2021年2月11日 19:30
遺体なき殺人事件が発生。犯人は夫か、それとも…未解決事件の裏側に迫る
司法でも間違えることはありますが、それがどうやって生み出されているのかというのをこの作品では見せることができたと感じています。いまでは、そんなふうにとても有効な作品としてとらえられているのでよかったです。
タイムリーな作品として観客に訴えかけるものになった
―賢明な判決だと思います。実際本国では、多くの観客を動員しヒットとなりましたが、監督がこの作品がいいものになると確信した瞬間はいつですか?
監督僕は初めて裁判を傍聴したとき、「フランスの司法はこんなものなのか?」と椅子から転がり落ちそうになるくらい大きな衝撃を受けたんです。そのときにこれは映画にしなければいけないと思いましたし、観客にもいかにフランスの司法制度が機能不全なのかというのをちゃんと知ってほしいと感じました。
そう決意したときから、この作品は観客にも自分が受けたような大きな衝撃を与える作品になるだろうという確信はあったと思います。今回の事件は、マスコミが騒ぎ立てた噂が蔓延することによって世論が構成されていったところがありましたが、20年前に比べるといまのほうがSNSも普及していますよね。そういう意味ではいまのこのタイミングのほうが、よりタイムリーな作品として訴えかけるものになるだろうなという確信は強くなっています。