2019年3月2日 18:30
女ひとり放浪旅…先住民族との暮らしや修行僧生活、涙々の壮絶体験。#73
という気持ちが募っていきました。そんなときに「彼らについて日本のみんなに書いてほしい」とお世話になりまくった友達のリクエストを受けることになって、彼らのことを全く知らない私が「でも、どうしたら?」。そのヒントを得たくてシンポジウムに参加したんです。シンポジウムでは、脳科学的にも人間には本来思いやりの心が備わっていることがデータとともに語られ、ヒマラヤやメコン河での環境保全に携わってきた博士なども登壇し、とても鼓舞されるものでした。
ビッグ・マウンテンでの羊飼い生活。
シンポジウム後に勢いづいて、「よし!」とビッグ・マウンテンへ向かったのはいいけれど、想像と現実には大きな隔たりがありました。私は単なる足手まとい。そのうえ精一杯でも、ほぼ無収入状態の私が差し出せるお金は僅かなものです。
では精一杯働きますと、羊飼いのお手伝いや家事をしながら数日間暮らしたわけですが、羊毛にへばりついた糞やダニを素手で掃除しても、清潔な水では手を洗えず、またその手で料理を作ります。土埃で髪は砂まみれ、体は汗だくでも、当然シャワーなんて浴びられません。
そして電気がないので、日の入りとともに床の上に羊の皮をひいて耳栓しながらナバホ族の男性ふたりと一緒に川の字になって雑魚寝します。