くらし情報『“愛されなくても…”武田綾乃の新作はヒリヒリとした青春小説』

2020年9月24日 19:10

“愛されなくても…”武田綾乃の新作はヒリヒリとした青春小説

アニメ化された『響け! ユーフォニアム』シリーズや吉川英治文学新人賞の候補になった『その日、朱音は空を飛んだ』などの話題作を発表し続けている若手作家、武田綾乃さん。新作『愛されなくても別に』は現実的な問題を盛り込んだ、ヒリヒリとした青春小説だ。

愛情と自己犠牲、その難しい関係。苦しむ少女に訪れた出会いとは。
“愛されなくても…”武田綾乃の新作はヒリヒリとした青春小説


「最初に大学生の話を書こうと思った時に浮かんだのは、奨学金のことでした。自分が学生だった頃、学生同士の違いって奨学金を借りているかいないか、借りている額がどれくらいかに顕著に表れていたんですよね。それは家庭環境によるところが大きい、とも思いました」

主人公の宮田陽彩(ひいろ)は母親と二人暮らし。奨学金は貯金し、学費と生活費のためにバイトに明け暮れている。
加えて陽彩の場合、母親から経済面でも家事労働面も頼りにされ、それに応えようと懸命で、友達づきあいも皆無な状態だ。

「昔なら親がお小遣いをたくさんくれたのかもしれないけれど、今はそういう子は少ない。遊びに行くにも車の免許を取るにもお金はかかるから、お金がないと友達が作りにくい世の中だなと感じます」

ある出来事をきっかけに、陽彩は家を出て、大学とバイト先が同じ江永雅の家に転がり込む。

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