2023年10月9日 12:15
「孫に謝りたい」80歳実母から涙の電話…15年で変化した発達障害への理解
忘れられなかった」と母は言いました。
「その時にタケルが『(祖母からそれをふざけていると言うんだと叱られたので)これがふざけているということなのか……?』とポツリと言った言葉と、幼稚園児とは思えないような深刻な表情が今でもまざまざと思い出される」「妹のいっちゃんにも私はいろいろしとるやろうなあと思う」と続けました。
15年の時間とデジタルの進化のおかげ
母親の私からすると、まあまあそういう事があったんだろうなあ、とは思っていました。子どもたちは祖母の家から帰ってくると不安定になったり、誤学習をしていたりしたので、後からのフォローも大変でした。しかし、それでも当時は実家に預ける他に選択肢はなかったのです。
母は今年80歳です。元職は学校の職員でした。私の子どもだけではなく、発達障害のある子どもに不適切な接し方をしたことは一度や二度ではない、むしろ忘れていることの方が多いのかもしれません。
それだけに「子どもたちに謝りたい」と言ってくれたことには驚きました。
意外と子どもたちには「意外ではない」?
子どもたちを「ばあば」とのWeb電話に呼んだところ、「やっぱね、そうじゃないかと思ってたよ」「昔の教育を受けた人だもん、仕方ないよ。気にしてない」と2人して同じようなことを言っていました。
若い時分に家を出た私と違い、子どもたちは老いた母と一緒の時間を過ごしていたので見抜いていた部分があったようです。もしかしたら、娘には弱みを見せないようにしていたのかもしれませんが……。
以前発達ナビのコラムで、シルバー世代の親には理解を求めない、「分からないから」と任せてもらえた方が気楽と書かせてもらったのですが……
歳月とデジタル技術の進歩のおかげで、私と母との距離は少し縮まったかもしれないと感じています。
執筆/寺島ヒロ
(監修:新美先生より)
すごいエピソードで感動して読ませてもらいました。寺島さんも以前に書かれていたように、シルバー世代の方々は生きてきた時代が違うので、発達障害について理解してもらえない場合は、無理に理解してもらおうと思いすぎないほうがいいと思うことは多いです。
そんなシルバー世代のお母さまが、80代になって、タブレット端末で情報を再び得られるようになったら、お孫さんの幼い頃のことを振り返って、謝らなければというお気持ちになってくれるなんて、柔軟な思考の素晴らしいお母さまですね。