2017年3月23日 16:00
[第2回]「明けない夜でもいい」同じ境遇の仲間との出会いが自分を変えてゆく
「何も話さなくていい」。安心して自分のままでいられる初めての友人
「JERRY BEANS」のベース、八田くんと出会ったのは、僕が自殺未遂を母親に止めてもらった後のこと。親に連れられて、双子の弟の史朗と一緒に参加した、「不登校の親の会」の集まりだ。そこに八田くんもいた。
八田くんとの関係は、今まで思っていた「友人関係」とは全く逆だった。友人というのは「自分のことを話せる相手」だと思っていたけど、そうじゃなかった。八田くんとの間では、「自分のことを話さなくてもいい」安心感があった。
当時は、まだ不登校とか自殺のことを話せる気持ちがじゃなかったけど、八田くんは何にも聞いてこなかった。
ただただ毎日遊んでいるだけで、それが居心地良かったのだと思う。
僕も、八田くんの不登校についてなど聞かなかったし、聞く気にもならなかったというのがその時の気持ちだ。
弱さを受け容れてはじめて、「親に愛されている」と思えるようになる
出典 : http://amanaimages.com/info/infoRF.aspx?SearchKey=11011000224
仲間ができてから、僕の生活は大きく変わった。それまではずっと家から出られなかったのに、八田くんと出会ってからは、弟の史朗と3人で毎日のように外出するようになった。
生活が変わって、だんだんと自分の気持ちも変わってきた。初めは、学校の友だちに会いたくないからコソコソしていたけど、そのコソコソした気持ちすらも楽しめるようになっていった。
それから、いい意味で色々なことを諦められるようにもなってきた。「こういうことも人生の大事な経験やし、みんな人間なんて未完成なんやな」って、そう思えるようになった。
弱い自分をしっかり受け止めて、だれかに頼ることは、決して悪いことではないのだと思う。
一番大きな変化は、「親に愛されている」と思えるようになったこと。
それまで、親がぼくらのために戦ってくれている姿を見て、親は完璧な存在なんだと思っていた。けど、そうじゃなかった。
実は母親も、後に鬱になったり、父親も失踪したことがある。親は親で、必死でがんばっていたんだ、誰にだって人間らしい弱い部分があるんだということがわかってきて、「みんな、同じ弱い人間やん」って思えるようになった。それでようやく、親との心の距離が近づいていった。