きな声を出したり怒ったり泣いたり、時には物を投げたり暴れたりすることです。英語で癇癪は「temper」、特に幼児期の癇癪は「tantrum」、癇癪持ちは「hot tempered」「short tempered」「quick tempered」といいます。hot、short 、quickといった形容詞が、癇癪を起こした時の様子をよく表しているといえるでしょう。【癇癪(かんしゃく)を起こしている子どもの様子】癇癪を起こしている子どもは、突然叫び声を上げたり、泣いたり、怒ったり、手足をバタバタさせたりします。感情が高ぶりすぎると、大きな声で泣きながら床に寝そべってゴロゴロ転がったり、手足をバタバタ振り回したりすることも。外出先で子どもが癇癪を起こすと、お母さんは本当に困ってしまいますよね。▼癇癪(かんしゃく)パターン1: 嫌なことを取り除こうとしている子どもは、癇癪を起こすことで「嫌なことを取り除こう」としています。例えば、公園で遊んだ後、「もう遅いから帰ろう」と子どもに声をかけると、「まだ帰らない! 遊ぶ!」と子どもが泣いて叫んで帰られない…というのはよくありますよね。これは、「嫌なこと=遊びをやめて帰る」を取り除こうとして、お母さんに訴えているわけです。▼癇癪(かんしゃく)パターン2: 困っているサイン子どもが癇癪を起こすもう一つの原因に、「何か困っているサイン」があります。例えば、ブロックが組み立てられない、服のボタンがうまくとめられないなどで、キーッと癇癪を起こし何もかも投げ出してしまう時がこれに当てはまるでしょう。子どもの癇癪(かんしゃく)の原因子どもが癇癪を起こす原因は、大きく分けて次の2つが挙げられるでしょう。▼生理的なもの子どもの癇癪は、欲求不満があったり、疲れていたり、おなかが空いていたりといった、「生理的なもの」が原因というケースが多いでしょう。例えば、おもちゃ売り場で「これ買って!」とダダをこねて、最後には泣いて暴れて…というのは、よくある子どもの癇癪のパターンです。しかし、実はこの癇癪の本当の原因は、「おもちゃが手に入らないこと」ではないことも。疲れていたり、眠かったり、おなかが空いていたりなどの生理的な原因がもともとあり、「おもちゃが買ってもらえない」をきっかけに感情が爆発する場合もあります。▼コミュニケーション手段になっている子どもが癇癪を起こす原因のもう一つには、「コミュニケーションを取るため」というのが挙げられます。親にかまって欲しい、人の注意を引きたいという気持ちから、癇癪という形であらわれるのでしょう。「上の子は聞き分けが良かったのに、下の子は癇癪持ちで…」とこぼすママは少なくありません。上の子に比べ、2番目、3番目以降の子どもは、親を独り占めできることが少ないですよね。もしかしたら、気を引こうとして癇癪という表現方法を取っているのかもしれません。癇癪は、子どもが親に気持ちを伝えるコミュニケーション手段の一つといえるでしょう。癇癪(かんしゃく)が始まるのは1歳になる少し前から?子どもの癇癪を起こし始めるのは、1歳になる少し前くらいからといわれています。ちょうど、少し言葉が出始めた頃ではないでしょうか。赤ちゃんの頃は泣くことしかできなかったのに、言葉という伝達手段を手に入れ、親子でコミュニケーションが少しずつ取れるようになり始めた1歳前後。しかし、子どもは当然、言葉ではまだうまく気持ちが伝えられません。そのジレンマが、癇癪を起こすという行動に結びついているのかもしれません。その証拠に、言葉でうまく感情を伝えられるようになる5歳頃から、ほとんどの場合、癇癪の頻度は少なくなっていきます。■子どもが癇癪(かんしゃく)を起こすのは育て方のせい? 発達障害なの?癇癪(かんしゃく)を起こすのは育て方のせいではない子どもが癇癪を起こすと「私の育て方が悪いのかな…」と心配になったり自分を責めたりするお母さんも多いでしょう。しかし、子どもの癇癪は、お母さんの育て方というより、子ども自身の性格や、その時の状況、環境、子どもの成長の過程とが複雑に絡み合って起こるものです。ごくまれに、心理学的、医学的などの理由で癇癪を起こす場合があります。一度の癇癪が15分以上続く、1日に何度も癇癪を起こすようなら、その可能性が考えられます。癇癪(かんしゃく)持ち=発達障害とは限らない次の3つに当てはまる子どもの癇癪は、その子の性格や環境、成長過程によるものが多いといえます。発達障害と安易に関連づけることはできないでしょう。▼ほかの人と関わるのが苦手子どもは、行動範囲が広がるにつれて、さまざまな人とコミュニケーションを取るようになります。最初はお母さん、お父さん、きょうだいといった家族だけ、次に一緒に遊ぶ同年代のお友だちやその家族、幼稚園・保育園に通い始めたら先生や違う年齢の子どもたち…。関わる人が多くなる過程で、子どもはほかの人とコミュニケーションをとる練習をし学んでいきます。ただし、それも子どもの性格や環境によって、得手不得手の差は出てくるもの。ほかの人との関わりが苦手な子どももいるでしょう。例えば、お友だちとおもちゃの取り合いになった、ブランコの順番を待っていたのに抜かされたといった子ども同士のトラブルは日常茶飯事ですね。そういった時、相手に合わせる、相手と交渉するというのが苦手な場合は、癇癪を起こしてしまうでしょう。▼言葉が遅い言葉がまだうまく使えず、思ったことが伝えられない。また、何か言われても十分に理解できない。そういった時、子どもは自分の気持ちが伝わらず、状況も理解できなくて不安に感じます。それが、癇癪という形であらわれるのです。ほかの子より言葉が遅い子は、同じ年齢のお友だちと遊んでいても、うまく気持ちが伝えられません。そのため、泣いて怒って、時には手が出てしまうこともあるのでしょう。▼気持ちをまだコントロールできない子どもと比べて、大人が感情のコントロールをできるのは、その経験値からです。不快なことが起こらないようにあらかじめ準備をして避ける、嫌なことがあっても人に話すなどして鬱憤(うっぷん)を晴らす、別の楽しいこと思い出して気持ちを切り替えるなど、これまでの経験から自分の気持ちや行動をコントロールする術を知っているわけです。しかし、子どもはまだそういった経験が浅く、感情を抑えることも下手です。嫌なこと、不快なことがあったら、泣く、大声をあげる、怒る、暴れる…。でも、そういった激しい感情の起伏で癇癪を起こすことで、子どもも大きなストレスを感じているに違いありません。それを何度か繰り返すことで、感情のコントロールを学んでいくのでしょう。今は、その途中なのではないでしょうか。発達障害の子どもに見られる症状の一つに、癇癪を起こしやすい傾向があるということで、心配になるお母さんも多いでしょう。たびたび癇癪を起こすからといって、すぐに発達障害と結びつけることはできません。ただし、あまりに頻度と程度のひどい癇癪を起こすようなら一度、専門の小児科医に相談することをおすすめします。■子どもの癇癪(かんしゃく)への対処法癇癪(かんしゃく)が起こる前にできること癇癪は一度始まると、子どもの気持ちが高ぶっている間は、何を言っても通じません。きつく怒ったり、無理やり連れて行こうとすると、火に油を注ぐ結果にも。そうなる前に、先回りして対処し、癇癪を起こさせないようにできると良いですね。▼環境を整える子どもがスムーズに気持ちを切り替えられるような声がけを心がけると良いでしょう。例えば、急いでいる時に子どもが公園で遊びたいと言った場合。「急いでいるからダメ」と言うと、子どもは癇癪を起こしてしまうでしょう。そんな時は、「急いでいるから、滑り台3回だけね」と声がけすることで、子どもはもっと遊びたい気持ちはあるけれど、急いで移動しなければいけないことも理解し、滑り台3回の間に、気持ちをある程度切り替えられるのです。この時、注意したいのは「じゃあ、ちょっとだけね」という曖昧(あいまい)な表現を使うこと。子どもには「ちょっと」「少し」の感覚がわかりにくいので、回数や時間で伝えるようにしましょう。▼子どもに伝わりやすいツールの用意先に紹介したように、子どもに曖昧な表現は通じません。「ちょっと」「少し」といった大人の表現をわかりやすく伝えるツールを用意しておくと良いでしょう。例えば、時計を見せて「長い針がここまできたら終わりね」とか、ゲームやテレビなどはタイマーを使って時間の制限をわかりやすく伝えるなどで、子どもにわかりやすいツールを活用するのも一つの方法です。また、言葉がうまく伝えられない子どものために、気持ちを視覚で表せるツールもあるといいでしょう。例えば、「イライラしている」「怒っている」「落ち着いている」といった感情を表せるイラストを用意して、それを使って子どもが気持ちを伝えられるようにするのも一つの手です。癇癪を起こすきっかけとなる「気持ちをわかってもらえない」という子どものフラストレーションが解消できるでしょう。同様な効果が期待できるコミュニケーション支援アプリなどもあるので活用してみてください。▼癇癪(かんしゃく)が起こった時のルールを子どもと決めておくどんなに予防線を張っても、子どもは何をきっかけに癇癪を起こすかわかりません。いざ癇癪を起こしたら、どう対応すればいいか子どもと話し合っておきましょう。「イライラしたり怒ったりした時は、どうしたらいいかな?」と子どもに聞いて、子どもに決めさせるのです。例えば、一人になれる場所へ移動する、気持ちが落ち着くような言葉をつぶやく、好きなアイテム(ぬいぐるみや毛布など)を触るなど決めておくと、その行動=気持ちの切り替えとなって、感情がクールダウンするきっかけとなるかもしれません。▼食生活を見直す偏食がひどい子どもに、癇癪を起こしやすい、情緒不安定、不安障害といった症状が出る場合があります。青魚に多く含まれるEPA(エイコサペンタエン酸)やDHA(ドコサヘキサエン酸)や、たんぱく質、鉄分を積極的に取り入れ、糖質、添加物を控えるバランスの良い食生活によって改善する場合もあります。食生活から見直してみるのもおすすめです。癇癪(かんしゃく)が起こったら1: クールダウンさせる子どもが癇癪を起こした時、落ち着かせるために昔から取り入れられている方法に、「タイムアウト法」があります。タイムアウト法は、次の手順で進めます。1.子どもが癇癪を起こして、泣いて暴れたり人に迷惑をかけたりしたら、まずはそれがいけないことだと説明します。2.一定時間いすに座っているように伝えます(必要ならいすまで連れて行きます)。3.年齢の数だけの分数、例えば4歳なら4分間、子どもをそこに座らせます(最長5分間)。ただし、途中で子どもが立ち上がったら、時間はリセットして最初から始めます。4.時間になったら、どうして叱られたのかを子どもに質問します。理由を答えられない場合は、もう一度教えて、思い出させるようにします。このタイムアウト法は、癇癪を起こすことは悪いことだと理解しているのに感情が抑えられない子どもには有効な方法です。そのため、良い悪いがまだ判断つかない2歳未満の子どもには効果がない場合もあります。ただし、癇癪を起こしている真っ最中の子どもを、言い聞かせていすに座らせること自体が難しいですよね。そうなる前に、あらかじめ癇癪を起こした時にはどうするといったことを子どもと話し合っておくといいでしょう。癇癪(かんしゃく)が起こったら2: 感情的に叱らないようにする子どもが大きな声をあげたり暴れたりすると、お母さんもついつい感情的になってしまいますよね。子どもよりさらに大きな声をあげて、なんとか抑えこもうとしてしまいがちです。すると、子どもはそのお母さんの声や態度にさらに興奮してしまいます。感情的に叱るのは、子どもの癇癪には逆効果となります。癇癪(かんしゃく)が起こったら3: ご褒美で釣るのはNGもし、子どもが「お菓子買って!」とスーパーで床に寝そべって泣いてねだったら…。お母さんは恥ずかしくて早く立ち去りたいから、「まあ、いいか…」と買ってしまいそうですよね。特に外出先で子どもが癇癪を起こした時は、なんとか早くなだめようといつもはダメと言っていることも「いいよ」とお母さんは許してしまいがちです。しかし、それを繰り返していると、子どもは「癇癪を起こす=ご褒美がもらえる」と覚えてしまい習慣化します。難しいことではありますが、どんなに癇癪を起こしても、ダメなものはダメと筋の通った態度を見せることは大切です。■子どもの癇癪(かんしゃく)に引きずられないためにまずは大人が落ち着けるようにする子どもが癇癪を起こすと、お母さんも冷静でいるのは難しいですね。しかし、大人同士でも、お互いが感情的になってしまうと「売り言葉に買い言葉」でケンカがヒートアップしてしまいがちです。逆に片方があくまで冷静な態度を崩さなければ、感情的になっている相手もだんだんとクールダウンするもの。「子どもの不機嫌と自分の感情は別のもの」と割り切って、子どもの激しい感情に引きずられないのが肝心。お母さんは常に冷静を心がけ、フラットに淡々と対応するのがいいでしょう。イライラしたらその場を離れるのも◯癇癪を起こしている子どもを目の前にすると、「自分が何とかしなきゃ」とお母さんは焦りますよね。でも、癇癪が長引いてくると、お母さんもイライラしてしまいます。お母さん自身がストレスをためないためにも、子どもの安全を確認したうえで、その場から少し離れるのもいいでしょう。気配は感じられるくらいの距離、例えば隣の部屋やトイレなどに一時避難すると、子どもの姿が見えないだけでも気持ちがリセットできます。その場を離れられない時は耳栓も有効まだ小さくて目が離せない、物を投げたり暴れたりして危ないなどの時は、子どもから離れることは難しいですね。そんな時は、耳栓をするだけでも効果があります。お母さんが一番イライラするのは、子どもが叫んだり大泣きする声ではないでしょうか。それが聞こえないだけで、ずっと気持ちは楽になります。■大人にも癇癪(かんしゃく)持ちっている?大人の癇癪(かんしゃく)持ちとは? 子どもとどう違う?大人でも、子どもほど激しくはありませんが、怒鳴ったり叫んだり、場合によってはつい手が出るなど癇癪を起こしてしまう人はいます。子どもと大きく違うのは、大人は「癇癪を起こすことは悪いこと」と理解していること。大人はこれまでの経験値から、コントロールできない感情は周りの人に迷惑をかける、悪いことだと理解しています。それでも、癇癪を起こしてしまうのが、子どもと大きく異なるところでしょう。大人の癇癪(かんしゃく)への対処法自分自身が「怒りっぽい」「子どもや夫にきつく当たってしまう」「人前でも怒りが抑えられない」といった癇癪持ちの自覚があるなら、次のことを試してみましょう。・その場から離れ、刺激の少ない静かな場所へ移動する。・耳栓をして、耳からの刺激を減らす。・深呼吸をしたり、瞑想する。・自分の怒りを数値化する。・イライラした原因を紙に書き分析する。 など上記の方法で、怒りをコントロールしましょう。もし、夫やきょうだい、父母など近い関係の大人が癇癪持ちの場合、自分自身や子どもに被害があることもあるでしょう。対処法は、子どもの癇癪の場合と似ています。・イライラしていることを自覚させる。・一人にしてクールダウンさせる。・話し合いは落ち着いてから。上記に加え、大人ならではの対応法は「伝えたいことは紙に書いて伝える」こと。直接話すと感情的になってしまうことも、手紙なら冷静に受け取ってもらえるでしょう。■子どもの癇癪(かんしゃく)に悩んだら早めに相談しよう子どもの癇癪で悩んだら、お母さん一人で抱え込まず、次の機関に相談してみましょう。子育て支援センター主に乳幼児の子どもを持つ家庭を対象に、市区町村ごとに公共施設や児童館などで地域に根ざした子育て支援サービスを行っています。自治体ごとに内容はさまざまですが、育児講座や親子で参加するイベントの開催、遊び場スペースの提供、子育て相談、保育サービスの案内などを行っています。詳細は、お住いの市区町村のホームページをご確認ください。児童発達支援事業所・放課後等デイサービス子どもの特性や、心身の発達の遅れ、障害などに合わせた支援を行う福祉施設です。児童発達支援は、主に就学前の子どもを対象に、日常生活に必要な動作の指導、知識や技能の教示、集団生活への適応訓練などを行っています。一方、放課後等デイサービスは、小学生〜高校生が対象。生活訓練や社会交流などの療育プログラムを放課後や夏休みなどの長期休暇を利用して実施しています。事業所によっては言語聴覚士や理学療法士、作業療法士などの専門家による支援も受けられ、子どもの発達や子育ての相談にも対応しています。発達障害者支援センター年齢に関係なく、発達障害を持つ方とその周囲の方(家族や教師など)の支援を行っている施設です。子どもはもちろん大人の発達障害や、その周囲の悩み、困りごとなどの相談もできます。■まとめ心の成長に必要な過程の一つだとわかっていても、子どもの癇癪は、困るし悩むし疲れますよね。あらかじめ、癇癪を予防する方法や、クールダウンの仕方、周囲の適切な関わり方を知っておくと安心ですね。もし、子どもの癇癪があまりに頻繁であったり、長引いたり、激しいもので心配があるようなら、ご紹介した子育て支援機関に一度、相談してみましょう。参考資料:・国立特別支援教育総合研究所 発達障害教育推進センター 「かんしゃくを起こすのですが・・・」 ・国立障害者リハビリテーションセンター 発達障害情報・支援センター 「こんなときどうする?」 ・日本小児精神神経学会 「応用行動分析 ─子どものパニック・癇癪への対応─」 ・国立教育政策研究所 「非認知的(社会情緒的)能力の発達と科学的検討手法についての研究に関する報告書」 ・厚生労働省 「障害児支援の強化について」
2019年11月27日私は現在、3歳と生後5カ月の娘をもつ2児の母親です。実は、私の両親はいわゆる毒親。両親ともに自営業で、24時間生活を共にせざるを得ないせいか、いつも夫婦喧嘩がたえず、私自身は暴力や過干渉、ネグレクトを受けて育ってきました。そんな家庭環境に置かれていた私の経験をお話しします。 両親が毒親だと気付いたとき私は物心ついたころから、両親に頭を叩かれる、暴言を吐かれるといった心身面での暴力や、20歳を過ぎるまで門限が20時などの過干渉、両親が仕事中は基本的に経営するお店から出てはいけないなどの決まりに縛られていました。しかし、仕事中なので一切私の相手はしてくれないなど、ネグレクトも受けて育ちました。自分の両親が毒親だと気付いたのは、私が結婚して上の子を妊娠したときでした。妊娠してからさまざまな育児本を読み、自分の子どもを出産して育児をおこなうなかで、これまでの私の家庭環境はおかしいと初めて気付くことができたのです。 なぜ両親が毒親と気付かなかったのか?両親が毒親だと気付くまでかなりの時間がかかったのはなぜなのか? 自分なりに考えた末、こう結論づけました。 「幼少期は両親という絶対的存在がいてこそ、自分の生活(衣食住)が成り立つ。親がいなければ子どもは何もできない。だから、両親のいうことには従わざるを得ないので、強大な存在である両親の価値観こそが一番正しいとずっと思い込んでいた」のだと……。 幼少期からの価値観は生涯引きずるものしかし、普通の家庭で育った方から見ると、さすがに中学生になれば自分自身で毒親かどうかくらい考えられるんじゃないの? と思われるかもしれません。 通常、思春期には反抗期という形で、「自己と他人(両親)は別の個性ある人間である」と自覚する時期がある人が多いと思いますが、私の家庭ではそれができませんでした。学生時代も両親から暴力を受け続け、残念ながら私は反抗期の機会も失ってしまったのです。 現在、両親とは極力距離を置いていて、当たり障りのない付き合いを心掛けています。そして、毒親の元で育った私の育児教訓は“子どもを叩かず、甘えを受け入れてあげる”ということです。普通のことかもしれませんが、歪んだ価値観をすり込まれた私にとっては非常に難しい課題なのです。子どもたちや自分の身を守り、“本来の自分”を取り戻すまでには、もう少し時間がかかりそうです。 ※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。 著者:黒井夢乃二女の母。歯科衛生士資格あり。二女出産前まで歯科医院にて勤務。自身が毒親に育てられた。自身の体験をもとに、妊娠・出産・子育てに関する体験談を中心に執筆している。
2019年11月26日私の父親は、気に入らないことがあるとすぐに怒鳴り散らしたり暴力をふるったりする人でした。特に子どもに求める学力のレベルが高く、勉強が原因で叩かれることが当たり前の家庭で育ちました。自分が親になってみて、反面教師にしようと思うことがたくさんあります。 年齢以上のレベルを求める父父自身は家庭の事情でレベルの高い学校に通うことができなかったため、子どもである私と弟に過剰な期待をかけていたようです。 5歳になってひらがなが読めるようになると、新聞を毎日読み上げさせるようになりました。大人が読むものですから、もちろん漢字にふりがなはふっていません。漢字の読み方がわからないと1度は教えてくれますが、2度目に同じ漢字が読めないと頬を平手打ちです。小学校4年生くらいまで続いたと思います。つらくて泣きながら読みました。 弟への罪悪感私は女の子だったので、まだ手加減していたようです。男の子には容赦がなく、2歳下の弟は私よりも高い学力レベルを要求され、さらにひどい暴力をふるわれていました。恐ろしいのはそれが当たり前になってしまっていたことです。 私は進学し、弟よりも先に家を出ました。私がいなくなった家では、父のターゲットは弟ひとり。どんなにかつらい目にあったことだろうと思います。しかし、当時の私は進学できた安心感と家を出られるうれしさで、弟のことなど考えていませんでした。その罪悪感は、今でも持ち続けています。 母親との喧嘩がつらい一方、母は子どもに声を荒げたことがなく、とてもやさしい人でした。父と母の立場は対等だったようで、父は子どもには日常的に手を上げましたが、母を叩いているところは見たことがありません。母はよく父と大きな声で口喧嘩をしていましたが、それでも子どもへの暴力を止めることはできませんでした。慣れてしまっていたのだと思います。 子どもの私は、両親の喧嘩が嫌でたまりませんでした。2人は「親の責任」を果たすために、ののしり合いながらも一緒に生活し、弟が成人したあとに離婚しました。子どものせいにしないで、自分たちの責任でさっさと別れたらよかったのにと思います。 親ですから尊敬できる部分もあります。しかし、しつけと称して暴力をふるったこと、子どもへの過剰な期待、毎日のように起こる夫婦喧嘩という点に関しては、確実に毒親だったと思います。私は子育てに関して、何があっても絶対に暴力をふるわないこと、子どもの前で夫婦喧嘩をしないことの2つだけは、絶対に守ろうと思っています。 著者:武田沙季子自身の体験をもとに、妊娠・出産・子育てに関する体験談を中心に執筆している。
2019年11月20日子どもがちっとも言うことを聞かないと嘆く前に、子どもとの信頼関係が築けていることが大切と語るのは、カリスマ的な人気がある映画「みんなの学校」の舞台となった大空小学校の初代校長である木村泰子先生と、子育てスキルの解説に定評がある高山恵子先生。そう言われても、そもそも「子どもに信頼してもらう大人」になるのが難しい! どうしたらいいですか? 引き続き、木村泰子先生と高山恵子先生の対談から筆者が探ります。 「子どもが言うことを聞かないのは、ママとの信頼関係に問題があった!」 の続きです。■大人が画一的な価値観を押しつけない―子どもが信頼できる大人になるためには、何から始めれば良いでしょうか?木村泰子先生(以下、木村):自分が子どもに信頼してもらえているのか? それは、いわば、子どもにとって自分が安全基地になれているのか? という問いです。言い換えれば、この問いは、「子どもにとって、自分が安全基地になるためには、どうしたらいいのか?」ということです。これについて、私は何段階かに分けて考えました。いろいろと考えた結果、最終的に、子どもにとって自分が安全基地になるためには、大人が持っている『限られた画一摘な価値観』を、子どもに一方的に押しつけないということなんだと思い至りました。高山恵子先生(以下、高山):自分が受けてきた過去の教育や、自分の親の育て方が正しいと信じている方は多いですよね。木村:そう、そこが問題の「核心」とも言える点なんです。いま、自分がやっている子育てが、自分がもっている「画一的な価値観」を押し付ける行為になっていないか? そこに対して、ママは主体的に自分の頭で考えてみて欲しいのです高山:たしかに。そこを考え始めてみることが、今、一番大切なことですね。■子どもにどんな人になって欲しいですか?―主体的に自分の頭で考えてみる…。なかなか、ハードルが高いですね木村:この話をしていたら、ある県の教員研修会に呼ばれた時のことを思い出しました。そのときは、大きな体育館に先生方が集まって、映画「みんなの学校」の上映後、「何かお話しをしてください」と言われていました。高山:どんなお話しをされたのでしょうか?木村:新任の先生が最前列に座っていらしたので、新任の先生方に向かって、「ご自身がどんな先生になりたいか、言えますか?」と聞いてみました。みなさん、意気揚々と「僕に当ててください!」「私が話したいです!」という顔をされていました。そこで、私は言いました。「そんなん、どうでもいいんです。自分が、どんな先生になるかなんて、どうでもいいんですよ。では、どんな子どもを育てたいですか? はい、どうぞ!」と、言ったんです。そうしたら、誰も手を挙げませんでした。高山:ああ、本当に先生と気が合います。私は講演会の最初によく、「みなさんは、子どもにどんな人になってほしいですか?」という質問から始めるんです。■家でも学校でも、教育の目的はたったひとつだけ―「子どもにどんな人になってほしいか?」…ですか?木村:たとえば、教員になる人たちは、教員養成課程で「自分がどんな先生になりたいか?」ばかりを勉強させられています。「子ども理解ができて、授業がうまくてなんとかかんとか…」と。そうしたら、自分がそういう教員になることが、すべての「目的」になってしまい、子どもは目的を達成する「手段」になってしまうんです。「目的」と「手段」が逆になってしまっているんです。高山:家庭でも、同じことが起きています。木村:「どんな親でありたいか、どんな教員になりたいか」ではなく、「自分は、どんな子どもを育てたいのか」ということだけを考えていればいい。もっと、言ってしまえば、「家庭や学校での教育の目的とは何か?」という話です。家庭や学校での教育の目的は、その子がその子らしく育つこと。それ以外にありません。高山:おっしゃるとおりだと思います。私は、アメリカの大学院で、教授法には「教師中心法」と「生徒中心法」があると学びました。「教師中心法」は、文字通り、教師中心の教授法で、従来の日本の一斉教育のイメージですね。一方で、生徒中心法は、子どもありきの教授法です。この「生徒中心法」の考え方が、これからの教育で、非常に大切なのだと私も思います。■親が変われば子どもも変わる―大空小学校には、保護者の方、ボランティアで来て下さる地域の方など、たくさんの大人がたくさんいました。学校に多様な大人がいて混乱はありませんでしたか?木村: 私たち教職員がすごく大事にしていたのは、「私らが子どもを一番見ていて、わかってへんかったら、給料返さなあかんで」ということです。「この子にとっていい関わりか? いい関わりでないか?」。そこを判断するのは、教員の仕事です。授業中に、地域の方がその子にとってプラスにならないような関わりをするときは、やっぱりキッチリ言わないと。専門家である私たちが、「いま、ちょっと邪魔やねん」と言う。それが教員の仕事です。高山:「この子にとっていい関わりか? いい関わりでないか?」を判断すると思えば、親も自分の感情に流されることは減るかもしれませんね。でも、そこまでキッパリ言って、気を悪くされる方はいらっしゃいませんでしたか?木村:そういうこともあるでしょう。「邪魔やねん」と言われて、「そんなん言われたし、もう行かへん」と思われる方は、それ以後、自らいらっしゃることはないでしょうね。一方で、「邪魔やねん」と言われたときに、「あ、そうか。いまの私の関わり、あかんかったな」と学んでくださる方は、それ以後、同じような関わりはされません。高山:なるほど。その方自身を否定するのではなく、その方の言動がNGなのですから、そこを変えればいいのですね。木村:自分の意思で学びつづけようとする。そういう人が増えて、そういう方が、どんどん学んでいってくだされば、家庭や学校、ひいては地域全体の「学びの場」としての空気が変わっていくわけです。ですから、大空の校門には、こんな看板をかけていました。●大空小学校の校門の看板木村:大人が「主体的な深い学び」を行えるようになってくれば、子どもたちも自然に「主体的な深い学び」を獲得していきます。親が変われば、必然的に子どもも変わっていくんです。高山:本当にそうですね。それにしても、木村先生は、行動の人ですよね。木村:「誰が、いつやるか?」というだけの話なんです。私の話を聞いて、「いいのはわかっているんですが、私の現実はそうではないんです」ではなく、「そうするためには、どうしたらいいですか?」なんです。「自分自身を、まず変えようよ!」と。自分自身を変えることからしか、何も始まらないのです。■今、自分自身を変えることから始めよう!いかがでしたか? 筆者は、「私の生きづらさは、どこからくるのだろう?」 そんなことをよく考えます。私が子どもだった頃、「その子がその子らしく育つこと」を最優先に考える大人に囲まれていたのなら、「私は、私であっていい」と、力みなくストンと思えたのかもしれません。そう思うのであれば、いま、自分が、そんな大人になればいい。「その子がその子らしく育つこと」を保障できる大人に、自分がなればいい。そんなふうに、考えるようになりました。下記の対談本は、筆者が取材・執筆を担当しました。取材を通じて、木村・高山両先生と多くの時間を過ごさせていただくなかで、実践してきた人しか持ちえない、「言葉の力」を体感しました。本書を通じて、それが少しでも読者さまに伝わるとうれしいです。<親の意識を変えるポイント>1)自分が持っている画一的な価値観を子どもに押しつけていないかセリフチェックを!2)教育の目的は、その子がその子らしく育つこと。それ以外には、ない3)大人が主体的な深い学びを獲得すれば、子どもも自然とそれに続く■参考文献 『「みんなの学校」から社会を変える: 障害のある子を排除しない教育への道』 (木村泰子・高山恵子 著/小学館刊 本体800円(税))●木村泰子(きむら・やすこ)先生文部科学省特別選定にもなったドキュメンタリー映画「みんなの学校」は、2015年2月に封切られてロングラン、今もなお全国の自治体などで自主上映され続けています。木村泰子先生は、この映画の舞台である大阪市立大空小学校の初代校長。2015年に退職後は、全国各地で公演活動を行っています。》 「『みんなの学校』流「生き抜く力」の育て方」 ●高山恵子(たかやま・けいこ)先生NPO法人えじそんくらぶ代表。保育所・幼稚園などへの巡回指導を通じて、子育ての現場支援に携わっています。著書に『しからずにすむ子育てのヒント(高山恵子/Gakken)』など、子育てのスキルをのわかりやすい解説に定評があります。「ママのストレスを少しでも減らしたい!」が、活動の原動力。》 「ママのためのアンガーマネジメント」
2019年11月18日現在、5歳と2歳児の子育てをしています。家族でファミリーレストランに行ったとき、隣の席に案内された年配の女性が、長男を一目見るなり店員さんを呼び「席を替えてくれない?」と言ったのです。とても悲しく、複雑な気持ちになった体験をお伝えします。 楽しみにしていた家族での外食長男が2歳のときの話です。共働きだったため、休日くらいはゆっくりしようと週末は外食になることが多かったわが家。子連れの外食は周りへの迷惑を考え、ファミリーレストランなどのできるだけファミリー層が多い店舗を選択していました。幸いにも長男も食事中は騒いだりせず、大人しい性格だったので、安心して外食を楽しめていました。もちろん、ぐずったり騒いだりしたらお店を出ないといけないと思っていましたが、そんなことは一度もありませんでした。 「席を替えてほしい」の言葉にびっくりその日も、いつも行くファミリーレストランで夫と長男の3人で食事をしていました。注文が終わって待っているとき、隣の席に年配の夫婦のお客様がいらっしゃいました。席に案内され一度は着席したのですが、奥様らしき方がすぐに店員さんを呼びました。そして、長男のほうを見ながら「子どもの隣の席はちょっと……」と伝えたのです。席の間隔が近かったため、話している会話はすべて聞こえていました。もちろん長男は大人しく待っていて騒いだりしていません。今までそんな経験はなかったため、とても驚き悲しくなりました。 子どもの隣は騒いでいなくても迷惑?結局、ご夫婦は空いている席に移動されました。もしかしたらご夫婦は静かにお話をしたく、過去に子連れの家族が隣席で嫌な思いをした経験があったのかもしれません。「いつ騒ぐかわからない子どもの隣は嫌だ」と思った可能性もあります。しかし、私は子どもと一緒の外食には人一倍気を使っているつもりだったため、とてもショックでした。それは、子どもというだけでうるさい、迷惑だと決めつけられたようで、自分の子育てが否定された気持ちになったからかもしれません。 人によってはささいなできごとかもしれませんが、当時は本当に悲しくて悔しい気持ちになりました。反面、子連れでの外食中に笑いかけてくれる人、話しかけてくれる人、応援してくれる人もたくさんいます。今は、見知らぬ人たちが隣席を気にしながら食事をする可能性があるなら、先に席を移ってもらって逆によかったのかなと思うようになりました。また、子どもには外食時には周りの迷惑にならないように、マナーをきちんと守らせようと改めて意識することができた体験でもありました。 著者:竹内優実5歳と2歳の男児を育児中。時短と節約が大好きなアラフォー母。簿記2級・MOSマスター・初級シスアド取得。パソコンを活かした育児グッズの作成が得意。夫は激務の為、ほぼ一人育児中。
2019年11月18日毎日、子育てをしていて、何となく不安…。それは、もしかしたら「子どもを育てる土台」が整っていないからなのかもしれません。では、子どもを育てる土台とは、何なのでしょうか? カリスマ的な人気がある元小学校校長の木村泰子先生と、子育てスキルの解説に定評がある高山恵子先生の対談から筆者が探ります。●木村泰子(きむら・やすこ)先生文部科学省特別選定にもなったドキュメンタリー映画「みんなの学校」は、2015年2月に封切られてロングラン、今もなお全国の自治体などで自主上映され続けています。木村泰子先生は、この映画の舞台である大阪市立大空小学校の初代校長。2015年に退職後は、全国各地で公演活動を行っています。》 「『みんなの学校』流「生き抜く力」の育て方」 ●高山恵子(たかやま・けいこ)先生NPO法人えじそんくらぶ代表。保育所・幼稚園などへの巡回指導を通じて、子育ての現場支援に携わっています。著書に『しからずにすむ子育てのヒント(高山恵子/Gakken)』など、子育てのスキルをのわかりやすい解説に定評があります。「ママのストレスを少しでも減らしたい!」が、活動の原動力。》 「ママのためのアンガーマネジメント」 ■「子どもが言うことを聞く」ために必要なこと―子どもが全然言うことを聞きません! そんな時、どうしたらいいですか?木村泰子先生(以下、木村):子どもへの関わり方は、「手法」ではありません。子どもが「この目の前の大人は、自分のために言っているよな」と感じるときは、「うるせぇな」などと表面的にどれだけ悪態をついていようが、必ず自分の身体のなかに、その言葉をトンと沁み込ませています。子どもは、目の前の大人が、「本当に自分のために言ってくれている」と感じたときは、必ず大人を信用します。これはすべての子どもがもっている「本能」なんです。高山恵子先生(以下、高山):子どもに言うことを聞いてもらうには、まず信頼関係が基本です。「教える」という土台には、人間同士の信頼関係が大切です。「自分のことをわかってくれている人だ」と子どもが感じられることが基本なんです。■子どもが信頼できる大人の条件とは?―では、子どもと信頼関係を築くには、どうすれば良いのでしょうか?木村:子どもが本当に困ったとき、「信頼できる大人の条件」って、どんなことだと思われますか? これについて、大空小学校の校長をしているときに「そこなのね?」と、衝撃的に学んだ事実があるのです。高山:ぜひ、伺いたいですね。木村:(他人を信頼していなかった子どもが校長である木村先生だけ信頼した理由を)「だってな、校長先生は最後までずっと横にいとってくれる」と、言ったんです。それだけです。「ただ、横にそっとおるだけや」という話です。助けてくれるわけでも、ためになる話をするわけでもないけれど、最後の最後まで横にいる。高山:たしかに「寄り添う」ということ、とても大事ですね。大人は、頭では理解をしていると思うんです。ただ、じつは、「子どものかたわらに、ただいる」って、すごく難しいですよね。子どものかたわらにただいるということが、「すごく難しいこと」になってしまっているのは、ママたちが「この子を、自分が正しく導かなければならない!」という使命感をもっていらっしゃるからなんだと思うんです。―毎日、「子どもにやらせるべきToDo」に追われています高山:子どもに対して、いろいろなことをやらなければいけないという思いが強くて、ママたちは、なかなか「まず寄り添う」という気持ちになれないと思います。だからこそ、「寄り添う」ということを「意識して、やっていこう」という気持ちが、大切だと思います。そうするうちに、だんだんと子どもに自然と寄り添い、評価せずにただ話を聴くことができるようになって、信頼関係も生まれていくのだと思います。■子どもと信頼関係を結ぶために知っておきたいこと―おっしゃることはわかります。でも、なかなか、そう切り替えられません。高山:子どもが大人の言うことを聞く、つまりは子どもがスムーズに学ぶためには、子どもの心身が安定していないと難しいんです。これに関して、私はよく「マズローの欲求階層図」のお話しをしています。難しい理論のように聞こえるかもしれませんが、これは大学の教育系学部では必ず学ぶ、教育のベーシックな知識なんですよ。●マズローの欲求階層図高山:アメリカの心理学者マズローは、人間には基本となる欲求が5つあり、それは階層になっていて、下から順に満たされると良いと考えました。(上記の図参照) ここでのポイントは、「欲求には優先順位があり、下から順に満たしていくことが大切」という点です。どういうことかというと、人はまず図の①から④までの欲求が満たされてから、⑤の「自分の能力を発揮して何かを成し遂げたいという気持ち(自己実現欲求)」が起こる、という考え方なんです。つまり、ママが子どもと信頼関係を結ぶことができれば、「②(安全欲求)」「③(所属・愛情欲求)」、「④(自己承認欲求)」が満たされます。そうして初めて、「子どもが言うことを聞く耳を持つ」状態になるんです。この理論が頭に入っていると、急がば回れ、子どもが言うことを聞くためには、「親子関係の土台づくりから」という気持ちになりませんか?いかがでしたか? ママは、溢れかえる育児情報の中で、ついつい「アレもコレも」と思ってしまいがち。けれども教育学の知識が少しあるだけで、情報を「間引き」するヒントになりそうです。<親の意識を変えるポイント>1)子どもは、信頼関係が築けている大人の言うことは聞く2)子どもと信頼関係を築くには、「寄り添う」ことが大事3)マズローの欲求階層図で、「子どもが言うことを聞く耳を持つ」までの過程を理解する■参考文献 『「みんなの学校」から社会を変える: 障害のある子を排除しない教育への道』 (木村泰子・高山恵子 著/小学館刊 本体800円(税))
2019年11月17日わが家には3人の子どもがいますが、月2〜3回は近くの図書館に行きます。町の小さな図書館ですが、児童コーナーが充実しており、和やかな雰囲気。歩いて行ける距離ということもあり、とてもお世話になっています。長女が1歳のころから図書館に連れて行っているのですが、思いがけず良いことがたくさんあったのです。 自然と本を読むことが好きになる現在、長女は8歳ですが、1歳から図書館に連れて行っています。そのおかげか、本を読むことが好きで学校からもよく本を借りて読んでいますし、図書館でも毎回いろいろな本を借りています。「読みなさい」と教えたわけではなく、小さいころから本が身近にあったおかげで自然と読書が身についていました。 書店は近くにないものの、図書館が家から徒歩圏内にあるという点もよかったのかもしれません。何歳からでも図書カードが作れたため、小さいうちからマイ図書カードで好きな本を借りられるというのも、子ども心をくすぐったポイントだと思います。 想像力が養える現在、次女は3歳で、まだ字の読み書きができません。しかし絵本が大好きで、家でよく広げて読んでいます。その読んでいる様子を観察してみると、字は読めないながらも絵を見ながら想像し、自分でストーリーを作り上げているのです。これは字が読めるようになったら逆にできないことなので、私は興味深く、ときにクスリと笑いながら様子を見ています。 下にいる1歳の弟に自作のストーリーを披露してくれることも多く、弟も次女に「これよんで〜」と絵本を持っていくことが多いです。2人の絵本ワールドが、とてもおもしろいです。 マナーやルールが自然と身に付く図書館では大きい声は出さない、走ったり騒いだりしない、借りた本は大切にする、期限内にきちんと返す、もし破損してしまった場合は正直に話すなど、図書館では大事なマナーやルールがたくさん存在します。小さいうちから図書館に連れて行っているので、そのようなマナーやルールが子どもたちに自然と身に付いているように感じます。 お友だちとばったり会ってはしゃいでしまったり、走って騒いで注意されてしまったりすることもあります。でも、時には私だけではなく図書館のスタッフさんに注意されるのも、子どもたちにとって良い経験だと思っています。 図書館はうるさくできないから⋯⋯と最初は子連れで行くことをためらいましたが、行ってみると案外子どもも多く、楽しめるスポットでした。もちろんマナーやルールは大切なので、少しずつ覚えてもらう良い経験にもなりました。これからも、家族で図書館や読書を楽しんでいきたいです。 著者:ライター 岩崎未来三児(女・女・男)の母。出版社・編集プロダクションの勤務を経たのち、第一子出産を機にフリーランスに。現在は会社役員という肩書きを持ちながらも、ライター・編集者としても活動中。
2019年11月15日1歳から始めた息子のトイレトレーニングで悩んだのが、おしっこはトイレでできるのに、うんちができないこと。うんちがついたパンツを洗うのが、本当に嫌でした。どうすればうんちをトイレでしてくれるのかと悩んだ日々や、やってよかったことなど、うんちのトイレトレーニング体験談をお伝えします。 カーテンに隠れてうんちをする息子のトイレトレーニングで悩んだ“うんち”。おしっこの成功率が高くなる一方で、うんちは失敗続きでした。 うんちをしたいときにカーテンの裏へ隠れることが多かったので、見つけたら素早くトイレに連れて行こうとしました。ところが、嫌がってパンツにうんちをしたがります。無理にトイレへ連れて行くと、緊張感からうんちが出なくなることも……。どうすればトイレでうんちができるようになるのか……と悩みました。 トイレで流れていくうんちを見せる 息子はトイレでうんちをしたあとにどうなるのか、実際に見たことがありませんでした。そこで、トイレでうんちをするイメージを少しでも持ってほしいと考え、失敗したうんちをトイレに流すところを見せることにしました。 「うんちはここに入っていくんだよ」と声をかけ、息子に便器洗浄ボタンを押させるとうんちが消えたことに大興奮! それ以降、トイレに誘うと嫌がらず行くようになりました。とても効果のあった方法でした。 失敗したパンツを洗う光景を見せるママ友から「失敗したパンツを洗っているところを子どもに見せたら、うんちをもらさなくなった」という話を聞きました。物は試しに私もやってみることに。 汚れたパンツを洗っている光景を息子に見せてみたところ、うんちの臭いが気になったのか逃げていきました。「パンツにうんちをすると、こうやって洗わないといけないんだよ」と息子に言うと、私のことを気づかうかのようにトイレへ行ってくれるようになりました。 当初、息子の気持ちを考えることなく、叱ってばかりいたことを今では後悔しています。うんちはおしっこと違っていきまないと出ません。だからこそ、息子は落ち着く場所でしたいという気持ちが強かったのだと感じました。 イラスト/imasaku監修/助産師REIKO著者:田中由惟一男一女の母。二人目の出産を機に食品会社を退職。現在は子育てのかたわら、記事執筆をおこなう。趣味はスポーツとピアノ、美味しいものを食べること。
2019年11月14日私は幼少期から引っ込み思案で、自信のない子どもでした。思春期は特にそれが顕著で、将来の夢や目標らしきものができても「どうせ自分には無理だ」「そんなものになれるわけがない」と、始める前からあきらめていました。ずっとそういう性格なのだと思っていましたが、結婚して子どもが生まれ、母親や祖母のわが子に対する言動を見て、「もしかしたら環境のせいもあるのかも」と考えるようになりました。 「できるわけない」という言葉私は子どものころお絵描きが好きだったので、小学校低学年くらいのときに「絵描きになりたい」と家族に言ったことがありました。絵を描くことが好きだからずっとそれをしていられる大人になりたい、という子どもらしい夢だったと思います。 しかし、母は「なれるわけがないでしょう」とひと言。たぶん、子どもながらにそんなふうに言われるとは思わなかったのでしょう。少しびっくりした気持ちになったことを覚えています。 めげずにその後も言い続けていましたが、そのたびに母や祖母に「できるわけがない」と言われ、そのうちに成長して絵を描くこと自体も面倒になっていきました。 「○○ができるの?」という言葉中学生になって進路について考える時期になり、「大人になったら~がしたい」「将来~になりたい」というようなことを私が言うと、両親は必ず「そうなるためには○○(具体的な行動の説明)という大変な思いをしなければならないけれど、それがあなたにできるの?」と返しました。 そう言われると、自信のない私はそんな大変なことが自分にできるわけがないと思ってしまい、「じゃあ、やめる」と言わざるを得ませんでした。両親は「それでもなりたい。頑張る」という言葉を期待していたのかもしれませんが、その言葉を言えるほど私の自己肯定感は強くありませんでした。 ずっと続いている悪習ずっと、自分は目標を持って何かを成し遂げることができない、意気地や根性のない性格なのだと思ってきました。しかし、実家に帰省した際、「もしかしたら環境のせいもあったのかも」と考えるできごとが。 当時4歳のわが子はやはりお絵描きが好きで、「大人になったら絵描きさんになる」と言っていました。実家に戻った際にわが子がそう言うと、90歳になる祖母がニコニコしながら「そんなの無理に決まっているでしょう」と言ったのです。私は、その祖母の笑顔と台詞のギャップに、呆然としてしまいました。 そして、納得もしました。母もこうして実母に育てられていたのだと。気づかないうちに同じように子どもである私にも言葉をかけていたのだと。 「私はわが子にこんな言葉は絶対にかけない」と、そのとき強く思いました。 わが子にはなるべく挫折してほしくない、つらい思いをしてほしくない、と思います。母も祖母もそういった気持ちがあって、「できるわけない」という言葉になってしまったのかもしれません。しかし、そのネガティブな言葉が刷り込まれて、自己評価を下げてしまうのも事実。ネガティブな言葉がけは私の代で封印して、わが子には「目標に向けて努力することができる」という自信をつけさせるような言葉がけをしていきたいと思っています。著者:松本寛子3児の母。結婚を機に地方へ引っ越し出産。自身の体験をもとに、妊娠・出産・子育てに関する体験談を中心に執筆している。
2019年11月11日「自分で考え、自分で行動できる」これからの時代を生き抜くために、我が子には自主性を持ってほしいですよね。でも、親はついつい先回りして、「もう○○した?」「どうしてやらないの?」と子どもに声がけしがちです。でも、これは親がやりがちなNG行動。子どもは受け身で消極的な「指示待ち」タイプになってしまうかもしれません。自主的に考え、行動できる子どもに育てるには、どうすればいいのでしょうか?■週1回の家族会議、話し合うことは「たった4つ」自分で考え、自分で行動できる。子どもはもちろん、大人でもなかなか難しいことですよね。そういった自主行動が自然とできるようになるために、ぜひ取り入れてほしいのが、週に1回の「家族会議」です。仕事で行う進捗(しんちょく)会議のように、例えば毎週日曜の夕食の後などに家族会議をすると決めて、それを習慣とするのはいかがでしょうか。その家族会議で子どもと話し合うのは、以下の4つ。・何がやりたいか、何ができるようになりたいか。・そのためにはどうすればいいか。・目標達成のためのスケジュール管理(1週間、1カ月、1学期単位で)。・(2週目以降)目標のために、この1週間でやったことの確認。まず、初回は子どもに「何がやりたいか、何ができるようになりたいか」を聞いて、目標を決めます。それは、勉強に限らずスポーツや習い事など何でもいいのです。例えば、「逆上がりができるようになりたい」と子どもが言ったら、そのためにどうすればいいかを一緒に考えます。何から始めればいいかわからないなら、一緒に調べてもいいでしょう。次に、目標達成のための期限を決め、そこに向かってこの1カ月、この1週間は何をしようかを、子ども自身に考え発表してもらいます。その子どもが決めた目標や、この1週間でやることは、ホワイトボードなどに箇条書きし、家族の目が届くところに貼っておくといいでしょう。そうすると、子どもも常に目標ややるべきことを意識できます。そして、1週間後の家族会議で、どういうふうに取り組んだか、目標は達成できたかを子どもに発表してもらいます。それをふまえて、次の1週間の取り組みをまた話し合い、目標ややり方の確認を進めていくのです。これを繰り返していくことで、自分で考える、行動することが習慣化されていくでしょう。この家族会議は、幼稚園・保育園の年少から小学校4年生くらいまでの子どもに有効な方法だと思います。自主性を習慣化させるのは、中学、高校と大きくなってからでは難しい部分があります。小さいうちから始めるのが定着しやすいでしょう。■積極的な子と消極的な子、それぞれの自主性の伸ばし方子どもの性格によって、自主性の伸ばし方、親の関わり方は変えたほうがいいでしょう。何でも「やりたい、やりたい」と積極的に自分から言うタイプなら、計画性や実行力は横に置いておいて、まずはやりたいことをやらせてみましょう。例えば、「今学期は逆上がりができるようになりたい」と決めたら、今週は蹴上がりを練習するとします。でも1週間後、何もできなかった、やらなかった…。でも、それはそれでOKなのです。子どもは、どうしてできなかったんだろうと考えますよね。ほかの用事で忙しかった、雨が続いて練習できなかった…そういうふうに自分で考えるきっかけになればいいのです。仕事ではないので、できた・できないで責める必要はありません。もし、できたことがあれば、どんな些細(ささい)なことでも褒め、できなかったことはどう工夫したらできるかを考えさせましょう。そこで、親は子どもが聞いてくるまで、口出しをしたりアドバイスをしてはいけません。家族会議を開く一番の目的は、子ども自身が目標を決め、そのために何をしたらいいかを考えて行動に移す練習をすることです。もちろん、目標を達成できるにこしたことはありませんが、できないならできないでOK。子ども自身が、「何ができなかったか」「どうしてできなかったか」がわかればいいのです。自発的に目標が言えるタイプは、習慣づけられれば自然と自分でやるべきことを探すようになるでしょう。最初はスケジュール通りに実行できない、完璧にできないのは当たり前くらいの気持ちで親は臨むとちょうどいいかもしれません。もし、それがどうしてもできないとしたら、「本当にやりたいことなのか」それとも「やり方が違うのか」「上手にできる方法がほかにあるのでは」と考えるきっかけにもなりますよね。逆に、自分から何をしたいかを言い出せない消極的でおとなしい子なら、親がある程度、積極的に関わったほうがいいでしょう。多少は親が子どものやる気や自主性を誘導してもいいと思います。例えば「逆上がりができるようになったら格好良いね」「どんなことが好き?」と声がけをして、子どもの気持ちを聞き出してみましょう。おとなしく消極的な子どもの場合は、親とのコミュニケーションが大事です。親の働きかけが刺激になり、自分にはいろいろな引き出しがあること、可能性があることを子ども自身が気づき、自主性へとつながるでしょう。何に対しても消極的で、自分の意見をあまり主張しない子どもには、目標ややるべきことを決めたあともフォローが必要です。誰かに促されないと自分からは動けないことが多いので、目標を書いたホワイトボードを見ながら「今日は〇〇やれた?」と声がけをするなどして、親は伴走者の役割を務めましょう。■パパの家族会議参加は是か非か?週に1回の家族会議は、子どもの自主性を伸ばす時間であると同時に、親子の濃密なコミュニケーションの時間でもあります。家族会議という形なら、お父さんも参加しやすいのではないでしょうか。ふだんは仕事が忙しくて子どもとなかなか話す機会のないパパでも、週に1回10~15分程度の家族会議で、子どもの日頃の様子がわかりコミュニケーションも取れます。子どもが複数いたら、上の子はママ、下の子はパパというふうに担当分けをするのもいいですね。ただし、男性は女性より、必ず目標は達成しなければいけないと感じる傾向にあるようです。そのため、パパは目標が達成できなかった子どもを、ついつい責めてしまったり、口を出してしまう場合も。そうなると、楽しくやる気を伸ばすためだった家族会議が、子どもにとって居心地の悪いつらい時間に変わってしまうかもしれません。それを予防するためにも、パパにはあらかじめママから「なるべく子どもに考えさせ、聞かれたことだけ答えること」「目標が達成できなくても責めないこと」「少しでもできたことがあったら褒めること」などをお願いしておきましょう。パパの性格によっては、家族会議に参加してもらわないほうがいいタイプもいます。それが、次の2タイプ。・もともと子どもに関心がないタイプ。・積極的に参加しすぎて、なんでも口出ししてしまうタイプ。前者の場合、参加に乗り気ではないパパの気持ちは自然と伝わるものですから、子どものやる気をそいでしまうかもしれません。後者の場合は、良かれと思って子どもにいろいろアドバイスしてしまうのでしょうが、口を出しすぎて自主性の芽をつんでしまいます。この場合は、ママがパパの言動や行動をある程度、コントロールする必要があるでしょう。■言いにくいことが言える「パパ育て」にもなる家族会議子どものやる気、自主性を伸ばすための家族会議ですが、その場を借りて、日ごろからパパに頼みたいけど頼めなかったことをお願いする場にしてもいいかもしれません。例えば、子どもが目標を発表したら、「パパも何か目標を立てようよ」と持ちかけてみるのです。週に1回お風呂掃除をするとか、ゴミの分別ができるようになるとか、ママが手伝ってほしいと思っていたことを提案してみましょう。パパの性格にもよりますが、子どもが「パパも一緒にやってみようよ」と言えば断れませんよね。子どもの手前、全くやらないわけにもいきませんから、家事の分担をしてくれるようになるかもしれません。子どもと一緒にトライすることで少し遊びの要素が入りますから、妻から一方的に「家事を手伝ってよ」と命令されるより、パパもすんなり始めやすいでしょう。そして、1週間後、1カ月後には、パパも家事のエキスパートになってくれたら…ママは大助かりですね。家族会議は、自分で考え行動する子どもの自主性を育てると同時に、家族の重要なコミュニケーションの場です。顔を突き合わせて話し合うことで、いつもなら我慢してしまうこと、流してしまうことも、言いやすくなるのではないでしょうか。ただし、掲げた目標が達成できなかったからといって責めるのはNG。それに向かってどう考え、どう行動したのかが大事なので、目的を間違えないようにするのが肝心です。 エキサイトお悩み相談室で佐藤先生に相談する
2019年11月10日どうも、うえだしろこです!現在二人の男子(長男 桃太郎 6歳、次男 金太郎 3歳)を絶賛子育て中でございます。ご訪問いただきありがとうございます!■キノコ男子、および、キノコ母さん爆誕さて、我が家の長男 桃太郎(6)。年中の時に公園で実物のキノコを目にしてからというもの、キノコの魅力に取りつかれ、頻繁にキノコ探しに行きたがるようになりました。この時、季節は真夏でありました。暑いのが大嫌いな私は連日自分を奮い立たせて公園通いをしていたのです。しかしここで、私の感情はどのようなものだったかというと…そう、実は息子が初めて公園でキノコを発見したとき…息子だけでなく、母もキノコの魅力に取り憑かれたのであった。■一緒に取り組むキノコ研究公園で見つけたキノコは写真に撮って、家に帰ってから図鑑で一緒に調べるようにしていました。(キノコは採取不可な場所もあり、また猛毒のキノコは間違って口に入ると危険なため、持ち帰りはオススメしません。)※胞子紋は安全なキノコで実験していますキノコ関連書籍もたくさん購入し、暇さえあれば一緒に読んでいました。(自分が読みたいのもあって、キノコの写真集のようなものまで買っていました。笑)そして得た知識を、再びキノコ探しに生かしていたのですが、はたから見たら異質な、完全にマニアックなオタク親子だったと思います。しかし、こうして一緒にハマることで、息子もキノコについて熱く語る相手ができ、より深くその興味を深めていっていた印象です。■そしてその熱い思いは「東京→青森の世界自然遺産」へと向かわせるやはり近所の公園や神社では生えるキノコにも限界があります。山へ足を運んでも、所詮は東京の山。「もっと心踊るレアなキノコを見にいきたい…!」とキノコ熱が高まった結果、私たちが向かった先、それは…世界自然遺産「白神山地」東京から6時間かかります。次男はさすがに6時間の列車旅も山歩きも無理なので、長男とふたり旅です。そして遠路はるばるやってきました白神山地。そこには…!東京ではなかなかお目にかかれないたくさんの胸熱なキノコと出会うことができ、キノコの奥深さを感じるとともに、その魅力にさらに虜になる私たちなのでした。キノコ探しに白神山地まで行ってしまう、そんな私たちを見たママ友のコメントは、「ももちゃんの興味にそんなに付き合ってあげて、偉いねぇ!」…いいえ、違います。こんなことができたのは、そう、「私もキノコが好きだから」です!
2019年10月31日落ち込んでも立ち直る力があれば、生きていくのは楽になるはず! そんな心のありようをレジリエンスといいます。前回までの記事で「レジリエンスを育てるためには、『できたこと』に焦点をあてて褒めることが大切」ということを学びました。けれども、そもそも褒めることが苦手な場合はどうしたらいいですか? 引き続き東京学芸大学教授の藤野博先生にお話しを伺ってきました。 「『どうせムリ…』あきらめがちな子どもが陥っている悪循環とは」 「つまずきやすい子のやる気の引き出し方」 の続きです。■「褒める」が苦手なママ。それでも必要なワケ褒めるのが苦手問題、ママの「ある・ある」ですね。「子どもを褒めるのが苦手というお母さんは多いものです。『できたこと』や『子どもの長所』をいちいち言葉にするのは野暮ったく感じるかもしれませんが、あえて話すようにしてください。一つひとつの言葉が子どもの自己認識を変え、その子の力となっていきます」(藤野先生)ものすごくザックリいえば、レジリエンスとは、「自分を適正に励ませる力」なのではないか? と、筆者は感じました。「適正に」というのも、ポイントです。この「適正に」を考えるときのキーワードは、「仮想的有能感」です。■間違った褒め方では、間違った自信がつく仮想的有能感とは、いわば自信のバブル化現象のこと。自尊感情とは対極にある感情で、他者を批判的に批評したり軽視したりすることで生まれる偽物の有能感です。「子どもを褒めるのは基本的には良いことですが、他の子と比較して褒めることは避けましょう。そのような褒め方では、本来の自信ではなく、仮想的有能感が育ってしまいます」(藤野先生) 子どもを褒めるときは、その子自身をしっかり見て、「できたこと」に焦点をあてる。誰かと比較しない。子どもの何を、どのように褒めるか? これは、時間をかけてじっくり考えてみたい大切な事柄だと筆者は感じました。「レジリエンスを育てるためのステップ」で、「1、人を頼って成功する」「2、家庭内で役割をもつ」までの説明が終了しましたので、レジリエンスを育てる最後のステップ、「気持ちを切り替える」について考えてみます。【気持ちを切り替える】「人に相談してうまくいく」「役割を果たす」という経験をするなかでも、うまくいかないこともある。そんなとき、「気持ちを切り替える」というふうに考えてみる<レジリエンスを育てる3つのステップ> ■「イライラしてる」をキャッチできただけでOK! 「『どうせムリ…』あきらめがちな子どもが陥っている悪循環とは」 で、レジリエンスの構成要素に感情調整があると書きました。 「感情は、やっぱりきちんとコントロールをしないといけないんだ」と思うと、何だかハードルが高いです…。できなかったら、「やっぱり、だから私はダメなんだと」という気持ちにもなりがちです。どうしたら良いのでしょうか?「落ち込んだとき、イライラしたとき、まずはイライラした気持ちに気がついただけで充分です」(藤野先生) 「感情調整をしなきゃ!」ではなく、「イライラした気持ちに気がついただけでOK」と思うと、気が楽です。「あ! イライラしているな」ということをキャッチできたら、ひとまず手をとめる、その場を離れるる…。そんなあたりから始めてみるのが良いのではないでしょうか。 ■「ママがちゃんとしなければ」という肩の力を抜くことまた、気晴らしに、気の合う誰かと他愛のないおしゃべりをすることも、とても有効だそうです。「最近のレジリエンスの研究では、個人の資質やスキルも大切ですが、『サポート・ネットワーク』があることも重要だとされています。つまり人に頼れて安心できるネットワークのなかで、人の心は癒えていくのです」(藤野先生)気の合う人との他愛のないおしゃべりは、とても大切なこと! レジリエンスを育てるためには、「私がちゃんとしないと!」と肩に力をいれるのではなく、むしろ、その逆なんです。■レジリエンスを育てるにはママの余裕が大切なワケ「じつは、子どものレジリエンスを育てるためには、ママの気持ちの余裕がとても大切なんです。なぜなら大前提として家庭が『心のエネルギーを補給できる場』でないと、子どものレジリエンスは育ちませんからね。急がば回れではありませんが、何より大切なのが、親が楽に生きることなんです」(藤野先生)そして親が楽になる五か条「らりるれろ」を教えてくださいました。●親が楽になる五か条。「ら」楽に生きようあれこれ気にしすぎず、親がまず楽になる。親が悩んで、子どもに口うるさくしない「り」 理解しよう子どもを理解すること。理解すればするほど、その子にとって必要な支援は見えてきます「る」 ルールはほどほどに守りやすい、ほどほどのルールを設定すること。ルールにがんじがらめにならない「れ」 連携は、こちらからの歩みより人と連携することも大切です。何事も自分から歩みより、丁寧に相談しましょう「ろ」 ロンリネスはよくない孤独に陥らないこと。人間は承認され、仲間に支えられることが大切です出典: 『発達障害の子の立ち直り力「レジリエンス」を育てる本』 より抜粋。上記の親が楽になる五か条は、主に日戸先生かが伺った話をまとめたものである。いかがでしたか? 「ママが楽な方が、結果オーライなんですよ」という話を伺い、筆者は何だか少し肩の力が抜けました。藤野先生は、「近年のレジリエンス研究で重視されているサポートネットワークの観点からみると、とりわけ『れ』と『ろ』が大切だと思っています。ひとりで抱え込まず、気楽に頼れる誰かが身近にいることが子育てには大切なんですね」と言います。本連載が、みなさんの「気楽な子育て」の一助になるとうれしいです。●「レジリエンス」を育てるポイント1)一つひとつの言葉が、その子の自己認識になる2)子どもを褒める時は、その子自身をしっかり見て、誰かと比較しない3)何より大切なのが、親が楽に生きること■今回、お話を伺った藤野博先生の著書 『発達障害の子の立ち直り力「レジリエンス」を育てる本』 (藤野 博, 日戸 由刈 (監修)/講談社 本体1,300円(税抜き))「レジリエンス」とは心の回復力であり、立ち直り力のこと。自分の思い通りにいかず、落ちこんだときに、気持ちを切り替え、またがんばろうと思える力をいいます。書籍では道具の管理や家事の手伝いといった、子どもにとって身近なことを例として挙げながら、レジリエンスの育て方やポイントをイラスト図解で徹底解説します。藤野博先生東京学芸大学教職大学院教授 博士(教育学) 子どものレジリエンスを育てる研究をしている。専門はコミュニケーション障害学、臨床発達心理学。とくに発達障害の子のコミュニケーションやソーシャルスキルにくわしい。言語聴覚士、臨床発達心理士スーパーバイザー。特別支援教育士スーパーバイザー。
2019年10月15日子育てにはいろいろな方法があり、時代や家庭によって良いとされることやそうでないことがありますよね。今回は、私が第1子を妊娠・出産し、子育てをするなかで習慣にしておいてよかったことを紹介します。 子育てについて夫と情報を共有する初めて出産をしたとき、私も夫も子育て初心者でした。私の場合は妊娠中に妊娠や出産、子育てに関する情報を本やインターネットで調べたり、先輩ママから話を聞いたりしていましたが、夫はあまり自分から情報を収集しないタイプ。そのため、妊娠中から妊娠や出産、子育てに必要になりそうな情報についてはSNSで記事を送ったり、伝えたりして情報を共有していました。娘が生まれてからは、娘の様子や娘に対する自分の対応をなるべく頻繁に伝えることで、一緒にいる時間は少ないけれど子育てについてお互いの意見を言い合えるようになりました。 実家の母とも子育てについて話し合う私のなかでかなり苦戦したのが、実家の母との子育てに対する考え方のすり合わせです。母には母の考え方があるけれど、私が娘を産んだときとは時代が異なります。湯冷ましをあげる・あげないから始まり、娘に対するしつけの仕方など、時にはかなりキツイ言い争いになることもありました。けれど、何かあったときに頼りにする人であったし、何度も私自身の子育てに対する考え方を伝えていくうちに 「あなたの考え方があるんでしょう」 と見守ってくれるようになりました。 友だちと子育てに対する考え方を伝え合う子どもを育てていくうちに知り合った友だちとも、子育てに対する考え方を伝え合うようにしています。そうすることで、一緒に子どもを遊ばせたときにそれぞれの家庭で大切にすることを尊重することができるからです。また 「娘は慣れない友だちには少し攻撃的である」 といったことや 、「子ども同士の喧嘩はできる限り見守りたいと考えている」といったことを伝えることで、子ども同士が喧嘩になってもトラブルになることなく親同士で見守ることができています。 子育てに対する考え方や方法がいろいろあるなかで、自分なりの考えについて周りの人に伝えることを習慣にしたところ、周りの人たちの協力を得やすくなって子育てがしやすくなりました。娘は今4歳。これからも周りの人たちと意思疎通を図りながら楽しく子育てをしていきたいです。 著者:ライター 吉川麻和一児の母。娘の出産を機に仕事を退職し、現在は子どもの成長に合わせた働き方を模索中。不妊治療の経験や子育て経験に基づき執筆中。
2019年10月15日「毎日、子どもを叱ってばかり」「こんなに叱ってばかりで、子どもをダメにしちゃう」内心、そんな心配をしているママは多いはず。コツを知って、「叱るエネルギー」を「子どものレジリエンスを育てる機会」にしてみませんか?レジリエンスとは、英語で「回復力」や「弾力性」を意味する言葉です。専門に研究されている東京学芸大学教授の藤野博先生にお話しを伺ってきました。前回の記事 「『どうせムリ…』あきらめがちな子どもが陥っている悪循環とは」 では、レジリエンスを育てるための第一歩は、生活習慣を整えることだと学びました。今回は、その先のステップ「人を頼って成功する体験」「家庭内で役割を持つ」について考えてみましょう。<レジリエンスを育てる3つのステップ>【家庭内での役割を持つとは】その子の長所や興味がいきるような役割を設定し、子どもに選んでもらう。本人の選択を尊重し、その役割を果たせるように手助けをするそもそも、ママ自身、人に頼ることが苦手な人も多いかもしれません。そこで、家庭のなかで「人を頼って成功する体験」を、どんなふうに作り出すかを具体的に考えてみます。■レジリエンスを育てるコツ1「やらなければいけない」に焦点をおかない人には、その人なりのペースがあります。ですから子どもも、その子なりのペースで育っているんです。ここで大切なことは、「やらなければいけないこと」に焦点を合わすのではなく、「この子が、いま、できることは何か?」という子どもありきの目標を設定することです。たとえば、頭ごなしに「明日の時間割をそろえなさい! 毎日、言わないとできないんだから」ではなく、まずは、その子にとって「言われなくても、時間割りをそろえること」の難易度がどれくらいなのかを、次のようにピラミッドを使って考えてみます。 仮に、「時間割りをそろえること」が、ピラミッドの「2、もう少しでできること・大人のサポートを受けたらできること」だとします。ここで、「時間割をそろえるとき、ママが声かけをするようにしようか?」と、提案します。もしくは、「ママに時間割をそろえるように、声かけしてねと頼めると素敵だね」と、伝えてみます。つまり、子ども目線にたってToDoをスモールステップに分けてみるのです。■レジリエンスを育てるコツ2親に頼ってできたことも認める子どもから「声がけをして欲しい」という依頼があって、親が声掛けをして、時間割をそろえられたのなら、「すごいね! できたね」と、伝えます。これでひとつ、「人に頼って成功する」という体験を作ってあげられましたね。重要なのは、スモールステップを設定して、成功体験を積み重ねることです。ほぼできていることを目標にして練習していくと、その活動がたしかな生活習慣として定着します。「そんなこと?」と思われるほど、小さな歩みです。けれども、子どもにとってはこれくらいのペースで、着実に成功していくことの方が自信になるのです。■レジリエンスを育てるコツ3子どもの苦手克服より「好き」を伸ばす次に、「家庭内で役割を持つ」について考えてみましょう。「子どもに家庭内での役割を与えてあげると、子どもは役割を果たして達成感を得られ、レジリエンスも高くなっていきます」(藤野先生)「少しくらいお手伝いしなさい!」とイライラする気持ちをいったん横においておいて、「どの家事だったら、この子が楽しくできるかな?」という視点を持ってみます。「子どもの苦手なことを支援し失敗を減らすのも大切ですが、その子の得意なことを理解し、伸ばしていくことも重要です」(藤野先生) その子の好きな家事を見つけてあげられると良いですね!●小学校低学年までの役割の例□新聞を新聞受けからとってくる□朝、起きたらカーテンを開ける□食事の前に、テーブルを拭く□食事が終わったら食器を台所へ運ぶ□衣服を脱いだら洗濯かごに入れる出典: 『発達障害の子の立ち直り力「レジリエンス」を育てる本』 より抜粋■レジリエンスを育てるコツ4、「できない」より「できた」を見るお手伝いメニュー(選択肢)が決まったら、どれにするかは子どもに選ばせます。「自分で選んで決めたことで、決断をした責任を持つという経験が自己形成に繋がっていきます」(藤野先生)子どもが家事ができたら、うれしい気持ちを伝えます。役割を果たせなかった場合も、「新聞をとってくるのは忘れちゃったけれど、カーテンは開けられたね」と、できた部分はきちんと褒めます。「『できたこと』に焦点をあてて声かけをすると、子どもは『自分のことをちゃんと見ていてくれているんだな、気にかけてくれているんだな』と感じます。メッセージは言葉にして、ちゃんと伝えてあげましょう」(藤野先生)●叱るではなく、褒めるメッセージの見つけ方たとえば、作業が多少粗くても、それは言葉にせず、よくできたところを褒めます。『洗濯物をとりこむのが早くて助かるわ』。また、いつもは5分しか集中できない子が、10分集中して宿題をできたなら、『いつもより5分多く集中できたね』と、そこを褒めます。「早く宿題を全部しちゃいなさい!」ではなく、です。●ママにできるレジリエンスを育てるポイント1)目標設定はスモールステップに。小さな成功体験を積み重ねることが大切2)お手伝いは選択肢を示し、子供に選ばせる3)「できたこと」という実績に焦点をあてて褒める次回は、「そもそも褒めることが苦手な場合はどうしたらいいですか?」。そんなママたちのあるある疑問を考えます。■今回、お話を伺った藤野博先生の著書 『発達障害の子の立ち直り力「レジリエンス」を育てる本』 (藤野 博, 日戸 由刈 (監修)/講談社 本体1,300円(税抜き))「レジリエンス」とは心の回復力であり、立ち直り力のこと。自分の思い通りにいかず、落ちこんだときに、気持ちを切り替え、またがんばろうと思える力をいいます。書籍では道具の管理や家事の手伝いといった、子どもにとって身近なことを例として挙げながら、レジリエンスの育て方やポイントをイラスト図解で徹底解説します。藤野博先生東京学芸大学教職大学院教授 博士(教育学) 子どものレジリエンスを育てる研究をしている。専門はコミュニケーション障害学、臨床発達心理学。とくに発達障害の子のコミュニケーションやソーシャルスキルにくわしい。言語聴覚士、臨床発達心理士スーパーバイザー。特別支援教育士スーパーバイザー。
2019年10月14日「一度落ち込むと、なかなか立ち直れない」「失敗することを、極度に怖がる」…。そんな子には、「レジリエンスの力」をつけてあげると、大きな支えとなるかもしれません。レジリエンスとは、英語で「回復力」や「弾力性」を意味する言葉です。専門に研究されている東京学芸大学教授の藤野博先生にお話しを伺ってきました。藤野博(ふじの ひろし)先生東京学芸大学教職大学院教授 博士(教育学) 子どものレジリエンスを育てる研究をしている。専門はコミュニケーション障害学、臨床発達心理学。とくに発達障害の子のコミュニケーションやソーシャルスキルにくわしい。言語聴覚士、臨床発達心理士スーパーバイザー。特別支援教育士スーパーバイザー。■心が「強い」のではなく「しなやか」レジリエンスという言葉は、聞いたことがありますか?レジリエンスのイメージを一言で言い表すと、「風にそよぐ柳の木」。鉄塔のような、けっして折れない強い心ではなく、ときには折れたり曲がったりするけれど、また立ち直る心。レジリエンスとは、そんな心のありようのことをいいます。ポイントは、心が折れてしまうことを否定していないこと。社会で生きていけば、困難なことは必ずあります。傷つき落ち込む出来事だって、あるでしょう。だったら傷つくことを避けるより、落ち込んでも立ち直る力がある方が現実的に考えて楽なんです。 ■「折れない心」を持っている人は、どんな人?「レジリエンスの研究は、『レジリエンスがある人とは、どんな人なのか?』を探る形で進められてきました。その結果、次の3つの要素があることあきらかになってきました。これらを日常の生活の中で、少し意識してみると良いかもしれませんね」(藤野先生)。●新奇性追求●感情調整●肯定的な未来志向<レジリエンスの3大要素>■レジリエンスと自尊心、どう違う?レジリエンスは、自尊心と似ている気もしますが、何が違うのでしょうか?「自尊心は成功したり、ほめられたりすることで育っていくものです。一方で、レジリエンスは成功したときにも育ちますが、失敗して人に助けられたときにも育ちます。自尊心は『自分を信じる力』、レジリエンスは『自分とまわりの人を信じる力』ともいえます」(藤野先生)レジリエンスとは、自尊心を裏打ちするような、そんな心のありようでもあるんですね。さらに、「レジリエンスの特徴として体質や性格といった『持って生まれたもの』ばかりではないこともあげられます。日々の生活のなかで、少しずつ育っていくものなのです」(藤野先生)。■「余白の時間」が減ることで起こる悪循環では、そんなレジリエンスを育てるためには、どうしたら良いのでしょうか? 「子どものレジリエンスを育てるためのポイントは、『安定した生活を保障すること』です。基本の土台作りとして、子どもが、栄養と睡眠を十分にとれるようにしてあげることが大切です」(藤野先生)「そんな簡単なことでいいんですか?」と、筆者はビックリしてしまいました。「いま、睡眠が十分とれていない子は、多いんですよ」と藤野先生からは、こんなお話しを伺いました。「最近感じるのは、子どもの『余白の時間』が減っていることです。勉強やスポーツ、習い事をすることも大切です。ただ、人間には、ボーっとする、自分の好きなことだけをするといった時間も必要です。ToDoを詰め込みすぎるあまり、そうした時間がとれなくなってしまうと余白の時間がズレこみ、結果的に睡眠時間が減ってしまうという悪循環になってしまうんですよ」■子どもの「ToDoリストの整理」が必要なワケ「あ、そうかもしれないな」と、感じる方も多いのでは? だからこそ、いま、ママが意識したいのは、「子どものToDoの取捨選択」なのかもしれませんね。アレもコレもはできないから、その子にとって、いま、何が大切か? 優先順位を決めて、親が「ToDoの間引き」をしてあげる。そんな視点です。生活習慣を基軸に子どもの生活を見直すことで、ママの時間や心にも余裕が出るかもしれません。「生活習慣には、枠組みが必要なんです。子どもの心を卵にたとえてみると、生活の枠組みが、卵のカラにあたります。起床・睡眠リズム、毎日の食習慣といった生活習慣の枠組みのなかで、心が育ちます。それは、まるで卵が過熱されて徐々にかたくなっていくようなイメージです(藤野先生)」■レジリエンスを育てる3つのステップ生活習慣という土台が整ったら、いよいよレジリエンスを育てるための子どもへの関わりを考えてみます。レジリエンスは、一朝一夕に手に入りません。少しずつ育てていくものなので、ステップを3つに分けてみました。このステップは同時進行する場合もあります●「立ち直る力」レジリエンスを育てるポイント1)レジリエンスとは、心のしなやかさ。「心の強さ」より、現実的に役立つ力である2)「感情調整」「新奇的追求」「肯定的な未来志向」が、レジリエンスの3要素3)レジリエンスを育てる土台は、生活習慣を整えること次回は、レジリエンスを育てるための各ステップを具体的に教えていただきます。■今回、お話を伺った藤野博先生の著書 『発達障害の子の立ち直り力「レジリエンス」を育てる本』 (藤野 博, 日戸 由刈 (監修)/講談社 本体1,300円(税抜き))「レジリエンス」とは心の回復力であり、立ち直り力のこと。自分の思い通りにいかず、落ちこんだときに、気持ちを切り替え、またがんばろうと思える力をいいます。書籍では道具の管理や家事の手伝いといった、子どもにとって身近なことを例として挙げながら、レジリエンスの育て方やポイントをイラスト図解で徹底解説します。
2019年10月13日「友だちとケンカしちゃった」「宿題やってないよ…」「かけっこでうまく走られるかな…緊張する」子どもの頃を思い返すと、毎日がピンチの連続ではありませんでしたか? 大人になって振り返ると大したことではないと感じるのに、当時は冷や汗タラタラで、この世の終わりの心境だったことも。きっと我が子も今、そう感じながら毎日を過ごしているのではないでしょうか? 「どうしよう」「もうダメだ…」と我が子が落ち込んでいた時に、ぴったりの一冊が 『ピンチ!! それはチャンスだ!』 (高橋書店)。「こころのふしぎ なぜ?どうして?」(高橋書店)、「失敗図鑑 すごい人ほどダメだった!」(文響社)など、子ども目線のベストセラーを次々と出している文筆家、大野正人さんの新刊です。文筆家 大野正人(おおの・まさと)さん プロフィール1972年、東京都生まれ。累計270部を突破した「楽しく学べる」シリーズ(高橋書店)で、執筆、イラスト原案を担当。 同シリーズで一番の売上を誇り55万部を超えた『こころのふしぎ なぜ?どうして?』(57万部)など、心を形にする著作を数多くもち、携わった書籍の累計は400万部以上になる。おもな著作に、絵本『夢はどうしてかなわないの?』『お金があればしあわせなの?』(汐文社)、『一日がしあわせになる朝ごはん』『失敗図鑑 すごい人ほどダメだった! 』(文響社)などがある。■運動会前の緊張マックスだった息子が手に取った1冊まだ残暑厳しい、ある土曜日の朝。この日が運動会本番という我が家の小5男子は、イベント時だけ超早起きになる「小学生男子のあるある」を発揮し、早々に準備万端整えて、お弁当の完成を待っていました。いつもならゲームをやったりテレビを見たりして待つ息子が、この日は静かに本を読んでいたのです。それが、大野さんの『ピンチ‼︎ それはチャンスだ!』でした。漫画やイラストが多用されて子どもも読みやすいこの本を、それまでにも息子はちらちらと見ていました。この朝、彼がじっくり読んでいたのは、「ピンチ17 きんちょうでガチガチ!」の章。ピアノの発表会でこれからステージに立つ女の子が、緊張でガチガチに。「どうしよう、どうしよう、誰か助けて!」という女の子が登場し、そういったピンチをチャンスに変える方法がわかりやすく紹介されているページでした。人前に立つのが大の苦手な息子はきっと、運動会で「徒競走、転ばないかな」「ダンス、うまく踊れるかな」と不安や緊張の気持ちがふくらんでいたのでしょう。いてもたってもいられず、平静を装いつつ無意識にこの本を手に取ったのかもしれません。■親が気づかない「子どものピンチ」この『ピンチ‼︎ それはチャンスだ!』は、親が読んで子どもに伝える子育てアドバイス本ではなく、読者対象はあくまでも子ども。すべての漢字に読み仮名がふられ、出てくるピンチは、毎日、園や学校で繰り広げられている「子どものあるある」シチュエーションばかりです。例えば、「友だちとケンカしちゃった」や「おしっこ…もれそう!」、「へえこいてもうた!」、「キライな人がとなりの席!」などなど…。うちの息子がよく遭遇しているシチュエーションでいえば、「宿題わすれた!」や「テストの点が最悪」でしょうか…(苦笑)。大人になったら「あんな些細なことに、どうして悩んでいたんだろう」と笑い話になりますが、子どもの頃は「もうこの世の終わりだ…」くらいの気持ちでしたよね。でも、この本で紹介されている子どもがピンチと感じるシチュエーションは、そんな「些細なこと」も拾い上げています。もしかしたら、親になってしまった私たちは見落としているかもしれないことです。親の気づかないところで、我が子はピンチに押しつぶされそうになっているかもしれない。そんな気づきを与えてくれる本でもあります。■親が言えない「一歩踏み込んだピンチをチャンスに変える言葉」そして、この書籍の特筆すべきところは、我が子がピンチの時、親が言いがちだけど何の解決にもならないありきたりな声がけを「それもわかるけど、できないよねー」と一歩踏み込んだ解決策を提案しているところ。例えば、「友だちとケンカしちゃった」の章。親友とケンカしてしまったと我が子が相談してきたら「『ごめんね』とすぐ謝れば良かったのに」と子どもに言ってしまいそうですよね。子どもからしたら、「そんなことはわかってるよ…」と言い訳したい。でも、せっかくママがアドバイスしてくれたから言い返せない…と思っているかもしれません。そして、ピンチをチャンスにできないまま、「もうママには相談できないな…」と子どもはあきらめ、園や学校でのトラブルを家で口にしなくなることも。そんな時、本書では「ケンカをした時は大抵お互い悪いところがあるから、自分だけ謝る気にはなれなかったよね。わかる、わかる」とまずは子どもの気持ちを受け止めています。そして、「謝らないと仲直りってできないもの?」「一晩時間をおいたほうが、冷静になれるよ」「きっと相手もあなたと同じように感じているよ」とアドバイスしています。そうだ、そうだ、自分が子どもの頃もそうだったと思い出しませんか? 勝手にモヤモヤしていたあの頃、こういった考え方を知っていれば、もっと心が軽くなっていただろうな~と思うのです。そして、ハッと気づかされます。いつのまにかしたり顔で「親」ぶってる「大人」ぶってる言葉しか我が子にかけられなかった自分に。でも、中には親が声がけしにくい言葉やシチュエーションもありますし、親から言われたことでプライドが傷つき、あえてその逆をやってしまうタイプの子もいるでしょう。でしたら、この本を子どもの目が届くところにポンと置いておけばいいのです。子どもから何か相談されたら読むようにすすめればいいし、自分で解決したいタイプの子はこっそり読んでくれるかもしれません。うちの小5男子は後者で、この本を手に取り、運動会の緊張を自分なりに解決していたようです。親や大人が介入する前に、なんとか子ども自身でピンチをチャンスに変える方法を模索できる。そんな心強い一冊ではないでしょうか。参考図書: 『ピンチ!! それはチャンスだ!』 (高橋書店)小さなピンチから大きなピンチまで、ピンチを乗り越え、さらには成長できるような解決法を55万部突破の児童書『こころのふしぎ なぜ?どうして?』を手掛けた著者のわかりやすく心に響く文章と、5名の人気イラストレーターによる見ているだけでも楽しいイラストで紹介。人間はピンチで強くなるものであり、大切なのは、ピンチにどう立ち向かうか。もうピンチが怖くなくなること、間違いなしの一冊。
2019年10月10日2歳と5歳のやんちゃな男の子を育てています。まだ2人ともなかなか気持ちの切り替えができず、外遊びやテレビが切り上げられずグズグズになることも多いです。そんなときはタイマーのさまざまな機能を使って対応しています。今回は、わが家のタイマー活用術についてお伝えしていきます。 わが家ではタイマーが大活躍!わが家の2歳と5歳の子どもたちは、公園やプレイルームで遊んでいると、夢中になりすぎてなかなか帰れないことが多いです。そんなときはスマートフォンのタイマー機能を使用します。子どもに「あと10分で帰るからね」と伝えます。時間になって、「鳴ったよ~」と伝えたらすぐに片づけを始めます。どうしてもごねる場合は、「じゃあ5分だけね」と言ってまたタイマーをセットします。延長は1度だけですが、2度目をねだることはほとんどありません。 テレビはオフタイマー機能を活用子どもたちは、YouTubeをテレビで見るのが大好きです。初めは1日1時間と決めていたのですが、気が付くといつの間にかダラダラと見せてしまっていました。そこで、テレビを見るときにはオフタイマー機能を使うようにしたのです。タイマー機能を使うと、設定した30分や1時間が経過すると自動でテレビが消えるので便利です。最初は「まだ見たい!」と泣いていた2歳の次男も、今では「テレビさん、ねんね」と言って他の遊びを始めます。5歳の長男は、時間の使い方がじょうずになってきたような気がしています。 就寝時間にはアラーム機能を使用タイマー機能のほかに、寝るときにはアラーム機能も活用しています。就寝時間の20時半にスマートフォンのアラームを毎日セットしていますが、アラームが鳴ると他の遊びをしていても、すぐに布団に駆け込んでくれます。「もう寝る時間だよ」「早く布団に行きなさい」などの声掛けをする必要もないので、私のストレスもかなり軽減されました。アラームが鳴る=寝る時間という習慣になっているので寝かしつけがとてもラクになりました! タイマー機能を使うことは、とってもメリットのある方法でした。テレビを見せている間は子どもたちが静かなのでつい付けたままにしていましたが、タイマーで私自身も気持ちを切り替え、子どもの相手をするようにしています。「あと何分」というのが明確化されるので、外遊び中でもイライラしながら待つことは格段に減りました。本当にタイマーを習慣化してよかったです。 著者:竹内優実5歳と2歳の男児を育児中。時短と節約が大好きなアラフォー母。簿記2級・MOSマスター・初級シスアド取得。パソコンを活かした育児グッズの作成が得意。夫は激務の為、ほぼ一人育児中。
2019年10月01日PTA活動に対して「面倒そう」「役員決めが大変そう」といったイメージを持つ保護者は少なくありません。なかには、「PTAはいらない」と考える人もいるようです。PTAにはどのような役割があるのでしょうか。廃止に伴うデメリットも紹介します。■そもそもPTAとはどんな組織?PTAは子どもの学校生活を豊かにするための大切な組織ではありますが、ライフスタイルの変化から「PTA活動が難しい」「負担がかかる」といった不満の声も多くあがるようになってきました。そもそもPTAとはどのような組織なのでしょうか。PTAの活動は地域によって異なるため、まずは全国的に共通する内容について知っておきましょう。▼PTAとは、保護者と教職員による団体PTAは『Parent-Teacher Association』の略で、『保護者と教職員による教育関連団体』のことをいいます。PTAの主な目的は、教職員と保護者が協力し合って学校運営に携わり、子どもたちの教育環境をサポートすることです。PTAは任意加入で、『参加する・しない』『退会する』といった選択も保護者に任されています。また、PTAはやりたいと思う人が誰でも設立・解散できる団体でもあります。▼多岐にわたる活動内容PTAは基本的にはボランティアで営利目的の活動はしません。地域によって違いがあるものの、活動内容は多岐にわたります。運動会や演奏会など学校行事の手伝い学校周辺の清掃や校庭の草刈り登下校時の見守りや防犯のための地域パトロールベルマークの集計地域のイベントの手伝い学校を運営している教職員では対応しきれない部分を、保護者中心でサポートすることがPTA活動の基本といえるでしょう。■PTAを廃止するメリットとは保護者への負担も少なくないことから、「PTAは必要ない」と考える人が増加傾向にあります。実際に廃止した学校もあり、PTAの存在意義があらためて問われ始めています。廃止した場合、享受できるメリットにはどのようなものがあるか、紹介します。▼PTA廃止のメリット1、PTAが関わる行事への参加不要PTAが関わる行事から解放されるのが大きなメリットといえるでしょう。下の子が小さかったり、自身が働いていたりすると、定例会に出席することは大きな負担となります。なかには出席するために有休を使う保護者も少なくありません。連絡も頻繁にする必要があり、自分の時間が削られていきます。PTAが廃止されればこういった問題は解消されるでしょう。また、学校側にとってもメリットがあります。自治体のPTA連合に加入しなくてよいため、教職員が会合に出席する必要もなくなり負担も減少します。▼PTA廃止のメリット2、保護者間のトラブルが減る保護者間のトラブルが減るメリットもあります。PTA活動を通したトラブルは意外に多く聞かれ、実際に経験したという人もいるでしょう。PTA活動に参加できる程度は、家庭それぞれの事情により異なります。しかし、それを不公平だと感じて不満を募らせるとトラブルに発展しかねません。メンバー内で派閥ができて人間関係に悩むこともあります。保護者間のトラブルを事前に避けられれば対処も不要なため、保護者だけでなく学校側にもメリットがあるといえるでしょう。■PTA廃止でデメリットはあるのか?一見、PTAを廃止しても問題なさそうに思えますが、果たしてそうなのでしょうか。PTAが学校からなくなったときに起こり得るデメリットについて紹介します。▼PTA廃止のデメリット1、保護者と学校の関係が希薄に保護者と学校を結ぶコミュニケーションの場がなくなると、両者のつながりが希薄になる可能性が考えられます。PTA集会がないため、保護者が学校活動に関わったり、学校に足を運んだりといった機会が減るためです。子どもがいつもどのように学校で過ごしているのか気になりますよね。しかし、授業参観のような特別な行事がない限り、普段の学校や子どもたちの様子を知ることができなくなる可能性があります。PTA活動では、先生と話す機会も多くあり、そういった際に先生の考え方、学校での様子など日々の情報を聞くことができます。また保護者同士の連携もできるため、学校生活における悩みの相談ができたり、万が一の災害時の連携を取ることもできます。しかしPTAがなくなると、こうした人とのつながりは希薄になっていくかもしれません。▼PTA廃止のデメリット2、学校・行政へ意見がしづらくなるPTAが廃止されると、学校側に意見しづらいといった場合も起こりえます。PTAは保護者と学校が協力し合って成り立つものなので、その関係性は密になります。信頼関係がしっかりしているほど、保護者も学校側に意見を言いやすい環境になるでしょう。また、保護者代表としてPTAで意見をまとめることで、学校側にきちんとした対応を求められます。しかし、PTAがなくなれば保護者と学校の間に距離ができる上に、一個人として意見する必要が出てきます。また、学校も自治体のPTA連合に加入できないため、学校環境に問題があっても行政側に要望を出せなくなります。■PTAを廃止した学校はどうしているのか?近年ではPTAを廃止する学校が増えてきました。なかには『保護者会』を発足して活動している学校もあるようです。どのような組織なのか見ていきましょう。▼PTAに代わる「保護者会」とは?PTAに代わる親たちの連絡組織として『保護者会』を発足した学校があります。加入メンバーは親だけで教職員は参加していないのが特徴です。学校から独立した自主的な組織で自治体のPTA連合には参加していません。会長・副会長といった役員会があり、実質的にPTAとあまり変わらない場合もありますが、保護者それぞれが高い意識を持っています。▼PTAに代わる「地域本部」という組織とは?ある学校では、学校の教育活動を支援するために『地域本部』という組織を設置しました。PTAに似た部分が多くありますが、根本的に異なるのが『人』です。保護者や教職員ではなく、地域住民や元PTAメンバーを中心とした『学校支援ボランティア』によって成り立っています。保護者の中から強制的に役員を決める必要がないのが魅力でしょう。経験豊富な高齢者をはじめ、能力のある住民が学校教育活動をサポートすることで、地域に開かれた学校になっています。■保護者も教職員も納得できる学校を目指して子どもの学校生活を豊かにするためにこれまで親たちが活動してきたPTAですが、今ではそのあり方を見直すべきだという声も多く聞かれます。またPTA活動を負担に感じる保護者がいる一方、活発なPTA活動が教職員の負担を軽減している側面もあるようです。PTA活動に意義を見出しながらも負担が大きい場合には、活動内容を見直したり、より有意義な活動に変更するなども今後は必要となってくるのかもしれませんね。本来はボランティア精神によるPTAの活動。子どもたちの豊かで実りある学校生活のために、先生と一緒にどう親は関わっていけばいいのか考えていきたいですね。【PTAに関する書籍】書籍名:PTAのトリセツ〜保護者と校長の奮闘記〜価格:¥1,080(税込) 『PTAのトリセツ』(Amazon) 書籍名:PTAをけっこうラクにたのしくする本¥1,728(税込) 『PTAをけっこうラクにたのしくする本』(Amazon) 書籍名:ある日うっかりPTA ¥1,404(税込) 『ある日うっかりPTA』(Amazon)
2019年09月28日ベビーカレンダー編集部がおすすめの「妊娠・出産・育児マンガ」をご紹介♪ 今回は、Instagramでフォロワー16万人を超える「しろやぎ」さん。2児の父であるしろやぎさんが、お子さんを観察し、ほのぼのしたエピソードを絵日記として描いています。 ソファーに落書きしてしまったのは、妹のなっちゃんを喜ばせたかったからなのですね! お兄ちゃんらしいやさしさにキュンとしますね♡ 監修/助産師REIKO
2019年09月26日当時、息子は生後9カ月。おすわりやハイハイ、つかまり立ちなど、できることが増え、行動範囲が広がってきました。成長をうれしく思う反面、子育てに行き詰りそうになることも。なかでも苦痛だったのが食事の時間です。今回は、ジッとしていられなかったわが子の食事に関する体験談を紹介します。 日に日に活発になってくる息子離乳食も後半に入った生後9カ月ごろ、息子の活発度は日に日に増していきました。自分の意思で移動できるようになり、引き出しやリモコンなど興味のある物に一直線。行動範囲が広がり、ますます目が離せなくなりました。 この時期で一番大変に感じた日常シーンは、「食事時間」でした。体を動かすのが大好きな息子はジッとしているのが大の苦手です。案の定、食事中も椅子に座れませんでした。 ジッと椅子に座っていられない大人と同じ目線で食べられるよう、ハイチェアに息子を座らせていました。しかし、ジッと座って食べたことは一度もありません! 椅子の上に立とうとする、ダイニングテーブルを足で蹴るなど、体を動かしていないと気がすまない様子です。 「きちんと座ろうね」と何度言ったことか……。残念ながら私の声が届くことはありませんでした。どうすれば椅子に座って食べてくれるのかが、最大の悩みでした。 ハイチェアからローチェアに変えてみた先輩ママにもらったアドバイスは、「足置きがある椅子を選ぶ」、あるいは「足が床につく椅子を使う」ことでした。そこで床に足がつくタイプの「ローチェア」に座らせてみました。 その結果、なんとある程度ジッとして食べられる時間が増えたのです。足が宙に浮いている状態で食事をしていたことも、食事に集中できない一因だったのかもしれません。 食事中は周りに興味をひくような物を置かない工夫をしました。また、絵本を読むなど、ある程度椅子に座っていられる時間もつくるように。なかなか難しいことでしたが、息子なりに少しずつ座っていられる時間が増えたように思います。著者:田中由惟一男一女の母。二人目の出産を機に食品会社を退職。現在は子育てのかたわら、記事執筆をおこなう。趣味はスポーツとピアノ、美味しいものを食べること。
2019年09月21日「魔の2歳児」という言葉があるように、2歳ごろは多くのママが頭を悩ます時期ですよね。こんなに怒りたくないのに、やさしいママでいたいのに……。実際に経験すると思うようにいかないことが多いもの。今回は、わが子のイヤイヤ期に私が感じた悩みとその対応策について紹介します。 とにかく泣き声がつらい!イヤイヤ期の悩みの1つに、「とにかくわが子の泣き声がつらい」というものがありました。私の場合、泣き声を聞くだけで精神的ストレスを感じてしまいました。こうした悩みを抱えているママも少なくないと思います。 私が経験をして学んだのが、「泣き」と「イヤ」にうろたえないことです。何をしても泣き止まないときは、周りの迷惑にならない場所で思いきり泣かせてあげることも。その間に私も心を落ち着かせることができました。 何が「イヤ」なのかわからない!わが子のイヤイヤのなかでは、理由のわからないものも多くありました。「何がイヤなの?」と問い詰めても泣いて暴れるだけ。こんなとき、対応に困り果ててしまいます。大人の反応を見たいがための「イヤ」、親の指示に対する「イヤ」など、理由はさまざまだったように感じます。 なかには、子ども自身も理由がわからずに泣いていることもあるようでした。理由がわからない「イヤ」もあることを知っておくと、仕方のないことかな、とも思えました。 イヤイヤ真っ最中のしつけは大変!わが家では、イヤイヤ真っ最中の2歳のときにトイレトレーニングを開始しました。ただでさえ大変な時期に生活習慣を教えていくのは、本当に大変です。 夏までにおむつをはずしたいなど、私自身が目標を立てていたのですが、スムーズにいかずイライラしたこともありました。私の焦りが怒りへと変わっていき、子どもにも伝染して、逆効果でした。イヤイヤ期は「あれもこれも」より「これだけは」と思うしつけに絞ってみるのも方法だったと感じています。 そのほか、イヤイヤを予測して退屈させないおもちゃなどを用意しておくなどの工夫をしたことも。子どもによって合う・合わない対応があるかと思います。わが子に合った対応ができると良いですね。著者:田中由惟一男一女の母。二人目の出産を機に食品会社を退職。現在は子育てのかたわら、記事執筆をおこなう。趣味はスポーツとピアノ、美味しいものを食べること。
2019年09月19日トイレトレーニングをスタートさせるのに適した季節がやってきました。実際に始めてみると思うように進まず、イライラしてしまうこともあるかもしれません。私自身もそうで、娘にかけた言葉で後悔していることがあります。 私が後悔している子どもへの言葉わが家がトイトレをスタートさせたのは、わが子が2歳になる年の春。夏にはおむつをはずすことが目標でした。ところが実際は思うようにいきません。 おもらしをしてしまったわが子に「また失敗したの?」「なんでもっと早くトイレって言わないの?」と言葉がけをしていました。当時を振り返ると、こうした言葉は子どものやる気を失わせるだけだったと、いまでは後悔しています。 子どもの自尊心を傷つけてしまったおもらしをしてしまったとき、子どもは失敗してしまったと感じています。そこで追い打ちをかけるように「どうして何度も失敗するの?」など厳しい言葉をかけてしまう。 そうすると「どうせできない……」と自尊心を傷つけてしまうことに気づきました。当時は子どもの気持ちを考える余裕がありませんでしたが、おむつはずしを成功させるためにも、励ます言葉がけを意識すべきだったと感じます。 感情的に怒らず、励ます言葉を意識子どもがトイレに行くのを嫌がるとき「トイレに行かないとおもらしするよ!」より、「ママも行くから一緒に行こう」と言うほうが、子どもにプレッシャーを与えずにすむのではないかと思います。 また、失敗しても感情をぶつけるのではなく、「パンツが濡れると気持ちが悪いね」と言葉をかける。さらにズボンをひとりでおろせたなど、できている部分をたくさん褒めてあげます。こういった子どもを励ます声かけが、子どものやる気を引き出すポイントになると思いました。 わが子のおむつはずしは半年ほどかかりました。子どもは失敗しながら学んでいく……それを失敗のたびに、感情的に怒ってもプラス要素は1つもありませんでした。言葉に気をつけて、子どものペースを気長に見守る大切さを学んだ、おむつはずしでした。著者:田中由惟一男一女の母。二人目の出産を機に食品会社を退職。現在は子育てのかたわら、記事執筆をおこなう。趣味はスポーツとピアノ、美味しいものを食べること。
2019年09月18日慌ただしく、必死な毎日だった上の子の育児がようやく落ち着き、だんだんと「2人目はいつ作ろう?」という思いが頭をよぎりました。現在、私は3歳ちょうどの長女と、生後2カ月の次女がいます。私が2人目を作っても大丈夫! と決断できたのが「長女のトイトレのめどが立った」ことでした。 2人目はいつ? タイミングを見計らう日々私は長女の出産のときから親族に頼れず、里帰りもなしで出産退院直後から新生児と2人きりのワンオペ育児。それはもう毎日必死でしたが、親戚に頼れないからこそ「私ひとりでなんとかするんだ」と、毎日自分を奮い立たせていました。自分で言うのもなんですが、あのころの自分は笑ってしまうくらいにしっかり者でした。 長女が生まれてから、猛スピードで過ぎていく日々でした。そして、長女が1歳を過ぎたあたりから「そろそろ2人目の家族計画を始めようかな。でもどのタイミングで作るべきか?」と悩んでいました。 現役ママから生の声を聞いてヒントを得た育児に悩んだときは、何よりも生の声を聞いて情報収集するのがいいと思い立ちました。支援センターや公園・サークルなどで2人育児をされているママたちからそれとなく「2人育児はどうですか?」とリサーチ。 私の周りでは2~3歳差で2人目がいる家庭が多く、そのなかでも何度か聞いたのが「(出産前に)上の子のトイトレを終えられていないと、0歳と上の子の育児に追われ、産後はトイトレをしてあげる余裕もない」という声。その意見を聞いて私は、「長女のトイトレのめどが立ってから次の家族計画をしよう」と心に決めました。 長女が2歳ちょうどからトイトレスタート決断してからは行動が早く、長女が1歳のときから「トイトレはいつスタートさせよう」と時期を見計らっていました。書籍やネットを読み漁り、2歳の誕生月にトイトレスタート。まだ自分で「おしっこ出たよ」も言えない長女に、心を鬼にして、初日から綿パンツに。 最初の1週間は床に漏らすのが当たり前でしたが、そのダイレクトな不快感から1カ月後には誘えばトイレで出せるレベルに。完璧ではありませんが順調に進んでいったので、自信を持っていつ妊娠してもいいと思えるようなった矢先、長女が2歳1カ月のころに妊娠が判明しました。 私の場合は「上の子のトイトレ=大きな発達過程の節目」を乗り越えたことによって、安心して妊娠・出産に臨めました。出産後、長女は2歳11カ月になっていたのですが、そのころにはトイレも日中は自立しており、育児がすごくラクになりました。私の場合は、長女がある程度成長して「これなら大丈夫」と思えるタイミングに家族計画をしたので、2人目の出産後がラクでした。 ※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じてパパや家族に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。 著者:黒井夢乃二女の母。歯科衛生士資格あり。二女出産前まで歯科医院にて勤務。自身が毒親に育てられた。自身の体験をもとに、妊娠・出産・子育てに関する体験談を中心に執筆している。
2019年09月16日両手に男児
めまぐるしいけど愛おしい、空回り母ちゃんの日々
ヲタママだっていーじゃない!