2021年12月17日 12:30
「まずお礼だろ!」産後に父から怒りの電話が。孫に会えないジレンマが生んだトラブル<孤育て取材>
長期化するコロナ禍で、孤独な子育て「孤育て」が社会問題化しています。この約2年間で、たくさんのママたちが孤独な出産や育児に向き合ってきました。コロナ禍で実家を頼れなくなった人もたくさんいます。
そして両親に会う機会が減り、LINEや電話でやり取りすることが多くなり、気持ちがうまく伝わらなかったり、お互いの状況が理解できなかったりすることが増えたと実感する人も少なくありません。そうしたコミュニケーション不足が、ママたちのストレスに拍車を掛けることも。コロナ禍だからこそ感じたもどかしさ、両親に会えないジレンマのリアルを取材しました。
現在妊娠・出産・子育てをする多くのママたちが直面している「孤育て(孤独な子育て)」。
ベビーカレンダーでは、新型コロナウイルス流行により人と関わることができず、各家庭だけで子どもと向き合う子育てを強いられ、閉塞感や孤独感を抱えながら子育てをしている、今の子育ての実態を特集でご紹介します。
生まれた孫に会わせてあげたいけど…両親とのすれ違いから生まれた歪み
コロナ禍で実家との交流の機会が減った人は多い。「感染の可能性を考えると、高齢の親が暮らす実家へ気軽に帰るわけにはいきませんでした」と語るのは30代の田中あき子さん(仮名)。感染者数が右肩上がりだった今年7月、里帰りせず第2子を出産した。医療現場は厳戒態勢が敷かれており、夫の面会すら許されない孤独な出産だった。
「早く孫の顔を見せてあげたいな……」
出産で疲労と感動の中にいたあき子さんは、そんな気持ちを込めて病院のベッドから両親にLINEを送った。
「無事に出産しました」
通常であれば、あき子さんの両親も病院に駆け付けて、孫の顔を見に来るはずだった。しかしコロナ禍でそれは許されない。
「明日、面会に行きます」
と返事が来たので、夫ですら立ち会い出産も面会も許されていないことを伝えた。
すると、
「ではいつなら可能なのか」
と返事が来た。あき子さんも、両親に会いに来てもらいたいのは山々だったが、その気持ちがLINEのやり取りでどれほど伝わっていたのかはわからない。気持ちがうまく伝わらない上、コロナ禍の病院の状況が理解できていなかったのかもしれない。