2019年12月13日 19:00
ミスコンに出て劣等感、金のために愛人業…島本理生の新作がスゴイ
新作『夜 は お し ま い』について、著者・島本理生さんにお話を聞きました。
なぜ傷つき、なぜ罪悪感を抱くのか。苦しむ女性たちが訪れる先は…。
「キリスト教と恋愛小説は親和性があると思っていて。神様の愛と人間の恋愛は違うといっても同じ“愛”がキーワード。特に、傷ついている若い女の子は恋愛に見せかけて自分だけの神様を探しているところがあると思うんです」
島本理生さんの新作『夜 は お し ま い』は、傷を抱えた女性たちそれぞれの事情と、金井という神父との交流を描く連作集。第1話は、ミスコンに出て劣等感を強め、怪しげな男と交際する女子大生の話。
「自分が若かった頃を振り返ると、外部からのジャッジで自己評価が揺らぐことが多かった気がします。
それに、自分の探しているものがなさそうな場所にこそ見つけられたら満たされる、という幻想もあって。だからこの主人公も自分が愛されていないと気づいているのに相手から離れられない。自分を大事にするという感覚が後回しになっている」
第2話では愛人業の女性が、交際相手から思わぬ提案を受ける。
「書き終えた直後はハードな性描写が多くていかがなものかと心配してましたが、時間をおいて読み返した時、人の心がこんなに簡単に反転して上下関係も二転三転する、その危うさを書きたかったんだと気がつきました」