2019年3月29日 06:40
隣の人が見ている景色は自分と同じ?「ASDの人が見ている世界」をVRで体験
ASD(自閉スペクトラム症)とは?
withnews編集部の記者である筆者は、障害のある人の就労支援や学習支援などに取り組む「LITALICO」(東京都目黒区)を訪れました。 ASDのある人に多くみられるという、「視覚過敏」の症状について、VRで体験できると知り、取材をしたいと考えたためです。
編集部注:このコラムは、withnewsの記者がLITALICOでASD視覚体験VRを体験し、そのルポをLITALICO発達ナビに寄稿したものです。
https://withnews.jp/
参考:withnews
そもそもASDとはどんな症状なのでしょうか?LITALICO発達ナビによると、先天的な脳機能の凸凹により、以下のような特性があるといわれているそうです。
・言葉のコミュニケーションが苦手
言葉の裏にある意味をくみとるのが難しいなど
・人と関わるのが苦手(対人関係や社会性の障害)
目を合わせない、空気を読むのが苦手など
・こだわりや興味に偏りがある
予定が変わるとパニックになってしまう、同じ動きを繰り返すなど
また、ASDのある人のなかには、視覚や聴覚といった五感の一部が極端に過敏であったり鈍麻であったりといった、感覚の特異性(偏り)を伴う人も多いといわれています。ただ、過敏・鈍麻といった感覚の偏りには個人差があります。
こうした感覚の特異性によって日常生活に困りごとがある方も少なくありませんが、目には見えにくい症状のため、周囲の人からの理解や共感を得にくいという問題があります。
VRで自閉スペクトラム症の視覚世界を疑似体験
「視覚過敏」の症状をVRで疑似体験できる機器「ASD視覚体験シミュレータ」は、情報通信研究機構と東京大学、国立精神・神経医療研究センター、LITALICOの四つの拠点が連携して研究を進めています。
開発者は、工学が専門の情報通信研究機構主任研究員・長井志江(ながいゆきえ)さんです。
http://cognitive-mirroring.org/
参考:認知ミラーリング | CREST PROJECT
体験できる世界は3つ。「コントラストが強くまぶしい世界」「色が消えてぼやけて見える世界」「たくさんの点が見える世界」です。映像はそれぞれ約3分間で、前半は視覚症状がない人の見え方、後半は視覚が敏感な人の見え方で構成されています。