2017年2月16日 15:00
自閉症の息子が唯一、心を開く人。彼だけに見えていた息子の気持ちは?
ひいおじいちゃんの膝の上は、自閉症の息子の特等席
子供達が冬休みに入り、普段は離れて暮らす私の実家に帰省したときのことです。
ひいおじいちゃんが居間で新聞を読んでいると、自閉症のある長男がそっと寄っていきました。
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言葉のあまり出ない長男は「新聞邪魔、そこは僕の場所!」といわんばかりの態度で、黙ってうっとおしそうに新聞を払いのけ、ぺたりとひいおじいちゃんの膝の上に腰をおろしました。
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特等席の膝に陣取ると、長男はじっとひいおじいちゃんの顔を見ながら嬉しそうな笑顔を向けます。
ひいおじいちゃんも笑って長男の頭をなでてくれます。言葉は交わさなくとも「ひいおじいちゃんは絶対、僕が膝に乗ったらいい子いい子してくれる」、そんな安心感が長男の仕草や表情から伝わってきたことを覚えています。
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いちばん大変な時期に、慣れない双子の育児に関わってくれたひいおじいちゃん
ひいおじいちゃんと双子は幼いころから深く関わってきました。8年前、低体重で生まれた長男は生まれてすぐ難病があることがわかりました。そのまま大学病院へ検査入院することになったのですが、その間双子の次男の面倒を見てくれたのがこのひいおじいちゃんだったのです。
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双子ということで里帰り出産だったのですが、私は出産前2ヶ月間、切迫早産で入院していました。当時私の母が看病にあたってくれていたのですが、心臓の持病と、長男の病気の心労が重なり臥せってしまいました。
そのため日中だけでも次男を見てくれれば・・と思いひいおじいちゃんを頼ったのです。
戸惑いもあっただろうにそんなことはおくびにも出さず、とても献身的に見てくれました。育児経験がないにも関わらず、長男の退院後も産後の私を気遣って、オムツを替えたりミルクを飲ませたり、慣れない手つきで小さな双子に存分の愛情を注いでくれたのです。
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自閉症の長男が、ひいおじいちゃんに心をひらく理由は?
けれど長男がひいおじいちゃんを好きなのは、それだけが理由ではありません。
自閉症特有の行動なのでしょうか、長男はコップの水をわざとこぼして、流れていく様子をじっと見ていることがあります。
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そんな時、私を含めて誰もが叱るけれど、ひいおじいちゃんだけは、そんな長男の様子を興味深そうに穏やかに見つめています。