2018年4月10日 18:00
統合失調症と診断された兄…壮絶な闘病生活、両親は苦渋の決断をする #11
「病気」と認めたくない葛藤
兄は、高校をやめてから3年間引きこもり、そこから病院に通いだしてもうすぐ5年目に差しかかろうとしていました。気づけば、25歳。周りの同級生は大学に進学したり、就職したり、早ければ結婚して家庭ができていたりと充実している様子です。そんななか、先の見えないトンネルをひたすら歩き続ける兄は、大人になるどころかひとりでは何もできない状態にどんどんなるばかり。
薬と母親の付き添いがなければ、何もできません。それでも、「まだ治る」と信じていた両親は、兄に大量の薬を飲ませ、看病をします。「まだ治る」「肩の力を抜いてください」という、両親と医師の相反する言葉は、両者の葛藤を表している言葉だと私は感じます。
8年を経て、両親が出した答え
入院してすぐに兄の病名はわかったものの、それでもまだ「病気を抱える健常者」。このまま粘っていても、先は見えない。高額な医療費をいつまで払い続けるかもわからない……。治ると信じて戦い続けた結果、両親が下した決断は「障害者手帳」の申請に踏み切るということでした。
障害者手帳を発行する手順は、通院していた病院に診断書を書いてもらい、住んでいる市役所に申請。