2020年2月27日 20:40
「日本にも貧困は存在している」世界が注目する監督が訴えたい思い
アフリカのことわざに「一度噛まれた猫のことは信用してはいけない」というのがありますが、まさにその言葉通りだと感じているんですよ。
―胸が痛いお話ですね。来日の際には、試写イベントで日本の観客と接する機会もあったそうですが、そこで感じたこともありましたか?
監督本作のプロモーションのために、20~30か国くらい回りましたが、反応はどの国も同じですね。なぜなら、このテーマはとてもユニバーサルな価値を持っているから。つまり、社会的な貧困というのはどこの国にも存在していて、それぞれの国の人たちが、「実はうちの国でもこういうことがあって……」と比較しながら考えているからなんですよ。
日本だって、テクノロジーの面でいえばほかよりも20年先を行っているような国ですが、貧困は隠されているだけ。だからこそ、表からは見えない貧困のなかで生きようとしている人たちの姿を描いた是枝裕和監督の『万引き家族』のような作品も生まれたのではないでしょうか。
社会的な悲惨さというのは、不安を抱かせる要素ですが、このテーマというのは、とてもユニバーサルなものだと私は感じています。
次世代の子どもたちのいいモデルになりたい
―そうですね、大っぴらに語られてはいませんが、日本にも同じような側面はあると思います。