2018年6月19日 10:30
ICD-10、ICD-11とは?ICD(国際疾病分類)の概要、DSMとの違いなどについて解説します
有名なものに、アメリカ精神医学会が作成するDSM(精神障害の診断と統計マニュアル)があります。DSMの最新版として、2013年に出版された第5版であるDSM-5が使用されています。
ICDとDSMは列挙して参照されることも多く、同じように国際的に使用されている疾病分類として違いがわかりにくいと思います。しかし、以下のような違いがあります。
1. 作成機関…ICDは複数の国が加盟するWHOが作成していますが、DSMはアメリカ精神医学会が作成する疾病分類です。しかし、DSMは事実上アメリカ以外の国で広く使用されています。2. 分類範囲…DSMは精神障害のみを対象とした分類ですが、ICDは身体疾患を含むすべての疾患を分類しています。
3. 日本の行政で使用されているかどうか…日本の行政で採用されているのはICD-10です。
そのため、そのため、自分の診断名についてDSMのコードがわかっても、ICDコードがわからなければ書類上に不備が生じることになります。
「なぜDSMではなく、ICDが採用されるのか」という疑問については、厚生労働省の公式の回答はありませんが、相違点の1・2から理由を推察することができます。
第一に、DSMは精神障害に限定された分類であるため、身体・精神の疾患・障害について厚労省が包括的に死亡統計・疾患統計を作成するというために用いることができません。第二に、省庁が採用するにおいては、一つの国の一つの学会が作成するDSMよりも、WHOという国際機関の作成するICDの方が採用しやすいのかもしれません。
以上の3点が大きな違いになりますが、個々の疾患に着目すれば、分類方法や診断基準にはいくつもの違いがあります。しかし、基本的にはICDはDSMとも整合性を保てるように協議しながら作成されています。
おわりに
出典 : http://amanaimages.com/info/infoRF.aspx?SearchKey=10237000223
ICDは専門家が使用する疾病分類ですが、病気について勉強する上で概要を知っておくと医学の領域について理解が深まるかもしれません。さらに勉強を進めたい場合は、記事で紹介したWebサイトや書籍をあたってみてください。
2019年5月の世界保健総会提出に向け、ICD-11についてはWHOや厚生労働省、各学会によって疾病名や翻訳、ガイドラインなどが整えられていくことが予想されます。