「少し秋っぽくなってきましたね。」そんな挨拶を交わし始める頃、ファッション業界は春夏へと衣替えを始める。NY、ロンドン、ミラノ、パリ、東京と続く約一ヶ月半に及ぶコレクションサーキットが幕を開ける少し前、一足先にLAMARCK(ラマルク)の春夏ショーが開催された。【ランウェイのケセラセラ】は気まぐれでお届けする、ランウェイの走り書きメモ。空間と時間の間に生まれるものファッションショーが始まる前の数十分、来場者の話し声をBGMにしながら、ショーのコンセプトが記されたリリースを眺めて過ごすことが多い。まだまだ業界の中では新米の私にとって、正直この時間はきつい。なぜなら周りは業界の大先輩であるジャーナリストやエディターばかりで、気軽に話ができる人はほぼいないからだ。できることといえば、聞き耳を立てるかリリースを読み込むか、SNSの投稿準備をするくらい。大きい会場であれば来場者のチェックや観察ができるものの、今回はそうも行かなかった。会場は恵比寿の小さなギャラリースペース。普段は展示会を行うような小さな部屋に配置されたのはたった二列の椅子。来場者は白い壁と向き合うように座り、今か今かとショーの開始を待つ。私と白い壁の距離は、モデルが通れるくらいの幅しかない。リリースに記してあった「空間と時間との融和の中に新生するすべての女性達へ。」という言葉に思いを馳せる。目の前の白い壁をぼぅっと眺めながら、次第に話し声のBGMが遠のいていくと、距離感が曖昧になり空間の概念が崩れていくのを感じた。壁と一体化してしまうのではと思い始めた頃、静かにショーが始まる。ファーストルックはオールホワイト。経年変化で少し黄味がかった白い壁によく映える純白だ。緻密なレースで袖の中間を透かしたロングシャツに総レースのパンツを合わせたドレスのようなレイヤード。そこから白いルックが二体続いた後、風車や木が描かれた総柄のセットアップが登場。急なトーンの変化にハッと目が覚めると思いきや、自然と白い壁に馴染んでいった。縦縞のジャケットや鳥を模したコードの装飾、真っ赤なプリーツドレスなど次第に色や装飾が増えていくが、いい意味で温度の変化はない。おそらくこのルックの順番は時系列で捉えるものではないと、どこかで腑に落ちたからだ。それは白い壁を眺めた数十分があったからだろうか。懐かしい景色を思い浮かべ、それ全体を愛でる。そして一部をクローズアップし、色を色として思い出す。花を花として思い出す。白い壁をスクリーンにして、投影されるかのように歩いていくモデル達は、脳裏に浮かぶ記憶そのものだったのかもしれない。この春夏コレクションはデザイナー自身のルーツを元にデザインされている。テキスタイルに描かれていたのは長崎の風車だそうだが、私は昔一人旅で訪れた兼六園と池と魚を思い出した。ラストルックは細い7色の糸が揺れるカットジャカードのツーピース。波佐見焼をイメージした青と白のコントラストが美しい、ラストにふさわしいルックだった。揺れる糸が残像を残していくから、ショーが終わる前にそっと目を閉じて時間と空間をリセットした。ランウェイの余韻をそのままにファッションショーが終わると取材陣は「囲み取材」と呼ばれる、デザイナーへの合同インタビューへと向かう。ワイドショーで見るような光景だったのではじめこそ緊張したものの、今ではなんとなく、飲み込み方がわかってきた。普通囲み取材が終わるとそのまま解散、もしくは個別インタビューになるのだが、この日は違う。さっきまでランウェイだった会場が展示会場に早変わりしていた。See now, Buy nowならぬ、See now, Re-See nowだ。( Re-Seeとは展示会のこと。)ショー後に服を手に取ることができるのは、日本だとだいたい数日後なので、見たその瞬間の感性や疑問をそのまま服にぶつけられるのはとても良い試みだと思った。パリで手伝った展示会の設営を思い出しながら、その大変さを想像して心の中で敬礼。時間と空間の融合、隔たりをなくすということをテーマに掲げたコレクションだったので、ショー会場 / 展示会場の境目をなくしたそうだ。LAMARCKが描くようなストーリーを感じる服、背景が見える服は着る人の軸はもちろん、空間があってこそより魅力を発揮するものだと思う。服はたしかにデザイナーが思いを乗せて作り出すものだが、着る人こそが完成者になり得るのだ。私たちは服を媒介にしてそのストーリー=記憶を受け取り、新しい記憶へと変えていく。その服を着てどんな空間で生きていくかは、私たち次第。まさに発表されたこの瞬間はまっさらなキャンバスに並べられた状態で、時間と空間を越えて、何度も新生されていく。text. Azu Satoh
2017年09月15日いつかは持ってみたい、憧れブランドのバッグ。タイムレスな魅力を放つ定番の型からトレンド最先端のitバッグまで、毎日のコーディネートに取り入れることができるサービスをご存知ですか?「Laxus(ラクサス)」は、高級ブランドのバッグを月額6,800円で借りることができるシェアリングサービスです。「高級ブランドのバッグを持ってみたいけど日常で使う想像がつかない…」そんなレディのために、ROBEでは《日々、越境レディ》をテーマに、ラクサスでレンタルしたバッグを使用したコーディネートを提案!コレクショントレンドから読者発のリアルトレンドまで幅広く扱うROBEだからできる、ハイブランド×等身大のコーディネートを全5回にわたってお届けします!最後にはお得なクーポン情報もあるのでお見逃しなく。第5回は【 #パーティーは戦場 】編!静かに大胆にハートを射止める「リトルブラックドレスと真紅のハートで主役はいただき。」パーティーシーンは静かに燃える。「シンプルに上質」こそが誰よりも際立つドレスアップの秘訣。私ってこんなに綺麗だったかな?と思わせてくれる仕立ての美しいドレスを纏って、揺るがない自信を手に入れて。極め付けは、ひとさじの愛と真紅のハート。コーディネートに合わせるバッグを探すSaint Laurent “チェーンバッグ モノグラム”急なパーティーの為に彼女が借りたのはSaint Laurentの “チェーンバッグ モノグラム”。エナメルのハートで会場の視線を独り占め。アクセサリーはチェーンと合わせてゴールドで統一。横から見ると立体的に見える小ぶりのバッグは、たとえスマホが入らなくてもそれ以上の仕事をしてくれる。中に潜ませるのは、ハートと同じく情熱的な真紅のリップのみ。ラクサスでバッグをチェック!高級バッグが借り放題!ラクサスの秘密とはラクサスの人気の秘密は、選ぶバッグのグレード問わず一律料金という明快な価格設定はもちろん、保有バッグ数 18,000 個、取扱いブランド数 52 ブランド( 2017年7月25日現在 )と、選べるバッグの幅が広いというポイント。シャネルやルイ・ヴィトン、エルメスといった憧れのラグジュアリーメゾンから、セリーヌ、アニヤハインドマーチといったitバッグが揃う注目ブランドまで、どんなシーンにも合わせることができるラインナップです。返却期限は無く、有料会員である限り同じバッグを借り続けることも可能。軽い傷や汚れなどの保証も月額費用に含まれているので、日常使いも安心です。バッグを借りてみる!ROBE読者限定クーポンこのバッグを借りてみたいと思ったROBE読者だけにスペシャルプレゼント!ラクサスで使える初回ポイント12,000円分を贈呈。実質約2ヶ月分の無料お試し期間をゲットできます。ラクサスのアプリダウンロード後、下記キャンペーンコードの入力をお忘れなく!【キャンペーンコード】robe78※期限は2018年8月1日までLaxusアプリをダウンロードする(iOS / Android)HP / InstagramCredit アイテム名 / 税抜金額 (ブランド名 / 問い合わせ先) ベアドレス / ¥74,000(LAMARCK / ESTEEM PRESS)シューズ(スタイリスト私物) 撮影 : ryutaro yamaguchiヘアメイク:zaki.モデル:saya編集・スタイリング:azu satohおすすめアプリ(sponsored)憧れのバッグが使い放題!様々なブランドのバッグが、月額で借り放題になるバッグレンタルサービス『Laxus』。ルイ・ヴィトンやシャネル、エルメスなど14,000種類のブランドバッグが使い放題なので、飽きたら交換すればOK!バッグも洋服に合わせてコーデを楽しんでみませんか? インストールはこちら ファッションコーデ『Laxus』(PR)
2017年08月07日ファッションウィークもひと段落。ようやくやってきた春を越えて、頭の中は秋冬のお洋服でいっぱい!前回のトレンドレポに続き、東京コレクションで見た極私的お気に入りルックを妄想シチュエーションで描いてみました。まだ袖を通すことができないお洋服たちだから、半年間は妄想して過ごすことにしましょう。LAMARCK - 箱入り娘の反抗「LAMARCK」の女の子はきっと日常に少しだけ、退屈している。育ちの良いお嬢様と言われるけども、本当はカゴから飛び出して冒険だってしてみたい。毎朝飲んでいる紅茶も、なんだか最近飽きてきた。朝の静寂に身を委ねて、裸足で飛び出す世界を妄想してみる。静けさの中に秘めた強さは、まだ誰も知らない。THEATRE PRODUCTS - 戦うレディの肖像「THEATRE PRODUCTS」のジャンプスーツを纏うレディは、まさに現代社会で戦う女戦士。寝坊して慌てて家を飛び出しても大丈夫。いつだってモードな彼女は、パジャマだってそうなんだから。体に沿って線を描くような、ほんのり色づく繊細なレースで背筋を正せば、都会の中でも凛として歩いていける。異世界への身支度はいつだって整っている。tiit tokyo - 計算する女の子レンガの壁に寄りかかって、きゅっとカバンを持っちゃって、「tiit tokyo」の女の子は誰を待っているの?きっと意中の彼に違いない。ゆるりと落としたジレの肩、チラリと目をひくベルトのイエロー。計算づくしのスタイルに、あざとさを感じるかピュアなハートを感じるか、それはきっとあなた次第。そうしてまた、自由気ままに生きる彼女に翻弄されていく。support surface - 夜空に舞う女性「support surface」の湖畔に舞い降りた一羽の黒鳥。飛び疲れてたどり着いた湖で、羽を休めるように舞う。夜空の下、静かに舞う彼女の姿に、思わず息を飲んだ。スカートのスパンコールが月に照らされ、夜露のようにキラリと光る。羽のように身体を包むシャツからのぞく白い腕。消えてしまわないようにと、息を潜めてじっと見つめる。すると彼女は、何かを見つけ出したのか、ふわりと飛び立っていった。writtenafterwards - 編みたガールの狂気夜な夜な現れると噂の「writtenafterwards」のニット妖怪。ピンク、紫、オレンジ、緑、青、黄色、とてつもなくカラフルな毛糸たちが編みに編まれて誕生した妖怪は、刺激を求めに深夜のコンビニへ。通称・編みたガールの気分はシュワッとはじけるサイダーとジャンキーなお菓子。お風呂上がり、どうしてもサイダーが飲みたくなったみたい。「髪乾いてないけどいっか、だって今すぐサイダー飲みたいし」飲みたい時に飲みたいものを、着たい時に着たいものを! 「あの服を着てあそこに行けたらいいな」「このワンピースを着るならあの人に見せたい」きっと妄想シチュエーションは誰でも心に秘めているはず。私たちが愛すべきファッションは、本来自由なもの。あれを着ないといけない、こんな格好をしないと変に思われる、なんて難しいこと考えないで、誰にも覗かれない妄想の中でファッションを謳歌してみましょう。春ですもの、遠い秋のことを想ってもいいじゃない!イラストコーデはこちら:*オフショルでエレガント&モードにTRY!*NEXTガウチョ?冒険パンツ編*東コレ秋冬トレンドillustration. Hitomi ItoText. Azu Satoh
2017年06月19日