【ここだけの話…教えて!アオイ先生!】 妊娠中からはじめよう!母乳育児準備

 

「母乳育児」というと、ハードルが高く大変そう、というイメージをもつ人は少なくないようです。でも、誰にでも備わっている、母乳育児ができる自然なチカラを最大限に生かすには、何が大切かをお伝えします。



こんにちは!助産師のアオイです。
皆さんは「母乳育児」にどんなイメージをもっていますか?妊娠中の方に話を聞くと、いろいろな不安や心配をともなった質問を受けます。

『できれば母乳をあげたい!なにか妊娠中から準備することはありますか?』

『妊娠中から乳首の手入れをしていないと、おっぱいは出ないもの?』
『母乳育児希望ですが、乳房が小さくて、赤ちゃんに足りるだけのおっぱいが出るか不安です。』
『先に出産した友人の話を聞くと、吸われているうちに乳首が切れてしまって、すごく痛かったと。母乳はあげたいけど、痛いのは嫌だなと心配です。』

このように、妊娠中の方に伺うと「大変そう」とか「痛そう」とか、“母乳育児はハードルが高そう”というイメージをお持ちの人は少なくありません。母乳が、赤ちゃんにとってもママにとっても良い!ということは、どこかで読んだり聞いたりして知ってはいても、
「自分は果たして十分に母乳が出るのだろうか」、
「夜中何度も起きておっぱいをあげるなんて、自分にできるかな?」
といった不安や心配から、「まあ、できれば母乳で」くらいの、控えめな気もちでいる妊婦さんが少なくないということです。でも実は、妊娠したらだれでも、おっぱいをつくる準備がなされています。もともと備わっている、そのチカラを最大限に活かせるよう、母乳育児をはじめる前に知っておきたい、ココロとカラダの準備・サポートの準備について、ポイントをお伝えします。



女性ならだれでももともと備わっている「○○力」とは?

「乳房が小さいから母乳がじゅうぶんに出るか?」とか「姉が出産したとき混合栄養だったから、私もあまりおっぱいは出ないかも?」など、心配や不安の声をよくききます。
でも実際、母乳の分泌量は乳房の大小や体質で決まるものではありません。乳房の大きさは、脂肪組織によって左右されるもので、母乳分泌には直接には影響しません。小さい乳房だったとしても、妊娠4ヶ月のはじめごろから、母乳の基礎となる成分があつめられ、赤ちゃんにとって重要な免疫物質などがふくまれる「初乳」がつくられはじめます。そして、妊娠中はホルモンの変化によって、母乳工場の乳腺が発達することによって、産後の母乳分泌のための準備がおこなわれているのです。

このように、女性は妊娠というカラダの変化に対応して、自然に母乳を分泌するための準備をおこなうといった、<カラダのしくみ=母乳育児をしていくチカラ>が備わっているのです。

母乳分泌のスイッチはどこに!?

こうして、自然なカラダのしくみによって、妊娠経過にともなって、母乳分泌の準備がすすんでいきます。そして、出産後から赤ちゃんにおっぱいをあげていくなかで、さらに、母乳分泌のポイントとなるいくつかのスイッチが出現します。このスイッチは赤ちゃんのけなげな努力とお互いのタイミングをあわせていくことによってオン状態になります。

・生後、なるべく早い時期におっぱいを吸ってもらおう
生後、可能な限り、できるだけ早く(生まれて1時間以内)あなたの胸の上で赤ちゃんを抱っこしましょう。すると、赤ちゃんはあなたの母乳の匂いを感じ、自分で吸おうと、おっぱいに向かって少しずつ進みます。初乳は赤ちゃんにとって低血糖を防ぎ、また、カラダの抵抗力をつける免疫を獲得させてくれます。

・赤ちゃんが欲しがるたびに吸ってもらおう
出産直後、はじめのうちは、まだ母乳の分泌がごくごく少量ですが、赤ちゃんに吸ってもらうことで母乳分泌のスイッチがはいります。頻回の授乳になるとは思いますが、赤ちゃんの要求にあわせて、時間や回数を気にせずにどんどん吸わせましょう。個人差はありますが、出産後2~3日後くらいから乳房の張りが出てきて、徐々に分泌量が増えてくるでしょう。
母乳分泌に影響するプロラクチンというホルモンの濃度は、お産直後が最高で、その後ゆっくりと低下し、1週間ほどで半分くらいの分泌量になりますが、授乳すると一時的に上昇し、そのまま授乳せずにいると、産後2週間で妊娠していないときのレベルにまで低下するといわれます。ですから、授乳回数が多い方が、プロラクチンの濃度も高くなり、母乳分泌にプラスに影響します。24時間に少なくとも8回以上授乳すれば、次の授乳までにプロラクチンの濃度が低下しないといわれますから、1日に少なくとも8回以上は、おっぱいを吸わせましょう。

・なるべく飲み残しのないように、おっぱいを空にする
出産後10日以降は、頻回の授乳によるスイッチにかかわらず、おっぱいでつくられた母乳を出すことで、出した分だけふたたび、母乳がつくられていきます。ですから、なるべく飲み残しがないよう、時間は気にせず、赤ちゃんの要求にあわせながら飲みとってもらいましょう。ここで必要以上に人工ミルクを足すと、飲み残しがつづき、結果、分泌量が減少してしまうこともあります。
慣れるまではぜひ、適切な抱き方とおっぱいの赤ちゃんの口への含ませ方を、助産師など専門家に確認してもらうと安心ですね。もし、飲み残しがあるときには、適宜、搾乳し、乳房を空にすることも、分泌量を維持する方法のひとつです。

自分のおっぱいに注目!

皆さんは、ご自身の乳房や乳頭をよくみたことがありますか?
妊娠中のプレママさんにこの質問をすると、意外に多くの人が「まじまじとよくみたことがなかった!」と答えます。母乳育児の準備の第一歩として、まずは、妊娠中に、ぜひ自分の乳房や乳頭に関心をもって観察してみましょう。
また、冒頭にもあったように、妊娠中に乳頭のマッサージをした方がいいのか?という質問ですが、その是非については、実は専門家によっても意見が分かれるところです。一般的には、乳頭の形や大きさ、伸びなどが、母乳育児に必ずしも影響を与えるとはいえません。それは、赤ちゃんがおっぱいを口に含んで母乳が出るよう効果的に吸えるためには、乳頭の形や大きさ、伸びだけでなく、抱きかたや口への含ませ方、赤ちゃんの吸い付き方など、いろいろな要素が絡むからです。乳頭が乳輪より内側にひっこんでいる「陥没乳頭(かんぼつにゅうとう)」や、乳頭が乳輪とほぼ同じ高さの「扁平乳頭」などでは、赤ちゃんの吸い付きが難しいことが一部の人にみられることもあります。
ただ、妊娠初期にそのような乳頭の形状でも、妊娠経過にともなって、少しの刺激で自然に突出してきたり、出産後、赤ちゃん自身が吸うことで、さらに口に含みやすく突出してくることもしばしば経験します。ですから、自分の乳房や乳頭を観察できたら、つぎはぜひ、健診先のスタッフ(助産師)にもみてもらって、出産後の授乳についてイメージできるよう、アドバイスをふくめ、話し合っておくことをおすすめします。


それから、もし、乳頭の先に母乳などの分泌物や繊維のカスなどが付着しているようなら、オリーブオイルなどを含ませたカット綿を、お風呂に入る1時間ほど前に乳頭に湿布するように貼って、やわらかくしてから、そっと洗うようにするとよいでしょう。乳首の手入れをすると、子宮を収縮させるホルモン(オキシトシン)が分泌されるといわれますから、妊娠5ヶ月ほど、いわゆる安定期にはいってからおこなうようにしましょう。おなかが張り気味の人や、医師から安静にするよう指示が出ている人などは、医師や助産師に相談してからおこなうと安心でしょう。
また、先輩ママさんなどから「乳首が切れた」といった話を事前に聞くと、「授乳は痛いんじゃないか?」と、後ろ向きな気持ちをもつ人もいるかもしれません。乳首に亀裂ができて痛い場合、赤ちゃんの飲む位置(ポジショニング)と口への含ませ方(ラッチオン)を見直すだけでも改善されるものです。乾燥していると切れやすい要因にもなりやすいのですが、乳輪には、「モントゴメリー線」というところから自然に分泌液が出ていて、肌を保護したり細菌の増殖を防ぐ役目をしています。ですから、必要以上に石けんでゴシゴシ洗わないようにしましょう。また、授乳時に、アルコール綿などで拭き取って消毒することも乾燥を招くことから、必要はありません。もし、妊娠中から乾燥が気になるようなら、保護クリームを塗ってもよいでしょう。

心強い頼れるサポーター探しも準備のひとつ!

はじめてのことに、もちろん不安や心配もあるでしょう。いままでお伝えしてきた母乳育児をおこなう上でのポイントから、とくに産後1ヶ月ほどまで母乳育児に集中できるよう、環境をととのえるために、妊娠中から産後の生活をイメージして、サポーターを探しておくことも重要です。パートナーにも理解を得てもらうことや、近くに母乳育児の専門家はいるか、保健センターなどの相談窓口なども確認しておくと安心ですね。もちろん出産場所でフォローしてもらえるかどうか、妊娠中からよくコミュニケーションをとっておきましょう。
最後に、母乳育児をすることは100%母乳をあげること、ではないと思います。少しでも母乳を飲ませてあげられたら、それは立派な「母乳育児」です。妊娠中からあまり気負わないことも、母乳育児をする上で大切なことです。


監修:坂本忍(産婦人科医)

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