2021年12月24日 13:14
試合を観ることがどうして大切なの? ダイジェスト映像ではなく1試合見ることでオフザボールの理解が進む理由
今年も、「JFA 第45回全日本U-12サッカー選手権大会」(旧全日本少年サッカー大会/以下全日本U-12)のシーズンとなりました。都道府県大会を勝ち抜いた競合チームが会場の鹿児島県に集まり、優勝を目指して白熱したプレーを繰り広げてくれることでしょう。決勝戦はテレビ放映も予定されています。
そこで、同世代の選手たちのプレーを観ることのメリットについて、日本サッカー協会(以下JFA)普及ダイレクターの中山雅雄さんにお話を伺いました。
(取材・文:小林博子)
■ダイジェストではない「サッカー観戦」を観る機会が減っている
デジタルネイティブである今の小中学生たちにとって、動画を観ることは日常のひとつ。国内外の有名選手のスーパープレーや、日本代表チームのゴールシーンなどに釘付けになっている子どもも少なくないようです。
その反面で、今の子どもたちは、キックオフから試合終了までを通して観戦することが減っているように感じませんか。代表戦ですらアジア最終予選はアウェイの試合が地上波で中継されなかったり、お住まいによっては地元のプロチームのスタジアムが遠かったりと、さまざまな事情で、サッカーの試合をテレビで観る機会が減っています。
とはいえ、ダイジェスト動画だけでサッカーが理解できるのか、試合を観るのも選手として上達につながる大事なことではないのか、と感じている保護者・指導者の方もいるのでは。
■1試合を通して試合を観ることの大切さ
「ダイジェスト動画を観て、憧れの選手の華やかなスーパープレーにわくわくする気持ちを持つことは大切です。ただしそれだけではなく、試合の流れやオフザボールでの選手の動きも観られる、ダイジェストではない試合を観ることも、子どもたちのサッカー観を養う上ではとても大切なことです」
そう話すのは、今回お話を伺ったJFA普及ダイレクターの中山雅雄さんです。
どんなスーパープレーでも、その瞬間を生み出すまでに選手は試合の中でどんなふうに動いてそのプレーにつなげているのかなどは、ダイジェストだけでは知ることはできません。サッカーの試合に存在する「流れ」を感じることができるのは、一部を切り取った動画にはないヒントにあふれています。また、ゴールに結びついたり、ドリブルで突破できたりといった成功シーンだけではなく、ミスも観たほうがいいと中山さんは言います。プロ選手ですら試合の中ではミスをするので、そのミスにつながった理由や、どうカバーするかなども試合を通しで観るからこそ観ることができるポイントだそうです。