2017年6月22日 20:00
自傷行為とは?痛くても行う理由や精神障害との関係、具体的な止め方、周囲の適切な対応を解説します
つらいときに、一時的につらくないようにするための手段が自傷行為なのです。
自傷行為を理解する上で注意しなくてはいけないことは、自殺とは目的が違うということなのです。
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参考書籍:『DSM-5』(『精神疾患の診断・統計のマニュアル』第5版)
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参考書籍:松本俊彦/著者『自傷・自殺する子どもたち』(合同出版・2014)
なぜ自傷行為をするのか
出典 : http://amanaimages.com/info/infoRF.aspx?SearchKey=10736003967
自傷行為を経験したことがない人は、リストカットをはじめとする自傷行為は周囲の関心を集めたり、周囲に自分の状況をアピールしたりするために行われるのだと考えがちです。
しかし、自傷行為は必ずしも周囲の人へのアピールのために行われているとは言えません。自傷行為の経験がある人の話を聞いていくと、自傷行為は一人でいるときに周りの人に気づかれないように注意して行われていることが少なくないことがわかります。
もし本当に自傷行為が周囲に向けて行われているなら、人の多いところでしたり、積極的に自傷行為をしていることを告白したりしていくはずです。
では、なぜ自傷行為をするのでしょうか。これまで研究・分析されて来た結果によると、自傷行為には次のような理由があるとされています。
◇不快感情の軽減のため
気分が落ち込んでいた時やストレスがたまってしまった時に、そのつらい感情から解放される手段として自傷行為を行うことがあります。
自傷が安定剤の役割を果たしていたり、ストレス解消の唯一の手段になっていたりと、自殺願望はなく、むしろ生きていくために行っていると述べる方も少なくありません。
これは本人が認識することの難しい「心の問題」を、痛みとして認識しやすい「身体の問題」に置き換えることで不快感情を軽減しているとも言えます。
◇自己懲罰的な自傷行為
自分自身を罰したいと考えて自傷行為をする人もいます。このような人は自分の理想や親の期待に対して現実が追いつかなかったときに、「どうしてこんなこともできないんだ」と考えてしまいがちです。
自傷行為の背景にある本人の心理として、周囲に悩みを打ち明けることが苦手で自分ひとりで抱え込んでしまったり、自己評価が低く自分が傷つくのは当たり前だと考えたりしていることもあります。