くらし情報『少数民族差別、デモ、拷問…“台湾”を深く知る傑作アニメ』

2019年11月23日 20:40

少数民族差別、デモ、拷問…“台湾”を深く知る傑作アニメ

初代総統の蒋介石が死去した日というのも物語のポイントのひとつ。当時の台湾には戒厳令が敷かれていて、学校では台湾語使用が禁止され、少数民族差別も当たり前!?そんな暗い時代と、輝かしい未来を夢見る無邪気な子どもの対比が切ない。また「将来は医師に!」という両親の希望に背いたチーが大学で学生デモに夢中になったり、いとこの色覚障害などで白色テロで行われた拷問を匂わせたり。921大地震の悲劇も体験したチーの半生は、激動の台湾史と重なってとてもドラマティック。

そして「どこで間違ったんだろう」と過去を振り返るチーの現在の悩みがとても普遍的だ。移住したアメリカで白人青年トニーと結婚した彼女は、アイデンティティ喪失を恐れながら、「私は幸せなの?」と自省する。葬儀に集まった親族に「子供はまだ?」と尋ねられてうんざりする一方で、再会したベティの前向きさに勇気づけられもする。両親の想像以上の老いに気づき愕然とするチーに自身を重ねる観客も少なくはないだろう。
ソン・シンイン監督が自身の人生を投影させたチーの物語は、どこにでもいる女性の平凡な人生といってもいい。ただ凡人であっても、その来し方を振り返ることで、“幸せ”を求める人間の本質や人生はリセット可能という事実が見えてくることもあるのだと実感する。

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