2020年7月30日 14:30
実はこんなに暑くて危険!夏の「ベビーカー熱中症」にご用心!【3児ママ小児科医のラクになる育児】
こんにちは、小児科医の保田典子です。私生活では8歳、6歳、4歳の子育て中です。今年の暑さは去年ほどではないものの、雨が多いのもあってムシムシ度はすごいですね。屋外の炎天下じゃなくても、家の中でも熱中症っぽい症状の患者さんを今年はちらほら見かけます。
今回は本格的に暑くなってきたときに気を付けてほしい、「ベビーカーでの熱中症対策」についてお伝えします。
赤ちゃんは熱中症になりやすい
ご存知の方も多いかとは思いますが、小児は成人より体の中の水分比率が多く、かつ体積がそもそも小さいので、少し水分を失っただけでも、大人よりも水分喪失の影響が大きくなります。
体積が小さく、体重あたりの表面積は広いため、外気温に体温が影響されやすいという側面もあります。そのため、ちょっと汗をかいただけでも熱中症になりやすいのです。
今年は「朝起きたら熱中症症状だった」という子もたくさん診察しています。
ベビーカーは大人が感じるよりもずっと暑い
熱中症の危険因子として、暑さ指数(WBGT)が使われることが多いですが、その暑さ指数の測定は、大人の身長に近い150cmを指標にしています。
環境省の「熱中症予防情報サイト」によると、
「子供、車いすの方を想定した50cmの高さでは大人を想定した高さ150cmに比べ、暑さ指数は平均して0.1~0.3℃高くなります。風が弱く、日射が強いときには2℃程度高くなった事例もありました。また、子供・車いすを想定した50cmの高さでは大人の高さの150cmに比べ、地表面の影響を受けやすいため、体感温度はさらに高くなります。」
と警告しています。
例えば、気温32℃のとき、幼児の身長50cmの高さでは35℃を超えるそうです。地面から近いベビーカーに乗った赤ちゃんの体感温度は、大人よりも高いのです。
さらに、日焼け対策として幌(ほろ)などの日除けを使ったりすると、ベビーカーの中は温度がさらにこもるため、大人が感じるよりもずっと暑い環境にいる可能性があります。
熱中症の症状チェックポイント
以前、熱中症の記事を書いたときにもお伝えしましたが、熱中症は三段階で症状が悪化します。
第1段階
●汗だくになる
●水分を欲しがる
この段階であれば、水分をとって体を冷やしてあげれば、熱中症というほどにはなりません。