2017年8月9日 21:15
ホスト達に「嵌められた女」|12星座連載小説#136~射手座 10話~
12人の女性たちの生き方を、12星座になぞらえて紹介していくショートクロスストーリー『12星座 女たちの人生』。 キャリア、恋愛、不倫、育児……。男性とはまた異なる、色とりどりの生活の中で彼女たちは自己実現を果たしていく。 この物語を読み進めていく中で、自身の星座に与えられた“宿命”のようなものを感じられるのではないでしょうか。
文・脇田尚揮
【12星座 女たちの人生】第136話 ~射手座-10話~
ヴーヴ・クリコが運ばれてくる。
銀色のワインクーラーの中に黒いボトルが鎮座するその様は、いかにも“ホストクラブに来ました”という体だ。
「じゃあ、乾杯しましょう」
マサシが満面の笑みで耳元に囁く。
微かに香るいい香り……。
これは“ブルガリ・ブラック”ね……。
シャンパングラスを傾けて、アルコールが私の体内に入っていく。この小悪魔のような男の世界に一歩一歩足を踏み入れていることに気づきながらも、理性がどんどん言うことを聞かなくなる。
「結構、お強いんですね」
『そんなことないけど……飲めない方じゃないわ』
「へぇ、すごい! 淳子さん、飲むのはいつもシャンパンなんですか?」